○
麻生国務大臣 今、
田島先生言われましたように、
日本と中東との関係を利害だけで見た場合におきましては、やはり、今日
日本に輸入されております石油というものは、実に九〇%を中近東に依存しておるという
状況にあります。したがって、この中近東という
地域が、秩序安定、そういったものが確保されているということは、我々にとりまして、輸入のもとであります石油の観点から考えても極めて重要、したがって、この
地域の安定に資するためには
日本で何ができるかということであろうと存じます。
幸いにして
日本の場合は、この
地域にこれまで過去の歴史上余り利害得失というものを持ってきませんでした。かつて迫害を受けたとかいうようなことの関係は全くありませんので、その
意味におきましては、先進国の中では唯一と言ってもいいぐらい、利害関係のない
部分だけ、
日本からいろいろ人を送りましても、何となくベクトルをかけて見られることもないし、色眼鏡をかけて見られることもない、極めてすんなり
日本からというものを受け入れてもらえる
状況にあります。これは、イスラエルにおきましてもパレスチナにおきましても、その他の
地域におきましてもほぼ同様というのが総じて言えるところだと思っております。
したがって、
日本として何らかの形でここのところの関係というものを構築していくやり方というのは、そういう色眼鏡で見られない分だけやりやすい
部分があろうとも
思いますし、また、これらの
地域は今は石油だけに頼っていろいろやっておりますけれ
ども、その石油がいずれ枯渇してみたり、また、将来、水素を取り出すことに成功しますと、今度は水素で物が動くようになってみたり、いろいろな形で、化石燃料にかわるエネルギーというものに変わっていくまでの間は、今の金で何かしない限りは先はありませんよということに関しては、いろいろなことを考えて私
どもはやっていかねばならぬものだと思って、そこは我々も、考えられたらどうですということは私
どもも積極的に申し上げているところでもあります。
今はアメリカとの関係がございましたけれ
ども、あのブッシュ・ドクトリンの中でかなり長いのが出ておりましたけれ
ども、私
どもは、少なくともアメリカが、あの中で
国際社会の諸問題について、
国際社会と協調しつつリーダーシップを発揮するとの考え方をあの
報告書で示している点は評価をいたしておるところでもあります。
少なくとも、
世界の中の日米同盟という中にあって、
日本とアメリカの場合は、やれ民主主義とか自由主義
経済とかいろいろな共通の価値観を持っておるところでもありますので、私
どもとしては、こういう価値観を共有していく国と協調しつつ、
世界の中の
日本、日米同盟というものをきちんと作動させて、もって国益に資するというような方向にやっていくべきものだと考えております。