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杉浦国務大臣 犯罪の
国際化及び
組織化並びに情報
処理の
高度化に対処するための
刑法等の一部を
改正する
法律案につきまして、その趣旨を御
説明いたします。
近年のグローバリゼーションの進展に伴い、
犯罪行為が容易に国境を越えるようになり、
犯罪組織による国際的な
犯罪が頻発しております。また、厳しい経済情勢の中で、暴力団等の反
社会的勢力が組織的に関与する悪質かつ巧妙な強制
執行妨害事犯が後を絶たないなどの状況にあります。さらに、近年、コンピューターが広く
社会に普及し、世界的な規模のコンピューターネットワークが形成されておりますが、このような情報
処理の
高度化に伴い、ハイテク
犯罪が多発しております。
この
法律案は、このような近年における
犯罪の
国際化及び
組織化並びに情報
処理の
高度化の状況にかんがみ、
刑法、
刑事訴訟法、組織的な
犯罪の
処罰及び
犯罪収益の規制等に関する法律、その他の法律を
改正し、所要の
法整備を行おうとするものであります。
この
法律案の要点を申し上げます。
第一は、平成十五年五月に国会において承認された国際的な組織
犯罪の防止に関する国際連合条約の締結に伴い必要となる罰則の新設等、所要の
法整備を行うものであります。
すなわち、条約の規定する重大な
犯罪に当たる
行為であって、団体の
活動として、当該
行為を実行するための組織により行われるもの等の遂行を共謀する
行為を
処罰する組織的な
犯罪の共謀の罪及び、重大な
犯罪等に係る刑事
事件に関し、虚偽の証言、証拠の隠滅、偽変造等をすることの報酬として利益を供与する
行為を
処罰する証人等買収の罪を新設するほか、いわゆる前提
犯罪の拡大など
犯罪収益規制
関係規定の
整備や、贈賄罪につき
国民の国外犯を
処罰するなど国外犯
処罰規定の
整備を行うこととしております。
第二は、強制
執行を妨害する
行為等についての
処罰規定を
整備するものであります。
すなわち、現行
刑法の
関係罰則では
処罰が困難な、封印等が不法に取り除かれた後における目的財産に対する妨害
行為、目的財産の現状の改変等による妨害
行為、
執行官など
関係者に対して行われる妨害
行為または競売開始決定前に行われる競売手続の公正を害するような
行為等の強制
執行を妨害する
行為等を新たに
処罰の
対象とし、
関係罰則を含め、その
法定刑を引き上げるとともに、報酬目的または組織的な
犯罪として行われる場合に刑を加重することとしております。
第三は、ハイテク
犯罪に対処するとともに、平成十六年四月に国会において承認された欧州評議会のサイバー
犯罪に関する条約を締結するため、罰則及び手続法の
整備を行うものであります。
すなわち、罰則の
整備としては、人の電子計算機における実行の用に供する目的で、不正な指令を与える電磁的記録等を作成等する
行為を
処罰する不正指令電磁的記録作成等の罪を新設するとともに、わいせつ物頒布等の罪の構成要件の拡充等を行うこととしております。
また、手続法の
整備としては、電磁的記録の記録媒体の差し押さえにかえて電磁的記録を他の記録媒体に複写等し、これを差し押さえることができるものとすること、電子計算機の差し押さえに当たり、電気通信回線で接続している記録媒体から電磁的記録を複写することができるものとすること、電磁的記録の記録媒体への記録を命じ、当該記録媒体を差し押さえる記録命令つき差し押さえの
処分を新設することなどのほか、通信履歴の電磁的記録の保全要請の制度や、電磁的記録の没収に関する規定等の
整備を行うこととしております。
このほか、所要の規定の
整備を行うこととしております。
以上が、この
法律案の趣旨でございます。
何とぞ、慎重に御審議の上、速やかに御可決くださいますようお願いいたします。(拍手、発言する者あり)