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2005-10-18 第163回国会 参議院 総務委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十七年十月十八日(火曜日)    午前十時一分開会     ─────────────    委員の異動  十月十三日     辞任         補欠選任      那谷屋正義君     犬塚 直史君  十月十四日     辞任         補欠選任      犬塚 直史君     那谷屋正義君  十月十八日     辞任         補欠選任      尾辻 秀久君     岡田  広君      南野知惠子君     荻原 健司君      矢野 哲朗君     野上浩太郎君      平田 健二君     小林 正夫君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         木村  仁君     理 事                 世耕 弘成君                 森元 恒雄君                 山崎  力君                 高嶋 良充君                 内藤 正光君     委 員                 岡田  広君                 荻原 健司君                 景山俊太郎君                 椎名 一保君                 二之湯 智君                 野上浩太郎君                 山内 俊夫君                 吉村剛太郎君                 伊藤 基隆君                 小林 正夫君                 高橋 千秋君                 那谷屋正義君                 藤本 祐司君                 蓮   舫君                 弘友 和夫君                 山本  保君                 吉川 春子君                 又市 征治君    国務大臣        総務大臣     麻生 太郎君    副大臣        総務大臣    今井  宏君        総務大臣    山本 公一君    大臣政務官        総務大臣政務官  増原 義剛君        総務大臣政務官  松本  純君        総務大臣政務官  山本  保君    政府特別補佐人        人事院総裁    佐藤 壮郎君    事務局側        常任委員会専門        員        高山 達郎君    政府参考人        内閣官房内閣審        議官        兼行政改革推進        事務局公務員制        度等改革推進室        長        上田 紘士君        人事院事務総局        人材局長     藤野 達夫君        人事院事務総局        給与局長     山野 岳義君        総務省人事・恩        給局長      戸谷 好秀君        総務省自治行政        局長       高部 正男君        総務省自治行政        局公務員部長   小笠原倫明君        総務省自治税務        局長       小室 裕一君        総務省総合通信        基盤局長     須田 和博君        総務省郵政行政        局長       鈴木 康雄君        総務省政策統括        官        清水 英雄君        厚生労働省社会        ・援護局長    中村 秀一君    参考人        日本郵政公社理        事        本保 芳明君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○政府参考人出席要求に関する件 ○参考人出席要求に関する件 ○郵便法の一部を改正する法律案内閣提出)     ─────────────
  2. 木村仁

  3. 木村仁

    委員長木村仁君) 異議ないと認め、さよう決定します。     ─────────────
  4. 木村仁

    委員長木村仁君) 参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  郵便法の一部を改正する法律案審査のため、本日の委員会日本郵政公社理事本保芳明君を参考人として出席を求め、その意見を聴取することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 木村仁

    委員長木村仁君) 異議なしと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  6. 木村仁

    委員長木村仁君) 郵便法の一部を改正する法律案を議題といたします。  本案の趣旨説明は既に聴取いたしておりますので、これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言願います。
  7. 森元恒雄

    森元恒雄君 郵便法の一部改正案に関連しまして一点お聞きしたいと思いますが、万国郵便条約では、国際郵便各国国民保障するために様々なルール、約束事を取り決めておるわけでございますが、これ従来公社が、あるいは国が実施しておったこの郵便業務、今回民営化されるわけですけれども、この条約履行義務についてどういう形になるのか、一点確認をしておきたいと思います。  それから、あわせまして、今後この万国郵便連合の活動に日本としてどういうふうにかかわっていくのか、大臣から所見をお聞きしたいと思います。
  8. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) 御指摘のありましたとおり、万国郵便条約の規定に基づきまして、郵便事業を監督いたします立場にあります総務省郵便法に基づいてきちんとした管理、運営、履行をやっていくことになりますし、郵便事業を実施する義務は従来郵政公社が負っていたところでありますけれども民営化後は、監督の義務につきましては引き続き総務省総務大臣の方で負うことになります。  また、郵便事業を実施をいたします義務は、日本郵政公社から郵便事業株式会社の方に引き継がれるものでありまして、条約義務履行に関しましては確保されているものと考えております。  また、万国郵便連合への貢献ということにつきましては、これ御存じのように、五年に一度開かれます万国郵便連合のいわゆる意思決定最高機関であります管理理事会理事国のメンバーというものに日本は選出をされておりますほか、郵政庁の職員等々を各国からお預かりをして研修するとか、また私どもの方からもしかるべき専門家を派遣するなど、様々な貢献をこれまでも行ってきたところでもありますんで、今後ともこの点については続行をさせていきたいと思っております。  ユニバーサルサービスといわれる、この中で一番難しい部分でありますけれども、この質の確保といった、これは加盟国が皆共通に負っております義務というものか課題というものにつきましては、これは引き続き積極的にお役に立つよう貢献をしてまいりたいと考えております。
  9. 森元恒雄

    森元恒雄君 じゃ次に、三位一体改革についてお聞きしたいと思います。  現在、詰めの作業に入っておるわけでございますが、二点大きな問題があると思うんですね。  一点は、昨年暫定措置として決められました義務教育国庫負担金八千五百億、これ今中央教育審議会議論されておりますが、伝えられるところでは、審議会としては二分の一負担堅持をしたいと、こういうことのようでございますけれども答申が出た後に政府としてこれどう対応するのか、また大臣としてどう臨まれるのか、お聞きしたい。  それからもう一点は生活保護費でありますが、全国的に統一した事務であり、地方裁量の余地が皆無に等しい事務について財政負担を更に地方に求めようというような考えもあるわけですけれども、これはそういうことがなされると、正に三位一体改革趣旨に反することになるんではないかと思いますが、大臣の姿勢についてお聞きしておきたいと思います。
  10. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) 義務教育国庫負担金補助率の話、補助関係の話につきましては、これは中教審が、目下新聞情報等々によっていろいろ書かれておりますけれども最終答申に向けて今審議が行われている最中と理解をいたしております。政府、与党の合意におきましては、少なくとも費用負担については、地方案を生かす方策について中教審十分審議の上、結論を出すこととなっておりますので、この趣旨を踏まえた線での答申が出ることを期待をいたしております。  また、総理も答弁をされておられますとおり、政府としては中教審審議の結果を踏まえつつ、三位一体改革を確実に実現するという方針の下、国と地方の協議の場を通じて検討を進めるということを答弁をしておられますので、その線に沿って本年じゅうに結論は出したいと、さように考えております。  生活保護の件につきましては、長い間、森元先生よく御存じのところではありますけれども、これは基本的には現金給付というものでありまして、これはもういわゆる国が行うべき典型的な仕事の一つと私ども理解をいたしております。  生活保護業務におきますいわゆる地方の、いわゆる公共団体基本的な役割というのは、これは客観的状況を把握するというのが地方公共団体に与えられている裁量でありまして、その他の認定基準等々のものは、これはすべて地方関係なく、ただ事実認定ということになっておりますんで、これは国庫補助負担率の引下げということが一方的に行われますと、これはいろいろな意味で問題大きいところであろうことはもうお分かりのとおりでありますんで、これは地方自由度拡大というのは不可欠なんだと思いますが、仮に自由度拡大をいたしますと、地域によっては差が出るということは十分に考えられるんであって、その差が出た分は国民が許容するかという問題というふうに別の問題が生ずる可能性というのは今現在は大きいと私どもは思っております。  したがって、よく地域保護率の格差等々の話が、何々県では少なくて何々県では多い等々の話が出ておりますけれども、これは御存じのように高齢化の点とか、またいわゆる地域によっては、その地域の方々がその市に職を求めて集中するという傾向は、その相関関係というのはもうグラフでかなり正確なものが出てきておりますので、私どもは今後ともこの三位一体というものは自由度を増すということにいたしませんと地方分権化は進んでいかないというように思えておりますので、この補助金地方移管というものを基本といたしておりますので、私どもはその原則をきちんと貫いていかねばならぬものだと理解をいたしております。
  11. 森元恒雄

    森元恒雄君 今の大臣お答えで意を強くいたしました。地方期待といいますか、望みを裏切らないようにしっかりとした結論を出していただきたいと思います。  最後に、公務員削減についてひとつお聞きしたいと思いますが、国家公務員に比べて、これまでも地方の場合にはネットで定数人員削減してきておりますが、その上更に地方行革でも四・六%ですか、その総定数削減すると大変厳しい目標を掲げております。ただ、我が党からは、それではまだ甘いんじゃないかと。一〇%、一五%削減できるし、またそうすべきではないかと、こういうような声も出ておるわけでございますが、今後、総務省として、政府として、地方公務員削減についてどういうふうに取り組まれるのか、お考えをお聞きしておきたいと思います。
  12. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) 御指摘のとおり、これまで過去五年間の実績に基づきまして四・六%というものを実績として上がっております。ただ、その中をよく見ていただきますと、森元先生よく御存じのとおりなんですが、全体では四・六でありますけれども、都道府県におきましては四・二、市町村においてはいわゆる五・〇というのが実態の数字でもありますので、いろんな意味で、この分につきましては今後、団塊の世代が大量退職する年齢に迎えることにもなりますので、その補充の件については一考を要するところでもありましょうし、また町村合併が大幅に進むことができておりますので、その意味では、町村において時間を掛けていろんな意味事務合理化というものは十分に考えられるところ、加えてICTの発達のおかげで随分と事務の、特にバックオフィスと言われる事務部分というのはかなり部分がこの情報通信技術によって補われるという状況にもあろうと存じますので、私どもとしてはきちんとやっていかねばならない、いけないことはないと思っております。  ただ、何となく話はすべからく一〇%とか一五%とか勇ましい話は一杯おっしゃいますが、基本的には、私どもとしては、めり張りの部分でいけば、今、治安等々の分につきましては警察官の増員とか、外国人等々の問題については入管の増員とか、いろんな形でその他の行政需要というものは明らかに出てきておりますので、そういった意味では、減らす話もありますけれども、増やさねばならぬという国民の要望というものがありますので、そういったものを考えますときには、これはやはりうまく、指定管理者制度をうまく活用していただくとかアウトソーシングをされるとか、いろんな形で組織の見直し、定員の再配置等々いろんなことを大胆にしていただく、町村合併もその一つだと思いますけれども、そういった意味ではいろいろ地方において取り組んでおられることは事実でありまして、かつてラスパイレス指数は一〇〇を超えておりましたけれども、今年をもって一〇〇を切っております。地方におきましては、市町村で九八、市においては、県団体においては九八、町村においては多分九三ぐらいまでにいろいろ努力をしておられるというのが実態と把握をしておりますので、いろんな意味で各地方努力というものは大変大事な努力をしておられるものだと理解をいたしております。
  13. 森元恒雄

    森元恒雄君 時間がありませんのでもう一言だけ申し上げたいと思いますが、今の事務の流れを前提とすれば大臣のおっしゃられたとおりだと思うんですね。私は、小泉内閣のこの民間でできることは民間にというような発想で地方行政ももう一段見直しをすれば、五とか一〇とかというオーダーではなくて、もっと大幅な見直しも可能ではないかと個人的に思っておりまして、また日を改めて議論をさせていただきたいと思います。
  14. 高嶋良充

    高嶋良充君 民主党・新緑風会の高嶋良充でございます。一年ぶりに総務委員会に戻ってまいりましたので、よろしくお願いを申し上げたいと思います。  麻生大臣ポスト小泉有力候補というふうに言われているわけであります。ちょうど私と同年代でございますので、是非、若手に負けないように、熟年パワーを発揮をいただいて頑張っていただきたいと思います。これ、まずエールを送っておきます。  そこで、小泉改革におけるポスト郵政というのは、公務員改革と今も質問に出ました三位一体改革だと、こういうふうに言われているわけですが、いずれも麻生大臣が中心的な役割を果たされているわけでございます。今日は、この二つ改革について大臣基本的なお考えを伺ってまいりたいというふうに思っております。  まず、公務員改革についてでございますけれども、昨年まで政府公務員制度改革と、こういうふうに言ってこられたわけですね。しかし今回、小泉さんが言っているのは公務員改革だと、制度が抜けて、抜け落ちているわけでありますけれども、その内容に違いがあるのかどうか、違いがあるならどこが、どこが違うのかということを端的にお答えをいただきたいと思います。
  15. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) 基本的には、高嶋先生御存じのように、公務員制度公務員の総量、また人件費等々含めまして、これは一言で言えば行政コストを下げる、行政コスト削減ということが主たる目的ということだと思います。  そのためにどうするかはその他は手段ということになろうと存じますが、数と量の改革の件に関しましては、これはどう考えても定数削減等々がそれに当たりますし、給与単価というものに関しましていろいろな見直しを、民間かなり差がある等々の数と量の見直しと言われる、いわゆる二つに分けまして、数と量の改革、片っ方は仕組み改革ということでして、片っ方はいわゆるアウトソーシングができるようにするとか、そういった形で、天下りの話含めましていろんな形で仕組みというものについての検討というのが二つに分けて考えないといかぬところだと思いますが、基本的には行政コスト削減というのが主たる目的という点に関しましては同じ、強調されている分が、仕組みか、数か量かという、というところが私ども理解であります。
  16. 高嶋良充

    高嶋良充君 仕組みを変える部分を含めて私ども制度改革と、こういうふうに言っていたんですけれども、やっぱり公務員改革ということになると、先ほども大臣が言われたように、主にはやっぱりコスト削減、リストラという、そういうところが中心になるというふうに思うんですが、そこで大事なのは、私は、公務員改革を当面やられるということは必要なことだというふうに思うんですけれども、しかし、コスト削減の面で、人員削減であるとか給与水準を引き下げていくという、そういうところまで切り込んでいくということは財政事情を考慮してやると、こういうことですから、そういう理由でやっていくということになれば、今の人事院勧告制度では到底無理ではないかと、当然この労働基本権問題が避けて通れないものになるんではないか。ということになると、公務員、今言われている公務員改革イコール以前の公務員制度改革としてやっぱりやっていくべきではないかと、そういうふうに考えているんですけれども、その辺についてはどうでしょう。
  17. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) これは、昨年十二月に閣議決定をされております今後の行政改革方針におきまして、いろいろ制度設計具体化とかいろいろな点がなされておりますけれども公務員労働基本権問題というのは、これは話し合われないといかぬ、避けては通れないものなんだと思っております。  なかなか最近、組合との団体交渉経験者というのは、民主党には多いのかもしれませんが、自民党にはもうほとんど、炭労相手にずっと仕事させられておりました私以外そんなにいらっしゃらぬので、この組合の話というのはなかなかぽっと抜けられて、抜けておられる方が多いように思いますが、すごく大事なところだと私は理解をいたしております。  したがって、この公務員労働基本権の問題というのは、これはもう御存じのように、特殊性というものがありますのは御存じのとおりでもありますので、職務が非常に公共的なものであるということから、これは国民全体の利益の保障という見地から、これはある程度の制約は免れぬものということから、いわゆる労働生存権保障とか基本権保障とかいろんなあれがありますけれども人事院勧告制度という代償処置が組み入れられておりますところなんで、何となくすぐ人事院勧告なんかというような話を簡単にされますけれども、それはとんでもない話なんであって、それはきちんと法律で決められているところでもありますので、このところを無視して話をどんどん進めるわけにはとてもいかぬというところだと思いますので、これは、労働基本権見直しをするとか労働三権の付与とかいろんな話が今別に出てきておりますけれども、それはそれで議論をされるということは必要なのかもしれませんけれども、この肝心のところと別個にしてこっちはこっちでやっておいた上でやらぬと、労働者側にとりましては極めて不安を募らせることにしかならぬと、余りいいことないんではないかと思って、きちんと区別して話をしていただかなきゃいかぬものだと理解をいたしております。
  18. 高嶋良充

    高嶋良充君 大臣はこの基本権問題については非常に認識を持っておられますので、それ以上突っ込みませんけれども、今言われたように非常に、労働基本権問題ということだけをとらえてしまうと、いろんなサイドから、公務員スト権を渡したら大変なことになるんではないかというような、そういう意見もあるようでございます。ただ、もう今の近代労使関係の中では、既に自民党武部幹事長でさえもこの間のフジテレビの日曜日の番組で、公務員にもスト権検討すべきだと、こういうことを言っておられる状況になりました。これは是非政府の方としても早急に御検討いただくようにお願いをしておきたいというふうに思います。  そこで、人事院総裁に来ていただいておりますので総裁に伺いますが、九月二十七日の経済財政諮問会議の中で村上行革担当大臣が次のような発言をされています。国の財政事情を考慮した給与適正化の枠組みの検討をすべきではないかと、こういうことを言っているわけですね。  基本的に人事院勧告に基づく給与というのは財政事情を考慮する必要はないと、こういうふうに私ども思っているんですけれども財政事情を考慮せよということであるならば、当然今出てきたような基本権問題を派生をすることになると、こういうふうに思っているんですが、人事院としては今の人勧制度の下で財政事情を考慮するような機能権限も付与されていないというふうに思うんですけれども、その辺も含めて村上大臣発言に対する見解を伺いたい。
  19. 佐藤壮郎

    政府特別補佐人佐藤壮郎君) 九月二十七日の諮問会議、私も出席させていただきました。そのとき、国の財政事情を考慮すべきという御意見があったわけでございますけれども、私としては、人事院はそのような機能権限も付与されていない、国の財政事情を考慮する仕組み人事院勧告の中に入れ込むことはできないということを明確にしておきたいという発言をさせていただきました。この場で再度、人事院給与勧告を行う場合に財政状況を考慮して勧告内容を決定することはできない、またするべきでないということを申し上げておきたいと思います。  それから、そもそも、国の財政が悪化したことを理由に即公務員給与を下げるということが果たして妥当なのかどうかということは、これは慎重な御議論が必要であろうかと思います。  二十七日の諮問会議の席上で日銀の福井総裁が大変明確にこの点について意見を申しておられました。やや長くなりますけれども、大変重要な御発言だと思いますので引用させていただきます。  国の財政事情が悪くなるのはどういう場合かというと、一つは景気が悪くなった場合。この場合は民間給与も下がるので、公務員給与ルールの決め方が民間との対比できちんと決まっていれば自動的に公務員給料も下がるという要素がある。しかし、そうではなくて、政策的に財政赤字が増える場合は公務員の責任はかなり限られていて、最終的には国の方針として国会で決まる政策的なことでなぜ公務員給料が減らされなければならないのかという問題が残る。財政のディシプリンの問題を公務員給与にしわ寄せするというのは余り健全なことではないのではないか。そこの区分けが要るような気がするという御発言をされておられます。  私も正に同感でございます。
  20. 高嶋良充

    高嶋良充君 今御答弁をされたとおり、法律的に言っても、あるいは人勧制度趣旨からいえばそのとおりだというふうに思います。  ただ、最近、大臣でも先ほどのような間違った発言をされる部分もあるわけですから、与野党ともに、そこまで詳しく認識のない国会議員の皆さん方も無責任にそういうことを言われる部分もあると思うので、人事院としては、あるいは総務省としても、やっぱり国家公務員給与の決め方、仕組み、こういうものについてはその都度御宣伝をいただきたいなというふうに思っているところでございます。  同時に、この諮問会議において、人事院民間給与調査の在り方、官民比較方法の見直し意見も出されております。この意見に対して人事院総裁は、研究会等を設置を予定をしており、早急に検討を開始をしたいと、こういうふうに発言をされているわけですけれども人事院というのは中立の第三者機関、よそからとやかく言われてやるというものではないと思うんですけれども、この研究会については、政府諮問会議からの圧力や介入が私はあったとは思いませんけれども、この研究会の立上げについては人事院の自らの意思で主体的に決定されたのかどうか、お尋ねをしたい。
  21. 佐藤壮郎

    政府特別補佐人佐藤壮郎君) 官民比較方法の見直しにつきましては既に昨年の勧告時にその必要性について言及したところでございます。また、研究会の設置につきましては本年の勧告に伴う報告書の中で表明したものでございまして、諮問会議政府の要請の前から人事院の中で検討を重ねてきたものでございます。決して外部からの圧力によって慌てて立ち上げたというものではございません。
  22. 高嶋良充

    高嶋良充君 人事院というのは、先ほども申し上げていますように、憲法二十八条で保障されている公務員労働基本権を言わば剥奪をした、その代償措置である人事院勧告制度というものを担っている中立の第三者機関、これはもう明確になっているわけですけれども、であるならば、人事院勧告というのは厳正中立な立場で行わなければならないというのが当然なんです。  しかし、先ほども申し上げましたように、使用者側の政府がとやかく言うことについては、まだそれに対して介入だ、干渉だという目くじらを立てる問題ではないかというふうに思うんですが、最近、政治の場からも人事院勧告制度にいろんな注文を付けるというような事態になってきています。取りようによっては圧力や介入、こういうものもあるわけですけれども、私は憂慮すべき事態だというふうに思っているんですが、そういう、人事院というのは政治的介入に毅然として対処すべきだというふうに思っています。先ほどの答弁では毅然と対処されているようでありますけれども。  過去に有名な話がありますね。昭和五十八年でしたか、当時の藤井人事院総裁が、政府が人勧の勧告を値切ったことに対して、国会の予算委員会や内閣委員会答弁で、遺憾千万だということを何回も国会に呼ばれても言われて、その節を曲げられなかった。人事院に対して干渉するのは遺憾千万だと、こう言われたわけであります。今、今風の時代でいえば、公明党の神崎代表が「いかんざき」だというふうに怒り心頭に怒られる、そういうことだというふうに思うんですけれども、そういう政治的な介入があった場合の佐藤総裁の決意をお伺いしたい。
  23. 佐藤壮郎

    政府特別補佐人佐藤壮郎君) 人事院勧告制度基本権制約の代償措置であるということは、私どもしっかりと肝に銘じて認識しております。  政府としてもこのことは十分私は認識されていると思います。例えば、人事院に対しては何々を要請するという表現を使っておられるわけでございます。私どもといたしましては、要請は要請として受け止めて、中立第三者機関としてきっちりと判断をしていきたいというふうに思っております。
  24. 高嶋良充

    高嶋良充君 私は、人事院が自ら主体的に公務員給与の官民比較調査、官民比較の方法等を議論をされて、その方向性を出していくということにまで反対をしているわけではありません。  ただ、最近、公務員給与水準民間賃金と比較して高いのではないか、民間企業の実態と乖離しているのではないかというような批判が各方面から出されています。これも私はまた当然のことだというふうに思うんですね。確かに、パートやアルバイトや派遣労働者などということで働き方が多様化をしてきている。そのことによって全労働者の平均賃金が下がっているということは、これは事実だというふうに思います。しかし、だからといって公務員労働者の賃金比較を全労働者平均基準に合わすべきという考え方は、やはり、これはやっぱり少し乱暴ではないかというふうに思うわけですね。  先ほど福井日銀総裁のお話が人事院総裁から出ましたけれども福井総裁経済財政諮問会議の中で、先ほどとは別にこういう話もされています。公務員給与水準が低ければ低いほど良いというものではない、やはり少ない人数で元気に働いてもらわなければ、国民に対する十分な仕事はできないんではないかと、こう言っておられるわけですね。  また一方で、信州大学の高梨昌教授、これはちょっと古い文献ですけれども、現行の比較基準、これは百人、五十人という部分ですけれども、現行の比較基準は、公務員の職務の性質と責任の程度や学歴水準の面などから見て、比較対象としては問題があると、問題があると言っておられるんです。だけれども、中身は全然別の問題意識なんですね。公務労働と同質同等の職務はどちらかといえば大企業の労働者を対象とすべきであると、そういうふうに言っておられて、その中で、とりわけ今回のことにも差し入っておられるんですけれども、逆に民間の小零細企業まで調査対象に加え、官民比較の対象を拡大すべきだという意見は論外だと、これでは良質の公務員採用も公務サービスの向上も見込めなくなるおそれがあると、こういうふうに言っておられる方もあるわけですね。  とりわけ、人勧というのは裁判官の皆さん方や自衛官にも影響をする、こういうことでございます。下げるだけでは働く意欲も士気向上の面からも非常に大きな問題がある。そういう意味では、人事院総裁公務員にふさわしい給与水準でなければならないというふうに思っているんですが、いかがお考えでしょうか。
  25. 佐藤壮郎

    政府特別補佐人佐藤壮郎君) おっしゃるとおりだというふうに思います。  官民比較の際にはやはり同質同等の職務を民間と比較するということはこれは大原則でございまして、すべての職種の民間労働者を雇用形態にかかわらず単純平均してそれに公務員給与を合わせるというのは、おっしゃるとおり正に論外の話ではないかというふうに思います。
  26. 高嶋良充

    高嶋良充君 麻生大臣にお伺いをいたしますけれども、この官民比較方式が今政界で非常に話題をなっているわけですけれども労働基本権の代償措置である以上、私は基本的には人事院、その代償機関である人事院でやるという部分と、もう一つは、憲法に保障されているように、労使の問題ですから、政府労働側とでこの問題を話し合うということもこれまたあってもいいんではないかというふうに思っておるわけです。  ちょうどこの百人と五十人規模が決定をされたのは昭和三十九年、四十年からその方式で実施をされているわけですけれども、これを決めたのが当時の池田総理と総評の太田議長の政労会談によって決定をされて、それを人事院が尊重して今日まで来ていると、これはもう御承知のとおりであります。  そういう意味では、先ほども申し上げましたけれども人事院での自主的な研究会で方向性を出すという一つの選択肢と、もう一つは、最終的にですよ、小泉総理と連合の高木会長が政労トップ会談で方向性を決めると、こういうことも一つはあってはいいんではないかというふうに思っているわけですが、そのことについては大臣の見解は求めません。  しかし、いずれにしても、官民比較の見直し検討するというのであれば、政労使が、あるいは国民も納得するような状況を作って合意できる結論を導き出していくということが一番大事なことではないか。そのためには、まず政府と職員団体との十分な話合いも行うべきであるというふうに考えますけれども麻生大臣の見解を伺います。
  27. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) 昭和三十九年、池田・太田会談、もう今、あのゼンセン同盟の名前を聞いて知っている方はほとんどおられない世代で、お互い年取ったなと感じながらそう思って伺っていたんですけれども、あれ、大学出た翌年だったんで、極めて記憶のあるところですが。  あのときはたしか四・一統一ストライキというのをやろうとしたんですよね、ちょっと経過、記憶は定かじゃありませんけれども。そして、結果としてはあれは公労委というものにゆだねるということになったんだと記憶をいたしますが。私は、池田・太田会談というものが少なくともあの四・一ストライキという、ゼネストとは言いませんけれども大きなストライキを止めるのに大きな貢献をしたことは間違いないと、私どももそれはそう思っております。  したがって、人事院勧告も大事だけれども政府組合とのいわゆる定期的なとか、またいろいろな形での接触は必要なのではないか、私はその点に関しましてもそう思っております。事実、昨日、新しく官公労の代表になられました岡部新会長との間の、私ども総務省におけます総務大臣と岡部代表との話というのを昨日やらせていただいておりますけれども、いろんな形でそういった信頼関係の醸成のためにもそういったものは必要なものだと思っておりますけれども。  いずれにいたしましても、今、人事院においていろいろ官民比較というのをされておるのも御存じのとおりなんで、なかなか今のように町村合併が進みますとちょっと従来と比較するのが変わってまいりますんで、ちょっと時間をいただかぬと、ここの町に従来なかったものが入ってきますんで、そういった形で比較する対象がまた変わってくるということが一点。  もう一点は、よく財務省出されますのは、もう全部一緒に突っ込みで給料幾らという話と、計算の方法の根底が大分違っておるのではないか。ましてや、公務員と比較される場合、公務員より地方公務員の方が学歴が高い、地方公務員の方が平均年齢が高い等々の点を配慮しないでの単なる単純比較というのは、かなりこの種の人事というのに関しては不勉強ではないかということのそしりは免れぬということはもう前にも役所で申し上げたことがあるんですが。  いろんな意味基本的なところをきちんと詰めていく、今、人事院でいろいろやっておられるところだと思いますんで、私どもとしては今後とも今申し上げたような点できちんと人事院の話を参考にさせていただきながら進めてまいらねばならぬものだと思っております。
  28. 高嶋良充

    高嶋良充君 基本権問題や見直し、官民比較の見直し問題はそれぐらいにさせていただいて、今後とも是非議論をさせていただきたいというふうに思っております。  そこでもう一点、人事院にお尋ねをいたします。  これは十五日のマスコミ記事でございましたけれども、これ各紙報道しておりましたが、人事院は、国の研修制度を使って海外や国内の大学院で学んだ国家公務員が早期に退職した場合に授業料などを返還することを義務付けるという法整備を内閣と国会に要請をするようだと、こういう報道がされていました。  そこで、ちょっと具体的なことをお尋ねをしたいんですけれども、長期在外研究員制度とこれ言うようでございますけれども、どれぐらいの人、国家公務員でどれぐらいの人が海外で留学をされて、そして留学した後五年以内に辞めた人はこれけしからぬと、こういうことの考えのようでございますから、五年以内に退職された方々というのはどれぐらいおられるんですか。
  29. 藤野達夫

    政府参考人藤野達夫君) 御指摘いただきました長期在外研究員制度による派遣者数は、年によってずれておりますけれども、大体最近では百名強から百二十名ぐらいというのが最近の趨勢でございます。  それから、これまでの派遣者の中で早期に退職した者の数という点でございますけれども、既に帰ってきております者の最近五年間、平成十年度から十四年度までに派遣した職員について見ますと、派遣者総数が五百六名でございまして、七月時点の調査で五十三名、一割程度が離職をしております。
  30. 高嶋良充

    高嶋良充君 今、五年間の調査だというふうに言われました。五年で、百人ぐらい、五百人派遣をして約一割、五十人、五十三人ですか、が五年以内に辞めておると。十年ということになれば千人派遣して百人辞めておると、こういうことに多分なるんでしょう。  この早期退職されておる皆さん方には研修費用を返していただくということを自主的に今までやってきたというようなことも記事に載っていましたけれども、これは一人当たりどれぐらいの費用が掛かって、そして五年以内に退職した人でその金額を返還されたのは何人ぐらいおられるんですか。
  31. 藤野達夫

    政府参考人藤野達夫君) 一人当たりの派遣費用は派遣先によってそれぞれ異なるわけでございますけれども、平均して申し上げますと二年間で一千三百万程度ということでございます。  それから、これまでこうした派遣職員が早期に離職することは問題があるという考え方から自主的な返納を求めてきているということは御指摘のとおりでございますが、これにつきまして、返納の額というのはそれぞれ少しずつ違いますけれども、平成十六年度までで返納状況を見ますと、約半数が返納に応じているという状況でございます。もちろん一部返納の者も含まれております。
  32. 高嶋良充

    高嶋良充君 一千三百万円の費用を掛けて、五十人ぐらいの人が早期退職をして、金も返さないで約半数の人が別のところに転職をしたと、返還に応じていないと。官費で留学をしておいて、自分の都合で辞めて。留学に掛かった費用というのはこれ国民の血税ですよね。自主的に、国家公務員として籍を置いていた以上は自主的に返還するのが常識だというふうに私は思うんですけれども、こういう返さないというような悪質な皆さん方がおられるから法制化を検討するということに多分なったんだというふうに思いますけれども、法制化の理由、法制化をしたいという理由をお聞かせください。
  33. 藤野達夫

    政府参考人藤野達夫君) 先ほど申し上げましたように、従来から自主的な返納を求めてきておりますし、また本年になりまして各省のその返納のルールというものについてのルール化ということも行ってきたわけでございますけれども、このような運用上の措置では、今おっしゃったように、全員といいますか十分に実効性を確保するということが困難だろうという判断の下に法制化の検討を行ってきたわけでございます。
  34. 高嶋良充

    高嶋良充君 一部でこういう話が出ているんですね。民間企業行って返さない、こういう人も当然返してもらわなければならないんだけれども、どうも、政治家に転出をしてしまって、当選をすれば寄附行為が禁じられているから返さなくてもいいんだと、そんな発想を持っておられる早期退職の国会議員がおられるんではないかと。だから、寄附行為でなくてもきちっと返せるように法整備をすべきではないかという意見があったと、あると。そういうこと。  私もそれを一部の人から聞いて、なるほどなと、そんな悪質な国会議員はいること自体が問題だけれども、そういう寄附行為ができないからといって一千三百万円返さないと。そんな国会議員が果たして、そんな者、有権者の信任を得て当選してくること自体がおかしいなと、こういうふうに思っているんですけれども、国会議員でそういう未返還者いるんですか。
  35. 藤野達夫

    政府参考人藤野達夫君) 公職選挙法上、公職の候補者又は公職の候補になろうとする者が選挙区内にある者に対して寄附をするということが禁止される規定が存在していると承知しておりまして、国は選挙区内にある者と解されるというふうに承知しております。それから、今、自主的返納というふうに申し上げましたが、これは寄附に該当するというものとも承知しております。  そういう関係でございますが、個別のケースにつきまして、返納がいかなる理由によってなされたかと、あるいはまたいかなる理由でなされなかったかについて個別には完全に承知しておりませんので、お尋ねのような実例の存否についてちょっと私どもで確定的に申し上げられる立場にございません。
  36. 高嶋良充

    高嶋良充君 国会議員の中にそういう人がいるんですか、いないんですか。個人名は言うのは大変でしょうから、国会議員というところに、リクルートと言ってはなんですが、されてですね、そういう人がいるのかいないのか。それによってこの、僕は法整備の考え方が変わってくると思いますから。
  37. 藤野達夫

    政府参考人藤野達夫君) ただいま申し上げましたように、個々の方がどういう理由によって返納されたかあるいは返納されなかったかということについては個別には承知しておりませんので、ちょっとお答えが難しゅうございます。  ただ、マスコミ報道等で、そういう発言をされた国会議員がいらっしゃるということは、マスコミ報道等は見たことはございます。
  38. 高嶋良充

    高嶋良充君 マスコミ報道でそういうことを言われているという国会議員もいると、こういうことですから、何人になるのか、数人なのか十数人なのかは別にして、そういう方がおられると。こういうことで、国民の血税を無駄にして返還もしない国会議員がいるというのは、私はこれは驚くべきことだというふうに思っておりまして、本来ならこんなものは、もう国会議員ですからプライバシーにかかわる問題ではなしに公表していただきたいというふうに思うんですけれども、しかしなかなかそうもこの場ではいかないでしょう。  是非委員長お願いをしたいんですけれども、その種の未返還者の問題について、資料を理事会の方に私は要求をさせていただきたいと思いますので、是非しかるべき取り計らいを委員長の方でお願いをいたしたいというふうに思います。
  39. 木村仁

    委員長木村仁君) 理事会で協議いたします。
  40. 高嶋良充

    高嶋良充君 是非よろしくお願いを申し上げておきます。  次に、三位一体改革について、まず大臣にお伺いをします。  先ほど森元委員の方からもお話がございました三位一体改革、二〇〇六年度までに三年間で四兆円の補助金を廃止をして三兆円の税源移譲をすると、そういう内容でした。その実現に向けて、今、国と地方の協議が始められているというふうにお伺いをしておりますけれども、この協議では当然のこととして、地方六団体が提言も含めて改革案を出されているわけですから、これをやっぱり政府は尊重すべきであるというふうに思いますが、大臣の決意をお伺いしたい。
  41. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) 高嶋先生、一言で申し上げればおっしゃるとおりということになろうと存じますけれども基本的には、昨日までに、残り六千億、いわゆる三兆円分の税源移譲のうち二年間で三兆円ということで昨年までで約二兆四千億、約八割のめどが立っておるわけですけれども、残り六千億につきまして、各役所の方に対して六千億のいわゆる税源移譲可能な部分という要請をしたのに対して各省庁から出されました部分はほぼ、交付金等々はございましたけれども、いわゆる地方裁量権を伴います税源の移譲ということに関しましてはほぼゼロという回答になっております。  したがいまして、今日も官房長官の方から各大臣に対して要請がなされたところでもありますし、また総理の方からも、財政諮問会議等々においても地方六団体の代表を前にして地方案を真摯に受け止めという言葉から地方案を尊重するという言葉に上がってきておりますので、いろんな意味政府としてはきちんとした対応を、六団体の、六千億の分に対して約九千億の案が地方団体から出されてきておりますので、これを尊重して対応していかねばならぬものだと思っております。
  42. 高嶋良充

    高嶋良充君 若干具体的な内容に入らせていただきますが、三兆円の税源移譲に対して、これをフラット化をするんだと、こういう、住民税ですね、住民税を一〇%のフラット化にするんだと、こういうことで進んでいただいておるようでございますけれども、これは平成十八年度の税制改革の中で実現をいただけると、そういうふうに理解してよろしいんでしょうか。
  43. 小室裕一

    政府参考人小室裕一君) 昨年十一月に政府、与党で合意いたしました三位一体改革の全体像におきまして、三兆円規模の税源移譲については所得税から個人住民税への移譲によって行うものとし、個人住民税所得割の税率をフラット化することを基本として実施するとされたところでございます。この方針は、本年六月二十一日、閣議決定いたしました基本方針二〇〇五などにおいても明記されているところでございます。具体的には、現在五%、一〇%、一三%の三段階となっております個人住民税所得割の税率を一〇%にフラット化することによりまして三兆円規模の税源移譲が実施できると考えております。  いずれにいたしましても、補助金改革の結果を踏まえ、平成十八年度税制改正において三兆円規模の税源移譲を実現してまいりたい、かように考えております。
  44. 高嶋良充

    高嶋良充君 今日のマスコミ各紙一斉に、補助金、税源移譲ですね、税源移譲に伴う補助金削減問題があるんですけれども、先ほども大臣が言っておられましたように、あと六千億円の補助金を廃止をしていくということがこれ残されておるわけですけれども、三兆円の税源移譲をしようということになれば。この六千億円に対して、今日のマスコミで一斉に報道されているのは、全省庁ゼロ回答だと、こういうことのようであります。  これでは地方側が要望しているような内容で実現できるという状況に全くないと。これは総務大臣かなりの腕力を発揮していただかないとこれはできないんではないか。まあ小泉さんもやると言っていますから、もう任期はあともう一年もない人ですから、これはもうポスト小泉有力候補であると言われておる麻生大臣が腕力を発揮するにも、これはやる気、やり抜くと、そういう決意はございますか。
  45. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) 極めて上品に育ちましたものですから何とも申し上げられませんし、十一月の二日以後この職務にとどまっているかどうかも全く保証の限りではございませんので何とも答えようがないところではありますけれども高嶋先生、御記憶かと思いますが、昨年、三兆円の補助金の話を各役所に出しましたときのお答えは、三兆円に対して約八百何、八百何十億、八百六十億か、ぐらいだったと記憶をいたしますんで、そういった意味では、今回六千億でほぼゼロというのはそれの比率から見たら大体想像の範囲でありましたので、ああ、そうだろうなと、率直のところ、そう思いました。ただ、結果としては、その八百何十億から二兆四千億までやらしていただいたのは静かな話合いによる結果だと、上品に事は解決したんだと申し上げたいところなんですけれども。  いずれにいたしましても、これは小泉総理としてはきちんと六団体を前にして答弁をしておられるところでもありますので、是非その点に関しましては、私どもとしては残り六千億ということにしてきっちり三兆円というものをやらしていただきたいと思っておりますし、私の後を引き継がれる総務大臣もそこが一番肝心なところになろうかと存じます。
  46. 高嶋良充

    高嶋良充君 じゃ、私の質問はこれで最後にして次に譲りたいというふうに思いますが、一昨年でしたかね、昨年度からというふうになるわけですけれども、一昨年の暮れには大変な状況になりました地方交付税、いきなり十二%削減をされると。私も全国を回っていてこれは首長さんにこっぴどくしかられました。地方六団体、大反発をした部分でありますけれども。  しかし、いずれにしても、安定的な地方財政の運営を図っていこうと思えばやっぱり地方交付税の総額を確保するというのは非常に重要なことでございますから、その総額確保に対する大臣の決意と、それと、三位一体改革というのは十八年で一応ピリオドを打つと、こういうことでございますが、十九年以降も引き続いて第二期のやっぱり分権改革というのをやっていかなければならないんではないかと、そういうように思っておりまして、その二つの問題について大臣の決意をお伺いをして、質問を終わりたいと思います。
  47. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) 御指摘のありましたように、基本的には地方交付税というものは、これは町村合併かなり進みまして格差がかなり減ったとはいえ、格差が今後ともゼロになるということはあり得ないと存じますんで、何らかの形で、この交付税という形でその差をうまく調整する機能はこれは今後とも国家として持っておかねばならぬ大事な機能と、まず大前提としてそう思っております。  また、今御指摘のありましたように、十八年度以降、十九年以降の第二次の件につきましては、今回、少なくとも補助金でいきますと約二十兆円のうちの約三兆円というものが補助金としていろんな形で移った形になっておりますけれども、残り十七兆ということになりますと、この中の十兆円はいわゆる厚生省関係部分が極めて大きな比率を占めておりますので、やっぱりここのところがなかなか無傷では通れないということになろうかと存じます。  いろんな意味で、私どもとしては、これは国として、また国会としてもこれはどの部分を切るのか、どの部分を渡すのかという点につきましてはかなりな御意見の合意をいただいておかないと進める政府側といたしましてもこれはなかなか進めにくいところではあろうと存じますが、いずれにいたしましても、この十九年度以降の第二次改革につきましては、何を政府は最低限やらにゃいかぬのか、これは中央でやれるもんじゃなくて、仕事の仕分をきちんとした上でないと数字の詰めができませんので、数字だけ先に出しておいて後から仕事というよりは、優先順位の付け方としては逆からスタートしてきちんとしたものにしないと何となく不満だけ残るような形になろうかと思いますので、いずれにいたしましても、この第二次以降の分の進め方につきましてはいろいろ検討の要があろうかと思いますけれども地方分権一括法以来これまで約五年たっておりますけれども、初めて税源というのが付いてここまで進んできたということに関しましては大変いい傾向だと思っておりますので、今後とも地方分権の法律、方向というのは進めてしかるべきものだと私は理解をいたしております。
  48. 高嶋良充

    高嶋良充君 ありがとうございました。
  49. 藤本祐司

    ○藤本祐司君 民主党・新緑風会の藤本でございます。よろしくお願いします。  何か目の前の方がちょっと空席が目立っておりまして、傍聴者の方、非常に多いんですけれども、恐らく大丈夫です、今度の木曜日はNHKテレビ入りまして、ずらっと並んでくると思いますけれども、ふだんから出席をして空席のないようにしていただければと思います。  まず、麻生大臣に所信で述べられたことにつきまして幾つか質問をさせていただきたいと思いますが、総務省が積極的に推進されていますいわゆるu—Japan政策というのがあると思いますが、これで二〇一〇年に向けて舌をかみそうなユビキタスネット社会というのを実現されるということで麻生大臣は強調されているわけなんですが、最近、高度情報社会あるいは情報通信というと真っ先に思い浮かべる国というのがインドであり中国であるというふうに思います。あのアメリカのシリコンバレーなんかでも最先端技術を持っている方々というのは中国とインドという、非常に多く増えてきているということで、その新興国の勢い、非常に強く感じるところなんですが。  さて、麻生大臣はこの総選挙の前に、さすが選挙はもう大丈夫だということでインドに行かれたんだろうと思いますけれども、その八月末にインドを訪問されたその目的と、どういう成果を上げられたのかということをちょっと簡潔にお答えいただければと思います。
  50. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) 森内閣にさかのぼっての話になりましょうか、基本的には日本としてはやっぱり、当時ITと言ったんですが、情報通信技術に関しましては、少なくとも日本の場合は、それを作り上げるハードの面はともかく、ソフトの面はいろんな意味で、シリコンバレーを見ましても、昔は東洋系、今はインド、パキスタン系の方が極めてシリコンバレーを見ても多いという現実を見るときに、やっぱりソフトというものを考え意味じゃ、私どもとしては、このインドという国との友好関係をきっちりするという国としての戦略は要るのではないかというのが最初森総理が行かれた、バンガロールへ初め行かれた大きな背景であります。  それから約五年たちました今年、森総理の方から小泉総理に対してきちんとその話を、もう一回行くようにということで、多分御推薦みたいな話があって、総理はそれを受けられて五月の連休のときにたしかインドに訪問されて、そのときにいわゆる各レベルにおいてインドと日本との間の定期協議をやろうという中の一つにいわゆるICT関係が入りました。  私どもとしては、情報通信担当いたします総務省としては、これを、まあ行くことになりまして、御存じのようにもう解散になってからというんでちょっと正直いま一つ、暑いせいもありましたけれども、選挙の最中もありますので、ちょっと正直いま一つ乗り気ではありませんでしたけれども、意を決して、日本から関係いたしますNTT関係はもちろんのこと、通信業者又は通信機器を作られる方々、放送業界含めていろんな方々と大勢で、百何十人の方を同行してインドに行っています。  これまで日本とインドとの間のこの種の関係で、これだけ大掛かりなフォーラムみたいなものを開催されたことは過去例がございません。そういった意味では、日本はともかくインド側では評価が極めて大きく、各新聞に載っておった記憶がありますけれども、いろんな意味でお互いないところを補い合うというところで、これぐらい双方を向いているところはないのじゃないのかなという感じがありましたので、私どもの方から第一回と申し上げて、少なくともブロードバンドとかモバイル通信とか電子政府、リサーチ、研究開発、それから情報のセキュリティー、それとユビキタスネットワークと、この六つの分野でお互いにこれ部会をつくってきちんと詰めようという話をして、私どもと向こうとの間でいわゆるこういったものをきちんと今後とも継続的にやっていかないと駄目なんではないかという話をし、その後、マンモハン・シンという総理大臣がおられるんですが、そこのところでもほぼ似たような話をさしていただいて、情報担当大臣のマランという情報通信大臣も同席の上その種の話をさしていただきましたけれども、マンモハンという方も正直言って御年配の割には実にこの種のことに詳しい方だったのが印象的でした。  そういった意味では、私どもとしては熱意を感じ、インドという国のこの種の分野で懸けてインドは伸びていくんだという熱意というものをすごく感じたところでもありますので、今後とも両国で補い合ってやっていけるというのが両国の国益に沿うことではないかと、そんな感じがいたしております。
  51. 藤本祐司

    ○藤本祐司君 インドとの関係というのは今後非常に重要なポイントになってくるのかなと。昨日の靖国の問題もあり、政冷経熱というところの中で経済活動、特にこの情報通信分野というのは今後の産業を引っ張っていく産業になると思いますので、そこら辺りは是非熱心にやっていただければと。少し選挙があって、ちょっと後ろ髪を引かれたみたいなところがあったということでございますけれども是非ともよろしくお願いしたいと思います。  ユビキタスネット社会についてなんですが、これは要するにあまねく全国で利用可能な高度ネットワークの整備が必要ということになろうかと思います。前通常国会のときも総務委員会で何度か質問さしていただいて、e—Japan戦略、これも目標を予定を早まる、早く目標を達成できているということでございますので、その点についてはかなり評価ができるんじゃないかなというふうには思っております。  ただ、その裏側にはいわゆる光と影の部分があろうかと思いますが、その中のいわゆるデジタルデバイドの問題というのが大きい問題になってくるんだろうということで、先ほどからお話ありましたブロードバンドの環境、そのユビキタスネット社会の実現には、いわゆるブロードバンド環境の整備というのが必要になり、都市と地方のインフラの整備格差によるいわゆる情報格差というのも埋めていかないといけない問題であるというふうに思います。  特に山間へき地、いわゆる何と言うんでしょうかね、条件不利地域と言ったらいいんでしょうか、その山間へき地などにおいてこのブロードバンドの環境を整備して地域間のデジタルデバイドの問題を解消していくためには、やはり無線LANとかそのアクセス性の向上、いわゆるワイヤレスブロードバンド環境とでも言うんでしょうか、そういったところの整備を進めていかないといけないんだろうと思いますが、それに対しての総務省の現在の取組あるいはスケジュールといいますか、その辺りをお聞かせください。
  52. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) 御指摘のとおり、これは随分理解が昔に比べて進んだおかげもありまして、首長さん方も結構熱心にこの種の話を前向きに対応しようという方が増えてこられたというのはこの一、二年顕著なところだと思っております。  また、光ファイバーというものの普及ということによっていわゆる有線によりますブロードバンドというものが随分広まっているんですが、今御指摘のように、確かに最後のラストワンマイルとよく昔言われた言葉ですが、都市部はよろしいんですが、山間部とかいうところに行きますと、そこのところは極めて難しいところなんだと思いますが、今は御存じのように通信技術が発達したせいもありまして、いわゆるFWA、フィクスド・ワイヤレス・アクセスというものが出てきましたので、その意味では新しい通信技術によってその最後のところをワイヤレス、無線で飛ばせるということになってきているというのは一つの技術進歩のおかげによって助かっているところなんだとは思いますが、そういったものを地方自治体、結構、そんな五千人以下の町でも、おれたちの方こそこういった情報通信を大事にせにゃいかぬということで積極的にやっておられる方々も大勢いらっしゃるのは大変有り難いことだと思っておるんですが。  御存じのように、そういったもので今問題なのは、やっぱり伝送距離というと電波の届く距離がある程度短い、五、六キロしかないとかいうこともありますので、そこがちょっと指摘をされているところだろうと思いますので、私ども総務省としては、昨年の十一月からこの有識者から研究会というものを開催をさせていただいて、ワイヤレスブロードバンド推進研究会というのをやらせていただいておりまして、条件が不利な地域であっても可能なもので、かつコストが余り高くなくてというようなものが導入可能なのかということについてちょっと正直なところ是非研究してみてくれと、二〇〇七年以降にはこういったようなものが導入可能なのだということで、可能にしたいということで私どもとしては検討を行っているという最中でありまして、今はちょっとまだ御報告申し上げられるところの段階までは至っておりませんけれども基本的にはそういう方向で検討させていただいております。
  53. 藤本祐司

    ○藤本祐司君 情報社会ということになると、我々はいろんなメディア、いろんなチャンネルというところから、多メディア多チャンネル時代に入っていろんな方法を使って情報を得るという形になるんだろうと思いますけれども、放送面においてもいわゆるデジタル化というのが注目されているんだろうというふうに思います。  その中でも、ケーブルテレビ、これ多分伊香保で多分昭和三十年ぐらいに一番初めのケーブルテレビジョンができたのかな、それが最初だったと思いますが、そのケーブルテレビにおいてもインターネット接続サービスを実現して、かなり地域に密着した情報通信メディアというのにもう成長しているんだろうと思いますが、現在、自主放送を行っているケーブルテレビの加入世帯がもう千八百万世帯ぐらいになっていて、再送信のみのケーブルテレビへの加入世帯を加えますと、多分、恐らく全世帯の半分ぐらいがケーブルテレビに何らかの形でこう加入をしているんじゃないかなという状況だと思います。まあ逆に、ケーブルテレビに加入するおかげであの例のNHKの受信料を支払拒否ができなくなってしまっているというような、そういうような裏の面もあるんだろうと思いますが、まあNHKはあさってやりますのでまたちょっとここに置いておきますが、そのぐらいケーブルテレビは普及しているということが言えるんではないかなということです。  二〇一一年に向けて地上放送のデジタル化の推進に当たって、ケーブルテレビのデジタル化というのもこれから総務省として取り組まれるんじゃないかなというふうに思いますが、そのスケジュールと取組の状況といいますか、それがあればちょっと簡潔に教えていただきたいと思います。
  54. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) 御指摘のありますとおり、一千八百万世帯と言われましたけれども、その一千八百万世帯のケーブルテレビが普及しております中で、今デジタル化が既に行われております、いわゆる地上デジタル放送視聴可能というようなものができますケーブルテレビを作っております、敷設しております世帯は約千百二十万世帯においていわゆる地上デジタル放送をケーブルテレビからということができるようになっておりますので、今後、これまでも国庫補助とか税制とか無利子とか低利融資等々、いろいろさしていただいてきたところでありますけれども、これはすごく大事なところでありまして、私どもとしては、どちらが安いかとかいろんな話になろうかと思いますけれども、結構地方でいろいろやってきておりますので、私どもとしては二〇一一年ごろまでには、全いわゆる加入世帯において地上波デジタル放送が視聴可能というものでやってみたいということで、二〇一一年度を目標にということで事を進めておるというのが実態であります。
  55. 藤本祐司

    ○藤本祐司君 情報通信についてもう一問、最後の一問ですけれども、最近またTBSと楽天の問題が出たりしておりますが、その中でもよく聞く言葉としては放送と通信の融合という言葉がよく聞かれます。  麻生大臣、たしか通常国会のときに私この質問をさせていただいたときには、融合という言葉じゃなくて連携強化という言葉をお使いになっていらっしゃると思うんですけれども、正にその本格的な多メディア多チャンネル時代、しかもこのグローバルの中で、グローバル化の中で情報が飛び交う時代になってきているんだろうと思いますが、その放送と通信の融合ということに関しまして、まあ今後多分進めていかないといけない部分なんだろうと思いますが、麻生大臣のその件に関してての御所見をいただきたいと思います。
  56. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) 藤本先生おっしゃられるとおりに、放送と通信の融合というのは流れとしては正しいと思います。ただ、どの方も、コンテンツの話に関しまして具体案を聞くと、何となくもやもやもやっといって、余りコンテンツの方はどの者、どの方聞いても極めてあいまいなものの答えしか返ってこないように私ども感じております。  そういった意味では、このコンテンツをどうするかという話は極めて大事なところだと思いますが、いずれにしても、テレビを見ている側にとりましては、それが通信なのか放送なのか、テレビのチャンネル変えているだけじゃ分からぬ時代が多分もう目前だと思っておりますので、そういった意味では、今後とも何となく通信と放送の融合というのは、流れとしてはまずは業務提携からとかいろんなことを考えられる、ステップとしてはいろいろあろうかとは思いますけれども、大きな流れとしてはそういった形のものになる、そういった融合の方向になっていくのであって、放送は郵政省で通信は何とか省と、いろいろ役所の縦割りの話やら何やらをもうほたっても、現場、現実としてはどんどん事は進んでおるというのが実態かなという感じがいたします。  ちなみに、すごく影響が出るところで、もう御存じかと思いますが、例えば予備校などというところは、これを使いますと基本的に自宅にいながら学校と話が通じて、分からないといってボタンを押すとぱっと右下に画面が出て、藤本君、どこが分からないんですってちゃんと教えてくれるわけです。それで、終わりますとまたぽっと元に戻ってということによって、極めて代々木駅周辺は交通網はすくようになってよかったじゃないかという運輸省に対して、弁当屋の売上げは激減したといって文句言われる。  これはいろいろ波及効果が出るという世界だと思いますので、私どもとしてはそういったところを考えて、いろいろな面で技術の進歩というものが非常にユビキタスな社会をつなげていくところの基本だとも思っておりますので、この放送と通信の融合というのは避けて通れないところではないかと、私どももそう思っております。
  57. 藤本祐司

    ○藤本祐司君 続いて、今日は郵便法の話もしないといけないのでちょっとさせていただきますが、郵便法、先ほど来お話ありました、その万国郵便条約の承認とセットであるという説明を受けておるわけですが、万国郵便条約自体が五年ごとの見直しをされていて、万国郵便条約の改正に伴って、ただ必ず国内法である郵便法を改正する、しなければならないということではないんだろうというふうには思います。  過去、万国郵便条約の改正に伴って国内法であります郵便法が改正された実績は多分ない、ないというふうに聞いておりますけれども、今回、その条約規定の内容がこのまま国内法として効力を有するいわゆる自動執行条約でありながら改正、郵便法自体を改正しなければならなかったその理由を教えていただきたいと思います。
  58. 鈴木康雄

    政府参考人鈴木康雄君) お答え申し上げます。  今先生御指摘のとおり、これまで万国郵便条約の改正によって国内法を直接的に改正したという例はございません。それは、今ちょっと先生がお触れになりました郵便法の中に、郵便法第十三条でございますが、「郵便に関し条約に別段の定のある場合には、その規定による。」と規定しておりまして、条約を優先することとしているわけでございます。  こうしたことから、条約を適用するためには、その条約に盛り込まれた各国共通に定めるべき事項でございます国際郵便条約万国郵便条約内容を、国内実施体制を整備する必要はございますけれども、今の条項によって特段の法律措置は不要としておったものでございます。  しかしながら、今回、新たに盛り込まれます郵便料金納付手段に関する違法行為の罰則強化につきましては、強制的措置といいますか、あるいは考え方とすれば罪刑法定主義の考え方から国内法で規定する必要があるということでございます。このために郵便法改正案を提出させていただき、御審議をいただいておるものでございます。  以上でございます。
  59. 藤本祐司

    ○藤本祐司君 この背景として、新たな万国郵便条約で、いわゆる郵便切手等の偽造の取締りを強化することになったというのが背景としてあるんだろうと思いますが、諸外国で、条約ですから各国との関係になるんだろうと思いますが、各国、諸外国においてその郵便切手の偽造というのがどういう状況なのかという、いわゆる背景になった、その基になった理由といいますか、そこをちょっと教えていただきたいと思います。
  60. 鈴木康雄

    政府参考人鈴木康雄君) お答え申し上げます。  諸外国における郵便切手の偽造につきましては、万国郵便連合事務局が発出します加盟国への通知書によりますと、過去五年間、毎年十件内外の偽造犯罪が発生しております。主にアフリカあるいは旧ソビエト連邦諸国の国の事件が多くを占める状況にございます。  今回、新たに追加的にといいますか、付加的に設けられました郵便料金計器の印影の偽造につきましては万国郵便連合の通知書に具体的な事実が掲載されたことはございませんけれども、昨年十月、インドにおきまして違法な郵便料金計器が押収された事例が報道されておりまして、開発途上国を中心に違法行為が存在するというふうに思われております。  以上でございます。
  61. 藤本祐司

    ○藤本祐司君 今回の郵便法の改正というのは、第八十四条で、今お話ありました印影ですね、郵便料金計器の印影その他の郵便に関する料金を表す印影の偽造等の処罰ということで整備されたんだろう、したものだと思いますが、この郵便料金計器による郵便料金の支払というのはいわゆる後納郵便と同じような仕組みで、今でいう郵政公社に一定額を担保、担保金と言っていいんでしょうかね、保証金というんですか、担保金というんですかね、それを担保としてお金を預けて精算をするという方法を取っていらっしゃったんだろうと思います。  郵政民営化法が成立をしたわけなんですが、これに従ってこの郵便事業株式会社が設立された後は、今度、郵便料金計器を利用する場合は、これまでと同様の方法で、相手が、例えば企業側がその郵便料金の機械を承認を受けるというのは、相手側はやっぱり郵便事業株式会社に承認を受けて担保金を預けるというその仕組みは変わらないんでしょうか。  これは公社さんか、でしょうね。
  62. 本保芳明

    参考人本保芳明君) それでは、お答え申し上げます。  今御質問のありました料金計器を利用しました別納でありますとか料金の別納制度、後納制度といったものは郵便約款で定めております。したがいまして、新しくできます郵便事業会社がこの郵便約款をどうするかということでこの辺決まってくるわけでありますが、私ども、やっぱり利用者の利便ということがございますので、引き続き新しい経営者の判断でこうした便利な制度が残されるものと、このように考えております。  以上でございます。
  63. 藤本祐司

    ○藤本祐司君 今のお答えだと、確約はできないけれどもそういう制度を残したいという、残してほしいということなんだろうと思いますが、今回、郵政公社から郵便事業株式会社に移るわけなんで、今までこの、何といいますかね、承認を受けていた企業というのは、再度そこでもう一度その約款に従って承認を受けるという手続を取ることにはなるわけですよね。
  64. 本保芳明

    参考人本保芳明君) 約款そのものにつきましては、実は基本的に、整備法によりまして、公社時代に認められたものは特段変更なければそのまま新しい会社に引き継がれるということになっております。したがいまして、私ども理解としては、新たな手続を利用者の方々にお願いするということは基本的にないと、このように考えております。
  65. 藤本祐司

    ○藤本祐司君 同じような質問になるんですけれども、この後納郵便にしろ、この郵便料金計器の承認ですよね、この制度にしろ、担保金というのがあって、だんだんこれ実績を積んでいくと、その信頼性というか、信頼の関係の中で、担保金を積まなくてもいいよとか減額とか、そういう優遇措置があるんだろうと認識をしているんですけれども郵便事業株式会社、郵政民営化になった後も今までの実績というのはそのまま継続して認めてもらえるという考え方でよろしいんでしょうか。
  66. 本保芳明

    参考人本保芳明君) 主として後納料金に関する御質問かと思いますけれども、後からお金をいただいてサービスを先にということになりますので、債権管理をどうしていくかという問題になってくるかと思います。  今までは主として担保金という制度によってこれをやっておりましたが、それ以外にも、例えば上場会社であれば一定の信用力があるということでこれも参考にすると、こういう方法で対応してまいりました。  これから更にこの債権管理の方法をどう深め、利用者に便利な形にしていくかというのは、公社にとりましても、また新しい会社にとりましても課題と、このように理解しております。
  67. 藤本祐司

    ○藤本祐司君 それでは、郵便法といいますか、万国郵便条約について最後の質問をさせていただきたいんですが、万国郵便条約そのものについてちょっとお聞きしたいんですが、今回、いろんなところで改正があった、中身の改正があったと思います。その改正の中身について、制度、手続のことは外務省なんですが、中身については多分総務省さんあるいは公社さんが関連してくるんだろうと思います。  その中で、旧万国郵便条約でいうと第十条に当たるんですが、第十条の第八項になるのかな、新しくなったところでいうと第十二条の第七項になりますが、ちょっとそこが変わっておりまして、古い方を読みますと、その郵政庁が小包の運送を行っていない国は、運送企業にこの条約の規定を実施させる機能を有する、この辺まで大体一緒で、最後に、「郵政庁は、この条約及び小包郵便に関する施行規則の実施について、責任を負う。」という文章が入っていたんですね。  今回は、同じ、それに同じく該当する十二条のところの、今言いました責任を負うというそこの文章が削除されていてなくなっているんですけれども、ここの何か意図はあるんでしょうか。そこについてちょっとその理由を単純にお聞きしたいと思うんですが、お願いします。
  68. 鈴木康雄

    政府参考人鈴木康雄君) お答え申し上げます。  今委員指摘の現行条約十条の八項、「郵政庁は、この条約及び小包郵便に関する施行規則の実施について、責任を負う。」というのは新条約では削除されておりますが、現行条約におきましても、その現行条約のより上位といいますか、基本的な文書でございます万国郵便連合憲章の第二十二条の三に、「万国郵便条約、通常郵便に関する施行規則及び小包郵便に関する施行規則は、」「すべての加盟国について義務的な文書とする。」という表現がございまして、言わば現行十条八項につきましても二重の規定となっているというものでございます。そのため、新条約検討する委員会でも、また、最終的にそれを決定いたしました管理理事会の万国郵便大会議への報告書の中にも、不要な表現、英語で言うとリダンダントであるという表現がございます。その意味で、二重な表現を削除はいたしておりますが、内容的には完全に担保されているというところでございます。  以上でございます。
  69. 藤本祐司

    ○藤本祐司君 それでは、ちょっと次の質問に移りたいと思いますが、人勧のことなんですね。  先ほど来、官民較差、官民比較というお話が高嶋先生からも出ておりましたが、その比較対象事業所というのは、現在、御承知のとおり、企業規模百人以上かつ事業所規模五十人以上ということで、昭和三十九年の段階からそれが変わらずに進められているところでございます。  さっき、ちょっと話の中で、昭和三十九年といったら、蓮舫さん、私は生まれていなかったよという、東京オリンピックの年なんですけれども。  ちょっと余計なことなんですが、余計なことなんですが、ついでと言ってはなんですが、私が小学校二年生のときだったんですけれども麻生大臣のようにお金持ちのおうちはカラーテレビが多分もうあったころなんだろうというふうに思います。私のところは大体緑の板か赤い板かを前に付けて、何かカラーテレビもどきみたいな形でテレビを見ていたのがその昭和三十九年と。そのころ、多分、蓮舫さん御存じないと思いますが。  あれから四十年たったわけでして、今やテレビといったら液晶テレビとかプラズマテレビとか、もうそういうものがどんどん飛ぶように売れるようになった今ですね。既に白黒テレビというのはもう生産が終わっているにもかかわらず、NHKでは二〇〇三年には二万台、二〇〇四年には一万台の白黒テレビ受信料契約が結ばれるという非常に不思議な現象が起きているわけなんですが。  それはさておきまして、話は戻しますと、四十年たちますとこのように世の中大きく変わってきていると。特に産業構造というのが非常に大きく変わってきているわけなんですけれども民間企業の対象事業所の基準というのはそれ以降特に見直されていないということであろうかと思います。  企業規模百人以上というもののいわゆる全就業者の割合のカバー率と言っていいんでしょうかね、カバー率がさほど変わっていないんだということが一つ理由なんだろうと思いますけれども、具体的に今までは、四十年間、見直しは行ったけれども変わらなかった、あるいは見直しすらしなかった。いろいろ違いがあると思いますが、この変わってなかった、変えなかった理由というのを教えていただきたいと思います。
  70. 佐藤壮郎

    政府特別補佐人佐藤壮郎君) 確かに四十年というのは非常に長い年月でございまして、私もちょうど就職をした年でございます。その間、なぜこの百人以上という企業規模を変えなかったと、幾つか理由がございます。  一つは、私どもが官民比較を行う場合に、公務員と同じような職種で同じような仕事の内容をしている民間の正規職員、正規従業員を、例えば役職段階あるいは学歴、年齢等の賃金決定要素でございますね、これを考慮しながら比較しているということをしております。これはラスパイレス方式と言いますけれども、この方式ですと、どうしても公務員と比較対象になり得る民間の従業員というのは、ある程度の企業規模以上の企業にしかないということでございます。  それから一方で、いわゆる小規模零細企業におきましてもそういう比較対象は絶対ないとは言えないわけですけれども、平成十一年と十二年ですか、試験的に調査をしたことがございます。その結果を見てみますと、例えばそういう小規模な企業では給与表というものがないとか、それからそもそも役職段階というのが非常にはっきりしていないとか、あるいは中途採用が多いとか、それからもっと根本的なことは、私どもの調査に対して協力をしてくれない企業がこれ、半数近くございます。したがいまして、我々の比較対象となり得るようなサンプルを取るのに非常なコストと時間が掛かるということが一つございます。  それからもう一つは、先ほどちょっと藤本委員も御指摘いただきましたけれども、企業規模百人以上の企業の従業員数というのは、全民間企業の従業員数の約五〇、現在五五%でございます。しばらく前までは六〇%で、やや落ちているわけですけれども、過半数を占めているということで、私どもとしては国民に対しても十分納得していただける企業規模ではないかというふうに考えていたわけでございます。ただ、御指摘のように、今、産業構造、それから民間企業の人事管理あるいは組織形態の在り方というのが非常に急速に変わっておりますので、その企業規模を含めて現在私どもがやっている官民比較の方法全体について、その妥当性について言わば検証をしていただくと、そういう目的の研究会を立ち上げて検討をしていきたいというふうに思っております。
  71. 藤本祐司

    ○藤本祐司君 産業構造が随分変わってきて、いわゆる特にサービス産業の割合が増えてきていると。サービス業の就業者の割合というのが、多分一九六四年、五年辺りだと一五%を切っていたものが、今三〇%近くになっていると。製造業の中を見ても、いわゆるサービス部門というのに従事している方というのは非常に多いので、いわゆるサービス部門を含めた割合というと全就業者の六割とか七割近くまで行っているんじゃないかなというふうな感じがします。そういう意味で、非常にサービス業、いわゆる産業構造、一次、二次産業よりも三次産業、特にサービス業というのが増えてきている中で、やはりそういう産業構造が違うということは大きな一つのポイントなんだろうなというふうに思っていますので、そこら辺りをやはり考えていかないといけないんじゃないかと。  それと、あとサービス業自体も昔、昔というか一九六〇年から七〇年代ごろというのは、サービス業の企業規模というのが、いわゆる百人未満の企業というのが八割ぐらいあったのが、どんどんどんどん下がってきている。つまり、サービス業自体の規模が、事業所規模、企業規模が大きくなっている。その一方で、全部の産業を見ると、企業規模というのが、百人未満の企業規模が七〇%を切っていたものが逆に増えてきているという逆転現象が起きているという、そういうような産業構造の違いというのも多分大きく働き方についても出てくるだろうと思いますので、ここは慎重に、その検討会を立ち上げたということでございますので、その中でやはり考えていかないといけない部分なのかなというふうに思います。  先ほど企業規模百人以上が五五%ぐらいだというお話がありまして、まあ過半数、半数以上だということなんですが、あと、いわゆる五十、その中で五十人以上の事業所という限定をしているというところの理由もお聞きしたかったんですが、例えば東京に本社があって、私が住んでいる、住所がある裾野市というところが静岡県にありますが、ちょっと余計な話で、ここ不交付団体で、静岡県で一番財政力指数が高いところでございまして、ちょっと宣伝をしておりますが、そこに例えば三十人の規模の事業所があったと。そして、同じ東京本社にあるところで麻生大臣の飯塚には百人の事業所があったということを仮定した場合に、裾野の事業所は対象外になるわけですね、聞き取り調査の対象から外れる。飯塚の事業所は対象の中に入るという解釈になるんだろうと思いますけれども、そのときに前提となるのは、東京の本社と裾野の事業所あるいは飯塚市の事業所というのは、給与についてそれほど格差がないから五十人以下、未満のところは外していいよという、そういう解釈をされているんでしょうか。
  72. 佐藤壮郎

    政府特別補佐人佐藤壮郎君) 確かにそういう調査の効率という面もございます。それからもう一点は、やはり小規模な事業所ですと役職段階が必ずしもはっきりしていない。それから、私どもは、例えば課長なら何人の部下を持っていなきゃいけないとか、そういう部下制限、部下数の制限がございますので、必ずしも、小規模の事業所ですとそういう部下数制限を満足していない事業所が多いんではないかというふうに思っておりまして、そういうもろもろの理由から小規模な事業所は対象から外しているわけでございます。
  73. 藤本祐司

    ○藤本祐司君 それ、例えば地方公務員とかに当てはめると、国家公務員公務員に当てはめると、地方に行くと、私も地方の方と一杯仕事をしてまいりましたので分かるんですが、例えば県庁辺りで企画課長というと企画の部門だけをやっているんですが、地方に行くと総務課長が企画から何からいろんなことをやっているわけですよね。それと同じことが多分民間企業でもあって、同じ課長補佐、課長といっても全然中身が違うんだから、それだからやっぱりある程度大きいところを見ないと実態が分かんないよということだと今のお話を聞いて理解をしたところなんですが。逆に言うと、先ほど労働三権の話も出てまいりましたけれども、そういう意味では本当に、職種というか、勤務の実態というよりは仕事の中身というところでやはり給与なり待遇なり処遇を考えていかないといけないということの中で、やはり、いわゆる人事制度といいますか、評価制度といいますかね、その評価を加えていこうという動きになっているんだろうと思います。  私の前にいた会社も、もう十年以上前から完全年俸制をしいていまして、完全にメリットクラシーでリンクさせてきているんですけれども、そのときに、やはり民間に準拠するということであれば、民間のそういう評価制度自体もたくさん調べられて、何パターンか、一つではないので、幾つかのパターンがあるんだろうと思いますけれども、どのぐらいの民間企業について今まで、評価制度ですね、についてはお調べになっているのか、どういうような特徴があるのかということを教えていただきたいと思います。
  74. 山野岳義

    政府参考人山野岳義君) 評価制度につきましては、私ども、かつて研究会をつくりまして研究したところでございますけれども、その際、あるいは数が、今ちょっと手元に数字持っておりませんけれども、サンプル的にいろいろな企業の評価制度実態についてヒアリングをすると。それからまた、私どもが民調といって民間企業の状況を調べておりますけれども、そういった中でも折に触れて調査をしてきたところでございます。
  75. 藤本祐司

    ○藤本祐司君 いろいろなと言われると人生いろいろを思い出しちゃうわけなんですけれども、いろいろなというのは職種もいろいろ、あるいは企業もいろいろ、いろんな企業がね、企業規模もいろいろ、そういうような形で、本当に多方面にわたってやられたのかどうかというところが非常にあいまいで分からないものですから、企業規模としてはこのぐらいの規模のところを選びましたよ、あるいは業種としてはこういうところを選びましたよ、で、どういうような特徴があったのかというのをお聞きしておりますが、お願いします。
  76. 山野岳義

    政府参考人山野岳義君) 今申しましたようにサンプル的な調査を行ったわけでございますが、そのほか、各省庁、例えば厚労省等でやっておられます、これは三十人以上の企業についていろいろやっておられますけれども、そういったことの資料を参考にするほか、現在、今総務省さんと私ども、あるいは組合の方で評価制度について検討会をやっておりますので、それの参考資料にするために、今年、現在でございますけれども、各企業のいわゆる民間の企業の状況を調べるための調査を今取り掛かっているところでございます。
  77. 藤本祐司

    ○藤本祐司君 要するに、これからやるということで、今まではほかの厚労省の調査なんかを見たということで、これからちゃんとそれは検討していきますよということで理解をしていいんでしょうか、これからやりますよということでいいんでしょうか。
  78. 佐藤壮郎

    政府特別補佐人佐藤壮郎君) 今局長答弁したのは、藤本委員の御指摘のような、例えば職種とか規模とか、そういう細かい分類で評価制度がどう変わるかという調査はしていないということでございまして、私ども日本の代表的な企業の評価制度実態については前々から調査しておりまして、それについては十分な資料を持ち合わせております。
  79. 藤本祐司

    ○藤本祐司君 代表的な企業というのは、どういうことをもって代表的な企業と言われているんですか。
  80. 佐藤壮郎

    政府特別補佐人佐藤壮郎君) 職種でいえば、例えば製造業あるいは金融業等々の大きな会社でございます。
  81. 藤本祐司

    ○藤本祐司君 ちょっとこれ資料として、じゃ、今出せないんであれば、出していただきたいんですが、どういう、どのぐらいの会社数、会社の数ですよね、どのぐらいの会社の評価制度を見て、それがどういう結果になっているのか。要するに、評価制度の特徴はどういうものなのかということを数と中身、ちょっとそれを出していただきたいということをお願いをしたいなというふうに思っております。
  82. 佐藤壮郎

    政府特別補佐人佐藤壮郎君) 後ほど資料を提出させていただくということで御了解願いたいと思います。
  83. 藤本祐司

    ○藤本祐司君 時間がなくなってまいりましたので、本当はこの評価、あるいはフリンジの部分で住宅手当とか扶養手当とか、それが民間は今どういう動きになっているのかというのをお聞きしようと思ったんですが、時間がなくなりましたので、またこれはヒアリング、レクを受けたりさせていただきたいというふうに思っておりますが。  時間がありませんので、最後にひとつ一、二問ちょっとお聞きしたいのは、これは総務省さんにお聞きしたいんですけれども麻生大臣お答えいただければ有り難いんですが、今年の八月の十一日に、総務省としては、地方公務員給与のあり方に関する研究会というのがあって、その中で、地方公務員給与構造の見直しに関する基本的方向性という文書を公表されたと思います。これが八月の十一日。で、翌というか、後れること四日後の八月十五日に人事院勧告が公表されていて、非常に中身が類似しているんですね。例えば、人事評価制度の導入であるとかあるいは地域手当という言葉も非常に同じであります。これでは、国家公務員に対してのいわゆる人事院勧告というのを地方公務員でも同じようにするようにということで、正にこの地方分権というところから考えると逆行しているような、いわゆる地方自治の趣旨に反しているんではないかなという懸念もあるんじゃないかなというふうに思っております。  さらに、人事院勧告による実施を閣議決定した九月二十八日には、総務省事務次官名で都道府県知事あるいは指定都市の首長さんや人事委員会委員長に通知を出して、いわゆる地方公務員給与改定に関する取扱いの通知を出している。それに伴って麻生大臣が談話として、地方公務員給与改定について速やかな見直しをするように、さっき人事院総裁佐藤さんがおっしゃった要請を、要請をしているということで、この一連が地方分権、地方のことは地方で、地方で責任を持ってやりましょうよという、そういう精神と逆行するんじゃないのかなというふうに思うんですが、それについて麻生大臣、ちょっと時間がありませんので、済みません、御所見をお願いします。
  84. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) 基本的には、藤本先生、国公準拠ということになっていますので、地方公務員給与の形態等々につきましては国家公務員に準拠するという大前提ができておるということだけはちょっとまず頭に入れておいていただかないと、全然飛び抜けて全然別なやつやりますというわけにできません。  したがいまして、ラスパイレス指数におきましても、一〇〇以下そこそこならともかく、いきなりそれがぼおんと下げられるということになりますと、それは違反じゃないかということにもなりかねませんので、これは現場の首長さん方は地方の自治労と、何というんですか、その町役場の組合といろいろ詰めておられる。でなければなかなかできる話ではありませんので、そういった点も頭に入れておいた上で、私ども基本的には、公務員というものの世界にはやっぱり何というのかしら、公務員にふさわしい評価がなきゃおかしいと思うんですね。僕は、民間と同じだと、同じだという話をみんなよくされますけれども公務員というのは基本的に違うんじゃないんですかね、これ、税金で飯食っているわけですから。だから、そういった意味では、公務員には公務員にふさわしい評価の仕方がなければおかしいと私は基本的にそう思って、まず最初にそう思っております。  そこで、今いろんな形で人事評価というのをやるいろんなアイデアというのは、実にいろいろな方がいろいろ言われるんですけれども、私ども基本的に、具体的なところへ行って、よく役職を変えていくいわゆる公務員の上級職のいるところがぽおんと一年行って、そこに二十年、三十年いる中級職がざあっといるところで、一年で人事評価やってみろと言われてできる人はいるであろうかといえば、私は甚だ疑問だと思っていますよ。  したがって、そういったようなことは、いろいろシステムというのはよほどうまく考えないと絵にかいたもちになりかねないし、高い方に硬直する可能性もありますし、またいろんな形でその現場にずっと居着いている、三十年ぐらいいる、まあ頭張っているおじさんたちが、若い三十代ぐらいの東大出て十年もたっていないようなのが行って、およそきれいに丸められて終わりですよ。私らそういうところに会社で何千人も使っていましたので、それはよく分かりますよ、そういうのは。  だから、そういった意味では、制度というのはよほどきちんとしたものをつくっていかないと、民間では、それは数十人だったらそれはできるかもしれませんけれども、万単位でやるところでもありますので、市役所だって、政令都市へ行きゃ、万という数の中で、あちこちの現場に出ている人の目に届くかといえば、それは人事部じゃとても届くところではないと思いますので、そこのところで組合というものはすごく大事なところだと思いますので、いろんな意味での声を代表して専従職員がいて言葉を、いろんなことをやっていくという手間暇というのはすごく大事な職務なんだと理解をしております。  そういった意味で、地方には地方のやり方というのがあろうと思いますし、その地域によって差が出てくるのは当然だと思いますけれども基本的なところは押さえておいてやらないといろいろ差し障りが出てくるのではないかと、基本的にはそういう具合に思っております。
  85. 弘友和夫

    弘友和夫君 公明党の弘友和夫でございます。  初めに、郵便法の改正について、これ先ほど来ずっと出ておりますけれども委員長がこれには必ず触れるようにというお達しでございますので、ダブると思いますけれども、要するに、この改正そのものは、切手の代わりに印鑑というか、このぺたぺた張るやつを偽造したのを罰則を設けようと、何かそういうことですよね。  私は最初は、何でこれ、こういうことを法改正までしてやらぬといかぬのかなと、条約優先だったら、それでもういいじゃないかみたいな、思っておりましたけれども、よくよく考えておりましたら、まあ国会でそういうことをきちっと確認していくということは大事なことだというふうに思っておりますので、何が、だから今回求められて、何で改正するのか、条約との関係で法改正を必要とする具体的理由、新設される罰則の効力等についてお伺いしたいというふうに思います。
  86. 鈴木康雄

    政府参考人鈴木康雄君) お答え申し上げます。  非常に幅広い御質問でございましたが、総論的に申しますと、我が国は、一八七七年の万国郵便連合加盟以来、その活動に積極的に参加しておりますし、また我が国の郵便法の実施に際して条約が極めて重要な役割を果たしているものでございます。こういう状況から新条約の締結もまた極めて重要な役割を持っているということでございますが、そのためには国内の実施体制を整備する必要があり、そのため、今回新たに条約に盛り込まれた郵便料金の納付手段の罰則強化につきまして、国内担保法となります本件郵便法改正の審議お願いしているものでございます。  なお、その背景につきましては、近年、アフリカ等の開発途上国を中心に偽造切手の発行、流通が増加しておりますし、またこのような料金納付手段に関する違法行為に対して世界的に協調、協力していくことが合意されたからというものでございます。  また、先生御指摘のとおり、国会で確認をしていくということではございますが、それを超えまして、今回の郵便法改正案は、郵便切手や料金計器の印影の偽造を禁止して、簡便な郵便料金納付手段を確保することによって郵便料金の適正な納付を確保し、ひいては郵便事業の健全な経営を、運営を図るものでございます。  また、単にその内容を確認するだけというのではなくて、罰則をもって保障するという意味、点で極めて重要なものでございますので、是非、よろしく御審議のほどをお願い申し上げる次第でございます。  以上でございます。
  87. 弘友和夫

    弘友和夫君 よく分かりました。  次に、これも先ほど来出ております人勧の問題について、今、この先ほど自民党行政改革推進本部等でも、公務員制度改革に関連しての、関連して、警察官また自衛官を除く一般公務員スト権などの付与を検討するという、先ほども出ておりましたけれども、そういう報道もなされております。  今のこの時代的な流れとして、この公務員労働基本権を認める方向にあるという流れになっているわけでございますけれども、これが、これが認められるということはもう本当に大変、今までずっとこういうこの認めるべきだとかいう論議の中で、本当に果たして私は実現する方向にあるというのかどうなのか、ちょっと政府考え方についてお伺いしたい。大臣答弁願います。
  88. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) この新聞記事に関しましては、これは日本経済新聞十月十日付けの朝刊の記事のことを言っておられるんだと思いますが、報道に関して全く承知をいたしておりません。政務調査会長を二年半前までやっておりましたから知らぬはずがなかろうと言われるかもしれませんけれども、多分、政務調査会も余り分かっておらぬと、知らなかったというところまでは分かっております。  公務員労働基本権ということなんだと思いますけれども、これは、今もう弘友先生おっしゃったとおり、先ほど高嶋議員の御質問にもありましたけれども、これはそんな簡単に、じゃ、やります、何とかやりますとかいうような話じゃなくて、これはかなり慎重な論議がなされないといかぬところだというのは当然のことだと存じますが。
  89. 弘友和夫

    弘友和夫君 私も、すぐにどうこうなる問題でもないと、流れ的にはそういう方向にあるんではないかと。ただ、それを、この人事院勧告制度というのが、そういうものは労働基本権を制約したそれの代償措置として人勧制度というのがある。だから、もう流れ的にはそういうものはあるけれども、実際はそういうことが実現するまでにはやっぱり人勧制度というのは代償措置としてきちっとやはり機能していかなければいけないというふうに考えるわけですけれども。  そういう意味で、今回非常に困難、財政事情が厳しい中で政府勧告の完全実施を内容とする給与法を提出したということは、後で給与法の審議ありますけれども、高く評価すべきじゃないかなというふうに考えますが。  労働基本権制約の代償措置としての制度基本的性格について、改めて政府のお考えをお伺いしたいというふうに考えます。
  90. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) 基本的には労働基本権というものを、この公務員の役職上ある程度の制約は免れないだろうということは今でもそう思っておりますが、これは他方、公務員の場合も勤労者という立場でありますので、生存権等々いろいろ保障されてしかるべきところがありますので、この労働基本権の制約に見合います分というのがいわゆる人事院勧告制度という代償措置が設けられたという、今設けられている背景だと思いますので、ここのところは大事なところだと思っております。  特に、公務員の勤務の条件等々につきましては、これは交渉制度というのが設けられておりますので、昨日も総務省と官公労との間でやらしていただきましたけれども、いわゆる職員団体といろいろな形で話合いを行って意思の疎通をきちんとしていかねばならぬというように努めてきたところであります。  したがいまして、この制度の枠組みというものは、これはもうかなり長い間積み重ねてきた話でもありますので、それなりの国民の支持もいただいておるというように理解をいたしておりますので、これを変更するというような話になった場合には、これは世論をよく踏まえまして、よほど慎重な議論をしていただかにゃいかぬところなのではないだろうかというように考えております。
  91. 弘友和夫

    弘友和夫君 それに関連しまして、私も昨年の十一月に、きちっとした評価をすべきだと。その中で俸給の調整額制度というのが設けられている、これで、この調整数の設定が非常にアンバランスじゃないかと。例えば、刑務所の医師の方が調整数四で海上保安庁の特殊救難隊が三だと。機動救難士というのはゼロだと。また国立ハンセン病療養所の病理細菌技術者が六で感染症研究所は一だと。こういう同じような、またそれ以上に危険だと、困難を伴っているのにかえって低いだと、そういうアンバランスがあるんじゃないかなということで、これを見直すべきだと、こういうふうに質問させていただきましたけれども、いまだに見直されていない。  今回の給与法改正は五十年ぶりだと、こういうふうに、大きな改正だと、大改革だと、こう言われているんですけれども、それにも入っていないということで、これはやはり、昨年の答弁でもきちっとこれは検討しますと、鋭意検討しておりますと答弁されておりますけれども、いまだに見直されておりませんが、これについてお答えいただきたい。
  92. 佐藤壮郎

    政府特別補佐人佐藤壮郎君) たしか、確かに昨年の十一月のこの委員会給与制度の、失礼、基本構造の見直しの中で検討をさせていただくというお約束をいたしました。それにもかかわらず今回の勧告に伴う報告書の中には全く触れていないということについてはおわびを申し上げたいと思います。  ただ、決して検討をサボっていたわけではございませんで、給与構造の見直しの中で個別具体的に並行していろいろな職種について調整数の在り方について検討をしております。  これからの予定でございますけれども、全部というわけにはいきませんけれども、少なくとも弘友委員の御関心の深い海上保安庁の案件につきましては、来年の四月をめど、ちょうど、もし今回で、今国会でお認めいただければ給与構造の見直しの実施も四月に予定しておりますけれども、その時期に合わせて海上保安庁の案件につきましては調整数の見直しというものを実現したいというふうに思っております。
  93. 弘友和夫

    弘友和夫君 海上保安庁の部分見直しについては来年四月実施したいということについては大変結構なことだというふうに思いますけれども、その指摘したそこだけじゃなくて、やはり全体的に俸給表をいじって、そのベースが変わっていろいろ変わるわけですから、この調整数というか、これについても全体的にやはりきちっと見直す必要があるんじゃないかなと。  やはり人事院制度というのがそういう公正中立な第三者機関、先ほど来お話ありました。やっぱり片一方では制約、公務員の方されているわけですから、やはりきちっと、そうであるならばこの人事院が本当に公正中立できちっとした見直しと、見直しというか、この公平な判断をしていかなければこれは成り立たないというふうに思いますんで、是非全体的な見直しもやっていただきたいというふうに思います。  次に、それに関連しまして、今総人件費の削減、これも先ほど出ましたけれども議論が出ております。私はこの削減について、非常に、改革をしていくということは非常にいいことなんですけれども、例えば一律に一割カットですよとか、片一方が一割だったら次は二割ですよとか、バナナのたたき売りみたいにただ一律一割だとか二割だとか、そういうことではやはりいけないんじゃないかなと。やっぱりきちっと、私は、一つは、公務員の方の仕事の内容を把握をして、そして、ここはむしろ増員しないといけないとかあるかもしれない、ここはもう削減を大幅にしようだとかいうことが一つと、それからもう一つは、総定員法の対象外になっている独立行政法人とか特殊法人、これのやはり廃止とか業務の削減ということも大事じゃないかなというふうに思うわけです。これにはあれが入っておりませんので、是非そういうこともきちっと見直しの中に入れていただきたい。  麻生大臣委員会審議等で日本国家公務員の数は別に多くないんだと、先進国の中では少ないんだということを率直に語られておるわけですけれども、やはり国家公務員の定員削減ということを問題にするんであれば、じゃ、政府の適正規模というのは大体どれぐらいなんだとか、また何をもって政府の規模というのを測るのか、まあ大きな政府、小さな政府と論議ありますけれども、そういうやはり基準なりというものが大事なんじゃないか、確定しておく必要があるんじゃないかなというふうに考えておりますけれども、お考えをお聞かせいただきたいと思います。
  94. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) 今お話がありましたように、千人当たりの、人口千人当たりのいわゆる中央政府の職員数というのは、日本は二・八人。フランスの二十八・八人、アメリカの四・二人等々に比べまして、まず間違いなく少ないことは確かでありますし、日本より少ないのはドイツの二・二人であります。また、人口千人当たりの公的部門というので見ますと、これは中央政府プラスいわゆる地方政府、中央プラス地方プラス政府関係法人というのを入れますと、日本は三十五・一人。フランスの九十六・三、アメリカの八十・六、これは警察官とかああいうのを全部含めましての数字になります。そういった数字を見ますと、間違いなく決して大きいということにはならぬのではないかというような感じがいたしております。  ただ、行政コスト削減という話の中に、今特殊法人の話をされましたけれども、この特殊法人の話に関しましては、確かに、昨年末三十二法人から二十二法人までに再編をさせていただいたり、約八千三百ぐらいの役職員をいわゆる非公務員化するなどというようなことにしておりますし、今年も更に二十四法人というものについて見直しを行うことにしておりますんで、いろんな意味でそういった形の方向で事は動いていると思いますけれども。  どの程度のものが最も適正かというのは、これ、なかなか議論の分かれるところだと思いますが、少なくとも昔は政府でやらなければできなかったもの、例えば御出身地の北九州で一九〇一年官営八幡製鉄所でありますから、それが後は民営化され、まあその他いろいろな官営でやったものを逐次民営化していったわけですから。  そういった意味では、日本としては、いろんな意味で民でできるものがいいというのは、僕は民がすべて正しいと言うつもりは全くありませんけれども、民でやった方がより良いというものは民でやっていかれるべきものなんだと、私どもはそう思っておりますんで、今後この点についてはどれを見直すべきなのかといって外にアウトソーシングする部分等々いろいろ諮問会議議論がなされていくところで、私ども、一律削減なんというヒラメの目みたいな話は駄目ということで、増やさにゃいかぬ部分もありますんで、何は増やす、そのためにはここの部分はやらなくていいというものを決めてもらわない限りは、役人にただ一律減らせなんといったって、それは全く仕事にはなりませんと、ただ行政サービスの質が落ちるだけですから、それは駄目ということを申し上げておりますんで、きちんとこの種の話は諮問会議の中でやらしていただかねばいかぬところだと、に参画をしてまいりたいと思っております。
  95. 弘友和夫

    弘友和夫君 是非改革はもちろんスピード感を持ってしないといけませんけれども、やっぱり内容をきちっと吟味して、やるべきことはきちっとやらないといけないわけですから、是非仕分をしていただきたいなというふうに思います。  最後に、時間がございません、先ほど来これも出ておりますけれども三位一体改革の中で、要するに二兆四千億、まあこれはまだ未解決の部分ありますけれども、あと六千億だと。その六千億について、地方は約一兆円規模のものを出したんですよ。だが、なかなかこれが、先ほどゼロ回答だという話ありましたけれども、非常に難しい。まあ地方の言っているのが、じゃ、全部この内容を見たらこれは納得できるのかというとそうでもない部分もあるし、だからといって、じゃ、ゼロ回答で六千億何もありませんよという、そんなことも許されないことだというふうに思うんですけれども。  その中で、地方が要求していなかった例えば生活保護部分がありますよね。これについても、やはりその六千億の中でどうなっていくのかという部分ですけれども、厚労省が生活保護費及び児童扶養手当に関する関係者協議会というのでいろいろ検討されていると。例えば、まあこれは決まっているわけじゃないでしょうけれども、医療費の三割負担は生活保護のその人にも出してもらいましょうとかまあいろいろ検討はされているようであるんですね。だから、そういう六千億の中でどういうこれ位置付けに生活保護費そのものというのは政府としてするつもりなのか、地方は要求してないわけですから。そういうことだとか、その内容的なものについてどう考えられておるか、ちょっと時間もありませんけれども、お伺いしたいと思います。
  96. 中村秀一

    政府参考人中村秀一君) 生活保護の問題でございますが、今委員から御紹介がございましたように、昨年十一月の政府と与党の合意に基づきまして、四月から、本年四月から生活保護費及び児童扶養手当に関する関係者協議会で御審議いただいておりまして、国と地方役割費用負担の在り方について幅広く御議論をいただいております。明日もこの協議会開かれるということで、また十一月一日にも協議が予定されているところでございます。  今委員からお話がございました例えば医療との関係でございますが、今生活保護費全体で、国全体、二五%は都道府県、市に御負担願っておりますが、それも含めまして年間二兆五千四百億円使っておりますが、実は医療扶助というのが半分以上、一兆三千億円が医療扶助になっております。これに対しまして介護の扶助、介護保険の方の扶助は四百五十一億円ということで、医療扶助が介護扶助の三十倍になっております。介護は五兆円、医療費は三十兆円でございますから、一対六の関係でございますのに、医療扶助と介護扶助は三十対一ということで、医療扶助が非常に生活保護で多いということでございます。  これは、介護保険の方はまず介護保険で見ていただいて、利用者の方の一割負担、それから被保護者の方の保険料負担は介護保険の方で見ていただいていますが、医療費の方は全部国民健康保険の方で持つようになっているというこの制度の違いが、かなり生活保護の方にどっと医療扶助が来るのと、介護扶助の方は四百五十一億、医療扶助一兆三千億円に比べて、そういう違いになっている。  ここのところ、生活保護の立場から見て、生活保護の方はゴールキーパーでございますので、まずフォワードやフルバックの方で返してもらえば生活保護まで来ないわけでございますが、医療については、フォワードやフルバックがなく、ゴールキーパーのところに直接球が飛んできてると、こういう状況でございますので、そういったこと、この生活保護見直しの中も、地方団体の方から御意見いただいて他制度との関係について議論しようということがございましたので、前回資料をお出しし、医療扶助というのが割合生活保護の中で半分以上を占めておる大変な問題だということを御紹介した中で、我が国の医療は国民皆保険制度基本としており、被保護者もその中で対応するという考え方もあり得るが、それについてどう考えるかという問題提起をさせていただいたところで、委員から御指摘ございましたように、今これ、協議続いているところでございますので、厚生労働省として生活保護を全部国民健康保険で持っていただくというような具体的提案をしているわけではございません。協議中でございます。
  97. 弘友和夫

    弘友和夫君 終わります。
  98. 吉川春子

    ○吉川春子君 日本共産党の吉川春子です。  指定管理者制度についてお伺いしたいと思います。  二〇〇三年の六月に、地方自治法二百四十四条の改正で指定管理者制度がつくられました。この制度は、公の施設の管理、運営に民間事業者の参入を認めるものです。直接的には、総合規制改革会議中間取りまとめにあるように、より広範囲に民間委託を実現するため、一定の要件で決定権を含めた管理委託を民間事業者に対して容認できるように検討せよという提言に基づいて、民間事業者のビジネスチャンスを拡大すると、そういうことをねらいとして導入されたものではないのかと私は思っております。  公の施設というのは、住民の福祉を増進する目的を持ってその利用に供するための施設と定義されておりまして、保育所、老健施設、病院、会議場、公民館、図書館、都市公園、公共下水道、小中学校など、非常に広範なものです。福祉や教育は公設公営を原則として、戦後民主主義のルール確立の中で国、地方自治体の仕事とされてきました。営利企業は利潤を上げることが法律上の目的です。地方自治の目的とする住民の福祉の増進と相反する場合が多いのは当然のことです。  公共財産は住民のものであって、営利企業に引き渡すということは基本的には許されないのではないかと思いますが、基本的な見解について大臣にお伺いいたします。
  99. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) 私どもは、基本的に、住民からのニーズ、希望が極めて多様化してきているんだという大前提を私どもはまず置いて、それに対していかに効率的、効果的に対応できるかというのは課題だと思っております。  具体的な例を申し上げた方がよろしいかと思いますが、例えばプール、体育館、学校が休みの土日は閉まっております。学校が終わりまして夕方五時からは閉まっております。学校が始まります前の何時も閉まっております。そういった間、プールというものは、税金を使って造られたプールが、少なくとも指定管理者という形で開放することによって、夏の間そのプールを、極めて、フィットネスクラブだ、何クラブだ、スポーツクラブだ、いろんなものあろうかと存じますが、そういったものに開放するというのは、土地の有効利用ということを考えましても、また市民の税金で造ったものを他の市民、使っていないときに市民に開放するということは、決して間違った方法ではないのではないか。  有効利用という点を考えていただいたら、そちらの方は、それを、じゃ役人にそれがやれるかというと、それまた別のお金をちょうだいすることになる。超過勤務手当、全部いただくことになる。しかし、民間にやってもらいさえすれば、それは民間は自分たちでクラブの入会金幾らかを取って、入りたい人をやらせて、結果的にそれなりに民間の方はそれなりに利益を得るということになろうかと思いますので、少なくとも造られた施設は有効利用されるという点におきましては、私どもとしては、一つ考え方としてそういう考え方は取られるということは十分可能なのではないかというのが大前提だったと思いますので、財政負担の軽減の点からも私どもとしてはその指定管理者制度というのを考えたところであります。
  100. 吉川春子

    ○吉川春子君 私は、公営プールをもう四六時中利用していますので、こんなものはフィットネスクラブに渡さなくても、もう、例えば東京都でも立派にやっていると思いますので、プールの論争はまた別の機会にいたしますけれども。  例えば、千葉県では、〇四年九月、県の外郭団体である千葉県身体障害者福祉事業団が運営している千葉リハビリテーションセンター、重度障害者の生活施設である鶴舞荘を、と読むんだと思うんですけど、固有名詞ですが、〇六年、指定管理者制度民営化し、通所型の授産施設である、加曽利更生園と読むんでしょうか、を廃止し、民間移譲するなどの計画を打ち出しました。三施設は、職員四百二十名、利用者年間十七万人、県の財政負担二十億円となっています。これに対して、事業団当局は〇四年十二月に県職労に対して全面的合理化計画を提案、内容は、職員賃金を二〇%削減人員削減、職場の実態無視の、処遇の質の確保を無視した経費削減目的とするものでした。  さらに、広島では六月十日に指定管理者制度の新方針を発表し、千五百施設に指定管理者制度導入、来年四月にそのうち二百四十七施設を公募することを決定いたしましたが、これに対して、広島市議会では、指定管理者導入の基本方針について、議会、市民に対して十分説明理解が得られたとは言い難いなどの意見書が付されました。  そこで伺いますけれども指定管理者制度は、こうした例にも見られるように、住民の福祉、労働条件の切下げをもたらすものがかなり含まれるんじゃないかと思います。その点についていかがですか。
  101. 高部正男

    政府参考人高部正男君) 先ほど大臣からお答え申し上げましたように、指定管理者制度というものは、従前の公の施設の管理委託について……
  102. 吉川春子

    ○吉川春子君 制度はいいです。
  103. 高部正男

    政府参考人高部正男君) はい。それで、こういう状況の中で、公の施設につきましても効率的、効果的な運営というのが求められているというふうに考えるところでございます。そういう中で、公の施設についてどのような形でどう運営していくか。あくまでも、この管理委託の制度は、指定管理者の制度は、公の施設の設置の目的を効果的に発揮するのに必要と認めるときはそういう制度を使うことができるということでございますので、こういう制度の中でそれぞれの団体が工夫してやっていかれることではないかと、かように考えているところでございます。
  104. 吉川春子

    ○吉川春子君 要するに、経費節減ということが前面に出てきて、福祉とか労働条件とか、そういうものの切捨てに走っている各例を今挙げたわけなんですけれども。  例えば、指定管理者制度の導入に当たって、総務省の通知で複数事業者による競争で事業者選定を指示しています。公募か非公募かは自治体の判断にゆだねられている。また、これまで社協、公社公団などの公的セクターが指定されても、委託料が大幅に削減されて賃金引下げになり、三年、五年でまた公募が行われるということになりますので、労働者の労働条件の不安定化にもつながっていくわけですね。指定がもしその次なされなければ、真っ先に解雇されるのが臨時とかパートとかの労働者です。労働者の雇用継続というものがこの指定管理者制度の中で保障されていないんじゃないか。  総務大臣、お伺いしたいんですけれども、指定されているか否か、そこで働く労働者の雇用が問題になるんですが、雇用の継続という点についてはどのようにお考えですか。
  105. 高部正男

    政府参考人高部正男君) この指定管理者の制度は、公の施設をどのように効果的に運営していくかという観点で地方団体の選択肢を広げている仕組みになるわけでございます。  御指摘のように、こういうことで指定をされる者が、変更することによって、御指摘がございましたような面でいろんな課題はあろうかと思いますが、この種の問題につきましては、それぞれこれまで財団法人等でやっておられた場合にはそれぞれの財団法人等といったように、それぞれの団体でいろいろ御工夫をいただくしかないというふうに考えているところでございます。
  106. 吉川春子

    ○吉川春子君 要するに、福祉の増進とか雇用の継続とか、そういうことよりも効率化、経費削減、そういうものが非常に前面に出ている制度で、それを全然否定されなかった、今の答弁の中でもね。そういうようなことが私はこの指定管理者制度の大問題だというふうに思います。  それで、これは大臣お答えいただきたいんですけれども、しかし、こういう問題があるにもかかわらず、さらに広範囲で抜本的な規制緩和、民営化を財界はねらっているわけですけれども、まだこれでも中途半端な民営化だという批判があると、これは成田横浜国立大学名誉教授が論文で書いていらっしゃいます。そのとおりでして、宮内義彦総合規制改革会議議長は、公共サービスの民間開放の促進として、道路、河川、港湾、下水道などいわゆる公物管理法に規定されているものにはいまだ制約が多く、制度が未整備なために民間開放を阻害しているとして見直しを求めております。経済財政諮問会議、〇三年十一月二十六日ですが。  政府は今後、公物管理法、特別法も見直しして、指定管理者の制度の対象にしていこうと、こういうものをしていこうと、そういうことまで考えているんでしょうか。今後の問題として伺います。
  107. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) 民間に開放することによって何が起きるかというと、基本的には競争が起きるんだと思います。競争が起きることによってコストが更に下がるということなんだと思いますんで、いろんな意味で、競争が起きないいう前提になりますとなかなか考えにくいところもありましょうし、いろいろな意味で、民間にできる範囲、公でなければできない範囲というものはいろいろ物によって違うんであって、一律に申し上げることは極めて難しいと存じます。  ただ、言われておりますように、今までこれは当たり前ということになったものを民にやった結果、その結果がどうなったであろうかといえば、少なくとも、電信電話公社に始まって多くのものは、民間に移された結果、電話料はこれだけ安くなり、鉄道も間違いなくあれ以後一回も運賃の値上げというものはなしというような事実を踏まえますときに、やっぱりこの経費というものを考えますときに、少なくとも、入ってくる税収は決められ、福祉が伸びるということになったら、いかに効率化をよくやっていくかという件に関しては、配置換えを含めて抜本的な見直しが必要なことははっきりしておると思っております。
  108. 吉川春子

    ○吉川春子君 NTT、JRも事故率が物すごく高くなっていって、ああいう大事故も結果として起きたと。NTTは、働いている人たちがどういう過酷な運命に遭っているか、現役の年金まで大幅に切り下げられているかと。これはまた別のところでやりたいんですけれども、そういうものが犠牲になって民営化というものが行われてきたということだけ指摘しておきますが、今の答弁の再度確認したいのは、政府は今後、公物管理法、道路法、河川法、港湾法、下水道法など特別法も見直し対象にしようと、そういうふうに考えているのかどうか。局長、どうですか、そこまで考えているんですか。
  109. 高部正男

    政府参考人高部正男君) 私がお答えする立場にあるかどうか分かりませんが、自治、地方自治の世界でいいますと、公の施設について管理委託という、指定管理者という制度を設けたところでございます。それ以上の問題についてどうするか、現在私も直接所管しておりませんけれども、市場化テストといったような議論がなされているやに承知しておりまして、そういう議論の中でどこまで、どういうことを目指していくのかということが議論されていくのではないかと考えているところでございます。
  110. 吉川春子

    ○吉川春子君 全く否定されない、もうこれは非常に重要な問題だと思いますね。  それで、最後に、もう時間がなくなりました、もう一点だけ伺いますけれども、公共物の民間への所有権移転まで今云々されているわけですね。規制改革の推進に関する第三次答申は、今後の課題として、公共施設の民間による管理・運営の推進、公共事業関係費の抑制が長期的に持続すると見られる中で、これまでのように公共施設は国や地方団体により設置され、管理されるものという基本認識を転換し、民間資金を活用した管理・運営を推進することが必要とされているということで、その後に、PFIを使った新規改築の建設だけではなくて、既存の公共施設の所有権の民間への移転、公有財産の企業所有もねらっているわけですけれども、こういうことまで政府検討しているんでしょうか、しようとしているんでしょうか。ここは、最後、大臣にお伺いいたします。
  111. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) 基本的には国民の安心、安全等々の大事なところを考えた上で、より効率的なものを考えるのであれば、聖域なくありとあらゆるものを考えてしかるべきだと思っております。  ちなみに、先ほど水道と言われましたけれども、イギリスでいえば、イギリスのロンドン市内の水道局は、あれ、たしかあれはテームズ・ウオーターという株式会社でやっていると思いますけれども、そういったところでやっておりますことは事実でもありますんで、いろんな意味で、今後日本の新しい方向として、いろいろな意味で効率的に行政コストを下げるという観点から検討されるべきものだと思っております。
  112. 吉川春子

    ○吉川春子君 委員長、済みません。  時間がなくなりましたのでこれ以上議論ができませんが、大変なことを考えていると、公共財産をどう思っているんだと、税金で今まで造ってきたものを所有権まで含めて民間に明け渡すということも否定しないと。もう官から民へということは、本当に国民にとって大変な危害をもたらすということを指摘して、私の質問を終わります。     ─────────────
  113. 木村仁

    委員長木村仁君) 委員の異動について御報告いたします。  本日、尾辻秀久君、南野知惠子君、平田健二君及び矢野哲朗君が委員辞任され、その補欠として岡田広君、荻原健司君、小林正夫君及び野上浩太郎君が選任されました。     ─────────────
  114. 又市征治

    ○又市征治君 社民党の又市です。  提案をされております郵便法の一部改正については賛成であることだけ表明をして、大臣所信についての質疑をさせていただきたいと思います。  そこで、小泉総理はさきの総選挙で、郵政職員二十六万人を非公務員にしなけりゃ重税国家になると、大変なデマ宣伝に等しいこうした宣伝をなさった。昔、ナチスの宣伝大臣ゲッベルスというのは、うそも百遍言えば本当になるという、しきりに言ったんですが、それみたいな話なんです。  そこで、大臣にお伺いを改めてしておきますが、公務員実態一番よく御存じなわけですから。郵政職員の給与原資が一体何であるのか、税金は一銭も投入されていない、前にもそういう御答弁があったと思いますが、その点を改めてお伺いすると同時に、こうした総理自ら国民にデマ宣伝なさるようなことに対して正確にこの事情をお伝えになってきたのかどうか、改めてお聞きしておきたいと思います。
  115. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) 郵政省の職員、いや郵政省じゃない、郵政公社職員二十六万二千人、ゆうメイト十一万八千人だと思いますが、その人たちの給与が、直接税金で賄われず、いわゆる官営事業であります郵便の売上げの中から賄われておるということは事実であります。また、その点に関しても、間違った認識を総理が持っているとはとても思えませんし、御自分で担当の大臣もしておられましたので、よくお分かりのところだと存じます。
  116. 又市征治

    ○又市征治君 まあ、知った上でそういう宣伝をしたということでしょうね。  そこで、今度は、郵政民営化の次は公務員だと、こういう格好にねらいが定められているようでありまして、今日、小泉政権のリストラ政策の下で社会の格差がかつてなく拡大をしてきている。国民の中に大変な、そういう意味では不満や不平が渦巻いているという実態。そこに、この公務員攻撃で正にそうした不満をそらそう、こういうことにあるように思えてなりません。本当は、正にこうした社会的な格差が拡大をしておるから、公的サービスによってセーフティーネットを確保、拡大をするということこそが今社会的には求められるんだと思うんですね。  ところで、総務省は欧米先進国の公務員数の比較資料を出しておられますね。地方公務員を含めた日本公務員数は人口千人当たり三十五・一人だと。フランスの約三分の一、米国やイギリスの半分以下と、こういう数字が発表されておりますけれども。  そこで、総務大臣にお伺いしますが、それでも日本公務員の数が多いんだという、こういう見方を政府全体としてはしているということですか。
  117. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) 基本的には、この数字は何回となく経済財政諮問会議で出させていただいた数字でありまして、事実でありますし、一般の国民の中でも、えっという感じの数字だと思いますけれどもね。日本の場合は、特に自衛隊員、海外でいえば軍人の絶対数がこれに比較しても少ない形になっていますんで、その分を引きましてほかと計算してみても、やはり日本の場合はいわゆる税金で飯を食っているという感じの方は少ないということになろうかと存じます。  ただ、いろんな意味で、これは感情論として、国民から見ました場合に、人口が多分、今年十月一日、国勢調査をさせていただきましたが、まず今年、来年をピークに人口が減るという中にあって公務員は増えるというのはなかなか難しい、感情論としては。やっぱり減るという方向であり、またその方向で、いわゆる、何という、町村合併等々も行政コストを下げる一環として行われておりますので、いろんな意味で、国民の意識としては非常にまだ公務員というのは非常に多いもんだと。これは国会議員の数を含めてそう思われていると思うとかないかぬと、私どもはそういう覚悟でもって臨まなきゃいかぬものなんだと、私自身はそう思っております。
  118. 又市征治

    ○又市征治君 大変大事な視点を大臣から出していただいたと思います。やはり正確に国民に事情をやっぱり知ってもらうということが大事なわけで、だからこそ一番冒頭に私は、そういう政府、総理自らデマ宣伝するような話はやめてもらわにゃいかぬ、国民の中に逆の意味で不信だけが起こってくると、こう申し上げているわけであります。  公務員の数だけの問題でいうならば、それこそ国家公務員の中で自衛隊が六割を占めるという、こんな格好になっているわけで、頭数だけ問題なんじゃない、さっき大臣もおっしゃいましたけれども、仕事はどんどん一方で増やしながら、片一方で一割減らせ、二割減らせという、こういうやり方があってはならない。そして、少なくとも良質な公務サービスというものをどう確保していくのかということがますます、今大臣からありましたように、少子高齢化高齢化だけがどんどん進んでいく、人口は減っていく、こういう時代にあって極めてこの公務サービスの中身が問われてくる、こういうことなんだろうと思うんです。  そこで、公務員制度改革を言うんならば、まず人件費だとか、あるいはこの人数の問題以前に、これは何度も問題になってきているんですが、高級官僚の天下り問題であるとか渡り鳥の問題、あるいは幾らか改善されたとはいいながら、まだまだ高額の退職金の問題であるとか、天下りした先の特殊法人や独立行政法人における無駄な事業であるとか、官製談合、こういったものを、利権にメスを入れるということが非常に大事だと。一般公務員の問題とは全く別に、ここらのところはまず大前提にやらなきゃならぬと、こう思うんです。  ところが、政府は逆に、公務員制度改革大綱路線で、天下りを温存して各省大臣によるお手盛りを制度化する方針を出していた。しかし、その後大変厳しい批判を受けたわけですが。  そこで、行革事務局に伺いますが、この行革大綱路線というのは、これは引っ込めたというふうに考えてよろしいですね。
  119. 上田紘士

    政府参考人上田紘士君) 退職公務員の再就職問題につきましては、様々な方面から強い批判がございます。これに対応して、政府でどうやったらいいかということをいろいろ取り組んでおりまして、例えばこの一年間で申しますと、昨年の十二月の行革の方針の中で、退職年齢の、早期退職をできるだけ少なくをするということに引き続き取り組みましょうということをやっております。それから、これは営利企業ではございませんけれども、国と密接な関係を有するいろんな公益法人等の役員に就任する場合には、これを内閣に報告をしてもらうと、こういう制度をこの四月から始めております。  こういった取組もやりながらでございますが、既に昨年でございますが、これは国会の与党でございますが、いわゆる再就職の問題については、行政とそれを支える公務員への信頼を確保するために、内閣が国家公務員の再就職を一元的に管理すべきという申入れを受けているところでございます。こうした状況も踏まえて、公務員制度改革を今後詰めていく中で検討してまいりたいというふうに考えております。
  120. 又市征治

    ○又市征治君 与党内からもこれは随分と批判があったんですよ。そういう意味で、こうした天下りの問題というのは今年の三月にも総理が決算委員会で、まるで次官がそのまま自分のところの特殊法人に天下りするなんということは一切やめますという問題などを答えているわけで、ちょっとあなたの今の答弁、納得がいかないんですが、先に進みます。  この問題では、特に中島前人事院総裁のときに随分と人事院側ともやり取りをいたしました。その際、中島さんは、国民のやっぱり天下り批判、これに正面からこたえなけりゃ公務員制度改革とは言えない。具体的には、役所から公社公団への再就職も国民の批判の対象であるから、これを何とかしなけりゃならぬということを繰り返し、人事院という立場から、公務員制度を守っていく立場からおっしゃっておったわけでありますが、その後、道路公団の官製談合が公正取引委員会に告発をされるという大変な事態が起こった。国民の怒りは非常に高まって、こうした特権官僚に対する批判が随分と高まってきているわけですね。  こうした局面を受けて、天下りの規制強化の問題について、これは総務大臣はどのようにお考えになっているか、この点の見解をお伺いしたいと思います。
  121. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) 特殊法人等々のいわゆる天下りにつきましては、今お話がありました、あれは中日本でしたっけ、高速道路株式会社の話だったと、あれです、記憶しますけれども、特殊会社につきましては、国家公務員法の百三条というのによりまして、あそこは営利企業ということに扱われておりますんで、これはいわゆるこの法律の規制の対象となっているところであります。そういった意味では、昔はもう全く問題なかったところだったんでしょうが、きちんとした対応が出てきたということだと思いますんで、大分この種のことに関してはきちんとした対応が取られるという方向になりつつあると、私どもはそう思っております。  ただ、私どもは、一番懸念いたしますのは、こういったようなものを、天下りをしないといって定年ぎりぎりまで全員雇うということになりますと、よほど人事院辺りと給与の計算をしないとコストはえらい高いものになるということは、元経営者としてはそっちの方が気になるところでありまして、天下った方が国の歳出全体としては安くなるという話やら、いろんなことを考えないと、これは又市先生、これはどっちが高いかよく計算したことありませんから、こんなたくさんの数計算した人おりませんので、実質問題分かりませんですよ。  だから、そういった意味では、一概に駄目と言った結果、全員六十何歳までいられた場合のコストというのはえらいことになりゃせぬかなという感じだけはするんです。したがって、それはどこか全然別のいわゆる給与体系というものなりなんなりを考えるということにしませんと、簡単におまえ駄目と言った後、ずっと年金もらえるまでの間どうやってつなぐかという話は、かなりな難しい問題を抱えているということも頭に入れておかないといかぬところなのではないかという感じがいたしますんで、基本的によくいわゆる天下りというものに関しましては御批判のあるところでもありますし、事実、批判になってもしようがないような事実も幾つも起きてはおりますけれども、傍ら、今申し上げた点も考えて対応せねばならぬ問題だと、基本的にはそう思っております。
  122. 又市征治

    ○又市征治君 今おっしゃった問題についてはちょっと見解を異にいたしまして、県庁や、あるいはここの東京都でもそうですけれども、みんな基本的にはやはり定年まで働くということが原則になっているわけですね。天下りの問題でいうならば、それは大変な莫大な、むしろそこで給与をもらうというシステムになっているのが多い、これはもう今までの中で明らかになっている。今日はそれ以上突っ込みません。また改めて大臣議論さしていただきたいと思います。  次に、最近、企業経営者の側から公務員攻撃が非常に強まっている。企業の賃金をもっと下げたい、それには公務員人事院勧告が邪魔だと言わんばかり、こういう感じがしてならぬのですね。  そこで、人事院民間賃金調査についてお伺いをいたしますが、企業規模で百人以上、事業所規模で五十人以上の常勤社員の実態調査というのは、公務職場の規模と比べてもむしろ少ないくらい、こういう感じがしないわけじゃありませんが、あわせて労働基本権の代償措置と、こういうこともありますから、これは当然のことだと思うんですね。これを何だろうと下げろというのは、むしろこの論理からいって、これはとんでもないおかしな話ということで、人事院はそういう立場を取ってないということを、お取りだろうと思います。  またもう一方で、嘱託や派遣や契約社員といった身分不安定な低賃金で働かされている非正社員を含めて比較しろと、こういう話がまた出てきている。これはもっと言うならば、低賃金の方に合わせなさい、平均化しなさい、こういう意図なわけであって、これも今ほど申し上げた論理に反していくということだと思うんですが。  したがって、人事院はこれらの圧力に屈することではなくて、先ほども出ましたが、一九六五年以来、もう四十年にわたる、長年にわたって積み上げられてきた確立したこの比較制度、このことをしっかりとやっぱり踏まえて、むしろこれを国民、勤労者のスタンダードとして示していくような、こういう姿勢こそが求められているんだろうと、そう思います。そうでなければ、むしろこの労働基本権の代償措置としての人事院機能あるいはそうした代償措置、そのことが壊されてしまう、こういうふうに思いますが、この点について人事院総裁のしっかりとした御答弁をいただいておきたいと思います。
  123. 佐藤壮郎

    政府特別補佐人佐藤壮郎君) 先ほど藤本委員の御質問にもお答えいたしましたけれども、確かに四十年前の企業規模を含めた官民比較方法というのは、その基本部分については四十年間変えていないわけでございます。その間に、民間企業の在り方あるいは雇用の多様化等々、いろいろ周辺状況の変化がございますので、この時点で企業規模を含めた官民比較方法の在り方の妥当性について検証をするというのは、人事院勧告制度に対して国民の信頼を得るためにもやはり私は必要な作業だというふうに思います。  ただ、その見直しの作業あるいは検証の作業というのは決して公務員給与を下げるために行うわけではございませんし、当然のことながら非正規社員を入れるというふうなことは毛頭私どもの頭の中にはないということはここで明確にしておきたいというふうに思います。
  124. 又市征治

    ○又市征治君 時間が参りましたから、残りは給与法の段階でまた改めて議論させていただきたいと思います。
  125. 木村仁

    委員長木村仁君) 他に御発言もないようですから、質疑は終局したものと認めます。  これより討論に入ります。──別に御意見もないようですから、これより直ちに採決に入ります。  郵便法の一部を改正する法律案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  126. 木村仁

    委員長木村仁君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  127. 木村仁

    委員長木村仁君) 異議なしと認め、さよう決定いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後零時四十二分散会