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枝野委員 判決、つまり、差しとめ
請求が起こされ、差しとめ判決がなされました。その差しとめられている範囲がどこであるのかということについて明確でなければ、
事業者は確かに困ると思います。
ところが、
法律行為のときには、
事業者は、将来差しとめされるかどうかということが最大の関心事なんでしょうか。違うと思います。将来差しとめられるかどうかということの以前に、自分のやっている商売が
消費者契約法に違反する、こういうことをやってはいけないよね、そこをまず予測するわけです。
さらにいえば、
消費者契約法には違反しないけれども、これは民法の詐欺に当たる、
裁判を起こされたら詐欺で取り消されるかもしれないということをまずは考える。そのことについて予測
可能性がどれぐらいあるかということが問われるんだと思うんです。それで、差しとめ
請求の訴訟の
対象になるかどうかなんということは、ある
意味、
事業者にとっても、
法律行為の時点ではどうでもいいことなんじゃないでしょうか。
つまり、差しとめ
請求の
対象にはならないけれども、民法上の詐欺で取り消されるということになったら、
事業者としては、困るのは一緒というか、もっと大きいんですよね。だって、個別の
取引は、
団体訴訟を使わなくても、民法上の詐欺に当たる以上は、
被害者は訴訟を起こして、詐欺取り消しで不当利得返還
請求なのか
損害賠償請求なのか、いずれにしても
被害者に対して
被害を弁償しなきゃならない。それは、民法上の詐欺に当たれば
事業者はそういう義務を受けるわけですよ。
そのことこそが
事業者側にとってはあらかじめ一番予見をしておきたいことなんであって、
損害賠償請求訴訟で負けるというような
ケースであれば、
団体によって
団体訴権で差しとめをしてもらった方がむしろいいぐらいであって、差しとめてくれれば、そこから先、詐欺で予見
可能性が
消費者契約法四条に
規定する事項よりも類型化されていないから、
事業者にとっても確かに予見
可能性は低い。
予見
可能性が低いんだけれども、どうも、グレーゾーン、危なそうだと言っている
事業者にとっては、危なそうだとたくさん続けていって、たくさんたまってから
損害賠償請求で、それは
団体訴権じゃなくても、
個々の
被害者だって
損害賠償請求できるわけですから、
損害賠償請求訴訟を起こされてまとめて負けるよりも、途中で、これはグレーゾーンだけれども、やってはいけない、差しとめをしなきゃならないような行為なのかどうかと
裁判所に御判断いただいた方が予見
可能性が高まるじゃないですか。だから、むしろこれは
事業者にとっても、詐欺まで入れておいた方が予見
可能性という
意味では高めるんです、少なくとも途中において。
将来の詐欺に当たって
損害賠償請求を受けるのか受けないのかというようなことについて、少なくとも、商売を大々的にやって、おい、これは危ないんじゃないか、怪しいんじゃないかという声が上がったとき、最終的には
裁判所があらかじめ判断をしてくれる、こんな予見
可能性という観点から確実な予見はないわけでありまして、むしろ予見
可能性という
事業者の見地からも、詐欺まで広げた方がいいというふうに思うんですけれども、どなたでも結構ですが、どうでしょう。