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2005-10-05 第163回国会 参議院 予算委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十七年十月五日(水曜日)    午前十時四十九分開会     ─────────────    委員の異動  十月四日     辞任         補欠選任      辻  泰弘君     水岡 俊一君      広田  一君     加藤 敏幸君      魚住裕一郎君     西田 実仁君      福島みずほ君     近藤 正道君  十月五日     辞任         補欠選任      加藤 敏幸君     前田 武志君      松下 新平君     足立 信也君      西田 実仁君     浮島とも子君      小池  晃君     仁比 聡平君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         小野 清子君     理 事                 阿部 正俊君                 椎名 一保君                 野上浩太郎君                 舛添 要一君                 若林 正俊君                 池口 修次君                 小林 正夫君                 平野 達男君                 荒木 清寛君     委 員                 秋元  司君                 浅野 勝人君                 泉  信也君                 岩永 浩美君                 大仁田 厚君                 大野つや子君                 岡田  広君                 関口 昌一君                 田村耕太郎君                 中島 啓雄君                 松村 龍二君                 山崎  力君                 山谷えり子君                 脇  雅史君                 足立 信也君                 浅尾慶一郎君                 犬塚 直史君                 小川 敏夫君                 加藤 敏幸君                 木俣 佳丈君                 喜納 昌吉君                 櫻井  充君                 主濱  了君                 内藤 正光君                 前田 武志君                 水岡 俊一君                 山根 隆治君                 若林 秀樹君                 浮島とも子君                 西田 実仁君                 福本 潤一君                 山本 香苗君                 大門実紀史君                 仁比 聡平君                 近藤 正道君    国務大臣        総務大臣     麻生 太郎君        法務大臣        国務大臣        (内閣特命担        当大臣(青少年        育成及び少子化        対策))     南野知惠子君        外務大臣     町村 信孝君        財務大臣     谷垣 禎一君        厚生労働大臣   尾辻 秀久君        農林水産大臣   岩永 峯一君        経済産業大臣   中川 昭一君        国土交通大臣   北側 一雄君        環境大臣        国務大臣        (内閣特命担        当大臣沖縄及        び北方対策))  小池百合子君        国務大臣        (内閣官房長官)        (内閣特命担        当大臣男女共        同参画))    細田 博之君        国務大臣        (国家公安委員        会委員長)        (内閣特命担        当大臣(防災)        )        村田 吉隆君        国務大臣        (防衛庁長官)  大野 功統君        国務大臣        (内閣特命担        当大臣(金融)        )        伊藤 達也君        国務大臣        (内閣特命担        当大臣経済財        政政策))    竹中 平蔵君        国務大臣        (内閣特命担        当大臣規制改        革、産業再生機        構))      村上誠一郎君    副大臣        内閣府副大臣   西川 公也君        防衛庁長官   今津  寛君        法務副大臣    富田 茂之君        外務大臣    谷川 秀善君        財務大臣    上田  勇君        文部科学大臣  塩谷  立君        厚生労働大臣  西  博義君        農林水産大臣  常田 享詳君        経済産業大臣  保坂 三蔵君        環境大臣    高野 博師君    大臣政務官        内閣大臣政務        官        西銘順志郎君        防衛庁長官政務        官        愛知 治郎君        法務大臣政務官  三ッ林隆志君        文部科学大臣政        務官       下村 博文君        農林水産大臣政        務官       加治屋義人君        国土交通大臣政        務官       伊達 忠一君        環境大臣政務官  竹下  亘君    事務局側        常任委員会専門        員        村松  帝君    政府参考人        内閣官房内閣参        事官       宮野 甚一君        内閣官房内閣参        事官       笠井 俊彦君        内閣府政策統括        官        榊  正剛君        内閣男女共同        参画局長     名取はにわ君        消防庁次長    大石 利雄君        法務大臣官房審        議官       三浦  守君        法務省刑事局長  大林  宏君        外務大臣官房審        議官       齋木 昭隆君        文部科学大臣官        房文教施設企画        部長       大島  寛君        文部科学省初等        中等教育局長   銭谷 眞美君        文部科学省高等        教育局長     石川  明君        農林水産省農村        振興局長     川村秀三郎君        水産庁長官    小林 芳雄君        国土交通省総合        政策局長     竹歳  誠君        国土交通省河川        局長       渡辺 和足君        国土交通省住宅        局長       山本繁太郎君        国土交通省航空        局長       岩崎 貞二君        環境大臣官房審        議官       桜井 康好君        環境省自然環境        局長       南川 秀樹君    参考人        日本銀行理事   白川 方明君        日本放送協会会        長        橋本 元一君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○参考人出席要求に関する件 ○予算執行状況に関する調査     ─────────────
  2. 小野清子

    委員長小野清子君) ただいまから予算委員会を開会いたします。  参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  予算執行状況に関する調査のため、本日の委員会日本銀行理事白川方明君及び日本放送協会会長橋本元一君を参考人として出席を求めたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 小野清子

    委員長小野清子君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  4. 小野清子

    委員長小野清子君) 予算執行状況に関する調査についての理事会決定事項について御報告いたします。  本日の質疑割当て時間は百分とし、各会派への割当て時間は、自由民主党二十五分、民主党・新緑風会五十二分、公明党十二分、日本共産党七分、社会民主党・護憲連合四分とすること、質疑順位につきましてはお手元の質疑通告表のとおりでございます。     ─────────────
  5. 小野清子

    委員長小野清子君) 予算執行状況に関する調査を議題といたします。  それでは、これより質疑を行います。山谷えり子君。
  6. 山谷えり子

    山谷えり子君 自由民主党山谷えり子でございます。  新憲法制定を望む声が国民の過半数となっております。国の最高法規ではありますが、前文は、日本言霊幸国日本の命が感じられるようなものであってほしいと思います。小学生が朗々と暗唱できるような、また女たちが台所で大根を刻みながらもふっと口ずさんでしまうような、そのような前文を望みます。  私、試みの案を書いてみました。  「四季のめぐり、恵みあふれる大八洲、豊葦原瑞穂の国に生まれ育ったわたくしたち日本国民は、睦み和らぎ、徳を高め、勤め励んで、平和の国、文化の国、道義の国として歩んできました。美しい日本国がらを誇り、喜びとして、これからも正直、親切、勤勉、節度、品位、調和、献身、進取の気性をもって、諸国民との協和の中で輝く自由と民主主義の国として歩みます。長い歴史と伝統、家族の絆の中で、豊かに育まれたわたくしたちは、一人一人に与えられた賜物に感謝し、法にしたがい、国を富ませ、心を世界に開いた政治経済、外交を展開し、尊い生甲斐を互いに尊重する社会をつくります。人類の恒久平和、自然との共生に心を一つにして国際社会の中で名誉ある国づくりにつとめます。愛と一致と希望の中で、力をつくし、誠をつくし、明き清き理想に向かって進んでいくことを誓います。」というものなんですが、明治時代は様々な方々起草案を出されました。国民各位の具体的な議論の高まりを願うものでございます。  現憲法前文は、平和を願う諸国民の公正と信義に信頼して、我らの安全と生存を保持しようと決意したという文章がございます。いかにもよさそうでございますが、これほどよく考えてみると非現実的な前文もないわけでございまして、この前文が正しいものであるならば北朝鮮拉致問題も起こらないわけでございます。  本日、十月五日、横田めぐみさん四十一歳のお誕生日でございます。両親とともに誕生祝いができないことを本当に政治家として申し訳なく思っております。佐々江アジア大洋局長、十四日の二国間協議で、生存者帰国安否不明者真相究明拉致実行犯の引渡し、三点を強く求め、このままでは厳しい対応を求める声が強まるという国内状況を説明なさいました。生存者帰国と言われたのは初めてではないかと思いますが、生きていらっしゃるということで交渉をなさっているわけですね。
  7. 齋木昭隆

    政府参考人齋木昭隆君) お答え申し上げます。  政府立場としては、当然ながら、今北朝鮮にまだ残されておられる方々拉致被害者方々生存しておられると、全員生存しておられるという前提の下に先方とその早期帰国のために交渉をしていくという、そういう立場でございます。
  8. 山谷えり子

    山谷えり子君 今月中旬の日朝対話、どのような姿勢で臨まれますか。
  9. 齋木昭隆

    政府参考人齋木昭隆君) お答えいたします。  日朝政府間対話、この日程、場所、出席者レベル等々、まだ先方との間で調整中でございまして、必ずしも報道にありますように十月の中旬ということで決定したわけではございません。引き続き先方との間では調整を進めてまいりますが、今回ようやく、一年ぶり近くにわたって中断しておりました政府レベル先方とのやり取り、再開されるということで先方と合意したわけでございますから、是非とも私どもとしては拉致問題の解決につながるような、そしてまた日朝関係の前進につながるような成果を上げて、きちっとした対応を取ってまいりたいというふうに思っております。
  10. 山谷えり子

    山谷えり子君 必ず成果を上げるという御覚悟で臨まれるわけですね。
  11. 齋木昭隆

    政府参考人齋木昭隆君) お答えいたします。  私どもとしては、交渉には真剣に臨みたいと思っておりますし、何とか成果を上げるべく全力を尽くしたいと思っております。
  12. 山谷えり子

    山谷えり子君 昨年十二月二十四日、細田官房長官は、誠意ある回答がない場合、厳しい対応を取ると言われました。  中川経済産業大臣にお伺いいたします。経済制裁についての御所見、お伺いします。
  13. 中川昭一

    国務大臣中川昭一君) 私もこの拉致という問題は、一人の人間あるいは一人の政治家として、一刻も早く普通に暮らしていらっしゃった人たちが普通に日本で御家族と暮らすように、政治として、あるいはまた行政として、最大限努力していかなければならない喫緊の課題だというふうに思っております。  そういう中で、昨年、参議院の本会議で可決、成立していただきました改正外為法、これは我が国の平和及び安全の維持のために特に必要があるときは、輸出入等停止閣議において、ここは主務大臣じゃなくて閣議ということになっておりますけれども閣議において決定できるようにすると。主務大臣財務大臣経済産業大臣、私が行うということを追加をしていただきました。これは当然、拉致問題あるいは北朝鮮の核、大量破壊兵器を念頭に置いたものだというふうに考えております。拉致問題を始めとして状況は何にも変わっていないというふうに私は認識をしております。  対話圧力というのが北朝鮮に対する交渉基本姿勢でございまして、対話につきましては先日も長期間にわたって行われたわけでありますけれども対話圧力という中の一つの手法として、この輸出入停止と、輸出入等停止ということは現に法律にあるわけでございますから、私はこの拉致問題解決、一日も早い解決のためにこういう法律を作っていただいたわけでございますので、これを早く発動しろという声は拉致家族皆さん、あるいは多くの国民皆さん、あるいは山谷議員も同じお考えではないかと思いますけれども、多くの国会の先生方もそういうお考えの方が多いというふうに私は理解をしております。  したがいまして、拉致問題解決のためにあらゆる手段を使う、対話圧力、あらゆる手段を使っていくという中でこの法律があるわけでございますから、主務大臣といたしまして、この拉致問題、一日も早い解決のためにこの法律が機能するということであれば、一刻も早くこの法律も発動すべきではないかというのが私の考えであります。  しかし、あくまでもこれは閣議決定ということでございますので、総理始め、閣議決定という手続が必要だということももう言うまでもないことでございますけれども、ともに拉致問題解決のために私も全力を尽くしていきたいというふうに考えております。
  14. 山谷えり子

    山谷えり子君 できるだけ早くというのは、今回の日朝対話ということでございますか、後という、その成果によってということですか。
  15. 中川昭一

    国務大臣中川昭一君) 今外務省から御答弁ありましたように、今、日朝対話をするということになっているわけで、これは一つ成果だというふうに御家族も会見でおっしゃっておられました。  対話圧力というのは、この対話があるから圧力は待つという性格のものでは必ずしもない。対話圧力、両方あってもいいという判断もあり得ると思います。ですから、対話対話として、北朝鮮は一刻も早く約束を守るべきだと思いますし、と同時に、現在進行形拉致、あるいは大量破壊兵器、ミサイルの、核の問題が現に存在している、し続けているわけでありますから、この圧力という手段も、何も対話があるから圧力はいったん引っ込めるという性格のものでは必ずしもないというふうに理解しております。
  16. 山谷えり子

    山谷えり子君 特定失踪者問題調査会は三十日、国井えり子さんについて拉致濃厚と発表しました。これで拉致濃厚としたのは三十四人でございます。この三十四人、きちんと一応ヒアリングをしたり調査したりして濃厚ということを言っているわけでございますが、拉致問題連絡調整室対策本部にならないがゆえに全く調べができないと。この状況をどうお考えでございますか。
  17. 小野清子

    委員長小野清子君) どなたがお答えになりますか。
  18. 山谷えり子

  19. 齋木昭隆

    政府参考人齋木昭隆君) 必ずしも私がお答え申し上げるのが適当かどうか分かりませんけれども内閣全般にかかわることでございますし、今内閣の中に拉致の御家族も含めた被害者方々に対する支援、連絡調整等を行う部屋というのが設けられております。また、当然のことながら、この内閣の中に、一体となって関係省庁、多岐にわたりますけれども、これらが緊密に、局長レベルも含めて随時情報交換、また対応について協議をしておる、そういう体制を取っておりますので、今後とも関係省庁、より緊密に、連絡の効果を上げながらこの拉致問題の解決に向けて取り組んでまいりたいと考えております。
  20. 山谷えり子

    山谷えり子君 これは本当に対策本部に格上げしてきちんと取り組んでいただきたいというふうに思います。  次に、教科書問題について伺います。  この夏、中学校用教科書採択全国で行われましたが、韓国から、教育委員会教育委員個人あるいは県知事などに多くの手紙が寄せられました。ある県知事さんに韓国のある県知事さんから、県内の中学校歴史教科書採択に当たり、知事様が慎重な判断を下さるようお願い申し上げますなどという手紙が届いているわけですね。また、ある教育委員会では、韓国からのお手紙を延々と読んで、教育委員がそんな議事進行おかしいじゃないかと言っても延々と読み続けたと、圧力を感じたという教育委員の方もいらっしゃいます。  どういう組織からどういう内容で韓国からの手紙届いたか、文科省は把握していらっしゃいますでしょうか。
  21. 銭谷眞美

    政府参考人銭谷眞美君) 御説明を申し上げます。  今回の教科書採択におきましては、国内外の様々の立場から様々な意見の表明が行われました。その中で、議員が御指摘をされましたように、韓国市民団体、それから韓国自治体教育委員会に対しまして要望するといった活動も行われたことは承知をいたしておりますが、個々具体にどのような団体がどのような教育委員会要望活動を行っていたか、全体的な把握ということは今のところ行っておりません。
  22. 山谷えり子

    山谷えり子君 資料一をごらんください。  これは山口県が調べたところ、市民からの情報公開を求める動きにより調べたところ、全市町、百八十二に韓国からの手紙が送られていたということでございます。また、昨日も別の県議会でこのことが話題になっております、問題化されております。  文科大臣調査を行うよう都道府県教育委員会に指示できるわけでございますが、これは全国調査すべきではないでしょうか。
  23. 下村博文

    大臣政務官下村博文君) 私の方からお答えをさせていただきたいと思います。  この教科書採択については、それぞれの採択権者であります各教育委員会が様々な独自の調査によって、そして公正公平に、また静ひつな下で採択をしなければならないということになっております。  そういう中で、国内外からいろんな団体等がこの教育委員会に対していろんな要望をしていると。これがきちっとした公正公平な、適切な採択に適切になっているかどうかということを含めて、改めて、今回の結果含めて文部科学省としてもきちっと調査をしたいというふうに思っております。
  24. 山谷えり子

    山谷えり子君 そうしますと、例えば韓国からの手紙がそれぞれの都道府県、市町村にどのくらい送られてきたか、いつごろまでに調査完了できますか。
  25. 下村博文

    大臣政務官下村博文君) 具体的に、例えば韓国市民団体でありますアジア平和と歴史教育連帯、ここが要望活動をしていたということを聞いております。具体的に、文部科学省として、広島県の教育委員会、和歌山県の教育委員会、愛媛県、それから大阪府等の教育委員会について具体的に既に聴取をしているところでございます。  先ほど委員から御指摘がございましたように、この資料一の山口県だけでも百八十二件の書簡の送付等がございますので、具体的に全国でどの程度、どんなふうに国内外含めてこのような行動、活動があったかどうかということは把握しておりませんから、期限は明確にはお答えできませんが、できるだけ早くきちんとした形で調査する必要があるというふうに考えております。
  26. 山谷えり子

    山谷えり子君 それでは、全国調査、そしてまた発表をしていただけるということで御確認、よろしゅうございますね。
  27. 下村博文

    大臣政務官下村博文君) はい。そのように対応したいと思っています。
  28. 山谷えり子

    山谷えり子君 性教育の副教材、とんでもないものを教育委員会が作っているということもございます。今回の採択のいろいろな在り方においても逸脱した動きがございました。地方教育地方制度調査会では教育委員会の必置、外せばいいじゃないかというような議論もあるわけでございますが、教育委員会制度の改革、どのように考えていらっしゃいますか。
  29. 銭谷眞美

    政府参考人銭谷眞美君) お答えを申し上げます。  教育委員会は、教育政治的中立性継続性安定性確保するとともに、多様な民意を反映するために設けられた地方教育行政の基本的な組織でございます。この教育委員会在り方につきましては、現在、中央教育審議会におきまして義務教育在り方全般にわたる審議の中で教育委員会の機能を充実をさせ、責任を果たし得る観点から議論が行われているところでございます。  ここでは、教育委員会の設置を地方公共団体判断にゆだねることにつきましても議論はされておりますが、教育政治的中立性確保必要性首長権限が集中することへの危惧などから、慎重な意見が多数を占めております。一方、教育委員の数や首長教育委員会権限分担については、制度を弾力化し、それぞれの自治体の実情に合わせて決められるようにすべきといったような議論も行われているところでございます。  こういった中央教育審議会議論を踏まえまして、地方分権の担い手としての教育委員会充実をし教育行政を行えるように、文部科学省としても適切な対応を図ってまいりたいと考えております。
  30. 山谷えり子

    山谷えり子君 教科書採択在り方教科書無償措置法の見直し、教科書在り方全般にわたる教科書法等々について、中教審で検討する御予定はございますか。
  31. 下村博文

    大臣政務官下村博文君) この教育行政特定の勢力に影響されない中で中立公正な行政運営を行っていくということは、今お答えしたとおりでございます。  そういう中で、この教科書採択については、採択権者であります各教育委員会等権限責任においてきちっと対応されているというふうに思っておりますが、さらに、今後この教科書採択について、教科書に関する調査研究のより一層の充実、あるいは採択に対する事務をルール化するなどの採択手続明確化、あるいは採択地区適正規模化、また静ひつな採択環境確保等について、各教育委員会がより一層の改善に努めるべき事柄でありまして、これについて文部科学省として各教育委員会に対して指導しているところでもございます。  そういう中で、中教審でこのことについて審議すべきではないかという御意見でございますが、取りあえず、当面は各教育委員会に対して採択のより一層の改善を努めるように指導していきながら、文部科学省として対応をまずは考えていきたいというふうに思っております。
  32. 山谷えり子

    山谷えり子君 実態調査をし、それを国民に公表し、しかる後、必要であると私は考えておりますが、中教審での議論をお願いしたいというふうに思っております。  再来年より全国学力調査をするということでございますが、どのようになさるお考えでしょうか。
  33. 銭谷眞美

    政府参考人銭谷眞美君) お答えを申し上げます。  全国的な学力調査についてのお尋ねでございますが、現在、平成十八年度の概算要求におきましては、まず対象学年を各学校段階の最終学年における学習到達度、理解度を測るという観点から小学校六年生と中学校三年生といたしまして、その全員が参加できることができる規模で実施をするということを予定をして今要求を行っております。また、対象教科につきましては、国語と算数・数学の二教科で実施をすることといたしております。  なお、実施の年度といたしましては、平成十九年度からを予定をいたしております。
  34. 山谷えり子

    山谷えり子君 小学校六年と中学三年、二学年だけではなくて、小学校一年から中学三年まで九年間すべてを調査していただきたいと思います。また、学科も、国語、算数、大事ですが、理科、社会等々も、五学科ぐらいは調査してほしいと思います。希望する学校のみというふうに聞いたんですが、そうではないんでしょうか。  九学年なぜできないのか、そしてなぜ二科目なのか、あるいは希望する学校、この三点をお答えいただけますか。
  35. 銭谷眞美

    政府参考人銭谷眞美君) 今後、全国的な学力調査につきましては、専門家の会議等を通じまして更に詳細な内容は詰めていきたいと、こう思っております。  現時点で考えておりますのは、まず対象学年でございますけれども、六年生と、小学校六年生と中学校三年生にしましたのは、各学校段階の最終学年における学習到達度、理解度をきちんと測定をするという観点からこの学年にしたものでございます。  それから、国語と算数・数学の二教科にいたしましたのは、国語、算数・数学が、読み書き、計算の力を身に付けるなど、他の教科を教える上でも非常に基礎となる内容でございますので、この基本的な教科についてきちんと押さえたいという観点から、国語、数学・算数の二教科で実施をするということを予定したものでございます。  また、希望する学校すべてがという言い方を先ほど申し上げましたけれども、基本的にこの学力調査、国が調査を依頼して、各学校で実施をするわけでございますけれども、最終的なその調査を受ける、言わば学校の立場から調査を実施するということにつきましては、学校の設置者でございます市町村の教育委員会判断ということになりますので、私どもとしてはその判断を尊重して調査を実施をするということで希望する学校はという言い方を申し上げたわけでございます。  なお、希望する学校が全国ほとんどすべての学校ということは当然考えられるわけでございます。
  36. 山谷えり子

    山谷えり子君 昨年、サッチャーの教育改革を調べに英国に参りました。  一九七九年、サッチャーが政権に着いたとき、子供たちの学力はがたがた、モラルはがたがた。サッチャーは、学力を高める、そしてモラルを大切にする、そしてイデオロギーの強い偏向教育はすべきではない、子供たちを守る、それが小さな強い政府を構造改革としてつくる。サッチャー政権、教育と、教育改革と車の両輪で進めなければ、幾ら構造改革をやってもあさってにはとんざしてしまうということで、徹底的な教育正常化、質の向上をやったわけでございます。  そのとき、サッチャーは何をしたか。すべての学年の学力テストをして、その点数を知り、そして駄目な学校には徹底的に支援する、いい先生を送る。千二百の学校が立ち直りました。立ち直れない学校もありました。百九十の学校を廃校にしました。そうやって徹底的に子供たちを守ったんですよ。  希望する学校なんておっしゃらないで、すべての学校を国が責任持つべきです。そして、九学年すべてやるべきです。下村務官、いかがですか。
  37. 下村博文

    大臣政務官下村博文君) 山谷委員と私も昨年十月にイギリスに教育視察に行ってまいりまして、今御指摘の点、全く同感をいたしましたし、また我が国のこれからの教育改革の方向性、イギリスのサッチャー改革以降の改革に非常に参考となる点がたくさんあったと思います。  今回の学力調査は四十年ぶりの調査ということで、取りあえず来年度概算要求でまずそれに向けた調査をし、そして平成十九年度から実施するという中で、今、銭谷局長からお答えしましたように、取りあえず小学校六年生と中学三年生ということでございますが、本来の先生御指摘の趣旨から考えれば、当然義務教育期間、小学校一年生から中学三年生まですべての生徒にそのような学力調査をする中で、そしてどうそれに対してフォローアップをするかということを体制的にもつくっていくということが必要だというふうに思いますし、できるだけそういう方向になることが、早めにしていくことが望ましいことだというふうに私も思います。
  38. 山谷えり子

    山谷えり子君 教育の正常化頑張ったときに、教職員組合は学力調査反対等をしまして、六か月間イギリスでストを打ったそうです。文部大臣の人形が焼かれて大変だった、ベーカー元文部大臣に、そのときの大臣に聞きました。教育の正常化、質の向上は信念よと、頑張ってくださいというふうに私は励ましを受けました。民主党、日教組も変わるんでしょう、全九学年私はできると信じております。  野口聡一宇宙飛行士からお話を聞きました。日本は画一的な学校教育とてもやっていると、しかし体験学習、多様な学習が足りないんじゃないか、学校教育の場でというお話でございました。私もそう思います。初等教育段階からの体験学習推進、どうお考えでございますか。
  39. 下村博文

    大臣政務官下村博文君) 初等教育の段階から体験学習として林間学校、それから、これは阪神・淡路大震災が起きた後、兵庫県が体験活動をさせようということで、トライやる・ウィークということを実践をして、これが大変な子供たちにとっても評価が高く、そして教育効果が高かったということが兵庫県からも聞いている中で、文部科学省としても是非これを全国展開をしながら五日間、子供たちに体験をさせると。そして、こういうような体験活動を通じる中でキャリア教育、職業教育にもつながっていくような、そういう、ある意味ではニート、フリーター対策にもつながるようなことを小学生のうちから体験をこれから更にさせたい、そういう施策を十八年度以降更に強めていきたいというふうに考えております。
  40. 山谷えり子

    山谷えり子君 私は、参議院の自民党政調にキャリアカウンセラー体験学習推進法という議員立法を出しましたが、財務省と厚生労働省と文科省と多岐にわたるのでこれはとても検討できないといって、今たなざらしになっているところでございます。  アメリカでは、体験学習キャリアカウンセラーが小学校の段階からいて、地元でどんなボランティア組織があるか、どんな体験学習ができるか、紹介状を書いてあげるんですね、一人一人。だから、体験学習が豊かなんでございます。  今日は、谷垣財務大臣に質問通告してないんですけれども、これニート対策、子供の教育、そういう面でめり張りの付けた、これから予算お付けになっていただきたいんですが、いかがでございましょう。
  41. 谷垣禎一

    国務大臣(谷垣禎一君) 突然のお尋ねですが、私も、若い子供たちにいろんな体験を積んでもらうということが今までややもすれば欠けていたし、そういうことを進めていくことは必要じゃないかと思っておりますが、余り深く答弁しますと財務大臣の職責を越えますので、これからよく文科大臣議論をさせていただきます。
  42. 山谷えり子

    山谷えり子君 これは国の未来をすばらしくするための重点でございますので、是非関係省庁でお話合いをしていただきたいと思います。  続いて、資料二をお出しくださいませ。カラーコピー、男女が裸になってというイラストがございます。これは参議院予算委員会、三月四日、私が出したものでございます。神奈川県の小学校三年生の授業でございまして、小泉総理はひどいと絶句され、こういうことこそ中教審で議論すべきだというふうにおっしゃられました。また、中山文部科学大臣は、教育意見箱を作って広く意見を集めたいというふうにおっしゃられました。自民党の方にも、テレビ中継があったものですから大変な声が参りまして、過激な性教育・ジェンダーフリー教育実態調査プロジェクトチームというのをつくりました。毎週活動をいたしまして、三千五百の過激な性教育とジェンダーフリーの実態が集まってきております。  例えば、この小学校、イラストのコピーのある小学校からは、父兄が、上の二つ目丸ぽつ、学区内の周辺宅を訪ね、授業の一環なので御協力お願いします、おじさん、おばさんは週何回、どんなふうにしているのと質問に回ったとか。次の次、グループワーク、コンビニでエッチな雑誌を買って、拡大コピーをしてノートに張り発表、この時間に五時間掛けた、信じられない。これ、地元の人たち、保護者が文句言っているわけですよ、とんでもない授業をする。ところが、うちは性教育の先進校ですと言って全くはね付けられちゃう、教育委員会も動かない、こういう実態なんですね。学習指導要領違反、そして子供の発達段階を無視し、親の教育権を無視している。  次の資料三でございます。これもプロジェクトチームに来た京都、小学校三年の子供を持つお父さんでございます。「いのちのたん生」、かわいいイラストです。そして隣のページ、マーカーしてあります。ある静かな夜のこと、お母さんが、私、赤ちゃんが欲しいなと言うと、お父さんは、そうだね、かわいい赤ちゃんが欲しいなと答えました。お父さんがお母さんをしっかりと抱き合いました。そして、お父さんは、ペケペケペケをお母さんのペケペケペケに入れて精子をあげたのです。隣が裸のイラストになっていますね。これ、小学校三年生ですよ。親の権威はどうなるんですか。親子関係壊れますね。  このようなものを自民党の党本部に展示いたしました。千人の入場者がありました。中山文部科学大臣はこうしたものをごらんになられて、悪意を感じると言われました。下村文部科学大臣政務官、何か御感想ございますでしょうか。
  43. 下村博文

    大臣政務官下村博文君) これは普通の常識の感覚からいって、とても考えられない教育が学校現場で行われているというふうに思います。  具体的に委員からも以前にも指摘をされておられましたので、文部科学省としてもこの横浜の事例と宇治の事例についてはきちっと調査をし、そして対策をし、現在ではこれは使用されないようになっておりますが、改めて確認をしました。  横浜の事例については、これ、今御指摘のように、小学校三年生の授業で使っていた教材でございますけれども、神奈川県の教育委員会が改めて昨年、平成十六年の二月にこの小学校の実態調査を行いまして、そして指導計画や教材の見直しを図るように指導し、そして昨年から横浜においては使われなくなったということを聞いております。  また、この宇治の、もう一つの小学校の方の性教材、やはり三年生で使われているものでありますけれども、これについても京都府の教育委員会に確認をし、これは京都市の教育委員会が、この府からですね、市に対して事実確認を行うように指導し、そしてこの教材は今後一切使用させない、しないと。また、性教育を行う際には学校全体で共通認識を図ると。一部の教師たちが使用していたということで、学校全体でそれについて了解を取っていたわけではなかったと。そして、当然保護者の理解得られてなかったわけでございまして、今後保護者の理解を得ながら性教育を行うということで市の教育委員会が指導したということでございます。  文部科学省としては、改めて適切な性教育が実施されるように、これから悉皆調査をしながら、様々な機会を通じて国として責任を持ってこの性教育については適切な指導が行われるように各教育委員会を通じながら学校現場に対してフォローアップをしていきたいというふうに思っております。
  44. 山谷えり子

    山谷えり子君 グロテスクな紙芝居が全国各地から見付かったり、何か組織的な動きがあるんですね。下村務官は副教材、全国いろいろ集められたとおっしゃいましたけれども、何か感想は。
  45. 下村博文

    大臣政務官下村博文君) 自民党のプロジェクトチームでも大変な全国で協力いただいて膨大な資料を集められ、またそれも拝見をいたしました。  東京都の養護学校で人形を使った、セックス人形というふうに通称言われているそうですが、そういうものとか、あるいは、今日の資料を含めて、小学校低学年で驚くようないろんな副教材が実際に市の教育委員会の下に出版されたという事例もございまして、こういうものについても分かった段階で、先ほどのような観点から、保護者の理解とかそれから学校全体のコンセンサスが得られているとかいうことを前提にですね、これは基本的にすべて使用が今はされないというように文部科学省としても指導しているところでございます。
  46. 山谷えり子

    山谷えり子君 私の、参議院予算委員会で小泉総理が中教審で議論しなければいけないと言われ、そして中教審で議論進んでおるようでございますが、性教育に関してはどのような内容になっておりますでしょうか。
  47. 下村博文

    大臣政務官下村博文君) お答えいたします。  中教審の中で健やかな体を育む教育在り方に関する専門部会というのがございまして、これはこの中教審の初等中等教育分科会の教育課程部会というところで議論されているところでございます。  これはまだ途中段階でございまして、今後こういう観点から議論をしていくということでございますけれども、性教育については、特に学校における教育についてこれまで体育とか保健体育を始めとする関係教科ということで指導をしてきたわけでありますけれども、今御指摘のように、この性教育について様々な考え方が論じられている状況でありますので、是非、中教審としても、改めてこの性教育在り方、それから教科における性教育に関する指導内容の体系化、これをきちっと議論をしながら、各学年、各成長過程に合った適切な教育をする必要があるのではないかというような議論がされているというふうに聞いております。
  48. 山谷えり子

    山谷えり子君 性差否定、男女ごちゃ混ぜのジェンダーフリー教育の実例も寄せられております。  男女のトイレが一緒で女の子がトイレに行くのを嫌がっているとか、男の子にスカートをはかせる授業、男女でおんぶしたりだっこしたり、中学生です、体ほぐし体操というものだそうですが、やっている。また、林間学校で男女同室、同じテントで寝かせる、小学校五年生。福島県で五百九校中百五十六校、仙台市で百二十二校中三十三校、地方議会で問題となりました。この夏も山形市で三十六校中六校が同宿しております。  ジェンダーフリー教育なんですが、今年夏の日教組の定期大会で、平成十五、六年度の運動総括として、憲法教育基本法の改悪の動き、性やジェンダーフリー教育への組織的攻撃など、平和が危機的状況にあると総括し、今年、来年度の運動方針として、ジェンダーフリーの理念の定着を図るとうたっております。  ジェンダーフリーという言葉は細田官房長官も使わないことが望ましいとおっしゃっているわけでございますが、この男女ごちゃ混ぜジェンダーフリー教育、日教組は来年も理念の定着を図るそうでございますが、これに対して何か御感想あれば、下村務官
  49. 下村博文

    大臣政務官下村博文君) お答えいたします。  今年の七月に開催された日教組の第九十三回定期大会において、今御指摘されたように、ジェンダーフリーの理念の定着を図るという運動方針が決定されたということを聞いております。  このジェンダーフリーという用語は、今、男女共同参画社会基本法あるいは男女共同参画基本法においては使用されていないわけでございますし、また、現在、一部に男性と女性の区別をなくして画一的に男性と女性の違いを一切排除しよう、そういう意味でこのジェンダーフリーという言葉が使われているという事例がございまして、実際に日教組においてこのような観点から使われているかどうかということは明確には承知していないところでございますけれども、この男女共同参画社会というのはそういう意味でのジェンダーフリーというのを目指しているわけではありませんので、政府としては、性別にかかわりなくその個性と能力が十分に発揮できることができる社会、そういう社会を目指しているということでございまして、日教組がどういう意味でこのジェンダーフリーというのを使われているかどうかというのは理解していないところでありますが、本来の、先ほど申し上げましたような画一的な男性と女性の違いを一切排除するという意味であれば、それは違うのではないかというふうに思っております。
  50. 山谷えり子

    山谷えり子君 差別ではなく性差否定教育というのはやはり見直してほしいと思います。  次に、少子化問題について伺います。  さきの衆議院選挙で四十三人の女性議員が当選、また女性の目を大事にする自民党は、女性局で結婚、出産、子育てアンケートをし、七千七百十一名から回答が来ました。  子供を持つことに対してどう考えますかと聞いたところ、命をいただいたことに感謝、次の世代にこの思いを伝えたいと三六%の方が答えられています。また、子供が生まれることになった場合、一年間の育児休業を取ることと保育園のゼロ歳児保育を利用して働き続けること、どちらを選択しますかという質問に対しては、育児休業を取るが七七%、保育園に預けて働くは一九%でした。自分の手で直接子供を育てたい、子供と一緒にいる時間を十分取りたい、乳幼児期の健全な発達に母親がいることが大事と答えております。  育児休業、児童手当の充実、就業形態の多様化、時代に合わない行政基準の見直しなど、母親が乳幼児を自ら育てることができる政策が必要だというのが女性たちからの声でございました。  中小企業の育児休業取得者があると、一人目百万円の助成金制度が創設されると。来年度の、今度の概算要求で二十億円ということでございますが、母親が乳幼児を自ら育てるための政策について、尾辻厚生労働大臣、御所見をお伺いします。
  51. 尾辻秀久

    国務大臣(尾辻秀久君) ただいま育児休業制度についてお尋ねがございました。  育児休業制度は、働いている方が離職することなく自ら子育てをすることができるものでございまして、希望するすべての労働者が育児休業を取得できることが重要であると考えております。  このため、昨年末に策定されました子ども・子育て応援プランにおいて、目指すべき社会の姿として、育児休業取得率、男性が一〇%、女性は八〇%を掲げまして育児休業の取得促進等に今取り組んでおるところでございます。  また、特に中小企業におきましては大企業に比べて育児休業取得率が低いなど、両立支援への取組が遅れておりますので、重点的に支援を行う必要がありますことから、今お触れいただきましたような中小企業に対する子育て支援助成金の創設というものを来年度予算の概算要求に盛り込んでおるところでございます。  今後とも、子育てしながら安心して仕事を続けられる社会の実現、これは大変重要なことでありますから、目指してまいりたいと存じております。
  52. 山谷えり子

    山谷えり子君 外注化ではなくて、お父さん、お母さん、家族が子供ができるだけ小さいうちは育てられるような支援、バランスの見直しをしていただきたいと思います。  スウェーデンはゼロ歳児保育しておりません。また、デンマーク、ノルウェーでは保育園は五時まで、オランダでは四時まででございます。東京でゼロ歳児保育、月に五十五万円から六十万円一人の赤ちゃんに掛かっているわけですよね。本当に赤ちゃんの幸せを考えてお金の掛け方のバランスを見直してほしいと思います。  母乳育児支援、赤ちゃんに優しい病院、ベビーフレンドリーホスピタルというのがWHO、ユニセフの支援のがあるんですけれども日本ではたった三十四しかないんですね、これが、推奨。  それで、母乳育児というのは、支えてあげなければ母乳は出るものじゃありません。乳房のマッサージ、乳房の体操、それからいろんな相談。山口県光市では、おっぱい都市宣言というのを決議しまして、母乳育児が約七割。これを国として全国的に進められたらいかがですか。
  53. 尾辻秀久

    国務大臣(尾辻秀久君) まず、赤ちゃんに優しい病院についてのお話がございました。赤ちゃんに優しい病院の取組というのは、母子、母と子の愛着形成を図る上でも有意義であると考えておりまして、私どもも赤ちゃんに優しい病院の普及の在り方について検討いたしておるところでございます。  また、そのことで、さらにこの山口県光市で平成七年におっぱい都市宣言を決議をされまして、妊娠届け時から母乳育児に関する説明を行うなどの取組が行われておるとお聞きをいたしております。  今お話しのように、母乳というのは乳児にとって最適な栄養でありますことから、厚生労働省におきましても、母子保健分野の国民運動計画である健やか親子21におきまして、出産後一か月の母乳育児の割合の増加を目標に掲げるなど、母乳育児の推進に取り組んでいるところでございます。また、各市町村におきましても、母親学級等におきまして、こうした母乳育児の推進について妊産婦の心身の状態を勘案して適切に指導が行われておると承知をいたしておりますけれども、健やか親子21ホームページにおきまして、市町村の先進的な取組を紹介するなど、引き続きそうした普及に努めてまいりたいと考えております。
  54. 山谷えり子

    山谷えり子君 おっぱいというのはすぐ出るものじゃありません。吸って吸ってやっとちょっと出る。赤ちゃんは一生懸命吸うんです。そして、お母さんはそれによって、赤ちゃんによって母性に火をつけられる。女の体には自然が残っております。適切な指導とおっしゃいましたけれども、不足しております。是非、光市の取組を参考にして、もっと重点的な支援をお願いしたいと思います。  資料四、出していただきたいと思います。  少子化対策基本法の附帯決議に、出産を望みながら精神的、経済的負担に悩む妊産婦に対する相談等の支援の充実を図るとあります。また、さきの国会、参議院少子高齢社会調査会で、命を大切にする視点に立ち、出産を望みながら精神的、経済的な負担に悩む妊産婦に対する相談等の支援についても充実を図る必要があると書かれております。  今百十万人の赤ちゃんが生まれておりますが、中絶が三十五万人、実は三倍あるんじゃないか。つまり、百十万人生まれ、百十万人、同じ数の子供たちが中絶されているのではないかと、これが日本の現状でございます。  女は安易に中絶したいわけじゃないんです。悩んでいるんです。産めたら産みたいと思っている女が大変に多い。しかし、それに対する相談、応援体制が、欧米にはありますけれども日本には全くございません。  民間のボランティアグループ、円ブリオ基金というのが、一口一円を募って胎児の救済、胎児の環境づくりを支援してきて、百五人の赤ちゃんが生まれました。一番下の写真がありますけれども、赤ちゃんができて失業して、住むところもなくなり、妊娠七か月まで病院も行けず、彼と二人、頼れるところもなく、私は生きていくより死んだ方がましだと思っていました、この円ブリオで助けてもらって、勇気を出してすべてが好転、今はかわいい娘を見るたびに円ブリオに電話して本当によかった、感謝、この子を産ませてくれてありがとうございましたとあります。  附帯決議にも、また、参議院の少子高齢社会調査会の報告書にも書かれている、この悩んでいる妊婦さんへの応援、これはどのように重く受け止めていただけますでしょうか。
  55. 尾辻秀久

    国務大臣(尾辻秀久君) 先日、先生と御一緒に、この円ブリオの皆さん方、私の部屋にも来ていただきました。そして、お話も伺いました。多分、ここに今書いておられる方のお一人なんだろうと思いますが、おかげで子供を産めたんですと言って、そのお子さん抱いてきていただきまして、大変感動しながらそうしたお話を伺ったところでございます。したがいまして、今おっしゃるようなこと、これは極めて重要なことであるということは私どもも承知をしておりますし、そのように考えておるところでございます。  平成十五年度でも、前年度よりは減少いたしておりますけれども、私の手元の数字でも人工妊娠中絶の手術、三十二万件行われたということになっております。やはりこうしたことを今お話しのように是非改めていきまして、私たちのこの子供が産めるようにという努力を更に続けていかなきゃいけないというふうに考えております。  今、都道府県、政令市、中核市で設置をいたしております二十七か所の女性健康支援センターにおきまして、保健師等による出産等に関する悩み等を含めた女性の健康に関する一般的事項についての相談指導の実施は支援しておるところでございますので、こうした支援を更に充実していかなきゃならないというふうに考えております。
  56. 山谷えり子

    山谷えり子君 是非、相談窓口の更なる設置、また基金等の設立についても御検討いただきたいと思います。  続いて、男女共同参画担当大臣細田官房長官にお伺いします。  七月二十五日、男女共同参画社会の形成の促進に関する施策の基本的な方向についての答申の中で、「「社会的・文化的に形成された性別」(ジェンダー)の表現等については、引き続き男女共同参画基本計画に関する専門調査会において調査を行うこととする。」というふうに記して小泉総理大臣に提出されておりますが、この調査、進捗状況、いかがでしょう。
  57. 細田博之

    国務大臣細田博之君) まず、山谷議員に心から感謝申し上げたいんでございますが、男女共同参画あるいはジェンダーに関連してこの予算委員会で非常に強い御指摘がありましてね、何か小泉総理も含めまして、過剰なる、過激なる性教育が行われたり男女同室宿泊などの問題ある事例がたくさん見られるということについて御指摘をいただきました。  これに関して、男女共同参画の諸会議におきましては、この問題を非常に重く受け止めまして、その本意でない、本来の趣旨でないような過激なそういった性教育等が行われていることは決して許されるべきことではないんだという共通認識が醸成されていると。そして、あくまでもこの男女共同参画会議あるいはこの基本法の考え方は、現に社会的に存在する男女の性差による、起因する社会的な不利とか、先ほど言われておりましたような出産あるいは就職その他、育児とか、そういったことにおける差をなくすということが本旨であるということは度々確認もされ、そのための努力をしようということになっておりますことをまず御礼とともに申し上げたいと思います。  御質問の男女共同参画基本計画の改定につきましては、本年七月二十五日に参画会議から内閣総理大臣に対して答申が行われました。答申においては、「社会的・文化的に形成された性別」、括弧してジェンダーと書いてありますが、この表現等については、引き続き男女共同参画基本計画に関する専門調査会において調査を行うこととするとされております。答申を受けまして、現在専門調査会におきまして有識者ヒアリング、「社会的・文化的に形成された性別」の分かりやすい表現等についての議論が行われておりまして、現在検討中でございます。  今後、専門調査会の検討結果及び関係各方面の意見を十分踏まえつつ、今年度末までに政府として基本計画の改定に取り組んでまいりたいと今考えておりますが、非常に委員の御指摘によって、この誤った考え方での取組をいかに誤解も避け、実態をそれに合わせていくか、社会的問題を取り上げるべきだと、こういう方向になっていると承知しております。
  58. 山谷えり子

    山谷えり子君 職場での差別はなくさなければいけません。また、男女仲よく家庭生活をする、町づくりにも参加する、これは大事でございます。  細田官房長官が今おっしゃいました次の男女共同参画基本計画、資料五をごらんいただきたいというふうに思います。マーカーがしてありますが、私たち自民党内閣部会、男女共同参画会議男女共同参画推進協議会、女性に関する特別委員会、そして過激な性教育・ジェンダーフリー教育実態調査プロジェクトチーム、この四合同部会で、例えばこれだけでございますけれども、いろいろ問題があるということを議論してまいりました。  例えば、「社会制度・慣行について個人単位の考え方に改める」、これは一夫多妻とか事実婚を法律婚と同じに認めるのかとか、「税制については、個人のライフスタイルに中立的な仕組みとしていく」、配偶者控除、あってはいけないんじゃないか、こんなことまでこの基本計画に入れちゃっていいのか。  また、「「社会的・文化的に形成された性別」(ジェンダー)に敏感な視点」、実はこれは、実態としてはジェンダーに敏感な視点もジェンダーフリーもジェンダー平等も全く同じように使われているのが実態でございます。性差別はあってはいけませんが、性別もあってはいけないというこのジェンダーという言葉、これは是非お外しいただきたいんですけれども、いかがでしょう。
  59. 細田博之

    国務大臣細田博之君) ジェンダーという言葉が日本語に本来ございませんで、かつ、日本語で性差とか様々な、ただの性とかいろいろな言葉を使います場合に、それがぴったりとしておらないことから誤解が生じたり、あるいは誤用等が生じているというこの御指摘があることはもう様々な例を挙げられましたので御存じのとおりでございますが、これは世界的にも使われている言葉でありまして、むしろ英語として使われている国際語でもございます。日本語としてそれが十分に浸透するかどうか、かつ誤用されずにきちっと使われるようになるかどうかという、今後、ほとんどほかで使われない言葉でございますので、本来これについてどう考えるかということは、先ほどの参画会議等においても随分真剣に議論されております。  ただ、国際的に相当長期間に使われておりますから、できるだけ表に出して分かりにくい言葉を使うということは避けながらも、国際的な感覚、そして男女共同参画の趣旨に合うようにはしていかなきゃならないと、こういうことで今検討が行われていると承知しております。
  60. 山谷えり子

    山谷えり子君 国際的に使われておりますが、定義とか解釈はそれぞれの国に任せるという非常に乱暴で未熟な概念なんですね。これを国の政策の中心に据えるというのは私はまだまだ未熟で乱暴だと思っております。  そして、特に「施策の基本的方向」というところにこの「(ジェンダー)に敏感な視点」というのが入れられているんですね。この施策の基本的方向というのは平成三十二年までの十五か年計画、つまり十五か年間の品質保証、保証期間を与えちゃうということなんですよ。国民のコンセンサス、今まだ得られていないと思います。いかがでしょう。
  61. 細田博之

    国務大臣細田博之君) 言葉としてなかなかこなれていないことは私も理解しております。ただ、趣旨において、我が国社会、特に世界的に見て、男女のあらゆる機会均等等、あるいは雇用の面でも育児の面でも極めて我が国女性が他国の女性に比べて不当に様々な差、差を感じていると。あるいは、現に社会的にそういうことが存在しているということを直視しなければならない。そのときに、一体今日、ジェンダーに敏感な視点といっている言葉の解釈として、もうちょっと分かりやすい言葉で、国民全体がそうだなと分かるような言葉でどういうふうに説明したらいいかということは今後とも検討する必要があると思います。  例えば、今は日本のみが突出して、出産とともに働いている女性の七〇%が辞めると、そして出産、育児が終わったところで再就職しようと思うと、ほとんどこれがパート労働等で前どおりの給与や条件や労働条件でその力を発揮できないというような社会環境がございまして、これは正していかなきゃならない。また、先ほど言われましたように、男性も、長時間労働を若い人はするために、家庭に帰って育児もするとか、男性も育児の手伝いができるような、あるいは協力、夫婦で協力するというような基礎が非常に諸外国に比べて劣っておることは事実でございますので、私は様々な意味で産業界等とも今代表と会議を持ちまして、ガリレオと言った人がいますけれども、コペルニクス的転回を男女共同参画についてしなければ、日本の今の女性の在り方、そして非婚化、晩婚化、少子化が本当の意味で克服できないと。こういう意味では、私は、山谷議員がいろいろな御提言をしておられることは大変貴重な御意見だと思いますし、方向は正しいと。是非一緒になってこの共同参画問題へ取り組んでいきたいと思っておりますが、この言葉の問題について、より良き考えがあればまたお聞かせをいただきたい。  そして、実態においては、私どもはその行き過ぎたものの是正は当然しなきゃいけません。そして、本来のあるべき日本男女共同参画問題を追求していくべき時期に来ていると。諸外国に比べて非常に後れている、もう中国その他の近隣諸国に対してもヨーロッパ等の諸国に対しても非常に実態が後れているということは申し上げたいと思います。
  62. 山谷えり子

    山谷えり子君 私は九百万部の生活情報紙の主婦向けの編集長をしておりました。今、細田長官がおっしゃっていられたことを一生懸命進めてきたんです。女性がもっと元気になるように、社会進出できるように、差別なくすように、それはもう当然のことです。けれども、私は、ジェンダーというこの言葉によって、家族の否定、文化の否定、教育現場の混乱が起きているから、ジェンダー論をちょっと考えた方がいいんではないかということを言っているわけです。  四自民党の合同部会で男女共同参画審議会基本問題部会の議事録を精査してまいりました。平成十年、基本法、基本計画ができる前の審議会でございます。  例えばこう書いてあります。ジェンダーという概念を認めるところからある意味ではフェミニズムは出発しているわけですね、そこをかぎ付けてしまわれるととかですね、女子トイレと男子トイレを一緒にしなければいけないのですか、それは社会的、文化的に形成されているものなのですよ、ジェンダーとか偉そうなことを絶対言っては駄目ですよ、強引に押し切る、余り理屈を言わないで、これで熟した言葉ですというふうに押し切る、日本がジェンダーというものを書けば画期的なことになって国際社会に貢献するかもとかですね。こういう、これ何ですか、これ審議会ですか。この議事録、自民党の四合同部会でみんなで読み合わせたんですよ。  そして、野中官房長官は、平成十一年、ジェンダーは非常に理解しにくい、基本法案では社会的、文化的に形成された性別という言葉を直接用いていない、ジェンダーという表現も用いておられないと、おらないと答えておられます。また、平成十四年、福田官房長官は、行き過ぎた解釈をすべきでない、ジェンダーフリーという言葉はくせ者で、理解の仕方、主張する方、使う人、いろいろな場合にその意味が違って取られると答えております。ジェンダーという言葉はお外しいただきたいと思います。  もう一つですね、プロジェクトチームに寄せられた三千五百の中に大学生からたくさんのノートが届きました。ジェンダー学、女性学が必修科目になっていると。ノートを見ましたら、近代的結婚は、無償で妻が家事、育児を引き受けさせられる、男らしさ、女らしさは男女間の力の格差を生み、差別の元凶となる、男らしさ、女らしさの否定、機会の平等ではなく結果の平等を求めよ、区別は差別だから区別してはいけない。これだからテント一緒に寝かせるわけですよね。そういったようなラジカルフェミニズム理論を教えられている。男は抑圧者、男女を階級闘争のようにとらえているわけで、学問の自由はあります。私も、一九七〇年代、アメリカでジェンダー学を傍聴しました。だから分かります。  しかし、必修科目にするのはどうしてでしょうと大学生自身から上がってきていますが、文部省、これ、必修科目、大学でどのぐらい進んでいるんですか。
  63. 石川明

    政府参考人(石川明君) お答え申し上げます。  女性学、ジェンダー学に関する科目を必修としている大学、短期大学は、平成十六年度の調査におきまして百四十四校という状況でございまして、全大学、短期大学の約一二%に相当しているところでございます。
  64. 山谷えり子

    山谷えり子君 今のは必修科目で、選択必修というものも合わせると、つまり二科目の中から一個選びなさいと、選択も合わせると三割ぐらいじゃないですか。どうでしょう。
  65. 石川明

    政府参考人(石川明君) 選択必修科目を合わせますと三一・五%、おっしゃるとおり三割というような状況でございます。
  66. 山谷えり子

    山谷えり子君 学問の自由はありますけれども、例えばある芸術大学の学生さんから、自分はこのジェンダー学とは考えが合わないというレポートを出したところ、単位がもらえなかったと。必修科目の単位がもらえないんです。これは思想信条の自由を侵しているんじゃないでしょうか。いかがでしょう。
  67. 石川明

    政府参考人(石川明君) 各大学でどのような授業科目を開設するか、あるいは授業科目の内容ですとか、そういったことは、先生もお触れになりました学問の自由という観点から基づきまして、各大学で自主的に判断されるべきものでございます。  私、今先生がおっしゃったような事例の具体的なケース、どういう設問でどういったその試験内容、そしてどういった解答であったのかということを詳しく存じませんので、今その具体的なケースについての是非をお答えするのはちょっと困難でございますけれども、それらを含めまして大学において適切にそれぞれ判断がなされているものと、このように考えております。
  68. 山谷えり子

    山谷えり子君 真の男女共同参画社会をつくるために私も働きますので、政府としてもしっかりお願いしたいと思います。  ありがとうございました。
  69. 小野清子

    委員長小野清子君) 以上で山谷えり子君の質疑は終了いたしました。(拍手)  午後一時に再開することとし、休憩いたします。    午前十一時五十七分休憩      ─────・─────    午後一時開会
  70. 小野清子

    委員長小野清子君) ただいまから予算委員会を再開いたします。  予算執行状況に関する調査を議題とし、休憩前に引き続き質疑を行います。櫻井充君。
  71. 櫻井充

    ○櫻井充君 民主党・新緑風会の櫻井充です。  今日は、まず最初に、アスベストの問題についてお伺いしたいと思います。  人体への被害が随分報告されるようになってから国の方の対策もいろいろ打ち出されるようになってまいりましたが、まずこれまでの総括をしていきたいと思っております。  その上で、日本政府政府として、いつごろからアスベストに対して人体への被害が、人体に被害を及ぼすと認識されていたのか、そしてまた、その後の対策について教えていただけますでしょうか。
  72. 尾辻秀久

    国務大臣(尾辻秀久君) アスベストの対策でございますけれども、昭和四十七年、一九七二年が大きな転機になっております。それ以前は炭鉱における粉じんなど、石炭掘ったときの粉じんなどと同じ粉じんの対策としてやっております。昭和四十七年にWHO、ILOががん原性ありということを言いましたので、その後は、そうしたことでのがんのおそれが、がんになるおそれがあるということで対策を取ってまいりました。  基本的には労働安全衛生法で対策を取っておりまして、今、細かな資料、手元にありませんので正確でないかもしれませんが、昭和五十年、五十一年ぐらいからは、特にその中でも一番危険だと言われております、その中でもといいますのは、アスベストの中でも一番危険であります青石綿に対しまして特に強い対策を取り、吹き付けだとかそうしたものを禁ずるという対策を取っておるところでございます。  ざっと申し上げてそういうことであります。
  73. 櫻井充

    ○櫻井充君 問題は、薬害エイズやクロイツフェルト・ヤコブ病のときと同じように、その対策が果たして適切だったのかどうかということなんだろうと思いますが、世界の国々、特に先進国と比較して果たして日本対策は適切であったとお考えでございましょうか。
  74. 尾辻秀久

    国務大臣(尾辻秀久君) 今申し上げました石綿のうちでも有害性の強いクロシドライト、すなわち青石綿でございます、それからアモサイト、茶石綿でございますけれども、これについては平成七年に製造等を禁止いたしております。したがいまして、製造禁止ということで明確に決めたのは平成七年でございます。  ただ、このクロシドライト、青石綿につきましては、申し上げましたように、ずっと行政指導を続けてきておりましたので、それで実態を把握しておったわけでございますけれども、平成元年には使用の実態がなくなっておることを確認をいたしております。したがいまして、法律で禁止をしたのは平成七年でございますが、既に平成元年で使用の実態がなくなっておるということを確認をいたしております。  それから、アモサイトの方、茶石綿でございますが、これにつきましては、平成五年にドイツ、平成六年のフランスという、禁止をいたしておりますけれども、それについての平成七年でございますから、禁止の時期、一年ないし二年後れて禁止をしたということでございます。  それから、先ほど申し上げました青石綿の平成七年の禁止でありますけれども、実態でなくなっておるということを確認しておるということを申し上げました。既にそれまでにドイツ、フランスは原則禁止という形を取っておりますけれども、まだ当時使用実態がございますので、実態においては日本の方が進んでいたということも言えるかと思います。  状況を申し上げるとそういうことでございます。
  75. 櫻井充

    ○櫻井充君 その使用実態の確認なんですが、使用実態の確認はどのようにしてなされたんでしょうか。つまり、その石綿製品が一体何に使われたんですかということを質問通告したら、各省庁でうちは知らない、うちは知らないと、皆、各省庁でたらい回しにされました。ですから、その実態を確認したというんですが、何をきちんと調べてその使われていないという確認をされたんでしょうか。
  76. 尾辻秀久

    国務大臣(尾辻秀久君) 申し上げましたように、禁止して、禁止といいますか、規制をいたしましたのが労働安全衛生法でございますから、作業所、実際に作業しておるところに行って私どもとしては指導をしておる、ずっと指導してまいってきておりますので、だんだん使われなくなってきたということを確認しておりまして、作業所の指導の中で使用していないということを確認をしておるということでございます。
  77. 櫻井充

    ○櫻井充君 これ、作業所というのはどこを指しているんでしょうか。つまりは、例えば工業製品の中にも随分入っているんですよね、大臣。そのことは御存じですか。つまり、今問題になっているのは、例えば吹き付けのアスベストなどが問題になっていますが、これは是非委員皆さんも御認識いただきたいんですけれども、日常の電化製品にも入っているわけです。例えばドライヤーであるとか、こたつであるとか、それからトースターであるとか、こういうのにみんな入っています。しかも、昔のドライヤーの場合には、専門家の方に言わせると、風気口から見ると実は白いものが見えまして、これアスベストでして、ですから風と一緒に飛んできた、こういう実態もあるんですね。  ですから、その作業所とおっしゃいますが、果たしてほかのそういう工業製品を作っている過程の中で一体どうだったのか。その点についての確認もされているんでしょうか。
  78. 尾辻秀久

    国務大臣(尾辻秀久君) 事業所と申し上げた方がいいかと思います。先ほど作業所と言いましたけれども、事業所と申し上げた方がいいかと思います。  改めて申し上げます。  今、青石綿について申し上げておりますけれども、クロシドライトにつきましては、平成元年に全国三百五十の石綿取扱事業所を対象とした調査的監督を実施して、クロシドライトを使用している事業所はないことを確認をいたしております。  アモサイトにつきましては、クロシドライトの使用等の実態がなくなった平成元年においても、なお三百五十九事業場のうち十九の事業場において使用実態があったことから、代替化の促進、使用量の削減について指導を行い、関係業界からの聴取の結果、平成五年までに使用が中止されたことを確認をしたということでございます。  すなわち、事業場で指導に行っていて、そこで使用していないということを確認をしておる、こういうことでございます。
  79. 櫻井充

    ○櫻井充君 そうしますと、それは原材料を加工したというところまでのことであって、その後の二次加工品や三次加工品になった場合には、これはチェックされていないということなんでしょうか。つまり、今申し上げましたとおり、電気製品からいろんなもの、それこそシステムキッチンや建材から何からいろんなものに以前は使われていました。ですから、そういったものにも、そういったものに関して、それはちょっと私の認識違っているのかもしれませんが、以前もそういうものに使われていたというふうに私はお伺いしているので、その点についてはいかがなんでございましょうか。
  80. 尾辻秀久

    国務大臣(尾辻秀久君) 今、先生がお述べになっておるようなもの、電気製品とかそういうものには青は使われてないということでございます。
  81. 櫻井充

    ○櫻井充君 それでは、いずれにしても青ではなくても発がん性が認められる、認められているアスベストが使われていたことは、これは間違いのない事実でございます。  そしてもう一つは、問題は、じゃ例えばその建材なら建材に使われていましたと、その建材が、例えば学校関係などは学校パニックが一九八〇年代にありましたから、そのときにきちんと調べられたんでしょう。ところが、そのきちんと調べられたはずのところが、五%以下のものに関してはきちんとした調査がなされていないので、それは全部除外されているはずなんですね。  ですから、今度はちょっと文部科学省にお伺いしたいんですが、果たして、改めて今調査をされているようですが、きちんとした実態調査がなされているんでしょうか。
  82. 塩谷立

    ○副大臣(塩谷立君) お答えいたします。  文部科学省においては、子供たちなどの安全対策を万全に期すため、現在、学校施設等における吹き付けアスベスト等使用実態調査を実施しているところでございまして、先般九月の二十九日に中間報告を公表したところでございます。この調査対象につきましては、吹き付けアスベスト、それから吹き付けロックウール及び吹き付けひる石等の含有する石綿の重量が当該製品の重量一%を超えるものとしております。かつて五%というのが基準があったんですが、それを一%を超えるものを調査しているところでございまして、現在鋭意その調査を行って、十一月の実態調査報告に向けて努力をしているところでございます。
  83. 櫻井充

    ○櫻井充君 要するに、その吹き付けの部分だけは実態調査されているわけですが、ほかの建材に含まれているものとか、そういったものの調査はなされていないんじゃないでしょうか。  そしてもう一つ、これはどういう形でやられているかといいますと、すべて目で見て確認している。それは施設長がやっています。施設長は建築、建築の専門家ではない方が見て、よく分からないけど安全そうだという形でチェックされているだけであって、本当にその実態がきちんと把握されているのかどうか、まず調査の方法自体に問題があるんじゃないのかなと思っていますが、その点についていかがでしょうか。
  84. 塩谷立

    ○副大臣(塩谷立君) 調査につきましては、まずは設計図書に基づきまして、使用の商品名が明らかな場合は公表されている商品例三十品目との照合をします。その他については、調査対象建材に該当する可能性がある吹き付け剤について必要に応じて分析して調査を行っているところでございまして、これ専門のいわゆる調査機関に依頼をして今現在調査をしているところでございますので、そういった建材の内容等も詳しく今調査しているということでございます。
  85. 櫻井充

    ○櫻井充君 なぜこういうことをお伺いしているのかというと、この先解体したときに更にアスベストの被害が広がっていく可能性があるからです。つまり、アスベストが本来含まれているにもかかわらず、例えば防御壁を置くとか、それからその作業者の方々がきちんとした装備をしないでもし解体作業などを行ってしまうと、本人やそれから近隣の住民の方々が大変苦労されるので、どういうものにきちんと含まれているのかの実態調査をする必要性があります。  で、これは学校は一応こういう形で調査されていますが、民間の建築物にも相当数含まれています。これ皆さん見たことおありだと思いますが、波板スレートといって、こう波状のやつで、よく屋根や壁などに、その辺の倉庫とかそういうところによく使われていますが、実際あれはコンクリートにアスベストが混入されているものでして、こういったものを廃棄するときにもきちんとした注意を払わなければいけないんだろうと思うんです。その意味で、その民間の建築物にどの程度含まれているのか、実態調査はされているんでしょうか。
  86. 北側一雄

    国務大臣(北側一雄君) 七月以降、この民間建築物についての吹き付けアスベスト、それからアスベスト含有吹き付けロックウール、これにつきまして実態調査を行いまして、先般中間報告を行いました。  内容といたしましては、九月時点で報告のありました七万六千七百四十七棟のうち、六千八百三十八棟において露出した吹き付けアスベスト等が確認をされました。まず、この報告がまだなされていない建築物がございますので、これにつきまして引き続きしっかり調査をさせていただきたいと思います。  また、未対策、この吹き付けアスベストが確認されました未対策の建築物につきましては、除去等の対策を速やかに地方公共団体との連携の下に推進をしてまいる所存でございます。  また、社会資本整備審議会にアスベスト対策部会、専門家の方々に入っていただきまして、今論議をしていただいております。今後の対策、また今後の調査在り方等につきまして審議をいただいておりまして、しっかり対応をさせていただきたいと思っているところでございます。  いずれにしましても、スピード感を持ってやらせていただきたいと思っております。
  87. 櫻井充

    ○櫻井充君 済いません。この調査された七万六千という数は、全国すべての民間の建物ではないですよね。全体でいうと何%ぐらいになるんですか。
  88. 北側一雄

    国務大臣(北側一雄君) 今回の調査におきましては、一つ調査対象を限定しました。調査対象年限を昭和三十一年から昭和五十五年までに建築された建築物、そして調査対象規模を一千平米以上の建物ということにさしていただきました。そういうことでこのような数字になっているところでございます。
  89. 櫻井充

    ○櫻井充君 建築家の専門家の方とお話しすると、先ほど申しましたああいう倉庫とか、簡易的な倉庫とか、そういった資材置場みたいなところとか、その辺のところに相当波板スレートが使われていて、要するに、今のも露出されていると。つまり、吹き付けの問題のことだけ随分取り上げられていますが、原材料に入っているものに関してのチェックが今のじゃなされていないんじゃないのかなと思うんですが、その点について改めて。
  90. 北側一雄

    国務大臣(北側一雄君) 先ほど、アスベスト対策部会、これ専門家の先生方に入っていただいて今審議をしておるところでございますが、そこで、今委員のおっしゃった、一つは小規模建築物、今のは千平米以上でございます、それ以下の小規模建築物をどうするのか、それからまた委員のおっしゃった成形品、中に含有をしている場合ですね、そういうものについての調査のやり方、手法につきまして今論議をしていただいておりまして、これはもう至急取りまとめをさしていただいて、しっかり実施をさしていただきたいと思っております。
  91. 櫻井充

    ○櫻井充君 ここのところが極めて大事なところなので、是非きちんとした議論をしていただきたいと思います。  それからもう一つは、鉄筋ではなくて鉄骨の建物がございます。で、鉄骨の建物の場合には、そこのところが火事で溶けないように、まあ昔はアスベストを三センチか四センチぐらいこう巻いて建築していたんですが、その手の調査はされているんでしょうか。
  92. 北側一雄

    国務大臣(北側一雄君) 今しておる調査につきましては、先ほど申し上げました吹き付けアスベスト、そしてアスベスト含有吹き付けロックウール、この二つの建材を対象として調査をしているところでございます。
  93. 櫻井充

    ○櫻井充君 大臣、それは先ほど露出したという御答弁がございましたから、これはあくまで表で見えるところですよね。そうではなくて、私が申し上げているのは、例えば鉄骨の回りに使っているわけです。ですから、これは設計図を見れば分かるはずなんですね。こういう調査はされているんでしょうか。
  94. 北側一雄

    国務大臣(北側一雄君) 今の委員のおっしゃったことも含めまして、今残りの、今対象を限定しておりますので、調査を、特に危険性が高いというところを先にさしていただいておりますので、このアスベスト対策部会におきまして今後の残りの、今委員の御指摘をいただいた幾つかのところもしっかりと検討、調査をさしていただきたいと思っております。
  95. 櫻井充

    ○櫻井充君 何度も申し上げますが、解体するときに問題が発生します。ですから、アスベストを含んでいる建物なのかそうでないかの確認が極めて重要になるので、その点はきちんとやっていただきたいと思います。  そしてもう一点、先ほど電気製品などの例を挙げましたが、要するに工業物に関しても実際アスベストが使われています。こういったものの廃棄処理のところで飛散していく可能性は否定できません。この手のことについての処理は今後どのようにされるおつもりでございましょうか。  これは環境省に聞いた方がいいんでしょうか、それとも経済産業省でしょうか。
  96. 小池百合子

    国務大臣小池百合子君) 処理ではございませんが、大気中に、今後ビルの解体などが行われることによって大気に対して飛散するのではないかというような、そういう御不安があるということは承知をいたしております。  十月から全国のアスベスト製品の製造事業所などを対象とした大気濃度調査というのを実施いたしますけれども、この調査の流れの中で、建築物の解体現場についても調査対象とすると、このようにいたしております。それから、引き続きこの建築物の解体現場の大気調査については、来年度更にそれを重点化いたしまして調査の実施をするということがまず一点であります。  それから、解体作業でございますけれども、これ、現在は一定規模以上もののみが規制の対象となっておりましたけれども環境省の方ではこの規制対象の限定を撤廃いたしまして、すべての規模の解体作業を規制の対象とするということでの検討を進めているところでございます。
  97. 櫻井充

    ○櫻井充君 建築物のことに関してはある程度きちんとやられているんだろうと思うんです。私が今申し上げたのは、電化製品等に含まれているもの、そういったものの廃棄処理が必要になりますよね。例えば、ドライヤーであるとか、こたつなんかにも使われているわけです。そういったものに対しての処理はどうされるおつもりなのか。
  98. 中川昭一

    国務大臣中川昭一君) 櫻井委員指摘のように、家電品、ドライヤーとかこたつとかトースターにアスベストが使われていた時期があって、これは経済産業省として、各家電メーカー等製造メーカーを通じてどういう状況になっているのかということを調査をしたわけでございます。  ただ、もう、まあ経過もしておりますし、また一戸一戸の家庭にすべてトレースすることも非常に難しいという状況でございますので、全体としての製造販売状況を業界として経済産業省がヒアリングをしたということにとどまっているというのが現状でございます。
  99. 櫻井充

    ○櫻井充君 大臣、そういうことではなくて、今後問題になるのは、その物を回収してきて処理しなきゃいけませんよね。産業廃棄物にするときです。その産業廃棄物にするときの処理のところで飛散していくんじゃないだろうかという、そこのところが問題なんですね。  ですから、そこの処理はどちらになるんでしょうか。経済産業省ですか、環境省ですか。
  100. 小池百合子

    国務大臣小池百合子君) 基本的には廃棄物処理法に基づく形になろうかと思いますが、アスベストにつきましては、特別管理産業廃棄物というそういうジャンルに入ってくる。それによって、二重のこん包にするであるとか、収集のときにも注意をするとか、そういった延長線の中で取り扱うものだと、このように認識をいたしております。
  101. 櫻井充

    ○櫻井充君 取り扱うものだと、ということは、今後きちんとしていただけるんでしょうか。それとも、そこのところがもう周知徹底されているんでしょうか。
  102. 小池百合子

    国務大臣小池百合子君) 基本的な仕分といたしまして、特別管理産業廃棄物扱いということになろうかと思います。ただ、これは圧倒的に建材が多いということを想定してのものでございます。
  103. 櫻井充

    ○櫻井充君 おっしゃるとおり、その使われたものが建材が多分多いんだと思います。ただし、これも、各省庁にどういうところに使われたんですかということをお伺いしたときに、昨日は各省庁ともデータを持っていないというふうに言われました。だから、何に使われているのかが全く分かっていないんですわ、正直申し上げて、私は。ですから、もちろん建材は建材でやることは大事ですが、分かっているものに対してきちんとした対応をしていただきたいと。  ですから、今申し上げたとおり、家電製品や、とにかく熱を持ったもの、熱を発生するものなどに関しては間違いなく使われていますので、現在の製品でも使われているようです。これは安全だと、そこはちゃんと、放出しないようにというふうにちゃんと書かれてはいます。ですが、問題は、それを産廃として処理するときですから、是非そこのところを周知徹底していただきたいということでございます。  改めていかがでしょうか。
  104. 小池百合子

    国務大臣小池百合子君) 建材にいたしましても、また家電製品などにおきましても、アスベストということになりますと特別に処理する廃棄物ということになるわけでございますので、いずれにいたしましても建材も含めて明確にその周知徹底をしてまいりたいと考えております。
  105. 櫻井充

    ○櫻井充君 ありがとうございます。  そうすると、再度大事になってくるのは、一体どういう製品にアスベストが含まれているのか、それからその製品を解体して産業廃棄物にした際にその危険性が、飛散する等の危険性が生じるのかということになるんだろうと思うんですね。  それで、どういったものにアスベストが含まれているのかどうか、政府のどの部局で調査されるんでしょうか。これは内閣官房にお伺いすればいいんですか。
  106. 細田博之

    国務大臣細田博之君) 基本的には、各省にまたがっておりますので、またがっておる様々な省庁ですべて関係するアスベスト使用を調査するということになっております。  例えば、製造業の場合は経済産業省の場合が多いわけでございますし、その他の製品も、建材関係であれば国土交通省にもそういった、その納入自体があり事業所もあるわけですから、そういった調査も必要になると思いますので、そういった各省庁からすべてのそういった情報について調べるようにという指示は出しております。
  107. 櫻井充

    ○櫻井充君 これを省庁間に本当に任せていいのかどうかというところが問題なんじゃないか。というのは、僕は、この発言は、西副大臣の発言というのは本当に勇気があってすばらしかったと思いますが、要するに、その当時大臣が、決定的に、決定的な私ども省庁の失敗だったのではないかというふうに私自身は個人的に考えておりますということをおっしゃられました。つまりは、これは省庁間の連携の問題だと後でフォローされていますが、結局そういうことが過去にあるわけでして、果たして今のように、大臣が御答弁されたように、各省庁にまた振り分けて、その漏れがないのかどうかということの心配もありますが、いかがでございますか。
  108. 細田博之

    国務大臣細田博之君) 元のアスベストが何らかの形で、今はまあ国産がほとんどないわけですから、輸入されて、それがどういう人によって輸入され、どういう事業所に配分され、どのように加工され使われるかということはルートが分かっておりますので、それらの産業をすべて網羅して、企業を網羅して調べるという形がベストであろうと思います。  そしてまた、それを吹き付ける等で使用するところ、船舶とかも含めましてございますので、これはむしろ今後、解体等の面からアプローチする必要があると。こういう両面から調査を進めているわけでございます。
  109. 櫻井充

    ○櫻井充君 とにかく省庁間の連絡を密にしていただいて、きちんとした対応をしていただきたいと思います。  というのは、例えば肺がんであるとか中皮腫であるとか、特に中皮腫ですが、治療法がございません。そして、現場にいて、もう反省させられるのは、発見が極めて遅いということでして、そういう意味では、もうこれは発がん性を有していることが分かっていますから、予防医学的な観点からもきちんとした対応をしていただきたいと、そう思います。  それで、もう一つは、大事なことは、じゃ被害に遭われている方々を今からどうしていくのかということなんだろうと思うんですね。これは、国は、この患者さん方の被害というか、それに対しての責任はあるというふうにお考えなんでしょうか。これは厚生労働大臣でしょうか。内閣官房ですか。
  110. 細田博之

    国務大臣細田博之君) 全体を内閣官房で取りまとめながらやっておりますので、まず私の方からお答えしますと、やはり被害が発生した場合には、まずその被害をことごとく調べていき、また、患者さんとか過去にお亡くなりになった方の御親族とかお医者さんとか、あらゆる情報を集めなければいけませんが、そういった方が分かる、分かった段階で、どのようなことで対応できるかという検討を行い、そしてこれを救済するための今仕組みも考えておるところでございます。そして、労災関係とか、それぞれの担当省にはその担当省から、分かる事柄についてまた詳細調査を依頼しているところでございます。
  111. 櫻井充

    ○櫻井充君 要するに、現段階では国の責任はまだ明確にはできないということでしょうか。
  112. 細田博之

    国務大臣細田博之君) 責任という言葉の定義にもよりますが、政府としては、すべての被害者に対して調査をして対応すると、そういう決意で取り組んでおります。
  113. 櫻井充

    ○櫻井充君 きちんとした対応を取っていただきたいと思いますが、もう一点、本当に対策が十分であったのかどうかの確認も私は必要だと思っています。  で、私は、決定的に遅れていたと思っているんですが、それはなぜかというと、ILOでたしか石綿条約を採決したのが一九八六年だったでしょうか。ところが、日本が批准したのは相当後になってからだというふうに、そのことが分かったんですが、日本が批准したのはそれから何年後の、何年後のことでしょうか。
  114. 町村信孝

    国務大臣(町村信孝君) 日本は、今年の二月二十五日に本条約の承認を求める件を国会に提出いたしまして、七月十五日、衆議院本会議において承認をいただいた後、これは参議院先議でございました、今年の八月十一日に国際労働事務局長に批准書を寄託いたしました。また、翌十二日に公布をいたしました。日本における発効は批准登録一年後の来年八月十一日、これは条約第二十四条第三項に基づくものでございます。日本は条約の第二十八番目の批准国でございます。  そもそもいつかということ、最初の点は、今委員指摘なさったように、一九八六年の第七十二回ILO総会において、業務上の石綿にさらされることによる健康に対する危険の防止及び管理並びにこの危険から労働者の保護を目的とする石綿の使用における安全に関する条約第百六十二号が採択されたところから始まっております。
  115. 櫻井充

    ○櫻井充君 済みません、ちょっと今時計が進んじゃいました。座っているときに、どうして。この間もありましたけれども。ちょっと済みません、止めてもらっていいですか、時計を。
  116. 小野清子

    委員長小野清子君) ちょっと速記を止めてください。    〔速記中止〕
  117. 小野清子

    委員長小野清子君) それでは速記を起こしてください。
  118. 櫻井充

    ○櫻井充君 もう一つは、先進国はいつごろの時期に、ドイツやフランスやアメリカはいつごろの時期に締結しているんでしょうか。
  119. 町村信孝

    国務大臣(町村信孝君) G8のうち本条約を批准しておりますのは、カナダ、ドイツ、ロシア及び日本の四か国でございまして、アメリカ、イギリス、フランス、イタリアは批准しておりません。アジアでは日本が最初の批准国であります。カナダは一九八八年六月十六日、ドイツは一九九三年十一月十八日、ロシアは二〇〇〇年九月四日にそれぞれ本条約を批准をしております。
  120. 櫻井充

    ○櫻井充君 なるほど、分かりました。  そうすると、先進国の中でも決して遅い方ではないんだろうと思いますが、しかし二十年近く締結まで掛かったという理由は何なんでしょうか。
  121. 町村信孝

    国務大臣(町村信孝君) 委員既に御承知のとおり、日本は一九七〇年代以来、この石綿の使用による労働者の安全対策というのはかなり積極的に取り組んできておりまして、条約が求める規制のかなりの部分は国内法令により実施されてきたわけでございますけれども、条約の規定とは完全に整合していないという部分があったのは事実でございます。  また、労働者の安全を図るというこの条約の趣旨を踏まえれば、単に一部の種類の石綿の使用を禁止することではなくて、国内で最も広く流通している白石綿の規制というものが必要であると。そのために安全かつ低コストの代替品の開発を待つ必要があったということで、近年ようやくこの代替品の開発が進んで、昨年十月に施行されました労働安全衛生法の改正施行令によりまして、国内で流通する白石綿を含む石綿含有製品の大部分が規制されることになったと。さらに、今年の七月一日に施行されました石綿障害予防規則、これは厚生労働省令でございますが、この制定によって条約上の義務を完全に果たすことができることになったわけでございまして、こういうこともあって、本条約を国会に提出して、先般御承認をいただいたということでございます。
  122. 櫻井充

    ○櫻井充君 確かに物がなかったというのは事実だろうと思いますが、そうだとすれば、そういった開発をもっと早くから進めるべきではないのかなとも思います。  この間、九月の二十九日に厚生労働省が「過去の対応の検証」ということでまとめたものの中にこのように書かれているんですが、欧州諸国がこのような体制を構築してまで早期に取組を開始した背景には、我が国よりも早くから石綿を大量に使用し、既に多くの健康被害が発生したという事情があるものと考えられると。つまり、被害が出なければ対応しないというのは、実は薬害エイズのときと全く同じ構図なんですね。つまり、世界の国々でそういうことが起こっているということになれば、それに対しての対応をきちんと取るべきだと思いますが、こういうまとめをされること自体危機管理のなさだと私は思いますが、大臣、いかがですか。
  123. 尾辻秀久

    国務大臣(尾辻秀久君) そこで言っておりますことは、アスベストの使用というのは、ざっと言いますと、ヨーロッパの場合二十年早く日本より使用をしておるということでございます。ただ、細かなこと言いますと、戦前も日本はアスベストを使っていないかといえば使っているところがありますから、そこまで言いますと今の私のざっとした言い方というのは誤りにもなりますけれども、広く一般に使われていたということで言いますと、ヨーロッパの場合二十年早いと言っていいと思います。  したがって、その四十七年の、先ほど申し上げましたILO、WHO辺りががん原性ありということを言うに当たっては、ヨーロッパでは既にそうしたものの被害が出てきて、それを受けて言っておりますが、実は日本が労災認定を最初にいたしますのが昭和四十八年でございますから、四十七年の、その先ほど申し上げましたがん原性ありということで対策を打つ、打ったときにそういう意味ではまだ労災認定をしてないということでありますので、その辺のことについて触れて言っておるわけでございます。
  124. 櫻井充

    ○櫻井充君 これ、労災認定ということには書かれていませんけどね。つまり、この文書を見る限り、労災認定とは一言も書いてなくて、「まとめ」のところには、とにかく向こうの方が被害が出たから、早くに出たからだと。  しかも、もう一つ。一九七〇年から八〇年代にはと書かれていますが、七十数年には、七二年、七四年には発がん性を有していることと、それから、二次被害が発生することまで認識されているわけですから、その点からすると対応が遅かったんじゃないか。  もう一つ。要するに国内で発生しなくても、人の体は基本的に人種による差はほとんどありません。そうすると、世界の国々で何か問題があれば、そのことに関して我が国でも起こり得るんだということを、それをきちんと認識することが先なんじゃないでしょうか。  政府はそのことを一九七〇年代に認識していたわけですから、このようなまとめ方をされること自体、僕は問題があると思いますが、いかがですか。
  125. 尾辻秀久

    国務大臣(尾辻秀久君) できるだけ事実を正確に書かしていただこうということで、何年にこういうことでしたということは正確に書いた上で、それを言葉でどう表現するかというようなことでございまして、そこの部分で今御指摘のような面があるのかなとは思いながら今聞いておりましたけれども、同時に、私どもが言っておりますのは、そのころは予防的アプローチという考え方がまだ確立されてなかった、そのことについて今振り返ってみると反省すべき点もあるというふうなことも申し上げております。  その辺のことで何を言っているかといいますと、四十七年から既に私どもはがん原性ありということで対策を取ろうといたしております。ただ、まだその時点で労災認定してないということは、被害の確認をしてなかったということをただ言っているだけのことでございまして、その後に手を打ち出してからそういうことは、また被害がだんだん出てきたということを言っておりまして、そのヨーロッパとの比較においてどうしてもその辺の時間のずれがありましたということを言っておるところでございます。
  126. 細田博之

    国務大臣細田博之君) 経緯論をいろいろ調べるといろんな経緯があると。現に、例えば青石綿でも業界の自主規制により使用中止になったのは先ほどのILOの条約採択の翌年であったとかいろいろあると思います。しかし、私は、閣僚懇談会で明確に申しておることは、一々この正当性をいろいろ議論したり、沿革について言うことはやめろと。とにかくこれからの、今現状で見て、大変大量の石綿が使われておること、そしてそれが常に、解体ですとかいろいろな廃棄物、あるいは現に一部壊れて、その中で生活すること等により中皮腫や肺がんが発生する危険があるのであるから、すべてにおいてきちっとした対応をすること。そして、被害者に対してはしかるべく政府が、もちろん企業側の問題もあると思いますが、共同してしっかりとした対応策を取ること。これを強く指示しているわけでございますので、責任を持った対応政府としては今後ともしていきたいと思います。
  127. 櫻井充

    ○櫻井充君 今後のことについては確かに大臣のおっしゃるとおりだと思うんです。ただ、これは本当に薬害エイズとかヤコブ病のときにもそうなんですが、患者さんたちからしてみると精神的な面のフォローもしていただきたいと。つまりは国、国でこういうことに対しての謝罪をしてくれと、お金だけの問題ではないんだということを言っているわけであって、その点についてもきちんと認識していただきたいなと、そう思います。  それから、この文章は、うがった見方をすれば、要するには被害が出なければなかなか対応できないんですと、できなかったんですというふうにしかとらえられない文章なんですね。もう一つは、自分たちのやってきたことを正当化するために、要するに、支障を来さないように段階的に進めていくという考え方は共通しているとか、要するに自分たち対応が少し遅れているということは認めながらも、残念ながらそこのところにきちんとした反省の弁が私にはないような、そして同じことを繰り返してきているからこういうことを申し上げているところでございます。  ですから、このことも含めてですけれども、もう少し、世界の中でいろんな情報がありますから、そういったものをきちんとした形で把握していただいて、早め早めの対策を取っていただきたいと、そう思います。  その上で、私は一つ提案があるんですが、例えば今、体、人体に影響を及ぼしてくる物質が本当に増えてきています。例えば、以前シックハウス対策の法案を我々民主党は政府よりも半年早く提出させていただきましたが、その住宅から出てくる化学物質が問題であったりとか排気ガスであるとか、僕は実は化学物質過敏症でシックハウス、シックハウスの患者だからよく分かるんですけれども、こういう人たちが今五百万人とも一千万人とも言われている。こういうアスベストの被害もあります。そうすると、体にとっての有害物質というのは相当増えているんですね、この社会の中で。これが例えばシックハウス対策のときも各省庁縦割りでなかなかうまく進んでいかないんです。その規制する物質も全然違ってきています。  もう一つは、例えば住宅の濃度を測定して、この化学物質が高いと分かっても、どの建材から出ているか分かんないんです。そのために必要なことは、例えば今の食品に何が含まれていると書かれているように、建材に、建材が何を含んでいるのかということを全部明記してもらわないと困る。すると、JASとかJISとかそういう規格物まで全部手直ししていかなきゃいけなくなるんですが、これ、各々の省庁一つ一つにお願いしてくると相当難しいんですね。ですから、例えばですよ、有害物質対策担当大臣とか、内閣特命担大臣としてそういうものを設置するというのも私は一つの手だてではないのかなと、そう思うんですが、官房長官いかがでございましょう。
  128. 細田博之

    国務大臣細田博之君) 対応によっていろいろあるとは思いますので、どういったシックハウスの、私もシックハウスぎみなわけでございますけれども、これも一つ気になる、私にとっては、この間、総理公邸ができたときも、これはどうも目がちかちかしておかしいぞと言ったら、早速窓を開けて、直りましたと言っていましたけど、私は直ったと思ってません。入ると目がちかちかするとかですね。  そういう問題も含めまして、一体有害とは何か、このしかしアスベストは正に命にかかわるわけでございますから、こういったようなものは当然ながら一〇〇%対応しなきゃならないし、その他アレルギーのもとになるものとか、そういったものについてはやはり医学的知見も、これは専門家に釈迦に説法でございますが、こういったことが必要ではないかということを逐次取り上げていくということは大事なことだと思っております。
  129. 櫻井充

    ○櫻井充君 ですから、それを統括してやると、部署が僕は必要だと思っていて、それが例えば環境省なら環境省でもいいんですよ。でも、環境省にお話しすると、環境省は、外の空気は環境省、家の中は違うと言われるんですよ。ですから、そういうことじゃなくて、内閣の下に僕はそういう部署を置いた方がやはり安全の確保になりますし、もう一つは、そういう例えば建材であるとか塗料であるとか、いろんな物質をもし開発していくとどうなるかというと、例えば今韓国でシックハウスの問題が起こってきていますから、そういうところにいろんな形で輸出ができていく、経済の活性化にもつながっていくわけですよ。ですから、総括して、そこの下に、内閣の下に置いたらいいんじゃないかなと思いますが、改めていかがでしょう。
  130. 細田博之

    国務大臣細田博之君) 関係省庁連絡会議は設置されておりまして、その対象法令は、化学物質審査規制法、労働安全衛生法、消費生活用製品安全法、農薬取締法、毒物及び劇物取締法、大気汚染防止法、水質汚濁防止法等々で、医薬品と食品等は除かれておりますが、こういったものについて新たな知見を入手する、国際的な動きをフォローする、安全性を点検する、論文、学界等の情報を収集するということで、内閣官房副長官補の下に各省庁を連携する連絡会議をやりまして、有害化学物質からの安全性確保のための仕組みについて検討しようということでスタートする予定でございます。今週、第一回を開く予定でございます。
  131. 櫻井充

    ○櫻井充君 まあ余計なお世話かもしれませんが、郵政の民営化の法案は今国会で成立していくんでしょう。となると特命担大臣も必要ありませんから、内閣改造が十一月の二日に発表されるそうですから、そういう形で政府がどこの問題に対して力を入れていくのかということを、これ、特命担大臣はこれ法律を変更しなくてもできるんですね。ですから、連絡協議会をつくられるのもいいんですけれども、もし国を挙げて本当にやられるとすれば、そういうことを考えるのも一つではないのかなと、そう思います。  あと、ちょっと、政府の広報についてもう一つですが、例えばこういった問題や、それから十月の一日から介護の施設での例えば食費とか実は本人負担になるとかそういった大事なことというのは余り政府で広報されないんですね。私たちからしてみればどうでもいい、まだ法律も通っていなかった郵政事業の民営化とは何ですかというようなのをあれだけ大量のビラを配っているわけですけれども国民皆さんの生活にもっと密着してくるようなことに対しての広報は少ないんじゃないかなと思いますけれども、いかがでしょうか。
  132. 細田博之

    国務大臣細田博之君) 介護、医療、年金などの社会保障制度については、当然いろいろな広報は必要でございます。そして、厚生労働省が主として中心になりながら、平成十二年の介護保険制度の導入のとき、あるいは十五年のサラリーマンの三割自己負担の医療制度改革のとき、年金制度改革のときには、新聞、テレビ、刊行物などによりまして政府広報を実施してきたわけでございます。本年十月からの介護施設における食費等の負担につきましても、今後政府広報をやってまいりたいと思います。  ただ、この問題は関係する施設等からは相当、すべて情報はそちらにも行っておりますから、そちらの方からの情報も非常にこの対象者に対しては流れるような形であるとは承知しておりますが、御指摘でございますこれは早急に政府広報によって周知徹底を図ってまいりたいと思っております。
  133. 櫻井充

    ○櫻井充君 よろしくお願いします。  例えば、二割負担から三割負担に増えたときに、例えば全体の医療費が一万円だった、二割負担だと二千円だったのに、あるときから三千円になるわけですよ。そうすると、病院の収入は増えていいですねと言われるんです。病院の収入は増えていないんです、窓口の負担が増えているだけなんです。それを現場の医者が一々一々全部説明しなきゃいけないんですね。  ですから、そういうことも踏まえて、不都合なところは現場の人たちが説明するということではなくて、もう少しきちんとした形で、制度がこう変わったんですと、だから負担が増えましたということも広報していただければ有り難いと、そう思います。  それから、広報が不十分だったのかどうか分かりませんが、これは産業廃棄物の関連の方から言われたのは、医療用の産業廃棄物の処理で、例えば針とかをいまだに何かビニール袋に入れて処理されている方がいると。今度、それを処理している産廃業者の方々が針刺し事故などを起こし得る可能性があって危ないというふうになっているんですが、この点の対策は今どうなっているんでしょうか。
  134. 小池百合子

    国務大臣小池百合子君) 関連いたします法律は、先ほどアスベストのときにも御説明させていただきました廃棄物処理法でございます。そして、使用済み注射針につきましては、感染性廃棄物ということから特別管理産業廃棄物として通常の廃棄物より、より厳しい処理基準が適用されております。密閉できて損傷しにくい構造の容器に入れて、そしてほかのものと区分して収集、運搬を行うということで、感染性廃棄物処理マニュアルという形で、この点につきましては医療機関などにお伝えをしているわけでございます。  マニュアルの周知徹底ということでございますが、是非ともその廃棄物業者の方にどの医療機関からその話が出たのかお教えいただきますと、これは罰金の対象になります。
  135. 櫻井充

    ○櫻井充君 ああ、そうですか。まあ分かりました。このことについてはきちんと伝えて、病院の方に周知徹底してもらうようにしたいと思います。  さて、アスベストの問題で相当時間を使ってしまいまして、肝心のことをこれから質問しなきゃいけないんですが、そこで、時間も限られてきて、予算委員会ということなので、済みませんが、財務大臣に、国と地方との財務残高が増加する中で、これから金利のリスクというのをもう絶対的に考えていかなきゃいけないんだろうと思っております。  というのは、本年度から、借金の額は毎年毎年増えていましたが、借換えのために金利がどんどん下がってきていて、結果的に金利の額としては、利息、利率が下がったがゆえに額は増えたんですけれども、金利の利払いの額は今までずっと低下し、下がってきておりました。本年度からついに増加するという形になっていって、これからその金利の利払いというのが増加することはあっても減少することはないんだろうと思うんですね。  その点で、どういう形でその金利リスクを回避しようとしているのか、御答弁いただければと思います。
  136. 谷垣禎一

    国務大臣(谷垣禎一君) 櫻井委員指摘のように、金利の動向というのは、国債をこれだけ発行しておりますと、もう大変関心といいますか、私の一番の関心事の一つと申し上げてもよろしいと思いますが、それで、今までは金利が低いことによって、利払いというものが大変多うございますから低いとは申し上げませんが、かなり抑えられてきた面があったことは事実でございます。  そこで、今後の金利の動向ということになりますと、これはいろんなことで決まってまいりますので、私は金利の予想屋みたいなことを申し上げるのは差し控えたいと思いますが、その金利の動向を日々注視していかなきゃならぬということは肝に銘じております。  そこで、どうやっていくかということですが、これも恐らく櫻井委員とも何度か御議論させていただいたことがあったかと思いますが、まず第一は、金利の動向を注視しながらも財政運営というものに対して規律をきちっとやっていくということと、それに基づくメッセージを出していくということが一番基本だろうというふうに私は思っております。  その上で、やはり国債市場、マーケット、国債の安定的な消化というものを心掛けていかなければいけないというふうに思っております。これは同時に、中長期的な、何というんでしょうか、国債管理のコストを意識していくということでもございますが、マーケットとよく対話しながら、マーケットのニーズがどこにあるというようなことを見極めながら国債管理政策を展開していくということではないかと思います。  いずれにしましても、経済財政政策運営は、その時々の状況をよく見詰めながら、日銀とも協力をしてやってまいりたいと考えております。
  137. 櫻井充

    ○櫻井充君 そのマーケットと対話しながらとおっしゃいますが、それが本当に可能なんでしょうか。つまりは、マーケットと対話しながらが可能でなくなる時期が早晩来ると思っているので、その点で政府としてどういうふうな形を取るのかということが大事なんじゃないですか。
  138. 谷垣禎一

    国務大臣(谷垣禎一君) マーケットと対話が不可能な時期が早晩来るというふうには私は思っておりません。また、マーケットとの対話というものを重視していかなきゃならないということは繰り返し申し上げたいと思っております。
  139. 櫻井充

    ○櫻井充君 そう考える根拠を教えていただけますでしょうか。つまり、これだけの発行額があって、今度は郵政事業が民営化されるんでしょうか、つまりは、もう国債を引き受ける義務がなくなってきた場合にだれが国債を引き受けてくれるのか。これこそ、マーケットと対話すると金利は上がっていくことになるんじゃないですか。
  140. 谷垣禎一

    国務大臣(谷垣禎一君) そここそが正にマーケットとの対話でございますが、現実にこれだけたくさん国債を発行しておりますと、金融機関等々もポートフォリオを、御自分のポートフォリオを考える場合に安定的な、何というんでしょうか、資産として国債を消化していただいているわけでございます。これを必ずしも強制しているわけではございませんが、それぞれの金融機関、金融機関だけではございませんけれども、それぞれのところがどういうものをポートフォリオの内容として求めておられるのかというようなことはよくよく、何というんでしょうか、私ども調査をし、そのお考えも聞きながら進めていくということが大事だと思います。
  141. 櫻井充

    ○櫻井充君 これから景気を回復していこうと、これはもう、これは間違いなく政府考え方だろうと思います。そうすると、当然のことながら、まあインフレとは言いませんけれども、物価、価格も上がっていくと。通貨の供給量も増えていくと。そうなってくれば、日銀は当然のことながら金利のコントロールをしなければいけないことになりますね。そのときにこそ本当は、実を言うと民間企業よりも問題になるのは、国の方が私は問題になるんじゃないかなと、そう考えているんです。つまりは、金利リスクは民間企業よりもむしろ国の方やそれから地方財政の方が大きいと考えていますが、これは併せて、日銀の方はどうお考えなのか、その点について併せて御答弁いただけますでしょうか。
  142. 白川方明

    参考人白川方明君) お答えいたします。  長期金利は、基本的には将来の経済や物価に対する人々の見方を反映して決まってくるということでございます。内外のデータを見てみますと、やや長い目で見ますと、長期金利は特にその物価動向と密接に関連しているということでございます。したがいまして、長期金利が市場において安定的に形成されるためには、物価安定の下で経済が持続的に成長するという姿を実現していくことが最も重要であるというふうに考えております。この点は政府日本銀行も共通の認識であるというふうに考えております。  そうした観点に立ちまして、長期金利の安定的な形成に関して日本銀行としてなし得る最大の貢献ということを考えてみますと、これは適切な金融政策運営を行うことにより物価の安定を旨とする金融政策に対する信認を高めていくということであるというふうに考えております。適切な金融政策運営を通じましてマクロ的な経済環境の安定が維持されますと、ひいては財政再建にも寄与するというふうに考えております。  以上でございます。
  143. 櫻井充

    ○櫻井充君 大臣、今の局面で。
  144. 谷垣禎一

    国務大臣(谷垣禎一君) 基本的には今の日銀の御答弁と方向は同じことを申し上げますので、同じことを繰り返すのは差し控えさせていただきます。
  145. 櫻井充

    ○櫻井充君 それでは、もう一点別な観点から、金利の利払いは今の予算上からするとどのぐらいまでなら可能だと考えていらっしゃるんですか。
  146. 谷垣禎一

    国務大臣(谷垣禎一君) これはなかなかちょっとお答えのしにくい問題でございまして、そのときの、それこそそのときそのときの経済成長の動向とかそういうものに関係してまいりますから、現在の、現在一概にお答えすることは難しゅうございます。
  147. 櫻井充

    ○櫻井充君 プライマリーバランスを黒字化するというふうに政府はもうずっと言い続けておりますが、その時点での金利は、それではどのぐらいだと想定されているんでしょうか。税収はどのぐらいだと想定されているんでしょう。
  148. 谷垣禎一

    国務大臣(谷垣禎一君) その時点での金利の想定というのは、現在持ち合わせておりません。
  149. 櫻井充

    ○櫻井充君 金利の想定がなくて、例えば支出項目がある程度決まっているからプライマリーバランスが黒字になるという話になるんだろうと思うんですよ。何もなくてただ目標を掲げているのはおかしな姿だと思います。例えば、医療費なら医療費はこのぐらいに抑制しなきゃいけないといって抑制し始めていますよね。ですから、それと同じように、最大のこれから支出額は金利の利払いになる可能性があるので、どのぐらいなのかとお尋ねしているんです。
  150. 谷垣禎一

    国務大臣(谷垣禎一君) 財務省の作っております試算、後年度試算というものでは特に金利の想定というのはないんですが、内閣府が作っておりまして、幾つかの基本ケースとそれから非常に、余りうまくいかないケースというのを想定で、今までもさんざん御議論いただきましたけれども、それの想定でまいりますと、二〇一二年度、一応内閣府のこのうまくいった場合の試算というのは、二〇一二年度にプライマリーバランスを回復するということになっておりますが、このときの名目長期金利は四・六と。
  151. 竹中平蔵

    国務大臣(竹中平蔵君) 内閣府の試算について今財務大臣が御紹介くださいましたので、基本的には名目成長率、GDPの名目成長率と名目金利の関係を注視をして運営していけば、そのような形での運営は可能であるというふうに私ども考えております。  ただ一点、今の櫻井委員の御質問の中で、いわゆる基礎的財政収支、プライマリーバランスを回復するに当たって金利の動向は関係いたしません。これは金利支払前の収支でございますので、金利がどうであれ、プライマリーバランスの回復というのは別の次元の問題として考えなければいけない問題でございます。
  152. 櫻井充

    ○櫻井充君 しかし、金利の部分は差し引かなきゃいけないわけですよね。でも金利はそれは払わなきゃいけないわけですよね、当然別会計として。であったとすれば、これ四・六%ということは、この当時国の借金が仮に六百兆だったとしますよ。今は六百兆を超えているかもしれませんが、そうだとすると、もう二十数兆円これ金利で払うということになるんですか。
  153. 竹中平蔵

    国務大臣(竹中平蔵君) ちょっと本日私の方にその通告をいただいておりませんので、ちょっと数字を持っておりませんで恐縮でございますが、基礎的財政収支を回復するということの考え方そのものは、基礎的財政収支を回復すれば、金利がどのような水準であれ、金利と名目成長率がほぼバランスしていればGDPに対する借金残高は上昇させないで済むはずであると。だからこそプライマリーバランスを重視するわけで、その考え方は、実は民主党のマニフェストでも同じような考え方が取られているというふうに承知をしております。  したがいまして、櫻井委員指摘のように、全体の収支、これは大事でありますから金利の動向は極めて大切でございます。それに対する市場との対話を通した管理、名目成長率を高める努力、そういうことはしっかりしていかなければいけない問題であるという、そういう厳しい問題意識は私たちも持っております。
  154. 櫻井充

    ○櫻井充君 しかし、このときに税収が一体どのぐらいになるんでしょうか。本当にこれ借金払えるんですか。また借金し直さなきゃいけなくなるんじゃないのかなと、そう思いますけど、これ大臣、大丈夫なんですか、これ。
  155. 谷垣禎一

    国務大臣(谷垣禎一君) これは今まで、今、竹中大臣がおっしゃいましたように、そのときに金利と成長率が見合っていればGDPの中でのその借金の割合がそれ以上増えないということでございまして、そこから先どういうふうに長期債務を返していくかというのは、また新たに考えなければならない課題でございます。
  156. 櫻井充

    ○櫻井充君 じゃ、済みません。それを返していくというか、そこの金利を税収の中からまず払いますよね。そしてそのほかに、これでまた借金をしなきゃいけなくなるわけであって、今金利の、今金利が一・何%ですよね、たしか、二%を切っているかと思いますけれども……(発言する者あり)一・五ですよね。  そうすると、それの三倍ぐらいの金利を、利息を払わなきゃいけないわけですよね。これが財政上可能なんですか。
  157. 谷垣禎一

    国務大臣(谷垣禎一君) ですから、繰り返し申し上げていますように、そのときの成長率との関係が問題になってくるわけでありまして、成長率をやはり伸ばしていくということは、同時に税収にもつながってくるわけでございますから、そういう関係に立つと思っております。
  158. 櫻井充

    ○櫻井充君 ですから、これは例えば経済成長をしていけば、間違いなく長期金利は上がっていくわけです。だから、前々からお話ししているとおり、イギリスなどは超長期の国債を発行していますよね。今のように金利の低い時期に超長期の国債を発行してしまって、ある額に関して言ったら金利のリスクをヘッジしてしまっちゃった方が早いんじゃないのかなと思うんですよ。
  159. 谷垣禎一

    国務大臣(谷垣禎一君) 確かに、長期の国債を、長期また今おっしゃったのは超長期ですが、そこをある程度発行していくというのは私たちも必要なことだと思っております。先ほど、マーケットのニーズと対応して国債の商品も設計もいろいろ考えていくというのを申し上げたのはそういうことでございまして、そういう意味では、国債の発行の長さも少しずつ伸びているわけであります。  ただ、委員がおっしゃったのは、超長期とおっしゃるのは多分五十年ぐらいのことをおっしゃっているんでしょうか。五十年ぐらいのものになりますと、これもいろいろ研究をしておりますけれども、今のところはマーケットのニーズというものが必ずしもございません。ですから、今のところやっておりますのは、二十年あるいは三十年というようなものでございます。
  160. 櫻井充

    ○櫻井充君 検討をいただきたいのは、例えば年金なら年金の資金のところにそういうものを組み入れてしまって、もちろんそのときに年金の運用利回りは落ちてきますから、後で税金を投入してきたものと、それとも金利が上昇してきた分に対して国が支払っていかなければいけないものとどっちが有利なのかということの試算などもなされた方がいいんじゃないかと思いますが。
  161. 谷垣禎一

    国務大臣(谷垣禎一君) 委員もおっしゃいますように、年金等は長期の運用ということを考えてポートフォリオをお組みになりますから、あるいはそういう超長期のようなものも年金の中ではニーズがあるかもしれません。したがいまして、私どももそういう研究はずっと続けていかなきゃなりませんし、そういうときのどうなるかということも考えていかなきゃならないと思っております。  ただ、一つ申し上げたいのは、これは当然のことですが、年金の運用はあくまでも年金のためにといいますか、年金に入っておられる方々のため考えて運用する、これは当然のことでございましょうから、我々が財政の観点からだけで、是非ともその長期のものを引き受けてくれというわけにはなかなかいきにくい面もございまして、したがいまして、年金を運用しておられる方々がどういうニーズを持って運用しておられるのかということとよく対話をしながら商品設計をしていく必要があると思っております。
  162. 櫻井充

    ○櫻井充君 そうでしょうか。要するに、年金とて、例えば国民年金だって三分の一、今税金を投入しているわけですよ。その額が、今半分にできるかできないかという議論をしているのは、財政上問題があるからなかなかできないという話になってきているわけであって、年金が年金のためだけの運用の目的になっているわけじゃなくて、国民皆さんにとってみてトータルとしてどちらが有利なのかという観点に立つべきじゃないですか。
  163. 谷垣禎一

    国務大臣(谷垣禎一君) それは、もちろん年金の運用はトータルに考えてどれだけ安心につながるか、維持可能なものになっていくかということを考えて運用すべきものだろうと思います。しかし、それは同時に、私どもは、それのためにはどういう国債を提供したらいいかという対話は年金の運用者の方と十分しなければいけないと思います。
  164. 櫻井充

    ○櫻井充君 いずれにしても、もう待ったなしで金利の問題というのは出てくるんだろうと思っています。  今回、郵政事業の民営化に伴って国債の引受手が本当に、仮にほかに現れてくれればいいわけですけれども、そうでなければ更にまた金利が上がっていくという可能性もあるわけですよね。  医療費などを抑制するような方向性で今議論されています、本当は今日この議論をしたかったんですが。しかし、医療費を削減するということによってイギリスなどは、例えばがんが発見されました、手術をするのに一年待ちで、転移してしまって手術もできないと、そういう状況になっているんです、イギリスのサッチャー政権の下で。ですから、そういうところの、本来はそういう部分の予算を削減するべきではなくて、私はもう少し、もうちょっと増やして、そこで雇用を確保するような政策を考えていった方がはるかに国家財政的にはいいと思うんです。  ただし、問題は、借金の利払いだけどんどんどんどん膨れていくと、それは生産性のないものですから、そういったものだけを増えていくような社会になると大変なんじゃないのかなと、そう考えているので、是非その金利のリスクをどうするのかということをもう少しきちんと考えていただければ有り難いというふうに思います。  質問を終わります。
  165. 小野清子

    委員長小野清子君) 関連質疑を許します。喜納昌吉君。
  166. 喜納昌吉

    喜納昌吉君 民主党・新緑風会の喜納昌吉です。  まず初めに、米軍再編協議にかかわる沖縄の基地問題について質問します。  米軍再編をめぐる米側実務者トップのリチャード・ローレス国防副次官の、普天間飛行場の辺野古沖への移設基本計画は不可能とした発言から、サンゴが生息する浅瀬に造る米側の新たな現行計画縮小案と日本政府のシュワブ陸上案に分かれ、国外移転を願っている大多数の沖縄民族の心は不安の中にほうり込まれています。  質問します。  在沖米海兵隊が抑止力になっているとの根拠は何でしょうか。防衛庁長官お答えください。
  167. 大野功統

    国務大臣大野功統君) まず、申し上げるまでもないことでございますけれども、日米安全保障条約に基づいてアメリカ軍が日本に駐留している、これは日本の安全と平和、それから極東の平和と安全にとって大変大きな柱となっているわけでございます。その上で沖縄における海兵隊の問題を議論させていただきたいと思います。  まず、冷戦後の日本を取り巻く安全保障環境でございますけれども、第一に、やはり北朝鮮のようにミサイルを持っている、あるいは大量破壊兵器を持っている、このような国が存在しております。また、軍事力の近代化を進めている国もあります。最近のバリ島事件に見られるようなやはりテロというものの脅威、これも存続しているわけでございます。このような安全保障環境、我が国を取り巻く安全保障環境の中でどのように日本の安全保障を考えていくか、これはやはりアメリカと日本と協力してこの日本の安全を守っていかなきゃいけない、こういう大きな意味合いがあるわけでございます。  そこで、なぜまず沖縄かという問題であります。沖縄というのは地理的に、喜納先生ごらんいただきますと、やっぱり米本土からはるかにアジア大陸に近い、グアムからも近い、ハワイからも近い。そしてまた、沖縄という地域が正にアジア大陸に向かって等距離というか、一定の距離を保っている。こういうようなことがありまして、いろいろな事件が起きた場合に迅速に対応していける、こういう距離的な問題、時間的な問題、こういうのがあるのではないかと思っております。  それから第二に、言わば海兵隊の問題でございます。海兵隊というのは、御存じのとおり高い機動力を持っている、展開力を持っている、即応力を持っている。火事が起きたらすぐ駆け付けてくれる、こういうようなものであります。火事が燃えてなかなか消防車が来ないというのではなくて、すぐに展開できる、こういう能力を持ったものが海兵隊でありまして、御存じのとおり、例えば強襲揚陸艦あるいはヘリポート、戦闘機も持っておりますし、もちろん戦車など大型のものは持っておりませんが、そういう対応力でどんと攻めていくことができる、こういう力を持っているわけでございます。  そのような意味で、私は、歴史的な意味合いがあって沖縄に、歴史的な意味合いもあって沖縄に大変、日本全国の基地の七五%を御負担いただいている、こういう問題もございますけれども、沖縄における米海兵隊の存在、これは日本の抑止力にとって大変大きな意味を有している。しかし、今回のトランスフォーメーションの協議で、やはり米軍が持っている、日本と共同して持っているこの抑止力を維持していきながら何とか最近の軍事力の近代化等、軍事力の近代化というのは、つまり展開力が速くなってくる、それから爆発力が大きくなってくる、こういう問題でありますけれども、負担の軽減を図っていきたい、特に沖縄の負担の軽減を図っていきたい、こういう気持ちで現在協議をしているところでございます。
  168. 喜納昌吉

    喜納昌吉君 まあ沖縄が軍事戦略上便利だ、便利であるということは非常に私は迷惑なんですけれども、私が聞きたいのは、もうちょっとこの海兵隊に関して客観的に物を見たいということなんですね。  普天間飛行場に配備されていた主力部隊である三個歩兵大隊と二十数機のヘリコプターがイラクに投入されています、現在。現在のところ、三個歩兵大隊もヘリも普天間に戻される予定がないと軍事専門家らは指摘しています。つまり、普天間飛行場を閉鎖して、常駐していた米海兵隊のヘリ、部隊がいなくなっても、東アジアにおける米軍の抑止力に影響はないとも思いますが、防衛庁長官はどうお思いですか。
  169. 大野功統

    国務大臣大野功統君) 私は今、喜納先生がおっしゃったような報道は存じておりますけれども、公式に戻って、イラクから戻ってくる気持ちはないとか計画はないとか、そういうことは聞いておりません。  正にそういう全体の兵力をどうしていくかということも含めて、さらに一番大事なことは、今やっておりますように、日本の自衛隊とアメリカの軍隊とがどういうふうにインターオペラビリティーをやるのか、どういうふうに共同で作業をやっていくのか、海外におきましてもどういうふうな共同作業が可能なのか、こういうことを議論しているわけでございます。その結果として答えは出てくる。今、その点について申し上げる段階ではないということで、御理解をちょうだいしたいと思います。
  170. 喜納昌吉

    喜納昌吉君 段階ではないという思いも十分、苦労なさっているなという感じで分かりますけれども。  政府は、地元の負担軽減と抑止力の維持をうたっています。沖縄県民を説得するならば目に見えるような形を示すべきだと思いますが、どう考えますか。
  171. 大野功統

    国務大臣大野功統君) 負担といった場合、目に見える形、例えば基地を縮小していく、兵力を減らす、こういう問題もあるかもしれません、あると思います。しかし同時に、やっぱり言わば危険性、危険なものをどうする、どう考えていくのか、安全ということをどう考えていくのだろうか、目に見える負担と、それから目に見えない負担も我々は十分考えながら協議に臨んでいるところでございます。
  172. 喜納昌吉

    喜納昌吉君 沖縄の歴史は今語らなくても十分分かると思いますけどね。一つは、かりゆしウエアを、クールビズを取り入れたあのセンスと、一つの沖縄に対する、まあ何というんですかね、思いは非常に有り難いと思っております。そのぐらいのやっぱり抜本的解決というんですかね、基地をもっとスリムにするという、そういう意味では、無条件返還だとか国外移転というぐらいの、やっぱりクールビズに見合うような、少しは沖縄を涼しくさしてくれるような方法はないですか。
  173. 大野功統

    国務大臣大野功統君) クールビズと抑止力の関係でございますが、私、にわかに回答はできませんけれども、正にそこに一つ大きな問題、解決の問題点、糸口があるのじゃないかと思いますのは、やはりこれまではアメリカは日本の基地を使う、こういう人と物との関係、人と土地との関係しかなかったと思うんですよ。  しかし、これから我々が今協議しているのは、正に自衛隊とアメリカの、アメリカ軍との間で共同運用していこうじゃないか、そういう協議に対してどういうふうに共同で対応していこうじゃないか、これは情報の共有、こういう問題も含まれてきております。私は、そういう情報の共有、あるいは共同してこのアジア極東地域の平和と安全、日本と平和の安全、これを守っていく、こういう心構えから、そしてもう一つは、先ほども申し上げましたような軍事技術、科学技術力の進展から、例えば展開力が速くなる、爆発力が大きくなる、こういう問題も含めて、私は、クールビズという使い方がいいのか分かりませんが、沖縄におけるクールビズも決してあきらめておりません。クールビズに目掛けて頑張ってまいります。
  174. 喜納昌吉

    喜納昌吉君 だんだんとジョークも使えるようになってきたし、リラックスしてきました。  防衛庁長官は、迅速に、能率的、効率的にという一つの非常にメカニック的な思考法が強いんですけどね。極東アジアの安全ということを言うんですけど、しかし、仮に戦争が、もし戦争が勃発したときにはどういうお言葉をもって沖縄に答えるんですか。
  175. 大野功統

    国務大臣大野功統君) 戦争が起きたとき、どこでどういうふうにという具体的な例でないとなかなか分かりませんけれども、私まずお答え申し上げたいのは、戦争が起きないように、日本が攻められないようにするのが、これは抑止力であります。だから、日本を攻めても無駄、無駄、無駄だなと、こういう抑止力だけであれば私は自衛隊が強くなっていけばいい。これ、論理的な問題ですよ。  だけど、そうじゃなくて、例えば日本を攻めたら、アメリカが駐留していましてアメリカ軍が攻め返してくる、これは攻めたら損だな、こういう強力なる抑止力になっているわけであります。単に日本がしっかりした守りをする。しかし、日本の防衛思想というのは、もう喜納先生御存じのとおり専守防衛であります。自衛権の発動には三要件があるわけであります。緊急不正の侵害、あるいは他に代替性がない、そして必要最小限度である。こういう思想からいきますと、日本は攻めてきた国に攻め返しに行くことについては非常に問題があるわけで、いろんな議論があるわけでございます。問題とは言いません、議論があるわけです。  そういうときに、やはりアメリカがやりの役割をする、日本が言わば盾の役割をする。こういう言わば分業体制もひとつ自衛隊という人間とアメリカという人的パワー、ヒューマンパワーによって協力してやっていく。戦争を起こさせない、日本を攻めさせない、これが第一に我々が考えなきゃいけないことである、こういう思いで頑張っております。
  176. 喜納昌吉

    喜納昌吉君 防衛の根幹は相手が攻めてこないというところに力を置くという、抑止力という言葉を使っていますけれども、日米同盟というのがある中で、実際はアメリカのイラクに対する戦争、あるいはアフガンも含めて、アメリカはもう止めどもなくずっと連続して戦争をした国なんですね。その国と日米同盟を結んでいる日本がアメリカの行動にブレーキも掛けられないのに、よそからの攻撃に対してどういう形でブレーキを掛けることできるんですか。
  177. 大野功統

    国務大臣大野功統君) 言うまでもないことですけれども日本の安全保障に対する考え方、一つは多機能弾力的という問題が一つあります。それからもう一つ、ここが大事なんですけれども、国際平和協力活動をうんとやっていこう、そして紛争を未然に防止しましょう。それからもう一つは、紛争が起こった後始末をきちっとして、そして再び戦争、紛争が起こらないようにしていきましょう、こういう思想であります。  したがいまして、日本としては、先ほど申し上げましたような防衛思想というのはしっかり持ちながら、そういう問題についてアメリカと協力していく、国際的な協力をしていく。  喜納先生、もう言うまでもないことですけれども、言わば今世界で何が脅威か、何が一番恐ろしいことか。これ考えてみますと、やっぱり専制主義国家とかあるいはテロリスト、こういう国、あるいはノンステートアクターが大量破壊兵器を持つ。だからこそ、我々はイラクを早く民主主義国家として立ち直らせなきゃいけない。日本の役割は人道復興支援であります。弾を撃っているわけではありません。そういう意味で、やっぱり世界の国を民主国家によみがえっていかせる、こういう役割を担っている、こういう問題であります。  日本独自の立場で、日本、しかも本体はもちろん国際協力、アメリカとの協力が大事ですけれども、そういう局面になってまいりますと、日本は人道復興支援ということで国際協力、世界の中の責任ある一員として国際協力を果たしている。そのことによって、テロとかあるいは専制主義国家等が特に核兵器等大量破壊兵器を持つ恐ろしさ、この脅威を取り除いていこう、こういう努力をしているわけであります。  喜納先生おっしゃるように、何で止めないんだとかそういう問題ではなくて、日本がそういう観点から主体的に考えていっている、こういう立場でございます。
  178. 喜納昌吉

    喜納昌吉君 僕はずっと外交防衛委員会から御一緒していて、ちょっと今不思議だなと思ったんですけれども、専制国家という場合、北朝鮮をよく想定していると思うんですけれども、ほとんど六か国協議で合意もなされているし、ほとんどもう脅威はなくなっていますね。残るは中国ということですか。  そしてあと一つ、テロリストならば、僕はミサイルは必要ないと思うんですけれども、そのBMDを配置していくというのはどういう根拠からBMDを配置していくのか。もし北朝鮮がもう危険でなければ中国しか残らないんですけれども、これを明確に答えてください。
  179. 大野功統

    国務大臣大野功統君) まず、北朝鮮でございます。六か国協議によってこの北朝鮮という国が国際社会の表舞台に出てきて透明な国になってほしい、そういう意味でこの六か国協議が、まだ途中段階でございますけれども、核問題、一番大きな問題は核問題、そして日本にとっては特に拉致問題がありますから、きちっと解決する方向で動いてくれることを熱烈に希望している、期待しているところでございます。  それから、中国についてお尋ねがありました。私は、中国は決して脅威と思ってはおりません。ただ、最近の中国というのは軍事力の近代化を大きく進めております。十七年間にわたって軍事予算を毎年一〇%以上伸ばしている。このことはやはり注目していかなきゃいけないんではないか。しかも、一説によりますと、やはりこの軍事力、軍事予算に組まれている中身でございますが、この中身として、例えば外国から調達されてくるもの、あるいは研究開発費、こういうものが含まれてないんじゃないか、こういう見方もございます。  私は、中国は隣国でございます、外交とかあらゆる努力をして仲良くしていかなきゃいけない国でありますけれども、そういうふうな動向についてはやはり日本としてきちっと把握をし、そして注目をしていかなければいけないのではないか、このように思います。  それから、BMDのお尋ねでございます。ミサイル防衛についてどういうふうにお答えしたらいいのか、ミサイルの脅威があるということは、もうなくなったじゃないか、あるんじゃないか、これは水掛け論争になりますけれども、私は、思い出しますのに、このBMDについて日本が配備をすることにつきまして某新聞社が世論調査をしておりました。世論調査で大多数の方々が賛成だ、こういうふうに回答しておられるのを見て、やはり安心というのが一番なんだな、どんなことがあっても安心できるような安全保障体制をつくる、これが防衛庁長官としての使命なんだなと改めて感じた次第でございます。  私は、日本人のDNAはやっぱり安心だと思っていますから、そういう意味でもBMDというのは大変貴重な、効果のある、いざとなれば効果のある対応ではないかと、このように思っております。
  180. 喜納昌吉

    喜納昌吉君 朝鮮も脅威ではなくなってくるし、中国も脅威ではないとお言葉をもらったので、基本的にはもう一度BMDに関しては再考なさることを私は願っております。是非、もう一兆円も掛かるようなこの予算は、そんな財政赤字があるときに、もう一度再考されてくだされば日本もまた元気になるのではないかと思っています。よろしくお願いします。  それから、普天間代替基地建設に関する辺野古海岸埋立てをめぐり、米国の法廷でジュゴンなどを原告とする環境破壊反対訴訟が進められています。政府はこの裁判をどうフォローし、どう受け止めていますか。環境大臣、お願いします。
  181. 小池百合子

    国務大臣小池百合子君) アメリカの法廷で、ジュゴンが原告の一人というのか一頭というのか分かりませんが、それに入った訴訟が進められているということについては承知をいたしております。ラムズフェルド長官にお会いしたときもその旨のことをおっしゃっておられました。  ただ、このジュゴン訴訟ですけれども、現在、裁判係争中でございます。また、米国における裁判ということもございますが、いずれにいたしましても今後とも注目をしてまいりたいと、このように考えております。
  182. 喜納昌吉

    喜納昌吉君 注目してくださるのは有り難いんですけれども、非常に小池大臣は決断力が早い方ということを聞いていますので、特に今地球では温暖化の問題、酸性雨の問題、あらゆる自然環境に異変が起きていますので、そういう観点からのお考えを是非お聞きしたいんですけれども
  183. 小池百合子

    国務大臣小池百合子君) 自然環境を守るというのは、いずれにいたしましても大変重要でございます。また、ジュゴンも、辺野古沖のジュゴンは北限のジュゴンというふうに言われておりますが、この北限が今地球温暖化によってどんどん上がってきているというようなこともございます。  いずれにいたしましても、生態系を守る、環境を守るというのは極めて重要なことだと考えております。
  184. 喜納昌吉

    喜納昌吉君 米国では、米国内でサンゴ礁湖、沖縄では言えばイノーと言うんですけど、このサンゴ礁湖をイノーと言うんですけど、を埋め立て、軍事基地を建設することなど、環境破壊の見地から絶対に許さないでしょう。  政府は、米国から強硬に申入れがあった場合、この環境破壊を招く基地建設を認めるのですか。防衛庁長官お答えください。
  185. 大野功統

    国務大臣大野功統君) 普天間の移転という問題は非常に大きな問題でございます。既にSACO合意に基づきまして辺野古ということでやってまいりましたけれども、なかなか難しい状態に置かれておるわけでございます。SACO合意を丁寧にやっていくことも一つの課題でありますけれども、普天間という町中にあるヘリポートを早く移設する、これも課題でございます。そういうことを含めまして、どういう対応策があるのか、今、喜納先生のおっしゃったようなことも含めていろんな協議をやっております。  しかし、我々の頭の中にある原則というのは、やはり安全性、危険がないこと、それから、今先生おっしゃった大事な問題でありますけれども、自然環境の問題、こういうことを総合的に判断しながら、考えながら、今協議中でございます。
  186. 喜納昌吉

    喜納昌吉君 米海兵隊は、勝連半島沖に県内業者が考案した人工島を造成するプランに強い関心を寄せ、日本政府に提示したという報道がありました。防衛庁長官、これは事実ですか。
  187. 大野功統

    国務大臣大野功統君) 報道ではもちろん知っておりますけど、具体的にそういう問題、まだ議論はしたことはありません。
  188. 喜納昌吉

    喜納昌吉君 お考えだけでも。防衛庁長官、それに関して、そのことに関してお考えだけでも。
  189. 大野功統

    国務大臣大野功統君) 先ほど申し上げましたように、早くこの普天間を移していく、そして普天間周辺、町中にあるあの負担というものを解消していく。その際に大事なことは、危険とか騒音とか、そして自然環境の問題でございます。そういうことを総合的に判断してあらゆる可能性を探求していくべきだ、こういう考えでやっております。  したがいまして、もしそれが表へ出てきたら、そういうようなことも当然考えていかなきゃいけないということであります。
  190. 喜納昌吉

    喜納昌吉君 私が聞きたいのは、その一個人である県内業者の意見政府に対してそういう影響力を持つことを聞きたいんですけど、ちょっと、もうちょっとこれは飛ばします。あっ、これはちょっと細かく言います。  普天間基地の返還の条件について決定したSACOや現在の米軍再編協議の核である2プラス2に沖縄県知事さえも参加できないのに、いかにして一民間人が影響力を持てるのか教えてくださいという質問だったんですけれども、これをちょっと聞きたい、もし報道を聞いているならば。
  191. 大野功統

    国務大臣大野功統君) 沖縄の県民の皆様の御意見、私どもは十分耳を傾けさしていただきます。  それから、今、一業者とおっしゃいました。
  192. 喜納昌吉

    喜納昌吉君 はい。
  193. 大野功統

    国務大臣大野功統君) まあ、いろんな意見はやっぱり聞いて、その中から何がベストなのか、こういうことを考えていかなきゃいけない。したがいまして、ここで申し上げたいのは、我々はアメリカと協議をしつつ、やはりある程度方向性が固まってくれば沖縄の皆様とも御意見を伺いつつ調整していかなきゃいけない、こういうような思いでやってまいりたいと思っております。
  194. 喜納昌吉

    喜納昌吉君 有り難いお言葉、本当にありがとうございます。ということは、基地問題に対して非常に開かれた立場を今後日本政府は沖縄に取っていかれるということだと私は思っております。ありがとうございます、本当に。  日米関係が対等であるならば、米軍基地を存続させるか否かは米軍戦略に従って決めてはならず、日本政府、議会の政治的意思で決めるべきです。政府と自民党にそのような意思があるのか、外務大臣お答えください。
  195. 町村信孝

    国務大臣(町村信孝君) 日本とアメリカ、安保条約という形でこの極東地域の平和と安全を保つということをやっているわけでありますし、米側の、米軍の抑止力ということについて先ほど来防衛庁長官お話をしておられましたが、それもまた日本の平和と安全にとっても重要なことでございます。  日本の意思を無視した形で米軍が一方的に何かを決めるということはあり得ませんし、この点につきましては、しっかりと主体的に米国と協議をしながらいろいろな政策決定、なかんずく現在の米軍再編成問題についてもそういう姿勢で取り組んでいるところでございます。
  196. 喜納昌吉

    喜納昌吉君 政府は、テロ対策特措法の一年間延長を閣議決定しました。米政府の意向に沿った特措法をそのまま延長したものですが、テロかテロ反対なのかの二者択一を世界じゅうに迫ってきた米政府は、正にそのテロ政策で二重規範を取っています。  一九七六年の事件ですが、ベネズエラを離陸したキューバ航空旅客機をカリブ海上空で爆破し、多数の乗員らを殺した重大事件の主犯ポサーダを、犯罪人引渡条約を結んでいるベネズエラに引き渡さず、条約を無視しています。テロ関連法で米国に追随する日本政府は、このような米政府の二重規範を受け入れていることになります。  日本は、この米国の二重規範をどう受け止めていますか、また米政府にポサーダ引渡しを、ポサーダ引渡しを説得する意思はないですか、外務大臣お答えください。
  197. 町村信孝

    国務大臣(町村信孝君) テロ特措法の延長問題、昨日の閣議で決定をいたしまして、この国会で御審議をいただくということに予定をしているわけでございますが、この特措法の延長は、今委員は米国へ追随しただけではないかというお話でございますけれども、言うまでもなく先般の、つい先般のインドネシアのバリ島の事件にも見られるように、あるいは七月のロンドンの事件にもあるとおり、依然としてテロの脅威というのが存在をしている。  これに対して国際社会が一致して協力をし、テロに立ち向かっていこうということは、様々な機会、国連総会あるいはG8等々で述べられており、またそれぞれの国が諸外国と協力をしながら取り組んでいる。その一環として今回のテロ特措法、すなわち、インド洋における給油活動をすることによって、アルカイダ等が海上を通じて武器を入手したり資金を入手したり麻薬を売ったりということを阻止しようという活動でやっているわけでございまして、これは何も米国の意向に沿っているだけだという御指摘は私は全く当たらないものと、こう考えております。  なお、そのルイス・ポサーダの事件、大分昔の一九七六年、三十年ぐらい前のことでもありますし、私ども自身がそう詳しくこの事件について知っていることでもございませんし、また現在、裁判所の司法判断に係る問題になっているということでもございますから、日本政府としてこれについて軽々にコメントをすべき問題ではないのではないかと考えております。
  198. 喜納昌吉

    喜納昌吉君 私が、テロに対する脅威に関しては私は同じ、同意見だと思います。ただ一つ、条約を守らないという国と我々は条約を結んで、そしてその条約も憲法九十八条という最高法規という条項の中に同列に並べられています。  そんな観点から、外務大臣、よろしくお願いします。
  199. 町村信孝

    国務大臣(町村信孝君) テロを防止するための既に十二本の国際条約がございまして、これについては、日本はもとよりでございますが、非常に数多くの国、米国も含めてそれを一致して実施をしていこうということになっております。さらに、それらを含めて現在新たに包括的なテロ防止条約というものを結んではどうかということで、先般の国連特別総会で小泉総理もそれに署名をしてきたところでございまして、今ちょっと米国がそうしたテロに関する条約を守っていないのではないかという御指摘がございましたが、その意味でちょっと私は委員のおっしゃることの理解とは異なっているのだということを申し上げたいと思います。
  200. 喜納昌吉

    喜納昌吉君 またこの件は後ほど、今日は時間が余りないので、次また質問したいと思っています。  次に、政治と金の問題について質問します。  東京第二検察審議会は、山崎拓衆議院議員政治資金規正法違反容疑で起訴するのが相当との結論を出しました。法務大臣、山崎氏を起訴する意思はあるのか、ないならばその理由を示してください。
  201. 南野知惠子

    国務大臣南野知惠子君) では、お答え申し上げます。  先生御指摘のとおり、本年七月、東京第二検察審査会におきまして、山崎拓衆議院議員政治資金規正法違反事件について起訴相当の議決がなされたものと承知しております。東京地方検察庁におきましては、御指摘の議決を踏まえ、必要な捜査を行い適切に対処するものと承知しております。
  202. 喜納昌吉

    喜納昌吉君 起訴相当とされた人物が首相の最重要側近であるという事実は問題ではないでしょうか。官房長官、いかがでしょう。
  203. 細田博之

    国務大臣細田博之君) 山崎拓議員が総理の最重要側近であるというふうには認識しておりませんで、長年の政治的な、同じ政治経験を持つ盟友でございます。盟友でございますので、これは政治家としての心のつながり、あるいは総理・総裁と幹事長としての政治的なあらゆる意味での政策決定等の方針等において一緒に行動をしてきた、長い間そういう友人関係にあることはよく承知しておりますけれども政府としてこれらについての見解を申し上げる立場にはございません。
  204. 喜納昌吉

    喜納昌吉君 本当はこの質問は小泉首相に聞きたかったんですけれども、次、いつか出会えることを楽しみにしております、首相とね。私は、やっぱり盟友を守るこの志は非常に尊敬します。是非、小泉さんに伝えてください、いつかしっかりお話ししたいので。  それから、沖縄と東京など本土各地を結ぶ航空料金は極めて高いと言えます。那覇—東京間は六万円以上掛かりますが、なぜ六万円以上なのか、国土交通大臣に理由を詳しくお聞きしたい。
  205. 北側一雄

    国務大臣(北側一雄君) 国内航空運賃につきましては、現在、届け制になっておりまして、運賃水準は民間企業である航空会社が経営判断により自主的に設定するということになっております。  ちなみに、羽田—沖縄路線につきましては、沖縄振興の観点から、着陸料それから施設利用料、これ六分の一になっております。それから、燃料税については二分の一に軽減を行っているところでございます。距離当たりの運賃について調べてみましたら、国内のほかの路線に比べますと非常に安くなっております。ちなみに、羽田—那覇はキロ当たりは二十円六十銭でございますが、例えば羽田—札幌はキロ当たり三十一円七十銭ということでございまして、国内のほかの路線に比べても高いということはないというふうに考えております。
  206. 喜納昌吉

    喜納昌吉君 どうもありがとうございました。今日は非常に有意義な時間を過ごせました。  どうもありがとうございました。
  207. 小野清子

    委員長小野清子君) 以上で櫻井充君の質疑は終了いたしました。(拍手)     ─────────────
  208. 小野清子

    委員長小野清子君) 次に、山根隆治君の質疑を行います。山根隆治君。
  209. 山根隆治

    ○山根隆治君 官房長官は時間がないということで、通告してあります順番を少し変えまして、まず官房長官にお尋ねをさせていただきたいと思います。  実は、資料をそれぞれ今お配りをさせていただいております。昨日の読売新聞、それから今日のスポーツ新聞にも何紙か出ているようでございますけれども、「小泉純一郎選曲 チャリティー・アルバム」ということで、選曲、監修が小泉純一郎さんということで、私は総理と同姓同名の違う方かなと思っていたんですが、写真が大きく出ていますので、これはもう小泉総理に間違いないというふうに思いました。  本来、小泉総理自身にお伺いするのが一番適切なんですが、今日はいらっしゃらないということで、政府見解といいましょうか、官房長官の方から感想なりお聞かせをいただきたいと思います。一国の最高権力者、小泉総理がこうした広告に登場するということについてどのような感想をお持ちでしょうか。
  210. 細田博之

    国務大臣細田博之君) 私も官房長官をずっと務めておりますが、歌舞伎だとか音楽だとか、この間のオペラとか、あるいは映画俳優と会ったり、今いろんなことをされますけれども、一切相談にあずかったことはございません。  それで、総理がエンニオ・モリコーネのファンであるということは先ほどよく聞いたところでございますけれども、御指摘の広告については、私はどのような経緯があるかは承知しておりません。総理大臣等の文言がないので、あるいは個人として何かやったのかもしれませんが、どういう経緯であるのかは私も確認はしたいと思いますが、コメントする立場にございませんのと、これが公的な立場で何か行われたとは思っておりません。
  211. 山根隆治

    ○山根隆治君 私は、違法性があるというふうな考え方はもちろん持っておりません。しかし、やはり一国の総理大臣が一民間企業の売上げに協力をするというふうな形、しかも、これはタイミング的に、このエンニオ・モリコーネさんが来るのが八日、九日に来られるということでございまして、非常に私は総理大臣としては軽はずみな行為ではないかというふうにも思われてならないわけであります。  報道されているところに、私が調べたところによりますと、このアルバムの売上げの一部は社会福祉法人中央共同募金会へ寄附されますというふうに書いてあるわけでございますけれども、これで少しは救われるような気もしないではなかったんですけれども、やはり基本的にはこうした行為というのは慎むべきものであったというふうにも思えてなりません。  しかも、小泉総理は、ブッシュ大統領と会談されるときも、芸術家のお話ならいいんですけれども、音楽、趣味といいましょうか、それに一々容喙するつもりありませんけれども、やはり人情物よりも時代劇が非常にお好きという感じがいたします。このモリコーネさんもイタリアの方でございますけれども、マカロニウエスタンの一連の映画音楽を作曲された方ということで、小泉さんの嗜好に合った方だなというふうな気持ちはいたしますけれども、是非この点、今盟友というお話ございましたけれども、官房長官からも一言やはり私はアドバイスも是非していただきたいというふうに思いますが、そのこと、報告するというふうなお話だったと思うんですけれども、御自分の気持ちでもそうしたものがあればお聞かせください。
  212. 細田博之

    国務大臣細田博之君) 山根議員からそのような強い御指摘があったことはよく伝えさせていただきます。こういう、言わば商行為でございますのでね、商行為にどのような形でかかわったのか私も分かりませんが、よく伝えたいと思います。
  213. 山根隆治

    ○山根隆治君 私は、やはり少し小泉総理も皇室に倣うべきだろうかと思うんですね。やはり、昭和天皇もあれだけ大相撲の大ファンでしたけれども、とうとう終生一言もだれのファンだということも明かされなかったという、非常にすばらしい私は沈黙があったと思うんです。やはり、沈黙すべきことは沈黙する、そして郵政のように雄弁に語るときは語っていただいて結構ですけれども、その辺のめり張りというものが是非必要だろうと思います。  今回の衆議院選挙を見ましても、私は、小泉さんのいろんなパフォーマンスというものが、いらっしゃらないんでなかなか言いにくいんですが、多分、テレビ見ていらっしゃるという前提で、院内テレビを見ているという前提でお話もしてみたいと思うんですけれども、やはり日本の文化の私は破壊を少しされてしまったようなふうに私自身は思えてなりません。人への感謝だとか思いやりだとか謙虚だとか謙譲だとか、そうした日本独特の文化、精神文化というものが私はいささかおかしくなっていやしないかというふうな思いが強くいたしましたので、ちょうどこうした記事を見させていただいたことにかんがみて発言をして、お尋ねをしたというわけであります。  それでは次に、今度は明るい話題、触れさせていただきたいと思います。オリンピックの問題でございます。  小野委員長も一九六四年のオリンピック出場されていたお姿というのも、私まだ高校生でしたけれども記憶に残っておりまして、非常に何か奇しき縁というものを感じるわけであります。  今まで我が国では、東京オリンピック、そして冬季では札幌オリンピック、長野オリンピックというふうに三回のオリンピックが開催をされてきたわけでありますけれども、これらのオリンピックの意義というもの、国家にとってどのような意義があったのか、文科省の副大臣にお尋ねをいたしたいと思います。
  214. 塩谷立

    ○副大臣(塩谷立君) オリンピックの件については、私も東京オリンピックのときは中学生でございまして、大変、非常に感銘深く、その記憶に残っているところでございます。  東京オリンピック、昭和三十九年、一九六四年で、ちょうど戦後の復興の一つの仕上げ的な大事業だったと思っておりまして、国民スポーツへの関心の理解とその成功が国民に大きな自信を与えたということでありまして、競技施設や道路、鉄道等、輸送機関が整備されたと思っております。また、札幌や長野においても、国民に冬季競技への関心と理解を深め、また冬季競技施設に関する交通体系の整備等が整備されたと思っておりまして、いずれにしても、開催都市を中心に、大変な国際親善も深めた効果があったと評価をしているところでございます。
  215. 山根隆治

    ○山根隆治君 既に東京都と福岡市が二〇一六年若しくは二〇年の開催について名のりを上げているということでございます。  私は、今年の七月、二〇〇九年の世界水泳大会、予定されている、そこに立候補した横浜市が、実は非常に有力だというふうに言われていたわけでありますけれども、唯一候補都市の中で政府の財政支援を受けていない、そのことは本来誇るべきことかも分かりませんけれども、そうした理由で選に落選したという、そういうことが指摘されて落選されたという報道がございました。  私は、この夏季のオリンピックということになりますと、当然政府の全面的なやはり支援というものがなくてはほかの都市に競争で勝つことはできないというふうにも思うわけでございます。一番のポイントはやはり政府の全面的な支援にあるかと思うんですけれども、もし、どこの都市とはまだ決められておりませんけれども、候補地が来年一本化されるスケジュールになるわけでありますけれども、そうした際、政府としてはオリンピックについて全面的な支援をするおつもりがあるかどうか、その決意を官房長官からお聞かせいただきたいと思います。
  216. 細田博之

    国務大臣細田博之君) オリンピックについては、もう国民も挙げてその報道を見たりあるいは現地に出掛けられる方も多いということで、国民的な人気も支持も大きいと思います。  小野委員長はもとより、橋本聖子参議院議員、荻原健司参議院議員、麻生太郎衆議院議員と、あとおられるかもしれませんが、取りあえず分かっているだけでも……
  217. 山根隆治

    ○山根隆治君 民主党もいますよ。
  218. 細田博之

    国務大臣細田博之君) 民主党もおられますね。何人かのオリンピック出場経験者もおられるわけで、これは、行政の方もあるいは国会の方も挙げて、御指摘のような何とか頑張って支援をしながら国民世論を盛り上げてまいりたいと、こう考えております。
  219. 山根隆治

    ○山根隆治君 文科省、副大臣の方も同じ質問に対していかがでしょうか。
  220. 塩谷立

    ○副大臣(塩谷立君) これは今官房長官からお話しいただきましたように、国挙げてということで、具体的には、例えば一つの都市に決まった後で、やはり大阪市の場合、これはもう結果は残念な結果になったんですが、オリンピック競技大会大阪招致に関する関係省庁会議とか、そういうのを設置した例がありますし、政府としても、内閣総理大臣を含む政府関係者が参画してオリンピック招致委員会等を設置して全面的に協力をしてまいりたいと考えているところでございます。
  221. 山根隆治

    ○山根隆治君 今、副大臣から図らずも大阪のお話がされました。大阪が惨敗、たしか六票しか取れなかったんでしょうかね、したその原因についてどのように御認識なさっていらっしゃいますか。まあ大阪の方に申し訳ないんですけれども
  222. 塩谷立

    ○副大臣(塩谷立君) 余り大阪の例を出さない方がよかったかもしれませんけれども、大阪の場合は、幾つかプラス評価とマイナス評価があったと思いますが、一つは、最高クラスのスポーツ施設が整備されていたこと、あるいはホテル等が十分であることは非常に評価をされておったんですが、残念なことに所要時間達成が困難と思われる会場が幾つかあったこと、例えばボート競技場がかなり遠方にあったこと等がマイナス要因になったと聞いております。  こういった過去の評価も踏まえて、今回もし立候補する場合は、しっかりとそういうことも考えて、JOCと協調しながら努力してまいりたいと思っております。
  223. 山根隆治

    ○山根隆治君 あえて外されたのかどうか分かりませんけれども、やはり一番強く言われていましたのは、やはり国の、国とそれからJOCとの連携、それから国民的な盛り上がり、これが非常に欠けていた、これが一番大きい要因だというふうに言われていたと思いますし、私も当時のマスコミ報道からの情報の中ではそんなふうな認識を持っていたんですけれども、今のような、言われた、ボート場かどこか競技場が遠いというのは、これは別に大阪だけではなくてどこの都市においてもそういうことはありますし、これから日本で誘致する例えば東京であるとか福岡であったとしてもそういうことは言えるわけですね。  ですから、ちょっと外れたのか外したのか分からないんですけれども、もう一度ちょっと認識聞かせてください。
  224. 塩谷立

    ○副大臣(塩谷立君) その点についてはちょっと私も詳しくは承知をしておりませんが、いずれにしましても、国民的盛り上がり、JOCと政府あるいは我々文科省等の協力関係をしっかり構築して、やはりその盛り上がりといいますか、いかに招致するかという、その気持ちの上での一体感を持って今後進める場合にはやっていかなければならない。  確かに、大阪の場合はそういう点では、いろんな今申し上げましたような施設の状況等も一つの要因としてあったかもしれませんが、全体的な盛り上がりに欠けていたと言われることもあったかもしれませんので、また、その点もちょっとまた過去のいろんな事実を調べてみたいと思っております。
  225. 山根隆治

    ○山根隆治君 是非お願いをいたしたいと思います。  オリンピックの開催については、IOCの総会の決定で七年前に決められるということでございます。したがって、二〇一六年のオリンピックを目指すとすると、来年の六月にはJOCへの開催概要計画書を出さなくてはならない、そして十一月に国内統一の絞り込みが行われるということの手順になるわけでございます。そして、二〇〇七年に世界じゅうの都市の募集をIOCでするというふうなことになる、こういうふうなスケジュールになっておりますので、時間があるようで実は非常になくなっているということでございますので、是非、副大臣におきましては是非大臣お帰りになったらお伝えいただいて協議いただきたいんですけれども国民的な盛り上げということについて一層御努力をいただきたい、これ要望をさせていただきたいと思います。  さて、副大臣、そちらの方で何か話しづらいんですけれども、二〇一六年あるいは二〇二〇年のオリンピック招致ということで、その決め手となるものはどのような、ほかの都市との競争の中で決め手となるポイントというのはどんなふうに御認識されていますか。コンセプトの話ですよ。
  226. 塩谷立

    ○副大臣(塩谷立君) やはり日本で行うことについては、その国、我が国の非常に特色を持った大会をいかにつくれるか、そのコンセプトといいますか、それを重視していく必要があると思っております。  今度は北京で二〇〇八年、それから一二年がロンドンになりましたんで、その後アジアへ戻ってこれるか、あるいはほかの大陸へ行くか、いろんな考え方で一六年がいいのか、あるいは二〇年がいいのかという判断もしなければならないと思いますが、やはり何といっても、我が国日本伝統のそういったものがうまく出せるような、そういうコンセプトを持ったほかの国にないものをつくることが大事だと、そのように感じております。
  227. 山根隆治

    ○山根隆治君 日本にある非常にアイデンティティーといいましょうか、そうした何かコンセプトということでございますけれども、それは非常にすばらしいことだと思います。  私も、それでは何があるのかということをにわかでございますが考えてみると、やはり日本の持っている和の心といいましょうかね、そうしたものをどう表現するかというのが大きいのではないかという気がしてなりません。これからいろいろなテロの時代を迎えて非常に世界が不安定な中では、やはりその和の概念というか、これが非常に日本独特のものがありますし、優しさがある。私はそれは非常に必要だと思うんです。  夏季のオリンピック終わってから多分二週間、調べていませんが、二週間だか一か月ぐらいしてからパラリンピックがそこで行われるということになっていたかと思うんですね。私は、これ唐突で大変あれですけれども、オリンピックと、健常者と身体の障害、ハンディを持っておられる方を例えば一緒に競技をしていただくというふうなことも一つ発想としていいのではないか。例えば、水泳のリレー形式で何か行う。第一泳者を身障者の方に泳いでいただくとか、何かそうしたことを私はやることによって世界じゅうに大きなインパクトを与えるし、日本の和の心というものを表現できるのではないかというふうに実は昨日の夜考えてみたんですが、そんな点はいかがですか。
  228. 塩谷立

    ○副大臣(塩谷立君) ただいまの山根委員のすばらしい意見をまた考えて我々としても今後進めていきたいなと思っているわけでございますが、いずれにしましても、オリンピックとパラリンピックが同時に行われるようになりますので、そういった和の心を持って一緒に競技をするというのは大変すばらしいと思っておりますし、基本的には、今、福岡と東京が立候補しておりますので、どちらにするかということの、まずはその勝負がどうなるかということ。それぞれの都市のまた特性を生かして計画書を出していただく。そういう中でまた、今の山根委員おっしゃったような、日本でなければ、また障害者と一緒の競技が、一緒に競技ができるというような、また新しい考え方を持ってやることが大事かなと思っておりますので、そういうことも含めてまたいろいろ御指導いただいて、我々としても努力してまいりたいと思います。
  229. 山根隆治

    ○山根隆治君 福岡、そして東京都が正式に立候補表明して、札幌が今模索をしている。ただ、やっぱり財政上の状況はどうかということでちょっと腰が引けているように見えますけれども、札幌の方いたら申し訳ないんですが、そんなふうに思っておりますが、どっちが有力なんですか。
  230. 塩谷立

    ○副大臣(塩谷立君) まだ正式に、来年の六月ですか、計画書が出てくる、立候補表明書が出てくるまで内容的にもまだはっきり見えていませんので、そういうことは今の段階では判断はできない状況でおります。
  231. 山根隆治

    ○山根隆治君 無理を承知で聞いてみたんですけれども、福岡は福岡市だけではなくて九州という一つの大きなブロックで構想を練っておられるという報道がなされております。そして、オリンピックは一つの都市の開催ということになりますけれども、私は一つの広域的な考え方ということがあってもいいんだろうというふうに思っております。東京オリンピックも長野もそして札幌も、やはりその一つの市だけではなくて幾つかの競技をその都市以外のところでも行いました。一九六四年の東京オリンピックのとき、私も覚えていますが、埼玉県で、戸田のボートをそこで行う、ボート競技を行ったというふうなことがありましたし、東京オリンピックでも幾つか、もっと幾つか、十か所ぐらいでしょうか、やられていたようなふうに記憶もいたしております。  ですから、そういう意味では、私は埼玉県選出でございますけれども、東京というふうなことで仮に想定した場合、福岡は元々ブロックでやると言っていらっしゃいますけれども、やはり東京も、東京オリンピックというふうな名前になろうかと思うんですけれども、それはやっぱりイメージとして首都圏で行うということは非常に大事だろうというふうに私は考えているわけです。ですから、今、埼玉県ではタワー、六百メートル級のタワーを、東京か埼玉かということで、今、競い合っているんですけれども、そうしたことで非常に埼玉県の意識も、私はやっぱり広域で考えて、首都圏ということで町づくりを考えているということでございますし、都知事もそれは異議はないようであります。  私、実は今朝ですね、上田埼玉県知事ともちょっとこの問題話をしまして、是非ひとつ首都圏でというふうなイメージをどんどん出して一緒にやっていきたいというふうなことを私的にも表明をしていただいたわけでございます。ですから、是非東京のオリンピック、そして六百メートル級タワーの下で、埼玉県もいろいろな幾つかの競技に協力をしていくというふうな思いを致しているんですけれども、広域のオリンピックということについての考え方、ちょっと聞かせてください。
  232. 塩谷立

    ○副大臣(塩谷立君) 広域で行う、オリンピックについては、都市がその都市だけで行わなければならないというものではございませんので、先ほど委員おっしゃったように、東京オリンピックのときも戸田でボートが行われ、また所沢市でもクレー、あるいは横浜市でサッカーなどが行われたわけでございます。また、札幌オリンピックでも千歳市においてスキーの滑走競技、あるいは長野では白馬村においてジャンプ競技などが行われたわけでございますので、基本的にはその開催地、候補地、東京ですね、東京の考え方でいかに広域に行うかということになると思いますので、川越市の山根先生、あるいは上田知事にも協力していただいて計画が出されればそういう中で判定がされると思いますので、よろしくお願いいたします。
  233. 山根隆治

    ○山根隆治君 私、国民の全面的なバックアップ、そして政府のバックアップ、これが本当に不可欠だろうと思います。そして、その前にやはり議会のバックアップも大事でございますが、東京都の場合ですと、やはり財政的な面での議論というのはそれぞれ会派によって違うようであります。そういうことからして、やはり広域でそれぞれ負担し合ってやっていくということは非常に大事だろうというふうな考え方を実は私は持っております。  一九六四年の東京オリンピックの閉会式、私は非常に感動いたしまして、人生観も大きく変わって、あの閉会式を見て、世界の平和は国境を越え、人種を越えて可能だということはあのときに確信をしまして、以後、私のそれが信念に今日でもなっているわけでございます。  若い人々、いろいろな問題があって、就職もままならないというふうな状況等もありますけれども、是非オリンピックを誘致して、夢を国民の前に提示するということが必要であると思います。是非御努力のほどをお願いいたしたいと思います。  続きまして、二つ目の問題、NHKの問題に入らせていただきたいと思います。今日は、参考人ということで会長にもおいでいただきまして、お忙しいところ、ありがとうございます、急にもかかわらず。二〇〇〇年十二月に市民団体が開いた女性国際戦犯法廷というもの、これ自身については、この法廷そのものについては私もかなり批判的な目というものは持っておりますけれども、そのことはおくといたしまして、この報道をめぐりまして、NHKとそして朝日新聞がかなり論争をされたということでございます。そして、今般、朝日新聞がNHK報道委員会審議、その審議の結果を、見解を発表をされまして、朝日新聞の秋山社長さんも取材の詰めの甘さを深く反省しますというふうなコメントを出されておられます。  NHKとしては、新聞報道によりますと、広報局が朝日新聞の今後の報道姿勢や記事の表現などを見た上で対応したいというふうなコメントを出されておられるわけでありますけれども国民の注視のこの問題について、NHKとしては今後どのような対応をされるか、あるいはお考えあれば今の時点でお聞かせいただきたいと思います。
  234. 橋本元一

    参考人橋本元一君) お答えを申し上げます。  この朝日新聞の問題でございますが、NHKのETV二〇〇一の番組が政治家圧力で改変されたと朝日新聞が報じた件について、先般の朝日新聞の記者会見では、取材不十分で、詰めが甘かったとしながらも訂正しなかったということについて、我々NHKとしては理解に苦しむと、納得できないという気持ちがいたします。やはりコメントでも申し上げましたけれども、今後、朝日新聞の報道姿勢とか、それから記事の上での表現、こういうものをよく我々注目してまいりたいと感じております。  それから、やはり山根委員お話がありました、市民団体から現在NHKがやはり同じように政治圧力で番組が改変されたということで訴えられております。この裁判の中で、NHKとしてはそういうことはないんだということを明らかに主張してまいりたいと思っています。その準備書面等もインターネット等で特別に公開しています。視聴者の方々に対してもしっかりと説明責任を果たしてまいりたいというふうに考えております。
  235. 山根隆治

    ○山根隆治君 まあ、両巨頭といいましょうかね、マスコミ界の、非常に国民注視しておりましたし、人によってはどんどんどんどんこの際論争したらいいんだという方もおられますし、もうそろそろという方もおられますし、私たちが、政治家が容喙する話ではありませんけれども、非常に今注視しているということだけは私からもお伝えをさせていただきたいと思います。  ただ、NHKの新生プランを見ますと、政治的な圧力にも私たちは影響されないんだというふうなことを書かれていたり、あるいは、先般NHKテレビ視聴者の皆さんからのいろいろな御意見を基にして番組を作られてそれを放送されましたけれども、それも私も見させていただきましたけれども、今の政治的な圧力についても触れられていたということで、非常にそこに何らかのこの問題についての一つの示唆というものがあるのかなというふうに私自身は受け取ったところもございましたけれども、今後とも、そうした圧力のない、圧力受けてもそれをはね返すだけの気迫で、ひとつ、あったとすればですよ、頑張っていただきたいということをこの問題については申し上げたいと思います。  次に、NHKの受信料の支払状況は、最近の数字を教えてください。
  236. 小野清子

    委員長小野清子君) 日本放送協会橋本会長。  こちらの方でお願いをいたします。前の方で、前の方でお願いいたします。
  237. 橋本元一

    参考人橋本元一君) 支払再開、この新生プラン以降、大変視聴者の方々のクレームがひところに比べて低下してきております。それから、実際に受信料そのものの支払、これにつきましても大変向上してまいっております。まだこの数字そのものは微々たるものでございますが、実際に支払再開の件数というものが延べ、延べといいますか、この八月、九月の二か月間でございますが、見込みの三万件に対して三万五千件と、大変微々たるものではございますけれども、ひところに比べて伸びてきているという状況でございます。
  238. 山根隆治

    ○山根隆治君 NHK新生プランでやはり視聴者の一番関心を引いたところが、お支払いいただけない場合は民事手続による受信料の支払督促の活用などについて検討云々というところが非常に注目されたところであったと思います。  この未納者に対して簡易裁判所を通じて支払督促の通知を出すということについては、いつごろ、どの程度の規模になるというふうに予測されておられますか。
  239. 橋本元一

    参考人橋本元一君) お答え申し上げます。  民事手続につきましては、基本的に現在の法制度の中でぎりぎりの手段だと考えております。  基本はこれまでのとおり、やはり未払あるいは未契約の方々に対して、受信料の意義あるいはNHKとしての活動、こういうものを十分意を尽くして御説明申し上げた上で、最後の最後の方法としてこの導入を、活用を考えるものであります。したがって、意を尽くして説明を繰り返す、これが大変重要なことだと思っております。これまで以上に重要なことだと思っています。  その結果、お支払いいただけない方というものが対象として決まってこようかと思いますので、今の段階で一挙にこの手続を取ろうということでございませんので、対象者としてもこれから検討していくことになりましょうし、それから実施時期としましてもこれから時間を掛けて意を尽くした上でのこととして慎重にやってまいりたいと考えております。
  240. 山根隆治

    ○山根隆治君 簡易裁判所を通じての督促というのは全国で今五十万件くらいあるということで、これはほとんどサラ金関係ですけれども、非常に、もしNHKが大きい規模でこういうことに踏み切っていくというのは大変な混乱を起こすということを、ひとつそのことは御検討といいますか、留意をしていただきたいというふうに思っているところであります。  このNHKの新生プランによって、人員削減、千二百名の削減ということも明らかにされていますが、これでNHKが再生は可能だというふうに自信をお持ちになれますか。
  241. 橋本元一

    参考人橋本元一君) 本来、この番組あるいはニュースというものは、職員あるいはメンバーが、チームメンバーが一人一人取材に回り、また創造力を発揮しまして、言わば手作りで作っていくというのがこの番組なりニュースという性格でございます。その意味では、千二百人という、業務をですね、削減するというのは、NHKにとっては大変厳しいことだと考えております。  この要員の削減につきましては、大きく二つの意味がございます。一つは、大変厳しい財政状況の中で、この要員削減というのは直接的な経費で、年間百十億、百十億円規模の効果を生み出します。そういうことも期待いたしますが、一方、これからのデジタル、完全な放送・通信融合という新しい放送の時代に向けて脱皮する体制というものも築いてまいりたいというふうに考えております。  これで一生懸命NHKとしましては、改革の努力を視聴者の方々にも御納得いただけるよう努力してまいりたいというふうに考えております。
  242. 山根隆治

    ○山根隆治君 受信料の徴収をどのように行っておりますか。
  243. 橋本元一

    参考人橋本元一君) 受信料の徴収につきましては、現在、各地域のスタッフの方々を中心に、いわゆる契約活動、それからそれに引き継いで支払いをいただくこの収納活動、こういうところに当たっております。それから、またほかに、この地域スタッフのほかに、郵便局あるいは銀行、電器商、そういうところにもこの契約あるいは、いわゆる開発と言っていますけれども、契約開発等のいろいろ業務支援をいただいて受信料収納に努力しているところでございます。
  244. 山根隆治

    ○山根隆治君 スタッフ、地域スタッフという方々が徴収されているということでございますが、その事務費、支払う事務費というのは消費税の課税対象になっているわけでありますけれども、この消費税の扱いというのはどのように処理されていますか。
  245. 橋本元一

    参考人橋本元一君) お答えします。  このスタッフに対する報酬でございます。このスタッフは個人事業者という扱いでございますから、当然報酬の中には消費税というものを内税としまして含んでおります。これを含んだ上でお支払いしているというやり方を取っております。
  246. 山根隆治

    ○山根隆治君 しかし、契約収納事務費の支払の内訳表にはその消費税が全く書かれていません。これはどういうふうに理解したらいいんでしょう。
  247. 橋本元一

    参考人橋本元一君) お支払いするときの調書には、現在、NHKから発行しているものにはこの消費税分の別掲ということはしておりません。これは、これを何といいますかね、必ず書き込まねばならぬという、いわゆる何といいますか、会計法上の、税法上の義務ということはございません。それよりも大事なのは、スタッフの方々と契約を結んだときに、この消費税が報酬の中に含まれているということをお伝えする、あるいは事務手続の進んでいる中で必要な都度その説明を加えていく、そういうことが必要だと。そちらの形で行っております。
  248. 山根隆治

    ○山根隆治君 そうしますと、三%から五%に消費税が上がったときも説明されているんですか。
  249. 橋本元一

    参考人橋本元一君) これは当然ながら、三%から五%に変わった平成九年でしたか、このときに行ったものと思っております。この委託にかかわるスタッフの方々団体組織体に対しても同様でありますし、その後、お問い合わせが、地域スタッフの方からお問い合わせがあれば、それに対応して御説明申し上げているということでございます。
  250. 山根隆治

    ○山根隆治君 現場からはそうした声がございません。一切聞かされていないということでございます。例えば今まで十万円払っていた場合に、その中に消費税があるといって、それが三%から五%になっても、いずれにしても金額が変わらなかったということは、内税だということが通らない理屈になるんじゃないですか。
  251. 橋本元一

    参考人橋本元一君) お答え申し上げます。  実際に報酬そのものに内税として含まれているわけでございます。これをお支払いしたときに実際にそういうふうな、これは契約のときにそういうお話をするというふうなことがございますので、そういうことで御説明した後は、報酬そのものについて、これが三%から五%になったとしても、報酬の中には内税で入っている。この報酬が基本的にすべてでありますので、これに対して消費税としての登録をなさるかどうかというのは、個人事業主である地域スタッフの方々が、ちょうど確定申告するように、その責任においてやっていただくということになろうかと思います。
  252. 山根隆治

    ○山根隆治君 それじゃ、資料の提出をお願いいたしたいと思うんですけれども、後刻、後日でも結構ですけれども、そうした説明をされたというのであれば、消費税について説明した何かマニュアルがあったはずですから、それを出していただきたいというふうに思います。  働いている人たちの現場からは、そうしたものが全く説明なくて、消費税分がどうなったのかということで、回答がないままにもう何か月もたって、半年もたってでしょうか、それから、いやあれは内税だったんですというふうなことで、非常に信頼関係が今失われているというふうな話を聞くわけですね。  これが本当だとすると、ただ内税ということで逃れているばかりで、そうしたら国に視聴者からお預かりした受信料の中で消費税をお支払いすると。しかし、そのお支払いするときに、事務員、事務費としてスタッフの方々にお支払いする分を外してそれで国に納めるということは、ある見方によっては、いろいろなことを想定した上でのことですけれども、脱税行為にもなりはしないかというおそれもあるわけで、そこのところはそう単純に、今までの御説明も聞かせていただきましたけれども、明らかになっておりませんし、しっかりとそれ文書によって私は確認をしていただく義務があると思います。是非委員長の方で、私の今要求に対して、資料を求めて、理事会で御協議いただきたいと思います。  もう一つ資料でございますけれども、国、国にお支払いしたときの消費税、国に支払ったときの消費税が、そのスタッフの方々の消費税の分は省かれているかどうか、そのことも含めての資料を是非求めたいと思います。よろしくお願いします。
  253. 小野清子

    委員長小野清子君) 理事会の方で検討いたします。  以上で山根隆治君の質疑は終了いたしました。(拍手)     ─────────────
  254. 小野清子

    委員長小野清子君) 次に、荒木清寛君の質疑を行います。荒木清寛君。
  255. 荒木清寛

    ○荒木清寛君 公明党の荒木清寛でございます。  まず財務大臣に、財政再建、なかんずく歳出削減の手法についてお尋ねいたします。  総理の所信表明演説の中でも、国家公務員の純減、定員の純減目標を設定しと、云々とありまして、経済財政諮問会議におきましてもその線に沿った議論がなされておりまして、国家公務員、五年間で五%純減等々の議論が出ているわけであります。  この場合、仕事の量を減らさずに単に定員だけを減らせば、これはもうサービスの低下になりますし、また国家公務員の士気の低下にもなるわけですね。したがいまして私は、この場合、無駄な仕事をやめるという、それが必要になってくるわけでございまして、そういう意味で、この無駄な事業を仕分をするといいますか、透明感ある手法が必要であると考えますが、この点、財政当局としてはどういう方針で臨んでいくんでしょうか。
  256. 谷垣禎一

    国務大臣(谷垣禎一君) 今の荒木委員の御提案は、不要な仕事あるいは民間にできる仕事、それをできるだけきちっと洗い出していって、厳しく検証しながら洗い出していって、それが歳出削減につながるように、もちろん人員の削減もございますが、歳出削減にもつながるように持っていこうというお考えだろうと思いまして、私はそのお考えに基本的に賛同するものでございます。  じゃ、どうやってやっていくかということでございますが、政府ではこういう考え方に立ちまして、いわゆる市場化テスト法と、お役所仕事改造法とも言われておりますが、そういう市場化テスト法を作っていこうと。それから、更なる行政効率化等々、無駄な事業の排除に取り組んでいこうということでやっております。また、財務省としても、ここ数年予算執行調査というものをやっておりますが、そういうものを活用していく。  それから、国会でも随分御議論をいただいたんですが、予算のその執行と、予算の積算と執行実績が乖離しているじゃないかというような御指摘をいただきまして、そういったところも総点検をして、無駄な仕事、やらなくてもよい仕事と、こういうのをあぶり出していこうというふうに考えております。十八年、十八年度予算も、以上のような考えに立って無駄な仕事を排除して効率的なものに改めていきたいと考えております。
  257. 荒木清寛

    ○荒木清寛君 今の市場化テスト法というのは、来年法案が出るそうですが、これはあくまでも事業としては必要だという前提で、これは国がやるのか民間にやってもらうのかという話だと思うんですね。その前に、やはりそもそもこの事業を継続する必要があるのかどうかというその仕分がなければいけないと思うんです。  現に、先ほどの執行調査なんでしょうか、昨年度は架空予算などが九十五件、百十八億円と、十二府省庁であったということですね。これは主計局の方で予算の査定をするわけですけれども、いったん認められた事業はなかなか削りにくいということがあると思うんです。新規のものは厳しくふるい分けをするんでしょうけれども、一遍付いた予算はなかなか既得権化して削りにくいというのが実態でありまして、そのことがこういう架空予算になっていると思うんですね。要するに、取りあえず従来の枠で確保しておいてほかのことに使ったわけです。  したがいまして、そもそもこれをやる必要があるのかどうかということも含めたこの事業の仕分をしなければいけないと私は思っておりまして、そういう意味で公明党は、この際この国の方で、国の方でも事業仕分をしたらどうかということを提案をしております。これは、民間の方にも入ってもらって、行政のこの予算の執行の担当者ともよく話合いをしまして、本当にこの事業をする必要があるのかどうか、もしあるとした場合にほかの事業と統合をできないのか、あるいは国でやるのがいいのか地方でやるのがいいのか、あるいは民間に任せた方がいいのかという、そういう仕分をしていくという手法であります。  実は、これはもう都道府県におきましては既に実行済みでございまして、これまでに八県四市で実施をされました。民間の一つのNPOが提案をし、そういうところが入って行政の担当者と話をしてふるい分けをしたわけですね。その結果、やったところでは歳出金額でおよそ一〇%削減ができたという、そういう意味で実証されているわけなんです。是非私は、先ほどの市場化テストあるいは行政効率化等々の手法はもちろん続けていっていただくとしましても、こういういわゆるこの国民の目線で本当に必要かどうかをふるい分けていくという手法を是非政府で真剣に検討してもらいたいと考えますが、いかがですか。
  258. 谷垣禎一

    国務大臣(谷垣禎一君) 今おっしゃった事業仕分、現実に幾つかの地方自治体で実施をされて、今委員がおっしゃったような成果を上げているというふうに聞いております。私どもも、じゃ、今おっしゃいましたように、じゃゼロベースから不要な仕事を見直していくと。確かにそうなんですが、なかなか現実問題として、ある意味でいえば、一番その仕事を知っているのはそれをやっている人たちであると。そのやっている人たちがなかなかノーとは言わないというようなことも現実にはございまして、なかなか何が必要で何が不要かと洗い出していく手法も相当磨いていきませんと、言うだけではなかなかできないという面があろうかと思います。  市場化テストとか、あるいは予算執行調査なんかもそのための一つの手法の試みであるというふうに思っておりまして、今の委員のお話も参考に、さらに、どういうものが無駄をあぶり出していくときに良い手法であるのかという私どもも研究を続けたいと、そしていろいろそれを試みていきたいと、こう思っております。
  259. 荒木清寛

    ○荒木清寛君 公明党としても、よりまた検討しながら、また政府ともよく相談をしていきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。  次に、悪質リフォーム問題についてでございますが、九月十六日、消費者政策会議関係委員会会議というのが持たれまして、これは官房長官が主宰をしまして、担当大臣、北側大臣も含めて各大臣出席の下行われた委員会でございます。そういう意味で、この悪質リフォーム問題につきまして、この政府を挙げて取組をしていることに、していることを大変評価いたしますし、また、ここでまとまりました対策には我が党の提案もかなり取り入れて、入れられておりますので、評価をしております。  それを踏まえて、国土交通大臣に若干お尋ねをいたします。  この建設業法第三条は、建設業を営もうとする者は国交大臣あるいは都道府県知事の許可を受けなければならないとしておりますけれども、その中で、政令で定める軽微な建設工事を請け負う業者は許可が要らないというふうになっております。今の政令では五百万円未満の工事ということになっておりまして、そういう町の大工さんも含めた小さな事業を建設工事をする業者は許可は要らないわけですね。そこが、そこをまた悪用しましてこのリフォーム、悪質リフォームが行われておりまして、見てみますと全部この五百万円以下の工事になっているわけです、五百万円未満ですかね。それを次々リフォームといいまして、一回目は床下、二回目は屋根上、三回目は外壁という形で、合計すると一千万円以上になってしまうんですが、一回一回の工事は五百万円未満。そういうことを許可を受けていない業者がやっているというのがこの悪質リフォームのほとんどすべての実態でございます。  もちろんこの許可を受けていない業者に対しましても都道府県知事による監督が及ぶんですけれども、実際はこれまで一回もそうした指導というのはなされていないというふうに承知をしております。ここの一つのそういう盲点を何とかしなければ悪質リフォームは根絶できないんですけれども、国交省としてはどう取り組んでいくんでしょうか。
  260. 北側一雄

    国務大臣(北側一雄君) 今委員がおっしゃいましたように、建設業法におきましては、許可を受けないで建設業を営む者に対しても監督規定というのは存在しております。都道府県知事が指示処分又は営業停止処分をする、また、国土交通大臣又は都道府県知事が報告の徴収、また職員に立入検査を行わせる、こういう権限規定が、監督規定がちゃんと規定があるわけでございますが、運用面で十分この運用が適切になされていなかったということは反省をしなきゃならないというふうに考えております。  この許可対象でない建設業者に対する指導・監督のガイドラインというものを作成をさせていただきました。九月三十日付けで各都道府県知事に対して通知をしたところでございますが、例えばこの指示とか営業停止処分を行う場合は、こういう場合には指示・営業停止処分をしましょう、指導等を行う場合は、こういう場合には指導をしましょう、さらには、このような場合には告発をしましょうというふうなガイドラインを定めさせていただきまして、これを指示したところでございます。  このガイドラインを踏まえまして、都道府県知事が今おっしゃっております五百万円以下のリフォーム工事をするような建設業者に対しても適切に指導監督ができるようにさせていただきたいと考えております。
  261. 荒木清寛

    ○荒木清寛君 是非そのガイドラインを適切に運用してもらいたいんですが、しかし、建設業の登録をする段階でそういうもう正にこの悪質リフォームをするような業者を本来はふるい分けができるんですね。そして、五百万円というのが決して私は軽微な工事とは言えないのではないかという感じもしますし、しかも、実際はそれを二回、三回とやるわけでありますから、私は、この政令の軽微な建設工事の基準というのももう一回検討する必要があるのではないかと思いますし、それができないのであればこのリフォーム業者、業法、リフォーム業者を対象とした新法でも制定をしまして、もう少しそういう効果的な監督ができるようにする必要があろうかと思いますが、いかがでしょうか。
  262. 北側一雄

    国務大臣(北側一雄君) こういうリフォームの仕事をする業者の方々というのは中小零細な業者の方が大変多いわけですね。その大半は、これまでの御自身の経験を積まれて、まじめにそうした工事をされていらっしゃる方々が大半でございます。一部にそういう詐欺的な、また詐欺行為そのものと言えるようなそうした犯罪を犯す人がいるわけでございますが、この多くのまじめな零細業者の立場に立って考えますと、そうした許可をもらわないといけないだとか、またリフォーム業法という新しい新法の下で様々規制をされる、手続が必要になるということが果たしていいのかどうか、これよく検討していく必要があるというふうに思っているところでございます。  ただ、せっかくの貴重な御意見でございますので、よく検討はさせていただきたいと思います。  大切なことは、私どもも、これからますます高齢社会が進んでまいります。従来の建物についてバリアフリー化を進めていこうと、バリアフリー化のリフォーム工事をしようとするニーズというのは非常に大きいものがございます。さらには、この国会で提案をすべく今準備をさせていただいておりますが、耐震改修促進法の改正法案をこの国会に提案をさせていただきたいと思っておりますけれども、この耐震化についても強力に推進をしようということですが、このバリアフリー化、ましてや耐震化となりますと、これが素人の方々から見ましたら、これは高齢者に限らず、素人の方々にとっては、どうすればこれは耐震化が促進するのかというのは非常に分かりにくいわけでございます。  そういう意味で、身近なところに相談できる、高齢者の方々も含めまして、身近でそういう専門的なことも含めて相談ができるような体制をきちんと整備をしていくということが大事だと思っておりまして、まずは市町村等でそうしたリフォームにかかわる相談ができる体制を、これ全市町村でできるように早急に整えていきたいというふうに考えております。
  263. 荒木清寛

    ○荒木清寛君 まあ、すべての業者を登録させることが無理であれば、消費者としては本当にそのリフォーム業者が信頼できるかどうかということが明確であることが非常に有効で、有り難いわけですね。  私、いろいろ調べていきますと、国土交通省関連の認可の財団がやっておるリフォーム支援ネット、いわゆるリフォネットというんでありますけれども、これが、非常に私はこの登録制度が有効ではないかと思うんですね。今現にあるわけですけれども、更にこの登録の要件を明確にしまして、悪い業者が決して登録できないようにした上で、そういうインターネットなんか使えなくてもきちんとそのリフォネットに登録してある業者が分かるように、特に高齢者とかそういう方がリフォームの契約をされるわけですから、インターネットを使われない方も多いわけですから、そういうことも含めてこのリフォネットを更に実効性のあるものにしてもらいたいと思いますが、いかがですか。
  264. 北側一雄

    国務大臣(北側一雄君) 先ほど、身近に相談できるような窓口をしっかりつくろうと、つくるべきであるということを申し上げました。  それともう一点は、今委員のおっしゃったように、身近にそういう信頼できる業者がいると、それをまた推薦していただけるというふうなことが私は大切だというふうに思っております。今おっしゃいましたリフォネットにつきましても、そういう面で充実をさせていただきたいと思っておりまして、現在のところ、この登録事業者数、このリフォネットに登録されている事業者数は三千九百七十七事業者なんですね。まだわずかでございます。これをこれから三年間で現在の五倍の約二万事業者、二万ぐらいになりましたら身近にそういう事業者がいるようになりますので、約二万事業者にすることを目標として、各地域の地方公共団体と連携を進めていきたいというふうに考えているところでございます。  また、今はこれはホームページを通して見れるわけでございますけれども、そうではなくて、例えば先ほど全市町村に相談窓口を設置すると申し上げましたが、具体的には三年間で全市町村に設置したいというふうに考えておるんですけれども、このリフォーム相談窓口にもそうした名簿、事業者の名簿が閲覧できるようにしたいと。消費者の方々が利用しやすいように是非そのようにしてまいりたいというふうに考えておるところでございます。
  265. 荒木清寛

    ○荒木清寛君 最後にといいますか、三位一体改革につきまして、まず財務大臣にお尋ねいたします。  三位一体の改革というのは三兆円規模の税源移譲とそれにつながる補助金改革ということでありますけれども、残り六千億円ということになっているわけですね。これは十八年予算に、十八年度予算におきまして必ずこれは成し遂げるという決意と、またこの三位一体の改革の取りまとめについてのスケジュールの御説明を願います。
  266. 谷垣禎一

    国務大臣(谷垣禎一君) 三位一体の改革につきましては昨年十一月に政府・与党合意というものがつくったわけでありますが、それと、その後、累次の基本方針がございます。そういうことを踏まえて、平成十七年度中に検討を進めて結論を得ると。大きな課題、まだ義務教育それから生活保護等についても議論が行われておりますが、結論はやっぱりきちっと出して、おっしゃったように三兆円の所得税から地方住民税へ税源移譲を果たしていくと、こういう形を必ずやらなければならないと思っております。  四兆円程度の補助金改革、それから三兆円規模を目指した税源移譲、地方交付税の見直し、麻生大臣と力を合わせて必ずやり遂げてまいりたいと、このように思っております。
  267. 荒木清寛

    ○荒木清寛君 そこで、総務大臣に、正にこの三位一体の改革というのは地方分権改革の骨格ですね。したがいまして、その地方の自立や自主につながらないような国庫補助金改革がここに含まれてはいけないと私は強く思っております。  そういう意味では、政府の要請を受けて地方の方で改革案をまとめているということがあるわけでありますから、そういう改革案に含まれていない内容がいわゆるこの補助金の改革という形で行われてはいけないと、このように思いますが、いかがですか。
  268. 麻生太郎

    国務大臣(麻生太郎君) 三兆円の補助金の削減を基本的には補助金を受ける側の地方団体の長に決めていただいたというのが、今回のこの三位一体改革が改革に一歩踏み出した大きなみそだったと思っております。  出す方はこれは要るだろうという話ですが、受ける方は要らぬと言っておるんですから、そちらの方に合わせていただきますということだったので、結果的に二年間で三兆をめどということでしたが、初年度、約八割、二兆四千億のめどが立ったというのは非常に大きかったと思っております。残り六千億につきましても、地方六団体にお願いをさせていただいて、地方六団体で約九千億の案を提示していただいております。  基本的にその内容の中には、地方の裁量の自由度が増えるというのをいかにするかという、荒木先生正に御指摘のとおりでして、そこのところをいかに、やっていかぬと、渡されたわ自由度は何にもないわとか、ただただ比率だけ減らされたわというのではいわゆる地方分権の趣旨に合わないということでもありますので。  昨日、地方六団体の長と財政諮問会議のメンバーが会談をされておりますけれども、その席で、その席におきましても、総理の方から、地方の改革案を真摯に受け止め、国と地方の協議の場などを通じて地方の意見を聞きつつ検討を進めていくというお答えをいただいておるところであります。
  269. 荒木清寛

    ○荒木清寛君 そこで、先ほど財務大臣からありました、この生活保護費の国庫負担の在り方ですね、生活保護費及び児童扶養手当に関する関係協議会が行われておりまして、私も非常に注目をしております。  その中で、相当議論を重ねているわけでありますが、国と地方の役割分担及び費用負担の在り方については方向性というのが出てきているんでしょうか。あるいは、その協議会の最終取りまとめというのはいつ行うんですか。厚労大臣にお願いいたします。
  270. 尾辻秀久

    国務大臣(尾辻秀久君) 先ほど来のお話のように、昨年十一月の政府・与党合意に基づきまして、本年四月に生活保護費及び児童扶養手当に関する関係協議会が設置をされました。そこで、私もメンバーの一人でございますけれども、今鋭意協議をいたしておるところでございます。まだ議論のさなかでございまして、一言で言いますと、今議論のさなかでありまして、まだ答えが出るという段階ではございません。
  271. 荒木清寛

    ○荒木清寛君 そうではありますけれども、三位一体についての結論はいよいよ出さなければいけないわけですね。私は、生活保護制度につきましては来年度も現行のこの四分の三という国庫負担率は維持すべきである、このように思います。  この協議会の議論を見ておりましても、保護率に地域格差があるわけです。一番高いのがたしか大阪で、一番低いのが富山というようなことも紹介されておりましたけれども、これは、単身高齢者の割合ですとか、離婚率ですとか、失業率ですとか、日雇労働者の割合などの、そういう要因によって決まっておりまして、自治体間の運用の幅とか違いによって格差があるものじゃないわけですね。したがいまして、いわゆる生活補助に関するこの補助金を削減をして移譲してもらっても、全くこれは地方の方には裁量の余地がないわけです。今、地方の方は国で決めた運用をある意味でそのまま、まあ機械的にとは言いませんけれども、運用してやっているのが生活保護ということなんですね。こういう裁量の余地のないものを地方の方に移譲してもらっても、全くこれは地方分権にはつながらないわけであります。  憲法第二十五条には生存権ということが国の一つの責務として定められておるわけでありまして、そういう憲法の理念に基づきまして、国の責任において現行どおりこの生活保護制度は遂行すべきである、このように考えますが、最後に厚労大臣考えを伺います。
  272. 尾辻秀久

    国務大臣(尾辻秀久君) そもそもこの議論は、昨年いろいろ議論がございました、そのさなかでもございましたけれども、指定都市の市長さん方から、もう生活保護が制度疲労に陥っていると、したがって、もう抜本的にやはり議論しなきゃいかぬのじゃないかというところから議論が始まったことでございます。したがいまして、今非常に幅広く議論をしておるということでございます。  そうした中で、三位一体の改革におけるその中の位置付けになるわけでありますけれども、三位一体、そもそも地方にできることは地方にという理念の下で、地方の裁量を拡大しつつ、それに合わせて国と地方自治体が財政負担をどう持ち合うかということで今検討されておる、これはもう申し上げるまでもないことであります。その中での生活保護制度における国庫負担金の在り方につきましても、社会保障制度における生活保護制度の位置付けでありますとか、年金、医療、介護等との整合性などにも配慮しながら、国と地方の役割分担、それに合わせた費用負担がどうあるべきかという観点から検討をすべきものと考えておりますし、正にその検討をいたしておるところでございますので、いましばらく協議会における議論を続けさせていただきたいと存じます。
  273. 荒木清寛

    ○荒木清寛君 終わります。
  274. 小野清子

    委員長小野清子君) 以上で荒木清寛君の質疑は終了いたしました。(拍手)     ─────────────
  275. 小野清子

    委員長小野清子君) 次に、仁比聡平君の質疑を行います。仁比聡平君。
  276. 仁比聡平

    仁比聡平君 日本共産党仁比聡平でございます。  小泉首相は、選挙中、仮に増税はやむを得ないとしても、その前に無駄遣いを徹底してなくしていくのが先決だと、こう言い、公共事業費を削減してきたと自慢をしていますが、大型事業にはメスを入れようとしません。今日はその典型であるダム問題について質問をいたします。  三十九年前の計画決定以来、莫大な税金を費やしてきた川辺川ダムは、この間、言わば白紙に戻るという展開になりました。その経緯と現状を国土交通大臣はどうお考えなのでしょうか。私はダム計画そのものを中止すべきだと考えますが、いかがですか。
  277. 北側一雄

    国務大臣(北側一雄君) 川辺川ダムにつきまして、収用裁決申請の取下げに至った経緯について御質問がございました。  これはもう私が言うまでもなく、委員もよく御承知のとおりでございますけれども、球磨川ではこれまで過去三十年間に十回もの水害が発生をしておりまして、特に昨年、また本年の台風十四号と二年連続して計画高水位を上回る洪水が発生し、浸水被害が発生すると、こういう洪水被害が頻発をしておるところでございます。そういう意味で、川辺川ダムにつきましては、この治水の観点からは一日も早く完成させる必要があると考えております。  しかしながら、今委員もおっしゃいましたように、収用裁決申請を熊本県の収用委員会に行っておったところでございますけれども、利水の方の農業用水に係る新利水計画の策定が遅れまして審理が極めて長期化したため、収用委員会から収用裁決申請をいったん取り下げてはどうかという取下げ勧告がなされました。このため、却下裁決が行われた場合に想定される事態の長期化を避けるために、球磨川の治水対策をより早く進めるためには、むしろこの九月、裁決申請をいったん取り下げた方がいいという判断をして、九月十五日に取下げをしたところでございます。  今後、改めまして農水省の九州農政局に農業用水に係る新利水計画の早期の策定を求めるとともに、その策定状況を踏まえましてダム事業計画を速やかに見直して、球磨川の抜本的な治水対策でございます川辺川ダム事業の推進に努めてまいりたいと考えているところでございます。  川辺川ダムの治水の必要性は何ら変わっておらないという認識でございまして、冒頭申し上げましたように、早期の完成が求められている、流域市町村からもそのように要請があるところでございます。
  278. 仁比聡平

    仁比聡平君 大臣、いろいろおっしゃいますけれども、つまり、白紙に戻ったということでしょう。それは、利水でも治水でもダムありきという政策が根本で行き詰まっているからにほかなりません。  そもそも、浸水被害が繰り返されてきたのは、河床のしゅんせつや掘削、また堤防の強化や宅地のかさ上げなど、必要な河川改修が後れてきた地域であって、ここでの河川改修こそが急務なわけですね。ところが、今大臣の御答弁の中にこの河川改修の必要性について一言もお述べにならない。そのことを私は本当に驚きました。これまでの四十年にわたるダムの経過についての何の反省もないのではないですか。  大臣は二年連続で計画高水位を上回ったとおっしゃいましたけれども、これまで国交省は、流域で四百四十ミリの二日間雨量があれば中流の人吉地点で毎秒七千トンの洪水が発生するからダムが必要だと言ってきました。ですが、台風十四号でその想定雨量に匹敵する雨量が降ったのに毎秒四千三百トン、六一%の流量しか発生をしなかったんですね。去年も今年も、中流の人吉でも下流の八代でも堤防には十分余裕があって、政府の最大流量設定の過大さこそが実証されているわけです。新利水計画のアンケートでも、ダム案の支持は土地改良法で求められる三分の二に遠く及びません。にもかかわらず、ダムの調査や関連工事に多額の費用を費やしながら必要な河川改修がなされずに来た。これほどの本末転倒はないんじゃないでしょうか。  そこで、私は、いわゆる調査費の総額と使途についてただしたいと思うんです。  国交省と農水省に尋ねましたら、九州だけで何と四百三十四のダムが既にあって、更に四十二のダムを造るという計画になっています。  国交省、今年度の九州でのその調査費の総額は幾らでしょうか。また、川辺川関連、過去五年間の総額は幾らか、お答えください。
  279. 渡辺和足

    政府参考人(渡辺和足君) 調査費という御質問でございましたけれども、ダムの調査に関しましては、事業中のダムについては調査費というような整理をしておりません。基本的には測量及び試験費ということで、いろんな調査、それから現地における測量でありますとか、また設計業務でありますとか、それから水源地域対策でありますとか、そういう幅広い分野の業務を行っておりまして、それを全体で測量及び試験費という形で支弁しているわけでございます。  九州地方整備局管内のダム事業につきましてまずお答えいたしますけれども、九州地方ダム関連ダム事業の平成十七年度当初実施計画における測量及び試験費と、そういう形でございますが、直轄、水資源機構事業では、建設中が八、実施計画調査中三、合わせて十一事業で約六十億円の測量及び試験費を使っているところでございます。また、補助事業におきましては、建設中十八事業、実施計画中三事業、合わせて二十一事業で二十七億円の測量及び試験費を計上しているところでございます。  それから、川辺川ダムにおける予算についてのお尋ねがございましたので、川辺川ダムにつきまして御説明をさせていただきたいと思います。  川辺川ダムにつきましても、先ほどと同じように調査費というような整理ということではなくて、測量及び試験費という格好で支弁しているものでございます。  具体的な中身といたしましては、例えば、川辺川に猛禽類等が現地にいるということもありまして猛禽類や生態系などの環境調査、そしてダムの安全のためには地質調査が非常に大事でございますのでボーリング調査等の地質調査、そして現地に埋蔵文化財がありますので埋蔵文化財調査、用地測量などの測量、また道路設計などの設計、こういうような多様な業務に使っているわけでございますけれども、過去五年間で申し上げますと、平成十三年度が十五億、十四年度が十億、十五年度が十二億、十六年度が十二億、十七年度が九億ということで、五年間で約五十八億円の測量及び試験費を使っている、こういうことでございます。  以上でございます。
  280. 仁比聡平

    仁比聡平君 驚くべき巨額ですね。  政府は、昨年、川辺川ダム事業費を三千三百億円に増額をしましたが、うち二百億円が調査関係の増です。調査費だけで河川改修費に匹敵をしているんですよ。  大臣、せめて計画を再検討する間の調査費を凍結することぐらいは当然ではありませんか。
  281. 北側一雄

    国務大臣(北側一雄君) 委員とは国土交通委員会でもこの川辺川ダムの問題につきましては議論をさせていただいておりますので、私の言おうとしているところはもう十分御承知かと思いますけれども、オール・オア・ナッシングじゃございません。河川整備は当然必要でございます。しかし、ダムも当然必要なところもあるわけです。  具体的な数字が必要であれば河川局長からまた答弁させますけれども、最近の雨の傾向、同じ九州でも、先般の台風十四号では宮崎県のある地域で連続雨量が一千三百ミリ、かつてなかった、信じられないような雨が一気に降っているわけでございます。計画高水位を大きく超えてしまっている。こういう雨がいったん降り出しますと大変な雨が降る、そういう傾向があるわけですね。  球磨川水系につきましては、これまで、先ほど申し上げましたように何度も水害が起こっているわけでございます。河川整備だけで十分であるならば、それはそれにこしたことはございません。しかし、そうではないという判断を私どもはしているわけでございます。川辺川ダムの治水の必要性は何ら変わっておらないと考えておりまして、治水を目的とする、少なくとも治水を目的とする川辺川ダムの計画そのものが白紙になったということではないわけでございまして、調査費につきましては凍結すべきというお話でございますが、早期の完成が求められているわけでございまして、必要となる調査はしっかりとやっていきたいと考えております。
  282. 仁比聡平

    仁比聡平君 大臣がおっしゃる災害での被災地は、私は恐らくほとんどの場所を訪ねてきました。その被災者の方々が口々におっしゃるのは、河川改修の必要性です。そこをしっかり受け止めていただきたい。  財務大臣、この補助金の問題について財務当局としてどんなふうにお考えでしょうか。
  283. 谷垣禎一

    国務大臣(谷垣禎一君) 今国土交通省からも、大臣からもいろいろ御答弁がございましたが、私どもとしては、今農林水産省で農業用水の新利水計画をいろいろ策定しておられる、それから国土交通省でもダム事業計画の必要な見直し等々を検討しておられまして、こういう状況を注視しているところでございます。  そこで、委員がおっしゃったその調査費等々ですが、国土交通省からも御答弁がありましたように、いろんなものが含まれているわけですね。既に移転された住民の方々の生活再建対策として行われる付け替え道路の設計であるとか、河川の流量、水質観測などの継続調査、それから猛禽類等々を始めとした動植物に関する環境調査、それから農業用水の利水計画変更に伴って必要となる調査等々に充てるものと承知しておりますが、この見直し結果いかんによらず、必要な最小限のものを計上していただくということになっておりまして、いずれにせよ十八年度予算の編成過程でこの辺りは精査していきたいと思っております。
  284. 仁比聡平

    仁比聡平君 今財務大臣からも御紹介がありましたが、環境保全の図ですね、この調査、これにかかわってどのように使われているか、皆さん御存じでしょうか。例えば、ダム水源地環境整備センターという財団法人があります。ここが川辺川ダム砂防事務所からのどれだけの発注を受けているのか、総額とそして契約方式について過去五年の数字を国交省にお願いしたいと思います。
  285. 渡辺和足

    政府参考人(渡辺和足君) お答えをいたします。  ダム水源地環境整備センターへの委託契約額及び契約方法についてお尋ねがございました。ダム水源地環境整備センターに対しましては、地域振興に関する計画検討、また猛禽類調査、生態系調査などの環境調査、それから堆砂対策の検討、水環境の保全調査など、様々な水源地域に関する調査を委託しております。毎年約十件近くの業務を委託しておりまして、平成十二年度から平成十六年度までの五年間の委託契約額は総計で約十五億円になります。これらの契約方法は随意契約方式を採用しております。  以上でございます。
  286. 仁比聡平

    仁比聡平君 この財団の元職員さんから重大な内部告発があります。こう言っています。世論対策環境調査をしないとダム事業は進まない、その調査を権威付けるのが財団の役割だ、実際の仕事はコンサルタントに下請に出すが、調査結果をまとめる方向などは財団が事前に役所と打ち合わせる、もちろん建設に影響を与えるような結論は出ない、役所が随意契約で財団に仕事をくれるのは役所に忠実だからだ。あきれた話じゃありませんか。調査の方向を役所と打ち合わせる、だから随意契約で仕事がもらえる、本当にそんなことやっているんでしょうか。
  287. 渡辺和足

    政府参考人(渡辺和足君) 財団法人ダム水源地環境整備センターとの契約につきましては、まさしく言われたとおりに随意契約ではございますけれども、最初にありましたようにコンサルタントにすべて作業をさせるとかそういうことではなくて、一部の業務をコンサルタントに作業させる分がありますけれども、メーンの業務につきましてはダム水源地環境整備センターが自らが作業をしていると、こういうことでございます。  それから、打合せの中で方向を決めると、こういう話がございましたけれども、発注者とダム水源地環境整備センターの打合せはございますけれども、例えば委員会を開いて委員会の方向性を踏まえて結論を出すとか、そういうこともやっておりまして、必ずしも発注者の意向どおりの結果を出すということは全くございません。  以上でございます。
  288. 仁比聡平

    仁比聡平君 告発には十分な背景があるんですよ。この財団の常勤役員はみんな天下りですね。理事長及び常勤の理事がどんな経歴の人物か、紹介してください。
  289. 渡辺和足

    政府参考人(渡辺和足君) ダム水源地環境整備センターの理事長及び常勤理事の経歴ということでお問い合わせがございました。  ダム水源地環境整備センターにつきましては、理事長が一名、それから理事が十二名、合わせて十三名の理事で構成しております。そのうち、常勤の理事は三名ということでございます。  理事長につきまして経歴を申し上げますと、理事長の就任の前は北海道開発庁の事務次官でございます。また三名の常勤理事のうち一人は、退職時の役職は国土交通省大臣官房付ですが、その前職は財団法人民間都市開発推進機構都市研究センター研究理事ということで、これは出向で、現役出向で行っておりました。また、次の一名は、退職時の役職はやはり国土交通省大臣官房付ですが、その前職は沖縄総合事務局次長という立場でした。そして、さらにもう一名は、退職時の役職は国土交通省中部地方整備局長でございます。  以上です。
  290. 仁比聡平

    仁比聡平君 天下りじゃないですか。財団と政府の深い癒着があるわけです。  さらに、公表されている資料によりますと、この財団は、設立の際、基本財政十億円のうち八億円をダム受注のゼネコンやメーカー、コンサルタントが出資をし、職員も七十人中五十人がゼネコンなどからの出向者です。理事のうちにはダム受注企業でつくる日本ダム協会、ここの会長、現在は大成建設の社長さんですが、この方も名前を並べていらっしゃる。建設の是非にかかわる調査には本来客観性、科学性が求められているわけでしょう。にもかかわらず、事業主体と受注企業丸抱えの財団に随意契約で仕事を確保する、それが正しいと考えられるんでしょうか。大臣にお伺いしたいと思います。
  291. 北側一雄

    国務大臣(北側一雄君) この財団法人につきましては、昭和六十二年十二月に設立をされたところでございます。先ほどから御答弁しておりますとおり、ダム水源地の環境の整備保全に関する調査研究、技術開発、技術指導等を行うことによってダム水源地の適切な管理を図る、またダム水源地域の活性化と、活性化に寄与していくと、こういう目的を目的としているところでございます。  実際、その業務の内容も、先ほど来話があるとおり、かなり専門的な調査検討業務でございまして、このような業務につきましてダム事業に関するこれまでの経験とか専門的な知見を有する者がやはりやっていくことが重要だと考えておりまして、そういう意味で、そういうふうな団体としてはこの団体しか現実にはないわけでございまして、随意契約に行っていることは適当であると考えております。
  292. 仁比聡平

    仁比聡平君 大臣がおっしゃる経験、知見というのは、これはダムを造るということをやってきた人たちの経験、知見でしょう。その是非が問われているときに、環境保全の調査をそこに委託してどうするんですか。こういう証言がそもそも出てくること自体、私は重大だと思います。  道路公団の問題では、K会、A会は知りませんでしたと気色ばんでいた副理事長が訴追されているじゃありませんか。少なくともこういった疑問、疑惑に対して徹底した調査をすべきではありませんか。いかがですか。
  293. 北側一雄

    国務大臣(北側一雄君) この財団法人、こうした専門的なことを調査していく、そういう財団法人に役人のOBの方々が行かれるということ、これを全く否定してしまう、それ自体が全く悪いと、それはいかがなものなんでしょうか。そこは私とは全然認識が違います。やはり現職時代に培った経験というものをやはり有効にその財団法人等で活用していくことも大事でございます。  また、ルールもきちんと政府として定めているわけでございまして、そのルールに乗っかってこの財団法人についても再就職がなされているわけでございます。その点についても全く適正なものでありまして、委員のおっしゃっているようなこと、そういう御意見が国会でこのように取り上げられたこと、これは大変重い意味がありますから、そこはしっかりと調べさせていただきたいと思っております。
  294. 仁比聡平

    仁比聡平君 いや、結局、そのような調査そのものをしっかりどの団体に対しても、あるいはどの関係に対してもしっかりやっていくということなしに私は正すことはできないと思います。  財務大臣、その随意契約の問題についてどんなふうにお考えですか。
  295. 谷垣禎一

    国務大臣(谷垣禎一君) 随意契約につきましては今までもいろんな問題点が指摘をされてきたことがございます。したがいまして、私の方からも随意契約についてはいろいろ基準を立てまして、閣僚懇等でもお願いをしているところでありまして、そういう私どものお願いに沿って運用していただいていると思っております。
  296. 仁比聡平

    仁比聡平君 川辺川ダムの調査業務受注企業から国民政治協会にだけでも過去五年で五社から七百二十七万円の政治献金が出されています。調査をゆがめ税金を食い物にし工事で稼ぐ、癒着を断たない限り首相の言う無駄遣いをなくし、徹底してなくしていくという言葉は私はまやかしにほかならないと思います。そのことを厳しく指摘をして質問を終わります。
  297. 小野清子

    委員長小野清子君) 以上で仁比聡平君の質疑は終了いたしました。(拍手)     ─────────────
  298. 小野清子

    委員長小野清子君) 次に、近藤正道君の質疑を行います。近藤正道君。
  299. 近藤正道

    近藤正道君 社民党・護憲連合近藤正道でございます。  最初に、原発のことについてお尋ねをしたいと思います。  本年八月の地震で女川原発は設計上想定した限界以上の揺れに襲われました。これは国内初の事態でございます。想定の甘さなど安全審査に問題があったのではないでしょうか。また、今後宮城沖地震など、より大きな地震が予想される中で、十分な原因の解明と納得できる対応がなされない限り安易な運転再開は認めるべきではないと思いますが、経産大臣のお考えをお尋ねします。
  300. 中川昭一

    国務大臣中川昭一君) 御指摘のように、八月十六日に発生いたしました宮城県沖の地震におきまして、東北電力女川原子力発電所は地震の揺れを感知して三基、三基あるわけですけれども、三基とも自動停止いたしました。その後、東北電力において発電所各設備を点検した結果、安全上問題となる損傷は認められておりません。  他方、御指摘のように、地震時に観測されたデータを分析した結果、女川原子力発電所における揺れは、原子力発電所の耐震設計の際に想定する最大基準地震動を一部の周期で超えていることが判明いたしました。これを受けまして、原子力安全・保安院は東北電力に対しましてデータのより詳細な分析評価を行うよう指示したところであります。  女川原子力発電所に関する安全審査は、当時の知見に基づき最善を尽くしたものと考えておりますけれども、なぜ最大基準地震動を一部、一部といえども上回る揺れが生じたのかにつきましては、東北電力による詳細な分析評価の結果を国としてよく検討していきたいと考えております。  また、女川原子力発電所の運転再開、現在は停止中でありますけれども、運転再開につきましては、何よりもまず耐震安全性を確認することが最重要であると考えております。  今後、東北電力の分析評価の結果を踏まえまして、想定される宮城県沖地震なども考慮をしながら、更に詳細な検討を行うことにより女川原子力発電所の耐震安全性確保に万全を期していきたいと考えております。
  301. 近藤正道

    近藤正道君 次に、アスベスト対策についてお尋ねをいたします。  先ほども議論がありましたけれども政府はアスベストに関する過去の対応について検証結果を先月の末にまとめました。この取りまとめは、政府に被害の発生と拡大の責任があると言っているんでしょうか、あるいはないと言っているんでしょうか。  これは官房長官にお尋ねをしたかったわけでありますが、記者会見で今御不在でございますので、厚労大臣にお尋ねをいたします。
  302. 尾辻秀久

    国務大臣(尾辻秀久君) 検証結果にございますとおりに、個別には各関係省庁間の連携が必ずしも十分でなかった等の反省すべき点は見られますけれども関係省庁は、例えば石綿の代替化を促進するための行政指導を行うなど、それぞれの時点において必要な対応を行っており、実態として諸外国に後れを取ってはおらず、被害を発生させるような不作為があったとは言えないと考えておるというのが検証で述べておるところでございます。
  303. 近藤正道

    近藤正道君 弁解が非常にまあ目立つ、こういうふうに私は思いますが、いずれにいたしましても、この取りまとめの中には、世界的な動向への考慮あるいは予防的なアプローチ、そうして今ほど大臣が言及されました関係省庁との連携、これがいずれも不十分だったと、こういうふうに認めているわけでございます。  これは、政府の被害発生あるいは拡大の責任、被害回避の注意義務違反、このことをおおむねにおいて認めているんではないかと私は思いますが、いかがでしょうか。
  304. 尾辻秀久

    国務大臣(尾辻秀久君) 反省しなければならないことは反省しながら、この検証は報告をさせていただいたと考えております。ただ、最後のところに不作為は、不作為はなかった、こういうふうに言っておるわけでございます。  今のことについても、もう少しお答えいたしますと、我が国では石綿のうち有害性の強いクロシドライト、すなわち青石綿でございますけれども、これについて平成元年には使用の実態がなくなったことを確認をいたしております。まだそのころドイツ、フランスにおいては使用実態がございました。このように、実態面では欧州諸国に後れを取っていないと認識をいたしております。そのことも検証で述べております。  ただ、今になってみますと、予防的アプローチが国際的に認知された現状、今日はそういう現状でございますから、そういう点について見ますと、生命、身体に係る法令上の禁止措置については世界的な動向を見ながら実施するという考慮が十分なされていたとは言えない面があるということを言っておるところでございます。  ただ、それが被害発生の責任があるというふうには考えていないということでございます。
  305. 近藤正道

    近藤正道君 大変言い訳をたくさん多用して苦しい答弁だというふうに思いますが、今政府はアスベスト新法の検討を行っている最中でございます。やっぱり、国に責任があるかどうか。このことはこの新法の言わば根幹を成す話でありまして、私はやっぱり明確にすべきだというふうに思っています。  先ほどの取りまとめでも、世界の動向への配慮が不足していたと、これはもう明確に言っているわけでありますし、そして端的に言って、予防的アプローチが当時不十分だったんで、各省庁対応は十分ではなかったと、しかも連携も不十分だったと、反省すべき点があると、こういうふうに言っているわけでございますんで、私はやっぱり国の責任はそれなりにおおむねやっぱり認めているんではないかと、こういうふうに思うんです。  前の国会でも、西厚労副大臣は、取り返しの付かない問題で決定的な私ども省庁の失敗だった、こういうふうに個人的見解とは言いながら言っているわけでありますんで、私はそれを、今ほどの大臣の御答弁はこれ大幅にこれから後退しているんではないか、やっぱり責任は明確にすべき、そのことをはっきりさせた上で、私は新法の作業に入っていく。そのことが財源の問題だとか、あるいは財源の配分等にも大きく影響してくるわけでありますんで、ここは明確にやっぱりすべきなんではないか、国の責任は明らかではないかと、こう思いますが、いかがでしょうか。
  306. 尾辻秀久

    国務大臣(尾辻秀久君) そこの部分だけについて、そこの部分というのは責任の部分だけについて申し上げますと、繰り返しになりますけれども、反省すべき点があるということはもう述べておるとおりでございます。具体的にもこういう点で反省すべきだというふうに言っております。ただ、不作為ということになると、不作為はなかったということを言っておるわけでございます。  ただ、そうしたことを検証で述べておりますけれども、ただ、やはり多くの方がお亡くなりになっておるという事実は極めて重いわけでございますし、それからまた今後の救済に全力を挙げなきゃいけないというのは当然のことでございますから、私どもはそれについては全力を挙げて行うということを今申し上げているところでございます。
  307. 近藤正道

    近藤正道君 私は今日、時間がありませんのでこれ以上申し上げませんが、被害が発生、拡大の責任政府には明確にあると、こういうふうに思っております。  文科省と厚労省の調査の問題でありますが、八七年の段階で行って調査をいたしまして、所轄のところをですね。そして、それぞれ完了したと、こういうふうに言っていたにもかかわらず、今回改めて調査をしたら、公立学校でも、あるいは厚労省の所轄、管轄の病院、福祉施設でも大量のアスベストの飛散対策箇所が出てきた。このことについてどういうふうな認識をお持ちなのか、本当に今回の調査で、今度は万全な体制が取れるのかどうか、それぞれの大臣にお尋ねをしたいと思います。
  308. 塩谷立

    ○副大臣(塩谷立君) お答えを申し上げます。  文部科学省としては、昭和六十二年に、当時のアスベスト処理に関する対応方策として早急に検討するために、当時の知見に基づいて、毒性が強いとされた三種類の吹き付けアスベストについて使用実態調査をして、その結果を踏まえてアスベスト除去の補助制度を創設したわけでございます。  その後、その規制強化あるいは規制担当省庁からの通知や技術指針など、地方自治体等の学校の設置者に通知し指導するとともに、研修会等でアスベスト対策必要性に周知徹底を図ってきたところでありますが、その結果、補助申請の件数は減少傾向にあり、また地方自治体においても補助制度を活用して、あるいは単独でアスベスト対策の取組が随時進められてきたわけでございます。  しかしながら、このたびの実態調査、中間報告において、依然としてアスベスト対策が行われていなかった公立学校があったことが確認されたことは重く受け止めておりまして、文部科学省としては、基本的に、過去においてはそれぞれの時点において必要な方策をしたと思っておりますが、特にフォローアップの点で更に努力すべき点があったということを今反省しておりまして、引き続きこの調査をしっかりと受け止めて今後の対応を行ってまいりたいと思っているところであります。
  309. 尾辻秀久

    国務大臣(尾辻秀久君) 昭和六十二年度にこの問題、アスベストが社会問題化いたしましたので、そのとき調査をいたしました。で、そのときは、実は品目が、三品目について、アスベスト品目数三品目について調査いたしましたし、それから、当時は建物ができた年が昭和五十一年度までのものを調べました。それ以降はアスベスト大丈夫だろうというふうに判断したわけでありますけれども、今回は更に三十品目に品目増やして、それからまた竣工年度も平成八年度までということで広げて調査をいたしたところでございます。その結果については発表をさせていただきました。  今後とも、調査をまたしっかりと進めて、進めておりますので、これについてのあとは対策を万全に図ってまいりたいと考えております。
  310. 近藤正道

    近藤正道君 共謀罪について法務大臣にお尋ねをいたしますが、共謀罪はさきの国会で三度目の廃案になりました。三回も廃案になったのに、なぜ同じ内容のものをまた提出するんですか。これは国会に対する、国民に対するあるいは軽視ではないかとさえ私は思うんですが、いかがでしょうか。
  311. 南野知惠子

    国務大臣南野知惠子君) 法案を提出する理由を申し上げます。  犯罪の国際化及び組織化並びに情報処理の高度化に対処するための刑法等の一部を改正する法律案、これに規定される共謀罪は、既に国会承認をいただいている国際組織犯罪防止条約が重大な犯罪の共謀を犯行とすることを義務付けておりますことから、これを新設することが是非必要になってくるわけでございます。  この条約は、国際社会と協力して、一層効果的に国際的な組織犯罪を防止することなどを目的とするものでありますので、国際社会の一員として我が国としても早期に締結する必要がございます。我が国における組織犯罪対策にも資するものでありますから、早急に条約の内容に従った法整備を行う必要がございます。  法案の共謀罪について様々な御意見があることは承知いたしておりますけれども、厳格な組織性の要件を付すことによりまして、組織的な犯罪集団が関与する犯罪の共謀に限って成立するものといたしておりますことなどから、この国会に前回の法案と同じ内容のものを提出することといたしました。十分に御審議いただき、速やかに成立させていただきたいと思います。  以上であります。
  312. 近藤正道

    近藤正道君 終わります。
  313. 小野清子

    委員長小野清子君) 以上で近藤正道君の質疑は終了いたしました。(拍手)  これにて質疑通告者の発言はすべて終了いたしました。  本日はこれにて散会いたします。    午後四時三十分散会