○平岡
委員 新聞報道等でもそういう逮捕容疑というのが挙げられているわけでありますけれども、ただ、この
事件についてちょっと鳥瞰図的に物事を見ると、インサイダーがあったのかどうかということについてはよくはわからないんですけれども、そういう問題よりは、むしろ、既に大量に仕込んでいた株式というのを高値でうまく売り抜けた、そういう売り抜けるために何かいろいろなことをやってきたのではないかというようなところが、私は、大きな目で見たときのこの
事件の全容的なものではないのかなというふうには思うんですね。ただ、全容が全部
犯罪ということではなくて、その全容の中に細切れ的に、一部分的に
犯罪に当たる行為があったということもまたあり得ることなのかなというふうには思います。
そういう
意味で、今回の
事件については、公開買い付け等に関するインサイダー取引というような位置づけの中で今
捜査が進められている。逮捕されたということについては、それはそれとして、それを否定するものではないんですけれども、実は、こういう形で逮捕されたということで、市場
関係者とかあるいはファンドマネジャーに混乱が生じているというふうなことも聞いているわけであります。
すなわち、どういうことかというと、先ほど容疑事実、嫌疑事実ということを言っていただきましたけれども、先ほどありました、総株主の議決権数の百分の五以上の株券等を買い集めることについての決定をした旨の公開買い付けに準ずる行為の実施に関する事実の伝達を受けたというくだりでありますけれども、その件について、実は、
平成十一年の六月十日の日本織物加工
事件において、インサイダー取引の判例というのが出ているわけですよね。
この中では、ちょっと私も詳しくは申し上げませんけれども、株式の発行についての決定というものについてはどういうものなのかという話として、株式発行が確実に実行されるとの予測が成り立つことは要しないというようなくだりがあるというふうに聞いています。
そういうこととの
関係で今回の問題を考えてみると、公開買い付け等の実施を決定したというためにはどういう
状況が必要なのかと考えてみたときに、この判例をもとに考えれば、当該公開買い付け等が確実に実行されるとの予測が成り立つことは必要としないというような考え方も成り立ってくるだろう。そうなってくると、私が冒頭申し上げましたように、市場
関係者の方々は、そういうある程度未必的に認識したことでインサイダー取引になってしまうというようなことになってしまうと、危なくて、自分がどういうふうな資金運用をしていいのか、非常に難しくなってしまうというような問題が発生しておるということになるわけであります。
そういう
意味で、当局にお伺いしたいのは、この公開買い付け等の実施を決定したということについて言えば、当該公開買い付け等が確実に実施されるとの予測が成り立つことは要しないという従来の判例に沿った考え方というのが成り立っているんでしょうか。どういう考え方になっているんでしょうか。