○
枝野議員 民主党・無所属クラブの
枝野幸男でございます。
私
どもの
日本国憲法の
改正の
是非を問う等のための
国民投票は、決して
憲法改正のための
国民投票制度ではないということを強調して、その
法案提出者を代表して一言
発言をさせていただきます。
まず、この
法案の
審議が、こうやって
委員会での
審議がスタートできたことについて、
委員長を初めとする
皆さんのこの間の御努力に対して感謝を申し上げます。
その上で、先ほど来お話が出ておりますとおり、とにかくこの
制度は、
中立公正な
制度をつくらなければならないという共通認識は十分に今できているんではないというふうに思っています。
繰り返しになりますが、この
制度は、もし将来この
国民投票制度に基づいて
発議をされた場合に、
発議に
賛成の
立場、
反対の
立場、双方の者が納得できている
制度でなければ
日本の
立憲主義にとっての自殺行為である。つまり、それで
国民投票をやれば可決されるにしろ否決されるにしろ
国民の
意思が示されますが、その結果が出た後に、これは
制度がよくなかったから
国民の
意思が正確に反映されていないんだなどという形で
憲法の正統性について堂々と批判がまかり通るということになったのでは、まさに我々
立場の違いを超えて
立憲主義そのものの自殺行為になります。
したがって、
国民投票が行われて結果が出た場合には、それがみずからの考え方に沿った場合でも沿っていない場合でも、こういう公平公正な
制度でやったのだから仕方がないということでお互いが納得できる
制度にしなければならない。これは、私たちの歴史に対する責任であるということを強く強調してまいりたいと思っております。その上で、そういった
中立公正な
制度をつくるためには、それぞれ今自分が持っている
立場と
反対の
立場に立ってこの
法案の
議論を進めていただきたいというふうに思っております。
まず早期の
憲法改正を主張されている
皆さんにお願いをしたい。
憲法を変えるといっても、
皆さんが今変えようと思っている方向での
改正とは限らない、いろいろな
改正があり得るわけであります。
皆さんが
国会の三分の一以下の勢力となって、
皆さんとは逆方向の
憲法改正が
発議をされることも論理的にはあり得るわけです。例えば、私も
国会に議席を置かせていただいて十三年になりますが、十三年前の
日本の政治状況とこの十三年間の動きなどを考えたら、そういうことが絶対に起こらないと……。例えば志位さんが内閣総理大臣になって、共産党が
国会の三分の二の議席を占めて
憲法改正を
発議するということはあり得ないことではない。そのときに、この
制度であるならば公正公平に
国民の
意思が反映されるであろう、そういう
制度をつくるということを意識をしていただきたいんです。
皆さんの案が
発議されて
国民投票にかかるということではなくて、例えば共産党が提案した
発議案が、そしてなおかつそのとき
皆さんは警察などの権力を持っていない、そのときでもこういう
制度であるならば安心だという
制度をつくる責任がある、このことをぜひ考えていただきたい。また、まさに
憲法の
議論をするというのは、そういった場合のことを考えた謙虚な姿勢で物事を組み立てていくということが
憲法に対する姿勢であるというふうに思っておりますので、これは絶対条件だと思っていますので、ぜひともそのことを前提に今後の
議論をお願いしたいと思っております。
一方で、当面の
憲法改正には
反対であるということを主張されている
皆さんにお願いをしたい。
本当に
国民の多くの
皆さんが例えば今
自民党などが提起をしている方向での
憲法改正を望んでいないんだとすれば、まさに
国民投票で否決するのが一番わかりやすくていいじゃないですか。そうすれば、それがもし
国民が望んでいないことであるならば、そのことに不毛なエネルギーを使わなくて済むようになるわけですから。何といっても、それがどちらにとっても一番いいわけですよ。
ただ、もちろん、確かに指摘をされるとおり、
国民投票制度のあり方や、あるいは言論、表現の自由についてのあり方によっては
国民の
意思が正確に
投票結果に反映されない可能性はある。だからこそ、そうならないように、入り口論ももちろん主張されるのは自由でありますけれ
ども、
国民の
意思が正確に反映される
制度というのはどういうことなのかということについて、
皆さんの
立場から見て、こういうところに心配がある、こういうところで
民意がゆがんで結果に結びつく可能性があるということについて、具体的な問題点をどんどんどんどん出してきていただいて、それを一個一個今申し上げた姿勢に基づいてみんなで
議論をしていくことが必要であるということをぜひお願いさせていただきたい。
これを言うと、それを言っちゃおしまいよと言われそうですけれ
ども、今、少なくとも衆参両院のそれぞれについて三分の二を超える
議員の政党が
国民投票制度をつくるということについては
賛成をしています。したがって、多数決
民主主義の原理からいえば、それが将来の
憲法改正発議に向けても三分の二以上での
合意が必要だということを考えたとしても、つくろうと思えば必ずつくれるという
制度に今なっているわけですから、今、私たちはそうした真摯な姿勢で、
皆さんが
民意がゆがめられるのではないかという心配をされていることについて謙虚に受けとめたいと私は思っておりますので、ぜひそういった具体的な
中身についての
議論をお願いしたいというふうに申し上げておきたいと思います。
さて、今後進めていく
議論の
中身でありますが、きょうもいろいろな御指摘をいただきました。
念のため申し上げますが、私は、私
ども自身が
法案を出しておいて何だという指摘もあるかもしれませんが、今出している
民主党案が完璧なものであるとは思っていません。何しろこの国で今まで
経験したことのない初めての
制度をつくるわけですから、それなりに、今
保岡先生からも御指摘があったとおり、この場においても、あるいは
理事会などにおいても、あるいは党内においても、相当な
議論をしてきたつもりではありますけれ
ども、
経験をしていないことですから、私たちが気づいていない問題点、
論点がまだまだ多々あろうと思っています。現に、先日の本
会議での
質疑あるいはきょうの御
発言を聞かせていただいても、ああ、ここはそうかもしれないな、ここはちょっと考え直さなきゃいけないなということを幾つも感じております。ですから、これは完成品を出したものではないということをまず最初に申し上げておきたいと思っております。
その上で、実は、残された問題は非常に技術的であるというふうに思っています。ただ、技術的であるけれ
ども、そこがまさに本質につながっていく技術的な問題であるということであります。
技術的な問題で、なおかつ、今までやったことがない
制度であるということを考えますと、この場において、もちろん
委員相互で活発な
議論、やりとりをするということも重要であります、あるいは参考人に来ていただいて参考人の御
意見を伺うということも重要でありますが、例えば、これは特に
理事の
皆さんは御承知のとおりですが、先日、弁護士会に各党
理事が呼ばれまして、そこで
国民投票制度についてシンポジウムがありまして、弁護士の
皆さんからいろいろな具体的な問題提起がなされまして、私もそこで初めて、ああ、こういう
論点があるんだななんということについて気がつきました。あるいは、前回のこの
委員会で、CM規制のあり方について天野さんに来ていただいて
意見を聞いて、私は、ヨーロッパなどの例を見て、一週間前の規制だけやれば十分かなと思っておりましたら、むしろ、ちょっと視点が違うんじゃないかという新しい視点をいただきました。我々自身が気がついていない視点を、それぞれの専門知識を持った
皆さんが持っていらっしゃる。
今後の
議論のあり方として、
法律をつくる
法案審議の
一般的な場合と
国民投票法制について
合意形成していくというプロセスは違いますから、必ずしも
国会の従来の前例に何でも従わなければならないとは限らない。例えば一定の見識、知見をお持ちの方に、ここはどういうことになるんだ、ここはこうじゃないかと、我々に対する質問をしていただきたいと思っております。もちろん、
委員の
皆さんもそれぞれに御専門の知識を持って専門的な
立場から今後私
どもに質問をしていただくんだと思いますが、例えば弁護士会とか先日の天野さんのような
立場の方とか、さまざまな
方々にここに来ていただいて、
意見を言っていただくだけではなくて疑問点を問いかけていただくとか、いろいろなことが今後必要ではないか。そういうことによって、我々の気づいていない
論点、問題点というものを見落としなく
制度をつくっていくということをやっていかなければならないというふうに思っています。
最後に、まさにこの
制度は、
国民主権を直接行使をされる
国民にとって、ある
意味では直接生活には結びつかないけれ
ども国民と直接結びついた
制度であります。にもかかわらず、例えば
憲法改正の
手続について、少なくとも半年、一年前の世論調査などを見ますと、
国民投票が必要であるということを知っていらっしゃる方が多いケースでも二割程度しかいないという現実があります。
私たちのここでの
議論そのものが、
国民の
皆さんに
手続の流れそのものを知っていただくための、周知のための大変重要な機会であるということ。そして、そこでつくられた
制度が、最初に申し上げましたとおり、
中立公正であるという
国民的な
合意をつくらなければならない。つくった本人が
中立公正であると思っているだけではだめで、
国民的に、こういう開かれた
議論で、こうつくってきたんだから
中立公正だよねという
合意をこの場でつくっていかなければならないと思っています。
ですから、これまで、
理事会、
理事懇談会での
論点整理を初めとして、さまざまな場でさまざまな努力を重ねてきましたが、今後、まさにこの
委員会の場、インターネットなどを通じて今も生で見ていらっしゃる方がいらっしゃると思いますし、
メディアな
ども、あるいは傍聴人の方も直接見ていただいているこの場において、どこをどう変えたらどうよくなるとか、ここはちょっと変えなきゃならないとかという、いわゆる修正協議をこの平場の中で実はつくっていくというような努力と知恵がないといけない。今、そのためにぜひ
委員長を初めとして、
委員各位の
皆さんの御尽力、御協力をお願いして、私の
発言を終わらせていただきたいと思います。
ありがとうございました。