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大林政府参考人 委員が御
指摘になられるとおり、
事故を起こした者が飲酒運転を隠すために逃げるという
事例があることは私
どもも
承知しておりますし、また、被害者の方々からも、ひき逃げの罪というものをつくる、ルールといいますか、何らかの
方法で立法的な措置をすべきだというふうなお話も承っているところでございます。一つの問題は、その認識は私
どもも理解できるところでございますが、いろいろな考え方がある。
例えば、危険運転致死傷罪の中にそういうひき逃げをしたものの合わさったものもつくれとかいうお話もあります。あるいは、保護責任者遺棄致死罪というのがありますけれ
ども、それも踏まえて新しく
刑法につくれという問題。あるいは、
警察の所管になりますけれ
ども、道路交通法違反の救護義務違反の罰則の手当てをすべきじゃないかという問題もございます。
ただ、問題は、私
ども認識はしているんですが、もう
委員御
承知のとおり、危険運転致死傷は、例えばアルコールで正常な運転ができない、あるいは高速度でもう制御もできないような状態でやって、いわば、過失犯とはいっても、傷害なんかの故意犯に近い状態、
事故が必至の状態でやるというものについて重い処罰を設けております。
一方、いわゆるひき逃げといいますか、救護義務違反につきましては、
事故としては、過失としては非常に軽微なものである。ですから、普通の業務上過失致死傷で処理すべき事案である。
ただ、
事故を起こされた人が、やはり気が動転してその場を離れてしまうというケースもあります。ですから、そういうものについては、しかし、それもやはり、場合によっては、届け出ることによって、あるいは救護することによって、その人の生命あるいは傷害の程度が軽くなることもあるので、そのために行政罰則としてそのようなものを設けているわけでございまして、
先ほどの危険運転致死傷罪とはちょっと違うランク、要するに過失とまた別に、今言った、ひき逃げだけを評価しなきゃならないという問題のある、そこで評価しなきゃならない。
そうすると、今のような、確かに飲酒を免れるためというのはけしからぬことなんですが、その場を離れてしまうというのは、
先ほど申し上げたような、気が動転してというケースもあるということで、そのために、今、救護義務違反という罰則もありますし、他方、私
どもの所管している
刑法の問題につきましては、
刑法で、二百十八条で、「老年者、幼年者、身体障害者又は病者を保護する責任のある者がこれらの者を遺棄し、又はその生存に必要な保護をしなかったときは、三月以上五年以下の懲役に処する。」ということで、上限だけを見ますと五年ということになっているわけです。
ですから、この保護責任者遺棄というのは
本当に、例えば最近問題になっている、親が子供に食事を与えないとか、非常に内容的に問題のある事案もありまして、それとのバランスをどう考えるか。今の、救護しなきゃいかぬ人もいろいろなケース、要するに軽傷の場合もありますし、瀕死の重傷の場合もありますし、ケースケースで、やはりこれは
刑事政策的にどうすべきかという問題であろうかと思います。
ですから、私
どもも、
委員が御
指摘のことは十分認識しておりまして、やはり
刑事政策的にそれを上げる必要があるのかどうかという問題は、今のようないろいろな対応を考えた上でやらなきゃいけないかなと。当面は、
先ほど大臣も言われたように、
捜査において、そういう逃げ得を許さないような
捜査をして、現実に、そのときに逃げられても、なるべく危険運転致死傷罪で起訴できるものについてはやはり起訴するように持っていかなきゃならぬというところが重大ではないかということで、御
指摘は私
ども十分認識しておりますけれ
ども、そういう問題があるということを御理解願いたいと思います。