○滝
委員 滝実でございます。本日も、二十分時間をちょうだいいたしておりまして、大変感謝を申し上げながら
質問をさせていただきます。
簡素で効率的な
行政を目指す、これが今回の行革五法の趣旨だというふうに認識はいたしておりますけれども、しかし、
行政の中には、当然のことながら、この簡素で効率的なというところが必ずしも当てはまらないところがあるんだろう、そういうことで、
入札の問題を取り上げてみたいと思うんです。
官製談合が当
委員会でも大分話題になりましたけれども、基本は指名
競争入札、それが官製談合の温床にあるというようにも
考えられるわけでございます。しかも、一般
競争入札が基本であるのにかかわらず、主流はやはり指名
競争入札。なぜそうなっているのかということを
考えなければいけないように思うのです。
なぜ一般
競争入札じゃなくて指名
競争入札かといえば、一般
競争入札は実際の実務からいうと手間がかかるんですね、物すごく手間がかかる。したがって、その
入札事務をこなすということになると、どうしても指名
競争入札、これが本流だという意識になってくるわけでございます。
明治三十三年に今の会計法の前々身の
法律ができました。そのときには一般
競争入札しかなかったんですね。しかし、それではやはり不便だというので、勅令で指名
競争入札を入れました。そして、それを大正十年の全面改正の際に、指名
競争入札を初めから入れました。そうしましたら、貴族院の
委員会で反対を受けました。指名
競争入札をまともに本文の中に入れるといろいろ弊害が出てくる、したがって貴族院としては反対だということで、
委員会修正が行われたのでございますけれども、本
会議で
政府原案どおりということになりました。これが大正十年でございます。
年明けて、大正十一年の一月の閣議
決定で、実は特別にこの指名
競争入札についての閣議
決定をいたしました、限定をする意味でですね。四つばかりあるのでございますけれども、その
一つが、同
業者が連合して不当な
競争をあおる場合があり得る、それから、不信用の
業者も参入しておかしなことをする、あるいは、当時は技術的なレベルもあったんだろうと思いますけれども、検査が難しいような工事、そういうものは指名
競争入札でいい、それから四番目が、これが問題なのでございますけれども、
契約が不履行、
契約どおり履行されなかった場合には
政府に著しい支障になるようなもの、これは指名
競争入札でいい。この四点の閣議
決定をして、限定的に貴族院の趣旨を踏襲しよう、こういうことであったわけです。
現在の指名
競争入札の条件は何かというと、大きく分ければ、
業者が少数しかいない、そういう場合は指名
競争入札でいい。それからもう
一つは、
政府にとって不利なとき。あとは、金額が少ないときはいいんだと。これはまあ
事務的な話でございますけれども。そういうような三つの要件から成っているんです。
ところが、その中で、
政府にとって不利なときは指名
競争入札でいいんだというんですけれども、今どこの省でも、中央
省庁ほとんどが指名
競争入札です。これが九〇%以上ですよね。なぜそうなっているかといえば、先ほど申しましたように、手数がかかるからだろうというふうに言わざるを得ないと思うんです。
事実、不利なときじゃなくて、何を手がかりにして各省がやっているかというと、実は、大正十一年の一月の閣議
決定の、
契約が履行されないときには
政府に著しい支障を来すとき、これを手がかりにして、実務上は指名
競争入札でやるのは当然だというような解説書になっているんです、会計法の解説書が。これは個人でやったんですからね。個人の解説書ですから、別に
政府は責任を負わないといえば負わないんですけれども、実際の実務はそういうことを手がかりにしてやってきた。
事実、長野県では四年前にこの指名
競争入札が九割以上ありました。それを
田中知事になってから、一挙に一般
競争入札に切りかえました。大変手間がかかるんです。手間がかかるのでございますけれども、長野県の落札率は大体六八、九%。要するに、予定価格の六割から七割の間で落札している。別に安ければいいというものじゃないと思いますけれども、
数字的にはそういうのが出ている。
私は、官製談合ということが叫ばれますけれども、その前段階として、どうして一般
競争入札をしていくかということが一番大事な問題だろうと思うのでございます。
特に、その中でその後もいろいろな知恵が働いてまいりまして、制限一般
競争入札だとかそういうようなことも言われておりますけれども、この辺のところを、指名
競争入札に付するときには各省
大臣は
財務大臣に協議をすること、それが本来の建前だったと思いますけれども、これは
政府参考人の主計局
松元次長の方から御
答弁をいただければありがたいと思います。