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吉良委員 今
麻生外務大臣の方から何点か、
日本が経済大国化した今でも日米
関係の
必要性ということについて
お話をいただきまして、今御指摘いただいた点については、私もある意味ほとんど共有させてもらっています。
自主防衛路線といいながら、本当に今の
日本の国是で核を持たないという中で、現実に核を持っている、核を持っているぞとわいわい
自分で宣伝して回ってミサイルをぶっ放すような国がまだある中で、核に対する抑止力という意味で米国が必要なことは十分わかっておるんでありますが、私は、日米
関係、日米同盟というのは、本当に
日本にとって最も大事で、
日本を安定、維持発展させていくために本当に基軸だとは思っています。ただ、どうも国際的なもろもろの事象に対して、
日本として、もしアメリカから守られているんではない、仮に
日本が
自分の国は
自分で独自に守れているとすればこういうときにこういう
行動をとるのかなというようなことまで、実際アメリカの顔色をうかがいながら、やはりアメリカから嫌われたくないという
行動があるような気がします。
実際、私は、これは個人的に、イラク戦争への参加、自衛隊の派遣についてどういうふうに
自分の地元で申し上げているかというと、私は今野党という立場、個人、一国
会議員だけれ
ども、本当にこれは大義なき戦争だと思って反対をします、
日本が参加すべきではない、
国益にも沿わないと。また後でもうちょっとその背景も言わせてもらいます。けれ
ども、仮にこの不肖私が
日本の総理
大臣になったら、間違いなく派遣をします、これは民主党から石が飛んでくるかもしれませんけれ
ども、そのように答えております。
というのは、実際、北朝鮮の脅威があり、
日本海、
台湾、それから潜在的にはロシアという、先ほどおっしゃった、西の方はソ連の消滅で安定し始めても東アジアというのはまだまだ不安定要素が多いという中で、やはり自国の存立をアメリカにゆだねているところで、アメリカからの強い要請にノーと言えるような自由は
日本にはない、私はこのように思っていまして、だからこそ、一個人としてどうだと言われれば反対だけれ
ども、一国の首相として、ミサイルが飛んできたら困る立場の、一億二千万人の命を預かる立場からすれば、派遣せざるを得ないんだろう。だけれ
ども、そういう国であり続けちゃいかぬのだ、きちんと、アメリカさんそれは間違っている、
日本としては、こういう方針のもと、こういう
国益追求の中で、
自分としては別
行動をとるというようなことを言えるような国になるべきだと思っています。
先日、連休中に米国ワシントンに行かせてもらったときに、いろいろな方とお会いさせてもらう中で非常に印象的だったのは、共和党系であれ民主党系であれ、イラク戦争を開始するときには非常に強硬論で、やれと、フセイン政権打倒と言っていた人
たちまでもが、今、あれは間違いだったという反省をしておられるというような方々に何人かお会いして、それを聞くにつれて私が最近見直しておりますのは、やはりフランスの
対応であります。
今ここに、国連安保理におけるドビルパン・フランス
外務大臣の安保理演説というものを、これは
日本語訳ですけれ
ども、これを持っておるんですけれ
ども、やはりこの中でにじみ出ているのは、米国が主導するテロとの闘い、これについては一緒に闘っていく意思はある、ただ戦争というのは最後の手段なんだ、まだ査察というものを継続すべきだ、そのためにフランスはいかなる
協力も惜しまないと。
そして、この中にこういう文章があります。
「一見、戦争は最も手っ取り早い選択肢のように思われる。しかし忘れてならないのは、勝利しても、その後は平和の構築が必要だということだ。現実から目をそらしてはならない。イラクの一体性を維持しつつ、力の侵攻によって深刻な打撃を被った国・
地域に持続的な安定を回復させるのは、長い道のりで、困難を極めるだろう。」
それともう一点。「早まった武力行使は深刻な結果をもたらすリスクがある。」「かかる軍事介入は、すでに傷つき脆弱なこの
地域の安定に、計り知れない深刻な結果をもたらすだろう。不正義に対する感情を増幅し、緊張を深刻化させ、さらなる紛争の引き金になりかねない。」中略で、軍事介入こそ、テロを醸成する社会、文化、民族の間の対立をさらに悪化させかねない。
「国連という殿堂において、我々は理想と良心の守護者である。我々の担う重い
責任と多大な名誉が、我々に平和的な武装解除を優先させるはずである。これが、戦争と占領と蛮行を経験したヨーロッパという「古い大陸」の「古い国」、フランスのメッセージだ。アメリカや他の国々からやってきた解放の戦士
たちの恩を忘れない国のメッセージだ。フランスは常に歴史を見据え、人類のために立ち上がってきた。自らの価値観に忠実に、国際社会全体と、果敢に
行動を起こしていきたいと願っている。我々は共により良い
世界を作っていくことができると確信している。」
ちょうど、この演説のある前には、パウエル当時の国務長官だったと思いますけれ
ども、暗に、古い大陸、古い国と言うことで、反対するフランス、ドイツに対する嫌みを言った直後だったと思いますけれ
ども、あえて古い国、古い大陸のフランスのメッセージだ、こういうことを言われております。
ちょっとここで、今このことを提示させてもらいましたのは、さっき言いました、国際社会を何とか平和裏というか、このイラク紛争を戦争でない形で解決したい、そして、アメリカが主張するテロとの闘いについては
協力する用意がある、だけれ
ども、
自分たちは今申し上げたようなことを主張し、アメリカに早まるなということを国連の場で堂々と主張した、このこと。しかも、今の混乱を見ていますと、形上は新たな政府ができましたけれ
ども、まだまだ私は混乱のきわみにあると思っておりまして、そういう意味で、この先見の明と、それを思い切って発言をし、アメリカから多少嫌われるといいますか、いざこざがありながらも堂々と主張したという、このフランスに改めて敬意を表するところでございます。
ちょっと、これに関連して
麻生大臣にお伺いしたいんですが、もう随分古い論文でありますけれ
ども、元国立博物館館長の梅棹忠夫
先生が著した「文明の生態史観」というものをお読みでしょうか。また、ここに持っているのですが、最近ベストセラーになっております「国家の品格」、この二つの、一つは論文、一つは書物について、お読みになったかということと、それらの書物、論文に対してどのようなことを思っておられるか。もし読んでおられなければそれで結構でございますが、もし、何十年か前でも読んでおられたのであれば、その辺のコメントをお聞きしたいと思っています。