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土肥委員 皆さん、おはようございます。
土肥隆一でございます。
きょうは、
都市山麓グリーンベルト事業についていろいろとただしてみたいと思っておりますので、よろしくお
願い申し上げます。
私は
神戸でございますので、
六甲山を
背中にしていつも、
背中というか向かって生きているわけでございますが、
六甲山というのは、
皆さんも御
承知かと思いますけれども、
神戸市というのはウナギの寝床みたいな
地域でございまして、
六甲山を挟んで南側と
北側で住んでいて、
六甲山に張りついて生きている、へばりついて生きているような
感じ、よくもこんなところに住めるものだと思うようなところでございます。
きょうの
質疑は、ややローカル過ぎて申しわけないのでありますけれども、私も
国土交通の
委員になりまして三年でしょうか、まことにローカルな
質問をしても笑われない、そういう確信を持っておりまして、きょうは
質問をさせていただきます。県議会のような
感じもして
質問を用意しておりまして、これは
県会議員がやるんじゃないかなと思いながらも、この国政でやらせていただきたいと思います。
先ほど言いました
都市山麓グリーンベルト事業というのは、これは何も
六甲山だけではございませんで、
全国十六の
地域で実施されている、一種の
河川局の
仕事でございますけれども、
土砂崩れや
土砂災害、急
傾斜地などの
補強工事をしょっちゅう
日本はやっているわけでございまして、
治山治水なんていうのは永遠の課題でございまして、これは終わる
仕事では決してないのでございますが、それでも
平成七年の
阪神・
淡路大震災を経験いたしまして、そこからこの
都市山麓グリーンベルト事業が始まったのでございます。
ちなみに、
札幌、小樽、仙台、足利市、ずっとおりまして鹿児島まで、その名前に、例えば
札幌都市山麓グリーンベルトというのがあります。もちろん
兵庫では
六甲山系グリーンベルトというのがあるわけでございます。これができましてもう十年近くなっているわけでございますけれども、私
ども神戸市民は、あらしが来れば山を見る、すると、どこかで
がけ崩れがあるわけです。ちょっと距離を離れて見ますと、ああ、またあそこが崩れている、ああ、またあそこが崩壊しつつあるというようなことを見ながら生きている
市民でございます。きょうは、この
六甲山系の
グリーンベルト事業を、大変私は高く評価しているということを前提に申し上げたいのでございます。
治山治水は終わることのない
事業だといいますけれども、やはり今度のこの
六甲山麓グリーンベルト事業というのは、いわば
トータルに
六甲山全体を見て、そしてこの山をどうするか。そして、そのどうするかという
視点の
一つに、
市民がこの
六甲山の
山ろくに住みついている、しかも
土砂崩れや
災害が起こりやすい。もう何度も
神戸では、鉄砲水と言いますけれども、川が急流でございまして、しかも短いものですから、一気に水がやってきて、
神戸市街を水で埋め尽くしてしまうというようなことがあるわけでございます。
しかしながら、私は、きょうは
一つの
視点として、
河川局の
予算あるいは
防災予算だけでいいのかと。つまり、この
グリーンベルト構想というのは、可能な限り
土地を買い上げまして、そして今度はそれをくくって、ずっと
六甲山を全部くくってしまって、いわば
公有地にして、そして徹底的な
防災事業をやる。あそこが壊れたから直す、ここが
がけ崩れになったから補修するというのではなくて、
六甲山全体を眺めながらというか、管理しながら
防災対策をやるということでございまして、この
発想は、私は高く評価しているわけでございます。
つまり、
神戸市民は、
山ろく地帯というのは
日本はどこでもそうかもしれませんけれども、最も親しみを持って山とつき合って、山と一緒になって暮らしているわけですね。土日、祭日になりますと、物すごいハイキングに行く人が駅に集まっております。
大阪あたりからもおいでになるわけでございまして、本当にみんなトレッキングの用意をしまして、弁当を持って山に登るわけです。あちこちの
登山ルートがありまして、大変親しまれている山でございます。
ところが、この
六甲山をよくよく見ると、ほかにも
心配事がいっぱいあるわけです。まず、
六甲山の山の中を
東西に
新幹線が走っているわけです。そう大した高い山じゃございません、三百メートルか四百メートルぐらいの山ですけれども、
東西に
新幹線が走っている。そして、南北にはトンネルが三つ四つございます。そこも
六甲山をぶち抜いているわけです。
地下鉄も
六甲山を通って北区の方へ行くようになっています。もう
六甲山を
いじめっ放しなんですね。これは
神戸市民が悪いのか、どこが悪いのか知りませんが、あんなに山をいじめている、あるいは山としては、いじめられている山はないんじゃないか、このように思っております。
東京の
地下鉄もそうですね。もう
心配で、私はなるべく余り深い線には乗らない。
大江戸線なんて余り乗らないようにして、あそこで地震が起きたらどうやって逃げようかと思うくらいでございます。
耐震構造偽装問題がありますと、今度は
ビルを眺めながら、もう
東京には余り長くいない方がいいみたいな、そんな
感じでおるわけでございますけれども。
神戸も
大震災を経験しましたから、どんな
ビルが危ないかというのは大体
目ききができるようになったんですね。それで、これは危ない
ビルだななんていうことが素人でもわかるわけでございます。
ですから、
六甲山は壊れやすい、
花崗岩が風化して、もうぼろぼろなんですね。にもかかわらず、山をいじめている。にもかかわらず、
山ろくに張りついて生きている。最も
六甲山を愛しながら、利用しながら
六甲山をいじめている、このようにも思うわけでございます。
そうしたときに、この
グリーンベルト構想というのは、その
山ろく地帯の、いわば
がけ崩れや何かが起こるところに張りついている、
グリーンベルトに密着して暮らしている
市民生活というのがあるわけでございまして、その
市民たちは、いろいろな山に対する危惧の念を持っております。それは、
乱開発でありますとか、こんなところによく建物を建てるものだと思うくらい、
六甲山の山肌に
マンション等が建つわけでございます。そこへ出入りする道路は、昔からの
散歩路であるし、山歩きをする細い道なんですね。
そういうふうに、そんな暮らしをしている
市民と私ども日常的におつき合いをしておりまして、今度の
グリーンベルト構想というのは
大変評価が高いんです、とてもありがたい
方策だと。つまり、
公有地にしてほかにいじらせない、余計な
スプロール化はさせない、そして
トータルに
六甲山全体を眺めて、植林でありますとか
防災等に、いわば
市民とぶつかることなく、言ってみれば心置きなく
工事ができるというふうにも思うわけでございます。
しかし同時に、
グリーンベルトというのは大変ありがたい
方策なんですけれども、
平成七年の
阪神・
淡路大震災以降に
線引きをいたしまして、最も
山ろくの
部分を一番注意しなきゃいけない
Aゾーンというふうに決めました。その上に、
土砂が流れてくる
可能性もある、しかし
工事はまずは緊急的なものをやってそれから奥地をやるという
Bゾーンと分かれておりまして、これもすばらしい
発想だと思うんですね。私が
感じますのは、余りにも
市民と接した
部分での
ゾーニングをやりますから、そこにはやはり
市民の
願いとそれから
国土交通省の
願いがぶつかるところがあるわけです。きょうはそれを
一つ取り上げて、なぜこういう
ゾーニングをやったのかということも含めて
質問をしたいと思っております。
六甲山というのは、
明治の初めごろは
はげ山だったというんですね。今は木が茂って本当に和みのある山でございますけれども、あれは昔
はげ山だったというんです。その昔なぜ
はげ山になったかという説がいろいろございますが、
豊臣秀吉が大阪城を築城するときにあそこの
花崗岩をみんな持ち出したというんです。そして、本当かどうか知りませんけれども、
あとは好きなようにしていいよ、伐採も自由よというようなおふれを
秀吉が出したらしいんですね。それで、みんな
市民はそこに、燃料のない
時代ですから、山へ行って木を全部切っちゃうわけです。それが見事に
はげ山になりまして、
明治の十七、八年ですが、国から
視察官がやってきて、そして、この山はひどいじゃないのと。木を植えようということで、今度は
市民が逆に、勝手にいわば木の苗木を持ち込んでどんどんどんどん植えていったんです。
これもすばらしい
発想だと思うんですね。だから、今日の
六甲山の林の美しさは
市民が全部植えたんですね。それで今日の
六甲山があるわけですけれども。
そういう山の
歴史もあるわけでございまして、
全国十六カ所、十六
地域ある
山麓グリーンベルトもそれぞれの
問題点を抱えているのではないかというふうに思っております。
私は、
六甲山系グリーンベルトが成功するかしないかによって、
グリーンベルト構想の結果がわかるのではないか、それから将来も予測できるのではないかと思っております。なぜならば、最大の広域の
山麓グリーンベルトであるからでございます。私も
グリーンベルトの
歴史を調べながら、
平成七年からですから、本当に若い
歴史、短い
歴史しかないのでありますけれども、やはりいろいろ問題があるなということを考えておりまして、その点についてきょうはいろいろと御
質問をしたいというふうに思う次第でございます。
私もいろいろ調べてみますと、
土地利用の規制とかあるいは
緑地帯をつくるためのいろいろな
法律がたくさんございまして、
グリーンベルト構想には、
市街地に隣接する一連の
緑地帯を恒久的に担保すると書いてあるんですね。これはすばらしいことですね。
緑地帯を確保して恒久的に担保する、それから
土砂災害などを直接的に抑制する、こういう目的が書いてあります。
それから、もっと上の
Bゾーンになるんでしょうか、上部から流出する
土砂流出に対しては
山ろくの
グリーンベルト地帯が
緩衝的役割をするんだと。そして、これは
都市の
真ん中にある山でございますから、
グリーンベルトというのはみんな
都市部にあるわけでございまして、良好な
都市環境をつくるんだ、
風致景観なども大切にするんだ、その上に、そこにすむ、森にすむ生物の
多様性を保全するんだ、また健全なレクリエーションの場にも使うんだと。
私、きょう申し上げたいのは、無秩序な
市街地化への
防止、この辺について
質問をしたいと思うのでございます。
グリーンベルトにしますと、いろいろ
土地利用に関する
法律がございまして、私も勉強したんですけれども、
保安林というのがございますが
森林法、
国立公園特別保護地区というと
自然公園法、
緑地保全というと
近郊緑地特別保全地区あるいは
都市緑地保全法、
近畿は
近畿圏の
保全区域の
整備に関する
法律、そのほか緑化の
保存地域あるいはきょう問題にします
市街地化区域の
スプロール化を
防止する
都市計画法、
砂防関連では
砂防法だとか急
傾斜地崩壊災害の
防止に関する
法律だとか、いろいろ
法律がありますから、
グリーンベルトとして
公有地にしてしまえばいろいろな
法律は中で解消したらいいわけで、これもこういう
山ろくに住んでいる
市民にとってはいい
法律だな、いい
仕事だな、こう思っているわけでございます。
ただし、これは
公有地にするわけですから
買い取りになりますね。
買い取りということは大変なお金がかかるわけでございます。普通の
河川局の
防災工事であれば、
砂防工事であれば、それぞれの大体の
予算がついているわけですからそれで
工事をやればいいんでしょうけれども、これを面的に囲ってしまうというとその
土地を買わなきゃいけない。
私、今日、
経済財政諮問会議の
谷垣大臣の答弁なんかを見ておりますと、売る売る、早く処分して国の
財政支援に充てます、
公務員宿舎を売ります、いよいよせっぱ詰まって、十億でも百億でもとにかく売れるものは売りますというようなことを言っておりまして、しかも、
国有地の未
利用地、利用していないところも売ると言うんですけれども、こんなものは売れるはずがないのでございまして、実は
グリーンベルトで公有化する
土地というのは買う方なんです。売る方じゃないんです。買う方の
予算をちゃんととらないと、
グリーンベルトは
グリーンベルトにならないというのが私のきょうの
質問でございます。
まず、
大臣にお聞きしたいんですが、この
グリーンベルト構想に見合った
予算は毎年出ているんでしょうか。
大臣の感想をお聞かせください。