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仙谷委員 のんきなものだなと思います。特に、
赤松副
大臣は、
福祉の公明党の所属でございますから。
医療提供体制の現場の問題が大変深刻な
状況になっているということのみならず、先般から問題になっておりますように、未収金という格好であらわれてくる問題、
医療扶助で使われております金額、格差がどんどん拡大する中で、
保険財政そのものを健全化しようとして、泥縄式に
国民の
負担増を行い、あるいは
政府からの、国庫からの繰り入れを減らすということをやればやるほど、多分この問題は最終的に、
生活保護、
医療扶助あるいは未収金等々の形でもっと大きな
社会問題になってくるんだろうな、今回の
審議を通じてそんなことを感じました。
といいますのは、医師会さんがほとんど公的な立場でここにいらっしゃって、
医療難民、
介護難民という言葉を使われた。これはちょっと大変な問題ではないかと思います。
がん
患者の
方々が、昨年までがん難民という言葉を大変声を大にして訴えられていた。今度のこの
医療改革が始まってみると、医師会の公的な立場にある方が、ナンバーツーかナンバースリー、実務の責任者でしょう、
医療難民、
介護難民と言われた。連日のごとく東北、北陸地方では、ああ、どこの小児科、産科が取りやめになった、あるいは脳外科までなくなった、内科も集団でお医者さんがいなくなった、こんなことがいわゆる
病院現場で起こっているということであります。
私は、これはまさに、一将功なって万骨枯れるということわざがありますけれども、たとえ
保険財政が何とかほころびを見せないようにあと五年か十年もったとしても、そのときには、万骨と同じように
医療現場は完璧に枯れる。特に急性期
医療はずたずたになって、いなくなるのではないか、維持できなくなっているんではないかと思います。
ある小児科を専門にされている方が私のところへ来て、北海道でその人はなさっておるようでありますが、こういう言い方をしました。
仙谷さん、
医療現場からの反乱とか一揆とかが起こっているんだったら、反乱や一揆だったら妥協のしようもあるし解決の方策も生まれる、しかし、今起こっていることは、先ほど
赤松副
大臣もおっしゃったけれども、逃散である。逃散というのは難しい言葉、逃亡の逃に散逸の散。要するに、現場からいなくなる、プロフェッショナルがいなくなる。
先般の
参考人の質疑の中でも、御意見の中でも、あれは横浜市立大母子
医療センターの奥田美加さんという女医さんのお話でしたか、もう辛うじて七十一歳のおばあちゃんの力もあって維持しているけれども、やめたい人は身の回りにはいっぱいいるし、これがどこまで続くかわからない、そういうことをおっしゃっていましたよね。
船橋の市立
医療センターというところに行きましたら、やはり小児科部長は女性でした。多分、お年はわかりませんけれども四十代中盤でしょう。もうへとへと、もう見るからにへとへとでした。それで、今まで三つあった小児救急を受け付ける
病院が、船橋でことしから二つになったんだと。もう何でもかんでも舞い込んできて、もう寝る間もない。そんなことを言って、本当にへとへとになっていました。
つまり、いろいろな診療科でも問題があるようでありますけれども、今のこの急性期病棟をめぐる問題。
病院というのは、先ほど川崎
大臣が、まあ自慢されたわけではないんでしょうけれども、お述べになった日本の
医療水準の高さを保ってきた、その大きな要因といいましょうか構造だったと私は思います。私自身も、国立がんセンターで手術をし、入院
生活を送った経験からいいますと、日本の
医療のレベルは低くない。
しかし、そう言っているうちに、この人たちがへとへとになってやめていく、若い人たちがもうばかばかしいからそういうことはやめようと。ある確率でそういう逃散現象が、いわば北朝鮮の脱北みたいな話に近いわけですよね、逃散というのは。こういう現象がある確率でふえたときに、十年続いたらどうなるか、はっきりしているじゃないですか。
先ほど、川崎
大臣、我が党の柚木さんの
質問にお答えになって、必死になって、小児科医は減っていない、ふえているとおっしゃった。要するに、小児救急
病院で宿直をする、宿直のできる小児科医がふえているのか減っているのかが今問題なんでしょう。小児科医が、ビル診で開業する小児科医が幾らふえても、まあ、いないよりいた方がまし、現在の問題を解決するということにはならないんじゃないでしょうか。これは例え話でありますが。
私は、この段階で与党の皆さん方に申し上げたい。大体、一日二十分の
審議をしてこれでよしとするような与党というのは、全くこの
法案に責任を持っていると言えないですよ、二十分や三十分で。もっと
質問したらどうですか、問題点があるんだったら。これが万事オーケーの
法案なのかどうなのかお考えになった方がいい。ちゃんと質疑をした方がいい。
なぜこんなことを言うかといいますと、皆さん方は
法案が通ればいいんですか、これ。もうそれだけでいいんですか。
国民はわかっていませんよ。今のこの
保険財政が財政破綻
状況にあるかどうかということも、ほとんどわかっていませんよ。老人保健
制度として維持されてきたこの
高齢者に対する
医療が、一人一人の
現役世代が出した
保険料のうち何兆円プレゼントされていたか、ほとんど知りませんよ、
国民は。これを新たな七十五歳以上の
高齢者医療制度と称するものに変えて、これが
保険であるのかないのかようわからぬけれども、どこからこのお金が出てくるのか、
国民はほとんどわかっていませんよ。わかっていないと思いますよ、金目の問題にしても。
あるいは、
医療の問題にしても、
自分が住んでいる身近なところでの
病院で、なぜ小児科が閉鎖になるのか、産科がなくなるのか、外科がなくなるのか、内科の医者がいなくなるのか、なぜなのかわかりませんよ、
国民は。これは与党推薦の
渡辺俊介さんがおっしゃったように、足りなければ政治の責任で御
負担を願わなければいけない、
国民に。これだけかかるのであれば御
負担を願わなきゃいかぬと私は常々思っているんですよ。
そのことを、お金が足りないのか、人が足りないのか、政策が悪いのか、ちゃんと説明をして、
国民にわかってもらわなければいかぬじゃないですか。
社会保障の中で唯一の現物給付ですよ。だれだって、なぜ同じサービスを受けるのに
保険料が違うのか、
都道府県で違うのか、市町村で違うのか、入っている
保険組合の違いで違うのか、このことを説明できる人もいなければ、わかる人もいないですよ。私、そう思いますよ。しかし、現実には受ける
医療サービスも、建前上は均一で平等だということになっているけれども、実際は
地域によって違ったり、あるいはその人の置かれたポジションによって違ったりしているじゃないですか。
こういうことをちゃんとわかってもらって、今の水準を維持し、なおかつ、もっとレベルの高い、質の高い
医療を、そういうつもりでこれ、良質な
医療を
提供する
体制の
確立を図るための
医療法等の一部を
改正する
法律案になっているんじゃないですか。そのためには、
負担がどのぐらい必要なのかということをちゃんとこの議会で説得的な議論が行われて、
国民にそのことがメッセージとして伝わらなければ、だれだって、ああ、また強行採決したのか、何時間で済んだのか、その程度しかわかりませんよ。
結局、来年の十月ですか、思いもかけず
負担が来たとか、あるいは
医療提供、
病院へ行ってみたらとんでもないことになったとか、
医療事故は続くとか、もう
医療事故を起こすのは嫌だから
病院をやめるとか、そういうことにしかならないんじゃないかということを私は心配して申し上げているんです。
私は、別に
審議を引き延ばすつもりなど毛頭ありませんけれども、この程度の
審議で本当にいいんですかということを、真剣に
政府・与党にも、与党の皆さん方には特にお考えいただきたいんですよ。このままでいいはずはないんですよ、多分。川崎
大臣はそれほど深刻な事態じゃないような感覚のことをおっしゃるけれども、私は相当深刻だと思います。
というのは、大野
病院事件が起こるまでは、率直に申し上げて、私どもも、急性期病棟が全般的に大変な問題化している、つまりバーンアウト現象が起こって、開業医ブームが起こっている、これは何なんだと、こういう問題意識はありました。とりわけ小児科がひどいということも、そういう問題点も感じておったつもりであります。がん
治療については、なぜ太鼓はたたくのに事態が進まないのかということについて、甚だ疑問を持っておりました。
しかし、例えば産科
医療がここまで来ている、あるいは僻地と言わずごく普通の地方が、選挙区でいえば二区、三区です。我が地元でも二区、三区、ここの中核的な
病院がほころんでいる。今度の
審議に際して、いろいろなお話を聞いたり歩いてみたりするまで、ここまで来ているとは思わなかった。これは相当に病状が悪化している。がんでいえば、二期は超えているんじゃないかと私は思うんですね、これは。
そんな事態でありますから、
政府も与党の皆さん方も、ただ、だらだらと
審議をすればいいことはありませんけれども、与党の
方々ももっと本当に
国民の立場をちゃんと代表して質疑をされたらいかがでしょうか。提起しておきます。
そこで本題に入ります。
きょうは、ちょっと資料を用意しましたが、何を用意したかといいますと、まず、資料の一枚目と二枚目をごらんいただければ、実は、医師の
地域偏在の是正というふうな問題は、もう
平成八年から、九六年の
医療改革のときから問題になっておりましたね、こういう話です。あるいは、小児救急
医療の
充実というのは、少なくとも二〇〇一年から二〇〇二年、そしてそこから、せんだっての鴨下
参考人がおっしゃったように、労働科学研究をして、ついに昨年、僻地小児科の医師不足問題に
対応する
確保対策ができた、こういうことだと思うんですよ。
ここをごらんになっていただいてもわかると思いますが、周産期も実は、
厚生労働科学研究で一緒にといいましょうか、同じように研究対象になって、同じように
対策が出ておるわけでありますけれども、明確に、産科、周産期がこれほどの状態になっているというのは、少なくとも
厚生労働省の公的ないろいろな文書からは余り見受けられないんですね、見受けられない。
きょう用意しましたのは、最近、産婦人科学会が大変なことになった。これは大野
病院ショックだと思いますけれども、調べられて、ちょっとめくっていただきたいんですが、七枚目、産婦人科常勤医師数について、いかがですか、二年ちょっとの間に四百十二人減って八%減になっている。これは、大学
病院等その関連
病院の数を調べたらこうなっておるということですね。
さらにもっとショッキングなのは、資料の八枚目。右の方に四と書いてありますけれども、分娩取り扱い関連
病院数、これは約一割近く減っている、百十一減っている。
それから、女性のお医者さんの数は、よくおわかりいただけると思いますが、九枚目には、分娩取り扱い関連
病院における常勤医の数の分布、女性医師の分布というふうに書いてあります。これはほとんどの
病院が、一、二、三、四と書いてあるのは、二人
体制、三人
体制、四人
体制、あるいは一人医長
体制、ここが七七%ぐらいある、こういうふうなことが書かれておるわけですね。
この
対応策でありますが、
厚生労働大臣、その
対応策について資料の五枚目、「産科について」というところで書いてございますが、少々遅きに失したとはいえ、集中的に今からやるべきこと、
厚生労働省は緊急にやるべきこととして何かお考えはありますか。