○亀井(久)
委員 国民新党の亀井
久興でございます。十分間という限られた時間でございますから、早速質問に入らせていただきます。
小泉内閣が発足してから五年を経過したわけでございますが、官から民へ、国から地方へというスローガンを掲げられて、聖域なき構造
改革を進めるということで今日まで
政権を担当してこられました。
その構造
改革の
成果、
総理からおっしゃられれば、いろいろあると思います。
改革の本丸と言われた郵政の
民営化も、
法案を成立されたということでございます。私、全く立場が違っておりまして、将来、どうしてこんなことをやってしまったんだろうなということを多くの
国民が必ず気がつかれるときが来る、そのように思っておるところでございますが、その問題をあれこれ
議論いたしますと大変な時間もかかりますので、きょうはいたしません。
今、経済財政諮問
会議の一部の
委員の
方々あるいはまた一部の報道
機関が、しきりに、現在の景気回復、景気
拡大がイザナギ景気以来のものだ、そういうようなことを言っております。
国民は、そのことを聞きますと戸惑いを覚えるだろうと思うんです。
なぜかといえば、イザナギ景気というのは、これは申し上げるまでもなく、一九六五年から七〇年、約五年間、五十七カ月続いたわけでございますが、その間は間違いなく経済が大きくなっておりました。GDPが毎年一七・三%名目で成長をした、そのイザナギ景気の期間で、GDPが実に二・二倍に大きくなったわけでございます。したがって、税収も二・四倍に膨らんだということでございます。減税を毎年やりながらも税収が二・四倍に膨らんだ、そういうことでございました。
ところが、今回、景気
拡大がイザナギ景気以来の長期にわたって続いているという中で、先ほ
ども質疑を聞いておりまして、思い切った歳出
削減策であるとか、あるいはまた増税をせざるを得ないとか、どうしてそういう話が出てくるのか、
国民には私は納得ができないんだろうと思います。
私は、
政府の発表がずっと実質成長率で発表されてきた、そこに
一つ、
実態をあらわしていない一種の数字のトリック、マジックがあるように思えます。
デフレが続いておりますとき、デフレがまだ解消していない、そういうときに本当の経済の姿をあらわすためには、名目で表示をしなくてはいけない。名目がマイナス、そしてデフレーターがマイナスでございますから、実質成長率はプラスに出てしまう、そういうことになるわけでございます。この五年間の平均でとりますと、名目GDPが〇・三%マイナスでございます。デフレーターが一・八%マイナスでございます。そうすると、実質経済成長率が一・五%プラスというように出てしまっているわけでございます。私は、これは本当の経済の
実態を正しくあらわしていない、そういうことで
国民が非常に惑いを覚える、そういうことになりはしないかというように思っております。
私、小泉内閣が発足をいたしました直後から、当時は自民党でございましたけれ
ども、緊縮財政と不良債権処理、企業破綻処理の推進、その二本の柱だけで経済は絶対によくはならないし、財政再建もそれでは不可能だということをずうっと党内で申し上げてきたわけですけれ
ども、
竹中大臣と絶えずぶつかって、
竹中大臣は、亀井さんとは哲学の違いだからというようなところで逃げ込まれたことがございます。
私は、やはりデフレを解消していくということのためには、GDPが大きくなっていく、内需を中心にいたしました需要
拡大政策をとらなければ決して財政再建もできないんだ。アメリカのクリントン
政権のときに、見事に財政赤字を財政黒字化したということも、やはり景気
拡大策、需要
政策に思い切って取り組んだからそれができたんだと思います。
したがいまして、今、GDPが、小泉内閣が発足いたしましたその前の年、二〇〇〇年は五百十三兆のGDPがございました、それが二〇〇二年では四百九十七兆に落ちた、そして二〇〇五年に五百三兆円、五百五兆円ぐらいのところまで戻ってきた、そういう数字ですけれ
ども、そこで、法人税の税収、所得税の税収も減る、それはもう当然のことだと思うんです。
税収が減りますから、国債発行をどうしてもやらざるを得ない、そういう状況になってくるわけでございまして、税収の推移を見ましても、二〇〇〇年度が五十・七兆円、二〇〇三年が実に四十一・八兆円まで落ちて、二〇〇五年度が四十七兆円ということですけれ
ども、これは、二〇〇五年度の四十七兆円というのは、十八年前の税収と同じ数字なんですね。
ですから、私は、景気が
拡大してきたのではなくて、一たんがくんと落ちたその景気がようやくもとのところに戻り始めたというのが正しい姿だと思います。
これは株価を見ても同じことが言えると思うんです。小泉内閣発足のときに、一万四千六百円弱だったと思いますけれ
ども、それが一時は七千円台まで落ち込んだ、それが、ようやく昨年の暮れに一万五千円台に回復をした、そういうことでございますけれ
ども、決してGDPが大きくなっているわけではないんだ、GDPが大きくなっていれば、当然、思い切った減税もやれるでしょうし、また、それだけ
国民の可処分所得もふえてくれば、消費もふえてくる、いい循環に入ってくるんだと思います。
小泉内閣の経済財政
政策、失敗だとはお認めにはならないだろうと思いますけれ
ども、少なくとも、今のデフレのもとにおける国の経済の姿をあらわすためには、実質ではなくて名目で出さないと本当の姿が出ない、そのことについてはお認めになりますでしょうか。
総理並びに
谷垣財務大臣、お願いいたします。