○篠原
委員 自主的な
取り組みで始まっているということなんですが、私は、やはりここはもう一歩踏み出すべき分野ではないかと思っております。
なぜかといいますと、ちょっと履き違えて
考える人が多いわけですね。規制緩和規制緩和と、企業の競争をそぐようなこと、新規参入に対して制限するようなものはよくないでしょうけれども、私は
環境というのはやはり規制を入れなかったらだめな部分があるんじゃないかと思う。
極端な議論でちょっと申し上げますと、私は唖然、茫然としたんですが、看板の規制をしなくちゃいけない、いや、そんなのはほっておいていいんだ、変な看板、いかがわしい看板でどぎつい看板をやっているところは、
環境に優しくない店だから、企業だから、その製品は買わなくなる、そういう市場原理が働くんだとかいう。そんな浮世離れした市場原理というのはないんだろうと私は思います。
例でいいますと、パリのシャンゼリゼ通りなんですけれども、クリスマスのときにどういうふうになるかというと、皆さん
協力してというか規制して、両方あるんだろうと思いますけれども、単色の電球しか使わないんです。赤や緑や何かはないんです。それから、川沿いは、変な看板は一切なし、そしてライトアップというふうにしているわけです。
これを放置しておいたら一体どうなるか。景観、観光というのがあったりするからやっている面もあるんでしょうけれども、絶対規制しなくちゃならないんです。それを履き違えていて、自主的な報告義務だ、六つのガスを別々にというと企業秘密だとか、何を言っているのかと。私は産業界の方に甘過ぎるんじゃないかという気がいたします。
それで、ちょっと
資料を用意いたしました。これはちょっと長くなって恐縮ですけれども、ぜひ
考えていただきたいので、見ていただきたいのです。
資料の一ページ。私もいろいろ
考えましてつくった
資料なので、この
説明をちょっと長々させていただきます。「魚と空気の比較」、これはちょっと頭の体操によろしいんじゃないかと思いますので、見ていただきたいのです。
まず、魚ですけれども、海の資源、公海だということで、コモン・ヘリテージ・オブ・マンカインド、
人類共有の財産ということを盛んに言われました。では今、我々の方の、CO2の排出だとか空気の問題がどうかというと、
地球生命全体が危機に瀕しているということじゃないかと思うんです。
それで、資源がどうか。空気、CO2を何々資源というのかちょっとよくわかりませんけれども、魚は、リニューアブル・リソーシーズ、天然資源、再生資源の典型的なものです。高度回遊魚というのはハイリー・マイグラトリー・スピーシーズ。それから、跨界性魚というのは、国境とか二百海里をまたぐという意味でストラドリングストックとかいうんですけれども、タラ、カツオ、マグロ、つまり国境がないということです。
次に大事なのは、ここのところを見ていただきたいんですが、魚の方は有効活用しないと損なんです。三年魚とか四年魚とか一年魚もありますけれども、来年資源量が大丈夫な分の親を残しておいて、全部有効活用するのが
人類にとってはぴったしなんです。それに対して、CO2の方は減れば減るほどいいんです、植物にとってはCO2が多い方がいいのかもしれませんけれども。ここが違う。
そして、お金の価値がどうか。これもよく
考えてみるとおもしろいんですが、両方ともただだったんです。それで、無限にあると思われていたんです。
ところが、魚の方はとり過ぎてだめになってきたので、何とかしなきゃいけないということで、
日本は
世界をまたにかけて魚をとり歩いていましたが、二百海里を設定されて、
日本漁船は出ていけ、これ以上とってはいけないというふうに言われたんです。公海はいいかというと、そうじゃなくて、マグロとか何かはみんな国際規制があって、条約があって、これ以上とってはいけないと。そして、ほかの二百海里のところには入漁料を払って、有料になってきている。
ところが、空気の方は、ただじゃないというのがわかりかけて、有限だということがわかってきたんですけれども、排出量規制だけでまだただなんです。
将来どうなるだろうというのを見ますと、魚は、資源管理のためにこれ以上とってはいけないという量が決められて、とろうとする人は入漁料というのを全部払わなくちゃいけなくなるようになっていくんだろうと思います。ですから、CO2の方も、排出量に応じて迷惑料を払う、有料になっていく、これは流れとして抗し切れないんじゃないかと思うんです。これはよく経済学用語で言っています内部化、インターナライゼーションです。CO2を出す量、そのコストを価格にオンするということです。
簡単に言いますと、
日本近海、青森の津軽海峡でとれたマグロ、こちらの方と、北大西洋でとれたマグロ、
アメリカの東海岸に陸揚げされて、そこから飛行機で成田漁港に運ばれてくるマグロというのは、そのジェット機の排出したCO2の分の価格をオンして高くしなくちゃいけない、そういうふうになっていくべきだということなんです。
こういうのがあるんです。これはいろいろなヒントが魚の問題に隠されているんです。
国内の管理はどうなっているかというところをちょっと見ていただきたいんですが、入り口規制と出口規制があるんです。入り口規制というのは、漁船何隻未満、網目をこれ以上大きくしてはいけない、操業期間はこのときだ、産卵期はやめろ、それと同等なのは、工場や設備をこれ以上ふやしちゃいけないというのが片方であるんだろうと思うんです。
次に出口、出す方です。出す方が非常に参考になるんです。魚の方は、トータル・アローアブル・キャッチ、TAC、漁獲可能量といいます。例えが下でして、サンマはことしの資源量から十五万トンだ、これ以上とると来年とれなくなる、だから十五万トンに抑えろ、これは六つの
地球温暖化ガスの排出上限の決定と同じなんです。
次に、魚の方は進んでいます。
日本はしていませんけれども、ヨーロッパ諸国はしているんです。インディビジュアル・クオータというので、個別割り当てして漁船一隻三百トン。大きさによっても違うんでしょうけれども、これがある。次に、もう
一つ進むと、インディビジュアル・トランスファーラブル・クオータ、譲渡できる。これも行われているんです。漁船が故障した、操業できなかった、余っている百五十トン分をどなたかに譲るということですね。こういうふうになっている。
これを右側の空気の方で見ていただきますと、個別割り当て、先ほど
局長がお答えになったように、ヨーロッパでやり始めて、
日本はやっていない、取引もない。国際的にはあるということ。
それから、ついでに下の方もちょっと
説明いたしますと、先進国と発展
途上国の関係というのは同じようなことでして、発展
途上国に入漁料を払って二百海里で漁獲させてもらっている、太平洋諸国に行ってマグロをとる、これはCDMによって排出量を自国分に算入するというのも同じだと思うんです。
先進国同士の関係はどうかというと、ロシアと
日本の関係で、ロシアは全部とり切れない、だから入漁料を払ってとらせてもらおうというのは国際排出量取引と同じですし、共同
実施のJIと同じ。非常に似通っているんですね。
それから、アウトサイダー規制とある。
せっかくの表なので、つけ忘れたのがありますので、右側はまだ足りないというのを、「金銭的価値」の「排出量規制のみでタダ」というところにバツをしておいていただきたいんです。それから、「先進国同士の関係」のところの「国際排出量取引」もバツにしていただきたいんです。それから、「アウトサイダー規制」、ちょっと時間がないのでやめますけれども、これもバツ。それから、「LDCは削減の義務なし」というのも、よくないのでバツ。これを理由にして
アメリカが入らないわけですから。
ここで、国際排出量取引の問題です。これは何かこの次にここに乗り出していくというような感じがするんですけれども、国内ではともかく、国際的にはこれはやってはいけないんじゃないか。
その理由は、「資源の性格」のところで、有効活用しないと損なんだ、ことしこの魚を全部とり切れなかったら死んでいく、それなら人間が食べた方がいいというのがあるわけですけれども、CO2は減れば減ったほどいいわけです。ですから、ホットエアという部分が生まれると、ロシアや東欧諸国は調子が悪い、CO2の排出が上限までいっていないから、
日本は調子がよくて、その分を買うとかいう、これはモラルハザードにつながっていくんじゃないかと思います。
国際的なものはあっても、CDMはいいとして、これは
日本は余り利用すべきじゃないと思うんですが、この点、いかがでしょうか。