○片山虎之助君 私は、自由
民主党を代表して、
小泉総理の所信に対し、
総理に質問いたします。
まず、
民主党が代表に新たに前原誠司議員を選任され、党全体としても、参議院においても、新
体制が発足されましたことにお祝いを申し上げます。憲法改正や国の安全保障という基本問題において同じ土俵で
議論ができるようになったこと、また
構造改革についても既得権益への切り込みを示唆されていることなど、我が党と切磋琢磨できる党に変身されつつあることを心から歓迎いたします。
さて、炎天下、各党ともに熱い
選挙が行われ、
小泉総理を始め各党幹部は東奔西走、誠に御苦労さまでございましたが、結果は予想を上回る自民党の圧勝であり、公明党とともに
与党で衆議院定数の三分の二を上回ることになりました。
国民は、
与党の郵政
民営化と
改革推進を圧倒的に支持したのであります。
私は、今回の
選挙のキーワードは三つあったと思います。
一つは、
総理の口癖と言っていい郵政
民営化は
改革の本丸であり、次は、自民党ポスターのスローガンでもある
改革を止めるなであり、三つ目は、
総理の決意と報じられました、殺されてもやるであります。
国民はこれらに共感し、これを熱く支持したのであります。
国民のこの期待に
総理と
政府・
与党はしっかりとこたえていかなければなりません。勝ってかぶとの緒を締めて、謙虚に誠実に、
国民のために郵政
民営化と
改革推進に努め、小泉
構造改革の総仕上げに掛かるべきだと
考えますが、
総理の決意をお伺いいたします。
しかし、また同時に、
国民は心配しております。
総理は、来年の自民党総裁の任期満了で
内閣総理大臣を辞任するということを再三言明されております。
国民は、あと任期一年の自民党総裁としての
小泉総理でなく、あと任期四年を持つ
内閣総理大臣としての
小泉総理を圧倒的に支持し、国政を託したからであります。任期があと一年しかないことを念頭に置いた
国民は私は少なかったのではないかと思います。そこに、自民党総裁としての任期の
延長論が出てくるゆえんであります。
そこで、
総理にお伺いします。
国民に圧倒的に支持された者として、あと一年で
総理を辞任するとすれば、この一年で山積する
内外の諸課題に
見通しを付けることができるのかどうか、
見通しが付かないとすれば、辞任された後どのような
道筋をお
考えなのか、またそれについてどのような
責任をお感じになっておるのか、はっきりと
国民に分かるように御
説明いただきたいと存じます。
次に、郵政
民営化について質問します。
私は、さきの通常
国会で
郵政民営化法案の審議が大詰めになった八月二日に、特別委員会で総括的質問に立ち、
総理から丁寧かつ前向きの
答弁をいただきました。衆議院の審議の際よりはるかに踏み込んだ
答弁で、私はそれなりに納得いたしました。私の質問に対する
総理答弁の主なものは次のとおりであります。
第一は、郵便局ネットワークを
国民の資産としてしっかり維持し、
国民の
安心、利便を守りながらこの資産を十分活用していく。郵便局は、あまねく全国において利用されるよう、現に存する郵便局ネットワークの水準を維持することを旨として設置するよう法令上義務付けること。
二つ目は、
郵便貯金、簡易生命保険の金融サービスについて、特に過疎地は
民営化後も従来どおりのサービスが提供されるよう、
社会・
地域貢献基金の設置や
株式持ち合いによる一体的経営を可能とするようにしたこと。また、その確保を三年ごとの見直しの対象とすること。
三つ目は、
民営化委員会による三年ごとの見直しには、経営形態の在り方を含めた郵政
民営化に関するすべての事項を対象とすること。
これで郵政
民営化に係る
国民の不安と
懸念は私は大部分解消したのではないかと
考えましたし、その上、委員会採決では、陣内委員長を始め与野党理事の御努力で十五項目にわたる附帯決議がまとまり、
答弁の実効性を担保して、
法案共々可決されましたが、残念ながら
法案は参議院本
会議で否決されたのは御承知のとおりであります。
この特別
国会において、
郵政民営化法案は、スタートを半年間延ばすなどの修正をして再び提出されました。そこでお願いいたします。
法案成立後、施行に当たっては、さきの通常
国会の参議院での審議における
政府答弁を遵守し、委員会採決時の附帯決議を最大限尊重していただきたいと
考えますが、
総理の御所見を賜りたいと思います。
さらに、次の点についても解釈、運用上、
政府としても十分な検討をお願いしたいと
考えます。特にコメントがあれば言っていただいても結構であります。
まず第一に、現在の郵便局ネットワークをかんがみますと、そのコストの四分の三は郵貯、簡保で賄っております。したがって、郵便局ネットワークを維持していくためには、郵貯、簡保を含む三
事業一体の
事業運営が必要であります。
持ち株会社が郵貯
銀行、保険
会社の縦の
株式の連続的保有が認められ、かつ郵便局
会社のイコールフッティング認定後の横の
株式保有が許されることは誠に結構ですが、これらは三
事業一体のグループ経営が可能となるようなものでなければならないと、こう
考えております。これが
一つ。
二つ目は、
民営化の過程において、万一、三
事業一体のグループ経営が崩れて、郵便局のネットワークの維持が困難となり、利用者の利便が大幅に低下するような場合には、見直し条項をちゅうちょなく発動し、経営形態の修正などの適切な措置を講ずべきであると
考えます。
三番目、次は税の問題であります。今回の
民営化は、公社にとれば、法人税や預金保険等の負担の上に、分社化することにより、大きなコスト増になります。さらに、新たな税負担がある。委託に掛かる
消費税については、国の
政策による半ば強制的な分社化に伴うものであり、分社化されなければ元々生じないものであります。基金の積立てについても、本来、
持ち株会社の収入であり、
持ち株会社の判断により利用すべきものを半ば強制的に積み立てることとされています。これらの経過措置又は減免などの措置はどうするのか、
与党としても税調等で十分論議を重ねますけれども、
政府としても是非前向きの検討をお願いいたしたいと思います。
四番目、経営の自由度を高めて新規業務へ進出することは
民営化の大きなメリットでありますが、そのためには民間とのイコールフッティングが達成されなければなりません。郵貯、簡保の
株式の処分など、イコールフッティングをできるだけ速やかに行うこととともに、その見極めも早期に行い、例えば新規
事業として既存の民間金融機関との協調融資、住宅ローンなどへ進出を認める必要があり、それには主務大臣も
民営化委員会もできる限りの協力をすべきだと
考えております。
以上であります。
次に、憲法改正についての
動きが加速してまいりました。
国民のこの問題についての
認識も高まり、今や
半数以上の
国民が改憲に理解を示しています。自民党は、立党五十周年記念
事業として、十一月下旬を目指し、憲法改正草案を作成中でありますし、
民主党の前原代表も改憲に前向きな発言を繰り返しておられます。衆参の憲法調査会を憲法特別委員会に改組し、
国民投票
法案等の審議の場とすることも各党で協議中であります。改憲はタブーではありません。
日本国憲法は平和憲法として
世界じゅうから高く評価される一方で、現在の
世界や
日本の情勢にそぐわなくなっていることが広く指摘されております。
日本国憲法の良い点は残しながら、全体を正していくことは、憲法の尊厳のためにも
我が国の将来のためにも必須の課題であります。
憲法改正の発議は衆参両院で三分の二の賛成が必要であり、衆議院はともかく、参議院では自民党、公明党、
民主党が共通した
認識と意思を持たないと発議できません。政党間の垣根を乗り越え、腰を据えて、憲法改正に向かって、この国のありよう、今後の国の姿を真剣に
議論していく必要があり、これこそが国
会議員の責務だと思いますが、
総理の御所見をお伺いいたします。
憲法改正に絡んで論議される主要なテーマの
一つが二院制であります。今回、衆議院で可決された
法案が参議院で否決され、衆議院が解散されたこと、その衆議院総
選挙の結果、
与党が三分の二を占めることになり、参議院で否決された
法案も衆議院で再議決されるようになったこと、この一連の事実が、二院制の在り方、参議院の役割について、改めて
国民の皆さんの前に問題提起をすることとなりました。
私は、参議院は、数や力に頼るのではなく、良識の府、再考の府として衆議院と異なる
観点での質の高い審議を行い、衆議院に対して抑制と補完と均衡の機能を果たすことに存在意義があり、また二院制とは、重要な国の意思決定を一度で軽々には行わない、あらゆる角度から再考してみることに意味があると思っております。私は、衆議院で
与党が三分の二を持った現在こそ、逆に参議院が本来の在り方を示す絶好のチャンスではないかと
考えております。
現在の議会制民主主義は政党
政治の上に成り立っています。政党
政治では、党内の意思決定をしたときは
国会での採決に党議拘束を掛けるのが通常です。そうなると、二院制と相入れない点が出てきます。両院に党議拘束が掛かり、その結果、両院が同じ
議論、同じ結論になるからであります。
私は、生き生きとした二院制にするためには、党議拘束の在り方を変える必要があると思います。案件によって党議拘束の程度を変える、すなわち、両院全体に党議拘束を掛けるものと、衆参一院のみに党議拘束を掛けるものと、全く党議拘束を掛けないものの三分類があってよいと思います。特に参議院は、
専門家も多く、議員個人の見識を重視してもよいのではないかと
考えますが、自民党総裁としての
総理に御理解をいただきながら、我々は今後党内で十分な
議論をしてまいります。
小泉
構造改革の残された重要課題の
一つである三位一体の
改革についてお伺いします。
三位一体の
改革は、国庫補助金による集権型のシステムを改め、税源移譲により住民に身近な
地方自治体に納める税金を増やし、
地方が自らの
責任で行政を行うという
地方自治本来の姿を目指そうとするものであります。私は、三位一体
改革の提案者であり、名付け親でありますが、三位一体
改革を小泉
構造改革の柱として
地方分権推進の大きな流れにしたのは
小泉総理であります。
この三位一体の
改革はいよいよ正念場を迎えてまいりました。昨年秋の
政府・
与党合意により二兆四千億円の税源移譲がまとまっていますが、この秋までに残り六千億円の税源移譲を決定し、三兆円規模の税源移譲を実現しなければなりません。この点について、総
選挙前にまとめられた連立
与党重点施策においても、残り六千億円の税源移譲を十八年度までに確実に実現することが盛り込まれており、政権
与党の
国民に対する約束になっております。
既に
地方六団体からは、残り六千億円の税源移譲のために具体的な一兆円近い国庫補助負担金
改革案のリストが提示されております。
しかしながら、昨年末の
状況を見るまでもなく、国庫補助負担金の廃止は、各省庁や
与党の反発が強く、今後の取りまとめには強力な
総理のリーダーシップが必要であります。残された課題を乗り越え、三兆円規模の税源移譲の実現に向けた
総理の決意をお伺いします。
また、国から
地方へとの
改革はこれで終わることがあってはなりません。
平成十九年度以降の
地方分権推進のための第二期
改革をどのように進めていくかも併せてお伺いします。
義務教育については、昨年の
政府・
与党合意で、義務教育費国庫負担金が暫定として八千五百億円減額され、税源移譲されることとなりました。中央教育審議会の審議では、
議論はやや平行線をたどっておりますが、私は、義務教育に関しては、教職員定数や給与は標準法や人材確保法、教育水準は教科書検定や学習指導要領などにより、国は全国レベルの水準を確保する
責任を十分果たしていると
考えます。国庫負担金の
議論は、義務費である給与費に充てる国費の一部を
地方費に振り替えるかどうかという言わば教育財源の内訳を変える
議論であり、国が義務教育において果たす役割を変えよう、減じようというものではありません。到底そういうものではない。ただし、私自身は、義務教育においてももう少し
地方の自主性を認める余地はあると
考えております。
今回の総
選挙では、
与党において、三兆円規模の税源移譲を確実に実施することが公約に掲げられ、多くの
国民の負託を受けました。また、
総理は、総
選挙前の党首討論で、
地方に教育を任せても教育水準は確保されると発言されておられます。
また、先般、
総理は、文部科学省の幹部を官邸に呼んで、義務教育費国庫負担金の一部の税源移譲の検討を直接指示されたとも報道されています。いずれにしても、
総理の決断の時期は迫っていると
考えますが、
総理の御決意を伺います。
生活保護については、現在、
地方代表、
関係閣僚、学識経験者を構成員とする協議会で
制度の在り方等について幅広く検討が進められていると聞いております。
生活保護に関し、保護率に大きな
地域較差がある中で、国庫負担率を引き下げ、
地方の負担を増やすことで給付費の抑制ができるのではないかと、こういう
考え方があります。
しかしながら、協議会で分析作業が行われた結果、失業率などの経済雇用情勢、高齢化や離婚率などの
社会的要因が保護率の
地域較差に極めて大きな影響を及ぼしているという
中間的取りまとめが行われ、これらの要因で
地域較差の九割以上が
説明できるとする分析結果が示されました。国側の論拠は、そういう問題提起は論拠が崩れたと思われます。
他方で、生活保護の適正運用のために
地方自治体がしっかりとした実施
体制を確保する必要があることは言うまでもありませんし、
地方が独自に行う自立
支援プログラムをより強力に推進することも必要です。
しかし、国の負担率を引き下げるなどの
地方への負担転嫁では生活保護の根本問題は解決できません。必要なことは、国と
地方の不信を増すことではなくて、生活保護
制度そのものを抜本的に見直すことであります。例えば、基礎
年金など他の
社会保障
制度との役割分担なども検討の余地があると思いますが、
総理の御所見をお伺いします。
内外の難しい課題が山積している現在、国、
地方の行政の在り方が従来とは比較にならないほど厳しく問われております。簡素で効率的な行政を実現するためには、行政運営の基盤である公務員
制度の
改革が不可欠であります。
私は、一昨年の十一月から自民党行革本部の公務員
制度改革委員長を務めておりますが、昨年六月には、採用試験区分や年次で一律の人事管理を改め、能力本位で適材適所の人事配置を行うこと、これが
一つ。二つ目は、評価
制度を整備し、能力に基づく昇進システムにするとともに、職務を基本に、実績を反映しためり張りのある給与処遇を実現すること。三つ目に、
内閣は、営利企業、公益法人、独立行政法人等を通じて、これらへの天下りを一元的に管理し、チェックすることなどを
内容とする今後の公務員
制度改革の取組についてという
法案大綱ともいうべき
与党合意をまとめ、
政府にもそれに従って公務員
制度改革を進めるよう強く申入れをしたところであります。是非これを早急に実現していただきたい。
総理の御
見解をお伺いします。
また、
我が国の厳しい
財政状況を見るとき、小さくて効率的な
政府を実現することが必要であり、こうした
観点から、総人件費
改革は
我が国の
歳出歳入
改革の中でも避けて通れない重要な課題となっています。国、
地方を問わず、事務、業務の抜本的な見直しを行い、大胆な定員の純減目標を設定するとともに、
地域の民間給与水準のより適切な反映などのために、給与
構造改革はもとより、給与決定の仕組み全体を見直しを行うなど、公的部門全体の総人件費
改革に向けた取組を進めていく必要があると
考えますが、
総理の御所見を承りたいと思います。
小さな
政府の実現は、入口の
郵政改革と出口の
政府系金融機関の
改革が相まって成し遂げられるものであります。民間にできることは民間にの実現が小泉
構造改革の核心であります。
民間金融機関もようやく不良債権比率が着実に低下してまいりました。この機に
政府系金融機関の統廃合を一気に進め、民の補完としての位置付けを明らかにすべきであります。郵政
民営化で資金面からの制約に
見通しが付きましたので、次は機能面からの
議論、省庁の天下り等の権益を守ろうとする構えにいかに対処していくかであります。この問題には
総理が先頭に立って断固として行うという
姿勢でなければ、従来のような数合わせに終わってしまいます。
具体的には、
政府系金融機関を統合して
一つないし二つの組織を目指す、公務員よりも高い給与や職員数を大幅にカットするなど、目に見えた
再編をしなければ
国民の期待を裏切ることになると思います。
総理の御決意を伺います。
国民の関心の高い
社会保障
制度について、基本を何点かお伺いします。
少子高齢化が進み、人口減少への転向を目前に控える中で、
社会保障
制度改革を行うに当たっては、将来にわたって持続可能で安定した
制度とすることが最も肝要です。このため、
年金制度については昨年大
改革をし、今年は介護保険
制度の
改革を行ったところですが、更に来年は医療
制度改革が控えております。
医療
制度については、年末にかけて、
政府として、新たな
高齢者医療
制度の創設などを行うとともに、十八年度診療報酬改定の枠組みをつくることとなります。医療
制度改革についての
総理の御所見をお伺いします。
少子高齢化が進む中で、医療費の適正化が必要なことは多くの意見が一致しております。しかし、患者を前にすれば、医師は必要な医療を施さなければなりません。したがって、一部で言われているように、GDPなどの経済指標を持ち込んできて医療費に総枠をはめるという案は、合理性もなく、大方の納得は得られないと思います。やはり健康づくりを推進し、高齢となってもできる限り健康でいられるようにする、治療期間を短縮するなど、医療の質を確保しながら効率化するなどの方策が王道ではないかと
考えます。
間もなく始まる医療
制度改革論議の中でも、医療費適正化方策は大きなテーマとなりますが、この取組について
総理の
見解をお伺いします。
国民年金を含めた一元化は将来の望ましい姿ですが、よく言われるように、所得把握などの問題など難しい問題が、課題が多く、直ちに実現できるとは
考えられません。
私は、
国民の
年金改革に対する期待にこたえるためには、まず
厚生年金と共済
年金の一元化から早急に実現していくことが必要と
考えます。
総理は、
選挙中、
年金を政争の具にすべきでない、
国民の関心の高い問題であり与野党でよく
議論すべきだと主張されましたが、与野党協議再開についての
総理の御所見を伺うとともに、被用者
年金一元化実現に向けた決意をお伺いしたいと存じます。
我が国の経済は、今年の夏辺りから、踊り場を脱して再び
拡大し始めたと観測されております。企業収益は大きく伸長し、設備投資も増加しつつあり、この連休明けには株価が四年三か月ぶりに一万三千三百円台を回復しました。企業部門の好調が家計部門にも及び、雇用の改善もあって個人消費も緩やかに増加しており、全体としては
景気は回復基調にあります。しかし、多くの下請の中小企業や
地方の企業は依然として厳しい
状況にあるとも指摘されております。
そして、
地方経済はまだら模様であります。
地域で大きく
状況が違う、都道府県間の格差はもとより、都道府県内格差が一向に縮まっていない、
地方経済は概して低迷であります。一方、都心など大都市圏では地価上昇が伝えられておりますが、
地方の地価はいまだ下がり続けております。
ところで、
地方経済の多くは、良くも悪くも
公共事業依存型であります。この何年かの
公共事業カットが
地方経済にボディーブローのようなダメージを与えてきたのは事実であります。それから脱却するためには
地方経済の自立を促す施策やプロジェクトが何よりも必要でありますが、同時に、過渡的には
地方経済てこ入れのため
公共事業の配分を民間の設備投資の少ない
地域に重点化することが望まれます。
また、
地域経済活性化の
観点から、国道に比べ立ち後れている
地方道の整備のために、期間を限って、道路特定財源の国分を
地方分に回して
地方道整備を集中的に行うことも検討すべきだと
考えますが、
総理の御
見解をお伺いします。
税制の在り方は、個人、法人を問わず、個々の経済
社会活動に大きく影響を与えるものであり、その動向に対しては
国民の関心も極めて高く、諸外国を見ても
我が国でも常に重要な
政治的争点として取り上げられています。東京都議選の際のサラリーマン増税騒動を見てもそれは明らかであります。
小泉総理は今回の総
選挙で得た
国民の大きな信任を背景としていかなる税制
改革を目指すか、注目されています。
それにつき、何点か
総理に申し上げたいと存じます。
まず、
平成十八年度税制改正において実現すべきは、既に述べたとおり、国から
地方への税源移譲であります。具体的には、国税である所得税から
地方税である個人住民税へ三兆円の税源移譲を行うことであり、その際、個人住民税の税率を一〇%にフラット化することであります。言うまでもなく、この税源移譲は、国税を減らした分だけ
地方税を増やすため、両者を合わせた
国民の税負担は変わりません。所信において、
地方の意見を真摯に受け止め、来年度までに確実に実現と明言されたとおりの実行をお願いいたします。
十八年度税制改正で大きな論点の
一つが、小渕
内閣のときから特例措置として続いている定率減税の扱いであります。この定率減税は、
平成十一年当時の極めて厳しい経済情勢の下で、個人消費を中心とした
景気回復のために緊急
避難的に導入されたものでありますが、現在の
景気はあの当時に比べれば大きく好転していることは間違いありません。そのため、
平成十七年度税制改正でこれを二分の一、元に戻すことにしました。
一方で、
景気は回復基調で調子がいいといっても、生き物であり、
景気は、慎重にその動向を見ていく必要があります。昨年の
与党の税制改正大綱でも、
景気動向によっては弾力的に
対応すると明記しております。したがって、定率減税の最終的な取扱いは、以上のスタンスの下、年末の税制改正の場において
政府・
与党として間違いのない判断を出さねばならないと
考えます。
次に、
平成十九年度以降の税制の基本的
改革についてであります。今回の総
選挙における自由
民主党のマニフェストには、
平成十九年度を目途に、あらゆる世代が広く公平に負担を分かち合う
観点から、
消費税を含む抜本的な
改革を実現するとあります。
一方、
小泉総理はこれまで繰り返し自分の在任中には
消費税を引き上げる
考えはないと言っておられます。
今後の少子高齢化
社会の進行に伴う
社会保障支出の増加や、国、
地方を通じた
我が国財政の緊迫した
状況をかんがみれば、国政に
責任を持つ
政府・
与党としては、いずれ
消費税も視野に入れた
議論をしなければならない時期が来ると
考えます。しかしながら、徹底的に行政の無駄をなくし、国、
地方を通じて目に見える形で、すなわち具体的な数字をもって
国民に分かりやすい形で行
財政改革の姿が示されなければ、
国民が納得するはずはありません。
歳出歳入全般にわたる
構造改革を強力に進める中で、郵政
民営化はもとより、公務員人件費の削減、
政府系金融機関や特殊法人の
改革、さらには
社会保障
制度の
改革などにも
道筋を付けた上で、
国民の理解を得ながら税制の抜本
改革に取り組むことが必要であります。
小泉総理は、
消費税についても
議論は大いに結構と言われておりますが、こうした税制改正の具体的な
議論を始める大前提としての徹底した行
財政改革こそ
小泉総理に課せられた大きな使命であると
考えております。これらについて
総理はどのような決意と信念で臨まれるのか、お伺いします。
最後に、拉致問題を含む六者会合、
国連改革、ODAの在り方等の
外交問題、
日本の将来を担う青少年の教育問題、自然
環境に大きな影響を与える地球温暖化、そして国の存立の基になる農業問題など多くの課題がありますが、時間がありませんので、
議論はまたの機会に譲ります。
国民は、
小泉政権の今日までの実績すべてに満足して今回の総
選挙の圧勝を与えたわけではありませんが、
小泉総理のタブーへ果敢に挑戦する
改革への揺るぎない
姿勢と抜群の愛すべき個性を高く評価してこれだけの勝利を贈ったことは間違いありません。どうか
小泉総理、山積する
内外の諸課題に対し、恐れず、ひるまず、とらわれず、体当たりで小泉
構造改革の総仕上げをされますことを衷心からお願いして、私の質問は終わります。
ありがとうございました。(拍手)
〔
内閣総理大臣小泉純一郎君登壇、拍手〕