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待鳥参考人 御指名いただきました、全自交労連という
タクシーの
運転者の
労働組合の
全国組織で役員をいたしております。
先ほど来出ております国交省の
NPO等の
有償運送の
検討小
委員会にも参画をいたしてまいりました。
私たち
労働組合も、三十年ほど前から、実は
労働組合が経営にかかわっているような
タクシー企業を
中心としまして、
社会貢献の一環として
福祉タクシーに取り組んできたところであります。それ以外にも、
労働組合独自に講座を設けまして、車いすの取り扱い等の講習な
ども自主的に実施をしてまいりましたし、また近年では、高齢化
社会での
公共交通の役割を果たす、そのためにも
運転者の技能向上を図るということで、ホーム
ヘルパー資格の取得の運動を展開していまして、既に多くの組合員が介護
タクシーなどに従事をしているところであります。
ホーム
ヘルパー資格の取得については、非常に、そのことによって、体の不自由な人の身になって考えられるし、優しい運転に心がけるようになったといったような副次的な効果も出てきて、取ってよかったなという声が多く上がっているということについても御報告をしておきたいと思っています。そうして現在では、
全国各
地域で数多くの
タクシーの労使で
福祉タクシーや介護
タクシーの運行に努力をしているということについて、御理解を賜っておきたいなというふうに思っているところです。
その上で、今回の法
改正については、
NPOの
皆さん方が行われている
福祉輸送をきちっと
道路運送法の
法律で
位置づけるということについて、これは基本的には大変結構なことだというふうに考えております。
ただし、
自家用車、白ナンバーで対価を取って運ぶ、つまり
自家用車による
有償運送というのは、あくまでこれは例外的な対応であって、本来は
タクシーなど
公共交通で賄われるべきではないかというふうに思いますし、そして、
タクシーで足らざるところを
NPOの皆さんなどに補っていただく、こうした発足当初からの趣旨を、やはり法
改正に当たっては改めてしっかりと確認をしておいていただくことが必要ではないかというふうに思っているところです。
つまり、
公共交通によりがたい
部分、
タクシーでは対応し切れない場合に初めて、
NPOなどの皆さんにお願いをしなければいけないだろうというふうに考えています。
先ほどの
運営協議会の設置についても、そこのところで初めて設置の
必要性が出てくるものじゃないかというふうに思っているところです。こうした
位置づけで、これまで暫定的に
自家用車による
有償運送が認められてきたわけでありますけれ
ども、今回の法
改正はその延長線上に法整備を行うものだというふうに
認識をしています。
そこで、
自家用車の
有償運送の協議にかかわってきた観点から、幾つかの指摘をさせていただきたいというふうに思います。
まず、法
改正案では、
自家用車による
有償運送を登録制で認めていくということになっておりますし、登録に当たっては、これまで同様に、
自治体ごとに設置される
運営協議会において
関係者の
合意が調っていることが前提になっております。この
運営協議会については、やはり
法律上の制度として明確に
位置づける必要があるというふうに考えますし、その構成と運営の公平さが
確保されることが大事なことだというふうに、これまでの経験で痛感をしているところです。
これまでの
運営協議会の中には、もう最初から結論が決まっているような強引な運営も見受けられました。また、
運営協議会を主宰する
自治体の担当者が、制度をよく理解していなかったり、あるいは公共的な
輸送の安全
確保に対する
認識が乏しかったりして、とにかく何でも
許可してしまえばいいとするような傾向も多々見受けられたところであります。それから、やはり
運営協議会が形式的なものになってはいけないんではないかということを強調しておきたいというふうに思います。
やはり、
タクシーのように、
事業許可に当たって事前のチェック、あるいは事後のチェック、厳格なチェックが働く
交通事業とは異なるわけでありまして、
NPOの皆さんの場合、やはり善意であるということが前提として極めて薄い
資格要件で、実態は
タクシーと同じような
運送を行うわけでありますから、やはり
運営協議会のあり方というのは、
NPO輸送の健全性を
確保する上で決定的に重要だというふうに思っています。
したがって、
運営協議会については
全国統一した制度運営を徹底することが絶対的に必要だというふうに思いますし、そのために、
運営協議会のあり方について省令等できちっと定めていただきたい。そして、そこには、これまでどおり
タクシーの労使も参画をして、
合意に当たっては全会一致の原則とすることをぜひ強く求めておきたいなというふうに思っているところです。
二点目は、
運転者の
資格についてであります。
タクシーは、第二種運転免許ということになっています。今回、
NPO等の
輸送については、第二種運転免許の取得を基本としながらも、
一定の講習を受講すれば一種免許でも可能とするという方針になっておりますけれ
ども、やはり
タクシーや
バスと同じように
有償で人の命を預かって運ぶということについて一種免許でもいいというのは、道路
交通法上でも矛盾がありますし、
輸送の安全の
確保という観点からも極めて問題があるんじゃないかというふうに考えています。
輸送の安全の
確保にとって最も重要な課題というのは、やはり
運転者の技能と、それから
運転者の状態であるというふうに思っていまして、酔っぱらいを運ぶ運転代行でさえ、今二種免許が必要というふうにされていますのに、体の不自由な人を運ぶのに一種免許でよいのかということについては、どうしてもまだ納得がいかないところでありまして、改めて二種免許を義務づけることをお願いしておきたいというふうに思っています。
それから、第三点目には、
運送の対価の問題であります。
この間の、各地で開催をされてきました
運営協議会では、
運送対価をめぐってしばしば混乱が生じました。
現行の国交省が出されておりますガイドラインのような、おおむね
タクシーの二分の一以下といったような基準では、非常にあいまいで不十分であるし、あるいは抜け道がとられているといったようなこともありました。
したがって、
障害者や体の不自由なお年寄りといったような、いわば
交通弱者の
方々を運ぶわけでありますから、そうした人たちを守るためにも、対価については一目でわかるような明瞭なものでなければならないというふうに思っています。
NPO等の
運送の趣旨からすれば、
タクシーの二分の一以下ということについてはおおむね妥当な水準だというふうに考えておりますけれ
ども、その二分の一という物差しが、基準が幾つもあったのでは、ベースが幾つもあったのでは、正確な比較はできないというふうに思っていますので、対価については、できれば届け出制にして、不適切なものは排除をするような、制度上のことはよくわかりませんけれ
ども、そうした方が望ましいというふうに思っているところであります。
利用者の費用負担の問題が出てくると思いますけれ
ども、それはすぐれて政策的な課題だということについても申し上げておきたいと思っています。
四点目には、セダン型車両の使用についてであります。
現在、構造改革特区で試みられていますけれ
ども、今回の法
改正とともに解禁されるわけでありますが、やはりその解禁については白タク行為の温床になりかねないということについて懸念がされているわけであります。つまり、自立歩行が不可能な方だけではなしに、セダンということで、
自家用車で健常者を運ぶことがあってはならないんじゃないか、その懸念がやはり深いわけであります。そうした法違反が横行しないように、格段の
措置をぜひ講じていただきたいなというふうに考えています。
特に、
輸送の
対象者を自立歩行が困難な方で
障害度や要介護度の
一定以上の方にきちっと厳密に限定をすべきでありますし、そうした会員の皆さんの登録の適正についてはチェックを
運営協議会の中でできるような形にしておくことが必要ではないかというふうに思っています。
ほかにも多くの課題や
問題点があるわけでありますけれ
ども、
法案を見ますと、具体的な枠組みについてはかなりの
部分が政省令にゆだねられている
部分が多いわけでありますので、やはりこの
法案審議の中で、その点も含めて十分な御
審議をお願いしておきたいというふうに思っています。
以上、私たちのこれまでの経験に立って、幾つかの肝要な点について
意見を申し述べさせていただきましたけれ
ども、これからさらに高齢化
社会が進行していく中で、
輸送需要の変化に対応するためにも、やはり
公共交通である
タクシーが
中心になって役割を果たしていかなければならないと考えておりますし、
NPOの
皆さん方とも
協力をして、その役割を分かち合いながら努力を傾注していきたいと思っております。
以上であります。ありがとうございました。(拍手)
〔
委員長退席、望月
委員長代理
着席〕