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2006-05-12 第164回国会 衆議院 財務金融委員会 第17号
公式Web版
会議録情報
0
平成十八年五月十二日(金曜日) 午前九時二分
開議
出席委員
委員長
小野
晋也君
理事
江崎洋一郎
君
理事
七条 明君
理事
宮下
一郎
君
理事
山本 明彦君
理事
渡辺 喜美君
理事
小沢
鋭仁君
理事
古本伸一郎
君
理事
石井 啓一君 井澤 京子君 伊藤 達也君 石原
宏高
君
上野賢一郎
君
小川
友一君
越智
隆雄
君
大野
功統
君
大前
繁雄
君 河井 克行君 木原 稔君
佐藤ゆかり
君
鈴木
俊一君 関 芳弘君 とか
しきなおみ
君
土井
真樹
君 中根 一幸君
西田
猛君 萩山
教嚴君
広津 素子君
藤野真紀子
君 松本 洋平君
小川
淳也君
田村
謙治
君 津村
啓介
君 長安 豊君
平岡
秀夫
君
福田
昭夫
君
松木
謙公
君
三谷
光男
君
吉田
泉君
鷲尾英一郎
君 谷口 隆義君
佐々木憲昭
君
野呂田芳成君
中村喜四郎
君 …………………………………
議員
田村
謙治
君
議員
古本伸一郎
君
議員
三谷
光男
君
議員
吉田
泉君 国務大臣 (
金融担当
) 与謝野 馨君
内閣
府
大臣政務官
後藤田正純
君
財務大臣政務官
西田
猛君
政府参考人
(
金融庁総務企画局長
)
三國谷勝範
君
政府参考人
(
金融庁総務企画局総括審議官
) 中江 公人君
政府参考人
(
金融庁証券取引等監視委員会事務局長
) 長尾 和彦君
政府参考人
(
経済産業省商務情報政策局消費経済部長
) 谷 みどり君
参考人
(
日本公認会計士協会会長
)
藤沼
亜起
君
参考人
(
桐蔭横浜大学法科大学院教授
)
郷原
信郎
君
財務金融委員会専門員
鈴木健次郎
君
—————————————
委員
の異動 五月十二日
辞任
補欠選任
越智
隆雄
君
上野賢一郎
君
大野
功統
君
大前
繁雄
君
鈴木
克昌
君
松木
謙公
君
平岡
秀夫
君 津村
啓介
君
三谷
光男
君
福田
昭夫
君 同日
辞任
補欠選任
上野賢一郎
君
越智
隆雄
君
大前
繁雄
君
大野
功統
君 津村
啓介
君
平岡
秀夫
君
福田
昭夫
君
三谷
光男
君
松木
謙公
君
鈴木
克昌
君
—————————————
本日の
会議
に付した案件
政府参考人出頭要求
に関する件
証券取引法等
の一部を
改正
する
法律案
(
内閣提出
第八一号)
証券取引法等
の一部を
改正
する
法律
の
施行
に伴う
関係法律
の
整備等
に関する
法律案
(
内閣提出
第八二号)
証券取引委員会設置法案
(
古本伸一郎
君外六名
提出
、
衆法
第四号) ————◇—————
小野晋也
1
○
小野委員長
これより
会議
を開きます。
内閣提出
、
証券取引法等
の一部を
改正
する
法律案
、
証券取引法等
の一部を
改正
する
法律
の
施行
に伴う
関係法律
の
整備等
に関する
法律案
及び
古本伸一郎
君外六名
提出
、
証券取引委員会設置法案
並びに
小沢
鋭仁君外二名
提出
、
証券取引法等
の一部を
改正
する
法律案
及び
証券取引法等
の一部を
改正
する
法律
の
施行
に伴う
関係法律
の
整備等
に関する
法律案
に対する両
修正案
を議題といたします。 本日は、各案及び両
修正案審査
のため、
参考人
として、
日本公認会計士協会会長藤沼亜起
君、
桐蔭横浜大学法科大学院教授郷原信郎
君、以上二名の
方々
に御
出席
をいただいております。 この際、
参考人各位
に一言ごあいさつを申し上げたいと存じます。 本日は、
大変お忙しい
中を、当
委員会
で現在、
証券取引法等
の一部を
改正
する
法律案等
の
審議
を進めているわけでございますけれども、この
審議
に資する
意味
で、御
出席
をいただきまして、
参考人
としての御
発言
をいただくこととなりました。どうか御忌憚のない御
意見
を御披瀝いただきますように、心からお願いを申し上げます。 次に、議事の順序について申し上げます。 まず、
参考人各位
からお一人十分以内で御
意見
をお述べいただき、その後、
委員
からの
質疑
にお答えいただきたいと存じます。 なお、念のため申し上げますが、御
発言
の際にはその都度
委員長
の許可を得て御
発言
くださるようお願いいたします。また、
参考人
は
委員
に対し
質疑
をすることができないことになっておりますので、あらかじめ御了承願います。 それでは、まず
藤沼参考人
にお願いいたします。
藤沼亜起
2
○
藤沼参考人
おはようございます。
藤沼
でございます。よろしくお願いいたします。 まず、カネボウ、
ライブドア等
、
公認会計士
が絡んだ
会計不祥事
の発生は、まことに残念であり、大変に遺憾に思っております。
日本公認会計士協会
は、
公認会計士
の
社会的使命
を自覚し、
公認会計士監査
の
信頼性
の回復のため、
自主規制
を一層
強化
し、
会員
と一団となって
監査
の
品質確保
に
全力
で取り組んでいるところであります。国民の
期待
にこたえるよう最善の
努力
を行う決意であります。
金融商品取引法案
につきましては、
ディスクロージャー
の
強化
のため数々の
制度
が
導入
されております。
協会
は、次の五点において高く
評価
しており、ぜひ今
国会
での成立をお願いする次第であります。 第一に、
財務報告
に係る
内部統制
について、
経営者
の
評価
と
当該評価
に対する
監査人
の
監査
という、いわゆる
内部統制報告書制度
の
導入
が織り込まれていることであります。
協会
は、
財務諸表
の
適正性
は、第一義的には、
財務諸表
の
作成者
である
経営者
がその
職責
を全うすること、次に、
当該財務諸表
の
適正性
を第三者の立場で
監査
し担保する
監査人
がその
職責
を遂行することにより
確保
されるものと御説明してまいりました。 この
制度
は、
財務諸表
の
作成者
である
企業
が、
財務報告
に係る
内部統制
を
整備
し円滑に機能させることで
財務諸表
の質を
確保
するものであり、
当該制度
の
導入
により
財務諸表
の
信頼性
が向上するものと
期待
しております。 第二に、
有価証券報告書等
の
適正開示
に関する
経営者確認書
の
導入
であります。 これは、
経営者
が、
有価証券報告書
の
記載内容
の
適正性
についてみずから確認し、署名してその
責任
を
投資家
に明らかにするものであります。
経営者
が確認することとなると、
作成段階
において
担当者
間での
緊張感
と
責任感
が高まり、
不実記載
の防止には
相当
に寄与するものと
期待
しております。 なお、
経営者
が
確認書
に署名できるのは、
財務報告
に係る
内部統制
が
整備
され、それが有効に機能していることが
前提
であります。その
意味
で、
経営者確認書
と
内部統制報告書
は表裏
一体
の
関係
にあると考えております。 第三に、
会社情報
をタイムリーに
投資家等
に提供する
四半期報告書
の
導入
であります。
企業
を取り巻く
経営環境
は激しく変化しており、
ビジネスリスク
が高まっております。
投資者
からはタイムリーな
情報開示
が求められております。
四半期財務諸表
には、
公認会計士
はレビューにより
検証業務
を行うことになります。
四半期報告書制度
の
導入
は迅速かつ適正な
会計処理
が求められますので、
会社
の
財務報告
に係る
内部統制
が
整備
され、かつ、それが有効に機能していることが
前提
であります。その
意味
では、
内部統制報告書
と
一体
となって
四半期報告書
の
制度化
が図られることを
協会
は要望してきたところであります。 第四に、
虚偽記載
を行った場合の
経営者等
の
実行行為者
及び
当該企業
に対する
刑事罰
、さらに
幇助罪
として
監査人
の
刑事罰
が
強化
されたことです。
有価証券報告書等
の
虚偽記載
は、
自己責任
において
証券市場
に参加している
一般投資家
の
期待
を裏切ることになりますので、
個人金融資産
の貯蓄から
投資
への移動を促進するためには、
刑事罰
が
強化
されたことは当然のことと理解しております。 以上、
内部統制報告書
と
経営者確認書
、
刑事罰
の
強化
の三者が
一体
となって、
ディスクロージャー
の
信頼性
は
相当
に向上するものと考えております。 第五として、
集団投資スキーム
であるファンドを幅広く新法の
規制
の中に取り込み、
投資者
の保護が図られたことも必要な措置であると考えております。
ライブドア
の
会計不祥事
を踏まえ、
協会
は、
投資事業組合等
に対する
監査
の深度を高め、
投資者
の
期待
にこたえるよう、去る四月六日に
会長声明
を公表し、
会員
に注意を喚起したところであります。
投資事業組合
の問題は、
連結範囲
の
実務指針等
の
整備
が十分でなかったという
課題
もありましたので、現在、
投資事業組合等
の
連結
の
範囲
に係る
実務指針等
の
作成作業
が
企業会計基準委員会
で行われております。
協会
も
投資事業組合
に対する
監査
の
実務指針
を作成する
作業
に着手しております。
最後
に、
協会
は、
財務諸表
の
適正性
の
確保
には、従来から、
経営者
、コーポレートガバナンスに
責任
を持つ取締役や
監査役
、
外部監査人
、
監督官庁
、
証券取引所
など、
関係者
についての包括的な
制度
の
整備
をお願いしたところであります。本
法案
には
協会
の要望が
相当
に取り入れられており、十分な
審議
の上、今
国会
で成立することを再度お願い申し上げます。 本
法案
では、
財務諸表作成者
である
経営者
の
責任
が
強化
されますので、
監査人
もそれに甘んじることなく、
会計監査
のプロフェッションとして
自主規制
を一層
強化
し、
公認会計士監査
の
信頼性確保
に
全力
で取り組む所存でございます。 以上でございます。ありがとうございました。(
拍手
)
小野晋也
3
○
小野委員長
藤沼参考人
、ありがとうございました。 引き続きまして、
郷原参考人
にお願いいたします。
郷原信郎
4
○
郷原参考人
桐蔭横浜大学
の
郷原
でございます。よろしくお願いいたします。 それでは、今回の
金融商品取引法
、まず
内閣提出法案
の
関係
で、幾つかのポイントに絞って私の
意見
を申し述べさせていただきます。 まず、現在の
証券取引法
、そして今回定められようとしている
金融商品取引法
の
目的
、
性格
の問題ですが、私は、
証券取引
に関する
法律
というのは
市場法
的な
性格
が極めて重要であると考えております。従来、ともすればこの
法律
が、
投資家
保護法的な
性格
のみを強調される形でつくられ、
運用
されてきた傾向がありました。そういう面で、今回の
法案
において、
市場法
的な
性格
が
目的規定
の中で非常に明確に打ち出されたことは、大変有意義なことではないかと思います。 二番目に、今回の
法律
で、どの
範囲
の
取引
を
対象
としていくかという問題です。 現在の
証券取引法
は、
証券
に関する
取引
を基本的に
対象
にしております。ここからさらに
金融商品取引全般
を
対象
にしていこうとしているのが今回の
法案
だろうと思います。この先に、
商品取引
なども含めて、
投資サービス
全体も
一つ
の
法律
で
規制
していくべきだという考え方があることも承知しておりますが、このような
金融商品取引
というのは、それぞれ
性格
の違いがあると同時に
共通性
を持っているというものでありまして、そのうちのどの
範囲
を同じ
法律
で
規制
していくかということ、これは
一つ
の
政策
の選択の問題だと思います。その違いを十分に踏まえながら、
共通部分
に対して、正しい、適切な
規制
をしていくという
意味
において、今回のように
金融商品取引
を
証券取引
に限らず全体的に
規制
していくという
方向
は極めて望ましいのではないかと思います。 三番目に、
市場
の
ルール違反
、今回の
ライブドア事件
で大変な問題になりましたけれども、こういう
ルール違反
に対して、どのような
手段
をもって臨むかということに関しまして、
行政処分
、
課徴金
、
刑事罰
、大まかに言えば
三つ
の
手段
が用意されているんだと思います。この基本的な
枠組み
は、今回の
法案
では、特にその
改正
は予定されておりません。これは昨年の
証券取引法
の
改正
で、二年以内に
課徴金
についての抜本的な見直しをするという附則が設けられているということと
関係
しているんだと思います。 今回のこの
法案
の
審議
の中でも、後ほど詳しく申し上げますが、
課徴金
の
性格
を抜本的に改める必要があると思います。そういう面で、今回の
法案
にはその点は触れられておりませんが、そういう
方向
を見出すという面で、今回の
改正
を有意義なものにしていただきたいと考えております。 そして、四番目に、
ルール違反
の
構成要件
をどの程度具体的に定めるかという問題です。
インサイダー取引
とか
相場操縦
などの具体的な
ルール違反
に関する
規定
に対して、具体的な
規定
を用いて
規制
をするという
方法
と、抽象的な
包括規定
を用いて
規制
するという
方法
、
二つ
があります。
最初
に申しましたように、
市場法
的な
性格
の法に持っていくということになると、どうしても、複雑多様な
取引
に柔軟に対応できる
包括規定
の
適用
というのが重要なものとなっていくものと思われます。そういう面で、
包括規定
というのは、逆に、
刑事罰
を
適用
する際には
罪刑法定主義
との
関係
でいろいろ問題が生じます。逆に言いますと、
包括規定
をこれから
市場規制
的な法の中で積極的に使っていく上では、
先ほど
も申しましたように、
課徴金
の抜本的な
改革
というのがますます重要になってくるんじゃないかと思います。 そして、五番目に、摘発に当たる
機関
が、
専門機関
が適切なのか、
一般
的な
司法機関
、検察のような
機関
が適切なのかということも
一つ
の問題であろうと思います。この
枠組み
は今回の
法律
でも特に変わっていないわけでありますが、この問題というのは、
最後
の、
人材確保
の問題と関連づけて、今後の
制度
の
あり方
、
運用
の
あり方
を議論しなくてはいけないものと考えております。 この点に関して、今回、民主党の
提出
の
法案
の中で、
SEC
の
設置
ということが盛り込まれております。これは、アメリカ型のこのような独立した
機関
をつくって、
市場
に対して適切な
監視
を行っていくという
方向
は大変正しいものだと思います。しかしながら、非常に大きな問題なのは、現在の
証券取引
を
規制
する、
監視
する
人材
が極めて不足しているということだと思います。まず、
監視機関
の
体制
を抜本的に改める、その
前提
として、
人材
の
確保
、
人材
の
養成
というのを積極的にこれから進めていく必要があるんじゃないかと思います。そういう面で、現時点での
SEC
の
設置
というのは、まずその
前提
として、
人材確保
のための
体制
の
整備
が先行して行われるべきではないかと思っております。 そこで、今回のその
法案
に関連しまして、
三つ
ほど私が重要と考えている点について、追加して申し述べさせていただきます。 まず
一つ
は、
先ほど
申しました
課徴金制度
の
抜本改革
です。現在の
証券取引法
の
課徴金制度
は、
経済的利得
の剥奪という
概念
が中心になっております。そのために、制裁としての
性格
が認められないために金額が非常に低いものになっていること、そして
対象
となる
違法行為
の
範囲
が限られていることという点に問題があるんじゃないかと思います。さらに、
市場規制
として柔軟に
課徴金
を
適用
していく上では、やはり
監視機関
に
裁量権
がある程度付与されていることが必要じゃないかと思いますが、その辺は現在の
課徴金制度
では取り入れられておりません。こういうような
課徴金
の
性格
を抜本的に改めることによって、
刑事罰
ではなかなか柔軟に行いがたい現在の
証券取引
に関する
ルール違反
に対する
監視
をもっと強めていく必要があるんじゃないかと思います。 そして、
先ほど
も申しました
包括条項
の
積極適用
の問題であります。
包括条項
の積極的な
適用
のためには、今申しました
課徴金
をもっと活用していくことが必要ではないかと考えております。その
課徴金
の積極的な
適用
、
包括条項
に関する積極的な
適用
ということに関しても、実例をもっともっと蓄積していって、それによって不公正な
取引
という
概念
を明確にしていく必要があると思います。 こういう
二つ
の点に関しまして重要になってくるのが、
先ほど
申しました
金融商品取引分野
における
人材育成
の問題じゃないかと思います。
金融取引
という
分野
は、
一般
の
刑事事件
、
一般
の
経済取引
の中でもかなり特殊な
性格
を持った
分野
であります。こういった
分野
に関して、
最初
に申しました、
市場法
としての
性格
を持った今回の
金融商品取引法
の
運用
を適切に行うための
人材
を
確保
していくことが、今後、重要な
課題
になっていくんじゃないかと思います。 そういう面で考えますと、現在の
証券取引等監視委員会
の
体制
、そこで今活躍している
方々
の
構成
というのは、多分に各
官庁
からの寄せ集め的なもので、必ずしも
専門
的な
人材
というのは十分ではありません。今後、若い世代の中から、もっともっとこういった
分野
において
専門
的な能力を発揮し得る
人材
を育てていく必要があるんじゃないかと思います。そのためには、私も
法科大学院
に教官として勤務しておりますが、
法科大学院教育
の充実ということをこれから考えていかないといけないのではないかと思います。現在、
法科大学院
においては、
独占禁止法
の
教育
はある程度積極的に行われるようになりました。しかしながら、
証券取引法
の
教育
を行っている
法科大学院
というのは極めて少ないというのが実情であります。
金融商品取引法
が、
市場法
としての
性格
が明確になって、これから積極的に
運用
されていくということであれば、
独占禁止法
、
証券取引法
を含めた、その
共通
の
性格
を持った
市場法
に対する
法科大学院
の
教育
を充実させていくこと、そして、それを受けて
証券取引
、
金融取引
に関する
専門
の法曹の資格をつくっていくこと、そして、それに対応して、
証券取引
の
監視
の
専門官
などの官の側のキャリアというのを創設していくこと、この
二つ
を適切に組み合わせながら、今後のこの
分野
の
人材養成
を積極的に行っていくことが必要ではないかと思います。 そして、そういったことの中で、こういう
市場法
としての
証券取引法
を
司法試験科目
に取り込んでいくことといったことも今後検討していくことによって、一層そういう動きが活発になっていくのではないかと考えております。
人材
の
養成
が極めて重要であるということを申し述べて、私の
意見陳述
を終わらせていただきます。(
拍手
)
小野晋也
5
○
小野委員長
郷原参考人
、ありがとうございました。 以上で
参考人
の
意見
の開陳は終わりました。
—————————————
小野晋也
6
○
小野委員長
これより
参考人
に対する
質疑
を行います。
質疑
の申し出がありますので、順次これを許します。
土井真樹
君。
土井真樹
7
○
土井
(真)
委員
自由民主党の
土井真樹
でございます。 本日は、
日本公認会計士協会藤沼亜起
様、
桐蔭横浜大学法科大学院教授郷原信郎
様、
大変お忙しい中当委員会
に
出席
いただきまして、まことにありがとうございます。私からもお礼申し上げます。 本日は、
証券取引法等
の一部を
改正
する
法律案
についての
参考人
ということで御
出席
賜っているわけなんですが、一昨日、大変残念なことに、
金融庁
より、
中央青山監査法人
に対する二カ月の
業務停止命令
という大変重い
懲戒処分
が下されました。このように
大手監査法人
に
業務停止命令
が出るということは、私の知る限り初めてのことであり、大変厳しい
内容
であると言わざるを得ないというふうに思います。同
業界
の人間として、大変残念でございます。 私が二十三年前に
会計士
になったときには、この
業界
もまだまだ穏やかというか、のんびりしておって、
金融行政等
も
護送船団
ということで、
銀行
とか
上場会社
が倒産するようなことというのはめったに考えられないという時代でございました。ところが、一九九七年の
金融行政
の大きな
方向転換
、
金融
の
自由化
以来、
資本市場
及び
金融市場
というものが大変大きく激変いたしました。考えてもみなかった、大
証券会社
とかあるいは
銀行
が倒産する、あるいは
上場会社
が倒産するというのが
日常茶飯事
になってしまった。それと同時に、
公認会計士
、
監査法人
も非常に大きな
影響
を受けて、
会計士
に対する
責任
とか要請が飛躍的に高くなったというのが私の
実感
でございます。ですから、この十年、
会計士
も非常に忙しくもなり大変にもなったということは、私も
実感
としてよくわかります。 ただ、その大きな
市場
の変化に対して、
金融業界
も
上場会社
も、さらには
会計士業界
も、この
社会
の激変にどうしてもまだまだ意識とか認識とか、あるいは
体制
が十分追いついていなかったのではないかということを、同時に強く感じました。 今回、この
不祥事
及び
行政処分
という
事件
を契機に、
公認会計士
に対する
社会的使命
、
責任
を強く自覚して、二度とこういう
会計不祥事
が発生しないように、
協会
としても御
努力
いただきたいというふうに考えております。 それでは、今回の
行政処分
について、具体的に
質問
に入らせていただきたいと思います。 今回の
業務停止命令
については、
証券取引法監査
と、さらには
商法監査
、
会社法監査
、
二つ
の面の
監査
がございます。
行政処分
の
内容
をよく読んでみますと、
証取法監査
については、
除外事項等
をきちんと丁寧に設けていて、
証取法監査
上は
影響
がかなり抑えられている、かなり抑えるように
処分
がなされているというふうには理解できますけれども、
会社法監査
については、どうしても
業務停止命令
ということで
影響
を受けざるを得ない。二カ月という長期にわたる
業務停止命令
は、非常に
影響
があるということでございます。
会社法監査
は、
監査機関
が停止するということは、
会社法
上
罰則
の
対象
にもなりますので、被
監査会社
、要するに
中央青山監査法人
のお客さん、被
監査会社
の方は同時に非常に大きな
影響
を受けます。この被
監査会社
、新聞によりますと約二千社以上あるということで、非常に大きな
社会的混乱
、
経済的混乱
を呼び起こすと思いますが、この二千社を超える被
監査会社
は、一昨日の
行政処分
が発せられて、すぐに
対応策
を考えなきゃいけない。 その
対応策
を考えるときに、
三つ選択肢
としては考えられると思います。
一つ
は、
監査法人
の変更。もう
一つ
は、この二カ月、二カ月だけというわけにはいかないでしょうけれども、一時
会計監査人
の
選任
ということになると思います。さらには、一時
会計監査人
を
選任
する
努力
はしますけれども、結局
選任
できないというケース。この場合は、
現行法
上は
罰則
の
対象
になるということですけれども、当局の方も、そこのところは
対象
にしないような考慮も、今検討しているようですけれども。このいずれかの
対象
になるわけなんです。 二千三百社もの
会社
の
監査
を受け入れられる他
法人
というのもちょっと私考えられないんですけれども。またさらに、一時
会計監査人
もすぐに見つけられるような状態ではないと思うんです。特に、
監査法人側
も、
監査
を引き受けるに当たって、事前の
予備調査
とか、あるいはいろいろな計画とかを立てるのに、最低でも二カ月、三カ月かかるわけですし、さらに
審査
もしなければいけないということで、その二千数百社の被
監査会社
、これらに対して、
協会
としてあるいは
会計士業界
全体として、十分対応していけるかどうか。また、この
混乱
に対してどのように対応していくのか、そこのところをまず御説明いただけますでしょうか。
藤沼亜起
8
○
藤沼参考人
質問
、ありがとうございます。 今回の
行政処分
、
公認会計士協会
として厳粛に受けとめております。
四大法人
の
行政処分
でこれほどの大きな
影響
を与えるというのは、多分初めてであるのではないかというふうに思っております。
協会
としては、二千社を超える、二千三百社ぐらいの
会社
なのでございますけれども、現在、三月末
決算
の
監査
をやっている最中でございます。三月
決算
は御承知のように一番多い時期でございますので、今の
段階
、
監査
に集中しているときに、ほかの
監査法人等
が
中央青山
の被
監査会社
へのいわゆる
勧誘
というか、目に余る
勧誘
とか、あるいは職員の引き抜きとか、そういうふうなことがあっては三月末の
資本市場
の
安定性
が大きく崩れるということが最大の懸念でございます。そういう面で、実は、
会計士
協会
の会長として、
会長声明
で、そういうような不当な顧客の
勧誘
とか職員の引き抜きというようなものは厳しく自己
規制
をしてほしいということで、もし目に余るものがあれば、
協会
として、これは倫理違反ということで厳しく対処する、こういうような
会長声明
を全
会員
に配ったところでございます。 確かに、今回の
行政処分
は
会社
に、
中央青山
の
処分
を受けて株主総会としてどのように
会計監査人
の
選任
を考えるか、こういうような機会を与えたものだというふうに理解しておりまして、そういう面では、
会社
の方はかなり大変な
課題
を突きつけられたということになるのではないかと思います。そういう面で、
土井
委員
のおっしゃるように、
監査人
の交代を計画する
会社
もありますでしょうし、あるいは一時
会計監査人
の
選任
を考える被
監査会社
もあるでしょうし、一時
会計監査人
を探したけれどもなかなか探し切れないという
会社
もあると思います。
会社
の数が二千三百社ということになりますと、ほかの
監査法人
もそれだけ余力があるわけでございませんし、適切な
監査
事務所を探すのは難しいということはかなり事実だと思います。 そういう面で、
会計士
協会
としては相談窓口を設定しておりまして、実際、昨日、一昨日から相談窓口に相談の電話がかなりふえております。また、これは
企業
及び、
会計士
の人も何人かいますけれども、
企業
の方が圧倒的に多いということと、あと、
企業
の方で、これはまだ少数ですけれども、実際、
公認会計士協会
を訪問して相談するという方も出てきております。そういう面で、
協会
としては、できるだけ
混乱
が起きないように、まずは
中央青山監査法人
が、職員もあり、大きなクライアンツを抱えているわけで、その後品質管理
体制
を
強化
しているというふうに聞いておりますので、そういう面では
中央青山監査法人
に相談するのが一番いいのではないのかなということで、そういう形で相談に当たっているわけでございます。 そういう面で、これからどういうような事態が起きるか、我々としては、
資本市場
が
混乱
しないように最大限の
努力
をしたいというふうに思っております。 以上でございます。
土井真樹
9
○
土井
(真)
委員
まさにその二千三百社の被
監査会社
の皆さんが
混乱
しないように、
協会
の方としてもぜひ十分御
努力
いただきたいというふうに思います。 さらに、ここ数年、
会計不祥事
が何度も何度もあって、
会計士
協会
としても、こういう
会計不祥事
が発生しないように、いろいろ
自主規制
なり自己
努力
を積み重ねていらっしゃるかと思うんですけれども、具体的に、この
中央青山
のことだけではなく、今まで積み重ねて、かつ、今現在も
監査
の品質を向上するため、あるいは
信頼性
を向上するために
協会
として
努力
している、その取り組みを御説明願いたい。また、わかる
範囲
で結構ですが、特に大手四
法人
が取り組んでいる取り組みの具体的な
内容
、仕方等を御説明願えますでしょうか。
藤沼亜起
10
○
藤沼参考人
協会
としては、今回の
事件
、特に、なぜこういうことが何度も起きるのかということに対して深く反省をしております。 その原因は、やはり、まず第一に、
監査人
の独立性の問題ということが
一つ
言えるのではないか。 独立性というのは、やはり顧客に対して、顧客という言葉はいい言葉かどうかわかりませんけれども、クライアンツというようなことで言う場合もありますけれども、
企業
に対して
監査人
が本当の
意味
で独立性があるのか。精神的独立性と外見的独立性がありますけれども、特に精神的な独立性というのが一番大きな問題ではないのか。 そういうことで、私は会長として、このカネボウの
事件
に関連した
会員
が逮捕されたということを受けて、
会長声明
ということで、全
会員
に向け、
監査
の原点に戻って自分たちの使命、
職責
ということをもう一度考え直せ、それと、あと、独立性について特に総点検してほしい、そういうような
会長声明
を出したわけですけれども、その
関係
で、今
協会
の
会員
は四十時間の継続
専門
教育
、これを義務化しております。その中で、特に倫理に関する、独立性が一番大きいわけですけれども、それについては四時間の研修義務をつけよう、と同時に、品質管理についても、これは必修として、必ず四十時間のうちその部分を、品質管理を受ける、こういうことについて
会員
の注意喚起と実行をお願いしております。 あと、
協会
の
自主規制
機関
として、
会員
に対して、
会員
の業務で使用できるような
監査
上の
実務指針
、そういうような
実務指針
をつくるとか、それが確実に
監査
業務に実行されているかどうかということを調べる品質管理レビューというものを、今フルタイムで二十人のレビューアーを
協会
の中に置いて各事務所を点検している、こういうようなことの充実。あるいは、個別案件で問題になったことを調査する、
監査
業務
審査
会と申しますけれども、ここの仕事の充実。もしおかしなことをやっているようだということであれば
協会
としての
処分
に回すということで、綱紀
審査
会。この綱紀
審査
会も、従来までは
協会
の執行レベルの、いわゆる
理事
会で最終判断を議論していたわけですけれども、それを
理事
会レベルから切り離して、外部の法曹
関係者
も入れた独立した綱紀
審査
会を昨年から
設置
して、ここで厳しくかつ公平に
会員
の
処分
を決定するというようなことをやってきました。 今回、各事務所については、品質管理基準というのが昨年
企業
会計
審議
会で作成されましたので、それを受けて、
監査
事務所における品質管理基準
実務指針
をつくりまして、その
実務指針
に従って各事務所はその事務所の
体制
をつくってほしいということで、その品質管理基準の中身については、時間の
関係
もありますけれども、そこでは、品質管理に対してだれが
責任
を負うのか、あと、職業倫理、特に独立性についてどういうふうに
規定
をするのかとか、新規の
監査
の顧客の締結時あるいは契約の更新時のチェック、あるいは
監査
実施者、職員ですね、の採用とか
教育
訓練、
評価
、
選任
についてのルールを決めろとか、
監査
実務の実施に当たっての、例えば
専門
的な見解の打ち合わせだとか、
監査
上の判断の相違の場合にどうするのかとか、そういうような、いわゆる
監査
の業務の
審査
にかかわることの
体制
の
整備
、これも
実務指針
でカバーしております。 あと、品質管理システムの
監視
、この
監視
のシステムをまた別につけろというような
実務指針
をつくっております。あと、不服と疑義が、
監査
チームの中で
意見
が違う、そういう場合の
体制
はどういうふうにするのか、また事務所間の仕事の引き継ぎをどうするべきなのかとか、共同
監査
にはどう対応するべきなのかというような、
監査
の事務所における品質管理
体制
、これについての
実務指針
を作成しておりまして、各事務所がこれに対して対応するようにということを求めております。 以上でございます。
土井真樹
11
○
土井
(真)
委員
はい、わかりました。 ぜひそういう
努力
を積み重ねて、これから
会計不祥事
が二度と発生しないように頑張って努めていただきたいというふうに思います。 それでは、時間が参りましたので、
最後
に簡潔に、この
証券取引
等の
改正
案について一言御所見をいただきたいんです。 今回、この
改正
は守備
範囲
が非常に広くなった、また
監査
の開示
制度
も非常に
対象
が広くなり、
先ほど
会長がおっしゃったように、
内部統制
報告
制度
あるいは四半期報告
制度
、新たにどんどん
範囲
、
対象
が広がっているということで、
監査
対象
が著しく広くなったわけなんですけれども、
協会
としてあるいは
業界
として十分対応できるのかどうか、また対応するための準備は十分しているのかどうか、簡潔にお答え願えますでしょうか。
小野晋也
12
○
小野委員長
藤沼参考人
、簡潔にお願いします。
藤沼亜起
13
○
藤沼参考人
簡潔にお話しさせていただきます。 四半期報告は二〇〇八年の四月から開始されるということでございますので、それにまだ時間がありますので、対応できると思います。四半期報告は、フルの
監査
事務を全部行ってやるというような仕事ではなしに、むしろかなりレベルの高い
監査
の経験者がレビューという
作業
でもってやるわけですので、そういう面では対応できるのではないか。あとまた、半期報告
制度
という、今六カ月間の半期報告書というものをつくっておるわけですけれども、この
作業
がなくなるということなので、多分十分に対応できるのではないかと思います。 また、
内部統制
の仕事については、これはかなり重たい仕事になると思いますけれども、これも二〇〇八年の四月ということなので、現在、
企業
会計
審議
会で
監査
のいわゆる実施基準、
内部統制
の実施基準をつくっておりますので、それができれば、それに対応した研修等、各事務所、当然ながら
公認会計士協会
でも研修を行いまして、二〇〇八年の四月からに対応したいというふうに思っております。 以上でございます。
土井真樹
14
○
土井
(真)
委員
どうもありがとうございました。終わります。
小野晋也
15
○
小野委員長
以上で
土井真樹
君の
質疑
を終了いたします。 引き続きまして、谷口隆義君。
谷口隆義
16
○谷口(隆)
委員
公明党の谷口隆義でございます。 両
参考人
におかれましては、
大変お忙しい
中、当
委員会
に
出席
を賜りましてありがとうございます。 私の方は、初めに、
先ほど
も
質問
がございましたが、この五月十日に
金融庁
の
処分
が行われました
中央青山監査法人
の件についてお伺いをいたしたいと思います。
先ほど
、
自主規制
機関
として
一体
どういうことをやったのかということで、
藤沼参考人
からは、
自主規制
機関
として行ったことをおっしゃったわけであります。 それで、私も
公認会計士
をやっておりましたので
業界
のことはよく知っておるわけでありますけれども、これは、朝日新聞の二〇〇五年六月十八日付の公務員の待遇
改革
に関するアンケート調査というのがありまして、民間に比べ破格と映っておる待遇を見直すにはどうしたらよいかというアンケートなんですね。こういう設問で、三千三百六十七人の回答者の回答のうち、
会計監査
によるチェックをやるべきだというように挙げた方が八百三人、約四人に一人がおられたわけであります。これは、会計検査院の検査よりもやはり第三者の
監査法人
の
監査
の方が望ましいんだということを、国民がアンケートの中でおっしゃっておるわけでございます。 どうも最近の風潮を見ておりますと、この状況、五月十日の
処分
の状況を見ますと、カネボウに関しまして、平成十一年、十二年、十三年、十四年、十五年の各三月
決算
期において、有報上
虚偽記載
があったにもかかわらず、関与社員は故意に虚偽のないものとして証明した、これは確かに悪いことであって、このようなことは二度と起こらないようにやっていかなければなりません。しかし、これは
公認会計士
の
業界
の、すべてがパーフェクトでやらなければなりませんけれども、ほんのごく一部であって、過半の
公認会計士
の皆さんは日常の業務に大変熱心に取り組んでおられるわけでございます。 それで、
先ほど
藤沼参考人
のお話を聞いておりましたら、
公認会計士
の
自主規制
機関
として持たなきゃいかぬ独立性、経済的な独立性もありますし精神的な独立性もある、中でも精神的独立性は非常に重要であるということをおっしゃったわけであります。独立不偏の精神をもって
監査
に臨んでいかなければならないわけでありますが、最近の風潮、
監視
委員会
の先ごろの建議、マスコミの動向、また
議員
の
意見
の中に、
刑事罰
を科したらどうかというような
意見
がございます。
先ほど
、
郷原参考人
の方から
刑事罰
のことについて若干言及されたところがありましたけれども、
刑事罰
を科すということは、今後、中長期的に見て、この
業界
に国家権力が介入してくるということを恐れるところがあるわけであります。
刑事罰
というものでどうもアメリカのアーサー・アンダーセンが空中分解した、これはアメリカでは
刑事罰
を
導入
するといったことでやったと言われております。 まず初めに、
藤沼参考人
に、この
刑事罰
の
導入
ということについての御自身の御
意見
をお伺いいたしたいと思います。
藤沼亜起
17
○
藤沼参考人
証券取引法
上、
監査
にかかわった
公認会計士
に対してどのような罪を科すかということの問題でございますが、現在、証取法上の
構成
では、
虚偽記載
を行った
経営者
、
企業
に対する、いわゆるそれぞれの個人の
経営者
と、
企業
、
会社
に対する両罰
規定
がある。虚偽の
財務諸表
にかかわった
会計監査人
は、共犯となるか、あるいは幇助したということで罪が問われている。ところが、
監査法人
は罪に問われていないではないか、だから
監査法人
についても両罰
規定
を
導入
したらどうかという議論だと思います。 これは、米国などでは、
先ほど
谷口
委員
の方からお話があったように、
監査法人
に罪を着せるということは、余りやらない、実行しないということで、手続法で訴訟するというようなことがあるということはよく聞かれているんですけれども、いずれにしても、
監査法人
の特殊性というものが非常にありまして、
刑事罰
を追及されるだけで
監査法人
の収益基盤である顧客の流出が始まってしまうということが、ほかの、今回、例えば貸金業、あるいは
銀行
、あるいは生命保険
会社
へ厳しい
処分
が下りましたけれども、そこの
会社
がいわゆる消滅するとか解散に追い込まれたという話は聞かないわけでございまして、
監査法人
の場合には、
刑事罰
をかけられただけで、それが町に流布すると、当然ながら株主総会で
選任
議題という形になりますから、それだけで消滅してしまう。この特殊性を考えていただかないと、いわゆる
社会
で独立
監査
をするという業務サービスの提供者がいなくなってしまう、あるいは大
混乱
に陥ってしまう。その辺のところを十分に考えていただきたいなと。 今回、
行政処分
ということで、実際に
中央青山
の業務の一部を停止するということの
処分
が出たわけですけれども、それでもこれだけの大きな
影響
がある。三千人以上の職員を抱えている事務所が、それに対して、
会社
も含めて大
混乱
に陥るという事実がここにあるわけでございまして、そういう面で、極めて慎重に判断をしていただくとありがたいというふうに私は思っております。
谷口隆義
18
○谷口(隆)
委員
今、
藤沼参考人
がおっしゃったとおりだと思います。 このまま放置しておりますと、
先ほど
申し上げましたように、まるで魔女狩りのように、いろいろなところから、
刑事罰
だ、
刑事罰
だ、こういうようなことを言っている。私はこれに対して大変な怒りを持っておるわけでありまして、この
証券取引法
に基づく
会計監査
が、戦後からスタートいたしまして、今この経済界にしっかりと根づいておるわけでありますけれども、この根づいた
監査法人
が、このようなばかな考え方で
監査法人
に
刑事罰
を
導入
するということは、今後
自主規制
団体としてのこの団体がどんどんむしばまれていく、また、
人材
が集まってこない、ひいては我が国の経済界全体が大きな損失をこうむるというようなことになるわけであります。 ですから、これは、このようなことを軽々しく言うべきではない。もし仮にこのような
事件
があって、厳しく処したいというのであれば、
先ほど
郷原参考人
がおっしゃった
課徴金
の問題なんかもあるんだろうと思うんですね。私は、この
刑事罰
については、断固、こんなばかな考え方を捨てていかなきゃならぬ、こういうふうに思っておりますが、
刑事罰
ということで、
法律
の
専門
家の
郷原参考人
にお聞きしたいと思います。
郷原信郎
19
○
郷原参考人
私、もともと刑事法、刑事実務家でございますが、私の本音としては、
刑事罰
は現在の日本の
社会
において、いろいろな面で機能に限界があるというふうに考えております。 アメリカの司法
制度
と日本の司法
制度
、大きな違いがあります。その違いをわきまえないで、単純に、日本でさまざまな問題に対して、厳罰化ということだけで対応していこうとすると、大きな問題が生じると思います。とりわけ、この
監査法人
の問題に関しても、両罰
規定
の
導入
を考えるとすれば、
公認会計士
個人と
監査法人
との間が実質的にどのような
関係
なのかということをきちんと整理しないといけないと思います。
一般
的な
法人
に対する両罰
規定
というのは、
法人
が行為者、従業者を
選任
、監督するということが
前提
になって、
法人
に対して罰金刑が科せられることになっております。果たして、
監査法人
において、
会計士
個人と
監査法人
がそれと同様の
関係
であるのかどうか、そういった点を十分に検討する必要があると思いますし、そもそも現在の法体系全体において両罰
規定
が、
法人
に対する
刑事罰
がどのような機能を果たすべきかということについての根本的な議論の方が先決ではないかと考えております。 以上です。
谷口隆義
20
○谷口(隆)
委員
今、
郷原参考人
がおっしゃったように、この
監査法人
という組織体は、これは合名
会社
的なところで、各パートナーシップを持っておられる社員は無限
責任
を負っておるわけであります。ですから、普通の
企業
体とは全く違う様子を示しておるわけでありますけれども、そのようなことを念頭に入れた議論でなければならないということを私申し上げたわけであります。
監査法人
全体が今寡占化の状況にございます。これはいろいろな状況の中で、やはり業務を
専門
化しておりますし、多様な
人材
も入れていかなければなりませんし、またクライアントとの間の訴訟の問題もあるでしょうから、財産的基盤もしっかりしていかなきゃいかぬ。このようなことで、この
監査法人
全体がどんどん大きくなっている、
一つ
の動きであるわけでございます。そういう状況の中で、安易にそういうようなことを口走るということは、極めて私は遺憾だというように思うわけでございます。 それで、この
会計士
の問題はこれで終わりまして、次に三井住友
銀行
の先日の
金融庁
の
行政処分
についてお伺いをいたしたいと思います。 これは初めてのケースで、独禁法の優越的地位の濫用に違反したということで、一部業務を半年停止になったわけでございます。この
処分
理由を見ておりますと、原因として、コンプライアンスより収益獲得優先が常態化し、ガバナンス、内部管理またはコンプライアンスにつき、
取引
の適切性の観点から基本的かつ重大な問題が認められるというようなことでございます。 このコンプライアンスというのはなかなか難しいことであります。
郷原参考人
はこのコンプライアンスの
専門
家でいらっしゃいますが、やはりコンプライアンスの限界というのはあるんだろうと思うんですね。 前に、雪印乳業という
会社
が、非常に不始末、
事件
を起こして、私、聞いておりますと、その後、従業員にこのコンプライアンスを紙で示したものを一人一人に配った。言って終わっていたらこれは何にもならないわけであります。ですから、やはり、このコンプライアンスの限界というのはあるんですが、
郷原参考人
、これについていかがお考えでしょうか。
郷原信郎
21
○
郷原参考人
今回の三井住友の
事件
の詳細についてはまだ私把握しておりませんが、こういう問題についての
一般
論ということで申し上げさせていただきますと、私は、三井住友の
担当者
のモラルだとかコンプライアンスに対する意識という面でも問題があったかもしれないとは思いますが、それ以上に、やはり何か根本的な問題があったんじゃないんだろうかと。
銀行
がこのような商品を販売していく際に、今まで
銀行
が業務の中で培ってきた営業のノウハウとかそういったものが、若干そういう最先端の
金融
商品などを販売していくことにそぐわない面があったりすると、どうしてもそこに無理が生じます。その無理がこのような法令違反を招くということも十分考えられます。そういう面で、今回のような法令違反行為を、単純に、法令に違反した、けしからぬということではなくて、その背景に何があるのか、何が根本的な問題なのかということを十分突き詰める、突きとめる調査を行って、その原因を究明して是正措置をとっていくということが、本当のコンプライアンスという観点から重要になるんじゃないかと思います。 以上です。
谷口隆義
22
○谷口(隆)
委員
おっしゃるとおりだと思います。このコンプライアンスというのは非常に難しいものであると思うわけでありますが、
先ほど
郷原参考人
のおっしゃった中で、
市場
ルール違反
に対する
手段
として、
行政処分
、
課徴金
、
刑事罰
、このようなことがありました。この
課徴金
のところを今度はお聞きいたしたいわけでありますが、十七年の十二月一日からスタートいたしましたこの
課徴金制度
、
証券取引法
と申しますか、違反した場合、
虚偽記載
の場合の
課徴金制度
、私は提案者の一人でございますが、このときの議論で、
先ほど
おっしゃったように、この不当利得の返還で終わっちゃうわけですね。不当利得の返還で終わってしまいますから、本当は制裁的な
意味
合いのものでなければいかぬわけで、不当利得プラスアルファというのがないと痛みを感じない、もうけたものだけ吐き出したら終わり、こういうわけにはいかぬだろうと思うんですね。そこのところを、現行の
独占禁止法
が、
課徴金
体系がそういうふうになっているので、なかなかそれを打ち破れないというような限界を感じて、とりあえずはこういう形でも現行よりましだろうということで、提案をさせていただいたわけであります。 この
課徴金
の問題、
先ほど
言及されましたけれども、
郷原参考人
、もうちょっと詳しくお話しいただきたいと思います。
郷原信郎
23
○
郷原参考人
証券取引法
の
課徴金
をめぐる議論というのは、今まで多分に
課徴金
に関して先行してきた
独占禁止法
の
分野
における議論の
影響
を受けてきているんじゃないかと思います。独禁法においては、
経済的利得
を超える
課徴金
の徴収というところまでこの前の
改正
で行っておりますが、
証券取引法
の場合は、いまだに
経済的利得
の徴収にとどまらざるを得ない、言ってみれば、まだ未熟な
段階
にあります。 私は、独禁法の
課徴金
も、その独禁法特有の非常に大きな問題があると思います。カルテル、談合という行為の特性に応じていろいろな問題があります。それと、
証券取引法
という
市場
の公正さを害する
ルール違反
行為に対する
課徴金
の
あり方
をやはり若干区別して、
証券取引法
の
分野
には
証券取引法
の
分野
に最も適した
課徴金制度
の
あり方
を考えるべきではないかと思います。 そういう面では、継続開示義務違反に対する
課徴金
、この前の
改正
で
導入
されましたけれども、これも、国際的に見てもちょっとこれで
課徴金
を
導入
したと言えるのかというような極めて低いレベルにとどまっております。やはり、
課徴金
の
性格
を、
市場
に対するダメージをどれだけ生じさせたのかというような観点から、再
構成
する必要があると思います。 ただ、その際に問題になるのが、どうしても柔軟に
課徴金
を
適用
していこうと思えば、当局に裁量を認めないといけないし、当局の役割が非常に大きくなっていく。それでは、当局に、そういう柔軟な
ルール違反
に対する
課徴金
適用
、事実認定、証拠収集を行えるだけの
人材
がいるのかといった点が極めて重要な問題になるんじゃないかと思います。 そういうことで、
先ほど
も申しましたけれども、
課徴金制度
をもっともっと抜本的に
改革
して、充実させていかないといけない。そのためにも、若い世代を中心にした、こういう
金融取引
、
証券取引
に精通した
専門
の官側の人間、そして、それを支える
専門
法曹の育成を図っていかないといけないというふうに考えております。 以上です。
谷口隆義
24
○谷口(隆)
委員
今の
課徴金
のことで、二年後にまたこれは検討するんですけれども、私は、やはりこの制裁的な
意味
合いを強めていかなければいかぬと。今の
監査
の現場で、クライアントが、
先ほど
継続開示の問題で、問題があれば
課徴金
を科せられることに今なっておりますが、これがきいているかどうかということで、
藤沼参考人
にお伺いをいたしたいと思います。
藤沼亜起
25
○
藤沼参考人
監査
の現場で
課徴金
ということなんでございますけれども、特に
経営者
については、やはり今回の
金融商品取引法
で、
経営者
が
財務諸表
の
適正性
について確認をしなくてはいけない。その
前提
となる
内部統制
について自己
評価
して、それの有効性を確認しなくてはいけない。その上で、うまくきちっと
財務報告
しない、あるいは虚偽の
財務報告
をした場合には、
経営者
個人に対する
罰則
強化
、それと、あと、
企業
に対する罰、
課徴金
という問題につながるわけで、そういう面で、今回の法
改正
はそういう財務情報の
信頼性
回復にすごくよい経過が、
影響
があるのではないかというふうに
期待
しております。
谷口隆義
26
○谷口(隆)
委員
課徴金
は、要するにそれによって、起こると大変だよという事前的な警告になるわけですね。それより、むしろ、起こさないような組織をつくっていくという観点では、
内部統制
組織、お互いに相互間で牽制をし合うような、組織全体がしっかりしておれば、ちょっと気持ちがぐらっと揺らいでも、
担当者
のところで、いや、そんなことをしちゃいかぬ、また、
経営者
の方も、そういうことをすると
社会
的な制裁が大変大きいんだということをわかっていただかなければなりません。そういうふうなことが行われないような精神風土をつくっていかなければならないわけでありまして、しかし、現に起こっておるわけでございますから、それに対する対応のしぶりというのも非常に重要であります。 時間が参りましたので、これで終わらせていただきますが、今後、
会計士
協会
におかれましても、ぜひはっきりと、主張するところは主張していただきたいということを申し上げまして、終わりたいと思います。
小野晋也
27
○
小野委員長
以上で谷口君の
質疑
を終了いたします。 続きまして、
鷲尾英一郎
君。
鷲尾英一郎
28
○鷲尾
委員
民主党衆議院
議員
の
鷲尾英一郎
でございます。 本日は、両
参考人
におかれましては、お忙しい中、当
委員会
においでいただきまして、大変感謝しております。本日はよろしくお願いいたします。 冒頭、
委員長
に一言申し述べさせていただきたいことがございます。 今回、カネボウの
事件
、
行政処分
が下りました。本来であるならば、
中央青山監査法人
の
理事
長の方にまたお越しいただきながら、今、
証券取引法
を
改正
する
法律案
を
審議
している最中でございますが、
一体
どういう点でこういった事態に陥ったのか、そういうことも含めて、改めまして
参考人
招致という形で
質疑
をする場を設けさせていただけたらなということをお諮りいただきたい旨を申し述べさせていただきます。
小野晋也
29
○
小野委員長
はい。この件につきましては、
理事
会に諮らせていただきます。
鷲尾英一郎
30
○鷲尾
委員
それでは
質問
に入らせていただこうと思います。 まず、
藤沼
会長に御
質問
させていただこうと思っております。
先ほど
来、カネボウの
事件
についての
中央青山監査法人
に対する
行政処分
の問題、そして
先ほど
谷口先生の方から
課徴金
の問題、そして
刑事罰
を
導入
する危険性について、大変有意義な御見解を賜ったと思います。 それに関連しまして、
公認会計士協会
というのは
自主規制
機関
ということでございます。
会員
内の、ある
意味
、今回のような
不祥事
、そして
監査
の品質管理について、
協会
が先頭に立って
自主規制
をしていくという立場でございます。 ところが、アメリカでは、例えばエンロン、ワールドコムを初めとした、
会計士
が関与しました会計不正
事件
、これが起こった後、
公認会計士
自体の
自主規制
に
社会
から疑問の目が向けられた、そういった経緯がありまして、結局、アメリカの方では、PCAOBの方に
自主規制
権限が移譲されているという現実があるわけでございます。 このアメリカの現実を踏まえた上で、では、日本の
公認会計士協会
の
自主規制
というのは、今どういう現状にあり、そしてこれからどういうふうにしていこうというふうにお考えなのか、そういうことをちょっとお聞かせ願えたらと思います。
藤沼亜起
31
○
藤沼参考人
お答えします。 アメリカでエンロン
事件
、ワールドコム
事件
が起きて、二〇〇二年に
企業
改革
法、サーベンス・オクスレー・アクトというものができたということで、そこでPCAOB、公開
会社
会計
監視
委員会
というものができた。そこに、従来アメリカ
公認会計士協会
が
自主規制
でやっていた
監査
基準の設定、あと、各事務所の品質管理レビュー、そういうような権限がそこの方に全部移されてしまったということで、官
規制
に変わったということを言われているわけです。 アメリカはやはり、日本と違う法
体制
のもとにありますし、また
証券市場
の
制度
も違いますし、また法曹界の力もかなり違うというようなこともありまして、アメリカ型のいわゆるPCAOBができたわけですけれども、実際、その初代の
委員長
のマクドノーさんがもう
辞任
をしましたし、その後がまだ代行で動いているというような現実、あと、
監査
基準を担当していたカーマイケルさんもこの間
辞任
してしまった。揺り戻しが起こっているというようなことではないかというふうに思っておりまして、必ずしもアメリカ型のいわゆる直接
規制
がいいのかということは、私自身、実は二〇〇〇年から二〇〇二年まで国際
会計士
連盟、
会計士
の国際組織の会長をやりまして、各国のことをよく知っているわけですけれども、それが本当のベストアンサーかということに非常に疑問を感じておりました。 ヨーロッパは必ずしもそういう国じゃない国があるわけでございまして、そういう面で、どういう
制度
が日本に適しているのか。私はやはり、こういうような職業会計人、職業プロフェッショナル、これは弁護士さんも全く同じだろうと思いますけれども、それはまず、我々自身が自分で規律を高めて業務をするということが第一ではないかというふうに思っております。 そういう面で、
公認会計士協会
は、
先ほど
申しましたように、各事務所、これは前のアメリカ型と違いまして、
協会
でフルタイムのレビューアーを雇用しておりまして、その者が各
監査
事務所に行って点検をするということになっておりまして、そういう面で、その品質管理レビューをやるということと、あと、やはり、
会員
の
処分
も
協会
の中で、
先ほど
言いましたように、
監査
業務
審査
会で
審査
した上で綱紀
委員会
に上げる、独立の綱紀
委員会
に上げてそこで
処分
する、そういう形でかなり
自主規制
は
強化
しております。 そういう面で、
自主規制
を
強化
して、そこで足りないものを
公認会計士
・
監査
審査
会の
審査
、または、必要であれば、各事務所の立入検査、今、
四大法人
については立入検査をして、近くその報告書が出るというふうに予定されておりますけれども、そういうことで補完して、
公認会計士協会
がその提言を受けて、さらに各事務所に対して改善の
努力
を促す、そういうような、いわゆる官から民への流れというところが今出ているわけでございまして、公務員も数を削減しなくてはいけないというような中で、いわゆる国家
規制
を強めることが本当に国民経済的にいって合理的なものかどうかについては、私は非常に否定的な考え方を持っておりまして、我々自身がまずきちっとやらなくては、プロフェッショナルとしての誇りが持てないではないか、こういうことで今一生懸命やっているわけでございます。
公認会計士
法の
関係
ですけれども、
公認会計士協会
に与えられているいわゆる
懲戒処分
権というのがまだ非常に限定的でございまして、会長の
会員
に対する戒告、あと、
会員
権の停止、一カ月、二カ月、三カ月とかという形であるわけです。あと、
金融庁
に
処分
を申請する、求めるということがあります。
会計士
補、ジュニアの
会計士
については登録を抹消するという権限が与えられているわけですけれども、フルの
公認会計士
については、そういう業務停止を伴うような
処分
権が与えられていないというようなことでございまして、私どもとしては、やはり、職業団体として、そういうものも含めて、
自主規制
の
懲戒処分
の権限を強めれば、さらに機能が
強化
して、
会員
の業務の改善につながるのではないかというふうに思っております。 以上でございます。
鷲尾英一郎
32
○鷲尾
委員
ありがとうございます。 確かに、
協会
の
自主規制
という
意味
で、これから、よりその
規制
自体を本格化させていただいて頑張っていただきたいとは思うんですが、一言ちょっと申し述べさせていただきたいのは、さきに
公認会計士
法の
改正
があったときに、七年で交代制になったという話がありました。
公認会計士協会
は、その七年交代を
導入
しろということを当然
監査法人
に言ったと思うんです。ところが、
監査法人
の方で対応したのは、
適用
時点で継続
監査
期間を考慮せず、その時点から七年たってから初めて交代だ、そういうような
運用
のされ方をしたわけでございまして、これが
一つ
、例えばカネボウの問題とかああいう問題につながっている部分もあるんじゃないかなというふうに思っております。 先ごろ、それを受けまして、
藤沼
会長、会長の声明として、主任
会計士
が五年で交代ということを申し述べられたようですけれども、その五年で交代ということについても、
運用
状況をしっかりと確かめた上で、身内の議論にはまらない、そういう
自主規制
をこれからもお願いしたいと思っております。 続きまして、
内部統制
の報告
制度
がつくられました、
先ほど
来皆様から御議論いただいているところではございますが。私も、これは
質疑
の中でお伺いしたんですけれども、アメリカの方では、コストがかかり過ぎるというふうな批判がございます。先生は、アメリカの方の実務を当然御存じでしょうし、
先ほど
おっしゃっていました国際
会計士
連盟の会長でもあらせられたわけで、アメリカの実務の
前提
に立った
内部統制報告書制度
だと思うんですね。では逆に、翻って、日本の
監査
実務から考えたときの
内部統制報告書制度
というのは、アメリカとの違いからいって、若干、例えばコストの面とかいうところでアメリカとは違った
導入
の仕方ができるんじゃないかなというふうに思います。 その点について、例えば上場
企業
にも規模の差があり、そして上場準備
会社
に対しても、例えばこの
内部統制報告書制度
を
導入
するとかそういう話になってきますと、ベンチャー
企業
がどんどん起こってくるというところにも非常にかかわってくる問題なのかなというふうに思っておりまして、そういう問題意識に立った上で、会長の御所見をちょっと伺いたいと思います。
藤沼亜起
33
○
藤沼参考人
これは、アメリカの
企業
改革
法で特に評判が悪い
一つ
になっているのは、四百四条、
内部統制
の報告
制度
と
監査
制度
、これについての費用、コストがかかり過ぎるという問題でございます。 これについては、アメリカの方も、当初、大
企業
に採用したわけですけれども、かなり不平が、特にコストの面で事務量が大変であるというようなことから、コメントが非常にいろいろありまして、
SEC
はラウンドテーブルというもので
関係者
を集めて議論した上で、それで大分手続等の見直しを行っております。 日本では、
内部統制
を二〇〇八年四月から
導入
するということで、これはアメリカに学んで、もっと効率的で効果的な
運用
はできないのかということで検討して、現在、
企業
会計
審議
会の
内部統制
部会で、基準の
枠組み
と、あと今度は具体的な実施基準を今つくっているところでございます。 そこの中で、やはり効率的に
内部統制
の
評価
とまた
監査
ができる、そういう
枠組み
をつくろうということで今議論が進んでおりまして、違いは、
一つ
は、トップダウン式のリスク重視アプローチ、リスクのあるエリアに集中して
企業
の
経営者
は
内部統制
を
評価
する、要するに、もうじゅうたん爆撃のように全領域にわたって会計指針を持ちながら全部やるということではなしに、リスクのあるエリアを特定してやっていこうということ。 あと
内部統制
の不備の区分も、アメリカは三区分というような形で、統制の不備があるものを
三つ
に分けて対応していこうということなんですけれども、日本はもうちょっと単純化して二区分でやっていこうとか、あと
最後
に、これは一番大きなあれだと思いますけれども、アメリカは
経営者
の
評価
のほかに
監査人
自身が
評価
するという手続、
監査人
が
内部統制
自身を
評価
するという、
経営者
はここまでだというふうに言っているんだけれども、
監査人
は、何かそれ以外にちょっとやってみよう、そこで何か問題があると、やはりちょっとエラーがあるからさらにもっとやってみようというような、だから手続が際限なく広がる、こういうことがありまして、仕事量がふえたというふうに言われているんですけれども、これは、ダイレクトレポーティングという言葉で言われているわけですけれども、これを日本ではやらない。 基本的には、
経営者
が、
先ほど
言ったトップダウンアプローチでどこにリスクのエリアがあるのかということを決めたら、それについてリスク
評価
の
対象
エリアがそれでいいか、当然ながら
監査人
と議論するわけですけれども、そこで決まれば、
監査人
が、ほかのところで何かあったところ、どんどん領域を広げていくというようなことはやらないということで、かなり効率的な
監査
ができるのではないかと。 ただ、私自身は、そういうことは言っておっても、日本型で、もともと日本は、御承知のように、欧米と比べると
監査
に使う時間というものが非常に少ないという現実があります。その中で、さらに適当にやってよという話になってきますと、
内部統制
をやっているのに、実際には、トータルしても
内部統制
の
監査
実行前の欧米の水準にやっと近づいたぐらいの話になってしまっては全く
意味
がないということなので、その辺のところは十分に注意して実行しなくてはいけないというふうに思っております。 以上です。
鷲尾英一郎
34
○鷲尾
委員
わかりました。 ちょっと時間もないので、次の
質問
に移らせていただこうと思います。 昨今の
事件
では法令の不備というのが指摘されておりますが、法令の不備だけではなくて、会計基準の不備というのもこれはあったんじゃないかなというふうに思っております。 特に、SPCや
投資事業組合
については、会計基準が、巷間言われているのは、グレーな部分があっただろうと。例えば、
連結
する
範囲
において、ある
企業
は
連結
し、ある
企業
は
連結
しないということで、同じ業種の中でも比較可能性を阻害する、そういう事例もあるところです。 特に、
投資事業組合
については、最近、会計基準の設定ということで、盛んに議論されてはいるところですが、そこでちょっと会長にもお伺いしたいんですけれども、会計基準がグレーだ、
連結範囲
の話でも、グレーだといった場合に、
連結
の
範囲
については、例えば、私も
公認会計士
でございまして思うんですけれども、やはり
連結
原則といいますか、大
前提
の原則に立ち返って
会計処理
をするというのが
一つ
の会計方針というか処理の仕方だと思うんですが、そこは会長はどう思われますか。
藤沼亜起
35
○
藤沼参考人
ファンドとか特別
目的
会社
の活用がこのごろ急速にふえておりまして、
投資事業組合
も含めてSPEというのが非常に膨らんでおります。 ですから、そういう面で、当初、例えばSPC、特別
目的
会社
というものは不良資産の
処分
ということで使われたわけですけれども、それがもっと開発案件についてSPCを使うとか、その他いろいろなものをビークルを使ってやっていこう、こういうことが行われておりまして、
ライブドア
のケースでは
投資事業組合
が使われた。
投資事業組合
もいろいろな形で複雑につくられておりまして、
企業
が実質的にその
投資事業組合
を支配しているのかどうか判定がなかなか難しい。 そういうことで、今、
企業会計基準委員会
の方で
実務指針
、基準をつくっている。六月ぐらいにまず第一弾が出てくるというふうに聞いておるわけですけれども、そういうものをつくってくる。ただ、従来型の支配権というものの何%を所有しているのか、こういうことだけのいわゆる判断基準ではなかなか難しいのではないか。ファンド等については、最終的にだれがほとんど経済的な便益を受けるのかというような観点だとか、経済的なリスクをだれがしょい込むことになるのか、そういうようなことも実質判断基準で考えないと、実際的なオーナーといいますかその辺のところが見えてこない。 その辺のところできちっとした基準をつくってほしいということを私どもかねがね要望していたわけでございますけれども、それが今、
企業会計基準委員会
で行われているということで、できるだけ早い基準の公表を
期待
したいというふうに思っております。
鷲尾英一郎
36
○鷲尾
委員
アメリカの基準と違って、日本の基準は完全に実質支配力基準で大原則やられているということだと思いますし、それがまた日本の会計慣行として非常に有益なんじゃないかなと思うところでございますので、その
方向
性でこれからも御検討願いたいと思います。
投資事業組合
の件については、これもアメリカの方でエンロンの
事件
があったときに、これは非常に問題になったわけなんです。ところが、日本には、SPCの、
先ほど
会長おっしゃいました債権流動化という側面での会計基準はあったけれども、ほかに包括的な会計基準を検討するということには至らなかった、私はこれはこれからの日本の
資本市場
を考えたときに非常に問題だと思っています。 要するに、ルールがなければ何でもいいというような風潮が今ございまして、ルールをまずつくって、いいものは徐々に禁止
規定
から
一つ
解除していこうとかそういった
方向
にしていかないと、
証券市場
というのは、ある
意味
ガラス細工みたいなもので、扱いようによっては非常に危ないものだと思いますので、という観点に立ちますと、エンロンの
事件
があってからもう四年も五年もたっているわけで、その中で、なぜ、日本に
投資事業組合
なり、
先ほど
おっしゃいましたSPEの
包括規定
というのができていないのか。この事実がこの先日本の
証券市場
に与える
影響
というのはかなり大きいと思うんですよ。なぜまだ設定されていないと会長はお考えですか。
藤沼亜起
37
○
藤沼参考人
今、実際に手をつけ始めたということで、やはり問題に対する会計基準の設定の対応、その辺のシステム上の問題があるのかということもあり得ると思います。 そういう面で、アメリカではもし基準がないのであれば、
SEC
も含めて、FASB、会計基準設定
機関
なんですけれども、それと、各会計事務所というようなところが即座に集まって、EITF、エマージング・イシュー・タスクフォースという、そこで
一つ
の
実務指針
をつくる、それをFASB、アメリカの会計基準設定
機関
がそれを認める、こういうような形で、緊急のイシューについてはそれに素早く対応するという
関係
ができているんですね。そういう面で、日本もそういうような対応が早急にできるような
体制
をつくらなくてはいけないのではないかというふうに個人的には思います。 ただ、
企業会計基準委員会
は、現在、日本の会計基準を国際会計基準と統合する、コンバージェンスのためのプロジェクトにかなり忙殺されておりまして、その辺のところにどういうふうにリソースを配分するかとかそういう問題。今日本で行っている問題と、国際化に合わせてどんどん対応、統合、コンバージェンスを進めなくちゃいけないという問題と両方を抱えているから、ワークロードがかなり厳しくなっているというふうには思います。 以上でございます。
鷲尾英一郎
38
○鷲尾
委員
ただ、思いますのは、やはり問題が起こってからでは遅いわけでございまして、特にこれから
金融
商品もいろいろとまた煩雑なものが出てきます。そんな中で、当然、大原則に立ち返って
会計処理
をするということは
先ほど
来申し上げておりますけれども、やはり会計基準も事細かに適時に決めていただくということが重要ではないかというふうに思いますので、この先問題が起こらないために、ぜひ
公認会計士協会
としても、経済界を巻き込みながら、会計基準
委員会
も巻き込んで、迅速に対応していただきたいと思っております。 続きまして、もう一点だけ会長に
質問
させていただきます。
先ほど
、緊急問題タスクフォースみたいなものがアメリカではあるというふうにおっしゃっていました。例えば、
公認会計士
が捜査
機関
なりとか
証券取引等監視委員会
と連携しながら問題を処理していくということは、過去あったんでしょうか。
藤沼亜起
39
○
藤沼参考人
その点については、
公認会計士
にはクライアンツの情報を他の外部の者に提供してはいけないという守秘義務の
規定
がありますので、ただ、
法律
によって守秘義務が解除される場合には、それはそれで協力するということで、そういう面で、
証券取引等監視委員会
に対して
公認会計士協会
がどうだということについては、基本的には協力というような
関係
はないというふうに言った方が正しいのではないかと思います。
鷲尾英一郎
40
○鷲尾
委員
ちょっと
質問
の仕方がまずかったのかもしれません。これからしっかりと
証券市場
の公正性なりを
確保
していく上では、やはり官民
一体
となった
体制
づくりというのが必要だと思いますので、ぜひ公的な
機関
も含めまして、
先ほど
おっしゃっていた、協議の場を設けるというのもこれから先重要になってくるんじゃないかというふうに思う次第でございます。 続きまして、
郷原
先生にお伺いしたいことがございます。 今般の
証券取引法等
の一部を
改正
する
法律案
については、
先ほど
来先生がおっしゃっていた、
人材
を育成する
方向
性というのはちょっと不足しているんじゃないかなというふうに個人的には思うわけですけれども、刑事の
専門
家である先生が、例えば
ライブドア
の
事件
でもありました、検察と
証券取引等監視委員会
との連携というのが、実際これはどれぐらい働いていたのかというところで、ちょっと先生の御所見をお伺いしたいなと思うんです。
郷原信郎
41
○
郷原参考人
ライブドア
の
事件
で、検察と
監視
委員会
との間で具体的にどのような協力
関係
があったかということ、これは詳細はわかりません。あくまで
一般
論としてなんですけれども、やはりまず根本的に問題なのは、検察にも、必ずしもそういう
金融
の
分野
のプロはそれほどいません。それから、
監視
委員会
の方には、まだ十分にリーガルなスタッフが、検察と協力して
市場
の
ルール違反
に対して摘発していくだけの十分な数と、質と量という面でのスタッフが十分でないんじゃないかと思います。そういう面で、これから両方の
機関
がどのような役割でこの
分野
において機能を果たしていくかということを考えていかないといけないと思うんです。 今回の
ライブドア
の
事件
というのは、そういう
意味
で、最終的に検察がああいう形で乗り出していかないといけなかったという経過自体に、結果として大きな問題があった。むしろ、それまでに柔軟な、
ルール違反
に対する
監視
、ペナルティーを科すというようなことが行われなくちゃいけなかったということは言えると思います。 以上です。
鷲尾英一郎
42
○鷲尾
委員
一つ
は、
先ほど
先生がおっしゃっていた、
人材
の育成という観点でこれから
証券市場
を育成していかなきゃいけないという部分と、現実問題として、今も恐らく、法の抜け道を通って悪巧みをする、そういう
市場
参加者というのはいると思うんです。 そういう中で、では、今ある公的
機関
の連携、例えば
監視
委員会
、そして検察、そして
先ほど
も申し上げましたが、これは弁護士、
会計士
、税理士とかも含めて、
証券市場
自体をどういうふうに
監視
していくのかということを考えていかなければいけないと思うんですが、そこら辺の御所見もちょっとお伺いしたいんです。
郷原信郎
43
○
郷原参考人
やはりそこで重要になってくるのが、
包括条項
の積極活用ということだと思います。 今回の
ライブドア
の問題に関しても、上場当初からいろいろな問題があったということが比較的早くから指摘されていましたし、今回の
事件
の表面化の後にもいろいろ指摘されました。そういった行為に対して、
一つ
一つ
具体的な
規定
を設けて、その違反ということで取り締まっていくというのは、
証券市場
の実態ということを考えていくと、なかなか困難だろうと思います。そういう面で、アメリカで行われているような
包括条項
の
積極適用
を日本でももっともっとやっていかないと、公正な
市場
、公正な株価形成というのはなかなか
期待
できないと思います。 しかし、その場合に問題になってくるのは、それでは、日本の刑事司法のもとで、
罪刑法定主義
の制約の中で、果たして
包括条項
がそれほど
適用
できるんだろうかと。そうなりますと、やはり柔軟にペナルティーを科していく
手段
として、
課徴金
をもっともっと、その
性格
づけ自体も根本的に見直して、その
範囲
を拡大し、ペナルティーとしてもっともっと厳しいものにしていくという
方向
が必要じゃないかと考えております。 以上です。
鷲尾英一郎
44
○鷲尾
委員
もう
一つ
、
人材
の関連でちょっとお伺いしたいことがございます。 では、
人材
を育成しようとしたときに、今回の
法案
の
改正
というのは具体的にこの先にインパクトがあるものなのかどうかというところをちょっとお聞きしたいなと思うんです。
郷原信郎
45
○
郷原参考人
人材
の育成の問題というのは、
一つ
の法だけでそれが実現できる問題ではないと思いますし、
一つ
の省庁だけでそれが行えるものでもないと思います。
先ほど
申しましたように、例えば、
法科大学院
で
証券取引
、
金融取引
に関連する法の
専門
家を育てていくとすれば、これは文科省の問題でもあり、そしてそれが司法試験
制度
にも関連するということになると法務省の問題でもあり、さまざまな省庁に関連してきます。 だからこそ、こういった問題は、今後の公正な
金融市場
、
証券市場
をつくっていくために
教育
が必要なんだ、
人材
が必要なんだという問題意識を持っていただいて、政治の力でそれを何とか積極的に推進していただきたいと考えております。
鷲尾英一郎
46
○鷲尾
委員
大変貴重な
意見
をありがとうございます。
人材
をどう育成していくかというのはやはり政治主導であるということがよくわかりました。 そして、もう
一つ
なんですけれども、民主党の
改正
案は、
SEC
という組織を設けて、要するに包括的に
人材
を育成していこうという
方向
性ではあるんですが、この点についてのコメントもお願いいたします。
郷原信郎
47
○
郷原参考人
先ほど
申しましたように、アメリカ型の独立した
SEC
のような組織をつくっていくこと、これは目指す
方向
としては正しいと思います。今回
施行
された
会社法
も、
相当
程度アメリカ型のコーポレートガバナンスが採用され、その
前提
として、公正な
証券市場
が築かれていかないといけない。それは、やはりかなりアメリカの
制度
というものを意識して考えていかないといけないと思いますので、そういう面で、目指す
方向
としては正しいと思います。 しかしながら、組織をつくっても、その中に人が十分にいるかどうか、それによって、組織に魂が入るかどうかということは違ってくると思います。逆に、
人材
とかそういうノウハウが不十分なまま
枠組み
だけつくってしまって、それで事足れりということになってしまうと、肝心な
改革
が逆におくれてしまうということになりかねませんので、私は、むしろそういう
SEC
の
設置
ということを目指していくのであればなおのこと、
人材育成
の問題とセットで考えていただく方が効果的なんじゃないかと。 という
意味
で、現時点で
SEC
を
設置
しようということは必ずしも適切じゃないんじゃないかと考えております。
鷲尾英一郎
48
○鷲尾
委員
大変手厳しい御
意見
をちょうだいしました。ありがとうございます。 それでは、ちょっと
質問
の視点を変えまして、今回の
改正
についてです。
金融
商品販売法ができました。それがホップとして、ステップとして今回の証取法の
改正
があります。ジャンプとして
投資サービス
市場法
というのをつくろうということで
法案
の
改正
が大枠としてできているのかな、その大きな流れで動いているのかなという基本認識に立って、では、ステップである今回の証取法
改正
なんですが、余りにも利用者保護の視点がちょっと欠けているんじゃないかなというふうに思います。この証取法
改正
の
審議
に入りましてから、例えば商品先物
取引
がその
範囲
に入っていない、預金
取引
については除かれているということは、もう皆さん、さんざん議論されていますのでここでは申し述べませんが、利用者保護の視点について、ちょっと個別に先生の御
意見
を伺いたいことがございます。 というのは、今回、不招請
勧誘
というものについて、今後問題が頻発するということであるならば、その商品については個別的に政令指定か何かで禁止
規定
を置こう、
改正
していこうというふうにしておるんでございますが、果たして、そのホップ、ステップ、ジャンプのステップという位置づけ、そして利用者保護という観点から、今回の
法律案
がそういうことでいいのかどうかというところを、先生の御
意見
を伺いたいと思います。
郷原信郎
49
○
郷原参考人
不招請
勧誘
に関して行われるさまざまな
ルール違反
行為をどのようにして防止していくかということに関しては、さまざまなアプローチがあるんだろうと思います。 私は、
一般
的に申しますと、ルールを定めることも物すごく重要だと思いますけれども、やはり必要なことは、現場の営業の実態に合って、本当の
意味
のコンプライアンスを高めていく、具体的なケースにおいてどのようなやり方をとるのが本当の
意味
の
投資者
保護につながるのかということを、営業の現場の実態に応じて考えていくことの方が重要だと思っています。 そういう
意味
で、
法案
に盛り込まれている
内容
というのが、具体的にどこまで踏み込むかということに関して必ずしも十分じゃない点があるといっても、私はむしろ、営業を実際に推進していく側の
企業
の自主的なコンプライアンスの取り組みをもっともっと積極的にしていくための
制度
づくりの方も重要なんじゃないかと思っております。
鷲尾英一郎
50
○鷲尾
委員
企業
側のコンプライアンスというのが到底望めないような人たちによってやはり被害者というのは出てきているという認識の上に立って、では、その
制度
づくりというのを先生はどのような観点から行えばいいかというふうにお考えですか。
郷原信郎
51
○
郷原参考人
そこが、
先ほど
来出ておりました
内部統制
の問題にも
関係
してくると思います。
内部統制
という問題を、単純に、法令を守れ、ルールを守れというようなことで上が下に対して統制をきかせていくということではなくて、その
企業
、その組織全体が
一つ
の
方向
性、
目的
意識を持って、どうやって
社会
の要請にこたえていくのかということをまず
内部統制
として明確に意思決定する、そういったことを
会社法
、証取法の
枠組み
の中で実現し、それを中心にして、現場で起きている具体的な問題を解決していくという
枠組み
が重要なんじゃないかと思っております。
鷲尾英一郎
52
○鷲尾
委員
そういう
企業
ばかりだと不正も少なくて大変いいんじゃないかなというふうには個人的に思います。 次の
質問
に移らせていただきたいと思いますが、融資が絡む
金融
商品の販売についてちょっとお伺いしたいんです。 というのは、既にアメリカにおいては、変額年金に融資をつけて売るケース、これについての被害というのが多発しているんです。変額年金については、今回の
改正
でも当然不招請
勧誘
を禁止しています。禁止しているんですが、変額保険を融資つきで売った場合、融資、業者側から見ると貸し付けというんですかね、貸付業務は当然これは禁止されているんですが、
金融商品取引
業者については、貸し付けは禁止されているけれども、貸し付けの媒介等というのはこれはまだ禁止されていないんですね。 この点について、私なんかは手当てすべきだなとは思うんですが、先生はどういうふうにお思いでしょうか。
郷原信郎
53
○
郷原参考人
変額保険という商品は、そもそもどのような商品としての位置づけで、どういう
社会
的役割を果たすべきかということからまず考える必要があると思います。恐らく、変額保険という商品の
性格
からして、投機性を一層高めることになる融資との結びつきというのは、非常に大きな
社会
的な問題を引き起こす可能性があるということで、禁止の
対象
になっているんだと思います。 そういう
意味
では、変額保険と融資との結びつきがどこまで危険なものなのかということを、
先ほど
来言っておりますように、こういった問題にかかわる、こういう商品の営業にかかわる者全体が認識することが必要だと思います。その認識に立って、今おっしゃったような、禁止
規定
の一部に欠落があるんじゃないかというようなことも今後議論していかないといけないんじゃないかと思います。 以上です。
鷲尾英一郎
54
○鷲尾
委員
そんなにいい人ばかりじゃないと思いますので。やはり、高齢者に対する売り込み等を含めて、抜け穴があるということだと思うんです。その抜け穴を今回の
改正
で実は埋め切れていないんじゃないかというふうな疑念があるわけで、そういう観点に立った先生の御
意見
もちょっといただきたいんですけれども。
郷原信郎
55
○
郷原参考人
先ほど
来の私の答えている
内容
、何となく
企業
に対して少し甘い見方をしているんじゃないかというふうに見られているかもしれません。私のコンプライアンスに対する基本的な考え方は、本来、
企業
人というのは、そういう
社会
的な要請を鋭敏に感じて行動できる人であるはずだという認識に立って考えております。 実際には、確かにそうではありません。そうではないときに、単純に厳罰化とかルールをもう網の目のようにくまなく張りめぐらせれば、それを守れと命令すれば済むということではなくて、どうやってそのルールを実質的に生かしていけるかということが必要だと思いますし、今おっしゃったような、明らかに
法律
に不備があるという点を是正していかないといけないという
努力
はもう確かに必要だと思いますし、おっしゃるとおりだと思うんですが、基本的なスタンスとしてそういうような認識を持っておりますので、御理解いただければと思っております。
鷲尾英一郎
56
○鷲尾
委員
ありがとうございます。 もう一点、ちょっと別の件なんですが、
投資サービス
法がジャンプと考えたときに、ステップである証取法の
改正
なんですが、
先ほど
利用者保護の視点がちょっと欠けているんじゃないかなというふうなことを私申し上げました。 というのは、
一つ
、例えば訴訟外紛争
機関
というのがイギリスの方では知られている
制度
でございます。この件について
法案
の方では何も、要するに手当てされていない、今までどおり認定
投資者
保護団体に対して紛争解決を任せるということで、訴訟外紛争
機関
の改めての設立について何の言及もないわけですね。
法案
の最終形を考えたときに、このステップの
段階
でこういうことが手当てされていないというのは、これはジャンプまでにかなりの時間がかかるんじゃないかというふうに想像してしまうんです。少なくとも十年議論しているわけですから、この問題というのは。ですので、やはりもうちょっと踏み込んだ
改正
が必要だったんじゃないかなというふうには思うんですけれども、先生の御見解をお伺いしたいんですが。
郷原信郎
57
○
郷原参考人
その点についても、この
証券取引法
、
金融商品取引法
をどういう
法律
ととらえるのかということに関して、いろいろな考え方があるということをまず
前提
に頭に入れないといけないと思います。 私は、もちろん、
投資家
保護ということは、この
法律
の重要な
目的
であることは否定しませんけれども、余りに単純に
投資家
を保護すればいいという
方向
に偏り過ぎると、かえってこの
法律
全体の
性格
を見失ってしまうんじゃないかと。そういう面で、今回の
法律
の
目的
で明確にされたように、
市場法
だ、
市場
を公正にしていくんだ、そこで公正に株価を形成していくんだ、株価に限らずですね、価格を形成していくんだと。そうすれば、当然、それによって
投資家
も保護されるんだという観点が重要だと思いますし、そういう全体的なバランスの中で考えるべきだと思います。 そういう面で、
投資家
の保護という面に関して現時点でまだ十分じゃないという面もたくさんあろうかと思いますけれども、私は、むしろ不十分なのは、
市場法
としての
性格
を生かすための、さまざまな
ルール違反
に対する手当てとか、
監視機関
、
人材
の育成、そういったことの問題の方が全体としては大きいんじゃないかと考えております。 以上です。
鷲尾英一郎
58
○鷲尾
委員
先生がおっしゃるように、公正な
市場
参加者をつくる、そういう
方向
性で
法案
というのはつくっていかなきゃいけないんだなということを、きょう改めて認識した次第でございますが、
法案
自体に、いわゆるセーフティーネットと言われる部分にかなりの穴があるということもまた
一つ
事実でありまして、確かに、先生のおっしゃるような、
制度
設計の中で重要性としてはやっていかなきゃいけないんだけれども、セーフティーネットの部分で穴があいていれば、やはりそれもしっかりと閉じていかなきゃいけないということもまた事実だと思うので、その点、これから我々が
法案
審議
する過程において、また今先生におっしゃっていただいた
意見
をかんがみながら、
市場法
、そしてまたセーフティーネットの配備というものをしっかりとやっていこうというふうに認識した次第でございます。 きょうは、本当にありがとうございました。
質問
を終わらせていただきます。
小野晋也
59
○
小野委員長
以上で鷲尾君の
質疑
を終了いたします。 引き続きまして、
佐々木憲昭
君。
佐々木憲昭
60
○佐々木(憲)
委員
日本共産党の
佐々木憲昭
でございます。 両
参考人
におかれましては、大変御苦労さまでございます。 まず、カネボウの粉飾
決算
に加担をした今回の
事件
を初めとする一連の
事件
で問われているのは、
監査
される
会社
に対して
監査人
の独立性というものがしっかりと
確保
されていなかったという問題であります。
公認会計士協会
がことしの二月に最終変更をした「倫理規則の独立性(第十四条)の解説」というのを拝見いたしました。ここには、独立性に対する脅威として、自己利益、自己
監査
、癒着、擁護、脅迫、威圧などが挙げられております。 今回の
事件
は、このどこに問題があったと考えておられるか。これは
藤沼参考人
にお伺いします。 それから、
郷原参考人
には、今回の
事件
に関連をして、この独立性が
確保
されなかった理由をどのように考えておられるか、この点をまずお聞きしたいと思います。
藤沼亜起
61
○
藤沼参考人
カネボウのケースでございます。 独立性、佐々木
委員
のおっしゃるように、ここが一番スターティングポイントだというふうに認識しております。 カネボウの今回
処分
を受けた
会計士
たちがどのようにしてその独立性を失ったのか、どういうところに原因があったのかということなんですけれども、最終的には、
一つ
は癒着の問題があったというふうに思っておりますし、あと結果的には自己利益ということがあったんだというふうに思います。また、その
会社
を失うということに対する脅迫というか、
会社
の人がそれを脅迫したのかどうかというのは、直接的な脅迫があったのかどうかということはわかりませんけれども、間接的な脅迫
概念
があったのではないか。そういうことで独立性を欠いた。それで
会社
の
監査
に対応してしまったという、基本的なところで大きな誤りがあったのではないかということで、これはやはり重大な問題だというふうに認識しております。
郷原信郎
62
○
郷原参考人
私は、
公認会計士
に関する問題は、そもそも
公認会計士
という職業というのがどういう職業なのかというようなところを根本的に考え直してみる契機となるべき
事件
ではないかと考えております。 ちょうど、我々に
関係
の深い仕事として、弁護士という仕事があります。弁護士も
専門
職業人で、弁護士の場合は、依頼者から報酬を受け取ってその依頼者の利益のために
法律
事務を行うということになります。 それでは、
公認会計士
というのは、同じように依頼者から報酬を受けるわけですけれども、一方で、公認であるということで、公的なチェックの役割を任されています。そういう
公認会計士
の公的な役割と、依頼者の利益を図るという役割をどのようにして組み合わせていくべきなのか、そういう
公認会計士
制度
というそのものがこれからどのようになっていくべきなのか、そういう根本的な議論を行う
一つ
の契機にもなる
事件
ではないかと。まさに、独立性の
確保
ということも、そういう大きな視点から改めて考え直してみるべき問題じゃないかと考えております。 以上です。
佐々木憲昭
63
○佐々木(憲)
委員
今、
郷原参考人
おっしゃったこと、大変大事な視点だというふうに思うんですね。 独立性に疑いが持たれるような
関係
ということの
一つ
として、特定の関与先または関与先グループから継続的に受け取る報酬、これが収入の大部分を占めてしまうというような場合は、これは独立性に非常に大きな脅威を与えると思います。
公認会計士協会
の方では、五〇%を超える場合は問題があるというふうにされていますけれども、しかし、その五〇%というのもかなり高い水準ではないかと私は感じるわけです。といいますのは、今回の
事件
に関与した
監査法人
も、多くの大手の上場
企業
を
監査
しているわけであります。したがって、報酬としては五〇%よりもはるかに少なかったはずでありますが、癒着というような問題が生まれる。そこで、一社に対する依存度というだけではやはり十分ではないと思うんです。もちろん、それももっと下げる必要があると私は思うんです。 その点で、具体的に、今回の
事件
が発生した
中央青山監査法人
のカネボウの報酬というのは、この
監査法人
のうちのどのくらいを占めていたのか、事実
関係
としてもしわかったら教えていただきたいと思います。
藤沼亜起
64
○
藤沼参考人
この数字は、具体的に私つかんでいるわけではないですし、多分、
監査法人
の収入というのは四百億、五百億という数字になっていますので、その中で、多くても、せいぜい一億ぐらいの話ではないかなという感じがしていますので、パーセンテージとしては非常に少ないということだというふうに思います。
日本公認会計士協会
のルールとして、報酬に占める五〇%という数字なんでございますけれども、日本の
監査
事務所というのは非常に、特に中小の事務所の場合には、いわゆるフルサービスということでやるのが
一般
的なんですけれども、税理士業務は
監査人
ができないということで、そういう面で
監査
という立場からできないということで、ただ一方、税理士資格を取得することによってやっているというような問題がありまして、中小の事務所の人にとって、それを、税務とかその他のサービスを省いた上で
監査
の中に占める割合は何%という話になると、どうしても高い数字が出てしまう。
監査法人
では
先ほど
の五〇%は十分にクリアされるわけなんですけれども、そういう点の中小の事務所への一応配慮というものと、あと、税理士
業界
と
会計士業界
との業際問題というか、そこら辺の区分けの問題等の特殊要因があるということを御理解賜りたいというふうに思います。
佐々木憲昭
65
○佐々木(憲)
委員
比率だけでは問題は解決しないと思うので、それは大きな
監査法人
と小さな
法人
では全然対応が違うと思うんです。したがって、大きな
法人
の場合に
一体
何が必要かという点をぜひ考えていただきたいと思います。 具体的な
対応策
として、
先ほど
来のお話の中に、ローテーションの見直しとか、あるいはインターバル期間における前任
会社
の
監査
に
影響
力を及ぼすことを排除するというようなことに取り組まれているようですけれども、なおそれでも問題は解決していないわけですね。 この点について、今は七年と二年という形でありますが、アメリカの場合は五年・五年ということですね。もっとこれを具体的に、特定の
企業
に対する
監査
の期間を短くする、それから
監査
をしない間隔を長くする、この
関係
をアメリカ並み、あるいはアメリカ以上に厳しくすることが大事だと思いますが、その点はいかがでしょうか。
藤沼亜起
66
○
藤沼参考人
監査人
のローテーションというのは非常に大事なことだと思います。 そういう面で、カネボウ
事件
等を受けて、
公認会計士協会
は、
公認会計士
法で求められている七年・二年のいわゆるローテーションの
制度
にかかわりなく、ことしの四月以降は、七年以上の者がないように即座に、早期実施ということで各会計事務所に要請をしておりまして、その中で、特に
四大法人
については、七年・二年ということを当初要請したわけですけれども、やはり
社会
の
期待
、
会計士
の役割の重要性ということの認識から、ことしの四月以降、筆頭の業務執行社員、すなわちトップのパートナー、レビュー関与社員については五年のローテーション、そしてその他の関与社員については七年のローテーション、七年・二年、五年・五年、これはアメリカと全く同じ
制度
をことしの四月一日から
導入
いたしました。 それでは中小の事務所はどうなんだという話になるわけですけれども、中堅の事務所については、できるだけこれにフォローできるようにしてほしいということを要請しております。ただ、非常に小規模な事務所については、
監査人
自身が少ないから、そう簡単にローテーションといってもできないということで、これは品質管理レビュー等を
強化
することによって対応していこうということでやっておりまして、アメリカ並みのローテーションは四月一日から実行されているということでございます、
四大法人
についてはです。
佐々木憲昭
67
○佐々木(憲)
委員
それでは
最後
に、特定
企業
からの独立性を
確保
するという
意味
で、報酬の面ですね、
先ほど
も少しお話をいただきましたが、
企業
から報酬をもらってその
企業
の
監査
を行うというのは、これはなかなか微妙な
関係
であります。特定の
企業
との直線的な結びつきをどうしても排除しようということとそのことが矛盾することになるので、私も、昨年の十月二十八日でしたか、
藤沼参考人
にその点をお伺いしたことがございます。そのとき、議論が百出しております、ベストな解決策というものはまだ見出しておりませんというお話をいただきました。 それで、どんな議論があって、どうすればいいのか。これは
先ほど
も
郷原参考人
もそういう点を指摘されましたけれども、私は、報酬を受け取る
関係
の面で、何らかの独立性を高めていくような方策を考えていく必要があるのではないかというふうにずっと思っておりますが、この点について御両人のお考えを伺いたいと思います。
藤沼亜起
68
○
藤沼参考人
監査人
が独立
監査人
と言われていまして、独立
監査人
の
監査
報告書を出さなくてはいけない、それが
監査
する
企業
から報酬を得ているというのはおかしいではないか、これが
一般
的な
質問
で、確かにそういうようなことからすると独立性があるのかどうか、こういう疑問が投げかけられているわけです。
監査
制度
が発生してからです、これは日本だけではなくて海外でもそうなんですけれども、いつもこの議論はずっと議論されてきた問題でございまして、最近は、例えば
証券取引所
でお金を集めて、
証券取引所
がそれを分配したらどうか、
証券取引所
はそれは嫌だと言っていますけれども、そういうようなこととか、あるいは公的
機関
が集めてそれを分配したらいいだろうかとか、あるいは保険
会社
、保険でクレームが、いわゆる
監査
訴訟があって保険を払うわけですから、
監査
事務所と
企業
の問題は一番詳しいだろうから保険
会社
がそれをやったらどうか、これはアメリカの会計学会なんかで議論をしたわけですけれども、みんなこれらの議論は余り実態が伴っておりませんで、議論倒れという形になっております。 今、実際、それに対する実質的な解決策として、実効が上がるものとして言われているのは、やはり
会社
のコーポレートガバナンスを預かる
体制
をもう一度きちっと見直して、
会社
のコーポレートガバナンスの中に、取締役会の中に外部取締役がいる、取締役から、
会社
の経営陣から独立した
監査役
、その人がオン・ビハーフ・オブというか、株主あるいはその他の利害
関係者
の利益のために行動する、経営陣を
監視
する、そのような
監査役
、あるいは
監査役
会、
監査
委員会
が
監査
報酬を決定する。これは、アメリカの
企業
改革
法以降、アメリカのオーディットコミッティーはすべて外部取締役。私の友人なんかでこのオーディットコミッティーのチェアマンをやっている元
会計士
が結構多いわけですけれども、彼らに聞くと、すごくまじめに、このごろ時間数も飛躍的にふえて、かなりやっているということ。 そういう面で、やはりコーポレートガバナンスのストラクチャーを実質的に変えて、
監査役
会がきちっと
外部監査人
と
監査
報酬を決めて払う、こういう
制度
をするのが一番実現可能性があるのではないかというふうに思っております。 以上です。
小野晋也
69
○
小野委員長
郷原参考人
、ちょっと時間が過ぎておりますので、簡潔にお願いいたします。
郷原信郎
70
○
郷原参考人
もし
公認会計士
の仕事が、厳格なルールを単に守らせるだけ、チェックするだけということであれば、これは国の側で報酬を支払って、国の側の、むしろ公務員としてやればいい仕事だと思います。ですから、そういう仕事ではないということがまず
前提
なんだと思うんですね。やはり
公認会計士
の仕事というのは、会計基準の中でいろいろな解釈を、
企業
の側に立って、ある程度
監査
というものをそういう立場でやるということがあるから、
公認会計士
の仕事なんだと思います。 そういう面で、最終的にはこの問題というのは、報酬をもらっているからそれだけで何か疑われるというだけじゃなくて、
公認会計士
の
業界
における倫理の確立というような点がこれから重要な問題になっていくんだと思いますし、そういう面で、今これだけ大変な批判を受けた中で、
業界
の中で自主的な改善の
努力
が行われているわけですから、まずはそういう自主的な改善の
努力
を見守ることというのが重要なんじゃないかと思っております。 以上です。
佐々木憲昭
71
○佐々木(憲)
委員
時間がありませんが、
最後
に一言だけ。
中央青山監査法人
の奥山
理事
長と三井住友
銀行
の西川前頭取、ぜひ
参考人
として当
委員会
にお呼びいただきたいと思います。
小野晋也
72
○
小野委員長
はい。これは
理事
会での協議とさせていただきます。 以上で
佐々木憲昭
君の
質疑
を終了いたします。 これにて
参考人
に対する
質疑
は終了いたしました。 一言
参考人
に対して御礼を申し上げたいと存じます。
参考人
におかれましては、お忙しい中、当
委員会
に御
出席
をいただきまして、適切かつ要点を踏まえた御
意見
をちょうだいいたしまして、深く御礼申し上げたいと思います。
委員会
を代表いたしましての御礼といたします。ありがとうございました。(
拍手
)
—————————————
小野晋也
73
○
小野委員長
引き続き、
内閣提出
、
証券取引法等
の一部を
改正
する
法律案
、
証券取引法等
の一部を
改正
する
法律
の
施行
に伴う
関係法律
の
整備等
に関する
法律案
及び
古本伸一郎
君外六名
提出
、
証券取引委員会設置法案
並びに
小沢
鋭仁君外二名
提出
、
証券取引法等
の一部を
改正
する
法律案
及び
証券取引法等
の一部を
改正
する
法律
の
施行
に伴う
関係法律
の
整備等
に関する
法律案
に対する両
修正案
を議題といたします。 この際、お諮りいたします。 各案
審査
のため、本日、
政府参考人
として
金融庁総務企画局長
三國谷勝範
君、
金融庁総務企画局総括審議官
中江公人君、
金融庁証券取引等監視委員会事務局長
長尾和彦君、
経済産業省商務情報政策局消費経済部長
谷みどり君の
出席
を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
小野晋也
74
○
小野委員長
御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
—————————————
小野晋也
75
○
小野委員長
質疑
の申し出がありますので、順次これを許します。宮下
一郎
君。
宮下一郎
76
○宮下
委員
自由民主党の宮下
一郎
でございます。 今回の
証券取引法
改正
につきましては、本日までの
質疑
を通じまして、さまざまな面から多角的な議論が展開されてまいりました。本日は、これまでの議論を踏まえまして、主に今後の
金融商品取引
並びにこれをサポートする
体制
の
あり方
につきまして考え方をお伺いしていきたいと考えております。 今回の法
改正
の
目的
は、
金融
資本市場
の環境変化に対応して、
投資者
保護のための横断的法制を
整備
することによりまして、利用者保護ルールを徹底して、
市場
機能の
強化
を図ることにあると考えております。このうち商品先物及び不動産特定事業につきましては、今回の
法案
におきまして、それぞれ
商品取引
所法と不動産特定共同事業法の
改正
を行い、
金融商品取引法
と同レベルの行為
規制
を入れることで
規制
の横断化を実現するということになっております。このことに対しましては、これで横断化がしっかりと
確保
されるのか、こういった議論も聞かれたところでございます。 つきましては、今回の
法案
では、これらの
法律
につきまして、具体的に現状と比べてどのような点で
規制
を
強化
し、レベルの同一化を図ろうとしているのか、また、今後の
制度
運用
の
段階
におきましては、やはり所管
官庁
の連携をとりながら対応していくことが必要と考えますけれども、こうした連携についてどのように考えているのかについてお聞かせをいただきたいと思います。 〔
委員長
退席、七条
委員長
代理着席〕
三國谷勝範
77
○三國谷
政府参考人
お答え申し上げます。 今回の
法案
におきましては、同じ経済的性質を有します
金融
商品には同じルールを
適用
するという基本的考え方のもとで、
投資
性の強い
金融
商品を幅広く
対象
といたしまして、行為
規制
の横断化を図ることとしているところでございます。 御指摘の商品先物
取引
につきましては、今回の
法案
において、
商品取引
所法の一部を
改正
し、
一つ
は、広告等の
規制
、
取引
証拠金等の受領に係る書面の交付義務及び虚偽告知の禁止を新たに追加し、また、損失補てん等の禁止、適合性の原則等の
内容
につきまして、
金融商品取引法
の
規定
と整合性のあるものに
改正
することとしているところでございます。 また、不動産特定共同事業につきましても、
法案
におきまして、不動産特定共同事業法の一部を
改正
いたしまして、
金融商品取引法
におけます損失補てん等の禁止や適合性の原則の
規定
の準用等を行うこととしているところでございます。 これらによりまして、
商品取引
所法及び不動産特定共同事業法のいずれにおきましても、
現行法
において既に
規定
されている
規制
とあわせまして、
金融商品取引法
との行為
規制
の同等性が
確保
され、
規制
の横断化が実現されているものと考えているところでございます。 御指摘の、今後の
制度
運用
でございます。御指摘のとおり、所管省庁間でしっかりと連携をとることが必要と考えており、
金融庁
といたしましても、
関係
省庁との連携協力に努めてまいりたいと考えているところでございます。
宮下一郎
78
○宮下
委員
次に、
監査法人
制度
の
あり方
についてもお伺いをしたいと存じます。
監査法人
をめぐりましては、
先ほど
日本公認会計士協会
の
藤沼
会長からも御
発言
がありましたけれども、カネボウ
事件
、
ライブドア事件
など、その信頼を揺るがしかねないさまざまな問題が生じております。これに関して、四月二十六日より、
金融
審議
会におきましても
監査法人
制度
の
あり方
に関する検討が開始されたと伺っております。 いずれにしましても、
金融
当局において真剣な検討を進めていただくことが必要だと考えますが、どのような論点について検討を行っていくのか、具体的にお聞かせをいただきたいと存じます。
与謝野馨
79
○与謝野国務大臣
公認会計士
、
監査法人
は、
企業
財務情報の
信頼性
の
確保
に当たり極めて重要な役割を担うものであり、御指摘のような、
監査法人
や
公認会計士
の信頼を揺るがしかねない事態が生じていることについては、真摯に受けとめる必要があるものと考えております。
金融庁
としては、これまでも平成十五年に
公認会計士
法を
改正
するなど、
公認会計士監査
の充実
強化
に努めてきたところでございますが、今後ともさらなる
努力
を積み重ねていくことが必要であると考えております。 この点につきましては、既に、去る四月二十六日に
金融
審議
会
公認会計士
制度
部会を再開し、
監査法人
制度
の
あり方
等についての総合的な検討に着手したところでございます。
審議
会における具体的な検討項目については、今後
審議
を進めていく中で固まっていくものと考えておりますが、例えば、
監査法人等
における
監査
の品質管理、ガバナンス、
監査人
の地位の
強化
、
監査法人等
の監督
責任
の
あり方
等の多岐にわたる論点が存在をいたします。 いずれにいたしましても、今後同部会においては、
監査法人
制度
の
あり方
等について幅広く御
審議
をいただきたいと考えております。
宮下一郎
80
○宮下
委員
今回の法
改正
の
目的
は、横断的なこうした法
整備
に加えまして、不公正
取引
を排除した健全な
市場
を形成していくことによりまして利用者保護を徹底するということにあると考えます。 そうした観点から、
市場
の
監視
体制
についてお聞きをしたいと思います。 現行の
課徴金制度
では、
インサイダー取引
、
相場操縦
、風説の流布などの不公正
取引
や、有価
証券
届出書、
有価証券報告書等
の
虚偽記載
をその
対象
としておりますけれども、これに加えて、今回の
改正
では、
相場操縦
の一類型としまして、いわゆる見せ玉についても
対象
とされることになっております。 こうした
取引
のうち、特に
インサイダー取引
や見せ玉などの不公正
取引
につきましては、今後、プログラム売買でありますとか個人によるインターネット
取引
の増大など、ますます増加する日々の大量の
取引
の中から当該
取引
を確定して立証するというのは技術的、物理的に困難になってくる、そうした面も予想されるところでございます。 つきましては、今回の法
改正
や現状を踏まえました上で、
証券取引所
並びに
証券取引等監視委員会
におきまして、それぞれどのような
体制
整備
を考えておられるのか、お伺いをしたいと存じます。
長尾和彦
81
○長尾
政府参考人
監視
委員会
でございますけれども、御案内のとおり、常日ごろから幅広く
証券市場
に関する資料、情報を収集、分析しまして、こうした中で御指摘の
インサイダー取引
やいわゆる見せ玉といった
相場操縦
等の法令違反に該当する事実があると疑われる場合には調査を行っているということでございます。 特に御指摘のございました
課徴金
に係る調査につきましては、効率的、効果的な
課徴金
調査を実施すべく、この
課徴金制度
が
導入
されました昨年の四月に私どものところに
課徴金
調査・
有価証券報告書等
検査室を新設しまして、またこの十八年七月、来る七月には同室を課
体制
とする、こういう予定であるなど、その
強化
を図っているところでございます。 また、近年、グローバル化の進展、あるいは先生御指摘のとおり、インターネット
取引
、こういったものの普及、拡大等に伴いまして、
取引
も大変大量、複雑化しているところでございますけれども、
監視
委員会
といたしましては、従来より、そうしたことについての問題意識を持ちまして、不公正
取引
に対する取り組みといたしまして、
取引
所等との連携やあるいは私どもの調査手法の向上、こういったものに努めているところでございます。 今後とも、
監視
委員会
といたしましては、新たにこういった与えられた権限の行使や定員等の
体制
整備
も含めまして、創意工夫を凝らしながら、公正な
市場
の
確保
と
投資者
保護ということに最善を尽くしてまいりたいと考えております。
三國谷勝範
82
○三國谷
政府参考人
取引
所につきましてお答え申し上げたいと存じます。
取引
所は、
法律
におきまして一定の
自主規制
機能を遂行することとされております。不公正
取引
の発見を含む
市場
監視
の面におきましても、
取引
の現場に近いところで
市場
の実情に応じましたきめ細かい対応を行うことによりまして、公正な
市場
の実現に寄与することが
期待
されているところでございます。 こういった観点から、各
取引
所におきましては、人員拡充や研修の実施などを通じまして売買
審査
体制
の拡充
強化
に努めているものと承知をしておりますが、
市場
動向や
取引
形態の変化などを踏まえまして、引き続き
体制
強化
に取り組んでいくことを
期待
しているところでございます。 また、
証券市場
の公正性、透明性の
確保
のために
証券取引等監視委員会
と
自主規制
機関
との間で緊密な連携が行われているところでございますが、引き続きこうした
努力
が行われていくものと
期待
しているところでございます。
宮下一郎
83
○宮下
委員
それでは
最後
に、今後目指すべき
金融行政
組織の
あり方
についてお伺いをしたいと存じます。 本日御
質問
させていただいたことを通じましても明らかなように、今回の法
改正
の
目的
を実現するためには、それに対応した
体制
の
整備
充実が必要であると思います。 充実という点では、定数の
確保
ももちろん重要でございますけれども、同時に、
先ほど
の
郷原
先生のお話にもございましたように、
市場法
教育
を充実してそうした
人材
を
確保
することによって職員の
専門
性を
確保
するといった質の向上も大切であるということは言うまでもございません。さらに、行政組織の
あり方
を長期的な視点で考えて、そのあるべき姿に向かって着実に前進していくことが今求められているのではないかと考えます。 これからの
金融行政
組織の
あり方
につきましては、個人的には、
証券
部門のみを分離する米国
SEC
型の組織を目指すのではなくて、
金融
のコングロマリット化に対応する形で
金融
商品を横断的に取り扱う、むしろ英国FSA型の組織として
金融庁
全体の機能
強化
を図るのが望ましいのではないかと考えておりますが、お考えをお聞かせいただきたいと思います。 〔七条
委員長
代理退席、
委員長
着席〕
与謝野馨
84
○与謝野国務大臣 近年、
金融
サービス
分野
においては、業態横断的な販売チャネルの
一般
化、業態を超えた融合商品の出現、
銀行
、
証券
、保険等を傘下におさめた巨大な
金融
グループの出現といった流れが進展をしております。 こうした流れを踏まえますと、業態ごとに異なる行政機構が存在し別々に監督を行う
体制
では、
一つ
は利用者の保護の徹底や、第二には巨大
金融
グループ特有のリスクの把握等に十分対応し切れないおそれもあると考えられております。 なお、今般の
金融商品取引法案
により、幅広い
金融
商品・サービスについて横断的な
制度
の
整備
が図られることを踏まえれば、まずは
市場
監視
体制
の一層の
強化
に向けて必要な
体制
整備
を図ってまいりたいと考えております。 その上で、二月十七日の自民党政務調査会
金融
調査会の御提言なども踏まえ、安定かつ活力ある
金融
システムの構築と幅広い利用者保護の
確保
に向けて、業態横断的な組織を基本としつつ、諸外国の
市場
行政を含めた
金融行政
機構の状況等も参考にしながら、引き続き我が国における望ましい
金融行政
組織の
あり方
を議論していくべきではないかと考えております。
宮下一郎
85
○宮下
委員
今回の法
改正
を契機としまして、公正、効率、透明かつ活力ある
金融
システムの構築が進むことを願いまして、
質問
を終わらせていただきます。 ありがとうございました。
小野晋也
86
○
小野委員長
宮下
一郎
君の
質疑
を終了いたします。 引き続きまして、
古本伸一郎
君。
古本伸一郎
87
○古本
委員
民主党の
古本伸一郎
でございます。 政府におかれましては、連日の御対応、大変お疲れさまでございます。 本法も、仮に通るということになれば、大臣におかれましては間接
金融
から直接
金融
へという
政策
誘導を、政府もかじを切っているわけでありまして、その
意味
では、この法
整備
が滞りなく行われれば、直接
金融
へと大きなかじを切る
政策
転換を図る上において、その道具立てとしては、法の立てつけとしては十分な法
整備
が図られることになるというふうに理解をなさっておられるでしょうか。
与謝野馨
88
○与謝野国務大臣 いろいろな議論はございますけれども、今般のこの
法律
改正
は、公正な
取引
の
確保
あるいは
投資家
の保護また情報の開示の
あり方
等について、まだまだ議論の余地はありますけれども、
金融庁
としては、現
段階
におけるベストのことを
国会
にお願いしていると考えております。
古本伸一郎
89
○古本
委員
ただいま大臣から
投資者
保護という話がありました。これは、
投資家
の保護に関して申し上げれば、契約の相手方に対してその保護を図るということだと思うんです。 ただ、一方で、ではマーケットの、
市場
の保護はだれがやるかということになるわけであります。マーケット全体の保護というのは
一体
だれがやっているんでしょうか。
与謝野馨
90
○与謝野国務大臣 まず、
市場
につきましては、
市場
における価格形成が適切に行われるということは常に我々
全力
を挙げなければならないことであると思っております。それと同時に、やはり、例えば日本の東京
市場
、大阪
市場
を含めた
市場
が他の国の
市場
に負けないだけの
信頼性
あるいはサービスの
内容
等を持っていなければならないと思っております。
市場
をだれが保護するのかという大変難しい御
質問
でございますけれども、私どもとしては、日本における
市場
の健全な育成にはこれからも努めていかなければならないと思っております。
古本伸一郎
91
○古本
委員
マーケットの保護は今だれがやっているかということにつきましては、いろいろな議論があると思います。私は、少なくとも、マーケットがおかしくなると
投資者
以外の人にも
影響
が起こる、つまりは国民全体に
影響
のある大変大きな話になると思います。 その
意味
で、
市場
が機能しなくなったこの一連の、昨今の、例えば東証が停止をした、あるいは
ライブドア事件
があった等々を見たときに、実はマーケットが機能不全になると一番困る利害
関係
人というのは
一体
だれなんでしょうか。株を持っていない
一般
国民も大きく国民生活に
影響
がある、そういうものだと思います。それより何よりも
影響
のあるのは
一体
だれなんでしょうか。
与謝野馨
92
○与謝野国務大臣 先生御指摘のように、例えば
市場
が機能しなくなりますと、売りたい人、買いたい人が自分の意思に従っての
取引
ができなくなるという直接的な
影響
のほかに、マクロで考えますと、
市場
を通じまして資源の適正な配分というものがなされるということが
市場
機能の最も大きなものであると考えますので、それはやはり、
市場
が機能しない、あるいは
市場
が一時的にでも機能しなくなるということは、日本経済にとっては大きなマイナスでございますし、また日本の経済の対外的な
信頼性
という観点からも大変大きなマイナスになると考えております。
古本伸一郎
93
○古本
委員
実は
市場
の最大の利害
関係
人は政府じゃないんでしょうか。株が上がり、小泉さんが去年の総選挙で再選され、その後、日経平均がずっと安定的に上がってきた、これを最大に享受されておられるのは政府にほかならないんじゃないでしょうか。つまり、マーケットは上がれば上がった方が、国の
政策
においてこれほどありがたいことはない。 そのことを考えましたならば、この利害
関係
人である政府が
市場
に関与し続ける必要があるのかどうかという大変大きな議論があるわけであります。つまり、午前中の
参考人
の
質疑
を通じましても、
会計監査
の話でも大変示唆に富んだ話を承りました。
自主規制
機関
というものがあります。一方で、
監視
委員会
という機能の
強化
を今我々は主張しております。そして、
金融庁
という監督権を持った行政庁があります。それぞれの役割が、ある
意味
抜け穴があった中で、今回の
ライブドア事件
に見るような、ぽてんヒットというか、ヒットという言い方はよくないですね、結果として大変な事案が起きてしまったという理解に立つわけであります。 そこで、大臣にお尋ねするんですが、政府が実は
市場
の最大の利害
関係
人ではないんでしょうか。
与謝野馨
94
○与謝野国務大臣
市場
の機能がきちんと発揮されていくということは、日本経済を考えれば、政府が最も重大な関心を持たなければならない、そういう
意味
では、
市場
が健全に働くということに、政府あるいは
金融行政
を担う
金融庁
としては、大変大きな関心、最も重要な関心を払っていくことだろうと思っております。 ただ、例えば株価が上がる下がるということに関しましては、それは
市場
の中で適切な価格形成がなされているということが保証されればいいことでございまして、上がること下がることについての善悪の判断というものは政府においてはないんだろうと思っております。
古本伸一郎
95
○古本
委員
今回の
対象
商品に、議論になっております商品先物が入っていなかったり、いわゆる預金が入っていなかったりいたしております。今後の
課題
として、これらのことはまだ積み残したという理解でいらっしゃいますでしょうか。
与謝野馨
96
○与謝野国務大臣 今後、商品先物
取引
等については、他の
法律
、他の役所の
分野
として残してあるわけでございますが、
委員
御承知のように、同じルールを
適用
するという面では
一体
的な
規制
というものが実現されるわけでございます。ただ、将来像がどうなるかということはまだまだ議論の余地はある、そのように思っております。
古本伸一郎
97
○古本
委員
ライブドア
の
事件
が起きたときに、ニッポン放送株の時間外買い付けがあったときに、その買い付けのあった日からわずか数日後に、きょうやっと伊藤さんに座っていただきましたが、当時の伊藤大臣が法の解釈を
一般
論としておっしゃられた。あのときの行政庁の
責任
者であったのは政府であった、そして
金融庁
であった。 一方で、そのことを受けて、幾つかのいろいろな疑わしい情報があって、立入検査を行ったか、あるいは事情聴取を行ったか、先回の
委員会
で確認いたしました。それは個別の事案でお答えできないと言った。これをやるのは
監視
委員会
であると。 一方で、大臣は、当時、御党の
政策
担当の最高
責任
者として、果たして出会い頭にこれほどのものがぶつかり合うんだろうかという疑問を大変抱いておったとおっしゃっておられた。だけれども、司法の判断は、ああ、こういうふうに判断なさるのかと思って尊重することにしたと。
一体
だれが
市場
の本当の番人としてきちっと見ていくことができるのかというと、これはすぐれて実は
自主規制
で賄っていかないと、人の心の中には入っていけない領域があると私は思っています。したがって、
SEC
法案
を出して
強化
をしていくという議論ももちろんあると思いますが、それと同時に、
一体
だれが
市場
の利害
関係
人であるかということは大変大きな問題だと思っています。 その
意味
で、政府が、
内閣
総理大臣が任命し、その委任を受けた
監視
委員会
の
委員長
が、そしてまた委任をした地方財務局の検査官が実際に物読みをしたり立入検査をしたり、そういう機構である限りは、一番の長が実はマーケット最大の利害
関係
人であったとするならば、これはゆがめられるんじゃないかという問題意識を持っている。つまりは、独立した何かをつくらなきゃいけないんじゃないかという問題意識から、我々は
証券取引
委員会
の
設置
を
提出
してきたわけであります。 先回の
委員会
の中で同僚
議員
から、
金融庁
あるいは財務省からの直接の天下りの状況に対する資料の要求も残念ながらいたしまして、今、鋭意当局の方で調べていただいているやに伺っておりますが、ちょっと見ただけで、例えばこれは人事院の平成十五年の営利
企業
への就職の承認に関する年次報告でありますが、直接行っています、
証券会社
に直接行っておられる。
金融庁
監督局あるいは
金融
証券
検査官、
証券取引
検査官、こういう人々というのは、まさに審判官というかアンパイアの役割をしておられる
方々
なんじゃないんでしょうか。直接行っておられますよ。 もちろん、アメリカの
SEC
等々を見れば、人事交流をし、そういう技術にたけた人をもらうことによって互いに切磋琢磨するという面もあると思います。それは独立した
機関
だからやれることでありまして、現状のように、
金融庁
の中に監督権を残しながら、そして
監視
だけをやる
監視
委員会
があり、そしてその
委員長
はこの
委員会
に来ていただけないじゃないですか。高橋
委員長
はあれだけいろいろなことを言っておられますけれども、ただの一度も
質問
できない。伺いますれば、三条
委員会
じゃないからここに呼べないということの御説明をいただきました。まさにそうであります。政府答弁者として登録していないからであります。片や天下りを看過し、そして片やこの
委員会
の場で、さまざまな事案があって、その事実をただしたいというふうに申し上げても、その当人が来られない、事務局しか来られない。ちぐはぐな感じがいたします。 その
意味
で、再三申し上げた、実は政府が
市場
の最大の利害
関係
人である限りは、今のこの
監視
委員会
の機構には限界があると感じております。まとめて御所見を求めたいと思います。
与謝野馨
98
○与謝野国務大臣 利害
関係
人というのはどういうふうに解釈していいのか迷っておりますけれども、
市場
が健全な発展をするということに関しては、経済的な利害ということは別にいたしまして、政府も
金融庁
も、
市場
の健全な維持発展ということは当然のことながら最大の関心事であるということはおわかりいただきたいと思っております。 そこで、先生の御主張は、多分、
市場
行政を独立した三条
委員会
に担わせるべきとの御提案だと私は理解しておりますけれども、
一つ
は、行政権は
内閣
に属しているということ、また、
内閣
は行政権の行使について
国会
に対して
責任
を負うことを踏まえますれば、
市場
にかかわる
制度
の企画立案や、
取引
所、
証券会社
等に対する検査監督を担う行政
委員会
を新たに
設置
することについては、慎重な検討が必要であると考えております。
古本伸一郎
99
○古本
委員
もしそうならば、行政権は
内閣
にありそして行政庁にあるということであれば、思い切って、
金融庁
に監督権そして
監視
権も含めてというやり方も逆にあるのかもしれないと思っております。 いずれにいたしましても、この
委員会
の
質疑
を通じ、連日傍聴に来ておられる
方々
もおられたようにお見受けいたしましたし、
一般
の
投資家
の皆さんはもとより、いろいろな面で
金融
商品の被害に遭い、そして苦しんでおられる方もこれは一方でおるわけでありますから、今後も当
委員会
での議論を深めていただきますことを切にお願い申し上げまして、
質問
を終わります。ありがとうございました。
小野晋也
100
○
小野委員長
以上で古本君の
質疑
を終了いたします。 続きまして、
小沢
鋭仁君。
小沢鋭仁
101
○
小沢
(鋭)
委員
民主党の
小沢
鋭仁でございます。 いよいよ当
法案
の
審議
も大詰めであります。その
段階
で冒頭一言申し上げておきたいと思いますが、重要広範議案であるこの
法案
の
審議
において、総理
出席
がなかったこと、大変遺憾に存じております。 たまたまきょうの新聞、何新聞か忘れましたが、記者さんが書いている記事の中で、小泉総理に関して、小泉総理の盟友であられる山崎拓
議員
が、総理が就任したころ、オフレコとして小泉さんという人は驚くほど
政策
を知らない人だ、こう言っていたという記事があって、皆さんもお読みになったかもしれませんが、私も、そうかな、こう思いながら読ませていただきましたが、そういう総理にはこういう重要な
法案
審議
の場にぜひ出てきていただきたかったということを改めて申し上げ、ただ、同時に、
委員長
、与党の皆さん方が御
努力
いただいたことも十分認識しておりますので、政府の皆さんにはぜひとも今後御勘案をいただきたい、冒頭申し上げておきたいと思います。 まず、いろいろな議論がありました。最終
段階
なので少し大くくりの議論をさせていただきますが、この
法案
は、
金融
商品についての横断的な法、こういうことであったわけでありますが、
先ほど
来の議論にも出ておりますように、
銀行
、保険の
一般
的な商品だとか、あるいは商品先物だとか、そういったものが含まれていない。
金融
審の
審議
においては、これも
先ほど
の議論で出ておりましたが、ホップ、ステップ、ジャンプのステップの
段階
だ、こういう話であります。ジャンプの姿が既に見えているのであれば、なぜそこに一気に行かないのか、こう思うんですね。いわゆる
金融
ビッグバンと言われて、平成九年くらいからでしょうか、九年、十年をスタートに
金融
システム
改革
が続いてきておりますが、かれこれ十年ですよ、十年。 片や、例えば
金融
ビッグバンを
最初
に行ったと言われているイギリスは、当時、国際的な
金融
の世界の中でイギリスのシティーの地位が著しく沈下した、その危機感の中で
金融
ビッグバンを行って、ついでに言っておきますと、この
委員会
の所管ではありませんが、シティーの都市開発も見事に行って、いわゆる国際
金融
の中でシティーの、
金融
センターとしての地位を確固たるものにしました。 日本はどうなんですか。アジアのまさに
金融
センターとしてしっかりしたものをつくっていく、そういう政治的な戦略目標がなければおかしいと私は思っているわけでありますが、さっき申し上げたような、まさにそういう
政策
がわからない指導者のもとでは、そういった政治的戦略というのが成り立たない、こういうことなんだろうと思いますが、余り持論だけ言っていても仕方がありませんので、与謝野大臣に御
質問
申し上げますが、既に将来のジャンプの姿が見えているにもかかわらず、なぜこんなに
改革
のスピードが遅いのか、そのことについて御
質問
させていただきます。
与謝野馨
102
○与謝野国務大臣 一歩一歩着実に物事を進めていくというやり方も私は
一つ
のやり方ではないかと思っておりますけれども、
小沢
先生御指摘のとおり、
金融
審議
会の第一部会においては、昨年末の報告書の取りまとめに向けて、預金、保険全般を
対象
に含む、より包括的な法制に関する議論がなされてまいりましたけれども、まだ議論が分かれているところでございます。他方、日本の
金融
資本市場
をめぐっては、現行では実効的な対応が困難なものを含めまして、種々の利用者被害事例が生じております。 このため、法
規制
のすき間を埋め、利用者保護ルールの拡充により、さらなる利用者被害の拡大を防止することが喫緊の
課題
であると考えております。こうした観点から、
金融
審議
会の第一部会報告においても、まずは
投資
性のある
金融
商品について早期の法制化に取り組むことが必要との御指摘をいただいたところでございます。 これを受けまして、今回の
法案
では、同じ経済的性質を有する
金融
商品には同じルールを
適用
するとの基本的な考え方のもと、預金、保険のうち、外貨建て商品や変額商品など
投資
性の強いものについて、
銀行
法及び保険業法等において
金融商品取引法
の販売、
勧誘
ルールを準用する等
規制
の同等性を
確保
することとしております。これによりまして利用者保護のための横断的な法制が
整備
されるものと考えております。
小沢鋭仁
103
○
小沢
(鋭)
委員
余り細かい
質問
はしませんので、与謝野大臣、どうぞ大臣のみずからの見解をお話しいただければと思います。 今大臣のお話にもありましたが、いわゆる
政策
的な詰めが詰まっていないという話ではないと私も思いますね。問題は、その
政策
的なビジョンはジャンプの
段階
で見えているんだけれども、そこに至るいわゆる利害
関係者
の調整ができていない、そういう話に私には見えてならないんですね。ということは、まさに政治のリーダーシップの問題だと私は指摘を申し上げておきたいと思います。 その
意味
で、例えば、今大臣がおっしゃっていただいたような具体的な話も今後詰めていただくとして、とにかくスピードアップをしていただきたい。なかなか世の中の、まさに特に経済の、ITをある
意味
では駆使した
金融
の部門の流れは予想以上に速いですから、その
意味
ではぜひスピードアップを図っていただきたいということを申し上げておきたいと思います。 今大臣からも次の話もありましたので、二番目に通告した問題は割愛させていただきます。 三番目に通告をした問題でありますが、いわゆる
規制
緩和を行って
自由化
を進めていく、我々も大賛成であります。 一方で、
自由化
を進めていくときには、当然、片方のところでしっかりしたチェックを行っていって、そして公正な
取引
、公正な
社会
というものを
確保
する。片方で
自由化
を進めれば、当然ながらチェック機能をしっかりする、これが大事な話だ、こういうふうに思っているわけでありまして、その
意味
で、我々は今回、
証券取引委員会設置法案
を
提出
させていただきました。しかし、なかなか政府の皆さんからは御
評価
をいただけないわけでありますが。
先ほど
来のお話にもありましたように、三井住友の
不祥事
、あるいは
中央青山監査法人
の
不祥事
等々、幾つか続発をしています。こういう
金融
事案が続発をしている中で、今のチェック
体制
、まあ、
証券取引等監視委員会
だけが扱う部門ではないかもしれませんが、このチェック
体制
で本当に十分なのか、大臣の本音を聞かせてもらいたいと思います。
与謝野馨
104
○与謝野国務大臣 完全とは言いませんけれども、十分な
体制
は整っていると思っております。ただ、欲を言えば、もう少し人の数をふやしていただきたいというのが
金融庁
全体あるいは
証券取引等監視委員会
の本音でございます。ただ、定員管理、あるいは公務員の人数を減らすという全体の
方向
がございますので、そういう中で人員の充実を図っていくということは大変困難でございますけれども、やはり
市場
の健全な育成、
投資家
の保護ということを考えれば、さらに量的な面でのチェック
体制
の充実ということは図っていかなければならない、そのように思っております。
小沢鋭仁
105
○
小沢
(鋭)
委員
今の与謝野大臣の、今の
体制
でほぼ十分だというお話は、まあ、当然
責任
あるお立場ですから、
国会
の場、こういうこともあってそういう御答弁しかなさらないのだろうと思いますが、ふだん、あるいはまたこれまで与謝野大臣と私も何回か話をしてまいりましたけれども、そういう大臣の御見解としてはいかにも陳腐な見解だな、本来であればもっと違った見解があり得るのかな、こう思って
期待
をしておりましたが、大変残念でありました。 いずれにしても、時間であります。
最後
に、私ども民主党は、まさに
監視
委員会
を含めて、片方でしっかりした
自由化
を行う、片方でしっかりしたチェック
体制
を行って、そして公正、信頼できる、そういう経済活動、
社会
を目指していくということを改めて申し上げまして、私の
質問
を終わらせていただきます。 ありがとうございました。
小野晋也
106
○
小野委員長
以上で
小沢
君の
質疑
を終了いたします。 次に、
佐々木憲昭
君。
佐々木憲昭
107
○佐々木(憲)
委員
日本共産党の
佐々木憲昭
でございます。 経済産業省に事実を確認したいのですが、
商品取引
所法は、平成十年及び平成十六年に
改正
されております。その際、損失補てんの禁止を
導入
すべきかどうかについて議論があったと聞いております。例えば、平成九年の委託者保護に関する研究会中間取りまとめによりますと、損失補てん等の禁止を、「仮にこれを
導入
するに当たっては、委託者保護の観点から和解金の円滑な支払いに支障を及ぼさないように措置を講ずるべきではないか」、こういう議論が紹介されております。 結局、このときは損失補てんの禁止については盛り込まれなかった、そういう経過だったと思いますが、いかがですか。
谷みどり
108
○谷
政府参考人
平成十年、平成十六年における
商品取引
所法の大幅な
改正
につきましては、それぞれ、
商品取引
所
審議
会、産業構造
審議
会で議論した答申等に基づきまして、政府内において
改正
の準備
作業
が行われております。こうした平成十年、平成十六年の
改正
につながります
審議
会における答申などにおいて、損失補てんの禁止について
導入
すべきとの答申がなされておらず、このため、平成十年、平成十六年、いずれの
商品取引
所法
改正
におきましても、損失補てんの禁止が
導入
されなかったものと考えております。 なお、
議員
が御指摘になりました、平成九年、委託者保護に関する研究会は、平成九年五月から、委託者トラブルの防止及び委託者債権の保全に関しまして、農林水産省及び当時の通商産業省の担当課が合同で、実務者の参加を得て行いました実務者レベルの勉強会、研究会でございます。平成九年九月の同研究会中間取りまとめの中におきましては、損失補てん及び利益保証は
取引
の公正を害しまたは商品先物
取引
業の信用を失墜させる行為であるため、これを禁止すべきではないか、一方、仮にこれを
導入
するに当たっては、委託者保護の観点から和解金の円滑な支払いに支障を及ぼさないように措置を講ずるべきではないかとの記述がなされております。
佐々木憲昭
109
○佐々木(憲)
委員
要するに、示談に障害を持ち込まないという議論もあったわけでございます。 具体的な数字がもしわかれば教えていただきたいんですが、国民生活センターに寄せられた苦情は四千件を超えると言われていますけれども、被害件数というのは、やはり何倍もあるいは何十倍もあると思うんですね。そのうち、弁護士が入って示談で解決するケースというのは圧倒的に多いのではないかと思いますが、示談というのは何件あるのか、そのうち、業者が法令違反を認めるケースは何%あるのか、わかりますか。
谷みどり
110
○谷
政府参考人
議員
御指摘のとおり、国民生活センターに寄せられました苦情の件数は私どもも把握しておりまして、以前七千件程度でございましたものが、昨年度は四千件と減少しておりますけれども、これ以外にどのような形で示談が行われているか、その件数、
内容
等の詳細は、現在私、把握しておりません。
佐々木憲昭
111
○佐々木(憲)
委員
示談のケースというのは非常に多いというふうに聞いておりますが、今回は、この
法案
によりまして、そういう示談というものが非常に困難になるということであります。示談は今までより狭まるのではないかと思うんですが、いかがですか。
谷みどり
112
○谷
政府参考人
商品取引
員が
違法行為
等により顧客に損害を与えた場合につきましては、現行の
証券取引法
と同様に、損失が事故に起因するものであることについて主務大臣の確認を受けている場合や主務省令で定める場合には、損失補てんの禁止
規定
は
適用
されないこととなり、当該顧客がこうむった損害の賠償を行うことは可能でございます。 損失補てんの禁止が定められている
証券取引法
では、損失補てんの禁止が
適用
されない場合といたしまして、裁判所の確定判決を得ている場合、裁判上の和解が成立している場合、
協会
のあっせんによる和解が成立している場合等が
内閣
府令において定められておりまして、
商品取引
所法の主務省令にも同様の
規定
を行う方針でございます。 したがいまして、商品先物
取引
で損失補てんの禁止の
導入
が行われた後におきましても、示談による損害賠償は可能であると考えております。
佐々木憲昭
113
○佐々木(憲)
委員
示談が可能になるケースというのは非常にまれなケースなんですね。業者が法令違反を認めて申請し、それを主務大臣が確認する、こういう事例というのはほとんど考えられませんし、裁判所が関与したとき、例えば判決、和解勧告、民事調停法上の裁判所の結論、こういうものですね。それから、
業界
団体などのあっせんによる和解。 ですから、現実に行われている非常に多くの、弁護士が介入をして行われる示談というのは、実際にはこれ以外のことはできなくなるわけでありまして、そういう
意味
で、今回の
法案
は今までよりも示談を困難にするものである。 先日の
参考人
の答弁によりますと、具体的な示談書を交わすなりの
段階
において、自分たちが行った行為が違法であるということを認める形の示談書を交わしたことは一度もございませんというわけでありまして、そういう点で、今回のこの
法案
は示談交渉を非常に困難にし、また、業者がその
規定
を盾にして示談を拒否するという口実に使われるおそれがあるという指摘は、私は真っ当な指摘だというふうに考えております。そういう
意味
で、今回の
法案
の限界というのは非常に明らかであります。 このほかにも、今回の
法案
の
規制
の
対象
となる商品は非常に狭い
範囲
に限定をされている、あるいは不招請
勧誘
の問題でも一部後退が見られる等々、さまざまな問題点が多いということであります。 その点を指摘いたしまして、もう昼になりますので、
質問
は終わらせていただきます。
小野晋也
114
○
小野委員長
以上で佐々木君の
質疑
を終了いたします。 これにて各案及び両
修正案
に対する
質疑
は終局いたしました。
—————————————
小野晋也
115
○
小野委員長
この際、
古本伸一郎
君外六名
提出
、
証券取引委員会設置法案
について、
国会
法第五十七条の三の
規定
により、
内閣
において御
意見
があればお述べいただきたいと存じます。
金融担当
大臣与謝野馨君。
与謝野馨
116
○与謝野国務大臣 ただいまの
証券取引委員会設置法案
については、政府としては反対であります。
—————————————
小野晋也
117
○
小野委員長
これより各案及び両
修正案
を一括して討論に入ります。 討論の申し出がありますので、順次これを許します。石井啓一君。
石井啓一
118
○石井(啓)
委員
私は、自由民主党及び公明党を代表いたしまして、ただいま議題となりました
内閣提出
の
証券取引法等
の一部を
改正
する
法律案
及び
証券取引法等
の一部を
改正
する
法律
の
施行
に伴う
関係法律
の
整備等
に関する
法律案
に賛成、これらの
法律案
に対する民主党
提出
の
修正案
及び
証券取引委員会設置法案
に反対の立場から討論を行います。 政府
提出
の
法案
については、
金融
資本市場
を取り巻く環境の変化に対応し、
投資者
保護のための横断的、包括的な法制を
整備
するものであり、
集団投資スキーム
を包括的に
法律
の
適用
対象
とすること等により、
現行法
では実効的な対応が困難な法
規制
のすき間を埋め、利用者保護ルールを拡充することにより、さらなる利用者被害の拡大を防止するという喫緊の
課題
にこたえるものとして高く
評価
できるものであります。 また、政府
提出
法案
では、
規制
の横断化とともに
規制
の柔軟化を図っており、具体的には、プロの
投資家
に対して
規制
の
適用
を柔軟化する特定
投資家
制度
を設けて過剰
規制
による
取引
コストを削減することにより、グローバルな競争環境に置かれている我が国
金融
資本市場
における
取引
の円滑を促進する
制度
を設けております。 また、昨今の
証券市場
における不透明な
取引
が増加していることを踏まえ、公開買い付け
制度
の見直しを行うとともに、大量保有報告
制度
における特例報告の期限、頻度の短縮を図るなどの見直しを行うことにより、
市場
の透明性を向上させ、
一般投資家
も安心して参加できる透明性の高い
市場
を目指している点も重要であります。 さらに、健全な
資本市場
の発展を阻害する不正
取引
の抑止には現行の
罰則
では不十分であるとの認識のもと、本
法案
においては、
有価証券報告書
虚偽記載
等の法定刑及び
罰則
を引き上げるとともに、見せ玉について
罰則
、
課徴金
の
適用
対象
範囲
を拡大しており、こうしたことを通じて、公正、透明で信頼される
証券市場
の構築を目指して迅速かつ適切に対応しているものと
評価
できます。 これらの措置により、
市場
の公正性、透明性を
確保
し、国民が安心して多様で良質な
金融
商品・サービスの提供を受けることができるとともに、貯蓄から
投資
への流れが加速することで、
銀行
にリスクが過度に集中する構造が是正され、リスクに柔軟に対応できるバランスのとれた経済構造の構築にもつながるものと考えられます。 以上から、
内閣提出
の二
法案
について、賛成の意を表明するところであります。 なお、預金、保険全般を含めた、より包括的な
金融
サービス法制については、
金融商品取引法
の
施行
状況、中長期的な
金融
制度
の
あり方
なども踏まえ、引き続き検討を進めることが重要と考えます。 また、民主党
提出
の
修正案
につきましては、
商品取引
所法の主務省庁に
金融庁
を加えることにより三元行政による弊害が新たに生じるおそれがあること、また、
証券取引委員会設置法案
については、コングロマリット化が進む日本の
金融市場
においては業態横断的な組織のもとで
市場
行政
体制
の
強化
を図ることが望ましいことから、いずれについても反対であることを表明いたしまして、私の討論といたします。(
拍手
)
小野晋也
119
○
小野委員長
引き続きまして、
鷲尾英一郎
君。
鷲尾英一郎
120
○鷲尾
委員
私は、民主党・無所属クラブを代表して、ただいま議題となりました、民主党・無所属クラブ
提出
の
証券取引委員会設置法案
に賛成、民主党・無所属クラブ
提出
の
証券取引法等
の一部を
改正
する
法律案
外一案に対する
修正案
に賛成、政府
提出
二
法案
の原案に反対の立場から討論を行います。 近年、外国人
投資家
を含め個人株主の増大によって
市場
参加者がいよいよ増加し、
一般投資家
の存在が
証券市場
にとって重要性を増しております。政府は、
規制
緩和を一方で行いながら、これに対応する
市場
環境の
整備
を怠って、
市場
参加者が不測の損害をこうむる結果となっております。
ライブドア事件
はその一例であります。 民主党が提唱する
証券取引
委員会
は、
内閣
府の外局の三条
委員会
として、
金融庁
にお伺いを立てず、検査監督、
課徴金
の納付命令、犯則
事件
の調査、告発などをみずからの権限で行うことができます。この
法案
は、
金融取引
全般に関する監督、
監視
機能の
強化
に特化させた
内容
であり、新しい時代の要請にこたえるものです。公正、透明な
証券市場
の確立のためにも、
ライブドア
に類する
事件
の再発防止のためにも、早期の
法案
成立が不可欠と判断いたします。 民主党は包括的な
金融
サービス法の制定を主張してきました。政府案はこうした流れに沿うもので、
枠組み
自体は一歩前進と受けとめております。しかし、包括的な
金融
サービス
市場法
に向かう過程において、十年前からの
審議
の結果がこの
法律案
であるというのは残念でなりません。
市場法
としては一定の前進は見たものの、
投資者
保護に対しては、今般の
改正
が
商品取引
所法に
適用
されることで従来の
投資者
保護がかえって後退している部分もあるわけで、省庁の縦割りが優先した感が否めません。また、訴訟外紛争
制度
の創設など、
投資者
保護に関する法
整備
に抜本的な
改正
が見当たりません。このままで、包括的な
金融
サービス
市場法
がいつになったらできるのか、新しい時代の要請に適時にこたえていくことができるのか、再考する必要があります。 民主党の
修正案
では、
商品取引
所法における主務大臣に、農水、経産大臣のほかに総理大臣を加え、
金融庁
と共管としています。さらに、商品先物を含め包括的な
規制
の
枠組み
を検討し、
法律
の見直しを行う道を確立しています。 この
修正案
は、当面の緊急
課題
を解消し、最悪の事態を回避するもので、賛成すべきものと考えます。かかる修正なくしては大きな問題点が残ることになり、政府原案には反対である旨を表明し、私の討論を終わります。(
拍手
)
小野晋也
121
○
小野委員長
引き続きまして、
佐々木憲昭
君。
佐々木憲昭
122
○佐々木(憲)
委員
私は、日本共産党を代表して、
証券取引法等
改正
案及びその
整備
法案
について反対の討論を行います。 政府は、
金融
ビッグバンのもと、
銀行
、
証券
、保険の垣根を取り払い、
金融
商品販売等の
規制
緩和を進める一方、同時に行うべき消費者保護法制の
整備
は多くの指摘がなされているにもかかわらず先送りしてきました。そのもとで、融資
一体
型の変額保険や外国為替証拠金
取引
、商品先物
取引
などの
金融
被害が頻発し、老後のための貯蓄や生活資金まで根こそぎ失うという事態が全国で発生しました。 本
法案
は、こういった経過と
金融
被害の実態を踏まえ、
投資者
保護のための横断的法制を
整備
するとの
目的
で
提出
されたものではありますが、その
内容
は国民の要請にこたえるものになっておらず、到底賛成できるものではありません。 以下、反対の理由を述べます。 第一に、本
法案
に反対する理由は、横断的な
制度
といいながら、商品先物
取引
などの
投資
商品や預金、保険、融資といった
金融
商品を
対象
から除外していることです。この間の
金融
被害の実態を踏まえれば、一部の
投資
商品に限定した本
法案
が不十分であることは明らかであります。
金融
審議
会でも多くの
委員
から、消費者保護に立ち、包括的、横断的に
規制
すべきとの指摘が行われたことを見ても、本
法案
の
内容
は重大な後退であります。 第二の理由は、不招請
勧誘
の禁止の
対象
が外国為替証拠金
取引
などの店頭
金融
先物
取引
に限定するなど、現状よりも後退する問題です。政府は、被害が起これば迅速に
対象
を拡大すると説明しますが、これは、既に必要もない商品先物
取引
などのハイリスク
金融
商品による被害が拡大している実態を無視するものであります。多くの
金融
被害のきっかけは不招請
勧誘
にあることから、すべての
金融
商品の不招請
勧誘
を原則禁止とすべきであります。 その他、
商品取引
所法において、損失補てんの禁止が
規定
され、示談による被害者救済の道が狭められるなど、消費者保護の点から重大な後退もあり、以上の理由から本
法案
及び
整備
法案
に対して反対いたします。 なお、民主党
提出
の
証券取引委員会設置法案
については、現行の
証券取引等監視委員会
より独立性が高くなることと、
行政処分
をみずから執行できるなど監督権限が移譲されることから、実効性の高い
体制
が
確保
されるとの理由から賛成いたします。 また、民主党
提出
の
証券取引法等
の一部を
改正
する
法律案
に対する
修正案
及び
整備
法の
修正案
については、消費者保護の観点から見て、本
修正案
は不招請
勧誘
の禁止などの行為
規制
の
強化
を求めないなど不十分な
内容
ではあるけれども、
違法行為
を行っている業者が
金融
商品、商品先物の分け隔てなく問題を起こしている実態を勘案すれば、一定の前進と
評価
でき、賛成いたします。 以上、討論といたします。(
拍手
)
小野晋也
123
○
小野委員長
これにて討論は終局いたしました。
—————————————
小野晋也
124
○
小野委員長
これより採決に入ります。 まず、
古本伸一郎
君外六名
提出
、
証券取引委員会設置法案
について採決いたします。 本案に賛成の諸君の起立を求めます。 〔賛成者起立〕
小野晋也
125
○
小野委員長
起立少数。よって、本案は否決すべきものと決しました。 次に、
内閣提出
、
証券取引法等
の一部を
改正
する
法律案
及びこれに対する
修正案
について採決いたします。 まず、
小沢
鋭仁君外二名
提出
の
修正案
について採決いたします。 本
修正案
に賛成の諸君の起立を求めます。 〔賛成者起立〕
小野晋也
126
○
小野委員長
起立少数。よって、本
修正案
は否決されました。 次に、原案について採決いたします。 原案に賛成の諸君の起立を求めます。 〔賛成者起立〕
小野晋也
127
○
小野委員長
起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。 次に、
内閣提出
、
証券取引法等
の一部を
改正
する
法律
の
施行
に伴う
関係法律
の
整備等
に関する
法律案
及びこれに対する
修正案
について採決いたします。 まず、
小沢
鋭仁君外二名
提出
の
修正案
について採決いたします。 本
修正案
に賛成の諸君の起立を求めます。 〔賛成者起立〕
小野晋也
128
○
小野委員長
起立少数。よって、本
修正案
は否決されました。 次に、原案について採決いたします。 原案に賛成の諸君の起立を求めます。 〔賛成者起立〕
小野晋也
129
○
小野委員長
起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。
—————————————
小野晋也
130
○
小野委員長
この際、ただいま議決いたしました
証券取引法等
の一部を
改正
する
法律案
及び
証券取引法等
の一部を
改正
する
法律
の
施行
に伴う
関係法律
の
整備等
に関する
法律案
の両案に対し、山本明彦君外四名から、自由民主党、民主党・無所属クラブ、公明党及び国民新党・日本・無所属の会の四派共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が
提出
されております。
提出
者から趣旨の説明を求めます。
古本伸一郎
君。
古本伸一郎
131
○古本
委員
ただいま議題となりました附帯決議案につきまして、
提出
者を代表いたしまして、案文を朗読し、趣旨の説明といたします。 「
証券取引法等
の一部を
改正
する
法律案
」及び「
証券取引法等
の一部を
改正
する
法律
の
施行
に伴う
関係法律
の
整備等
に関する
法律案
」に対する附帯決議(案) 政府は、次の事項について、十分配慮すべきである。 一 幅広い
金融
商品についての包括的・横断的な
投資家
保護法制の
整備
の観点から、今回の法
改正
を受け、今後、その実効性を
確保
し、
市場
監視
機能の
強化
を図るため、早急に
証券取引等監視委員会
等の
体制
強化
や
自主規制
機関
との連携
強化
に取り組むこと。 一
証券取引等監視委員会
をはじめとする
市場
監視
体制
の
強化
に当たっては、優秀な
人材
の
確保
及び職員の
専門
性の向上を図るとともに、真に必要な部門には適切に定員を配置する観点から、定員の
確保
、機構の充実に特段の
努力
を行うこと。 一 商品先物
取引
、海外商品先物
取引
及び海外商品先物オプション
取引
については、
取引
の特徴やこれまでの被害の実態にかんがみ、実効性のある
規制
及び検査・監督を行うため、厳正な対応を可能とする
体制
を
整備
すること。 一 不招請
勧誘
禁止の
対象
となる商品・
取引
については、利用者保護に支障をきたすことのないよう、店頭
金融
先物
取引
に加え、レバレッジが高いなどの商品性、執拗な
勧誘
や利用者の被害の発生という実態に照らし必要な場合には、迅速かつ機動的に追加指定を行うこと。 一
課徴金制度
については、機動的な執行に努めるとともに、現行
制度
の実施状況等を踏まえ、
課徴金
の水準の引上げも含め、
制度
全般の
あり方
について、今後、実効的な抑止効果をもたらすよう検討を進めること。 一 より包括的な
金融
サービス法制については、本
改正
による
金融商品取引法
の実施状況、各種
金融
商品・サービスの
性格
、中長期的な
金融
制度
の
あり方
なども踏まえ、引き続き検討を進めること。その際、現在の
監視
体制
の
あり方
についても見直しを行うこと。 一
金融
・
資本市場
における公正な
取引
の
確保
及び利用者保護の観点から、諸外国の様々な
金融
商品とその
市場
行政を含めた
金融行政
機構の状況等を参考に、わが国
金融行政
組織の
あり方
について検討を進めること。 一
監査法人
制度
等については、
会計監査
の信頼を揺るがしかねない様々な問題が生じていることも踏まえ、その
あり方
について真剣な検討を進めること。 一
監査法人
による厳正な
監査
を
確保
する観点から、
監査法人
における
内部統制
の
強化
や
監査
の品質管理の向上等に努めるとともに、
監査法人
の
情報開示
、
監査法人
の
選任
・報酬決定及び
監査法人
の
責任
の
あり方
等について総合的に検討を行い、早急に必要な法
整備
を行うこと。 一 公開買付
制度
については、合併・買収等の態様の多様化を踏まえ、
企業
価値と株主利益の向上を目指した公正なルールの下での
企業
再編等を促進する観点から、
規制
の中立性に配慮しつつ、不断の見直しを行うこと。 以上であります。 何とぞ御賛同、御賛成賜りますようよろしくお願い申し上げます。(
拍手
)
小野晋也
132
○
小野委員長
これにて趣旨の説明は終わりました。 採決いたします。 本動議に賛成の諸君の起立を求めます。 〔賛成者起立〕
小野晋也
133
○
小野委員長
起立総員。よって、両案に対し附帯決議を付することに決しました。 この際、本附帯決議に対し、政府から
発言
を求められておりますので、これを許します。
金融担当
大臣与謝野馨君。
与謝野馨
134
○与謝野国務大臣 ただいま御決議のありました事項につきましては、政府といたしましても、御趣旨を踏まえまして配意してまいりたいと存じます。
—————————————
小野晋也
135
○
小野委員長
お諮りいたします。 ただいま議決いたしました各
法律案
に関する
委員会
報告書の作成につきましては、
委員長
に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
小野晋也
136
○
小野委員長
御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
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〔報告書は附録に掲載〕
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小野晋也
137
○
小野委員長
次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。 午後零時十九分散会