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岩國委員 私は、大変大切な、大事な点だと思うんですね。これから、
法律を
理解してもらおうというときに、国会の
法律は、一般的に言って我々でも
理解できない難しいものが多いわけです。また、
法律である以上、制約はあると思います。しかし、本当に、読んでもらって、
理解してもらって、アクションにそれはつながっていくということを考えたら、特にこの分野ではもっともっとわかりやすい
法律というのが必要ではないかと思います。
私は、出雲市長のときに、一般市民の人がわかりにくいとおっしゃったから、二人の中学校の国語の
先生に委託して全部書き直してもらいました。中学校の国語の
先生の国語能力で書き直してもらう。わかりやすい条例、規則にしなければ、市会
議員と役所の職員だけがわかるようなものをもてあそぶというのは、これは民主主義社会では許されないことだと素朴に私は思ったからです。
私自身も、小学校二年生から、父を亡くしたために母を助けてずっと
農業をやっておりました。小学校時代も中学校時代も高校時代も、麦踏みをし、そして芋の苗を植えて、あの
日本海の寒い寒い風を受けながら、私は母の背中をいつも見ながらずっと
農業をやってきました。私は、今でも母の背中が大好きです。母の背中を見ると、いつも
農業をしておったときの姿が浮かぶからです。
ロンドン、パリ、ニューヨーク、いろいろな国を回りました。どこの国へ行っても、私は、ドライブしながら、
農村地帯の風景、特に
農家の人が
農地で働いている、ちょうどミレーの「晩鐘」のような場面がありますけれ
ども、そういう働いている人たちの背中を見ながら、ああ一生懸命やっていらっしゃるな、そんなことを思ってきました。
五風十雨という
言葉、
大臣は
御存じだと思います。五日に一回風が吹いて、十日に一回雨が降る。これが、中国古来から
農村地帯における
一つの願いだったんですね。天地、自然の流れが、五日に一回風が吹いて、十日に一回雨が降る。その
言葉が、弱い
農家の人たちの天に対する願い。それがいろいろな家に、
農家のところには張ってあります。私はその
言葉が好きで、色紙を頼まれるとよく書いてまいりました。
また、
農家の人たちが、
日本の農政に対して、不信感というと失礼ですけれ
ども、非常に不安を持っておられる。心配。自分たちの
農業は本当に生き残るんだろうか。息子に
農業をさせてもいいんだろうか。市役所に勤めさせるか、
農業をやらせるか。出雲市で一番の
農業をやっておられた方が相談に来られました。息子は出雲市役所を受けたいと思うけれ
ども、後継ぎを本当はしてもらいたいけれ
ども、市役所へ勤めたいと言っている、市長さん、どう思われますか。私は本当は後継ぎをしなさいと言いたかったけれ
ども、その青年のために、あえて面接をし、私は採用することにしました。そのお父さんに聞きました。後継ぎはそれでどうするんですか。息子は定年になったら私の跡を継ぐと言っております、と。こういう例は、
全国各地に私はあると思います。
市議会で、
農業に関する答弁を、私は六年間一遍も部長にさせませんでした。市長みずから全部やってきました。
農家の人は、そんなことでも喜んでくれるんです。おわかりでしょうか。そういう代理答弁をさせて、道路とか、あるいはほかの問題は代理答弁もたくさんありました。しかし、
農業だけは、市長みずから、責任者が直接答弁してくれる、それだけがわずかな
島根の
農家の人たちの支えの
一つにもなっておったんです。
二年して、うれしいことがありました。私が、
農業の大切さ、そして、こういう
言葉を言っておりました。尊皇攘夷と私は学校で習ったことがありますが、(尊農上位というパネルを示す)この皇の字を私は農の字に変えておりますけれ
ども、私は、
農業を大切にし、それがこれからの社会を支えていくんだ、そういう話をしておりましたら、私のところへ訪ねてきた
農家の人が名刺を持ってきました。名刺の肩書は百姓と書いてあったんです。百姓という
言葉には若干差別的なにおいがあるので、注意して使わなければならないという方もいらっしゃいますけれ
ども、百姓という
言葉は、釈迦に説法ですけれ
ども、昔は立派な職業、あるいは一番立派な職業だったかもしれない。それを名刺に堂々と刷り込んで、そして、誇らかに
農業に取り組んでいらっしゃる。
私は、決して社会
教育をしたわけではありませんけれ
ども、やり方によっては、そういう弱い
地域の弱い
農家の人が自信を持って、
農業を誇りにしてくれる。私は、それは
一つの例として御紹介させていただきました。
さて、これからの
農家を支えていくのは、定年になったら
農家をやりますという人ばかりではなくて、若い人に入ってもらわなければならない。そのために、学校
教育の中で、どれだけ
農業教育あるいは食産
教育、食育
基本法等にありましたけれ
ども、食べ物を自分で生産する、自分の手と足で自分たちの食べるものをしっかりとつくるという体験を持たせる、そういう
農業実習、
農業教育にどの程度農水省としては力を入れておられるのか。あるいは、文科省と一緒に、どの程度こういった点を充実してこられたのか。
一つか
二つの実例があれば、教えていただきたいと思います。