○
谷垣国務大臣 今、
平田委員がおっしゃいましたように、今年度末、国、
地方を合わせますと、
長期公債残高が
GDPの一五〇%を超える、これは
主要先進国の中で、
財務大臣としては余り言いたくないことでございますが、一番成績が悪いわけでございます。それから、国だけを見ましても、今年度末は五百四十二兆という
借金が積み重なっているということになるはずでございまして、これも、
GDP比で見ますと一〇〇%を国だけでも超えているという
状況でございますから、とりもなおさず、これは子供たちや孫たちの世代にツケを先送りしながら
財政運営を行っているということを
意味するわけでございますので、何とか歯どめをかけなきゃいけない、これはどなたもがそのようにお感じだろうと思います。
今、
政府の
目標としては、さっきおっしゃいましたように、二〇一〇年代初頭にいわゆるプライマリーバランスを回復していく、その年にいただく税金でその年の政策を打っていけるようにしよう。そういうことによって、ことしやっていることはツケを先送りするんじゃないんだ、とにかく今の世代の
負担でことしやることは賄おうというところへ持っていこうということでございますが、このところ、少しずつそれを目指していろいろな
数字も
改善してまいりましたけれ
ども、さらにその道筋をはっきりさせて、でき得べくんばその先の見通しもつけていかなきゃならぬ、こういうことではないかと思います。
そこで、今、経済
財政諮問
会議で、
歳出歳入一体改革という名のもとに、六月を目途にその
選択肢と工程表をつくっていくということで
議論を重ねているわけでございまして、また、
与党の中でもいろいろ御
議論をしていただいている
状況でございます。
何を
考えていかなければいけないかということでありますが、もちろん歳出
削減ということを、これはぎりぎりできるところまで無駄を省き、効率的な
資金の流れというものをつくっていくような努力はぎりぎりまでやらなきゃいかぬということだろうと思いますが、他方、先ほど申し上げたような
借金の
状況で、ことしも大分、
平成十八年度予算も歳出
削減に努めまして、かなりスリム化をしたと思っておりますけれ
ども、それでもなお公債依存率が三七・六%という
状況でございますから、なかなか歳出カットだけではその道筋をつけていくことは難しいだろうということになってくると思います。
その際に
考えなきゃならないことはいろいろあるわけでございますが、要するに、これだけ公債をたくさん発行しておりますと、
金利変動リスクというものに弱い体質になっているということがあるわけでございまして、先ほ
どもちょっと携帯電話できょうの長期
金利を見てみましたら、一・九、二%に近くなっているというようなことで、これは市場の思惑もあると思いますが、じりじりと上がっているような
状況があるわけでございます。一%長期
金利が上がりますと、おおむね一・六兆円利払い費が増加するというようなことがございます。
それから、歳出
削減をしますにも、今後の歳入を
考えますにも、高齢化の進展に伴いまして、どうしても社会保障
経費というのが、ほっておくと年に一兆円ぐらい増嵩していくというようなことがございまして、その給付と
負担のあり方をどうしていくかというのがやはり引き続き大問題だろうと思います。
もう少しこの
関係で具体的に申し上げますと、年金財源をどうしていくかという問題がございまして、二年前に年金
改革をやっていただきましたときに、
法律の中に書き込んでいただいたことの
一つに、
平成十九年度を目途に税制の改正をして、そして
平成二十一年度から、今基礎年金の国庫
負担割合が三分の一でございますけれ
ども、それを二分の一に持っていくというようなスケジュールが
法律の中に書き込まれているというようなこと。
そのほかにもいろいろなことがございますが、そういったこと等々を、方程式がたくさんあるのでなかなか解きにくいわけでありますが、そういう連立方程式にどのような解を与えていくかというようなことを考慮に入れながら
議論しなければならないのだろうと思っております。
いずれにせよ、この問題は、単なる
数字のつじつま合わせという観点でやったら私はうまくいかないと思っております。先ほどの社会保障の給付と
負担をどう見るかというようなことでも、結局は、国の形という
言葉がございますけれ
ども、これからの日本の国をどういうふうに持っていくのかという
議論が背景にありませんと、いい道筋がつけられない。したがいまして、
選択肢を示すにも、できるだけ具体的に
選択肢を示して、国民的な
議論を十分にする必要があるのではないか、こんなふうに
考えているところでございます。