運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

2005-10-04 第163回国会 参議院 予算委員会 第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十七年十月四日(火曜日)    午前九時開会     ─────────────    委員氏名     委員長         中曽根弘文君     理 事         阿部 正俊君     理 事         野上浩太郎君     理 事         舛添 要一君     理 事         若林 正俊君     理 事         池口 修次君     理 事         大塚 耕平君     理 事         福山 哲郎君     理 事         荒木 清寛君                 秋元  司君                 浅野 勝人君                 泉  信也君                 市川 一朗君                 岩永 浩美君                 大仁田 厚君                 大野つや子君                 岡田  広君                 椎名 一保君                 世耕 弘成君                 関口 昌一君                 田村耕太郎君                 中島 啓雄君                 松村 龍二君                 山崎  力君                 山谷えり子君                 脇  雅史君                 犬塚 直史君                 小川 勝也君                 小川 敏夫君                 小林 正夫君                 主濱  了君                 辻  泰弘君                 白  眞勲君                 平野 達男君                 前川 清成君                 前田 武志君                 松下 新平君                 水岡 俊一君                 山本 孝史君                 風間  昶君                 福本 潤一君                 山本 香苗君                 紙  智子君                 大門実紀史君                 福島みずほ君     ─────────────    委員長異動  九月二十一日中曽根弘文委員長辞任につき、  その補欠として小野清子君を議院において委員  長に選任した。     ─────────────    委員異動  九月二十一日     辞任         補欠選任      中曽根弘文君     小野 清子君  九月二十六日     辞任         補欠選任      小川 勝也君     浅尾慶一郎君      大塚 耕平君     木俣 佳丈君      白  眞勲君     若林 秀樹君      福山 哲郎君     櫻井  充君      前川 清成君     喜納 昌吉君      松下 新平君     蓮   舫君      水岡 俊一君     山根 隆治君      山本 孝史君     内藤 正光君  十月三日     辞任         補欠選任      櫻井  充君     島田智哉子君      前田 武志君     広田  一君      蓮   舫君     尾立 源幸君      風間  昶君     魚住裕一郎君      紙  智子君     小林美恵子君  十月四日     辞任         補欠選任      尾立 源幸君     松下 新平君      島田智哉子君     櫻井  充君      小林美恵子君     小池  晃君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         小野 清子君     理 事                 阿部 正俊君                 椎名 一保君                 野上浩太郎君                 舛添 要一君                 若林 正俊君                 池口 修次君                 小林 正夫君                 平野 達男君                 荒木 清寛君     委 員                 秋元  司君                 浅野 勝人君                 泉  信也君                 市川 一朗君                 岩永 浩美君                 大野つや子君                 岡田  広君                 関口 昌一君                 田村耕太郎君                 中島 啓雄君                 松村 龍二君                 山崎  力君                 山谷えり子君                 脇  雅史君                 浅尾慶一郎君                 犬塚 直史君                 小川 敏夫君                 尾立 源幸君                 木俣 佳丈君                 喜納 昌吉君                 櫻井  充君                 島田智哉子君                 主濱  了君                 辻  泰弘君                 内藤 正光君                 広田  一君                 松下 新平君                 山根 隆治君                 若林 秀樹君                 魚住裕一郎君                 福本 潤一君                 山本 香苗君                 小池  晃君                 小林美恵子君                 大門実紀史君                 福島みずほ君    国務大臣        内閣総理大臣   小泉純一郎君        総務大臣     麻生 太郎君        法務大臣        国務大臣        (内閣特命担        当大臣(青少年        育成及び少子化        対策))     南野知惠子君        外務大臣     町村 信孝君        財務大臣     谷垣 禎一君        文部科学大臣   中山 成彬君        厚生労働大臣   尾辻 秀久君        農林水産大臣   岩永 峯一君        経済産業大臣   中川 昭一君        国土交通大臣   北側 一雄君        環境大臣        国務大臣        (内閣特命担        当大臣沖縄及        び北方対策))  小池百合子君        国務大臣        (内閣官房長官)        (内閣特命担        当大臣男女共        同参画))    細田 博之君        国務大臣        (国家公安委員        会委員長)        (内閣特命担        当大臣(防災)        )        村田 吉隆君        国務大臣        (防衛庁長官)  大野 功統君        国務大臣        (内閣特命担        当大臣(金融)        )        伊藤 達也君        国務大臣        (内閣特命担        当大臣経済財        政政策))    竹中 平蔵君        国務大臣        (内閣特命担        当大臣規制改        革、産業再生機        構))      村上誠一郎君        国務大臣        (内閣特命担        当大臣科学技        術政策食品安        全、食育))   棚橋 泰文君    内閣官房長官        内閣官房長官  山崎 正昭君        内閣官房長官  二橋 正弘君    副大臣        内閣府副大臣   西川 公也君        防衛庁長官   今津  寛君        法務副大臣    富田 茂之君        外務大臣    谷川 秀善君        財務大臣    上田  勇君        文部科学大臣  小島 敏男君        文部科学大臣  塩谷  立君        厚生労働大臣  中野  清君        厚生労働大臣  西  博義君        農林水産大臣  常田 享詳君        経済産業大臣  保坂 三蔵君        国土交通大臣  岩井 國臣君        環境大臣    高野 博師君    大臣政務官        内閣大臣政務        官        木村  勉君        内閣大臣政務        官        西銘順志郎君        防衛庁長官政務        官        愛知 治郎君        総務大臣政務官  山本  保君        法務大臣政務官  三ッ林隆志君        財務大臣政務官  段本 幸男君        厚生労働大臣政        務官       藤井 基之君        農林水産大臣政        務官       加治屋義人君    政府特別補佐人        人事院総裁    佐藤 壮郎君        内閣法制局長官  阪田 雅裕君    事務局側        常任委員会専門        員        村松  帝君    政府参考人        内閣官房内閣審        議官       上田 紘士君        内閣規制改革        ・民間開放推進        室長       田中 孝文君        内閣府市場化テ        スト推進室長   河  幹夫君        総務省行政管理        局長       藤井 昭夫君        総務省自治行政        局選挙部長    久保 信保君        法務大臣官房司        法法制部長    倉吉  敬君        法務省刑事局長  大林  宏君        法務省入国管理        局長       三浦 正晴君        厚生労働大臣官        房総括審議官   金子 順一君        国土交通省道路        局長       谷口 博昭君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○理事補欠選任の件 ○国政調査に関する件 ○政府参考人出席要求に関する件 ○予算執行状況に関する調査     ─────────────
  2. 小野清子

    委員長小野清子君) ただいまから予算委員会を開会いたします。  この際、一言ごあいさつを申し上げたいと思います。  去る九月二十一日の本会議におきまして、皆様方の御推挙により予算委員長の重責を担うことになりました小野清子でございます。  当委員会の運営に当たりましては、公正中立を旨といたしまして円滑に進めさせていただきたいと思います。  何とぞ、皆様方の御指導、御協力のほど、よろしくお願い申し上げます。(拍手)     ─────────────
  3. 小野清子

    委員長小野清子君) 理事補欠選任についてお諮りいたします。  委員異動に伴い現在理事が三名欠員となっておりますので、その補欠選任を行いたいと存じます。  理事選任につきましては、先例により、委員長の指名に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 小野清子

    委員長小野清子君) 御異議ないと認めます。  それでは、理事椎名一保君、平野達男君及び小林正夫君を指名いたします。     ─────────────
  5. 小野清子

    委員長小野清子君) 次に、国政調査に関する件についてお諮りいたします。  本委員会は、今期国会におきましても、予算執行状況に関する調査を行いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  6. 小野清子

    委員長小野清子君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  7. 小野清子

    委員長小野清子君) 政府参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  予算執行状況に関する調査のため、必要に応じ政府参考人出席を求めることとし、その手続につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  8. 小野清子

    委員長小野清子君) 御異議ないと認め、さよう取り計らいます。     ─────────────
  9. 小野清子

    委員長小野清子君) 予算執行状況に関する調査についての理事会決定事項につきまして御報告をいたします。  本日の質疑総括質疑方式で行い、質疑割当て時間は百三十九分とし、各会派への割当て時間は、自由民主党五十九分、民主党新緑風会五十六分、公明党十三分、日本共産党七分、社会民主党護憲連合四分とすること、質疑順位につきましてはお手元の質疑通告表のとおりでございます。     ─────────────
  10. 小野清子

    委員長小野清子君) 予算執行状況に関する調査を議題といたします。  それでは、これより質疑を行います。浅尾慶一郎君。
  11. 浅尾慶一郎

    浅尾慶一郎君 おはようございます。民主党新緑風会浅尾慶一郎です。  一年半ぶり予算委員会質問をさせていただきたいと思いますが、この間、衆議院の総選挙もございました。その総選挙小泉総理は、民間でできることは民間でという観点から質問をされましたが、一年半前にも私も取り上げさせていただきましたが、私は、民間でできることは民間でということには反対いたしませんが、同時に、民間でできることは官もやるべきだということで一年半前質問をさせていただきました。  その観点から、冒頭幾つ質問させていただきたいと思いますが、まず第一に、この小泉政権ができてからの国債発行残高推移について数字をいただきたいと思います。
  12. 谷垣禎一

    国務大臣谷垣禎一君) 平成十七年度末の公債発行残額は約五百三十八兆円、これは普通国債残高でございます。ちなみに、平成十六年度末は約四百九十九兆円でございました。
  13. 浅尾慶一郎

    浅尾慶一郎君 それでは、我が国GDP比に占めるこの十年間ぐらいの、九〇年代からの推移で結構でございますが、公的資本形成公務員人件費の支出、我が国の分だけの数字で結構でございますので、お願いしたいと思います。
  14. 竹中平蔵

    国務大臣竹中平蔵君) ちょっと数字について通告いただいてなかったようでございますので、申し訳ございません、数字については改めて御報告をさせていただきます。
  15. 浅尾慶一郎

    浅尾慶一郎君 通告をしてありますが。もう一度お願いします。
  16. 竹中平蔵

    国務大臣竹中平蔵君) GDPに対する国債残高でございますので……
  17. 浅尾慶一郎

  18. 竹中平蔵

    国務大臣竹中平蔵君) 申し訳ございません。  公的資本形成GDPに対する比率に関しましては、かつて一〇%程度の、近い比率があったと思いますが、それが今三分の二程度に縮小してきているというふうな認識をしております。
  19. 浅尾慶一郎

    浅尾慶一郎君 公務員の……
  20. 竹中平蔵

    国務大臣竹中平蔵君) 公務員人件費ですか。公務員人件費についてはちょっと数字を持っておりませんので、申し訳ございませんが調べさせていただいて、御報告をさせていただきます。
  21. 浅尾慶一郎

    浅尾慶一郎君 質問通告はさせていただいておりますが、概略であれですけれども、実は、公的資本形成は確かにおっしゃるように減っておりますが、まだ公務員人件費についてはGDP比については減っていないということであります。  そこで、経済財政諮問会議GDP比半減目標にしたというふうに言われておりますが、その経緯と、半減にされる分子の方はどういう数字かということをお答えいただきたいと思います。
  22. 竹中平蔵

    国務大臣竹中平蔵君) 公務員人件費の抑制に関しては、これは国民からも大変期待が高い重要な問題であるということで議論を重ねております。  お尋ね半減の件は、これは民間議員が、民間有識者議員が先般一つの例として提言したものでございます。基本的な考え方は、明確で大胆な目標を立てることが必要であるということ、これについては広く合意があると思いますが、その一例として、例えば総人件費半減GDP比半減するというような一つのめどを持ってはどうかという一つ考え方例示をいただいております。  お尋ね分母分子分母は当然GDPでございますが、分子に関しては、そのときの民間議員一つ例示としては、郵政職員まで含めて国家公務員法を適用されている方々の総人件費ということで提起をされているというふうに承知をしております。今後、その定義についてはしっかりと議論をしていくということになっております。
  23. 浅尾慶一郎

    浅尾慶一郎君 そういたしますと、郵政公社が民営化されれば自然と約四分の一強がそこから抜けるということでありますから、実質半減ということではないという理解でよろしいですか。
  24. 竹中平蔵

    国務大臣竹中平蔵君) 実質の意味でございますけれども、正にそれが定義でありますから、どう定義するかということをこれから議論してまいります。先般の民間議員定義では、国家公務員法が適用されている方ということでの例示がございました。
  25. 浅尾慶一郎

    浅尾慶一郎君 何かキャッチフレーズが先行して実質が少しずつ抜けていってしまうような印象を受けるわけであります。  そこで、実際の今度の国家公務員給与改定というのがあるわけでありますが、その中身について人事院に伺っていきたいと思います。ちょっと中身の説明をいただけますでしょうか。
  26. 佐藤壮郎

    政府特別補佐人佐藤壮郎君) 今年の人事院勧告の内容についてのお尋ねでございますけれども、まず給与につきましては、俸給につきましてはマイナス〇・三六%ということで、これは俸給表全般にわたって〇・三%マイナスにいたします。それから、ボーナスにつきましてはプラス〇・〇五か月ということで、両者を合わせまして約〇・一%のマイナスになる。金額で申しますと、大体公務員一人当たり四千円のマイナスになります。その調整は年末のボーナスの時期にさせていただきたいと思います。  それからもう一点といたしまして、今回は給与構造抜本的見直しということを勧告させていただきました。  これは三本柱から成っておりまして、一つは、地域の住民の方々からその地域で勤務している公務員給与が高過ぎるのじゃないかという批判がございますので、それにおこたえするために、いったん基本給の水準を四・八%下げまして、その上で、民間賃金の高い地域につきましては地域手当という形で調整をさせていただきたいというふうに思っております。  それからもう一点につきましては、これも国民からの御批判で、今民間は非常に厳しい能力実績主義を取っているのに公務員だけは毎年自然に給料が上がっていくのではないかという御批判がございます。それにおこたえをするために、いわゆる査定昇給、毎年の昇給の際にきっちりと実績査定をすると。  それから同時に、年功的な賃金上昇がどうしても公務員にはまだ残っておりますので、それを是正をするために各俸給の級の賃金上昇カーブをフラット化するということを勧告させていただいております。
  27. 浅尾慶一郎

    浅尾慶一郎君 今御答弁を伺っておりまして、ちょっとこれは質問通告しておりませんが、疑問に思った点を申し上げさせていただきたいと思いますが、査定昇給というところで国家公務員法上は勤務成績が良好な者は昇給するというふうになっておりますが、かつてこの委員会で私が質問させていただいたところ、勤務成績が良好な定義有給休暇を除いて四十日以上の欠勤がない者という定義であったと、つまり欠勤三十九日までだったら昇給するということでありましたが、それをやめるという理解でよろしいですか。
  28. 佐藤壮郎

    政府特別補佐人佐藤壮郎君) そういうふうに理解していただいて結構だと思います。  具体的な方法といたしましては、今まで非常に抽象的だった基準に、昇給基準につきまして明確化するということが一点と、それから今までは昇給が一号俸ずつでございました。したがいまして、かなり金額的にも高い、一年間に高い金額昇給するということがございましたので、これを今回からは、今回は一号を四等分いたしまして、実績に応じてそれぞれ職員実績を見ながら昇給をさせることができるというふうな改正にしております。
  29. 浅尾慶一郎

    浅尾慶一郎君 予算委員会で一年半前に指摘させていただいたことがようやく実現できたことはいいことだなと思いますが、もっと早くやっていただければよかったんではないかと思います。  次の質問に移らさせていただきたいと思いますが、先ほど国家公務員給与改定ということで、そのことを受けて本年度及び来年度の、来年度及び再来年度と言った方がいいかもしれません、財務省所管の分の予算増減、そして総務省については、基準財政需要に反映されて結果として減る地方交付税額増減額数字をいただきたいと思います。
  30. 谷垣禎一

    国務大臣谷垣禎一君) 今年の人事院勧告では、地域民間賃金を反映して給与構造改革をやっていこうということでありますが、十八年度から五年間で段階的に実施されるわけでありますが、これが完全実施された場合に国の総人件費削減効果は千五百億円程度というふうに見込んでおります。  やや詳細に申し上げますと、国負担分の総人件費削減効果千五百億でございますが、国家公務員人件費削減効果が約八百億円、そのほかの国負担分人件費、つまり義務教育費国庫負担金等削減効果でありますが、約七百億円、総計、合計しますと千五百億でございます。
  31. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) お尋ねのありました地方公共団体人件費削減効果につきましては、普通会計ベースで約六千億になるだろうと思っておりますが、これは平成十八年の四月から五年間で段階的に実施するということになります。  なお、交付税の方につきましてはこれを基に今から算定をいたしますので、今の段階でお答えすることはちょっとできませんので、年末ぐらいにはお答えできるようになろうと存じます。
  32. 浅尾慶一郎

    浅尾慶一郎君 いろいろ数字をお答えいただいておりますが、冒頭申し上げさせていただきましたように、大変な借金我が国は抱えていると。その中で、公共事業を中心とした公的資本形成についてはかなり、ある程度減らしてこられたわけでありますが、もちろん借金がある間、あるいは税収が伸びない間については公務員の皆さんにも御協力をいただくという趣旨質問させていただいておるわけでありますが、なかなかまだ私自身から見ましても不合理な点、先ほど申し上げました、つい最近までは年間、有給休暇を除いて三十九日まで休んでいても昇給がされるというようなものが残っていたと。そういうものがまだまだあるわけでありますんで、是非そういうところに切り込んでいただきたいという趣旨で引き続き質問をさせていただきたいと思いますが。  官房長官が九時半からたしか会見であるということで、官房長官に年金、共済年金について質問をさせていただきたいと思いますが、先ごろの新聞報道によりますと、共済年金の職域加算はなくしていく方向だと、そういう新聞報道があったんですが、その事実関係についてお伺いしたいと思います。
  33. 細田博之

    国務大臣(細田博之君) 年金制度の一元化につきましては、先日、総理から、厚生年金と共済年金の一元化について処理方針をできるだけ早く取りまとめるように指示があったところでございます。  これを受けまして、九月三十日の閣議後の閣僚懇談会におきまして関係省庁連絡会議を設置することといたしました。早速、昨日には被用者年金制度の一元化等に関する関係省庁連絡会議の第一回会合が開催され、関係各省庁が連携し、様々な課題について検討を始めたわけでございます。  いずれにしても、年金制度は長期的な視野に立って改革を進める必要があり、与野党が胸襟を開いて協議を行っていただきまして、そして今後様々な努力をしていただくことが不可欠でありますので、この指示はあくまでも、被用者年金というものを統一化するためにどういう問題点があるのか、計数的にはどういうことがあるのかということを至急分析し、方向を検討してみると、こういうものでございます。  したがって、国会において与野党で協議をいただくために非常に材料となるような内容にしたいと思っております。
  34. 浅尾慶一郎

    浅尾慶一郎君 そういたしますと、一部新聞報道でありました、職域加算については段階的になくすという報道がありましたけれども、それは先走りだという理解でよろしいですか。
  35. 細田博之

    国務大臣(細田博之君) おっしゃるとおりでございまして、いろいろな問題があるわけでございます。それは、やはり公務員の方が相対的には様々な面で有利になっている。したがって、長年言われてきたけれどもなかなかできない一つの理由は公務員と、国家、地方両公務員と、それから、一般の企業等のサラリーマンといいますか被用者の間で若干の条件格差がございますので、それをどういうふうに調整したらいいのかという点も含めて、それがどのぐらいの規模になるのかとかどういう条件の差が出るのかと、これを一元化するときにはどういう問題点が出るのかということを客観的によく分析してみようということでございますので、方向性を決めておるわけではございません。
  36. 浅尾慶一郎

    浅尾慶一郎君 私は、この職域加算というのは、実はかなり問題をはらんでいると思っております。それはなぜかといいますと、職域加算とは別に、公務員の退職金を計算するときに民間の企業年金に相当するものが含まれた計算式になっているということでありますが、まずその公務員の退職金を計算する際の計算式について総務大臣から御説明いただけますでしょうか。
  37. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) 民間民間の方ですね。
  38. 浅尾慶一郎

    浅尾慶一郎君 いやいや、公務員の計算式の方。
  39. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) 公務員の方。そっちの方を貸してもらった方が話が早いんだが、話が早いんですが。  国家公務員の退職手当と民間の退職手当の違いは、今同じようにいわゆる退職金の中に一時金としてある分と、民間企業の場合、一時金プラス企業年金と二つ足してあるというところがいかがなものかという、これ年来から浅尾議員の方からよく言われるところでありますが、私どもよく知っておるところですけれども、この企業年金相当分のところにつきまして、いわゆる企業年金の方の分の加算してある分のところにつきましては、元々これは退職金の中に突っ込みで元々から計算してあるというところが私どもの考え方の一番のところなんですけれども、それはそっちには都合よく付けてあって、公務員の方にはその部分だけはいわゆる外してあるのはいかがなものかという御意見なんだと思いますが、これは元々の生い立ちが、たまたま時期は重なった時期にスタートしておると記憶しますけれども、基本的には国家公務員のいわゆる身分上の制約というものに課されているということに関して設けられたものでありますので、民間企業のいわゆる退職金としての企業年金の給与水準との設定、いや、給与水準の関係で設定しているというものでは元々ありませんので、今申し上げたような形でお答えをすることになっているんだと思いますが、退職金の性格が異なるので、今の状況としては、前から御指摘があっておりますけれども、私どもとしては妥当なものと考えております。
  40. 浅尾慶一郎

    浅尾慶一郎君 ちょっと私の方でパネルを用意さしていただきましたが、(資料提示)要は、国家公務員の方の退職金、これは総務省が調べられているのは平均で二千九百四十八万円と。それはどうやってそういう計算式になっているかというと、企業年金、民間が大体二千七百九十万円ですと。しかし、そのうちの四割はいわゆる企業年金を一時金でもらった場合のものを含んでいると。つまり、民間の方は、厚生年金に加えて月々企業年金をいただこうと思えば、この約一千万円はもらえないわけですね。しかし、国家公務員の方は、民間さん、一時金でもらっているんだという前提で二千九百四十八万円をお支払いしていると。なおかつ、先ほど御答弁いただきました職域加算というものが、民間にはないものがあると。つまり、ここは完全に二重取りなんで、どっちかをやめるべきだということを申し上げているわけでありまして、その点について総理の御意見を伺いたいと思いますが。
  41. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 今、浅尾議員が指摘されたような問題もあるから、どのように調整していくかと。問題点を整理して、政府だけで決めるんではなくて、与野党が院に協議会を設けているわけであります。その関係も重視しなきゃならない。そこに資料を提供しようと、どういうふうに調整したらいいか、そういう意見を踏まえて、被用者年金の統合に向けてどういう方法がいいかということを進めていこうということでございます。
  42. 浅尾慶一郎

    浅尾慶一郎君 今の総理の答弁は、ちょっともう少し、本当に答えていただいているんじゃないな、じゃないんじゃないかなと思うんですが、つまり、麻生大臣が言っておられるのは、二つあるのは、このように片っ方はその企業年金の部分も含めて、そして職域加算があるのは、職域加算については、これはかつての、去年の答弁ですけれども、国家公務員共済年金のいわゆる職域加算分については、身分上の制約があって労働基本権なんというものがいろいろ制約されている等々があるので職域加算があるという説明があったわけです。  つまり、問題点は大体もう整理されていて、労働基本権を付与すればどっちかは減らせるということになるんだと思いますが、したがって、じゃ労働基本権を付与する意思があるかどうか、労働基本権を付与すればこの部分をなくしてもいいということになるんだと思いますが、その点についての総理のお考えを伺いたいと思いますが。
  43. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) その辺が長年問題にされて、解決が難しいんです。労働基本権が付与されればと言いますけれども、これがまた大変難しいんですよ。国民の世論も考えなきゃいけない。公務員民間企業とは職務性が違う。公務員の身分も保障しなきゃならない。その際に、労働基本権を民間と同じように与えていいのか、この三権。いいという意見といけないという意見両方あるから、その辺もよく調整して国民のいろいろな議論も踏まえなきゃならない。一つの、スト権を本当に与えていいのかということに対しては、もう賛否両論といいますか、反対論も根強いわけです。そういう点も含めて考えていかなきゃならない問題だと思います。
  44. 浅尾慶一郎

    浅尾慶一郎君 その考え方を整理すると、相当時間が掛かると思うんですよ、ずっと今までこの議論をしていますので。  ちなみに、この片っ方をなくすだけで年間で一兆八千億円の大きな財源になるわけでありますから、それはすぐにでも議論をもっともっと詰めていくべきだと。ですから、そのスト権を与えていいかどうか。それは、例えば警察や消防や困るところあるでしょう。しかし、与えても困んないところも一杯あるんじゃないですか。例えば財務省の職員、スト権与えてストするんですか、どうですか。その辺ちょっと伺いたいと思います。
  45. 谷垣禎一

    国務大臣谷垣禎一君) 今、浅尾委員のお話は、確かに大きな削減効果があるじゃないかということですが、もちろん私の立場からすると、できるだけ削減したいという気持ちはあるんです。でも、やはり公務員の身分というのは給与水準だけでは考えることができませんで、どういう職務体系なのか、それは確かに公務員の職務の中にもいろいろ議論がございますけれども、事はマッカーサー以来の公務員法制の基本に関するものでございますから、やっぱりきちっと論点は詰めなきゃいけないと思います。
  46. 浅尾慶一郎

    浅尾慶一郎君 私、冒頭申し上げましたけれども、民間でできることは民間にというのは総理のキャッチフレーズです。しかし、冒頭申し上げましたように、民間でできることは官でもできるんじゃないかと。ですから、民間でスト権与えて困んないところは官でも困んないんじゃないか、そういう職種のところは。それぐらいの整理はできるんじゃないですか。いかがですか、総理。
  47. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) その点も整理していかなきゃならない大事な問題だと思っております。
  48. 浅尾慶一郎

    浅尾慶一郎君 その点も整理というのは、そうすると、スト権はすべての公務員に与えられないということですか。
  49. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 与えられない点もあるでしょうし、与えられる点もあると思います。それは私がはっきり言うべき問題かと。時期があります、専門家の意見もあります。独断でやっちゃいけないと思います。
  50. 浅尾慶一郎

    浅尾慶一郎君 それじゃ、時期というのはどれぐらいの時期までに整理するんですか。
  51. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) できるだけ早くと。
  52. 浅尾慶一郎

    浅尾慶一郎君 これは去年の三月に同じ提案をさせていただいています。一年半たってまだ進んでいないと。ですから、そろそろ結論出したらいかがでしょうか。
  53. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) できるだけ早く。
  54. 浅尾慶一郎

    浅尾慶一郎君 まあこれ以上申し上げても、できるだけ早くということになると思いますが、総理の御関心のあるところはできるだけ早くということではなくて、すべてのことについて是非、先ほど申し上げましたように一兆八千億の財源もあるし、そのお金ということよりも、私はそもそも不公平だと、二重取りであるということ自体が不公平だと思っていますので、そこについてはできるだけ早くやっていただきますようにお願いしたいと思います。  次の質問に移りますが、これも昨年の三月に質問いたしました休息時間というこれも公務員の方にしかない制度でありますが、休息時間というのは有給の、勤務時間にカウントされる休憩時間というふうに考えておりますが、まずその制度の趣旨について伺いたいと思います。
  55. 佐藤壮郎

    政府特別補佐人佐藤壮郎君) いわゆる休息時間あるいは休憩時間の趣旨についての御質問だと思いますけれども、まず休憩時間でございますけれども、これはいわゆる昼休み、それから夜勤のときの仮眠に充てる時間でございまして、職員の健康と福祉のために設けられている時間でございます。これは正規の勤務時間の中には含まれません。  一方で、休息時間というのは、勤務中における軽度の疲労を回復して、その後の公務能率の増進を図るということが趣旨でございまして、これは職務専念義務は免除されておりますけれども、この休息時間中に仕事に戻る必要があるということがあれば、上司の命令によってすぐに仕事に復帰しなければいけないということでございまして、そういうことから、これは正規の勤務時間の中に入れております。
  56. 浅尾慶一郎

    浅尾慶一郎君 そうすると、今の御答弁の趣旨でいいますと、休息時間は、例えば午後三時にちょっと一服するために十五分間休むのに取るのが一番適切だというふうに人事院総裁としては考えられますか。
  57. 佐藤壮郎

    政府特別補佐人佐藤壮郎君) この休息時間の趣旨から申しますと、正におっしゃるとおりだと思います。例えば、肩凝りをほぐすためにちょっと運動をするとか、あるいは目の疲れを休めるとか、そういうのが本来の趣旨だというふうに思います。
  58. 浅尾慶一郎

    浅尾慶一郎君 そこで、伺わせていただきますが、今ちょっとパネルを使って説明をさせていただきますが、(資料提示)この休息時間が、昼休みに一時間あるいは四十五分のところを三十分休息時間を入れるとか、あるいは早帰りあるいは遅出勤のために使われるといったケースがいろいろあるようでありますが、各省ごとのこの休息時間、取っておられる時間帯、何時に何分、そして休憩時間が何分あるかというのをそれぞれお答えいただけますでしょうか。
  59. 細田博之

    国務大臣(細田博之君) ちょっと記者会見の時間の関係で先に答弁させていただきますが、休憩時間は、内閣官房及び内閣府においては、人事院規則に基づきまして、午後零時三十分から零時四十五分までの十五分間になっております。休憩時間は、零時十五分から零時三十分まで及び午後零時四十五分から午後一時までとなっております。(発言する者あり)いや、済みません。最初の十五分は休憩時間、後の十五分ずつは休息時間でございます。
  60. 浅尾慶一郎

    浅尾慶一郎君 各省に伺うと相当時間が掛かるでしょうから、じゃ、外務大臣外務省の例を、ちょっといろいろ外国との関係もあるでしょうから、伺いたいと思います。
  61. 町村信孝

    国務大臣(町村信孝君) 外務省では、十二時半から一時が休憩時間三十分間、その前後十五分ずつが休息時間というふうになっております。
  62. 浅尾慶一郎

    浅尾慶一郎君 どこの省でも結構でございますが、休憩時間が十五分で休息時間が前後三十分というところ、お答えいただけますか。
  63. 岩永峯一

    国務大臣岩永峯一君) 農水省では、十二時三十分から四十五分までの十五分間を休憩時間、それからその前後十五分ずつ三十分を休息時間としております。
  64. 浅尾慶一郎

    浅尾慶一郎君 私はこの休息時間と休憩時間というのはちょっと問題があると思っていまして、休憩時間は完全に無給の時間と。休息時間は何かあったら職務に専念しなきゃいけない時間であります。  先ほど外務省は、三十分が休憩時間で休息時間挟んで一時間だと。外に食事に行かれたときに、職場に戻れといったときにどうやって連絡を取られるんでしょうか。
  65. 町村信孝

    国務大臣(町村信孝君) 昼間、平日の昼間の休憩時間ですけれども、それぞれの課にちゃんと連絡担当者を置いておりまして、当番というんでしょうかね、これを指名して、緊急事態には直ちに関係者と連絡が取れるという体制を取っております。
  66. 浅尾慶一郎

    浅尾慶一郎君 そうすると、外務省の職員は全員携帯電話を持っておられるということですか。
  67. 町村信孝

    国務大臣(町村信孝君) 厳密な調査ではございませんが、ほぼ全員持っているんだろうと思います。
  68. 浅尾慶一郎

    浅尾慶一郎君 持っている持っていないというよりかは、先ほど人事院総裁が言われたように、本来の趣旨は勤務時間中の軽度の疲労を回復するためだと、何かあったらすぐ戻れという趣旨のものでありますから、それを昼休みに入れて早帰りしちゃうということは、これは有給の時間ですからね、無給ならいいんですけれども、有給の時間を昼休みに入れるというのはやめるべきではないかなと。先ほど申し上げました、民間でできることは官でもやるべきではないかと。民間にはありませんから、そういうことはそういう制度の趣旨にのっとってやったらいいんじゃないかなと思いますが、総理の御意見を伺いたいと思います。
  69. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 私は休憩と休息の説明を受けてもすぐ忘れちゃうんですよ、どっちが休憩でどっちが休息かと。なぜこういう細かく分けなきゃならないのかと、ちょっと疑問に思っているんですよ。だから、こういう点についてはまだ改善の余地があるんじゃないかなと思っております。
  70. 浅尾慶一郎

    浅尾慶一郎君 是非、去年も質問したことでありますから、早急に、できるだけ早く改善していただきたいと思います。  外交の問題に時間の関係で移らさせていただきたいと思いますが、安保理常任理事国入りへの取組についての総括をまず外務大臣、お願いしたいと思います。
  71. 町村信孝

    国務大臣(町村信孝君) 国連の改革、様々な分野で今議論が進められているのは委員御承知のとおりであります。その一つの重要な柱が安保理改革ということでございます。一年前の国連総会で小泉総理がそれを強く主張し、率直に言って、一年前の時点では世界全体で余り大きな反応もなかったかなと、こう思うんでありますが、その後、ドイツ、インド、ブラジルと、いわゆるG4というグループで一年間精力的な活動をやってまいりました。  今回の国連総会では、百四十か国近くの首脳があるいは外務大臣が安保理改革の必要性を訴えるというところまで安保理改革のモーメンタムといいましょうか、機運は大変高まってきたということが言えるというふうに私は考えております。ただ、現実に、G4のいわゆる枠組み決議案と申しておりますけれども、それは採択に至らなかったというのも事実でございます。そういう意味で、この夏で言わば第一段階は終了して、今度は第二ステージに移るのかなと、こう思っております。  その際に、先般の国連首脳会合で成果文書というものがまとめられまして、その中で安保理改革の位置付けというものを国連改革の中でも不可欠の要素であるというふうに位置付けた上で、その早期実現に向けて本年末までに国連総会が進捗状況をレビューすべしという合意文書ができ上がったところでございますので、今後そうした方面で様々な努力をしていかなければいけないと、かように考えております。
  72. 浅尾慶一郎

    浅尾慶一郎君 まあ客観的に言えば、この常任理事国入りの運動は失敗だったということだと思います。  そのことを踏まえて、まあ、失敗でないと首を振っておられるので、それではちょっと細かく伺っていきたいと思いますが、安保理に入るために専任のいわゆる大使は何人置かれましたか。
  73. 町村信孝

    国務大臣(町村信孝君) 簡単に浅尾委員は失敗であったと断定をされました。確かに、枠組み決議案が通らなかったわけですから、そこの部分だけを見れば失敗だという指摘をされても、それは私はあえて否定はいたしません。しかし、それですべてが終わったというわけではないわけでありまして、今後引き続き様々な議論、様々な努力が国連の舞台を中心に繰り広げられていくわけでございまして、言わば第二ステージをこれからどう運営をしていくのか、我が国としてどう取り組んでいくのかということについて今後様々な努力をしていく必要があるという意味で、少なくとも、ここまで安保理改革の機運が高まったということについては私はそれなりの成果があったものだと、かように考えております。  こんな難しい問題が一年やそこらで簡単に解決をするということではない、大変難しい性格のものであるということを分かった上で私どもはこの運動を始めているわけでございますから、そういう意味で、私はただ単に失敗であったという簡単な結論付けをするのは余りにも性急ではないだろうかと思います。  なお、今、国連改革の担当大使、何人指名をしたかということでございますが、外務省では今年の三月二十五日に、大きくアフリカ担当とかアジア地域担当とかいろいろ分けまして、六名を国連改革関係業務に従事をさせると。その後、若干入れ替わりがありまして、現在は七名が担当大使というものを務めてやっております。
  74. 浅尾慶一郎

    浅尾慶一郎君 七名置いてまたやっていくということなのかもしれませんが。  それでは、一部報道でありますが、国連の分担金について削減を目指していくという、町村外務大臣、国連総会での演説もございました。これはいわゆる安保理常任理事国入りの失敗に伴ってのものなのか、それとは切り離してのものなのか、その点についての外務省としての解釈を伺いたいと思いますが。
  75. 町村信孝

    国務大臣(町村信孝君) くどいようでございますが、失敗と私どもは考えておらないということを前提にしてお答えいたしますけれども、この分担率というのは、委員御承知のとおり、三年に一回ずつ見直しをするということになっているわけでございまして、現在の分担率は二〇〇六年まで用いられると。したがって、二〇〇七年以降の分担率については来年の年末までに改めて議論をし直して決めていくということが既に決まっているわけでございます。  したがって、この九月から始まった国連総会、一年間続くわけでございますが、その間に見直しの議論をやっていく、その冒頭であるということで、私は国連総会でこの見直しというものが必要であると。すなわち、国連分担率というものが加盟国の経済実勢に即して、これは基本的にそれぞれの国のGNIに基づいて計算をされるということが基本でありますが、その実勢に即した上で、かつ国連における加盟国の地位と責任というものが適切に考慮された衡平かつ公正なものにすべきであると、こういう主張をしたわけでございまして、直接この安保理云々と、安保理入りをどうこうということと関連付けて言っているわけではございません。
  76. 浅尾慶一郎

    浅尾慶一郎君 一方で、外務大臣がかつて記者会見で、国内で、安保理に入らない場合には、安保理常任理事国がかなわない場合には分担金を下げろという議論も出てくるという発言をされておりましたが、その点についてはおっしゃっていますね。
  77. 町村信孝

    国務大臣(町村信孝君) これは、大阪で外務省の国連改革のタウンミーティングというのを開きました。その中で参加者のお一人の方が、常任理事国入りできない場合には大幅に分担を下げたらどうかという発言をされた方があったわけでございます。  たまたまその直後、私はニューヨークに参りまして、国連の記者会見場でいろいろな質疑応答をやった。その中で、ある外国の記者の方がこの問題を提起されたものですから、私の方から、実は先日のタウンミーティングでこういう意見がありましたという紹介を私はしたことがございます。
  78. 浅尾慶一郎

    浅尾慶一郎君 地位と責任ということの演説はされているわけでありますが、現実に、その地位あるいは責任が安保理常任理事国ほどはないというのは事実だと思います。  そこで、したがって、地位と責任に応じた分担金の削減を求めていくというのは日本政府の立場であると思いますが、一方で、米国などでも議会がそのことを推進する、推し進めるというか歯止めを掛けるというか、ある条件が満たない限り予算を執行させないというのはアメリカなどの議会では決めておりますけれども、例えばそういう法案が出た場合に、自民党の総裁として小泉総理はどういうふうに判断をされますか。
  79. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 国連分担金について、各国のGNPに応じてという一つの原則がありますが、必ずしもGNPに比例していないんですね。それは、そういう原則があっても、ある程度一定の幅を持たせて、比例だけでない要素も入っている。  しかし、現在アメリカにおいても、アメリカの負担が多過ぎるんじゃないかという動きが議会の中であるというのは承知していますし、日本でも、常任理事国でないにもかかわらずアメリカを除いたロシア、中国、フランス、イギリス、この四か国よりも多い、これはいかがなものかということから、その公平性、こういう観点から分担金の見直しを進めてもいいのではないかという議論もしております。これは今後も続けていかなきゃならないと思います。
  80. 浅尾慶一郎

    浅尾慶一郎君 私の質問は、今御答弁ありましたけれども、実はアメリカは国連全予算の二二%を負担しています。日本は一九%です。日本の経済規模はアメリカの半分です。ですから、一九%という数字自体が多過ぎると。したがって、それについて議会として、これは予算は議会のあれですから、議会としてそういう法案を出すと。それの条件が満たない限りは予算執行を止めるという法案を出すとした場合に、これは内閣ではなくて自民党の党の総裁としてどういうふうに考えられるかということです。
  81. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 金出しているから発言権よこせという理屈も分かりますけれども、私は、お金だけじゃないと、日本の役割というのは。国会でそういう議決が出ればということでありますが、出るかどうか分からないんですから、そういう点についてはよく国際情勢なり日本の果たす役割、これも十分考えていかなきゃならない問題だと思っております。
  82. 浅尾慶一郎

    浅尾慶一郎君 私が申し上げたいのは、要するに、国連に言うだけ言って決まればそれに従うという姿勢ではなくて、議会は国連とは別の場所ですから、議会としての姿勢を示すべきだと。それは、ある条件が満たない限りこの予算の執行は認めない、そういう法案を出すことはできるわけですから、それについてどういうふうに考えるかという質問です。
  83. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) そういう議論が行われ、日本の国会がどういう意思を表示しているかというのは一つの意義があると思います。それはやっぱり議論を見守らなきゃいけない。そういう決議が出されて、可決されるか否決されるか、そういう点も含めて考えなきゃならない問題だと思っています。
  84. 浅尾慶一郎

    浅尾慶一郎君 是非自民党の総裁としての御意見を伺いたかったわけでありますが、お答えいただけないようでありますので。いや、お答えいただけるんならどうぞお願いします。
  85. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 今のはお答えだから答弁なんです。
  86. 浅尾慶一郎

    浅尾慶一郎君 そういう法案について賛成か反対か、あるいは考え方について伺おうと思ったんですが、どうも答えていただけないので次の質問に移らさしていただきたいと思いますが、六か国協議、六か国協議について伺いたいと思いますが、この六か国協議については軽水炉の提供と核開発、拉致問題の、開発の、我が国の解釈、どちらが先なんでしょうか。
  87. 町村信孝

    国務大臣(町村信孝君) 拉致との後先ということについて今のお尋ねでございました、軽水炉の提供ですね。  これは、日朝平壌宣言にございますように、拉致、それから核、ミサイルと、これを包括的に解決して、日朝国交正常化を実現をして、その上で経済協力を行っていくと、これが政府の基本的な考え方でございます。  六者会合の共同声明にございますこのエネルギー支援等につきまして今後具体的に議論をされていくわけでございますけれども、日本の参加については、こうした諸懸案の解決に向けての進展状況というものを見つつ、また日朝関係全体の状況を見ながらこれは考えていくということで、一義的にどちらが先か後かということを今軽々に発言することは外交上得策ではなかろうと、こう思っております。
  88. 浅尾慶一郎

    浅尾慶一郎君 そうすると、今の御答弁をもう一度整理しますと、軽水炉の提供が先である可能性もあるというふうに聞こえますが、それでいいんですか。
  89. 町村信孝

    国務大臣(町村信孝君) まず、軽水炉と核兵器の廃絶ですね、これにつきましては非常に前後関係は、少なくとも北朝鮮以外の五か国は明確な共通認識を持っております。それは、すべての核兵器及び既存の核計画の検証可能な放棄を約束をした後の適切な時期にこの軽水炉の提供問題を議論することあり得べしということで、この後先ははっきりしております。  ただ、委員お尋ねのこの拉致との関係、これにつきましては、私どもは拉致、核、ミサイル、それらを一括して考えるという立場でございますから、先ほどのその核兵器あるいは核計画と軽水炉の後先は非常にはっきりしておるわけでございますが、他の問題については今のところ、そこをあえて私どもは明示しないでいるという考え方に立っているわけであります。
  90. 浅尾慶一郎

    浅尾慶一郎君 核開発、核廃棄については、軽水炉はその後だよと、核開発が先だよと、しかし拉致については、そこについては明確に答えないということ、場合によっては拉致の問題の根本的な解決の前に軽水炉の提供もあり得べしという御答弁というふうに伺いましたが、拉致の御家族あるいは国民感情としてはこれはとても納得できないようなものだというふうに思いますが、今の答弁、確認させていただきますが、それでよろしいですか。
  91. 町村信孝

    国務大臣(町村信孝君) もとより私どもはこの拉致問題、今言われた御家族の皆さんのお気持ちを踏まえながら、正に国家による人権のじゅうりんであるということで、今その解決に向けて、一時期中断をしておりましたが、今、日朝二国間の話合いを今正に再開しようかということで、その下準備が、連絡が取られ始めているという状況でございまして、一刻も早い拉致問題の解決に努力をしていくということについて何ら変わりはないわけであります。  ただ、そのことと今回の六者協議との関係、ある意味では同時並行して進んでいく協議プロセスになろうかと思いますので、簡単にどちらが後だ先だということを申し上げるのは現状ではなかなか難しい。あえてそこは明確にさせないことが私どもの外交のフリーハンドというのを持ち得るのではないかと、こう考えているからでございます。
  92. 浅尾慶一郎

    浅尾慶一郎君 私は、少なくとも拉致の問題の解決を見ないうちに、軽水炉の協議はあるかもしれませんが、実際の具体的な提供があっては、これはとても国民が納得できないというふうに思いますが、それでもやられるということであれば、まあそれは政府の判断ということだと思いますが、自民党席からもそれはおかしいと首をかしげる声も出ておりますが、そのことは申し添えておきたいと思います。  そこで、少なくとも軽水炉と核廃棄はセットだと、核廃棄は先だということでありましたが、北朝鮮は政府の公式なプレスリリースとして、軽水炉の提供が先だということを言っております。このことについて外務省として、あるいは政府として抗議はされましたか。
  93. 町村信孝

    国務大臣(町村信孝君) この点は、正に六者協議の最終日で、あるいはその六者の今回の合意文書をまとめるプロセスの中で大変に議論になった、ある意味では最大の争点になった部分でございます。先ほど申し上げましたように、北朝鮮以外の日本を含めての五か国は、当然のこととして軽水炉提供問題は当然後に来るんだということをステートメントで明確に申し上げておりますし、そのことは自後の記者会見でもはっきりしております。  北朝鮮も当然そういう理解であると私どもは思っておりますが、今、委員御指摘のとおり、あの六者会合の翌日でしたか、そういう先方北朝鮮政府の談話というものが出されたわけでございますが、これは十一月ごろに再開をされるであろう次回六者協議の中で、正にどういうテーマをどういう手順でどういう形で検証可能なものにしていくのかという、言わば実質的な、本当にある意味では難しい協議の言わば前哨戦が既に始まっているということであろうなと私は受け止めております。  いずれにしても、北朝鮮側の談話、演説というものは他の五か国にとって全く受け入れられるものではないということは明確でございます。
  94. 浅尾慶一郎

    浅尾慶一郎君 全く受け入れられるものではないということを日本の国会で言うのと直接そのことを北朝鮮政府に対して次回の協議の前に伝えるのとは別問題だと思いますが、なぜそのことを伝えないんですか。
  95. 町村信孝

    国務大臣(町村信孝君) 言わばそういうことになることも予想しながら、既に六者協議の最終日にそのことはそれぞれの代表団が言っているわけでありますから、一々の談話に一々またそれを言うということも一つの方法かもしれませんが、正にそれは十一月からの実質議論の中でそのことが議論をされると、また日朝間での話合いの場も持たれれば、その場ではっきり申し上げていくことは当然のことだと思います。
  96. 浅尾慶一郎

    浅尾慶一郎君 少なくとも、北朝鮮に申し入れないまでも、政府として主体的に遺憾であるという声明は出すべきだというふうに私は思います。そのことについてどうも出しておられないようなので、次回に譲るということであれば、それは一つの、まあ間違ったメッセージを送るんではないかなというふうに思っておりますので、そのことを申させていただきたいと思います。  ここでなぜこういうことを申し上げるかといいますと、先ほどの国連の分担金もそうでありますが、どうもその流れに従って決めるという姿勢があるわけでありまして、そうではなくて、日本の政府として主体的にどう行動するかということが大事なんではないかなと、そのことを是非申し上げたいと思いますが、その点についてもし何か総理もあれば。
  97. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 六者協議という場というものは、今後、北朝鮮との交渉の場でも大変重要な場であると思っております。日本政府の主体的な考えを伝える、そういう場でもあるし、同時に各国との協力を重視する場でもあると、両方大事だと思っております。
  98. 浅尾慶一郎

    浅尾慶一郎君 私は、その個々のコメントについて申入れをする、あるいは少なくとも政府としてそれは違うということを、聞かれて言うんではなくて主体的に言うべきだということを改めて申し上げさせていただきまして、最後の質問項目に移らさせていただきたいと思いますが、最後は総理お得意の郵政問題について少し伺っていきたいと思いますが、まず、NTT、JRがよく対比されますが、NTTが民営化される前と後の東京─大阪間の通信料金、お答えいただけますでしょうか。
  99. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) お待たせしました。  昭和六十年、一九八五年、NTTを民営化をしたんですが、そのときに、東京—大阪間の電話料金、NTT発足時点で三分四百円、平日昼間でありましたのが、競争の進展の結果、まあ技術も進んだんだと思いますが三分八十円になっていると、NTTコミュニケーションズの場合の例であります。  IP電話というのが出てきておりますので、IP電話の例でいきますと、NTT東西の固定電話にIPを使って掛けた場合は三分八円でありまして、料金はいずれも税抜きの形であります。
  100. 浅尾慶一郎

    浅尾慶一郎君 次に、JRについて伺いたいと思いますが、JR各線の中で、近郊ということで結構でございますが、キロ当たりの一番安い五路線をまず伺いたいと思います。
  101. 北側一雄

    国務大臣(北側一雄君) 近郊で運賃が安い区間ですね。そこに出ておるとおりでございます。一位から五位まででございますが、一番安いところを申し上げますと、大阪—神戸間が三十三・一キロでございますが、運賃三百九十円でございます。
  102. 浅尾慶一郎

    浅尾慶一郎君 パネルを用意しましたので申し上げたいと思います。(資料提示)まあ私の出身の神奈川も横浜—大船間の方が横浜—品川間よりも大分高い。品川—横浜間は安いんですね。今お話がありましたJRの各線上位五位は、すべてこれは競合の私鉄が並行して走っています。横浜—品川間も御案内のとおりJRと京浜急行が並行して走っているからキロ当たりの運賃は安くなっているということであります。  そこで、質問であります。  また、先ほどのNTTは四百円だったものが、まあ八円というのはこれは技術革新だと思いますが、八十円は競争の結果だということだと思いますけれども。質問は、郵政民営化すると、民営化すればすべてのことが解決するということでありますが、本当はこの郵便事業については信書便法案ということでなかなか民間の参入が難しくなっていますが、その信書便法案を改正する用意があるかどうかというのは最終的に総理に伺いたいんですが、その前に総務大臣に、新たに民間の事業者が信書の配達に参入しようとした場合にポストを何本全国に造らなきゃいけないかと、その数字を伺いたいと思います。
  103. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) 信書便の差し出し箱と言われるいわゆるポストのあれは約九万九千、正確には四百五十六本ということになっておりますが、これは人口と人口密度比との関係で割っておりますので、政令指定都市だと簡単に言えばまあ千人当たりで〇・五本ということになりますが、過疎地にいきますと約二本ということになりますので、人口密度の差が非常に大きく勘案されているという点もあると。よく忘れられるところですけれども、そこが大事なところだと思います。
  104. 浅尾慶一郎

    浅尾慶一郎君 最後に総理に伺いますけれども、今、JRとNTTの例を出しました。JR、NTTは民営化されて良くなったという話でありますが、それは競合するところがあって良くなっているわけでありまして、信書便法案については、今般民主党が出しました郵政法案についてこれについても適切な時期に見直しをすると。今、十万本も新たに箱を造るというのはなかなか大変だというようなので見直しをするということも入れてありますが、どうですか、その競争促進についてどういうお考えがあるか、その点について伺って質問を終わりたいと思います。
  105. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 私も見直していいと思いますね。できるだけ参入しやすい環境をつくるべきだと思います。十万本が固定される必要はないと思います。
  106. 浅尾慶一郎

    浅尾慶一郎君 終わります。
  107. 小野清子

    委員長小野清子君) 関連質疑を許します。若林秀樹君。
  108. 若林秀樹

    若林秀樹君 民主党新緑風会若林秀樹と申します。  まず私は、参議院議員として今回の解散・総選挙、私は解散権の濫用だというふうに思っております。これは、百歩譲って憲法上問題がないとしても、私は今のこの民主主義の、大切な民主主義のルール、あるいは理念上極めて問題だというふうに思っております。  なぜ参議院が存在するのか。これは、二院制におけるある意味での良識の府であり、衆議院をチェックするのが我々の役目であります。ですから、法案の中身を一番知っている我々が、これは国民のためにならない、やめておいた方がいいというのがあの八月の判断であります。それにもかかわらず、小泉総理は衆議院を解散したということです。  我々自身も昨年選挙があったんです。我々自身が国民の代表であり、その我々が決定したことがそのときの民意なんですよ。これに従うのが本当の二院制システムじゃないでしょうか。  まず、冒頭、認識を伺いたいと思います。
  109. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) その質問のとおり、国会は郵政民営化必要ないと判断を下したんです。そこに私は納得できなかったんです。本当に、民間にできることを民間にと言いながら、国会おかしいんじゃないかと、国民に聞いてみようと。異例でありますけれども、国民にその判断を仰いだというのも事実であります。  同時に、憲法上問題ないと若林議員も言われました。憲法上全く問題ない。政治的判断で解散権は内閣にある、総理大臣にある、専権事項である。そして、国民がこの問いに対してどういう判断をされるかということで、最大の争点である、すべてではありませんが最大の争点にしたと。  同時に、民主党内閣不信任案を上程したんですよ。内閣不信任案を上程したからには、解散も予想したからこそ上程されたんじゃないでしょうか。私は何ら問題ないと思っています。
  110. 若林秀樹

    若林秀樹君 私は極めて問題だと思っております。やはり、憲法上というよりはやっぱり道義上、あるいは民主主義のやっぱり理念という考え方において私は極めて問題だというふうに思っております。  今回も、郵政民営化の信任を問うという国民投票ではございましたけれど、本当に郵政民営化が必要かどうか。もし自民党、公明党票が小選挙区の票でそれは賛成票だとすれば、反対票としての野党の票のが多いんですよね。だから、そういうこともやっぱり踏まえなきゃいけないと思いますし、今回は郵政民営化の信を得たと仮に百歩譲っても、そうだとしたら、問題は中身なんですよ。そういう意味では、この八月の時点において何ら変わってない。今回、郵政民営化の中身が不問にされるわけがないわけです。  ですから、今回、早くも反対議員が賛成に回られたという方がいますけれど、問われるのはこれは中身なんですよ。正に、参議院として国会として法案の中身を審議する。国民郵政民営化は取りあえずいいと言ったかもしれない。しかし、中身が問題なんですよ。年金改革、反対か賛成か、みんな賛成なんですよ。問題は中身。あの十四年間上がったのが中身であればみんな反対するんで、だから、我々は、国会議員の責務として、今ここでやはり真剣な議論をすることが我々の責務じゃないでしょうか。法案の中身を審議するのは我々の責務だと思います。  だから、その意味において、小泉総理、今回の審議状況によっては、我々も対案を出しましたけれども、その中身を修正するおつもりはあるでしょうか。
  111. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) これから審議するわけでありますが、時期も八月じゃなくて、もう遅れています。民営化の時期はずらしますけれども、中身は基本的に変えません。  同時に、民主党は公社のままでいいと言ったのが、どうして今度変えるんでしょうか。
  112. 若林秀樹

    若林秀樹君 変えてません。
  113. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) いや、変えているじゃないですか。今聞いて、これから出す、対案を出すと民主党言っているけれども、公社のままじゃないとか、簡保は民営化とか、全然変えちゃっている。今までの国会論議と全然変えちゃっている。これもまたおかしいんじゃないですか、そういう議論からすると。
  114. 若林秀樹

    若林秀樹君 だから、審議はこれからですから、最初から変えないというのはおかしいじゃないですか、今の私の問いに対して。審議状況において変えるおつもりはあるんですかと聞いたら、もう最初から変えるつもりはないということがやっぱりおかしいと思いますよ、それは。国会は軽視しているというふうに私は思います。  これが、昨日、郵政改革法案を提出しました。我々が選挙を通じて言ってきたことは、この中身であります。具体的に言うとこういうことでありますから、何も我々のポジションが変わったということはありません。  民主党法案は国民の暮らし安心法案であります。官業焼け太り民業圧迫法案が政府案であります。我々は、郵便は公社を維持すると言っているんです。その上で、郵貯会社を一〇〇%政府出資の子会社にしていくと。保険会社は五年後を完全民営化にするということでございますし、国民の権利として国の責任で全国的サービスを維持するというのが根本的に政府・与党案とは違うというのが今の状況ではないでしょうか。そして、定額貯金を廃止し、限度額は段階的に五百万円を下げていく、規模縮小により官から民にお金が流れるということでございます。  国民は、恐らく二兆円の名前を掲げた基金まで作って民営化を維持するなんていう法案は、だれも知らないですよ。いまだに恐らく郵便局の公務員は税金で支払われるというふうに思っていますよ。そのことを通じて、総理はあえてそこを逆手に取って今回やったということについて、私は、基本的な態度において私はおかしいと思います。  いずれにしても、今日これを議論するつもりはありませんけれども、もし御感想があれば一言言っていただいて、次の質問に移りたいと思いますが、いかがでしょう。基本的に変わっていませんよね。
  115. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) いや、分かりやすく言えば、民主党は、公社のままがいいと、公社のままで解決すべきだと。
  116. 若林秀樹

    若林秀樹君 公社でいいんです。
  117. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 株式会社すべきでないと、盛んに議論言っていましたよ。それが、どうして簡保を民営化するんですか。これ、公社のままじゃないでしょう。
  118. 若林秀樹

    若林秀樹君 公社のままですよ。
  119. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 公社のままじゃない、対案をこれから出される、これから議論しますけれども、民主党議論を聞きますと、公社のままで改革可能だから、株式会社は改革にならないって、岡田議員も言っているんですよ。  しかも、三事業一体でなければネットワークは維持できない。三事業一体じゃないじゃないですか、対案は。郵貯と簡保は国の責務として維持すべきだと。全然違うじゃないですか、民主党の対案は。どうなっちゃっているんですか。
  120. 若林秀樹

    若林秀樹君 基本的には変わっておりませんので、これについてはまた衆議院できちっと議論していきたいというふうに思っておりますんで、そのことを冒頭申し上げております。(発言する者あり)  今回、逃げておりません、憲法、この改正に限らず、次の質問でございますけれども、今回、その郵政民営化を問う国民投票だと言うんであれば、そこまで国会を否定するんであれば、最初から国民投票法というのを作ったらどうですか。そういう考えはおありでしょうか。いわゆる憲法改正のための国民の手続法ではなくて、重要な案件は最初からもう直接民主主義でやるということを決められるお考えはありますでしょうか。
  121. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 今回の衆議院解散・総選挙国民投票法案とは別です。それは、今回の解散は、一つでは、国民投票的な意味を持つものであるという議論は知っております。しかし、同時に、私は最大の争点であるということは言いました。同時に、私は、四年間余り政権を担当しております。これは、国民が最大の争点であるということを認識しながら、四年間の小泉内閣実績も評価した上での判断だと思っております。  国民投票法案はこれから国会で議論されればいいと思いますし、これは、解散・総選挙国民投票法案とは別のものであります。
  122. 若林秀樹

    若林秀樹君 いずれにしましても、そういう形で、やっぱり国会を軽視する形でああいう解散権の踏み切るというのは私はおかしいというふうに思います。  基本的に、郵政民営化の議論もそうでしたけれども、地方自治体の意見書さえ否定をする、国会の決定さえ否定する、これで本当にいいんでしょうか。私はその疑問を提示して次に質問に移りたいと思います。  次、税財政の問題についてちょっと移りたいと思います。(資料提示)  お手元の資料があろうかと思いますが、あっ、資料配っていないですか。あっ、済みません。  基本的にこの十五年間にどうなったかといいますと、税収は六十兆円に対しまして四十四兆円、そして国の一般会計が七十兆円弱から八十二、三兆円ということですから、税収が三〇%下がって、そして一般会計の歳出が二割ほど伸びていますんで、これでは赤字が続くに決まっているんであります。  これを放置してきた政治の責任もあろうかと思いますが、一番改革が進んだかどうか分かりやすいのは、借金が増えたかどうかであります。この四年間に二百兆円増えました。今この瞬間にも相当なお金が垂れ流しになっているわけです。  小泉総理は、出たときに三十兆円枠と言いながらも、結果的には三十五兆円、三十六兆円、三十四兆円。これ何で減らないんでしょうか。
  123. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) これは、私が三十兆円程度に抑えるべきだと、以内に抑えるべきだと言ったのは、税収が五十兆円ある場合という前提であります。  当時を思い起こしていただきたい。民主党は法律で三十兆円に国債発行を縛れと言ったんです。そのとき私ははっきり拒否したんです。経済は生き物であると。これは全体の問題として、財政だけでなくて、国債発行枠だけでなくて、経済は生き物だから全体を見なきゃいかぬと。税収が五十兆円あれば三十兆円の枠内で済んだんです。それを民主党は法律で縛れと言うから、もし五十兆円なかった場合はどうするのかと。歳出削減する、これは景気に悪影響ももたらす面があるんです。同時に、それでは税収も減ったから国債発行枠を減らせ、三十兆円守れといったら増税せざるを得ません。これも経済全体に悪影響もたらすんです。  だから、全体を見て、景気回復して経済を上向きにさせない限り税収も増えない、その辺をよく考えなきゃならないから、あえて民主党が法律で三十兆円枠に縛れと言ったのを拒否して全体を見たからだんだんだんだん景気が上向いてきたんじゃないでしょうか。
  124. 若林秀樹

    若林秀樹君 ですから、なぜこの公債発行枠は減らないのか、なぜ借金が二百兆円増えた、その理由を聞いているんです。そういう責任転嫁しないでください。
  125. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) それは今まで、景気を回復させるためには公共事業を増やすべきだ、減税をすべきだということで、それが効果ないということから、もういかに景気が停滞したとしても国債をこれ以上増やして果たしていいものかどうか。かといって、歳出削減だけで景気が上向くのかという問題もあります。  その辺を全体的に見ながら、今それじゃ国債発行枠を抑えて歳出を削減と増税だけで経済全体が上向くかというと、そうじゃない。それは全体を見なきゃ、バランスを見ながら考えなきゃならないということで、将来的にはこの国債発行というものをできるだけ少なくしていく、歳出削減にも取り組んでいかなきゃならない、同時に経済の状況というもの、景気を回復軌道に乗せなきゃならないと、そういう総合的な点も見なきゃいけないと思っております。
  126. 若林秀樹

    若林秀樹君 ちゃんと質問に答えてくださいよ。なぜ借金が増えているのかということについて端的に答えてください。
  127. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 今、私、答えているつもりなんですけどね。  それでは、(発言する者あり)いや、借金を減らすためには歳出削減と増税でやれば借金減りますよ。果たしてこれが本当に景気を回復軌道に乗せる道かと。必ずしもそうじゃないからであります。
  128. 若林秀樹

    若林秀樹君 まあ、お答えいただけないようですから、次の質問に行きますけれども。  今回の例えば世界経済フォーラムの発表した国際競争力、十二位に低下しました。最大の理由は財政赤字です。財政赤字の順位が百十七位中百十四位、これがやっぱり国際的に信用力をなくしている、競争力の低下だといって見ている事実をしっかり私は認識していただきたいと思います。これは異常な数字ですよ、この借金は。そのことを分かっているんでしょうか。この異常な状態を垂れ流し続けている、六十年後、まだ生まれていない人たちに借金を押し付けている、この状態をきちっとやっぱり認識すべきだというふうに思っています。  今のお答えでいえば、歳出削減ができていないということをお認めになったわけですよ。やっぱり、無理なんだと、もうこれ以上はできない、だから増税に転嫁したという意味におきまして、今回マニフェストにおけるサラリーマン増税を行うと政府税調との考えは取らないという、ちょっと早口で恐縮ですけれども、考え方は取らないというのは具体的にどういう意味なのか、総理にお答えいただきたいと思います。総理に聞いているんです。
  129. 谷垣禎一

    国務大臣谷垣禎一君) 私どもの党のマニフェストに、サラリーマンを、ちょっと正確な文言は、間違うかもしれませんが、記憶で申しますと、サラリーマンをねらい撃ちにしたような政府税調のサラリーマン増税は取らないという趣旨の発言が、趣旨の文章が盛り込まれているわけですね。  これはどういうことであったかといいますと、政府税調がこの選挙の前に所得課税に関して論点整理を出しまして、所得税のいろんな、働き方の変化やあるいは家庭の在り方の変化、こういうものを見据えまして、どういう今後論点があるかを整理した、言わば中間報告でございます。ところが、その論点整理で挙げました問題をすべて増税に結び付けるかのごとき世間に誤解がありまして、そういった世間の誤解も含めて、サラリーマンだけをねらい撃ちにするようなサラリーマン増税はしないというマニフェストになったわけでございます。
  130. 若林秀樹

    若林秀樹君 私の質問は、政府税調の考え方は取らないという取らないというのはどういう意味なのかという、微妙なニュアンスを含んでいるんじゃないかなと。これを参考にして実施するのかしないのか、取らないというのはどういう意味ですかということをお聞きしているんです。
  131. 谷垣禎一

    国務大臣谷垣禎一君) 取らないということは、そういう、先ほど申しましたような政府税調の案に対する世間の誤解も含めて、そしてサラリーマンだけをねらい撃ちにするような税制改正というものは行わないという意味でございます。
  132. 若林秀樹

    若林秀樹君 それでは、サラリーマン以外も含めた全体の増税はするという理解でよろしいでしょうか。
  133. 谷垣禎一

    国務大臣谷垣禎一君) それはこれからの議論でございますが、先ほどからの御議論のように、歳出カット、私ども無駄なものは省かなければいけないと思っております。しかし、一般会計が八十二兆二千億、税でいただいているのが四十四兆でございますから、このギャップを歳出カットだけで埋めるというのは現実には不可能でございます。いろいろ議論をしながら、どっかで税のお願いもしなければならないということに私はなると思っております。  ただ、そのためには、一体、社会保障を含めてどういう給付をすべきかという議論を詰めていくこと、それに対応する負担はどうあるべきかというような議論も詰めていく、そして税体系も、単に所得税だけがあるわけではありません。資産課税もあれば企業課税もあれば、いろんな税がございますから、そういう全体像の中で見極めていかなければならない問題だろうと思います。
  134. 若林秀樹

    若林秀樹君 常識的に見れば、マニフェスト読めば、これ読めば、四年間はサラリーマンの増税はないというのが常識的なとらえ方だと思いますので、選挙が終わるとそのように解釈されるというのは、少しやっぱり国民をだまし討ちにしているんではないかなというふうに思います。早くも定率減税はやる方向で検討するということも、ちゃんと政府税調には廃止ということも書いてあるわけですんで、そういうことも含めて、選挙に大勝したから早くも公約をほごにするんではないかという感じがいたします。  その上で、サラリーマンから見ると、やはり自営業の所得捕捉に対して非常な疑義を持っていると。やっぱり不公平じゃないか。サラリーマンに対しては、まずここの不公平税制をきちっとやっぱり解消することが先決じゃないかなと思いますが、総理、いかがでしょうか。
  135. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 確かに自営業者とサラリーマンについては、働き方も違いますし、所得把握の点においても違います。その点からいうと、どこまで所得把握を自営業者に対してできるかと。サラリーマンのようにきっちりとできない部分もあるでしょう。商売をしている、また労働時間も違う、家族で一生懸命協力しながらやっておられるという自営業者の特質、そういう面がありますから、どこまで所得把握を自営業者の皆さんにサラリーマンと同じようにやっていくかという問題につきましては、これまでに、今までいろんな議論がされてきたわけです。まあ、一つのいい例が納税者番号でありますけれども、こういう点についても今後どこまで近づけるかと。まあ一緒にするというわけには働き方が違うわけですから無理でありますけれども、その所得把握の面においてはできるだけ正確なものに近づけていく、あるいはサラリーマンの皆さんとそれほど不公平感がないようにどう近づけていくかというのは今後大事な課題だと思っております。
  136. 若林秀樹

    若林秀樹君 これは年金の一元化に向けた議論にとって非常に重要な課題だというふうに思っておりますんで、是非ともそこについてやはり、一歩をやっぱり踏み込んだ考え方が必要ではないかなというふうに思います。  今、納税者番号の話が出ましたけれど、私は、国民理解がないという理由で、谷垣大臣も前挙げられてましたけれど、やっぱり政府の決断というものが必要です。郵政民営化もそうですけど、小泉総理が決断したから、少しずつですけど、郵政民営化の理解が深まってきたんではないでしょうか。正にシャウプ税制以来の課題でありますんで、この納税者番号制度の導入について総理の決意を、是非とも前向きな御発言をお願いいたします。
  137. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) この納税者番号というものは、将来実施していくということが望ましいという前提でこれは議論をしていかなきゃならないと思ってます。  ただ、納税者番号についても、どの程度までやるかというのは、今後、この国会の中におけます社会保障制度協議会でも進めていかなきゃならないと。まずどういう段階でやるかということをやはり各党提示していくこともいいでしょうし、政府としても、まずどういうことから進めていくかという点も真剣に各党の要望にこたえて情報なりを提供していくべきだと政府としても考えております。まだ、どこまでやるかという点については、それぞれ考え方があります。まず一歩一歩前進していくことが必要ではないかなと思っております。
  138. 若林秀樹

    若林秀樹君 いや、もうそういう議論はもう二十年ぐらいやっているんですよ、一歩一歩とか国民理解とか。そうじゃなくて、具体的にいつまで、実現年次を決めてやっていくのかというのが政治的な決断だと思いますが、そういうの決めていただけないでしょうか。
  139. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) いつまでというようなもの、どの程度やるまで、どの程度やるかということにも懸かってくるんです。その点よく御理解いただけるんじゃないでしょうか。どこまで、まず金融資産がやるかというのはいいと思います。あと進んでどこまでやるかというのは、どの程度までやるかによって期限も違ってくると思います。
  140. 若林秀樹

    若林秀樹君 もう要はやる気ないなというふうに取られても仕方ないですよ、それは。郵政民営化だけは具体的に何年までやると言いながら、急に、こういう郵政民営化前からのずっとこの何十年間の課題じゃないですか。だからこそ今ここできっちり何年までにやろうということをやっぱり決断すべきだと思いますが、谷垣大臣、代わりに、総理、将来の総理候補として。
  141. 谷垣禎一

    国務大臣谷垣禎一君) 今総理がおっしゃいましたように、金融資産においてまず入れようということで今まで議論をしてまいりました。それで、金融資産だけじゃなしにもっと大きく納税者番号を入れて、何というんでしょうか、不公平感を払拭していく上でも役立てたいという気持ちは私ども正直言ってございます。これが税の合理化あるいは効率化、こういうものに役立つだろうという気持ちは私ども持っているわけでございます。  ただ、いろんな技術的な問題点がございますし、過去の議論のときにやはりこういう相当中まで踏み込んでいくことに対するアレルギーもあったことは事実でございますから、そういうものがどれだけ払拭できるかということもあろうかと思います。  それから、私ども、特に年金との関係でこの問題が、年金一元化との関係でこの問題が取り上げられることが多いわけでございます。それで、そのときにやはり所得把握をしっかりするためにこの納税者番号を取り入れるんだという御議論が有力に存在するということも承知をいたしておりますが、この点に関しましては、今までより所得把握というものが高められる面があることは私は間違いないことだろうと思いますが、これが万能薬のような理解はやや違うんじゃないかということは申し上げているわけであります。
  142. 若林秀樹

    若林秀樹君 いずれにせよ、私はやっぱり全体的な青写真と達成年次をきちっと決めることからがこれはスタートだというふうに思います。いずれにせよ、この税財政の問題は非常に我が国にとって最優先課題だと私は認識しております。是非ともこの異常事態から早く脱するように、まあ我々民主党は十兆円の削減をまずやるということを決めておりますが、その歳出削減にもきちっとやっぱり踏み込んで対応を願いたいというふうに思います。  続いて、原油高とエネルギー問題について伺いたいと思います。  まず総理に、エネルギーの安定確保について今後どのように臨んでいくのか、お伺いしたいと思います。  我が国は自給率、食料でいえば四割、海外依存度六割ですけれど、エネルギーに関してはもう九割以上が海外依存なんですよ。我が国の経済に非常に重要なこれについてどういうふうに積極的にお取り組みか、最初にまず決意をお伺いしたいと思います。
  143. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 私が初めて衆議院議員に当選したのが昭和四十七年でありまして、その翌年が中東戦争で、当時一バーレル二ドル前後の油の値段が十ドル前後に跳ね上がった、もうよく覚えております。いわゆるパニック状況。トイレットペーパーやら洗剤等がどんどん買い占められちゃうと。それで買占め防止も、防止法とか売惜しみ防止法とか、そういう石油対策を講じてパニックを抑えたと。で、そのときから、まあ石油はもうお金さえ出せば買えるという状況から、いかにこの石油危機が起きた場合にこのようなパニックを防ぐかということでこの三十年間やってきたわけであります。  現在、六十ドルを超え、七十ドル、さらには今後八十ドル、九十ドル行くだろうという状況でも大したパニック起こらない、物価が上がるどころか、依然としてデフレ状況だということはおかしいという議論もありますけれども、過去のこの石油危機の教訓が生きているんだと思います。  そこで、依然として日本は、石油依存度は海外に九九%依存しております。しかし、石油に対するエネルギーの中での依存度は落ちています。そういう点から、今後石油に代わるエネルギー、これは原子力とかあるいは天然ガス、あるいは自然環境に優しい風力発電とかその他、自動車でいえば今燃料電池とか電気自動車とか開発されておりますが、そういう石油に代わる代替エネルギーの開発を今後とも真剣に取り組んでいかなきゃならない。いわゆる脱石油と言いますけれども、これに対して、日本は一番石油を消費しているにもかかわらず、石油に、高騰に対する打撃が少ないということからも、我々としては、今一番苦労している石油を持っていない発展途上国、こういうことも考えながら、私は、脱石油戦略といいますか、エネルギーの分散化も含めて、代替エネルギーも含めて、各国に対して先駆けてといいますか、主導的な役割を果たしていくべきだと思っております。
  144. 若林秀樹

    若林秀樹君 続きまして、原油高の経済への影響について、中川大臣竹中さんにマクロ的な観点でお伺いしたいと思います。  今お話にありましたように、この二年ぐらいで倍増しました。一バレル百ドルを超すということが、本当に可能性があるんではないかというところまで言われてきておるところでございまして、今言ったように、我が国の省エネが進んだとか、依存度が少なくなったということで、軽微でありますが、私は非常に、これは今の断面で見ればそうかもしれませんけれども、中期的に非常に厳しいんではないかという認識がしております。  まず、この我が国対策について、中川大臣、そしてマクロ的に、仮に百ドルぐらいの状況が続いて高止まりしたときに、どういうエネルギー構造になってどういう我が国の経済に影響を与えるかということについてお伺いしたいと思います。我が国だけの問題じゃなくて、中国、アメリカの経済への影響も含めてお考えいただきたいと思います。
  145. 中川昭一

    国務大臣(中川昭一君) まずその資料で、よく報道等で言われているのはWTI、ニューヨークの先物ということでありますが、日本は下のドバイ、中東の依存度が日本は非常に高いわけでございますので、日本の石油の目安としてはドバイの方が正確だろうと思います。資料にあるようにピークで六十ドル近くまで行ったわけでありまして、去年の初め以降、本当に一本調子で上がってきているわけであります。  例えば、IEAとかOECDのデータを見ますと、石油の値段が十ドル上がるとGDPに与える、日本のGDPに与える影響が〇・四から〇・五のマイナス、あるいはまた一ドル上がると日本の石油の値段が、余計に約二兆円ぐらい支払わなければいけないという資料もございます。マクロについては竹中大臣からお答えになると思いますけれども、今景気がだんだん良くなっているという状況の中で唯一の不安要因はこの原油高、唯一というか大きな不安要因の一つは石油高であります。  マクロとしては一本調子、いい状況にありますけれども、しかしミクロも見る私といたしましては、石油関連の企業、あるいは中小企業、運輸業とかあるいはまた石油関連企業とか、あるいは漁業、農業、あるいはまたクリーニング屋さん等々、非常に大きな影響を受けているところもあるわけでございます。  中小企業対策、特別相談窓口でありますとか、あるいはまた緊急のセーフティーネット貸付けなんかも既に実行しておりますし、百ドル云々については、私ども政府としては、WTIをベースにしたとしてもそういう予想は私としては控えなければいけませんし、そうならないように、これは世界的なレベルで、この前もIEAのリードによって日本は率先して最大の石油放出をしたわけでありますから、国際的な需給も含めて、日本としては先ほど総理からも御答弁あったように、省エネあるいはまたエネルギーの多様化、そして世界へのそういう面での貢献を含めて、世界イコール日本、日本イコール世界というエネルギー情勢でございますので、そういう中で、現時点においても高いわけでありますから、今後も引き続き経済あるいはまた国民生活、あるいは世界に向けて日本ができることは最大限やっていきたいと思っております。
  146. 竹中平蔵

    国務大臣竹中平蔵君) 今、具体的なお話は中川大臣からございましたのでマクロ的な観点から申し上げますと、一九七〇年代、七〇年当時に比べてこのエネルギーの価格というのは大体六倍になっているというふうに考えられます。ところが、一方で、この三十年間に何が起こったかといいますと、例えばGDP一円をつくり出すのに必要なエネルギーの量というのがちょうど六分の一ぐらいになっていると。値段は六倍になったけれども、その意味では効率が六分の一になっているということでありますので、GDPに占める例えば輸入原油のその比率、勘定の比率というのは当時とほとんど変わっていない。したがって、マクロ的には、マクロ経済的には、先ほど総理もおっしゃいましたように、非常にパニック的な状況が起こるようなというようなことではないわけでございます。もちろん個別には中川大臣おっしゃったようないろんな問題がある。  一つのめどとして、これ百ドルになったらという想定はなかなかちょっとし難いんでございますが、国際エネルギー機関が行った一つの試算によりますと、原油価格が十ドル上がりますと日本のGDPは〇・四%マイナスの圧力を受ける、世界経済も〇・五%マイナスの圧力を受ける、そのような試算があるということ、これは一つのめどにしてしっかりと経済を運営していきたいと思っております。
  147. 若林秀樹

    若林秀樹君 しっかりとした研究機関が百ドルを超す可能性もあるということも言われておりますので、そうなったときの対応策としては、やっぱりシミュレーションとしてはしっかりしておくべきではないかなというふうに思っております。  今ここで私の考えを言っても時間が無駄ですから言いませんけれども、その上で、次の質問に移りたいと思いますが、東シナ海のガス田開発について伺いたいと思います。(資料提示)  テレビを見ていらっしゃる方、分からないのでお話をしますと、中国との経済水域におけるこのガス田開発において、経済水域における境界が定まっていません。日中中間線というところを境に中国側がどんどん開発している。それが、特に春暁においては日本からガス田が抜かれているんではないかという話がありまして、それで昨日、九月三十、一、十月一日に日中局長会議が行われたわけでございます。  基本的に私は日本の政府の立場を支持したいと思います。しかし、それにおいても冷静な判断がこれには必要でございますので、熱血漢の中川大臣としては冷静にきちっとやっぱり対応することも必要ではないかなというふうに思っております。  その上で、この反論の論文がいろいろ出ているんですが、例えばこの間の週刊東洋経済におきましては、春暁といえども、日本の鉱区でも百メートル離せば掘ってもいいということを日中中間線の一・五キロの向こうにおいて言うというのはおかしいんではないかという話がありましたが、これについては何か反論できますでしょうか。
  148. 中川昭一

    国務大臣(中川昭一君) まず、冷静に対応しろということでございますけれども、私も総理の指示の下、努めて冷静に対応しているつもりでございます。  例えば、いわゆる白樺ガス田、これは(発言する者あり)春暁、春暁ですが、日本名が、きちっと昔から名前が付いておりますので白樺ガス田と申し上げますけれども、これの開発が決定されたのはおととしの八月と承知しておりますが、我々が正確に事実を確認したのは去年の六月でございます。六月以降、外交当局を通じてもう十回近くにわたって東京であるいは中国で、事実関係、データをきちっと出してもらいたい、もちろん日本も出します、お互いにデータを出し合いましょうと。それから、取りあえずその、いわゆる係争水域と言われている地域の開発でありますから、取りあえず作業をいったん中止してもらいたいということをずっと一年数か月にわたって私も外務大臣と共々言い続けておりまして、忍耐強く私もやっているところでございます。  さて、御質問趣旨でございますが、鉱業法に基づいて鉱区の端から百メートル以上離れればやっていいということでございますけれども、これはあくまでも日本の鉱業法あるいはまた海洋開発に関する法律、ちょっと正確名は、正確には申し上げられませんが、国内法に基づく措置でございまして、中間線から百メートル先で開発していいという話は、これはあくまでも一国の排他的経済水域の境界が、中国が主張している沖縄トラフなのか、日本は領海から二百海里をお互いに重なり合う部分についてお互いに譲歩して中間線をつくりましょうという議論が今議論になっているわけであります。  ちなみに、中国が主張している排他的経済水域の約半分はいわゆる係争水域というふうに言われております。日本だけじゃないんです。東南アジアの諸国とも係争水域が一杯あるわけでありまして、その一つとして日本がこの地域、ほかにも楠でありますとかあるいはまた樫でありますとかあるいは翌檜だとかいろんな鉱区が問題になっておるわけでありまして、この国内法上の百メートル云々という議論と、中間線の向こう百メートル以降でストローで吸い上げても問題ないじゃないかという議論とは全く違う議論でありまして、あくまでも共有すると思われる地域については平和的に話合いをしながらお互いがプラスになるような解決方法を取るのが日本と中国と双方にとっての目指すべき方向だというふうに考えております。
  149. 若林秀樹

    若林秀樹君 係争中だということですね、ポイントは、今の御発言は。その中で、中国側がこれまで開発してきたということに対してある意味では、この十数年間ですか、許してきたという、黙認とは言わないまでも結果進んできたというこの事実があるわけでございますので、この進んだ、共同開発、進んできた中で、更に共同開発に向けて現実的にはどのようなやっぱり対応をしていくのか、日本としての姿勢、そして中国とどういう隔たりがあるのか、どういうふうに埋めていこうとされているのか、その点について伺いたいと思います。
  150. 中川昭一

    国務大臣(中川昭一君) 恐縮ですが、その図をテレビの皆さんにもう一度お示しいただければ有り難いんですが。  係争水域というのは、先ほど申し上げたように、中国側は大陸棚延長論という、まあ国際法上の世界では若干古い、つまり最近の判例では認められていない主張で沖縄トラフまでと。日本は、あくまでもそれぞれの領海からお互い二百海里の線を引いて、その中間線が妥当であろうということでございますので、係争水域は沖縄トラフから日本が主張している二百海里まで、つまりぐっと中国大陸の方に日本の自然延長、二百海里を延長していった、そこと沖縄トラフの間が係争水域だというのが日本の理解でございます。  中国側から、じゃ話合いをしましょう、局長会談をしましょうということで、先日第三回目が行われました。これ、中国側の提案でございます。そして、共同開発をしましょうというのも中国側の提案でございました。  ただし、中国側のこの提案というのは、中間線から沖縄トラフまでの間のしかるべき地域を共同開発しましょうということでございますが、これはあんたのところから自分の主張しているところまでだということでありまして、あくまでも係争水域、つまり共同開発の前提となる地域というのは、沖縄、中国が主張している沖縄トラフから日本が本来最初に主張すべき日本からの二百海里の間が係争水域であるべきで、そこを前提にしなければならないということで、その提案は日本としてはのむことができないということを申し上げました。  他方、先日の局長級会談では、三点セットで日本側から提案をしております。つまり、先ほど申し上げた情報の提供と開発の一時中止。それから、この中間線にまたがっておりますさっき申し上げた四つの油ガス田については共同開発を一緒にしましょうと、またがっておりますのでということ。それから、中間線を挟んだ日本側は日本、それから中国側は中国がお互いに干渉することなく自主的に開発をしましょう。この三点セットでもって日本側が中国側に提案をしているところでございまして、先方は真摯に検討するということでございますので、その回答を早急に今いただくことということでお待ちをしているということでございまして、球は今、中国側にあるというふうに理解をしております。
  151. 若林秀樹

    若林秀樹君 十月中に協議再開ということでございますので、進展することを祈りたいと思いますが、その上で、この中間線付近に試掘権を日本の民間企業に与えたということで、この図で言いますとこの青いところだというふうに思います。これについて、いつごろ試掘を開始する見込みなのか。これは民間企業のやることですから正確に把握されていないかもしれませんけれども、どういう見込みで今思っていらっしゃるのかお伺いいたしたいと思います。
  152. 中川昭一

    国務大臣(中川昭一君) 御指摘のとおり、長く鉱業権を申請しておりました民間企業に対しまして今年の四月に試掘権を付与いたしました。その後、民間の石油会社、石油開発会社はいろんな手続が必要でございまして、現在その手続を進めているところでございます。これは、あくまでも権利を、排他的な権利を与えたわけでございますから、一義的には民間の判断ということになりますけれども、日本のエネルギー政策、あるいはまた中国との間でもいろいろと先方との協議も現在やっている最中でございますので、政府ともよく相談をしていただきたい、あくまでも一義的には民間の判断でございますけれども、政府ともよく相談をしていただきたい。そしてまた、政府としてできることはいろいろとやっていかなければならないということでございます。  したがいまして、この後いろいろな作業が、これから仮に試掘をするに向かってでもいろいろな作業が予想されますし、民間会社がそれを今それぞれやっているというふうに聞いておりますので、いつということは私からは明確に判断はできませんけれども、民間会社としては、ここで、まあ昭和四十四年から申請をしているというふうに聞いておりますから、待ちに待った試掘権を与えられたということで、今鋭意その作業をしているのではないかというふうに聞いております。
  153. 若林秀樹

    若林秀樹君 実際に試掘が行われた場合、やっぱり中国側の妨害行為が予想されるんではないかなというふうに思います。  私も三月にこのエリアを見に行きまして、ある意味じゃやっぱり、陸地で国境を境にしていない我々にとっては、非常にこの、ここが中間の境なんだなということを見ることに非常に感慨深いものがありましたけれども、いずれにせよ、そういうことがあった場合に我が国としてその民間会社をどのように対処、守っていくのかということについてお考えを伺いたいと思います。
  154. 中川昭一

    国務大臣(中川昭一君) 日本は、このお互いに譲り合った日中中間線の、日本側は日本の排他的経済水域であって、そこに先ほど申し上げましたように民間企業に排他的な鉱業権に基づく試掘権を付与したわけでございます。あくまでも民間のことでございますけれども、しかしこれに対して仮にいろいろな妨害、いろいろな妨害というのは、どこの国と特定することもしませんし、あるいは民間あるいは公船を含めていろいろな場合が想定されないことはないということでございます。  その場合には、民間がやることに対して日本の国家として、政府として、安全あるいはまた順調な操業をやるということは国家の責任であると同時に、私の立場からは、エネルギー政策としてもその作業というものを仮に進めていくとするならばきちっと支援をしていくということでありますが、もとよりこれは国際、国内法だけじゃなくて国際法、国連海洋法条約、あるいはまた日中平和友好条約、さらには今年の小泉総理と胡錦濤国家主席との間でこの海を協力の海にしようと、日中友好の象徴にしようということを総理と中国の国家主席との間で確認し合っているわけでありますから、ゆめゆめ中国側の公船による妨害はないというふうに私は信じております。
  155. 若林秀樹

    若林秀樹君 いずれにせよ、そういう対処するにはいろんな法的な整備も必要なんではないかなというふうに思っていますし、これも民主党としてはいろんな中で内部での議論をしているところでございます。  その上で、この辺の有望なエリアというのは、実は原油ではなくてガス田ではないかといったときに、ここで仮にガスが発掘された場合に、これを国内に持っていくということで本当に採算が取れるのかどうかという専門家の指摘もあるわけで、海上で、この中で液状にして運ぶというのは難しいと。そしたらパイプラインしかない。パイプラインを引いてまでその採算が取れるのかということに対して、ある程度採算を考えた上でこれについては臨むべきではないかというお話もありますが、その建前だけでこれを試掘するということでなくて、もう少し経済合理性を含めてどこまで考えられているのか、お伺いしたいと思います。
  156. 中川昭一

    国務大臣(中川昭一君) そもそも試掘というのは、掘れば百発百中で石油が出てくる、天然ガスその他が出てくるというものではないことは、もう委員も御承知のことだと思います。まあ、千掘れば一体何本出てくるかというのがもう世界の常識でございますから、試掘をしてざくざくと石油や天然ガスが出てくるということが一〇〇%ではないわけであります。  他方、先ほど申し上げましたように、この会社はもう三十数年前から申請をしているということは、これはもうプロといいましょうか、日本を代表する石油開発会社でございますから、やればメリットがあるという前提でビジネスベースで当然やっているんだろうと思います。  あるかどうかについては、去年三D調査をやりましたけれども、これは構造調査でございまして、実際にここにありそうな構造だという推定の下で実際に試掘をして、そして本格的に掘ってみて、そして採算ベースになるかどうかという幾つかの前提があるということで、掘ればすぐにざくざく石油、天然ガスが出るということでは決してないということは、これは国民の皆さんにもはっきり申し上げておかなければいけないと思います。  その上で、仮にガスが出てきた場合にはそれをどういうふうにするか。パイプラインで引くか、あるいはその場で液化して運んでくるか、あるいはまた世界じゅうでよく行われていますスワップといって、いろんな国との間で、こっちをそっちに回すからこっちでもってこっちにもらうとか、いろんな方法があると思いますけれども、これは民間の判断であると同時に、エネルギー政策として政府もそういう場合には相談に乗るといいましょうか、一緒に考えていきたいというふうに考えております。
  157. 若林秀樹

    若林秀樹君 エネルギーというのは、ある意味では各国との戦略物資であります。過去をひもとけば、日本が戦争に突き進んでいったときも欧米の石油の禁輸というのも一つの原因でもありました。最近では、イラクのクウェート侵攻もそういうことがあったというふうに聞いております。  私は、この問題は、日中の良好な関係から発展させていくにはやっぱり小さな問題だというふうにとらえております。しかし、小さな問題でも扱い方を間違えると、国民感情を含めて非常に大きな問題になりかねない、そういう意味でやっぱり慎重であってほしいなというふうに思っております。  そういう意味では、日中局長会議でやられるのもいいですし、その上のレベルがいいですし、最終的には、私は小泉総理のやはり首脳級のレベルでのやっぱり会談というものがこの問題についても必要だというふうに思いますが、小泉総理として、首脳レベルでのこの問題についての解決に乗り出すつもりがないのかどうかお伺いしたいというふうに思います。
  158. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) この問題につきましては、既に私と中国の胡錦濤国家主席との間で、対立の問題にしないで協力の海にしよう、協力していこうということで合意しております。そこで、具体的な問題については担当者でよく相談させようということでありますので、領土とか領海という問題につきましては、原則を主張としますと、主張し出しますと一歩も譲らないというのが過去の例であります。  そういう点も含めて、今、中川経産大臣がお話ししましたように、中間線という取り方によっても、大陸棚と二百海里との間でも意見の違いがある。それと同時に、これは、やっぱり採算性というものを考えると、お互いが領海を主張して独自にやるというよりも協力した方がコストも安く済む。エネルギーのこれからの問題についても、お互いどのように自国の経済発展のために活用していこうかということを考えますと、協力していくべき問題だと思うんです。  建前は建前として、お互いの協力関係というものを重視しながら冷静な対応が私は必要だと思っております。
  159. 若林秀樹

    若林秀樹君 これで最後にしたいと思いますが、いずれにせよ、この東シナ海の問題に限らず、幅広い意味での日中のエネルギー協力というのは、省エネ技術、原子力、様々な問題があろうかと思います。  ですから、やっぱりしっかりしたパッケージにしてこの問題も含めてやっぱり対応すべき問題ではないかなというふうに思っております。そういう意味で、この四年間、やっぱり相互訪問しての首脳会談が行われていないというこの異常事態については、私はやっぱり一歩踏み出すべきではないかなというふうに思います。  このエネルギー問題を始め、両国にはやっぱり共通した利益というものは一杯あるわけです。課題、解決すべき一杯問題があるわけでございますので、是非とも、今、日中の話合いの中で何が一番障害になっているのか、一番お分かりなのは総理だというふうに思います。是非とも、日中両国の友好発展のためにこれまでとは違う努力をされることをお願い申し上げたいと思いますが、中川大臣、何か最後に御発言あれば簡潔にお願いしたいと思います。
  160. 中川昭一

    国務大臣(中川昭一君) 日中全体については総理が御努力されているわけでありますけれども、例えばエネルギー関係だけ申し上げますと、小さな問題というふうに申し上げましたけれども、非常に中国との間でほかの部分では良好な関係にございまして、例えばIEAのデータで、一エネルギー単位の投入エネルギー量を日本を一とすると中国は十という、十倍効率が悪いんですね、中国。ですから、中国のエネルギー担当大臣とお話をして、省エネあるいは新エネ、あるいはまた環境に優しいエネルギーに対して日本は全面的に協力しますということを私と先方の大臣との間で合意をしております。それから、原子力についても、日本としても協力をしたいということを私が正式に向こうに申し上げております。  そういう意味で、この問題が私は決して小さいとは言いませんけれども、ほかの部分で、日中でもエネルギー協力の部分で一杯協力をしておりますんで、また御支援をよろしくお願いいたします。
  161. 若林秀樹

    若林秀樹君 私は、この問題を殊更に、扱い方を間違えると大変な状況になる、ですからやっぱり慎重な対応をお願いしたいということを最後に、中川大臣、特に申し上げておきたいというふうに思いますんで、よろしくお願いを申し上げます。  質問を終わります。
  162. 小野清子

    委員長小野清子君) 関連質疑を許します。池口修次君。
  163. 池口修次

    池口修次君 民主党新緑風会池口でございます。  今年は幸運にも、一月の三十一日に総理に対して質問させていただきまして、二回目ということになります。大変な配慮だというふうに思っておりますが、私の今日の質問ということでは、まず最初は選挙、九月十一日の総選挙について、既に衆参の予算委員会なり代表質問でいろいろ議論がされておりますが、私は率直に、今回、一番国会という意味で良かったのは、投票率が八%上がったということは素直に私はいいことだというふうに思っておりますし、その約八百万人の人が、私は率直に言って、やっぱり小泉総理のエネルギーがこの八百万人の人を投票に向かわしたというふうに思っております。そういう意味で、私ども民主党もこれを見習って、本当に投票所に運ばせる人を多くしなければ政権交代は取れないというふうに率直に思っております。  ただ、いいことばかりではなくて、なかなか選挙中なり後、その後の所信表明を含めて、小泉総理の発言については本当にそうなのかなという疑問点もありますので、この点を何点かお聞きをしたいというふうに思っております。  まず一点目ですから、今回、総選挙、これは小泉総理の解散によって総選挙がされたわけですが、今回の選挙小泉総理国民に何を問おうとしたのかということを改めてお聞きしたいと思います。
  164. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) これは、国会で郵政民営化関連法案が否決されましたので、この問題について、本当に国民郵政民営化必要ないと思っているのかということを聞いてみたいと。と同時に、今まで総理に就任してから四年余り、私が進めてきたこの構造改革路線、いわゆる民間にできることは民間に、地方にできることは地方にという、この方針に沿って私はこの改革を進めてきたわけでありますが、この点に対する四年間の実績、そういう全体の判断が総選挙においては国民がなされるわけでありますが、一番私が不思議に思ったのは、なぜ国会は、民間にできることは民間にと言いながら、郵便局の仕事だけは公務員じゃなきゃいけないのか、長年不思議に思っていたんです。本当にそうなのかと。国会議員の意思というもの、国会の意思というものは尊重しなきゃいけませんけれども、これは国民の意思によって変えられるんじゃないかということを期待しておりました。現に、この選挙は国会の意思を国民の意思によって変えるチャンスができたと思います。  異例中の異例であることは承知しています。しょっちゅう参議院で否決されたら衆議院解散するのかという議論がありますが、そんなことはいたしません。異例中の異例であります。
  165. 池口修次

    池口修次君 異例中の異例ということを本当に、まあ小泉総理郵政民営化というのは信念かもしれませんが、それを使うために本当に、ある意味、私は日本の最高権力者だと思っていますから、最高権力者がこの異例中のことをやっていいのかなというのはあります。ただ、今お伺いしたのは、やっぱり今回の解散の目的はやっぱり郵政民営化を問うということだというふうに確認がされたと。四年間の実績というのもありますが、まあ本来はそうなんですが、私は、流れからいって、今回、総理が国民に問うたのは四年間の実績よりも郵政民営化の賛否だというふうに理解はしております。  その上でお聞きをするんですが、郵政民営化が必要な理由ということで、専ら小泉総理選挙中若しくはその後の今回の所信表明においても、郵政事業だけは公務員でなければいけないのかと、若しくは今後も公務員郵政事業を運営する必要があるのかという言い方をしております。  逆にお聞きをしますが、郵政公社の人が公務員でなくなるとどういう効果があるのかということは総理は余りはっきりおっしゃっていませんが、どういう効果があるのかということをお聞きしたいと思います。
  166. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) まず、国家公務員がやる限りは制約があります。その制約は、今は役所がやっている、公務員がやっているから郵便局は三事業しかできません。これが公務員でなくなれば、民営化されれば、三事業以外の新規事業、参入ができます。ここに正に民間の創意工夫、知恵の発揮する面が随分出てくると思います。  それと同時に、民営化されれば国民の大事な財産というもの、これは役所が決める必要はない。民間がどの分野にこの資金を提供していくか、正に市場経済の中にこれが入っていかなきゃならない。有効に使われると思います。それがひいては経済活性化につながる。今までの例を見ても、国民の大事な資産であるから、その投資先については極めて安全な資産しか運用できない。ということは、やはり国債とか財投債とか限られます。リスクを取ることが少ない。リスクを取らずして、これは将来本当に成長するのかどうかということを問われれば、成長が分からないという場合には安全資産しか運用できない。  そういう点については、やっぱり今までのNTTにしてもJRの民営化にしても、民営化されれば、これは将来株式を売却すれば国庫に入ってくる。過去の国鉄からJR、電電公社からNTT、そういうのを、国営から民営化して、株式の売却益についてもこの二十年間で三十兆円以上の売却収入が国庫に納められているということを考えますと、郵便局においてもこの資産というものを、公務員だったら三事業しかできないんですから、あの一等地に建っている郵便局、もったいないと思わないのかと。もっと有効に使ったらどうかと。ほかの新規の事業にも、いろいろ国民が必要としている事業できるじゃないかと。しかし、公務員であるからそんなことできませんよ、民業圧迫になりますから。片っ方は税金を負担してやっている。片っ方は役所でやっているから、公務員がやっているから税金を負担しない。それを同じように民間企業と同じことをやったら民間の仕事を奪うことになるから、それできない。民営化すればそれはできるようになります。  そういう点からしても、私は、一方では過疎地とか地方においては郵便局をなくさないといういろんな措置を施されているわけでありますので、私は、今回、民営化というのは非常に国民経済にとってプラスになると思っております。
  167. 池口修次

    池口修次君 私も、本来の意味を議論していくとそういうことになると思うんですが、じゃ、総理は本当に選挙期間中若しくは今回の所信表明でそういうことをおっしゃっていましたかということをお聞きをしたいんです。  ちょっと具体的に言いますが、総理は所信表明の中で、人数の問題、国家公務員の人数の問題を特にこだわって結構な時間を使いました。この問題、国家公務員のそれぞれの人数の問題というのは何か意味があるんですか。
  168. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 今私が答弁したような話は選挙中でもいたしましたけれども、人数の問題におきましても、それは今郵便局で仕事をしている方は常勤公務員だけで約二十六万数千人、一日四、五時間働く短時間公務員が十二万ぐらい、合わせて約三十八万人の公務員がこの仕事をしていますが、本当にこんなに公務員が郵便局の仕事に必要なのか。  警察官、全国四十七都道府県でも約二十五万人。自衛官、陸海空自衛官、全国の陸海空の自衛官を入れても約二十四万人。(発言する者あり)それは今人数の問題言っていますから答弁していますけれども、外務省、全世界の日本の大使館、領事館を含めても六千人足らず、六千人いない。それに比べて分かりやすい表現が、なぜこの郵便局の仕事だけが国家公務員じゃなきゃできないのかと。民間にできることは民間に、できるのにもうなぜこの公務員じゃなきゃやらせないのかということははっきり申していた。  公務員を減らしなさいというなら、郵便局民営化すれば一番公務員を減らすことができるということを申し上げているわけであります。
  169. 池口修次

    池口修次君 私があえて聞いたのは、この人数の問題というのは、それは仕事の中身が違いますから、それに応じて人数も変わってくるんです。  ただ、この人数の問題をあえて言うということは何か意味があるんですかと。人数を減らしたいということを、じゃ減らしたときにどういう効果があるんだということをお聞きをしているんですが、ちょっとその点をもう一回、ちょっと確認したいと思いますが。
  170. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) これは面白い質問をなさる。公務員を減らしなさいってみんな賛成だったんじゃないですか、民主党も。公務員を減らす、郵便局民営化すれば公務員減るんです。これ、おかしいと思いませんか。  公務員を減らす、民営化するのが一番減らすじゃないですか。一番公務員を減らす役所はどこか、正にこの郵便局ですよ。これは公務員じゃなきゃできない、ここだけは公務員じゃなきゃできないという理屈が長年私は分からなかったんです、不思議だったんです。だから、これを民営化すれば、一番公務員が働いている役所を民営化すれば公務員でなくなる。一番分かりやすいと思いませんか。だから、なぜこの郵便局だけが公務員じゃなきゃできないのかというのが長年不思議に思っていたんです。  総論賛成、公務員を減らしなさいというのは民主党も賛成だと思います。減らすことができるのに、なぜここだけは公務員じゃなきゃいけないのかというのが分からなかった。
  171. 池口修次

    池口修次君 じゃ、ちょっと麻生大臣にお聞きをしたいんですが、私は、公務員と一口に言ってもいろいろな雇用形態なり違いがあるというふうに思うんですが、今総理がおっしゃっている、若しくは所信表明でこの郵政公社の人と警察官若しくは自衛隊、外務職員、これ全部同列で比較をしているんですが、これは妥当な言い方だというふうに麻生大臣は思っていらっしゃいますか。
  172. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) 公務員というなら、地方公務員公務員です。それもお忘れなきよう総務省としてはお願い申し上げておきたいんですが、国家公務員と地方公務員と分けて、そのまた地方公務員の中に、特別職国家公務員といわゆる一般職と分けるんですが、いわゆる非現業国家公務員、いわゆる人事院の勧告対象という人たちというように、こう分けて、防衛庁とか分け方がいろいろありますんですが、一口に言って、公務員といえば給料でもらっている元が国から給料をもらっているという意味におきましては、何らかの形でいわゆる国の任命権者によって任命されていること、国の事務に従事していること等々の定義がありますんで、その定義を当てはめていただければ、分け方もいろいろありますんで、ありますんで……(発言する者あり)やじに一々答える必要はないと思いますので。
  173. 池口修次

    池口修次君 やじに答えなくても私が質問しますので、心配なく。  今、麻生大臣は、いや、公務員は国から給料もらっているということを言いましたが、事実でしょうか。
  174. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) 定義の分け方として、国家公務員の中で、今申し上げたような中で、国家公務員の三要件というところが決められて、いわゆる国家公務員法の中で通常言われていることを申し上げさせていただければ、国家公務員とは、端的には国の勤務者を意味するものであると考えられる。勤務者であれば国家公務員ですから。一、国の事務に従事していること、二、国の任命権者によって任命されていること、三、原則として国から給与を受けていることの三要件というものが充足することが必要であると考えられておりますということであります。
  175. 池口修次

    池口修次君 今言われたように、私は、国家公務員といっても、仕事の仕方が違うというのもありますし、多分麻生大臣も国家公務員ですよね、違うというものもありますが、じゃ、その給料がどこから出ているかということが違うというところは、私は今回の議論で大変重要な議論だというふうに私は思っているんです。そこを、もう一回確認をしておりますが、国家公務員はすべて給与は税金から出ているのか、この点をもう一回大臣にお聞きしたいと思います。
  176. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) 何が言いたいかという、言わせたいかという意図が分からぬわけじゃありませんけれども、基本的には、国の仕事を従事したことによって上がっております上がり、上がりなんという表現は品がないですな、収入、収入によりまして、それによって給料が払われているということであって、人事院の対象ではないからといって国家公務員じゃないとは言い難いんだということになるんだと存じます。
  177. 池口修次

    池口修次君 国家公務員かどうかという定義を聞いているんじゃなくて、本当に国家公務員が、今の総理の構造改革議論というのは、やっぱり財政状況が厳しいので、やっぱりその人件費等も減らしていかなきゃいかぬということを言いながら、この公務員の人数を挙げていると思うんですよ。  その中で、全部の人が税金から出ているんですかと、人件費出ているんですかというのを聞いているので、ちょっとはっきりお答えいただきたいと思います。
  178. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) 給料の出どころの細目についていろいろっていうか、いろいろな言い方あるんだと思いますが、いずれにいたしましても、国の仕事に従事しているというところによって、その国の仕事から得ている利益によって給料を払われておるということにおいては同じものだと考えております。
  179. 池口修次

    池口修次君 そういう意味でいうと、日本郵政公社の人の給料というのはどこから出ているんですか。
  180. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) 国が行っております郵政三事業の収益によって得ているということだと思います。
  181. 池口修次

    池口修次君 私は、ここのところを非常に総理は選挙期間中も含めて私はごまかししていると思うんですよ、意図的に。国民の皆さんに対して正確な情報を伝えないで、意図的に情報を流すということが本当に、最高権力者なんですから、そういう人がそういうことをやっていいのかということを今お聞きをしているんです。総理、どうですか。
  182. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 私の話は極めて分かりやすい情報提供したと思います。国家の事業収入、税金を投入しても給料を払わなきゃいけないんです。収入が減った場合、税金を投入している、財政投融資を通じて、特殊法人を通じて、どれだけ税金を負担しているのか。本来、一切税金使うなといったら、郵便局の職員カットしなきゃいけませんよ。しかし、税金で補てんしているから収入が保障されている。そこを考えなきゃいかぬ。それをいかに分かりやすく国民に訴えるか。細かくやれば、もう有権者聞いてくれませんよ。テレビなんかで専門家が議論している、ますます分からなくなってくる。いかに分かりやすく国民に説明するかというのが政治家として大事なんです。
  183. 池口修次

    池口修次君 まあ選挙戦、戦いですから、分かりやすく説明をするということは大事ですし、これを別に私は否定するつもりはありません。ただ、本当に分かりやすさだけでいいのかと。事実を正確に伝えるということにも私はあるんだろうというふうに思っております。この点をもう一回ちょっと。
  184. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 分かりやすく、かつ事実を正確に伝えているから国民は信任を与えていたんだと思います。
  185. 池口修次

    池口修次君 私は、この点でいうと、公務員でなければできないのかという意味の中に、やっぱり公務員の人数も具体的に挙げていますから、公務員の、郵政公社公務員の人数を減らすという意味合いも含めて言っているということでいえば、これは事実を伝えていないで私は言っているというふうに思っております。  時間があるのでもう一回、もう一つ聞きますが、総理は、国民郵政民営化が正論であるとの判断を下したと思うというふうに所信表明で演説されました。何をもってこういうふうに思うのか、お聞きをしたいと思います。
  186. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) これはもう明らかですね。もう国会の議論すると、郵政の反対論者は反対論の意見ばっかり言うんですよ。しかし、一番分かりやすいのは議席です。選挙の結果です。自民党、公明党合わせて過半数の議席を国民が与えてくれれば、郵政民営化の賛成論者ばかりしか今回自民党公認候補と公明党の候補者は出ていません。賛成なら、自民党、公明党合わせて議席は過半数以上、多数のはずであります。見事に国民は自民党、公明党合わせて多数の議席を与えてくれました。この議席ほどはっきりした意思を形で示したものはないと思っています。
  187. 池口修次

    池口修次君 私は、この選挙が始まる前に自民党の候補者を決めるに当たって、総理の発言として、すべての小選挙区に郵政の賛成の人がいないと国民は投票できないじゃないかと、だから三百小選挙区に郵政の賛成の人を擁立したんだというふうに言いました。じゃ、その人が郵政賛成の人でそれ以外の人は郵政反対の人というのは、これは総理の理屈ですよね。じゃ、国民はその郵政賛成の人と郵政反対の人にどの程度投票したということなんでしょうか。
  188. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) それは、比例の投票と小選挙区の投票は違っていると思いますけれども、選挙制度の中ではっきり当選者の数で出てくるわけですから。選挙制度の中では、全体の過半数の議席を得なきゃ当選できないという制度じゃありませんから、比較第一党が当選者なんですから、そういう点においては一番はっきり分かるのは議席じゃないでしょうか。
  189. 池口修次

    池口修次君 私は、国民の意思はやっぱり投票、この人がどういう人に投票したかと。今回は郵政賛成か反対かの選挙だったんですから、そこで見るとすると、私は、議席はこれは自民党の議員の皆さんがたくさん増えたというのは事実でしょうが、郵政が民営化賛成か反対かというのはこれから審議を通じて示されることで、選挙の結果でこの郵政の民営化が賛成だということを決め付けるということはこれはできないというふうに思いますし、この小泉総理の理屈で言うと、今回は郵政反対という人の候補者が集めた票、これは選挙制度の欠陥ありますから、まあ反対派の人がたくさんいてその票が分散をしたのでそうは議席としてはならなかったんですが、私は、郵政反対という票の方が多かったという事実は、これは踏まえていただかなければいけないというように思っておりますが、いかがでしょうか。
  190. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) これは、民主主義というか民主制度というのは、決められた要件の中で国民がどう判断をするかと。そういう今、池口さんの論法でいきますと、市長選挙、知事選挙、常に過半数を得ないと、その知事の候補者の考え方、市長の候補者の考えは民意じゃないのかというと、それ否定することになりますね。知事以外の候補者、市長以外の候補者が合わせて過半数以上だった場合、知事の意見は否定された、市長の意見は当選されても否定されたと、あるいは小選挙区の中でも、比較第一党で一位だと当選なんだけれども、他の候補者合わせれば過半数取ってないというと、その一位の候補者はその選挙区の民意を代表していないと、そういうことになるんですか。  イギリスの小選挙区制でもアメリカの大統領選挙でも、得票においては野党が多かった、議席の数では数の多い方が与党になる。アメリカの大統領選挙でも、国民投票では大統領に投票した人は少なかった。しかし、実際の大統領を決める選挙人の中では大統領が多かったら、国民は違う人でも大統領になるんですよ。そういう例があるんです。これは民主制度、決めているんですから。  今、池口さんの言うように、全部国民投票も議席も合わせるようにするという選挙制度で、国会で決めればそれは別ですよ。それは、やっぱり決められた制度の中で国民の意思を判断するのは選挙制度で、その枠内の中で候補者なり政治家なり政党なりが民意を確かめるしかすべがないんじゃないでしょうか。
  191. 池口修次

    池口修次君 確かに民意、国民が議員を選んだわけです。で、議員は国民の民意を代弁する人ですから、これからは法案の審議をして、これが可決をされればこの民意を反映したということになります。ただ、まだ審議始まっていませんから、選挙が終わった段階で民意がこうだということを決め付ける理由は、私は、今でいえば投票者がどういう行動をしたかということでしかないというふうには思っているんです。どうでしょうか。
  192. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) それは、国会は郵政民営化は必要ないという結論を出しましたけれども、しかし、国民はそうじゃないのかと言ってその問い掛けに答えていただいて、賛成論を展開した自民党、公明党の候補者に多数の議席を与えてくれた。そういう結果を尊重して、まだ審議は始まっていませんが、既に解散前はそもそも民営化に反対だなんか言っていた人たちが、賛成に今変わってきている。  民主党も、公社のままで改革がいいと言いながら、既に違う。簡保は民営化とか三事業一体でいいと言いながら分立してきた。もう既に民意を尊重しているんですね。これをどう受け止めるか、そこをまた聞いてみたいですね。
  193. 池口修次

    池口修次君 ちょっと時間がありませんので、次の質問に移ります。  総理は、いろいろな政策決定をしますが、どこを目線として決めているのかということをお聞きをしたいというふうに思います。
  194. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 今ちょっと聞き取りにくかったんで、何を目線というか、もうちょっとそれ、聞いてください。
  195. 池口修次

    池口修次君 だから、国民の目線、国民の方に目線を向けていろいろ考えているのか、若しくは国会の中に目線を向けているのかというのをお聞きしたいと思います。
  196. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) それは、もう国会も国民の目線ですし、選挙国民の目線だと、両方尊重しなきゃいかぬと思っております。  ですから、今回も国会でこの民営化法案を賛成していただかないと実現できないんですよ。国会を無視して何事もできない、国民を無視して国会も成り立たないと、両方大事だと思っています。
  197. 池口修次

    池口修次君 私は、今回の郵政の問題と年金の問題で明らかに小泉総理の目線の向け方は変わってきていると、変わっているというふうに思います。  郵政は、国会で否決されたから国民の皆さんの意見を聞きたいということでありましたが、年金は、国民が反対にもかかわらず与党の賛成多数で可決をさせました。これは明らかに使い分けでしかないというふうに思っておりますが、総理はそう思わないのか、お聞きしたいと思います。
  198. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 国民は、社会保障制度、年金も含めて、将来持続可能な年金制度を私は欲していると思います。そういう点について、厚生年金、共済年金、国民年金、いろいろ制度が違う、国民も働き方も違う。それについてどのような改革をしていくかというのは、これは一概に言えないというのはどなたもお分かりだと思うんであります。  そういう点については、今の分立したままの制度よりも、一元化といいますか、統合化といいますか、そのような方向に進めるような改革を望んでいる。だからこそ、この国民の声を受けて与野党で、しかもこれも通例ではない、異例とも言ってもいい、衆参一緒に一つ委員会つくっちゃった、それで与野党協議会やっているんですから、私はこういう国民の声を受けて国会が真摯に対応すべき問題だと思っています。
  199. 池口修次

    池口修次君 私が言っているのは、あるときは国民に聞く、あるときは国民が反対していても強行採決をすると、これが同じ理屈でやっているんですかということをお聞きしているんですが、同じ理屈なんですか。
  200. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) それは法案によって、それぞれ分かりやすい問題とかなり微に入り細にうがった議論をしなきゃならない問題、両方あると思います。いずれにしても、国会の意思というもの、これは民意ですから、これ年金についても国会で審議されて可決されて成立しているわけですから、その点につきましては今後も与野党がよく議論をしながら進めていかなきゃならない。で、民営化の、郵政民営化の法案もそうです。国会の意思が当然尊重されるべきであります。
  201. 池口修次

    池口修次君 私、非常におかしい答弁だというふうに思います。あるときは国会の意思は民意を示してないので解散をするということは非常におかしいと思います。  もう一つだけ聞きます。総理は解散後の記者会見でガリレオ・ガリレイを例に例えましたが、あれはどういう意味でガリレオさんを例に出したのか、お聞きしたいと思います。
  202. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) どういう意味でといいますか、このガリレオ・ガリレイというのはもう学生時代からよく学校で先生から聞いた話であります。四百年ぐらい前ですかね、天動説の中でガリレオは地動説を唱えて有罪判決を受けました。しかし、その有罪判決を受けた後も、それでも地球は動くと唱えたそうであります。これ、四百年前ですから、これは事実かどうか、これは分かりません。しかし、そういうのが今でもずっと流布されておるのは事実であります。そういうことから、今はだれでも地動説、これは正しいと思っております。  国会では郵政民営化は必要ないと、しかし私は必要だと思うと、国民も必要だと思うということから、これは野口さんのディスカバリー、スペースシャトルをテレビで見ながら、ああ、地球は動いているのか、そうだな、ガリレオもそういうこと言ったなということを思い出して、これはやはり、国会では郵政民営化は必要ないと言ったけれども、郵政民営化は必要だというのは国民は必ずこたえてくれるだろうという、そういう気持ちを持ってガリレオの話を出したわけであります。
  203. 池口修次

    池口修次君 私は、ガリレオの論理というのは非常にふさわしくない例だというふうに実は思っています。ガリレオさんというのは、ローマ教皇庁、当時の最高権力のところですよね、そこがあなた意見変えなさいというふうに言って、変えさせられて、そのときに地球は動くと言ったのかどうかというのは、これは通説ですから分かりません。  ただ、今回は、小泉総理は逆の立場だと実は私は思っているんです。圧力を加えて賛成に回れと言ったのを報道でも言われています。そういう意味でいうと、私は、小泉総理はガリレオではなくてローマ教皇であるというふうに私は思っております。
  204. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) それは、総理大臣といえども国会の結論というのは尊重しなきゃいけないんですよ。国会が国権の最高機関であると。普通だったら、あれ、国会の意思は、必要ないという結論を出したんですから、私は降参する。これは総辞職せよという議論が反対論者でした。内閣の最重要課題が否決されたんだから総辞職しろということで、素直に従うのが当然だと思っている方、多かったでしょう。しかし、民主主義の中で総理大臣に与えられた権限というものを最高に活用するのも、これ民主主義なんです。  そこで、国会は確かに国権の最高機関だけれども、それまた国民の意思を尊重するのも国会でなければならぬ。だから、参議院で否決されて、国会で否決されたものをまた国民に聞くのはおかしいという議論は分かりますよ。しかし、これはしょっちゅうやることじゃないんですよ。異例中の異例だという。  そういうことで、今回、国民の審判を仰いで、結果的に、この国民の審判を仰いで、国会がどう判断するかというのはこれからなんですよ。  何回衆議院で多数を得ても、反対論者の参議院の中では何度でも否決すると言っている人がいるんですよ。小泉は勝手な解散・総選挙をやったと。衆議院で自民党が勝とうが公明党が勝とうが、自民、公明が過半数の議席を得ようが、参議院は選挙ないんだから何度でも否決やると公言していた参議院議員がいた。今、くるっと変わっていますから。
  205. 池口修次

    池口修次君 小泉総理が本当に趣旨、終始一貫したことを言っているのか、その時々において全く逆のことを言っているのかというのは、これはテレビの人が判断してもらいますので、私はこれ以上言いません。ただ、私は、今のことでも言っているように、ガリレオではなくてローマ教皇であるということは、私は信念としては思っております。  ちょっとテーマを変えますが、小泉総理改革を唱えていますが、私は、改革はやっぱり手段であって目的ではないというふうに思います。小泉総理が言っている改革の目的は何なのかということを確認したいと思います。
  206. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) それは、国民生活を豊かにすることであります。
  207. 池口修次

    池口修次君 私も、やっぱり最終的な目的を一つに絞れば、国民生活をいかに豊かにするかというのが改革の目的でなければいけないというふうに思っております。  そういう意味で、ちょっと今日は資料として家計、日本の中の家計の状況がどうなっているかということを、資料を作らさせていただきました。総務省の家計調査年報なり、あと日銀の資料ということでパネルを二枚用意しましたし、委員の、ほかの皆さんにはもう一枚、少し長い経年のやつをお渡ししております。(資料提示)  これを見ますと、小泉総理になってからも家計の可処分所得はどんどん低減をしております。ここでは総務省が黒字率と使っていますが、この黒字率というのは必ずしも黒字ではなくて、この中から預貯金だとか生命保険の掛金だとか、あと老後の問題のことをやりますので、これ黒字では決してありません。だから、この黒字率は減っております。  これについて、これが小泉総理が目指しておる国民の生活を豊かにするということと合致をしているのか、ひとつ総理にお聞きしたいと思います。
  208. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) これは、一つの指標を見れば、確かに黒字率の推移から見れば可処分所得は減っておりますが、この四年間で失業者数も減ってきております。失業率も改善して減ってきております。また、企業の倒産件数も連続して減少しております。有効求人倍率、いわゆる企業の、会社の求人数、これも増えてきております。そういう点からいえば、現在の経済状況も、停滞続いている四年前のころから比べれば回復軌道に乗ってきているということが言えるのではないか。そして、確かに可処分所得は減っておりますが、今、物価もそれほど上昇していないと。むしろ、かつてインフレでいかに物価を収めるかということを苦労していたんですが、今はデフレで物価はある程度上昇した方がいいという状況でありますけれども、これに向かって徐々にではありますけれども、物価もデフレを克服しつつある方向に向かっているのではないでしょうか。  全体的に、私は景気についても上向きの状況にあるのではないかと思っております。
  209. 池口修次

    池口修次君 もう一方の資料をちょっと見ていただきたいんですが、これは家計の金融資産の保有高と貯蓄を保有していない世帯の割合を、これは日銀の金融広報中央委員会の資料です。  これを見てもらいますと、実は金融資産保有額を平均すると最近でも上がっております。ただ、一方で、更にこれ顕著に出ているのは、貯蓄を保有していない世帯がどんどん増えています。これを表すのは、やっぱり日本が二極化しているということを如実に表しているというふうに思いますが、この二極化傾向について小泉総理はどのようにお考えになるか、お聞きしたいと思います。
  210. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) できるだけ多くの方々が資産を保有できる、また豊かに暮らしていけるという状況というのは極めて重要だと思っています。同時に、利益を上げる方、資産を増やす方ができる、これまた増えていくのも大事であります。  そのような能力のある、収益を上げる企業、人においても会社においても、こういう企業が出てくる、こういう人が出てくることによって、経済全体を見ればいろいろ消費をしてくれる、これが多くの人々に対して、社会に対していい影響を与えると。そういう能力のある、収益を上げる人が少なくなったら、持ってない、資産を持ってない方も悪影響を受けるわけです。  だから、できるだけ資産の持てない人を少なくして、持てる人はどんどんいてもらった方が国民経済全体が潤うわけでありますので、私は、格差だけの問題じゃないと。できるだけ安心して暮らせる方を増やしていくということと、どんどん収益を上げる人、資産の増える人を多くしていることを増やすことというのは矛盾しないと思うんであります。  ただただ利益を上げる人だけが多くて困る人が多くていい、そういう社会じゃいけないと思っております。やはり、能力のある人がどんどん活躍できる環境を整えていくことが、資産のない人もいずれ増やすことができるというチャンスを広げていけるような、そういう社会が必要ではないかなと思っております。
  211. 竹中平蔵

    国務大臣竹中平蔵君) 池口委員数字をお示しでありますので、ちょっと事実関係だけ補足させていただきますが、先ほどの所得の話も家計調査をお出しになられました。家計調査というのはベースが狭いわけでありますけれども、より広い国民所得の統計、SNAで申しますと、実は二〇〇一年が家計可処分所得の底でありまして、実は二〇〇一年に小泉内閣発足しておりますから、小泉内閣になってから横ばいないしは微増を続けておりまして、可処分所得が減っているということは必ずしも事実ではないというふうに思います。  それと、金融資産に関して申し上げますと、金融資産の議論、大事でございますが、一方で家計も借金を返しております。つまり、資産を取り崩して負債を小さくするという行動も取っておりますので、そのやはり両方を見て議論をする必要があるかというふうに思います。
  212. 池口修次

    池口修次君 今、総務省調査にけちが付いたんで、ちょっと総務大臣、あんたのところ間違っていますと言われましたが、それでよろしいですか。
  213. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) 別に私が答弁する必要もないような感じがしますけれども、けちが付いたとも思いませんし、そういう見方もあるかなというだけの話だと思いますが。
  214. 池口修次

    池口修次君 我々は、やっぱり政府以上のデータというのはなかなか取り得ませんので、やっぱり政府の資料に基づいて議論をさせていただきたいというふうに思っておりますし、その中で私が一番指摘したいのは、やっぱり可処分所得がどんどん下がっていますよと、小泉政権になっても。で、貯蓄を保有していない世帯が増えているんですよと。これが、冒頭言った改革の目的である国民の生活を豊かにするということと合致しているんですかというのを聞いているんで、総理、この点をもう一回確認したいと思います。
  215. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) それは、できるだけ国民を豊かにするというのが改革の目的でありますし、現に、四年前の状況に比べれば多くの指標については上昇傾向が見られるし、国民の多くも、やればできるという自信も芽生えてきたような気がいたします。そういう一度敗れてもまた挑戦できると、敗者は常に敗者ではないと、いつかまた勝者になり得るんだという、そういう希望を持って活躍できる環境をつくっていくのが政治で大事だと。現に失業者も減っておりますし、先ほど言った新しい企業を起こす人も出てきております。  そういう点からいえば、全体から見れば私は景気も回復軌道に乗ってきているんだなと思っております。それがひいては今後多くの国民が豊かになっていく大事な局面であると。改革なくして成長なし路線という、成長なければ改革できないというよりも、やはり成長するためにも改革が必要だということについては、大方の理解を得てきているのではないかなと思っております。
  216. 池口修次

    池口修次君 私は、その可処分所得の問題について、下がっているという人と下がっていないという見解が二つ出ましたんで、是非これは、非常に大事な問題なんで、政府として正式な見解を求めたいと思いますが、委員長、よろしくお願いします。
  217. 竹中平蔵

    国務大臣竹中平蔵君) 統一見解というふうにおっしゃいましたけれども、両方とも定められたやり方に基づいて発表している正式の統計でございます。ただし、その統計のサンプルの数とかが違いますから、それによって見方が異なってくる。  したがって、家計簿を付けている家計調査の対象に関してはその家計調査の結果が正しいですし、国民経済全体に関しては私が申し上げたSNAの統計で見るべきだと。それは使い分けて見るべき問題でございまして、どちらが正しいかということではございません。
  218. 池口修次

    池口修次君 どういう統計でもよろしいんで、政府として、可処分所得が下がっているのか、下がっていないのか、これもうちゃんと総理が代表して、ちゃんと総理としてこの見解を聞きたいと思いますが。
  219. 竹中平蔵

    国務大臣竹中平蔵君) これは統計でどう見るかということに尽きますので、これは、統計というのはいろんな統計がありますから、それを使い分けて、目的に合わせて見ていただかなければいけないものと、そういうことに尽きると思います。我々としては、国民経済全体で見ますと可処分所得は二〇〇一年が底である、家計調査、家計簿を付けているその対象となっている家計調査については二〇〇三年が底である。  いずれにしても、明らかなことは、池口委員が御紹介された家計調査におきましても、最近におきましてはその可処分所得が増えているわけでございますので、総理から御答弁がありましたように、近年においては経済はそのような形で回復、良い方向に向かっている、これは正に統一の見解でございます。
  220. 池口修次

    池口修次君 可処分所得について政府の見解がちゃんとしたものが出ていなければ、じゃ、国民生活を良くするなんという総理の構造改革の目的は、私は達成できないと思います。この点いかがでしょうか。
  221. 竹中平蔵

    国務大臣竹中平蔵君) いずれにしましても、近年におきましてはどちらの統計によりましても可処分所得は上昇をしております。このことはもう御確認をいただけることであろうかと思います。
  222. 池口修次

    池口修次君 是非この可処分所得の見方についての統一見解を政府として正式に出していただきたいというふうに思います。
  223. 小野清子

    委員長小野清子君) 速記を止めてください。    〔速記中止〕
  224. 小野清子

    委員長小野清子君) 速記を起こしてください。  さきの件は理事会で協議をさせていただきます。
  225. 池口修次

    池口修次君 じゃ、最後の質問になりますが、道路特定財源について、選挙期間中はほとんど出なくて、所信表明でも総理の見解はなかったんですが、代表質問から急激にこの議論が出てきました。  私は大いに議論をすべきだろうというふうに思いますが、総理はどのような指示をだれにしたのか、この点をお聞きしたいと思います。
  226. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) これは、さきの衆議院の予算委員会でも民主党の議員からも問題が提起されましたし、私どももこの道路特定財源、特別会計も含めてですね、見直そうということであります。今、内閣としてもこれから、秋から暮れにかけて税制改正、予算編成の議論が始まりますので、その中で、見直しについてどういう見直しが可能か、これを検討していくように既に内閣としても決めておりますし、財務大臣始め担当大臣に指示を出しているところであります。
  227. 池口修次

    池口修次君 じゃ、担当大臣の中心であります財務大臣国土交通大臣に、この道路特定財源についての御意見をお聞きをしたいと思います。
  228. 谷垣禎一

    国務大臣谷垣禎一君) 今総理から御答弁がありましたように、総理から、これは解散の前にも経済財政諮問会議で道路特定財源の議論が出ましたときに、財務省としてよく検討するようにという指示をいただきました。また、選挙が終わりまして、今後の予算編成の方針や何か御相談に伺った折にも、具体的にもう少し考えてくれと、年内に少し方向が出せないかというような御指示をいただきまして、私も役所に指示をいたしまして、今、目下議論を、中でのですね、検討を始めているところでございます。  それで、道路特定財源については様々な御議論があるわけでありますけれども、今後考えていかなきゃならないことが幾つかあると思います。  一つは、今後の道路整備の在り方というものを当然議論しなければならないと思いますし、それから納税者の考え方というのもあると思うんですね、ここは重視しなきゃならない。それから、国全体の財政事情も非常に厳しゅうございますから、プライマリーバランス回復という目標を掲げてやっておりますが、そのときに、この道路特定財源がどういう意味合いを持っていくのかということもあろうかと思います。  今後はいろんなところで御議論が進んでいくと思いますが、私どももいわゆる財政審等々を活用して、そこでも御議論をいただいて、一般財源化も含めて幅広く議論を煮詰めていきたいと、このように思っております。
  229. 北側一雄

    国務大臣(北側一雄君) 御承知のとおり、道路特定財源というのは、受益者負担の原則に基づきまして自動車利用者に道路整備のために特別な負担をお願いしている、そういう税でございます。  したがって、納税者である自動車利用者の理解を得ることがやっぱり非常に大事でございまして、その理解の得れる範囲でこれまでも様々使途拡大をしてきたわけでございますが、そうしたことを、趣旨を踏まえて、今後是非、議論、検討をさしていただきたいと思っております。
  230. 池口修次

    池口修次君 私は、様々な議論をやっぱりすべきだというふうに思いますが、そこで、今の答弁でも出ていますが、やっぱりこれは、どうやって使うかということの前に、どうやって納めている人の理解が得られるのかというところを議論をしてもらうのが私は肝要だというふうに思いますし、実態として再来年には、国土交通省の言うには五千億、私は一兆円近いというふうに思いますが、その収支の差が出てくるのが見えているわけですから、これについてちゃんと国として納税者にどう説明をするのかというところをやっていただきたいというふうに思いますが、これは財務大臣ですかね。
  231. 谷垣禎一

    国務大臣谷垣禎一君) 先ほど申した中にも含めておりますが、それから北側国土交通大臣の御答弁にもございましたけれども、納税者のお考え、納税者の理解、こういうことを得ながら進めていくというのは当然のことではないかと思っております。
  232. 池口修次

    池口修次君 最後の質問になろうかと思いますが、政治と金の問題、前回もお話をさしていただきました。この点になりますと、総理はほとんど自分の意見は述べられないというのが今までの傾向ですが、今回、政治資金の報告を受けた段階で、ある派閥の金庫から十五億円がどうもなくなったんじゃないかという話が出ております。これについて、自民党としては調査をするのかしないのか、まずお聞きをしたいと思います。
  233. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) まず、政治家であり、政治団体であれ、政治資金規正法にのっとって収支報告をきちんと提出すると、これはもう当然のことであります。私としては、どのような報告がなされたのかということにつきまして、各政治団体、一つではありませんから詳しくは承知しておりませんが、いかなる政治団体であれ、政治資金規正法にのっとって収支報告はなされるべきだと思っております。
  234. 池口修次

    池口修次君 これはどういう金かということも含めてやっぱり調査をすべきだというふうに思いますし、私は予算委員会の中でも、この問題はやっぱり国民の不信のもとがやっぱりこのお金の問題になっておりますので、やっぱり参考人を含めた集中審議の場を設定を是非委員長にお願いしたいというふうに思います。
  235. 小野清子

    委員長小野清子君) 理事会で協議をさしていただきます。
  236. 池口修次

    池口修次君 終わります。
  237. 小野清子

    委員長小野清子君) 以上で浅尾慶一郎君の質疑は終了いたしました。(拍手)     ─────────────
  238. 小野清子

    委員長小野清子君) 次に、若林正俊君の質疑を行います。若林正俊君。
  239. 若林正俊

    若林正俊君 自由民主党若林正俊でございます。  所信表明以来、衆参両院の本会議代表質問、また、衆議院予算委員会、参議院予算委員会としばしば議論になっておりますけれども、改めて、このたびの自由民主党選挙で圧勝をしたと、その要因を総理御自身はどのように考えておられるのか、その点の総理のお考えをお伺いしたいと思います。
  240. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) これは、まず郵政民営化必要だという判断を下してくれたことと、四年余り私が政権を担当し、自由民主党総裁として公明党と連立政権を組んできた、引き続き自民、公明、安定した連立政権の基盤に立って、郵政民営化を始めこれからの構造改革を進めていけと、改革を止めてはいけないという判断を下していただいたんだと思っております。
  241. 若林正俊

    若林正俊君 郵政民営化を改革の本丸と位置付けて、郵政民営化是か非かと、非常に分かりやすい形で問い掛けたということでありますが、私は、小泉総理が一貫してぶれのない改革を突き進んでいくんだという、そういう姿勢を示してこられたことに国民が共鳴をしたんだと、このように考えております。私もこのたびの選挙を応援に回りまして、小泉改革を実行させてもらいたい、改革を進める自由民主党を勝たせてもらいたいということを強く訴え、また有権者の皆さん方がこれに積極的な関心を示し、そして反応をしてくれたものと、このように理解をしているわけであります。  しかるに、野党、特に民主党の皆さん方は、本会議においてもあるいは予算委員会においても、小泉改革というのは看板倒れ、看板だけで中身がないと、スローガンばかりだといったような批判をしておられますが、総理も言っておられます小泉内閣四年間の実績というのは、着実に改革を実行してきておるわけでございまして、その点、どのような実績であるか国民の皆さんに分かりやすくお話をいただきたいと思います。竹中大臣、お願いします。
  242. 竹中平蔵

    国務大臣竹中平蔵君) 構造改革、幅広く進めておりますけれども、その成果として実績、象徴的なものを幾つか御紹介させていただきますが、まず経済成長率でございます。GDP成長率、小泉内閣が発足した年はマイナス一%の厳しいところから出発しましたが、今はプラス二%を超える成長を実現しております。  それと、主要行の不良債権比率、これも三年前は八・四%であったわけですが、今三%を切る段階にまでなりまして、金融危機からの脱却に成功したというふうに考えております。  さらに、規制改革でございますけれども、千項目以上の規制改革を行いました。この効果、消費者に及ぼす効果は年間十四・三兆円というふうに試算されておりますけれども、これは国民一人当たり約十一万円に上る経済効果でございます。  倒産件数、ピーク時に比べまして今三分の二程度になっておりまして、これは更に減らしていきたいというふうに思っております。  完全失業率、ピーク時は五・五%ございましたが、今それが四・三%に改善をしてきております。  IT国家、世界一のIT国家に向けまして、インターネットの料金水準でございますけれども、四年間で約三分の一になりまして、加入者数はおよそこの四年間の間に二十倍になるなど、ネット社会が飛躍的に進展をしてきております。  さらに、財政面では、小泉内閣発足以来、公共事業費を約四割削減しております。既に十兆円に上る歳出改革を断行しているところでございます。  引き続き、こうした実績を踏まえまして、地域や多くの国民が持っている潜在力が自由に発揮されるような、そういう改革に取り組んでまいりたいと思っております。
  243. 若林正俊

    若林正俊君 あとの質問は午後にまたいたしますけれども、今の改革実績についていえば、例えば、国立大学を非公務員型の大学法人に切り替えたというようなこととか、あるいは司法制度改革というのも、明治以来の司法制度について国民の立場に立って司法制度を見直してきたといったものもまた大きな改革であったと評価しているわけでございます。  そのようなことを含めまして、残余は午後引き続き質問をしたいと思います。
  244. 小野清子

    委員長小野清子君) 残余の質疑は午後に譲ることといたします。  午後一時に再開することとし、休憩いたします。    午前十一時五十四分休憩      ─────・─────    午後一時開会
  245. 小野清子

    委員長小野清子君) ただいまから予算委員会を再開いたします。  予算執行状況に関する調査を議題とし、休憩前に引き続き質疑を行います。若林正俊君。
  246. 若林正俊

    若林正俊君 午前に引き続き、総理始め各関係大臣に御質問を続けます。  午前中にお話しいたしましたけれども、さきの総選挙、自由民主党が過半数以上を制したその要因について総理のお考えをお聞きしたわけでございますが、選挙結果だけではなくて、その後の各種の世論調査を見ましても、小泉内閣、自由民主党はなお高い支持率を維持しております。それは、郵政民営化を突破口として、小さな政府を目指す小泉改革の実行、続行を国民の皆さんが期待しているその表れであろうかと、このように思うのでございます。逆に言えば、しかしこの期待にこたえられなければ自由民主党への信頼が失墜し、支持も激減するおそれがあると。  そんな立場から、実は小泉総理は、しばしば来年の自民党総裁の任期満了によりまして総理を辞任するということを言明しております。私も総理と長い政治活動をともにしてきたことから、総理はなかなか一度こう、言ったことはこれを貫徹すると、実行すると、強い意思をお持ちであると思いますが、私のところには、しかしこれだけ大きな改革を実行すると、進めていくと、こう言っているんだからこの一年以内に総理が引かれるというのは無責任じゃないか、なおそれを続けてこの改革を推し進めて成果を得るようにしなきゃいけないんじゃないか、こんな意見を言う人が非常に多くあります。  そこで、小泉改革の目指すその小さな政府を実現をしていくために、いろいろな課題があるんですけれども、その課題をどのような段取りで、どのような道筋でこの一年以内に軌道に乗せていくのかということについて総理のお考えをただしておきたいと思います。
  247. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 私は、自民党総裁の任期は来年九月で切れますから、あと一年は総理大臣の職責を精一杯務めるのが自らに課せられた責任だと思っております。それまでは、責任をほうり出さずに、逃げることなく、精一杯総理大臣の職責を全力を尽くして果たしたいと思っております。  今は比較的支持率は高いんですが、一年もすればまた下がりますよ。また、選挙の結果いかんに問わず、今まで四年間見ても、民主党の皆さんは小泉辞めろ辞めろと言っておりますし、今の状況が一年続くとは思っていません。  私は、就任以来掲げてきた目標改革、少しでも実現するのが私の責務だと思っております。別に目新しいことをやる必要ないんです。改革などは一年や二年でできるものじゃないんです。四年前、就任直後に掲げた目標一つ一つ着実に果たしていくということが私の責任だと思って、目新しいことをやる方がおかしいんですよ、しょっちゅうくるくる変わる方が。四年前の所信表明演説に掲げられた目標改革を少しでも着実に進めていく、それが私に課せられた責任だと思いますし、簡素で効率的な政府、いわゆる小さな政府といいますけれども、それは、ひいては国民経済を活性化させるためである、国民の負担を軽減していくものであると、国民の生活を豊かにしていくものである、その手段でありますので、当初、就任当時に私が掲げた目標を今後一年掛けて少しでも進めて、この改革を軌道に乗せていく。止めることなく、後戻りさせることなく進めていくのが私の課せられた責任だと思っております。  そこで、小さな政府というのは何かという御質問だと思うんでありますけれども、やはりこれはできるだけ役所の仕事、これも今民間でできることは随分あります。役所がやらなくても民間に任せた方がいいのではないか、あるいは地方に任せた方がいいのではないか、そういう点について多くの国民理解を得ながら進めていく。それがいわゆる、政府の役割というものを民間に、地方にゆだねていく、それが一つの小さな政府の目標だとも思っております。
  248. 若林正俊

    若林正俊君 総理が再び、三たび総理大臣として就任をされて、この直後から非常に矢継ぎ早にこの改革を実行するための、あるいはその改革が実行されつつあるようなことが進んでおります。  九月の二十七日に経済財政諮問会議を開催をしておられます。この経済財政諮問会議におきまして、どのような形で主要な、小さな政府を実現するための主要な改革の項目についてどういうふうに進めていくか。これは郵政民営化法案を早期に、の成立を図り、同時に骨太の優先課題、小さくて効率的な政府の実現に向けて改革を加速するために重点三分野につきまして基本的な方針を策定するなど、いろいろな民間議員からの提言もございます。  その経済財政諮問会議におけるこれからの工程、道筋、これが示されておりますが、この点、竹中さん、どのような段取りでこれらを進めようとしているのか、そのことを御説明いただきたいと思います。
  249. 竹中平蔵

    国務大臣竹中平蔵君) 簡素で効率的な政府をつくってくれという国民からは非常に強い期待がございます。そうした期待を受けまして、既に骨太の方針でこの秋までに幾つかの重要な問題について基本方針を策定せよということが取り決められております。それが今後の工程ということになるわけでございますけれども。  具体的に当面三つの大きな項目としましては、政策金融の改革というのがございます。これは、平成十四年に既に今後の政策金融の規模をGDP比で半分ぐらいにしようという目標をもう決められておりますが、その具体的なあるべき姿の基本方針というのを十一月を目途に決めようではないかということになっております。  政策金融に続いて重要な問題としては、総人件費の抑制の問題がございます。この総人件費の抑制に関しましても、分かりやすくて大胆な目標を掲げてやっていこうではないかと。これも十一月を目途にその基本方針を取りまとめる予定にしております。  そして三つ目としまして、政府の資産、負債の問題がございます。日本のこの政府の資産と負債、企業で例えればバランスシートでございますけれども、このバランスシートの大きさ、アメリカの五倍ぐらいの大きさがあります。それも十一月を目途にその指針を決めるということにしておりますので、そのまず基本的な三つの指針をしっかりと取り決めまして、それに基づいて簡素で効率的な政府を是非とも実現していきたいと思っております。
  250. 若林正俊

    若林正俊君 そこで、最終的なといいますか、この改革の一応の目標として、所信表明において政府の規模の大胆な縮減といいますか、小さな政府を実現するということを総理も明らかにしておられるわけでございます。  そこで、一体、小さな政府というのは一体どういう政府なのかと。既にいろいろ議論がなされておりますが、国がどこまでやるべきか、またその場合の国民負担の限度というのはどのように考えていくのか、そういう視点で、この小さな政府というものを総理はどのようなイメージで目標として定めておられるのか、総理のお考えをお聞きしたいと思います。
  251. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) これは経済財政諮問会議でも、政府の規模を削減するということでありますが、規模についても人によって取り方が違う点もあるんじゃないかということで、より分かりやすく表現する方法なりを考えなきゃいかぬということで、今検討を指示しているところであります。  いわゆる一番分かりやすいというのは、公務員を削減しろと、公務員の数を減らしなさいということ、さらには、例えば政府系金融機関の融資規模、これを減らしなさいという点は分かりやすいでしょうね。ですから、その規模についてもどういう規模があるか、これを今後、より分かりやすく、今、竹中大臣始め関係者に少し研究してくれないかということで進めております。  いわゆる政府の役割を少なくすると。役所の仕事でも今、これは今役所がやらなくても民間に任せればできるんじゃないかというのがかなりあるはずです。そういう点も、どこにそういう無駄な部分、役所がしなくていい部分、これを仕分して、民間に任せていくか地方に任せていくか、これをできるだけ早く具体的な項目で示していくことが、政府の規模を縮減する、あるいは簡素な効率的な政府を目指す、小さな政府ということで分かりやすいんじゃないかということでありますので、その規模についてどういう点かと、もっと分かりやすいものを、指標ですね、それをできるだけ早い機会にもう少し今よりもいい表現はないかなということで研究しておりますので、しばらく時間をかしていただきたいと思います。
  252. 若林正俊

    若林正俊君 経済財政諮問会議の中では、政府の規模を十年以内に半分、半減をするというような目標の下で詰めていったらどうかというお話がありますが、この半減というのも、今お話がありましたように、数量的にどう把握するかと大変面倒な話で、定量的な物差しというのは総体的には作りにくいものだと思いますけれども、今総理が言われたように公務員の数だとかあるいは政策金融の融資量、融資事業量、あるいは、先ほど竹中大臣が言われました政府の資産、負債、政府の資産の大きさ、こういったようなものを目標を定めてどのように縮減していくかと、こういうことを示すことによって国民もこの小さな政府のイメージを描きながら努力をすることができると思いますので、是非国民に分かりやすい形で小さな政府というものを示していくことが大事だと思います。  そういうふうに思いながら、竹中大臣にお伺いしますけれども、一体、日本の政府は諸外国に比べて一体大きい方なのか小さい方なのか、その政府の役割、機能、そして政府の、先ほどからお話がありました中で、特に公務員の数などから見て一体どの程度のところに位置付けられていると考えておられるのか、お聞きしたいと思います。
  253. 竹中平蔵

    国務大臣竹中平蔵君) 日本の政府は大きいか小さいかということで議論を細かく突き詰めていきますと、最終的にはなかなか多面的で哲学的な話になってくるのではないかというふうに思っております。  先ほど総理からも話がありましたように、であるからこそ、分かりやすい基準をしっかりと作っていかなければいけないわけでございますが、例えば政府の支出ですね、政府の歳出の規模という観点から見ますと、日本は先進国の中でも比較的小さい部類に入るということだと思います。これは国、地方、社会保障基金を合わせましたいわゆる一般政府の支出規模、これはGDP比でOECD諸国の平均が四一%であるのに対して日本は三七%でありますので、OECD諸国の中でも六番目に低い水準というようなことが言える。  一方で、しかし、御承知のように、いわゆる公的な債務ですね、借金の残高でいいますと、GDP比で一五〇%でございますので、これはOECDの諸国の中で最も高い水準というのもこれまた事実でございます。政府の規模に、資産の規模に関しましても、GDP比で見ると日本は、日本の資産、政府の資産ですね、GDPの一・五倍あるわけですけれども、アメリカのは、アメリカのGDPの一二%しかございません。  そういう意味では、やはり基本的にはいろんな指標をしっかりと定義をしながら、きめ細かな議論をしていかなければいけないということだと思います。  ただ、日本の場合、とりわけ重要なのは、先ほど歳出の規模は比較的小さい部類に属するというふうに申し上げましたが、高齢化社会が急速に進む中ですさまじい歳出増加の圧力があると。このままでいくと、もう見る見るうちに歳出の規模で見ても大きな政府になってしまう危険が非常に大きいと。そのことを意識をしながら、簡素で効率的な政府をつくるということを実現していかなければいけないというふうに思っております。
  254. 若林正俊

    若林正俊君 六月に政府が定めましたいわゆる骨太二〇〇五によりますと、これからの構造改革を進めていく大きな課題として、まずこの今ある資金の流れを変えるということを挙げております。また、次に、仕事の流れを変えるという問題提起をしております。三番目に、人と組織を変えると。こういう三方からこの改革を進めていくんだということを骨太で明らかにしております。  資金の流れを変えるという点からいいますと、まず何といっても郵政民営化の実現だと、こう思います。これについては既にいろいろ議論をされていますし、また特別委員会においても更に突っ込んだ議論がなされると思いますが、一点だけ、この郵政の民営化によりまして言わば巨大な銀行、保険会社ができると、そういう巨大な銀行、保険会社というものがいわゆる従来の金融・保険業、民間の事業を圧迫するんじゃないかという心配をしている人がかなりいるんですね。こういう危険をどういうふうに防ぎながら進めていくかと、資金の流れを変えていくのかということについて竹中大臣から御説明をいただきたいと思います。
  255. 竹中平蔵

    国務大臣竹中平蔵君) 郵政の中のいわゆる銀行の部分、そして保険の部分、現在でも三百四十兆の資産を持っておりますが、今後ともこれが非常に大きくて民業を圧迫するのではないかという声があることは承知をしております。  ただ、二点申し上げたいんですが、第一の点は、いわゆる政府保証が付いた公社の時代の預金や保険というのは、これは別途管理をしてまいります。これは、定額貯金の場合は十年で必ずゼロになってしまうものでございますので、その意味でこの部分は間違いなく時間とともに小さくなるということであります。  しからば、そうすると、新会社になってからの新しい預金等々については、これは実はゼロから始まるわけでありますので、これが必ずしも巨大になるというふうに単純にこう決め付けるのはいかがなものかというふうに思います。重要な点は、これが非常に責任がある民間企業になることによりまして、民間企業としての責任のある資産と負債の管理をしなければいけない。つまり、運用できるんだったらお金を集めてもいいけれども、運用できないんだったらお金を集めてはいけないという非常に厳しい管理が掛かるわけでございますので、その中でその最適な規模が実現されていくというふうに考えている、ここがやはり最大のポイントであるというふうに思っております。  加えまして、移行期間におきましては、万が一にも民業が圧迫されませんように、経営の自由度とそして民間とのイコールフッティングをきちっと調整するような民営化委員会をつくりまして、そこできっちりとそのバランスを図っていく、コインの両面のバランスを図るという仕組みもつくっておりますので、民業圧迫が生じないような形で運営ができるというふうに思っております。
  256. 若林正俊

    若林正俊君 そこで、この資金の流れを変える中の一番大きな課題は、政策金融、政府金融機関の再編合理化の問題だと思います。  このことについては、先ほどお話ありました、平成十四年に「政策金融改革について」ということで当時一応の方向を出しておりますが、この秋までに、今八機関ございますが、その政策金融機関をどう整理するかと、どのように縮減を図っていくかということの検討が行われるわけでございますが、基本的な方針というものはどういう方針でこれに取り組むか、竹中大臣に伺いたいと思います。
  257. 竹中平蔵

    国務大臣竹中平蔵君) 今回の政策金融の改革は大変重要な意味合いを持っております。その基本的な方向としましては、その平成十四年の決定に基づきまして、やはり最大のポイントは、質的にも量的にも民業補完に徹する政策金融の仕組みをつくるということであろうかと思います。  政策的に金融を支えると、そういういわゆる政策金融の機能はもちろん重要でございます。しかし、日本の場合、諸外国に比べてこれが極めて大きい。日本の場合、政策金融の規模のGDP比というのは大体一九%あるんですが、アメリカ、イギリスでは大体五%から六%ということでございますので、やはりその意味では民業補完に徹するという意味で量の縮減も必要であろうかと思います。  同時に、質的な補完といいますか、日本の金融、政策金融は自分でお金を調達して、審査をして貸付けをして、そしてその後も債権をずっと持っているという、いわゆるワンセット主義、フルセット主義なわけですが、必ずしもそれを維持する必要はないのではないか、必要なところだけやればいいのではないか、そういう形での民業補完に徹することが重要であると思っております。  同時に、まあこれは官の甘えを許さないというような仕組みを是非しっかりと入れていかなければいけないと思います。官の甘えということの中には、やはり天下り、批判の厳しい天下りの問題も入ってまいりましょうし、また給与水準等々の問題も入ってまいろうかと思います。  そうしたことを総合的に考えながら、必要なものはきっちりと残す、しかしできるだけその規模も縮減して民の補完に徹するという仕組みをつくってまいりたいと思っております。
  258. 若林正俊

    若林正俊君 この公的な政府金融機関を金融という角度から所管をしておられる財務大臣にもお伺いしたいんですけれども、私は、この八機関を詰めていく場合に、組織論からどことどこを一緒にするとかどこをつぶすとかというような話ではなくて、やはり機能面から検討していただきたいと、機能面を詰めていった上で次に組織論を詰めるというような形で詰めていただきたいと思うんです。やはり、民間金融ではなかなか達せられない分野というのはあるはずであります、あると思います。  中小企業について言いますと、国民金融公庫、中小企業金融公庫、商工中央金庫、それぞれ今三機関で対応をしているわけでございますけれども、もう我々記憶に新しいんですけれども、あの金融不安のときに大変な貸し渋り、言わば貸しはがしといったような事態が発生をいたしました。そのときに、これら中小企業金融三機関が中小企業、零細企業に対して的確な対応をすることによって中小企業、零細企業が大変助かったわけでありますし、農林漁業のように収益性の低い、また回収に長期を要するような分野もございます。また、途上国向けの開発融資といったようなもの、あるいはまた非常にリスクの大きいものが融資分野としてあるわけですね。  そういうリスク評価が困難な分野についてどこまで民間の金融機関に任せていいものかといったようなことを十分詰めた上で、先ほど言いました、トータルとしては全体の融資残高を半分以下にするというような方向で詰めていき、そしてまた融資業務の効率化といったような点から組織論を詰めるというようなことがいいんじゃないかと思うんですけれども、その点、財務大臣、どういうふうにお考えですか。
  259. 谷垣禎一

    国務大臣谷垣禎一君) 今、若林委員おっしゃいましたように、中小企業の分野であるとか、あるいは農林水産業の担い手の育成であるとか、あるいはODA関連の問題であるとか、それからリスクが極めて高い分野、こういうところで今まで政策金融が大きな役割を果たしてきたわけですが、先ほどお聞きになった平成十四年の経済財政諮問会議のまとめの中に、今後、機能を議論していく上で二つ見ていけと、こう言っているわけですね。  一つは公益性でございまして、政府の介入によって明らかに国民経済的な便益が向上するかどうかといった点でございます。それから、もう一つは金融リスクの評価等の困難性、情報が少ないとかあるいは不確実性や危険性が極めてあるといったようなところでなかなか民間では代替できないと。こういうような二つの物差しによって機能をよく分析していけというのが平成十四年のまとめでございます。  それで、先ほど竹中大臣のおっしゃった民業補完という原則に立って、今の二つの基準で政府としてやるべきものは何なのか、政府としてやるべき機能は何なのか、また撤退すべき機能は何なのかということをやはりきちっと議論する必要があろうかと思っております。その上で、若林委員がおっしゃいましたように、どういう組織が資金の効率的な運用ということにつながっていくのかということを議論していかなきゃいけないと思っておりますし、そういう議論をしていく上では、政策金融機関の当事者の意見というだけではなくて、ユーザー、中小企業の方とかそういうユーザーの声、あるいは民間金融機関でどういうふうに見ておるかというようなこともよく聞きながら議論を詰めていかなければいけないのかなと、こんなふうに思っております。
  260. 若林正俊

    若林正俊君 この政府金融機関の問題は、言わば郵政民営化が入口だとしますと、ここは資金の供給という面でいえば出口に当たるわけですから、表裏一体の関係にあると。郵政民営化の改革を進めていく結果としてこの政府金融機関については厳しく対応をしなきゃならないという基本姿勢の中で、今申し上げたようなことに配慮しながら方向性を出していただきたいと、このように思います。  三番目に、先ほど竹中大臣が言われました政府資産の管理、資産、債務の管理を強化をして、バランスシートを総点検するということ、課題になっているわけでありますが、基本的に政府が自分の自己資産を所有しているのか、あるいは借りて、それも必要な公的な施設であっても借りて賃料を払っていけばいいということなのか、いろんな考え方の違いがあると思いますが、私の承知する限り、日本の国は財産一杯持っていると。この財産を国が直接持っていなくてもいいじゃないかと。これを民間に処分をして、場合によってはそれを借りて使うというようなことも考えてもいいんじゃないかというふうに思いますが、この点について、谷垣大臣、どのようにお考えですか。
  261. 谷垣禎一

    国務大臣谷垣禎一君) 国有財産については、今までも不用となった庁舎の跡地の売却であるとか、あるいは物納財産の未利用国有地、それから民営化された政府出資法人の株式、こういったものを始め積極的に売却してきているわけですが、今後ともこうした取組を推し進めなきゃいけないと思っているわけです。  こういう視点も踏まえて、現在、財政審で、売却困難な未利用国有地などをどのように工夫して売却するかといったこと、国有財産の売り方について幅広く議論をしていただいておりますので、その議論を踏まえて所要の措置を講じていきたいと思うわけですが、こういう国有財産の中には、未利用国有地というだけじゃなくて、道路、河川のような公共用財産とかあるいは庁舎等の行政財産、さらには独立行政法人等への政府出資といった売却がなかなか難しいものもございます。  それで、今の、自分が持つ必要がなくて借りてもいいんではないかという御議論もあります。現に防衛施設とか一般庁舎等として使用している行政財産が約四十兆ほどあるわけでございますが、これを証券化して売却した上で国が賃借して使用するというこのアイデアもございます。  ただ、これをしますとき、投資家への配当に見合う賃料を国が負担する必要がございまして、例えば不動産投資信託の配当利回り、これ約四%でございますが、これ国債発行利回りを相当上回っている。国債発行利回りは約一・五%でございますから相当上回っていると。そうすると、一般的にはかえって国の財政負担を大きくしてしまうということも考えられるわけでございますので、そのそれぞれの特質に従っていろいろ議論を詰めていきたいと思っております。
  262. 若林正俊

    若林正俊君 それでは次に、仕事の流れを変えるという視点での課題でありますが、市場化テストと言われているものの導入についてお伺いしたいと思います。  まず、総理、お役所仕事を改革して仕事減らしを徹底しなきゃいかぬ、そういう意味で、いわゆる市場化テストと言われる公共サービス効率化法案、これは次の通常国会に出すんだということを御指示いただいているそうですが、総理が、これに対する決意を伺いたいと思います。
  263. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 市場化テストと言われますと、ちょっと分かりにくいと思うんですね。私も、最初、この市場化テストという言葉が初め聞いたときに一般国民理解しにくいんじゃないかということで、お役所仕事を変えるんだろと聞いたら、そのとおりだと言うから、じゃ、お役所仕事で今民間よりもだらだらしているところ、あるいは民間に任せればもっとてきぱきやってコストも削減するところ、そういうのを競争さしてやるんだということですから、ああ、それはいいことだと。で、もっと分かりやすく、じゃ、どういう点を今役所の仕事と、これを民間に任せたらばもっとてきぱきできて費用も削減できる、具体的に出して総合的にまとめるような法案を来年の通常国会に出すようにしようと。  要するに、お役所仕事を変えていこうというのが市場化テストだと言いますから、その点、担当大臣には分かりやすく、法律の名前は市場化テストとなるのか、役所仕事改革法になるのか、まだ決まっていませんけれども、要は、民間と、役所がやっている仕事も民間でできると言う人がいるわけですから、それと競争して、どちらの方が費用が安く、またサービスが良くできるかと、これを競争さして、いい方に任せようという法案なんです。だから、そういうことについてより具体的に示すように、するように今指示しているところであります。これは専門家の皆さんも交えて、そのような競争できる環境を整えて、役所がやるよりもほかに任せた方がいいものはどんどんしてもらおうという、そういう趣旨の法案を今詰めている最中であります。具体的には、今一番これを詳しく知っているのは竹中大臣じゃないですかね。大臣にちょっと答弁さしていただければ、もっと私よりうまく答弁せられると思います。
  264. 若林正俊

    若林正俊君 まあ、分かりやすく言えば、ある仕事を、お役所がやっている仕事を民間でやるのか、そのままお役所でやるのか、ひとつ競争して、入札でそのどっちかがやった方がいいのかということを決めていこうということであります。  そこで、これは総論賛成各論反対の典型的な話だと私は思うんですよ。お役所は自分でやっているのを手放したくないと、民間に手放したくないとこう思っておるわけですから、どういう業務範囲を対象にするのか。それから、お役所が入札管理をして入札に参加すると言いますけれども、お役所に任していたら、これは情報公開も含めましてなかなか民間も太刀打ちできない。そういう意味では、第三者機関がそれをきちっとチェックをして監視するというようなシステムを入れなきゃいけないというふうに思うんですね。  いろいろな問題があると思いますけれども、村上大臣、この事業、総論賛成各論反対の各省庁との関係につきまして総体的にこれどこまで進んでいるのか、どうするつもりなのか、お話をいただきたいと思います。
  265. 村上誠一郎

    国務大臣村上誠一郎君) 今総理から御説明がございましたように、なかなか一般の方は耳慣れない言葉だと思います。  簡単に申しますと、最初、アメリカにインディアナポリスという市がありまして、その市長さんが、市道の維持補修、下水道料金の徴収、それからごみの収集、下水道の処理等、市がやっていた仕事を競争入札させまして、官と民とを平等にさせて、そして入札して、安くて質の高い方に仕事をやらすというのがそもそもの始まりでありました。  この仕事は、やはりこれから行財政改革の一番のポイントは、まず仕事量を減らすということです。昔は、国は外交、国防、警察、教育等と、そしてまた地方の仕事、そして民の仕事と分かれていたんですが、今までは、戦後、人口が増える、経済規模が拡大する、税収は増えるということで行政サービスをどんどんどんどん増やしてしまった。これから逆モードに入るわけですから、正にその逆モードに適応するための制度がこの言われている市場化テスト法であります。  そういう中で、今、若林理事が言われるように、この入札の実施方針を決めるときに、入札や落札者の決定を各省庁が行うと非常に実効性が確保できなくなる。そのために、実効性を確保するために第三者の役割は非常に重要になると、そういう御指摘であります。正にそういうことでありまして、市場化テストの実効性を確保するためには、プロセス全般について透明性、中立性そして公正性を確保することが不可欠であります。  そういう面で、具体的に事業のコストなどについて十分な情報開示の下で、第一にどのような事業を市場化テストの対象とするのか、そして第二に対象とされた事業について官民が対等の条件で競争入札に参加できるようになっているか、そういう点について公正中立の立場からチェックすることが非常に重要であります。そういう面で、今後、法案の策定の中で、今言われた第三者機関がこのような役割をしっかりと果たすことができるよう取り組んでいくことが極めて重要だと我々は考えております。  先ほど総理からも言われましたように、市場化テストの法的基盤となる公共サービス効率化法の制定に向けて、引き続きリーダーシップを取って進めていくようにして、閣議でも御指示がありましたので、必要とあらば関係大臣と折衝するなどして、次期通常国会への法案提出に向けて全力投球でやっていきたいと、そういうふうに思いますので、御理解、御支援よろしくお願いいたします。
  266. 若林正俊

    若林正俊君 そこで、ある仕事をこれは民間がやるというので民間が入札で取った場合、そこで働いていた公務員をどうするかという問題があるんですね。そういう意味で、徹底的にこれで人減らし、仕事減らしをしていこうとすれば人減らしになると。その人減らしは、現在の公務員制度の中で、それだけでできるんだろうか。その点について、村上大臣、どうですか。
  267. 村上誠一郎

    国務大臣村上誠一郎君) その点は非常に今後の大きな課題でありますが、当分の間はやはり、今ある人員で配置転換をしながらやはりしのいでいくということが私は重要じゃないかなと、そういうふうに考えております。
  268. 若林正俊

    若林正俊君 しかし、ここはきちっと詰めないと、配置転換だけじゃなくて、場合によっては仕事量が減ってくるんですから、分限免職の活用、今も制度としてはあるんですけれども、その運用面で、やはり仕事がなくなったらそこで働いている人も辞めてもらわなきゃいけないというようなことにも踏み込んでいかなきゃいけないと、私はそう思いますけれども、どうですか。
  269. 村上誠一郎

    国務大臣村上誠一郎君) 委員公務員経験者であられると思いますが、リー即ツモでそこまで行ければ一番いいと思うんですが、なかなか現実というのは、やはり激変緩和措置をとりつつ丁寧な説明をしながらやっていくことが私は肝要だと思います。その点につきまして、若林委員が言われるような方向に行くように一生懸命努力したいと、そういうふうに考えております。
  270. 若林正俊

    若林正俊君 せっかくの御努力をお願いいたします。総理は、郵政民営化は殺されてもいいからやるんだと、こうおっしゃられます。そういう気迫でひとつやってもらいたいと思います。  次に、景気対策について伺いますが、全体については月例報告あるいは昨日の日銀の短観などで回復過程にあるというのは分かりますし、大都市を中心に地価も上昇していますし、株価も堅調でございます。しかし、地方の経済、地域によってなかなか景気回復が浸透していないという地域があり、また中小企業やサービス業などについて大変に景気回復を実感できないでいるわけです。  そこでお伺いしたいんですけれども、この地域再生事業などを活用して、地方の道路とか河川、防災事業などを、そういうなかなか景気対策が及ばないような地域に重点的に配分していくというような考え方について、国土交通大臣、どのように考えますか。
  271. 北側一雄

    国務大臣(北側一雄君) 委員も御承知のとおり、公共事業全体の量そのものは、これは減ることはあっても増えることはこれから私は見込めないというふうに考えております。そういう環境下にあると。そういう中にあって、一つはやはり優先順位、めり張りを明確にしていく、もう一つはやはりコストの縮減を努めていくと、できるだけ事業量を確保していくと、そうしたことが大事であると思っています。そういう中で、その優先順位の一つとしてやはり地域の再生ということはあるんだというふうに考えているところでございます。  地域の再生に向けましては、一つはまちづくり交付金がございます。十八年度予算の概算要求でも大幅に増やさせていただいておりますけれども、このまちづくり交付金を是非活用していただきたいと思いますし、また今委員のおっしゃった地域再生交付金により必要な事業が行われるように措置しているところでございまして、地方の自主性、裁量性というものを確保しながら、地域の特性に応じた社会資本整備をしていかにゃならないと思っております。
  272. 若林正俊

    若林正俊君 そこで、先ほど来、道路特定財源の有効な活用の話が出ておりましたが、こういう遅れた地域における特定の事業について、地方に自主性を与えながら地方の地域再生事業、地域活性化事業にこの道路特定財源を充てるというようなことについて是非検討いただきたいと思いますが、北側大臣、どうですか。
  273. 北側一雄

    国務大臣(北側一雄君) 地方の活性化のためには、地方の自主性の下、創意工夫を発揮していただいて地方道の整備が進められていくということが大事であると考えておるところでございます。  委員も御承知かと思いますが、地方道路整備臨時交付金という制度がございまして、これはもう一本一本の道に補助金を付けていくのではなくて、もう全体をパッケージとして、例えば今、市町村合併が進んでいます。市町村合併が進んだ中で合併された市町村、そこでやっぱり道路の新たなニーズが生まれてまいります。そういうのを幾つかある道路をまとめてパッケージとして支援をしていく、そういう地方道路整備臨時交付金というのがございますし、また地域の実情に応じて道路整備が進められるよう、例えば道路の構造なんかも一・五車線的な整備のできるような、そうしたやり方など道路構造に関する基準の改正や弾力的な運用、こうしたものをしっかりと進めていって地方の活性化に資することが大切であると考えております。
  274. 若林正俊

    若林正俊君 私は、道路を中心にしながらも道路以外の河川の整備とか防災事業とか、そういうことまで広げました地域の交付金を検討をいただいたらどうかというふうに思うんですが、谷垣大臣、どうですか。
  275. 谷垣禎一

    国務大臣谷垣禎一君) 今のはあれですか、道路特定財源との関連でおっしゃったわけですか。
  276. 若林正俊

    若林正俊君 そうです。
  277. 谷垣禎一

    国務大臣谷垣禎一君) 道路特定財源、総理の御指示もいただいて、厳しい財政事情の中でどういうふうに資金を有効活用するかという観点から、いろいろこれから検討していかなければならないと思っておりますが、今、北側大臣がおっしゃいましたまちづくり交付金とかいろんなものに特定財源も、道路特定財源も活用しながら使っております。まずはそういうものの活用をお願いしたいと思っておりますが、今後どうしていくかはよく議論をさせていただきたいと思っております。
  278. 若林正俊

    若林正俊君 先ほど来、石油の高騰によりますいろいろな影響のお話がありましたが、特にトラック事業者や漁船漁業者のようになかなか転嫁できない、そういう事業者に対してどのような政策を講じてきておりますか。さらに、これに対しては緊急に対策が必要だと思いますけれども、いかがでしょうか。  北側国土交通大臣農林水産大臣にお伺いします。
  279. 北側一雄

    国務大臣(北側一雄君) 今朝もこの原油問題に関する関係閣僚の打合せを行わせていただいて、議論をさせていただいたところでございます。特に、国土交通省の関連では、運輸関連事業におきまして、車両とか船舶とかそういうところは当然燃料として軽油や重油等を使用しておりますので、そういう中で非常に経営に大きな影響を与えているという状況でございます。  例えば、トラック事業で申し上げますと、トラック事業というのは十兆円の事業なんですが、この一年半ぐらいでこの軽油価格の価格がどうなっているかといいますと、二千五百億円、約二千五百億円コスト増になっているわけですね。これは全体の二・五%コストが増えているということでございまして、一方、そのトラック業界全体の収益はどの程度あるのかといいますと、経常利益で一年間で約五百億弱なんですね。五百億弱で、一方で燃料だけで二千五百億円以上増えていると、こういう中で、当然トラック事業主、事業者も様々な自助努力をやっておりますが、それにも限界があると。価格転嫁ができているかといいますと、ほとんどこれ中小企業でございまして、約九割のトラック事業者が運賃転嫁ができていないと、こういう現状にあるわけでございます。  また、一方で環境対策等で車の代替等も求められていると、こういう状況でございます。  先般、私、是非こういう状況を荷主の皆様にも御理解をいただく必要があるということで、経団連の奥田会長にお会いをいたしまして、こうした状況についての御理解をお願いをいたしました。その結果、近々、運輸事業、大手荷主、油の製造業者の三者による話合いを経団連主導の下になされるというふうに聞いているところでございます。  まずはこの価格転嫁をお願いをしていく。また親請、親請業者の方は価格転嫁していても、下請の方にされていないというような問題もありますので、これは経産大臣とともに、これは下請事業者への配慮についてしっかりやってもらいたいということを文書で発出をしたところでございます。  今後ともしっかりと対策を取らしていただきたいと思います。
  280. 若林正俊

  281. 岩永峯一

    国務大臣岩永峯一君) 一・五倍の高騰による漁業への影響でございますが、中小漁船では一経営体当たり七百五万円の燃油価格の高騰、それから遠洋マグロ・カツオ漁業では三千三百十六万の高騰になるわけでございます。それで、御承知のとおり、競り等の相場によって決定されておりますので、漁価というのは、消費者の低価格志向等の価格転嫁が大変難しいという状況でございます。  ちなみに、漁業がかつて三十二万、平成五年におったのが、今は二十四万人に減っているというような状況で、二七%の減になっているわけです。この価格低迷までに一経営体当たりの漁業経営というのが今まででもマイナス二百八十万だと。だから、ここへその七百五万を転嫁しますと、一経営体当たり年間一千万の赤字になるというようなことで、大変深刻な状況を来しておるわけでございますので、今朝の関係閣僚会議におきましても、私の方から本当に悲鳴を上げている漁民の皆さん方の声を痛切に実は訴えたわけでございます。  それで、農水省といたしましては、既存事業の積極的な活用でございますが、省エネ設備の導入、それから無担保無保証人事業の活用による運転資金確保、それから追加的な対策としては、漁協系統の燃油流通効率化支援対策というので、これは漁協に対して対応していくというのと、それから漁民の皆さん方個々については、省エネに取り組む漁業者に対する追加的な融資円滑化資金というのをやっております。  十八年度には、特に省エネに対する関係の資金を相当導入をしていきたい、そしてお願いをしていきたいと、このように思っております。今日も閣僚の皆さん方に青色発光ダイオードなんかを見ていただいて、それを使うことによって約半減する燃費になるということでございますので、そういうことの取組に積極的に対応していきたいと、このように思っております。
  282. 若林正俊

    若林正俊君 最後に、農業問題について御質問をし、御意見を申し上げて終わりたいと思いますが。  WTO農業交渉がいよいよ大詰めになっておりまして、十二月の香港会議でモダリティーを確立しなきゃならないと。私も先般一週間ほどジュネーブに参りまして、関係WTOの幹部あるいは関係の諸国の代表の皆さんとお話をしてきました。大変厳しい状況にあると思いますが、結果はともかくこういう環境の中で日本農業が生き残っていくために、食料の安定的な供給を始めとして食の安全を確保していくということのためには、農業の構造改善というのは小泉改革の一環としてもう是非とも来年には形のある形で実現を図らなければならない、このように考えているわけであります。  特に、持続可能な担い手の育成をどうするか、そのために直接支払制度をどう導入するのか、その対象として集落営農組織をどこまでこの対象に加えていくのかといったような問題がありますし、また農協の経営問題、農協がもっともっとその農業者のために、資材の供給にしてもあるいは販売にしてももっと農協が合理化を進めながら活発にやっていかなきゃいかぬというふうに思うんです。  このことについて農林水産大臣の決意を伺いますとともに、最後にこれは私の注文ですけども、実は規制改革民間開放会議においてこの担い手の育成、担い手に対する農地の集約を進める、あるいは農協経営問題について課題にしておりますが、中間報告をするしないといったような問題からこれを見送ったわけですが、新聞などでは農林族が圧力を掛けたからこれを見送ったんだといったように新聞に報道されるんですね、日本農業新聞なんかにもそれを大きく取り上げております。私はそんなことはないと思うんです。  で、是非、竹中大臣にお願いをしておきますが、もっとこういう重要な問題、そして政府と自民党が本気で取り組んでいる問題については、規制改革民間開放推進会議の検討過程でもっと我々とも、自由民主党とも意見の交流をしながらいい結論が出るようにしてもらいたいと、私はそう思うんです。村上大臣ですか。  それで、そういう農林大臣の決意と併せて、村上大臣から、こういう族議員の圧力で曲げられるんだといったようなことにならないように、そういう報道にならないように、もっと事前によく相談をしてもらいたいということを注文を付けたいと思います。  農林大臣、どうですか。
  283. 小野清子

    委員長小野清子君) それでは、岩永農林水産大臣から。
  284. 岩永峯一

    国務大臣岩永峯一君) 今の農業生産者の平均従事年齢というのが六十七、八、九歳ぐらいが中心になっておられるわけですね。十年前まではそこから十年引いた五十六、七、八歳、それから今後十年先に予測されるのが、今度は七十六、七、八、九歳と、本当に農業従事者というのは高齢化をしているわけでございます。  そして、御承知のとおり、どんどんどんどん放棄地が増えてきていると、自給率が四〇%で低迷してきていると。本当にそういう状況の中からいかに脱皮をして、そして食料の安全保障をどう確立するかというのが我々に課せられた最大の課題だと、このように思っているわけでございます。  それで、今先生のおっしゃられたように、農業は平成十九年度に担い手農家、そして品目横断、そうしてから集落営農に大転換をするわけでございますが、まあばらまきから今度は金も土地も集中しようというようなことで、かなりの決意をもって全国に今そのことに対する参画を呼び掛けておるわけでございますし、まあ来年度辺りがこれの正念場ではないかと、このような強い決意でもって対応をしているわけであります。  しかし、じゃ、若年の方々が農業に参画していただこうと思うと、やっぱり農業がもうかるということが大前提でございまして、幾ら働いてももうからない、経済がもたない、対応ができないということでは困るわけでございますので、もうかる農業をどうしていくかということなんです。  それで、今お話し申し上げたように、一つには、やっぱり金も土地も集中して専業農家、担い手農家を増やしていくということ、集落営農で土地を一本化していくと、こういうことも大事でございますが、もう一つ、現在の農家の生産手取りというのは大体三〇%なんですね。そして、汗水垂らして本当に泥まみれになって働いている皆さん方が三〇%だと。こんなことでは大変残念でございますので、流通過程をこれから点検していきながら、農業生産者に四〇%、五〇%のもうけが行くようにしたいというのが私の基本的な考えでございます。  そのことのために、農協改革、特に全農改革については、昨年度、私、副大臣のときに本部長として頑張りましたので、これを徹底的に見直しながら、そして流通過程を見直していく、流通のコスト、それからその中間のマージンを削減していくというようなことで、大々的に農業改革については農協改革、全農改革をも含めて対応していきたいと、このように思っております。  せっかくの機会ですので、十分御説明して皆さん方の御協賛を得たいと、このように思うわけでございますが、時間の関係でございますので、そういうことの決意を持ちながら、これから精一杯頑張ってまいりたいと、このように思います。
  285. 村上誠一郎

    国務大臣村上誠一郎君) お答えします。  小泉構造改革は御承知のように聖域を設けることなくやる構造改革であります。農業も含めて私どもやっています。  ただ、若林理事に御理解いただきたいのは、残念ながら規制改革とか行政改革というのは、一年間やらしてみていただいたんですけれども、応援団が少ないわけであります。ですから、やっぱり規制改革会議等含めて、やはり自由濶達な議論をできるようなシチュエーションを置きながら、みんながその意見というか、アイデアを出させる状況をつくっていくということが私は重要じゃないかと思います。  特に、御高承のように、昨年は混合診療は今ごろ大変な反対多かったわけです。そのときに、医師会の意見も聞く、それから議会の議員の先生たちの意見聞く、そして最終的には東大病院やがんの末期患者、そして最終的には規制改革の十五項目の要求のうち十四項目を達成することによってソフトランディングできたわけです。  それと同じで、やはりみんなが自由濶達に議論できて、そして我々政治家が最終的な落としどころを探ると、そういうふうに努力しますので、御理解いただきたいと思います。  以上であります。
  286. 若林正俊

    若林正俊君 私が承知する限り、規制改革会議の中におけるこの農業問題の検討はそんな立派な議論をしていない。していない中で何かこの方向が出ているというふうに承知しております。ですから、もっともっと活発な議論を深く本当にやってもらいたいということを注文を付けて終わりたいと思います。
  287. 村上誠一郎

    国務大臣村上誠一郎君) それは若林委員、私もこの規制改革の皆さん方と議論をする……
  288. 若林正俊

    若林正俊君 農業問題です。
  289. 村上誠一郎

    国務大臣村上誠一郎君) いやいや、そうですよ。ですけれども、私は、客観的に見て、規制改革のメンバーの皆さん方は本当に真剣に私は一生懸命やっていると思います。それは御理解いただきたいと思います。  以上であります。
  290. 若林正俊

    若林正俊君 議事録見たことないんですよ、農業。
  291. 村上誠一郎

    国務大臣村上誠一郎君) 農業もやっています。
  292. 小野清子

    委員長小野清子君) 関連質疑を許します。阿部正俊君。
  293. 阿部正俊

    阿部正俊君 大変白熱した議論でございますが、ひとつ冷静にまいりたいと思います。  私、最初に外交諸問題について掘り下げさせていただきたいと思います。  国連改革というのは長年の日本外交の非常にその基礎的な課題ではなかったかなというふうに思います。率直に申しまして、先ほど失敗という表現ありましたけれども、失敗とは思いませんが、期待値よりは相当低い結果に終わったのかなという率直な感じも持ちます。ため息が出ました。  それで、最初に総理に、やはりこの国連改革について、私どもが、我が国が何を主張し、何ができたのか、あるいは何ができなかったのか、あるいはその間から得られる教訓は何だったのかというようなことについて、総理の全体の、総指揮官としての総理の御所見をちょうだいしたいと思います。
  294. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 私どもも、国連改革、九月にできなかったから失敗だとは思っておりません。  六十年たって、当時、国連加盟国が大体五十か国ぐらい。今、その三倍以上、百九十か国ぐらいが国連に加盟していると。まあ当時、日本は敵対国だった。常任理事国五か国。それに比べて、敵対国が友好国になっている、まあドイツも含めてですけれども。そういう中で、安全保障理事会、この常任理事国入りだけでなくて、国際社会の中で国連の機能を強化していかなきゃならない。  それと同時に、今、百九十か国ほどの国が加盟しているわけですから、様々な意見が出ますし、その中で、どうしても行政的に見ると肥大化していると。そういう今の国連におけるいわゆる官僚機構というんですかね、これも効率的なものにしていかなきゃならない。  さらに、扱う課題というのがもう様々な課題になっております。テロ対策だけじゃありません。環境の問題におきましても、貧困削減の問題におきましても、更には感染症の問題においても、もう一国だけでは対処できない。そういうことを考えると、国連をいかに強化していくかということは、まあこれについてはほとんどの国が賛成であります。  ただ、安全保障理事国になれないから失敗じゃないかと、ああいう議論もありますが、元々、今の安保理五か国になってみれば、これを増やすということは既得権が狭まるわけですから、なかなか賛成というのは難しいですよ。  それで、日本だけそれじゃなればいいかというと、各国もうなりたがっている国はたくさんあるわけですから、そういう点、もう日本だけいい思いをすればいいというもんじゃない。世界各国と協力していかなきゃならない。  そういう中で、日本はドイツとブラジルとインドと共同で安全保障理事国になろうと。そしてもう過半数以上の国がこれに対しては賛成なんです。しかし、国連というのはやっぱり三分の二以上の総会の決議、安保理の全会一致というそういう制約もありますから、難しいのは承知しております。  しかし、ここまで日本は多くの国と協力できたという実績もあります。規定の数には達しませんでしたけれども、これほど機運が盛り上がったことないんですから、今後とも国連の強化に対して、そして国際社会の中で、国連が、一国では対処できない、国際的な協力の下で様々な問題に対処していこうということで、日本の責任なり役割というものに対してその引き受ける覚悟はあると、またその力があるということを理解してもらう点においては、私は今回の努力というものは無ではないし、大きな意義があったのではないかと思っています。  今後とも、この国連の改革について日本としての役割を果たすべく懸命に取り組んでいきたいと思っております。
  295. 阿部正俊

    阿部正俊君 小泉総理は今度の選挙で見事に勝たれたわけでございますが、国連でも、まあ言わば多数派工作というのがあったわけでございますけれども、ある意味じゃ選挙みたいなことでございますが、やっぱり総理自身もおっしゃったように、既得権の打破といいましょうか、というものがいかに難しいかなというのを実感させられたのも事実ではないかなと思いますけれども、それにめげずに更にこれからも努力を続けていっていただきたいと思います。  ただ、若干の足掛かりが残ったのかなと思いますのは、総理も出られました世界首脳会合がございまして、一定の文書がまとめられました。  この点につきまして外務大臣から御説明いただきながら、先ほど私が申し上げた、これからの、今回の一連の流れの中から学ぶべき教訓といいましょうか、ということについても触れていただければ有り難いと思います。よろしくお願いします。
  296. 町村信孝

    国務大臣(町村信孝君) 今、阿部委員お話をいただきました国連首脳会合、九月中旬に開かれました。小泉首相を始め、百八十か国以上の首脳が、あるいは元首が参加をし演説をされたという状況でございました。開発の問題、平和の問題、人権の問題、そして国連改革、幅広い内容から成る成果文書というものが取りまとめられたのは御承知のとおりでございます。  安保理改革につきましては、本年末までに国連総会で検討を行うという記述が設けられましたし、また敵国条項、これを削除するということについても盛り込まれております。そのほか、我が国が長年主張しております人間の安全保障、特にこれは小渕元首相の提唱されたことに始まっておりますが、これへの言及でありますとか、新しく平和構築委員会というものをつくってはどうか、あるいは人権委員会というのがありますが、これを人権理事会に言わば格上げをして、そこで人権の問題をより強い権能を持たせて取り扱ったらどうだろうか、さらには今総理が言われた国連の事務局のマネジメント、肥大化した組織のスリム化といったようなことも盛り込まれておりまして、今後、こうした基盤ができましたので、これをベースにして、これをより具体化する作業というものを国連総会、また各機関の中でやっていこうということが合意をされたわけでございまして、幅広い今後こうした改革を進めていく中で、我が国の安保理入りあるいは敵国条項の削除といったようなことも次第次第に実現をしていく、そういう努力を鋭意やってまいりたいと考えているところでございます。
  297. 阿部正俊

    阿部正俊君 時間が余りありませんので先へ進ませていただきますが、一つは安保理改革に向けてでございますが、これに関連して最後に触れておきますが、どうも米国の態度あるいは中国の非常にかたくなな反応等々は、私ども、国連中心主義とは言いませんけれども、国際協調路線を取ってきた者として、あるいは対米協調ということを中心にしてきた者として、ある意味じゃちょっとがっかりするようなことが、場面が率直にあったわけでございますけれども、この辺につきまして、これからの安保理改革、常任理事国ということを考えますと、相当やはりアメリカとの協調あるいは中国との対話といいましょうか、ということについて力を注いでいかなきゃいかぬ、あるいは今までのやり方とは違ったものが必要なんじゃないかという気もしますけれども、外務大臣、いかがでございましょうか。
  298. 町村信孝

    国務大臣(町村信孝君) 委員御指摘のように、アメリカあるいは中国、どちらも常任理事国でございますから、最終的にこの二国が反対ということになりますと、これは憲章改正に至らずということになるわけでございまして、この二国の賛同を得る必要性というのはもとよりでございまして、委員の御指摘のとおりだろうと思います。  アメリカも、昨年秋、大統領選挙があり、その後なかなかこの国連を担当する部局の人が決まらなかったと。ボルトン大使に至っては八月にようやっと発令をされるというような事態で、アメリカ自身の方針が、率直に言って、ゴールデンウイークのころまではっきりしなかったということは実態としてあったわけでありますが、その間、我々はG4という形でどんどん運動を進めておりましたので、そこでそごが生じたのは事実だろうと、こう思います。  また、彼らも議会との関係で、安保理もさることながら、それ以前に、人権の問題とか事務局の改革、この辺をまず先行してもらわないと、安保理だけが先行するのはいかがなものかということはライス長官も常に言っておられました。そんなこともあって、後段というか、七月、八月、かなり激しい反対運動をアメリカなりに展開したのも事実だろうと思います。  ただ、先般の国連総会の一般討論演説の中でライス国務長官は、これはかねてよりブッシュ大統領が小泉首相へ表明していたとおりでございますけれども、安保理の改革は必要だ、拡大も必要だ、日本の常任理事国入りにも賛成だということを改めて表明をしたわけでございまして、その辺をベースにしながら、より緊密な日米間の協議を、今までもやってきておりますが、更に進めていきたいと思います。  中国との関係もまた同様でございまして、中国自身も実は安保理改革は必要だということを述べております。ただ、観点がどちらかというと発展途上国の代表性を安保理の中でもっと強調すべきであると。まあ、裏返して言うと、発展途上国でない日本はちょっと待ってちょうだいねということに結果的にはなってくるんだろうと思いますが、しかし安保理改革が必要だということは述べております。  この辺につきましても、今までも中国と総論においては一致をしておりますので、今後更に日中外相間あるいは日中首脳間でもそうした話合い、対話を通じて、より深い理解を得る努力を引き続き継続をしていきたいと考えております。
  299. 阿部正俊

    阿部正俊君 最後に、国連改革の問題についてでございますが、国連分担金、何か日本は一九%ですか、されておる。一九%というのはアメリカに次ぐ大きな額でございますし、かつ他のアメリカ以外の常任理事国全部合わせても一九%以下でございますし、どうも国民感情として、率直な感じとして、地元なんかへ帰りますと、いつも日本は金だけ取られて何も力がない、認められないのかねというふうな気持ちがあります。  と同時に、あと、今回の改革、国連の改革に関連した改革会合でも確認されましたが、ODAを更に、日本でいえば更に倍増以上に約束させられているような感じがしますけれども、その辺も同じ感情がありまして、これも税金だよねと、でも国連に、あるいは国際的な使い方の前にそれでいいんだろうかというような気持ちがありますけれども、その辺の気持ちといいましょうか国民の感情について、分担金の問題、ODAの問題等々についてどう考えられるのか。これはむしろ、総理、ちょっとお感じをお聞きしたいなというふうに思いますけれども、どうでしょうか。
  300. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 国民感情から見れば、貴重な税金をなぜ国内で使わないで外国に使うのかという気持ちは率直に言ってあると思いますが、それは、国際社会の中で、世界の平和と安定の中で日本の発展と繁栄があるんだという観点から立てば、日本人が日本だけに重点的に目を向けたいという気持ちは分かりますけれども、あるいは世界の発展のためにも日本の国力、経済力にふさわしい役割を果たしたいと思うのも必要ではないでしょうか。  現に、国際社会の中で日本のいわゆるODAに対する今までの貢献に対しては高い評価を得ております。そして、国際会議に出れば、GNPに比較してODA、いわゆる海外援助等に対して日本というのは少ないではないかと。世界の目標としてはGDP比で〇・七%の支援を額として出すべきだというような議論が行われております。そこをいきますと、日本はまだ〇・二%程度であると。これを〇・七%まで引き上げていくというのには、国内の厳しい財政状況を考えますとこれは非常に厳しくて、一般国民から理解が得られるかという問題もあります。しかし、日本の経済発展に比べれば、発展途上国はもう貧困にあえいでいると。そういうことに対して日本がしかるべき手を差し伸べるということも、国際社会の中では、日本の立場を考えますと、これはやらなきゃならないことだと思います。  そういう観点から、日本としても、資金面においても、あるいは人的な面においても、また技術の面においても、できるだけの支援を国際社会にして、国際社会の発展とともに日本の発展があるんだという考えから立てば、その国民の貴重な税金でありますけれども、国際社会とともに応分の負担をしていくという姿勢と、具体的な実施面において、これからも必要ではないかなと思っております。
  301. 町村信孝

    国務大臣(町村信孝君) 今総理が言われたことに尽きていると思います。  分担金のお話は、これは三年に一回ずつ改定交渉というのをやっておりまして、今の日本の一九・五%の負担というのは二〇〇四年、五年、六年と三か年にわたるものでございます。したがって、二〇〇七年以降のこの分担率を決める交渉が来年から始まるということでございまして、これについては、例えばイギリス、フランス、ロシア、中国、この四か国を足しても一五%強ということでございますから、その辺のバランス感覚といいましょうか、公平感というものもやはり国民の中にあるだろうと思います。その辺を勘案しながらしっかりとした交渉をしていきたいと、こう思っております。  ODAにつきましても、今総理が言われたとおりでありまして、先般のサミットにおきましても総理の方からODAについては百億ドル、事業量ベースで百億ドルの増加、特にアフリカ援助については三年間で倍増というような積極的な姿勢をします。  しかし、確かに〇・七というのは、日本とかアメリカのようにGDPの大変大きな国からすると、それはとてもちょっと賄い切れるものではないといったようなこともございますので、現実に達成、相当努力をすれば何とか達成できる、そして世界のそうした大勢に日本も沿った形で開発援助を進めていこうという最大限の努力をしていこうということでありまして、もとより国民の貴重な税金を使ってのことでございますから、あだやおろそかにはできません。大切にそうした資金を活用し、またアジアとかアフリカという国々が発展をすることが間違いなく翻って日本の経済の発展にもつながってくるというのは、ASEAN諸国あるいは中国の発展が、日本の輸出等が増えているということなどから見ても、そういう言わば見返り効果というのがあるんだということについても多分国民皆様方は御理解をいただけるのではないかと、かように考えております。
  302. 阿部正俊

    阿部正俊君 是非、国連改革、常任理事国入り等々の課題についてはまだ実現できておりませんので、特に、特にといいましょうか、私個人としては敵国条項というのは非常に気になる話なんですね。国民の名誉の問題でもあるんではないかと思いますので、この辺も今回もう一応削除することはいずれということで合意されたようですけれども、まだ残っております。国連というのは戦勝国のグループから発足した歴史がありますので、その母斑というのはまだ続いているのかなと残念ながら思わないでもないんですけど、そうじゃない国連に早く改革していただくように御努力をお願いしたいと思います。  さて、ちょっと離れて、イラク問題についてちょっと触れたいと思います。  十二月で閣議決定の期限が参りますが、そういう時限だけではなくて、やはり客観的にも、あのイラクの爆撃といいましょうか、イラク問題が出てアメリカの爆撃があってからもう二年半以上過ぎているのかなと思います。六月の時点で、二年半前の六月の時点で私も同僚の舛添先生なんかと一緒に行ってまいりましたけれども、それから比べると相当変わってきているのかなと。  ある意味では、当時はある種の無風状態みたいだったけれども、その無政府状態に近かった時点でどう復興支援をするのかということで自衛隊を出そうかと、こんなふうになっていったのかなと思いますが、今曲がりなりにも何かの形で主権といいましょうか、いうものができ掛かっておるんではないかとるる考えると、やはり今までどおりずっと続けましょうということだけでじゃなくて、客観情勢も変わったなと、国際関係でもいろんな部隊の移動等もありますし、その辺を踏まえて新しい判断というのは要るんではないかなと思いますけど、いかがでしょうか、外務大臣
  303. 町村信孝

    国務大臣(町村信孝君) イラクも自らが民主的な国づくりということで大変な努力をしていると、私どももそう思っておりますし、また国際社会もそういうイラクの自助努力を助けようということで努力をしております。憲法草案ができ上がり、さらに年末までにその憲法に基づく国民投票、選挙が行われ、来年の一月あるいは二月には新しい本格政権ができ上がるということで、政治プロセスというものは着々と前進をしていると思います。  他方、治安情勢というのはなかなか思うように改善をしてこない。大分彼らの国内における独自の治安維持能力というものは徐々には高まってきているというふうには考えておりますけれども、現実にいろいろな事件が起きているということもまた十分注視しなければならないだろうと、こう思っております。  したがいまして、今私どもは、とにかく国際社会が一致してその民主化プロセスを支えるという面で日本が自衛隊を派遣をし、あるいは無償資金協力をしているということは、正にその国際社会の一致した協力の一環としてやっているという意味で大変重要だと、こう思っております。  ただ、委員御指摘のように、来年新しい政府ができる、その間に治安維持能力も高まってくるといったような状況の変化、あるいは自衛隊による貢献というものも、当初は水というものを中心にやってきましたが、次第にその対象も変化をしてきているといったようなこともございますので、常にそうした状況の変化というものはしっかり私どもも認識しながら、しかし今ここで何か新しい方針を出すという状況では、それはいかにも時期尚早ではないだろうかと。十二月中旬に新しい計画をまた策定する時期が参りますけれども、そのころまでに一定の考えをまとめて新しい計画作りに進むのか進まないのか、ことを含めて、いずれにしても政府としてのしっかりとした判断を示していこうと、こう思っているところでございます。
  304. 阿部正俊

    阿部正俊君 イラク問題につきましては、新聞報道等で撤退も検討といったふうな見出しも出るわけでございますけれども、どうかひとつ新しい情勢を踏まえて、真剣にかつ国際的な協調ということを前提にしながら適切に判断していっていただきたいと思います。  ちょっと違った観点でございますが、在外投票制度についてちょっと聞いておきたいと思います。  最高裁の判決で、今行われている在外投票、まあ一応形式的にはあるんでございますが、選挙選挙については認められておりません。一つの提案も含めて、もう時間がありませんのでお答えいただきたいと思うんですが、どうも今、各、外務省、旅券法に基づきまして在外届というのがございますよね。あれをもうちょっとしっかり、すなわち届出にして、あたかも市町村が実行している住民登録と同じような形になぜできないのかなと。あれは、多分旅券法の十六条というのは昭和四十五年にできたはずですね。その当時の状況と現在は相当変わってきています。  その国にいる人にとってはその領事館の在外届、まあ言わば、領事館が言ってみれば市役所みたいなものですから、そこを一つ選挙事務をやる、総務庁の経営機関じゃなくて、そこを市役所的な機能を持たせることによって、届出制度をきっちりした住民登録に類するようなことをして、選挙というものをもう少しきちっとできるような体制ができないかなと思いますけれども、違憲判断を受けた政府としての御認識なりこれからの対応をお尋ねしたいと思います。
  305. 町村信孝

    国務大臣(町村信孝君) 旅券法十六条、委員御指摘のとおり、海外に三か月以上滞在する方は届出が義務付けられているわけでございます。ただ、罰則規定がないものですから必ずしも皆さん届け出ないと。しかし、例えば先般のインドネシアの爆弾テロといったようなものがあるときに、届出がちゃんとあれば、きちんとした今ネットワークをつくったりしておりますので、そういう形ですぐ安否の確認ができるとか、あるいは最近はオンラインでそういう在外届が出せるようにしたりとかいうようなことで、実際に便利ですよ、簡単に届けられるんですよということを大分PRをしているところであります。  もっとこれが確実に皆さんが届け出られるように努力はしていかなければいけないし、またそのことが、今委員御指摘の、在外選挙人の実際投票権を行使する際にもやっぱりこれは不可欠の前提になるわけでございますので、そういう意味で、より一層在外届がもっと多くの方々から出されるように努力をしていかなければいけないと考えております。
  306. 阿部正俊

    阿部正俊君 今の点、ただ努力というだけではなくて、総務大臣にもちょっと併せてお尋ねしたいし、総理のリーダーシップを是非発揮してもらいたいと思うんですが、やはり在外での滞在というのが非常に常態化している状態のことでございますし、片方は、やっぱり選挙権を実行するというのは、外にいようがいまいが同じように権利として保障されなきゃいかぬのだということが今回の最高裁の判決ではないかと思います。  それについて、どうか、総務相の御見解もお聞きし、かつ総理もできたらリーダーシップを発揮して、そういったふうな今までの在外届の性格を変えて住民登録と同じように扱いましょうというようなことで、少しまじめに検討をお願いしたいと思いますけれども、いかがでございましょうか。
  307. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) 過日の最高裁の判決が出ておりますんで、まず次回の国政選挙、衆議院若しくは参議院の選挙において、いわゆる小選挙区若しくは、何ですか、選挙選挙というものを対象としたいわゆる法律改正をやらないかぬということになるんだと存じます。それがまずきちんとしないといかぬところなんだと思いますんで。  続いて、在外選挙人の確認ということが出てくるんだと思うんですが、この事務処理の問題につきましては、これは阿部先生、この場所をどの程度かというと、それはニューヨークだ、ロンドンならまだ話は早いかもしれませんけれども、かなり、在外公館も周り余りはっきりしておらぬ。私住んでいたシエラレオネなんという国はまだ、二年住んでいましたけれども、そのときも領事館もなけりゃ大使館もありませんでしたので、いまだにありませんし、そういったのを含めまして、これはかなりのところにいる人たちをどうやって集めるかと。  しかも、今回みたいに三日前に公認するなんという話になると、これはなかなか物理的には大変よ、これ常識でいって。こういったのをやって、公示の日までに全部、全公館全く同じものを持たせるということになると、従来の文書だけではとても間に合わぬなという感じだけはしますので、これはちょっといろんな方法を考えにゃいかぬところだとは思いますけれども、いずれにいたしましても、これは最高裁の判決が出ておりますので、何らかの形で対応いたしたいと思って、外務省とこれは詰めにゃいかぬところだと思っております。
  308. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 最高裁判決ですから、個々の国民の権利を確保できるように制度を整えなきゃいけないんですが、要するに十二日間、衆議院の場合は選挙期間、常に候補者が一か月、二か月前に分かっている状況じゃありません。公示の日に分かる人がいるわけですから、そのときに小選挙区、選挙選挙分かるかどうか、事務的な問題があります。  で、全世界に、すべての国に大使館、領事館があるわけじゃありませんから、そういう方法も含めてできるようにはいたします。ただ、どこまでできるか分かりません。できるだけ国民の権利を確保するような制度にして、事務的にもどこまでできるか、まあ今の時点ではっきりは申し上げられませんが、その最高裁の判決を生かして、制度、法整備をしていきたいと思います。
  309. 阿部正俊

    阿部正俊君 じゃ、よろしくお願いします。  じゃ次に、ちょっと視点変えて社会保障の改革について取り上げさせていただきたいと思います。  年金等々が今話題になっていますが、今日は年金はちょっと、まあ一部は触れますけれども、主に医療改革について触れてみたいと思います。と申しますのは、今度の通常国会に必ず医療制度の改革、医療保険制度の改革について提案をするというのが今までの基本方針じゃなかったかなと思いますので、今のできる範囲内で、現在の時点で申し上げられる範囲内でどうぞひとつ厚生大臣、あるいは厚生労働大臣あるいは総理から方針等々にお聞かせいただきたいと思います。  まず最初に、これは総理あるいは竹中大臣にお聞きした方がいいのかなと思いますが、医療制度改革議論するときによく医療費適正化という名前で、医療費の総量規制といいましょうか、というふうな観点から物事がよく議論されます。それは全く間違っているとはあえて申し上げませんが、それを実現するための手法は何かというところが一番大事なところでございまして、あるいは実現できないかもしれませんけれども、そのちょっとねらいが、何か服の大きさを決めて体を決めるみたいな話が、感じがしますので、無理なことを言っているんじゃないかねと。そこから話が出ちゃうと話が進まないと。むしろ体づくりをどうするのかというようなことを、今までの昭和三十年代の時代背景でできた社会保障制度、医療保険、医療制度を現在の疾病構造何なりのときに変えていくということが必要なんじゃないかと思いますけれども、この辺についてどうも、今回の医療改革の政策目標が何なんだと、医療費を適正化で減らすんだということが目標なんだとは私は思えない。それじゃやっぱり本当の意味での構造改革にならないと思うんです。  その辺、どうでしょう。構造改革というのは仕組みを直す。非常に国民の手にしなきゃいかぬ医療というものをもっと永続的なことを前提にすると、当然のことでございますけれども、手にするためのいろんな工夫というのをどうするのかということについて総理及び竹中大臣のお考えをお聞きしたい。医療改革の政策目標というのは何なんだということについてお聞かせいただきたいと思います。
  310. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 医療の問題につきましては、費用の点、それから質の面、両方あると思いますが、この医療というのは、国民がひとしく健康な生活を送りたい、病気を治してもらいたい、あるいは病気になったら早く治療してもらいたい、この要求にどうこたえていくかという際に、これから、今の状況を考えますと、必ず医療費は増大していきます。そして、質の向上を目指すと、お医者さんの数にしても病院の数にしても、国民は増やせば増やすほどいいというのになると思います。しかし、それはだれが負担するかということを考えなきゃいけない。ここが一番問題なんですよ。  経済の合理性と医療の合理性は合うわけでありません。経済の面では、量が多ければこれは安くなるということでありますけれども、医療の場合は、病院が増えれば増えるほどこれは医療費が掛かります。身近にお医者さんが増えれば増えるほど、検査をすればするほど費用は掛かります。そういう際に、本当に必要な検査なのかどうか、必要な治療が行われているのかどうか、必要な薬以上に薬を多用していないか、そういう面がたくさんあるわけです。  そういう観点から、今のまま高齢者がどんどん増えるとなると、これは高齢者の方が病気にかかりやすいに決まっています。そういう際に、現状をそのままにして質だけ向上させたら、これ自然に毎年医療費が伸びていくわけですから、社会保障全体を考えればこれは一兆円近くこれから伸びていくでしょう、今のままの制度だったらば。  そうする場合、じゃこの負担はだれがするのかと。医療の場合は、必ず、一度も病気にかかっていない、一度も病院に行ったことない、一度もお医者さんに診てもらわない方々に保険料を負担していただくからこそ、病気になった人が安い負担で治療なり検査なり受けることができるわけであります。その点を考えていかないと今の公的な医療保険制度は維持できない。どんどんどんどん医療費増やしていけと、実際の費用というものを考えない限りは現実の問題として保険がもたなくなる。両面を考えていただかなきゃならない。こういうことから、やっぱりある程度の管理は私は必要だと思っています。それはどういう管理かというのは、これから決めていかなきゃなりません。  同時に、質の面においても、それはお医者さんが三日間の薬でいいのに一週間、十日間分出してくれたら患者さんは文句言いませんよ、捨てればいいんですから。足りなかったら、足りないより捨てた方が楽ですから。そういう点からいえば、どんどん親切に、もう必要以上の薬を上げましょうといったら国民は不満は言わない、費用さえ安ければ。そういう点も、必要な薬はどこまでかと。  検査においてもそうです。何も悪くないのに、検査してくれと言っていろいろ検査してくれれば喜ぶ患者さんもおります。しかし、実際本当に必要な検査はどこまで必要かという点も考えていかなきゃならない。出来高払制度と包括払制度、両方あります、もう詳しくは述べませんけれども。それについても一長一短があります。  こういう点も含めて、質の向上と費用の観点から国民がどの程度負担できるか、そして受ける方がどの程度費用を負担できるか、両面を考えなきゃいけないと思いますので、費用の点も適正というのはどういうものか、この医療費どんどん増えていくのをどうやって抑えていけばいいか。両面から考えなきゃいけない、難しい問題だと思いますけれども。このまま、必要だからといって、この歳出を削減と言いながら医療費だけは例外だという状況にはならないということも御理解いただきたいと思います。
  311. 竹中平蔵

    国務大臣竹中平蔵君) 今総理の御説明のとおりでございます。基本的に経済財政諮問会議で医療費の抑制に向けた改革が必要であると我々熱心に取り組んでおりますが、これは決して量を抑制すればそれで目的が達成されると、そのようなことをもちろん考えているわけではございません。  しかし、医療、多々ますます弁ずというのは多くのものに当てはまりますが、しかし残念ながらそうはいかない。やっぱり一種の制約がある。その制約が、特に社会保障に関しましては財政の制約と高齢化の到来でやはりその制約が目の前に非常に大きく見えてくる。それを明確に意識をしながら、その制約を踏まえて制約の中で適正化を是非図ろうと、質も良くしよう、必要なものは確保しよう、それが改革目標でございますので、必要な医療の特性については十分に配慮をしながら、しかしやはり一種の所得の負担能力の中でしか社会保障は存在し得ませんので、そういう点を是非踏まえて両立させて実現をさせたいと思っているわけでございます。
  312. 阿部正俊

    阿部正俊君 そういうことで、構造改革なかなかまだ結論出にくいんですが、一つの視点を幾つか触れてみたいと思います。  一つは、今度のテーマの一つの大きな改革の中に、高齢者についての医療制度を別にしましょうというふうな考え方があるやに聞いておりますけれども、どうも保険という発想からしますと、お金が掛かるから高齢者は別にしましょうというような形がどうしても出てきやすくなりますのやけども、本当にそうなんだろうかと。もう少しやはり、私流の言い方ですと、従来の医療、治す医療といいましょうか、いうふうな視点から生活を支える医療といいましょうか、特に何歳なのか、六十五がいいのか七十五がいいのか、ありますけれども、そういったふうな視点を変えて物を組み立てていくことが必要なんじゃないかというようなことから高齢者医療というのは出てきてしかるべきなんではないかという気がしますけれども、厚生大臣、いかがでしょうか。その高齢者医療と、独立させる意味というのはどこにあるのかということをお述べいただきたいと思います。
  313. 尾辻秀久

    国務大臣(尾辻秀久君) 医療制度を大きく今見直そうということで御議論いただくことになりますので、今の御質問に触れてまず一点申し上げておきたいと思いますけれども、それは一人当たりの老人医療費の都道府県別の数字でございます。最も高い福岡県は九十二万三千円、約九十万円であります。それに対して一番低い長野県が六十一万二千円でありますから、約六十万円。一人当たりのお年寄りに掛かる医療費が、大きくざっと言いますと、一番低い県で六十万、一番高い県で九十万、一・五倍の差があるわけであります。  これが何でそんなことになるのか、いろいろ議論もしなきゃいけないと思いますけれども、やはり今直接の御質問になっております後期高齢者医療制度を別建ての保険制度にする理由は何かというそもそもの話は、そういうところから出てきているということをまず申し上げたわけであります。したがって、それはそもそもではないんじゃないかという今の先生のお話のことからしますとちょっと違うだろうと言われるかもしれませんが、やはりどうしても医療費というところからそういう話が出ていることは否定をできません。  ただ同時に、同時に、そのおっしゃるように、お年寄りになった場合のいろんな疾病の特徴とかというようなこともございます。例えて申しますと、身体的な特性として、生理的機能や日常生活の動作能力の低下などによりまして入院受療率が顕著に増加するといったような特徴などが見られるわけであります。したがって、そういうその疾病の特徴ということも踏まえながら、この後期の高齢者の医療保険制度というのは改めてつくらなきゃいけないというふうには思っておるところでございます。
  314. 阿部正俊

    阿部正俊君 是非、高齢者の特性というのに着目した、もし仮に別にするならば、そういうふうな視点からのアプローチをしてもらいたい。どうしてもやっぱり、厄介払いをするために税金を中心にした制度に送り込んじゃえというふうな発想で物を考えるのはやっぱり適当ではないと思います。  同時に、例えて言えば、高齢者の医療の場合には在宅ということをやっぱり一つの柱にしなきゃいかぬと思うんですけれども、御承知のとおり、この五十年間で、例えば、これは適当な言葉かどうかはあれですけれども、死ぬ場所、いずれ人間は亡くなります。そのときに、五十年前は自宅で亡くなる人が九割出たんですよ。今一割ですよ。逆に言うと、病院で亡くなる方の方が今は九割になっているんですよ。全くの逆転しているんです。これで、在宅医療というのはいつも厚生労働省のうたい文句に出てまいりますけれども、これでいいんだろうかな。  その辺について、今、尾辻大臣が触れられました都道府県の格差ということも、率直に言えば、これはまあ私、いずれ質問するつもりだったんですが、出ましたので言いますけれども、言わば都道府県のその何と相関しているかというと、非常に相関しているのは高齢者の入院設備の多い少ないということと相当相関しているわけですよね、医療費が高いところと低いところというのは。病院が、老人病院が、入院が多いところと低いところと相当相関しています。  それはやっぱり、そうすると高齢者の医療、特に在宅との関連ということについて正に構造改革という視点が要るんではないかと思いますけれども、尾辻大臣、この辺何か御所見ございますか。
  315. 尾辻秀久

    国務大臣(尾辻秀久君) もう御専門の先生のお説でありますから、一言で言うとそのとおりでありますということにもなります。  しかし、御質問でありますから付け加えて申し上げますと、在宅医療というのは、これはもう私どもは是非進めなきゃいけない、そして、そうしてもらおうということで施策も進めてきたところでございます。  そうしたことでいいますと、介護保険のときも申し上げたわけでありますけれども、やはり入院しておられる場合の、あるいは施設に入っておられる場合の食費といったようなことをどういうふうに考えるかといったような議論も当然しなきゃならない、介護保険では既にいたしましたけれども、そうした問題があるというふうには考えております。すなわち、どこにいても食事はするわけでありますけれども、家にいると自分のお金で食事をする、じゃ、施設に入ったらどうなるだろうというような議論を今までもしてきたわけでございます。  そういったようなことがありますし、それから、在宅医療という言葉で言いますと、とにかくできる限り住み慣れた自分の家で治療を受ける、療養生活をするというのは、それはもう人間にとってはそちらの方が好ましいと思いますけれども、特に、もう最後まで自宅でということを考えますと、どうしても、在宅医療と言葉は違うんですけれども、終末医療というのは、これは問題点としては重なり合う部分も持っておりまして、そうした面をどういうふうに今後考えていくかというようなことも課題になると思っておりまして、是非、今度の医療制度の見直しの御議論の中で御議論いただきたいと思いますし、また御指導もいただきたい面でございます。  在宅医療について私どもがこれまで進めてきたことなどもございますけれども、これはもう今日の御質問趣旨ではないと思いますので、以上をお答えにさせていただきます。
  316. 阿部正俊

    阿部正俊君 もう一つの構造改革の視点は、医療保険というか、お金の流れと同時に、医療言わば提供体制、厚生労働省の用語で言えば医療提供体制の方なんです。病院を造ったり診療所との連携をどうしたりとか、これは医療計画というのがあるんですよね。  だけれども、今、正直申しまして、医療計画は病床、病院、病床を新しく造るか造らないかというときには機能しますけれども、あとは率直に言って作文に近いものが一杯並んでいるわけですよ。これじゃやっぱり駄目なんで、もっと県に責任と権限を持たせて自主的な医療計画。例えば、全く役所だけで決めるというのは僕は間違いだと思いますので、例えば病診連携なんという言葉を使うときには、A病院とその地区の診療所との間の協定を作らせまして、それを県が計画の一環として承認するといいましょうか、承認協定方式と例えば言いますけれども、というふうなことを使いながら、もっと提供体制の方から質のいいサービスをより効率的な提供ができるような体制づくりにやるようなですね、単に何か自由にやっていけばということで自由に任せるようなことじゃなくてやっていく。  一方で、三位一体改革で、国保の国の負担も県負担になりますよね。あの辺とか、あるいは政府管掌健康保険も全国一律に運営していたのが、今度は県単位の運営について予防給付面なんかについてはやりましょうとかということ、県単位での考え方出てまいりますので、提供体制あるいは保健活動面、保険者の面、両面から県単位に物を考えていくということが一つのポイントじゃないかなと思いますけれども、いかがでしょうか。
  317. 尾辻秀久

    国務大臣(尾辻秀久君) まず、お話しいただきましたように、今、医療計画というのは都道府県で作っていただいております。したがって、医療計画、都道府県が作っていただいて、それで責任持ってやっていただきたいということになるわけでありますが、その責任を持ってというところがどうなるんだということにどうしてもなります。  そこで、今、これも先生の方からお話しいただきましたけれども、昨年の三位一体の改革の中では、国民健康保険について都道府県調整交付金、それだけ都道府県に責任を持ってくださいという部分を重くしたところであります。そして、今度の医療制度改革の中で今私どもが考えておりますことを率直に申し上げますと、やはり政管健保、今までは国全体が保険者で、国全体もう保険者一つで見ておりましたけれども、これを、やはり是非都道府県単位で保険者機能を発揮していただきたいということは検討しておるところでございます。  先ほど申し上げましたように、都道府県によって非常に医療費のばらつきがありますから、ずばっと言いますと、やはり医療費が高いところは保険料が高くなるのも当然じゃないでしょうかという考え方でありまして、そうするとやっぱり都道府県別の保険料の設定といったようなことにつながってきますが、やはりそういうことを検討をする時期に来ておるというふうに思っております。  そうした中での医療計画をどう作るか、あるいは先生が言われたように、病院と診療所の連携についてどういうふうに協定を結んでもらうか、そしてそれを県が主体的にそのことにかかわり合っていくかというようなことは極めて大事なことでありまして、既に先生の方の地元の山形県なんかがかなり先進的にもやっていただいているのかなという記憶はありますが、ひょっとしたら違っているかもしれません。幾つかの県でやって、そういうことをやっていただいているところもあるわけでありまして、是非どんどんそういうものも進めていただきたいというふうには思っておるところでございます。
  318. 阿部正俊

    阿部正俊君 じゃ、医療はちょっとそこでおきます。  あと、今回、今度の国会に出されているテーマの大きな問題として障害者自立支援法というのがございます。これは参議院先議で近く審議入りお願いしたいなと思っているところでございますけれども、これについて一部反対もございます。  ただ、私はやっぱり大きな意味で、厚生省、ちょっともう少し言ってほしいと思いますのは、私の聞いている範囲では、やっぱり今までのお恵み福祉ではなくて、自立を支援するんだというような考え方に立つこと、これが第一ですね。それからもう一つは、今まで肢体不自由とか視力障害とか知的障害とか障害別にやっていたのが、今度は精神障害も含めて障害ということ全体に対する包括的なサービスをしましょうという考え方になったことが二つ。それから三つ目が、言わば、そうやって言わば一部の人たちだけが利用していたのじゃなくて、一般化したサービスとして実現できるようにしましょうというふうな中で、全体のコストが膨らみますから、一部は障害者自身も持っていただいたらどうだろうかと、それが自立につながる道ではなかろうかというようなことをもっとこう胸張って言ってもらいたいなという気がするんですけれども、いかがでございましょうか。
  319. 尾辻秀久

    国務大臣(尾辻秀久君) 私どもが障害者自立支援法案を出させていただく、その思いについては今述べていただいたところでございます。  さらに、極めて率直に申し上げますと、やはりこれまでの日本の障害者施策というのは随分後れていたと思います。そして、更に後れておったのが精神障害の皆さんに対する取組だというふうに思います。そうしたものをとにかく一歩でも二歩でも前進させよう、今度障害者の皆さんに対する施策を大きく変えていく、そのまず第一歩にしたいと思っているのが今度の法案だということは改めて申し上げたいと思います。  ただ、これは私どもの努力不足だったのかなと反省いたしておりますけれども、その中で、今先生もちょっとお触れいただきましたけれども、どうしてもみんなで支え合うということで、障害者の皆さんにも利用料を御負担くださいというお願いしている部分があります。そこがどうしてだという、そもそも利用者負担を求めるということに対する御意見もありますし、それから今度はその額がどうなるかというんで、払えぬようなお金出せというのかというような御批判もありますが、そこのところはもう私ももう、とにかく利用者負担というのを実質もう負担が少なくなるように、もう無理のない御負担をいただくようにということで極めて、ちょっと複雑過ぎると逆に思ったりもするんですが、仕組みにして抑えようと思っておりますので、そこのところの御説明をまだまだ丹念にしなきゃならないというふうに思っておるところでございます。
  320. 阿部正俊

    阿部正俊君 最後に、年金について一言触れて、あと最後に総理からちょっと別なことについてお尋ねしたいと思いますが、私が前回の質問のときにも共済組合と厚生年金の一元化ということを強く主張したつもりでございます。  先ほどもお触れになりましたけれども、ちょっと認識が違っているなと思うのは、公的年金としての共済の話でございますので、職域部分をどうするか、あるいは公務員として民間で大企業なんかがやっているような企業年金みたいなものをどうするかとか、そういうのをどう、それは関連することを大いに議論してもらって結構です。だけど、公的年金として一元化していかなきゃいかぬなということを是非申し上げておきたいなと思います。一歩前進だと思いますし、二歩、三歩と前に進んでもらいたいと。一方で与野党協議も踏まえながらやっていってもらいたいと思います。  それで、最後に、その年金に関連して、総理に前回もお尋ねしたような気もするんですけれども、社会連帯ということ、あるいは世代間連帯というのが社会保障の原点でございますので、年金と、公的年金とそれから介護保険と医療保険、被保険者資格をまず、納税番号はともかく、明日から、明日とは言いませんけれども、一元化して一本にすると、一枚の被保険者証にするというのがなぜできないんだろうか。これこそ正に世代間連帯であり、国民連帯のあかしであり、まあアメリカなんかではセキュリティー・ナンバーがないと運転免許証が出ませんからですね。それくらいの強いといいましょうか、連帯ということを強調したことをもう少ししていかないと、個人にとって損なのか得なのかと、極端に言うと、ただ乗りを許してしまうというのはやっぱり社会連帯にとってまずいことだというふうに思いますので、是非おまじめに検討いただきたいと思いますけれども、総理の御所見をお伺いして、年金の話は終わりにしたいと思います。
  321. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 確かに保険は、社会保障制度で年金でも医療でも介護でも重要な柱であります。これからも長く続くことができるような制度にしていかなきゃならないと。  年金の問題、今大きな焦点になっておりますが、保険料を負担できなくて保険料を払わない人と、保険料を負担できるにもかかわらず負担しない人もおられます。医療保険は、だから、これはいつ病気になるか分からないから医療保険に加入している人、これは年金と一緒に納めてもらえばどうかという意見もあるのは承知しております。年金というのは、やっぱり若いうちはそんな年取ってから年金もらわなくていいよという人もいますけれども、年取ればできるだけ多くもらいたいという気持ちになってくるわけですから、その点はお互いが損得以上に支え合う制度だと。  今の年金はもたないとか年金掛けると損だという議論が一部で行われていますが、これは誤解と偏見に基づくものであって、公的年金ほど重要なものはないと思います。というのは、税金投入されているわけですから。民間保険は税金投入されていないですから、民間の方が得だなんというとんでもない偏見が流布されているというのは誠に遺憾であります。  ただし、今の高齢者に比べれば今の若い人は保険料を多く払わないと年金は給付されないよと、これは事実であります。というのは、圧倒的に、当時は、我々の世代、若いころは年間二百七十万人ぐらい子供が生まれていた。今、百十万人程度になった。これを同じようにやったら、今の高齢者は、たくさん若い人が、保険料を負担する人が多かったから保険料も安くて給付はかなり手厚いと。これと同じにしようといったら、とても無理ですよ。だから、当時の、今もらっている人と、これから若い人が少なくなって保険料を負担すれば、今もらっているよりは給付は少なくなるであろうということは事実であります。  しかし、これはお互い支え合いの精神ですから、こういう点についてはよく理解を得ると、損得以上に。いつかは若い人も高齢者になると。高齢者も、子や孫、若い人が保険料を負担してくれているから自分たちは年金もらえるんだという意識を持ってもらわない限りはこの制度は維持できません。  それと今言った医療保険も年金も統一しろという、これは検討に値する御指摘だと思っておりますので、今後十分検討さしていただきたいと思います。
  322. 阿部正俊

    阿部正俊君 残り時間少なくなりましたが、是非この選挙戦で活躍されました小池環境大臣に御登場いただくのがいいかなと思って、最後に触れさしていただきたいと思います。刺客と言われましたけど、そんな恐ろしい話ではなくて、環境に優しい話をさしていただきたいなと思いますけれども。  温暖化の問題としてCO2というのが非常に問題になっています。一生懸命削減しよう削減しようとやっていますけど、今の知恵で、人間の知恵ではCO2をなくす、あるいはそれを消化するといいましょうか、なくしていくというのは、分解能力ないですね。植物が炭酸同化作用で吸収していくということ。で、出す方とその吸収が今までバランスというのが、それ崩れたからおかしくなってきたということだと思うんですけれども、その意味で、CO2の吸収源として、海はともかく、森林というのを非常にもう一回見直してみるべきじゃないかなと思いますけれども、この辺について環境大臣として、地球の母ですから、それを地球から任命された環境大臣ですから、そういう立場でひとつ御発言いただきたいと思います。
  323. 小池百合子

    国務大臣小池百合子君) 地球温暖化防止という観点で森林の吸収源としての役割という御質問だったと思いますが、その前に、この国会におきましてもこの夏、皆様方にクールビズで御協力いただきました。CO2の削減という大きな一番の目的の方もかなりの部分達成もできているかと思います。まとめましてまた御報告できるかと思います。  御質問でございますけれども、愛・地球博でも壁のところに緑を張ってバイオラングということで実験も行われていたと思います。ラング、つまり肺ですよね。おっしゃられるとおり、吸収、地球温暖化の原因であります二酸化炭素の吸収源としての役割ということと、あと国土保全であるとか生物の多様性の保全、最近、山が荒れることによってクマが出てきてしまうといったことも全部生態系として一まとめのシステムになっているということだと思います。その意味でも森林を守っていくというのは極めて重要かと考えております。  まず、森林の保全管理は言うまでもなく、森林吸収量の適切な算定であるとか報告体制を整備していく。御承知のように、京都議定書の中で日本に対してはマイナス六%の部分の三・九%の部分がこの森林の吸収源ということで計算をされているわけでございます。そのためにも、しっかりとそういったシステムも整えていく。それから、グリーン購入法を活用いたしまして、また間伐材をもっと活用するといったような観点から、森林そして林業の基本計画との総合的な観点から日本の森林を守っていく。それはすなわち世界における森林を守るという、そういった連携の下で進めていく、これが必要ではないかと、このように考えております。
  324. 阿部正俊

    阿部正俊君 最後に、そのCO2の話で、森林の話ですが、農水大臣外務大臣にお聞きして終わりにしたいと思いますが、実は日本の、今環境大臣から日本の森林のことについて触れられましたが、日本で使われている木材の圧倒的大多数は輸入材でございます。でも、輸入材は、違法とは言わないまでも、日本のように必ず植林するんじゃなくて、再生しないで自然から生えてきたのを取ってくるというふうな材木が結構あるんじゃないかなという気がするんですけれども、その辺についてやっぱり日本の外交政策としても再生しない輸入材は使わないというふうな国策といいましょうか、いうことをやっていくべきじゃないかなというふうに思いますけれども、この点について農水大臣外務大臣に御所見をお伺いして、終わりにしたいと思います。
  325. 岩永峯一

    国務大臣岩永峯一君) 南方材と言われるインドネシア材でございますが、インドネシア・英国合同調査によりますと、六千二百万立方メートルのうち三千二百五十万立方メートルが、五〇%ですね、これが違法伐採だと、このような報告がされているわけですし、もっとひどいのは、世界資源研究所の報告によりますと、四千万立方、七〇%が違法伐採だと言われておるわけです。ロシアにおきましても約二〇%が違法伐採だと、こういうように言われているわけでございますが、そのいろいろ外材がどんどん日本へ入ってまいりまして、日本では約、木材使用のうちの八〇%が外材だと、こういうことでございます。  だから、もう森林、地球環境に対して大きな影響があると同時に、私ども困っておりますのは、日本の国産材使用、林業経営に対して相当な圧迫を加えているということでございますので、大変重くこの部分を受け止めているところでございます。  それで、我が国としては違法に伐採された木材は絶対使用しないと、こういう基本的な考え方でございまして、二国間協力それから多国間協力地域協力というものをやりながら、衛星システムを使ってどうして違法伐採がされているかという追跡調査をするということが第一でございます。それでもう一つ、グリーン購入法に基づいて、ともかく官が使う木材についてはこれからきちっと証明のあるものしか使わないというような方法をこれから講じていきたいと、このように思っているところでございますので、各関係府省とも十分連絡を取りながら、このことについては積極的に対応していきたいと、このように思っております。
  326. 町村信孝

    国務大臣(町村信孝君) 今農水大臣がお話ししたことに大体尽きていると思います。  国際熱帯木材機関、これは多国籍機関でございますが、これは横浜に本部がございます。これを通ずる協力あるいは二国間協力ということ、更にG8サミットなどでもむしろ日本のイニシアチブで様々な成果文書がまとめられ、国際的な取組が加速されるというようなことで、小泉総理も先般のグレンイーグルズ・サミットでその旨の発言をされておられるところでございます。  今後、積極的に、違法伐採木材を使わないように、また違法伐採が行われないような懸命の外交努力をやっていきたいと思っております。
  327. 阿部正俊

    阿部正俊君 じゃ、同僚議員に譲ります。
  328. 小野清子

    委員長小野清子君) 関連質疑を許します。椎名一保君。
  329. 椎名一保

    椎名一保君 お許しをいただきまして、関連質問をさせていただきます。  我が国が直面する基本的な問題につきましては、若林阿部委員より御質問がございました。このたびの私は、このたびの総選挙の結果でございますけれども、自民党、公明党、連立与党に対しまして圧倒的な御支持をいただいたということは、国民の目線に立って改革を断行せよと、もう総論ではなくて各論を進めていけという叱咤だと私は認識をしております。そういう観点に、観点におきまして質問を進めていきたいと思っております。  この三月の通常国会の予算委員会でも、御指名をいただきまして、御登壇の機会をいただきまして質問させていただきましたけれども、地方分権、これがもう理念、総論ではなくて、権限の移譲から税源の移譲、三位一体改革という段階に入りまして、スケジュールも決まって進められております。これに合わせて、私は、地方行革、地方行政の行革もきちっとやはりやっていかなければいけないと。私自身も地方議会出身者でございますので、そういう、それなりの危惧がございます。そういう観点から、三月には大阪市の不当手当の問題に触れさせていただいたわけでございます。  この選挙終わりまして、大阪市におきましても、我が党、また連立与党の公明党の衆議院の議員、大勢大阪市民に御支持をいただきまして当選させていただきました。大阪市民は、あの問題についてまだ忘れてないぞと、どんどんそのことについて糾弾をしてくれと、行政改革進めてくれということではないかと思いまして、改めて、再度触れさせていただきたいと思います。  まず、総務大臣にお伺いをいたします。  おさらいではございませんけれども、今日はフリップは用意いたしませんでしたけれども、簡単に触れさせていただきますと、これはもう大阪市職員の福利厚生等に支出された税金でございます。御承知のとおり、この前も述べましたけれども、大阪市は四万六千人の職員がおられます。現在の市債残高が、平成元年は二兆三千七百億強であったものが、現在、平成十五年の決算で五兆五千億です。そういう逼迫した財政下にありまして、そのうち人件費が約四千二百三十九億。その中で、それ以外に、この福利厚生等いろいろな手当が約四百六十億円。これはやはり異常な額でございます。  細かなことは再度御説明はいたしませんけれども、その後、大阪市のこれに対する是正、経過、どうなっておりますでしょうか。
  330. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) この特殊手当の件につきましては、昨年の一月だったと思いますが、この種の話が各地方団体の中に多いのではないかということで、調査をした上で提出を要求して、それを受けまして締め切りましたのが四月、集めてそれを全部分析終わりましたのが七月、それをどうするかということでいろいろ意見が分かれたところではありましたけれども、昨年十二月、公表をいたしております。  その公表の中で、大阪市の部分が、今椎名先生御指摘のとおり、非常に大きな話題を呼んだところで、例の徒歩手当等々いろんな各県から出たものが、多く出たのはもう御存じのとおりだと存じます。  結果として、大阪市では多くの御意見が市に寄せられて、結果として大阪市はその多くを採用して、少なくともそういう特殊手当はこの四月の予算に計上しないということをやれた。ひとえに大阪市の市民の民主主義の成熟度合いが高かったと私は思っておりますが、基本的にはそれを公表したということによって、それによって市民の反応というものが正常に作動したんだと私どもはそう思って、地方自治で自分のところで英断を持って公表された、公表した結果を受けて、その対応をし切ったというところが大阪市としては、その特殊勤務手当等々につきましての私どもから見た範囲、判断であります。  特殊勤務手当の話ですよ。
  331. 椎名一保

    椎名一保君 はい。  その中で具体的に、今回選挙も行われましたけれども、少なくとも我が連立与党以外の政党の選挙対策に奔走したということはなかったとは、今回はなかったとは思いますけれども、専従職員とかやみ専従職員とかというのがこの三月の議会でも指摘をさせていただきました。その件につきまして、先月の二十一日に、ながら条例の改正案が大阪市議会で議決されました。  ながら条例とは、申し上げるまでもございませんけれども、市職員として給与をもらいながら組合の仕事もできるという、これは地方公務員法に基づいて条例を作られて、それに基づいて行われていることでございますけれども、しかし、それが非常にあいまいな、そうですね、に使われているということがありまして、これが改正されたわけでございますけれども、どうもこの改正案を見ますと、地方公務員法の第五十五条の第八項に基づく適法な交渉、それに、及び任命権者がこれと直接因果関係があると認める準備を行う行為と定めておったわけでございますけれども、この非常にあいまいな、適法な交渉以下の、及び以下ですね、及び以下を削ったわけでございますけれども、これに大阪市が、それに対して、それに付け加えて、適法な交渉の範囲について規則で定める旨を議会で表明いたしました。  この規則というのが非常にあいまいな形になっておりまして、より広範にそれを適用できるようなことにもなりかねないと思うんですけれども、このことにつきまして総務大臣の御意見をお聞かせいただきたいと思います。
  332. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) 一言で申し上げたら、不適切だと思っております。  この問題というのは、これは結構根が深い話で、千葉県におられましたので、いろいろ各県によってこれは差があるところで、これ非常に各県によって差があるところなんですが、今おっしゃいましたように、地方公務員法第五十五条の前の三十五条というのがありますんで、あれによって適法な、いわゆる在籍専従による場合は無給によってやっていい範囲というのが決められておるというのは御存じのとおりですが、それプラス五十五条並びに五十五条の第二項において、今許される範囲というのが決められております。  その中で、いわゆる職員団体というものが、給与を受けながら、例のながら条項の元ですが、給与を受けながら、職員団体のためその業務を行い、又は行動してはならないというのをきちんとその五十五条で書いてあるんですが、条例で定める場合を除きというのがみそです。  その条例で定めたところで、大阪の場合は、過日、改正前の適法な範囲にプラス準備行為までマルだったものが、改正後、その準備行為はバツということになったんですが、別則として規則を作って適法な交渉の範囲を定めるという、今言われたとおりのものを別に定めたということなんだと思っておりますが、その中に、交渉と一体を成す必要最小限の職員団体の活動というものが適法な交渉に含まれるということに規則を改正をしておられるということなんだと思っております。  幸いにして年間の上限が一応決められておりますから、そこいらはまだ救いだと思っておりますが、少なくとも予備交渉以外に交渉と一体を成す必要最小限の職員団体の活動を適法な交渉の範囲に含められておられるという、という点に関しましては問題点だと思っております。  また、いわゆる条件、要件があいまいなんだということなんだと思いますが、必要最小限といいながら、年間の回数や一回当たりの上限を定めていることというところなどが、考えようによってはいろいろ取れるところでもありますので、私どもとしては、これは条例が拡大運用される可能性が多いという可能性を含めております点から、私どもとしては不適切ではないかと考えております。
  333. 椎名一保

    椎名一保君 今、積算すると二百八十時間と。これはもう正に既得権化するおそれがございますですね。不適切だともおっしゃられましたけれども、総務省としてはどのように、これは大阪市でこういうことをしておられるということは、恐らくまあ全国自治体でも似たような例があるんではないかと思いますけれども、総務省としてどのように、指導というよりも、こういう既得権をはびこらせないために措置をされるお考えでございましょうか。
  334. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) この問題につきましては、これは今、いわゆる政治的行為の制限の強化についていろいろ御意見がなされておりますので、罰則規則が一般の地方公務員の場合は、いわゆる公務員の、国家公務員の場合ありますが、地方公務員の場合は罰則規則がない等々の点がありますので、法改正をすべきではないか等々の御意見が一部にあるということは承知をして、承知をしておりますけれども、私どもはこの問題、問題につきましては、これはいわゆる地方公務員の政治的行為というものの制限というものに対していろいろ制限を加えると、いわゆる制限を加えるという話になりますんで、これは、これを定めるときにもいろいろ御意見があって、この地方公務員については罰則を外したという経緯もありますんで、これは簡単にすぐという、右から左という話ではないかと思いますが、これは地方自治がどんどん今推進をされていく中にあって、こういったものがきちんと対応されないと、他の自治体に与える影響もいろいろあるというようなところが懸念されるところでありますので、私どもはこれはいろいろ、すぐ直ちに見直すということに関しましてはいろいろ慎重な論議が必要なんだとは思っておりますけれども、いずれにしても、これは任命権者というのは首長ということになろうと思いますけれども、いわゆる懲戒処分やらいろいろしておられるようなところもありますけれども、いわゆる公務の中立性というものをいろいろ考えた上でこれはきちんと対応していかれないと、勢いこういう話から罰則の話が急にぽおんと飛んでいったりいろんな形になりかねないと思いますので、慎重な対応というのが望まれるところだと、まず基本的にはそう思っております。
  335. 椎名一保

    椎名一保君 三月の御答弁もそのような御答弁であったかと思いますけれども、冒頭申し上げましたとおり、もう地方分権も三位一体改革というその各論から実行の段階に入っておりますんで、そのことにつきましては、大臣も御答弁で、これはあくまでも自治の問題である、ですからその市町村できちっと対応することが先決であるということをおっしゃられておりますけれども、それができないときは討議をするという、たしか三月の御答弁だったと思うんですけれども、私は、少なからずもうその段階に入ってきているんではないかと思います。  まあこれは、何というんですかね、大臣もおっしゃられたように、首長の選挙に当たって選挙協力の構図ですね、職員組合、これは教職員組合もそうでございますけれども、また首長の与党、このトライアングルがあって住民不在のやはりこういう取組が、なれ合い、もたれ合いが行われていると。ですから、これを断ち切るためにはどうしてもこれは地方公務員法の三十六条の改正が、また教育特別公務員もそうで、教育公務員もそうでございますけれども、国家公務員と同等のやっぱりペナルティー、罰則が与えられるような改正が、これは地方分権を進めるに当たってはやはりやらなくてはならないことではないかと思っております。もちろん慎重に進めなければいけないということも分かりますけれども、そのことにつき、それについてもう一度大臣の御答弁をいただきたいと思います。
  336. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) これ、教育公務員につきましても、御存じのように地方公務員と同等にこの罰則規定はございません。国家公務員に対してはいわゆる罰則規定が人事院規則にいわゆる定められておるところなんですけれども、今言われましたように、この問題に関しましては、過日の予算委員会でこの御質問をいただいたんだと記憶しますけれども、その当時御答弁を申し上げて、それ以後この条例というか新しい法令、規則が大阪市で可決をされておりますので、私どもとしてはこれはいかがなものですかということをもう既に申し上げておるところでもありますので、今後の対応を見た上できちんとこれをやっていく必要が、他の市に与える影響が大きいかなと、どういう形に出てくるか、これ全然、ほかのところでこの種のことを、特殊勤務手当をやめられてきちんとされている市も実は一杯ございます。  そういった対応をされた市も数多くございますので、そういった意味では、私どもとしては、これ、市だけをというわけでもないので、ちょっとそこらのところの対応を、ちょっと慎重に対応をしていかにゃいかぬかなと思って、したところもある、全然してないところもあるという、差がいろいろございますので、きちんとそういったところに指導をしていくと同時に、その経過やら何やら、もっと詰めてみにゃいかぬところだろうと思っておりますが、いずれにしても、これ非常に大きな世論を喚起したところでもありますので、対応にはきちんとしていかねばならぬと思っております。
  337. 椎名一保

    椎名一保君 三月の予算委員会のときの御答弁で公表されたところが、特殊勤務手当で都道府県で九十七手当、政令指定都市で百十三手当ということを公表されておるわけでございまして、とにかく公表したからにはきちっとその結果を、国民調査結果を基に説明責任を果たしていっていただきたいと思うところでございます。  これは総務省だけのことではなくて文部科学省も、いろいろ広範にわたることでございまして、地方分権を進めていくための一つの大きな問題ということで総理に御答弁をいただければと、総理のお考えをいただけたらと思うんですけれども。
  338. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 特殊手当で私も徒歩手当なんというのがあるのを知らなかったんですよ。何だと、徒歩手当って。通勤で長時間掛かるという特別な困難な地域の人が勤めるのに困るだろうという、通勤手当で、よほど普通の方とは違うような特別の手当というのは理解できるんですが、歩いて行ける近い人に対してどうして徒歩手当が必要かと、驚いたんですけれどもね。こういうのは基本的に市議会で、地方自治体、県議会においても、市議会において、なぜこういうことがまかり通っているのかと。これはきちんと対応しなきゃいかぬと。国でやるというよりも自治体の議会の条例でしょう。議会の問題だと思いますね。  それと、国家公務員選挙運動しちゃいけないんですよ。公務員選挙運動したらどうなりますか。学校の教職員が生徒を預かっている親御さんのところに行って選挙運動したらどうなるんですか。だから、公務員選挙運動をしてはいけないということになっているんです。これに対して、もっとはっきりと私は、政治の中立性、公務員の中立性、地方でできないんだったらやっぱり国で、各政党で、どういう政党が公務員選挙運動をしちゃいけない、しろというのか、はっきりさせるためにも、国会で大いに議論すべきだと。国家公務員と同じように地方公務員公務員である限りは選挙運動をしてはいけないと。した場合には、国家公務員並みの罰則を設けるということについて、きちんと対応しなきゃいかぬと思っております。
  339. 椎名一保

    椎名一保君 正にそういう、このことを推進していかない限りは、地方分権もやはり道半ばで終わってしまうような気がいたしますので、よろしくお願い申し上げる次第でございます。  時間がございませんので、次に文科大臣にお伺いいたします。  これも今、義務教育改革を中央教育審議会に諮問なさっておられまして、この秋に答申が出てくるということをお伺いしておりますけれども、その中で一つ、一番国民が、このことをきちっとしてもらいたいということ、やってもらいたいということが教員の教員免許の更新制度ですね。  この制度設計についていろいろ御議論いただいているということをお伺いしておりますけれども、そのことにつきましてその答申を、諮問をされた理由と経過をお話しいただき、まずお話しいただきたいと思います。
  340. 中山成彬

    国務大臣(中山成彬君) それじゃ、お答えいたします。  教育は人なりと言われますけれども、やはり学校現場を回りましても、この学校教育の成否、うまくいくかいかないか、これはもう、先生方の資質、能力にこれはもうよるところが大であるということを本当に再認識するわけでございます。そういう意味で、この先生方の資質、能力の向上を図る、極めて重要な政策課題であると、このように考えているところでございます。  今後、信頼される学校づくりを進めるに当たりましては、優れた資質、能力を有する教員を養成、確保する、こういう観点から、今お話がございましたように、中央教育審議会におきまして、教員養成の在り方、あるいは教員免許制の導入を始めとする免許制度の改革について精力的に御審議をいただいているところでございます。  今、中央教育審議会におきまして、この更新制度は、一定期間ごとに教員として必要な資質、能力を刷新すると、何といいますか、リニューアルというかリフレッシュする、そして確認するということとして議論されているところでございまして、教職に対する信頼を高める上で大変大きな意味を持っていると、このように考えているところでございます。  私としては、保護者やあるいは国民の期待にこたえるためにも、現職教員への適用も含めて、この教員免許更新制が実効あるものとなるようにしっかりと検討してまいりたいと、このように考えておるところでございます。
  341. 椎名一保

    椎名一保君 大臣のお覚悟をしかと承ったわけですけれども、一番最後におっしゃられた現職教員への制度の適用ですね、このことが、漏れ伝わってくるところによりますと、なかなか難しいことがあるというように伺っておりますけれども、その辺りのことについてお聞かせいただきたいと思います。
  342. 中山成彬

    国務大臣(中山成彬君) 現職教員を含む現に教員免許状を有する者につきまして、これは免許状を授与したときには終身有効としていたわけでございまして、この免許状につきまして、教員免許更新制を採用して、更新の要件を満たさなければこの免許状が失効するという不利益を課すことが果たして制度上可能であるのかということが一つございます。  さらに、現在現職の教員だけでも約百九万人の教員が存在するわけですけれども、この現職教員の何倍とも想定されていますいわゆるペーパーティーチャーにつきましても更新制を適用する場合、更新にかかわる講習の開設とかあるいは手続等が非常に膨大なものになる、この対応は可能かどうか、また、このような取扱いにつきまして、現に免許状を有する多くの関係者や国民理解が得られるかどうかなどのいろんな課題を含めまして、現在、その導入の可能性について中央教育審議会において精力的に今御検討いただいているというところでございます。
  343. 椎名一保

    椎名一保君 義務教育の教員の仕事というのは、私が思いますに、これはもう定義を教えるということも、ことはもちろん大切ですけれども、やっぱり人格の育成ですね。やはり、二十二歳で免許を取って教員になるわけですけれども、人は環境によって変わります。二十二歳で教員になったら、それから結婚もしなければいけない、子育てもしなければいけない。いろんなことで環境が変わる。環境が変わって人は変わってしまうかもしれない。  ですから、これはもう絶対に、その定義の能力の云々だけではなくて、やっぱりその人格形成ができる人かどうかということはきちっと見極めるやはり仕組みを、システムをつくり上げなければいけないと私は思っておりますので、大臣のお覚悟は承りましたので、どうか現職教員にこの制度が適用されるようにひとつよろしくお願い申し上げる次第でございます。  時間がございませんので、次に行きます。  次に、このところ災害がパワーアップしております、年々ですね。パワーアップという言い方もおかしいかも分かりませんけれども、とにかく、この間のあのアメリカのカトリーナとかリタとか、想像を超えた範囲内の災害が来ているわけでございますけれども、いろいろそのアメリカの政府の対応とか自治体の対応とかいろいろ言われておりますけれども、まず総理にお伺いしますけれども、今回の、アメリカには大変恐縮ですけれども、総理の忌憚ない、今回、対岸の火事と私どももしておりませんけれども、総理の御感想をお伺いしたいと思います。
  344. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 台風であれ地震であれ、この災害に対して迅速な対応、また情報提供、そして避難措置、それぞれやるべきことはたくさんありますが、日本は特に台風の多い国でもあります。地震も多い。それだけに、アメリカのあの大きなハリケーン被害というものは人ごとではないなと思っております。  これからも、アメリカの対応についても、政府でどういう改善点があるか、アメリカ政府自身も考えているでしょうし、あるいはアメリカの州政府との対応、それを日本におきましても地方自治体、政府の対応、そして制服機関、特に消防、警察、自衛隊等の制服機関の早期の出動、それに加えて、地方自治体が身近な問題に対してどのように各機関と協力するか。さらには、最近は民間のボランティア、非常に善意の人が増えてきたということは心強いことだと思っています。そういう善意の方、好意の方々、老いも若きも、地元の災害へ行きますとボランティアで活動されております。そういう方に対して、何をしていいか分からないボランティアの方に対して、最近はそのボランティアに対して采配をする方も必要だという取組も始まっていると聞いております。  そういう点も含めまして、政府も、機関も、地方自治体の機関、そして民間方々協力、どうやって円滑に快くしていただくかという点も含めてしっかりとした対応を、災害は忘れたころにやってくるから、忘れないうちにやってくるという、そういう時代になったわけでありますので、しっかりと対応をしていきたいと思っております。
  345. 椎名一保

    椎名一保君 村田防災大臣にも同様の質問をさせていただきます。
  346. 村田吉隆

    国務大臣(村田吉隆君) 今総理から御答弁されたとおりでございますけれども、私どもとしても常に、他国で起こったことも含めまして、不幸な事例を勉強すると、こういうことでございまして、今回のアメリカの、アメリカでも自然災害史上で経験のない、そういう事態だったというふうに思うんですけれども、この初動の体制が場合によっては遅れたんではないかということを含めまして、そうしたアメリカで起こったことについては、なおこれからアメリカでも詰められていくでしょう、問題点についてはですね、そこは我々も研究したいというふうに思っております。  この前発生した英国ロンドンでのテロの問題、あれにつきましても、ロンドンの警視総監がどういうメッセージを国民に発していったのかということも含めまして、私どもはBBCの放送なんかを細かく分析しまして、常に我々は、不幸な事例でありますけれども、そういうことを研究しながら、我々が将来またぶつからなきゃいけないそういう事態に備えていかなければいけないというふうに考えているわけでございます。
  347. 椎名一保

    椎名一保君 北側国土交通大臣にお伺いいたします。  カトリーナで破堤をしたわけですけれども、海岸堤防の我が国の耐震化の促進の状況につきましてお伺いいたします。
  348. 北側一雄

    国務大臣(北側一雄君) 昨年行った調査によりますと、延長にしますと全国で六〇%の海岸堤防等の耐震調査、これは耐震の方ですが、耐震調査が未実施であるという状況でございます。  平成十七年度から耐震の調査をしっかりやろうということで事業を創設をさせていただきまして、その調査結果も踏まえて、堤防の耐震化を含む地震対策推進地域における緊急津波・高潮対策を重点的に推進をしてまいりたいと考えております。  また、このアメリカで起こりましたハリケーン・カトリーナでございますが、あの地域はゼロメートル地帯でございました。我が国におきましても、東京それから名古屋、大阪に大きなゼロメートル地帯がございます。今、台風が非常に大きくなっております。そうしたことに備えてしっかり、どういう対策が不十分なのか、しっかり検討してもらおうということで専門家も入っていただいて委員会もつくって、年内中には取りまとめをさせていただいて、予算に反映をさせていきたいというふうに考えております。
  349. 椎名一保

    椎名一保君 北側大臣にお伺いいたしますけれども、国土交通省、農林水産省、経済産業省、環境省の国土保全事業費が十三年度から財政再建というやっぱり一つの大きなテーマの中で減っておりますけれども、その少し予算の経緯をお話しいただけますでしょうか。
  350. 北側一雄

    国務大臣(北側一雄君) 委員も御承知のとおり、公共事業費全体がずっと減っておるわけでございます。小泉内閣ができまして、最初に一〇%、その後、三、三、三とずっと公共事業費抑制をさせていただいて、十八年度におきましても三%以上の抑制をしていこうと、こういう流れの中で、国土保全の予算につきましても全体として減ってきているということでございます。  しかしながら、我が国というのは、これは去年、今年の例を見るまでもなく、元々災害の大変多い国でございます。例えば地震でいいますと、世界で起こっておりますマグニチュード六・〇以上の地震の二割はこの日本で起こっているわけでございます。  そういうことを考えますと、やはり災害に強い国土づくりをしていくというのは、これはもう政治の本当に最優先の事項でございます。また、実際、災害が起こってからの被害の復旧復興に掛かるコストということを考えますと、これは予防的に防災・減災対策をしている方が財政面から見ても効率的なわけでございまして、私はやはりこの防災・減災対策というのは最優先でしっかり取り組んでいく必要があるというふうに考えておりまして、今、国土交通省の中でも様々な予算がございますが、私は防災・減災対策は最優先でこれはやるべき事項であるということでやっておりますし、また優先順位を明確にしよう、必要性とかそれから緊急性、そうした必要性、緊急性の程度もあります。そういうその優先順位をきちんと明確にして、しっかりとスピード感を持ってやっぱりやっていくことが大事だというふうに省内では訴えをさせていただいたところでございます。
  351. 椎名一保

    椎名一保君 地震だけではなくて、一年間に起こる、世界で起こる自然災害の六〇%、これは被害額だと思いますけれども、日本で起きているそうでございます。正に同感でございます。  文科大臣、何遍もお伺いしているところで、御答弁されておると思いますけれども、これ学校の耐震化と避難時設備の、施設の状況についてお話しいただきたいと思います。
  352. 中山成彬

    国務大臣(中山成彬君) アメリカでハリケーンの被害が報道されるころ、我が地元宮崎の方にも台風十四号が来襲しまして、実は大変なつめ跡を残したわけでございます。私もすぐ、もう選挙運動どころじゃなくてお見舞いに回ったんですけれども、本当にもう大変な状況でございました。  もう床上浸水なんというものじゃなくて屋根まで浸水しているものですから、その後は家財道具を運び出すのが本当大変でございまして、また、そういったことをされて、もう一日じゅう、くたびれ果てて、そして避難場所に帰るわけですけれども、その避難場所が、そもそも学校が避難場所が多かったんです。その学校そのものが実は冠水してしまっている、また別のところに移らないかぬということもございました。  また、学校の体育館とかそういったところは、一日の疲れをいやすには本当にこれはとてもとてもそういう環境ではないということでございまして、そういう意味で、学校施設というのが、これ子供たちの学習とかあるいは生活の場であると同時に、いざというときの緊急避難の場でもあるんですけれども、そういった意味で、その目的を本当に達せられているかどうか。これは、耐震化ということだけではなくて、いろんな意味で考えていかないかぬなと思っております。  その耐震化そのものもまだ、耐震化の確認がされているところがまだ半分ぐらいでございまして、文科省の方でも耐震化の有識者会議を開きましてずっと調査していただいたんですけれども、もう早いこと緊急に耐震化をやらなきゃいけないという施設、これ事業費で三兆円というんですね。それも、改築といいますか、建て替えというんじゃこれ金掛かりますから、耐震補強とかあるいは改修だけでも三兆円ということ。  そういった中で、私、文部科学省といたしましても大変厳しい財政状況、シーリングの中ですけれども、例えば来年度は今年よりも六十億円増の千三百八十七億円要求しているということでございますが、これはやはり、私ども文部科学省だけではなくて全体として、政府全体としてこれは取り組んでいかなきゃいけない。やっぱり災害のない安心して暮らせる国づくりといいますか、ふるさとづくりがとても大事なことであるということを自分の体験を通して身にしみて感じたところでございました。
  353. 椎名一保

    椎名一保君 村田防災大臣にお願いします。
  354. 村田吉隆

    国務大臣(村田吉隆君) 今の文部科学大臣の御説明にちょっと防災担当の大臣として付加しますと、学校の耐震化率ですが、全国で見てみますと大変幅、差がございます。  平均でいいますと五〇%をちょっと超えたところ、五一・何%が耐震化率の平均のところなんですが、一番耐震化が進んだ高いところは神奈川県とか静岡県。静岡県が七七、神奈川県は八〇%。低いところは香川県で三十何%だったですかね、三〇%の低い方ですね。それから、徳島県も三〇%台。  だから、そういう意味で、この差を埋めて引き上げていかなきゃいけないということでございまして、今、文部科学大臣がいろいろ御指摘なさったとおりでございますが、私どもも九月の二十七日に中央防災会議で建築物の耐震化緊急対策方針というものを決めまして、まあ国土交通省でも耐震化、耐震改修促進法、これを見直してくださるようですし、あるいは補助制度の見直しとか税制とか、あるいはこういう施設はまだ耐震化が進んでないんだということを調べて公表してプレッシャー掛けるとか、あるいは数値目標を作るとか、いろんなことをして、やっぱり災害のときに国民が最悪のためには避難所として使う、あるいはそうでなくても児童が学習の場として使う、そういう学校の施設というものの特に耐震化というものは早急に進めていきたいと、こういうふうに考えているわけでございます。
  355. 椎名一保

    椎名一保君 耐震化と併せて、今文科大臣からもお話ございましたとおり、その耐震施設の自家発電施設とかトイレとか水の供給施設、これは本当に必要だと思います。地震そのものの災害で亡くなるよりも、その後遺症で亡くなる方も大変多いと聞いておるところでございます。  十月三日の朝日新聞の社説に、まあ朝日新聞を全部信じるわけではないんですけれども、保険のことなんですね、日本人の生命保険で払うお金、これが世界の四分の一だと言うんです。これだけ日本国民は子孫を大切にすると。  ですから、防災インフラに対しての考え方というのは、やはり政府も思い切ったことをやっても国民は納得してくれるんではないかと思うんですけれども、いま一度、そういう日本人の生き方という観点から、総理にお考えをお聞かせいただきたいと思います。
  356. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 災害といいますと、このスマトラ沖大地震で津波の被害の恐ろしさを改めて、インドネシアとかタイとかスリランカ国民だけじゃなくて、世界が認識したと思うんであります。  この津波は、本来日本語ですけれども、今や世界語になりました。それだけ日本というのは昔から津波の被害が多かったことを表していると思います。地震なり津波なり集中豪雨なり。この津波の被害でも、和歌山県の浜口梧陵のエピソードを持ち出すまでもなく、日ごろからの備えと。民間人が私財を投じて堤防を造った。本人が死んだ後、何十年か後にまた津波がやってきて、多くの住民が助かった。政府もそうであります。公共機関もそうであります。やっぱり日ごろから国民自身も備える心構えが必要だと。やっぱり官と民、一体となって災害に強い国づくりを目指していかなきゃならぬと思っております。
  357. 椎名一保

    椎名一保君 ありがとうございました。
  358. 小野清子

    委員長小野清子君) 以上で若林正俊君の質疑は終了いたしました。(拍手)     ─────────────
  359. 小野清子

    委員長小野清子君) 次に、魚住裕一郎君の質疑を行います。魚住裕一郎君。
  360. 魚住裕一郎

    魚住裕一郎君 公明党の魚住裕一郎でございます。  総選挙が終わって特別国会でございますけれども、予算委員会、何点か質問をさせていただきたいと思います。  まず、九月十一日の今回の衆議院選挙、解散前の事前の予想を覆して与党勝利という結果だったというふうに思います。我が党も大善戦したなというふうに思いますし、また公明党は、日本を前に、改革を前にというキャッチフレーズ、また自民党は、改革を止めるなと、そういうコピーで戦ったわけでございますし、また改革という言葉がタレントの言葉にものるような流行も見えたなというふうに思っておりまして、結果として与党三百二十七という議席を確保したわけでございますが、この結果に対する総理の評価と、また改革への決意というものを改めてお聞きしたいと思います。
  361. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 今回の選挙は、自民党、公明党の協力がうまく機能したと思っております。それと同時に、一般の国民改革に対する強い期待、改革を止めるなと。改革を止めようとする勢力に対しては、「そうはいかんざき」というあのCMの神崎党首の言葉も今も耳にこびりついておりますけれども、本当に改革は止めてはいけないという、そういう国民の声が今回の自民党、公明党に大きな勝利を与えてくれた大きな要因だと思っております。この期待にこたえて、改革を止めることなく様々の改革を進めていきたいと思っております。
  362. 魚住裕一郎

    魚住裕一郎君 結果として衆議院の三分の二という形に超えました。これは参議院に身を置く者として格段の意味合いを持つものでございまして、憲法にも規定ありますように、参議院で法案否決しても衆議院で三分の二で再議決できるということを意味するわけでございます。  ただ、憲法に規定がありますから、それはもう予想されたことなんだろうなと思っておりますが、その上で参議院の役割等を考えれば、やはり元々でございますが、良識の府でありますとか再考の府でありますとか、あるいは解散がないわけでありますので、丁寧な審議、もちろん時代に合ったスピード感を持って審議しなきゃいけないと思いますし、また決算重視でありますとか、あるいはODAを含めた監視機能を発揮していかなきゃいけないと、そんなふうに思っているところでございますが、この衆議院の選挙の結果を受けて、総理の参議院に対するお考えといいますか位置付けというか、それもちょっとお聞きしたいと思います。
  363. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 現在は、衆議院、参議院、二院制ですから、この機能をいかに発揮していくかということが大事だと思っております。衆議院でやっている審議と参議院で行われている審議、似ている点とあるいは違う点、どのように生かしていくか、今後こういう在り方に関しましても、私はそれぞれの院がよく考えていくべき問題だと思っております。  もとより、衆議院で通過した議案を参議院でどのように議案するかということもいろいろ言われております。衆議院と同じだったら二院制の意味がないじゃないかという議論と、違ったら有害じゃないかという議論があるのは承知しておりますけれども、私は、その審議の方法というもの、あるいはどういう分野にお互いの協力をしていくか、違いを出していくかという点については、私がああしろこうしろと言う問題でなく、それぞれの衆議院、参議院の責任ある方々、各議院の方々が今後それぞれ工夫して良い知恵を出していただきたいと、そして二院制の現在ある機能を十分国民から信頼されるような形でこの期待に沿った活躍をしていただきたいと願っております。
  364. 魚住裕一郎

    魚住裕一郎君 今回の選挙は解散から投開票まで三十四日間という短い期間でございましたけれども、この選挙戦のさなかいろいろなことを言われましたけれども、ITがこれだけ進んでおりまして、このITの活用、あるいは今の公職選挙法上の制限があるよと。そんなことも言いながら、マニフェストと言いながら、ホームページ使って、しかし見れないという、そんなこともありました。各党工夫しながら、マニフェストもどきといいますか、そういう形をホームページに載せたと思いますけれども、そういうことがございました。  また、選挙終わった後でございましたけれども、最高裁の方で選挙区への在外邦人の選挙権を行使できないということについて違憲だという判断がこれあり、これ参議院の選挙区にも関係あることでございますので、そういう問題が出てきた。  また、選挙の結果を受けて、この得票率と議席数との乖離、あるいは比例復活というのは非常に評判良くなかったなというふうに思ってございますけれども、やはり改革と訴えて、それは国民は支持していただいたと思いますけれども、そういう民意が反映できるような政治、選挙制度にしていくべきではないかというふうに思っておりますが、総理の御所見いかがでございましょうか。
  365. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) まず、最高裁の判決で、在外の方々の投票、これはその権利を確保するという意味において法整備をしなきゃなりませんが、実務的に無理な点もあるのは承知しております。しかし、その無理な点をどのように法的な整備をして、投票したいという方に対しての権利を確保するか、これは次の選挙までにしなくてはならないと思っておりますし、その検討を今進めております。  実際、この短期間ですから、小選挙区なり、候補者、どうやって知らせて、どうやって投票行こうかということが技術的にも非常に難しい点があるのは承知しておりますが、これを、基本的人権をいかに在外の方々にも保障するかという点から進めていかなきゃならぬと思っております。  また、選挙制度は私はどれも一長一短あると思います、小選挙区でも比例代表でも。それは、院で選挙制度を決めるわけですから、小選挙区制度は政権交代が起こりやすい、あるいはわずかな差で圧倒的な議席数の開きが出てしまうという点もあります。あるいは、中選挙区なり比例代表なりというのは政権交代が起こりにくいという形で小選挙区が導入されたわけでありますし、必ずしもそれでは制度がそうだから政権交代が行われないかとは思っておりません。中選挙区でも比例代表でもそれぞれの長所、短所があって、中選挙区の時代でも日本は政権交代が行われたことは戦前でも戦後でもあります。戦前でも、中選挙区だったときに二大政党の時代もありました。戦後でも、中選挙区におきましても政権交代が行われたことがあります。だから、制度によって政権交代が行われる、行われないということは一概には言えないと思っております。  ただし、今の選挙制度がそれぞれ賛否両論あるのは承知しておりますし、今、魚住議員が指摘されたような重複立候補の問題点もあるのも承知しておりますけれども、これは今後、よく議院で、どういう改善があるか、またどういう選挙制度がいいかということにつきましては、今後仮に改善するにしても、私は衆参一体で考えるべきものだと思っております。衆議院は別、参議院も別ということよりも、二院制ですから、衆参一体でどういう選挙制度があるべきかということを、将来改善すべき点があるならば、両方見て総合的に考えるべき問題だと思っております。
  366. 魚住裕一郎

    魚住裕一郎君 参議院は定数格差を是正しなきゃいけないということもこれあり、また大いに議論をさせていただきたいと思います。  次に、政治家の資質ということについてちょっとお聞きしたいんですけれども、総理は殺されてもという表現が使いました。私、そのとき、西郷隆盛ですか、命も要らず、名も要らず、官位も金も要らぬ人は始末に困るものはないと、そういう人でないと国家の大業を成し遂げられないんだと、そういうような言葉が残って、趣旨の言葉が残っておりますが、総理の改革への決意もこのようなものであると思いますし、また国民もそこに期待をしたんだろうというふうに思います。  ただ、これに反して、今ちょっと国会議員の不祥事が余りにも多いんではないのかなと。ちょっと過去を振り返っても、秘書給与詐欺でありますとか、あるいは学歴詐称というようなことも大きくクローズアップされた。強制わいせつということもあった。あるいは覚せい剤、これは、総理は薬物乱用対策推進本部長をされておりますし、今自衛隊、この薬物が問題になっていますけれども、この自衛隊をどうするんだといったときに、国会議員もやっているでしょうみたいなことは、まあそれはないと思いますけれども、いや、そこまで来たのか。また、人権侵害とか名誉毀損の言辞を吐く場合もある。私は、国民改革への期待が大きければ大きいほど、やはり我々国会議員、本当の改革への決意を込めた、ちょっとこれはもう、ここまで落ちたのかという、社説に言われないようにしなきゃいけないだろうと思いますし、また、自民党においては新人研修というようなことも取られているようでございますが、その辺についての総理の御所見をいただければと思っております。
  367. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) まず、法律を守るということは国会議員であろうとなかろうと、これは当然のことであります。  それと、資質という話がありますが、これについては、私は、人間というのは完全無欠の人間はいないんですから、若い人に対して成熟した大人が見れば何だという批判があるかもしれませんが、それは、若い人だって過ちをするんです、大人だって過ちをするんです。失敗は成功のもとと。挫折なり遊びのない人間というのはつまらないですよ。そういう点を見て、若いときから完全無欠を要求するのも酷だと思います。その辺は、やはりいい点を伸ばそうという観点から、しかし、最低限の人間としてのマナーなり道徳なり、そういう点は守ろうという両面が必要じゃないかと。全部完全を求めたら、こんなつまらない人間ばかり集まるのはないですよ。  だから、そういう点もよく考えて、私は、お互い人は人によって磨かれるという言葉があります。ある面においては、おおらかに将来を眺めながら見る目も必要じゃないかなと思っております。
  368. 魚住裕一郎

    魚住裕一郎君 私も同感でございます。  次に、今回の選挙をやっている最中に台風十四号が来ました。それで水害出た、洪水出たところもございますし、また盛土が崩れたということがございました。  お持ちしたこのパネルは、山陽道の山口県岩国市の廿木というところでしょうか。(資料提示)高規格の高速道路が走行車線、追越し車線ともに下から崩れ落ちて、そして中央分離帯のガードレールもぶら下がっているという、そういうものでございますけれども、日本道路公団、変わりましたけれども、この対応状況と今後の見通しにつきまして国土交通省からお願いしたいと思います。
  369. 北側一雄

    国務大臣(北側一雄君) 今委員お話しのように、九月七日の日に土砂崩落がその地域で発生いたしまして、近くの民家が土砂に埋まり、三名の方がお亡くなりになりました。  まず、今回の災害を受けまして、全国の高速道路や直轄の国道におきまして、類似の盛土の箇所につきまして九月末までに緊急点検を行わせていただきました。この緊急点検の結果、これ七百六十か所で緊急点検をやらせていただきましたが、緊急に対応すべきところが十七か所、更に詳細な調査が必要なところが百七十一か所、対応不要が五百七十二か所と、このような結果になっておるところでございます。  この当該箇所につきましては、日本道路公団、今民営化されまして西日本高速道路株式会社でございますが、災害の原因究明を行うことが大事でございます。専門家の先生方を委員長とする災害調査検討委員会を設置をいたしまして、既にもう三回ほど委員会を開催させていただき、十月十日に予定しております次回委員会で原因の取りまとめを行う予定でございます。できるだけ早期にこの土砂崩落の原因究明を行いたいというふうに考えております。また、山陽自動車道の復旧につきましても、できるだけ早くできるように措置を講じてまいりたいと考えております。
  370. 魚住裕一郎

    魚住裕一郎君 この盛土のり面、本当に日本の高速道路、山際を走っているのが多いわけで、今までの地形にプラスして土を盛る、そしてのり面を固める、日本の背骨を形成する、そういう高速道路であり、また国道であるというふうに思っておりまして、対応をしっかりやっていただきたいと思いますが、いわゆる道路公団から民営化なりましたね。やはり、民営化ですから利益をしっかり出さなきゃいけないということになると思いますけれども、安全対策がおろそかになっていくのではないのかなというような危惧も考えられると思いますが、この点について国土交通省としても対応をお願いをいたします。
  371. 北側一雄

    国務大臣(北側一雄君) 高速道路は公共の資産でございます。これをしっかり管理していくのは当然のことでございますし、利用者の安全確保を図ることは、これは民営化されても利用者サービスの最大の役割、使命であるというふうに考えておるところでございまして、今回の民営化以降も安全対策がおろそかになることがないよう、私どもも厳しく監視をしてまいりたいと思っております。
  372. 魚住裕一郎

    魚住裕一郎君 また、台風ではなかったんですけれども、何か関東地域で時間当たり百ミリを超えるような集中的な雨も降りました。それによってちょっと都市の中で水害が出るというような、私もそのころちょうど走っていて、道路が何かこう水の中を走っているような、そんな錯覚に陥ったことがございますが、排水がしっかりされていないんだなというふうに思ったわけでありますけれども、都市はコンクリートとかで固めていると。いろんな穴を、貯水池、調節池とかで検討されていると思いますが、降ったものが海までさっと流れるように工夫しているんだろうけれども、本来であれば、木が一杯あれば森林の保水力があるでしょうし、また本来は地面にしみ込んでいっていいのかなというふうに思うんですね。  それで、これは知り合いの銚子にあるベンチャー企業の路盤材なんですけれども、(資料提示)下がガラス、上が廃タイヤのチップ化したもので、透水性というんでしょうか、地面の中に水をしみ込ませていくというような工夫がなされてきておりまして、いわゆるこれは大事な視点ではないのかなというふうに思いますが、これに対する国土交通省の取組をお聞きしたいと思います。
  373. 北側一雄

    国務大臣(北側一雄君) 今お話があった台風十四号の際も、この東京においては時間雨量百ミリを超えるところが、杉並の方でございますが、出ました。最近は、そういう台風等が来た場合にいっときに大変な雨が降るというのが一つの傾向でございます。河川整備ももちろん大事なんですが、一方で内水による被害というのが非常に多いわけでございます。  この都市部における治水の方法というのは、大きく分かりやすく言いますと三つありまして、一つは早く流す、二番目に今おっしゃった浸透させる、三番目にためると、この三つの方法が治水としてはあるわけなんですが、これだけ一気に雨が降りますと、流すということはこれは物理的に容易ではありません。今委員のおっしゃったように、透水性の舗装をしていく。今は透水率が非常に、浸水率が非常にかつてはあったのが今はコンクリート舗装されているもので、それがなくなってしまっている。これを透水性舗装をすることが非常に河川への流出量を減少させる効果がございまして、少しずつ河川の方へ流れていくということになるわけでございまして、都市型水害対策の重要な施策の一つであるというふうに考えているところでございます。これまでも、地方公共団体が公共施設に設置する雨水貯留だとか浸透施設に補助する制度、こういうのをやっておりますし、また民間事業者に対しましても、これまでの雨水貯留施設を対象とした税制上の特例措置に今年度から透水性舗装を加えたところでございます。  また、今この透水性舗装につきましては、道路におきましては歩道部において実施をしているところでございまして、全国の直轄国道の歩道部で約一千四十キロメートル、東京二十三区でいいますと、国道、都道を合わせて九百十キロの延長のうち四百キロがこの透水性舗装が整備済みでございます。今、何とかこの歩道だけではなくて車道部にも適用ができないかということで研究をしているところでございまして、この研究を早く成果を出して実施をできるように努めてまいりたいというふうに考えているところでございます。
  374. 魚住裕一郎

    魚住裕一郎君 是非推進をお願いをしたいと思いますし、これはもう透水性であれば、車のタイヤから跳ねが上がるとか、多分少なくていくんだろうなと、そんなことまで考えているものでございます。  さて、今、集中的な都市部の降雨であふれた、洪水になったというのに関連して、それを奇貨としてといいますか、不審な業者が国の認可を得ていると、家の中を見せてほしいとかですね、あるいは厚生労働省の認可を得たと、無料で消毒するので床下を見せてほしいというようなそういうものが、これは新聞記事で悪質リフォームかというふうな紹介も出ておるんでございますけれども、やはりこれはどんなチャンスでもといいますか、どんな機会でもとらえて詐欺漢は出てくるのかなというふうに思っておりますが、本当に悪質だなと、人の困っているときに弱みに付け込んでよくこんなことをやるなというふうに思うわけでありますが、悪質なこのリフォームについて対応策はどうなっているか、概略を教えていただきたいと思います。
  375. 竹中平蔵

    国務大臣竹中平蔵君) 魚住委員御指摘のとおり、住宅リフォームに関しては、正に悪質な事業者によります消費者トラブルというのが非常に大きな社会問題になっているというふうに我々も認識しております。特に目立ちますのは、高齢者が典型でございますけれども、高齢者などの判断能力の不十分な方々がねらわれておりまして、同一の消費者に対してこれはもう次から次へと契約をさせるというふうな、そんな手口が悪質化しているというふうに思っております。  こうした状況を受けまして、政府としましても去る九月の十六日に官房長官主宰の下で、これは私も含めて参加をする八大臣、関係する八大臣が参加をしまして、消費者政策会議関係委員会議というのを開催したところでございます。そこで悪質住宅リフォーム問題の総合的な対応策を決定したというのが今の段階でございます。  主な内容は五つございまして、第一は取締りの強化、それと行政処分の厳正な実施、これがまず第一です。第二は、介護ヘルパー等、高齢者の周りの方々による見守りを強化していただこうと、これが第二であります。第三は、地方公共団体における住宅リフォーム相談窓口、そこの相談窓口を充実させようというのが第三であります。第四は、被害に遭った消費者に対する救済策を強化をしていくということです。そして第五は、判断能力の不十分な高齢者等々、そういった方々への成年後見制度の利用促進、これを進めるということでございます。  今後、この方針に基づきまして、関係省庁一体となりましてこれらの対応策を強力に推進していきたいというふうに考えているところでございます。
  376. 村田吉隆

    国務大臣(村田吉隆君) 今、竹中大臣からお話がありました第一の点で、取締りの強化でございますが、警察といたしましても住宅リフォームにかかわります特定商取引等の事犯でございますが、昨年の八月末と比べましても二十二件去年は検挙してありましたが、今年は既に二十八件検挙しておりまして、取締りを強化しているところでございます。  大変悪質な事例でございますけれども、広報啓発というのがやっぱり大変必要だということで、警察としても、関係の役所あるいは地方自治体等とも一緒になって取り組んでいきたいと考えております。
  377. 魚住裕一郎

    魚住裕一郎君 次に、原油高騰に関連してお聞きしたいと思いますが、ずっと、カトリーナとかそういうリタとかそういう影響もあったとは思いますけれども、ただ、九月二十一日のIMFの世界経済見通しのWEOの中で、原油のこの二〇〇五年の平均、五十四・二三ドルではないかと、そして来年二〇〇六年は現在の水準に近い六十一ドル七十五セントと高止まりをするというようなことが出ているようでございますが、一時的な原油高騰ということではない。もちろん第一次、第二次石油危機の時代と、為替等を含めて違うし、日本経済に対するダメージも全然違うとは思いますけれども、やはり中小企業等かなりダメージを受けるところがあると思いますが、その辺の見通しと対応策について、経産大臣、お願いいたします。
  378. 中川昭一

    国務大臣(中川昭一君) 今御指摘のように、去年の初めからじりじりと上がっております。今の数字はWTIかあるいはロンドンかよく分かりませんが、いずれにしても上がる、上がり続けております。  この原因は需給側あるいはまた供給側双方に原因がございますし、またそれ以外にもいろんなリスク、あるいはまた、この前のハリケーンでアメリカの石油精製能力、元々目一杯のところがパンクしてしまったというような状況もあります。  今後につきましては、日本は備蓄が御承知のとおり、この前、IEAの要請に基づいて三日分放出しましたけれども、それでも半年前後の備蓄はあるわけでございまして量はあるわけでございますが、しかし、これから冬場に向かって需要が増えていく、あるいはまたいわゆる地政学的な自然災害、あるいはまたいろいろなリスクが起こらないとも言えないという状況でございますから、私といたしましては、今後ますます積み増ししておく必要があるのではないかと思っておりますけれども、日本がまた買いますと世界の価格に影響するというなかなかジレンマも正直言ってございます。  現状におきましても既に、本日もいろいろ出ておりますけれども、運輸業界、あるいはまた石油関連業界、あるいは農業、漁業、そしてまた町のクリーニング屋さん等々、特に中小企業の特定の業種に対して大きな影響が出て、価格転嫁もできない、経営に影響を与えているという現状が強く出ているところもございます。  したがいまして、特に中小企業対策といたしまして特別相談窓口を全国に展開するとか、あるいはまた、いわゆる本来融資というのは民間がやるべきところでありますけれども、緊急かつ社会性の高い緊急融資といたしまして、政府系金融機関によるセーフティーネット貸付けというものも既に実行しておりますし、また御相談にも数多く乗っているという現状でございます。  いずれにいたしましても、今後の状況というのは、世界的に見ても、また日本自体も予断を許しませんので、政府全体としてデータをよく取り、現状を把握し、また世界のエネルギー情勢も的確に把握をしながらこれからの石油の状況に対応していきたいというふうに思っております。
  379. 魚住裕一郎

    魚住裕一郎君 農水大臣、先ほど来から漁業、農業に与える影響ということで質問され、また御答弁されておりますが、例えば原油が上がるとちくわが短くなるって御存じですか。要するに、原料のスケソウダラを取る燃料が値上げして、そして結果としてその魚肉のすり身が高騰して、結果として価格維持で逆にちくわが短くなるという問題でございますけれども、漁業者自体も本当に大変厳しい。また、ビニールハウス等を含めて価格、魚もまた野菜等も含めて、競りの中で価格転嫁できないというのは、先ほど国土交通大臣言ったトラック業界と同じようなものだと思いますけれども、その漁業にしても農業にしても何か迂遠な策になっていて、もっとストレートな救済策というんですかね、それはないのかなと思っておりますが、もうちょっとその辺、御答弁いただけますか。
  380. 岩永峯一

    国務大臣岩永峯一君) 費用に占める燃費比率というのが漁業が一番多うございまして、これ一三・五%、そしてトラックが一〇・六、バスが六、内航運輸が九・五と、こういう状況の中で、特に燃油価格の上昇というのは漁業には大変大きな影響を与えているわけでございます。  それで、先ほども申し上げましたように、総費用の中で七・七%が上昇して、一般漁業では七百万、それから遠洋マグロ漁業では三千三百万と、こういうようなことでございますので、今でも赤字である漁業に、本当に一年間に一千万だとか、それから遠洋漁業なんかにもっと大きな赤字を課すと。これは本当に水産王国日本の漁業が壊廃するんではないかという私は危機感を持っているわけでございますし、そして、これでどんどん廃業されたら本当に次に立ち上がれないというような状況を来すということでございますので、本当に深刻にこの問題を実は取り上げているわけでございます。  それと、先ほど言いましたように、省エネに取り組む漁業者に対する追加的な融資円滑対策、これも普通だったら二・七五のやつを一・五にするとか、漁協に対して、燃油流通効率化支援対策というのも漁協に流通関係で補助をしていこうというようなことをやっておりますけれども、もっと直接的に漁業者に何とか支援が送れないかというようなことで、今日も関係閣僚会議の中で助けていただきたいと、こういうお願いをしていたわけですが、本当に今でも十年間で八万人の漁業者が廃業しているわけですね。それが、これからこのことによって大きな廃業になってまいりますと大変でございますし、今漁業の皆さん方、岩永農水大臣、何とかしてくれという悲痛な願いでございますので、私ももう閣僚会議の中で、もう構わず実は手すりごんぼでお願いしているわけでございますので、皆さん方もひとつ財務大臣や経産大臣によろしくお願いをしていただきたいと、このように思うわけでございます。  また、野菜、これはいよいよ施設園芸が十一月以降に本格的な需要期になってくるわけです。これもあわせて同じことでございまして、今二割から四割ぐらいが光熱動力費の経営費で占めているわけでございますので、これが一・五倍の形になりますと、今日も、じゃ具体的にどうなんねと。そうすると、ピーマンでは単に三十五万減収になる、トマトでは十九万減収になる、それからキュウリでは十三万減収という、もう費用が加算するわけでございますのでもうけが出てこないということで、ナス、花卉、全部今予想されるものを金額で出してこいと、こういうことでございますが、元々大変低迷している野菜価格でございますので、これもみんな赤になるんではないか、本当に人件費すら出てこないんではないかと、こういうようなことで大変心配しているわけでございます。  しかし、省エネの取組については来年度予算でかなり要求しておりますので、徹底してやっていきたいと、こういうように思っておりますし、自然エネルギーを利用した温室の導入に対する支援だとか、太陽電池等を利用した部分、こういうものに大いに期待したいと、こういうように思っておるわけでございますので、頑張りますのでよろしくお願いします。
  381. 魚住裕一郎

    魚住裕一郎君 最近、道路特定財源の話が多くクローズアップされてきました。別に原油高騰に引っ掛けて言うわけではございませんが、ただ、いろんな税率引下げあるいは一般財源化、環境税に転換、あるいは地方へ移譲すべきではないのかというような、出てきておりますけれども、まず第一にこれ、この道路特定財源と言われている諸税、例えば自動車重量税は本則の二・五倍の今率になっている、あるいは揮発油税、これ今道路業界というか、運送業界にも関係あるかもしれませんが、二倍になっている。これはやはりまず本則にきちっと戻すべきではないのかと。我が党も、今回の総選挙で自動車重量税の暫定税率引下げ、これを検討するということをお訴えをさせていただきましたけれども、定率減税も原則に戻すということであれば、やはり道路の財源についてもきちっと本則に戻していくべきではないかなというふうに思いますけれども、国土交通大臣、いかがでございましょうか。
  382. 北側一雄

    国務大臣(北側一雄君) 結論から申し上げますと、その暫定税率の問題も含めまして総理から御指示がございましたので、年末に向けて基本方針を決めていくと、検討していくということだというふうに考えております。  ちなみに、現在、平成十五年度以降五年間において行うべき道路の整備に関する事業の量につきまして約三十八兆円というふうに見込みまして、これは平成十五年十月十日に閣議決定しているわけでございますが、それに応じて暫定税率も決めておるということになっておりまして、必要な道路に応じて暫定税率を決めたという経過があるということも是非御承知おきいただきたいと思います。
  383. 魚住裕一郎

    魚住裕一郎君 終わります。
  384. 小野清子

    委員長小野清子君) 以上で魚住裕一郎君の質疑は終了いたしました。(拍手)     ─────────────
  385. 小野清子

    委員長小野清子君) 次に、小池晃君の質疑を行います。小池晃君。
  386. 小池晃

    小池晃君 日本共産党小池晃です。  今国会に提出されました障害者自立支援法案をめぐる問題についてお聞きをしたいというふうに思います。  障害者の福祉制度、あるいはその更生医療や育成医療などの医療制度は、今までは収入に応じた負担でありました。それが自立支援法では一律一割負担というふうにされてまいります。障害が重ければ重いほど多くのサービスが必要になりますので、負担も重くなるということになるわけです。障害者の皆さんからは、社会参加を妨げる自立破壊法ではないかという批判が沸き起こっております。  さきの国会では審議未了、廃案となりました。しかし、政府は再びこの特別国会に提出をいたしました。全国六百五十六万の障害者、家族、関係者の皆さんが、かたずをのんでこの行方を見守っております。この負担増がどれほど過酷なものなのか、今日は、通所施設と入所施設のそれぞれ重大なポイントに絞って総理にお聞きをしたいというふうに思います。  まず、障害者が通う通所施設でありますが、働いたり日常活動を行う授産施設や作業所の問題です。今、九五%の方がこれは無料なんです。無料で通っておられます。ところが、自立支援法の一割の利用料負担というのは、授産施設や共同作業所の利用にも押し付けられることになる。その結果、月二万九千二百円もの利用料が徴収されます。  その一方で、作業所の工賃、いわゆる賃金、工賃と呼びますが、非常に少ない。平均で月七千三百円であります。障害者からは、工賃よりはるかに高い利用料を取られるのであれば、これなら作業所へ行かずに家でじっとしていた方がいいという声まで上がっている。懸命に働いて手にしたわずかの賃金を上回る利用料を取り立てる。  総理、これがどうして自立を応援することになるんですか。これでどうして家から作業所に通おうという気持ちになるというんでしょうか。お答えいただきたい。
  387. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) これは、共産党の立場からいえば、今、負担のばかり言いますけれども、負担ばかりじゃないんです。一割を負担してくれということは、今まで国家として費用負担していない、こういう点についても障害者が自立できるような対策もしようと、両面あるんです。今、小池さんは負担の点ばかり申し上げられました。  具体的に言いますと、今の障害者福祉サービスについては、これ利用者が増大しています。これからますます費用も増大してくるでしょう。そして、今まで精神障害がサービスの対象とされていないという、そういう障害種別に格差があったんです。この格差をなくしていこうという面もあるんです。それに、在宅と今施設の間に負担の格差が存在しております。この格差、どうしてこの格差をうずめていくか。さらには、サービスに市町村間での格差もあるんです。この市町村間の格差をどうしてなくしていくか。さらに、働ける障害者が必ずしも仕事に就いていないと。本人は働けるんだけれども仕事就いていない。こういう課題をどうやって解決していくかという面がこの障害者自立支援法の主題なんです。  今、小池さんは、負担一割はひどい、一割はひどいと言っていますけれども、これは、負担できない、収入のない人に一割を負担してくれと言っているんじゃないんです。様々な収入がある、その収入の範囲内で収入のある人は一割負担してくださいということなんです。こういう問題において、今まで、この障害者の種別にかかわらず、市町村を中心に一元的に支援する必要があるんだということでこのサービスを確保していかなきゃならない、地域格差を是正するという面があるという点も是非とも御理解いただきたい。  そして、これから、仕事できるんだけれども、仕事を希望しているけれども、なかなか職場の実習等も思わしくないと、そういうことに対して就労支援をどうやって実施していくかと、そういう面についても改善の余地があるんじゃないかということで、これを充実していくという趣旨も入っている。さらに、今NPO法人を認めていない。しかし、国の機関だけじゃなくてNPO法人を認めることによって更に障害者支援が充実するんではないかという点にも配慮している。これから、在宅福祉サービスについては、国が負担していけなかったものを義務として国が負担するという措置も入っているんです。  こういう利用者負担を見直さないと、今言ったような全体的な障害者の福祉支援サービスが思わしくはかどらないという点があるからこそ、ある程度収入のある方については一割は負担していただくことによって、今までサービスを受けられなかった方についてそのサービスを広げていこうということを考えているんです。  ただ負担だけ、あるから、一割負担けしからぬ、一割負担けしからぬと言っておりますけれども、そういう全体的な点を見てこれは判断していただかないと、現に障害者の予算というのは増やしているんですから。それを負担だけ取り上げてやればそれは、今までゼロの負担、負担何にもなくていいのに決まっていますよ。しかし、収入のない人から一割負担を取ろうということでは全然ないんです。収入別において十分配慮しているということも是非とも御理解いただいて、一面だけ見ないでいただきたい。全体の福祉をいかに充実していくかという中での一環で、ある程度負担できる人は負担していただきたい。これがひいては全体の障害者の福祉を充実していく方向ではないかという点をやはり併せて議論していただかないと、片っ方だけ議論していただいちゃしようがないですよ。
  388. 小池晃

    小池晃君 三障害一体化することやあるいは義務的経費化すること、前進面があることを我々は一切否定していないです。そういうことはこれまでも指摘をしているんです。しかし、最大の問題として、障害者の皆さんから指摘をされているのは、それじゃ、それで一割負担ということでそんなこと認められるのかということなんですよ。  今、肝心な問題ごまかされた。私が言ったのは、負担、収入をはるかに超える利用料取られるんですよ。総理は収入の範囲で負担と言ったけれども、私が言ったのは、作業所の場合、工賃七千二百円なんですよ、平均。それが、利用料二万九千二百円なんです。収入をはるかに上回る利用料じゃないですか。どうしてこれが払えるんですかと言っているんです。
  389. 尾辻秀久

    国務大臣(尾辻秀久君) 数字でありますから、私からお答え申し上げたいと思います。  まず、今、工賃のことについてお触れいただいております。私どもも、私も何回も現場にも行っておりますから、障害を持った皆さんが作業所で働いておられる、そして頑張って工賃として収入を得ておられる。その収入、工賃からそんなに負担してくださいと申し上げるつもりは全くありません。この制度を考えたときから、これはもう私も一番気にしていたところであります。  今、工賃のお話がございましたので、そこの部分だけでまず申し上げますと、今私どもが考えておりますのは、例えば一万円の工賃収入がある方でありますが、三千円をまず手元に持っていただきたい。そうすると、残り七千円です。その七千円の一五%を上限に、そこまでを上限に、利用料の一割がそこまであれば払ってくださいということでありますから、まあ例えば今一万円でというふうに申し上げましたけれども、三千円引いて七千円、七千円の一五%ですから千五十円になりますか、そこまでを上限にして払ってくださいと。一番払っていただいても工賃収入で払っていただくのはそこまででお願いしますということを申し上げておるわけでありまして、決して工賃収入を超えて払ってくださいとか、せっかく頑張られたお金の中から大半を払ってくださいとかというようなことを申し上げるつもりは全くないことは是非御理解いただきたいと思います。
  390. 小池晃

    小池晃君 いや、ごまかしですよ。減免制度をしたとしても、これは一万二千六百円の負担になるはずですね。ですから、平均七千円の工賃をはるかに超えるんですよ。  しかも、いろんな減免があるとおっしゃるけれども、家族に課税収入があれば減免の対象外なんです。それから、貯金が三百五十万円以上ある場合も減免の対象外なんです。障害者の貯金というのは、御家族が我が亡き後の子供のことを考えて子供の名義で積み立てるような貯金ですよ。そういう貯金があったら減免の対象外になるんです。しかも、三年間の経過措置でしかないんです。そして、結局減免されても食費、光熱費合わせれば負担は一万二千六百円。工賃平均七千円をはるかに超えるじゃないですか。一体どこがきめ細かい配慮なのか。身ぐるみはぐというのはこのことじゃないですか。  総理、減免があると言うけれども、結局こういうことなんですよ。工賃を超える負担になるんです、みんなが。こういうことが許されるのかということが問われているんじゃないかと思いますが、総理、いかがですか。
  391. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) それは誤解です。一方的な議論しないでくださいよ。身ぐるみはぐなんて、これは誠に遺憾な言葉であります。  具体的な数字は厚労大臣から述べますが、収入以上の負担など求めておりません。全部配慮しているんです。それ詳しかったら、よく厚労大臣、もう一回答弁してあげてください。これはひどい。余りの一方的な議論です。
  392. 尾辻秀久

    国務大臣(尾辻秀久君) 余り細かなことを一々申し上げるということをここでは申し上げませんけれども、今例えば三百五十万円という預金の数字をお出しになりました。これも言わば現金預金というか、もうすぐ引き出せるところで三百五十万円の預金がおありの方はということを言っているわけでありまして、これも信託などに持っておられる方の分まで計算してというようなことも言っておりません。例えば、もうそういう正に細かな配慮をしているわけであります。  そして、細かなことは言いませんけれども、今私どもが申し上げているのは、日常生活費として最後に二万五千円だけは必ず手元に……(発言する者あり)いや、二万五千円だけは必ず手元に残るようにすると言っているじゃありませんか。そこのところは是非御理解いただきたいと思います。
  393. 小池晃

    小池晃君 私、提案している大臣が法案の中身理解していないことに愕然としますね。今の二万五千円の手元金残すというのは入所施設の減免の話ですよ。この次に質問する話ですよ。全く中身分かってないじゃないですか。通所施設に通う場合に手元金残すなんという仕組みは今回の法律の中にどこもないんですよ。そんなでたらめな理解で法案提出されたというのは本当にとんでもないと。  入所施設のことをおっしゃったんでお聞きしたいんですが、入所の場合ですね、これは通所の負担、大変過酷なんですけれども、住まいである入所施設の場合、今お話ありました個別減免制度ありますけれども、それはどういう説明して、仕組みになっているか、じゃ、御説明願えますか。入所施設、住まいでもある施設の場合の減免制度についての説明。今ちょっと先走ってされましたけれども、それを説明していただきたい。
  394. 尾辻秀久

    国務大臣(尾辻秀久君) 私どもは、先ほども申し上げましたけれども、とにかくきめ細かにこの施設つくろうと、いや、制度をつくろうということで努力をいたしました。そして、やや複雑になったかなということは率直に思います。しかし、もう何とかしたいということがそういうやや複雑になったということは御理解いただきたいと思います。  そこで、その制度をできるだけ分かりやすく御説明申し上げようと思って作ったのがこのペーパーでございまして、このペーパーだけでももう複雑であります。  そこで、これを一々御説明申し上げるというのは、大変言葉で御説明申し上げるというのは難しいわけでありますけれども、今のをお答えしますと、まず、収入が六万六千円までなら負担はゼロです。まず、ここのところは踏まえてください。収入が六万六千円までの方は負担はゼロにするということを言っておるわけであります。まず、そこのところももう是非御理解いただきたいと思います。  したがって、今おっしゃっておられるようなことにはならないわけでありまして、この制度が大きく、施設に入っておられる方と家におられる方との、大きく、個別減免というか、一方を個別減免と言っています。正確に言いますと、一つの方は、入所施設の皆さんの減免は個別減免と言っておりますし、それから在宅の方の皆さんの方は私どもは社会福祉法人減免と、こういうふうに呼んでおりまして、これも分けて表現しておりますことも御理解いただきたいと思いますが、もうそんな話すると非常に申し上げておりますように複雑で長い話になりますから、まず、六万六千円のところで負担ゼロだということは是非踏まえていただきたいと思います。
  395. 小池晃

    小池晃君 今のはでたらめなんですよ。定率負担はゼロですよ、確かに。しかし、食費、光熱費あるでしょう。それ、トータルで個別減免で一体幾らになるのか、説明していただきたい。
  396. 尾辻秀久

    国務大臣(尾辻秀久君) それでは、改めて申し上げます。  入所施設に入所している方の利用負担については、食費等の実費については自己負担とすること、サービスについての費用は、所得に応じた上限額を設定した上で一割の定率負担とすることを原則としております。ただし、負担能力の低い方については、月額六万六千円までの収入の方は定率負担はゼロとするほか、食費等負担についても、少なくとも一か月当たり二万五千円残るよう負担を軽減する仕組みとし、過大な負担とならないように配慮しておるところでございます。  これが改めてのお答えであります。
  397. 小池晃

    小池晃君 その方が分かりやすいんですけれどもね。要するに結局、手元に二万五千円残すところまでは全部取り立てるという仕組みなんです。これは一日八百円ということですね。  何で二万五千円の手元金が残ればいいというふうに判断したのか、根拠を示していただきたい。
  398. 尾辻秀久

    国務大臣(尾辻秀久君) 二万五千円残して全部巻き上げるみたいなことをおっしゃいますけれども、私どもとしては、何かそんなつもりは全くないわけでありまして、上限まで負担していただいてもこうなるというわけでありまして、そこのところは是非誤解のないように御理解をいただきたいと思います。  それから、二万五千円とした根拠は何だということでございますけれども、これ、家計調査によりまして、家計調査で年収二百万未満の二人以上の世帯平均でその他生活費が幾ら掛かっているか、家計調査におけるその他生活費が幾ら掛かっているかというので二万一千円という数字が出ております。したがって、その二万一千円よりも、障害をお持ちの方、日常生活費もう少し御入り用な部分もあるのではないかということで四千円を乗せて、二万五千円は手元に残していただこうと、こういう根拠にいたしております。
  399. 小池晃

    小池晃君 ですから、これ、年収二百万円、生活保護水準はるかに下回る水準ですね。一日八百円ですよ。それしか残さない。ここから日用品だ、医療費、交通費、電話代。外出もままならないし、洋服も買えないし、人間らしい生活など本当に無縁だと。もし病気になったら多額の持ち出しになるということになる。しかも、入所施設の場合は手元に二万五千円だけは残される、しかし、グループホームや自宅から通うような場合はこれもないんです、手元金すら。赤字になってしまうようなケースがほとんどなんです。  総理、こういう仕組みになっているんです。非常に複雑なんです。しかし、複雑にした結果、最後に手元に生活費が二万五千円、月残ればいいという、そういう減免制度を作ったんです。一日八百円なんです。一日八百円で本当に人間らしい生活できると思いますか。総理、今日テレビ見ていらっしゃる障害者、家族の方いると思うんです。私、本当に説明していただきたい。障害者は一日八百円のお金があれば生きていけるという仕組みを提案されたんだから、きちっと総理、これ説明していただきたい。どうですか。
  400. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 今厚労大臣も説明されましたし、私も説明しているように、これはなぜ複雑になったかということは、これは実にきめ細やかなサービスなり配慮をしたからなんです。そして、身ぐるみはぐのか、とんでもない。収入、(発言する者あり)収入二万五千円しか残せないというよりも、そこまで全部取るということじゃないんです。(発言する者あり)それ、ちゃんと収入はある程度ある方に対して一割の負担をしていただくということでありますから、それは全部の、それ一人一人全く対応が違うのは事実でありますが、それを全部一人対応はできませんよ。  しかし、一定の基準というものを今までの調査ではじき出して、負担をされても二万五千円というものは日常生活に欠かすことができないであろうということで、収入を考えながらこのサービス料の負担を考えているわけでありますので、全部収入を持っていくとか収入ない人に負担をしろということではないと。なおかつ、今までしなきゃならないこと、義務で、義務的に払わなくてもいいというものを義務化してできるだけ市町村内の格差をなくしていこうと、そして障害者がそれぞれの場で意欲のある人に対しては自立できるような対策を講じようという全体的な配慮の中でされていると。  それで、複雑になったというのは、できるだけきめ細やかな、人によって配慮しようということでありますので、負担ばかりの点について指摘されていますけれども、負担は決して無理な負担をお願いしているわけではないと、十分な様々なサービスをした上での負担であると、一割の負担であるということも是非とも御理解いただきたいと思います。
  401. 小池晃

    小池晃君 全く仕組み違うんです。あのね、収入十万円までは二万五千円しか残らないんです。収入十万円超えた途端に十万円超える部分について半分を残すという仕組みなんです。だから、十万円の収入なんて、障害者なんてほとんどいないですよ。そういう人たちみんな二万五千円しか残んないんです。二万五千円の手元金で生きていけということを言えるんですかと私聞いているんです。答えていただきたい。ちょっとそれは総理、答えてください、二万五千円で生きていけるんですかと。
  402. 尾辻秀久

    国務大臣(尾辻秀久君) 二万五千円の根拠について申し上げましたけれども、もう一回申し上げますと、家計調査で年収二百万未満の二人以上世帯の平均の数字がその他生活費二万一千円であります。したがって、二万一千円で頑張ってやっておられる方々もおられるわけでありますから、まあ私どもの最低これだけ手元に残してくださいというその最低の数字は、その頑張っておられる方々数字に合わしたと、まあこれは御理解いただきたいと思います。  その二万一千円でも頑張っておられる方々が平均としてもおられるわけでありますから、じゃその方々にどういうふうに今度は申し上げることになるのかなと、今みたいなおっしゃり方すると、なるのかなと、つい思うわけでありまして、ここは二万五千円という数字は御理解いただきたいと存じます。
  403. 小池晃

    小池晃君 年収二百万円で暮らしていらっしゃるというのは本当に大変な実態だと思いますよ。しかし、この法案というのは年収二百万円の生活水準で日本の障害者暮らせという法案なんですよ。そんなことが許されるのかということなんですよ。  私ね、今の今日のやり取りで本当に日本の障害者施策がいかにひどいものか、そしてこの自立支援法案というのが正に年収二百万円の人の生活水準で生きていけということをすべての障害者に押し付ける法案なんですよ。こんなことが許されるのかと。憲法二十五条というのは健康で文化的な最低限度の生活というのを保障しているんです。これを憲法違反の法案だと。しかも、改革を止めるなといって最初に出してきた法案がこれでしょう。改革を止めるなといって最初に一番弱い立場にいる障害者に痛みを押し付ける、これが小泉改革の正体なんだ。絶対にこんな法案を許すことできない。この法案は断固撤回するべきだということを申し上げて、私の質問を終わります。
  404. 小野清子

    委員長小野清子君) 以上で小池晃君の質疑は終了いたしました。(拍手)     ─────────────
  405. 小野清子

    委員長小野清子君) 次に、福島みずほ君の質疑を行います。福島みずほ君。
  406. 福島みずほ

    福島みずほ君 社民党の福島みずほです。  総選挙で、総理は郵政民営化に賛成か反対かを問うのが今度の選挙だとおっしゃいました。憲法改正については民意は問われていない、こういう理解でよろしいですね。
  407. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 憲法改正について、最大の争点ではありませんが、それは政党が、今までの言動等で自由民主党がどういう考えを持っているか、それは理解していただいているんじゃないかと思っております。
  408. 福島みずほ

    福島みずほ君 総理は、大増税についても憲法改正についても言及をされませんでした。民意は問われていない。この点について、憲法改正については慎重に議論すべきだと考えますが、いかがですか。
  409. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) それは、憲法は慎重に考えるべき問題であって、これから憲法を改正する場合には、当然国民の投票法もこれから審議されるでしょうし、国会で三分の二の議員の発議によってこの憲法改正が提起されるわけでありますので、十分慎重に議論されていくべきものだと思っております。
  410. 福島みずほ

    福島みずほ君 日本はこれまで、二度と戦争をしないと決めた憲法九条があったので、日本の若者は海外へ戦争へ行くことはありませんでした。人を殺すことも、自衛隊員が殺されることもありませんでした。  総理が言うように、集団的自衛権の行使あるいは憲法九条、自民党の憲法改正草案第一次案が言うように、改正をもし仮にすれば、例えばイラクで自衛隊は爆弾を落とし人々を殺すことが憲法上可能となる。少なくとも憲法上の制約はなくなります。それでよろしいですね。
  411. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 全く違います。憲法の民主主義、基本的人権、平和主義、これを維持しながらどのようにこれからの国の在り方を決めていくかと。戦争にするために憲法改正するわけじゃないんですから、それは非武装中立でなければ社民党みたいに戦争に巻き込まれるという考えと違うんです。日本は今、非武装中立じゃありません。これからも、私、自由民主党だとして、非武装中立で日本の独立と安全が守れると思っておりません。そういう国の在り方については、これからきちんと憲法改正の中で論議されるべきものだと思っております。
  412. 福島みずほ

    福島みずほ君 問いに答えていません。憲法九条があったからできなかったことを、憲法九条を変えればできることになる、そのことを私は聞いているのです。憲法九条を変えれば、日本は例えばイラクで米軍とともに戦うことについて憲法上の制約はなくなります。それでよろしいですか。総理の見解を聞いています。
  413. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) それも勝手な独断、決め付けであります。そうではありません。
  414. 福島みずほ

    福島みずほ君 なぜですか。憲法上の制約はなくなりますよ。
  415. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 何をもって制約がなくなるんですか。まだ草案が示されてないのに。
  416. 福島みずほ

    福島みずほ君 私は、総理が去年、集団的自衛権の行使と憲法を変える自民党の憲法改正第一次案があるからこそ、最高法規である憲法が重要、九条が重要だと思うからこそ、真っ正面から聞いているのです。九条を変えれば変わるじゃないですか。端的に答えてください。
  417. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) なぜ九条を変えれば戦争するようになるんですか。それが分かりません。  しかし、憲法九条の中に自衛隊の位置付けが明確でないと。いかなる戦力も保持できないという憲法であると、極めてあいまいであると。  しかし、国を守る、独立を守るということに対しては、侵略勢力に対して自衛軍を持つということは憲法違反でないというような規定は設けなきゃいかぬと。非武装中立でいったら軍事訓練も日ごろの訓練もない人に戦えということでしょう。そんな無責任なことありますか、国として政府として。一般の市民まで戦えなんて、そんな無責任なことはできません。戦う専門の集団を持つということは一国の独立、平和を守るために必要だと。これが憲法違反であるという、そういう状態をなくさなきゃいかぬと思っております。
  418. 福島みずほ

    福島みずほ君 総理が言う集団的自衛権の行使と変える、自民党の憲法改正第一次案のような提案をすれば、もし憲法がそう変えれば、自衛隊が海外で武力行使をすることについて何の憲法上の歯止めもなくなります。これは憲法九条の歯止めがなくなるということです。だから、今日質問をしたのです。安易にこれは、私はテレビを見ていらっしゃる皆さんが、憲法九条を変えることが根本的にこの社会を変えることだということを本当に理解していただきたいと思います。  次に、基地の問題についてお聞きします。  今、米軍基地再編が議論となっております。日本の基地の軽減、沖縄の基地の軽減、これこそがなされるべきです。首相は、防衛庁そして外務省に対して沖縄の基地の負担の軽減について交渉するよう、米軍再編のプランをまとめるよう指示をされていらっしゃるでしょうか。
  419. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 日本の基地の在り方、米軍の存在、そして沖縄始め日本の基地の負担、これをいかに削減するかと同時に、日本の安全を図るためには常に抑止力を維持していかなければならないと、この両方を考えながらこれから基地の在り方というものについてアメリカと交渉しなければならないと。日本としても、その抑止力の維持と、そして基地の負担の軽減、これは極めて重要な課題でありますので、それをしっかりと踏まえながらアメリカと交渉するように既に指示しております。
  420. 福島みずほ

    福島みずほ君 基地の負担の軽減というのであれば、なぜ辺野古の沖の浅瀬案や、それから沖縄のシュワブの移転説、これは沖縄の中のことになります、が出てくるのでしょうか。
  421. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 今後の課題でありますけれども、基地の負担と抑止力の維持というものを総合的に考えて交渉していかなけりゃならない問題だと思っております。
  422. 福島みずほ

    福島みずほ君 基地の負担の軽減ということであれば、辺野古の沖の浅瀬案やキャンプ・シュワブ案、米軍座間キャンプに米軍陸軍司令部が来ること、これは決してどこから見ても沖縄あるいは日本の基地の負担の軽減とはなり得ません。日本の国の総理大臣として、きちっと負担軽減を真っ正面から置いた米軍の再編プランをきちっと提示すべきだということを申し上げます。  次に、格差拡大社会について申し上げます。  小泉内閣の下において労働者派遣事業法の改正法が改正になり、今三人に一人がパート、派遣、契約社員です。非正社員の八割の人が月収二十万円以下、今五世帯に一世帯は年収が二百万円以下となりました。大問題です。  労働条件が悪い、格差拡大の是正と、それからこれを改革することこそ今の政治の大きな課題です。ヨーロッパのように、正社員との均等待遇、きちっとした均等待遇の立法、国会こそこの格差拡大の是正を立法上解決すべきだと考えますが、いかがでしょうか。
  423. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) それは、時代が変われば働き方も変わってまいります。終身雇用がいいという時代と、やはりある程度自由な職業なり時間の働き方の選択を持ちたいという方も増えております。そういう時代の変化に合わせて、この働き方、正規社員、パート等を考えていかなきゃならない問題だと思っております。
  424. 福島みずほ

    福島みずほ君 生活の多様化、働き方の多様化ではありません。年収が二百万円以下の人が五世帯に一世帯、そしてパートの人たちが若い人にも女性にも本当に増えている。これを政治が放置していいわけはありません。立法がなぜこれに踏み込まないのか。  均等待遇の立法や格差拡大の改革こそ実現していくということを申し上げ、私の質問を終わります。
  425. 小野清子

    委員長小野清子君) 以上で福島みずほ君の質疑は終了いたしました。(拍手)  これにて質疑通告者の発言はすべて終了いたしました。  明日は午前十時四十五分から開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後四時五十五分散会