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藤野分科員 ぜひともこの
取り組みはしっかりとやっていただきたいと思っております。
私は、何よりも許しがたいのは、命を捨てる
人たちでございます。
人間のエゴイズムで勝手に飼い、そして好きなように捨ててしまう、まるで物のように捨ててしまう、そういう
人たちが、許しがたい行為だと思っております。とりわけ、最近目立ちますのが、
一緒に
暮らし、そのあげく
病気になった犬、猫をいとも簡単に捨ててしまう
人たちでございます。
ある友人といいますか、私がやっておりますセミナーで知り合った方からお手紙をいただきました。公表の許可をいただきましたので、読ませていただきます。
平成八年七月の暑い日、
愚息がまるでボロ布の様に
汚れ放題のシェルテーの捨て犬を連れて来ました。炎天下、何日も何日も公園の中をよろよろとうろついていたのを、やっと捉えて来たとの事でした。
愚息は自宅でゴールデンリトリバーを飼っております。
御本人は飼えないということでございますね。
余りにも哀れなその姿に飼う事にしました。早速病院へ同行、身体中全
処置、
精密検査の結果、心臓、腎臓、膀胱がひどく悪化している事が分りました。遠くから連れて来て捨てられた様でした。元気に力がつく様にと
主人が
リキと名付けました。
リキは躾は出来ていましたが、「待て」「
伏せ」「お
座り」は絶対にせず、夜も横にはならず、壁や家具にもたれかかって寝ました。
散歩の折、あるタイプの車が来ますと、さっとお
座りをして
チンチンをしたり、交互にお手をしました。車が通過しますと引綱が切れる程引っ張り、振り返り車の影が見えなくなる迄、じっと見送っておりました。
リキは
病気でありながら、帰れない様な遠い所から車で連れて来られ、「お
座り」「待て」を命令され、それを守っている内に
飼主は
リキを捨てて帰った…と私は
思いました。
リキのその姿に私は
散歩中、何度も何度も泣きました。捨てられても犬は決して
飼主を忘れないのですね。頑健な顔の
主人も良く泣きました。「
リキは家の子よ、お父さんの次に偉いのよ…」私は毎日毎日そう言って聞かせ、やっとお
座りも
伏せもする様になりました
小さな
動物、そして命、小さな
子供が似ているというのはこういう点でございます。二、三歳の
子供はお母さんに
虐待を受けても、受けても受けても
母親を慕うものでございます。犬も、この小さな
動物たちは、こういった、捨てられても、
虐待を受けても、なおかつ
飼い主をしっかりと覚えて慕っていく。このひとえの限りない優しさ、こういった
動物を、人としてしてはいけないような遺棄ということ、そして傷つけるということを私
たちはしております。これを決して許すことはできないと思っております。
今、一年以下の懲役または百万円以下の
罰金、みだりに殺すこと、傷つけることに関しての懲罰でございます。そして、そのほか、
虐待等でございますが五十万円以下の
罰金ということで、三十万円から引き上げられたということでございますが、この法が整ったといたしましても、この法がしっかりと生かされていかなければ、何のための法であるかということを痛切に感じております。
そこで、
マイクロチップの
普及のことも関連をいたしますが、この
マイクロチップをつけていくことによって、捨てた人、傷つけた人、殺した人、そういった
人たちが明らかになるような、そういった
仕組みを今後ぜひともつくっていかなければいけないと思っております。
例えば、
マイクロチップをつけていく
一つの手段といたしまして、
犬猫救済税もしくは何か
補助金などのような形の
制度化ができないものかと思っております。そして、
マイクロチップの
処置をした人には
税金の一部が返ってくるような、そんな
仕組みがあれば、少しでも
マイクロチップを人に知ってもらうことができるし、また
マイクロチップをつけていこうという、そういった人がふえるのではないかと思っております。
さて、時間もそろそろ残り少なくなってまいりましたので、簡単にまとめてまいりたいと思っております。
私は、小さいころ、親の
背中を見て子は育つとよく言われたものでございます。
子供は、
言葉だけではなくて、むしろ日々の
暮らしの中で本当に親の
背中を見て、ゆっくりと時間をかけて、人としての道をその体験の中から学び取っていくのだと
思います。小さな
動物にも温かい血が流れているんだよ、
悲しみとか喜びとか痛みを感じるんだよ、君と同じように
命そのものなんだよということを私
たち大人が
手本を示さずして、
子供たちに命が大事などと言えるでしょうか。
犯罪の低
年齢化が言われております。
動物虐待にとどまらず、人の命を簡単に奪ってしまう
子供たちの事件が相次いで起こるたびに、心が痛みます。国がまず
子供たちの
手本となるためにも、たとえ小さな命でも捨ててはいけないんだ、殺してはいけないんだ、国の
税金で殺さないで生かす
方法を考えられないであろうか、命をたっとぶというその姿勢を今後ともしっかりと国で守っていくべきだと思うところでございます。
最後に、
動物愛護の今後の
取り組みに関しまして、
小池環境大臣にその御所見と御決意のほどを一言お
伺いしたく存じます。どうぞよろしくお願いいたします。