○杉山
政府参考人 モーダルシフトについてのお尋ねがございました。
モーダルシフトの現状、
課題、それから今後の対応ということでございます。
まず、現状でございますが、
先生御
指摘ございましたように、昨年、京都議定書が発効いたしまして、
政府全体で今CO2排出削減に取り組んでいるところでございますが、運輸部門におきまするCO2の排出量は、京都議定書目標達成計画に基づく排出抑制の目標値を大きく上回っている
状況でございます。したがいまして、地球温暖化対策の一層の充実強化が必要となっているということでございます。
国土交通省では、物流分野での地球温暖化対策につきまして大変重要な問題と認識しておりまして、まさにお話がございましたように、モーダルシフトを初めといたしまして、さまざまなCO2排出削減対策に
取り組みをしているところでございます。
先生御承知のとおりでございますが、トンキロ当たりのCO2の排出量をモードごとに比較いたしますと、鉄道はトラックの八分の一、それから内航海運は四分の一となっておりまして、モーダルシフトは、環境対策や省エネルギー対策として極めて有効であると考えている次第でございます。
しかしながら、モーダルシフト化率、これは輸送距離五百キロメートル以上の雑貨輸送のうち鉄道、海運の輸送量の占める比率でございますが、このモーダルシフト化率につきましては、算定
対象となる輸送距離五百キロメートル以上の雑貨輸送の最近の実績を見ますと、鉄道、海運による輸送量は増加しているわけでございますが、実は、それ以上にトラックの輸送量が増加しているということから、モーダルシフト化率という率で換算いたしますと、
平成十四年度で三二・一%ということで、低下
傾向にあるわけでございます。
この原因でございますが、やはりトラック輸送の増加ということが非常に顕著でございますが、これは、荷主側のニーズが高度化している。例えば、多頻度小口輸送の増加、あるいはジャスト・イン・タイムの要請、さらにはインターネット販売でございますとか通信販売などに見られるように、消費者物流の増加といった、大変小まめで、また在庫をできるだけ持たないというような、荷主さんの物流をめぐる
状況の変化が挙げられるわけでございます。
このような物流の
状況の変化に対応いたしましてさらにモーダルシフトを促進していくためには、機動性や利便性にすぐれているトラックによる一貫輸送に比べまして、いかにサービス水準、例えば、リードタイムでございますとかコスト、輸送品質、輸送の安全性等を低下させないで鉄道や内航海運への転換を図っていくかということが大きな
課題であると思っておる次第でございます。
対策でございますが、このような
課題に対応いたしまして、モーダルシフトを含む環境負荷の小さい物流体系を構築していくためには、まずは物流
事業者みずからが努力をしていただく必要があるわけでございますが、なかなかその単独の
取り組みでは限界がございます。したがいまして、荷主企業と物流
事業者が相互に
知恵を出し合いまして、
連携して取り組むということが大変重要になっていると認識しております。
このため、
国土交通省といたしましては、昨年四月でございますが、物流
関係団体や経済産業省とともにグリーン物流パートナーシップ
会議というものを設置いたしまして、ともに両者が
連携をしてCO2排出削減に取り組んでいこうということで、補助
事業等を今行っているところでございます。
ちなみに、
平成十七年度の
取り組みといたしましては、モデル
事業といたしまして二十一件を補助
対象としたわけでございますが、このうち鉄道へのモーダルシフトが四件、海運へのモーダルシフトが四件ということで、一生懸命このモーダルシフトに対する支援というものをやっているところでございます。
さらに、十八年度におきましては、経済産業省と
連携いたしまして、この補助金の枠を昨年度の八億円から約五倍の四十億円に拡充をいたしまして、先進性のある
取り組みとしてのモデル
事業、あるいはすそ野を拡大するための普及
事業に対しまして引き続き支援をすることといたしております。既に五十件の
事業を推進決定いたしておりますが、このうち鉄道へのモーダルシフトが十二件、海運へのモーダルシフトが八件ということで、一層のモーダルシフト化を支援しているという
状況にあるわけでございます。
この十八年度につきましては、さらに現在、二次募集を行っております。したがいまして、
事業者の皆様にさらに多くの提案をいただくことを期待している次第でございます。
今後は、こうした
取り組みを進めるとともに、グリーン物流推進のためのマーク、スローガンなどを活用しながらPR活動に力を入れまして、より多くの皆様の
理解をいただきながら、モーダルシフトの促進も含めまして、グリーン物流の
取り組みのさらなるすそ野の拡大を図ってまいりたいと思っている次第でございます。