○土肥
委員 民主党の土肥隆一です。
私は、どうしても聞いておかなければならない問題をずっと抱えておりまして、きょう、それを取り上げさせていただくわけでございます。
資料が回っていると思いますけれども、配っていただいておりますか。それは、ことしの一月八日に長崎県の大村市で、認知症高齢者のグループホームが焼失いたしました。あれからもう半年がたとうとしておりますけれども、そのときの新聞記事などは割に詳細に報告をしておりますけれども、その後、何の音さたもなく、焼け跡も相当長い間ほったらかしにしておいて、やっとグループホーム
関係者が一級
建築士をよこしてその
建物の調査をいたしましたら、いろいろな問題が出てきたということも報告されているわけでございます。
今、
マンションだアパートだといって、あるいは高層建築の耐震構造の偽装問題に端を発しまして、今日まで
審議をしてきたわけでございます。しかし、どうでしょうか。低階層の、つまり一階
建て、二階
建ての
建物の、それもいろいろな種類の
建物がございますけれども、いわゆる建築基準法というのは、私に言わせれば少し、少しどころか、まあまあ軽く
考えられているわけでございまして、一般
住宅についてそうやかましく建築基準法を適用するというのも、最低限のものはあったにしても、例えばこの痴呆高齢者のグループホームなどについても、割に緩やかな建築基準が採用されているように思うのでございます。
私がきょう
質問をあえていたしますのは、これに、あの姉歯事件から出発しました有名な総研、正式には総合経営研究所、総研と申しますけれども、その内河健社長が絡んでいるわけでございます。彼だけ今刑務所に入っていないんですね。あとは全部ほうり込まれました。我々
委員会も、刑事事件あるいは詐欺事件、いろいろなものがございましょうけれども、何となく一件落着でございまして、あとは一級
建築士の
あり方やその他の
規制についていろいろと今
議論しているわけでございます。
しかし、一般建築あるいはこうした低階層の
建築物についての建築基準法上の扱いを見ますと、割にさっぱりとしているわけですね。しかも、
建築確認も
完成後の
検査もすんなり何の問題もなく通っているようでございまして、ことし一月八日に起こりました「やすらぎの里さくら館」というのも、実は内河社長も絡んでいるわけです。そして、例の熊本の木村建設、これも絡んでいるわけでございまして、何と長崎県の大村市まで総研の手が伸びているということが明らかになっているわけであります。これはもう新聞報道でも出ていることであります。
ちょっとだけ資料のナンバー一を見てほしいんですけれども、これが「さくら館」です。火元は一番上の、北側の、ソファーが置いてあるところから火が出まして、そして、東側に一、二、西側に五、六と個室がありまして、四人はこの部屋で焼死していらっしゃるわけですね。どなたかわからないけれども、火元のところに一名焼死体があったわけでございます。そして、南の方の三、四、八、九にいらっしゃった方、これは午前二時ごろでございますから、担ぎ出しました。消防車はこの南から入りますからね。七の方はどうなったか、具体的な調査が出ておりませんからわからないんですけれども、いずれにしても、北側の四人と火元の人が、六十九歳の女性ですけれども、亡くなられて、あと残された三、四、九、八、七の中から四名搬出するのでありますけれども、既に二名は亡くなっておられて、二名が生き残ったという事件でございました。
よく調べますと、ほとんどグループホームというのはこんな形でございまして、ほぼ構造上は何の問題もないのでございます。
これはだれがつくったかということを私なりに分析しますと、次のナンバー二でございますけれども、一番上が
建築主ですね、有限会社はるる代表取締役、西村綾美と申し上げましょうか。実は、「さくら館」が燃えたときの宿直をしておりました職員は、この施設の施設長で渕綾美といいまして、同一人物だろうというふうに私は思うわけでございます。あるいはだんなさんかもわからない。でも、綾美という名前が、これは女性の名前ですし、当日宿直をしていた施設長であっただろうと思います。恐らくこの西村綾美か渕綾美さんが土地か何か持っておられたんだろうと思いますが、はるるという有限会社をつくって、グループホームをつくろうと
考えたのでございます。
その二番以下、代理者から三、四、五、六、これが同一人物でございまして、工事施工者は矢野という名前になっておりますけれども、しかし、一級
建築士であります森山浩一郎もこの矢野地建
株式会社の
社員でございまして、まあ雇われ一級
建築士。二番目に代理者となっておりますけれども、この代理者が、西村綾美か渕綾美かわかりませんけれども、その代理になりまして、
設計、そして
工事監理、工事施工、これを全部一人でやったんだろうというふうに思います。
三番目の資料を見てもらいますと、矢野地建
株式会社ですけれども、この会社がつくったグループホームがここに一から五まで出ております。これは
国土交通省でとっていただいた資料でございますけれども、
確認済証交付日が、
平成十五年の五月、その次は八月、その次は十月、その次は十一月、そして翌年の四月と、どんどんどんどんグループホームをつくってきて、全部、
設計、施工、
工事監理業務をやるわけですね。ここに非常に重大な問題を含んでいるんだろうと私は思います。
そのことを言うためには、やはり総研の内河社長のこの長崎県地方での
活動を見てまいりますと、彼は長崎にやってまいりまして、そして、グループホームというのは、彼の言葉を引用するならば、特需だと。これは軍事特需だとかいう言葉がございますけれども、このグループホーム、介護
保険法が二〇〇〇年に
施行されて、そしてグループホームがつくられていくわけです。その前からもちろんあったわけでありますけれども、新規につくられていきまして、
法人格さえあればだれでも介護
保険に参加できますし、グループホームもだれでもできるよと、いわば一種の福祉上の大
規制緩和が行われるわけですね。今、老人福祉、そして在宅福祉の分野では、まさに、社会福祉
法人の独占企業じゃございませんで、どなたでも、有限会社でも、
法人格を持ったらこの事業を始めることができるわけであります。
私の想像でいきますと、矢野地建は土地持ちの
人たちに、グループホームをやりなさいよ、全部面倒見てあげるからと言って、こうやって注文をとってまいったと思います。内河社長の話によると、特需だというようなこと、それから安上がり商法であるというふうにも新聞で報道されておりまして、グループホームの建設を大いにやりなさいと言って、自分の関係する事業者などを呼びまして、セミナーなども行って、グループホームをどんどんどんどんつくっていくわけです。長崎県がいわば日本一、六十五歳以上の
対象年齢人口比の施設の割合は日本一でございまして、すさまじい勢いでグループホームがつくられている。
私は、そうした建設を進めていく過程とともに、まじめにグループホームを今までやってきた
人たちに対して、いろいろな
問題点を投げかけているというふうに思うんです。それは、
一つは建築上の
問題点。これが建築基準法で最も低い
規制になっておりまして、だれでもつくれるような施設になっておりますから、それはそれでいいんでありますけれども、では今度、消防庁さんに後でお聞きしますけれども、やはりああいう事件が起きると、消防というところに力点を置きますと、今八千カ所からありますグループホームが消防庁の
規制に縛られてどうなるんだろうか。
グループホームというのは一体何を資源として生きているか、経営しているかといえば、本当に、利用者の家賃やら食費を取って、あとは介護
保険法上の報酬を得て運営をしているわけでございまして、その人員にいたしましても、あるいは経営にいたしましても、言ってみれば自分の家を開放して、そして自分の家が三室、五室、まあ三室では無理ですね、五室から九室必要なんですけれども、最低限五つの部屋があればグループホームを開くことができるわけですね。そして、自分でしっかりお世話をしながら頑張っているグループホームの設置者にとっては、過度な
規制をかけるということは、いわばこの事業から撤退するということにもなるんじゃないかと思っております。
そこで、
国土交通省にお尋ねいたしますけれども、総研社長が提案しました建築工法についてでございます。
何しろ、安上がり、短
期間、そして投下資本を早目に回収するという目的でつくっておりますから、とんでもないことを
考えているわけでございまして、その
一つを申し上げますと、AAB工法というのを
導入いたします。これは、鉄筋を組む場合に発泡スチロールで挟んで、その間に鉄筋を置いてコンクリートをそこに流し込む。普通は、コンパネを打って、後から外して、できぐあいも見ながら外装材、内装材をつけていくわけでありますけれども、ここはもうそれを省略していいわけですね。後は断熱材に使うんだというのであります。彼が言うには、アルバイトでもできる工法だ、こう言うわけでございます。私も施設をつくったことがありますけれども、コンパネ職人がちゃんと集まるというのは大変なことでございまして、それだけ人件費がかかるわけです。
国土交通省にお尋ねしますけれども、このAAB工法というのは御承知でしょうか。これは、今の基準法からいって問題ないんでしょうか。