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青柳政府参考人 国民年金の
納付率が低下してきた原因をどのように分析をしているかということ、あわせまして、そのためにどのような対策を講じてきたかという
お尋ねがございました。
まず、原因分析の方でございますが、今
お尋ねの中にもございましたように、
平成四年度を境に低下傾向にあったわけでございますが、それが
平成八年度から非常に低下傾向が強まってきたということは御承知のとおりかと存じます。この背景には、実は
平成七年度から、二十歳に到達した方に対しては、
本人からの届け出がなくても
年金手帳を送付し、職権による適用を行うという形で、従来、いわば未加入という形でしか私
ども対処のできなかった
方々をきちんと
保険料の負担者として一応
把握はできる。しかし、その
方々が必ずしも
納付に結びつかなかった、こういう事情、背景があろうかと存じます。
数字でその点を押さえていただきますと、
平成七年度に未加入者という
方々、およそ百五十八万人
全国でおられましたが、これは、一番新しい十六年度では三十六万人に減っておる、こういう点を、まずは御
認識を賜りたいと存じます。
さらに
お尋ねがございましたように、そうは言うけれ
ども、
平成十四年度を境に、大幅に、一年間で八ポイント以上も低下があったじゃないかという
お尋ねがございました。これについては、おおよそ三つぐらいの要因がこれにかかわっているというふうに私
ども分析をしております。
その第一の要因は、
平成十四年度に、先ほど
お尋ねの中にもお話がございましたように、市町村で
お願いしておりました仕事を国の方に引き揚げたという変化がこの間にございました。この際に、従来市町村ごとにいわば
免除者について
保険料免除の適用基準を当てはめをしておりましたものを、国の
仕組みということになったことから、
全国一律の基準に統一をいたしました。その結果、従来であれば
申請免除に該当したものが十四年度以降該当しなくなったということによりまして、
保険料率に換算いたしますと、およそ四ポイント程度、低下が生じたというふうに
考えております。
また、先ほど申し上げましたように、トレンドとして未加入者が減り
未納者がふえてきたということに加えまして、この間、厳しい経済情勢等に伴う離職等によりまして
国民年金の一号被
保険者となった
方々が増加したわけでございますが、その
納付状況が総体的には低かったということが原因ではないかと思われる要因がおよそ二ポイント相当。
さらに、
平成十三年度まで市町村において仕事を
お願いしたわけでございますが、特に、いわゆる
納付組織という形でいわば自治
組織に非常に活躍をしていただいて、そこが
組織率の高かったところほど実は
納付率の低下の大きさが大きいというようなことも私
ども把握をしておりますので、こういった自治
組織がうまく活用できなかったこと及び国への
事務移管に伴う
事務対応におくれがあったこと、これが二ポイント程度のいわば減少につながっているのかなというふうに分析をしております。
しからば、その対策ということで
お尋ねがございました。私
どもは、まずは、この未納問題は
年金に対する
国民の信頼という点からゆるがせにできない大変重要な問題であるとの
認識に立っております。
そのために、
一つは、納めやすい環境をどうやって整備していくかということで、例えば、コンビニエンスストアでの
保険料収納でありますとか、三十歳未満のいわゆる若年のニート層等の
方々に対する
納付猶予制度の創設でありますとか、口座振替割引制度の導入、特にこれは割引率を高くすることなどによりまして、
納付しやすい環境づくりに努めるというのが第一義でございます。
第二には、
未納者の負担能力に応じたきめ細かな対策ということで、
所得情報を活用いたしまして、所得の低い方には
免除を勧奨する、そして、所得があるのに
納付していただけない方に対しては強制
徴収を厳しく適用する。さらには、市場化テストの実施などによりまして、民間のノウハウを活用して効果的な
徴収に努めるということをやっております。
引き続き、今回
お願いをしております
社会保険庁改革関連
法案の中では、さまざま、この
納付率を向上するために、クレジットカードによる
納付その他の新しい施策も講じておるところでございまして、こういったことを総合的に講じることによりまして、さらなる
納付率の向上について努めてまいりたいと
考えております。