○副
大臣(
西博義君) ただいま御紹介いただきました
厚生労働副
大臣の
西博義でございます。
本日は、
皆様方に、「
団塊世代対策等少子高齢社会の
課題について」という
厚生労働省の
資料を配付させていただいております。
その内容につきましては、三点ございまして、初めに、
少子高齢化の
進行によりまして
社会保障制度に関する給付と
負担が増加する見込みであることと、それから
社会保障制度の
改革の
状況を御
説明申し上げたいと思います。
続きまして、
高齢化の
進行は、
退職年齢の
見直し、それから
技能継承の問題などもこれ生じさせておりまして、特に
団塊世代が六十歳を超える二〇〇七年を
目前に控えて、
高齢者雇用などについて
対策を講じていることを御
説明申し上げます。
最後に、現在進めさせていただいております
次世代育成支援策、この三点について御
説明させていただきたいと考えております。
では、初めに一
ページをおめくりください。
まず、
少子高齢化の
進行の
状況について御
説明申し上げたいと思います。
お
手元に用意させていただきました
資料の一
ページでございますが、
我が国の
人口構造、この三十年。といいますのは、
左側の一九七〇年から現在に至るまでのこの間でございますが、
ピラミッド型、
左側の
ピラミッド型から釣鐘型へ変化いたしまして、今後、二〇二五年には
若者が少なく、
高齢者が大きな
割合を占めることがこの図から分かるわけでございます。
また、
高齢者一人を
生産年齢人口で支える
割合は、現在は三・四人で一人を支えている構図になっておりますが、二〇二五年には二人で一人を支えるという形になります。
なお、
出生率につきましては上のところに数字が挙がっておりますが、一九七〇年には二・一三でしたけれども、二〇〇四年は御存じのように一・二九となっておりまして、
人口を維持する水準二・〇八を大幅に下回っている現状でございます。
また、
人口ピラミッドの図の中には、一九四七年から四九年生まれのいわゆる
団塊の
世代、これを赤色で示しております。それから、一九七一年から七四年生まれの、これがいわゆる
団塊ジュニアの
世代というふうに呼んでおりますが、緑色で示しておりますが、この二つの
世代が
ピラミッドの中で大きく突出して、だんだんとこの
年齢が上がっていくという形が見えております。
それでは、次の二
ページに入りたいと思いますが、こうした
団塊の
世代につきまして、二〇〇七年と二〇一二年の
人口の推移を
資料二にまとめております。
ごらんいただけば分かりますように、
団塊の
世代は今正に六十歳を迎えて、さらに二〇一二年には六十五歳に達するということでございまして、一応、六十歳定年から年金の六十五歳に至るまでのこの推移が青のこの分布から赤の分布に年々移行していくということでございます。その
状況が
社会保障給付費の増加、それから
高齢者雇用等の問題に大きな
影響を与えていくということが見て取れるわけでございます。
三
ページに参ります。
続いて、
社会保障給付費の問題でございますが、
資料の三
ページにありますように、
我が国の
社会保障給付費は、制度の
充実とそれから
高齢化の
進行によりまして急速に増加しております。一九七〇年には三・五兆円であった
社会保障給付費は、二〇〇五年予算ベースで八十九兆円に増加しておりまして、
国民の
所得比で見ると五・八%から二三・八%に伸びているところでございます。
続いて、四
ページに参ります。
それでは、今後の推計でございますが、さらに、
社会保障の給付と
負担の見通しを
資料の四
ページ、それから五
ページが数値でございますが、この二
ページにわたってまとめさせていただきました。
給付費につきましては、二〇〇四年には八十六兆円、それで、
国民所得比で先ほど申し上げました二三・五%が、二〇二五年には百五十二兆円、
国民所得比で二九%になるというふうに見込まれております。また、同様に
負担についても増加しておりまして、公費と保険料でそれぞれ
負担しているということがこの表から明らかになっております。五
ページはそれの数値でございます。
五
ページを外して、六
ページに移らせていただきます。
参考として
国民負担率の国際比較をここに用意してみました。国によって年度はそれぞれ変わりまして、
日本が二〇〇五年、あとは二〇〇二年でございますが、
国民負担率の国際比較を見てみますと、二〇〇五年度の
日本の
国民負担率は三五・九%の見通しでございまして、アメリカよりも高くヨーロッパよりも低いという客観的な水準にあるわけでございます。
次の
ページの七
ページに行かせていただきます。
資料七
ページ、
少子高齢化の急速な
進行によりまして
社会保障制度の給付と
負担の増加が見込まれることを踏まえまして、
社会保障制度全般の
改革を目下進めているところでございます。
社会保障制度を将来にわたって持続可能で安心なものとするために、昨年は年金制度の改正、それから今年は介護保険制度の改正、来年度は医療制度
改革を断行するなど、歩みを止めることなく
社会保障制度の
改革を行ってまいりたいと考えているところでございます。
以上のような
社会保障制度改革と併せて、
人口減少社会において
経済社会の停滞を回避するためには、すべての人々が高い
意欲と
能力を持って様々な就業
機会に挑戦できる
社会の実現が必要であります。このために、
高齢者、女性、
若者への就業
支援といった、就業率を重視した政策を展開することとしております。
八
ページをごらんください。
とりわけ二〇〇七年には
団塊の
世代が先ほども申し上げましたように六十歳に到達するということから、
高齢者雇用対策について御
説明を申し上げたいと思います。まず、一、現状、それから二、基本的方向で、
高齢者雇用対策を取り巻く現状、それから
施策の基本的な考え方についてまとめております。
二〇〇七年には
団塊の
世代六十歳ということで、今後、労働力
人口が減少していくことが見込まれております。こうした中で、高い勤労
意欲を、就労
意欲を有する
高齢者が、
意欲と
能力のある限り
年齢にかかわらず働き続けることができ、
社会の支え手として存分に活躍していただけるような
社会の実現を図ることが
経済社会の
活力を維持していく上でも重要な
課題だというふうに考えております。こうした観点から、三の
施策の体系にお示ししております三本柱によって
高齢者雇用対策を進めようとしております。
第一に、
企業における年金支給開始
年齢までの雇用を
確保するために、昨年の通常国会において改正された高
年齢者雇用安定法によりまして、事業主は、年金支給開始
年齢に合わせて段階的に六十五歳までの定年の引上げ、それから継続雇用制度の導入等の措置を講じなければならないというふうにしたところでございます。
第二に、依然として厳しい
状況が続く中高
年齢者の再就職を
促進するために、公共職業安定所等におけるきめ細やかな職業相談、職業紹介、求人による
年齢制限の緩和に向けた指導を行っているところでございます。
第三に、
高齢期には個々の労働者の
意欲、体力等の個人差が拡大してまいります。また、雇用、就業に対する
ニーズも多様化してくることから、
地域社会に根差した臨時的、短期的な仕事等を
提供するシルバー人材センター事業の
推進や、中高
年齢者の創業に対する
支援等によって、多様な就業、
社会参加の
促進を図っております。
続きまして、九
ページは法律の
説明ですので飛ばさせていただきます。
十
ページです。十
ページに参ります。
一方で、
資料の十
ページにありますように、二〇〇七年以降、
団塊世代が六十歳に到達して引退過程に入ることは、熟練
技能者の
技能が継承されず失われていくおそれがありまして、このことが二〇〇七年問題として重要な
課題になっております。また、
若者のものづくり
技能離れが進んでおり、高等
学校卒業者の製造業への就職
状況は、就職者数、卒業者に占める
割合ともに
低下をしております。このような問題への
対応の遅れは、熟練
技能者の
能力の喪失により、
我が国の国際競争力を支えるものづくり
技能、現場力の喪失を招くおそれがあり、
技能継承、現場力の強化、また
若者を現場に引き付けるための
技能の
振興が重要だと考えております。
資料の下に具体的な
施策を
対策としてまとめております。
第一に、
技能継承、現場力強化の
取組に対する
支援でございます。具体的には、
技能継承等の
取組に関して
全国に相談窓口を設けることにより、総合的な情報
提供、相談援助を行うほか、中小
企業等の
技能継承、人材
確保の
取組に対して財政的な
支援を行うこととしております。
第二には、
技能の
振興でございます。
具体的には、ものづくり
技能の重要性についての
国民の意識喚起、
若者等に対する工場、訓練施設等の開放
促進、ものづくり
技能競技大会の
実施、顕彰等を行うということにしております。今後とも、こうした
施策を
推進することによりまして、
高齢者雇用や
技能継承等に関する
対策を
推進してまいりたいと思います。
次に、
少子化対策でございますが、
資料の十一
ページをごらんください。
冒頭に御
説明いたしましたように、
我が国の
出生率は年々
低下し続けておりまして、
少子化対策は
政府を挙げて取り組むべき重要
課題となっております。このため、
平成十五年に議員立法によりまして
少子化対策基本法が成立したのを受けまして、翌年には
政府として
少子化対策大綱を策定いたしました。また、次
世代育成支援対策推進法が成立したことを踏まえまして、昨年十二月には
少子化社会対策大綱の
実施計画である
子ども・
子育て応援プランを策定いたしまして次
世代育成支援に対する
取組を
推進いたしております。
このプランの詳細につきましては、
資料の十二
ページをごらんください。
このプランでは、これまで様々な角度から
少子化対策を進めてきたものの、
少子化の流れを変えるには至っていないということにつきまして、
一つ目には、高い若年失業者や雇用
機会の減少などに伴うニート、フリーターの増加など、
若者が
社会的、
経済的に
自立し、
家庭を築くことが難しい
状況となっている、それから二つ目には、長時間労働や育児休業を取得しにくい職場雰囲気の存在など、仕事と
家庭の両立
支援や働き方の
見直しに関する
取組が進んでいないこと、
三つ目には、
待機児童がまだ多数存在するなど、
子育て支援サービスがどこまでも十分に行き渡っている
状況とはなっていないことといった
社会的背景があるとの認識の下に、少子
社会対策大綱に掲げる四つの重点
課題に沿って
施策に取り組むことにしております。
特に、
高齢化に伴う労働力
人口の不足などに
対応するためには、若年者や女性の
役割がますます重要になってくることから、プランにおいても、
一つ、若年者試行雇用の
活用や若年者のためのワンストップセンターにおける、いわゆるジョブカフェですが、
支援の
推進、様々な
体験活動の
充実などにより、
若者の
自立やたくましい
子供の育ちを促すこと、二つ、一般事業主行動計画の
実施に対する
支援や
企業におけるポジティブアクションの普及
促進などにより働き方の
見直しを図るとともに、仕事と
家庭の両立
支援を進めることにより、男性も女性もともに
社会の中で個性と
能力を発揮しながら
子育てができるようにすることといった
取組を
推進しておるところでございます。また、
三つ目に生命の大切さや
家庭の
役割などの
理解を深める
取組、四つ目に
待機児童ゼロ作戦に加えて
家庭における育児を支える
地域の
子育て支援や児童虐待
対策など、すべての
子供と
子育てを大切にする
社会づくりなどといった従来より幅の広い
施策について、五年間の目標を掲げてその実現に向けて努力しております。
以上のとおり、
少子高齢化の
進行は多くの
課題を生じさせることとなりますが、
厚生労働省といたしましては、関係するあらゆる分野について積極的な
施策を講じることにより、
課題の解決に向けて
全力で取り組んでまいります。
以上でございます。ありがとうございました。