○又市
征治君 私は、社会民主党・護憲連合を代表して、
一般職の
給与に関する
法律等の一部を改正する
法律案外二案に対し、反対する立場から討論を行います。
日本経団連は、四月十九日の提言で、行政サービスそのものが国の高コストにつながる要因であり
民間活力の発揮を阻害する要因だとしてやり玉に上げ、必要最小限、最少の
費用にまで引き下げるよう求めています。これは、戦後
日本国憲法の下で確立された
国民一人一人の幸福追求権や生存権を保障するための公共サービスの提供、そしてそれを保障する全体の奉仕者としての民主的
公務員像を解体し、財界の利益に奉仕する財界の官吏へと再編しようとするものであります。
その
背景にあるのが、福祉、教育、雇用保障などの公的サービスを徹底的に削って、大企業の競争力強化とそれを海外で展開する軍事力にもっと国の財政を投入せよという要求です。その意味で、
公務員問題は正に平和憲法の根幹を成す
国民福祉と密接不可分の課題となっています。
今、
国民の間には、小泉リストラ政治の犠牲となって職を失ったり、低賃金、無権利状態に落とされた人たちの不満が渦巻いています。今、
小泉内閣と諮問
会議等によってなされている意図的な
公務員バッシングは、こうした
国民の痛みに対する不満を転嫁するためのスケープゴート政策にほかなりません。
しかし、
公務員の
削減あるいは
給与削減は、
民間の社会福祉や教育分野の労働者の首切り、賃下げ、労働強化にも連動し、
国民への社会的公共サービスの量や質の低下にもつながります。
公務員の定員、
給与を政争の具として取り扱おうとすることは断じて許されません。
この点で、今年の
人事院勧告は、今年度分の
給与改定に関しては
民間同種の労働者の相場に準拠する原則をほぼ守りましたが、他方で、来年度以降、一律四・八%という大幅引下げを打ち出すなど、この十一月にも予想される
政府諮問
会議の方針、あしき政治主導を先取りし、官民含めた労働者の賃下げ競争にくみする内容であり、これを法制化することは認められないものです。
必要な
改革とは、定員や
給与の
削減を自己目的化することではなく、社会的公共サービスの維持と天下りの禁止、特権的なキャリア
制度の
見直し、
公務員の労働基本権確立、政官業の癒着構造の打破など、原点に立ち返った民主的で透明な
公務員制度への
改革であるはずです。特に、ILOから強く
勧告されている労働基本権の制約はそのままに、一方的に労働条件を改悪することは大きな問題です。社会の二極分化、格差拡大が広がっているからこそセーフティーネットの必要性はむしろ高まっており、社会的公共サービスの質の維持、充実のための
国民利用者と
公務員労働者の共闘、連帯が問われています。
社民党は、民主的で透明な
公務員制度への
改革を目指して全力で奮闘していく決意を述べ、反対討論といたします。