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2005-10-25 第163回国会 参議院 国土交通委員会 第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十七年十月二十五日(火曜日)    午前十時四分開会     ─────────────    委員氏名     委員長         田名部匡省君     理 事         田村 公平君     理 事         脇  雅史君     理 事         大江 康弘君     理 事         佐藤 雄平君     理 事         山本 香苗君                 岩井 國臣君                 岩城 光英君                 太田 豊秋君                 岡田  広君                北川イッセイ君                 小池 正勝君                 末松 信介君                 鈴木 政二君                 伊達 忠一君                 藤野 公孝君                 池口 修次君                 岩本  司君                 北澤 俊美君                 輿石  東君                 前田 武志君                 山下洲夫君                 魚住裕一郎君                 仁比 聡平君                 渕上 貞雄君     ─────────────    委員長異動  九月二十六日田名部匡省委員長辞任につき、  その補欠として羽田雄一郎君を議院において委  員長選任した。     ─────────────    委員異動  九月二十六日     辞任         補欠選任      池口 修次君     羽田雄一郎君      岩本  司君     加藤 敏幸君  十月十二日     辞任         補欠選任      岩城 光英君     中川 義雄君  十月十三日     辞任         補欠選任     北川イッセイ君     坂本由紀子君  十月十四日     辞任         補欠選任      坂本由紀子君    北川イッセイ君  十月十八日     辞任         補欠選任      岡田  広君     尾辻 秀久君  十月十九日     辞任         補欠選任      尾辻 秀久君     岡田  広君  十月二十四日     辞任         補欠選任      加藤 敏幸君     池口 修次君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         羽田雄一郎君     理 事                 田村 公平君                 脇  雅史君                 大江 康弘君                 山下洲夫君                 山本 香苗君     委 員                 岩井 國臣君                 岡田  広君                北川イッセイ君                 小池 正勝君                 末松 信介君                 鈴木 政二君                 伊達 忠一君                 中川 義雄君                 藤野 公孝君                 池口 修次君                 北澤 俊美君                 佐藤 雄平君                 田名部匡省君                 前田 武志君                 魚住裕一郎君                 仁比 聡平君                 渕上 貞雄君    国務大臣        国土交通大臣   北側 一雄君    副大臣        国土交通大臣  岩井 國臣君    大臣政務官        国土交通大臣政        務官       伊達 忠一君    事務局側        常任委員会専門        員        伊原江太郎君    政府参考人        外務大臣官房審        議官       高田 稔久君        外務大臣官房審        議官       杉田 伸樹君        国土交通大臣官        房長       春田  謙君        国土交通大臣官        房総合観光政策        審議官      柴田 耕介君        国土交通省総合        政策局長     竹歳  誠君        国土交通省土地        ・水資源局長   阿部  健君        国土交通省都市        ・地域整備局長  柴田 高博君        国土交通省道路        局長       谷口 博昭君        国土交通省住宅        局長       山本繁太郎君        国土交通省鉄道        局長       梅田 春実君        国土交通省自動        車交通局長    宿利 正史君        国土交通省海事        局長       星野 茂夫君        国土交通省港湾        局長       鬼頭 平三君        国土交通省航空        局長       岩崎 貞二君        航空鉄道事故        調査委員会事務        局長       福本 秀爾君        海上保安庁長官  石川 裕己君    参考人        西日本高速道路        株式会社専務取        締役       山本 正堯君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○理事辞任及び補欠選任の件 ○国政調査に関する件 ○政府参考人出席要求に関する件 ○参考人出席要求に関する件 ○国土整備交通政策推進等に関する調査  (鉄道航空安全対策に関する件)  (今後の社会資本整備推進に関する件)  (トラック事業・内航海運事業における原油高  騰対策に関する件)  (テクノスーパーライナーの現況と今後の取組  に関する件)  (地籍調査の現状と今後の取組に関する件)  (岸壁・海岸堤防・橋梁の耐震強化に関する件  )  (東シナ海における海上保安庁の警備の在り方  に関する件)  (日本道路公団民営化後の対応に関する件)  (道路特定財源及び自動車関係諸税見直しに  関する件)  (基幹道路・大規模造成地盛土補強対策に関  する件)  (ユニバーサルデザインによるまちづくりに関  する件)  (タクシー料金等事業運営適正化に関する件  )  (JR西日本福知山線事故調査体制に関する  件)  (鉄道災害復旧に関する件)  (アスベスト対策に関する件) ○建築物耐震改修の促進に関する法律の一部を  改正する法律案内閣提出衆議院送付)     ─────────────
  2. 羽田雄一郎

    委員長羽田雄一郎君) ただいまから国土交通委員会を開会いたします。  議事に先立ちまして、一言ごあいさつをさせていただきます。  去る九月二十六日の本会議におきまして国土交通委員長選任されました羽田雄一郎でございます。  甚だ微力ではございますけれども理事そして委員、そして並びに運営スタッフ皆様の御支援、御協力を賜りまして、公正な委員会運営に努めてまいりたいと存じます。  どうぞよろしくお願い申し上げます。(拍手)  この際、田名部委員長から発言を求められておりますので、これを許します。田名部匡省君。
  3. 田名部匡省

    田名部匡省君 一年にわたって委員の皆さんには大変お世話になりました。おかげさまで大役を果たすことができまして、この機会に厚く御礼申し上げておきたいと思います。  これからは遠慮なく、今度は委員立場で、ストレスも大分たまっておったもんですから十分やらせていただきますので、よろしくお願いいたします。  本当にありがとうございました。(拍手)     ─────────────
  4. 羽田雄一郎

    委員長羽田雄一郎君) それでは、委員異動について御報告いたします。  昨日までに、主濱了君、岩本司君及び岩城光英君が委員辞任され、その補欠として輿石東君、中川義雄君及び私、羽田雄一郎選任されました。     ─────────────
  5. 羽田雄一郎

    委員長羽田雄一郎君) 理事辞任についてお諮りいたします。  佐藤雄平君から、文書をもって、都合により理事辞任したい旨の申出がございました。これを許可することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  6. 羽田雄一郎

    委員長羽田雄一郎君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  理事補欠選任についてお諮りいたします。  理事辞任に伴い現在理事が一名欠員となっておりますので、その補欠選任を行いたいと存じます。  理事選任につきましては、先例により、委員長の指名に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  7. 羽田雄一郎

    委員長羽田雄一郎君) 御異議ないと認めます。  それでは、理事山下洲夫君を指名いたします。     ─────────────
  8. 羽田雄一郎

    委員長羽田雄一郎君) 国政調査に関する件についてお諮りいたします。  本委員会は、今期国会におきましても、国土整備交通政策推進等に関する調査を行いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  9. 羽田雄一郎

    委員長羽田雄一郎君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  10. 羽田雄一郎

  11. 羽田雄一郎

    委員長羽田雄一郎君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  12. 羽田雄一郎

    委員長羽田雄一郎君) 参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  国土整備交通政策推進等に関する調査のため、本日の委員会西日本高速道路株式会社専務取締役山本正堯君参考人として出席を求めたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  13. 羽田雄一郎

    委員長羽田雄一郎君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  14. 羽田雄一郎

    委員長羽田雄一郎君) 国土整備交通政策推進等に関する調査を議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  15. 藤野公孝

    藤野公孝君 おはようございます。自由民主党の藤野公孝でございます。  羽田委員長の下での最初、トップバッターということで光栄に存じます。よろしくお願いいたします。  大臣にお伺いいたします。  今日、十月二十五日でございます。百七名の死亡者と五百名以上の負傷者を出したあの大事故、四月二十五日でございましたけれども、ちょうど半年でございます。今日、そういう因縁めいたものを感じておりますが、約半年たちました。  一か月前の九月の二十五日には、大臣も御出席になりましたけれども、尼崎駅広場で、ここで慰霊祭と安全の集いが行われました。私も同僚議員と一緒に出席させていただきました。もう本当に、また改めて悲惨な事故のことを思いながら胸を痛め、本当にこのこういう大きな事故がもう二度とないようにということを願わずにはいられないわけでございますけれども、御遺族方々のお気持ちあるいは負傷者方々のお気持ち、まだまだ、半年たったからといって、今いえているものではございません。  こういうお気持ちにこたえるためにも、事故原因についてやっぱり徹底的な調査、追求をしなきゃいけないし、科学的、専門的な立場から明らかにしていかなきゃいけないと、こう思うわけでございますが、まあ事故調の、調査委員会からの最終報告はまだではございますが、ついせんだって九月の六日には、中間報告あるいは建議という形で、北側大臣にもいろいろ具体的なことについて、例えばATS等の機能の向上、あるいは事故発生時における列車の防護等、かなり細かい、すぐにでも手当てできる、あるいは準備しなきゃいけない諸施策についての建議もございました。これらを踏まえまして、もう大臣もいろんなところで何度も交通の安全大事だと、あるいはその遺族の、あるいは負傷者に対する最大限の支援が大事だということはずっとおっしゃっていますが、大変恐縮ではございますけれども、そのお気持ちを踏まえまして、もう一度ここの、ちょうど半年たった今日ということで、今後の鉄道安全対策、この福知山線事故に対しまして、対応についてのお考えをお聞かせいただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
  16. 北側一雄

    国務大臣北側一雄君) 今年の四月の二十五日の福知山線のこの大惨事からちょうど半年がたちました。改めて百七名のお亡くなりになられた皆様の御冥福を心からお祈りを申し上げたいと思います。二度とこのような事故は起こしてはならない、改めてそういう決意をさしていただいております。  今委員もおっしゃいましたように、一番大事なことはこの事故原因徹底解明をすること、これが最も大事なことであると思っております。今、事故調査委員会が懸命にその調査に当たっているところでございますが、直接の原因はもちろんのこと、その背景、要因までさかのぼって全体像について明らかにしていただきたいと思っております。事故調査委員会の人員につきましても、決して十分とは言えないところがあるわけでございまして、この事故調査委員会の組織の拡充をしっかりさしていただきたいというふうに思っているところでございます。  また、JR西日本におきましては、五月三十一日に安全性向上計画という再発防止策を取りまとめていただきました。この再発防止策安全性向上計画をしっかり実行していただきたいと思っております。  実を言いますと、今日からJR西日本の本社に対しまして鉄道局近畿運輸局合同監査にも入らせていただいております。この計画がきちんと実行されているのかどうか、今後とも厳しく監視をしてまいりたいと思っております。また、事故調調査結果、この結果が出るまでにはまだ時間が相当掛かると思います。その結果を待つまでもなくやらねばならないことはたくさんあります。事故調から建議もちょうだいしておりますが、その建議で指摘されたことはもちろんでございますし、その他調査結果を待つまでもなく、やるべきことにつきましては全力を挙げて今取組をさせていただいておりまして、法令等の改正についても今検討しているところでございます。また、私ども行政在り方についても見直すところがないのかどうか検証をしているところでございまして、そうした体制についても、この際、是非見直しをさせていただこうということで今検討を進めているところでございます。  いずれにしましても、二度とこうした事故がないように全力を挙げて取組をさせていただきたいと決意をしております。
  17. 藤野公孝

    藤野公孝君 本当に大臣の今のお気持ち行政一体となって再発防止のための具体的ないい施策が出ることを心から期待するわけですが、私も慰霊祭の後、現場にも行きましてお花もちょっと供えたり、その後、福知山線に乗って宝塚までちょっと乗ってみましたんですが、ダイヤ等あるいはスピードが少し前よりは少しゆっくりめなのかなと思ったりとか、ダイヤも非常にちょっと、見ましたけど、そんなに三十秒とか一分を争うような乗換えみたいなのは何か変わっているように思いましたので、ああやっぱりかなり無理な、あるいは無理なというか競争競争ということでやってきたんだなということを改めて感じまして、それがもう既に直されているのかなと思いながら、こういう二度と事故が起こらないためのいろんな施策を今後とも打っていただきたい、二度とこういうことがないようにという思いを強くした次第でございます。  鉄道に続きまして、航空につきましても、大臣もこの委員会で何度もヒューマンエラー問題等について、どうしてこんなに続くんだろうというふうなことで、一生懸命やっているんだけどというふうなことでおっしゃいましたけれども、このヒューマンエラーの問題、エアライン、パイロットあるいは管制官、いろんなところで今年、本年一月以降、また四月には羽田管制ミスというふうなことで、航空全体の何かたがが緩んでいるのではないかというような感じ利用者国民一般にまあ広がるのではないかという懸念が一番これ怖いなと、こう思っておったわけで、でも幸いにして死亡事故に至るようなところまでには至っていないということはまだ大変ラッキーなことではあったわけですけれども、よく言われるように、こういう小さなトラブル、小さなというか危機一髪のトラブルがいずれは大事故につながるというようなこともよく言われておりまして、この委員会でも指摘されたところではございますけれども、この予兆段階から適切な対応をしておかないと、本当に取り返しのつかない事故になるよということでいろいろな手を打っておられると思います。  航空局長にお伺いいたしますが、この御巣鷹山の事故、私ちょうどそのころ大臣秘書官をやってあの御巣鷹山にも行きましたけれども、あれから二十年、まあ大きな事故がないということで、本当に日本航空の安全については世界にも誇るべきものだと思っておるわけでございまして、しかし、今もうそれが薄皮一枚でちょっと危ないなというようなところまで来たわけですが、更にこれをまた元のような安心感、安全の航空ということに戻していかなきゃいけないと思うわけですが、これらの一連トラブルを踏まえまして、今後の航空安全対策につきましての御決意をお伺いしたいと思います。
  18. 岩崎貞二

    政府参考人岩崎貞二君) 先生御指摘のとおり、航空輸送の安全をきっちりやっていかなきゃいけないと改めて思っておるところでございます。特に、まあ変な言い方ではございますけれども、この間の一連トラブルを十分に教訓にしてきっちりした対策を立てていかなきゃいかぬと、このように思っておるところでございます。  具体的に申しますと、一つは、これも先生今御指摘いただきましたように、この間のトラブルヒューマンエラーが何か多かったというのが特徴でございます。国土交通省として、航空業界全体として安全意識徹底を図る、あるいは安全管理体制の充実を促すと、こうしたシステムがつくれないかというのを勉強しているところでございます。  それから二つ目は、私ども行政でございますけれども、どちらかといいますと今まで事故が起こった後、対応ということが多かったわけでございますけれども、もちろんそちらの面も充実していかなきゃいけないとは思っておりますが、あらかじめいろんなトラブルの情報などを集めまして、事故予兆段階で的確に、そしてトラブルを起こさない、未然に防止するといった対策が取れないかというふうなことも勉強しているところでございます。  また、航空会社に対する監査体制強化、こうしたことも充実していきたいと思っているところでございます。  また、あわせまして、管制官につきましてもいろんなトラブルミスがございました。それぞれのトラブルミスについての再発防止を行うとともに、どうもうっかりしたミス、思い込みによるミスが多かったものですから、そうしたものを全般的に対応できないかどうかということで、今全国的な監査及び調査を実施しているところでございます。  こうしたことを行いまして、航空輸送の安全を是非取り戻していきたい、このように思っているところでございます。
  19. 藤野公孝

    藤野公孝君 今、私がちょっと申し上げたのは、ある意味じゃ甘い言い方をしたのかもしれません、大事故に至らなくて良かったねみたいな。正にこの良かったねぐらいの感じの積み重ねが危ないというところでございまして、本当に今いろいろ御答弁いただきましたけれどもエアラインそれから行政一体となって、もう一回本当に原点に戻ってといいましょうか、よく言われる言葉ですけれども、昔の日本航空の社長さんが言われた、憶病こそ最大の宝物であると、やっぱり憶病であるということが非常に安全のために大事だと私は思っておりますので、よろしくお願いいたします。  大臣にもう一回だけお伺いいたします。  今の安心、安全の問題、それからもう一つ国際競争力確保向上といったようなことが私は国土交通行政にとって本当に、この二十一世紀の初頭の国土交通行政にとって大変重要な課題であると思っておりますし、大臣が御就任なさいましたこの一年以上の期間見ましても、去年の九月以降、台風は来るわ、地震はあるわ、それから事故はこういうことで起こるわということで、本当に大臣も御苦労なさいまして、それだけ見ても、大臣のお気持ちの中に今の安心、安全の確保国づくりということと、それからもう一つ国際競争力、後で質問いたしますが。  こういうことを考えますと、今、公共事業の抑制といいましょうか、非常に国の財政状況を勘案するとそう大盤振る舞いもできない、あるいは景気対策の効果も疑問があるとか、いろんなことでずっとブレーキが掛かっているわけでございますが、国土交通省国づくりの本当に大事なところを担っておられる国土交通省といたしまして、先ほど、先ほどというかアメリカで、ニューオーリンズで大きなハリケーン水害事故、いまだにまだ復旧がおぼつかないというような状況でございます。あれは他人のことじゃありませんで、日本だって本当に危ないはんらん地域に多くの人が住んでおるわけでして、日本の方がもっと悲惨になるかもしれません、本当にあのくらいの台風が来たらですね。それで、最近のどうもハリケーンというか台風はだんだん質が悪くなる、たちが悪くなってきておるような気がしまして、どんどん、私の地元の広島の方でも宮島がもう何度やられましたか。それから、土砂崩れ等も本当にひどいのでございます。中国・四国地方だってそうでございます。  そういうことを考えますと、本当に今後の安心、安全の国づくり、あるいは国際競争力のために、例えば大都市圏環状道路とか拠点空港整備などいろいろやっていかなきゃいかぬ、公共事業推進しなきゃいけないということが少し、やっぱりまだ影が薄いというか声が小さいような気がして、それよりも財政再建であるとか、あるいは公共事業に対するそもそもの、何かもう大盤振る舞いの何かトラウマができているような、何かその反省ばっかりで、ちゃんとした手当てをしておかないと本当に今後の国民生活というものがおぼつかなくなっていくんじゃないかなという気がするわけでございますけれども国土交通省の一番の大事な私は仕事だと思うわけでございますが、今後の社会資本整備につきまして大臣のお考えをお伺いしたいと思います。
  20. 北側一雄

    国務大臣北側一雄君) この一年、本当に我が国国内におきましても国外におきましても、本当に災害が多い一年でございました。  元々、我が国というのは、歴史的に見ましても、また地理的、地形的にも災害の多い国でございます。だからこそ災害に強い国土をつくっていくというのは、これはもう今始まったことではなくて、昔から我が国政治の一番大事な課題であったと私は思います。国土交通省の役割の中でも最も基本的重要な責務が、安全、安心国土づくりをしていくということが国土交通省の最も大きな役割、使命であると思います。限られた予算の中で、やはりこの安全、安心確保していくための社会資本整備、ここは最優先の優先順位と位置付けてしっかり取組をしていかねばならないと考えているところでございます。  御承知のとおり、いったん災害が起こって大きな被害が出てしまいますと、その復旧や復興にどれだけ莫大な費用が掛かるか。そのことを考えましたら、財政的にも、そうした予防的な社会資本整備をしっかりしているということは、私は非常に大事なことだというふうに考えております。  また、これから我が国はいよいよ高齢社会、本格的な高齢社会を迎えますし、また人口減少社会に突入をしていくわけでございまして、そういう中にあって我が国がやはり活力ある日本であるためには、付加価値を付けていく、生産性を高めていかないといけないわけでございますが、そのためには国際競争力をやはり維持し向上させていくという観点が大事なことだと思います。  その観点での社会資本整備におきましても、まだまだしなければならないことがたくさんございます。今も御指摘ございました国際空港の整備もそうです、また都市部における環状道路整備もそうです。そうした国際競争力を維持強化していくことは、これは我が国のまさしく、これから高齢社会が到来しようと、人口減少社会が到来しようとも、我が国が活力を持った社会であるために極めて重要な整備でございまして、しっかり取組をさせていただきたい。安全、安心確保国際競争力向上、非常に国土交通省の重要なテーマ、社会資本整備をしっかりとその重要性を説明するとともに、優先順位を付けて整備をさせていただきたいと考えております。
  21. 藤野公孝

    藤野公孝君 力強い御答弁、本当にありがとうございます。  今大臣のお言葉からも出ましたように、少子高齢化の中での活力ある日本の社会の維持ということで、国際競争力、特に国際物流についてちょっと御質問させていただきます。  岩崎局長にお伺いしますけれども、郵政民営化に関しまして、私は郵政民営化の特別委員会委員もやっておりまして、どういう観点から賛成したかというと、最大の理由が、郵政民営化によって国際物流への郵政公社の進出ということが日本の経済の活性化あるいは国際競争力向上にもう非常に大きなメリットを及ぼす可能性があると、その可能性にかけて賛成をさせていただいたわけでございまして、これは国土交通省にとっても大きな私はポイントだと思うわけでございます。そういう意味でこの民営化法案は成立いたしました。  それで、つい先日ですが、十月の二十日に郵政公社が全日空と手を結ぶというニュースが出ました。これまでも生田総裁、いろんなところで、具体的な名前は言えないけれども国際物流会社ともいろんなところでネゴはしているが、ちょっと法案が否決されちゃったんでストップしたんだけれども、また今再開しているというような答弁を何度もされました。  しかし、具体的に全日空という話が出まして、二〇〇六年ですか、の四月に国際物流出られると。郵政公社がいよいよ仕事が開始できるというそのときを目指して今発表があったんだろうと、こう思うわけで、是非この両社の、新しい会社つくられるんだと思うんですけれども、プロジェクトがうまくいって、日本は三周後れだとかいろんなことを生田総裁からも聞きましたけれども、三周後れなんかじゃ困るんでありまして、日本の国内でもいろんなDHLとか黄色い車なんか一杯走っているのは事実でございますが、本当にこういうのを何とも思わなくなった日本が、私は最大の日本が駄目になった理由だろうと思うんで、頑張るというところがどうも今、日本は足りないと、こんな気持ちでおるわけで、是非頑張ってもらいたいと、こう思うわけでございますが、こういう今回の両社の提携に関しまして、国土交通省として、この国際物流への進出、どういう支援をしていこうとしておられるか、御答弁願いたいと思います。
  22. 岩崎貞二

    政府参考人岩崎貞二君) 国際物流、特に航空貨物についてでございますけれども、大変もう重要な役割を果たしていると思っております。  御案内のとおり、金額ベースでももう航空貨物が我が国輸出入の三〇%を占めておりますし、その伸びも最近十年余りで二倍になるといったことで、非常に急速に伸びております。しかし、残念ながら、我が国の航空会社と外国の航空会社のシェアを調べますと、外国の方が六〇%と上回っている。とりわけ小口のエクスプレスサービスというものにつきましては、今先生もお話がありましたとおり、DHLとかフェデックスとか、そうしたことが非常にシェアを拡大しているという状況でございます。  大変残念に思っておるところでございますが、今回こうしたこの国際物流の部門で外国の物流企業に伍して全日空と郵政公社が、我が国の荷主のための選択肢をきちんと用意するという意味で、こうした提携をしていくことは大変歓迎すべきことだと思っております。我が国の産業の国際競争力向上、豊かな国民生活確保にとって極めて重要な意義があると思っております。両社の提携について非常に期待をしているとともに、私ども国土交通省としてお手伝いできることがあれば頑張ってやっていきたいと、このように思っているところでございます。
  23. 藤野公孝

    藤野公孝君 今、航空の関係で、いろいろこれから、いろんな手を打っていかなきゃいかぬと思う、先ほどの拠点空港整備の問題も併せて、こういうソフト、ハード併せて一体的になって国際競争力向上をやっていかなきゃいけないと思うわけでありますが。  航空よりも、更に日本の経済の活性化、活力のためには、大半の物資というものを海上輸送、特に海上コンテナで日本は輸入して、また輸出もしているわけでございますが、この海上コンテナに関しまして、アジアと日本の結び付きがもう猛烈な勢いで今伸びておるわけでございまして、日本発のコンテナ貨物、どうも見ていると、アジアの大きな港で、トランスシップというんでしょうか、積み替えられて、要するにダイレクトで行かないで、そっちの方が機能がいいから、そこに日本がフィーダーになって積み替えられていくような荷物がどんどん何か増えて、ちょっと教えていただいたんですけれども、平成十年と比較して、今から七年前ですか、そういうトランスシップが五%ぐらいのシェアでまあ大したことないと思っていたが、今はもう一五%ぐらいになっている。  これをどんどんほっておいたら増えますよね。いや、これもいいじゃないかなんということを先ほどちょっと言いましたけど、こういういいじゃないかみたいなのが日本の根性がなくなってきた最大のあれだと思うんで、いいじゃないかじゃなくてよくないと言うと、私は思うわけでございますけど、やっぱりそれは日本原因があるから、競争力がないからそうなっているんだと私は思うわけでございますけれども。  どうしてそういうことになるかと。いろんな理由があるんでしょうけど、専門家の方々からのいろんなまた御指摘もいただきたいわけですが、一つは、日本のコンテナターミナルの機能というものがどうも少し劣化してきているんじゃないかと思うわけで、そのコンテナを扱う埠頭が、公社がやられるところ多いですね、特に中枢的なところ。この公社だから駄目かどうかですが、しかし、公社ということが一つの私はネックになっているんじゃないかというような気もしないでもないんですが。例えば思い切って民営化するといったようなこともお考えになってはどうかと、それでこのような五%から一五%にトランスシップがなるようなのを食い止めていただきたいという気持ちでおるんですけど、港湾局長さんに御答弁をお願いいたしたい。
  24. 鬼頭平三

    政府参考人鬼頭平三君) 今委員の方からお話のありました国際的な海上コンテナ物流の世界におきまして、特に近年アジアの域内において我が国の港湾も含めた港間の競争が大変激しさを増しております。  そういった中で、我が国の港湾が国際物流の大動脈である基幹航路ネットワークを維持をしていくためには、国際競争力強化すると、国際競争力向上強化することが喫緊の課題であるというふうに私ども認識をしてございます。このため、おおむね三年から五年でアジアの主要港をしのぐコスト、サービス水準の実現を目標に、現在、三大湾におきましてスーパー中枢港湾のプロジェクトを推進しているところでございます。今年度におきましては、民間のターミナルオペレーターが、まとまった規模のコンテナターミナルを一体的かつ効率的に運営をし、大量の貨物を扱うことによりまして、規模の経済を最大限に発揮をすると、そういう環境づくりを目指して様々な施策を講じているところでございます。  一方、今委員から御指摘がございましたように、このスーパー中枢港湾におきましても、七割を超えるコンテナ貨物が埠頭公社のターミナルにおいて取り扱われております。コンテナ物流を支える枢要なターミナルと言っていいと思いますが、先ほど申し上げましたようなスーパー中枢港湾の国際競争力強化を図るためにも、この公社ターミナルのより効率的な運営が不可欠となっております。  したがいまして、これら公社ターミナルにおいてコストの低減あるいはより一層の円滑なサービスの提供が可能になりますように、国といたしましても、港湾管理者と連携をいたしまして、埠頭公社の民営化も含めた抜本的な効率化策を検討する必要がある、さらに、そのために所要の支援措置を必要に応じて講じていくことも重要であるというふうに考えているところでございます。
  25. 藤野公孝

    藤野公孝君 もうあと時間が一分、二分しかなくなりましたが、最後に、これ簡単で結構でございますけど、私、今地方をいろいろ回っておりまして、原油価格の高騰によって特にトラック運送事業がもう本当に悲鳴を上げておるんでございまして、大臣もその辺はいろいろもう必死になって対応しようということで、経団連やら商工会議所等、荷主サイド、いろいろ働き掛けをなさいまして、理解を求め、その価格転嫁についての理解を求めて、いろいろこの窮状を何とかしようとされていると思うんですけれども、本当にめちゃくちゃな今原油高騰で、業界全体がもう費用増として、新たな費用として二千五百億円もの今負担しているというような試算もあるように伺っておりますけれども、時間がないのでもう簡単でいいですけれども、今本当に運送業界がこれで駄目になってしまう、中小企業が多いから本当にこれ体力がないわけですけれども、大きいところでうまくいっているところもあるんですけれども、中小のトラック業者が本当に今悲鳴を上げているこの状況につきまして、自動車局長の方からで結構でございますが、今どういう対応か、簡単にお願いいたします。
  26. 宿利正史

    政府参考人宿利正史君) 簡単にお答えをさせていただきます。  藤野先生御指摘のとおり、現在、全国で六万のトラック事業者が厳しい競争の中で仕事をしておられますけれども、この二千五百億円の原油価格の高騰は極めて深刻な影響を与えていると思っております。業界全体で経常利益が五百億に満たない業界で二千五百億でございますから、私ども、現状はトラック事業者の自助努力の限界をもはや超えているという認識を持っております。  そういう中で、今先生おっしゃったように、北側大臣自ら奥田経団連会長あるいは山口日商会頭に直接この厳しいトラック事業の窮状を訴えて、荷主の理解がより深く得られるようにお願いをしたと、こういう取組をしております。  今後、地方運輸局をフルに活用いたしまして、地方のレベルでも経済界、荷主に対する働き掛けを強化していきたいと思っておりますし、トラック事業特有の元請と下請の関係につきましても経産大臣と連名で指導の通達を出しておりますが、私どももそういう観点からも適切に対応していきたいと思います。  いずれにしましても、極めて重要な状況と課題であると認識しておりますので、精一杯頑張って対応したいと思っております。
  27. 大江康弘

    大江康弘君 おはようございます。民主党・新緑風会の大江康弘でございます。  久しぶりの質問でありますので、今日は欲張りまして随分多くの方々参考人として来ていただいておりますが、よろしくお願いを申し上げたいと思いますし、この一年間、田名部委員長には本当に経験豊かな中でしっかりと委員会を進めていただきましたことを感謝を申し上げたいと思いますし、同時に、今回、羽田委員長、若さあふれるこの羽田委員長の下でまた新たな委員会をやっていくということで大変期待をしておりますので、ひとつまたよろしくお願いを申し上げたいと思います。(「時間がなくなるよ」と呼ぶ者あり)質問の時間がなくなるということですが、今これで調整をしておるところでありまして、御心配いただきましてありがとうございます。  まず、北側大臣に少し、一、二点お伺いをしたいと思いますが、私はこの一年、北側大臣を見ておりまして、最初は隣におられる山本香苗理事のマインドコントロールに掛かりまして、北側大臣がいい北側大臣がいいということで山本理事から言われておりまして、今一年近くたって本当にそのとおりだなということを実は実感をいたしました。それは、何もお世辞を言うわけではなくて、大臣がいろんな大変な折に、この国土交通省、いろんな問題が起こってきた。航空関係もそうだし、先ほど藤野先生からも質疑がありましたJR西日本のあの宝塚の事故の問題、福知山線事故の問題。その時々の大臣の、我々はテレビを通してしか大臣の発言を聞く機会がないんですが、非常に時宜を得た、もう本当に、本来ならばもっとかばってやってもいいなと思うようなことでもはっきりと言われて指示を出されておったということに対して大変感銘を受けたわけであります。願わくば、十一月の二日にどんな改造があるか分かりませんが、引き続きひとつやっていただけたらというようなことを思いながら、ちょっと一、二点聞かしていただきたいというふうに思います。  実は私は、この国土交通省がやっておる仕事というのは大変大事な仕事であるというふうに今までも申し上げてまいりました。しかし、残念なのは、いわゆる政治と金、特に国土交通省公共事業の八割もやらなければいけない省でありますから、そこにいろんな政治家の政治と金にまつわる問題が、公共事業を通じて、国、地方問わず起こってきた。そのことが国民の皆さんの公共事業に対する一つの誤解というものの空気を生んできた、そんな原因ではなかったかなというふうに思います。誠に残念であります。  私は、扇大臣のときに実はこのことを聞きました。石原大臣のときにもこのことを聞きました。それは何か。いわゆる、これは今、政治資金の規正法で認められた法律でありますから、これは法律的な問題がないんですね、我々政治家がその法律を遵守をしていただく政治資金。  ただ、私は扇大臣に、やはり公共事業を受注する業者から政治献金をいただくというのはいかがなものか。それは、議員ならまだ百歩譲っていいとしても、私はやっぱり指名権を持っておるいわゆる自治体の首長、こういう人たちが非常に公共事業の受注業者から献金をいただいておる。私は、こういうことは自主的にやっぱり控えていくべきだ、やめるべきだということをずっと言い続けてきたんですが、扇大臣にこのことを聞いたら、たしか答弁は、法律が認めている現状では問題がないのではないかということを扇元大臣が答えられた。そしてその後、石原大臣になって私は同じことを聞いたときに、ただ一言、大江委員の見識です、これ一言であったんですね。まあそこまで言われればもう次が、もう二の句が出なかったんですが。  大臣、こういうことをやっぱり我々政治家、特にそういう指名権を持つこういう人たちというのは、自らをいさめながらやはり公共事業全般にとってどんな影響があるのかということをしっかりと考えてやっていく私は必要があると思うんですけれども、この点、大臣、どんなお考えをお持ちでしょうか。
  28. 北側一雄

    国務大臣北側一雄君) 大切な御指摘であると私は思います。  法律でどのように規制されているかは別といたしまして、やはりそのような立場にあるということを考えますと、当然、自らしかるべき自制をしていくというふうな姿勢があって当然だと思います。
  29. 大江康弘

    大江康弘君 大臣、ありがとうございます。このことはもうそれ以上聞きません。  第二点。  大臣、今、宿利局長がお答えになったんですけれども、いみじくも藤野議員からも質問がありました。私、少し、今朝ちょっとこの質問のことをお願いをしたので大変急なことであったんですが、やっぱりどうしても、今のこの時期においてやっぱり一言国土交通省としてのとらまえ方というものを聞いておかなければいけないという思いで実はこの質問をさせていただくわけでありますけれども。  今申し上げましたように、宿利局長からは自動車業界のことの話は今質問があったのでお答えを聞きましたけれども、やはり同じように私は内航海運、このいわゆる内航海運の業界も同じ悩みを抱えておるというふうにも思いますし、私は、やっぱり日本というのは戦略というものが本当にないなと。  実は、今年一月、アメリカのあのネオコンと言われる人たちの中の一人が、今年、原油は百ドルになるということを予想しておるんですね、今年の一月に。そのことをお読みになられたかどうか分かりませんが、やっぱりアメリカというのは一面すごい国で、こういう石油価格までも裏で操作をして、そのねらいは今どこにあるかと言われたら、中国がもう原油の四割も輸入をして、これからどんどんどんどん石油、いわゆるエネルギー戦略に手を掛けてきた。アメリカはそのことに対してどこかでやっぱりブレーキを掛けなければいけないという、そんなアメリカの国内の中での思い、これは政府の思いかどうか分かりませんが。しかし、現実に、今年一月に予想されたようにもう八十ドル近くになってきておる。幸い日本はまだ、石油の値段というのはドバイの価格だそうでありますから、いわゆるニューヨークの価格よりは十ドル安いというふうな取引だというふうに聞いておりますけれども。いずれ、あとこの二か月の中で百ドルということは満更うそでもない方向性でありまして、そんな中で、今、我々これ原油が八十ドル近くになってあたふたしておるんですけれども。  大臣、先般、奥田会長にも申入れをいただいたということでありますが、本当に中小零細の抱える運輸業界あるいはまた、今、内航運輸の業界、やっぱりこのことに思いを致したとき、いずれは、こういうことからいけば最終的には消費者にしわ寄せが来るということになっていくと思うんですけれども大臣のちょっと一つのお考えなりお気持ちを、この件に関して聞かせていただければというふうに思います。
  30. 北側一雄

    国務大臣北側一雄君) トラック運送業界におきましても内航海運におきましても、今御指摘のようにもう大半は中小企業でございますし、また零細の中小企業の方々がたくさんいらっしゃる業界でございます。今回のこの原油価格の高騰、一時的なものではなくて、どうもこれはまだまだ続きそうだと。下げていく要因というのが見当たらないというふうな状況でございます。  こういう中にあって、先ほど宿利局長からも答弁させていただきましたが、トラック業界また内航海運業界等に多大な影響を与えているところでございます。そうした状況について是非とも荷主側の皆様にも知っていただきたい、御理解をいただきたいと。個別の価格交渉に介入するということではなくて、今の状況がこんな状況で、なおかつ、これがまた一時的な要因ではなくて、下げる要因というのがなかなか見当たらないというふうな状況の中で、是非とも価格転嫁について御理解をいただきたいということで、経済団体のトップの方々とお会いをしたわけでございます。  これは、当面のこととしては、これはやはり価格転嫁ができるような環境、条件をつくって、最終的には当然これは消費者の負担になるわけでございますが、私はそれもこれはやむを得ないと思います。当面の対策としては、やはり価格転嫁ができることが非常に大事なこと、またその他、今いろいろ検討しているんですけれども、ほかに対策がないかどうか、何とかこういう中小企業の皆さんに支援できる対策がないかどうか、今検討をしているところでございます。  また、ちょっと長い目で見ますと、これからこういう状況というのは将来も十分起こり得るんですね。今は昔の石油ショックと違って石油はあるんです。石油ショックのときは石油がなかったんですね。石油は、油は十分にある。しかし、価格がどんどんどんどん上昇している。  そういう中で、今後の我が国の産業の競争力ということを考えたときに、これは中長期的な話ですが、やはり石油に余り依存しない体質をどうつくっていくのか、新たなエネルギーをどう考えていくのか、また省エネをどう考えていくのか、これは運輸業界としてもこういう状況の中で本当にしっかりと考えていかないといけないというふうに思っているところでございまして、例えばトラックにつきましては、省エネ体質の強化のためにエコドライブ管理システムというんですけれども、こうした省エネ機器の購入だとか、それから環境面から天然ガストラック等への車両代替への移行だとか、そうしたこの石油に依存しなくてもいいような体質をやっぱりつくっていかないと、これはこれからも先こういうことがやっぱり起こってくると思うんで、それをどうしていくかということも一方で大事なところであるというふうに思っております。  なかなか、できることというのは限られておるんですけれども、トラック業界、内航海運業界の置かれている今の状況というものを、本当に厳しい状況でございますので、できる限りの対策は精一杯取らしていただきたいと思っております。
  31. 大江康弘

    大江康弘君 大臣、ありがとうございます。  宿利局長、せっかく来ていただいたんで、もう答弁はいいですので、ひとつ決意表明、これから間に入って大変だと思うんで、ひとつ頑張っていただきたいと思いますので、決意表明、一言。
  32. 宿利正史

    政府参考人宿利正史君) 一生懸命頑張って対応したいと思います。
  33. 大江康弘

    大江康弘君 済みません。もうどうぞ御退席いただいて結構ですので、ありがとうございました。  次に、TSL、いわゆるテクノスーパーライナーについて聞かせていただきたいと思います。  これも最近新聞で見ましてもうびっくりしたんですけれども、私は、この衆参で島嶼議員連盟というのがありまして、そこの会員の一名で、島のことに関して少しばかり勉強もさしていただいておりまして、かつては和歌山も、「ここは串本向かいは大島」で、島であったんですが、今橋ができましてもう唯一離島というものがなくなりまして、ただやはり、この日本は、後ほどのEEZでまた海上保安庁のことで述べますけれども、やはりこの六千八百五十二ですか、島があって、そのうちの無人島が六千四百二十四、有人の離島が四百二十三という、これが世界で国土面積が三十九位であるにもかかわらず、今度は、EEZを含めれば第六位までこの海洋面積を加えた広さというものに貢献をしてくれているわけですけれども、やはり離島に住む皆さんは大変であります。  私は、先月、奄美に行ってきましたけれども、奄美行ったら、びっくりしたのはガソリンスタンドに価格の表示がないんですね。お互い競合をしておらないのかどうか分かりませんが、もう全くの表示がない。それで、今一か月前ですが、レギュラー幾らかと聞いたら、百五十三円だと言うんですね。ですから、当時、原油が高くなってこの本土でも百三十円台であったと思いますが、それでもやっぱり常々二十五円前後高いガソリンを買わされておると、これは今日はこのことは問題にしませんけれども。  やはり、そういう離島をどうしていくかという中で、いわゆる小笠原間にテクノスーパーライナーが就航するということを大変期待をしております。しかし、これが断念をされたということでありまして、ちょっと今日もう時間がなくなってきましたので、まとめて聞きますけれども、このTSLの現況と、そして、この目算が狂った理由というのは一体那辺にあったのかということをちょっとお聞かせをいただきたいと思います。
  34. 星野茂夫

    政府参考人星野茂夫君) ただいまTSLの状況につきまして御質問がございました。  小笠原航路におけるTSL運航事業は、船主でありますテクノ・シーウェイズという会社と運航者である小笠原海運との用船契約に基づいて、そもそもは民間の収益事業として取組が始まったものということでございます。ただ、昨今の、先ほど来お話があります急激な燃料油の高騰、これが背景となりまして、収益事業として民間ではなかなか採算ベースに乗りにくいということで、問題が表面化しているというのが現状でございます。  このため、一方で、今お話がありましたように、小笠原航路におけるTSLの運航事業については、東京—小笠原航路における移動時間の、現在約二十六時間掛かっているんですが、これが約十七時間に短縮するということで、極めて大きな地域にとっての意義があるという判断から、これはまあ、民間ベースではなかなか収支採算に乗らないので、国と東京都とでお互いにそれなりに支援するというスキームを構築して何とか実現に結び付けることができないのかという話を今年の春以降東京都と話を進めてまいりました。  それに向けまして、私どもとしても、一定の支援スキームを関係者の方々にも御提案申し上げ、そのスキームの前提にのっとって来年度の概算要求の中に小笠原航路に対する支援措置というのを要求として盛り込んだわけでございますが、一方で、これ、国と東京都の共同で支援体制を構築するという話でございまして、東京都として支援していただくという意思の表示が現状では現在に至るまでなされておりません。今お話がありましたように、数日前に東京都の都議会で本件についていろんな議論がございました。東京都の事務方の判断としては、なかなか東京都として支援に乗り出すのは難しいという御答弁があったように聞いております。したがって、状況は極めて厳しいんでございますが、私どもとしては、これから東京都と小笠原、現地の方々の話合いも持たれるかと思いますし、いましばらく東京都との対応については期待を持って見守っていきたいというふうに思っています。  ただ、今申し上げましたように、十八年度の予算措置、これがまあ、十一月中旬には東京都の原案が明らかになると思いますので、そこに共同で支援するとすれば何らかの予算措置が盛り込まれると。もし、盛り込まれるのか盛り込まれないのか、この辺を見極めた上で今後の対応について国としても判断をいたす必要があるのかなというふうに考えているところでございます。
  35. 大江康弘

    大江康弘君 これもやはり日本の海運技術の、日本が持つ海運技術の一つの結集がこのTSLになったわけでありまして、今御答弁がありましたが、やっぱり石原知事なんかはもう既に、こんなことよりももう空港を造る方がいいんじゃないかというようなことも表明もされたり、大変、我々期待をしておる者にとってはちょっと不安なというか、少し東京都の態度というのは、あのときにお互いが、国も都もそしてまた運営をする会社も寄って、将来的に原油の価格とかそういう一つのものも上がっていくだろうという、そういうことも私は計算をされ、予測をされたはずなんですよね。だから、本当に今の取り巻く環境だけが、赤字がこれだけ出るから就航できないんだということの理由だけで本当にこういう事業がやめられていいのかどうかということに大変疑問を感じております。  やっぱりお金という問題が一つの背景にありますけれども、どうかひとつ、これしっかりと都の方と話し合っていただいて、もう何とかこれ、時期はずれてもいいですから、実現をしていただきたいというふうに思うんですけれども、ちょっと一言だけ、今後の取組についてひとつ聞かせていただきたいと思います。
  36. 星野茂夫

    政府参考人星野茂夫君) ただいまのお話のように、私どもとしてもこの政策意義につきまして十分認識しておりまして、何とか地域の方々の思い、熱意というのが都の判断を動かしていただくことを極めて期待をいたしております。  そういうことで、今申し上げましたように、最終判断に至るまで、私どもとして取り得る努力は最大限取ってまいりたいというふうに考えております。
  37. 大江康弘

    大江康弘君 ありがとうございます。もうよければお引き取りをいただいて結構でございます。  次に、地籍調査についてお伺いをいたします。  これはもう大変ちょっと地味な作業であります。それだけに大変全国の自治体においてもばらつきが多いわけであります。北海道から沖縄を見ますと、やはり人口密度が多いところというのは非常にこれ権利関係が交錯しておって難しいという、これは分かるわけでありますけれども、しかしこれからやはりどんどん公共事業を進めたりという、あるいはまた災害を抱えて、災害があったときにその後の復興というようなことも含めたり、いろんな意味でやっぱりこれは土地の基本中の基本でありますから、やっぱりこのことを私はもう少し真剣に進めていただくということも考えていただきたいというふうに思うんですけれども。  この今低位の水準に止まっている理由というのは一体どこにあるのかということ、そして地籍調査というものがいわゆる各自治体で遅れているところは、一体遅れている理由はどこにあるのかということ。ちょっとこれ二つ、お答えをいただきたいと思います。
  38. 阿部健

    政府参考人阿部健君) お答えを申し上げます。  今先生御指摘のとおり、地籍調査は大変重要な意味を持つものでございます。土地取引の円滑化、あるいは境界紛争の防止、さらには公共事業推進、それから災害復旧の迅速化、こういったことにいろいろ役に立つものでございますが、ただいま御指摘のありましたように、平成十六年度末におきましてまだ全国で四六%にとどまっております。またさらに、そのうち都市部でございますと、それが一九%というような状況になっているわけでございます。  こういった理由といたしましては、一つは、地方公共団体におきます行政需要の多様化というようなことで、専門的な知識を必要とする地籍調査に従事する職員の確保というのが非常に難しくなってきているようなことが一点目でございます。  それから二点目は、地方公共団体の財政が非常に厳しい状況にありまして、なかなかその調査にお金を割けないというようなことがあろうかと思います。  それからさらに三番目でございますが、進捗が遅れております都市部におきましては非常に土地が細分化されておりますし、またそういう中で地権者の土地に対する権利意識が非常に強くて、他の地域に比べて調査により多くの時間を要しているというようなことが理由であろうかと考えております。
  39. 大江康弘

    大江康弘君 結局、今地方の分権と言われておって、地方の自治体がしっかりとその分権を受け入れられるだけの体力とかあるいはそういう一つの、技術面にしても何でもそうですけれども、やっぱり私は、こういうことにしても地方の自治体はもっと考えなきゃいかぬと。お金がないんだ、予算がないんだということではなくして、やっぱり地方の自治体ももっと前向きに、こういう技術面にしてもどんどんどんどんとやっぱり自らを高めていくことをしなきゃいかぬと思うんですけれども、どうもその点においてやはり地方の自治体というのは欠けておるというふうに思うんです。  ですから、勢い、国がやっぱりどういうふうに指導や助言をしてやるかということになってくるわけですけれども、いわゆるこの実施主体である市町村に対して、局長、どういうふうな助言や指導をこれからしていくのかということ、それと来年度の十八年度に進捗率というものをどの辺りに置いておるのかということもひとつ併せて聞かせていただきたいと思います。
  40. 阿部健

    政府参考人阿部健君) 今先生御指摘のとおり、地籍調査、これは正に市町村が実施主体となって行われる事業でございまして、これまでも私どもといたしましては、都道府県あるいは地方整備局もそうでございますが、一丸となりまして調査の意義、効果などを市町村に対しまして周知し、調査を是非促進してくださいというような働き掛けをお願いしております。またさらに、近年におきましては、私どもの職員が直接市町村を訪問して調査に対する理解を求めるなどの働き掛け、これを強化してきておりまして、こういった努力を引き続き継続してまいりたいと思っております。  なお、それを促進するための施策といたしまして、平成十六年度からは、進捗度の特に低い都市部等におきましては、まずもって、都市部において地籍整備の前提として必要な基礎的データを収集するための都市再生街区基本調査というようなことを実施しているところでございます。これが十八年度で一応最終年度を迎えるわけでございますが、こういった結果をベースに都市部の地籍調査を進めていくと。  それから、山村部におきましても、簡易な手法、地権者の立会いは必ずしも要らないような形でできるものがございます。そういった形で土地の境界を保全する山村境界保全事業というのもございます。  こういったことをそれぞれ積極的に推進することによりまして、地籍調査の一層の進展ということで引き続き努力してまいりたいというふうに考えております。
  41. 大江康弘

    大江康弘君 局長、これ大変な作業ですけれども、やはり先ほど私は前段に申し上げましたように、やっぱり公共事業を進めていくという部分の中で非常に大事な私は位置を占めておることだと思いますので、ひとつ頑張っていただきたいというふうに思います。  どうぞ、もうあと質問ありませんので、よければお引き取りをいただきたいと思います。  次に、この耐震強化、岸壁の問題と津波の堤防についてちょっとお聞きをしたいと思いますが。  かつて、災害は忘れたころにやってくるということわざがありましたけれども、昨今では、災害は忘れたいほどやってくると言ってもいいぐらい、もう本当にここ何年かはいろんな災害が来ておって、忘れるようなところまでいっておらないというのが実情であります。  しかも、これはもう私なんかの地元も関係あるんですけれども、三十年以内には東海地震が八四%、東南海が六〇%、南海地震は五〇%という確率で発生するんじゃないかと。宮城沖の地震なんか九九%というのは、もう本当に、もうあしたでもやってきてもおかしくないという、こういう数字がとにかくどんどんどんどん先行をして、そこに今言う忘れたいほど災害がやってくるから国民の皆さんの非常に不安をかき立てておるわけでありますけれども、今回、国土交通省も建物等につきましては一つの法案を出していただくことになっております。  ただ、私は、あの神戸の阪神大震災を見たときに、非常にあのときに活躍をしたのがこの岸壁だったそうであります。あそこの岸壁が強化をされて、そこの岸壁がいろんな機能を果たしたと。専門的に言えば四つの役割があって、セーフティー機能あるいはゲートウエー機能、そしてバイパス機能、スペース機能という、それぞれの機能を果たす中で復興に非常に強い一つの、何というんですか、役割を果たした、大きな役割を果たしたということを聞いたんですけれども。  そこで、今のそれぞれの港が抱える、これはバースのたくさんある、少ないによっても、これ改修率というんですか、補強率が違ってくるんですけれども、いわゆる今の時点において、岸壁のこの強化整備の具合がどういうふうになっておるのかということをちょっと港湾局長からお聞かせをいただきたいというふうに思います。
  42. 鬼頭平三

    政府参考人鬼頭平三君) 私も以前、北陸の地方整備局におりましたときに、やはり北陸の方では、災害は忘れずにやってくる、必ずやってくるというふうによく地域の方々が言われておられました。  今委員の方から御紹介のありました神戸の大震災におきましても、摩耶埠頭という埠頭が耐震強化をされておりまして、若干の変状はありましたけれども、すぐ応急復旧をしまして、発災直後の緊急物資の輸送などに大変役立ったというふうに私も記憶をしてございます。  今お尋ねのありました耐震強化岸壁でございますが、重要港湾を中心に全国で三百三十六の計画を私ども作ってございます。地域的なばらつきはございますが、全国平均で見ますと、その整備率はまだ五四%にとどまっているという現状にございます。
  43. 大江康弘

    大江康弘君 その数字を聞けば、それじゃ今後どうしていくのかということも併せてお聞かせをいただきたいわけでありますけれども、それに付随しまして、やはり津波対策としていわゆる海岸保全のこの施設、このことの耐震化という、いわゆる堤防をこれも進めていかなければいけないというふうに思うんですけれども、このことについてはどういうことになっておるのかというふうに思いますので、これも港湾局長ですね、お願いします。
  44. 鬼頭平三

    政府参考人鬼頭平三君) 先ほどお答えを申しました五四%という数字については大変低いというふうに各方面から御指摘をいただいておりまして、私どももその促進を図るために今耐震強化岸壁緊急整備プログラムというものを作りまして、その促進に鋭意努めたいというふうに思っております。  特に、お地元の東南海・南海地震に大変大きな災害が受けるというふうに想定をされている地域を始めとして、大規模地震の切迫度とかあるいは海上輸送への依存度を考慮した緊急性、そういったものを勘案しながら重点的な整備を図っていきたいというふうに考えてございます。  もう一点お尋ねのございました海岸堤防についてでございますが、地震が起こりました際に津波が併せて襲来をするというところも地域によっては大変懸念をされているところでございます。この耐震化につきましては、私どもと農林水産省さんが共同で昨年の五月に全国の調査をいたしました。そのうち約三分の一はもう既に耐震性が確保されているという結果が出ておりますが、残りの海岸堤防の大半は耐震性の調査ができておらないという結果になってございます。そういった状況も踏まえまして、私ども海岸の関係の部局が共同いたしまして、平成十七年度予算におきまして津波危機管理対策緊急事業というものを創設をいたしまして、海岸堤防の耐震調査について一定の支援ができるようになったところでございます。  私どもといたしましては、この調査の結果も踏まえまして、地震対策推進地域などにおける海岸堤防の耐震化を推進をしてまいりたい、かよう考えているところでございます。
  45. 大江康弘

    大江康弘君 ありがとうございます。  ちょっとこれハザードマップにしても今の言う調査にしても、結構自治体が本当にこれ未実施なところが多いんですね。やっぱりイロハのイでありますから、とにかくこれ調査だけでも早くさせるような、そういう指導というものをひとつやってほしいというふうに要望しておきます。  そして、谷口局長、この件に関連してですけれども、新潟地震であれだけの被害がありながらやはり橋梁の部分については非常に補強されておって、そういう被害が少なくてその部分の災害というのが、二次災害もほとんどなかったということを聞くんですけれども、やはりこの緊急輸送道路ですか、とりわけこの緊急輸送道路における橋梁の対策というものを、これも私はやっぱりしっかりとしていただかないかぬと思うんですけれども、この点についてちょっと簡単に答弁をいただきたいと思います。
  46. 谷口博昭

    政府参考人谷口博昭君) お答えいたします。  委員御指摘のとおり、大規模な地震発生時におきまして、救援活動や緊急物資輸送を行う上で道路交通確保は極めて重要であるということを認識しております。したがって、緊急輸送道路の橋梁の耐震補強を推進してきておるわけでございまして、その効果につきましては委員御指摘の昨年の新潟県中越地震においても検証されたところでございます。  これまで緊急輸送道路の橋梁の耐震補強につきましては、兵庫県南部地震におきまして、昭和五十五年の設計基準よりも古い基準で設計した橋梁に大きな被害があったということから、この基準より古い橋梁を対象に耐震補強を進めさしていただいております。これまでの実施につきましては、二次的被害の大きな跨線橋、跨道橋につきまして重点的に実施してきているということでございますが、直轄国道と都道府県管理道路の今時点の実施率は十六年度末時点で約五割というような水準になっております。  したがって、十七年度から十九年度を対象とします緊急輸送道路の橋梁耐震補強三か年プログラムに基づいて、この三か年で概成するというようなことで、県と連携しながらこの橋梁の耐震補強を重点的に実施をさしていただこうと考えているところでございます。
  47. 大江康弘

    大江康弘君 ありがとうございます。鬼頭局長、もうどうぞお引き取りをいただいて結構です。  次に、海上保安庁の問題であります。  いわゆる海洋権益についてお尋ねをしたいと思いますけれども、実はこの十月の二十九日に、我々議連をつくっておりまして、このガス田の視察に防衛庁のP3Cを借りて行くということになっておりました。ところが、昨日、防衛庁から、この同問題に関しては首相官邸主導で対応されており、視察に関しても防衛庁単独で判断、便宜を取り計ることは不可能である。まあ言えば、官邸がもうやめろと言ってこれ防衛庁が断ってきたんですね。  これ、中国との関係というものも一方では分かりますけれども、やはりこの日本の大事な先ほど言ったEEZのこの経済水域、そしてそこの日本の資源が侵されつつあるというところに、日本の国会の議員がこの現場を視察する、何も領空、領海を越えて中国や韓国に行くという話ではないわけでありますけれども、それさえもこれ官邸はやめろという、非常にナーバスに今なっておる。しかし、ナーバスになっておることと我々国会議員が責任を果たすということは別でありまして、もう大変このことに関しては、私はこの官邸の決定に対しては非常に憤りを持っておるわけでありますけれども。  外務省、済みません、遅くなりまして。ちょっと今この東シナ海の中国の動向について、分かる範囲でいいですから、簡単にちょっと教えていただけませんか。
  48. 高田稔久

    政府参考人高田稔久君) 東シナ海におきます中国の資源開発問題でございますけれども、現在、我が国が中国側に対しまして情報提供と開発作業の中止を求めております四つの構造がございます。これについて、中国側の開発の状況は次のとおりでございます。  まず、地下構造が中間線をまたがっている可能性のある樫ガス田でございますが、これにつきましては、去る九月の十九日、海上構築物がございますけれども、この構築物上において天然ガスの燃焼によると思われます炎を確認をしております。また、十月の七日には、同ガス田の付近におきまして、パイプラインの敷設船がパイプライン敷設作業を開始をしたということを確認をいたしました。  また、地下構造が中間線をまたがっている白樺油ガス田でございますけれども、これについては海上構築物が建設をされているということを確認をしております。  他の二つの楠及び翌檜ガス田でございますけれども、これについては海上構築物は建設をされておりません。
  49. 大江康弘

    大江康弘君 今の状況というのは、大体おおむね我々が報道等で見る限りであります。  そこで、海上保安庁の方でありますけれども石川長官、この海の警備というのは、いわゆる第一義的にはやっぱり海上保安庁がこれ行うということで間違いないですね。
  50. 石川裕己

    政府参考人石川裕己君) 御指摘のとおり、私どもは海上における第一義的な治安機関として行動しているところでございます。
  51. 大江康弘

    大江康弘君 そうしたら、今の海域の中で、例えば中国の艦船が、この間、日本の海上自衛隊が行ったときに、もう威嚇射撃じゃないですけれども、その艦船からいわゆる大砲を向けて、そういうような行動もしたということで、もう大変遺憾に思うわけでありますけれども、じゃそのときに、例えば日中の中間線の付近で中国の艦船が、今後日本の帝国石油がどういう試掘作業あるいは調査作業に出るか分かりませんが、そういう具体的な行動の中で中国の艦船がその作業を中断せねばいかぬという、そういうことを余儀なくされるような行動に出てきたときに、海上保安庁というのは一体どこまでの行動が取れるんですか。
  52. 石川裕己

    政府参考人石川裕己君) 外国艦船が試掘船に対して妨害行為を行う場合でございますけれども、御案内のとおり、国連海洋法条約というのがございまして、これによって旗国以外の国の管轄権は外国艦船に及びません。したがいまして、我が国の国内法令に基づく措置はとれません。  したがって、このために現場においてどういうことをやるかといいますと、妨害行為の中止を要求いたします。さらに、試掘船に危険が迫るなどの状況があった場合には、私ども海上保安庁が進路規制を行うというふうなことで妨害行為を阻止する措置をとることとなると考えております。
  53. 大江康弘

    大江康弘君 じゃ、そのときに、具体的にそれじゃそういう形で進んでおって、海上保安庁が今与えられたこの法律の中でのもうぎりぎりのところまで来たときに、それじゃ次はどんな行動になるんですか。いわゆる海上自衛隊呼ぶとか、いわゆる防衛庁と相談をしてというか、そういうことになっていくのか、そこらはどうですか。
  54. 石川裕己

    政府参考人石川裕己君) 今の御指摘の点は海上における警察行動でございます。したがいまして、私ども先ほど申し上げましたように、第一義的な治安機関としての責務を果たすべく国際法と国内法に基づいて精一杯の措置を講ずるということでございまして、今申し上げたことについて力一杯警備を進めていくということになると思います。
  55. 大江康弘

    大江康弘君 日本は警察行動と言ったって、中国なんかはこれ軍事行動なんですね。そこのところの境目というのがなかなか、日本日本的な理解をするからこれややこしくなってくるわけでありまして、私は、今日はもうちょっと時間がありませんからこのことを深く議論をするつもりはないんですけれども、いずれにしても、海上保安庁が先ほど言った世界で第六番目というこれだけのこの海域をまず第一義的に守っていかなければいけない。  今、聞くところによると、三百六十隻の艦船、何か一隻廃船になったということでありますから、この海岸線はどれだけあるかといったら、いわゆる三万五千キロあるんですね。ということは、艦船一隻が約百キロ見なきゃいかぬ。こんなことが本当に物理的に可能なのかどうか。そして、今言うようなこういう危険地域も抱えておるということの中で、イージス艦一隻の値段の予算一千七百億円、そのうちの一千億円は人件費ということになれば、あと七百億円しか、これいろんな整備、いわゆる船を買ったり、いろんなそういうものにしか使えないということになりますと、果たして、これは大臣にもお願いをしなきゃいかぬのですけれども、こういう値段でいいのかどうかという、金額でいいのかどうかということ。  やっぱりもう少し、私は、日本というのはやはり東南アジアに向けてもう少し海上保安庁というものをアピールしていく。それはやはり今、あの終戦、六十年前の戦争というものが非常にトラウマになっておって、やっぱり軍ということになれば非常にアジアの人々も抵抗がある。特に中国、韓国がうるさい。そんな中で、私は、海上保安庁が非常にソフトな部分で、マイナーであるけれども地道にやっておる部分は、私は東南アジアの国々にとっては非常に私はこれは貢献していると思うんです。  日本は一日に二十万トン級の石油を三隻入れなければこれ一年間運営できない。中東から九十日掛かるという。そうしたら、あの中東からここの日本まで九十日掛かるということは、今この瞬間に、三隻を九十掛けたら二百七十隻のタンカーが今日本に向かって、どんどんどんどんシーレーンを使ってこれ今来ておるということ。そのやっぱりシーレーンというものをどう守っていくのか。そこで、第一義的にやっぱり海上警察である海上保安庁が果たす役割というのは私は大きいと思うんですね。  それだけに、私はいま一つお願い、お伺いをしたいのは、いわゆるPSIの警備の訓練を各国とやってきましたよね、ここ何年か。私はやはり、この日本の貢献ということに関して、今伺えば、IMO、いわゆる国際海事機関が途上国の支援としてヨーロッパ地域に四か所こういう、いわゆるコーストガードをどうするかという支援センターを持っておるというんです。このアジア地域にはないんですね。私は、日本がせめてこういうことで貢献をして、非常にソフトな警察力を、それぞれのシーレーンを抱える、あるいは海賊テロだとか、あるいは今のそこにある危機に対応していくためには、やっぱり日ごろからお互いが信頼関係を醸成をしていかなければいけない。そういうことを考えたときに、今民間がアジア・コーストガード・アカデミー、こういうことを提唱しておる民間シンクタンクがあります。  私は、やっぱりこういうことに、外務省、このODAは軍へは使えませんけれども、こういう部分に関してしっかりと協力をしてやって、やっぱり日本の地位を高めていく、日本の信頼を高めていく、やっぱり日本がある意味においてリーダーになってそういう一つの貢献をしていくということを、私はこれこそがODAの仕事であると思うんですけれども、こういうことにこのODAのお金というのがこれ使えないのかどうか、ちょっと聞かせてもらえませんか。
  56. 杉田伸樹

    政府参考人杉田伸樹君) お答え申し上げます。  我が国にとりまして、南シナ海ですとか東シナ海といった我が国のシーレーンを確保するというのは非常に大事であるということは御指摘のとおりでございます。このような観点から、関係国の海上保安当局の能力向上を目的とした、ODAを活用しつつ我が国海上保安庁とも連携を取りながら様々な協力を実施してきているということでございます。具体的には、JICA事業として関係国の密輸、密航、海賊取締り能力の向上を目的とした海上犯罪取締りの研修の開催ですとか、海上保安専門家の関係機関への派遣等の協力を実施してきております。  御指摘のございましたODAによる研修センターの設置に関する御提案につきましては、まず、そのような施設の設置に関する関係諸国における具体的なニーズがあるかどうかと、こういうことを確認する必要があるのではないかなと、こういうことでございます。また、関係国の海上保安局の能力の向上を図る場合にも、先ほど申し上げましたような研修あるいは専門家の派遣といったように様々な方法が考えられるということで、施設を建設するということ、それが最適であるかどうかということを考えなければいけないということになります。  そういったセンターを設置することが費用対効果としていいのかどうか、あるいは当該国におけるその他の開発課題との間で優先順位がどうなっているのかと、こういった点を十分勘案して何が最適な協力方法かということを検討していくと、こういうふうになるのではないかなと思っております。
  57. 大江康弘

    大江康弘君 答弁をありがとうございました。  今改めて、日本の外務省というのは、これは頼りにならないなということを改めて感じた次第であります。そういう感覚だからこの外交というものに非常に私は日本が苦労しておる。隣におる山本理事がもっと外務省に長くおってくれてたらこんなことにはなっておらなかっただろうなと思いながら今の答弁を聞いておりましたけれども、本当にそのニーズがあるのかないかということよりも、もっと積極的に外務省がどんな貢献をできるのかということを私は考えてほしいと思います。ですから、もうこれは、今日はもう外務省には言いません、何を言ったってもう外務省は聞く耳持たぬですから。どうぞ、もう結構ですよ、お引き取りください。  それで、石川長官、今日は済みません、私、池口議員に言われて、しゃべり過ぎて本当に時間がなくなって。またこれ改めて議論もさせていただきますけれども、これから予算編成であります。  聞けば、艦船が油漏れで途中で帰ってきたというような艦船もあるということで、誠に気の毒としか言いようがない。今テレビなんかでも「海猿」というような番組で非常に海上保安庁が理解をされてきた。私は先ほどから言いますように、軍隊ではない、このソフトな警察力というものをどうやっぱりアピールをしていくのかということは非常に大事な時期でありますから、ひとつ大臣、このことも頭に入れていただいてひとつ御検討いただきたいということを思います。長官、何か、それじゃ一言。
  58. 石川裕己

    政府参考人石川裕己君) 今先生御指摘の件についてちょっと御説明させていただきますけれども、今年の七月、濃霧の三重県の熊野灘沖で発生いたしましたケミカルタンカーの衝突火災事故でございますが、そのときに、現場から一番近い尾鷲海上保安部の巡視船「すずか」というのが現場に出たわけでございます。これは昭和五十五年の三月に竣工して、船齢二十五年という船でございますが、これが現場に、もちろん近いところですから現場に出たわけでございますが、現場で対応中に右舷のメーンエンジンの潤滑油のパイプが経年劣化いたしまして破損いたしました。そのために、修理をするということで、その現場海域から離脱をするというふうな形になってしまいました。  このように大変、これは単なる一例でございますけれども海上保安庁の船艇、航空機、大変古くなってございます。したがいまして、私としても、この船艇、航空機の計画的な代替ということについて予算要求も、この部分については対前年倍の要求をさせていただいております。頑張っていきたいと思っていますので、どうぞよろしくお願いいたします。
  59. 大江康弘

    大江康弘君 このことに関しては私は与野党を超えての応援があると思いますから、ひとつ頑張っていただきたいというふうに思います。  ちょっと五分だけ時間をいただきました。  もうどうぞ結構です、外務省も石川長官もお引き取りください。  ちょっと最後に、道路公団とETCなんですけれども、もう時間がありませんので、ちょっと道路公団の民営化についての、それに関係する問題点を言わせていただきたいと思いますが。  今日はいろいろ、理事会で今日朝ありました、近藤さんがここに出てこれないという。どこに行ったのか。今日は石川県であいさつ回りだという。北国銀行の頭取、十一時、今ごろ会っている時分ですね。それで一時に北国新聞社の社長に会うと。そして三時半に知事に会うという。だからこの委員会には来れないという。まあばかにした話でありまして、十月一日に民営化になって初めてのこの参議院議員の、この国土交通委員会で、本来ならばしっかりとそのことに関してのやっぱり意思表明をして、やはり我々のこの議員の質疑に答えるべき責任があるのに、もう民間会社になったらこんなばかなことで、ほいほいほいほい飛び回って、こんなファクス一枚もって出てこれないという、こんな失礼なことを、今朝の理事会で申し上げて、問題にさしていただきました。これはまあまた別な部分でありますけれども。  民営化になったらやっぱりなかなか言いにくいところがありまして、この間事務所に来た、本州四国の連絡事務所から、大江康弘様といって、この弘が間違っているんですね。これ、国土交通省だったら呼んでけしからぬと怒るところですけれども、もう民間会社だったらこんなこと文句の言いようがない。まあとにかく腹の立つことばっかりですけれども、私は、これは大臣も含めて谷口局長にも責任がある。  それはなぜかといいますと、本当にこの民営化が語られたときに、日本のこのグランドデザインを作っていくその中で、道路というものに対するこのネットワークをどうつくっていくかというやっぱり国土交通省は今までその責任を果たしてきたし、今も果たしておる、そのことを本当にしっかり語ってきたのかという、私はその部分に非常に疑問を持っておる一人であります。  ですから、こんな形でその民営化がスタートして本当にこういうことでいいのか。あの有料道路制というのは、あのときの知恵で、お互い借入金をして、それをその受益者からいただいた料金で払っていくという、これ一つのすばらしい制度ではあったんじゃなかったんですか。それがいつの間にか、この民営化というのは、国の道をどう造るかというこの大切な議論を忘れて、とにかく四十兆円という借金を返すということが第一義の目的になって、本当の目的がどこかに行ってしまったと。そういうことをあなた方も認めてしまった、これは責任大きいですよ、こんな会社をつくらしたということは。  我々民主党の中にもいろいろ議論がありました。無料化論、これは方向性は間違ってないですけれども、当時私も議論をしましたけれども、これは少し時期的にやっぱり無理があったかな、なかなか理解求めるのが時間が掛かった。だけど、本来、道というのはやっぱり国がしっかりと責任を持ってやっていくべきものであるはずなのに、私はこういう流れの中で、一人の総理大臣のこの発案の中でこんな流れがつくられたということは大変残念に思う一人であります。  もう今日は本当に時間がありませんので、大臣、本当にこんなことで、これ、いいのかどうか。今日は、私は、実は近藤さんが来るからということで別な質問を作っておったんですが、来ないというから急遽これ質問を作り替えて、今日はETCもやりたかったんですけれども、次回に譲ります。  大臣、もう最後だけ一つ聞かせてください。本当にこんな流れでいいんですか。四十兆円を四十五年って、お互い四十五年後にここにいるんですか、これ。こんな無責任な会社をつくって、法律を作って、こんなことで日本のあるべき道路をやっていくんだなんて、これ恥ずかしくて言えないですよ。本当に大臣、こんなことでよかったのか、最後に一つそのことだけ聞かせてください。
  60. 北側一雄

    国務大臣北側一雄君) 私、大臣に就任さしていただいて一年たったわけでございますが、私、このポジションに就かしていただいて改めて痛感をしております一つは、全国、北海道から九州、沖縄までどこに行っても道路整備についてのニーズの高さというものを改めて実感をしております。また、私もあちこちへ行かしてもらっていますが、私のところにも多くの知事さん、それから市長さんいらっしゃっておられますけれども、毎日のように来られておられますが、圧倒的に多いのは道路整備でございます。もう道路整備についての声が、要望が圧倒的に多い。やはりその道路がつながらないと地域経済の活性化にならないんだと、ネックになっているんですと。また、万が一、先ほど宮城沖の地震の話がございましたが、万一災害等があった場合に、あの中越地震の例でも分かりますとおり、緊急輸送道路の必要性というのは極めて高いわけでございますね。そうした道路ニーズというのは本当に強いということを改めて実感をしておるところでございます。  道路公団、民営化になりました。しかしながら、その道路整備の必要、高速道路の整備の必要性、これは何ら私は変わっておらないというふうに思っております。しっかりと、高速道路会社の各経営に携わる会長、社長もそこのところの認識はきちんと持っていただいておると私は思っております。  また、民営化会社の方でできないところは当然これは国として直轄で道路を造っていくということも、これは当然あるわけでございまして、その辺の選択もきちんとさしていただきながら、必要な道路整備はきちんと進めていかないといけないというふうに考えているところでございます。
  61. 大江康弘

    大江康弘君 局長、済みませんでした。大臣、ありがとうございます。  一つだけ、局長、要望しておきます。今度、本州四国が何か出してくるときは名前を間違うなということだけ言っておいてください。  以上で終わります。
  62. 池口修次

    池口修次君 民主党・新緑風会の池口でございます。  今、大江さんが大変な熱弁で、最後に高速道路の問題をやっていただきましたが、私の方からは今日は自動車関係諸税、特に道路財源を確保するという目的でつくられた自動車関係諸税の問題について何点か質問をさしていただきたいというふうに思っております。  この問題、特に選挙を終わりましたら、急遽これを含めて税制の議論が大変活発になりました。選挙のときには郵政郵政で全くこの税制の話はなく、そして特別国会の冒頭の総理の所信演説でも郵政がほとんどというかまあ七、八割で、この税制の問題が話がされない中で、ここに来て急にこれが議論が沸騰しているということは、ちょっと私は、何か変になった、日本も変になったなというふうに率直に思っております。本来はやっぱりこの税制の問題というのは国民にとって大変重要な話ですから、これをもって国民の投票をするというんなら分かるんですが、何で郵政が国民投票かなというふうに率直に思っております。ただ、これは質問はしません。  ということで、今この自動車関係諸税の議論が出てきまして、総理は、自動車関係諸税見直しということではなくて道路特定財源見直しということでどうも財務大臣に出したということで、予算委員会でも出したというふうに言っておりますが、北側大臣にお聞きしたいのは、なぜこの道路特定財源見直しの指示を財務大臣に出したということなのかを、まず大臣の認識をお聞きをしたいというふうに思います。
  63. 北側一雄

    国務大臣北側一雄君) これは九月二十八日の本会議で、総理の答弁で、その部分だけ読ましていただきますと、道路等の特定財源について暫定増税をしている税制との関係、また、使い道の在り方見直しなどの基本方針について年内に検討するよう指示しておりますと言っております。  また、これは参議院の予算委員会で、まさしく池口委員がこの問題取り上げられまして、その際、総理はこのように答弁しておりまして、今、内閣としてもこれから、秋から暮れにかけて税制改正、予算編成の議論が始まりますので、その中で、見直しについてどういう見直しが可能か、これを検討していくように既に内閣としても決めておりますし、財務大臣始め担当大臣に指示を出しておりますと、こういう答弁をしておりまして、財務大臣一人でこの議論がなされるんだとは思っておりません。  もちろん、税制、またその使い道という意味では予算ということにかかわりがありますのでもちろん財務大臣が中心ではありますが、地方税も関係あるということでは総務大臣も関係ございますし、元々道路財源だということであれば、これは当然私ども国土交通省も関係をしているわけでございまして、また、使いたいと言っている省庁はもう一杯手を挙げておりまして、そういう意味では多くの関係大臣がおるわけでございまして、内閣全体として論議をしていくということになるかと私は認識をしております。
  64. 池口修次

    池口修次君 もう少しちょっと深くお聞きしたいんですが、そうすると、北側大臣には総理から何らかの指示があったのか、若しくは「始め」の中に北側大臣が含まれちゃっているのか、そこをちょっと念押しをしたいんですが。
  65. 北側一雄

    国務大臣北側一雄君) 閣議でも総理の方からこの話はなされておられますので、これは内閣全体に対して御指示があったというふうに私は理解をしております。
  66. 池口修次

    池口修次君 何で私がこういう聞き方をしたかというと、私はこの問題に対して、ちょっと言い方はふさわしくないかもしれませんが、私はこの道路特定財源なり自動車関係諸税の第一債権者は納税者たる自動車ユーザーだというふうに思うんです。第二債権者は国土交通省だと思うんです。財務省は、まあ税制ですからそういうことではかかわりはしますが、やっぱり一番当事者は自動車ユーザーであるし、これを、道路特定財源をユーザーに道路を造るという約束で使っている国土交通省が一番の当事者にもかかわらず、何で、当事者とはちょっと、税制という面での当事者でありますが、財務大臣に指示を出して、どうもお聞きをしますと、具体的な指示は財務大臣に出したということなんで、国土交通大臣に具体的な指示が出ていないんじゃないかというふうに思いますので、ちょっとここが私はおかしいんじゃないかと思ってお聞きをしているんですが、大臣はどういうふうに受け止めていらっしゃいますかね。
  67. 北側一雄

    国務大臣北側一雄君) 先ほどからお答えを申し上げていますとおり、国土交通大臣が排除されているわけではないと思っております。総理も、「財務大臣始め」の「始め」の主要な大臣として、当然国土交通大臣ということは認識をされていらっしゃるというふうに私は思っております。
  68. 池口修次

    池口修次君 私は、そこはもうちょっと大臣に頑張っていただきたいんですよ。だから、「財務大臣国土交通大臣始め」であれば、これは私はそうかなというふうに思うんですが、やっぱり「財務大臣始め」の認識は私はないというふうに思うんです。  そういう意味で、ちょっと具体的に聞きますが、財務大臣はこれ、この後どういう形で検討をしていくんですかと。年内に基本方針を出せというふうに総理が言っていますので、そう悠長な話ではないんですよね。それじゃどうするのかとお聞きをしたら、財政審と税制調査会で詰めていくんだというふうに言っております。この財政審と税制調査会と国土交通省との絡みというのはどうなっていますか。
  69. 谷口博昭

    政府参考人谷口博昭君) これから議論が進展していくかと思いますが、必要に応じて、過年度においても、私どもの方にお話あった場合には私ども考え方なり状況等を説明をさせていただいております。  そうした機会が今予定されているということではございませんが、そうした機会があった場合には私ども考え方をしっかりと伝えさせていただきたいと思っております。
  70. 池口修次

    池口修次君 今局長から言われていますように、もしこの財政審と税制調査会で詰めて、最終的には閣議で基本方針は確認されるんでしょうが、詰めるところが財政審と税制調査会ということになりますと、そこが必要ないというふうに感じたら国土交通省は意見を陳述する場がないんですよね。
  71. 北側一雄

    国務大臣北側一雄君) この道路特定財源見直しの問題は、財政審と政府税調だけで議論ができるような私はたぐいの問題ではないと思っております。  もちろん、財政審、政府税調で御議論はあると思いますよ、あると思いますけれども、これは極めて政治性の強いテーマでございまして、当然、当委員会も含めまして国会での論議も当然必要だと思いますし、議会の構成する皆様とも当然論議が必要になってくると思っております。関係省庁も非常にこれ関心を持っているところが多いわけでございまして、いずれにしましても財政審と政府税調だけで論議が進んでいくということではないと私は認識をしております。
  72. 池口修次

    池口修次君 というふうにおっしゃいますが、ただ基本方針を年内に出すって言っているんですよね。基本方針は、当たり障りのない基本方針ということはないというふうに思うんですよね。そうすると、財務省は財政審と税制調査会を中心に詰めていくというふうにどうも考えているようですが、そうすると国土交通省としてはどういう対応をされるんですか。
  73. 北側一雄

    国務大臣北側一雄君) 国土交通省としても、私どもも意見を持っておりますので、これは当然しっかりと意見を申し上げなければならないと思っております。いずれにしましても、財務省だけで決めれる話ではないと思っております。
  74. 池口修次

    池口修次君 財務省だけでというふうに言われますけれども、どうも聞いている話ですとそういう流れになっているんで、私はそれでいいとは思わないんで、国土交通省はもう少しやっぱりそれなりの意見を、先ほど局長が言われたように、財政審とか税制調査会は必要に応じて呼ばれると、彼らが必要を感じるかどうかなんですよね。財政審と税制調査会の今のメンバーを見さしてもらいましたけれども、本当に呼んでくれるのかなと。  どうもこの流れが、私は、やっぱりある意味、小泉流の流れが私はできているんじゃないかと。だから、抵抗勢力をつくって、で、抵抗勢力を問題視しながら、やっぱり小泉総理がねらっているのは一般財源化だと思いますから、そちらの方向に持っていくように。例えば、第一債権者である納税者に対しては、いや、やつらは減税を言っていると、今どき減税なんて主張できるのかというようなことをマスコミを使ってどうも言い触らしているんですよね。これは減税では決してないんですよ。後でやりますけれども、暫定税率も含めて、これは暫定的に増税しているのを戻せというふうにユーザーは言っているだけなんですよ。国土交通省、まあ国土交通省とは言わないかもしれませんが、ある意味、高速道路と同じように、財源があるから無駄な道路を造っているんだというようなストーリーをもう既に作り始めているんですよ。というふうに私は思っているんです。  それで、第一債権者、第二債権者を除いて、財務省に、おまえがまとめろと。財務省の審議会とか税制調査会の見たって、これは道路の問題の議論をする場ではないですよね。もう少し広く、税制をする場ですから、彼らは道路について詳しいメンバーでは私はないと思うんですよ。だから、そこが、そこがその方針を出す流れが出ている中で、私は、ある意味、国土交通省はもう本当に道路の必要性、特に財務大臣が言っているのは、今後の道路整備在り方もここでやるんだというようなことを言っているんですよね。こんなことはあり得ないんですよね。納税者の理解もここで決めるんだと。  それで、納税者、自動車ユーザーですよね、これだけの自動車ユーザーでユーザーの意見を代弁したなんて言われちゃうと私は大変困るんですが、やっぱりそういう流れの中で、国土交通省はちゃんと今の流れを見ながら、やっぱり財務省ペースにならないように、私は意見を、ちゃんと方針を立てなきゃいけないというのが一つですし、もう一つは、これは予算委員会の中でも、北側大臣は、やっぱりこれは受益と負担の関係が強いんでユーザーの理解を得られなきゃいけないよということなんですが、今説明されている年内の基本方針、なおかつその基本方針を作るのは財務省が行司役で必要な人を呼んで、この委員会なり審議会で呼んでやるという流れで基本方針が決まってしまいますと、ユーザーの意見というのはどういうふうになるのかなというのが私は分からないんですが、大臣は分かりますか。
  75. 北側一雄

    国務大臣北側一雄君) 池口委員は、国土交通省はもっと口を挟めよと、しっかりコミットメントしろというお話でございまして、しっかり頑張らしていただきたいというふうに思っております。  ただ、恐らく池口委員は財務大臣にお聞きになられたから、財務大臣はそのようにお答えになられたんだと思うんですが、この道路財源の見直しの問題というのは、先ほども申し上げました、極めてこれは政治性が高い問題でございまして、先ほど申し上げたように、国会での論議も大切、そして税の問題がかかわってきましたら、これは私の経験でいいますと、これはもう、税の話はこれはもう政治マターでございまして、まさしく。私も何度かかかわらしていただきましたが、政策責任者という立場で。これはもう、最後はもう与党の中で、それはもう大変な大論議、大論争、もうすごい論議になって、最終的には与党の中で決めるというのがこれまでの……(発言する者あり)これまでのことでございまして、それが財政審とか政府税調で道路の特定財源の税制についてこうするんだと言ったからといって、とてもとても、私は与党の、特に自民党の皆様が、はい、分かりましたというふうに言われるとはとても思えないわけでございます。  いずれにしましても、これは国土交通省としては私ども考え方を持っておりますので、しっかりと今、池口委員のお話にあるとおり、私どもとしましてもしかるべき意見を申し上げをさせていただきたいと思っているところでございます。
  76. 池口修次

    池口修次君 国土交通省としては頑張るんだという中に、やっぱりユーザーの意見が、理解が大事だということも含めて国土交通省として頑張るという意思表明でよろしいんですか。
  77. 北側一雄

    国務大臣北側一雄君) この税金を払っていただいておりますのは自動車ユーザーの皆様でございまして、その理解の得れる範囲内でのやっぱり使途でなければ私はいけないと何度も申し上げさしていただいております。  当然、ユーザーの方々の意見というものを背景として、国土交通省としても、私ども考え方をしっかりと申し述べさしていただきたいと考えております。
  78. 池口修次

    池口修次君 大臣決意はお聞きしたんですが、ただ、ややもすると、やっぱり基本方針が固まってしまうと、基本方針を一字たりとも変えないというお二人ぐらいの人がおりますので、やっぱりそこが私は一番大事だというふうに思いますし、時間がそんなにないんで本当に大丈夫なのかなと。もう勝手に決められちゃうんじゃないかと。  第一債権者たる納税者たるユーザーと第二債権者の国土交通省、これある意味、抵抗勢力に少しずつマスコミのトーンだとされているんですよ。だから、そのトーンの流れの中で基本方針が決まっていっちゃうと、これは国土交通省もそうですし、やっぱり自動車ユーザーにとっては、これは少し議論させてもらいますが、とても納得できないような基本方針が作られて、マスコミ操作はどうも総理は非常にうまいみたいですから、今国民も総理の言うことは全部正しいんじゃないかという雰囲気になっているので、私はちょっと変な方向になるんじゃないかという懸念がしておりますので、是非、大臣には相当これは頑張っていただかなきゃいけないし、これはやっぱり基本方針のところで私は頑張ってもらわないといけないんじゃないかというふうに思っておりますが、もう一回ちょっと決意をお聞きしたい。
  79. 北側一雄

    国務大臣北側一雄君) 総理も、一般財源化という言葉は一切使っておらないんですね、一般財源化という言葉は一切使っておりません。一般財源化ということはそんな容易な問題ではないという認識は十分、小泉総理は御認識をされていらっしゃると思います。それは、暫定税率の問題がある、また受益と負担との関係のある道路特定財源であるということは十分総理御自身認識をされているからこそ、一般財源化というような言葉は一切使われておらないというふうに私は思っております。  この問題については、私の率直な感想を申し上げますと、総理自身が具体的にこうしなきゃいけないという何か目標を明確に持っていらっしゃって、到達点をね、そこに向けてというふうなことでは必ずしもないんではないかと思っています。むしろ、本当にしっかり議論をしてくれよと。これも昨日、今日始まった議論では当然これ、ございませんので、かねてからある議論でございますので、しっかり議論をしてくれよということだと、私もその言葉どおり受け取っているところでございます。
  80. 池口修次

    池口修次君 是非頑張っていただきたいというふうに思いますし、少し用意した質問を時間の関係で変えますが、変えますというか、順番を変えさせてもらいますが。  私は、やっぱり今のこの道路特定財源というか、ある意味、財源問題でいうと、今まで小泉政権、本来は、この税というのは道路整備のためにつくられた、若しくは暫定税率というのは、五か年計画というのがあって、まずどのぐらい使うかということで税率が決まっているから、本来は、これが支出と収入に差があるということは本来はあってはいけないんですが、まあ五か年計画ということと、若しくは小泉政権になって公共事業の削減という中にあって差が出てきていると。  前回、三月に一つの仮の計算ということで、谷口局長から一つの試算ということでは、来年六百億、再来年、本四の返済が終わると五百億とかいう話がありました。  やっぱりある意味、これが一つの、これだけ議論が沸騰しておる原因にもなっているというふうに思うんですが、これについて、大臣も言いましたように、いろいろなところが、いや、うちで使わせろ、こっちで使わせろという話が出てきているんですが、私はこの議論というのは非常にユーザーからするととても納得できない議論だろうというふうに思います。必要だからある意味法律を作り、更に必要だから暫定税率で本則の二倍とかいう税率を掛けていながら、いや、小泉政権になってそういうふうに差が生じましたと。じゃ、差が生じたので、うちも使わせろと。財務省は財務省で、一般財源として使いたいというような腹があるのかもしれません。総務省は総務省で、地方の整備が足りないのでという話もあるかもしれませんし、環境省は環境省で、環境とかいう話が出ているんですが、私はその前にやっぱり、元々の税のこの議論からして、造るということを前提で税率を決めているんですから、造らないんであれば、まずユーザーに、取り過ぎているんですから、取り過ぎた部分を返すという議論がまず最初にあるべきだと思うんですが、これについて大臣は、いやそんなことはいいんだということなのか、ちょっと見解をお聞きしたいというふうに思います。
  81. 北側一雄

    国務大臣北側一雄君) もう池口委員御専門でございますので、私から申すまでもないことでございますが、今のこの道路整備というのは五か年計画でやっておりまして、平成十五年度以降の五か年間に行うべき道路整備の事業量の量というものを決めさしていただいて、それに必要な税金は幾ら要りますかねと、それで暫定税率というのを定めているわけでございます。平成十五年度ですから、十五、十六、十七、十八、十九年度までこの事業の量というのをこれ決めさせて、これは当然財務省との間で決めているわけでございまして、そういう意味では、あくまでこの計画に沿って整備がなされていく必要があるし、先ほど来申し上げておりますとおり、自動車ユーザーの方々が負担している税金でございますので、その方々の理解の得れる範囲内でのやはり使途でないといけないと私は思います。
  82. 池口修次

    池口修次君 五か年計画で決まっているということであれば、この五か年間の最初は多分五か年計画どおり整備するんでしょうね。  ただ、今の状況は、ちょっと言い方、失礼な言い方になるかもしれませんが、この道路特定財源として集めたお金をどうやって使おうかということで四苦八苦しているんじゃないですか。本当はこの五か年計画で道路整備計画というのは作ったんだけれども、それをやっちゃいかぬというふうに小泉さんが言うので、差が出てきているんですよね。差を使途拡大ということで埋めているんだと思うんですよ。多分これ、五か年計画の中に使途拡大なんという話は計画になっていないと思うんですよね。だから、本来は違う趣旨に使っている、それは道路に関係するものですよ。ただ、五か年計画で税率を計算するときには、多分この話はなかったと思うんですよ。それで四苦八苦しているということは、やっぱりどう見てもこれはユーザーは、ちょっとやっぱりおれたちの負った税金を変な使い方しているんじゃないかというふうに思って私は当然だと思うんですよ。  JAFが今年の八月に調査をしましたら、余っているなら暫定税率を下げるなど減税すべきというのが六六%、税率をそのままの使い道で何でも使える一般財源化すべきというのが一三%、環境用対策に使えというのは一九%で、圧倒的にやっぱりユーザーは本来の税率を決めたときの五か年計画以外に、まあ本当にそれに近いところはいいんだけど、それ以外の使い方をするんなら、取り過ぎだという声がやっぱり強い、強いというか三分の二なんですよね。衆議院の与党の議席とほぼ同じぐらいの比率なんですよ。何でもできるという議席なので、やっぱりそれぐらいの声は聞いていただかないと、ユーザーはとても理解できないと思うんですが、いかがでしょうか。
  83. 北側一雄

    国務大臣北側一雄君) 五か年計画の中でも、決して道路そのものだけでなきゃいけないとはこれ全然書いてないわけでございます。現実に、例えばETCの普及だとか、それから環境関係の費用等にも充てる趣旨の計画も当然その中に盛り込まれているわけでございまして、大切なことは、ユーザーが負担している税、その理解が得れる範囲の中での使途でないといけないと私も思います。  そういう意味で、全くの一般財源化ということは、例えばよく言われている社会保障の財源に使うだとか、これはそもそも相当、制度といいますか、法令そのものの改正を伴わないとこれはもうできないことでございまして、道路特定財源見直しについて、そういう制度や税法とかそういうところまでさかのぼって見直しをしていこうとするのかどうか、これはまさしく今後の議論ではございますが、今の制度の枠内では当然これは特定財源でございまして、負担されている方々の理解が得れる範囲内でのものでなければいけない。これまでの使い方も道路整備と密接に関連するところに限ってこれ使途を拡大をしているわけでございまして、そういうもののやはり延長線のものでないといけないのではないかと私は考えております。
  84. 池口修次

    池口修次君 今までずっと話をさせていただいていますように、やっぱり今のまま使途だけ変えて一般財源化するということはとてもユーザーの理解が得られる話ではないということですし、これはある意味、法律の趣旨からいってもとてもこれは許されるべき話ではないということが一つですし、私は今のユーザーの税負担というのは私は過大だというふうに思っております。  これ、言いますと、いや、財務省はこうだこうだというような試算をいろいろ出しますが、少なくともユーザーの認識でいいますと、これも読売新聞が二〇〇三年の八月から二〇〇四年の十二月までやったものですと、やっぱり今の税負担は高過ぎるというのが六七%だと、これも三分の二が高過ぎると言っているんですよ。やっぱり今のユーザーの認識というのは、高過ぎるんだという認識があるというふうに思いますし、特に私は自動車に関する税金というのは、その取得の段階、保有の段階と走行の段階と三段階でそれぞれ二つぐらいの税金が掛けられているというものは、これは非常に複雑であるし、よくその理由もなかなか分からないと。特に一番分からないユーザーの不満というのは、この燃料課税の中の、燃料の税金にまた消費税を掛けるなんというのは何だとこれはというような声になっているように、非常に自動車の税金というのは複雑であるし、私は高いと、高過ぎるというふうに思っているんですが……(「そうだ」と呼ぶ者あり)大臣は、非常にいいやじが飛びましたので、お答えをいただきたいと思います。
  85. 北側一雄

    国務大臣北側一雄君) これはいろんな見方があると思うんですが、我が国の自動車全般に係る税負担額は諸外国と比べて特に高いものだという認識はしておりません。車体課税の税負担額についてもおおむね諸外国と同程度となっているところでございます。いずれにしましても、道路特定財源というものの趣旨に沿った使途でなければいけないということが大前提の話だと思っております。
  86. 池口修次

    池口修次君 多分、比較の仕方というのはいろいろな仕方がありますので、比較の仕方によっては日本の方が高くなったり日本の方が安くなったり、あるのは私も理解をしています。  多分、大臣が持たれているのは財務省ペースで作られた資料かなと。財務省の資料で一番問題は保有年数なんです。保有年数を財務省は六年でやっています。これは減価償却の六年でやっていますが、今六年でオシャカになる車なんてありません。で、日本の場合は、諸外国と比べて高いのは保有段階なんです。これは自動車税と自動車重量税が掛かっていますから、自動車税自体も海外に比べて高い、さらに海外にはない自動車重量税が掛かっていますから、これは毎年ですから、保有が長くなればなるほど日本の税金というのは高くなるんです。  ですから、そこのからくりで、保有が短くすれば、財務省が言っているように日本の税金は高くないと。で、業界団体が言うように長くすれば日本の方が高いというからくりがあるのは事実ですが、ただ、率直にやっぱりユーザーは高いと思っているのが、三分の二の方が高いと。多分、この中でも結構高いと思っている人がいると思うんです。  やっぱりそういう関係の中で今の税の仕組みがなっているんだということを、是非ユーザーの気持ちを分かっていただきたいというふうに思いますし、なおかつ道路を造るということであれば、私はまあしようがないなと、高くてもしようがないなというふうに思っている人が大多数だとは思うんですが、いや、道路は造らないんだと、ほかに使うんだというような議論になりますと、これはとてもユーザーは黙っちゃおれぬということになるということが私が主張したいことなんで、是非大臣は、財務省なんかといろいろこれから年内精一杯やっていただけると思いますが、そこを是非理解していただきたいということと、もう一つ、是非理解していただきたいのは、この自動車の保有台数、特に自家用の自動車の保有台数を見ていると、これは全国で言いますと、今世帯当たり一・一台です。この数字だけ見ると、すべての家庭が自動車を持っているんだから、まあ別に自動車だけに限らなくてもいいんじゃないかというような議論が出てくるのがこの一・一という数字だと思います、すべてのところが払っているんだから。  ただ、これは非常に問題がありまして、県別には非常に差があります。一番低いのは東京、これは自家用乗用車だけですが、多いところから言った方がいいですね、福井が一・七三台、富山が一・七二台、群馬が一・六九、岐阜が一・六七、栃木が一・六三台保有しています。低いところは、東京が〇・五四台、大阪が〇・七三台ということですから、これは当然ですよね、地方の方がやっぱり自動車というのはないと生活できないから保有をしている。一人一台というわけにはいかないので何台も保有していると。東京は地下鉄とかほかの交通手段がありますから持っていないというのは当然なんですが。  ただ仮に、じゃこれを道路の整備じゃなくてほかに使うと、一般財源にしようと。で、今大臣が出されました、例えば社会保障に使うと。社会保障の受益を被るのは、やっぱり人数に応じてやりますから、やっぱり東京の人たちのために使うという見方もできますよね。そうすると、集めるのは比較的に地方の方から集める。で、使うのは、これは全国均一なんですが、ただ人口集中は都市ですから、都市に使うという理屈になってしまうんですよ。  だから、やっぱりこの部分を十分議論をして、一般財源化というのは私は早急にするべきでないと思いますが、やっぱりそういう議論がなったときの一つの要素として、やっぱりそういう地方からこれは集めている。これは車一台当たり、走行は別にして取得なり保有というのは車一台当たりで決まってきますから、税金は特に。やっぱり地方の方が相対的に重い負担をしているというところを是非頭に置いてこれからの議論に参加をしていただきたい。参加をしていただきたいというのは、非常に私は失礼な言い方をしましたが、強く主張をしていただきたいというふうに思っているんですが、これについての大臣の見解をお聞きしたいと思います。
  87. 北側一雄

    国務大臣北側一雄君) これ、いずれにしましても、先ほど来申し上げていますとおり、都市と地方という問題で今御指摘があったわけでございますが、そもそも自動車を持っている方、持っていない方、いらっしゃるわけでございまして、これはあくまでその負担されている方々の、税というのはそういうものだと思うんです、負担されている方々の、特に特定財源でございますから、その理解の範囲内での使途でなければいけないということだと思います。  その都市と地方で、地方の方が重い負担を自動車の場合はしているんだというのが、これがそのとおりかどうかは、そこはちょっとよく検証をしていく必要が私はあると思っています。当然、自家用だけではなくて、営業用の車も当然あるわけでございますし、また車の車種によっては当然税も違ってくるわけでございまして、そこはよく検証していく必要があるなと思っております。
  88. 池口修次

    池口修次君 私は、ほかの車もあるかもしれぬということですが、ほかでもやっぱり地方の方が私は多いというふうに思います。ただ、法人が持っているものは、これは当然都市、首都圏の方が多いんですが、法人が持っているというのは、これは家庭の負担じゃないですから、私はそこは除いてもいいというふうに思います。  ということで、私は、やっぱりこれからこの議論をするのは私はやぶさかではないし、そういうタイミングになったという認識はしておりますが、是非財務省のペース、若しくは、いや、これを集めた税金をどう使うかという人たちだけの議論ではなくて、やっぱりだれからこの税金をいただいているのかという観点と、本当にどうもトーンとして無駄な道路とかいうような宣伝がされますので、これは大江さんも言っていたことなんですが、そういう論調にどうもしてしまったというのは、やっぱり国土交通省の責任も私はあるというふうに思います。  そういうのはありますが、是非そういうことではなく、やっぱり堂々たる主張を大臣にはしかるべき場所でしていただきたいということをお願いをしまして、今日の私の質問は終わらせていただきます。  ありがとうございました。
  89. 魚住裕一郎

    魚住裕一郎君 公明党の魚住裕一郎でございます。早速、質問をさせていただきます。  まず、先ほど来からありましたが、災害、台風とか地震とかあるいは大量な降雨ということがございましたが、これは十月四日の予算委員会でも質問をさせていただいたことでもございますが、まず山陽自動車道路の山口県岩国市廿木における盛土のり面崩落、九月九日発生したようでございますが、上りの走行車線も追越し車線も含めて崩落して、幅五十メーター、高さ二十三メーターにわたって路面が陥没して、大変な八千立米の土砂が流出したと、市道へ更に五メーター堆積をする、また民家二棟巻き込んで三名の方が亡くなっているというのが発生をいたしました。  大体上下合わせて二万五千台一日交通量があるようでございますが、この被災者への、もちろん家も、民家もつぶれているでしょうから、その補償の問題、あるいはこの復旧工事がどうなっているか分かりませんけれども、これ物流等を考えた場合に大変な基幹道路でございますので、工事がいつごろ完成するといいますか使えるようになるのか、その辺の見通しにつきまして西日本高速道路株式会社から聴取をしたいと思います。
  90. 山本正堯

    参考人山本堯君) ただいま先生御指摘の山陽自動車道の盛土崩落事故でございますが、去る九月七日の午前一時ごろに台風十四号による未曾有の異常降雨がございまして、岩国市の山陽自動車道の岩国インターから玖珂インター間において土砂崩落がございまして、近くの民家二軒が土砂に埋まり、残念ながら三名の方がお亡くなりになりました。  私どもとして、改めてお亡くなりになられました方々の御冥福をお祈り申し上げますとともに、御遺族方々に対しまして心から哀悼の意を表したいと思います。また、負傷されました方々に対しましてもお見舞い申し上げますとともに、一日も早い御回復をお祈りを申し上げておるところでございます。  さて、現在、被害者の方あるいは御遺族方々に対しまして、補償等につきまして私ども西日本高速道路株式会社といたしまして誠心誠意お話合いをさせていただいているところでございます。  また、今回の災害につきまして私ども、道路公団時代でございますが、西日本道路株式会社といたしましても大変重大な問題であると重く受け止めておりまして、原因究明を行うために九月の十日、発生と、早急に道路公団におきまして砂防や地すべりの専門家を委員長といたします山陽自動車道の災害調査検討委員会を設置をいたしました。この委員会は、十月一日以降私どもの西日本高速会社に引き継いで鋭意調査を行っておるところでございます。  この委員会では、四回にわたる討議を経まして、崩落要因が主に四つの要因であるというふうに結論を得たわけでございますが、一つは、先生御案内のとおり、主に連続累積降雨量が五百ミリを超える異常降雨であったという気象的な要因。それから二番目には、地層的な、地下水の供給を受けやすい地質構造、二つの断層破砕帯があったといったような地質的な問題。それから三つ目が、地形的で、三つの沢から地下水の供給を受けて一つのボトルネックになっておったといったような地形であったという要因。それからもう一つは、四番目は、地下排水孔に一部欠損があったということで、ここから盛土に浸透水を供給した可能性は否定できないんじゃないかと。こういう四つの要因が、崩落要因が指摘されたところでございます。そういう要因が複合的に重なりまして、長時間の降雨によって浸透した水と断層による破砕帯や三つの沢からの地下水が盛土部に集中して崩壊に至ったと、こういうことでございます。  こういう崩壊の復旧に当たりまして、委員会にいろいろ御議論をいただき、四回にわたる御議論をいただきまして、対策の事項といたしまして、崩壊の土砂は完全に除去するということ、それからぎざぎざにいわゆる段切りを行うといったようなこと、滑りをできるだけ少なくするといったようなこと、それから盛土の下部には浸透水の良い材料を施すといったようなことというような提言を受けまして、私どもとしては、これに基づきまして復旧対策を実施すべく今準備を進めておると、こういう状況でございます。  また、今回ののり面の災害を受けまして、盛土ののり面の緊急点検を西日本株式会社管内で百八十四か所で実施をいたしました。その結果、緊急に対応が必要だと言われておる箇所が六か所ございましたので、そのうち五か所の復旧工事は既に完了をさせていただいております。残り一か所につきましては、この今回の事故の近くの場所でございますが、今週中にも完了の予定でございます。この委員会の検討結果を受けて更に詳細な調査が実施する必要がある箇所もございますので、そういう調査を実施いたしていると、こういうことでございます。  今回の崩落現場につきまして、復旧の時期、先生お尋ねの復旧の時期でございますけれども、現在、西日本高速道路株式会社におきまして、御遺族の方、被災者の方あるいはまた地域の地元の方々に対しまして、崩落原因の説明あるいは今後の対策工事の説明を誠心誠意行っているところでございまして、これらの方々及び地域の御理解が得られ次第、私どもとしては昼夜連続態勢で鋭意工事を進めて、できるだけ早期に山陽自動車道を復旧させたいというふうに考えております。  冬になりますと、現在山陽道が止まっておりますので、中国自動車道に迂回をしていただいている方々も大変多うございます。そういった方々につきましても、冬の積雪の時期に入ってまいりますので、私どもとしましては、できるだけ年内、できるだけ早い時期に復旧を目指したいというふうに考えておるところでございます。
  91. 魚住裕一郎

    魚住裕一郎君 JR西日本のあれもなかなか補償に、合意に至っていないというようなことが報道されたりいたしまして、やはりその辺は是非誠意を持ってやっていただきたいというふうに思います。  また、盛土のり面はここだけではなくして全国たくさんあるというふうにお聞きをしておりますが、今、山本参考人から四つの要因ということが御紹介をされたわけでございますが、これは高速道路だけではなくして、基幹的な道路についてもやはりかなりの、全国ですね、あると思いますけれども、九百か所ですか、七百六十か所か、かなりたくさんあるというふうに、その辺の点検、また補強対策、その辺の進捗状況についてお知らせください。
  92. 谷口博昭

    政府参考人谷口博昭君) お答えいたします。  九月七日に発生しました山陽自動車道の盛土ののり面の災害、極めてまれな災害というようなことでございますので、早速全国の高速道路、直轄国道におきまして、類似の盛土ののり面につきましては九月末までに緊急点検を実施させていただきました。各出先機関等からの現在までの報告によりますと、緊急点検を行った箇所数は直轄国道で四百十一か所、高速道路三百四十九か所、合計で七百六十か所となっております。  このうち、排水孔の詰まりや破損などのため緊急に対応が必要な箇所は十七か所ということになっておりまして、補修等の対応を実施させていただいているところでございます。また、百七十一か所につきましては詳細な調査や継続的な観察を行う必要があるということで、そういったことを実施させていただいております。  さらに、今、山本専務の方からお話ございました山陽自動車道災害調査検討委員会において示されました山陽自動車道の崩落要因も踏まえまして、必要となる対策を行うなど、万全を期していきたいと考えておるところでございます。
  93. 魚住裕一郎

    魚住裕一郎君 山際に高速道路等結構走っているなというふうに思うところでありますが、何か雨が降ったら崩れてくる、また地震があっても崩れてくる。昨年のこの中越地震のときもそんな状況だったかなというふうに思っております。これは高度成長時代、いろんな形で宅地造成等をやって国土を本当に住みやすく移動しやすい国土にしてきたなというふうに思うわけでありますが、ここのところへ来て雨と地震でぐらぐら揺れているのが日本全体の姿のように見えてなりません。  これは十月の二十一日でしょうか、内閣府の方から揺れやすさマップなるものが発表されましたけれども、やはり内閣府ですから細かいところまで出ておりませんけれども、例えば七月二十三日、千葉を震源とする地震がありましたけれども、これ千葉市自身は震度四ぐらいであったんですけれども、東京の足立で震度五強になったというのがありまして、やはりこれ沖積平野みたいな部分はやっぱし揺れやすくなっているんだろうなというふうに思います。  そういうふうに考えると、これやはり盛土をして道路やあるいは宅地を造った場合、やはりそこの部分はかなり軟弱なんではないのかなと。だから、今度耐震改修でこれ家はきっちりやろうかなというふうな形で、それは促進していかなければなりませんけれども、土台が崩れたら、これは何というんですかね、家がしっかりしていても総崩れになっちゃうわけでございまして、その辺しっかり対策をしなきゃいけないというふうに思っております。  危険な大規模盛土造成地についてやはり補強をしていかなきゃいけないなと思いますが、この辺につきましてコメントをいただければというふうに思います。
  94. 柴田高博

    政府参考人柴田高博君) 委員御指摘のように、阪神・淡路大震災のときもそうですけれども、大変多くの宅地被害が発生いたしました。特に、大規模に谷を埋めました盛土造成地で地すべり的に崩落いたしておりまして、被害が集中いたしました。そしてまた、その後、メカニズムについての研究が進んでございまして、昨年の新潟県の中越地震で発生しました宅地被害の検証から、その知見がかなり裏付けられてきてございます。  地震時に崩落の危険性がある盛土宅地、造成地というのは全国に多数あるという具合に思われております、推計もされております。特に、首都直下地震だとか東海地震等の大規模地震、これは切迫性が今指摘されておりますが、これらが発生した場合、これらの盛土の崩落により多数の人的被害、住宅、公共施設等の被害が発生するという具合に懸念をいたしております。  このため、国土交通省といたしましては、有識者から成ります総合的な宅地防災対策に関する検討会を設置しまして、五月以降検討を進めてございます。その安全確保対策について総合的に検討を行ってございます。  この検討状況も踏まえまして、省としましては来年度に向けまして、特に新規造成の部分と既存の部分があるわけでございますが、新規造成に係る耐震性能の確保方策をどうするかということと、既にできております既存の造成地、これに関しましても、例えばここが危ないんですよという宅地のハザードマップ、こういうものの整備が必要だろうと。さらには、補強対策として水抜きを行うというようなこともかなり有効でございます。これらを支援する措置の導入ということも考えていきたい、そしてまた関連する法制度の見直し、こういうものを検討いたしているところでございます。これらを通じまして、宅地の安全性確保に向けて全力で取り組んでまいりたいという具合に考えております。
  95. 魚住裕一郎

    魚住裕一郎君 是非、足下からしっかり固めていただきたいと思います。  次に、ユニバーサルデザインの社会構築といいますか、バリアフリーといいますか、そういう側面についてお聞きしたいと思いますが、今年の二月の八日に鉄道局長来ていただきまして、実は日本網膜色素変性症協会というのがございまして、目の網膜の色素が変わってきて、だんだんだんだん視野狭窄になって最後は失明をするという、そういう難病でございますが、そういう方々が、まだ目が視野狭窄のうちにいろいろ移動するについて、例えば駅の階段が非常に分かりづらい、上り下りがですね、そこで、階段に黄色と黒のテープを是非張っていただきたいし、またそれがはがれてきたら補強してもらいたいということを要請してきまして、それで私のところに来たものですから、鉄道局長にお願いしたところ、JR東日本の方もこの秋から始めますという話があったようでございまして、私のところにこれ、本当に助かりましたということで、お礼状といいますか、寄せていただいたところでございますが。  これ余りお金掛からないだろうなと、物を作ったりするのと違ってテープを張るといいますか、ありますけれども、やはりこれはJRだけじゃなくて、全国JR各社、あるいは私鉄、第三セクターまで含めて、やはりきっちりやっていくべきではないかというふうに思いますが、その辺の進捗状況、さらに見通しにつきましてお知らせください。
  96. 梅田春実

    政府参考人梅田春実君) 階段の端の部分を分かりやすく表示する方法というのは、実はガイドラインがございまして、各社が工夫を凝らしながら視覚障害者の方にとっていい方法でやってきているというのが現状なんでございます。  しかし、先生御指摘のように、視覚障害者の方にとって分かりづらいという声があるのも事実でございます。したがいまして、より望ましい表示方法の検討というのを行ってきているところでございます。  今御指摘のように、JR東日本におきましては、長もちをする、耐久性があるということ、それから視認性、視認性があると、こういうことで、端の部分、階段の端の部分にシールを張るということでやってきたわけですが、先ほどの、ちょっと言いましたように、見えにくくなるとかすぐ破れるとか、そういうのが問題でございまして、大分御指摘もあり、技術開発をやってまいりました。  その結果、JR東日本では、階段の上下と踊り場前後の段差の先端の部分には、階段の全体にわたりまして黄色と黒のシールを張ります。それから、階段の、途中の階段ですね、これには、階段の両端の部分に、五十センチでございますが、やはりその黄色と黒のシールを張るということで、一日乗降人員が五千人を超える約四百七十の駅につきまして、去る八月から順次整備を進めておりまして、十九年度中には完了する見込みでございます。  これは先生御指摘の協会で大分評価されまして、これは普及させることにしたわけでございますが、私どもまた、実は目の悪い方もいろんな目の悪い方がおられますので、いろんな人の御意見も聞きながら、この評価も聞きながら、他の鉄道駅における、より分かりやすいシールの普及に努めてまいりたいと思っております。
  97. 魚住裕一郎

    魚住裕一郎君 今の事例は、ある意味では交通バリアフリーといいますか、そういうところの、いろんな障害の中の一つにもきっちり対処していくということでございますが、大臣、御承知のとおり、アメリカではADA法というのがありますね。いろんな障害を持った人たちに社会参加する権利を保障して、いろんな施設でありますとか、健常者、障害者問わず利用できるように整備することを義務付けるという、そういう法律でございますけれども、これに関連する日本法律としてはハートビル法、交通バリアフリー法というのが作られているようでございますけれども、平成十六年六月一日の関係閣僚会議の決定によるバリアフリー化推進要綱、この基本認識では、まだまだ「我が国の現状を見ると、社会のバリアフリー化が未だ十分なレベルに達しているとは言い難いところであり、」「より一層のバリアフリー化の推進に努めなければならない。」というふうにされているところでございます。  二つの法律を持ちながら、なかなかハートビルであれ、あるいは交通バリアでもなかなか進展をしないという現状であるわけでございますが、今後どういうふうに国土交通省としてこの問題について取り組んでいかれるのか、この所見をお聞きして、終わります。
  98. 北側一雄

    国務大臣北側一雄君) これから我が国は本格的な高齢社会が到来をするわけでございます。そういう意味で、バリアフリー化につきましてはより一層推進をしていかねばならないと考えております。  これまで、交通バリアフリー法、これは駅等の公共交通機関そして駅の周辺、ここを、そうした公空間をバリアフリー化しよう、そしてもう一つはハートビル法という、これは百貨店とか病院とか、不特定多数の方々が利用される建物のバリアフリー化を進めると。この二つの法律がバリアフリー化促進のための法律としてございました。これは、片方は旧運輸省、片方は旧建設省の法案でございますが、法律でございますが、これにつきまして、ある意味では点と点とのバリアフリー化の整備というのではなくて、これから面的に、やはりまちづくりという観点から面的に、そこのところは多くの方々が、不特定多数の方々が通行されるね、利用されるねというところについては面的にやはり整備をしていかないといけないというふうに考えております。そういう観点から、この二つの法律を一体化を是非させていただきたいと考えておりまして、その法律を今、法案を今検討しているところでございます。できましたならば、来年の通常国会にはこの法案を提出をさせていただきたい。  また、これからの観点というのは、バリアフリー化がもちろん中核にあるわけでございますが、ユニバーサルデザインに基づくまちづくりという考え方が極めて大切であると思っております。それは、年齢の、高齢者であろうとそうでなかろうと、また性別の、有無にとらわれず、さらには外国人であろうと日本人であろうと、こういうその差別、それぞれの差に、差別にかかわらず、自由にどこでもだれでも使いやすい、こういう考え方に立ったまちづくりというのが非常に大事だと考えていまして、こうしたユニバーサルデザインに基づくまちづくりをしっかりと進めさせていただきたいと思っております。
  99. 魚住裕一郎

    魚住裕一郎君 終わります。
  100. 仁比聡平

    仁比聡平君 日本共産党の仁比聡平でございます。今日は、規制緩和後のタクシー事業をめぐる実態と取組について質問をさせていただきたいと思います。  この問題で、国としても五月に適切な労働環境の確保に関する厚労省との連絡調整会議を立ち上げられ、また交通政策審議会にタクシーサービスの将来ビジョン小委員会が設置をされました。私は、これらの場で実態をよくつかんでいただいて、必要な対応を是非急いでいただきたいと期待をしております。  そこで、まず自動車交通局長に、タクシー事業の特性や現状をどのように認識をしておられるのか、これを伺いたいと思うんです。確かに、福祉・介護タクシーや観光タクシーなど、新しい取組で利便増進と需要拡大の努力が行われている地域市場もあるわけですけれども、一方で流し中心の都市部、とりわけ大都市部の市場では長期不況の需要減でお客は減っている一方で、急激な増車と賃金の激減、その結果、最低賃金を下回るとか、あるいは生活保護基準以下という異常な事態が、例えば生活保護基準以下の都府県というのが三十七ですか、に上る。そういった中で、乗務員は収入確保のために眠らず命を削って走り続けざるを得ないと。結果、過労運転やサービス低下の中で交通事故が急増しています。これは、タクシー事業の根幹である利用者の安全と安心が崩壊しかねない危機的な状況だと私は思います。  こういうふうな状況になるのについては、タクシー事業の特性が強く影響しているのではないかと思いますが、局長、いかがでしょうか。
  101. 宿利正史

    政府参考人宿利正史君) まず、タクシー事業の特性についてお答え申し上げますが、タクシー事業は、先生御承知のように、車両購入に必要な投資額が比較的少額だということ、それからシェア拡大のために事業者の増車意欲がどうしても旺盛だと、こんな傾向がありますと。一方で、人件費の占めるウエートが非常に大きいこともありまして、かつ歩合制の賃金が主流でありますから、タクシー一両当たりの売上げが減少してまいりますと運転者の賃金に直接影響しやすいと、こういう特性があると思っております。  昨今の現状の認識でございますけれども、規制緩和以降、先生御指摘のように、新しいサービスとか多様な取組というのは着実に進んできていると認識しておりますが、残念ながら景気の動向あるいは著しい増車の関係、こともありまして、タクシーの一台当たりの収入が減少を続けておると。そのためにタクシー運転者の収入が低迷しておるということで、私どもとしても非常に残念な事態だという認識を持っております。
  102. 仁比聡平

    仁比聡平君 国土交通省の整理でも、例えば日車営収が、これ十三年度と十五年度を比較して、三万九百五十一円から三万円を割って二万九千百五十三円になっているという数字なども私も勉強をさせていただきました。  そういった事態の中で、特に大阪が規制緩和の実験場だというふうに言われています。激しい増車と、そして運賃競争が行われているわけで、先日もNHKスペシャルでタクシー労働者は眠れないという番組が、これ大臣、ごらんになられたでしょうか。こういう実態がつぶさに明らかにされているわけです。  その中で、私、今日は、新たな運賃戦争と言われる事態の引き金になったと指摘をされている違法なリース制について伺いたいと思います。  これは、例えば乗務員が事業者との関係で、初期費用として会社に例えば五十万円を納めて営業車を借り受ける、そして毎月の売上げのうちリース料や経費名目として定額二十二万円を毎月納めると。その水揚げとの差額が運転手さんの取り分になるというシステムなんですね。残りが取り分だというんですけれども、例えば病気や事故で休業、休車をするということになってもそのリース料を払わなきゃいけないと。これが道路運送法で違法とされている、禁止をされている名義貸しではないのかという指摘が厳しくなされています。  そこで、局長、道路運送法でどうして名義貸しは禁止をされているのか。その趣旨と、そして併せて違法な名義貸しか否かということについて、どんな基準で、あるいはどんな要素で判断をされるのか、お教えいただきたいと思います。
  103. 宿利正史

    政府参考人宿利正史君) 道路運送法の三十三条の一項で先生御指摘の名義貸しの禁止がなされております。  これは、道路運送法の許可基準、これは輸送の安全などの観点から許可をしておりますが、この許可基準に該当しないような者が他人の名義を借りましてタクシー事業に参入をする、あるいはタクシー事業を行うということを禁止をしようということでありまして、結果として、つまりそういう人が参入することによって輸送の安全や旅客の利便が阻害されるような事態を回避するために設けられた制度でございます。  私どもは、名義貸しに当たるのかどうかという判断につきましては個々の事案ごとに判断をしなければならないと考えておりまして、個別の監査などのときに調査をして総合的に判断をしておりますけれども、基本的には、運転者が許可を受けた事業者の指揮監督下にきちっとあるのかどうか、あるいは運行管理が適切に行われているかどうか、そういったことを主たる要素として判断をしてきております。
  104. 仁比聡平

    仁比聡平君 ありがとうございます。  仮に、形式として雇用契約書、こういった書面が交わされているとしても、労働者性の有無というのは実態を見て、指揮命令監督関係の有無で判断をされるというのはこれ当然だと思いますので、私、そういった実態にしっかり踏み込んだ監査、是正を是非求めたいと思うんです。  さらに、リース契約で働く労働者は、先ほど申し上げたようなシステムになっていますから、少しでも売上げを上げようということで過酷な長時間・超過密労働になる、あるいは一部の業者は営業車を持ち帰ることを認める。だから、営業車を自宅に持ち帰ってそこから直接営業に出ると。ですから、点呼も受けない、際限なく働き続けるという実態が報道もされました。  局長に、こういった実態、つまり労働時間、あるいは過労運転、持ち帰りや点呼ですね、こういったものが道路運送法や運輸規則などに照らしてどんな違法性があるのか。そして、近々といいますか、八月に近畿運輸局が通達を出されたというのを私拝見をしましたけれども、一層厳正な監査を是非求めたいと思いますけれども、いかがでしょうか。
  105. 宿利正史

    政府参考人宿利正史君) 私ども、タクシー事業に限らず、法令違反などがありました事業者に対しましては厳正に対応するということをやってきております。  今お話がありましたようなケースでありますけれども、例えば名義貸しに当たるとか、あるいは事業計画違反に当たるとか、あるいは運行管理が適切に行われていないと、そういった事実が確認できれば、従来もそうでありますし、今後とも適切な行政処分などを行うことによりまして適切に対応していきたいと、こう思っております。
  106. 仁比聡平

    仁比聡平君 確認ですが、持ち帰りというのは違法ですね。なぜ違法ですか。
  107. 宿利正史

    政府参考人宿利正史君) 車両の持ち帰りにつきましては、私ども、ケースによりますけれども、事業計画で定められております車庫にきちっと車両を管理をしていないということでありまして、そのような形態でありますと運行管理が適切に行われないおそれが非常に大きいということで問題だと考えております。
  108. 仁比聡平

    仁比聡平君 その結果、点呼を受けずに営業に出るということも間々あるようなんですが、これ点呼というのはなぜ必要で、なぜなければ違法なんでしょうか。
  109. 宿利正史

    政府参考人宿利正史君) 運転者が適切な健康状態で、その労働時間中に適切な運転の管理ができるかどうかということを確認をし、また点呼の場におきまして運行管理者が運行の安全等につきまして、その都度適切な指導が行われることを期待しておりますので、そのために設けられております点呼の制度が、点呼が使われないということは極めて問題だというふうに認識しております。
  110. 仁比聡平

    仁比聡平君 そこで大臣にお伺いをしたいんですけれども、今お話しいただいたような実態の下で、例えば全乗連から政府に対してリース制運賃の形態出現は問題だというようなことも含めて強い要請がなされているようです。また、こういったやり方について大阪のタクシー協会が、これを企業内個人タクシーという呼び方で整理をした上で、こういう営業形態は名義貸しで違法なんじゃないのか、あるいは運転者は労働者なのかといった観点で質問書も出ているようなんです。  こういった事態の中で、安全、安心な輸送手段としてのタクシー事業、これをしっかりつくっていく上で、無法を絶対許さないという決意を是非大臣にお伺いをしたいと思います。
  111. 北側一雄

    国務大臣北側一雄君) タクシー事業もこれは公共交通、大事な公共交通一つであると思っております。したがって、当然のこととして利用者方々の安全確保というのが最大のやはり大きな役割でないといけないというふうに思っております。  運行管理を始めとする輸送の安全の確保は自動車運送事業における一番のポイントでございまして、国土交通省といたしましても、従来より監査体制の充実や関係省庁との連携を図るなどによりまして事後チェック体制強化をしてまいりましたが、今後とも積極的に立入検査を行い、また違反をした事業者については厳正な行政処分等を行ってまいりたい、そして安全の確保に努めてまいりたいと考えております。
  112. 仁比聡平

    仁比聡平君 ありがとうございます。  料金の問題についてお伺いをしたいと思うんですが、こういったリース制業者の一部が、初乗り運賃が五百円とか五百四十円とかそういった自動認可運賃ですかね、これを下回る料金を売り物にしています。省に調べていただきましたら、自動認可運賃を下回る初乗り運賃に係る車両台数、法人タクシーで大阪運輸支局管内だけで何と千六百八台に上っているんですね。五百四十円が千四十五両、五百円は五百十八両、五百五十円は四十五両だそうです。  そこで、こういう事態について、国交省が運賃認可に当たって不当なダンピングを許さないという姿勢をはっきり示していただくことが必要なんではないかと思います。  そこの問題にかかわって、福岡県の遠賀タクシーが初乗り三百円という運賃認可の申請をして、九州運輸局がこれを却下したということがございます。この却下のその概要を簡潔にいただけますか。
  113. 宿利正史

    政府参考人宿利正史君) 仁比先生御指摘のように、半額の認可申請が先ほどありましたが、私ども却下いたしました。  私どもで認可に必要な原価計算を行いましたところ、見込まれる運送収入が運送原価を大きく下回っておりまして、このような原価割れの運賃を認めますと他の運送事業者との間で不当な競争を引き起こすおそれがあると判断をいたしまして、道路運送法に基づきまして認可申請を却下したということでございます。
  114. 仁比聡平

    仁比聡平君 そこで、大阪ではどうなのかということなんですけれども、私、五百円で採算が合うのかということについては非常にこれは疑問に思います。実際、収支を審査をする際に、労働者の賃金やあるいは労働時間が適正に反映されているのかどうかというところが、私これから検討していただきたいと思うんですね。  経過を伺いますと、平成十四年当初には期限付きで認可をされて、それを延長するときに再審査をされるという経過をたどってきたんだけれども、今年の四月に恒久的な認可をされた。そこではタクシー事業者の方の収支が一〇〇%を超えているかどうかということは見ている仕組みになっているわけですけれども、ですが、現場で乗務員、運転手がどれだけの長時間、あるいはどんな過労運転をやっているのかという実態については、これは認可に当たっては見ないという仕組みになっているようですね。そして、認可を一遍すると、仮に監査などでそういう実態がその事業者の中にあるということが明らかになっても、その認可運賃を取り消すという仕組みが現行ではないように伺いました。  私これちょっと問題なんじゃないかと思いまして、というのは、リース制ですから、運収が減っても労働者からは定額のそのリース料が入るわけです。ですから、事業者の収支というのは一〇〇%を下回らないケースもそれは間々あるだろうと思うんですね。ですけれども現場では過酷な状況があっている。その実態をしっかり審査基準、運賃認可の審査基準に組み込むような検討あるいは見直し、この辺りも行うべきではないかと思いますけれども、その点、局長にお伺いしたいと思います。
  115. 宿利正史

    政府参考人宿利正史君) 私ども運賃の認可のための審査をするときには、当然でありますけれども、事業者が最低賃金でありますとか労働関係法規をきちっと遵守すると、そういった事業者の責務を遵守するということを前提に職務をしておるわけであります。  実は、その後いろいろ問題が生じたと、労働関係法規違反あるいは道路運送法違反といった事実が生じました際には、私ども個別の監査を行い、あるいは労働関係機関ときちっと連携を取りながら、必要な是正を求め、あるいは行政処分をするという形で対処するということで取り組んでいるところであります。
  116. 羽田雄一郎

    委員長羽田雄一郎君) 仁比聡平君、おまとめください。
  117. 仁比聡平

    仁比聡平君 はい。  そうですか。是非、今後、置かれている小委員会やあるいは厚労省との協議の中でも、是非前向きに取り組んでいただきたいと思います。  この問題の中で、結局経済規制とされて自由化をされた運賃認可というのが、実はタクシー市場では、これは社会的規制としての面を強く持っているんだということが私明らかになったんじゃないかと思うんですね。  そういう意味で、経営者任せにするのではなくて、当事者としての政府の対策が急務であるということを申し上げて質問を終わります。
  118. 渕上貞雄

    渕上貞雄君 社民党の渕上でございます。  福知山線事故についてお伺いをいたします。  百七人が亡くなった兵庫県尼崎市のJR電車脱線事故について、国土交通省航空鉄道事故調査委員会は、九月六日、発生から四か月ぶりに中間報告を発表いたしました。しかし、遺族からは報告書に対して、だれもが知りたいという点に触れていないという不満が上がってきております。経過報告という段階ではありますけれども、脱線のメカニズムという技術課題やハード面の問題点を解明するにとどまっているというのは非常に残念なことでございまして、この点について大臣の率直な見解をお伺いしたいと思います。
  119. 北側一雄

    国務大臣北側一雄君) 私も事故調方々の日ごろのお仕事ぶりをかいま見させていただいておりますけれども、大変な状況の中で今やっていただいております。  これはあくまで中間報告でございまして、これまで明らかになった客観的な事実関係について御報告をされたものでございます。決してこれで終わりということではなくって、また背景にある要因等を軽視しているわけでも決してございません。こうしたこれまで明らかになった客観的、科学的な事実関係を基にして、これから背景となる要因等についてもしっかり調査また分析がなされていくものであるというふうに考えております。
  120. 渕上貞雄

    渕上貞雄君 次に、今回の事故調査は、事故調の活動の試金石となる事故調査の対象について、単に脱線のメカニズムという技術的な課題を解明するだけでなく、今も大臣から報告ございましたが、企業の体質と経営システム上の原因も含めた事故の背景要因、それから各関係者の人的要因、さらに犠牲者軽減要因など、幅広い視点からの徹底的な原因調査を行うべきでありまして、あわせて、遺族負傷者が納得できる報告書になっているという観点が非常に大事なことではないかと思っています。  遺族負傷者からのヒアリングや彼らの意見を反映などは考えているのかどうか、今後の調査の進め方、事故調査委員会考え方についてお伺いいたします。
  121. 福本秀爾

    政府参考人福本秀爾君) お答えいたします。  当委員会におきましては、福知山線列車脱線事故に係ります調査を鋭意進めているところでございますが、多角的な事実調査と科学的な解析に基づきまして最終的な結論を得るというまでには相応の日時を要するものと見込まれましたことから、去る九月六日に、これまでの調査で判明いたしました客観性の高い情報が比較的速やかに得られるということで、ハード面の事実情報を中心にその概要を大臣に御報告するとともに、公表いたした次第でございます。  もとより、事故調査におきましては、先生御指摘のとおり、ハード、ソフトの両面から広範囲に多角的に調査をいたすことが重要でございまして、当委員会におきましては、乗務員の勤務状況でございましたり、運行ダイヤ、あるいはヒューマンファクターと言われておりますが、人的諸要因なども含めまして、事故の背景について引き続き調査を進めてまいる所存でございます。  なお、今先生御指摘いただきました負傷者方々からお話をお伺いするという点につきましては、既に事故時における車内の状況などにつきましてお話をお伺いしておる方もいらっしゃいますし、今後とも、いわゆるサバイバルファクター等々の観点からお話をお伺いし、事故調査に参考とさせていただきたいと考えておるところでございます。
  122. 渕上貞雄

    渕上貞雄君 大変な作業だと思いますが、どうか事故のないようにひとつ、これから先も事故が起こらないようにどうかひとつ立派な報告書を出していただくようにお願い申し上げておきます。  兵庫県尼崎市のJR福知山線脱線事故を受けて、航空鉄道調査委員会在り方考えるシンポジウムでも、国などに対して情報公開の拡充や被害者支援の義務付け、独立した事故調査機関の必要性を求めるアピールが採択をされています。  事故調査の過程において、国土交通行政在り方や法令それから規則等の問題点について問題点も洗い出すためにも事故調査委員会の独立を図るべきだと考えておりますが、いかがでございましょうか。
  123. 福本秀爾

    政府参考人福本秀爾君) お答えさせていただきます。  事故調査につきましては、科学的かつ公正な見地から行うことが必要であると考えております。そういう中で、委員会の独立性が十分に確保されるということが極めて大事ではないかと考えてございます。このため、航空鉄道事故調査委員会設置法におきまして、委員会委員長及び委員は独立してその職権を行うと規定してございまして、国土交通大臣に対し、独立して調査の際の権限と行使に当たっておるところでございます。  また、この委員の任命につきましても、科学的かつ公正な判断を行うことができると認められる者のうちから、国会の同意を得まして国土交通大臣が行うということが規定されてございます。各分野において高度の学識また経験を有する者が選任されるなど、委員会の独立性、公正性につきましては十分確保されておるところでございます。  このあかしといたしまして、事故防止のため講ずべき施策について大臣に勧告等を行うこととされてございますが、これまでに勧告を三件、建議を十七件、既に国土交通大臣に対しまして行ってございます。そういう意味では、独立してその職責を全うしておるものと考えておるところでございます。
  124. 渕上貞雄

    渕上貞雄君 安全と安心の公共交通の実現に向けて、運輸事業者、行政の安全責任の強化、それから事故調査委員会の独立性及び権限の強化、被害者ケアの充実などを内容とする運輸安全基本法、仮称ですが、制定すべきではないかと考えます。そのような声もまた遺族鉄道安全推進会議などから上がっている。運輸安全基本法について、仮称ですが、その見解をお伺いしたいと思います。
  125. 春田謙

    政府参考人春田謙君) 今お尋ねの公共交通の安全の確保の関係でございますけれども国土交通省といたしましては、福知山線事故あるいは航空関係のトラブルの発生なども踏まえまして、やはり公共交通の安全を図るためには公共交通を担う事業者の安全管理体制というものがしっかりしていないといけないと。これは現場における対応のみならず、経営のトップ自らがしっかりと安全管理体制というものを掌握をするということが重要であるというふうに認識をしております。また、行政といたしましても、このような安全管理マネジメント、こういったものを確認をいたしまして、評価をしていくというような体制を構築していくことが必要であるというふうに考えております。  そういった意味で、安全体制をもう一度行政の責任、事業者の取組ということ全体を踏まえましてしっかりと構築をしていくと。このためには、国土交通省といたしましては、来年度の組織要求の中で大臣官房に運輸安全政策審議官、仮称でございますが、こういったポストを新たに設けまして、専任の安全監視組織を整備するということの要求をしているところでございます。また、事故調査委員会の事務局の体制強化ということも非常に重要でございます。調査体制強化のための増員を要求しているところでございます。  いずれにいたしましても、今後とも国民の公共交通機関に対する信頼回復に向けまして、安全確保のための施策の充実を図るということが必要であると考えております。
  126. 渕上貞雄

    渕上貞雄君 次に、鉄道の災害復旧補助の枠組みの見直しについてお伺いをいたします。  最近、集中豪雨や台風等によって鉄道の被災事例が頻繁をしています。復旧まで長期に掛かる例や、新線建設と同じぐらいの費用が掛かるわけでございまして、運賃収入に見合わないなどの理由で廃線の危機にさらされる路線もかなり多くあります。鉄道が災害復旧補助を受けるには鉄道軌道整備法の適用が前提となるわけですが、補助の条件のハードルが高く、適用は極めて厳しいものとなっております。  そこで、同法は原形復旧が基本でありますが、補強工事の費用等は対象となりません。被災が生じた場合に対症療法的に適用されるだけでございますけれども鉄道輸送の安全を確保する観点からは事前の防止対策が望まれ、災害予防のための施設強化にかかわる費用についても助成できるようにすべきだと考えますが、現行法制度の枠組みを抜本的に見直すよう強く求めたいと思いますが、考え方はいかがでございましょうか。
  127. 梅田春実

    政府参考人梅田春実君) 鉄道施設の災害復旧につきましては、鉄道事業者自らがその資力によって行うというのが基本でございます。したがいまして、多くの鉄道事業者は、風水害、土砂崩壊などによりまして鉄道施設に被害が生じた場合に復旧に要する費用が支払われる土木構造物保険というのがございまして、これに加入しているところでございます。  しかしながら、被災規模が大きくて、鉄道事業者がその資力によっては当該の災害復旧事業を施行することが著しく困難だという場合には、御指摘のように、国として鉄道軌道整備法に基づく鉄道災害復旧事業費補助により支援を行っているところでございます。  復旧に当たりましては原形復旧考え方を基本としておりますが、地方公共団体等が行う治山治水事業などとの連携を図るということで、鉄道周辺の一体的な防災機能の向上に努めてきているところでございます。  さらに、鉄道施設の防災対策支援といたしましては、こういう制度とは別に、鉄道防災事業費補助というのがございます。また、中小の民鉄を対象としておりますが、鉄道軌道近代化設備費補助等がございまして、こういう補助制度によりまして鉄道事業者に対して支援を行っているところでございます。  今後とも、こういう支援制度を適切に組み合わせ活用しながら、災害復旧あるいは防災対策取組を着実に推進していきたいと思っております。
  128. 渕上貞雄

    渕上貞雄君 よろしくお願いを申し上げておきます。  アスベスト対策については、やはり私は全面禁止、それは生産、それから販売、使用についてもすべきだと思いますし、その措置をとるべきだと考えておりますが、現在は事後的な補償、それから救済立法などの話が進んでおりますけれども、あわせて、今後は石綿使用の建築物の改築、それから解体などによる新たな被害を防がなくてはならないと考えております。  そこで、石綿使用の建物の改築、解体に関する安全対策のための事前調査徹底をして、石綿飛散防止、除去や廃棄に関して総合的なプランを策定すべきだと考えますが、いかがでございましょうか。
  129. 竹歳誠

    政府参考人竹歳誠君) アスベスト問題につきましては、政府全体として関係省庁間の連携を取りながら進めているところでございます。  国土交通省としても、政府の対応方針の中に、特に実態把握の強化、これに努めております。そして、既存建築物のアスベストの除去等や建築物の解体現場におけるアスベスト飛散防止について措置を講じることとしておりまして、今先生御指摘のように全体的な取組を進めているところでございます。
  130. 渕上貞雄

    渕上貞雄君 国土交通省は、マンションや一戸建てに使われている吹き付けアスベストについて、飛散防止、それから除去を所有者に義務付けるため建築基準法改正を検討していますけれども、石綿の除去費用などの融資などの経済的支援制度についても併せ検討すべきではないかと考えますが、いかがでございましょうか。
  131. 山本繁太郎

    政府参考人山本繁太郎君) まず、住宅以外の民間の建築物につきまして、平成十八年度予算で既存の補助制度を拡充いたしまして、不特定多数の方が御利用になる民間の大規模な施設についてアスベスト除去等の費用を補助できるように要求しております。  それから、融資の制度としまして、平成十八年度予算で日本政策投資銀行などの政府系金融機関において低利融資が受けられるよう要求しております。  それから、住宅でございますが、マンションなどの住宅ですけれども、アスベスト除去等について、今年度新しい法律で創設していただきました地域住宅交付金の活用を考えておりまして、公共団体と連携して積極的に支援していくという考えでございます。  なお、住宅の融資につきましては、住宅金融公庫の既存のリフォーム融資が利用可能でございますので、これらを御利用になっていただきますように周知していく考えでございます。
  132. 渕上貞雄

    渕上貞雄君 道路財源問題について質問するように通告しておりましたが、時間の関係で質問できません。  先ほど基本的な議論があったようでございますが、見直しに当たって公共交通の拡充のために頑張っていただくことを最後に申し上げて、質問を終わります。
  133. 羽田雄一郎

    委員長羽田雄一郎君) 本日の調査はこの程度にとどめます。     ─────────────
  134. 羽田雄一郎

    委員長羽田雄一郎君) 建築物耐震改修の促進に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。  政府から趣旨説明を聴取いたします。北側国土交通大臣
  135. 北側一雄

    国務大臣北側一雄君) ただいま議題となりました建築物耐震改修の促進に関する法律の一部を改正する法律案の提案理由につきまして御説明申し上げます。  我が国においては、昨年十月には新潟県中越地震、そして本年三月には大規模地震の発生の可能性が低いと言われていた福岡県でも福岡県西方沖地震が発生するなど、大規模地震はいつどこで発生してもおかしくない状況にあります。また、東海地震、東南海・南海地震、首都直下地震など、甚大な被害をもたらす大規模地震が発生する可能性についても指摘をされております。  このように、大規模地震が切迫する状況にある中、想定される被害を未然に防止するためには、国家的課題として、建築物耐震改修を強力に推進していくことが不可欠であり、一刻も早く所要の施策を講じていく必要があります。  このような趣旨から、このたびこの法律案を提案することとした次第でございます。  次に、この法律案の概要について御説明申し上げます。  第一に、国土交通大臣は、建築物の耐震診断及び耐震改修の促進を図るための基本方針を定めることとしております。  第二に、都道府県は、基本方針に基づき、当該都道府県の区域内の建築物の耐震診断及び耐震改修の促進を図るための施策等を記載した都道府県耐震改修促進計画を定めることとしております。  第三に、所有者に耐震改修を行う努力義務等が課せられる特定建築物の範囲を拡大し、地震によって倒壊した場合に道路の通行を妨げ、多数の者の円滑な避難に支障となるおそれがある一定の建築物等を追加することとしております。  第四に、所管行政庁による指示の対象となる特定建築物に、小学校、老人ホーム等を追加するとともに、特定建築物の所有者が指示に従わなかったときは、その旨を公表することができることとしております。  第五に、認定建築物である特定建築物耐震改修に必要な資金の貸付けについて、耐震改修支援センターが債務保証を実施することとしております。  その他、これらに関連いたしまして、所要の規定の整備を行うこととしております。  以上がこの法律案を提案する理由です。  この法律案が速やかに成立いたしますよう、御審議をよろしくお願い申し上げます。
  136. 羽田雄一郎

    委員長羽田雄一郎君) 以上で趣旨説明の聴取は終わりました。  本案に対する質疑は後日に譲ることといたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後一時十七分散会