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2005-10-24 第163回国会 参議院 行政監視委員会 第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十七年十月二十四日(月曜日)    午後一時開会     ─────────────    委員氏名     委員長         山口那津男君     理 事         後藤 博子君     理 事         鶴保 庸介君     理 事         岩本  司君     理 事         浜田 昌良君     理 事         松 あきら君                 愛知 治郎君                 加納 時男君                 狩野  安君                 北岡 秀二君                 佐藤 泰三君                 山東 昭子君                 田中 直紀君                 橋本 聖子君                 藤野 公孝君                 水落 敏栄君                 矢野 哲朗君                 吉田 博美君                 岡崎トミ子君                 鈴木  寛君                 千葉 景子君             ツルネン マルテイ君                 津田弥太郎君                 松岡  徹君                 蓮   舫君                 和田ひろ子君                 渡辺 秀央君                 浮島とも子君                 吉川 春子君                 近藤 正道君     ─────────────    委員異動  九月二十一日     辞任         補欠選任      矢野 哲朗君     長谷川憲正君  ツルネン マルテイ君     荒井 広幸君  九月二十六日     辞任         補欠選任      愛知 治郎君     柏村 武昭君      鈴木  寛君     大塚 耕平君      千葉 景子君     田名部匡省君      津田弥太郎君     芝  博一君      蓮   舫君     足立 信也君      和田ひろ子君     小川 勝也君  十月四日     辞任         補欠選任      近藤 正道君     福島みずほ君  十月五日     辞任         補欠選任      足立 信也君     蓮   舫君      浮島とも子君     西田 実仁君      福島みずほ君     近藤 正道君  十月六日     辞任         補欠選任      蓮   舫君     足立 信也君      西田 実仁君     浮島とも子君  十月十二日     辞任         補欠選任      藤野 公孝君     中川 義雄君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         山口那津男君     理 事                 後藤 博子君                 鶴保 庸介君                 岩本  司君                 浜田 昌良君                 松 あきら君     委 員                 狩野  安君                 柏村 武昭君                 北岡 秀二君                 山東 昭子君                 田中 直紀君                 中川 義雄君                 橋本 聖子君                 水落 敏栄君                 吉田 博美君                 足立 信也君                 小川 勝也君                 大塚 耕平君                 岡崎トミ子君                 芝  博一君                 田名部匡省君                 松岡  徹君                 渡辺 秀央君                 浮島とも子君                 吉川 春子君                 近藤 正道君                 荒井 広幸君                 長谷川憲正君    国務大臣        法務大臣     南野知惠子君        国務大臣        (内閣特命担        当大臣金融)        )        伊藤 達也君        国務大臣     竹中 平蔵君    副大臣        文部科学大臣  小島 敏男君        文部科学大臣  塩谷  立君        経済産業大臣  保坂 三蔵君    事務局側        常任委員会専門        員        白石 勝美君    政府参考人        内閣官房内閣審        議官       中城 吉郎君        内閣官房内閣審        議官       篠田 政利君        内閣府政策統括        官        林  幹雄君        警察庁交通局長  矢代 隆義君        金融庁総務企画        局長       三國谷勝範君        金融庁監督局長  佐藤 隆文君        総務省自治行政        局公務員部長   小笠原倫明君        総務省自治財政        局長       瀧野 欣彌君        財務省主計局次        長        勝 栄二郎君        文部科学省初等        中等教育局長   銭谷 眞美君        文部科学省科学        技術・学術政策        局長       丸山 剛司君        文部科学省スポ        ーツ・青少年局        長        素川 富司君        文化庁次長    加茂川幸夫君        厚生労働省保険        局長       水田 邦雄君        経済産業大臣官        房審議官     川原田信市君        経済産業省商務        情報政策局長   豊田 正和君        資源エネルギー        庁電力ガス事        業部長      安達 健祐君    参考人        日本郵政公社総        裁        生田 正治君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○国政調査に関する件 ○政府参考人出席要求に関する件 ○参考人出席要求に関する件 ○行政監視行政評価及び行政に対する苦情に関  する調査  (行政活動状況に関する件) ○松江市における交通事故死の疑いのある事案の  明確な説明を求めることに関する請願(第七号  )     ─────────────
  2. 山口那津男

    委員長山口那津男君) ただいまから行政監視委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  去る十二日までに、ツルネンマルテイ君、矢野哲朗君、愛知治郎君、千葉景子君、和田ひろ子君、鈴木寛君、津田弥太郎君、蓮舫君及び藤野公孝君が委員辞任され、その補欠として荒井広幸君、長谷川憲正君、柏村武昭君、田名部匡省君、小川勝也君、大塚耕平君、芝博一君、足立信也君及び中川義雄君が選任されました。     ─────────────
  3. 山口那津男

    委員長山口那津男君) 国政調査に関する件についてお諮りいたします。  本委員会は、今期国会におきましても、行政監視行政評価及び行政に対する苦情に関する調査を行いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 山口那津男

    委員長山口那津男君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  5. 山口那津男

    委員長山口那津男君) 政府参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  行政監視行政評価及び行政に対する苦情に関する調査のため、本日の委員会政府参考人として、理事会協議のとおり、内閣官房内閣審議官中城吉郎君外十六名の出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  6. 山口那津男

    委員長山口那津男君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  7. 山口那津男

    委員長山口那津男君) 参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  行政監視行政評価及び行政に対する苦情に関する調査のため、本日の委員会参考人として、理事会協議のとおり、日本郵政公社総裁生田正治君の出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  8. 山口那津男

    委員長山口那津男君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  9. 山口那津男

    委員長山口那津男君) 行政監視行政評価及び行政に対する苦情に関する調査を議題といたします。  本日は、行政活動状況に関する件について質疑を行うことといたします。  質疑のある方は順次御発言願います。
  10. 北岡秀二

    北岡秀二君 この委員会に入って初めて質問をさせていただきます。  まず、一番最初文科省関連質問をさせていただきたいと思うんですが、さきの通常国会一般質疑質問をさせていただいたことを改めてこの委員会で再確認をさせていただく意味で、最初広島教育の今後の推移等々、今までの取組含めてお話をお伺いさせていただきたいと思います。  もう御承知のとおり、平成十年ですか、文科省の方から教育是正指導ということで、大変大きな、広島県内教育については国民関心の下で、異常な教育体制がしかれておったということで、文科省が今申し上げました十年から是正指導に入られたということなんですが、私どもが自民党の中でもいろいろ勉強させていただいたり、議論をさせていただいたり、その過程の中で私どもびっくりしたのは、学習指導要領をかなり逸脱をしたような教育がかなり蔓延しておると。当然、国旗国歌に関しては十分な指導もできていない。そしてまた、なおかつ、私はもう、もう一つびっくりしたのは、一部の学校だったようでございますが、国語という教科を正式に学校で表示しておるのが「日本語」という形で表示をされておるような学校があったと。  正にこういう話を聞いてみると、これ昔よく使われた言葉ですが、アナーキストというんですか、無政府主義先生方学校指導をやっておるんではなかろうかと思われる学校も現れてきておったと。挙げ句の果てには、これも非常に国民関心を呼んだことでございますが、世羅高校校長先生から始まって自殺者が三名、是正指導過程の中で起こってきたと。本当に、内容を私ども承知をさせていただく限りにおいては、大変異常な状況の雰囲気だったように私どもは感じております。  今年、文教委員会で視察をさせていただいて改善状況PTAの父兄の皆さん方から御意見をお伺いして、それなりにかなり改善が進んできておると。そしてまた、なおかつ、文科省から派遣をされておられる教育長から話を聞かさせていただいておりましても、かなり御苦労はされておるようでございますが、毅然たる態度教育指導に臨んで、かなり、国もそうでございますが、県、市町村、そしてまた地元、PTAも含めて一体となって、それなりの大きな成果を上げつつあるということでございます。  まず、このこと、あと二、三点お聞きしたいんですが、文科省広島教育委員会に対して是正指導を行うに至った経緯、どういうふうに掌握をされ、その進捗状況が現在に至ってどうなっておるか。そしてまた、今申し上げましたとおり、文科省が直接是正指導を行ったことにより、ある程度の成果が得られておるようでございますが、その辺り文科省としてどういうふうに認識をされ、そしてまた、私はここに関心があるんですが、その是正指導成果を上げる過程の中で文科省地方教育委員会在り方全般について、それに関連していろいろ学習されたことがあろうかと思うんです。その辺りをどういうふうに認識をされていらっしゃるのか、お伺いをさせていただきたいと思います。
  11. 塩谷立

    ○副大臣塩谷立君) お答え申し上げます。  ただいま北岡委員からお話があった広島県の問題でありますが、これ今委員が大体のお話をしていただいているんで正にそのとおりでございまして、平成十年に国会マスコミ等で大変な議論になって、広島県における国旗国歌指導や道徳の教育問題等、様々な問題が取り上げられたわけでございまして、これに対して平成十年の四月に文部省としては広島県において現地調査を行ったわけでありまして、その後五月に広島教育委員会に対して、卒業式入学式における国旗国歌指導人権学習内容などの教育内容学校における管理運営状況について是正するようにという指導を行ったわけでございます。その後、広島県においては、この指導を踏まえて教育適正化に向けた取組が進められてきまして、現在においてはおおむね問題は是正されたと承知しております。  実際に、文部省から教育長を送って直接指導したり様々な形で国としても努力をしてきたわけでありますが、そういった状況の中で問題点も、今御指摘のとおり、教育委員会権限等の問題もありますし、これについては適切な教育が行えるように地方権限責任を拡大するという方向で今、中教審においてこの教育委員会の問題を審議しているところでございまして、近々その最終答申が出るというところでございます。  いずれにしましても、制度の趣旨に即して適正な教育が行われなければならないというのは言うまでもありませんので、文部科学省としても、今後とも各都道府県教育委員会に対して必要に応じて指導助言を行ってまいりたいと思っているところでございます。
  12. 北岡秀二

    北岡秀二君 今、ある程度常識の範囲の中でそれなりにお答えはいただきましたが、私あえてこれ、通常国会常任委員会質問したにもかかわらず、あえてこの場でもう一度させていただきたいという思いの中に、この広島県で文科省が正式に、久方ぶりですね、是正指導に入って、本格的に地方教育委員会に対して、言葉が適切かどうかは知りませんが、介入を始めたと。  そこで私は、これの是非は別にして、やっぱり現場でどういう現象が進行していって、そしてまた、なおかつ、文科省として地方指導するに当たって、どういうところに問題があって、そしてまた、なおかつ、今後新たに地方分権流れが進んでいく中で教育委員会自体在り方やいろんな指導をされるだろうと思うんですが、いろんな意味で何がちょっとおかしくなってきておるのか、そしてまた、なおかつ、これから、その何がおかしくなっているかという原因究明とともに、先ほど副大臣中教審審議されておられるという話をされましたが、中教審審議をいただくことは私は大いに結構なんだろうと思うんですが、文科省文科省としてこの是正指導に入られて、これから国の教育行政全般をつかさどる中心の省庁として何を心掛けていかなければならないか。私はそれなりに、まあちょっと非常に単純な申し上げ方で申し訳ないんですが、学習をしていかなければならないんではないのかなというふうに私は痛切に感じておるんです。  それと同時に、この問題、よく考えてみると、私は全国津々浦々、形、結果として出てきておる現象は別にして、五十歩百歩で、大なり小なり底流流れている問題というのは似たようなところがあるように私は認識をさせていただいております。  それにはいろんな分析の仕方がございますが、一つ切り口としては、戦後、営々として私ども戦後の民主主義文化というか民主主義社会の標榜の下に、ややもすると権力集中あるいは権限集中権力排除、そして権限集中することを排除する、それをどんどんどんどんいかにしてやっていくべきかということを一つの側面、まあこれはもう教育のみならず行政全般社会全般、ありとあらゆるところでその状況が進行してまいった。  確かに、権力集中をしていったり、あるいは権限集中を排除することによって、良かったところも私は否定することはいたしません。しかし、それと同時に、これはもう非常に分析としては難しい表現になるから単純に申し上げると、無責任体制が蔓延をしてきた。権力集中権限集中を排除すると同時に、責任所在がどんどんどんどんなくなってきておると。何か問題があっても、責任持って毅然たる態度で臨む方々がいらっしゃらなくなってきておると。  この広島県の場合もそうだろうと思うんですが、教職員組合あるいは外部の特定団体がございますが、いろんな難しい問題をどんどんどんどん投げ付けてこられると。これをさばいていくというのは実は大変な作業だろうと、私も現場で多少そういうことを経験しておりますので承知をしておりますが、今申し上げた無責任体制の中でずるずるずるずる妥協しながら、そしてまた、なおかつ、ずるずるずるずるその辺り責任を取らない、毅然たる態度を取らない状況の積み重ねの結果が、私は、先ほど申し上げたこの広島県の是正指導に至らざるを得ないような環境が現れた、そしてまた、なおかつ、私はこの広島県のみならず全国的に教育現場の荒廃あるいは教育の問題ということを考えてみる中に、これは学校現場だけじゃなくて社会も家庭もそうなんですが、その一つの大きなキーワードに無責任という問題が私は底流流れてきておるんじゃなかろうかというふうに認識をさせていただいております。  非常にアバウトで抽象的な問題認識のとらえ方でございますが、私は今申し上げた広島教育是正指導に当たって、文科省としてどういうところを学習されたか、改めてその辺り、もう一度ちょっと御見解をお聞きしたいと思います。
  13. 塩谷立

    ○副大臣塩谷立君) 大変重要な課題を今お話しいただいたわけでございまして、この問題は、本来であれば教育全般にわたってお話をしていかなきゃならぬ問題だと思っておる中で、広島県の教育委員会のこのいろんな課題については、私ども調査の結果、やはり、一つ制度的なものも私はあると思っておりまして、地方教育委員会権限なり責任なりの明確化がされていない、そういったこと、あるいは、県と市町村あるいは国との連携の在り方、こういったことも非常にあいまいな中で来ているんではないかなということが一つあります。  それから、何といっても、やはりポスト教育長という重要なポストにいかにだれを任命するかということ、こういうことも非常に重要な課題であるということもあるわけでございまして、今の問題は、私自身も今教育委員会在り方、果たして国の指導助言がどこまで地方教育委員会に強制できるのかというと、これは全く強制力がない状況になっておりますので、そういうところも今後どう考えていくかということを非常に私自身危惧しているところでございます。  やはり、国としてこうあるべきというものを、最低限のものを地方にしっかりと権限を持たせてやっていただく、そういったような仕組みも今後考えていかなければならないだろうし、また、その基となる学習指導要領とかそういったものを今検討を改めてしておりますが、そういった内容も含めて根本から考えていく必要があると私自身は感じておりまして、そういう中で広島県の今回のこの問題についても、明らかにその責任所在の不明確化といいますか、そういうこともありますので、そこら辺を今後、私自身は、しっかりもう一度議論して確立をしていかなきゃならぬという私自身の感じを持っているところでございます。
  14. 北岡秀二

    北岡秀二君 私は、これは教育改革を進めるに当たって一番根っこ根っこのところだろうと思うんです。今ちょっと言葉出てまいりましたが、一月だったか二月だったかのあの文教委員会のときにも申し上げましたが、底流流れているキーワードは、やっぱり責任責任をどう取っていくかと。そしてまた、なおかつ、これから地方分権が進んでいったりいろんな新しい制度というのが導入される、あるいは教育改革に関連して新しい流れもこれから出てくるだろうと思うんですが、私は是非とも、これはもう本当に根っこの部分でありながらなかなか具体的な施策というのは出しづらい状況、そしてまた、昔に返るわけにいかない今の現代の社会世相の中で、どういう形でそれを表現していくかというのは非常に難しいだろうと思います。  しかし、一つだけ言えることは、私先ほど申し上げたとおり、権力を否定していったり、権限集中を否定していくことと同時に発生する無責任体制をどう打開していくかというのは、これからの私は教育行政の一番肝心かなめの大きなテーマであることだけは間違いないということは是非とも御認識を改めていただきたいなというふうに感じております。  それに関連して、最近出てきておる一つのこれもトレンドというか、行政の中で出てきておる、特に文教行政の中でも出てきておりますが、評価という言葉、これはもう大学評価制度から始まって、最近では国立大学法人が出発してから、これも評価制度に基づいて今後の取扱いを、方向性を決めていこうというような一つの指針もございます。そしてまた、なおかつ、義務教育高等学校評価という姿も徐々に徐々に、これは文部科学省指導されておられるのかどうか知りませんが出つつあると。これは私、今申し上げた無責任体制を是正する一つ切り口としてはそれなりに有効な切り口じゃなかろうかというふうに私は考えております。  つい先日も、北海道とどこだったか、札幌市ですか、評価の問題で新聞ざたになっておりましたが文科省として、大学評価に関してはそれなりに進行しつつありますが、小中学校、公立の小中高等学校ですね、基本的なところでの評価制度に対する取組姿勢、そしてまた、なおかつ、今後の方向性、どういうふうに考えておられるのか、お伺いをしたいと思います。
  15. 塩谷立

    ○副大臣塩谷立君) ただいまのこの評価についてでありまして、これは我々文部科学省としても、今後、教育に対する信頼あるいは責任のことを考えれば当然進めていかなければならないと思っておるわけでございまして、教育の結果を検証することによって教育の質を保証し、また仕組みを整備することが重要であり、学校評価あるいは教員評価の果たす役割は大変大きいと考えております。  学校評価につきましては、現在、適切なシステムの構築に向けて学校評価ガイドライン平成十七年度中、今年度中ですね、これを策定して、このガイドラインに基づく評価実践研究を十八年度の予算として今概算要求をしているところであります。そしてまた、教員評価につきましては、平成十五年から十七年の三年間の予定で、これに関する調査研究を、今現在、都道府県政令指定都市に委嘱をして人事考査制度などについて検討を進めているところでございまして、こういった調査研究等、またガイドラインに基づく、来年度、評価実践研究等を踏まえて、これから学校それから教員評価を実際に行ってまいりたいと思っておりますが、この評価については現在も内部的に学校でアンケートを取ったりいろんな形でやられている。  問題は、多分、公表の仕方を、どこまで公表するかということが、これがまた一つの改めての問題になってくると思いますので、そこら辺も踏まえて、今後、この評価制度について国民信頼が得られるような形で進めてまいりたいと考えているところであります。
  16. 北岡秀二

    北岡秀二君 これは私は、社会の中で、あるいは教育現場の中で真に成果の上がる評価システムが確立するまでというのは、まあ大学評価システムも同じことが言えるんですが、紆余曲折をしながらまだしばらく掛かるだろうと思います。そういう面では、震源地というか扇のかなめになる文科省、よっぽどしっかりしていなければ、また形骸化した、今申し上げた無責任体制をちょっとでも打破できるような切り口になればと思うその道具がまた死んでしまいますので、その辺り是非とも心して今後の対応に取り組んでいただきたいなと。  それと同時に、これはもう地方権限だろうと思いますから、具体個別内容についてはそこまで指導できぬかも分からぬですが、最近、特に義務教育、小中学校辺りでいうと学校区の、校区社会ですね、校区の中の社会体制がどうなっているかというのも、教育成果が上がっていく、あるいは正常化できる大きな関連の要因になってきておると思うんですよね。ですから、一つのサンプルとして、特に小中学校に関していうと、校区のその辺り評価もできるようなことになればおもしろいかなというような話を今ちょっと聞きながら私も思いました。それと同時に、もう既に校長の権限の強化とか、そういう動きも出てきておりますが、是非ともその辺りも併せて、先ほどの底流流れておる問題解決に向かって取組をしていただきたいと思います。  ちょっと時間が経過しましたので次をちょっと省略して、義務教育費の国庫負担制度、これは行政監視委員会からすると直接関連があるかどうかは別なんですが、もうせっかくですので今の状況をちょっとお聞きしたいんですが、これも御承知のとおり、かつて日本というのは古くから国庫負担かなりやっていて、いっとき、これはもう時代環境が違いますから同じことが言えるかどうか分かりませんが、戦後のシャウプ勧告によって一九五〇年にいっとき国庫負担制度というのは廃止をされた経緯がございます。総務省の方もちょっと半分聞きながら……。  そのときに、社会環境違いますから同じようなことが言えるかどうか分かりませんが、教育の地域間格差が出てきたということで、地方の方からの要求によって五三年に国庫負担制度が復活をしたという経緯がございます。まずこれが第一点ですね。  それと第二点、これももう言わずもがな、御承知のとおりなんですが、今の世界の潮流を見てみると、先進諸国を中心にやっぱり教育は大事であると。これから先の国際社会を見通していった上では、非常に教育に掛かるウエートというのは、国家戦略上も非常にウエートが高いということで、もう先進諸国を中心に国が関与をして、お金の面で、いろいろ助成をしていくという傾向にここ十数年、特にどんどんどんどんその傾向に入りつつあると。これはもう言わずとも御承知のとおりでしょうから、これは文科省から出てきている資料等々も含めてピックアップしたんですが、フランス、ドイツ、イタリア、韓国、シンガポール、義務教育の教職員については全額国負担と。そしてまた、アメリカ、イギリスにおいても今申し上げましたような流れで、やっぱり教育は大事だと、教育をしっかりやっていかなければ将来の国が危ないということで国の財政的なてこ入れというのがどんどんどんどん増えつつあるという現状。  私は、このたびの国庫負担金の一般財源化、国が撤退するという意味ではないことは承知しておりますが、いろんな問題がはらんで、少なくとも義務教育に関しては国が国の責任の下で義務的に財政負担を約束をするというのは、これは私は当然のことでなかろうかというふうに私は感じておりますし、後々総務省にも、この教育ということじゃなくて、三位一体ということでいろいろお伺いしますが、地域間格差がこれから起こってくるということを私は非常に心配をしておると。  これはもう、あえてもう一度申し上げますが、日本の国の強みというのはやっぱり人材大国で、かつては勤勉な国民であったと。今はひょっとしたらもうそうじゃなくなっているかも分かりませんが。そしてまた、読み書きが十分にできる国民識字率が高いと。そしてまた、いろんな意味で協調性もあるし、今申し上げた勤勉性もあると。これは私は、非常に大きな過去営々と築き上げてきた教育成果だろうと思うんです。そしてまた、なおかつ、小泉さんが登場されたときも米百俵の精神ということで、あれは正に教育に、非常に台所事情が苦しくても将来の教育投資をしていくんだという中身の題材だったはずなんですが、今正に政府、まあ総理もそうでございますが、この国庫負担の部分を廃止をしよう、一般財源化しようというような流れになっておりますが、これ、九月の選挙終わってまた雰囲気も変わっております。文科省の改めての決意を、決意というか思いをお伺いしたいんですが。
  17. 塩谷立

    ○副大臣塩谷立君) 大変力強い御意見をいただきまして、我々も決意も新たにしているところでございますが、今、北岡委員おっしゃったように、教育についてはやはり国が最終的に責任を持つということはしっかりとこの状況の中で明確にしてまいらなきゃならぬと思っておるところでございまして、そういう中で、今回の義務教育国庫負担の問題につきましては、昨年の政府・与党合意に基づいて今年度、今年の秋までに中央教育審議会で結論を得るということになっておりまして、現在までに百、多分百二時間三十分ですかね、正確に言いますと、大変な熱心な、またいろんな面で具体的な議論もしていただいて、先週の十八日に一応部会としての答申があり、そして今週二十六日に最終的に中央教育審議会としての答申をいただくことになっておりまして、その内容の中にも、義務教育の給与費についてはやはり国が責任持つと。いろんな意見の中には全額という意見もありましたし、また、地方の案は一般財源という案が出てきたわけですが、大方国が責任を持つ、そして現行の二分の一が適切な制度ではないかということで、国のこの義務教育の根幹を維持し、そして国としての責任をしっかりと果たしていく上ではこのことを最終的な答申案とするということで、今、中教審の方ではそんな状況になっているわけでございます。  義務教育責任というのは、やはり機会均等、水準確保、さらには無償制という憲法にうたわれたそういった基本的な方向があるわけでありますので、先ほど一九五〇年から五三年の話がありました。やはり一般財源化したときに格差が生まれる、そういったことを果たして教育について、地方のこの格差が生まれることを是とするかどうかということ、こういうことも本当は議論して、もう自由競争でやるんだというようなことであれば、あるいはそういうことを考えてもいいかもしれませんけど、大方の地方の意見、これは六団体の意見とは違って、各市町村あるいは議会からのいろんな意見を聞くと、やはりこれは国で保障してほしいということが多く意見が出されておりますので、やはりその点をもう一度確認すると同時に、やはり義務教育については国がしっかり責任持って行うということで、この義務教育の根幹である国庫負担制度をしっかり堅持したいという姿勢でおりますので、この点の御理解、また委員先生方の御支援を是非お願いしたいと思っているところでございます。
  18. 北岡秀二

    北岡秀二君 今度の選挙でもいろいろ議論がありましたが、私もどっちかというと八月の本会議の投票のときには賛成をしなかった人間でございますので申し上げづらいんですが、官から民へというのがすべて正しいとか、あるいは小さな政府はすべて正しいとか、私もできる部分はどんどんどんどんやるべきだろうと思いますし、そしてまた、なおかつ、小さな政府にもこれからの将来ということを考えてみたときにはやるべきところはやるべきところだろうと思うんですが、しかし、やってはならないところ、守らなきゃならぬ部分、これは必ず私はあるはずだろうと思うんです。  いっときの、これは失礼な表現かも分かりませんが、金目の出し入れあるいは削減だけで、そちらにプライオリティーの優先順位を置き過ぎて国家百年の大計を誤ってしまうと私は大変なことになってしまうんじゃなかろうかなと。特に、日本の日本たるゆえんということを考えてみると、今は資源がどうだこうだというような時代ではなくなりつつありますが、私どもがかつて日本ということを小中学校、高校で学習したときには、日本は資源は何もない国ですと、人間の力によって貿易立国で、技術大国で日本の国の繁栄を目指しておりますというのが私は日本の基本の基本だろうと思うんです。  そしてまた、なおかつ、それこそ正に日本のアイデンティティーで、こういう小さな政府を目指していこうとも、教育に関する物の考え方というのはしっかりとした国としての考え方を持っていかなければならないというふうに私は考えております。  で、具体的、具体的というか、更にちょっと、もうちょっと具体的に言うと、さっきも申し上げましたが、この九月の選挙終わってから、俗に言われる小泉改革に対しては与党の内部でも余り十分な議論ができづらい状況の雰囲気になってきております。  そしてまた、なおかつ、これは自民党の内部の話でございますが、部会で申し上げても、この国庫負担金の問題等々も旧来の与党の内部の部会の雰囲気とはかなり違う雰囲気での発言が出てきて、私は、今申し上げた観点でこれからの国庫負担金がどうなるかなということを関心を持って見ておる人間からすると、総理の発言やあるいは官房長官の談話等々を参考に見さしていただくと、どうも、これ地方の声を優先すべきだと。総務省が絡んで主導されておる、まあ主導されておると言ったらちょっと語弊があるね、地方から出てきておる声を優先すべきだと。中教審の結論がどうであれ、地方の声を優先すべきだというような雰囲気が我々のところに漏れ伝わっておると。その辺りに対して非常に、総理を始め内閣、政府の方針と文科省単独の、今、塩谷大臣がおっしゃられた方向性と微妙にニュアンスが違うように私は感じておりますし、その辺り内閣の中で文科省として今後、今申し上げた、ひょっとしたら厳しい方向性が打ち出されるであろうかも分からない状況に対してどういうふうに対応していくのか、今、先ほど答えたことに付け加えて、更にお答えをいただきたいと思います。
  19. 塩谷立

    ○副大臣塩谷立君) 今の問題につきましては多少ニュアンス、じゃなくて大分ニュアンスが違うと思っておりますが。  先ほども申し上げましたが、この義務教育国庫負担の問題はこの秋の中教審の結論を踏まえてということになっておりますので、我々文部科学省としては、中央教育審議会の結論を踏まえて、やはり国の責任としてこの国庫負担は堅持したいと思っておりまして、この問題がどういう結論になるか分かりませんが、あくまで中央教育審議会においては、先ほど百数時間とお話し申し上げましたが、大変真剣な熱心な議論があって、やはり義務教育どうあるべきかという観点で話がされてきたわけでございまして、これはやはり中央教育審議会の結論としてしっかりと結論を出していただいて、あと政府の中で、それをどう判断するかは政府の全体の問題でありますから、その判断が下されたときにまた我々としては考えなきゃならぬと思っておりますが、当面、今週の答申はそのような形で答申をいただいて、それに基づいて文部科学省としては今後の対応を考えていきたいと思っております。  これ、いろいろと先生方からも御心配いただき、また今回の選挙での流れが大分変わってきたような感触は得ておりますが、しかし、やはり教育というのはこうあるべきだということをしっかりと答申を出していくことが文部科学省としては必要だと思っておりますので、その答申を踏まえて我々国の責任を果たしてまいりたいと、そういう決意でおります。
  20. 北岡秀二

    北岡秀二君 今ちょっとお話をお伺いすると、まあとにかく頑張るということの雰囲気で、ただ私は、何回も申し上げるとちょっと奇異に感じるかも分からぬですが、この解散・総選挙がある前とあった後、かなり環境は変わっただろうと思います。  いずれにしても、先ほどから申し上げておる小泉改革のもう全般の中の一つに入っています。国民から圧倒的な、まあ具体、こさいは別に、トータルでは支持を得たということの中で、文科省がこれからどう立ち居振る舞いするか、そしてまた、なおかつ、与党の中にあって我々議員がどうこれから協力体制を取るかという問題もあるんですが、よっぽど覚悟してやっていかなければ、今申し上げた、この九月以降はかなり環境が変わりつつあって、元々から厳しい環境ではあったんですが、よっぽどの覚悟でやっていかなければならないということだけはもう私が申し上げるまでもなくお分かりでしょうから、その辺り是非ともよろしくお願い申し上げたいと同時に、今、中教審という話が度々出てまいりましたし、もう近々この件についての最終答申が出るようでございますし、そしてまた、なおかつ、新聞紙上あるいは説明等々をお聞かせいただくと、二分の一国庫負担堅持という一つ方向性も何とか出そうな雰囲気でございます。  ただ、ここで心配するのは、今申し上げた政府の総理始め官房長官の方向性ともし仮に、仮にですね、違う結果を裁断をされたとき、もう一般財源化だと、で、中教審の答申はこうであったけど地方の声を重視するんだと、この地方の声自体もちょっとまた問題があるんですが、重視するんだということでですね、仮にそういうような状況になったとき、私は一つ心配するのは、もう既に、もう一部からも話が出てきたり、あちこちからも最近ちょっとびっくりするような中教審に対する誹謗中傷の話も出てまいってきておりますが、中教審の存在意義自体が問われることになりかねない。そしてまた、なおかつ、私も、中教審の会長始め各先生方、非常に良識のある有識者が入られて、先ほども申し上げた、国家百年の大計を案じつつ本当に真摯に教育の観点どうあるべきかということで議論をされたと。これが私は仮にもほごになるようなことがあればゆゆしき問題になるだろうと思います。  これは、仮定の話はもう質問しても仕方がないかも分かりませんが、これからの中教審の結論と政府の方向性がもし仮に違う結果になったとき、文科省として、その辺りの腹積もりも含めて、それぐらい私は腹くくってやってほしいということを言っているんですよ。ちょっと答弁お願いします。
  21. 塩谷立

    ○副大臣塩谷立君) 今の状況からすると、今回、中教審の結論がどう政府によって踏まえられるかということを非常に危惧するところでございまして、ただ、中央教育審議会の結論は私どもとしては最大限尊重されるべきものと思っております。  仮にそれがそういう結果にならなかったときに、この三位一体の問題が、そもそも中央教育審議会で結論を出すといったこと自体が非常に無理があることかなと私個人は感じておりまして、教育費全般をどうするんだということを改めてこれは考えていかなきゃならぬ。米百俵の精神というのは、正に財政厳しいときにいかに将来のために教育に力を入れていくかということでありますから、その教育費というものを、今、義務教育国庫負担というのは教員の給与の問題でございますが、本来であれば教材費とか図書費とか、ある程度そういったものも国が責任を持つことも考えていく、そういうことをトータル的に教育費というのを考えていく必要があるんではないかと。これは少子化の問題も含めて、いろんな観点からこれからの教育どうあるべきかということを、中央教育審議会のもちろん結論を最大限尊重すると同時に、やはり国全体で、むしろ官邸辺りに諮問機関でこの教育の問題を取り扱うものをつくるべきではないかと。  そうしませんと、ただ単に教育というと学校教育というかなり狭い範囲での話合いになる可能性がありますので、やはり社会として、国としてどうあるべきかということを、そういう審議する場をつくっていくことが私は必要だと思う。多分、ほかの例えば経済財政諮問会議とかいろんな官邸での会議がありますが、教育については今のところ全くないわけでして、そこら辺も今後考えて、トータル的に本当に教育どうするんだということをもう一度考える必要があると、私はそう感じております。今回の結論、結果がどうなるかによってそういうことも考える必要があるんではないかなと思っております。
  22. 北岡秀二

    北岡秀二君 そんなに時間的猶予がないものですから、できるだけまた何とかいい方向の結論が出るように、また共々に頑張らせていただきたいと思います。  ちょっともう時間がございませんので、ちょっと総務省の方に変わります。もう文科省、もしよろしかったらもう結構ですから。  今の質疑のやり取りに関連してなんですが、これは義務教育の国庫負担金ということで、想定してではなくて関連してということなんですが、私は三位一体改革、非常に危惧をしておる人間の一人でございます。  と申しますのは、もう私は御承知のとおり出身県が徳島県、全国四十七都道府県の中でもう下から三番目か二番目か、下手すると最下位グループの中でおるところから出てきておる人間であり、なおかつ私自身も過疎町の出身でございますので、田舎がどういう現状にあるか、その辺りを十分承知した人間の一人でございます。いろんな意味で、三位一体改革の状況が進行すればするほど、田舎にとって大きな大きなハンディを背負っていくんじゃなかろうかということを私は以前から危惧をしております。  これはもう具体個別に、当たり前のことですから改めて申し上げることはないんですが、補助金の改革と税源移譲と交付税の改革でしょう。当然、私はこの中で税源移譲というところで着目をさせていただくと、当然、これよく言われる、東京や大都市圏の基盤の強いところですね、これはもう補助金カットされる部分が当然それはある程度あるんだろうと思うんですが、それ以上に税源移譲によって税が返ってくると。  これは、どこの資料か知りませんが、例の三兆円の税源移譲に関連して、東京都の領域の試算では補助金カットの分と税源移譲でバックされる部分との差引きが六百億円というような、これは単純な数字で、こんな単純な計算で出てくるものではないんだろうと思うんですが、試算されている部分もございます。これはもうあくまで東京都だけ。  これ、東京都以外でも余計キックバック、キックバックと言ったらおかしいんですが、税源移譲によってより以上税金がたくさん返ってくる県というのがほかにも、自治体があるだろうと思うんです。当然その分、今まで補助金でいただいた部分を税源移譲によって賄うには足りないと。当然、その凸凹からいうと、その他の地域は六百億円不足、多分、当然してくるだろうと思うんですが。  その辺り、これは単純に考えると、より良くなる地域と、そしてまた、なおかつ、これは後でまた質問させていただくことにも関連するんですが、交付税がどこまで保障していただけるかということもあるんですが、ちまたの意見も含めて、地域間格差が三位一体改革が進行すれば更に助長されるんじゃなかろうかという懸念を持っておることに対して、地方自治体を指導しておられ、なおかつ三位一体改革を中心になって進められておられる総務省として、この地域間格差が進行していくことに対してどういうような見解と、何というか、所見をお持ちなのか、お伺いさせていただきたいと思います。
  23. 瀧野欣彌

    政府参考人瀧野欣彌君) 今回、三位一体改革で御指摘のように補助金を見直しましてその分税源移譲する、しかし地域間格差が出てくるのでそこのところを交付税で調整していこうと、こういう大きな考え方でやっておるわけでございます。その中で、御指摘のように、なかなか税源移譲といっても、地域間格差が大きいのでそれぞれの地域によって不均衡になるのではないかという危惧の念というものは当然あろうかというふうに思います。  我々は、そうだけれども地方団体の方も、今までの行政流れの中で今後の我が国における国、地方の役割分担等を考え、かつ国、地方の財政事情を考えれば、やはり地方でもっと創意工夫をしながら財政をしていくということの中で、この厳しい財政状況の中にも地方の力を発揮していこうということで地方団体もこの三位一体改革に乗り出してきたというふうに考えておりますし、我々も同じような考えであるわけでございます。  しかしながら、この三位一体改革の中で大きな、特に財政力の弱い過疎市町村で、今までの補助金に見合うような税源移譲が来ない、それで財政運営が非常に厳しくなるということがないように、我々は制度の面でいろいろ考えていかなきゃいけないというふうに考えております。  その一つは、税源移譲するといたしましても、東京都のような不交付団体の方に非常に大きな税が既存の制度のままでありますと当然行ってしまうことが予想されますので、まず税制改正といたしまして、所得税から住民税に税源移譲する場合に、現在のような累進構造ではなくて、住民税の場合にはフラットな税率構造にすることによって、東京都とそのほかの団体、あるいはほかの不交付団体と財政力の弱い団体の格差を現在よりも縮めていこうという税制上の手当てが一つございます。  それから、義務教育に関していいますと、これは県同士の問題でございますので、特に東京都の税ということを考えた場合に、直接の関係ではないんですけれども、税制の偏在性を少しでも是正していこうということで昨年度国会にお願いいたしまして、事業税の各県の割り振りの見直しをさせていただいておるわけであります。こういった税制上の措置をすることによりまして、制度的にできるだけ税源の偏在をならしていこうということを考えております。  一方、いろいろな補助金がそれぞれの団体に非常に同じような影響をもたらしませんので、税源移譲というような形の中、税制改正という形だけじゃなくて、交付税の算定におきましてできるだけ、既存のその見直しされます国庫補助負担金につきまして全額交付税の算定の中にまず入れていくと。それによりまして、地方団体の方の税収等の差額を交付税できちんと埋めていくことによりまして地域間格差が生じないようにしていきたいというふうに考えております。  ただ、そうはいっても、交付税の先行きが非常に心配ではないかという声もあるわけでございます。しかし、それは大きく考えますと、交付税についていろいろな見直しが言われておりますのは、投資的な経費と経常的な経費が非常に地財計画と実際の決算で開きがある中で、そこのところは見直しをしていかなきゃいけない点ございますけれども、今三位一体改革の中でいろいろ議論されておりますような国庫補助負担金、特に義務的な経費については、交付税の総額がどういうことになりましてもきちんと交付税の中で算定し、財源を保障していくということを我々はやっていかなきゃいけないというふうに考えておりまして、そういう面で、そういった国として地方団体にお願いして義務的にやっていただかなきゃいけない部分につきまして地域間格差が開くということは、我々はないようにしていかなきゃいけないというふうに考えております。  また、そういう考え方の中で、政府・与党合意におきましても、少なくとも十八年度におきましては、交付税を始めといたしました一般財源の総額は確保していくということを明記していただいていると、そういう状況にございますので、今後ともそういう考え方に立って、地域間格差が義務的な経費の問題で生じないようにきちんと対応していきたいというふうに考えております。
  24. 山口那津男

    委員長山口那津男君) 文部科学省、よろしいですよ、どうぞ。
  25. 北岡秀二

    北岡秀二君 いいですよ、どうぞ。  私は、今おっしゃられた中で、やっと地方もいろんな意味で本格的にそういう方向へ入ってきたというようなくだりの説明もございましたし、ところが、裏側を見るとと言ったらおかしいんですが、これはもう御承知のことだろうと思うんですが、実際にその辺りの運動に、まあやむを得ずと言ったらおかしいんですが、やむを得ず参画しておる自治体の意識というのは非常に複雑な思いを持っておるように思います。そしてまた、なおかつ、今のお話、いい意味お話をいただいたんだろうと思うんですが、いずれにしても、足らぬ部分は交付税で補てんしてくれるから何にも変わらぬのだと、まあこれはちょっと極端な言い過ぎかも分からぬですが、ややそれに近い認識を持ちながら地方の自治体というのは三位一体に臨んでおる節がございます。  それと同時に、これも後ほど、まあ同じ、何回も申し上げますが、質問することでもありますが、交付税、果たして心配ないんだろうかと。これも後ほど財務省の方にはお伺いするんですが、もう交付税は抑制をしていくんだというような方向性も出されておると。今おっしゃられた、義務的な部分に関しては絶対何が何でも国は確保するんだと言いながら、ほかのところで極端に削られたんでは、形の上では色が付いていないからよく分かりませんが、そこの部分だけは一〇〇%確保していますよと、ほかのところでたくさん削られたら、地方にとったら、言われたところで、特に義務教育に関しては、その話の趣旨としては分かるんですが、自治体の、使う側の立場からすると、削られるのと、義務的な部分も含めて削られるのと同じ結果になりかねない現状がございます。  ですから、私は是非とも、もうこれ、ちょっと質問一つ省きますが、御承知をいただきたいのは、一応地方からの要求ということになっておりますが、その要求をしておる裏側の地方の思いというのは、崇高な意識でやっている部分も一部ございますが、そしてまた、なおかつ、これだけ財政状態が悪いからもう観念してやっておるところと、そしてまた何とかしてくれるだろうという思いでやっているところと、そういうのが入り交ざっての複雑な思いで参画をしておるということだけは是非とも御承知をいただきたい。  私は、それと同時に、先ほどの文教の、文科省教育委員会の話と一緒で、地方分権をしてそういうふうに財源もどんどんどんどん自主的にやっていけるようにするような施策をするんであればあるほど、もっともっと、金目の面で縛って自立をさせるんじゃなくて、自立をもっとできるような、これもまた地方分権ですから地方が独自でやらなきゃならぬかも分かりませんが、そのソフトの面での施策の指導が私は必要だろうと思います。  今そういうことに関連して、町村合併ということもそういうことの関連なんだろうと思いますが、私はこれはもう悪い面の話を申し上げますが、国の立場からいうとそういう危惧はたくさんあるだろうと思うんですが、やっぱり何だかんだ言いながら地方の自立意識というのはまだまだ希薄なところがある。そしてまた、なおかつ、人材育成の問題も含めてもっともっと工夫をしなけりゃならぬところがあるんですが、十分に工夫し切れない。自立に至る過程を、ステップを踏み切れない。そこの部分、私は金目の面でそういう方向へどんどんどんどん道を付けていくのであれば、そちらの指導も私は併せて、合併、町村合併のみならず、私はやるべきだろうと思いますので、所管する総務省としては是非ともトータルでやっていただきたいなというふうに私は感じております。  この三位一体に絡んで私はちょっと、一言だけ感想をちょっとお伺いしたいんですが、出身の片山知事、もうこれも通告をいたしておりますが、これは義務教育の国庫負担金の問題に関連して発言をしておることなんですが、国の恣意や裁量性が伴う国庫補助金の一般財源化であれば自主性の増大というメリットが大きいが、義務教育国庫負担金の場合には自由度増大にはつながらず、むしろ財源の不確実化を招きかねないとされていると。具体的にはまた、続いて、財政力が弱い県は税の不足分を地方交付税に頼ることになるが、交付税は過去の景気対策に動員された結果、瀕死の重傷を負っているのみならず、国の財政当局などから不当な猛攻撃にさらされてもいると、交付税依存度が更に高くなることにはどうしても危惧の念を抱かざるを得ないというような発言をされておられます。ごらんになられただろうと思うんですが。  総務省のOBで改革の旗手の一人に挙げられておる知事さんの、評価は別に、知事さんのこういう発言、総務省出身の方がこういう発言をされておることに対して御感想をちょっとお伺いしたいんですが。
  26. 瀧野欣彌

    政府参考人瀧野欣彌君) いろいろな御意見が当然おありになるということを我々は承知しておるわけでございますけれども、そういったいろんな異論をオープンで議論しながら、御案内のように知事会として全体の案をまとめ、さらに六団体として三位一体改革を推し進めるべきということを正式な手続の中で決めておるわけでございます。ですから、我々としてはむしろ、いろんな意見がある中で、その中で最大公約数的に意見を集約されてきたということはそれなりに今までにない画期的なことではないかなというふうに思っておるわけでございます。  そんな中で、確かに財政力の弱いところ、交付税の依存が高まるところもそれはないわけではないというふうに思いますけれども、六団体の方がここで、そういう中でも非常に苦しい中でまとめてきたというのはやはり、全体として財源面で地方の自由度を高めていくんだと。やはりその補助負担金というのはいろんな面で国の関与というのが陰に陽にあると。これは、これからの財政をきちんと規律を正していく、あるいは乏しい財源の中で創意工夫をした行政をやっていくという面では見直すべきではないかという気持ちの表れだというふうに考えておりまして、我々もそれをできるだけ後押しし、先生がおっしゃるように、本当の意味で自立性が高まるように努力していきたいというふうに考えています。
  27. 北岡秀二

    北岡秀二君 時間がなくなってきましたから、最後に一点だけ、この三位一体に絡んで、先ほども申し上げました、財務省は財務省で交付税の総量を抑制したいという、これはもう財政再建の絡みの中で一つ方向性を打ち出すことはもう当然だろうと思うんです。  で、なおかつ、今申し上げたとおり、これは税源移譲と補助金カットをどんどんどんどんやっていけばいくほど、私はトータルの交付税でカバーしていかなければならない量も増えてくるんじゃなかろうかなというふうに多少心配してしまうところもあるんですが、そういう面で、財務省もおいでいただいておりますが、交付税の改革ということについて、今申し上げたことも踏まえて、ちょっとニュアンスの違いもあるように思いますので、交付税についての財務省としてのお考え、そしてまた今も先ほどから話がございますが、改めて交付税は十分確保するんだということも含めて総務省の考えを聞いて、もう、ちょっと時間来ましたから、私の質問を終わらせていただきたいと思います。
  28. 勝栄二郎

    政府参考人(勝栄二郎君) お答えいたします。  まず、地方分権の確立のためには地方の財政的自立、それを実現させることが必要だと考えております。それは逆に言えば、地方の受益と負担の関係を明確にしまして、地域住民のチェックを通じて地方自らが歳出とそれを賄う財源を決めるという、そういう制度の構築が必要じゃないかと考えております。  ところで、現在の地方交付税制度は、地方の歳入歳出の差額ですね、それを国が補てんするという仕組みになっておりますので、歳出拡大に対する地方の負担感はそれによって希薄化されまして、自律的な歳出抑制のインセンティブがないというのが問題じゃないかと我々財政当局としては考えております。  また、このような観点からは、累次の基本方針でも引用されていますけれども、基本方針二〇〇三年におきましては、その地方交付税の財源保障機能につきましては、「その全般を見直し、「改革と展望」の期間中に縮小していく。」ということがうたわれております。ただし、その反面、また二〇〇五年の基本方針におきましては、一般財源は確保するということもうたっております。  最近の予算編成過程におきましても、このような考え方を踏まえまして、地方財政の健全化を図る観点からは地方歳出を今のところ厳しく見直しております。
  29. 瀧野欣彌

    政府参考人瀧野欣彌君) 交付税を考える場合に一番重要なのは、国と地方の役割分担、その中で地方がどういう役割を国から期待されているかというところをきちんと見極めることだろうというふうに思います。それで、国の方として地方の役割こういうところだというのであれば、その部分の財源保障をきちんとしていくというのもまた国の役割であろうかというふうに思うわけであります。(発言する者あり)  まあ、国、地方、非常に厳しい財政状況の中で、財政再建というのも大きな課題になってくるわけでございますけれども、そういう中であればあるほど地方団体に大きな役割を担っていただく。その場合に、できるだけ無駄な経費を掛けないで行政をしていくということが必要なわけでありますので、そういう立場からすると、三位一体改革を進めると、しかしそのときに地方団体の方が負担だけ押し付けられて仕事もどんどん大きくなると、負担はあるけれどもその財源がないというようなことにならないようにしていかなきゃいけない。そのためには、やはり交付税についての財源保障機能をきちんと維持するということは必要だというふうに考えておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。
  30. 北岡秀二

    北岡秀二君 終わりますが、これはこれから三位一体改革がどんどんどんどん進行していく過程の中で、私どもは十分に正に監視をしながら、いろいろ国会議員の立場で、国会の立場で発言をしていかなければならないと思っております。今もちょっと場外から発言ありましたように、絵にかいたもちという部分というのは確かに私どもも心配します。これは、金目のものが絡んでくるだけに、厳しい経済環境あるいは財政環境であるだけに、きれい事では済まされない現実場面の中での非常に厳しい最終決断というのはあるだろうと思います。ですから、そういう面で私は総務省は総務省なりに……
  31. 山口那津男

    委員長山口那津男君) 時間が過ぎておりますので、まとめてください。
  32. 北岡秀二

    北岡秀二君 はい。財務省もあれでしょうけど、是非ともその辺り十分なしっかりとした覚悟の下で今後臨んでいただきたいと思います。  これで質問を終わります。どうも済みません。ありがとうございました。
  33. 松岡徹

    松岡徹君 民主党の松岡徹でございます。  私は、最初に、本委員会に上がっています請願について若干触れたいというふうに思っています。今年の九月二十六日に、松江市における交通事故死の疑いのある事案の明確な説明を求めることに関する請願でございます。これに触れたいというふうに思っているわけです。  実はこれ、この請願については、我が党からもいろいろと要請、我が党の方にも要請来まして、昨年の十一月に我が党の岩國衆議院議員がこの事件に関する質問主意書も出しております。非常にあっさりとした答弁書でありましたけれども。ここに来てもう一度私もその経過も含めて勉強させていただきました。やっぱりちょっと説明を聞きたいところもございますので、今日はそのことにちょっと触れたいというふうに思っています。  この事件はもう今から十二年以上前の事件でございますので、そしてこの願意は、交通事故ではないかという亡くなられた方の遺族の方が、交通事故ではないというふうにされた警察の方に、遺族の方はこれは交通事故ではないのかということで、若干意見が違うんですね。それについて明確な説明をしてくれということが願意でございまして、私もその思いを受けまして、若干調べさせていただきました。  そこで、もう一度、十二年前の事件でありますが、この事件の状況とかその後の経過ですね、聞かせていただきたいというふうに思います。
  34. 矢代隆義

    政府参考人(矢代隆義君) お尋ねの事案でございますが、平成五年五月三十日の午前八時二十六分ころでございますが、島根県松江市内の歩道上におきまして、当時六十五歳の女性があおむけの状態で倒れているのが発見されまして、三日後に死亡されたものでございます。所轄警察署におきましては、直ちにひき逃げ事件等を視野に入れまして緊急配備その他所要の捜査を行ったものでございます。現場の見分、聞き込み、着衣等の鑑定、遺体の司法解剖等からは交通事故をうかがわせる要素は認められなかったが、一方で、本人が転倒するに至った原因について一定の推定はできるものの特定するには至らず継続捜査扱いとなったものでございまして、その後平成七年五月、本件はひき逃げ事件であるとの告訴がありまして、これを受けまして更に所要の捜査を行いましたが、結果はやはり交通事故と認定できないが交通事故ではないと証明する確実な証拠も得られないということで、同年十一月、捜査結果を検察庁に送付したわけでございます。  検察庁においては、当該告訴に対し、平成七年十二月、不起訴処分との決定がなされ、その後、審査申立てを受けた検察審査会において平成八年三月、不起訴処分相当との議決がなされたものと承知いたしております。
  35. 松岡徹

    松岡徹君 大体の経過なんですが、そこで、平成五年の五月三十日、八時二十六分ごろに発見されたんですね。小西静江さん、当時六十五歳でありますが、彼女が、聞きましたら、夫の忘れ物を届けに行った帰りに遭ったということですが、このときに警察は直ちに緊急配備をしているんですね。  この緊急配備をしたというのは、なぜしたんでしょうね。
  36. 矢代隆義

    政府参考人(矢代隆義君) お答え申し上げます。  緊急配備は、犯罪等一定の事案が発生した場合におきまして、犯人を捕捉するとともに、あるいは関連する参考情報を収集するため、緊急の必要がある場合に行う警察活動でございます。
  37. 松岡徹

    松岡徹君 緊急に配備するいうのは、まあ素人の私でも、事故あるいはその他の要因が考えられる場合されると思うんです。その後緊急配備を解かれているんですね、二時間後ぐらいでしたかね。  解かれた理由は何でしたんですか。
  38. 矢代隆義

    政府参考人(矢代隆義君) 警察活動は様々なことを想定いたしまして展開するわけでございますが、本件緊急配備の解除に至った判断ですが、現場状況あるいは聞き込み捜査で得られた情報等に基づき総合的に勘案して決定されたわけでありまして、本件事案においては、ひき逃げあるいはひったくり事案を視野に入れて緊急配備を発令したわけですが、参考となる新たな情報が得られなかったことから、認知から約二時間後に緊急配備を解除しまして、隣接の警察署に対しては一般的な手配に移行したものと、このように聞いております。
  39. 松岡徹

    松岡徹君 そこで、私がちょっと疑問に思うのは、最初に交通事故かもしれないということも含めて緊急配備をした、そのときの判断は当然現場に入られた警察の方が判断していくわけですね、中心に、現場を見て、そういうことになると思うんですね。  で、二時間後に緊急配備を解いたというのは、交通事故ではないという他の要因、すなわち最初に見たときに、現場を見たときに、これは交通事故かもしれないという可能性は十分あったからこそ緊急配備をしたわけですね。で、二時間後にこれを解いておるんですね。  その違いが何なのかというのがよく分からないんですけれども、それは分かりますか。
  40. 矢代隆義

    政府参考人(矢代隆義君) お答え申し上げます。  緊急配備は、そのような容疑がある場合には、様々なことを想定いたしまして警察活動を展開するわけでございます。  それで、現場における見分からひき逃げ事件等をうかがわせる痕跡が発見されず、あるいは緊急配備自体からも本件事案に関連すると思われる情報も得られないという状況がありまして、したがいまして、全体を総合的に判断いたしまして、緊急配備についてはこれ以上やる必要はないと、こういうことで解除したわけでございます。
  41. 松岡徹

    松岡徹君 この方はすぐに発見されて病院へ搬送されているんですね。松江市立病院だと思うんですが、そこでの診断結果といいますか、それはどうなったんですか。
  42. 矢代隆義

    政府参考人(矢代隆義君) この女性は松江市立病院に緊急搬送されまして治療を受けているわけでございますが、医師の診断では、内因性クモ膜下出血という診断でございます。という状況でございました、病状は。
  43. 松岡徹

    松岡徹君 たしか松江市立病院の藤本先生だと思うんですが、内因性のクモ膜下出血だということの報告を受けたのは、要するに緊急配備を解いた原因の一つにもなっているわけですか。
  44. 矢代隆義

    政府参考人(矢代隆義君) お答え申し上げます。  事案の判断は全体の要素から判断いたしますので、そのことも一つの判断要素にはなっているかと思いますが、ただ緊急配備を続行するかどうかということにつきましては、先ほど申し上げましたように、現場における状況あるいは緊急配備自体から本件事案に関連すると思われる情報もどうも得られてこないということで、全体判断で解除しているわけでございます。
  45. 松岡徹

    松岡徹君 その全体判断の中にその松江市立病院の先生の診断結果も入っているということですね。そういうふうに理解すればいいんですね。
  46. 矢代隆義

    政府参考人(矢代隆義君) その判断要素の一つにはなろうかと思います。
  47. 松岡徹

    松岡徹君 同じことですがな、聞いているのは。何遍も質問させぬといてください。  私は、総合的なというのがあるんですが、わずか二時間で緊急配備解いておるんですね。発見されてすぐに倒れている小西さんは病院へ搬送される。そしてすぐに、直ちに警察は緊急配備をしている。これは、そのときの状況判断としては私は正しかったと思うんですよ。事故かもしれないという可能性は十分あったわけですから緊急配備をした。しかし、わずか二時間後にそうではないと。聞き込みもしたけれども、総合的に判断して緊急配備を解いたと言っているんですね。  当然私は、その中の一つの、要因の一つに、この松江市立病院の先生の診断結果、すなわち内因性のクモ膜下出血。内因性というのは、すなわち自分で勝手にそのときにその場所でこの小西さんは突然クモ膜下出血になって倒れたんだと、だから自分の、まあ事故ではないんだという判断だと思うんですね。そういう結果を、当然判断の一つの中に入っているということですから、二時間で緊急配備を解くというのは、普通、交通事故かもしれないといったときに、総合的に見れば、ちょっとその原因をつかむためには十分かどうかというような気がするんですね。  それを私は裏付けるのに、例えばこの朝の八時、まあ朝の早い、早朝ですから、現場に急行した警察の方が現場を見て、交通事故かもしれない、ひき逃げかもしれないという可能性を十分秘めているということで緊急配備を指示したと、あるいはそういう判断でしたと。その一つに、それを見たときに警察の人は、お医者さんではないですから、内因性だとすれば分からない、なかなかね。クモ膜下出血かどうかの、素人が見ても分かりません。  その中で、これは交通事故かもしれないということは、すなわちその他の要因、後で六月の三日付けで実況見分調書というのがあるんですが、その実況見分調書によると、その女性のスカート裏面のファスナーのほつれだとか、あるいは直径十四センチの血痕だとか、左の足の側面に六センチの泥が付いたりとか、そして二日、その前の二日に、検視調書というのがありまして、左右両足に六センチ、四センチ大の擦過傷があるとか、長さ四センチあるいは九センチ等の皮下出血等々があるんですね。そして、左頭部に卵大のこぶができていると。こういうようにその当時の検視調書あるいは実況見分調書でもそうなっているんです。  これは当時、事件、その現場に急行した警察の方が見て、当然これは交通事故かもしれないというそういう、お医者さんではないですからクモ膜下出血かどうか分かりませんけれども、そういう意味では、その最初に、一番最初に行った警察の人が判断したのが私は正しかったと思うんですね。そういったことを見たからこそ、これは交通事故ではないかということで緊急配備をしたというんですね。ところが、二時間後にこれ緊急配備を解いていると。それはなぜなのか。  こういった実況見分調書なりあるいは検視調書の結果は、これはどういうふうに説明するのかということなんですね。  私は、それで、一番最初にこの女性を診察した松江市立病院の藤本先生が、この人は内因性のクモ膜下出血だと言ったんです。この人はお医者さんですから、当然、クモ膜下出血の症状というのは分かるでしょう。しかし、現場で判断した警察の方の、こういった擦り傷だとかたんこぶだとか服のファスナーのほつれとか、そういったことまで判断して、この人は内因性、すなわち突然そこでクモ膜下出血になって倒れてなったんだという、すなわち、この先生はそういう状況まで総合的に判断して、警察の言う事故かもしれないというこの疑問を払拭するまでの根拠を持った診察をされたのかどうかというのが、当然、私は素人目から見てもおかしいなというふうに思うんです。これはどう思われます。
  48. 矢代隆義

    政府参考人(矢代隆義君) 病院の医師は、現場状況などとは無関係に、診断した状況を見まして判断しているものと思います。  なお、前段部分にございました御質問に関連いたしますが、警察が事案を扱ったときに、この事案がどうであるか、事件であるかそうでないか、あるいは事件だったらどういったものであるかということにつきましては早々には結論を出しません。捜査は、過去に起きたことを後からこれを再現する、そういう作業でございますので、何があったのかということを確定する必要があるわけでございます。したがいまして、いろいろな要素が出てまいりますけれども、すぐにこれがどういうものだったかという結論は出さないわけでございます。  そこで、その緊急配備の問題ですが、これは正にケースケースによりまして対応が違ってくるわけでございまして、例えば、犯人が逃走しているということで、こういう犯人で、名前もあるいは顔も分かっているということになれば、これを追跡するための緊急配備は時間が長引くことになろうかと思います。しかし、同じ犯人の逃走であっても、被害届はありますが、どういう人か分からない、何かあったけれども、強盗があったけれども犯人の着衣その他が全く分からないという状況でどのくらいの緊急配備をやるかといいますと、その周辺におきまして関連の情報を得られる範囲でもってやるわけでございまして、したがいまして時間がおのずから限られます。  ひき逃げにつきましても同様でございまして、仮に、ひき逃げの疑いも視野に入れて緊配をしているわけでございますけれども、その場合でありましても、仮にひき逃げした車両が特定されておって、ナンバーも一部分かっているというようなことの場合とそうでない場合ではおのずから違ってまいります。  したがいまして、この場合には、そういう要素というものが当初の段階では、先ほど申し上げましたような状況でございましたから、その観点で全体から判断して緊急配備は二時間程度で打ち切っていると、こういうことでございます。
  49. 松岡徹

    松岡徹君 この松江市立病院のお医者さんが初めて、一番最初にこの女性の診察をしたんですね。そういう意味では、私は、緊急配備を解いた要因の一つにこういった診察結果もあるということは総合的な総合の中に入っていることは事実ですから。  緊急配備というのは、元々、警察の方がこれは交通事故ではないか、そうではないということも含めて、現状を踏まえた上で緊急配備する。その解き方についてはいろいろあると思います、確かに。しかし、二時間というわずか短い時間で緊急配備を解いているということは、やっぱりこのお医者さんの診察が大きな要因ではないかというふうに思ってしまうんですね。  その証拠に、この方はその後、二日後ですか三日後ですか、亡くなられているんですね。亡くなられた後に警察の方は検視に出されているんですね。その先が島根医科大学の死体の司法解剖といいますか検視なんですね。そうすると、この島根医科大学へ出した、検視に出した結果は、右頭部打撲による外傷性クモ膜下出血だと言っている。そういうふうに判断されると言っている。まあ平たく言えば、松江市立病院は内因性、すなわちふだんの生活の中で突然倒れた、すなわちクモ膜下出血でですね。ところが、この島根医科大学の方に検視に出せば、その先生は外傷性によるクモ膜下だといって判断できると。  しかし、この島根医科大では、その外傷性の外傷というのは何なのか、交通事故なのか、あるいはこけてなったのか、そこは分からないと。その外傷の原因までは特定できないけれども、しかし外傷性のクモ膜下出血であるということは確かであると言っているんですね。すなわち、松江市立病院のお医者さんとこの検視に出した、司法解剖に出した島根医科大の結果が違うんですね。内因性と外傷性と違うんです。  これは、その後のこともあるんですが、この請願を出されたこの小西さんの遺族の方々が、それぞれ現場も含めて様々自分たちの力で調べているんですね。それで、そういった、また、開示されたこういった検視結果でありますとか実況見分調書とか、そういった資料を基に、遺族の方は独自で元東京都の監察医務院長上野医学博士に依頼して、もう一回見てほしい、監察医の立場でと言ったら、その上野先生の結果は、本件は単純内因性クモ膜下出血ではなく、歩行中にスクーターなどの単車と接触して路上に転倒した外傷性クモ膜下出血と考えられる、精査が必要であるというふうに言われている。  私は、内因性だというふうに決め付けたのは、実は松江市、一番最初に運び込まれた病院の先生が診ているんですね。しかも、その先生はお医者さんで、その状況、すなわち擦り傷があるとか衣類が、ファスナーがほつれたりとか、そういったことは考慮しないで、病状だけ見て内因性だというふうに判断したんですね。  私は、警察が一番最初現場へ行ったときに非常配備をしたのは、そういったことも見たからこそこれは事故ではないかというふうに緊急配備をやったはずなんです。ところが二時間後に解いている。その解いた要因の一つに、目撃者だとかその後の調べで交通事故の要因は見当たらないというふうに判断した。しかし、その判断の中に松江市立病院のお医者さんの診断結果も入っておるんですね。  私は、ここで十分な対応が取られていないんではないかというふうに思うんですね。当然のように、遺族の方々がおかしいと、自分の身内がどんな死に方をしたのかということを知りたいというのは、これは当然のだれもが持つことですね。  時間もありませんのでこの辺で終わりたいと思うんですが、私たちは、私自身、この請願を見ただけで、若干調べさせてもらった結果だけでもそういった疑問点が感じられますけれども。  ちょっともう一度聞かせてほしいんですが、この病院の違いですね。松江市立病院と島根医科大、警察の方が検視に出された場所ですね。その結果、なぜ、外傷性クモ膜下出血だというふうに判断できると言っているのに、なぜ内因性として事故ではないというふうに判断されているのか、それはどうですか。
  50. 矢代隆義

    政府参考人(矢代隆義君) 警察の捜査は事実に基づいて進めてまいります。  この死因につきましては、外傷性のクモ膜下出血であるということで鑑定されておりますので、それに基づいて捜査をしておるわけでございます。鑑定書自体は随分後に出てくるんですけれども、解剖所見は早い段階で出てまいりますので、その前提で捜査をしておるわけでございます。  それで、ただ、全体の状況からいたしまして、まずその内因性であるか外因性であるかというそのクモ膜下出血の原因のほかにどういう傷が体にあるかということで見ていきます。そういたしますと、この傷自体が、鑑定におきましても各損傷部位を列挙して説明しておりますが、これらは車体先進部分との強烈な衝突によるいわゆる第一次損傷に相当する外傷等は確認されないと、車体との強い衝突や轢過はなかったものと推測される旨の記述が鑑定書にはあります。  それから、警察側でも直後に、これは署員が現場の綿密な鑑識活動をやっております。様々な痕跡はないか、落下物はないか、あるいは道路の状況はどうなっているかということで現場の見分、それからこの方の着衣などにつきましても鑑定いたしまして、靴も含めて着衣、鑑定いたしまして、それで遺体の司法解剖をやっておるわけでございますので、それらの中からいずれも、先ほど申し上げましたように、交通事故をうかがわせる要素は認められないということで判断をし、ただその転倒した原因につきましては、一定の推定はできるけれども本当にそうだという特定には至らないと、こういうことになっておったわけでございます。  以上でございます。
  51. 松岡徹

    松岡徹君 今のも全部おかしいんで、私、具体的に聞いているんですね。だが、そこの具体的なところはなかなか答えていただいていない。そのことが、遺族の方が十二年たっても腑に落ちない、おかしいと思ってやっているんですね。  私は、一番最初に運び込まれた松江市立病院のお医者さんが内因性だと。しかし、その判断の結果は、現認、一番最初に現認した警察官、非常配備をしいた警察の判断、すなわち交通事故ではないかと思われるひざの傷とか着衣の汚れとか、それから見てもこれは交通事故ではないかと思ったのは、そんなのも含めて総合的に、その疑問をも吹き消すぐらいの判断で松江市立病院のお医者さんは判断したのかといえばそうではないと。すなわち、お医者さんとして診察したんですね。そのときはまだ存命でございましたからね。意識はなかったですけれども、生きておられました。その後、二日後に亡くなられて、島根医科大へ検視に出された。その検視結果が実は外傷性だと、右頭部からの打撲に、何らかの打撲によって外傷性の、外傷性のクモ膜下出血だと。全く違う結果が出てるんですね。  問題は、なぜその外部の外傷をどうやって受けたかというのがまだ分からない、そこだけでこれは交通事故ではないと言い切っているんですね。私は、その後、遺族の方々が、検視の権威であります、当然皆様方も御存じの東京都の監察医務院長であった上野先生が、その人が、これは単純内因性クモ膜下ではないと、歩行中にスクーターなどの単車と接触して路上に転倒して外傷性クモ膜下出血と考えられると、精査する必要があるというふうに結論付けているんですね、これ。これ二〇〇三年の一月ですよ。要するに、ずっとしっかり見ればだんだん原因がはっきりしてきているんです。ですから、私は、これだけ見てもしっかりともう一度見ていく必要があるんではないかというふうに思います。  犯罪被害者等基本法というのが制定されたのは御存じだと思うんですね。この小西さんは犯罪被害者とはまだ認定されていません。すなわち、交通事故でないと言っているんですから。私は、あの犯罪被害者等基本法ができた経過というのは、あの桶川のストーカー事件だったんです。あのときも、警察に再三、再三救済を求めに行ったのに、警察は対応してこなかった。そして、彼女は刺されて殺されてしまったんです。私は、警察の対応はやっぱりどっちの立場でまず最初にしていくのかということが大事だと思うんです。私は、全部警察の捜査が間違いやとは言っているんじゃないんですよ。しかし、どの立場でやるのかというのはしっかりとやるべきだと思うんです。  十二年前のこの事件の当時は、この犯罪被害者等基本法はできていませんでした。そういった問題意識もまだまだ社会の中で醸成されていませんでした。しかし、今、こういった法律ができて、しかもその法律ができた経緯、背景となったのが、実は警察の対応も、初期の対応の問題とかいうのも問題になったことは事実、もう御存じやと思います。そういう意味では、この請願の願意にありますように、遺族にしっかりと納得のいくような公明正大な説明をすることが必要だというふうに私は思っていますので、これはするかせえへんかというのは当然答えられないと思いますから、今日は請願上がってきていますので、今局長おっしゃった回答については私の、質問者としては絶対全く納得できないと、私たちも同じ立場でこの解明について要請をしたいということを申し上げて、この件については取りあえず終わりたいと思っております。  次に、是非ひとつよろしく対応をお願いを申し上げたいと思うんですが、次に、時間も過ぎてきましたが、せっかく大臣に来ていただいて、ありがとうございます。  実は私は、さきの国会のこの委員会で南野大臣と幾つか具体的な事案にかかわって考え方をお尋ねしました。それは七月の二十五日のこの委員会でございました。実はそのとき、七月の一日にある事件の判決が出まして、そのことについて聞きました。  その事件というのが、今年の七月一日、判決が出たのは、実は昨年に、九月にこの犯人が逮捕されたんですが、その数年ほど前から実はこの人が差別的なはがきを全国に、あるいは東京を中心に匿名でまいていたんですね。四百枚を超える差別はがきを出していました。これは、当然マスコミにも取り上げられて、非常に悪質な差別投書だということがありました。その書いていた犯人が実は昨年捕まりまして、検挙されまして、そしてそれの裁判が行われてきたと。で、今年の七月一日に判決が出ました。その判決の結果は、懲役二年という実刑でございました。彼は初犯でありますし、前科もありませんでした。なのに、執行猶予も付かないで、二年間の実刑判決が出た。この事件についてどう思うのかということを南野大臣とやらせていただきました。  この事件の中身は、ある特定の個人を始め、その差別対象となるところに属している人たち、そういったものに、いわゆる同和問題とか、あるいはハンセン病元患者の方々とか、そういった差別はがきを出していたんですね。部落問題については、部落の当事者五人の名前を名指しをしながら、その人のところはもちろんですが、その人が住んでいる周辺の自治会のところにもずっとまいて、こういうふうな人間を追い出せとか、そういったはがきがもう連日二年近く続いてきたんですね。  もう一つはハンセン病元患者、すなわち社会の中でも問題になりましたが、あの熊本恵楓園のハンセン病療養所の方々が黒川温泉に宿泊に行ったときに拒否された、それが問題になった。そのハンセン病の人たちのところに、その東京の実在の、今度被害者になった人の名前をかたって、おまえたちハンセン病元患者はハンセン病になった時点で人間ではないんだと、ウジ虫とか虫けらとか単細胞なんだと、そんなところに泊まれるということ自身が問題だというようなはがきを連日出したりしておったんですね。あるいは部落問題も、おまえたちを綾瀬川に沈めてやるとか、えたどもは人間ではないんだとか、そういった差別はがきをずっと四百枚以上、約二年間にわたって送り続けてきた、その犯人が捕まったんですね。私は矯正局の方にも要請しました。矯正局ですから、二年間彼は刑務所に入るわけですが、どんな矯正をするのかということも期待しました。  そこで、この事件について、もう一つ最後、引き続き、あのときに質疑できなかった点なんですが、この被害者の方をどう救済するのかという問題があります。先ほど言いました犯罪被害者等基本法ができています。当然、この犯罪被害者の方、今取りあえず裁判になって、特定した人は五人でした。この方々をどういうふうに救済をしていくのか、救済の方向についてどうお考えなのか、大臣の方からちょっと考えを聞かしていただきたいと思います。
  52. 南野知惠子

    国務大臣南野知惠子君) 本当に、先生が今るる御説明いただきましたが、そういうような悲しい出来事が起こったことは事実でございますし、またその方々の、刑事事件の被害者のみならず、先生が今お話しになられました多くの方々の人権というものについて大変御迷惑を掛けている、そのようなことを痛感いたしております。  そういうようなことで、そういう方々の問題点が一日も早く解決できるようにということを願っているわけでございまして、そういう在り方ということ、刑に勤めていただいている間にでも、矯正という問題をどのように展開していったらそういうようなことをしないでいい人間に生まれ変わるのかというようなことも、我々の方としてはしっかり努力していかなければならないと思いますが、一日も早くそういうような人権問題がなくなるように、いろいろな範囲での教育問題、広報問題、そういうことは大変必要なことであろうかというふうに思っております。
  53. 松岡徹

    松岡徹君 教育とか啓発とかは非常に大事だと思っているんですが、その前に、この五人はこの犯罪による被害者なんです。その被害とは、この五人が被った被害とは何なのかなんですね。それはどうお考えですか。
  54. 南野知惠子

    国務大臣南野知惠子君) 被った被害というのは本当に精神的な被害、これはもう先ほどお言葉にもありましたように、人間に対する言葉でないようなことを浴びせられるというようなことについては、これはいかんともし難いことでございますので、そこら辺についても一般の方々の教育ということと同時に、その方たちが立ち直れるような形、またその環境も整備していかなきゃならないと思っております。
  55. 松岡徹

    松岡徹君 人間ではないような言葉を浴びせ掛けられたというのは、まああんまりこれはそんなに言わないんですけどね。  この裁判で争点になったのがまずは脅迫なんですね。殺してやるとか綾瀬川に沈めてやるとかいう、まあこれ実名を書いてね。これ一つ脅迫罪なんですね。もう一つは、この犯人が捕まったときに、あるいは捕まる前からもそうですが、この被害者の方々が告訴していますからね。名誉毀損というのもあります。すなわち、この事件の被害とは何なのか。被害とは何なのかというものをしっかり見なくてはならないと思うんですね。脅迫だけではないと思う。どんな被害を受けたのか。どうですか、もう一度。
  56. 南野知惠子

    国務大臣南野知惠子君) 先生御指摘の件でございますけれども、刑事事件の被害者の方々の名誉を傷付けられたということだけではなく、不当な差別的表現を記載したはがきを送り付ける、こういうことによって、直接の被害者のみならず、やはり同和関係の方々、ハンセンの関連の方々、そういうような方々に多大な精神的苦痛を与えたということであります。これらの方々に対する偏見というものをあおりまして人間としての尊厳を傷付けたということで、もう一度繰り返させていただきましたけれども、私としましても、このような差別の問題が一日も早く解決できるように、積極的に人権擁護の問題について努めていかなければならないというふうに思っております。
  57. 松岡徹

    松岡徹君 そうですね。今言ったように脅迫というのもありますけれども、同時にその原因になったのは差別というのがあるんですね。  確かに、この判決文あるいはこの彼が起訴される検察側の論告求刑を見ても、被告人の本件一連の犯行は、被害者らを一方的に差別し、同人らを脅迫、名誉毀損等したものであるから、我が国の憲法が定める重要な原則の一つである法の下の平等を根底から否定するものであり、我が国憲法に対する挑戦ともいうべき悪行である、こういうふうに言うているんですね。こうした差別事件を発生させないよう、一般予防の見地からも厳罰をもって臨む必要がある等々、検察側の論告求刑の中には書いてあります。そして、判決文の中にも、他人の名前をかたるという匿名的な手法で、はがき等にいずれも不当極まりない差別表現を執拗に記載しておりと、こう書いてあるんですね。被告人のこのような犯行の被害に遭い、精神的苦痛を受け、身の不安を感じるなどしているというふうに、すなわち名誉毀損とか脅迫、そして差別というものを非常に問題視して、そして判決も差別であるというふうに規定しているんですね。  だから、この被告の人たち、すなわち被害者の方々はどんな被害かといえば、今大臣がおっしゃったように、やっぱり差別の被害というのがあるんですね。  あるいはハンセン病の元患者の人たちに対してもそうです。実はあした小鹿島の裁判の判決の日だと思っています。皆さん方もう御存じだと思いますが、日本が紛れもなく作ったらい予防法によって、ハンセン病にかかった元患者たちは隔離、強制隔離政策を余儀なくされるんですね。もう今からもう百年ほど前の話ですが。そして、九十年にわたる長い間、ハンセン病の元患者の人たちは、あるいはその間に亡くなった人もおられると思いますが、この政策によって、このらい予防法という法律の趣旨に沿って、九十年の長きにわたって隔離されていくんですね。そこには、わざと断種されたり様々な差別的な待遇を受けていくんですね。一つは、このらい病、すなわちハンセン病に対する見識のなさといいますかね、いうのもあったかもしれません。しかし、現実にそれがこの我が国の法律として成っていったんですね。  そのことをやっと一九九六年の判決で国の誤りを裁判所は認めたんですね。そのときに、小泉総理は上告を断念して、九十年の長いこのハンセン病元患者の人たちの人権を、権利をどう回復するかという立場で今取組が始まっています。しかし、政府がそう決意をしても、私は、おっしゃったように差別というのは簡単にはなくならないです。それに対する手だてをどう打っていくかということが大事になってきます。  私は、この事件で、被害者はこの五人と言っています。あるいはこれに類する人たち、すなわちハンセン病の元患者の方々は個別的にこの被害者になっていないんです。この被害というのは、差別もあるということからすれば、五人だけではないと思うんですけどね。それはどう考えておられますか。
  58. 南野知惠子

    国務大臣南野知惠子君) ハンセンの方々は、今先生がおっしゃったように五人ではない、これはもう当然でございまして、我が国における方々、また、あしたあります小鹿島の方々、そういうような方々も含めてどのような形で見守っていくのか、そのような広い範囲で我々は人権問題というものも考えていかなければならないのではないかなと思っております。
  59. 松岡徹

    松岡徹君 ちょっと分かりにくいんですけれども、犯罪の被害を受けた、裁判の結果、被害者というのはこの五人ですけれども、被害者五人ですけれども、しかし、この事件の内容、判決の内容は差別そのものもしっかりと弾劾しているんですね。脅迫とか名誉毀損だけではなくて、差別というものを規定しています。当然この五人は差別によって被害を受けています。この五人は同和地区の人たちですから、当然のように部落差別の被害を受けたというんですね。しかし、この被害を考える場合、この差別はがきの中にハンセン病元患者の人たちもおりました。この人たちの中には今回の事件の被害者には当たらないんですか、当たるんですか。あるいは、部落差別でもこの五人だけが被害者というふうに当たるんですか、当たらないんですか、いかがですか。
  60. 南野知惠子

    国務大臣南野知惠子君) 先生おっしゃっていますが、直接の被害者のみならずというのが私どもの考えでございまして、同和関係者やハンセン病の元患者様方々、多大な精神的な苦痛を与えるとともに、これらの方々に対するいわゆる被害的な偏見があったということについても、人間としての尊厳を傷付けないようにするというのが一番大きなポイントでありますので、ただ五人が対象となるというような問題ではないと思います。
  61. 松岡徹

    松岡徹君 前も、郵政民営化の法案のときに竹中大臣のお知り合いが政府の広報でIQ軸をやって、郵政民営化の支持を、国民支持を得ようと思えばこの人たちをターゲットにして、しなくてはならないというターゲット戦略を作って、大臣に聞きましたね、聞きました。IQの低い人、その層に郵政民営化のこの大量の啓発紙をまくんだと。その人たちはどうだといったら、IQの高い人はホワイトカラーといいますか、そういうので、低い層といったら主婦と書いてあるんですね。ほんならこれ女性に対する差別ではないのかと、人権侵害ではないのかと南野大臣に、南野大臣も女性ですから、女性としてどないに思いますかと言ったら、もう、いや不愉快やとおっしゃっていました。私もそのとおりだと思います。しかし、人権侵害には当たらないと言うんですね。人権侵害を助長する内容だと言うんです。  私は、問題なのは、人権侵害かどうかというのは、個人特定、個人に持った、人権というのは個人個人にあるものですから、その個人の持っている人権が侵害されている状況を人権侵害だと言うんだったら、すなわち差別というもの、今回の被害、判決で差別によって被害を被るというのがあります。ハンセン病の元患者の人たちも今なお偏見や、ハンセン病元患者の人たちに対する偏見とか差別がやっぱりありますね。そういったものが背景にあってこの事件が起きていますね。あるいは同和問題もそうですね。同和問題に対する認識がないために、それが背景になって部落差別としてのはがきや事件が起きていますね。  この差別というものがいかに今後法的にも位置付けられていくかというのが大事なんです。憲法十四条には、私たちはどんな思想信条を含め、人種や男女の違いにかかわらず差別されないと書いてあります。その差別というものの規定というものが非常に大事になってくると思うんですけれども大臣はどのようにお考えですか。
  62. 南野知惠子

    国務大臣南野知惠子君) 先生、今幾つかの項目をお話しになられましたけれども、主婦層はIQが低いというようなかつての御質問等もございましたが、これも直ちに人権侵害と言えるものではないというふうなことを、それで断定できる問題ではないというふうにしておりますが、このような表現というのは、国民が本来持っておられる多様性を無視し、又は一律にIQが高いとか低いとかといって分類したかのような表現、これを使っていることから問題があるものかなというふうに考えておりました。  これは、仮にこれが行政の遂行に対して、伴って世間に公表されたような場合には偏見あるいは差別的な考え方が広められてしまうというおそれがあると、そういう可能性は否定できないというようなことから人権擁護問題上問題があるというふうに我々は考えたものであります。  それで、先生、またもう一つのお尋ねで、差別ということについてでございますけれども、これは民事や刑事などの訴訟によりまして救済を図ることが困難な場合もあろうかなというふうには思います。行政による適切な対応が必要となってくる場合があることは先生がもう既にお話しになられたとおりでございます。  法務省といたしましては、従前から不特定多数の一定の集団に属する方々に対する偏見又は差別、それを助長するような行為について、それがその集団に属する方々の人間としての尊厳を傷付けたり又は一定の集団に対する差別意識を殊更増幅させるというようなことなどから人権擁護の観点から看過し得ないと言われる場合には説示や勧告等を行い、併せて適切な啓発運動を行っていくと、そして適切に対応してまいりたいというふうに思っております。  そういう意味では、今後とも同様の事案につきましては積極的に取り組んでいきたいと、そのように考えております。
  63. 松岡徹

    松岡徹君 説示とか訓示とか、そういうのは今やっている、法務省がやっている、法務局がやっている人権擁護行政の対応なんですね。  問題は、方法はいろいろあると思うんですよ。あると思うんですが、私が言いたいのは、人権侵害とは何なのかと、あるいは差別とは何なのか、それについて法的にどういうふうに位置付けていくのか、これが極めて大事なこれからの課題だと思うんです。  一般的に差別はしてはいけないというのはだれもが言います。しかし、こういう形で差別は起きて、それが不利益を被っているということを証明しなかったらそれに対する対応策がないというのは、やっぱりこれは不十分ではないかと思うんですね。  だからこそ、差別に対して我が国はこうだということをしっかりと言わなあかん。憲法では差別されない、何人も差別されないとは書いていますが、差別してはならないとは書いていません。そして、差別とはこの憲法に保障された基本的人権を侵害する行為であるというような位置付けもありません。やっぱりそういうふうな定義といいますか考え方を定着させていくことが極めて大事な課題になってくると思うんですけれども大臣、どうお考えですか。
  64. 南野知惠子

    国務大臣南野知惠子君) 先生、こういうお心を持っておられると思いますが、同和問題などの解決に向けて法務省は何やるんだというようなことがそのお言葉の根底にあろうかなというふうに思っております。  そういう観点から申し上げますならば、部落差別等の解消ということにつきましては、憲法に保障された基本的人権にかかわるこれは重要な問題の一つでございます。当省といたしましては、人権啓発活動や人権侵害事件の調査、処理などを通じまして、部落差別の問題を含む各種の人権問題の解決、これに努めてきたところであります。  部落問題に対するあらゆる差別をなくすためには、積極的にこれは国民に対する啓発活動を実施していくということでございまして、具体的にじゃ何しているんだということが先生のお心にあるというふうに解しましたので、具体的には、人権週間のこれは強調事項の一つとして部落差別をなくそうということを掲げながら、同週間の中心に、年間を通じて街頭啓発、講演会、ポスターの掲出、又はリーフレットなどの配布などを通しながら全国的な啓発活動を続けていくということを我々も行動計画といたしております。
  65. 松岡徹

    松岡徹君 ちょっと大分具体性に欠けるんですが、私は差別とは何なのかということを聞いているんですね、具体的なこの事件で。犯罪被害者等基本法ができました。今その基本計画を策定中だというふうに聞いています。当然この五人はその犯罪被害者等基本法の救済対象になると思うんですね。しかし問題は、救済する場合、その犯罪被害の内容が何であるかということを的確につかまなかったら駄目なんですね。だから、この事件のこの五人の被害者という、今のところ五人ですけれども、被害の内容は何かと言えば差別でしょうと、差別も被害の一つでしょう。それがこの五人に限らずに、ハンセン病元患者の人たちや、あるいは部落の人たちや、そういったところもどういうふうにとらえるのかということからすると、差別という定義がないんです、考え方が。差別というものの考え方を、定義をしっかりしていかなくてはならないというふうに思います。  今のところ、差別が起きればこういうふうに対応しましょうということはあります。しかし、何が差別で、その差別はあってはいいのか悪いのか、その法的な位置付けが不明確だと思うんですが、その辺を明確にしていく必要があると思うんですが、大臣はどう思われますか。
  66. 南野知惠子

    国務大臣南野知惠子君) 差別ということもあれなんですが、ついこの前廃案となりました人権擁護法案におきましては、またこれは、人権を害する行為とは、不当な差別や虐待と同等に評価される人権侵害を指すものでありとなっておりまして、民法や刑法等の法律に照らして違反とされる行為と位置付けられるものであるということが、一応定義といいましょうか、そういうものが差別であるというふうに解しております。
  67. 松岡徹

    松岡徹君 まだその人権擁護法案は提出されてないんでね、それを議論すると空中戦になってしまうと思いますので、私はずっと避けておったんですよ、それ。ただ、我が党の神本美恵子参議院議員が、参議院の本会議で総理に対する質問をしました。そのときに、総理は大変今までになく積極的な答弁をしていただきました。  それは、人権救済制度であるが、自民党は今回の総選挙に際し、政権公約において、簡易、迅速、柔軟な救済を行う人権救済制度の確立を公約している、政府・与党内で更に検討を進めて、人権侵害の実効的な救済を図ることを目的とする人権擁護法案をできるだけ早期に提出できるよう努めていきたいというふうに小泉総理が答弁されました。今までにない積極的な答弁だったと思っております。  当然、この法案は上がってくれば大臣の担当になるんですけどね、なりますから、次の大臣ですかね、しかし、いや、そうではないと思います、南野大臣、法務大臣が担当になりますので、この答弁を受けて担当大臣としてそのような救済法成立についてどう考えておられるのか、お考え聞かせていただきたい。
  68. 南野知惠子

    国務大臣南野知惠子君) 本当に小泉総理が力強くおっしゃられたということは、これを担当している省としても大変力強い問題だというふうに考えております。  法務省といたしましては、簡易、迅速、柔軟な救済を行う人権救済制度を確立しまして、人権侵害被害者の実効的な救済を図るということを目的とする人権擁護法案は是非とも必要な法案であるというふうに考えております。先生も一緒だというふうに思っておりますので、今後も我々が目指す法案をできるだけ早く提出できるように努めてまいりたい、そのように思って法務省としては思っております。
  69. 松岡徹

    松岡徹君 その力強い決意をしていただきました南野大臣、これからも是非大臣としておってほしいなとは思うんですが、その部分だけでは。  ただ、この間非常に懸念していることがございます。先ほど言いましたように、差別とは何なのか、人権侵害とは何なのかということをやっぱりしっかりと定義を明らかにしていく必要があると思います。  先ほど大臣答えられたように、差別とは何かといえば、前に提出された人権擁護法案の中にある不当な差別、虐待。その不当な差別とは何なのか、その定義は何なのか。やっぱり憲法に書かれている基本的人権条項の中の人権というもののとらえ方。そしてもう一つ、国際条約に、我が国は国際人権条約に幾つか批准しています。女性差別撤廃条約を批准し、そして男女共同参画基本法を策定しました。子どもの権利条約、障害者のための様々な国際条約も批准しました。人種差別撤廃条約も日本は批准をしました。そこに定義付けられている国際的な人権侵害の定義あるいは不当な差別の定義というものが当然書かれています。  私たちは当然のように、その批准し署名した国際人権諸条約に規定されている人権基準というものをどう実現していくかということが国内における責務だというふうに思います。今回の人権擁護救済法が早期に制定されていくときに、一方で人権の定義があいまいだという議論だけでこの法案の廃案を求めるような声は極めて私は無責任な声だというふうに思います。  むしろ、積極的にその定義を明らかにしていく、そのときの基準が、国内の憲法に書かれている人権、そして国際的な人権基準に記されている人権の定義を国内化していくということが大事な課題だと思いますが、大臣にその辺の考え方をお聞かせいただきたいと思います。
  70. 南野知惠子

    国務大臣南野知惠子君) 先ほどもお話が出たかと思いますけれども、やはりその定義があいまいだというようなお話も出されたと思っておりますが、私は定義があいまいだったとは思っていないわけでございます。  いずれにいたしましても、現に障害者や同和関係者等に対する差別又は児童や高齢者に対する虐待などの様々な人権侵害が繰り返されております。このような差別や虐待で苦しんでおられる人々に簡易、迅速、柔軟な手続で積極的に救済する制度を早期に整備する必要があると考えております。  廃案となりました人権擁護法案はこのような新しい人権救済制度を創設するための法案でもあり、是非とも必要な法案であるというふうに思っております。これが提案されましたならば、どうぞ十分な御審議をいただきますようにお願いしたいと思います。
  71. 松岡徹

    松岡徹君 時間が参りました。是非とも、また今後ともよろしくお願い申し上げたいと思います。  終わります。
  72. 浮島とも子

    浮島とも子君 公明党の浮島とも子です。よろしくお願いいたします。  本日は、青少年のコンピューターゲームと青少年の健全育成、また命を大切にするという教育から学校の動物飼育の在り方、そして真の心の豊かさという観点から文化芸術について質問をさせていただきたいと思います。  私は、この夏休みが終わった後に、たくさんの子供たちにこの夏休み何をして遊んでいたということを問い掛けてみました。そうしたら、たくさんの子供たちが、この夏休みはコンピューターでいろんなことを調べて遊んだり、またゲームをして遊んでいたという声がたくさん返ってまいりました。私は、子供たちがこのゲームで遊ぶということを悪いこととは思っておりません。しかし、今子供たちを取り巻くこのゲームが子供たちに与える影響を考えていく必要があるのではないかと考えております。  コンピューターゲームが子供たちに与える影響について内閣府がまとめられた資料、これはちょっと古い資料になりますけれども平成十一年に内閣府が発表された青少年とテレビ、ゲーム等に係る暴力性に関する調査研究というものがございます。この調査では、テレビの暴力シーンとの接触の頻度が高くなればなるほど暴力行為を行う頻度が高い、またテレビ暴力シーン接触と被害者への共感性については、テレビ暴力シーン接触量が多いほど被害を受けた者のつらさに対する共感性が低くなっているとあり、暴力シーンとの接触が青少年の精神に大きな影響を与える傾向があるという結果が出ております。  また、コンピューターゲームについても同様の結果が出ており、ゲームセンターでのゲーム、また家庭でのゲーム、いずれにおいても、ゲームに関与することと暴力経験との間に何らかの関係があることが示唆される結果が得られました。性別に見ても、男女ともゲームへの関与の度合いが大きいほど暴力経験が多くなる傾向が見られる、またゲームへの関与と非行・問題行動との間にも関連が見られ、ゲームをしている時間が長い者ほど非行・問題行動がある割合が高くなる傾向があると言われております。  このように、映像やゲームによる暴力への抵抗感の減少は青少年の健全な発育に大きな影響を与えるのではないかと思います。当然、ゲームやテレビを見る時間が長くなればなるほど体を使った運動、友達と外で遊ぶ時間も当然減少するわけで、この体で感じる、覚える、また心で感じていろんなものを経験していくということが少なくなっていることも青少年が引き起こす暴力事件と関係しているのではないかと考えます。  そこで、内閣府にお伺いいたしますけれども、このコンピューターゲームが青少年に与える影響についての御見解をお伺いいたしたく思います。
  73. 林幹雄

    政府参考人(林幹雄君) 内閣府が実施いたしました青少年に関する調査では、青少年のメディアとの接触や意識等をテーマとしたものの中には、コンピューターゲームをよく利用する青少年に見られる傾向を示しているものがございます。  今先生の方から、浮島先生の方から御指摘のありました平成十一年に私どもの方で公表いたしました青少年とテレビ、ゲーム等に係る暴力性に関する調査研究の結果によりますと、対象となった三千二百四十二人の小中学生のうち、ふだん学校のある日、自分の家や友達の家でテレビゲーム機でどれくらい遊んでいますかという質問がございますが、それに対しまして約三五%の子供が遊ばないとは答えております一方、約三九%の子供が三十分くらい又は一時間くらい、そして一五%の子供が二時間くらい、また八%の子供が三時間くらい、約三%の子供に至りましては四時間以上と答えておるわけでございます。そして、それに関連しまして、家庭でテレビゲームで遊ぶ時間が長い子供ほど暴力の経験、それから非行・問題行動のあるという割合が高いという傾向が示されております。  また、平成八年に実施いたしました第三回の情報化社会と青少年に関する調査というものによりますと、テレビゲームの利用者は、利用しない非利用者と比べまして共感性、コミュニケーションにおけます我慢強さが低いと、また現実体験を軽視したりするという傾向が見られるという結果が出ております。  これらの調査につきましては、テレビゲームが青少年に与える影響について必ずしも因果関係というものを示すものであるとは言えませんけれども、テレビゲームの利用時間の長短などと子供の問題行動との間の相関性は示されている、このように考えております。
  74. 浮島とも子

    浮島とも子君 やはりこのコンピューターゲームと家庭のゲームとかに費やしている時間から考えてみましても、ゲーム、テレビゲーム、コンピューターゲームの内容が青少年に与える影響はかなり大きいのではないかと思われます。  お伺いしたところによりますと、この平成十一年の調査研究以降、調査はされていないということですけれども、私は定期的に調査研究もすべきと考えますけれども、今後この調査の御予定はあるのでしょうか。
  75. 林幹雄

    政府参考人(林幹雄君) 現時点では具体的な予定はございません。しかし、情報化の青少年に与える影響という点につきましては重要な課題でございますので、関係省庁とも協力しながら引き続き把握に努めてまいりたいと考えております。
  76. 浮島とも子

    浮島とも子君 この調査を、ゲームもどんどん新しく変化もしていきますし、しっかりとした調査研究が必要と思いますので、是非とも調査研究を進めていっていただきたいと強く要望をさしていただきます。  また、私は、青少年の健全育成という観点から、海外ではどのような規制をされているかを調べてみました。韓国では、音盤、ビデオ及びゲームに関する法律によって青少年に対する有害なゲームを規制しているとのことでございました。アメリカでは、ESRB、エンターテインメント・ソフトウエア・レーティング・ボードという独立した機関が対象年齢を評価、判定するレーティングを行い、そのレーティングに基づいて小売業者に、準成人向けのゲームに関しては十七歳未満の子供に親の許可なく販売することと成人向けのゲームを十八歳未満の子供に販売することを禁止するよう求め、これが実際に機能しているとのことです。また、ほかにも、法的規制の上に業界の自主規制があるイギリスや、法的規制と業界の自主規制が併存するフランス、また自国独自の規制を設けていないスウェーデンなど、様々な規制のモデルがございます。  これについては、二〇〇二年、コンピュータエンターテインメントソフトウェア協会が行ったゲームにおけるレーティングシステム構築のための調査を参考にさしていただきましたけれども、この調査で、ゲームソフトの規制、レーティングの在り方について、政府主導型モデル、官民協調型モデル、業界主導型モデル、他国依存型モデルの四つのモデルがあると分析されております。この調査の提言では、この四つのモデルの中で業界主導型モデルが我が国に導入されることが望ましいとされておりまして、日本でもレーティングを行うコンピュータエンターテインメントレーティング機構、CEROというのが設立されたとお伺いしております。  そこで、経済産業省にお伺いいたしますけれども、日本でゲームソフトの規制はこのレーティングを中心とした業界の自主規制という形を取っておりますけれども、この自主規制の枠組みの全体像について御説明いただけますでしょうか。そして、その枠組みが青少年の健全育成という観点から有効に機能しているのか、経済産業省の御認識をお伺いいたします。
  77. 豊田正和

    政府参考人(豊田正和君) お答え申し上げます。  先生御指摘のように、家庭用ゲームソフトにつきましては、特定非営利活動法人エンターテインメントレーティング機構、CEROにおきまして、年齢別のレーティング制度を自主的に実施をしているところでございます。  本制度は、個々のゲームソフトについて、まず社会の倫理水準に照らしまして適正か否かを審査をする、その上で適正と判断されたものについて対象年齢別に区分けをしまして、この年齢区分を製品パッケージや広告宣伝などに表示をしているものでございます。  現在、日本国内で新たに販売される家庭用ゲームソフトについては、ほぼすべてがこの本制度に基づくレーティングを受けているところであると理解をしております。例えば、二〇〇五年の八月、最新時点でございますけれども、発売されたソフトのレーティングマーク表示率は九六%というふうになっております。したがいまして、本自主規制、日本の家庭用ゲームソフトの会社において大変広範に活用されているというふうに認識をしております。
  78. 浮島とも子

    浮島とも子君 今御答弁いただいた、家庭用ゲームソフト会社において広範に活用されていると今おっしゃっていただいたんですけれども、自主規制が家庭用ゲームソフトの会社で行われている、活用されているという御認識だと思うんですけれども、実際に青少年の健全育成においてこの機能は十分に働いているのかどうか、私にはちょっと疑問が残ります。昨今、青少年の犯罪が、いろいろな犯罪が増えるにつけ、確かにこれだけが原因とは言えないと思いますけれども、バーチャルな世界が青少年の成長、そして特に彼らの精神性が形成される時期に与える影響はとても大きく、年々大きくもう莫大に手が付けられないようになっていくというふうに感じるのは何か私だけなのかなというちょっと疑問点がございます。  また、このゲームソフトの対象年齢を評価、判定するレーティングを目的としたCEROがレーティングを行い、ソフトのパッケージや広告の表示をするということが現状の自主規制のシステムであるとの今御答弁でございましたけれども、ただ、このCEROが行っているレーティングですけれども、この位置付けは購入の際の目安にされており、年齢による購入制限ではありません。私は、この目安というだけでは、青少年のこれからの健全育成という観点から見て少し足りないのではないかと考えております。その意味で、このレーティングに基づいた年齢による購入制限があってもよいのではないかと考えます。  実際に、最近では神奈川で、あるソフトが青少年保護育成条例に基づく有害図書類の指定を受け、青少年への販売が禁止をされました。また、東京都も十八歳未満禁止の認定の表示を義務化するなどの動きが自治体のレベルでございます。  このように公的規制、自主的規制でございますけれども、当然表現の自由は尊重されなくてはなりません。その意味で、公的規制よりも業界内での自主的規制がより望ましいと考えられますけれども、先ほども述べましたけれども、アメリカではレーティングを受けていないゲームソフトは小売店が売らない、流通に乗せられないということです。我が国でもこのような形でレーティングが生かされるような方策を業界として進めていただきたいと考えているところでございます。  そこで、経済産業省にお伺いしたいんですけれども、最近、業界団体のコンピュータエンターテインメント協会、今度はCESAですけれども、店頭における対象年齢未満への販売自粛など、販売店と協力した積極的な施策の検討を進めることを決定されたということでございますけれども、現在販売店の店頭ではどのような対応が行われているのでしょうか。例えば、レーティング別に区分陳列をされているとか、また購入の際に年齢確認などが考えられますけれども、販売のされ方についての現状をお伺いいたします。
  79. 豊田正和

    政府参考人(豊田正和君) 御指摘のように、本年の六月に神奈川県において「グランド・セフト・オートⅢ」という、青少年の健全な育成を阻害するおそれのある図書と指定された事件がございました。こういった情勢を踏まえまして、七月でございますけれども、CESA、社団法人コンピュータエンターテインメント協会がゲームソフト販売者に対して販売の自主規制をお願いをしたところでございます。  具体的には、正に先生御指摘のような年齢区分に合ったユーザーへの販売を徹底すること、そして顧客が年齢区分を認識しやすいように陳列も明確にすること、さらに店頭でのレーティング制度の告知を強化することを依頼したところでございます。今回初めての販売自主規制措置という取組を導入をされたわけでございます。  その後の状況はどうかというお話でございますけれども、CESAといたしましては、諸段階の場においてゲームソフト販売店への販売自主規制の徹底を更に明確に依頼をいたしまして、主要なゲームソフト販売店、これは日本では約八千店ほどあるようでございますけれども、レーティング制度に関するポスターなどを送付をいたしまして、販売自主規制の実施に向けた具体的な取組を行っているところでございます。  メーカーと販売店が協力をしながらこの販売自主規制を有効に機能させていくことが必要だというふうに考えております。七月に導入ということでございますので、その結果について更に見ていかないといけないと思いますけれども、我が省といたしましても、今後とも実態把握に努めてまいりたいというふうに考えております。
  80. 浮島とも子

    浮島とも子君 店頭においていろんなものを張ったりしていただくのもとても有効になるとは思うんですけれども、やっぱり購入されるときに何かを確認するとかそういうことも非常に必要になってくると思いますので、販売実態について十分に把握をしていく必要があると考えております。また、販売時に、先ほども申しましたように、年齢の確認をするなどということも積極的に進めていくべきと考えます。今後とも、この業界団体との連携をしっかりして対応していただきたいと考えております。  また、このゲームソフトウエアの規制ですけれども、当然、業界内の自主規制でございますから、規制の網が掛かっていない部分というのも当然出てくると思います。この自主規制の枠組みの中に入っていなかったり、また別の自主規制の枠組みがあったりということはないのでしょうか、それともあるのでしょうか。
  81. 豊田正和

    政府参考人(豊田正和君) ただいまお話をいたしました家庭用ゲームソフトは、日本のゲーム全体、ゲームソフト全体の中では約八〇%ということ、八〇%をちょっと超えるぐらいのシェアを占めているものでございます。一方で、この残りのパーソナルコンピューター用のゲームソフトについては、今のところ多種多様なソフトが出回っていることから、必ずしも本制度、家庭用ゲームソフトに基づくレーティングを受けていないものもあるようでございます。  一方で、コンピューターソフト業界としても、このままでは十分ではないということから自主的取組を行っておりまして、こちらの方はコンピューターのソフトウエア倫理機構というものがございますが、ここでコンピューターソフト用のレーティング制度を導入しているところでございます。  多くのパーソナルコンピューター用ゲームソフトは、ほぼこの本機構によるレーティングを受けているというふうに認識をしております。しかしながら、ゲーム用ソフトは使うことができる機器も非常に限られておりますので把握も大変しやすいんですけれども、コンピューターの方は、もうそれこそメーカーの数も日本製のみならず多数ございますので、そういう観点から十分だろうかというふうに思っております。  本年六月に政府のITの安心会議でこの違法・有害情報対策についても更に対応が必要ではないかというお話も受けておりますので、私どもとしては、このコンテンツ事業者による自主的取組在り方を、官民で更に研究会を開催いたしまして、追加的に何ができるのか早急に検討していきたいというふうに考えております。
  82. 浮島とも子

    浮島とも子君 今御答弁いただきました、今たしかコンピュータソフトウエア倫理機構とおっしゃったと思うんですけれども、このレーティング制度ですけれども、これは業界が若干異なると思うのですけれども、これの所管はどちらになるのでしょうか。
  83. 豊田正和

    政府参考人(豊田正和君) 倫理機構自身は任意団体でございまして、まあ一種どこの所管ということのない存在でございます。今のところは、正に自主規制団体として設立されたこの機構の状況を見守っているところでございます。
  84. 浮島とも子

    浮島とも子君 家庭用ゲームであっても、例えばコンピューターゲームであっても、販売され、子供たちの手に渡るという点では同じですので、所管が例えば違っても、例えば任意団体であったとしても、各省庁そして業界としっかりした連携を取って、自主規制の枠組みから漏れる部分がなくなるよう、自主規制の実効性を高めていけるよう全力で取り組んでいただきたいと強く要望させていただきます。  次に、文部科学省にお伺いいたしますけれども、このレーティングについて、保護者への周知は学校等を通して行われているのでしょうか。せっかくこの対象年齢を明示するレーティング制度がつくられているわけですから、教育の場でもしっかり周知をしていくことが大切かと思われますけれども現場ではどのような対応がされているのか、お伺いいたします。
  85. 素川富司

    政府参考人(素川富司君) お答え申し上げます。  年齢別レーティング制度、これが有効に機能するためには、お話ありましたような、業界側における制度の的確な運用に加えまして、ゲームを行う青少年を有害環境から守るべき立場にあります保護者がその制度を理解して適切に活用することが重要だと考えております。  私どもでは、テレビゲームの業界団体に対しまして、実効性のある自主規制措置の策定及びその運用について要請してまいっておりますけれども、加えまして、私どもが主催いたします有害環境対策に関する全国フォーラムにおきましてパンフレットを配付いたしまして、保護者へのレーティング制度の周知に努めているところであります。  それから、レーティング制度そのものではございませんけれども、家庭教育手帳を各保護者には配付しておりますけれども、その中には、テレビゲームに関する家庭でのルールづくり等の内容が含まれているところでございます。まだレーティング制度そのものではございませんので十分ではないかと思いますけれども、今後とも、保護者へのより一層の周知を図るための方策につきまして、どのような手段でどのような方法でやっていくべきか、十分に検討してまいりたいと考えているところでございます。
  86. 浮島とも子

    浮島とも子君 今、フォーラム等で機会を通じてお知らせしていただいているということでしたけれども、なかなか今御両親は忙しくて、二人とも働いている方が多いもので、フォーラムに行く機会も大変少ないと思いますので、この現場での、教育現場でのレーティング制度の周知を徹底してお願いしたいと申し上げたいと思います。  また、親が子供たちがどんなゲームで遊んでいるのかというのも知っておくこともとても重要だと思います。私も最近もう聞いてちょっと驚いたことがあるんですけれども、昨今、大阪や関東でもエアガンによる事件が起きておりますけれども、今のゲーム機自体がけん銃になっているということもお伺いをいたしました。このゲーム機、またこのゲームについては、どのような内容であるか分かるようにすることが大切であると考えております。是非とも、子供たちの健全育成のため、業界としても全力で取り組んで、また現場でも保護者に周知徹底をしていただけるようにお願いいたします。  また、次に、学校における動物飼育の在り方についてお伺いをさせていただきます。  IT化が進んでいく時代にあって、この命の大切さ、生きる力を養っていく上で、体験活動の持つ意味は非常に大きいと思います。その一つとして学校での動物飼育がございます。現在、小学校の約九割で小動物を飼育しております。主にウサギや鶏などが中心となっていると聞いておりますけれども、中には犬を飼育しているところもあるようです。この動物飼育は、都市部の学校においては自然や生き物と直接触れ合う貴重な機会となっていると思います。実際に生き物に触れることで子供たちの豊かな感受性がはぐくまれ、命の大切さを学ぶ機会となっております。  この動物飼育のやり方、在り方について、文部科学省では、この「学校における望ましい動物飼育のあり方」という本を配付されているとお伺いいたしておりますけれども、ただ、この学校現場で、この手引のとおりに運用されていないということが多いようです。  先日も幾つかの新聞報道でございましたし、また今日の、今朝の新聞の報道にもございましたけれども、「動物の餌も五日制」、獣医からは、何のために学校で動物を飼っているのかよく考えてほしい、国立教育政策研究所が平成十三年に首都圏の一部の小学校調査したところ、土日にえさをやらない学校は約七割に上っている。動物がかわいそうなのはもちろんだが、人間から見た教育意味を考えるべきだ。子供たちにとって動物は自分の子供のような存在で、成長も死も実感できる。少年の凶悪犯罪が増える中、動物を飼うことでの命の大切さがはぐくまれていくと今日の朝刊でも言っておりましたけれども、週末、特に三連休が続いたとき、お伺いしたところによると、例えば月曜日がお休みだと金曜日に大量の水とえさを与えて帰るというところが非常に多く見受けられるようです。また、ちゃんと飼育している学校もございますけれども、そういう懸け離れた学校もあるとお伺いをいたしております。  この学校における望ましい動物の飼育の在り方によれば、日曜日や祭日、長期休業日、災害時の対応、関係者の連携などの在り方課題について、教職員、獣医師、PTA、地域ボランティア等を含めての検討会、そして学習会を開くようにすることが望まれるとございますけれども、この趣旨を再度徹底していただく必要があるのではないかと思われますけれども文部科学省としてどのようにお考えか、お伺いいたします。
  87. 銭谷眞美

    政府参考人銭谷眞美君) ただいま先生からお話ございましたように、子供たちが自然や生き物への親しみを持ってそれらを大切にする心情を養うという意味で、各学校では動物を飼育をして学習指導に役立てているところでございます。ただ、お話ございましたように、学校における動物飼育につきまして、休日や長期休暇中の世話に関して課題があるということも指摘を受けているところでございます。  今お話のありました国立教育政策研究所の調査におきましてもそういう実態が明らかになっているところでございまして、私ども学校における動物飼育の在り方について参考となるように、平成十五年の四月に教師用手引書を作成をし、全国すべての幼稚園、小学校、盲・聾・養学校に送付をしているところでございます。  この手引の中では、学校において、休日や長期休暇中の世話について、PTAや子供会、地域の獣医師会の協力を得るための取組を紹介をするとともに、日曜日や祝日、長期休業日、災害時の対応、関係者の連絡の在り方などの課題につきまして、教職員、獣医師、PTA、地域ボランティア等を含めて検討会、学習会を開くようにするということが望まれるということを指導しているところでございます。  この手引につきましては、これまでも各教育委員会の担当者等を対象として周知を図ってまいったところでございますけれども、引き続き指導主事の連絡協議会など会議において周知を図るなど、学校において適切な動物飼育が行われるように一層努めてまいりたいと思っております。
  88. 浮島とも子

    浮島とも子君 是非とも文部科学省として現状をしっかり把握して、周知徹底をお願いしたいと思います。  また、学校の動物飼育の適切な在り方は、青少年の教育に有効であるだけではなくて、家庭教育在り方、特に家庭での動物飼育の在り方にまで影響を与えるほどの効果が期待をされていると思います。といいますのは、昨今、テレビコマーシャルなどにのっとったり、いろんなペットブームで、かわいいというだけで動物を買って、こんなに飼ってみたら大変だと思わなかったといって捨ててしまうことも多いと今言われております。  動物飼育は最も身近な体験活動であり、それこそ命の大切さ、育てることの大切さ、また大変さ、そこから感じ取る楽しさ、また愛する気持ちなど、子供たちの身をもって体験をしていく大切な体験活動と思いますので、是非ともよろしくお願いいたします。また、この動物飼育のことを言っておりますと、何か小さいことととらえがちなんですけれども、正に毎日の子供たちの生活の中で大切な生きた教育だと思いますので、是非ともよろしくお願い申し上げます。  また、先ほどゲームの規制につきまして質問させていただきましたけれども、ゲームや映像の特色は、直接視覚や聴覚に訴える点であると思います。つまり、想像力を働かせる部分が非常に少ない。特に、いわゆるアクションなどでは刺激的な映像、また効果音が想像力を働かせる間もなく次々と飛び込んでまいります。登場人物の表情や間の取り方から細かな感情を読み取ったりするということは少ないのではないかと考えます。  そこで、真の心の豊かさをはぐくむためにも、この文化芸術の振興が大切であると思います。ゲーム、機械などでのやり取りではなく、言葉にも温度があるということをこれからの子供たちに教えていかなければいけないと強く考えております。例えば、ありがとう、文字にしたら五文字のありがとうですけれども、心から伝えるありがとうと、ただ何となくありがとう、また嫌々言うありがとう、そのありがとうの五文字でも言葉には温度があるということもこれからの子供たちには教えていかなければならない。そんな観点から、このIT化が進めば進むほど、子供のときからいろいろなものを見て聞いて触れる、この文化芸術の振興がより重要になってくると考えます。  そこで、子供たちに本物の文化芸術に触れる機会を増やしていかなければならないと強く考えますけれども、具体的にどのように機会を増やしていかれるおつもりか、お伺いをさせていただきます。
  89. 加茂川幸夫

    政府参考人加茂川幸夫君) お答えをいたします。  次代を担う子供たちに文化芸術の感動あるいは楽しさを伝えまして、子供たちの感性、想像力を刺激し、一人一人の可能性を引き出すことは、委員御指摘のように、豊かな人間性あるいは多様な個性をはぐくむために大変重要な事柄であると、私どもも同様に認識をいたしておるところでございます。  そのため、文化庁といたしましても、これまで例えば本物の舞台芸術に触れる機会の確保といった事業でありますとか、伝統文化こども教室、さらには学校への芸術家等派遣事業など、子供の文化芸術体験活動を推進する施策に積極的に取り組んできたところでございます。また、所管しております独立行政法人日本芸術文化振興会におきましても、国立劇場の歌舞伎鑑賞教室、新国立劇場のオペラ鑑賞教室など、青少年向けの鑑賞事業を実施しておりまして、多くの青少年にこういった機会を提供しておるところでございます。  冒頭にも申し上げましたように、子供たちが直接文化芸術体験活動をすることの意義は大変大きいものでございますので、今申し上げましたこれらの事業を充実いたすことができますように、引き続き来年度の関連予算の充実に向けて努力をしてまいりたいと思っております。
  90. 浮島とも子

    浮島とも子君 どうか、二十一世紀を担う子供たちの健全育成のために、各省庁、全力で取り組んでいただけますようお願いを申し上げて、私の質問を終わります。  ありがとうございました。
  91. 吉川春子

    吉川春子君 日本共産党の吉川春子です。  義務教育学校の非常勤講師問題を質問します。  義務教育在り方として、どの子にも分かる豊かな教育、どこに住んでいても質の高い教育が受けられることが必要です。そのためには、教員には研修とゆとりが必要です。十分な教員の配置も不可欠です。  そこで聞きます。いわゆる人材確保法、学校教育の水準の維持向上のための義務教育学校教職員の人材確保に関する特別措置法の趣旨、目的を踏まえた教職員の処遇とは何でしょうか。
  92. 小島敏男

    ○副大臣(小島敏男君) この法律は、吉川委員承知のように、昭和四十九年にできた法律でありますけれども、この法律ができたのは閣法でありますけれども、これは議員主導でやったという法律で、本会議では全会一致で制定された法律であります。ですから、非常に大きな望みを持って法律が確定したということでありますが、今のお話のように、義務教育に従事する教員の給与を一般の行政職員よりも優遇する、そういうことによりまして、優れた人材を確保し、我が国の義務教育の水準の維持向上を図ることを目的としているものでございます。国が義務教育に対する責任を果たすための重要な制度認識をしております。
  93. 吉川春子

    吉川春子君 いわゆる人確法は臨時採用の非常勤講師にも適用されると思いますが、念のため確認します。
  94. 銭谷眞美

    政府参考人銭谷眞美君) ただいまお話がございましたように、人材確保法では、義務教育学校の教職員の給与について、一般の公務員の給与水準に比較をして必要な優遇措置が講じられなければならないとされているわけでございますので、この適用対象からいわゆる非常勤の講師は除外されるものではないと解しております。
  95. 吉川春子

    吉川春子君 そこで、十六年度の全国の教職員の採用数、常勤、非常勤、それぞれ数字をお示しいただきたいと思います。
  96. 銭谷眞美

    政府参考人銭谷眞美君) 公立学校について申し上げるわけでございますけれども、まず正規の採用者数でございますけれども平成十六年度では小学校、中学校合わせまして一万五千五十五人でございます。それから、非常勤の講師の数でございますけれども平成十六年度では一万六千四百八十一人というふうに承知をいたしております。
  97. 吉川春子

    吉川春子君 要するに、非常勤講師の採用の数の方が上回っているという実情にあるわけですね。これは大変問題だと思います。  非常勤講師の場合に、例えば埼玉県で臨時教員をしているKさんは、臨時教員は自分であちこちの教育委員会に足を運んで就職活動をしなくてはならない、だから毎年三月になると次の勤め先があるか心配だと。運良く採用されても、一学期は小学校で全教科、二学期は中学校で英語と、なかなか希望どおりにはならない。また、別の先生は、一年の期限付で同じ学校に繰り返し採用されてきましたけれども、学年末が近づくと、子供から、先生、また一緒に来年もいられると聞かれて、その答えに窮すると、未来を描けないと、こういうふうに悩みを述べておられます。  なぜ非常勤講師をこんなにたくさん採用しているのか。やっぱり、なるべくもうできる限り常勤で採用すべきではないかと思いますが、その点、大臣、いかがですか。
  98. 銭谷眞美

    政府参考人銭谷眞美君) 学校における教職員の配置の問題でございますけれども、基本的には、いわゆる学校運営の根幹となる常勤の教職員が必要数配置をされるということがまず基本であろうかと思います。その上で、地域や学校の実情に応じて、非常勤講師などを活用することによって、常勤の先生と非常勤の先生がそれぞれ役割を担って子供たちに対する特色ある教育活動が展開をされるということが望ましいというふうに考えております。  もちろん、常勤の教職員が本当にたくさん確保されればそれは望ましいとも言えるわけでございますけれども学校の実情によりましては、短時間でも例えば習熟度別指導とかチームティーチングとか、あるいは短い時間ではありますけれども専科教育の充実など、いろいろな学校運営上必要に応じて非常勤の先生を採用してそれに当たらせるということが必要になる場合もあろうかと思っております。
  99. 吉川春子

    吉川春子君 端的に伺いますけれども、正規の教員の一時間当たりの給与、それから非常勤講師の一時間当たりの給与、それぞれ幾らになっていますか。
  100. 銭谷眞美

    政府参考人銭谷眞美君) 正規の教員、常勤教員につきましては、これはいわゆる給与という形で支払われるわけでございますので、時間単価というのはある種割戻しのようなことになるわけでございますが、大体常勤職員の場合は二千二百八十九円ぐらいでございます。それから、非常勤講師の方は、これは時間当たり単価ということになるわけでございますが、地方交付税の単価では二千八百円ということになっております。
  101. 吉川春子

    吉川春子君 まず伺いますけれども、この二千八百円という地方交付税の単価以下で採用されている非常勤講師というものも結構全国にいるんですね。少なくとも文科省として、その二千八百円で、非常勤講師を仮に採用する場合でも、二千八百円という線は下らないような、そういう指導はされていますか。それ以下ではなかなか採用しちゃいけないんじゃないですか。きちっと二千八百円ということでやられているかどうか、ちょっと御答弁お願いします。
  102. 銭谷眞美

    政府参考人銭谷眞美君) 各公立学校の非常勤講師に対する報酬につきましては、各都道府県等において常勤の教員に支給される給与額とか地域の特殊性などを考慮しながら支給されているものと考えております。地方交付税における単価というのは、あくまでも地方交付税の積算上の単価ということになろうかと思っております。
  103. 吉川春子

    吉川春子君 文部省が二千八百円というお金を示しながら、例えば千五百円で採用されたり、そういう例も私が聞いたところではあるんですけれども、そういうことは好ましいんですか。やっぱり、文部省が示したこういうことを大体守っていただくと、そういうことが最低限必要なんじゃないでしょうか。その点の認識はいかがですか。
  104. 銭谷眞美

    政府参考人銭谷眞美君) 私ども承知をしている限りでは、各都道府県におきまして、先ほど申し上げましたように、常勤の教員に支給される給与額や地域の特殊性なども考慮しながら適切に非常勤講師に対する報酬は支給されているものと考えております。  なお、非常勤の職員の場合に、いわゆる教員免許状を持った教員としての職員のほかに補助的な職員もいるわけでございますので、一律には申し上げることはできないんではないかと思っております。
  105. 吉川春子

    吉川春子君 適切に支給されていると文科省が判断する基準として、大体二千八百円ぐらいで、まあ上下は多少あるにしても、大幅に下がらない程度でという、こういうふうに考えていいですか。
  106. 銭谷眞美

    政府参考人銭谷眞美君) 基本的には各都道府県教育委員会においてそういう考え方でやっていただいているものと承知をいたしております。
  107. 吉川春子

    吉川春子君 ちょっとしつこいようなんですけれども、私が言ったそういう考え方というのは、余り大幅に下がらないように、大体そういう水準でという意味、という意味ですか。イエスかノーかで。
  108. 銭谷眞美

    政府参考人銭谷眞美君) もちろん、地域の実情ございますので若干の差はあろうかと思いますが、基本的には地方交付税の積算単価を一つの参考として、上下多少あると思いますが、措置されているものと考えております。
  109. 吉川春子

    吉川春子君 それで、今文科省が示された非常勤講師と正規の職員の単価の中には退職金と一時金というものが含まれていないわけです。  ちょっと時間がなかったので、退職金、一時金を含めた額をそちらの資料を基礎にして私、計算してみました。そうしましたら、大体三千幾らになるんですね、三千二百円ぐらいになるんですね。実は、厚労省に対してはいつも、正規の労働者と非正規、パートの労働者の比較をいつもお願いして計算していただいているんですが、それは、大体パートと正規の男性との格差が一〇〇対三五・幾つぐらいあるんです。教員の場合は男女の賃金の格差ありませんからそういう劇的な差はないんですけれども、非常に正規と非正規の差はあるわけですね。大体その八割、正規を一〇〇とすると、私の計算では、そちらの資料に基づいて計算したのでは八割ぐらいの数字になるんです。  これは後で文科省とまた別個に詰めますが、正規の職員を一〇〇に対して非常勤講師が八割で、八割の時間当たりの賃金でいいのかどうか。パート労働者の指針というものがありますけれども、これは正規も非正規も、パートも大体同じような水準で雇うように指導するという、こういう基準が厚労省の方にはあるんですね。だから、教員の場合は正規と非正規が、八割ぐらいでいいのかどうか、その点は大臣、御見解は、どういうふうにお考えでしょうか。
  110. 銭谷眞美

    政府参考人銭谷眞美君) ちょっと、ただいまの先生の計算についてつまびらかに承知しておりませんのでお答えしにくいところがあるわけでございますけれども、先ほど平均の一時間当たりの額申し上げましたけれども、これは常勤の場合は、平均給料、これにいろんな諸手当入れた平均の給料年額を一週間当たりにまず直しました上で、一週間当たり四十時間の勤務ということで更に割って二千二百八十九円と出したものでございます。  それから、非常勤講師の方は、先ほど申し上げましたように、地方交付税の単価でいうと二千八百円ということを申し上げたわけでございます。
  111. 吉川春子

    吉川春子君 大臣、正規の職員と非常勤講師、一時間働いて同じ授業をするわけですよ。私も本当に若いころ、ちょっと教師していたことがあるんですけれども、やっぱり全力で子供たちに教えるわけですよね、その一時間はですよ。それが正規だと一〇〇とすると非正規は八と、こういう、今現状ではそういう数字が出てくるんですけれども。  文部省は明らかにしていませんが、とにかく、退職金と一時金は含まれていない額だから少なくなるのは決まっているわけですが、そういう考え方、やっぱり同じ一時間子供に全力で教えたら、その同じ一時間は報いてもらいたいと。非正規の方が四十時間働けない場合もあるので、正規の人よりはトータルで額は少なくなるというのは、それはあり得ますし、やむを得ないと思うんですけれども、同じ一時間で差を付けないでもらいたいと、そう思うんですが、大臣の御見解をお伺いしたいと思います。
  112. 小島敏男

    ○副大臣(小島敏男君) 今、吉川委員から八対二という話を聞いたんですけれども、私もその比率というのはつまびらかに今まで聞いたことがございません。  しかし、今お話を聞いていて、そういう同じ授業をしながら、そして格差が出てくるということに対してはやはり考えなきゃならないというように私自身は考えていますので、非常勤講師の職務に応じて適切に対応ができるように、私の方も考え方をお話ししてみたいと思っています。
  113. 吉川春子

    吉川春子君 もう時間が、これで時間切れなんであれですが、是非大臣の答弁、期待しています。実情も調査されて、本当に日本の教育のために全力で頑張っている非常勤講師がたくさんいるわけですね。その待遇改善を人確法の線にも沿ってやっていただきたいし、教育財源を一般財源化するなんということは、そういう点からも良くないということを申し上げまして、終わります。
  114. 近藤正道

    近藤正道君 社民党・護憲連合の近藤正道でございます。  私は、電源開発促進対策特別会計、以下、電源特会というふうに略称いたしますが、この電源特会のことについてお尋ねをしたいというふうに思っています。  特別会計をめぐる問題が国会で最近たくさん議論されております。とりわけ、電源特会につきましては、税金の無駄遣いという観点から議論されておりますが、今年の六月の平成十五年度の決算審査措置要求決議では、電源立地勘定における予算と決算の乖離、この問題について厳しい指摘が全会一致でなされました。そしてまた、この九月の衆議院の予算委員会では、電源特会の見直しを求める質問に小泉総理が、こういう財政状況でありますのでよく検討しなければならないと、こういうふうに答弁をされました。  この電源特会の無駄遣いの是正とか制度の見直しについて、その後どういうふうに政府の内部で検討されておられますか、お尋ねします。
  115. 保坂三蔵

    ○副大臣(保坂三蔵君) お答え申し上げます。  電源特会につきましてのお尋ねでございますが、お話のとおり、多額な剰余金が発生してしまったことや、あるいはまた原子力広報関係の予算計上の過大計上等、国会の場やあるいはまた審議会等で何度か御指摘をいただいたところでございます。  これを踏んまえまして、剰余金につきましては不用額が多大になるような事業については予算措置からもう見直していこう、あるいはまた建設が遅れている原子力発電所につきましては将来当然、財政需要が発生するわけでございますから、これらにつきましては、周辺地域整備資金という制度が新たに設けられまして透明性を増すことになりましたので、これらを今活用しているところでございます。  純剰余金の総額でございますが、平成十四年決算、これは実績でございますが、千三百八十三億円ございました。これが二年後の十六年度決算におきましては八百七十五億円まで縮小することができたわけでございます。  また、大変大事な本来仕事なんでございますが、原子力広報のことにつきましては、この予算につきましては特に中川大臣から私どもに強い御指示がございました。大事とはいいながらも現下の情勢であるから総額は圧縮するように、それからまた委託先につきましても競争原理をしっかり導入せよ、そしてまた、単価の妥当性でございますが、これにつきましても言わば第三者、学識経験者等の意見をよく踏んまえる、聞くことができる仕組みを取り入れたところでございまして、これによりまして、御指摘のような不適切な予算の配分や、あるいはまた効率的な執行が妨げられるようなことを防ごう、こういうことを努力しているところでございます。  また、特別会計全般につきましては、ただいま政府部内で、経済財政諮問会議や財政審等で検討中でございます。  いずれにいたしましても、御案内のとおり、原油価格高騰に見られますように国際的なエネルギー競争はもう大変な事態になっておりまして、この中で我が国のエネルギーセキュリティーを確保するということは国是でございます。したがいまして、こういう状況を私たちは、特会を、制度の言わば趣旨あるいはまた担うべく私たちの責任、こういうものをしっかりと勘案した上で政府が検討している方向に沿ってこれから努力していく、こんな所存でございます。
  116. 近藤正道

    近藤正道君 電源特会に関連する法人の中でも、とりわけ天下りだとか、あるいは無駄遣いの典型であると、こういうふうに指摘された二つの財団がございます。電源地域振興センターと日本立地センターでございます。  ここは職員に比べて役員数が非常に多いと、実質的に所轄官庁、経産省でありますが、ここのOBが天下りして牛耳っていると、こういう実態にございます。職員数に比べて役員数が多いと、これは九六年の閣議決定、つまりOBの数を理事全体の三分の一以下にしろと、これをクリアするために理事の数を、役員の数を水増しした結果であるわけでございます。  この点につきましても、今年の四月、衆議院の経済産業委員会議論になりまして、中川大臣の方で、検討しなければならないと、こういうふうに答弁されておりますが、その後どういうふうに検討が行われましたでしょうか。
  117. 安達健祐

    政府参考人(安達健祐君) お答え申し上げます。私の方から、電源地域振興センターについてお答え申し上げます。  同センターは、一九九〇年に電源地域の振興を民間の立場で図ることを目的に設立された公益法人でございます。設立発起人は、電力会社社長、日本開発銀行総裁、金融機関頭取ら十七名でございまして、十電力会社及び電源開発が基本財産への出捐を行ってございます。その意思決定を行う理事会の構成は、基本財産を拠出した電力会社や発起人である金融機関の代表のほか、電力事業に密接に関連する団体や地域振興に知見を有する団体の代表から構成され、これらの者が一丸となって電源地域の振興に資する事業を実施していくこととしてございます。  ちなみに、御指摘の基準が閣議決定された九六年当時、理事のうち当省の出身者が占める割合はその時点で三分の一を下回っており、その後、当省出身の理事の数は六名から四名に減少しておりまして、御指摘のような実態はないと考えておりますが、いずれにいたしましても、先般の国会における議論を踏まえた中川経済産業大臣からの指示に従い、電源地域振興センターに対し、業務範囲や内容を勘案し理事会の構成等が適正か否か評価し、見直しするよう指示を行ったところでございます。  これを受けまして電源地域振興センターは真摯に対応することとし、次回の理事会に向け、理事数を減らす方向で具体案を検討しているところと聞いてございます。
  118. 近藤正道

    近藤正道君 電源特会では、従来からルーズな補助金の使い方、これが問題になっております。その一方で、先ほど副大臣がおっしゃいましたけれども、剰余金の恒常的な発生が続いていると、こういうことでございます。剰余金の発生は、原発の建設計画が遅れている、これが大きな原因というふうに説明されておりますけれども、このたび、今ほど御答弁ありましたけれども、この剰余金の位置付けを明確にするということで、十五年度から周辺地域整備資金、こういう形で新たに制度が電源特会内につくられたと。十七年度末ではその規模は一千億円、これを上回る、こういう見通しでございます。  政府はこれで、先ほどの御答弁もありましたけれども、剰余金は減少すると、現に減少していると、こういうことでございますけれども、これは単に剰余金を資金という別の財布にプールしただけではないか、実態は何にも変わっていないんではないか、こういう指摘もあるし、私もそうだというふうに思っております。是非、この新規立地の見通しが立たない中で周辺地域整備資金をこれ以上積み増すということは無意味ではないか、こういうふうに思っておりまして、積み増すのであれば、資金は例えば一般財源に組み入れる、そして今の膨大なこの財政借金、これの返済に充てるとか、国民に広く還元する方法をこの際検討すべきではないかと思いますが、いかがでしょうか。
  119. 安達健祐

    政府参考人(安達健祐君) お答え申し上げます。  平成十五年の法改正前の電源開発促進対策特別会計立地勘定におきましては、原子力発電所の建設計画が遅れ、財政需要が後ろ倒しになったことから、本来、発電所の立地に伴い発生する財政需要を充当すべき資金が剰余金という形での計上を余儀なくされていたところでございます。  こうした状況にかんがみ、剰余金のうち、原子力発電所の建設に伴って発生する交付金の将来の財政需要に対応すべき資金を通常の意味での剰余金とははっきり区別し、周辺地域整備資金という明確、透明な形で管理することとしました。  これまでに、同資金につきましては平成十五年度から平成十七年度までに積立てを行っておりましたが、その財政需要に組み入れていた島根、大間といった地点において着工が見込まれることから、平成十八年度概算要求におきましては、同資金を取り崩し、この受入金として八十億円を歳入に計上することとしてございます。  今後も、原子力発電所の立地の進展に伴って同資金が取り崩され、支出されていくこととなると考えてございます。
  120. 近藤正道

    近藤正道君 私は是非一般財源化の道も検討していただきたいと、このように指摘をさせていただきたいと思っています。  十八年度の概算要求で新たにこの補助金の使い道を経産省は拡大をしておりまして、高経年化、つまり老朽原発ですけれども、あるいは核燃料サイクル施設と地域との共生にもこの金を使えるように、こういうふうにしたいと、こういうことで五十六億円の新たな予算を盛り込んでおられるようでございますけれども、電源特会はこれまでも箱物で非常に批判を浴びる、そういう金の使い方をしてきた、それにもかかわらず金が余る。そこで、今度は新たに資金の制度だとか、あるいは新規の使い道を更に拡大する、こういう方向に来ているわけでありますが、今の老朽原発だとかあるいは核燃料サイクルの問題については国民の中に意見も分かれている領域でありまして、こういうところに補助金の使い道を新たに拡大するということは私は大変問題ではないか、こういうふうに思っております。  これはやっぱり財源が自動的に特会に流れ込む、こういう仕組みがこの制度にある、そういう構造的な問題がこういうことを生み出しているんではないかと。つまり、予算執行の効率を追求すればするほど一方で剰余金は発生する。しかし、剰余金を何とか表面化させないために、資金制度をつくったりあるいは使途を拡大をする。使途の拡大について国民の間で納得できる理由があればいいけれども、その納得できる合意がなかなか得られない。にもかかわらず、そこへどんどん使途を拡大させていく。  こういうことを、これどんどんどんどん、こう突き進んでいきますと、やっぱりこの原発の立地にかかわって巨大な資金が動くという仕組みそれ自身のやっぱり問題性に私ども逢着せざるを得ない。こういう電源開発の在り方については、今特別会計の見直しの論議があるわけでございますけれども、この際、抜本的にやっぱり見直すということが私は必要なんではないかというふうに思えてならないわけでございますが、副大臣、いかがでしょうか。
  121. 保坂三蔵

    ○副大臣(保坂三蔵君) 先ほど申し上げましたとおり、エネルギーセキュリティーの確保というのは国是だと申し上げました。  実は私も、昨日ブラジルから帰ってきたんでございますが、サトウキビ由来によるところのアルコール燃料、フレックス燃料にいたしましてガソリンと混入いたしまして使っているんですが、もうすさまじい競争激化なんですね。中国や発展途上国のこのエネルギー需要が拡大する中で、これはもう大変な今情勢にあるものと、思わず現場認識してきたところでございます。一方、また地球温暖化防止は私ども時代の要請であり、また日本の国はトップランナーとしてこれを遂行しているわけでございます。こういうことを考えますと、原子力発電の持つ意味合いというのはもう極めて重要、かつその重みは増している一方だと私たちは考えております。  平成十五年十月に、エネルギー長期計画の中で日本の国の基幹電源といたしまして原発を正規に位置付けました。そしてまた、今月の十四日にも閣議決定したところでございますが、原子力の政策の基本政策と言うべく原子力政策大綱、これの中におきましても明確に打ち出したんでございますが、中長期的に見まして、いわゆる原発によるところの発電量、この電力は現在の同じ程度若しくはそれ以上、ですから、そうですね、二〇三〇年度レベルで考えますと三〇%から四〇%程度、それ以上のものは確保する、こういうことが確認されてきたところございます。  お話しのとおり、そうはいいましても、今後十二基の原発を造っていく、並大抵なことではないわけでございますけれども、現在山口県の上関ですね、山口県の上関、それから青森県の大間、これらは一次、二次のヒアリングに入っているところでございますが、先発した着工中の三基、あるいは着工前の一基加えまして、やっとここまで参りましたのは、関係者の御努力とそれからお地元の御理解というところが大でございまして、この中で電源三法交付金制度、この存在感は非常に大きいものが私どもあると思っております。  しかしながら、御指摘のあるように、限られた予算の中できゅうきゅうとしている全体の中で、電源特会だけが聖域ではないとは思いますけれども、現在の仕組みからいいますと、やはり仕組みの中で動いていく方法しかない。したがいまして、特別会計全体見直しております政府の意向を踏まえつつ、電源特会の制度の言わば趣旨をもう一回しっかりと見詰め直し、そしてまた、担うべく私たちの責任を明確にした上でこの電源特会を活用していく方法が今私たちに与えられた最もベストな方法の選択ではないか、このように考えております。
  122. 近藤正道

    近藤正道君 一言申し上げますが、是非抜本的に私は見直しの議論もしていただきたい。  一方で金が余る、そういう中で補助金の使途をどんどん拡大をしていると。しかし、その一方で、自治体の自発的な意思で原発を動かさないと、こういうふうに決めた場合には補助金は出さない、そういう方向を皆さんは打ち出している。つまり、金でもって、推進するところには金を出す、そうでないところには金を出さない、こういうやっぱり方向が非常にはっきりしてきている。私は、やっぱりこの電源特会の制度から少し逸脱をしてきているんではないか、こういうふうに思っておりますので、そういう補助金の運用の仕方も含めて、是非特別会計の見直しの中でこの電源特会については抜本的に議論をしていただきたい。要望して、質問を終わります。
  123. 荒井広幸

    荒井広幸君 今日は、両大臣、総裁始め皆さん、お忙しいところ誠に時間をやりくり、ありがとうございました。  今日は、生損保の不払問題が投げ掛ける大きな課題社会的、政治的課題、こういったことについて、二十分ばかりでありますので、ちょっと通告の質問、これも多過ぎますので、そういった趣旨をお酌み取りいただいて質疑をさせていただき、意見をまた申し上げ、今お手元に配りましたけれども、理事の皆さんの御了解いただきまして、保険のソーシャルポリシー策定が必要ではないかと、今日のそうした結論に行き着くわけでございます。  冒頭、まず、厚生労働省、来ていただいております。時間の関係上割愛をいたしますけれども、胃がんで、大人で三十日入院ですべて胃を摘出した場合、もう一つは、まあちょっと、がんでちょっと今開いたのではどうかなということで、検査で分かって入院は四日だけ、まあ検査入院的なものです、あとは三十日投薬したと。この場合の、高額療養費を適用した場合の、結論だけでいいですから、総医療費と、高額適用した場合幾らになるか。そして、二つ目の方の手術しなかった場合の方は不適用に、高額医療は不適用なんですが、その医療総額と自己負担分、三割ですね、自己負担は、その自己負担の部分どうなるか、まず御説明をお願いします。
  124. 水田邦雄

    政府参考人(水田邦雄君) お答えいたします。  先生、二つのケースをお述べになりましたけれども、まず一つ目の、成人の患者が早期の胃がんを摘出するための手術を受けたと。で……
  125. 荒井広幸

    荒井広幸君 総計でいきましょうか、最後の総計のところだけ。済みません。
  126. 水田邦雄

    政府参考人(水田邦雄君) で、三十日入院したと、こういう場合でございますけれども、医療費総額は、一定の前提を置きますと百七十万円。これに対しまして三割負担及び高額療養費が適用になりますので、十万円の自己負担となります。  二つ目、末期の胃がんで手術困難でございまして四日間の検査入院と抗がん剤治療を受けた場合でございますが、医療費総額は二十万円。患者の自己負担、この場合は三割がそのまま適用になりますので六万円と、こういった自己負担になります。
  127. 荒井広幸

    荒井広幸君 そうなりますと、これ宣伝、今どんどんやっているんですね。第三分野といいます。掛け捨てもあります。また、入院しながら特約、いろんなやり方が市中に出回っているんですけれども、この中身に入る前に金融庁にお尋ねしますが、こうした銀行及び生命保険会社、どのぐらい広告を出していますか。この数字つかまえていますでしょうか。
  128. 佐藤隆文

    政府参考人佐藤隆文君) 平成十七年三月期におけます主要行それから大手生命保険会社、そして上場損害保険会社について調べてみますと、経費に占める広告宣伝費の割合でございますけれども、主要行十一行で合計で三百十六億円という数字で、営業経費全体に占める比率は一・〇%となっております。それから、大手生命保険会社九社でございますが、広告宣伝費トータルが二〇四億円で、事業費に占める割合は〇・九%。それから、上場損害保険会社八社について、広告宣伝費の合計は百五十六億円ということで、事業費に占める割合が〇・六%というふうになっております。
  129. 荒井広幸

    荒井広幸君 これ少ない数字のように見えるんですけれども、すごく、死差、費差、利差、三利源といいますけれども、その中で営業収入を上げていこう、経常利益を上げていこう、大変なことなんです。正にその広告自体が問題があって、いわゆる今度の不払というようなことでの、入る側の方が告知義務を違反したんじゃないかから始まりまして、いや、あのとき聞いている聞いていない、いや、それは出さないんだ、こんないろんなやり取りがあったんだと思いますけれども。  調査をしていらっしゃるはずなんですが、詳しい調査はお尋ねしませんが、先ほど冒頭に聞きましたような中に、いわゆる手術しなかった場合、約十万三百二十円、厚生省の試算でモデルで出るんです。これに対する適用はありませんよと不払が言われたという人がいるんだそうです。こういった事例についての調査をしていらっしゃるわけですね。現在の調査はそういった調査をされていると、こういうことですか。
  130. 佐藤隆文

    政府参考人佐藤隆文君) 今般、私どもですべての生命保険会社に対しまして保険金等支払管理態勢の再点検を要請したということでございます。この対象といたしましては、すべての保険金、給付金の不払事案に係る再検証というのを過去五年間にさかのぼって検証するということで要請をいたしておりますので、すべての保険金、また不払の事由についても、特定のものを排除することなく調査を要請しているということでございます。
  131. 荒井広幸

    荒井広幸君 それは公表できますか。総件数なり個人名で出せるんでしょうか。
  132. 佐藤隆文

    政府参考人佐藤隆文君) この報告徴求は九月三十日を期限として実施をいたしまして、九月三十日に出てきたわけでございますけれども、現在、これの精査、分析をしているということでございます。これがすべて終わりましたところで、何らかの形で結果の概要というものは公表をさせていただきたいというふうに思っております。
  133. 荒井広幸

    荒井広幸君 それでは、団体保険加入者の個人、個人も団体保険、企業などで入るわけです、団体で。そういう場合にはじかれた数は少なくて、一人一人が入った場合にはかなりはじかれているというふうな話もあるんですが、こういったことも当然企業ごとに、会社ごとにおつかまえになっているということですね。
  134. 佐藤隆文

    政府参考人佐藤隆文君) どういう形で整理をし、公表をさせていただくかということは、これから検討してまいりたいと思います。
  135. 荒井広幸

    荒井広幸君 検討するんじゃなくて、そういうことを調べましたか。つかんでいらっしゃいますか。
  136. 佐藤隆文

    政府参考人佐藤隆文君) すべての保険金、給付金を対象といたしておりますので、御指摘のようなケースも含まれているということでございます。
  137. 荒井広幸

    荒井広幸君 では、なぜ公表できないんですか。その精査というのは分かるんですが、速報値ということの言い方もあるんですよ。いかがなんですか。何か心配事がありますか。
  138. 佐藤隆文

    政府参考人佐藤隆文君) 九月三十日にその報告が出そろったということでございまして、現在、すべての報告について精査、分析をしているということでございます。まだ報告がございましてから一月足らずということでございますので、現在、鋭意、この精査、分析、整理をしているということでございます。
  139. 荒井広幸

    荒井広幸君 これ余りやるつもりないんですが、各会社は自分たちで自己申告したんですから、そして皆さんが検査にまで入っていらっしゃるんですから、それなりの形で報告するという方が自然ですよね。それがないと、何か裏にあるんじゃないかなという気がすれば、なおさらまた信頼がなくなるということになってまいります。  それでは、郵政に、総裁にお尋ねしますが、郵政の場合はこうした事例があるんでしょうか。調査をされたんでしょうか。
  140. 生田正治

    参考人生田正治君) お答えします。  問題が報道されましてから、直ちに自主的に過去五年間、平成十二年から十六年まで五年間分を、基本契約にかかわる保険金不払事例を総点検、これを開始いたしております。その後、総務省からも正式に点検をするようにという御指導をいただきましたんで、目下、鋭意取り進め中と、こういうことであります。  その間に、郵政省、郵政事業庁、公社とこう変わってきているんですけれども、少なくともその各機関におきましても意図的に保険金を不払とした事例というのはないというふうに私は認識しておりますし、確信しております。  ただし、改めて丁寧に検証してみると、不適切に不払としていると考えられる、考えた方がいいんじゃないかという事例が、誠に遺憾ではありますが、皆無とは言えないという状態でありまして、今ちょうど道半ばと、こういう段階であります。  現在、そういったことで調査の真っ最中でございますので、途中の経過の数字を申し上げるわけには、いかがかなと思いますんで差し控えますけれども、皆無ではないんですが、件数としては極めて若干数というふうに考えております。
  141. 荒井広幸

    荒井広幸君 お互いにこういったことは言いたくないところではありますが、竹中大臣もお見えですけれども、いわゆる我々は市場を信用しないのではないんですね。市場の失敗がある、それも対処をしたつもりが次から次にいろいろなことが出てくる。犯罪なんというのは一番いい例ですね。そういったものにやはり、小さな政府の大きな役割というのはこうしたことをきちっとしていくと、こういったことが全くの哲学だと思うんです。そこで、幾つか発展して皆さんにお話をさしていただいて御意見を伺いたいと、このように思うんですけれども。  結果、バブルが終わって、そして合併しなくちゃいけない、自分のところが合併したら優位に立たなきゃいけない、なら今までの業績を非常に大きく見せなきゃいけない、これも分かる気持ちがするんですね。こういう気持ちがあるから政治にも当然市場にも、失敗はどっちにもあるんですよ。私はどっちもそれは認めるんです。しかし、ますます株主の利益というものを考えるような時代になると、相互会社であっても実は自分たちが選んだような総代さんが都合のいいようなことを言ってしゃんしゃん会議をやっているというのが現状じゃないですか。そういうものを見ると、本当に加入者、エンドユーザー、一人一人の人たちが果たして幸せになる、そういったシステムが事前につくられて、そして何度も何度も手を加えられて、そうしたいわゆる金融弱者、金融排除に遭わないような転ばぬ先のつえをつくっていくというのが非常に私、重要だったと思うんですね。  生田総裁に御努力をいただいている郵政もまたしかりです。そして、民営化していくこのプロセスと民営化した後、その商品設計どうなるんでしょう。ほとんどこの商品設計については議論がされなかった。ビジネスモデルの最たるものは商品、サービスとして提供されるんです。ですから、ビジネスモデルというのは、最終的な民営化の経営形態というのはその提供する箱物を言うのであって、もちろん人も言いますけれども。だれに対して利益を与えるかといったら、それは国民であり、そして同時に利用者です。ところが、どんどん株主の方に行っている、そこにウエートを置いていこうというのが、竹中さんの言葉を使えば、民営化というのは市場に吸収統合することだと、これが竹中五原則といったものの冒頭の考え方なんですね。ならば、こんなことは出てくるんでしょうかね。  実際に今申し上げましたようなことで、まず不払があったということは間違いなく出ているんですね。じゃ、その不払があるというのは構造的な問題なのか、ちょっと結論を先に行きます、時間がないんで。お三方に聞きたいんです。現金融大臣の伊藤さん、そして前大臣でありました、そして民営化をするときに市場の中でやっていけるということを言われた、そして生田総裁。こうした不払の問題などは単なる事件、あるいは単なるまあ企業の問題、ガバナンスと言ってみたり、コンプライアンスと言ってみたり、自己責任の問題だと言ってみる、こういうもので片付くような問題ととらえていらっしゃるんですか。少なくとも調査して、今精査していらっしゃるんでしょうけれども、報告受けていらっしゃるんでしょう。  まず、伊藤大臣から、そして公社総裁、そして今、竹中大臣に順にお聞かせください。
  142. 伊藤達也

    国務大臣(伊藤達也君) 構造的な問題かどうかということでございますけれども、それを確認をするために、委員からも御紹介がございましたように、生命保険会社そして損害保険会社に対しましても、今支払等の管理体制というものがしっかり確立されているのかどうか、あるいは不適切な不払というものに対する改めての検証のために報告を求めて、そしてすべての生命保険会社、損害保険会社から報告が出てきて、それを精査、確認をさせていただいているところでございます。  委員の御指摘は、保険業におきましてもその公共性の問題についての御指摘だというふうに思っておりますが、これは保険業においても公共性というものは非常に重要なことでありますから、だからこそ健全かつ適切な運営、そして保険募集の公正性を確保することが保険業法上も求められているわけであります。  現在、私どもとして、保険各社に対して検査監督を行わさしていただいているところでございますが、その検査監督を通じて、今後こうした公正性というものを担保していくために、私どもとして金融行政しっかり対応していきたいと考えております。
  143. 生田正治

    参考人生田正治君) 私は、こういった問題は官民を問わず経営者あるいは管理者の資質、モラールの問題だろうと、こう思います。民であっても、今地域貢献とかステークホルダーというのは資本だけではなくて顧客もあるわけですから、その利益は十二分に尊重してコンプライアンスをきちっとするというのが市場で認められる要件でありますから、自分が商売を続けていこうと思えば、その点は十分配慮して民であってもやっていくであろうと、このように考えております。
  144. 竹中平蔵

    国務大臣(竹中平蔵君) 私は、今公社についてもまた民間の保険会社についても、ともに具体的な不払の問題を直接担当している大臣ではありませんので、その問題については今総裁と大臣がお答えになったとおりだと思っております。  私の方から、むしろ後半、荒井委員がおっしゃったその市場の失敗の話等々についてお答え申し上げたいと思いますが、やはりこの問題はよく市場の失敗、市場で問題が起きると必ず市場の失敗というふうに言われるわけですが、これはいわゆる悪意を持った行為者の問題と市場の失敗の問題とはきっちりと分けなければいけないということだと思います。残念なことに、悪意を持ったそういう行為というのは、残念ではありますけれども、民間にもまた政府の中にも時々そういうものが出てきますから、これはこの問題としてしっかりと取り締まっていくしかございません。  市場の失敗というのは、例えば非常に規模の経済が働くためにマーケットに任しておくだけでは最適な資源配分ができないと。そのような事例であるわけでございますから、今の起こっている不払等々の問題が市場の失敗と言えるかどうかというのは、これは厳密な検証が必要であろうかと思います。  ただ、いずれにしましても、市場に失敗があるということはこれは間違いございません。ですから、市場にすべてを任しておいてすべてうまくいくというふうには私たちは全く思っておりませんで、でありますからこそ、今回の郵政の改革におきましても、これは官がしっかりと関与する特殊会社の部分と、しっかりと民営化をする市場に任せる部分というのをめり張りを付けて制度設計をしているつもりでございます。  いずれにしましても、市場の失敗が起きないようにこれは常に見ていく、そして不断に制度を見直すというのは政府にとって大変重要な役割であるというふうに認識をしております。
  145. 荒井広幸

    荒井広幸君 では、先ほどの不払があったということはそうした、いわゆるがんで入れますよと、告知義務を求めながら、がんには大丈夫だった。ところが、それでちゃんと入ってみたら、自分が手術をする、しない、その段階によって、手術しないから出てこないということですね。  それはどういうことかと。それはもうからないんです。残念ながら、今お三方のお話というのは極めて常識論であり分かりやすいんですけれども、じゃ、ラインナップとして、商品としてそういうものが提供できるのかという問題です。じゃ、この人たちになぜ提供する保険が、実は厳密に言えば、提供する保険会社もあるようです、そこまで私は精査していませんがね。しかし、そういうものがあるんですが、本当に入りたい人に対して入りたい商品のラインナップがそろうかというと、現在の市場原理ではかなり難しい。必ず制約が設けられる。その制約というものをできるだけ取っ払うということを第三の道で確保しようというのが実は簡易保険業法に、簡易保険業に基づく考え方なんですね。だから、そこの簡易保険業法というものをこれを取っ払って保険業法にするわけです、簡保法を取っ払って。  そこで、私が今日提案して、委員そして大臣、皆さんにお配りをさしていただきました。これは何も、官も民も起こり得ることなんです、それは当たり前で。比較的にどちらかといえば、商品の提供としては国がリスクをしょって、そして国民が大多数の、大臣がおっしゃった大数の法則だからリスクしょえるんですよ。今度、国営ということがなくなったら、恐らく一民間機関ですから分母集まりません。集まらないと取れるリスク取れないから入れない商品設計せざるを得ないし、養老じゃもうからないんです。民間は養老じゃもうからないから、特約付きの、特に三大疾病の分野でもうけようという、そういうことをやっているわけ、別にもうけようという意味じゃないけれども。お互いにそういう人を救おうと。しかしそのときに、必要な人に対して必要な商品というのが本当に手が届くかというと、届かないケースが一杯ある。  こういったことで、保険のソーシャルポリシーを策定するべきだ。これは、竹中さんはITで私と一緒にいろいろやりました。伊藤さんも御一緒に、アメリカまで行ってやってきたわけですね。それはITのセキュリティーポリシーと同じですよ。やっぱり、どういうレベルでどういう人が困っていてどういう保険商品の提供の仕方があるかと。適合性の原理、いろいろな加入のときの問題もある。様々な問題、これ書いてみましたので、三十分という少数政党の悲哀でございまして、できませんので、これをもって私の提案とさせていただき、どうぞ、今回の問題は構造的問題である。構造的問題です、これは、市場原理の中の、残念ながら。それは払った払わないに限らないんです。アンダーライティングでまず入れない。よしんばこれを全くいい加減なことを告知義務違反だとかいろんなことでやったとしても、入れないというものが一つあるということを忘れちゃならない。  みんなが入れる保険をどうそろえるかということじゃないと、保険制度のいわゆる自己負担分のところを、これから財政再建もするわけでしょう。お互いに自己責任を取りながらも、やっぱり公のシステムというものを本当に効率よく国民負担を少なくしていただきながら、公平を担保してもらいながら、足りないところをお互いに支え合ってやっていく、そういう制度設計をしていくというときに、私は、国民すべてが株主で、国民すべてが経営に参加するという郵政の、世界でただ一つ、この三事業一体でやっている日本の郵政というのは、第三の道を提供できるものと確信をしているんです。  どうぞもう一回、そうしたところも、総裁も、そして竹中さんも伊藤さんも、今どうこう言うんではないんです。官か民かを言うんじゃないんです。私は民営化は反対ですけれども……
  146. 山口那津男

    委員長山口那津男君) 荒井委員質問をまとめてください。
  147. 荒井広幸

    荒井広幸君 最終的には、そういったところで国民、利用者がどれだけ幸福になるかという観点が保険業法でも銀行法でも抜けているでしょうと。健全経営の中でそれを達成しなさいという書き方と、それをしっかりしてから健全にやりなさいというんじゃ本質論がかなり違う。  そういったところを、CSR、SRI、いろんな形で各国も投資信託でも出ています。今後の検討課題にさせていただいて、お忙しいところをおそろいいただいたことに感謝して、いずれにしてもそれの提案について御検討をいただいて、御返答をまたいただきたいと思います。  ありがとうございました。
  148. 山口那津男

    委員長山口那津男君) 本日の質疑はこの程度にとどめます。     ─────────────
  149. 山口那津男

    委員長山口那津男君) これより請願の審査を行います。  第七号松江市における交通事故死の疑いのある事案の明確な説明を求めることに関する請願を議題といたします。  本請願について、紹介議員に趣旨の説明を求めます。浜田昌良君。
  150. 浜田昌良

    浜田昌良君 公明党の浜田昌良でございます。  お手元に請願文書表が配付されておりますが、本件が行政監視委員会に付託されました苦情請願でございます。既に先ほど松岡議員が本件につきまして質問いただきました。繰り返し、確認のつもりでもう一度説明させていただきます。  請願者は一級建築士の杉並区在住の木村莊一さんでございます。内容は、木村さんの実の妹さんである小西静江さんが交通事故と疑われる事案により死亡されたにもかかわらず、警察当局が交通事故と認定しない理由につき、具体的かつ明確に説明を求めるものでございます。  この事案の発端は、一行目にございますように、平成五年五月三十日早朝でございますが、この小西静江さんが単車にひき逃げされたという疑いがあるにもかかわらず、内因性クモ膜下出血との診断、誤診によって、警察が多数の外傷を知りながらも二時間後緊急配備を解除したことによるものでございます。  三段落目に行きますが、三日後の六月二日早朝、静江さんは亡くなられ、検視官は、両頭部、身体の前後左右の打撲、擦り傷、表皮剥奪等多数の傷跡があり、交通事故の疑いがあると説明し、司法解剖に付したわけであります。その結果、内因性ではなく、右頭部打撲による外傷性クモ膜下出血と判明したわけでございます。  そして、このページの一番最後の行でございますが、二年後の平成七年五月、被疑者不詳で木村さんはひき逃げとして告訴いたしましたが、半年後の十二月末日、嫌疑不十分として不起訴になりました。直ちに検察審査会に申立ていたしましたが、誤診断と判明しているのに内因性クモ膜下出血の可能性があるとして不起訴相当となったわけでございます。  これで万事休すかと思ったわけでございますが、次の段落にございますように、七年後、平成十四年十二月に大きな転機がございました。それは、実況見分調書、検視調書、鑑定書の三点が情報公開によって認められて公開されたわけでございます。これによりますと、先ほどの質疑でもありましたように、このページの後段にございますが、元東京都監察医務院長の見解でございますが、歩行中にスクーター等の単車と接触して路上に転倒した外傷性クモ膜下出血と考えられる、よって精査の必要があると判断を示しているわけでございます。しかし、警察当局は、事件発生以来、本件を交通事故であると認めていません。これすなわち、遺族は長期にわたり不適正な行政により甚大なる精神的苦痛を受けているわけでございます。  つきましては、警察当局はなお交通事故と認定しない理由について具体的かつ明確に説明するべきであるというのがこの苦情請願の趣旨でございます。  なお、本件が本日苦情請願として審査に至るまでには与野党の諸先輩の御尽力があったことを一部紹介させていただき、この場をおかりして御礼申し上げます。例えば、当時の保利耕輔国家公安委員長の御助言、民主党の岩國哲人衆議院議員の質問主意書、共産党緒方靖夫参議院議員の仲介による警察庁との直接話合いの実現、社民党北川れん子衆議院議員の質疑などでございます。  これら諸先輩の御助力があったわけでございますが、不適正行政の是正を図る、明確に図ると、そういう観点から請願者は苦情請願の提出に至ったものでございます。  最後になりますが、是非委員の皆様の御賛同を得られますよう、よろしく御審議をお願い申し上げます。  以上、趣旨説明を終わります。
  151. 山口那津男

    委員長山口那津男君) 次に、理事会において協議いたしました結果につきまして、専門員から報告させます。白石専門員。
  152. 白石勝美

    ○専門員(白石勝美君) 松江市における交通事故死の疑いのある事案の明確な説明を求めることに関する請願につきまして、理事会における協議の結果を御報告申し上げます。  理事会におきましては、本請願は採択すべきものにして内閣に送付するを要するものと決定することに意見が一致いたしました。  以上でございます。
  153. 山口那津男

    委員長山口那津男君) 第七号松江市における交通事故死の疑いのある事案の明確な説明を求めることに関する請願は、理事会協議のとおり、採択すべきものにして内閣に送付するを要するものと決定することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  154. 山口那津男

    委員長山口那津男君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  155. 山口那津男

    委員長山口那津男君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後四時三十八分散会