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吉田参考人 ただいま御
紹介にあずかりました
福島放送の
吉田幹則でございます。
先ほど
委員長からリラックスするようにという優しい
言葉をかけていただいたんですけれ
ども、体は割合大きいんですが気が小さくて、非常に緊張しておりますので、よろしくお願いいたします。
本日は、私
どもローカルテレビ局の置かれている
立場ですとかあるいは
現状などについて、
先生方に御説明させていただく機会を設けていただきまして、まことにありがとうございます。非常に感謝しております。
早速、
レジュメに沿いまして、総括的なことを簡単に御説明したいと思います。ただ、内容といたしましては、
一般論はなるべく避けて、私
ども福島放送の
実情、こういうことを
お話しすることで、
ローカルテレビ局の実像というものの御理解に役立てていただければなというのが私の願いでございます。
最初の
ページにございますように、私
ども福島放送は、本社が
郡山市にございまして、一九八一年二月に設立されました。
開局はその八カ月後の十月でございまして、ことし十月に
開局二十五周年を迎えることになります。
二〇〇六年三月期の決算では、
売り上げが五十二億円、
経常利益が、そこにありますように七億七千万、約八億となっております。
常雇いの
従業員は百一人おりまして、ただ、この数字には、正
社員のほかに、
契約社員ですとかあるいは
嘱託社員といった
人たちも含めております。このほか、
技術関係ですとか
ビルメンテナンス関係で
業務委託をやっておりまして、ここからやはり六十人か七十人の
方々が
当社に来て働いております。
資本金は十二億円強と、結構でかいのですが、業容から見ますと、典型的な地方の
中小企業と言っていいんではないかというふうに思っております。
二
ページ目でございますけれ
ども、現在、私
どもの最大の
課題は、
先生方御案内のとおり、
放送の
デジタル化でございます。おかげさまで、つい先日、六月一日に
無事デジタル放送を開始することができました。しかし、これは単なる一
通過点でございまして、これからさらに多くの
課題が待っておるというところでございます。
当社の場合、
デジタル化のための
設備投資は、ここにありますように、約五十億円と見積もっております。大体一年間の総
売り上げに匹敵する額でございます。これは、最小限といいますか、これだけは必要というものを見積もったものでございまして、これからまたいろいろなものが出てくる
可能性がございます。したがって、さらに膨らむんじゃないかというふうに思っております。
それはともかくといたしまして、これまで
設備投資が終わったのがおおよそ二十億円です。これから二〇一〇年度までの五年間で約三十億円を投資しなければならないというのが私
どもの
実情です。
設備投資以外にも、
アナログと
デジタルの両方を
放送するいわゆる
サイマル期間というのがございますけれ
ども、この間、
業務委託、
人件費、それから
回線費ですとか
電気代とか、いろいろなものがかさみまして、こうした
ランニングコストで一億円近くのものが毎年膨らむ、こういう見込みになっております。したがいまして、私
どものような
中小企業にとりましては、
経営努力をかなり超える、こういうのが実感でございます。
と申しましても、
デジタル化は国策でございますし、
国民の皆様の大切な
電波を使わせていただいているという
責任がございますので、何とか円滑に乗り切りたいということで、工夫を重ねているところでございます。
例えば、
役員報酬は、数年以上、
地位に応じて一〇%から三%のカットを続けております。それから
社員の給与も当然、当然と言うと
社員が怒ると思うんですけれ
ども、もう何年もベアなしで来ております。それから
ビル警備ですけれ
ども、これも裏口を常時施錠するという
措置をとりまして
要員を減らしていただくとか、あるいは
ビル清掃も、以前は毎日全フロアというのをお願いしていたんですけれ
ども、週に三回という格好で減らす。そのかわりきれいにしようねというようなことをやりまして、減らしております。あるいは、
制作部門とか
放送準備、こういった作業をする
部門があるんですが、こういうところを委託している
会社に対しても、
要員をなるべく抑制してほしいということで、協力をお願いしております。
それから、非常にエピソード的な
お話をいたしますと、
交際費などにつきましても、
社員が大変いろいろ涙ぐましい
努力をしてくれております。みみっちい
お話を
一つ申し上げますと、先日、
地元のある
広告会社の
社長さんと雑談しておりましたら、君のところの若い者はなかなかのもんだぞ、この前、おれを庶民的な店で、サンマで接待してくれたぞ、こうおっしゃるんですね。おれは、どうだすごいだろうというふうな
高級料亭で接待してもらうよりも、君のところのような気持ちがうれしいよ、こう言ってくれまして、恐らくうちの
社員たちが、余り使えないというか、わずかしかない
交際費で、どうすれば相手に喜んでもらえるだろうかといろいろ知恵を絞ってくれているんだろうということで、少々せつないんですが、うれしい思いをしました。
こういったいろいろな経費の効率的な活用といいますか、そういったことをやる中で、私
ども、
デジタル化に取り組んでおるわけです。ただ、そう申しましても、
ローカル局の
使命を全うしなきゃならないということで、いろいろな活動を展開しております。
レジュメの三
ページ、四
ページ目、ここにございますように、私
どもローカル局の
使命、役割といいますのは、
地域に根差して、
地域とともにあって、そして
地域の発展に寄与するというところにございます。
具体的には五
ページにございますけれ
ども、私
どもでは、毎週月曜日から金曜日まで、午後六時から約二時間、
ニュース、
生活情報番組を流しておりますけれ
ども、この中に約一時間
ローカル枠を設けまして、
視聴者に身近な
ニュースですとか
生活情報を提供しております。それから、毎日、数分間ではございますけれ
ども、お昼にローカル
ニュースの枠を設けたり、あるいは週に一回、
福島市とか
郡山市の
市政トピックス、これは
手話つきでございますけれ
ども、こういうものを
放送したりというふうなことをやっております。
それから、
地域からの
発信ということでございますけれ
ども、
当社の場合、月に大体七、八本の
全国ニュース、
全国に向けて
発信しております。このうちの約半数は
福島放送が
キー局に売り込みをしたものでございます。つまり、黙っていれば目立たないで埋もれてしまう、そういった
ニュースを、こうこうこういう
事情があり、こういうバリューがあるから、
全国ニュースとして流す価値があるんだというふうなことを
キー局にアピールいたしまして、それで採用されるものであるということでございます。
地域の
事情に精通した我々
ローカル局でなければできない、そういう仕事だろうというふうに思っております。
それから、もちろん、
先生方御承知のように、総
選挙から地方自治体の
選挙まで、大事な
選挙は丁寧に報道していくという姿勢をとっております。
それから、近年、幸いにして
福島県はそういうことがなくていいんですけれ
ども、大きな災害ですとか事故、こういったものがあった場合には、何をおいても、
地域の
方々に必要な
情報をきめ細かく迅速に提供するという体制を整えております。
さらにことしは、
開局二十五周年ということで、そこにありますように、
記念番組四本の
自主制作を予定しておりますけれ
ども、いずれも、
福島県の豊かな自然ですとか風土、
食文化、こういったものを取り上げて、その真髄に迫ろうというものでございまして、
地元局ならではの
番組づくりであろう、あるいはそういうものにしたいというふうに考えております。このうち三本、
デジタル開局後に
放送する予定のものにつきましては、
ハイビジョン制作を予定しております。
デジタル開局記念番組というのもつくるんですけれ
ども、これを合わせますと四本は、
地元密着で、
ハイビジョンで、ふるさとのよさの再発見をしていただきたいというふうな
番組を考えております。
それから、六、七
ページでございますけれ
ども、
イベント類も数多く手がけております。
極めて泥臭い
事業、これは七
ページに書きましたけれ
ども、毎年五月の連休中に三日間から四日間開催しておりますマンモス・
フリーマーケットというのがございます。何だ、
フリーマーケットか、こういうふうに思われる
先生方もいらっしゃると思うんですが、そこに書きましたように、ことしは四日間で十万人近い人に来ていただきました。結構人気がございまして、完全に定着した
イベントだろう。特に、人口が三十万余りの
郡山市にありまして、これだけの
方々に来ていただけるということは、
地域に根づいた
一大イベントというふうなことで胸を張っていいんじゃないかなと思っております。それから、益金の一部は、やはり
社会福祉に役立てていただきたいということで
郡山市の方に寄附しております。これも
地元テレビ局としての
地域貢献の
一つであろうというふうに考えて、続けております。
それから、私、
社員たちに常々、
デジタルと
ブロードバンドの
時代というのは何が起きてもおかしくない
時代である、しかし、それは逆に言えば、難しいけれ
ども非常に挑戦のしがいのある
時代だよというふうに言っておるんですけれ
ども、最近、若手を中心に、積極的に勉強して、新たな試みを考えようという動きが具体化してまいりました。
デジタル化一筋に走ってきたんですけれ
ども、ここに来てようやくその先を考えようかということを若い
人たちも考えてくれるようになったということでございます。
福島県にフィットしたいいアイデアを出してくれるんじゃないかというふうに期待しているところでございます。
こういうわけで、私
ども福島放送では、役員、
社員一体になって、いろいろな
努力、工夫を重ねることで、
地域の
テレビ局としての
使命を果たしながら、何とか
デジタル化を乗り切り、新たな展望を切り開きたいというふうに懸命に頑張っているところでございます。
ただ、いろいろな
努力をしてもなお手に余るところが出てくる
可能性がございます。
先生方御案内のいわゆる条件不利
地域というところでございます。
私
ども、
民間企業でございますので、中継局を含めて、自力で
デジタル化を完遂したいというふうに思っております。それが本筋だと思っております。ただ、各
放送局が数十年、私
どもにしましても二十年余りかけて築き上げてきた中継網、こういったものを五、六年でやれというのは、やはり物理的あるいは経営的に無理が出てくるところがございます。そういう
地域につきましては、これからさらに詳しく調査を進めまして、必要なところでは、国や地方公共団体、こういったところの関係する皆様のお知恵あるいは御協力をいただきたいな、そういうことで
視聴者の皆様の御要望にこたえていきたいというふうに考えております。
簡単ですけれ
ども、
福島放送の
現状を実例にいたしまして、
ローカルテレビ局が、
地域に根差して
地域とともに生きていこう、こういう大きな志を大切にしながら、
デジタル化という大
事業に取り組んでいるということを御説明いたしました。
ローカル局に対する
先生方の御理解、御指導、御支援を切にお願いいたしまして、私のごあいさつとさせていただきたいと思います。
ありがとうございました。(拍手)