○谷口(隆)
委員 公明党の谷口隆義でございます。おはようございます。
竹中大臣とは大変親しくさせていただいておるわけでありますけれども、
大臣が金融担当
大臣のときには財金
委員会、また郵政民営化のときにはその
委員会にも入れていただいて、また今回、
総務大臣のときに
総務委員会ということでございます。別に追いかけておるわけじゃありませんけれども、大変縁が深いなというように思っておるわけでございます。
大臣所信に対してまずお伺いをいたしたいと思いますが、初めに、
地方分権についてお伺いをいたしたいと思います。
地方分権を過去に一度さかのぼって
お話をお伺いいたしたいと思いますが、
竹中大臣は大変学者で博識でございますので、いろいろな本を読んでいらっしゃると思いますが、「一九四〇年体制」という野口悠紀雄先生の本があるんです。これを私、時々また読み返して、大変おもしろい本ですから、やっておるわけであります。
一九四〇年体制というのは、一九三八年に
国家総動員法が制定されるわけでありまして、いわば戦争準備態勢の中央集権
国家をつくるということで、法制また
制度を構築していくわけでございます。
その当時つくられた
制度、法律で申し上げますと、例えば、直接税を主体とするような税体系の
制度であるとか、また源泉徴収
制度であるとか、金融におきましても間接金融を主体とした金融
制度だとか、また、今もう改正をされておりますけれども、旧
日本銀行法だとか、また旧借地借家法だとか、いろいろな法律、
制度がそのときにつくられたわけであります。それが終戦後も
我が国の
制度の中に深く入っておって、見方で言いますと、高度経済成長はいわばそういう
制度があったのでできたというようなことさえ言われておるわけでございます。
しかし一方で、非常に根深く入っておりますので、いわば構造改革をするといったような、今の世界の流れに合わせていくというようなことだとか、例えば、財政が今、安定成長でございますから、逼迫した
状況の中で、変えていかなきゃいかぬといったときに、これが非常にまた根深く入っているということで、システマチックに入っているということで、なかなか難しいというような
状況があるということなんだろうと思うわけでありますけれども、国と
地方との
関係におきましてもそのようなことが言えるんだろうとも思うわけでございます。
ちょっと引用して申し上げますと、一九四〇年の税制改革案の焦点は、
地方税制調整交付金
制度が焦点であったわけであります。この
制度によって国税を
地方に交付し、
地方団体間の財政力の調整と財源の保障を図るということになった。いわば現在の
地方財政の基本的な仕組みがつくられたわけでございます。補助金また交付金などによって
地方財政が中央に依存するというような体制になった。
すなわち、申し上げますと、所得
課税を国に集中させて、所得税、法人税を基幹税とする国税の体系をつくる。これを財源として、特定補助金を
地方に支出し、それによって中央
政府の決定した仕事を
地方に執行させる。さらに、
地方債によって補助事業の執行を支える。その際、
地方債は起債計画に基づいて認可することにした、これが戦後の起債統制につながるというようなことでございます。
地方譲与税、
地方交付税交付金、国庫支出金という、いわば中央
政府から
地方へのトランスファー、これが一九三八年までは
地方財政総収入の一〇%程度しかなかったわけであります。これが四〇年の税制改正によりまして急激に増加をいたしまして、二割程度になったわけでございます。このような
地方財政の中央依存体質は戦後さらに強化されまして、一九五〇年代以降も四〇%程度の水準となっている。こういうような過去の経緯をたどって今に至っておるわけでございます。
先ほど
大臣の御
答弁を聞いておりましても、国と
地方との
関係、非常に入り組んで、密接に
関係しておって、なかなかそこに切り込んでいくということについては大変だったというような
お話があったわけであります。
昨年、三年間にわたる三位一体の成果といたしまして、四兆七千億の補助金の削減が行われ、交付税の約五兆一千億の削減が行われ、三兆円の税源移譲が行われたわけでありますけれども、実は私も与党内でこれにかかわっておりまして、これは大変な
状況でありました。国も
地方も大変な
状況の中で、今回の、昨年の三位一体が行われたわけでありますけれども、今回の
地方分権はいわば一歩踏み出したというところではないかとも思うわけでありますけれども、今後より一層の
地方分権を進めていかなければなりません。
しかし、冒頭私が申し上げましたような大変複雑な仕組みの中で、
我が国の
制度の中に非常に複雑に、システマチックに入り込んでいるこの国と
地方との
関係を想定し、念頭に入れて、今後の
地方分権をどういう観点で進めていくべきなのか。今、私的懇談会もつくられてやっていらっしゃるわけでありますけれども、
大臣の御見解をお伺いいたしたいと思います。