○福島
委員 大臣や副
大臣、大変御苦労さまでございます。
本日より
委員会におけます
医療制度改革の
質疑が始まるわけでございます。一連の
社会保障制度改革の一角をなす極めて大切な
改革でありまして、将来にわたって安定して運営していくことのできる
医療制度をどう再構築するのか、大変大切な
課題でございます。私
どもは、この
委員会での
審議を通じて
国民の
皆様にもわかりやすい
議論を展開し、そして実りのある成果を出していきたい、そのように思っております。
大変残念なことは、
民主党また社民党の御
出席を得られないということでございます。がん対策をどうするのか、こういうことが
一つの焦点となっておりますけれ
ども、
医療保険制度という安定した基盤があってこそがん対策というものも進むわけでございます。与党におきましても、昨日からPTを立ち上げましてどのようにこれを進めていくのかという
議論を開始したところでございます。また、公明党におきましては先般要綱を取りまとめたところでございます。
与野党超えてきちっとした
議論をしていく必要がある、それはそのとおりでございますけれ
ども、その前提として、この健保法そしてまた
医療法の
改正をどう考えるのか、その土台をどうするのか、まずそこの
議論を
民主党、社民党も参加してきちっと
議論すべきである、私はそのように考えております。
改めまして、本日は総論的なことについてお尋ねをしたいというふうに思っております。
だれもが健康な生活を送りたい、このように願っております。
医療サービスはさまざまな物財と並んで、また、場合によってはそれ以上に価値のあるものと言えます。また、
医療は
一つの社会システムであって、総合的にシステムとしてとらえ、その問題を考えていく必要があります。今回の
改革は平成十四年の
改革に引き続いて、その
改革の中で残された
課題、これを仕上げる
改革であるということが言えるわけであります。少子高齢化という今後の人口構造の変化にたえ得る
医療制度、
医療保険制度へ
改革するということが急務の
課題であり、そしてまた、
国民に対して責任を果たす立法府の
役割であるというふうに考えております。
昨年から、
日本は人口減少社会に突入をいたしました。右肩上がりの社会の中で構築された諸
制度というものを見直すということは急務の
課題であります。大切な観点は、将来
世代にツケを先送りしない、そういう
制度を構築すべきだ、私はそのように思っております。
ただ、一方で、
国民が現在の
医療システムに対してさまざまな不満を持っているということも事実であります。安全の問題、
情報提供の問題、
患者の選択の問題、さまざまなことが近年主張されております。また、診療科ごとの
医師の不足であるとか、
地域における
医師の不足であるとか、深刻な問題として取り上げられております。
医療制度を将来にわたって安定して運営できる
制度へと再構築していくと同時に、このように近年つとに
指摘された問題に対して的確にこたえていくということも同時に求められているわけであります。
今まで
医療制度改革といいますと、ややもすると
医療費の増大に対して
医療保険の財政を安定させるために、
保険料であるとか、窓口
負担、自己
負担をどうするか、こういう
議論ばかりが繰り返されたかのような感がございます。しかし、今回の
改革は、人口減少社会に突入した現在、システム全体を俯瞰して全体の
医療費を
国民でどのように
負担するのか、また
世代間の
負担の分かち合いをいかにやるべきか、また全体としての
負担の増加をより軽減するためにはどのようなレベルで
医療費をコントロールすべきか、こういった将来を見据えた包括的な
議論をすべきである、そしてまた、包括的な
改革であるべきである、そのように考えております。
また同時に、こうした
医療制度改革は先進諸国では共通した
課題となっております。その中で言われてきたことは、バリュー・フォー・マネーという
考え方であります。同じ資源を投与していかによりよい
サービスを得ることができるのか、システムとしての効率、パフォーマンスをどのようによくするか、そういうことでございます。
負担に見合った
医療サービスが実現できているのかどうか、資源は効率的に配分されているのかどうか、こういったことについても深い
議論が必要であるというふうに思っております。
そしてまた、こうした
議論の前提として考慮せざるを得ないことは、
我が国の財政
状況が極めて悪化をしているということでございます。この事実は、
医療保険制度だけではなく、あらゆる
制度に極めて強い制約を及ぼさざるを得ません。財政に与える影響というものを無視して
医療制度ということを考えることはできないわけでございます。こうした非常に困難の中であっても、バリュー・フォー・マネー、一定の資源でいかにして効率のよい質の高い
サービスをつくっていくのか、このことが国会に課せられた
課題であるというふうに思っております。
医療はシステムであり、さまざまな面からの
議論が必要であります。もちろん、そういった中でがん対策ということも必要でございますけれ
ども、何よりも大切なことは、システム全体をどのように考えるのか、そして極めて強い財政制約の中でどのようなシステムを再構築していくのか、このことでなければならないというふうに私は考えております。そうしたことをまず申し上げた上で、本日は、まず
医療費の問題について取り上げたいというふうに思います。
今回の
改革では、
医療費の
適正化を図る、このことが
一つの柱となっております。高齢化がさらに進む中で
国民の
負担ということを考えたときに、
医療費の
水準というものをもっと
適正化すべきである、この
指摘は確かに正しい
指摘でもあろうかと思います。しかし、いかなる
医療費の
水準が適正かということについては、さまざまな
議論があるというふうに私は思っております。
かつて、
医療経済学者の二木立さんは
日本の
医療政策について、世界一の
医療費抑制政策だ、このように評価をしたことがございました。先進諸国の中で
日本の
医療費は比較的低い
水準に位置づけられることは事実だと私は思っております。一方では、こうした事実を踏まえずに、
医療費はもっと下げられるはずだ、下げるべきだ、こういう一方的な
議論が多いことも事実でございます。
本日の質問の中では、ここの基本的なことをまず確認をさせていただきたいと思っております。
日本の
医療費の
水準をどのように考えるのか、先進諸国の中で比較した場合にどのように位置づけられるのか、このことについてまず
厚生労働省にお聞きをいたしたいと思います。