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島田参考人 東京都
危機管理監、
島田でございます。
日ごろから
東京都の
防災対策にお力添えをいただきましてありがとうございます。また、本日は、
東京都の
震災対策につきまして御
説明する機会を与えていただき、ありがとうございます。
東京は、いよいよ千二百五十万人を超えた
人口に加えまして、近隣各県からの
通勤者、
通学者が集まり、また七十万を超える
企業の集積、そしてそれを支える
都市インフラから成る
大都市を形成しております。こうした
東京を
直下地震が襲ったなら、その
被害ははかり知れない。私、
危機管理監になりまして都庁の隣のマンションに住んでおりますが、
毎日身も細る思いでございます。
本日は、今回都が公表いたしました
首都圏直下による
東京の
被害想定、次に現在まで実施してまいりました
東京都の
震災対策の概要、そして三番目に今後の方向といった
順序で御
説明をさせていただきます。
お
手元の
資料一ページをお開きください。まず、
被害想定であります。
経緯でございますが、都は
平成九年、
阪神・
淡路大震災を踏まえまして、あのとき
マグニチュード七・二と言われておりました、その
被害想定を公表しております。現在の
対策はこれを基本に実施しているところであります。
昨年の二月、先ほど
お話がありました、国の
中央防災会議が
首都圏直下地震の
被害想定を公表し、これを受けて都として独自に
被害想定の策定作業を開始いたしましたが、その七月に御存じの千葉県北
西部地震が発生し、都市型
災害などが発生をいたしました。そうしたことも盛り込みまして、この三月、都の
防災会議地震部会で新たな
被害想定を公表しているところであります。
二番目に、今回公表しました都の
被害想定の
特徴でございます。手法は基本的に国のものと同じでございまして、数値的には大きく変わるものではありませんが、
特徴が三点ございます。
一つは、国が想定いたしました七・三に、先ほど
阿部先生からありましたが、過去三十年間で十六回発生し、発生の頻度が高いと言われる
マグニチュード六クラス、六・九という数字にいたしましたが、これも加えて想定したことであります。
二つ目に、区市町村の
対策に生かせるよう、二百五十メートルメッシュごとに
建物の
構造等々で積算をしたこと。三番目に、昨年の七月に千葉県北
西部地震で顕在化いたしましたエレベーター閉じ込め台数、ターミナル駅での混乱状況を想定したことなどであります。
二ページをお願いいたします。
震度分布がございます。
マグニチュード六・九の場合、地盤が軟弱な二十三区東部に
震度六強が発生し、その面積は区部の約二五%となっております。西に行くに従い、地盤の強さと
震源からの距離も関連いたしまして、六弱、五強、五弱、四と移ってまいります。
建物全壊は区部東部の木造密集
地域を中心に約六万棟発生し、
火災による
建物焼失は環状線沿いの木造密集
地域を中心に約十八万三千棟となります。
右側が、エネルギーが六・九の四倍となります七・三でございます。
被害は約一・七から二倍となっておりますが、六強の
震度分布は区部の面積の四八%、
建物全壊十二・七万棟、
建物焼失三十一万棟と想定されております。
三ページをお願いいたします。
その他の
被害でございますが、人的
被害は、
マグニチュード六・九の場合、二千七百八十二人、このうち、
火災によるもの五〇%、
建物倒壊によるもの二六%、負傷者数は七万五千人となっております。なお、七・三の場合、
死者五千六百三十八人、負傷者約十六万人でございます。
交通
被害やライフラインは、やはり
震度六強の発生する区部東部のエリアで発生いたします。避難者は発災後一日目がピークで約二百七十万人、七・三では三百八十五万人という数字が想定されました。
帰宅困難者でございますが、従来の距離的に帰宅できない
帰宅困難者という枠を広げまして、外出者は夕方の五時に千百四十万人おります、その行動シミュレーションという概念でとらえております。
帰宅困難者は、先ほどありました三百九十万人に、都内の
特徴であります観光客それから
首都圏外からの出張者など約五十八万人を加えまして、四百四十八万人と推定しております。
東京、渋谷などの主要なターミナル駅では、一時的に十万から二十万人近い滞留者が発生すると予想されます。
エレベーターの閉じ込め台数でございますが、都内に十四万五千台のエレベーターがございます。このうち約十一万台が停止をし、そのうち
マグニチュード六・九では七千五百二十台、七・三では九千百六十一台に閉じ込めが発生するという予想でございます。
四ページをお開きください。
次に、現在まで進めてまいりました
東京の主な
震災対策の概要でございます。
地域防災力では、現在、
消防団が九十八団二万六千人。残念ながら、平均年齢が四十九歳、約五十歳となっております。
防災市民組織五千七百団が
組織化されております。
事業所
防災計画が
震災対策条例により策定義務化されております。
火災焼失による
死者が多く考えられますが、従来より二百五十メートルメッシュに一カ所の防火水槽を整備してまいりました。
発災時の通信手段は大事でございますが、国並びに都などの
防災行政無線を使いまして通信が可能となっております。
医療救護では
災害拠点病院六十五病院の整備とあわせ、
地域医師会との協定、また医薬品の備蓄などをしております。
避難所は小
学校、中
学校など二千九百三十六カ所を指定しておりまして、収容人員約三百万人でございます。
水でございますが、約二キロメートル以内に必ず応急給水槽があるという形にしておりまして、都民約四週間分が確保されます。食料は避難民の約二日分、その他毛布やトイレの備蓄などをしております。
ボランティアは、応急危険度判定員、
建物が危険か危険でないかという判定でございますが、判定員や語学ボランティアなど約三万人が登録をしております。
帰宅困難者対策といたしましては、都立高校、コンビニ、ガソリンスタンド協会とも協定を結びまして、そういったところが帰宅支援ステーションに指定され、飲料水や情報を提供することとなっております。
埼玉、千葉、
神奈川など八都県市の広域連携プランの中で、医療や物資の相互応援協定もしております。
五ページをお願いいたします。
今回の
被害想定と
現状を勘案いたしまして、十八年度中に
地域防災計画の抜本的な修正を行いたいと思っております。
その際の基本的な考え方でございますが、各
地域で発生するさまざまな
災害にどのように対処するか。
場所によっては、
火災もあり、
建物倒壊あり、駅の混乱あり、道路の渋滞あり、エレベーターの閉じ込めあり。言葉をかえて言えば、局地戦をどう戦っていくか。それにはそれぞれの機関が役割を果たしてお互いに連携していくことが重要であり、そうした仕組みづくり、体制づくりが重要であると考えております。こうした
地域防災計画は、優先順位をつけた予防
対策並びに時系列の応急復旧
対策、国から今回出されました減災目標の検討など、整理されたものにしていきたいと考えております。
この計画を策定する体制といたしまして、
防災会議で部会を立ち上げて検討してまいります。
一つは、安全な都市づくりでは、
耐震化、不燃化、木造密集
地域の整備。
地域防災力、
企業防災というくくりの中では、家具転倒に対する対応。今回の
被害想定でも、三〇%の負傷者の方が家具転倒。
消防団、
防災市民組織の活性化、地元
企業との連携。
道路、ライフラインでは、復旧のために事業者間の連携が必要だと思っております。また、資材を置くオープンスペースをどこに確保するか、そういった具体的な内容について詰めていきたいと思っております。
エレベーター
対策は大変な問題でございます。メーカーにも相談いたし、ハード、ソフト両面からの
対策が必要と思っております。
外出者
対策でございますが、滞留する都民への情報の提供、駅の混乱防止、
企業との連携、また一時的な収容施設の確保、こういったことも必要と考えております。
避難所対策は収容体制の整備、介護など要援護者の
対策、支援物資の受け入れなど。
また、医療救護では、
東京DMATというものをしております。医療体制の拡充、医療搬送の確保。
その他、瓦れき処理、トイレ、また、今まで遺体の処理などはなかなか見過ごされてまいりました。こういったものが検討課題になろうかと思っております。
雑駁でございますが、
東京都の
震災対策について御
説明をさせていただきました。(
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