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仙谷委員 さっき
偏在というお言葉を使われました。偏ってあるという話、それから今この間の、これはがん治療から言われてきた言葉でありますが、
厚生労働関係では均てん化という言葉を使われている。ということは、裏を返せば均てんされていない、だから均てん化が必要なんだ、
不足しているところがある、こういう話だと思うんですね。
それで、
総理にぜひ認識を改めていただくというか、より掘り下げて認識をしていただきたいのは、先ほどから、
医師がふえているけれ
ども不足だと言う人がおると、こういう一般論で、今語るべき事態ではなくなっているということをまず認識していただきたいんです。
足りないのは、
病院の中堅の医者が圧倒的に足りなくなっている、急性期病棟の医者が圧倒的に足りなくなっている、そして科で言えば、分娩を扱う
産婦人科のお医者さんが圧倒的にいなくなっている、あるいは、そういう
病院でいなくなっている、そこが
不足している、
小児救急の病棟でのお医者さんが圧倒的に
不足してきている、こういうことであります。
それから、いいですか、御存じだと思いますが、毎年毎年七千五百人から八千人のお医者さんができますが、今、毎年毎年四千五百人ぐらいの中堅のお医者さんが、勤務医からバーンアウトしているのか、もっと違う思いなのか知りませんけれ
ども、開業をされている。当然のことながら、マクロ的な統計の数字の上では
不足としてあらわれてきません。しかし、
病院のお医者さんは圧倒的に
不足している。
もう一つ、これは通常のお医者さんの問題でありますが、もう一つの大問題は、高度先進
医療にかかわるお医者さんは、例えば、がんの腫瘍内科医とか、先ほど
福島先生おっしゃっていましたが、がんの放射線治療医とか、圧倒的にこれは
不足です、いません。腫瘍内科医は、ちゃんと認定された専門医は四十七人です。
あと暫定の方が五百人弱です。一人もいない県もあります。つまり、そういう先端を行く、あるいは、もう
国民が既に情報を知っているけれ
ども、どこへ行ったら
医療にアクセスできるのか、行ってみたらないというこの
医師不足、専門医の
不足。それから、今までは当然のこととして前提にされていた産科や
小児科、そして最近では、
外科、麻酔科、脳
外科、そういうところを中心に急性期病棟においてお医者さんが圧倒的に
不足してきた、こういう問題なんですね。
さらにもう一つは、インフォームド・コンセント、これはいいことであります。私も、自分の病の体験からして、いや最近は丁寧になったなと思います。ありがたいことです。問題は、インフォームド・コンセントと、ある種
医療技術のIT化の中で、丁寧にやれば従来の
医療よりも、はるかにお一人お一人の患者さんに対する時間が勤務医の先生方を中心にかかるということなんです。そうすると、当然、対患者に使う時間数は、本来は少ない人数しか診察、治療できないはずでありますけれ
ども、そこのところの人数を手当てされないと、どんどんどんどん残業になるか忙しくなってくる、寝る間もなくなってくる、こういう
医師不足の問題なんです。
皆さんも経験しておると思いますが、コンピューターを使えばペーパーレス時代になる、こう言われましたね。何か持ち運びも簡単だし仕事量が減るんじゃないか、効率化されて仕事量が減って、人間労働の中に余暇が生まれる、こう思いました。
どうですか、皆さん。私もそんなに熟達しておりませんが、少々使えます。パソコンを使った仕事を始めたら、すぐ従来の二倍、三倍、四倍の仕事量をこなさなければいけなくなります。夜寝る暇も本当になくなります、メールの返事を打とうとすれば。つまり、このIT化というのはどうも仕事をふやすんですよ、お医者さんも。ペーパーレスじゃなくてペーパーがふえるんですよ、IT化というのは。どうもそういうことだと思います。
医者
不足は、そういうことの要因もあって、子供が減っているのになぜ
小児科と産科が
不足するのか。これはだれも、おかしいんじゃないか、絶対量あるんじゃないか、こういう感覚で見ておったわけですが、足元がこんなになってしまったということであります。ここは別途、特別の対策が私は必要だと思いますが、
総理、いかがですか。