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中川国務大臣 今、小平
委員の御
指摘、結論的に言うと、
交渉をやった後の記者会見でありますとか、マスコミのインタビューなんかでも、随分言ったことと違う報道、あるいは相手方に言おうとしたことがうまく伝わらないというか、相手が聞き違えたという例が、これは私に限らず時々あることでございます。結果的に、当
委員会を初め、また
農業関係者の皆様を初め、御迷惑をおかけしたとすれば、これはもうおわびをしなければいけない、これしか申し上げることはないわけであります。
そういう中で、まず、現在行われております
ラウンドは、私は去年の十月まで経済産業
大臣をやっておりまして、実は
交渉に当たって、守るべきところは守る、
攻めるところは
攻めながら譲るところも譲るというのは、実は経産
大臣時代からずっと言い続けていたところでございます。
経産省所管はどちらかというと
攻めの
部分が多いわけで、NAMAだとかそういったところが多いわけでありますが、経済産業省関連でもセンシティブな
分野がありますし、またNAMA
交渉の中には、林、水といった我々の重要な
分野も入っているわけでありますので、そういう中で私はそういうことを言い続けてきたわけであります。
基本的な
考えは現在も変わっておりません。
それを折に触れて申し上げた大きな理由の一つは、今、小平
委員が御
指摘になったように、今から二年ほど前ですか、新四極、あれは新五極ですかね、FIPs、ファイブ・インタレスティッド・パーティーズと言われる、
アメリカ、ブラジル、インド、オーストラリアそしてEUといった
国々が、非公式とはいいながら
農業について実質的にそこで決めてしまおうと。
実際におととしの七月のジュネーブの枠組み合意も、我々入っていなかっただけに、一週間の間は、最後の一日、二日までは、あのときはスパチャイ事務局長を含めて主要メンバーが
一体どこで何をやっているのか、もうほとんど蚊帳の外、漏れ伝わってくる程度であって、
途上国の多くの
国々も大変怒りましたし、
日本は、先ほ
ども申し上げましたように、経済においては
世界のメーンプレーヤーである、また
農業においても
世界最大の純
輸入国である、それを無視したまま決めるということはまことにけしからぬということを個々に随分強く申し上げたわけでございます。
この仕事を随分長くやっておりますので、当時のスパチャイさんにしてもUSTRのボブ・ゼーリックさんにしても、EUの当時のパスカル・ラミーさんあるいは
農業担当のフィシュラーさんを含めて、率直に話し合える間でございましたので、おかしいではないか、
日本を外して、あるいはまたG10を外して、あるいはアジアを外して決めるというのはおかしいではないかということを随分と言い、ただ言っているだけではなかなかそういうことが実際かないませんので、いろいろな
提案をし、また、アジアの
国々あるいは
途上国の
国々、あるいはアフリカの綿花で本当に困っているブルキナファソ、ベニン、マリ、チャドといった
国々とも積極的に話し合いをしながら、我々は、DDAの趣旨である
途上国、とりわけ
LDCに対しても積極的に貢献をしたい、あるいは、
農業についてもNAMA、
サービスについても、あるいは
ルールについても
貿易円滑化についても、
LDCの
立場を
基本的に
日本は支持するというようなこと等々をやりながら、去年の秋以降にFIPsプラス1という形で
日本が、経産
大臣、農水
大臣が参加をすることができたわけであります。
そこで、
日本として、これは
農業だけの
会議ではございませんし、これも非公式でありますけれ
ども、積極的な
提案もし、
香港でも、開発パッケージ、あるいはまた、
農業途上国が主張しておりますようなことについても積極的に
支援をしながら
交渉に臨んできているところでございます。
その過程において、いろいろな会合、また私自身も外国のプレスからいろいろインタビュー等を受けまして、それが、私自身の言葉が足りなかったりあるいはまた誤解されて報道されたりということが、私自身記事を見てびっくりしたこともございます。それが現在の
交渉の
状況でございます。
そして、おとといのパリにおきましては、長くなりますのでポイントだけ申し上げますが、参加国は、これはフランスの農林
大臣の招待でありましたけれ
ども、どちらかというと
農業の市場アクセスに非常に神経質になっている
国々でございまして、だからこそ、
農業の三
分野の
バランス、それからほかにもいろいろ大事な
分野があるでしょう、それから、
開発ラウンドですからアフリカの
国々等々に対しての十分な配慮が必要ですねというのが行ったときの確認事項であり、具体的には、
アメリカとかブラジルとか豪州とかいった
国々の主張が
バランスを欠いた形で流れをつくっていくということに我々は納得できないということで確認をし、そして、今後より
連携を強めていこうということを決めてきたというのが最大の成果であったというふうに
理解をしております。
他方、今回これから御審議をいただきますいわゆる新しい政策というのは、新しい
基本法に基づく
基本計画の見直し、そしてそれに基づく大綱、そして
法律の審議をこれからお願いするわけでございますけれ
ども、その中での、今小平
委員が御
指摘されたことは、
WTOの今度の
ラウンドが
一体いつ、どういう形でまとまるかわからない。よく我々の
世界で言われるのは、一番早くても、ことしの十二月に仮に合意がされたとしても、
国内手続があります。特に
アメリカの場合には、六月がいわゆる一括授権条項の期限が切れるということもございますし、他方、
アメリカ、ブラジル、メキシコといった
国々は選挙もあるわけでございまして、そういう
状況になりますと、どんなに早くても発効するのは二〇〇八年以降ではないかというのが
関係者の一致した意見でございます。
しかも、
内容はどうなるかわからないという中で、それを前提にして新政策を今から
考えるということは、これは技術的にいっても、また、
日本はそういうことを
考えているのかということを相手に、ある
意味では誤解も含めて情報を与えてしまうことにもなりますので、その辺は我々もきちっと
説明をしていかなければなりません。
ここで申し上げている、国際的な
ルール、
状況を配慮してというのは、現在の置かれている
WTOの中での
日本の
農業政策、例えば緑の政策、青の政策あるいはまた黄色の政策、あるいはまたデミニマスとか
国内支持の問題であるとか、それから、
日本は余り関係ありませんけれ
ども、
輸出競争の問題をどうするか、あるいは
国内支持についても、ヨーロッパがどのぐらい高くて
日本と
アメリカが二番目だというようなことが
香港で決まりましたけれ
ども、それはあくまでも先の話であります。現時点の
ルールにおいては、でも、我々としては、やはりヨーロッパ、
アメリカがやっているような直接支払いという緑の政策でやっていくことプラス
日本的な所得安定
対策というものが、
日本の
農業が、それでなくても国際競争力、さっき
輸出の話もしましたけれ
ども、外国も
日本で買ってもらえるような農産物を一生懸命つくろうとしております。場合によっては、
日本の育成者権を侵害してまで
日本のいい農産物を外国でつくって
日本に
輸出しようとしている。
あるいはまた、この前、これは報道でありますけれ
ども、
日本産の
牛肉かどうかわかりませんが、
アメリカの大統領が神戸ビーフはおいしいと言ってテレビの前で食べていたということ等もありますので、今の
状況においてもやはり国際的な競争、あるいはまた国際
ルールとの整合性というものが非常に重要であると同時に、やる気と能力のある
農業、農家というものを育成していくことがそもそもの
基本法の趣旨であるということでこの政策を推し進めているのでございまして、決して次期
WTO交渉の結果を予断した形でこの政策を、この
法律案を御審議いただき、成立をお願いしているわけではないということを御
理解いただきたいと思います。