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2005-10-11 第163回国会 参議院 厚生労働委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十七年十月十一日(火曜日)    午前十時開会     ─────────────    委員異動  十月六日     辞任         補欠選任      那谷屋正義君     下田 敦子君  十月七日     辞任         補欠選任      草川 昭三君     鰐淵 洋子君      小林美恵子君     小池  晃君  十月十一日     辞任         補欠選任      小池  晃君     紙  智子君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         岸  宏一君     理 事                 国井 正幸君                 武見 敬三君                 谷  博之君                 円 より子君                 遠山 清彦君     委 員                 坂本由紀子君                 清水嘉与子君                 田浦  直君                 中島 眞人君                 中原  爽君                 中村 博彦君                 西島 英利君                 藤井 基之君                 水落 敏栄君                 朝日 俊弘君                 家西  悟君                 下田 敦子君                 津田弥太郎君                 辻  泰弘君                 森 ゆうこ君                 鰐淵 洋子君                 紙  智子君                 福島みずほ君    国務大臣        厚生労働大臣   尾辻 秀久君    副大臣        厚生労働大臣  西  博義君    大臣政務官        厚生労働大臣政        務官       藤井 基之君    事務局側        常任委員会専門        員        江口  勤君    政府参考人        内閣府政策統括        官        林  幹雄君        厚生労働省健康        局長       中島 正治君        厚生労働省職業        安定局高齢・障        害者雇用対策部        長        鳥生  隆君        厚生労働省社会        ・援護局長    中村 秀一君        厚生労働省社会        ・援護局障害保        健福祉部長    中谷比呂樹君        厚生労働省年金        局長       渡邉 芳樹君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○参考人出席要求に関する件 ○政府参考人出席要求に関する件 ○派遣委員報告障害者自立支援法案内閣提出)     ─────────────
  2. 岸宏一

    委員長岸宏一君) ただいまから厚生労働委員会を開会いたします。  委員異動について御報告申し上げます。  本日までに、那谷屋正義君、小林美恵子さん及び草川昭三君が委員辞任され、その補欠として下田敦子さん、鰐淵洋子さん及び紙智子さんが選任されました。     ─────────────
  3. 岸宏一

    委員長岸宏一君) 参考人出席要求に関する件についてお諮りします。  障害者自立支援法案審査のため、明十二日に参考人出席を求め、その意見を聴取することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 岸宏一

    委員長岸宏一君) 御異議ないと認めます。  なお、その人選等につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 岸宏一

    委員長岸宏一君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  6. 岸宏一

    委員長岸宏一君) 政府参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  障害者自立支援法案審査のため、本日の委員会に、理事会協議のとおり、厚生労働省社会援護局長中村秀一君外五名の政府参考人出席を求め、その説明を聴取したいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  7. 岸宏一

    委員長岸宏一君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  8. 岸宏一

    委員長岸宏一君) 障害者自立支援法案を議題といたします。  去る七日、当委員会が行いました委員派遣につきまして、派遣委員から報告を聴取いたします。遠山清彦君。
  9. 遠山清彦

    遠山清彦君 委員派遣について御報告申し上げます。  派遣委員は、岸宏一委員長武見敬三理事円より子理事谷博之理事、清水嘉与子委員西島英利委員水落敏栄委員朝日俊弘委員小池晃委員福島みずほ委員及び私、遠山清彦の十一名で、去る七日、大阪市において地方公聴会を開催し、五名の公述人から意見を聴取した後、委員からの質疑が行われました。  まず、公述の要旨について御報告いたします。  最初に、大阪医師会理事中尾正俊君からは、自立支援医療の「重度かつ継続」の対象者となる精神障害者については疾患名ではなく状態像で判断すべきであること、障害程度区分認定試行事業では精神障害者障害程度が正確に反映されないなどの問題があったこと、補助事業であった居宅サービス費用義務的経費化した点は評価できること、障害者への自立支援障害者の特性と実態に基づく総合的な社会的支援の視点が重要であることなどの意見が述べられました。  次に、障害者自立完全参加を目指す大阪連絡会議事務局長古田朋也君からは、ホームヘルプサービス国庫負担標準額先進自治体現行の実績時間数を基に設定する必要があること、移動支援事業個別給付に入れて義務的経費化する必要があること、補装具地域生活支援事業利用者負担の有無を明らかにすべきであること、現行サービス水準が低下しないようにする必要があることなどの意見が述べられました。  次に、社会福祉法人プロップ・ステーション理事長竹中ナミ君からは、就労支援こそが障害者自立の促進につながること、障害者といえども利用者負担を行う必要があること、障害者就労の場を確保し利用者負担ができるような環境を整備する必要があること、障害者一人一人の能力が引き出されるような社会を構築していく必要があることなどの意見が述べられました。  次に、大阪知的障害者育成会吹田支部事務局長播本裕子君からは、障害者障害に見合った多様な支援があって初めて自立できること、定率負担制度については、保護者からの自立を阻害することや重い障害ほど利用料が増加するという矛盾があることから導入には反対であることなどの意見が述べられました。  最後に、大阪精神障害者連絡会事務局長塚本正治君からは、精神通院公費負担制度自立支援医療に移行させることには疑問があること、精神障害者通院医療に係る自己負担増受診抑制を招きかねないこと、三障害統合サービス体系を作るには障害程度区分認定についての十分な議論が必要であること、精神障害者住宅施策充実させる必要があることなどの意見が述べられました。  公述人意見に対し、委員より、定率負担制度に対する評価と導入問題点障害程度区分認定在り方障害福祉サービス給付水準を確保する必要性障害者に対する就労支援在り方重度障害者に対して十分なサービスを確保する必要性移動支援事業在り方自己負担増精神障害者通院医療受診抑制を招くことへの懸念等について質疑が行われました。  会議の内容は速記により記録いたしましたので、詳細はこれにより御承知願いたいと存じます。  以上で報告を終わります。
  10. 岸宏一

    委員長岸宏一君) 以上で派遣委員報告は終了いたしました。  なお、地方公聴会速記録につきましては、これを本日の会議録の末尾に掲載することといたします。     ─────────────
  11. 岸宏一

    委員長岸宏一君) 障害者自立支援法案について、前回に引き続き質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  12. 家西悟

    家西悟君 皆さん、おはようございます。民主党・新緑風会の家西悟でございます。  それでは、法案質疑に入らせていただきたいと思います。まず大臣質問します。  この障害者自立支援法案ほど近年にない障害者当事者の関心が集まった法案はありません。この半年間、障害者当事者は、体のこと、家族のこと、仕事のこと、将来のことなど、一日一日が短く感じられたことと思います。  私は、二十年以上前から、血友病患者HIV感染者として、また障害者として何十年も国会に足を運んできた経験を持っています。今、この法案審議に当たって、障害者皆さんは、マスコミも取り上げない中で限られた情報を基にこの審議を見守っていると思います。  この法案審議の中で、応益負担制度のベースだ、みんなが支え合うとの答弁がありました。この答弁の背景にある考え方についてまずお聞かせいただきたい。  応益負担とは、原則障害が重いほど負担が重くなるわけです。みんなで支え合う制度といいながらも、結局、国の財政が厳しいので取りやすい弱い者からも金を取り、取ることによって制度利用抑制を図るという発想が背後にあるように思えてなりません。大臣、この御見解について、見解をお伺いしたいと思います。
  13. 尾辻秀久

    国務大臣尾辻秀久君) 私ども定率負担というふうに申し上げておる、そこのところについての御質問でございました。  最後お話しになりましたことについてまず申し上げておきますと、再三これはお答えの中でも申し上げておることでありますけれども予算全体は大きく伸ばそうといたしておるところであります。また、事実伸ばしてきております。したがって、予算全体を伸ばしておるわけでありますから、決して私ども抑制を考えておるということでないことだけはまず申し上げて、改めてお答えを申し上げたいと存じます。  今回の障害者自立支援法案は、障害福祉サービス契約に基づきだれもが利用できるものとして、他の契約による制度と同様に、契約した本人の受けたサービス量に応じた負担を求める仕組みに改めるものでございます。そういう意味で私ども定率負担をお願いしますというふうに表現をいたしております。  また、障害福祉サービスに係る費用が増大する中で、その費用を皆で支え合うという観点からも、利用者負担の見直し、サービス利用者にも応分の負担をしていただくとともに、在宅サービスに関する国の負担を義務的なものに改めることとしたところでございます。  今御質問の中でもお触れいただいた部分があるところでありますけれども、私どもは、まず必要な経費義務的経費として国がしっかり支出するというふうにした上で、さらに予算全体を大きくしながらサービス充実を図っていこうというふうに考えておるところでございます。  ただ、そういっても、利用者負担を求めるわけでございますけれども、これはもう過大な負担とならないよう月額負担上限額を設けるほか、障害基礎年金のみで生活しておられる方や資産の少ない方がおられることを考慮して、各般の負担軽減措置を講じることといたしております。これも再三御答弁申し上げておるとおりでございます。
  14. 家西悟

    家西悟君 私は政治の力というものは正に障害者弱者に最も及ばなければならないと考えています。大臣がこの委員会でも言っています助け合うとは正にこのことではないでしょうか。  大臣がこのように言われるわけですけれども、この法案の「目的」にあるように、障害者が安心して暮らす社会の実現にあるのですが、この法案はかえって社会不安をあおっているように思えてなりません。その証拠に、多くの障害者人たちが不安の声を上げています。  これは単に障害者だけの問題ではありません。だれでもいつでも障害を担ったり家族障害者を抱えたりする可能性があるんです。明日は我が身なんです。財政が厳しいからといって弱い立場の者に負担を強いると、人は政治の良心を疑い、社会全体に不安が広がります。その結果、持つ者は預蓄というか蓄財に走り、これが不安をもたらし、国の財政難は一層厳しくなります。悪循環に至る典型的なパターンと考えます。  大臣、いかがお考えでしょうか。
  15. 尾辻秀久

    国務大臣尾辻秀久君) まず、障害者皆さんの安心ということでお話をいただきました。私どもも一番大事なことだと思っております。  そこで、その一番基本的なこととして、まず国の義務的経費として支出をする、もうこれを確保しなければならない。今回の法案提出でまず一番基本のことをやろうとまずしておるということは是非御理解を賜りたいと思います。  そして、その上で、負担の話でありますけれども、先ほどお尋ねいただきました定率負担部分でございますが、改めて定率負担なのかというふうにお聞きになりますと、これは基本的に原則としてそうですということを私どもは申し上げておりますから、定率負担はお願いしますというふうにお答えせざるを得ないわけでございますけれども弱者に対するというところのお話もございました。私どもは、実質は定率負担だと言いながら、もう限りなく応能負担に近づけておる、その努力を最大限いたしましたということだけは申し上げておきたいと存じます。
  16. 家西悟

    家西悟君 そのようにおっしゃるわけですけれども障害者生活というものもいま一度お考えいただきたいと思います。  そして、私が最も危惧しているのは、長時間介護を必要とする重度障害を持っている人たちというか、方々生活はこれからどうなっていくのかということです。今日も私の事務所の近くで小規模作業所障害者方々で運営しているNPO法人でくれぱすの皆さんが傍聴に来られています。  現にヘルパーを使っている方々が非該当になるケースがあるのでしょうか。これは死活問題です。少なくとも今まで受けることのできていた障害福祉サービスは今後も継続して受けることができるのか。そもそも、応益負担ということで、お金を払えなくなったら必要な介護も打ち切られてしまうのはあり得ないのでしょうか。重度障害者の長時間介護本人の責任ではなく社会がその自立生活を支える仕組みを持つべきと考えます。  この部分をはっきりと御説明ください。長時間介護お金がなければ受けられなくなるのでしょうか。いかがでしょうか。
  17. 中村秀一

    政府参考人中村秀一君) お答え申し上げます。  一割の定率負担というお話ですので、委員からも御懸念いただいておりますように、サービス量が増えるとどんどん負担が増え、今お話しございましたように、長時間サービスを受けられる方は一割負担が多くなって払えなくなり、サービスが受けられなくなるのではないかという御懸念だと思います。  まず、原則一割の定率負担をお願いしますけれども上限がございまして、月額上限が決まっておりますので、長時間サービスの方が無制限に負担が増えるということはございません。まずそういう点がございますし、月額上限につきましては、一般の方が四万二百円でございますが、障害基礎年金一級の方は二万四千六百円、二級の方は一万五千円というまず月額上限があるということを御理解いただきたいと思います。  さらに、その月額上限を更に軽減するということで、いろんなケースがございますが、今グループホームで暮らしておられる方でホームヘルプサービスなどを使われる方がおられると思いますが、グループホームを利用されている方につきましては、一割負担につきましては、月額六万六千円までの収入の方は定率負担がございませんのでゼロとなります。また、その方がいろいろな収入がある場合でも一割負担に充てるのは半分までと、工賃など働いて得られた収入につきましては一五%以内に御負担いただくというような工夫をさせていただいております。  御自宅でホームヘルプサービスを使われる方につきましては、先ほど低所得の方の上限が二万四千六百円、一万五千円と申し上げましたけれども社会福祉法人減免により定率負担月額上限がそれぞれその半分になる、一万二千三百円、七千五百円と、こういうふうになる配慮を講じておりますので、長時間ホームヘルプサービスを使われるからといって、この範囲にとどまりますので、サービス抑制にはつながることはないというふうに考えております。  また、今度の自立支援法では、在宅の方で特に重度障害者の方を対象として、新たな給付といたしまして、重度訪問介護重度障害者等包括支援を設けて、重度方々に対するサービス充実を図っているところでございます。
  18. 家西悟

    家西悟君 ということは、一定の額以上は超えないということと理解してよろしいんでしょうか。ということは、その範囲であれば、その一定範囲の額を払えば二十四時間介護も当然受けれるし、サービスの低下というか、抑制というものをしなくても、従来どおりのサービスでいいという判断をしてよろしいんでしょうか。
  19. 中村秀一

    政府参考人中村秀一君) 定率負担ということで御懸念いただいておりますが、定率ではございますが上限があり、それぞれその上限についても半減されておりますので、委員が御指摘いただいたように、負担が多くなって費用が払えなくなるのでサービスが受けられないということにはならないと、こういうことでございます。
  20. 家西悟

    家西悟君 それでは、もう少しお尋ねしたい点があります。  施設入所の場合でしたら、この場合、前から委員会等々でお聞きしているのは、手元に残るのは二万五千円前後であるというようなお話も聞いているように思うわけですけれども、それ間違いないですよね。二万五千円ぐらいは、基礎年金をいただいていてもそれぐらいは残るということと判断していいんでしょうか。
  21. 中村秀一

    政府参考人中村秀一君) お答え申し上げます。  施設に入所されている方は、先ほどの例に申し上げましたとおり、定率負担につきましては、グループホームと同様、六万六千円まででございますと負担はゼロでございます。超えた収入があった場合でも収入の半分までしか定率負担はいただきませんし、収入が、年金工賃などの、六万六千円を超えた収入年金工賃等収入であれば、超えた分の一五%までしかいただきません。さらに、工賃の場合は、六万六千円から超えた部分三千円までは定率負担もいただかない、六万九千円までは定率負担ゼロとなるというような措置を講じます。その後、施設の場合も食費光熱水費の実費いただくことになりますが、その場合、今委員から御指摘がありましたように、食費光熱水費につきましても軽減措置を取らせていただきまして、サービス利用者負担食費等実費負担をされましても少なくとも二万五千円はお手元に残るように、実費負担額上限額を設定させていただいておりますので二万五千円はお手元に残ると、こういうことでございます。
  22. 家西悟

    家西悟君 それでは、二万五千円という金額が多いのか少ないのかという議論はあるわけですけれども、一点申し上げます。私の経験からですけれども、本委員会でも申し上げました。私は、大阪身体障害者能力開発校に行っているときに、お手当というか給付をいただいた経験がございます。その当時で四万円程度だったように思います。三十年ぐらい前の話です。しかしながら、食事も出ます、寝泊まりもできる。しかしながら、夜はおなかが減るときもあります。十私は五、六歳でした、当時。そうすると、その四万何がしで生活をしようと思うと、やはり厳しい、きつい状況でした。そして、いろいろ知恵を出します。パンの、食パンの耳、半斤で当時十円でした。そういったものでおなかを膨らます。そういうことをやってきた経験がございます。  本当に二万五千円が適切なんでしょうか。衣服を買ったりとか、今でしたら携帯電話通信手段として持ちたい、パソコンを持ってインターネットもしたい、情報を収集するためにとか、社会参加として考えたときに、その二万五千円程度で、施設入所してるから、あなたたちは三食ちゃんとあるんだからいいじゃないかという発想なんでしょうか。私はそのようには思えないんです。人としてしっかりと社会に一社会人として参加をするという意味では、金額的に余りにも低いんではないのかという思いがあって仕方がありません。一つのものを買おうとしても、本当に考え考え、そして考え抜いても、この金額でどうやって生きていきゃいいんだというふうな不安が、今多くの人たちがお持ちになっているんだろうと思います。  本当に、外食へ出れば二千円、三千円というお金が必要です。友達と一緒に食事に行こうとかいう話になったときにもそうじゃないですか。外へ遊びに行こう、施設で三百六十五日いるわけじゃないと思います。そういったときに外食をしたり飲食をするということもあろうかと思うし、そのときの交通費も必要です。そういったものを含めても二万五千円程度しかそういう施設入所者はないのかということが、今不安を増長させているんじゃないですか。もう少しお考えいただけないものかということを大臣にお尋ね申し上げます。
  23. 尾辻秀久

    国務大臣尾辻秀久君) これもお答えを申し上げておるところでありますけれども、この二万五千円という根拠は、家計調査の中で二万一千円、ここの部分が、二万一千円で頑張っておられる方々もある。それを踏まえまして、そうやって頑張っておられる方々もある、その二万一千円という数字に更に四千円足して二万五千円という数字にしてございます。  冒頭先生お話しになりましたように、これが多いのか少ないのかという議論はいろいろあろうかと思いますが、私どもも、みんなで助け合うという考え方の中で、そしてこれを出していただくお金も、この前も申し上げましたけれども、天から降ってくるわけじゃなくてみんなが出した税金の中から出てきたりというお金でありますから、やはり皆さんの御理解もいただけるところでこの額を決めたいというふうに思いますと申し上げましたように、二万一千円というそこで頑張っておられる層もあるというふうに見ますと、やはりこの数字でお願いをするということにしたところでございます。  今後いろんな議論があると思いますし、また今後の障害者皆さん所得保障という議論の中でもそうした議論は出てくると思いますけれども、今私どもが二万五千円というふうに決めた根拠は申し上げたとおりでございます。
  24. 家西悟

    家西悟君 私は、生活水準というか、その二万一千円程度でおやりのという統計もあるということでおっしゃるわけですけれども、それはあくまでも統計ですよね。上下はあるわけです。その人が本当に生活をする上でどこからも支援がなくて二万一千円なのかというところも精査をしないといけないんであろうと思いますし、私は、二万五千円という先ほど言った話というのは、あくまでも一人で生活をし、やっていく場合の金額を言っているわけです。そして、自分の実体験からも、本当にそれでは生活ができないだろうというふうに思えてならないということです。  そして、もう一点申し上げるとするならば、先ほども申し上げました、政治はどこへ行ったんでしょう。みんなで支え合うんだということをおっしゃるんならば、政治というものはどこへ行ったんだろうというふうに思えてなりません。本来は、政治というものは、自分の力ではどうすることもできない人たちに対して政治の手を差し伸べる、それが政治じゃないでしょうか。これは私の感想です。そして、政治というものは強者のためではなくて、本来、自分の力ではどうすることもできないような人たちに対して手を差し伸べるというのが政治の本来の務めであり、それが政治の信頼だというふうに私は確信しています。  そして、応益負担皆さんに御理解をというふうにおっしゃりますけれども、これは納税者に対しての理解なのか、それとも当事者の、障害者当事者人たちに対する理解を求めておいでなのか。私は納税者に対してだろうとは思うわけですけれども、納税者の人たちは果たしてそういう判断、皆さんで、天から降ってくるわけでもなければ金のなる木があるわけでもないというふうに言われるのも分かります。そのとおりだと思います。だけれども、納税をするということは、私は、納税をする立場からすると、そういう人たちに対してみんなでそういうふうに、自分の力ではどうすることもできない人に自分の幾分かをどうぞ分けてくださいという発想があって納税をされているんだろうという期待をしています。また、そうだろうと思います。  そして、先般というか、今年でしたっけ、縄文時代か弥生時代の遺跡から人骨が発見された、それには重度障害を担った形跡のある女性の骨が見付かった、それも周りが介護をしていた形跡があるというような記事が載っていました。我々は、縄文人か弥生人か知りませんけれども、それ以下に劣るんでしょうか。今、まさしくそれが問われていくんだろうなというふうにも思えてなりません。  みんなで支え合うということは、そういう人たちに対して自分たちが得たものを少しずつ分け合う、そしてその人をしっかりと社会が支えるということが本来の目的ではないんでしょうか。そういう、どうすることもできない人たちから、年金もらっているんだからあんたも出せよ的な発想が果たして正しいんでしょうか。私は理解に苦しむ部分があります。  その辺について、大臣、いかがお考えでしょうか。
  25. 尾辻秀久

    国務大臣尾辻秀久君) みんなで助け合わなきゃいけないということについては今先生もお話しいただきましたし、この部分についての考え方は少しもお互いに変わりはないというふうに思っております。私どももそう思っております。  ただ、やはりこれもまた先生お話しいただきましたように、金が天から降ってくるわけじゃありませんから、皆さんからお出しいただいた税金をどう使うかという中で私どもも考えなきゃいけない。その言わば限られたお金をどういうふうに使うことがいいのかということで私どもも判断をいたし、今回の法律もお願いをいたしておるところでございます。  もう繰り返し繰り返し申し上げておりますけれども、この制度が行き詰まらないように、そして、どこかで障害者皆さんに大変な御迷惑を掛けるという事態は絶対に避けなきゃいけないと思いますから、言うところの持続可能なところで少しずつ少しずついい方に向けていきたい。私どもも精一杯その努力をして、今回のお願いをしておるわけでございます。  そうした中で、最初のお話の二万五千円が正に多いのか少ない、多いということはないんでしょうけれども、少な過ぎるのかどうかという御議論は、今再三先生がお話しのような御議論もあろうと思いますし、ただ、これも再三私がまた申し上げておりますように、家計調査などを見ますとという数字もございますので、そういう中での判断で、私どもの判断であります。  ただ、今後、またいろいろ御議論をいただきながら、こうした面もまた次の、これまた申し上げております障害者皆さん所得保障をどうするかといったようなところで御議論いただければというふうに思っておるところでございます。
  26. 家西悟

    家西悟君 できるだけそのようにしていただきたいし、軽減を図っていただきたい、負担は。  そして、できるだけそういう、今の時代です、ネット、インターネットやいろんな通信手段もやりたい。当たり前の話です。体が不自由な分、そういったものに頼って情報収集をするというのは当たり前の話だと私は思います。そういったものも抑制しなきゃならない、規制しなきゃならないというようなことにならないように、是非ともお考えをいただきたいと思います。  そして、次の質問に移りたいと思いますけれども、先週、HIV感染者方々、方から、方々というより方から、アパートを借りようとしたら、感染者であることを理由に入居を断られたと相談が寄せられました。現実には不当な差別、偏見が存在しています。そして、HIV感染症患者は障害者認定されていますが、福祉施設など利用しようとしても利用させてもらえないケースがあります。また、C型肝炎を理由として断られるケースもあります。  いまだこのような現状があるわけですけれども、不当な差別をなくす観点から何らかの対策が必要だと考えますが、大臣はいかがお考えでしょうか。
  27. 尾辻秀久

    国務大臣尾辻秀久君) もうこれは仰せのとおりでありまして、かねて私どもも、HIV感染者に対する偏見があってはならない、また差別があってはならないということは申し上げておるとおりでございますので、社会全体できっちりそこはやっていかなければならない、また、やってもらうように私どもも言わなければならない、そういうふうに考えます。
  28. 家西悟

    家西悟君 これは再三委員会でも言わせていただいています。これは一事例で、先週の事例を申し上げたわけですけれども施設入所やいろんなところに入ろうとした場合に、今特養でもそうです、C型肝炎を理由に入所を拒否されるという事例が事実あります。ましてや、私たちHIV感染者はそれを理由に入れてももらえないことも間々あります。  こういう事例があるんです。現実の話です。血友病であって、C型肝炎、HIVを持ち、そして出産時の産道を通るときに、締まりますよね、産道が。そのために頭蓋内出血を起こして知的障害を起こす、この四重苦。そして、身体障害も持っています。五重苦ですね、正確に言うと。この人たち、そういう施設入所をせざるを得ないんです。御両親が高齢化になり、そして亡くなられていった場合は施設入所、そのときに行くところもない、どうしたらいいんでしょうかという話も聞きます。  こういったとき、どのようにしたらいいんでしょうか。今まで大臣が言われるように、そのようなことがあってはならない、そのようなことはしてはならない、そしてそのような改善をお願いをしていったり、いろんな手だてを打つというふうに言われてくるわけですけれども、現実全然そうはならない。そして、最後に言われるのは、親御さんは、自分たちが亡くなる前に先に逝ってくれればどれほど楽か、安心できるかということをよく言われます。  これがいいんでしょうか。私はおかしいと。国として対策が後手後手に回り、対策を、実質な対策を講じていないからこそこういう問題が起こっているんじゃないか。何重苦にもなっている人たちおられるわけですから、そういったことのないように是非とも施策を取っていただきたいと思っているわけです。  大臣、いかがでしょうか。
  29. 中村秀一

    政府参考人中村秀一君) 委員から御指摘をいただきました。特別養護老人ホームなどでもそういう事例があるという御指摘でございました。  私ども、特別養護老人ホームの指定基準でもそういうことがあってはならないと。指定介護老人福祉施設は正当な理由なくサービスの提供を拒んではならないということで、正当の理由としては、ベッドが空いていない場合、それから利用されようとする方が入院治療の必要があり、特別養護老人ホームでお世話するのはちょっとできないと、そういうこと以外はあってはならないということで、C型肝炎など御指摘のケースにつきまして十分行き届いていない点がございましたので、二〇〇三年の二月二十五日の課長会議などでもその旨徹底するようにということを申し上げております。  指定基準の違反になりますと、やはりその施設について指導しなければなりませんし、続くような場合については指定の取消しもあり得ると、こういうふうに考えているところでございます。  今度の自立支援法でも、新しくこの事業者指定するということになるわけでございますが、その際にも、指定基準において、施設在宅サービス事業者は正当な理由なくサービスの提供を拒んではならないと、HIVその他の感染症に感染しているということでサービスの提供を拒否することはできないということを明確に規定してまいりたいと考えております。
  30. 家西悟

    家西悟君 是非ともそのように規定はしっかりとやっていただきたいし、厳格にやっていただきたい。これは契約ですので、今度は。今この法案がもし仮に通ったとするんならば、契約をする以上は、それがサービスが受けられないなんということは、ばかなことがあってはならないと思いますし、そのときには厳重にその業者を含めて注意、そして罰則を与えていただきますようお願いしたいと思います。  それでは、社会保障グランドデザインの問題について少しお尋ねを申し上げたいと思います。  社会保障審議会でグランドデザインがまとまったのは昨年の十月のことでした。今年二月に障害者自立支援法案提出されたわずか四か月前のことでしたけれども、十分なデータの集積、収集、分析もない中で、制度設計を全く、制度設計も全く不確実、財政当局の圧力に押されて慌てて作ったもので、基礎データも間違いだらけでした。出生率を読み間違えて制度設計が不透明な年金と同じ轍を踏まないよう、としているようにしか思えてなりません。同じようなことをやっているようにしか思えません。そして、多くの部分を政省令にゆだねている点も、立法府を軽視した態度に思えてなりません。多くの人の命にかかわる法案です。もっと慎重にデータの集積、分析を行ってきっちりとした制度設計をすべきだと私は考えます。  そこで、七月二十二日、前国会で、参議院本会議での我が民主党の平田健二議員の質問に対する小泉総理の答弁内容について質問をいたします。  総理は、本法案について、その立案過程から、策定というんでしょうか、過程から障害者方々参加いただいた審議会で二十回にわたり論議し、昨年度は、障害者を含めた関係者の要請に応じ、延べ五百回にわたり説明や意見交換を行い、様々な御意見、御要望を承ってきたと答弁をされました。すなわち、この法案は十分に説明されたと言われたわけです。それほど丁寧に説明をされたのであれば、障害者の方たち審議の過程になってこれほど大きな反対の声が上がるわけはありません。小泉総理の言われた五百回の説明は本当に実在したのでしょうか。本当に五百回の会合でこの法案について説明と意見交換が行われたのでしょうか。お尋ねします。
  31. 中村秀一

    政府参考人中村秀一君) お答え申し上げます。  前回の国会で総理からそのような御答弁申し上げたということ、社会保障審議障害者部会の経過、それから障害者など関係者への説明会が五百回に上るというふうにお答えしたことは確かでございます。  御質問のあった五百回ということにつきましては、平成十六年度の一年間で、私どもが主催する会議等もございますが、障害者団体の皆さんあるいは例えば市町村関係が主催する会議などにおきまして、私どもの担当官を派遣して障害者や行政関係者の皆様に対して御説明の機会が与えられた、何と申しますか、いわゆる行政説明を行わせていただいた回数をカウントさせていただいたものでございます。ごあいさつだけ、例えば……
  32. 家西悟

    家西悟君 いや、そこまで聞いていない。
  33. 中村秀一

    政府参考人中村秀一君) したというような例は除外しているものと、除外しております。
  34. 家西悟

    家西悟君 私の手元厚生労働省から提出されたリストがあります。七月二十二日本会議答弁を受け、その根拠を明らかにするよう厚生労働省に求め、七月二十九日に私に提出した行政説明実績には四百九十九回のリストアップがされました。約五百回です。しかし、よく見ると、平成十六年四月五日から今年三月九日の日付になっています。  そこで、私は、こんな以前から法案を検討していたのか、グランドデザインができてから法案を検討したんではないんですか、一年以上前から応益負担やその福祉サービスの内容について説明していたんですかと問うたら、改めて後日、行政説明実績リストが提出されました。昨年十月から今年七月までのものです。それでも四百三十件足らずです。七月というと、さきの通常国会で審議が既に行われているさなかです。  しかし、その内容を精査すると、明らかに説明会や意見交換会、意見交換会ではないものの同一会議が重複されてカウントされているもの、シンポジウムや地域講演会などには複数の担当官が派遣されている。しかも、この説明会は各地で毎日のように行われています。同じ会合にそんなに多くの人数を掛けて出張させたんでしょうか。私はこのリストは慌てて作った行政説明実績資料としか思えません。国会事務所にお見えになった障害者団体の方々に、この日、地域で説明会が行われたと聞きましても、あの会議法案の説明ではなかった、しかも意見交換なんてとんでもない、法案の説明会ではなかったとのお話をよく聞きます。この事実をどうお考えになりますか。総理答弁は言わば誇大広告でありませんか。  大臣手元には資料がありますか。なければ後で見てください。こんなものを前提に小泉総理が答弁したというんならとんでもない話です。ここに二冊あるわけです。これをよく精査すると、同じ日にとか、同じ会合が二日、三日行われたら、課長、課長補佐が連続して出ています。それを一回、一回というふうに数えています。しかも、地方でやっている場合でもそうです。普通こういう出張の仕方を課長は許すんでしょうか。経費の無駄です。普通なら、一回で行き、一人が一回行って説明するんじゃないでしょうか。  そして、この法案は、提出されたのは本年の二月じゃなかったですか、内閣の方から。その間以降も、七月、五か月間説明してきた、説明してきたことを五百回の答弁だというふうに本会議答弁されているわけです、総理自ら。こんなおかしな話が通用するんでしょうか。しかも、最初は五百回で、四百九十九に合わした。もうつじつま合わせを必死になってやっている。  そして、障害者団体からいろいろ御案内が来たときにお出掛けになって、先ほどは、ごあいさつ程度で終わったものではないというふうに言われていますけれども、こういう法案がいずれ出ますという話もあったというふうに言われています。じゃ、これに対して質問を、質疑をさせてほしいと言ったときに、今日は質疑を受ける場ではないということで、一方的に言ってさっさとその場を立ち去ったという話も当事者の方からよく聞きます。これを説明会とおっしゃるんでしょうか。いま一度答弁いただきたいと思います。
  35. 中村秀一

    政府参考人中村秀一君) お答えを申し上げます。  まず、総理の御答弁は、本法案についてその立案過程から障害者方々も参画いただいた審議会で二十回にわたり論議するなどと申し上げておりまして、審議会でのお話もさせていただいております。委員から御指摘ございましたように、社会保障障害者部会は二十四回開催されてこれまでおりますけれども、十七年一月まで二十四回開催されておりますが、グランドデザインが決まるまで、策定までは十五回でございます。それもカウントし、総理は言わばグランドデザイン、それから法案まで一連の過程として立案過程というふうに申し上げているところでございます。  十六年度、先ほど申し上げましたとおり、関係者の要請などに応じまして延べ五百回にわたり説明や意見交換を行うなどというのが今の部分でございまして、委員の御指摘、グランドデザイン以後でないかということでございましたけれども、総理の御答弁はグランドデザインから、までとそれから法案提出まで一連のものとしてお答えしているところでございます。それが第一点でございます。
  36. 家西悟

  37. 中村秀一

    政府参考人中村秀一君) よろしゅうございますか。
  38. 岸宏一

    委員長岸宏一君) いや、ちょっと待ってください。
  39. 中村秀一

    政府参考人中村秀一君) 第二点は五百回のお話でございますが、例えばある会では一日目に基調講演がございまして、二日目に分科会がある。分科会というのはA、Bと分かれまして、それぞれ、例えばケアマネジメントについての分科会と、それから日中活動についての分科会が同じ日の九時半から十一時まで開かれるというようなことがございますので、どうしてもその分科会両方に出席求められるというようなことで、一つの会合ではございますが数名の人間が対応するというようなことも生じております。そういったことを掲示させていただいたのが委員のお手元に渡っておるリストでございます。  このほか、全くのボランティアベースで職員が土日などに説明会や様々な障害者団体の会に出席しているものもございますが、それらは業務とはカウントしておりませんので、この五百回からは外させていただいております。
  40. 家西悟

    家西悟君 今いろいろ説明されたわけですけれども、私もある種、血友病の団体のリーダーをやったり原告のリーダーをやったりとかして厚労省のというか役所の人たちのやり方というのは自分も実体験しています。いい加減なことを言わないでくださいよ。分科会に出るとかいうのも、それは団体によっては出るときもあるでしょう。だけど、普通は同じ団体に来られたら、冒頭あいさつとか、冒頭でいろいろ説明したりします。そして、どうしてもこの法案を、出てきたときには、そういう説明をするというときにはそれなりの対応をするわけですけども、ほとんど、これ見ますと、重複をしていたりとか結構あるんです。そして、これを指摘したら数日後に再提出という形で持ってくる。だったら、何で四百九十九回って出さないんですか。四百七十だと。この日はおかしいじゃないかというふうに、グランドデザインの後じゃないんですかというふうに言ったら、慌てて三日後に作り直して持ってきたんですよ、土日を挟んで。で、これですと。これもよく見ると、またおかしいじゃないか。こんなことをやって出張、出張で、皆さん、通常国会始まって国会審議やりながら、これだけ課長や課長補佐級担当官が出張されるということがあるんですかというふうに言ったときに、いろいろ説明をされますけれども、非常に納得いかない。  そして、この会合に出られたという人たち、会合というか、ここの名前が挙がっている団体の人たちがたまたま来られたんでお聞きしたら、説明ではなかったって言っているんですよ。法案の説明は一切されずに、今度自立支援、このたび自立支援法案を考えております、それはどういうもんなんですかというふうに質問をしようとしたら、そういう場ではないというふうに言って、その日のうちに帰ったと言われているんですよ。こういういい加減なことを、五百回に及ぶということを言われている。  これはある種、私は郵政での問題を審議しているわけでもないし、そういう委員会に所属しているわけじゃないけれども、今言われる郵政の問題に、郵政の事業の、あの郵政法案審議にかかわっているわけじゃないんで、どの程度やられたのか知りません。しかしながら、それ以上にこれ審議やったんじゃないんですか、説明を。にもかかわらず、どうして当事者の人たちがこういうふうな説明を受けてないというふうに言われるのか、そこを説明してくださいと言っているんですよ。
  41. 中村秀一

    政府参考人中村秀一君) リストは五百回近い、こういう会合に出たというリストを、先生、委員のお手元提出させていただいた五百回の、言わば何と申しますか、根拠ということだと思います。  回数はそうでございますが、我々としては行政説明、グランドデザインの説明であったり、立案過程でございますので、そのときそのときに最も最新の状況を御説明させていただいていると思っておりますが、何分その回数の問題と説明を受けられた方の受け止めについて、言わば評価ということになりますと、十分説明を受けられなかった、受けたというふうには思えないという御指摘もいただいているのかなと思って拝聴した次第でございます。  我々としては、出て御説明をさせていただいている以上、できる限り聞いた方々がそれなりの、そういう内容についての賛否は別として、それなりの情報量があるということを期待しているわけでございまして、もしそういう点、不足の点がありましたら大変申し訳ないことだと。業務の一環としてやっておりますので、なかなかその目標の達成になっていないということではないかと、そこのところは以後気を付けさせていただきたいと思っております。
  42. 家西悟

    家西悟君 いや、説明が相手に通じたかどうかというのの問題っておっしゃいましたよね。取り方だと、局長は。  何のために、じゃ行っているんですか、そういう会合に。説明しに行っているんでしょう。これが理解できなかったという受け取り方だというふうにおっしゃるのは余りにもおかしいじゃないですか。  それと、大臣、是非ともこれを見ていただきたいと思うんで、大臣に見ていただいてもよろしいでしょうか。
  43. 岸宏一

    委員長岸宏一君) はい、どうぞどうぞ。  速記、ちょっと、ちょっと待って。
  44. 家西悟

    家西悟君 速記ちょっと止めてください。
  45. 岸宏一

    委員長岸宏一君) じゃ、速記ちょっと止めて。    〔速記中止〕
  46. 岸宏一

    委員長岸宏一君) じゃ、速記を起こして。
  47. 家西悟

    家西悟君 では、その資料をよく見ていただいたら分かると思うんですけれども、一つは、同じ団体に日付、一日ずれて行っているとか場所を変えている、同じ日にとか。逆に、同じ団体に対して、普通並べて書きますよね、それを、同じ日なんですけれども、ほかの団体の名前を二、三回とか四、五回間に入れて次を入れるというやり方、もうこれはこそくな手で、ぱっと見は分かりにくいというような形を間々しています。  それから、課長、担当官というか補佐官やそういった人たちが出張、出張、出張ってなっています。これが本当にそうなのかと。そして、そういった、これはおかしいなと思う分をずっと省いていくと四百行かないんですよね、たしか、うちの事務所で。  そして、説明をしたというふうにおっしゃるんならば、これもおかしい。先ほどの局長答弁からしてもおかしい。説明をしたんならば、説明ということは理解を求める、説明責任というのはね。一方通行を説明とは言わないんです。  我々政治家ならば、皆さん理解いただけると思います。我々は、政治家は説明責任があるからというふうに言います。行政も同じように、法案立案をされたときにはその当該当事者に対して説明責任があってしかるべきじゃないですか。それを、いや、取り方ですよというふうにおっしゃるのはいかがかと思うんです。
  48. 中村秀一

    政府参考人中村秀一君) お答え申し上げます。  委員から私の先ほどのお答えが、御説明が、出ている方々の受け止めだと、取り方だというふうにおっしゃっておりますが、私はそう申し上げたわけではなく、私どもは業務として説明者が説明に出させていただいているわけですが、我々はそれを一回とカウントしてここに出していると。数え方についても委員から厳しい御指摘をいただいておりますので、そのことはまた後でお答えしますが、私が御答弁申し上げましたのは、業務としてそのとき最新の情報を御説明する立場で出ていっているわけですけれども委員の方から、実際にその会議に出られた方から、説明になっていない、あるいは説明として聞いたとは受け止めていないと、こういう御指摘いただいているということは説明者として目標を達成していないので、そこの点は大変申し訳なく、そういうことがあるんであれば、我々としてこれから説明をするなり、説明会に出ていく人間の在り方として我々はそこのところをきちんと反省しなければならないと、こういう御答弁をさせていただいたと思っておりますので、説明を受けた方の受け止め方が違うんだと、そういう言わば委員がおしかりになっているような御答弁を申し上げたわけではないというのが一点目でございます。  二点目、私もこの十六年度のリストをチェックさせていただきました。申し訳ありませんけれども、これのリストを出させていただいた十六年度は私が担当していたわけじゃございませんで、見せていただきました。  確かに、委員がおっしゃるように同一の会議、例えば第十二回全国グループホーム研修会というところに二人の専門官が出ているとか、そういう同一行事に二人出ている場合に二と計上しているケースもございますが、そのケース、私も赤ペンでチェックさせていただきましたけれども、それを例えば一とカウントしても、委員がおっしゃるように四百を割るというようなオーダーではないということが一点。  それから、そこは数え方の問題でございますので、十六年十月六日に重症心身障害施設療育研究大会があり、その翌日も大会が続いていて二人出ているわけですが、そのとき二とカウントしています。そのカウントの仕方がおかしいではないかという御指摘、それは一とカウントするという考え方もあろうかと思いますが、いずれにしても、その会に出ておりますときは別の説明をさせていただいているということでございますので、そこは御理解を願いたいと思います。
  49. 家西悟

    家西悟君 再提出された部分にも問題はあったということをお認めになるわけですよね。そこの、イエスかノーでいいですよ。
  50. 中村秀一

    政府参考人中村秀一君) 同じような意味での問題点はあるのではないかと思っております。
  51. 家西悟

    家西悟君 じゃ、これは変わるということですよね、まだまだ。これ再検証した場合、変わるんだというふうに理解していいんですよね。ということは、本会議で総理はうそを言ったということになりますよ。
  52. 中村秀一

    政府参考人中村秀一君) 私が申し上げていますのは、カウントの仕方については考え方があろうかと思いますが、言わば延べ五百回の御説明をしたということに問題はございません、ないと思いますので、総理の答弁が言わば間違っていたということではないと思います。  ただ、論点は次の点だと思います。五百回に上る説明をしていたけれども、その説明が私どもが考えているほど十分でなかったという点については、家西議員がお聞きになっている団体の方は少なくともそういうケースがあったということでございますので、そこは達成度が十分でなかったということで私ども反省をしなきゃならない、深くその点は肝に銘じて以後事に当たりたいと考えております。
  53. 家西悟

    家西悟君 この答弁では、この答弁では納得できません。正直言って、この一点だけでももう全然信用できない。  大臣、どうするんですか。本会議で、これは趣旨説明で総理大臣自身が五百回に及ぶということを述べられ、そして今こういう資料を求めたら、二回にわたって、そして再提出部分にも言われるような指摘、また問題点はあったかもしれないみたいな御発言いただいているわけです。だったら、これ自体もうおかしいじゃないですか。やり直ししないといけない。そして、正確な数字を出してくださいよ、説明会においても。それが直ってないじゃないですか。大臣に聞いていますよ。局長、要りませんよ、答弁大臣大臣が答えないといけないですよ、これ。重要な政治課題ですよ。
  54. 岸宏一

    委員長岸宏一君) じゃ、まず局長答えて、大臣また答えてください。じゃ、中村局長
  55. 中村秀一

    政府参考人中村秀一君) お答えを申し上げます。  総理の答弁は、何度も申し上げておりますように、十六年度において五百回と申し上げておりますので、再提出されたというものは十六年度の範囲の是非の別でございますので、その点は何と申しますか、総理の答弁の基になった五百回問題とは別というふうに御理解を賜りたいと思います。  総理は、何度も申し上げておりますように、審議会の回数でも、それからこれの障害者方々に対する説明会でも、グランドデザインに至るまでと法案提出までと一連の過程としてお答えしておりますし、回数の問題でも十六年度の回数でお答えを申し上げておりますので、本会議お答えしたことについては間違いがございません。  こういう会に出席し御説明したということについては間違いがないわけでございまして、問題は、委員がおっしゃるとおり、お聞きになった方がそういうふうに受け止めていないという点であるわけでございます、受け止めていない、それについて私どもが至らない点があったんではないかと、こういう点でございますので、論点の整理としてそのようにお願いをしたいと思っております。
  56. 岸宏一

    委員長岸宏一君) じゃ、ちょっと待ってください。大臣お答え要りませんか。
  57. 家西悟

    家西悟君 いいですよ。今の質問でもういいです、局長答弁大臣は、今もう一度こちらから質問してからでいいです。  今十六年度と言われましたよね。再提出は十七年度入っているんですよ。そして、グランドデザインできる前から、法案を作る、応益負担を求めるということも言ったということになるんですよね。違いますか。何月何日から何月何日までの分を五百回と説明するのか御答弁くださいよ、じゃ。
  58. 中村秀一

    政府参考人中村秀一君) お答えを申し上げます。  五百回と申し上げておりますのは、十六年度はということで申し上げておりますので、十六年度でございます。したがって、十六年四月一日から十七年三月三十一日までを指していると、こういうことでございます。
  59. 家西悟

    家西悟君 大臣、いかがですか。
  60. 尾辻秀久

    国務大臣尾辻秀久君) 今の部分だけで申し上げますと、今私も資料を見ておりますけれども、一と書いた方には平成十六年度としてございます。そして、十六年の四月五日が最初の記述でありますけれども、すなわち四月一日からの資料を出したんだろうと思います。そして、最後が十七年の三月九日、日付がはっきりしているものは三月九日でござい、三月二十八日という日付もございますので、要するに十六年度ということで資料をお出ししたんだろうと思います。  それから、再提出というふうにしてあります資料を見ますと、これは十六年十月から十七年七月というふうに書いておりますけれども、すなわち十六年十月一日に始まりまして、最後の方が十七年七月三十一日でございますので、この一と二は取ったところが違うということは確かだと思います。今、そう思って見ておるところでございます。
  61. 家西悟

    家西悟君 ちょっと委員長、止めていただけます。これでは納得できる答弁ではないんですよ。
  62. 岸宏一

    委員長岸宏一君) じゃ、ちょっと理事間で協議したら……。
  63. 家西悟

    家西悟君 もう少ししっかりと答弁していただかないと。
  64. 岸宏一

    委員長岸宏一君) じゃ、ちょっと待ってください。  じゃ、ちょっと速記止めて。    〔速記中止〕
  65. 岸宏一

    委員長岸宏一君) 速記起こしてください。
  66. 中村秀一

    政府参考人中村秀一君) お答え申し上げます。(発言する者あり)簡潔に申し上げます。  委員の御指摘は、総理が答弁した五百回とは何ぞやということでございましたので、十六年度、障害者も含めた関係者の要請に応じ、延べ五百回にわたり説明や意見交換を行ったと、こういうことを総理がお答えいたしました。その五百回の根拠というのが、今大臣お答えしました十六年四月五日から、日付的に申し上げますと、十七年三月二十八日までの会合のリストであるということであります。  再提出お話は、言わば法案、十六年十月以降、直近までの活動状況を提出したんだと思いますが、行政説明として今問題になっております五百回というのは、総理の御答弁申し上げましておりますとおり、十六年度のことをお答えしておりますので、言わば十六年度の行政説明について御議論賜ればよろしいのではないかと思っております。
  67. 尾辻秀久

    国務大臣尾辻秀久君) 今、局長答弁いたしましたとおりのことを先ほど私は、十六年度と言って出した分は十六年度になっていますねと、私が確認してもそうなっていますということを申し上げたところでございます。
  68. 家西悟

    家西悟君 では、その中に、最後の方です。資料を見ていただきたいと思います。  若いやつほど不明になっている部分があるんです、何か所か、期日が。古いほど正確に書いてあるんです、何月何日と。不明が二か所か三か所あるんです。普通、若いほど記憶があるはずです。古いほど記憶が不明になっていくというのが普通だと思うんです。そういう記述もある。そして、本会議答弁では五百回に及ぶというふうにはっきりと言われたわけです。  再提出を受けなければならないような資料を根拠答弁をされたんでしょうか。その点自体もまたおかしいんじゃないですか。私が指摘をして、グランドデザイン出てからじゃないんですかというふうに言ったときに、慌てて作り直してもう一度持ってくる。だとしたら、それは本会議を受けてからですからね、私。七月の二十二日に本会議を聞いて、五百回に及ぶというふうな御説明をいただいたので、へえ、五百回もやったのか、すごいなと、この一年余りで五百回に及ぶ、毎日のようにやられたんだ、この努力は大変だったんだろうなと思って、じゃそれはどういう日付でどれだけやられたのか教えてくださいよということで資料要求をさせていただきました。そして、慌てて持ってこられるんではなくて、当委員会で当時、委員会で小児慢性だったかな、の法案審議をやっているさなかだったんだけれども、今させてますと、カウントを。要求してからですよね。精査をしています、いろいろやってます。普通、それ終わってから本会議に出さないですか、理屈からいうと。今やってます、そしてそれを、資料を一回いただいてから見たときに、これおかしいんじゃないんですかというふうに言ったら、三日、四日後に慌てて出してくる。これが間違っていました、これですということで出された資料が再提出分です。こういった事実関係がおかしいと言っているんですよ。
  69. 中村秀一

    政府参考人中村秀一君) お答え申し上げます。  再三申し上げておりますように、総理の答弁審議会にしても二十回。これ、二十回というのは、グランドデザイン出るまでに十五回……
  70. 家西悟

    家西悟君 審議会じゃないです、五百回の話。
  71. 中村秀一

    政府参考人中村秀一君) それと一連の答弁でございまして、十六年度における説明会の回数を御答弁申し上げておりますので、総理の答弁について全く問題はないと思っております。  議員からの御指摘の、グランドデザイン出した以降の説明回数は何回かという御指摘に対しての資料という意味では後ほど提出した資料ということになると思いますが、それはその前の資料が間違っていたと、そういうことではなくて、十六年度の実績と、期間の切り方、言わば対象範囲が違う、グランドデザイン以降のことを主として考えるかどうかの判断であると思います。  総理の答弁は、繰り返し申し上げておりますように、立案過程からと、こういうことでございます。我々の認識は、この障害者自立支援法はグランドデザインなどを踏まえて作っているものであり、グランドデザインに至る過程も、障害者福祉制度在り方をグランドデザインの前から議論をしているわけでございまして、立案過程の議論として位置付けられるものであり、十六年度の実績をお出しし、十六年度の答弁として何らその答弁の限りでは問題がないということであり、むしろ問題は、委員がおっしゃっておられるとおり、その五百回という回数はさることながら、ちゃんと実のあるものであったかどうかということが問われなければならないと、こういう御指摘だと受け止め、私は、そういうことがある、実際に聞かれた方でそう思っておられる方があるということは、やはりお聞きになった方の満足度として十分なものがなかったんではないかと反省していると、こういうことでございます。
  72. 家西悟

    家西悟君 これ、幾らやっても堂々巡りですんで、是非ともしっかりした資料を出していただきたい。  そして、今回のその二つ、私がいただいているやつは間違いないということですよね、先ほど間違いないとおっしゃったんだから。もうこれは間違っていたということにはならないということを確認をいただきたいと思いますけども、間違いないですね。
  73. 中村秀一

    政府参考人中村秀一君) そういった意味で、十六年度の実績としてお出しした点、それから後の方のものは期間が違います。十六年十月から十七年七月と、こういうことでお出しさせていただいたものであるということは確認させていただきます。
  74. 家西悟

    家西悟君 時間が余りもうなくなってしまいました。この問題で本当はもっと、是非とも両方きっちり精査したものを出していただきたい。どちらが正しいとか云々という話ではこれはもう説明にならないんですよ。そして、障害者施策の私は今大きな転換点にいることは間違いないと思っています。そして、大きくかじを取ろうとしているわけですから、是非ともそういったものをしっかりとしたものを出していただきたい。よろしいですか。
  75. 岸宏一

    委員長岸宏一君) それでは、今、家西悟君の質問部分で、この二つのペーパーについていろいろ御疑問もあるようですから、これをしっかり理事会で協議をしてこの扱いについて進めていきたいと、協議して決定したいと、こう思っていますから、家西君、ひとつ御理解願いたいと思います。
  76. 家西悟

    家西悟君 はい。ありがとうございます。
  77. 岸宏一

    委員長岸宏一君) よろしいですね。
  78. 家西悟

    家西悟君 はい。  残り二分程度になりました。  私、今日十九問質問を用意していたわけですけれども、まだ六問しか行ってません。残り、重要な問題がすごくあるわけですけども、取りあえず時間が、もう限られた時間でしかやりようがありませんので、今、先ほども言いました大きな転換点、大きくかじを取ろうとしているわけですけども法案やこれからの施策をやる場合に十分な説明と責任が果たされるようにしていただきたい。そして、当事者の意見が、審議会、検討会任せではなくて、当事者の意見がしっかりと反映され、今後の施策、法案立案に対して障害当事者がしっかりと参画できるような体制をつくっていただきたい。でなければ、今回のような混乱がずっと生じるんじゃないでしょうか。  そして、もう一点最後に申し上げます。  障害者差別禁止法を私はいよいよ作るべきときが来ていると思っています。個別法案をこういうふうにやっていくんではなくて、基本的な部分となるべく障害者基本法を作るべきだと私は考えます。そして、やっていかなければ、アメリカがADA法を一九九〇年に作っています。そういったものを日本版のものを作って、障害者が雇用や生活やいろんな諸問題に関して社会参加ができるようなものを作るためには是非ともそういうようなものを作っていっていただきたいし、そういうものを審議していく場においては当事者を必ず入れる、そして説明責任をしっかりと果たしていただきたい、そのように考えますが、大臣いかがお考えでしょうか。
  79. 尾辻秀久

    国務大臣尾辻秀久君) まず、今のお話の冒頭に言われました障害者施策の大きな転換点に来ているということは、私どももそうしたいと思ってこの法案出しておりますことを改めて申し上げたいと思います。そこで、このことについては、この法案だけじゃなくて、皆さんの今後ともの御議論、特に三年後の見直しということもあるわけでございますから、引き続きお願いをしたいというふうに思うところでございます。  最後お話でございますけれども障害者が差別されることなく社会、経済、文化等のあらゆる分野の活動に参加することができる社会を実現するということは極めて重要なことでございまして、そのことについては障害者基本法においても理念として述べておるところでございます。  ただ、その上で、今先生お話しのような障害者差別禁止法の制定ということがあるわけでございますが、これについても、冒頭申し上げましたように今後十分な御議論をいただきたいというふうに私どもも考えておるところでございます。
  80. 家西悟

    家西悟君 時間が来ましたので終わりますが、私、先ほども言いました。十九問質問を用意して六問しかできませんでしたので、次回にこれを回したいと思いますので、よろしくお願い申し上げます。  本日はありがとうございました。
  81. 辻泰弘

    ○辻泰弘君 民主党・新緑風会、辻泰弘でございます。  質問に先立ちまして、まず、私ども民主党の障害者政策についての、またこの法案についての基本的な考え方について申し上げておくところから出発したいと思いますけれども。私どもはさきの通常国会において六月に修正要求というものをしたわけでございますけれども、その中でも申し上げているわけですけれども、私ども民主党としては、障害者が差別を感じることなく自己選択、自己決定に基づき社会の構成員としてその能力を十分に発揮できる社会を構築していくことを目指すと、このような基本的な理念に燃えているわけでございます。そして、そのような理念の下に障害者等の生活維持、自立社会参加を実現していく、そのような立場から本法案を拝見するときに、我々としては反対せざるを得ないということを申し上げてきたところでございます。  そして、同時に、六月において修正項目として幾つか挙げておりますけれど、その中で申し上げてきたこと、そしてそれは今日も変わっているわけではございませんけれども、一つは定率負担の凍結、所得保障についてでございます。障害者所得保障制度の確立及び低所得者の負担軽減策の具体的な拡充が実現するまでの間、定率負担導入を凍結すべしということを申し上げました。また、移動の保障ということで、地域生活支援事業における移動支援事業は据え置き、堅持せよということも申し上げた。さらには、自立支援医療の凍結ということで、自立支援医療とする本年十月からの実施を凍結して、改めて医療を必要とする者の範囲、自己負担在り方を検討せよということを申し上げた。そしてさらには、本人意見聴取ということで、障害程度区分の認定を行うに当たっては、障害者等の求めがある場合にはその意見を聴取することを義務付けよと、こういった幾つかの修正ポイントを要求して、さきの国会、対応してきたところでございます。  そして、現時点においては、我々としては対案を作って、政府にも責任ある立場から申し上げたいということから対案ということで法案作りをしているところでございますが、その考え方の基本は、障害者自立生活社会参加を今まで以上に支援するために国の財政責任を明確にした上で支援制度を継続すると、義務化するということでございます。その上で、速やかに障害者方々の声を聞きながら包括的障害者サービス法の制定を目指すと、そういった立場に立っております。  内容的に言いますと、所得保障が十分でない現状の下で応益負担を求めることは許されない、また、障害が重いほど、重い人ほど負担が重くなることがあってはならない、重度障害者でも地域で自立生活ができる社会を目指す、また、身体、知的、精神の三障害に対する福祉サービスの一元化を図る、こういった考え方に基づいて立法化、法制化をしているところでございますが、残念ながら参議院の審議には時間的なことがあり、法制局の御対応をお聞きしますと、なかなか無理だった、時間的なことがなかったということで、参議院の中で提出できなかったことは残念でございますけれども、我々としては審議を十分尽くさなければならない、もっともっと時間を掛けるべしという立場はございますけれども、今の政治状況の下で参議院を通過して衆議院に行くということがあるならば、衆議院段階では必ずその対案として法律を出して、それを基にしっかりと政府の問題点も指摘し、我が党の方針というものを明らかにしながら議論を進めていきたいと、このように思っていることをまず申し上げておきたいと思うわけでございます。  そこで、まず国会答弁、これについては既に指摘もあり、御答弁もあったところではございますけれども、まず確認してお聞きしておきたいと思うわけでございますが、先の国会においては廃案ということになったわけですけれども、衆議院、参議院における大臣また政府参考人答弁というものは、今回の法律は時期だけが修正になっておりますけれども、それ以外はないわけですから、基本的にはそれにかかわること以外は変わらないと理解すべきだと思いますけれども、そうでいいのかということと、衆議院段階で、ある意味では幻になってしまいましたけれども、附帯決議については尊重するということについては変わらないと、このことについて御見解をまず確認しておきたいと思います。
  82. 尾辻秀久

    国務大臣尾辻秀久君) さきの通常国会におきます障害者自立支援法案審議におきます答弁や説明の内容につきましては、今回修正を行いました施行日に係るもの以外は継承されております。また、衆議院で行われました附帯決議につきましても、法案自体については審議未了に伴いまして廃案になりましたけれども、私どもとしては、今回提出した法案に対する附帯決議、に対するものと、この今回の法案に対する附帯決議というふうにとらえて、その趣旨を十分尊重して施行に当たりたいと考えておるところでございます。
  83. 辻泰弘

    ○辻泰弘君 そこで、まず私、今国会である意味では不思議に思ったことを確認しておきたいと思うんです。  すなわち、前国会のときは障害健福祉部長が前面に立って答弁に立たれたわけですけれども、今国会は局長がおられるわけです。私は、私のときには前国会と同じスタイルでいいと申し上げたからおられないんですけれども、今回は基本的にはおられる形になっているわけです。私は本来はそうあるべきだと思っています。しかし、前国会のときは社会援護局長は全く答弁されておりませんし、そもそも在席もされていなかったと思うんですね。なぜ今国会においてそういった対応に変わったのかということは基本的に不思議に思うんですけれども大臣、いかが思っていらっしゃいますか。
  84. 尾辻秀久

    国務大臣尾辻秀久君) 国会答弁というのはとにかくできるだけ丁寧にお答えしなきゃいけない、一番お答えするにふさわしいといいますか、状況の分かっておる人間が御答弁すべきだというふうに考えております。ただ、そういいましても答弁に立てる者の数というのは、例えば課長補佐が出てきて答弁できるかというと、そういうわけにもいきませんので、答弁に立てる範囲の中で私どもは一番丁寧に御答弁できる者に答弁させようというふうに考えておるところでございます。  そこで、前国会でいいますと、部長は、先ほどの家西先生の御質問などにも係る部分がございますけれども、最初からずっとこの法案真剣に討議をしてきて、言わば作り上げてきた責任者の一人でございましたので、この法案についてはよく承知をいたしておる。そこで実質答弁の回数多かったんだというふうに思います。前回の部長答弁が多かったということはそういうことでございますということを申し上げます。
  85. 辻泰弘

    ○辻泰弘君 多かったというのはそれはそれでいいんですよ。私が申し上げているのは、結果として障害健福祉部長が御答弁されようが、それがほとんどであっても別に構わないんですけれども、しかし局長がなぜ一緒におられなかったかということなんですね。  障害保健福祉部の上に社会・援護局があって、そこの所掌に保護課、生活保護に係る保護課とか社会資本整備に係る地域福祉課などもあるわけですから、障害保健福祉部ともちろん密接に関連しているところではありますけれども、やはり本来それを総括的に見るべき局長さんがおられる中で部長が答弁するというのが、これは普通の姿だと思うんです。だから、今国会はある意味では当たり前のことだと思っているんですけれども、なぜそうされてこなかったのかということが不思議で仕方がないわけです。  現実に、障害児については従前から雇用均等・児童家庭局長答弁しているわけですよね。ですから、この障害者施策については、率直に言いまして、局長じゃなくて、一段下と言っちゃ悪いですけれども、それぞれ能力ある方だとは思いますけれども、しかし組織的な対応としてそのことが貫徹されていないといいますか、はっきり言いまして、私はそのことを軽視してきていることの表れだと私は思っているわけなんです。  私はこれはおかしいと思っていて、ただ、局長は全然答弁していませんよ。部長が多く答弁したというのは今おっしゃいましたけれども、多いというのは、すべても多いというのに含みますけれども、しかし全然ないんですよ。そもそも歴史的に見たら、私、昔のさかのぼりますと、障害保健福祉関連の問題で社会援護局長答弁した例というのは、百五十五国会で二例、百五十六国会で一例ですか、非常に少ないんですね。局長がなぜ答弁していないかというのは、これは非常に不思議なことでございまして、恐らく内部的ないろんな理屈があるのかもしれませんけれども、しかし事はやはり国会の一つの構えの問題であって、私はやっぱりおかしいと思っております。  だから、今国会やったんだからいいじゃないのということではなくて、やはりここまで来た淵源というものはやはりしっかり見詰めて、やはりこれからは、当然ですけれども局長が答えるべきであるし、局長が陪席する中で部長が答えるのはそれは構わないですけれども、それが本来の姿だと思っておりまして、少なくとも今後、障害保健福祉部に係る法改正の際には必ず局長が責任ある位置付けを担ってやられるべきだと思っていますが、大臣、御見解お示しください。
  86. 尾辻秀久

    国務大臣尾辻秀久君) 先ほど私が多くと申し上げましたのは私の印象で申し上げまして、今お調べいただいて、局長答弁が一回もなかったのであれば、すべて部長がお答え申し上げましたと言い直さざるを得ないところでございまして、そのことは訂正をさせていただきたいと思います。  もし局長答弁が一回もなかったとすれば、そういうふうに表現しなきゃいかぬわけでございますから、そのように申し上げますということを改めて申し上げまして、その上ででございますが、局長答弁がないからこの問題を私どもが軽視したとか、あるいはまた国会に対して軽視したということでは一切ございませんで、先ほど来申し上げておりますように、一番事情の分かっておる者が丁寧にお答えすべきだということでお答えしてきたということは申し上げたところでございます。  そこででございますけれども、今後ちゃんと局長が出てこいとおっしゃいますならば、それはもう国会の御意思でございますから、そしてまた私どもの姿勢としてもそれはそうしなきゃならないと思っておりますので、今後必ず局長委員会に出さしますことはお約束を申し上げます。
  87. 辻泰弘

    ○辻泰弘君 要は、当時の局長が一番事情が分かった人ではなかったということだと一つの理解が進むことになるわけですけれどもね。恐らくそういうことだったということにならざるを得ないんじゃないかと思いますけれども。  ただ、一つ申し上げておきますけれども答弁者は、一般に我々事前通告するときに、答弁者はだれにしますというのは役所の方から言ってくるんですよね。我々がだれにしてくれというのは、それはよっぽどのことがない限りそれはないわけでね。だから、それは役所の答えで私らは基本的にはやってきている。それが結果として、前国会では局長が出なかったということですから、役所の判断としてそうだったということを指摘しておかなければならない、このように思います。  それと、私が通告したときに、これは事務局の方から、今回、これからは局長が出ますというふうな話だったんでね。それはそういう指示があったんでしょう。局長答弁もう慣れていらっしゃる方ですから、それは本来の姿として結構なんですが、しかし今、前国会のあれだけ、あのときに通るかもしれないところまで行っていたわけですから、その国会における対応という意味においては、私はやはり問題点をやっぱり指摘せざるを得ないということを申し上げておきたいと思うし、今、大臣のお言葉は、今後のこの問題についての国会で法改正等があるときには局長が責任を持って先頭に立って立たれるというふうに理解をさせていただきたいと思いますが、それでよろしいですね。
  88. 尾辻秀久

    国務大臣尾辻秀久君) 先ほど来申し上げておりますように、局長がこの法案について熟知していたとかしていなかったとかということではありませんで、部長が一番答弁するにふさわしいといいますか、よくすべてが分かっておるという意味で御答弁を申し上げてきたということはそのとおりでございます。  しかし、今のようなお話もございますし、国会の御意思を受けるのは私どもの当然の務めでございますから、今後、局長答弁をさせます。
  89. 辻泰弘

    ○辻泰弘君 まあ、これでこんなに時間取るつもりはありませんけれども、そうだとすれば、今国会においては社会援護局長が一番よく通じた方であるということになるということかもしれませんね。先国会と少し変わったのかもしれません。  さて、中身のことを聞いていきたいと思いますけれども、いわゆる制度の谷間という部分ですね。その谷間はなぜ発生するのかということについてでございます。大臣もよく谷間ということをおっしゃっていますけれども、谷間はなぜ発生するんでしょうか。
  90. 尾辻秀久

    国務大臣尾辻秀久君) 一言で言いますと、やはりそのことに対する全体的な関心の低さといいますか、やはりそのことに対する関心が、今申し上げた言葉で言いますとやっぱり低かったと、低かったから谷間になっている、こういうふうに考えます。
  91. 辻泰弘

    ○辻泰弘君 先国会でも議論になり、修正項目やら附帯決議等にもかかわってくることではございますけれども、いわゆる発達障害とか難病とかが谷間であるというふうなことが、まだそれが残っているという部分もあるわけですけれども、そのことがなぜ発生するのかということなんですね。その部分についてです。
  92. 中谷比呂樹

    政府参考人中谷比呂樹君) 多分、障害の認定ということにも関係すると思いますけれども、現在の身体障害者福祉法に基づく障害認定といいますのは、機能の障害が永続し固定をしていると、こういうことでございますので、その辺りに問題があろうかというふうに考えております。
  93. 辻泰弘

    ○辻泰弘君 谷間についてのそのなぜかという部分、必ずしもクリアにしていただけなかったんで申し上げておきますけれども、やはりその制度の谷間というのが、まあ大臣もよく知っていらっしゃることではあると思いますけれども介護が必要であるにもかかわらず対象年齢に達していないために介護保険制度対象とならず、かつ障害者に該当しないため障害者制度対象にならない、これが制度の谷間を生んでいるということになると思うんですね。そのことは幾つかもう指摘もされてきているわけです。  今、部長がおっしゃったことに本質があると思うんですけれども、結局それを突き詰めてみますと、その身体障害者の要件に永続性というものが非常に重要視されていて、そこがすべて桎梏になっているといいますか、そういうことの縛りが強くてなかなか結局谷間が解消できないという状況になっているんじゃないかと思うわけなんです。  それで、この永続性の要件というものを、今そのことを部長がおっしゃったわけですけれども、私は調べてみますと、身体障害者の方についても再認定という規定があるわけなんですね。しかし、症状が固定するとは限らないということですね、改善することもあるかもしれないというようなことも含めてですね。そうであれば、今の身体障害者方々についてもそういうこともあるならば、その一定の期間というのを前提にしつつ、例えば難病の方々も、今の症状であれば身体障害者というふうに認められるけれども、固定していないから、永続と見られないから外れているという部分を、ある程度の期間を設けて再認定といいますかね、そういうことを入れるなら今の制度の中に組み込んでいって谷間の解消という道もあるんじゃないかと、このように思うんですね。そのことについてどうお考えなのか。  西副大臣も御答弁されていて、そのことについては現行の認定基準の問題点など整理、検討を行わせていただきたいということをおっしゃっておられて、それなりにお取り組みのお気持ちを持っていただいていると思っていますけれども、しかしこの部分、やっぱり制度の谷間を解消するということを、見直しをするということになっていますけれども、しかしこれは今の弾力的対応でもできるんじゃないかとさえ思うんですね。  ですから、この谷間の解消ということですけれども、その今の身障者の認定基準、要は障害固定の原則を緩和するという言い方にもなるかもしれませんが、その部分について是非お取り組みいただきたいと思うんですが、いかがでしょうか。
  94. 中谷比呂樹

    政府参考人中谷比呂樹君) 御指摘の再認定あるいは障害範囲の拡大のお話でございますけれども、現在は障害が固定していることを前提といたしました例外的な取扱いということになっております。したがいまして、その範囲を拡大するには現在の身体障害者福祉法に規定する障害者の定義ということに立ち至りますので難しいことであると考えております。  しかしながら、障害者自立支援法案は、障害の種別にかかわらず一元的に自立支援のためのサービスを提供する仕組みを提供するものでありまして、また本法案の附則においては、施行後三年を目途として、この法律について、障害者等の範囲を含めて検討することとされておりますので、厚生労働省といたしましては、御指摘の点を含めまして十分に検討してまいりたいと考えております。
  95. 辻泰弘

    ○辻泰弘君 今の法体系の下で永続ということを掲げているということは、これは調べて教えていただいておりますけれども、しかしその中でもなおかつ、軽減する等の変化が予想される場合には再認定を実施することという、これは通知か何か分かりませんけれども、そういうことがあるわけで、そういった、そういう原則の中での弾力的対応といいますか、実際的な対応ということはあると思うんですね。ですから、永続しないと決め付けないで、永続するという見地から見て改善したから外れるということはあるかもしれないというふうなとらえ方に変えれば、それは今の延長線上にもとらえ得ると思うんですね。  ですから、そういった意味で、是非谷間の解消に向けて、この法律だけにとどまらず、現実の問題として運用ということであり得るならば取り組んでいただきたいと思うんですけれども大臣、いかがでしょう。
  96. 尾辻秀久

    国務大臣尾辻秀久君) 言っておられることは、難病という病気だというとまあ治ることもあるでしょうと。まあ治ることもあるから、まあ治ることもあるでしょうという言い方は失礼しました。病気はやっぱり治るものだという前提に立つと、障害としてずっとこう続くということと定義をどうするんだということになるわけでありまして、その中でどうその辺の問題を理解していくのかというお尋ねだというふうに思います。  そこで、障害の定義だとか、それから改めてまた今後の見直しを言っておるわけでございますから、正に障害者等の範囲を含めて今後の検討ということは法律の規定にもしておるところでございますから、十分私どもも検討しなきゃいけないというふうに考えております。
  97. 辻泰弘

    ○辻泰弘君 大臣は、今年の一月七日に記者会見をされて、幾つかの谷間が生じていると、そういう谷間を一つでも丹念に埋めていく作業をしたい、私が大臣の間にそういう谷間が一つでも二つでも埋められれば有り難いなと思っていると、こういうことをおっしゃっておりますが、大臣の今までの間に谷間が埋められたとお考えでしょうか。
  98. 尾辻秀久

    国務大臣尾辻秀久君) その中で、一つ難病を言いました。  私がずっと言ってまいりましたことは、正に今日の先生のお話にも関係するところでありますけれども、難病対策というのをどうしても医療の方からアプローチしてきた、難病対策に対して福祉の方からのアプローチというのが少なかったんではないだろうか、何とか難病に対する福祉という方向からのアプローチをもっと考えたいということで事務方にもいろいろ方法を考えてくれということで指示はいたしてまいりました。  その中で、努力もしてくれましたけれども、やはり基本的にまだこの考え方が改まっていない、今のお話のように。正に福祉という方向から難病に対してアプローチして、そして、介護を必要としておられるわけですから、現実、介護を今必要としておられるわけでありますから、そのことに対して例えばどうサービスが提供できるかといったようなことについて十分なことがまだできていない。すなわち、御質問お答えいたしますと、谷間が埋められたとは思っておりません。
  99. 辻泰弘

    ○辻泰弘君 谷間が埋められたと思っていないという御発言で、一つ答えになったというふうに言わざるを得ませんけれども、しかし、大臣の任期がいつまでかは私は分かりませんけれども大臣の任期の間に是非その点について、難病についてもあれだけ思いを込めておっしゃっていただいたと思いますので、今のことも含めてお取り組みいただきたいと、このように申し上げておきたいと思います。  それと、今回の自立支援法のよって来るところは、支援費の財政不足といいますか、結果としての超過負担、地方に求めることになっているという裁量的経費なるがゆえの運命というか、その部分を解消するということがやっぱり一つの大きな原動力になっているわけですけれども、しからば、かねてより私も申し上げておりますように、この難病の、特定疾患の超過負担もこれはまた問題として残っているわけなんですね。  今回の自立支援についての超過負担は、十五年度は百二十八億、十六年度は二百七十四億ですか、こういったことで推移してきているわけですけれども、片や特定疾患における超過負担は今も発生し続けていて、十六年度においては百四十二億という状況になっているわけなんです。ですから、その支援制度における超過負担を解消しようとしたと、まあやり方はともかくとしてですね、しかしこちらの方は放置した状況になっているというのが現実だと思うわけです。ですから、そういう意味において超過負担、すなわち国が本来やろうという方針を示しておきながら、結果として予算補助だということによって手当てが行かないようになったということにおいては同じ意味合いを持っているわけなんですね。  その特定疾患における超過負担の問題も、解消に向けて、それは義務的経費化ということになるのかもしれません、あるいは法律的に作らなきゃいかぬということかもしれませんが、いずれにしてもそのことに向けての御努力もやっぱり必要になってくると思うんですけれども、その点については、大臣、いかがでしょうか。
  100. 尾辻秀久

    国務大臣尾辻秀久君) 今、特定疾患治療研究事業、私どもが事業の名前はこういうふうに言っておりますけれども、それについてのお尋ねでございます。  この事業は、原因が不明であって治療方法が確立していないいわゆる難病、難病の条件といいますか、四つ並べて、この四つに該当する方を難病といいますというふうに言っておる今二つを申し上げたわけでありますけれども、いわゆる難病のうちで治療が極めて困難でございまして、かつ医療費も高額である疾患についての医療の確立、普及等を図るために、事業の実施主体である都道府県に対して事業費の二分の一を補助をしておるものでございます。  この事業につきましては、極めて厳しい財政状況の中でございますけれども、平成十七年度予算においては対前年度比五%増の約二百三十億円を確保したところでございます。これは先生お触れいただいたと思います。それから、平成十八年度予算においても、事業の適正化を図りながら必要な予算額の確保にこれ努めてまいらなきゃいけないと今考えておるところでございます。  こうした事業を含めまして、今全体として御議論をいただいております難病対策についてでございますけれども、これまでも関係審議会において議論をしていただいておりますので、これらの意見を踏まえつつ議論をしていく、私どもとしては検討していかなければならないと考えております。
  101. 辻泰弘

    ○辻泰弘君 小児慢性の方は、昨年でしたか、児童福祉法によってある程度法的な背景ができたと。それでも義務的経費というふうには見られていないやに聞いておりますけれども、しかし、やはり特定疾患の方もいつまでも治療研究事業という名称で置いておくということは本当におかしな話だと思っておりますので、是非、法的背景を持たせて、私どもとしては是非、義務的経費化につながるようなものであるべきだと思っていますけれども、そのことについては、かねてより言っておりますけれども、是非お取り組みいただくように申し上げておきたいと、このように思います。  それで、次のポイントに移りますけれども、いわゆる障害者方々所得の認定についてですけれども、私どもといたしましては基本的に、所得の認定に当たっては世帯合算ではなくて原則として本人所得で見るべきだと基本的に考えているわけですが、この自己負担上限を決める際の所得の認定については、大臣も確認答弁をされたりしてきた経緯がございますけれども、この点について改めて方針をお示しいただきたいと思います。
  102. 岸宏一

    委員長岸宏一君) 中谷部長。
  103. 辻泰弘

    ○辻泰弘君 大臣大臣。確認答弁したんだから。
  104. 岸宏一

  105. 尾辻秀久

    国務大臣尾辻秀久君) 技術的なところも含んでおりますので、まず部長から答弁をさせていただきます。
  106. 辻泰弘

    ○辻泰弘君 委員長
  107. 岸宏一

    委員長岸宏一君) ちょっと、辻さん、待ってください。  じゃ、部長が答弁をした後、大臣から……
  108. 辻泰弘

    ○辻泰弘君 委員長委員長、だからこれは、要は衆議院のときに大臣が確認答弁をされている内容を言ってくれということに突き当たるわけですから。それは別に、それ応用編じゃないんですよ。
  109. 岸宏一

    委員長岸宏一君) ちょっと、じゃ、尾辻大臣、よろしいですか。
  110. 尾辻秀久

    国務大臣尾辻秀久君) これはもうかねて答弁申し上げておりますように、今回の障害者自立支援法で私どもが言っておりますことは、あくまでも障害者の方御本人を主体にして考えておりますので、この御本人所得に応じてということを言っております。ただ、その所得をどうするか、同一世帯というのをどういうふうに考えるかという御議論がございますので、私どもは確認答弁でも何回かそこのところについて申し上げておるところでございます。  確認答弁申し上げましたことは、月ごとの負担上限を決める場合には、生計を一にする世帯の所得で決定することを原則としますけれども障害者と同一の世帯に属する親、兄弟、子供がいる場合であっても、その親、兄弟、子供が税制と医療保険のいずれにおいても障害者を扶養しないこととしたときは障害者本人及び配偶者の所得に基づくことも選択できることとしたい、こういうふうに確認答弁をさせていただいております。  言っておりますことは、あくまでも基本はまず御本人負担で、所得で判断させていただいてやってください、ただ、生計を一にする世帯、一番いい例が、御夫婦といったような場合には、これはやはり所得を御夫婦単位で考えるというふうにすることも、一つのまあ世間的なと言ったらいいんでしょう、常識というふうに申し上げたらあるいはまたいかがかという面もあるかもしれませんが、今私の思い付く言葉で言いますとまあ常識であろうというようなこともございますので、そうした中での判断をさせてくださいということを言っております。  ただ、それからまた言っておりますのは、今この確認答弁でも言っておりますけれども、世帯同一として見て、税制だとか医療保険のいずれかで障害者を扶養するというところで、特別のその税制、医療保険に基づく何かの措置がなされておる場合は、それは、もう今申し上げておりますように、税制、医療保険のところで扶養しているということを前提にした取扱いになっているわけですから、それはやはり扶養しているということでやってください、もしそれをもう外すというふうに言っていただけば、当然御本人、独立した存在というふうにして見るわけでありますから、そのようにいたしますということを再三申し上げておるところでございます。
  111. 辻泰弘

    ○辻泰弘君 これはある意味では被扶養者であった方が被保険者に、国保の被保険者への選択をされるというふうなことにつながることであって、あるいはこれまでそういったことはなかったのかもしれません。それなるがゆえに、今国会で出された資料の中には特例ということで、特例を盛り込むこととするという資料も出していらっしゃるわけです。  それで、いろんな中で出てきた知恵だと思ってそれなりに私も前向きに受け止めたいと思いますけれども、これはそもそも根拠となる条文は何なのかということと、このことを何で規定するつもりなのかと、このことについて確認をしておきたいと思います。
  112. 中谷比呂樹

    政府参考人中谷比呂樹君) 世帯の範囲が影響いたしますのは定率負担にかかわる月額上限額の設定をする際でございまして、関連の条文でいいますと、障害者自立支援法案の第二十九条第四項でございます。  この規定は、利用者負担額が障害者の家計に与える影響をしんしゃくして、政令で定める額を超えるときは負担がそれ以上発生しないよう給付を支給するというものでございます。条文上、上限額を設定する際にしんしゃくする家計の範囲については、同一世帯に属する者の所得状況という解釈を行っているところでありまして、これは介護保険制度など他の制度においても同様の取扱いでございます。このため、障害福祉サービス月額負担上限額の設定に当たっては、障害者の方と同一の世帯に属する方の所得状況も含めて判断することとしております。  ただし、今回の特例措置を設け、障害者自立の観点から原則とは異なる取扱いを選択し得ることとしたものでありまして、この措置は恒久的な措置として政令で定めるものでございます。
  113. 辻泰弘

    ○辻泰弘君 政令で恒久的措置としてやられるということでございますので、それはそういう対応でやっていただくように改めて申し上げておきたいと思います。  それで、ひとつ次のポイントに移らせていただきますけれども、重症心身障害児福祉サービスのことについて確認をしておきたいと思います。この部分は公費負担医療の中の児童保護措置という位置付けで今まで位置付けられていたと思うんですけれども、今後はそれはどのような位置付け、また名称になるのかについてお聞かせください。
  114. 中谷比呂樹

    政府参考人中谷比呂樹君) 障害児の場合につきましては、施設体系の見直しは行いませんために、障害、心身障害児の施設において提供されるサービスというのは、平成十八年十月に措置制度から契約制度へ移ることはありますけれども施設自体につきましては従来どおりでございまして、サービスについても従来どおり引き続き提供されるものでございます。
  115. 辻泰弘

    ○辻泰弘君 そうすると、まず、ごめんなさい、確認ですけれども、今までは児童保護措置ということになっているわけですね。その言葉は残るんですか。
  116. 中谷比呂樹

    政府参考人中谷比呂樹君) 措置から原則として契約制度に移行いたします。
  117. 辻泰弘

    ○辻泰弘君 それは名称を変えるということになるんですね。公費負担医療全体の中の位置付けになりますけれども、それは名前は決めてないというような答えかもしれませんけれども、変えることになるわけですね、当然ですけれども
  118. 中谷比呂樹

    政府参考人中谷比呂樹君) 措置は残りますけれども原則として契約制度に移行するものでございます。  措置が残るといいますのは、例えて言えば、虐待などによって保護を要する児童、これにつきましては従前どおりの手続をする必要があるということから措置が一部残るものでございます。
  119. 辻泰弘

    ○辻泰弘君 そうすると、重症心身障害児の大半の方については措置ではなくなるということですよね。
  120. 中谷比呂樹

    政府参考人中谷比呂樹君) さようでございます。
  121. 辻泰弘

    ○辻泰弘君 だから、それは今答えが出ないにしても、とにかく名称も変えるということですね、その部分については。今まで児童保護措置という位置付けだったわけでしょう。
  122. 中谷比呂樹

    政府参考人中谷比呂樹君) はい。名称も変わります。
  123. 辻泰弘

    ○辻泰弘君 それで、この点について前国会のときに、私は質問もある程度想定されておりましたのでいろいろ聞いていたわけですけれども、そのときの御説明では、私の理解ではこうだったということなんですね。  療養介護を受けることを望まない限り現行のままでいけるんだということが一つ、それから障害程度区分の認定を受ける必要はない、それから成年の場合の負担障害年金給付範囲内でいけるんだと、世帯は独立として扱うと、施設現行のままでやっていけるということで、今重症心身障害児で十八歳以上になっていらっしゃる方々も今までの施設の中でこれまでの継続で、負担が若干増えるかもしれぬけれども、それは障害年金給付範囲内だと、こういうふうな御説明だったと理解しておるんですが、そのような理解でいいのかどうか、確認したいと思います。
  124. 中谷比呂樹

    政府参考人中谷比呂樹君) はい。十八歳未満につきましては従来どおりでございますし、十八歳以上の方につきましても、現に重症心身障害施設に入所されておるような場合、このような方々が行き場がなくならないように十分な配慮をしてまいります。基本的に先生のおっしゃったとおりでございます。
  125. 辻泰弘

    ○辻泰弘君 実はこの部分、当事者の方々の、親御さんの方々とか非常に不安といいますか、クリアじゃないということで、その措置が変わるということで、契約ということになって、結局その分を施設、まあいずれにしても一遍認定を受けなきゃいかぬのじゃないかと、認定を受ける段階で結局外されて、結局御家庭に戻らなきゃいけないような状況が出てくるんじゃないかと、こういうことを、実は非常に深刻な話もお聞きしていまして、実はその辺クリアになっていないわけなんです。  ですから、そこの部分、今おっしゃっていただいたことでよければそれはそれで結構だと思っていますが、その点については方針をはっきりさせておいていただきたいと思うんですけれども、この点については何で明示されることになるんでしょうかね。国会答弁なんでしょうか。大臣、どうなんですか。
  126. 尾辻秀久

    国務大臣尾辻秀久君) 今のその方針をはっきりさせることについて、この国会の場でどう答えるかということについてお答えすればいいのかなと思って今立っておるわけですが、それでよろしゅうございましょうか。確認答弁でもし答弁するならしますとかという、そういうお答えを申し上げればいいんでしょうか。今の御質問のところが、申し訳ありませんでした。
  127. 辻泰弘

    ○辻泰弘君 大臣の厳密なお答えに私も厳密に対応せないかぬと思うわけでございますが、要は、何らかの形で方針がはっきりしていりゃいいと思うんですけれども、この部分については、多分前回国会の質疑はなかったんじゃないかと思うんですが、このことについてしっかりとした方針を明示していただければそれはそれで、確認答弁であればもちろんいいにこしたことはありませんけれども、とにかくその方針を何によって、これではっきりされるんだと。私の、この大臣答弁をもって厚労省の方針だというふうに言っていただければそれはそれでも結構ですけれども、とにかく方針をはっきりさせていただきたい。先ほど私が言ったことの、基本的にそうだとおっしゃっていただいたのはそれはそれでいいんですけれども、そのことをはっきりさせてくださいということです。
  128. 尾辻秀久

    国務大臣尾辻秀久君) それじゃ、まず部長に答えさせます。
  129. 中谷比呂樹

    政府参考人中谷比呂樹君) それでは、事実関係を申し上げます。  まず、十八歳以下の重症心身障害児でございますけれども、この方々は全く変更がございません。それから、十八歳以上の方の場合には、移行措置というのをとりまして、これは政令で定めることになっておりますけれども、経過措置をとりまして御心配がないようにしてまいりたいというふうに思っております。これが事実関係でございます。
  130. 岸宏一

    委員長岸宏一君) 大臣、答えますか。どうですか。
  131. 尾辻秀久

    国務大臣尾辻秀久君) 今部長が答弁いたしましたけれども、この答弁でよろしいとおっしゃればここまでになるわけでございますが、その後のお話ございましたらお聞かせいただいて、またお答え申し上げたいと存じます。
  132. 辻泰弘

    ○辻泰弘君 部長のおっしゃったのは別に間違っているとは言いませんけれども、少し抽象的になっていて包括的になっているものですから、しかし大事なポイントを押さえていただきたい。  先ほど私申し上げたように、療養介護を受けることを望まない限り現行のままでいいんだという部分障害程度区分認定を受ける必要はないんだという部分、それから負担障害者年金給付範囲内だということですよね。そのことは基本的にそうだという、そのことについてです。
  133. 岸宏一

    委員長岸宏一君) どなたがお答えになりますか。中谷部長。
  134. 中谷比呂樹

    政府参考人中谷比呂樹君) 厳密に言いますと障害程度区分を受けなければなりませんけれども、それを受けなくても現に重症心身障害児の施設に入っておられる方は経過措置といたしまして適切に対応することになっております。
  135. 辻泰弘

    ○辻泰弘君 やっぱり局長答弁されないといかぬのかもしれませんけれども、それはともかくといたしまして、大事なところでありまして、実際生身の人間をどうするかという世界ですから、この法案もう動いていくわけですから、このことについてははっきりとしておいていただきたいし、していなければならないと思うんですね。だから、そこをはっきりさせてください。
  136. 中谷比呂樹

    政府参考人中谷比呂樹君) 今まで御答弁申し上げましたことをもう一度、お許しをいただけますれば、体系的に申し上げます。  今回の改正におきまして、障害児の施設利用につきましては、平成十八年十月に措置制度から契約制度へ移行することとなりますけれども、重症心身障害児の施設、これは障害者自立支援法に定める障害者施設とは異なりまして、施設体系の見直しは行わないため、重症心身障害施設において提供されるサービスについては従来どおり引き続き提供されます。  また、十八年十月以降に十八歳以上の入所者がいる施設、これは療養介護等へ移行することも可能でございますけれども、この場合は現に重症心身障害施設に入所しています十八歳以上の入所者の方が施設を利用できなくなることがないよう、経過措置を講ずるなど、適切に対応してまいろうというものでございます。  なお、一番の御心配は負担についてかと思いますけれども障害者制度と同様、従来の応能負担を改めまして、福祉サービス及び障害施設医療について一割の定率負担と、所得に応じた月額負担上限を組み合わせた利用者負担とともに、入院食事療養費の標準負担額を御負担いただくこととなります。  もちろん、障害者保護者にこうした御負担をお願いするに当たりましては、所得が少ない方などにきめ細かく配慮するとともに、激変緩和のための経過措置を設けることとしております。
  137. 辻泰弘

    ○辻泰弘君 そうすると、今現に入っていらっしゃる十八歳以上の方々については今の体制で、負担部分は若干あるかもしれませんが、それ以外は基本的に、一番大事なのはそっちですから、負担以上にそっちの方が大きいんで、負担ももちろん大事ですけれども、その枠組みが一番基本ですから、そこは変わらないという理解でよろしいんですね。大臣
  138. 中谷比呂樹

    政府参考人中谷比呂樹君) 経過措置を設けまして、しっかりお世話さしていただくということにしております。
  139. 辻泰弘

    ○辻泰弘君 経過措置というのはどういう内容なんですかね。その経過措置をもってだんだん、認定区分の結果としては御退出いただくこともあるよと、こういう意味合いをおっしゃっているんですか。
  140. 中谷比呂樹

    政府参考人中谷比呂樹君) 障害施設の利用につきましては、施設の再編などを含めましておおむね五年後の施行を目途に、三年以内に結論を得るということになっておりますので、その結論を待ってということになりますけれども、当分の間は今のままでの処遇ができるというものでございます。
  141. 辻泰弘

    ○辻泰弘君 それともう一つ指摘しておくべきことは、いただいた資料があるわけですけれども現行サービスというところに重症心身障害施設というのがあって、新サービスとなっているんですけれども、それの受皿がないんですね、どこへ行くのかが。今のようなことというのは実は説明資料にないんですよ。  だから、そこの意味において極めて不備だというふうに思いますし、今の御答弁でも必ずしもクリアになっていないように思いますけれども、是非その点についてはしっかりと、生身の人間の暮らしにかかわることであって、すぐにもう動いちゃうわけですから、そこはしっかりととらえて対応していただくように申し上げておきたいと思うんですが、大臣、いかがですか。
  142. 尾辻秀久

    国務大臣尾辻秀久君) まず、今入所しておられる方、この方々が利用できなくなるというのは、これはもう絶対避けなきゃいけませんから、そういうことにはいたしませんとまず明確に申し上げておきたいと思います。今入っておられる方、入所しておられる方は引き続き入所していただくということをまず基本にいたします。  ただ、将来についてどうなるかというと、施設全体の見直し、これは五年掛けて見直しをしてくださいということを言っておりますし、考え方が今のものをそのまま、これがこうなります、これがここへ行きますというような仕分で今度の見直しをいたしておりませんので、大きくもう見直しについて申し上げておりますから、今お話しのようなこともありますけれども、これはまあ今後の施設のまた見直しの中で五年掛けて十分施設の方も考えていただきたいと思いますし、また問題があるとすれば私どもはその都度検討もしたいというふうに考えておるところでございます。
  143. 辻泰弘

    ○辻泰弘君 今おっしゃっていただいたところは大事なポイントだと思いますので、私どもとしては、是非理事さんにもお願いして附帯決議にも入れさせていただきたいと思っていますので、またそういったことでのお願いもさせていただきたいと思っています。  そのことに向けてお取り組みいただくように申し上げて、次のポイントに移らせていただきたいと思いますが、自立支援医療についてでございます。  今回の立法というのは、さっき言いましたように、元々は支援費の部分から出発した財政的なところからきたということでございまして、その考え方の相違はあるにしても、とにかく福祉サービスの見直しということ、その在り方ということではそれなりに理解できるんですが、ただ、なぜ医療にまで広げたのかというところが私は根本的に不可解に思っております。  私ども民主党としても、先ほど申し上げましたように、自立支援医療については凍結、見送りをして、自己負担在り方などを検討した後に制度改正の必要性について議論すべきだと、こういうふうな主張をさせていただいているわけですけれども、そもそも来年度は医療保険制度改革、医療制度改革ということがテーマに上ってくることが必至というふうに政府はお取り組みされているわけですけれども、そうであるならば、そういった医療全体の体系の中で見直していくのがあるべきことであって、ここだけ先に出てきているというのは私はおかしいんじゃないかと思うんですね。  しかも、それが抜本的な取組だったならばそれも一つの理解もあるかもしれませんけれども、精神、育成は都道府県が実施主体で更生は市町村が実施主体ということで、そのことについては従前どおりで、まあそれはそれで、それが駄目というわけじゃありませんけれども、しかし、そういった根本的な見直しもされないという中で、この医療の部分までひっ付けたという部分は私は間違ったやり方だと、医療全体の、後で公費負担医療のことも申したいと思っていますけれども、そういった全体の医療の枠組みの中で考えるべきことであったんじゃないかと、このように思っているんですけれども、いかがでしょうか。
  144. 尾辻秀久

    国務大臣尾辻秀久君) 現在政令で定めております自立支援医療の、現在じゃありません、今の体系でございますけれども、児童福祉法の中で育成医療のことを言っておりますし、それから身体障害者福祉法の中で更生医療を言っておる、それから精神保健福祉法の中で精神通院医療ということについて定めておる、これはもう御案内のとおりでございます。したがいまして、今も大きな法律の中で福祉の分と医療の定めと両方を定めておるという体系でございます。  そこで今回、今度は障害区分の一元化という、障害種別ごとにばらばらになっておるものを一つにまとめた法律にしようということで障害者自立支援法をお願いしているわけでございますけれども、ここで三障害一緒にいたしましたから、やはりこの中でも福祉と医療というのを、今までそれぞれの法律の中で福祉、医療を規定したのと同じように規定をまずはしておこうというのがその考え方でございます。  しかし、冒頭申し上げましたように、現行の児童福祉法の育成医療、それから現行の身体障害者福祉法の中での更生医療、それから精神保健福祉法の中の精神通院医療、これはまた政令できっちりまたそれなりの定めをいたすつもりでありまして、それぞれの制度趣旨の変更ということは考えておりません。
  145. 辻泰弘

    ○辻泰弘君 そうすると、衆議院の修正のときの趣旨説明の文章がございまして、その中に、「自立支援医療は、これまでの更生医療、育成医療及び精神通院医療の趣旨を継承した障害に係る公費負担医療制度として重要な役割を果たすもの」だということですけれども、その位置付けはそういう共通の御理解ですね。
  146. 尾辻秀久

    国務大臣尾辻秀久君) 最後に申し上げたところがそこの部分を申し上げたつもりでございます。
  147. 辻泰弘

    ○辻泰弘君 そこで、今回の法律の五十四条の中に「厚生労働省令で定める自立支援医療の種類ごとに支給認定を行う」と、こういうことになっていて、ここで、要は自立支援医療の中に今までの育成医療、更生医療、精神と、こういったものを、三類型、三部門といいますか、そういった形にするんだということをおっしゃっていると思うんですけれども、そういうことでよろしいですね。
  148. 尾辻秀久

    国務大臣尾辻秀久君) 先ほど最後に申し上げたことの繰り返しになりますけれども現行の育成医療、それから更生医療、精神通院医療制度趣旨はそのとおりに変更なくさせていただきますということでございます。
  149. 辻泰弘

    ○辻泰弘君 その三種類というのは、やっぱり名称を付けて残すということになるんでしょうね、一つのこの。そこはどうなんですか。
  150. 尾辻秀久

    国務大臣尾辻秀久君) 今度の自立支援法をお認めいただいた後も、お認めいただいたとして、その後も児童福祉法、身体障害者福祉法、精神保健福祉法はそれぞれ生きておりますから、これが完全になくなるということではございませんので、生きておりますし、その中で今申し上げたような考え方をきっちり生かしますということをお答え申し上げておるところでございます。
  151. 辻泰弘

    ○辻泰弘君 その際に、私はやっぱり更生医療にいたしましても育成医療にいたしましても定着している言葉だと思うんですね。それで、当事者の、特に更生医療の方などお聞きしても、やはりその名前というのは残していいんじゃないかというふうなお話もあるんですけれども、あえて変える必要がないということもあると思いますが、やはりそういう意味でその枠組みは残していただくということで、名称も当然踏襲でいいんじゃないかと思うんですけれども、いかがですか。
  152. 尾辻秀久

    国務大臣尾辻秀久君) 先ほどお答え申し上げたところでちょっと正確さを欠いていたかなと思うところがございますので改めて申し上げますけれども、児童福祉法、身体障害者福祉法、精神保健福祉法は、これはこのまま残りますけれども、今回の障害者自立支援法の中で申し上げております自立支援医療の中に、先ほどの育成医療、更生医療、精神通院医療という言葉をそのまま生かして持ってきますということを、正確に申し上げると、改めて申し上げるところでございます。言葉を変えるとかなんとかということはありませんで、新しい法律の中にこの言葉をそのまま持ってきて、制度趣旨の変更はせずに今後対応すると、こういうことでございます。
  153. 辻泰弘

    ○辻泰弘君 ですから、基本的には育成医療、更生医療という名称はそれなりに継続されるというふうに理解をさせていただいて、次に進めさせていただきたいと思います。  それで、公費負担医療について資料を出していただきました。私、かねがね公費負担医療制度の一覧というのは、昔は厚生省が監修して出したことあるんですけれども、監修というのはどういう理由か知りませんけれども駄目になったという流れの中で、結局民間の本に載っているのをコピーしてもらうという状態が続いていたんですけれども、しかし私は、厚生労働省として正式に公費負担医療制度の一覧というのは出すべきだと、こういうふうに思っておりました。  それについては、出していただいたことは御努力は多としたいと思うんですが、ただ申し訳ないけれども、何遍も何遍も変更があって、有り難い、御努力は評価するし、徹夜でやっていただいたというふうな時間にもなっているようなことなんで感謝を申し上げたいと思いますけれども、ただ本当に把握できているのかなということが率直に言って不安になりまして、やはりこの医療の制度を変えるときに全体を見詰めて、そしてこの部分をこう変えていくということがやっぱり基本であるべきだと思うんですが、この公費負担医療制度一覧に出てくるものも、もう本当に何遍も何遍もファクスをいただいて有り難いことであるんですけれども、これは前のはここが修正がありました、ここが修正ありましたということで、最終版ですというやつにも後にもまた最終版がもう一個来たりして、それは感謝しておりますけれども。  やはり私も欲しいと思っていたのを専門の方々が欲しいと思われなかったのかということにも突き当たっちゃうんですけれども、やはり要は、医療制度全体を見詰める中で公費負担医療制度の中でここはどうなのかという、そういう視点からやっていかにゃいかぬことだと思うんですけれども、それが欠けていたということが一つの証左として私は見られたと思っておりまして、そういった意味で、私は医療制度全体の改革ということを行うのであるならば、そういった中でこれを考えていくべきだということを申し上げておきたいということでございます。  そして、時間もありませんので、今回の自立支援医療ができたらこの公費負担医療制度一覧、これ出していただいたので結構です、これは現行のことなんですね、ですから、自立支援医療ができたときにはどうなるのかというやつを是非、そんなに時間掛かることじゃないと思いますので、次回の委員会辺りに提出していただけるようにお願いをしておきたいと思うんですが、いかがでしょうか。
  154. 尾辻秀久

    国務大臣尾辻秀久君) 今、先生がお出しいただいたというよりも、私どもが作りましたというこの資料でございます。これをまた障害者自立支援法が成立した場合にどうなるか、その場合にはまた改めてこの表を作り直せということでございますが、もちろん作り直しさせていただきます。ただ、先に申し上げておきますと、例えば身体障害者福祉法という、ここのところに障害者自立支援法という名前になるというようなことになろうかとは思いますが、いずれにいたしましてもちゃんと作り直させていただきます。
  155. 辻泰弘

    ○辻泰弘君 私がこれ出したと言っているんじゃない、厚生労働省のペーパーでございますから、そこははっきりしているわけで、そのことは、私が出したんじゃございません。それに厚生労働省が出すことに意味があったわけですから。ですから、是非今の点も加味したやつを出していただいて、是非委員会で配付していただくように御要請を申し上げておきたいと思います。  時間がだんだん迫ってきておりますけれども、その自立支援医療の中の更生医療についてお伺いしておきたいと思うんです。  前国会以来、そしてまた今回まで資料を出されておる中で、私はやはりどうしてかなと思ったことは、更生医療について前国会においてのモデルは、モデル的な利用者負担という中に人工透析の方々のやつが入っていたと、モデル3というやつにですね。今回の、この間の審議会等に配付された資料では、重度かつ継続に該当する方のケースが載せられていると、こういうことになっているわけです。しかし、全体を見るとなると、やはり重度かつ継続以外の方々負担がどうなるのかという部分もしっかり見詰めなきゃ駄目だと思うんですね。育成医療については一定の御見解を示していただいているわけですけれども、更生医療の部分が実は資料でも言及されていないということもあるわけなんですが、この少なくとも、モデル的なというのは何がモデルなのかということでもあるわけですけれども重度、継続以外の方々負担の変化というものもやはりケースで示すべきだと思うんですけれども、本委員会に示していただきたいと思うんですけれども、いかがでしょう。
  156. 中谷比呂樹

    政府参考人中谷比呂樹君) このモデルケースといたしまして腎透析の場合を示しましたのは、この更生医療で一番利用者が多いという通院医療だからでございます。それから、重度かつ継続以外の更生医療の利用者につきましては、自立支援医療対象外である一定所得以上の世帯に属する方を除きまして、原則として一割の定率負担と入院時の食費標準負担額を御負担いただくこととなっております。こうした中でも必要な医療が確保されますよう、低所得の世帯の方については月当たりの負担額に上限額を設定をし、無理のない御負担をいただくことになっております。  資料につきましては、また提出をさせていただきます。
  157. 辻泰弘

    ○辻泰弘君 やはりその重度、継続以外の方々のところで負担が急増するということによって受診抑制につながって症状が悪化するという懸念もあるのではないかという指摘もあるし、十分あり得ることだと思うんです。少なくとも、モデル的とかと言わないで、その分ももちろん現実にあり得るわけですから、そのことについてはやはり資料として、人工透析、重度かつ継続は示していただいていますけれども重度、継続以外の部分についてのモデルというのか分かりませんけれども、そういったところもお示しいただくように求めておきたいと思います。審議中に出していただきたいと、このように申し上げておきたいと思います。  それと、育成医療については激変緩和のことが示されて、後で時間があればお聞きしたいと思っていますけれども、ただ更生医療についても、その資料を見てからでないと分からないところもありますけれども、やはりかなり激変ということもあり得るんじゃないかと思うんですね。そういった部分についてはやはり育成医療と同じようにということにはならないのかもしれませんけれども、しかし少なくとも経過措置といいますか、激変緩和の措置ということも考えられてしかるべきじゃないかと思うんですけれども、その点についてどのようにお考えでしょうか。
  158. 中谷比呂樹

    政府参考人中谷比呂樹君) 今回の見直しにおきましては、障害者に係る公費負担医療につきまして持続可能な制度とするために、所得の少ない方などに配慮しつつ、原則として一割の御負担をお願いすることとしております。このため、今お尋ねございました更生医療につきましては、従来の所得に応じた負担から医療費と所得に着目した負担へと転換することに伴いまして、一定以上の所得のある方の一部に医療保険の自己負担限度額の御負担をお願いするような場面にも相なりまして、現在より負担が増える方もいらっしゃることは事実でございます。  しかしながら、障害に係る公費負担医療制度における負担仕組みの公平化や制度の安定化、持続性を高めるためには、費用を皆で支え合う制度へ見直すことが必要であると考えておりますので、こうした観点からは、一定負担能力のある方には応分の御負担をお願いせざるを得ないと、このようなことを御理解いただきたいと思います。
  159. 辻泰弘

    ○辻泰弘君 その重度、継続でない部分についての負担ケースというのを見せていただいて、改めて議論もさせていただきたいと思いますけれども、やはりその部分をしっかり見詰めて、やはり経過措置という部分もあってしかるべきじゃないかということを御指摘申し上げておきたいと、こういうように思います。  それで、育成医療についてもお聞きしておきたいと思うんですけれども、先般来、利用者負担上限についての考え方を示してきていただいているんですけれども、これはさきの国会答弁あるいは附帯決議等を受けての最終的な結論だというふうに受け止めてよろしいでしょうか。
  160. 尾辻秀久

    国務大臣尾辻秀久君) さきの御議論の中で、確かに育成医療については随分御議論いただいたところでございます。そしてまた、余りにも負担が大きくなり過ぎるんではないか、今までと正に激変するんじゃないかということも言われまして、そこで、率直に申し上げまして私も大変気になるところでございましたので、これは私どもなりの検討をして答え出さなきゃいけないというふうに思いましたので、今改めてこのところを申し上げておることにしたいというふうに申し上げております。  今のお尋ねで申し上げますと、確かに前国会の御議論を踏まえた私どもの答えであります。
  161. 辻泰弘

    ○辻泰弘君 この間も委員会答弁ありましたけれども、最終的な答えを言ってください。
  162. 尾辻秀久

    国務大臣尾辻秀久君) 数字の最終的な答えでございましょうか。  これは、経過措置の見直しにつきましては、まず激変緩和ということに重点化を置きまして見直しをいたしました。一番のところは中間層一、これは所得税非課税世帯でございますけれども、これについては上限額を一万円にする。それから、中間層二、これは所得税課税世帯でございますけれども、ここについて上限を四万二百円にするということを今申し上げております。
  163. 辻泰弘

    ○辻泰弘君 これは前国会でいろいろ経緯があった中で今国会示されたことだというふうに思いますけれども、その考え方の過程で高額療養費に張り付かないようにといいますか、それ以下に抑えようということで算式を作ったりされてきたわけですね。  今回の措置というのは定額になっているんだと思うんですけれども、定まった額ですね。ですから、そういう意味で、今後政府の方で高額療養費の上限額を、限度額を変えていくというふうな発想もあるやに聞いておりますけれども、それとは関係なしにこれは今後とも続くと、こういう理解でよろしいですね。
  164. 中谷比呂樹

    政府参考人中谷比呂樹君) この育成医療の激変緩和措置につきましては、定率負担部分に定額の上限額を設定したというところでございまして、現時点においてはこのような経過措置の取扱い、水準を変更するような特段の検討は行っておりません。
  165. 辻泰弘

    ○辻泰弘君 そういうことで、来年度のいろいろな高額療養費の見直しがあろうとも、これはこういうことでずっといっていただくということに理解をして、最後質問にしたいと思います。  それで、障害者方々にもかかわる問題で、生活保護のことを一点聞いておきたいと思います。  生活保護世帯の三五・八%が傷病・障害者世帯であるということでございまして、昨年秋以降、いろいろ国、地方の費用負担の割合の見直しという議論厚生労働省を中心になさってきたわけです。  時間があればゆっくりと御質問したいと思いましたけれども、申し上げておきたいと思いますのは、九月十五日に中間まとめという、生活保護費及び児童扶養手当に関する関係者協議会共同作業における議論の中間まとめというものが出されました。この中には大臣も当然入っておられるわけでございます。  そのまとめの中では、保護率は、要は、地域間格差があるわけですけれども、それは経済・雇用情勢や社会的要因が大きな影響を及ぼしているんだと、こういうことを言っているわけでございます。すなわち、去年の発想は、地域間格差があるので、地方に負担を求めて、地方にその辺をしっかりと、格差をなくすようにしっかりやらせようと、こういうような発想があったと思うんですけれども、この地域間格差は失業率や高齢化、離婚率との相関関係が高いんだと、こういうふうな報告になっている。そしてまた、全国平均で見れば、高齢者世帯、傷病・障害者世帯が八割を超えている現状においては、就労自立支援が保護率を低下させる効果は限定的であると、こういった報告にもなっているわけなんです。  ですから、去年の厚生労働省が立てられた、地方が自主、独自性を生かした自立就労支援を実施する制度に転換していくんだと、こういったことで四分の三の負担を三分の二に下げて地方の負担を増やす中で、地方にそういったことを取り組ませようというその発想の根底といいますか論拠が、この報告では、最終報告ではありませんけれども、崩れたというふうに私は思うわけなんです。  その点についてと、それから、そういった問題点と同時に、この負担割合の変更というものについて、政令指定都市の皆さんが、けしからぬということでデータ報告を停止されているということがあるわけですね。それが実際に引下げになったときには、国の負担が引下げということになったときには、生活保護事務の国への返上も辞さずと、こういった姿勢を示していらっしゃるわけですけれども、このことをどう受け止められて答えを出していかれるのか。私としては、やはり憲法にも基づく生活保護の分野でございますから、国の責任はしっかり果たせということと、シビルミニマムの領域にかかわることですから、やはり混乱はもたらすべからずと、このように申し上げておきたいんですけれども、そのことについてのお取組方針をお伺いしたいと思います。
  166. 尾辻秀久

    国務大臣尾辻秀久君) 今お話しの協議会でございます、すなわち、生活保護費及び児童扶養手当に関する関係者協議会というものが四月に設置されまして、今ここで議論をいたしておるところでございます。お話しのとおりに、当然私もメンバーでございますし、今むしろ私は座長役みたいなことをさせていただいておりますので、皆さんの御議論を今いただいておるということでございます。  御議論のさなかでございますから、今答えがどういうふうになるかというようなことについて私が申し上げるということは、特に座長役みたいなこともいたしておりますので、答えを申し上げることは避けさせていただきたいと思いますが、すべてまだ議論のさなかであるということだけは申し上げておきたいと思います。  今、中間まとめのお話もございましたけれども、そのことは、失業者等の経済・雇用情勢、高齢化等の社会的要因の影響についてという部分についてお話のような中間まとめがございます。ただ、その他、例えば地方自治体における保護の実施体制や取組状況等についてと、こういうところもあるわけでございますが、ここなどはもう中間まとめでもまだ完全に両論ございまして、いろんな意見があってとても取りまとめに至っていないというところでございますし、申し上げておりますことは、いろいろまだ議論のさなかでございますので、しっかり議論をしてというふうに申し上げます。  また、市長会の話もありましたけれども、代表も出ていただいて御議論していただいておりますから、当然そうした御意見もその中には反映されてくるということでございます。
  167. 辻泰弘

    ○辻泰弘君 厚生労働省はやはり人間の幸せを追求するその役所であらねばならぬと思っておりますので、どうかその精神を持ってお取り組みいただきますように申し上げて、時間が参りましたので、私の質問を終わらせていただきます。
  168. 岸宏一

    委員長岸宏一君) 午後一時二十分から再開することとし、休憩いたします。    午後零時二十九分休憩      ─────・─────    午後一時二十分開会
  169. 岸宏一

    委員長岸宏一君) ただいまから厚生労働委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、障害者自立支援法案を議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  170. 森ゆうこ

    ○森ゆうこ君 民主党・新緑風会の森ゆうこでございます。  まず最初に、今回の障害者自立支援法案に関しまして様々な議論が既になされておりますが、障害者に利用費の負担を求める前にまずはやることがあるのではないか、これが皆さんの大きな御意見だろうと思います。  障害者を一律に社会弱者とするのではなく、福祉サービスを必要とする方であっても、サービスに応じて利用者が、負担ができる方には負担をしていただくようにする、このことについて私もすべて否定するわけではございません。障害者皆さんに堂々と福祉サービスを利用していただくためにも必要な部分もございます。しかし、必要な福祉サービスの基盤整備をきちんと行うことなしに負担だけを求めるのでは、財源不足を障害者皆さんに押し付けていると批判されてもやむを得ません。そして、筋が通っているとは私は言えないと思います。今回の法案では、まずは利用者負担ありきという政府の姿勢があり、そのことについて甚だ疑問であります。そして、そうした姿勢が障害者皆さんの不安、そして不信を招いているのではないかと思います。  まず最初の質問なんですけれども、今回の法案で講じられる基盤整備を先に行い、問題点を整理し、そして改善するのが大前提ではないでしょうか。その上で負担在り方について検討していくのが筋ではないかと考えますが、大臣の御所見をお願い申し上げます。
  171. 尾辻秀久

    国務大臣尾辻秀久君) 今回の障害者自立支援法案は、障害福祉サービス契約に基づきだれもが利用できるものとして、他の契約による制度と同様に、契約した本人の受けたサービス量に応じた負担を求める仕組みに改めるものでございます。定率負担という言い方をいたしております。  ここについての今の先生のお話でございますけれども、私どもが繰り返しこの法案審議の中で申し上げておることでありますけれども障害福祉サービスに係る費用が増大をいたしております。これは、もう支援制度を今やっておりまして極めて大きく増大しておる。その増大し合う中でございますので、やはりその費用を皆で支え合うという観点に立ちまして、利用者負担を見直し、サービス利用者にも応分の負担をしていただきますとともに、在宅サービスに関する国の負担を義務的なものに改めるとしたところでございます。やはり国が義務的に出す費用だということだけは、まず明確にしておきたいというふうに考えておるところでございます。  また、その利用者負担の見直しと併せまして、障害種別にかかわらず市町村を中心に一元的に支援することによりサービス量を確保して地域格差を是正すること、また事業の実施主体について規制緩和を進めること、あるいはまた市町村及び都道府県に必要なサービス量の見込みを定めて、障害福祉計画の策定を義務付けまして計画的なサービス提供体制の整備を図ることなど、今申し上げておりますことは、このところ障害者施策で私どもがいろいろ問題があると考えておりますことをこの際整理をしようということで、その見直しを進めることといたしております。  これらの今申し上げたような見直しを総合的に行うことによりまして制度の安定性、公平性が高まりまして障害福祉サービスの基盤整備の充実が図られるというふうに考えますので、今申し上げておりますような見直しというのは、今後の障害保健福祉制度充実のためにどうしても必要なものであるというふうに考えておるところでございます。  そうした中で、利用者の御負担をお願いする、しかし過大な負担にならないように、月額負担上限額を設けることのほか、障害基礎年金のみで生活しておられる方や資産の乏しい方もおられるわけでございますから、そうしたことには考慮をいたしまして、各般の負担軽減措置を講ずることとしておるところでございます。
  172. 森ゆうこ

    ○森ゆうこ君 その次のちょっと二問ほど少し後に回させていただきまして、先週来この委員会で、今、現状のサービスは下がらないのか、きちんと確保されるのか等々、そのような質疑が繰り返されました。私は、先にその基盤整備を行って、その後に問題点を整理し、そして改善をして、そこで負担を求めていくべきではないかと、今ほど申し上げましたとおりでございますけれども。でも、厚生労働省、大臣の方としては、そうではないと、こういうことによって基盤の整備、サービスの基盤整備が図られるんだという御答弁なんですね。  それでは個々の、その基盤整備に係る個別の問題点について伺いたいんですけれども法案が通らなければとか、まあ厚生労働省が大分説明資料にこういう、私は、これ障害者団体の皆さんにも、法案が通らなければ利用者にとっては新たな利用者サービス利用が困難になるおそれがあるとか、それから大きな地域間格差はそのまま、精神障害者支援制度対象外のまま、ニーズに合ったサービスが受けられない状態が続くとか、何かほとんど私はむしろ恫喝に近いんじゃないかなと。これ、無理やり賛成して通せと言わんばかりの説明資料なんですが、この中に特に大きな地域間格差はそのままであると、だから今回の障害者自立支援法案を成立させてその地域間格差をなくしていくんだという御説明がありました。  ホームヘルプサービスについて伺いたいんですが、その地域間格差が発生している原因は何か、具体的に提示をしていただきたいと思います。そして、その具体的に提示された個別の問題点への解決策を私は数値目標も含めて提示をお願いしたいと思うんですが、いかがでしょうか。
  173. 中村秀一

    政府参考人中村秀一君) お答え申し上げます。  まず、ホームヘルプサービスについてお尋ねがございましたけれども、私ども、十月五日に障害福祉サービスの実施状況についての調査をまとめさせていただきました。  これは十六年十月の調査でございますけれども、やはり地域間格差がある大きな理由として、一つには、身体障害者ホームヘルプサービスは市町村にすると八二・六%の市町村が実施していただいておりますが、知的障害では六六・二%、精神障害については四九・三%と、まだまだ未実施の市町村もある。人口のカバー率でいいますと、市部がかなり人口カバー率が高いわけでございますので人口カバー率は高くなりますが、地域間格差という意味では未実施市町村があるなど、まだ一般的に言ってサービス量が少ない、全国にサービスが均てんしていないというのが一番大きなところではないかと思います。  在宅サービス、受けておられる方が二十六万四千人おられ、ホームヘルプサービス十万人でございますが、未実施市町村のことがある、あるいは精神障害がまだ対象になっていないと、こういうふうなことを考えますと、一番の原因としては障害行政、例えば、比較するのがいかがかとも思いますが、高齢者介護などと比較するとまだまだ、高齢者介護、一九九〇年に福祉八法の改正をし、ゴールドプランを盛り込み、市町村で計画を義務付け、数値目標も定めやってきたと、そういった点に比べますと相当立ち後れてしまったのではないかと、こういうふうに認識しているところでございます。  対応といたしましては、今度の自立支援法に基づきまして、まず三障害一元化し、市町村が責任を持ってやるという体制を確立いたしますし、また障害福祉計画を作っていただき、三年ごとに一期として基盤整備に取り組んでいくという体制が整いますし、何よりも在宅サービスにつきまして、今までの制度ですと国が負担義務がなかったものを、国庫負担も義務化するということで国の責任も更に明確になると。  こういったことで、これまで以上にホームヘルプサービス中心に在宅サービスが伸びるということ、また全体的に障害者の福祉施策が進むと考えております。例えば、十八年度予算でも、在宅サービス予算については三割を超える伸びの概算要求をさせていただいているところでございます。
  174. 森ゆうこ

    ○森ゆうこ君 数値目標はいかがですか。そして、その地域間格差が発生している原因についてすべてを、主なものすべてをお答えになってはいないと思いますけれども、大切な問題落とされているんじゃないでしょうか。
  175. 中村秀一

    政府参考人中村秀一君) 私どもようやく、十六年十月時点ではございますが、障害福祉サービスの実施状況もまとまりました。十八年十月実施を目指しまして市町村にも障害福祉計画を作っていただく必要がありますし、また法律が通りましたら新しいサービス体系、これは五年掛けて移行していくことになりますが、そういうサービス体系に向けての作業もございます。五年間の間、暫定的な現行サービスに対する言わば報酬も決めていかなければなりませんし、事業者の方に移行していただくために新しい体系をお示しし、新しい報酬単価を定めるとともに、従来の、今やっておられるサービスも動くことが必要でございますので旧単価も定めると。  こういった作業をしていく中で、現在のサービス状況、それからこれから必要とされる、全国的に必要とされる障害者福祉サービスの目標を定めまして、国として基本方針というようなものを作っていかなければなりませんので、そういった際に、数値目標と申しますか、ガイドライン的な計画の策定指針というようなことも作っていく必要があると考えております。
  176. 森ゆうこ

    ○森ゆうこ君 私がお聞きしたいのは、地方自治体、この説明資料ですけれども、地方自治体にとって、財政不安を抱えたままとなり事業が安定的に実施できない、それから義務的経費化ができないことに伴い大きな超過負担が生ずる可能性、支給決定については透明、明確なルールや手続がないままと、こういうふうに書いてあるんですけれども、先般来、これまで指摘されてきた中で、私は大事な、もう一つここに書いてない重要な問題点は、要するにサービス基盤が整っていない、それから市町村の取組のその意気込みが足りない等々指摘されておりますけれども、もう一つ最大の問題点は、財政力の弱い地方、地域ではサービスが進まない、進んでいないという現状があるわけなんですけれども、この問題が非常に大きいと思います。  伺いたいのは、今回のこの、まあ義務的経費化ということは一部評価できますけれども、肝心の財政力の弱い地域のこの問題、それによって生ずる、サービス基盤が整わない、サービスが提供されないという、このような問題は解決されるかどうかということを伺いたいんです。それに対する具体的な解決策は示されていますか。お答えいただきたいと思います。
  177. 中村秀一

    政府参考人中村秀一君) お答え申し上げます。  障害者施策につきまして地域間格差があると、こういうことが指摘され、基本的にはまだサービス基盤が少ないんではないかというお話もいたしました。  それからもう一つ、今度の自立支援法では支給決定のプロセスの、支給決定の透明化、明確化、支援の必要度に対する客観的な尺度の導入、支給決定プロセスの透明化を図らせていただくということを申し上げました。  こういうことを実施しますと、地域においてニーズがあるということが客観的尺度としても顕在化いたしますので、そういったことがサービスの少ない地域などに、まず何よりも市町村が自分の行政として、障害者行政を我が行政として取り組んでいただくということが大事であり、計画策定をお願いしますけれども、もう一つ、やはり今度は契約になるわけですからサービス受けたい人はサービスを求めると。それはそういう動きが出てくるわけで、その際、そういったサービス求める人の支援の必要度に対する客観的な尺度の導入といったこともでき上がってくると思います。  財政力の問題がございましたけれども、そういった意味で、現に費用の、運営費の、言わばランニングコストの二分の一が国の負担になり、四分の一が都道府県負担となるという仕組み導入いたしますし、また基盤整備につきましては施設整備なども行っておりますので、従来、高齢者介護の例を引きますと、必ずしも財政力、いわゆる一般的な自治体の財政力が乏しいからサービス基盤が少ないというような形はございませんで、ある意味で、ホームヘルプサービスにいたしましても、介護保険と比較いたしますと、やはり障害者ホームヘルプサービスの地域間格差の割合が高いということでありますので、そういった意味では、今度の国庫負担の義務化とか、そういう今の言わば運営費の負担制度、それから施設整備の助成と、そういったことで、財政力がいわゆる一般的に弱い市町村でも障害行政にきちんとしたプライオリティーを置いていただければ基盤整備は進むのではないかと考えております。
  178. 森ゆうこ

    ○森ゆうこ君 障害者福祉の現場は、地元の現場の皆さんのお言葉をおかりしますと、きれい事では済まないと、一番お金の掛かる分野なんだというお話でございます。これは現場に携わる皆さんの言葉です。  局長はどうしてもそういうふうなお答えしかないようなんで、大臣に伺いたいんですけれども、今の同じ質問です。  私は、この地域間格差が発生している最大の原因はその財政力の差であるというふうに、そういうお話はされてこられたわけですので、今の局長の御答弁のように間接的には課題の解決策を提示されているわけですけれども、じゃ本当に肝心なところが、解決策が具体的に示されずに本当に大きな地域間格差、これは埋まるのかという懸念は払拭できないと思いますので、大臣に一言御答弁いただきたいと思いますが。
  179. 尾辻秀久

    国務大臣尾辻秀久君) 今、私の手元ホームヘルプサービス利用者数の各都道府県別の数字がございます。これで地域格差のすべてではありませんけれどもホームヘルプサービスでございますので、地域格差を表すものの一つであることは間違いございません。  それで見ておりますと、確かに異様に高い数字を出しておりますのが大阪府でございますから、財政力という今の御指摘でいえば、ここの分はそれなりに当たっておるんだろうと思います。ただ、そのあとのいろんなところの都道府県の数字を見ますと、例えば大きなところで和歌山県、島根県あるいは宮崎県、沖縄県といったところが全国平均よりも高いところにございます。こうしたところを見ますと、今先生のお話のように、必ずしも財政力ということがそのまま現れておるのでもないだろうというふうに思います。  ただ、それはそれといたしまして、地域格差を直したいということを、小さくしたいということを私どもは言っておりますので、これに対してきっちり対応しなきゃいけない。そのためにも、まず基本的に国からの出し方を義務的経費とするということで申し上げておるわけでございます。  また、それに対するそれぞれの地方団体の持分につきましては、もちろん交付税で見てあるわけでございますから、そうした面では負担、特別の負担になるわけじゃありませんので、後はまあきっちりその気になるかならないかということで、今度の障害者自立支援法案を提案し、これを成立させていただけば、そういう意味でもまた大いに前進するものと考えておるところでございます。
  180. 森ゆうこ

    ○森ゆうこ君 かつてでありましたら、今のような大臣の御答弁でもある程度分かります。じゃ、地方交付税でしっかりとやってくださいというふうに、じゃ終わりというふうになると思うんですけれども、いや、そういう状況じゃないでしょう、今。三位一体の改革といいながら地方交付税ばっさばっさ切られているわけですから、そういう答弁持って帰れません、私、地元には。申し訳ないんですが、地方選出の議員としましてはそういう話ではもう通らないんですけれども、いかがでしょうか。
  181. 尾辻秀久

    国務大臣尾辻秀久君) 今の支援制度のままではますます今お話しのようなことになるというふうに考えますので、私どもは是非、支援制度から更に障害者自立支援法に変えて地方にもお願いをするという姿勢になっておるわけでございますから、より前進させるためにこの法案をお願いしているということを申し上げておるところでございます。
  182. 森ゆうこ

    ○森ゆうこ君 今のやり取り、なかなか行ったり来たりであれなんで、ちょっと質問を次に進ませていただきますけれども、それでは来年度の障害福祉の概算要求額とその積算根拠について提示をしていただきたいと思います。
  183. 中村秀一

    政府参考人中村秀一君) 平成十八年度の概算要求でございますが、障害保健福祉関係予算につきましては総額で八千二百三十七億円、対前年比七百十二億円増、九・五%増でございますが、この自立支援法関係で申し上げますと、福祉サービスにつきましては一〇・八%増の四千百四十三億円を要求いたしております。居宅分につきましては、内訳でございますが三二・六%増、施設につきましては四・一%増で要求をいたしております。公費負担医療でございます自立支援医療につきましては一〇・七%増の七百二十四億円、それから、法案関係では地域生活支援事業、これは半年分で二百億円、満年度にいたしますと四百億円規模になりますが二百億円、そういった半年分で二百億円、これを計上いたしております。そのほか、自立支援法の関係経費といたしまして、社会福祉法人等減免事業がありますので、そういった経費でございますとか、様々な所要経費で百五十億円を計上しているというのが主なところでございます。
  184. 森ゆうこ

    ○森ゆうこ君 今の御説明を聞きますと、例えば在宅支援の関係で三十数%増というふうなお話があると、ああ、厚生労働省もようやくやる気になったのかというふうに思うのかもしれませんけれども、私は、今回の概算要求の特に今のお話ホームヘルプサービス等に関しましては、実際には三二・六%増というふうにお話があったんですけれども、その積算根拠をきちっとお示しいただきたいんですよ。どのような根拠に基づいてそのパーセンテージが出てきたのか、その数値が出てきたのか。後の質問にもかかわるんですけれども、一応今の段階でその件についてお答えいただきたいと思います。
  185. 中村秀一

    政府参考人中村秀一君) 今度の法律改正に基づきまして、自立支援給付、福祉サービスにつきましては介護給付や訓練等給付などを想定しているわけでございますが、支援制度導入して以来の在宅サービスの利用の増加、これを踏まえまして基本的な考えを申し上げますと、十八年度においては対前年、新しい自立支援法案が成立しているということを前提にいたしまして三二・六%の増加を見込んでおります。  それから、公費負担医療につきましては主として更生医療、それから精神通院医療利用者の増加を見込みまして計上しているところでございます。  また、地域生活支援事業につきましては、障害者方々の移動のサービスの問題、それから相談支援事業など地域生活支援事業として様々な事業、権利擁護事業など市町村、都道府県に地域生活支援事業として多くの事業を必ず実施していただかなければならない事業として位置付けておりますので、その所要財源が確保されるよう努力をしているところでございます。
  186. 森ゆうこ

    ○森ゆうこ君 そうしますと、この法案が通ったのを前提にというふうに先ほどおっしゃったんですが、サービス供給見込額等を具体的に、ある程度その地域を調査してもらって、ホームヘルプサービスの具体的なサービスの供給見込額というものをあらかじめ提出してもらって、それに基づいて積算されてそういう金額が出てきたということではなくて、大体前年度比でこれぐらいは増やさなければいけないだろうという単なる机の上の計算で出てきた数字でしょうか。そこだけ確認さしてください。
  187. 中村秀一

    政府参考人中村秀一君) お答え申し上げます。  十八年度の概算要求については、今基本的には委員御指摘の方法でやっております。望ましいのは、市町村、都道府県ごとに必要なサービス量の見込みを踏まえ、計画的な整備をするということが必要になりますが、正にそれは今度の自立支援法の中で市町村、都道府県に障害福祉計画を策定していただく、その仕組みがそのようになっております。  そういった障害福祉計画の策定が全国的に進みますと、三年計画でローリングすることになりますし、言わば下から積み上げたニーズの見込みが出てまいりますので、国としては、逆にそういったニーズを踏まえながら、更に中長期的な障害福祉の言わば基盤整備計画、あるいは毎年度の予算要求などはそれを踏まえて実施するというようなシステムに変わっていくと思います。それは、例えば介護保険の計画なり介護保険以前の老人保健福祉計画が正に、以前は措置費でございましたけれども、中央官庁の言わば予算要求で決まっていたものが、地域の計画の積み上げによってニーズを踏まえた言わば基盤整備に変わってきたという、一九九〇年代のプロセスが障害行政のところでも実現するのではないかと考えております。
  188. 森ゆうこ

    ○森ゆうこ君 済みません、今のところね。私としては一番こだわっているところなんです。支援制度導入された、そしてわずか二年の間に今度はこういう形になるということで、その当初の計画自体、机上の空論であってきちんとした予算措置講じていなかったのではないか。  今局長おっしゃいましたように、介護保険はその地域の実情を調査して介護認定、実態調査して、あらかじめ介護認定を大体これぐらいになるだろうと、そしてサービスの供給量はこれぐらいになるだろうと、そういうことを地域で全部調査をし、そして計算をして、向こう三年間の介護の供給量を見込んで、そしてそこに掛かる経費を計算し、それを第一号被保険者が大体幾ら払うのか数式に入れて、そして計算して保険料を決めてということを全体的にやって、そしてその予算も作っていくという形なんで、そういうことからしますと、今回のはまた支援費の二の舞になるんじゃないか。大体こんなものだろうと、大体三二%、予算、概算要求を上乗せすれば、まあ取りあえずは格好が付くかなというふうにしか私聞こえないんですけれども。  本来、そのサービス供給の見込額というのはそうやって積み上げないと分かんないんですよ、きちっと調べないと。その上で初めて幾ら、そのサービス提供するために国は幾ら負担し、そして地域はどれだけ負担しなきゃいけないのかというのが出てきて初めて予算が組めるんであって、また支援制度の二の舞になっちゃうんじゃないですか。幾らこの自立支援法案やって、これが成立しなければ予算は付きません、だから成立させなさいとかと言ったって。  そういうきちっとした積算根拠がないのに、それでしっかりとした予算を確保します、確保します、サービスは下がりません、下がりませんという、そういうあいまいな答弁をしていただいてもちっとも納得できないんですが、この点についてはいかがでしょうか。
  189. 中村秀一

    政府参考人中村秀一君) お答え申し上げます。  森委員がおっしゃるようなスタイルに変わっていくことが望むべくスタイルだと思いますし、介護保険のそういう言わば基盤整備のスタイルを見ましても、そういう方に、障害者行政も市町村が責任を持ち、自分の住民の政策だということで正面から受け止めて実施していただくことが課題だと思います。  そういった観点からすると、市町村数でいいますと、身体障害者ホームヘルプサービスもまだ八二・六%の市町村の実施でございますし、市町村の数だけで申し上げますと知的障害も六六・二%ということで、地域格差、冒頭にも申し上げましたように、まだまだ市町村の行政としてもきちんとその部分について取り組めていけていないということがまず第一の問題点だと考えております。  したがって、今度の法律で市町村の事務として正面から受け止めていただき、今委員がおっしゃったような計画策定もしなければならないということも義務付けをし、そういう作業をしていく中で、計画を作る上では当然市町村として障害者の方のニーズをどう把握し、きちんと把握し、それにどうこたえていくかというサービス提供計画も作らなきゃならないということなので、正にこの法律が成立して今委員がおっしゃった形が整うのではないかと思っております。  我々もそういうことで地域で必要なサービスについては確保できるように予算を要求していかなければなりませんし、少なくとも市町村が実施主体でございますので、市町村が実施されました自立支援のための給付自立支援のための医療の給付については、国としては要した費用の二分の一はきちんと負担させていただくというお約束を今度の法律でさせていただきますので、そういった意味で、支援制度いろいろ問題があって御迷惑をお掛けしておりますが、その欠陥を、残念ながら欠陥があるわけでございますので、その欠陥を克服する法律だと、こういうふうに考えて提案をさせていただいているところでございます。
  190. 森ゆうこ

    ○森ゆうこ君 私としては、ちょっとその説明では納得できないんですけれども。  じゃ、ちょっと確認させていただきたいんですけれども障害福祉サービス定率負担、ちょっと質問項目飛びますけれども、今の流れからいってここへ行かざるを得ないんですよ。定率負担食費光熱水費等の実費負担制度導入する以上、将来必ず基礎的な介護サービス介護保険制度から支給することになるというふうに理解してよろしいんでしょうか。私、今回のこの今日の審議の中でここが一番関心があるんですけれども、そういうふうな理解でよろしいんですか。
  191. 尾辻秀久

    国務大臣尾辻秀久君) これは再三御答弁申し上げておることでございますけれども定率負担をお願いする、そしてそれを一割負担をお願いするということは、いろんな理由もあるんですが、大きな理由の一つに全体の制度の中での整合性ということを言っております。そして、そのときに私どもが一番意識いたしておりますことは介護保険であるということは、もうこれもまた申し上げておるところでございます。  したがいまして、介護保険の普遍化ということはもう既に議論があるところでありますし、この前の介護保険の見直しの際にもそのことはいろいろ議論を賜ったところであり、まあ私どももそのことも検討いたしましたけれども、まだ御議論が煮詰まっていないという判断をいたしましたために今回の見直しの中にはそのことは入れませんでしたけれども、今後の見直しの中で必ずそのことは検討しますということも言っておるところでございますので、まあとにかく、いずれ介護保険の普遍化ということは少なくとも議論になってくる。そのときに、今度の障害者自立支援法でその介護部分をそうした介護保険でということはあり得ると思いますので、私たちはそのことを念頭に置いた障害者自立支援法を意識しておるということだけは申し上げておきたいと思います。
  192. 森ゆうこ

    ○森ゆうこ君 ちょっと分からないんですけれども、要するに今の私の質問についてはどうなんですか。そういうふうに将来必ず基礎的な介護サービス介護保険制度から支給するということになるということでいいんですか、悪いんですか。可能性はあるけれどもどうなるか分からぬと、そういうことですか。どっちなんですか。
  193. 尾辻秀久

    国務大臣尾辻秀久君) 今の御議論介護保険制度の被保険者、受給者の範囲についての御議論でございまして、これは前国会におけるこの委員会の附帯決議におきましても平成十八年度末までに結論を得られるように検討をすると、行うということにされております。  したがいまして、御議論いただくことでございますので、私が今そのことに結論的に申し上げるわけにはいかないと思いますので、御議論を待ちますということになりますけれども、当然そのことを念頭に置かざるを得ない。私どもは、それを見込んでおると言うとちょっと言い過ぎかもしれませんが、そのことを意識して今回の障害者自立支援法をお願いしておるということは確かでございます。
  194. 森ゆうこ

    ○森ゆうこ君 ここをはっきりさせないまま、例えば今も大臣がおっしゃいました被保険者と受給者の範囲の問題もありますね、介護保険。様々な問題点が指摘されているわけですけれども、その部分の改革を先送りして利用者負担定率負担だけを導入すると、こういう、これが私は問題だと思うんですね。ですから、介護保険との関係を整理することなく、その定率負担食費光熱水費実費負担だけを先行して求めることが本当に障害者皆さん理解を得られるんでしょうか。このことについていかがですか。
  195. 中村秀一

    政府参考人中村秀一君) 今、介護保険と言わば自立支援法も含めました福祉制度との関係について御議論がございましたので、私の方から事実関係のお答えをさせていただきます。  まず、介護保険制度と福祉制度自立支援法もそのように構成されておりますが、その関係整理につきましては整理が付いております。介護保険制度が一般制度介護といたしましては、介護部分につきましては一般制度でございますので優先適用されるということで、その部分介護保険制度が適用される方についてはその介護保険制度が適用される部分、福祉制度は引っ込むと。こういう整理は、今の支援制度でもそう整理されておりますし、自立支援法でもそのように整理されております。  身体障害者の方の六割が六十五歳以上の方でございますので、現に身体障害者で六十五歳以上の方は、あるいは知的障害者でも六十五歳以上の方で要介護認定該当、介護保険の要介護認定該当された方は現在でも介護保険制度が使えますし、その限りにおいて支援制度はその部分は引っ込むと、こういう整理になっております。支援制度、また自立支援法の方も、介護保険で足りない部分がありましたら上乗せなり横出しをして重度の方などに対応するということになっておりますので、そういった意味では介護保険制度と福祉制度の関係は整理されております。  ただ、介護保険制度、御承知のとおり、原則六十五歳以上の方ですので、介護保険制度の方がそういう一般制度ではありますけれども制限しておりますので、六十五歳未満の障害者の方で要介護認定受ければ認定される方も今はその介護保険制度が使えないという関係になっているわけでございます。  この関係整理、介護保険の年齢を下げるかどうかということについては、大臣からお答えしたとおり、十八年度末までに結論を出すことといたしておりますが、そういう関係整理が付いていることを念頭に置き、六十五歳以上の方は適用されていますけれども、その下の人は今介護保険は適用されていないという上で自立支援法を作らしていただいておりますので、自立支援法をどう作るかにかかわりなく、介護保険の方で年齢が下がってまいりますと、その部分自立支援法の方はまず介護保険に譲った上で、さてその先、自立支援法としてどうするかということを、どう上乗せ、横出しもするかどうか。するというふうになっているわけですけれども、どの程度上乗せ、横出しをするかということなどについて調整すればよいというふうな整理になっておりますので、決して一割負担とか定率負担とか、そういったものを先取りしてとか、そういう話ではなく、ここは障害者の福祉制度としてまずどうあるべきかということを考え、将来、福祉サービスが、今も伸びているわけですが、更に伸びるということを念頭に置いて、皆さんで支え合うという原点に返って今の定率負担をお願いしているということでありますので、御理解賜りたいと思います。
  196. 森ゆうこ

    ○森ゆうこ君 逆に私混乱しちゃったんですけれども、今の説明聞いて。  あれですか。もう障害者福祉は税ではなくて保険の方にウエートを置いていくんだと。要するに保険なのか税なのかということからすると、どっちの方向に行くんですか、これは。
  197. 中村秀一

    政府参考人中村秀一君) お答え申し上げます。  例えば、医療の方で考えていただいてもそうなんですが、まず医療保険がありますので医療保険が適用されて、その保険優先で、残りの、残りと言っちゃあれですが、医療保険の例えば利用者負担とか、そういったところをどうするかというところで公費負担医療が出てくるという制度になっております。  したがって、介護につきましても、一般的な制度として介護保険制度がありますので、介護保険と障害福祉制度の整理は、支援制度もそうでございますが、介護保険制度をまず適用し、介護保険制度で足りない部分などがありましたら、そこのところについては支援制度現行制度でいえば支援制度が出ていくと、こういう言わば保険優先の整理になっているということであります。  今はたまたま介護保険が六十五歳以上に介護保険の方で自ら縛っておりますので、この保険優先の世界が六十五歳以上にのみあるということでありまして、年齢問題というのは、年齢が引き下がってくると保険優先の世界というのは広がってくるということで、障害者の方は介護保険を使った上で、障害者行政として一般制度介護保険ではきめ細かくない部分、足らない部分、特別な部分、ボリュームが要る部分、そういったものに構成できると、特化できると、こういうことではないかと考えております。  あくまでも介護保険と障害福祉制度というのは、統合とかそういった問題ではなく、一般制度と特別制度の適用関係だと、こういうふうに申し上げたいと思います。
  198. 森ゆうこ

    ○森ゆうこ君 ちょっと今のところ、必ずしもああそうですかと完全に理解できたわけではないんですけれども、少しその理解を深める意味でも、先に少し介護保険制度との違いについてもう一回整理させていただきたいと思うんですけれども。  ケアマネジメントという言葉についてキーワードとして少しお聞きしたいんですが、まず支援制度導入するときにケアマネジメントというのが制度化されませんでしたが、その理由をまずお聞かせいただきたいと思うんですが。
  199. 中村秀一

    政府参考人中村秀一君) お答え申し上げます。  支援制度をつくるときにケアマネジメントをどうつくるかという、どうするかということは議論がございましたけれども介護保険の方は言わば支給限度額というのが決まっておりまして、その限度額、市町村の方は要介護認定を利用を希望される方にはしていただきます。その要介護認定に該当された方は、要介護度に応じました支給限度額がございますので、その範囲内でサービスを選ぶことができるということで、市町村は利用者ごとに要介護度を決定するだけだと、介護保険。それで、あとは、与えられた範囲内、例えば要介護五ですと月三十数万円サービスが使えるということになりますので、あとはそこのところはケアマネジャーさんと相談してその範囲内でサービスを組み立てると、こういうことでございました。  支援制度はそうではございませんで、支援制度の構成は、市町村が利用者ごとにサービスの種類と量を自分で決めると。種類と量が決まりました後、利用者さんはその決定に基づきまして事業者さん、事業者との契約によりサービスを利用すると、こういう仕組みでございましたので、もう市町村の方が種類と量を決めるという仕組みになっておりましたので、介護保険のような言わばケアマネジメント制度、ケアマネジャー制度、こういったものを取らなかったと、こういう経過でございます。
  200. 森ゆうこ

    ○森ゆうこ君 私もそのように理解しております。もう根本的に違うと。介護保険は支給限度額があるんですね。その中でどうやってサービスを組み合わせていくかと。その中で、先ほども申し上げました、予算の面でいってもサービス供給量、どの程度になるかと。しかも、これは向こう三年間見通して組み立てていろいろ積み上げて、そしてその結果、保険料それから予算等も決まってくると。これが介護保険の世界ですよね。  今ほど局長からも御説明がありましたように根本的に違うということでケアマネジメントの制度化は前回なされなかったわけですが、それでは今回の自立支援法案、仮に成立いたしましたとして、今現状あるケアマネジメントにおける介護保険制度との違い、まだまだ残ると思うんですが、そしてまた関連してケアマネジャーの現状、それから問題点があればどのように克服していくのか、お答えをいただきたいと思います。
  201. 中村秀一

    政府参考人中村秀一君) お答え申し上げます。  支援制度のやってみた問題点といたしまして、まず、先ほど来申し上げておりますように、どうも支給決定のプロセスに少しきちんとしたところがなかったと。例えば、市町村が先ほど申し上げましたようにサービスの種類、量を決定すると、こういうふうに申し上げましたけれども支援の必要度に対する客観的な尺度というものが必ずしもなかった。だから、市町村ごとにどういう人にどれだけのサービスをするかということについて必ずしもきちんとしたルールを作っていなかったと、こういう問題を我々は感じております。  そこで、障害程度区分の判定をするという制度を、今度、障害者自立支援法の方では障害程度区分を導入いたしますので、今度、市町村の方では従来の支援制度と同様、利用者ごとにサービスの種類及び量を決定させていただきますが、その際、利用者像を明確にし、その利用者像、つまり障害程度区分あるいはその置かれている方の状況、周辺の介護の体制、そういったことなどを踏まえまして種類及び量を決定させていただくということで、支援制度よりももう少し進んだ形を一つ構築しております。  もう一つは、支援制度では、先ほど、市町村が決定するからといって介護保険のような個別のケアマネジメントは導入しておりませんでしたけれども、やはりどうも相談支援体制に問題があるということで、すべての方ではございませんが、特にサービス利用計画、個別の計画的なプログラムに基づく支援が必要な方についてはサービス利用計画を、自立支援法の方でお金も出して個別のサービス利用計画を作成すると、こういう制度にいたしました。  そういうことをやっていただきます相談支援事業者を都道府県が指定し、その方々に個別のサービス利用計画も作成していただくということで、言わば介護保険のケアマネジャー制度介護支援専門員として指定してすべてのサービスをすると。  それから、給付管理、上限がございますので給付管理を行うというところまではいきませんが、支援制度に比べますと介護保険制度のケアマネジメントにやや近い部分も出てくるというような見直しを行っております。
  202. 森ゆうこ

    ○森ゆうこ君 この件に関しては、先日、中村委員に対しての御答弁の中で、委託相談支援事業者の指定基準ですとか、それから今ありました相談支援専門員の研修等による質の確保等々、御答弁いただいているわけですけれども、新たな、要するに、例えばケアマネジャーのレベル何とかとかという新しい資格をお考えなのでしょうか。その辺についてお答えいただきます。
  203. 中村秀一

    政府参考人中村秀一君) 今のところと申し上げますか、今のところ、従事する人の資格化というようなこと、法律の中で、例えば介護保険の介護支援専門員というのは正に介護保険法の中で資格化されておりますが、そういった意味障害者自立支援法の中でここの部分についての資格化はなされていないという状況でございます。
  204. 森ゆうこ

    ○森ゆうこ君 今、法案の中でされていないということですが、今後そういうことも考えておられるのかどうか。  それから、続けて質問しますけれども、そうしますと、今の一連の中で、障害者自立支援法案が成立しましたら、市町村は介護認定審査会と障害者に係る市町村障害者区分の審査会ということでその両方を運営しなければならないことになるのでしょうか。続けてお答えいただきます。
  205. 中村秀一

    政府参考人中村秀一君) お答え申し上げます。  まず最初の方の相談支援事業者、それの件でございます。  介護保険のケアマネジャーのように現在資格化は、今の法律で資格化されていないと、こういうことを申し上げました。ただ、介護保険の議論のときもそうでございましたが、やはりこういうマネジメントをする方の力量というのは非常に大事でございますので、そういった意味で非常に高い資質を求めていきたいと考えております。現在は研修を実施しておりますが、まずはそこのところの充実強化ではないかと考えています。  二つ目の認定審査会の件でございますが、この自立支援法の方で市町村審査会が設置されます。これは、市町村の役割がサービスの種類と量を決定するという意味では介護保険よりも市町村の責任が重大でございます。手続や基準の透明化、明確化を図るために障害者の方の心身の状況について専門的な見地から客観的な判定をしていただく、また市町村が作成した支給決定案の合理性、公平性について意見を述べると、こういう役割でございますので、結論から申し上げますと、介護保険と同じというふうにはまいりませんので、障害福祉制度独自のものを置いていただく必要があると思います。  ただ、市町村の立場に立つと、大変業務量も増えるということになりますので、委員の方については、障害保健福祉の有識者であれば、中立公平な立場で審査を行える場合には両方の審査会を兼ねていただくとか、そういう実際的な配慮はしたいと思って、兼ねることもできるという配慮はしたいと思っておりますが、制度的には介護保険の認定審査会とは別の審査会をお願いしたいと思っております。
  206. 森ゆうこ

    ○森ゆうこ君 今のお話ですけれども、市町村の立場に立てばという、確かにそういう配慮も必要なんですが、一方、先日、専門家である朝日先生の方からも御指摘ありましたように、特に精神障害者の方に関する、そういうそもそも障害区分認定というものは非常に難しいというお話もありました。その辺のところは難しいと思うんですね。御配慮をお願いを申し上げたいと思います。  一点確認なんですけれども、六十五歳以上のそうしますと障害者は、要介護認定と障害程度区分認定の両方を受けることになるんでしょうか。
  207. 中村秀一

    政府参考人中村秀一君) お答えを申し上げます。  介護保険の方から見ますと、例えば身体障害者手帳をお持ちであるかないかとか、そういったことは一切介護保険の方では言わば制度的には無関係でございますので、六十五歳以上の障害者の方が要介護認定を、介護保険の要介護認定を受けられて、要介護認定で例えば要介護度三となる。要介護度三の支給限度額の中でその方の必要とするサービスが受けられていると。そこで、自分はそれですべて支障がないと。こういうケースにつきましては自立支援法の方の認定を、障害程度区分の認定を受けていただく必要はないと思います。介護保険のサービスで足りないということで自立支援法サービスを請求したいというようなことになりますと、そこは障害程度区分の認定を受けていただくようになるというふうに考えております。
  208. 森ゆうこ

    ○森ゆうこ君 それはどなたが判断されるんでしょうか。
  209. 中村秀一

    政府参考人中村秀一君) 実際、利用者の方御自身が判断されることになります。御自身が判断される、自分が更にサービスを受けたいと、介護保険のサービスを超えて障害者自立支援法サービスを受けたいと、あるいは介護保険にない訓練等給付サービスなどを受けたいと、こういった場合には、御自分で決めてその申請を市町村の方にしていただくということになります。  ちなみに実情で申し上げますと、余りデータがなかったんですが、一度、介護保険と六十五歳以上の身体障害者の手帳をお持ちの方とのサービスの利用状況を見ますと、六十五歳以上の方でホームヘルプサービスなどを受けておられる方は、かなりの部分介護保険だけのサービスを受けておられるというような推計結果が出ております。それはなぜかというと、介護保険の方のサービスを使われている割合と、支援費の六十五歳以上のサービスを使われている割合を比べると、六十五歳以上の方の支援費のサービスの利用が極端に少ない。しかし、人数的に申し上げますと、六十五歳以上の身体障害者の方が六割以上でございますので、明らかにそれは六十五歳以上の身体障害者の方は支援費のサービスを使われず介護保険のサービスのみを使っているということが推計されたからでございます。
  210. 森ゆうこ

    ○森ゆうこ君 もう一つ、介護保険制度のホームヘルパーと障害者自立支援制度のホームヘルパーではどこが違うんでしょうか。
  211. 中村秀一

    政府参考人中村秀一君) お答えを申し上げます。  実際問題といたしましては、現在は支援制度のヘルパーと介護保険制度のヘルパーの方がおられますけれども支援制度のヘルパーは都道府県知事が判断しますと介護保険の方のホームヘルプもできると、逆に介護保険のホームヘルパーも支援費の方のホームヘルプが原則としてはできるということで、特別な全身性障害の方でありますとか視覚障害の方の移動、そういった介護など例外はございますが、かなりの部分現行では兼ねることができるような運用になっているところでございます。
  212. 森ゆうこ

    ○森ゆうこ君 私は、この介護保険制度との違い、それから関係が整理されないままでこの定率負担だけ先行するのはおかしいのではないかということを最初に申し上げました。  介護保険制度というのは、本当に地域の皆さんがそれぞれ保険という形でお金を出して、だれもが高齢者になるわけですから、その中でこの地域の高齢者の介護をどうしていこうかということをみんなで考えていく、お金を出し合っていく、その中で保険ですから利用する方は定率負担をすると、保険ですから定率負担をするということで私は定率負担というものがあるんだと思っているんですね。  ところが、この辺のところが整理されていないんです、まだね。先ほど、何か局長お話からすると、いやいや、そこは介護保険と障害者介護サービスの中で整理が付いているんだというふうな説明があったんですけれども、私は根本的にはこの問題は整理されていないんだと思うんです。本当に保険でいくのか。保険でいくのであれば、保険料を払いサービスを受ける、定率負担するというふうな考え方に基づいての定率負担だと思いますし、じゃ本当に障害者の福祉サービスがそういうことに本当になじむのか、すべての問題点が解決されるのかというと、そこはまだまだ本当に大きな問題が、今ほどあったように解決されていないんだと思うんですね。そういうことがクリアにされてから私は定率負担ということを求めるべきではないかと思っております。  ですから、そのような様々な懸案事項を解決して改革が実現するまで私はここにかかわる定率負担食費光熱水費の実費の負担はひとまず凍結すべきではないかと考えますが、これは大臣に御答弁お願いしたいと思います。
  213. 尾辻秀久

    国務大臣尾辻秀久君) 今お述べいただきましたことに関しまして、改めて何点か申し上げたいと思います。  まず、決してそう思っておられるわけではないと思いますけれども、改めて申し上げたいことは、将来、障害者皆さんの福祉を介護保険で全部やろうなどというふうには、これは全く思っておりません。将来ともに、障害者皆さんに対する福祉は福祉であって、介護保険は介護保険で、必ず両方ございます。両方あるうちの介護部分だけを介護保険で見るということはあり得ると思いますけれども介護保険に全部おぶさっていく、そして障害者皆さんの福祉がなくなるというふうに私どもは考えて今後のことを申し上げているところでは全くございませんので、そのことを申し上げておきたいと思います。ただ、将来、介護部分だけ介護保険でということはあり得るということを申し上げておるところでございます。  それから、凍結すべしということのお話に関して更に申し上げますと、先ほど来、介護保険との関係のみで御議論いただいておりますので、私もその立場、その論点からのみお答えをいたしておりますし、また御答弁の中で全体の制度の整合性ということを言っておりますので、そのことを強調してお答えもいたしましたけれども、もう一点、更に申し上げておきますと、介護保険制度障害福祉制度の関係を今日御議論いただいたように、その関係をどうするかということはもちろんあるんですが、それとは別に今回私どもが言っておりますことはやはり契約制度と、契約に基づくということを言っておりまして、是非障害者自立支援法で言っております、障害者皆さんサービスを利用なさるときに、支援制度でも言っております、やはり契約という考え方を前面に出したいということを言っておりますことも改めて申し上げておきたいと思います。  そして、いずれにしても負担が出るじゃないかということで凍結というお話があるわけでございますが、再三申し上げておりますように、まずは障害者皆さん所得保障というのをどうするかということをきっちり議論するということも言っておりますし、また、その議論をいただく期間ということもございますけれども、その期間だけと決して言っておるわけではございません。個別減免、社会福祉法人減免という、障害者皆さん負担をできるだけ軽くするようにと、軽くしなきゃいけないということで、私どもが今制度を考えておるということも、また申し上げたいと存じます。
  214. 森ゆうこ

    ○森ゆうこ君 もう時間が参りました。  今ほど大臣からいろいろお話がありましたけれども最後に伺おうと思って取っておいたので結局質問できなかったんですけれども、日本は諸外国に、先進国に比較して、もうお時間がないのであれですけれども、我が国の障害者施策のレベルは高くないですよ。予算も割合少ないですよ。恥ずかしいと思うんですよ、私は。財政難です。財政難でございます。財政赤字を抱えておりますけれども、そうは言っても世界第二位の経済大国ですよ。その中で、こんな貧困な障害者施策、そしてそういう予算措置のままで私は恥ずかしいと思いますよ。  だから、そういうことをきちっと考えていただいて、様々な懸案事項が解決されてからでも私は遅くないと思いますので、その辺のところをはっきりしていただきたいということを申し上げまして、時間ですので質問は終わらせていただきます。  ありがとうございました。
  215. 中原爽

    ○中原爽君 自由民主党の中原でございます。  持ち時間が限られておりますので、御答弁、説明はできるだけ簡潔にお願いをしたいと思います。実務的なことでお尋ねをするつもりでおります。  この法案の第四条の四項と二十一条の関係でありますけれども、四条の四項は当該障害者等の心身の状態を総合的に示すものとして厚生省令で定める区分を規定すると、こうなっておりますし、二十一条の関係では市町村の審査会が障害度の区分の認定を行うと、こういうことを規定しているわけであります。  そうしますと、この障害程度と区分、それからその認定ということのかかわりから、現在三つの障害について、これの自立支援をできるだけこの福祉サービスの中でその主体を市町村に一元化しようというのがこの法案の趣旨でありますが、まず身体障害者障害程度の区分というのが障害者の福祉施行規則の別表の五に載っておるわけであります。例えば視覚障害ですと両眼視、両方の目の視力が〇・〇一以下と、これが視覚障害の一級であると、こういう数字的に出てくるような等級区分であります。また、知的障害の方も判定基準があります。重度の者、重度以外の者。それから、精神障害者につきましても判定基準があって、一級、二級、三級とあると、こういう状況であります。そうしますと、この三つの状態と今ここに言っております四条の四項と二十一条の関係をこれから詰めていくということであります。  それで、先ほど局長の御説明ですと、厚生労働科学研究事業でこの障害区分の開発と研究を行うということで、その結果が出たという御報告がありまして、これは百六項目の調査項目を設定してこれを調べたということでありますけれども、この百六項目そのものが判定の中身として区分になるわけではないわけであります。そういうことと、それから先ほど来お話が出ております介護保険の要介護度の状態、これとの組合せをどうするか、年齢構成もちろんでありますけれども。しかし、報告書の中身を読んでみますと、この身体、知的、精神障害の特性を反映できるようにこの三障害共通の基準を考えるんだと、こういう御説明で、報告のようでありますので、この辺りの概略を簡潔に御説明いただきたいと思います。
  216. 中村秀一

    政府参考人中村秀一君) なかなか幅広くまた深い御質問でございますので簡潔にというのは難しいわけでございますが、あえて乱暴になることをお許しいただいてお答えを申し上げますと、三障害、各法で決めております障害等級と申しますか身体障害者手帳などにつながるあの判定というのは、それぞれの機能の障害の度合いを示すものであり、その方が言わば障害をお持ちになっているかどうかということを示すものだというふうに考えています。  こちらの方の、こちらの方というのは自立支援法の方の障害程度区分は、そういった方々に対しまして障害福祉サービスの必要度を明らかにするためにその方の心身の状態を総合的に判定しようとするものでございまして、障害福祉サービス、これは介護なり訓練等給付なりございますが、そういった具体的なサービスを利用しようとする場合にその言わば必要度を測るために認定を受けていただくと、こういうものでございます。  片っ方の方は、個別具体的なサービスを念頭に置いてそのサービスが必要かどうかと、その言わば一点に絞って見させていただくということから三障害共通のくくりができるという考え方でございまして、他方、各法の言わば等級区分等は、それぞれ身体障害者福祉といっても非常に幅広い領域を含んでおりまして、その領域の中の施策の対象となる方々を言わば判定するための区分であり、その関係が違うんだということを御説明申し上げたつもりでございます。
  217. 中原爽

    ○中原爽君 御説明いただきましたけれども、簡潔に言いますと、例えば身体障害者にかかわるこの障害程度の一級であるとか二級であるとか、こういう区分は従来どおりでありまして、これは変わらないと。しかし、これは障害程度を表示している区分でありますけれども、今回の法案の区分というのはこういった障害の方の残された能力、これを生かそうというわけですから、どういう能力が残っているのか、それが自立のためにどう役立つのか、これを審査しようと、多分そういうことであろうというふうに思います。  そうしますと、十五条と十六条の関係ですけれども、十五条では市町村審査会を設置するんだということでありまして、この能力と適性を審査するという中で、その判定に基づいて市町村が介護給付費の支給をすると、それの審査会を設置すると。これ十五条。それから十六条の方は、この審査会の委員の定数を決めるということが一つと、それから学識経験者等の委員を任命すると、こういうことを決めるわけであります。  そうすると、やはり先ほどの話に戻りまして、例えば身体障害者の等級を決めている、医師の診断書が必要であるとか、そういう立場のいわゆる経験者あるいは学識者と、ここで言っている十五条とか十六条に出てくるようなこの委員の方の任命の範囲というのは重複するだろうと思うんですけれども、この辺のところを簡潔に御説明いただきたいと思います。
  218. 中村秀一

    政府参考人中村秀一君) お答え申し上げます。  市町村の新たに設けられます審査会は、障害者の方の心身の状況に関して専門的な見地から客観的な判定を行っていただくと、また市町村の支給決定案について合理的なものかどうかということについて意見を述べるということでございますので、やはり障害者の健康、福祉に関する専門的な知見を有していただくという必要がございますので、そういった意味では可能な限り障害者の医療福祉分野に関する専門家が委員にふさわしいのではないかと考えております。
  219. 中原爽

    ○中原爽君 分かりました。そういうことになるだろうと思うんですね。  この審査会の委員障害者の方も委員として参加させろということであります。それはそれで第三者的な立場からこういう審査の基準を見ていただくということは大変必要だと思いますけれども、しかし根本が三つあるわけですね。障害、それから知的、それと精神障害。この三つの部分を統合して、それを一まとめにして新たなこの自立支援の区分を作ろうと、こういう話になっているわけです。ですから、その辺りのところをきちっと、三つの現在の制度の中から出てくる方々も含めた委員が必要なのかどうかということを申し上げたわけであります。  それで、この審査は百六項目を調査をいたしまして、その結果、例えば年齢的に要介護、六十五歳以上であれば現在要介護の度合いが一度、要介護の一から五までどうなのかというようなことも、そこで介護保険制度が入り込んできて、そこの判定をすると。それから、あと今度初めてこの制度の、この自立支援制度障害程度の区分ということが初めて出てくるというふうに思います。  それで、法案の二十二条の五項と二十七条の関係でありますけれども、二十二条の五項は、市町村が交付する受給者証について、支給量その他の省令で定める事項を記載した障害福祉サービス受給証を支給決定により交付すると、こういうふうになっているわけですね。それで、この受給者証というのは、現行の福祉関係制度による、先ほど申し上げた身体障害者の手帳をお持ちだということですし、それから知的障害の場合には療育手帳をお持ちだと。それから、精神障害の場合には精神障害者の保健福祉手帳をお持ちだと、こういうふうになりますね。  そうすると、この各々のお持ちになっている手帳とこのたびの受給者証ということの関係というのはまず何かということになるわけでありますし、それと、支給量以外、支給量というのは、例えばここで言っております訓練、自立のための訓練の状態サービスを支給するとか、それから地域の生活にどうだと、あるいは自立支援の医療関係はどうだということが恐らく受給者証の中でお一人お一人違ったものが書かれているんだろうというふうに思うんですね。  そうすると、この点のところで省令で定める事項というのはどういうものか、簡略に御説明いただきたい。
  220. 中村秀一

    政府参考人中村秀一君) お答え申し上げます。  受給者証でございますが、どういうものかということでございますが、これはそれぞれ身体障害者手帳なり様々な手帳をお持ちの方、あるいは障害制度対象になっておられる方で今度の自立支援法対象になる方々サービスを受けようとされて障害程度区分の認定を受け、市町村の支給決定を受けた場合に、この方はこれだけのサービスが受けられますということを示す書類になっております。したがって、言わばサービスの支給決定になるわけでございまして、記載事項としては、支給量のほかに、例えば訓練等給付でございますと期間を限ってとございますので、例えば何年何月までという支給の期間などを定めたいと、こういうふうに考えているところでございます。
  221. 中原爽

    ○中原爽君 分かりました。そういうことであろうかというふうに考えておりました。  したがって、現在お持ちの三種の手帳という以外にこの受給者証をお持ちになっておって、それがこの障害者に対する自立支援する、その自立支援する中身が書いてあるというのがこの受給者証ということで理解をすればよろしいんだろうというふうに思います。  それでは、次が八十条の関係なんでありますけれども法案の第八十条は障害福祉サービス等の地域活動支援センターや福祉ホーム等の設備、運営の基準を定めると、こうなっているわけですね。基準を定めるわけです、新しく造るこのセンター、ホーム等。  ところが、この法案の説明の概要のところにこういうふうに書いてあるんですね。市町村が地域の実情に応じて障害者福祉に取り組み、障害者が身近なところでサービスが利用できるよう空き教室や空き店舗の活用、別の文書には空き店舗のほかに民家というのも書いてあるんですけれども、そういった活用も視野に入れて規制を緩和すると、こうなっているわけですね。現在ある規制を緩和するということもそうなんでしょうけれども、この八十条で新しく造るような基準というのも今までよりも見方を変えた、言うなれば規制を緩和したという事柄が入ってくるんじゃないかと思います。  ですから、住まいとしての障害者支援施設の状況と、それから日中住まいじゃないところの活動の状況というところの施設と、いろいろ施設考え方があると思うんですが、従来は一種の社会福祉事業という規定の施設があったわけですけれども、こういった関係についてどういうことが規制緩和なのか、簡略に御説明いただきたい。
  222. 中村秀一

    政府参考人中村秀一君) お答え申し上げます。  様々な今まで事業所の基準がございましたけれども、三種類の種別ごとに施設の体系もございまして、ばらばらであるとか、それぞれの施設がそれぞれの基準を持っていて、この利用者の方を総合的に受け入れることもなかなかできないというような問題点もございました。  具体的に申し上げますと、一つは、自立訓練や就労移行支援など昼間の活動サービスを行っていただく事業は第二種社会福祉事業として位置付けまして、従来の社会福祉法人の方だけでなく、NPO法人ども参入できるようにすることといたしております。それが例えば一つ目でございます。  二つ目は、身近な場所にサービスの拠点を増やすために設備基準も見直しまして、例えば今の基準ですと事務室とか運動場などを必ず置いていただくということになっておりますが、そういったものについては任意にするとか、あと、廊下幅の最低基準なども既存の建物など活用していただくためにはなかなか難しい基準もございますので、そういったものを緩和することによりまして、今委員から御紹介いただきましたように、空き教室でございますとか空き店舗、あるいは空いているお宅、そういった既存の社会資源の活用も図っていきたいと考えております。
  223. 中原爽

    ○中原爽君 引き続きまして、九十五条の二項のところなんですが、九十五条二項は二つありまして、九十五条の二項の一号、これが国が予算範囲内で市町村の支給決定に係る事務処理に要する費用の百分の五十以内、要するに二分の一以内の補助ができると。市町村の事務費に対して、事務処理に対して補助すると、これが一号であります。  同じ九十五条の二項の二号でありますけれども、国が予算範囲において都道府県と市町村が行う地域支援事業に要する費用の同じく百分の五十以内を補助することができる、こういう規定なんですね。これは、都道府県と市町村両方の地域支援事業に対して二分の一以内を補助するということになっているわけです。  そうしますと、これ、もうこの法案が平成十八年の四月一日から施行ということになれば、先ほど御説明がございましたけれども、この関係の予算を組んでおって、特にこの百分の五十の地域支援事業というのが局長の説明で二百億円とかいう数字が挙げられておったわけですが、これは言うなれば七十七条とか七十八条の関係もあって恐らく裁量的経費という範囲内で御説明あったと思うのですが、そうすると、これ受ける方は、裁量的経費ですからいわゆるメニュー予算であって、手を挙げないとこれもらえないと、こういうことだと思うんですね。そうすると、今後、半年分で二百億ということの御説明がございましたけれども、これが今後どういうふうになりますかね。  地域支援事業の実施ということで生活支援事業費、これ新規項目で二百億円と、こうなっているわけですね。そうすると、事務費の方はどこに出ているのか分かりませんけれども、百五十億円ぐらい、百四十九億円何がしというのが自立支援法案、この法案の施行関係経費になっているんですが、この辺りの予算組みと、今後これメニューですから手を挙げてもらわなきゃしようがないんで、そうすると概算でどのぐらい手が挙がるかということを考えながら予算組みをすると思うんですが、この辺りの御説明を簡略でお願いをしたい。
  224. 中村秀一

    政府参考人中村秀一君) 今お尋ねのございました九十五条関係のところでございますが、委員から御指摘のございましたとおり、地域支援事業の国の補助を決めているところでございまして、百分の五十以内と条文上なっておりますが、今概算要求では目一杯の百分の五十で要求をいたしております。ここのところは手話通訳の派遣などのコミュニケーション支援事業や移動支援事業など大変重要な事業の予算になっておりますので、十八年度は十月実施でございますので六月分で二百億でございますが、我々は、その以降どうなのかという御指摘がございましたけれども、ここのところは十九年度以降も増額できるよう頑張ってやってまいりたいと思います。  あと、事務費のお話がございましたけれども、先ほど委員からお話しいただきましたように、施行関係事務費、社会福祉法人の減免措置ども含みまして百五十億円の要求をいたしておりますので、その中に組み込んでいるところでございます。
  225. 中原爽

    ○中原爽君 それでは、あと時間もわずかでございますが、今回の法案に関係なく、先般、衆議院で行われました、衆議院の附帯決議の項目の七でありますけれども、ここにどう書いてあるかというと、精神病院におけるいわゆる七万二千人の社会的入院患者の解消を図るとともに、それらの者の地域における生活が円滑に行われるよう、必要な措置を講ずること、これが附帯決議の七の項目であります。  そうしますと、これは別に、この精神保健福祉対策本部というところで平成十五年の時点で精神保健医療福祉の改革に向けた今後の対策の方向の中間報告というのを取りまとめられまして、それで昨年の十六年の九月に精神保健医療福祉の改革ビジョンというのをお出しになったわけであります。その中で、平成十七年における精神保健福祉法の改正を始めとする施策群の、施策の群ですね、の実施につなげると、こういうふうに書かれてありまして、すなわちこの施策群の中の一つが今回の障害者自立支援法案と、こういうことになるわけですね。  この改革ビジョンで言っておりますのは、今後おおむね十年、五年ごとに見直して十年後に精神保健医療福祉体系の再編の達成を目標とするとしていると。この目標は、附帯決議は七万人の社会的入院、まあ社会的という言葉が妥当かどうか分かりませんけれども、入院患者を減らしなさいと、精神病院に入っている。ところが、これ七万二千人なんですけれども、常時これは入っている。入院されているわけじゃなくて、まあ三年ぐらいの間に半分ぐらいが退院されると。そうすると、次の入院患者がまた同じく半分ぐらい入ってくるので常時その七万人でずっと来ちゃったと、こういう経過になっていると思うんですね。  そうすると、これ、この入院の残存率とそれから退院率を割り出して計算されておられるんですけれども、今後この新しい自立法案との関連でこういった見通しについてどういうような見解をお持ちか、お聞きしたいと思います。
  226. 中谷比呂樹

    政府参考人中谷比呂樹君) 今御指摘いただきましたとおり、十六年九月に精神保健医療福祉の改革ビジョンを取りまとめていただきまして、入院医療中心から地域生活中心へという基本的な考え方に基づいて各般の改革を進めることとしております。この改革ビジョンにおきましては、精神医療の改革、地域生活支援の強化、国民理解の深化、こういうことを進めることとしておりまして、御指摘いただきましたとおり、今後十年間を五年ごとの一期、二期に区分し、一期における改革の成果を評価しつつ、第二期における具体的な施策を定めることとしております。  障害者自立支援法におきましては、この改革ビジョンの基本方針に基づきまして、精神障害を含め、障害種別を超えて、市町村が中心となって福祉サービスを一元的に提供する仕組みに改めるとともに、精神障害を含め、必要な障害福祉サービスの見込量を定めた障害福祉計画の策定を義務付け、計画的なサービス提供体制の整備を図るなど、精神障害者に対する社会復帰や地域生活支援を抜本的に強化することとしております。  このように、自立支援法では精神保健医療福祉の改革ビジョンの中でも特に地域生活支援の強化を推進するものでありまして、改革ビジョンに基づく精神医療の改革などの推進と相まって、社会的入院の解消を含め、精神保健福祉施策を進めてまいりたいと考えております。
  227. 中原爽

    ○中原爽君 もう一点だけ、五分ほどでありますので、お尋ねしようと思います。  先ほど森ゆうこ委員がお尋ねになったヘルパーの関係のことですが、これが同じく衆議院の附帯決議の八の項目に載っておりまして、前文は省略いたしますけれども、「グループホームの事業者の責任においてホームヘルパーの利用を可能とすることなどについて必要な措置を講ずること。」と。これ後半の部分なんですが、ホームヘルパーの活用をこのグループホームの事業者の責任において利用をしろと、こうなっているんですが、そうしますと、先ほど森先生お尋ねの介護保険制度の訪問介護要員、これ厚生省令の十二年のものでありますし、それから支援制度の居宅介護従事者、これが厚労省の告示の平成十五年でありますけれども、両方ともいわゆるホームヘルパーの二級の資格取得、総トータルで百三十時間でありますけれども、同じ時間数になっているわけであります。  ただ、カリキュラムが違うというふうな見方もできるわけですけれども、そうしますと、この両方の二級資格について、先ほどのこのホームヘルパーの利用を可能とすることなどについて必要な措置グループホームの事業者の責任においてできると、こういうふうに理解をして、この介護保険制度のいわゆるホームヘルパー、それから居宅介護従事者としてのホームヘルパー、この両方の制度というか、それが行ったり来たりできるということで先ほど局長の御説明あったと思いますが、そのとおりでよろしゅうございますか。
  228. 中村秀一

    政府参考人中村秀一君) お答え申し上げます。  今委員の方から御紹介いただきましたように、従来の支援制度、それから介護保険制度、いわゆるヘルパーの二級研修というのをやっておりますが、それぞれ別々の研修により養成が行われているところでございます。ただ、高齢者と障害者対象に厳密に言いますと違いがあるといいますか、高齢者と障害者というより個々の方の違いもあるわけでございますけれども、基本的にはヘルパーさんが身に付けていただきますべき知識、介護技術はそんなに異ならないということで、実際上相互に乗り入れの制度になっています。  なお、介護保険の方では、ヘルパーの二級資格につきましてももう少しレベルアップを図るべきではないか、もう二級資格をお持ちの方が百万人以上生まれているというような状況でございますので、そもそもこのヘルパー二級の資格についてもレベルアップを図るべきというようなこともございますので、申し上げたいことは、ヘルパーの今後の在り方について見直しが行われるということになりますので、そうなりますと支援制度のヘルパーさんについても波及することが必然ではないかと思いますので、そういった中で、ホームヘルプのときにこの両制度をそれぞれ養成することのメリット、デメリット、そういったことも含めまして考えさせていただきたいと思っております。
  229. 中原爽

    ○中原爽君 ありがとうございました。  ヘルパーの三級の方がこの二級までこの資格を取得しようという研修努力をされるわけですが、そのときに、今申し上げているこの二つの制度があって、このバランスをどうするかというのは、受験者自身もいろいろ考えると思うんですね。この辺りのことを今後よく御検討をいただいて、対応していただきたいと思います。  以上で質問を終わります。ありがとうございました。
  230. 鰐淵洋子

    鰐淵洋子君 公明党の鰐淵洋子でございます。  障害者自立支援法案につきまして質問をさせていただきます。  この法案の「目的」に「障害の有無にかかわらず国民が相互に人格と個性を尊重し安心して暮らすことのできる地域社会の実現」とあります。障害の有無にかかわらず、人間はひとしく幸福になる権利を持っていますので、その実現のための改革でなければならないと思っております。  この法案につきましては、我が党としましても障害者団体等の皆様との意見交換を重ねてまいりました。そして、私自身も、友人だったり、個人的にお会いいたしまして意見も伺いまして、メール等でも意見をいただいております。そして、前国会より、皆様の意見を基に様々審議が重ねられてきましたけれども、その中できめ細やかな配慮措置、対応策が盛り込まれてきたかと思います。しかし、今も不安の声、また懸念の声もいただいているのも事実でございますので、今日はその皆様の、現場の皆様の声を基に、確認も含めまして、また基本的な質問になるかと思いますが、三十分程度質問させていただきたいと思っておりますので、よろしくお願いしたいと思います。  まず、私が意見を伺う中で感じたことの一つに、この法案が、利用者負担など部分的なところがクローズアップされておりまして、この本来目指している姿、目的、そのほか改革の内容がしっかりと伝わっていないところもあるのではないか、そのように感じております。  そこで、いま一度この法案必要性、特に利用される方の立場に立って、具体的に何がどう良くなるのか御説明をいただきたいと思います。
  231. 尾辻秀久

    国務大臣尾辻秀久君) 現在の制度支援制度でございます。そして、この支援制度は、施行後多くの方が新たにサービスを利用できるようになるなど、障害者皆さんの地域生活支援する上で重要な役割を果たしておると評価をいたしております。  ただ同時に、精神障害者対象となっておりません。そうしたことなど、障害種別間で制度サービス基盤に大きな格差があるということが一つあります。それからまた、居宅サービスをいまだ実施していない市町村があるなど、地域間の格差が大きく、サービスが広く行き渡っていないということもございます。さらに、施設サービス体系障害種別ごとに複雑なものとなっており、障害者就労支援、地域生活支援などのニーズにこたえられていないことなど、今申し上げたのは支援制度の課題でございますけれども、こうした支援制度に課題があるというふうに私ども認識をいたしております。  今般これを、支援制度が持っております自己決定と自己選択、それから利用者本位、これはすばらしい理念でございますので、この理念を継承しながら、障害者皆さん自立した地域生活支援するための施策を障害者自立支援法案として一元化をし、こうした課題を解決するために障害者施策を抜本的に見直そうと、こういうことで御提案を申し上げているところでございます。  では、具体的にどう変えるのかということでございますけれども利用者にとりましては障害者の福祉サービスを一元化する、このことを申し上げておりますけれども、そのことにより精神障害者も含めて障害の種類にかかわらずサービスをできるようになる。それから、サービスに係る規制緩和でありますとか障害福祉計画の策定などにより、サービスが一層充実し、どの地域でも支援の必要度に応じてサービスを利用できるようになる。それからさらに、利用者本位のサービス体系の再編によりまして、地域で暮らしたい、もっと働きたいといった個々のニーズに合ったサービスが受けられるようになる。こうしたメリットがあるというふうに考えておるところでございます。
  232. 鰐淵洋子

    鰐淵洋子君 ありがとうございました。  今、様々御説明いただきましたけれども、今回の法案で改革される点も多々あるかと思います。その中で利用者負担を中心に様々懸念の声をいただいておりますけれども、今回私はこの利用者負担の見直しを、障害者の方に対するサービス、特に今もお話がありましたが、地域で暮らすことを支援するためのサービスを今よりもより量的にも拡充いたしまして全国どの地域でもサービスを受けることができるようにするものととらえておりますが、厚生労働省といたしましてこの利用者負担導入することの必要性についてどのように考えているのか、改めて御見解をお伺いしたいと思います。
  233. 西博義

    ○副大臣(西博義君) 現行のまず障害福祉サービスについての現状について申し上げたいと思います。  ずっと議論がございますように、利用者が増大をしておりまして、その費用が当然のごとく増えております。また、精神障害サービス対象になっていないということなど、障害種別ごとにサービスの格差がございます。それから、在宅施設の間にもこれ格差がある、それから市町村間の地域的な格差も存在をする、さらに今の障害者施策が必ずしも就労ということにつながっていないということなど、様々な課題を抱えているわけでございます。これらの問題を解決するために、今般、障害者自立支援法案提出させていただきました。その結果、障害種別にかかわらず市町村を中心に一元的に支援をしていくということでサービス量を確保して地域格差を是正をさせていただきます。  それから、就労を希望する人、働く意欲のある障害者就労支援充実する。それから、NPO法人を認めるなど実施主体の規制緩和を行わせていただく。それから、予算補助で今までやっておりました在宅福祉サービスを今回は国等の負担を義務的なものにすると、こういうことで大きく改善を図っているところでございます。  一定定率負担とそれから所得に応じた月額負担上限を組み合わせた利用者負担をお願いをしておるわけでございますが、これに当たっては、障害基礎年金のみで生活している方、それから資産の少ない方がおられることを考慮して各般の負担軽減措置を講じることとしております。このことによりまして、制度の安定性、公平性が高まって、それから障害福祉サービス充実も図られると。障害者の様々な選択を可能なものになるというふうに考えているところでございます。  障害者皆さんが自らの選択によって必要なサービスを受けながら、収入があれば一定負担をしていただくことによって障害者が自らの能力と適性に応じて力を発揮できる、まさしく自立した自立社会の構築に今後つなげていきたいと思っているところでございます。
  234. 鰐淵洋子

    鰐淵洋子君 ありがとうございました。  冒頭も大臣の方からこの法案の目的、必要性についてもお話しいただきまして、今また利用者負担についても御説明いただきましたが、このような法案の目的、またなぜ利用者負担を見直しをするのか、そういったことをしっかりと、現場の皆様にまだまだ十分に行き渡っていないという印象が私自身も受けておりまして、厚生労働省の方でも様々努力はしていただいていると思いますが、難しいとか分かりにくい、そういった声も大変多く寄せられておりまして、今お話ししましたこの目的、またなぜ利用者負担をお願いするのか、そういったこともしっかりと、現場の皆様、市町村や事業者、そして障害者の方もそうですけれども、しっかりと御理解をしていただくように更に周知していくことが重要であるかと思いますけれども、今後この法案の内容についてどのように周知を図ろうとしているのか、御説明をいただきたいと思います。
  235. 中村秀一

    政府参考人中村秀一君) 障害者自立支援法案でございますので、まずは何よりも当事者の方に御理解いただくということ、それから市町村が行政上の責任者でございますし、サービスを実際に担っていただいている事業者の方々ございますので、それぞれの方々に御理解いただかなければならないというふうに思っております。  今委員の方からも、私どもの資料が難し過ぎたり十分内容が届いていないんではないかという御指摘をいただきました。今般、そういう御指摘もちょうだいいたしまして、改革の全体像や利用者の御負担についてのできる限り分かりやすい資料を作らせていただき、審議会にもお出しして、当事者の代表の方々おられますので、またその御意見をちょうだいしたほか、全国の障害保健福祉関係主管課長会議を先週開催いたしまして、行政の方から、当事者の方々はもとより、現場で日々当事者の方々に接しておられる事業者の方々あるいは市町村の職員に周知をお願いしたところでございます。  今後とも、分かりやすい資料を作成し、広報に努めてまいりたいと考えております。
  236. 鰐淵洋子

    鰐淵洋子君 ありがとうございました。  情報が正しく伝わらないことがまたこれが混乱や不安にもつながるかと思いますが、ですので、今後も是非また誠心誠意、丁寧に取り組んでいただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。  続きまして、就労支援について質問させていただきます。  障害者自立という点で、障害者所得保障を確立することが極めて重要であると考えております。この法案の大きな改革の一つに就労支援を抜本的に強化するということがありますけれども、今回の改正で就労支援事業という新しい事業を立ち上げまして、一般就労の実現に向けて取り組んでいくことを評価しておりまして、是非とも積極的に取り組んでいただきたいと思っております。  そこで、この就労移行支援事業の対象者、具体的な支援の内容などについてどのようなものを想定しているのか、お伺いしたいと思います。
  237. 中村秀一

    政府参考人中村秀一君) 今お尋ねのございました就労移行支援事業でございますが、一般企業による雇用等が見込まれる方を対象としたいと考えておりまして、例えば、一番見込んでおりますのは養護学校を卒業された方などでございまして、言わば最初の就業のための訓練から就職活動まで段階を踏みながら一貫した支援を行っていきたいと思っています。  したがいまして、当初は言わば施設内でのトレーニングということになりますが、この点も必ず就労につながるという観点からプログラムを組ませていただくと。それから、企業内での実習など実際の職場における体験型の指導につなげていって一定就労能力を確保していただいた後、ハローワークなどと連携して適性の合った職場探しを行い、就労に結び付けると。就労後も、その方々に対します相談支援や助言を行うことによって職場の定着に向けた支援を行うと。  こういったことはそれぞれ利用者方々の個別性がございますので、お一人お一人の支援計画を作らせていただいて、約二年間を標準として段階的に提供されることを想定しております。サービスの利用期間中もその効果について継続的に評価を行って、必要であれば支援内容を見直して、この事業の趣旨であります一般就労に結び付けるということを目指してまいりたいと考えております。
  238. 鰐淵洋子

    鰐淵洋子君 ありがとうございました。  今局長からも御説明ありましたけれども就労支援の実効性を上げるためにハローワーク等の地域の雇用関連機関と十分に連携を取ること、また活用できる雇用政策の内容を現場に携わってくださっております職員等の方がしっかりと知った上でそれを十分に活用できるような、そういった連携が大変に重要かと思っております。  また、この雇用政策につきましても、例えば障害者自立を促す委託訓練事業というものがございますが、これは対象者数が六千人と聞いておりますが、平成十六年度の実施状況が三千百十人ということで、人数枠の半分にしか対応できておりませんでした。これは地域間の格差もございまして、この委託訓練事業だけを見ても分かりますように、この更なる強化、拡充が必要であると思います。  福祉と雇用の連携強化など障害者雇用政策の強化が重要であると考えますが、今後どのように取り組むのか、御説明をお願いいたします。
  239. 鳥生隆

    政府参考人鳥生隆君) 議員御指摘のように、障害者雇用施策を進めるに当たりましては福祉施策との連携が非常に重要であるというふうに認識しております。  このため、さきの通常国会において成立いたしました改正障害者雇用促進法におきましては、国及び地方公共団体の責務として福祉施策との有機的な連携を図りつつ雇用施策の推進を図らなければならない旨規定したところでございまして、このような規定の見直しに加えまして、就業面、生活面からの一体的な相談、助言を実施いたします障害者就業・生活支援センターの増設、ハローワークが福祉施設等と連携して就職を希望する個々の障害者に応じた支援計画に基づき一貫して就職支援を行う仕組みづくり、福祉施設が個々の障害者障害の特徴に関する理解等のノウハウを生かしてより効果的な職場適応援助を行うことを目的としたジョブコーチ助成金制度の創設といったことを行いまして、障害のある人に対して雇用施策と福祉施策の両面から一貫した支援を行うこととしております。  また、障害者委託訓練事業につきましては、先ほど御指摘もございましたが、平成十七年度に対象を拡大して実施しているところでございますが、その実施を更に一層推進していきたいと思っておりまして、委託先として社会福祉法人等を活用しながら事業を推進していきたいというふうに考えております。さらに、このような取組を進めるに当たりましては、福祉施設の職員等の雇用施策に対する理解も不可欠であるというふうに考えておりまして、様々な機会を通じて理解を得るための取組を行っているところでございます。  今後とも、雇用施策と福祉施策との有機的な連携などによりまして、障害者雇用対策の一層の推進に努めてまいりたいというふうに考えております。
  240. 鰐淵洋子

    鰐淵洋子君 ありがとうございました。  続きまして、法定雇用率について質問をさせていただきたいと思います。  現在、法定雇用率が定められておりまして、これによって障害者雇用を促進していくことも必要であるかと思っております。しかし、事業主の中には納付金を払えば済むということで障害者雇用に全く取り組もうとしない、そういったケースもあると聞いております。そういった実態も御存じかと思いますが、今後この雇用率の向上に向けてどのように取り組むのか、お伺いしたいと思います。  また、もう一つ、この法定雇用率を向上する取組と同時に、雇用する事業主、企業側の意識変革が重要であると考えておりまして、これは伺ったお話なんですけれども、その方は車いすの方なんですが、大学に進学をされまして、そして御自分で就職活動をされて、約二十社近く企業を回られたそうです。その中でやっと、やっとの思いで一社、就職決めることができて現在働いていらっしゃるんですけれども、実際、半年たちまして、その方が感じていらっしゃることなんですが、本当に自分がこの会社にいる意味があるのかと、数合わせのために雇われたんではないかと、そういったことを感じていらっしゃるということでした。この話を伺いまして、本当に努力して必死の思いで就職が決まっても障害者の方の能力が十分に発揮されていないようでは、また本当に自分は何のためにここにいるのかと、そういうような思いをさせてしまうようでは本来の目的とは違ってくるんではないかなと思いました。  一方で、適材適所でそれぞれ能力を発揮されて健常者と同様に、またそれ以上に効率性を持って仕事をされている方もいらっしゃいますし、こういった様々な状況を見ていきますと、この障害者の雇用を進めるに当たりまして、障害者の方が地域社会や職場の一員として普通に働ける職場、また社会をつくることが目指すべきものでありまして、また、その実現のためには、先ほども言いましたが、企業だったり事業主側の、また大きくは社会全体の意識を変えていかなければいけないのではないかと実感をいたしました。  そこで、今後、この企業側、事業主側の障害者に対する意識変革の重要性についての認識と、また今後の取組について御見解をお伺いしたいと思います。
  241. 尾辻秀久

    国務大臣尾辻秀久君) 雇用率達成につきましては、企業における障害者の計画的な雇用に向けた取組を促進いたしますためにハローワークが指導を行っているところでございますけれども、先般の通常国会における障害者雇用促進法改正法案審議におきましても指導を強化すべきだという御指摘をいただいたことを受けまして、七月には各労働局に指示をいたしまして、雇用率未達成企業に対する厳正な指導の徹底を図っておるところでございます。  また、今御指摘いただきましたように、障害者の雇用を進めるに当たりましては、各企業におきまして障害者がその能力を十分に発揮できるような仕事や環境を用意するという姿勢を持ってもらうことが重要でございます。それには、まず企業トップの理解が肝要でございますので、ハローワークや労働局におきましては所長、労働局長が先頭に立ちまして企業トップに対する働き掛けを行っているところでございます。さらに、障害者皆さんとともに働く上司や同僚の理解と協力も不可欠でございますので、障害者雇用に取り組む企業の好事例、好ましい事例の普及や企業に対する様々な形での研修機会の提供により意識啓発も行っているところでございます。  今後とも、企業トップへの働き掛けを強めますとともに、様々な機会を通じての企業に対する意識啓発などによりまして障害者雇用の一層の推進に努めてまいります。
  242. 鰐淵洋子

    鰐淵洋子君 ありがとうございました。  障害者自立と共生社会の実現のためには、これは本当に国を挙げて取り組んでいくべきことだと思いますので、是非とも厚生労働省がリーダーシップを取っていただきまして是非積極的にまた取り組んでいただきたいとも思いますので、よろしくお願いしたいと思います。  続きまして、サービスの質及び量の確保について質問させていただきます。  今回の改正によりましてサービスの量の拡大、地域間格差の解消に向け大きな前進を期待しておりますが、同時にサービスの質をどのように確保していくかも重要な課題であると思います。  特に、今回の改正によりまして、定率負担導入し、障害者の方にも利用者としてサービスにかかわる対価を御負担していただくという関係となる以上、これまで以上に更に受けるサービスの質をより良いものにすることが求められてくると思います。具体的に質の確保を図るために、サービス事業者や施設の運営基準、報酬で、いかに質の確保に着目した仕組みを設けるかが重要になってくると思います。  そこで、新たなサービス体系におきましてどのようにしてサービスの質を確保しようとしているのか、今後の取組、方針をお伺いいたします。
  243. 中村秀一

    政府参考人中村秀一君) お答え申し上げます。  今回の障害者自立支援法におきましては、事業の体系も変えるというふうにしております。これは、今御指摘ございましたように、良質なサービスを提供していただく、それは障害者方々の置かれている状況に応じて最善のサービスが届くようにという観点から事業体系を見直そうとするものでございます。  それは、現在、どうもたくさんいろんな施設体系ございますけれども、多様なニーズを有する利用者方々が長い歴史の中で一つの施設に混在してしまって、必ずしも当初想定した状態像に応じた適切なサービスが提供されていないんじゃないかということ、それから施設本来の目的でございます就労や地域生活への移行が進んでいないんじゃないかと、そういうことを考えまして新しい事業体系に進もうとしているものでございます。  考え方は、サービスごとに利用者像や標準的なサービス内容を明確にし、これに見合った職員の配置基準を設定させていただく、それから事業者ごとに個別支援計画の作成や提供したサービスの内容を、評価を行う責任者を配置していただくとともに、報酬面でこれについて対応していくということ、それから一般就労への移行などサービス提供による成果を報酬面に反映することにより質の向上に取り組むと、こういうことを考えておりまして、言わば結果を出す、良いサービスをし結果を出していただくところに大いに期待すると、こういう方向で方向付けを明確にしていきたいと考えております。
  244. 鰐淵洋子

    鰐淵洋子君 ありがとうございました。  今の御説明いただきましたが、事業者や施設の運営基準で、いかに質が確保できるような基準ができたとしましても、それに合致した運営をしているかどうか、また事業者や施設の状況をしっかりとチェックできるような仕組みづくり、また利用者の方から苦情等を含めまして、そういった声をうまく行政に吸い上げるような仕組みづくりが重要ではないかと思っております。  これは権利擁護にもかかわることでして、重要な課題であると思いますけれども、不適正な運営をしていることが疑われるような施設、また事業者をどのように今後把握していくのか。特に、利用者からの声をいかに吸い上げて、権利擁護も含めましてどのように適切に対応していくのか、御見解をお伺いいたします。
  245. 中村秀一

    政府参考人中村秀一君) 事業者につきましては様々な基準が定められますので、まずそういったことを遵守していただくことは当然必要でございます。こういったことに不適合な事業運営なり施設運営ということがありましたら、これについてはきちんと対応していかなければならない。指導、監査は当然でありますし、指定の取消しなど厳正な対応をしていきたいと、こういうふうに考えております。  今回の障害者自立支援法案で特に申し上げなければなりませんのは、市町村が相談支援を行うということで、そういう相談支援の機能も市町村に一元化しております。支給決定も市町村が行うということで、やはり市町村が事業者に一番接する機会が多いわけでございますので、市町村が事業者について問題を発見した場合には、指定権限者である都道府県に通報することを義務付ける制度を新たに設けております。  利用者の苦情等に対する権利擁護も対応が必要だと思っておりますし、このほか、社会福祉法に基づきまして苦情受付窓口設けるとか第三者委員を設置するとか、そういったことについては当然でございますけれども、徹底してまいりたいというふうに考えております。  いずれにしても、これから指定基準を作るということでございますので、従来のものを精査いたしまして、従来以上にそういった面についてはサービスが向上するように、また不正、不当な事業者については言わば退場していただくような厳しい基準をつくりたいと考えております。
  246. 鰐淵洋子

    鰐淵洋子君 ありがとうございました。  今回の改革は障害保健福祉施策の大きな一歩になるわけですので、だからこそ、次につなげるためにも、利用者皆さんの声をしっかりと吸い上げる仕組みが重要かと思いますので、早急にしっかりとまた取り組んでいただきたいと思いますので、よろしくお願いしたいと思います。  次の質問でございますが、障害者が地域で暮らすこと、当たり前な社会にしていくためには、サービスの質とともに、地域でサービスを受けることができるように量的な整備を進めていくことも重要であると思っております。身近な地域にニーズに応じたサービスがなければ、幾らこの法案で地域生活をうたったとしても絵にかいたもちになりかねません。  このため、今回の改革で規制緩和を進め、地域に通えるサービス拠点を増やしていくと聞いておりますけれども、具体的にどのような内容の規制緩和を図り、それによってどのような効果が期待されるのか。特に、先日の審議会の資料でも提示されておりましたが、多機能型の具体的な条件、内容についてお伺いしたいと思います。
  247. 中村秀一

    政府参考人中村秀一君) 今委員からの御指摘のございましたサービスをつくりやすくしていくこと、地域でできるだけ支えられるようにつくっていくということでどのような見直しがあるのかというお尋ねでございます。  一つは運営主体の緩和でございまして、通所を基本とする日中活動サービスにつきましては第二種社会福祉事業といたしまして、これにより社会福祉法人だけでなくNPO法人ども参入可能にいたしております。  二つ目は運営基準の緩和でございまして、例えば通所施設におきます食事の提供方法などにつきましても規制を緩和いたします。食事の提供は事業者の任意とさせていただきますし、調理業務を外部に委託する場合の施設外調理なども認める方向でございます。  それから、施設設備基準の緩和もございまして、直接サービス提供部門の設備は最小限とし、管理などの間接サービス提供部門については事業者の自由な判断にゆだねることといたしております。  委員から多機能型の実施について説明を求められておりますが、これは日中活動サービスについて複数の事業を組み合わせることを可能にするということで、従来は施設ごとに最低定員がおおむね二十人から三十人ということで、複数の事業をしようとするとそれぞれ二十人、三十人いなきゃならないということで、実際上、複数の事業の組合せが困難な状況でございましたけれども、最低人員を例えば二十人と想定いたしまして、その二十人の人員がいれば、その人員の方々に対し複数の事業を組み合わせるというようなことも可能にするということで、一つの言わばサービスの場所で多機能型のサービスが提供できるようにしようというのが多機能型の実施のための運営基準の緩和でございます。
  248. 鰐淵洋子

    鰐淵洋子君 済みません。ちょっとそろそろ時間ですので、最後一問だけ質問して終わりたいと思いますが。  もう一つ、不安の声ということで、障害程度区分や審査会の在り方についても様々な声をいただいておりまして、その中で、自分と会ったことのない人が、自分のことを十分に知らない人が書類だけの情報自分の必要なサービスを決めてしまうと、機械的に決められてしまうのではないか、そういった不安の声をいただいておりまして、ですので、改めてこの市町村会を設ける趣旨とその役割についてお伺いしたいと思います。  そしてまた、しっかりとこの支給決定に際しましては障害程度区分のみならず介護者の状況や環境、そして本人の希望を十分に尊重して行われるべきものと考えておりますが、最後に御見解をお伺いしたいと思います。
  249. 中村秀一

    政府参考人中村秀一君) 市町村が支給決定を行うわけでございますが、市町村がまず支給決定を行うに当たりましては、審査会が判定した障害程度区分、それから社会活動や介護者、居住等の状況、御本人サービスの利用の御意向等をお聞きいたしまして、お一人お一人の事情をきめ細かく反映するということで、市町村が支給決定案の作成をすると。その作成に当たっては、当事者御本人に面接して意向も十分聴くとともに、必要に応じましてその必要があれば御家族サービス提供者からも意見を聴くと、こういうふうにしております。それが第一段でございます。  前段の審査会でございますが、障害者の心身の状況に関して専門的な見地から客観的な判定、障害程度区分を行うと。この客観的な判定ができるようにモデル事業をした上で、今しておりますけれども、そこの中で客観的な判定基準を作りたいと考えておりますが、その際でも個別の事情が非常に重要な場合には、市町村に対しまして合理性、公平性について意見を述べると、この審査会の方も意見を述べるということができる形になっております。  そういったことで、市町村の支給決定に当たりましては、当事者の方々の御意見を十分聴くという形になっておりますし、また形だけではなく、そういったことで当事者の方の言わば思いを十分反映し、満足のいくプランを作るということが重要だと考えております。
  250. 鰐淵洋子

    鰐淵洋子君 終わります。
  251. 紙智子

    紙智子君 日本共産党の紙智子でございます。  最初に、自立支援法による一割負担導入について質問いたします。    〔資料配付〕
  252. 紙智子

    紙智子君 大臣は無理のない負担だということを繰り返しお話しになっていますけれども障害者家族には深刻な負担増になることは避けられません。四日の予算委員会で我が党の小池議員が通所施設そして入所施設負担がどれだけ過酷なものかということをお話ししたわけですけれども、それだけではありません。グループホームから通所施設に通う場合の負担増についてお聞きします。  入所施設利用者の場合、最低でも二万五千円が残る仕組みがつくられたと。で、大臣は、これはきめ細かな配慮だというふうにおっしゃっているわけです。同じく生活の場であるこのグループホームに入所をし、授産施設、作業所などに通う場合の減免措置というのは一体どうなるのか。食費や居住費以外の生活費を賄うこの手元金というのを残す仕組みはあるんですか。
  253. 尾辻秀久

    国務大臣尾辻秀久君) 先日、予算委員会小池先生に御質問いただきましたときに、個別減免というお話でございましたので、そして私は施設に入所しておられる方というふうに理解しましたので、それについてお答え申し上げたつもりでございます。この個別減免は、施設に入所しておる方の場合と、それから今お話しいただきましたようにグループホームを利用しておられる方の場合、これはまた減免の仕方を分けております。  まず、施設に入所しておられる方については新たに食費などの御負担をいただくということにいたしましたところですが、施設においては食事というのは自分だけでできるわけじゃありませんで、もうみんなでするわけでございますので、個人が柔軟に変えるというわけにはいかない。そういうこともございますので、再三御説明申し上げておりますように、一定の日常生活費等が手元に残るようにしますということを申し上げております。そして、その額を二万五千円というふうに申し上げているところでございます。これが施設に入所しておられる方の場合でございます。  一方、グループホームに入っておられる方でございますけれどもグループホームにおられる方というのは従来食費というのは自分で払ってきておられますから、そういう意味では今回新しく制度が変わる、やり方が変わるわけじゃございませんので、そこの部分手元に残す。そこの部分でといいますのは、食費、居住費を除いた日常生活に掛かる費用として手元に残す額の基準というのは決めていないところでございます。  ただ、そうは言いましても、変わる方といいますか負担をいただく部分が出てくるわけでございますから、特に生活ができなくなるというようなことがこれはあってはなりませんので、資産が少ないなど負担能力が少ない方については、月額六万六千円までの収入の方は定率負担はゼロとする、それから六万六千円を超える収入がある場合でも超える収入の半額を負担上限額とする、それから特に工賃は気になりますので、その収入工賃等である場合には負担上限額を更に低い額、すなわち一五%と言っておりますけれども、一五%とするなど、きめ細かな負担軽減措置を講じることにいたしておるところでございます。
  254. 紙智子

    紙智子君 手元に残す仕組みグループホームの場合はないと、しかし六万六千円と作業工賃の一部が手元に残るというお話されているというふうに思うんですよね。しかし、平均工賃は大体一万に満たないということもなっていますし、グループホーム利用料、特に知的障害者の場合でいいますと平均で五万二千円ですからね。その分と通所施設食事代、半分だということで五千円と。これを引く、支払を引きますと一体手元に幾ら残ると思いますか。  ちょっとこの資料をお配りさせていただいているんですけれども、この上の方ですね、上の表を見ていただきたいんです。これは北海道の旭川のグループホームから作業所に通う四十一歳のBさんの場合出していますけれども、六万六千円の年金工賃五千円の収入があると。作業所が就労継続支援等に移行した場合に個別減免を受けたとしても、このホームの入居費四万五千円と定率負担分、これは計算すると三百円なんですけれども、あと通所施設での食費負担が五千円を支払いますと、手元には二万円余りですよ。ここに二万六百円と書いてありますけれどもね。一日七百円ですよ。こういう形になっていると。  しかも、このBさんの場合は介護保険料二千円を徴収されるわけですね。さらに、車いすの生活をしていますから交通費もかさむわけです。このほかに医療費それから洋服代、その他の日用品ということで、大体一日六百円程度で賄わなきゃいけないと。すると、今でさえぎりぎりでやっている方からも、言わばむしり取るという形になるわけです。これが大臣が言う無理のない負担の実態なんですよ。  大臣は無理のない負担だと言うわけだけれども、入所施設利用者の場合は二万五千円、これを残すと。これしか残らないということなんですけれどもね。で、利用料が徴収されるというのは、小池議員が指摘したとおり生活保護世帯の水準をはるかに下回ると。本当にひどい話だと思うわけですけれども。しかし、それもひどいと思いますけれどもグループホームの入居者の場合はそれすらも保障されないと。これで一体自立した人間らしい生活というふうに言えるのか、生活保護以下の生活を押し付けるようなこんな仕組みがきめ細やかな減免なんていうふうに言えるんですか。いかがですか。
  255. 尾辻秀久

    国務大臣尾辻秀久君) 今お示しになった数字は実際の数字であろうと思いますから、そのとおりなんだろうと思います。  二万五千円の根拠について私申し上げましたけれども生活の実態調査の中で二万一千円というところで頑張っておられる皆さんも、そういう層もあるということを申し上げましたけれども、そうした皆さんの額も見ながら御理解いただける数字でというふうに私ども申し上げておるわけでございまして、改めてそういう数字を申し上げるところでございます。  ただ、グループホーム利用をしておられる皆さんについては、手元に残る額をこれだけということについて決めておるものではございません。そのことはそのとおりでございます。
  256. 紙智子

    紙智子君 ちょっと私聞いた趣旨と違うお答えで、別に根拠ということはもう既にお話しになっていますけど、これしか残らないような状況で本当にきめ細やかな減免なんというふうに言えるのかというふうにお聞きしたわけですよ。  この表の中で、次のところは平均的な例ということで出ていますけれども六万六千円、知的障害者グループホームの平均で五万二千円と。作業工賃平均七千三百円と。これで計算しても残金が一万五千五百五十円と。一日五百円程度ですよね。もし親が子供の将来のために、自分の方が先に逝ってしまうんじゃないかと先行きを心配して子供のために貯金を残した場合に、それが例えば三百五十万円以上であれば、これ減免は受けられないわけですよね。そうなると、完全に赤字になるわけですよ。で、生活保護水準以下の生活にまで負担能力を求めるのが自立支援法だと。大臣はこれが無理のない負担だというふうに思われますか。
  257. 尾辻秀久

    国務大臣尾辻秀久君) 先ほどグループホームについて、グループホームに入居しておられる方々お話ございましたけれども、これはグループホームに入っておられる方の家賃というのは様々でございますし、また地域差も大きいところでございます。また、家賃補助の状況もいろいろあるといったようなことを考えますと、一律に私どもがその他生活費に関する基準を設けることは困難でありまして、基準を設けていないということは先ほど申し上げたところでございます。  それから、今、平均的な例ということでお話がございました。これのグループホーム入居費用というのは五万二千円ということでお示しをいただいております。これは、この資料にもありますように、知的障害者福祉協会の調査だというふうに理解をいたします。そうなりますと、確かにこの調査のグループホームへの食費、居住費の平均は五万二千円でございますけれども、同時に、この調査の中で、対象としました調査の中では、今度はこの皆さん工賃等年金以外の収入が幾らあるかというと六・三万円ということになっておりますから、そういう意味で平均というふうにお出しになるんであれば、やはり障害年金六万六千円とそれからこの調査に出ておりますグループホーム食費、居住費の平均が五万二千円になっておるという、この調査に出ております工賃などの年金以外の収入が六・三万円という、この六・三万円を足して出すというふうに考えるのがいいのじゃないかと思いますけれども、そうなりますと十二万九千円ということにもなります。  まあデータの出し方、いろいろあろうかと思いますので、今申し上げたところでございます。平均といってもいろんな平均の出し方があるというふうに申し上げたところであります。
  258. 紙智子

    紙智子君 全然答えてないわけですよ。私は、これで無理のない負担だとおっしゃるんですかと言ったら、平均はこうだけどそうじゃない場合もあるとかなんとかということを言いますけれども、そういうことを聞いたんじゃないんですよ。しかも、減免措置は期限付きですよね。個別減免は三年間が限度ですよね。三年もし過ぎてこれがなくなった場合に、例えばさっき言ったBさんの場合はどうなるかというと、定率負担で二万一千五百円に跳ね上がるわけですよ。さらに、通所施設食費負担というのは、今五千円ですけども九千二百四十円、これが加わると。完全に赤字なわけですよ。そうなると、グループホームにもいられないし、作業所にも通えないということになってしまうわけですよね。減免の期間を三年間というふうに限定した根拠は何なのかなと思うんですけれども、三年後にもしこの負担が跳び跳ねていったとしても、障害者に対して十分人間らしい生活を保障できるような障害年金の増額ですとか、それからその雇用の保障がされるということなんですか。そこはどうですか。
  259. 尾辻秀久

    国務大臣尾辻秀久君) まず、先ほどのお答えの中で私が言わんといたしましたことは、平均的な例としてお出しになりましたので、このグループホームの入居費用五万二千円というデータで出すのであれば、これは同じ調査で収入は六・三万円になっておるわけでございますから、年金以外の収入が六・三万円になっておりますので、年金の六・六万円を加えますと十二万九千円になる。そうしますと、手元に残る金額がまた全然違う数字になりますのでということを申し上げたつもりでございます。そういうふうにお答えを申し上げたところでございます。  そこで、今、今度は三年後のお話でございます。障害者所得保障障害者の地域における自立した生活を考える上でこれはもう当然重要な問題と認識をいたしております。さきの衆議院での修正も踏まえて、就労支援を含めた障害者等の所得の確保に係る施策の在り方については、前回の衆議院の修正もいただいておりますので、そのとおりに検討規定を盛り込んだところでございます。  その検討するに当たって、例えば障害者就労所得の実態、それから障害年金や諸手当などの所得保障制度の体系の在り方サービスを賄う負担在り方就労支援施策や、家族、地域社会との連携など、施策の対象者仕組み等に係る様々な問題を整理する必要があると考えております。  そこで、自立支援法の規定の三年後の見直しということで、これは今、前回の衆議院の修正も踏まえて変えましたということでございますので、この規定の三年後の見直しの際に結論を得なければならない、障害者所得保障ということについては結論を得るというふうにさせていただきたいと存じます。
  260. 紙智子

    紙智子君 結局、検討という話の範囲なわけですよね。所得保障にしたって、一体何年前から言っていることなんですか。これ、政府は一九八一年の国際障害者年のときからずっと所得保障の確立ということを掲げてきているわけじゃないですか。もう二十五年たって実現してないものが三年後で実現できるんですか。結局は、検討すると言うだけで具体的なものは何も示してないじゃないですか。空手形を示して、結局この過酷な負担だけを確実に負わせていくものだというふうに言わざるを得ないですよ。いかなる減免をしようとも、応益負担仕組みを残したままではいずれは更なる負担増につながるわけです。きめ細かな減免措置講じるというふうに幾ら繰り返しても、無理な負担を強いる本質は変わらないんですよ。  だから、先日、七日の日の公聴会のときにも批判が相次いだんじゃないですか。恐らく、この公聴会、皆さん行かれて聞かれたと思いますけども、その中で大阪の吹田の知的障害者育成会の事務局長さんの播本さん、公述人の方が、重度の知的障害と自閉症を併せ持つ二十三歳の息子さんの成長、自立の過程をお話しになっていますよね。  高校生くらいからお母ちゃんから離れたいと伝えるようになったと。で、十九歳のときにやっとこの入所施設に入れることができたと。で、二十三になって予想しなかった成長を見たと言っていますね。それまではすべて母親に頼っていたけれども、今、トイレも自分で始末できるようになった。ぜんそくの発作が起きそうになったら、自分で起きて事務所のドアをたたいて知らせるようになった。いろいろな作業をすることで、僕は大人なんだというようにプライドを持つようになった。彼にとっての自立というのは親から離れて暮らすことだったというふうに言いながら、しかしこの法案が通った場合に利用料の一割負担で本当に大きな負担になると。これ負担できなければ、せっかく自立した生活からまた元の親の依存する生活に戻らなきゃいけないと。だから、この法案というのは自立法じゃなくて自立できない法案と言わざるを得ないということを強調されていたわけですよね。  この不安というのは、実はいまだに障害者家族の共通した声なわけですよ。大臣、この声の重さを一体どう受け止めているのか。障害者社会参加あるいは自立支援に逆行しないというふうに言えるんですか。
  261. 尾辻秀久

    国務大臣尾辻秀久君) まず、その三年後の障害者所得保障という際に、これ、こうしたまたすべての検討をいたしますと言っておるわけでございますが、当然そのときに今の減免措置をやめると言っておるわけじゃございませんので、そこのところは御理解いただきたいというふうに思います。やめると言っているわけじゃありませんで、とにかくすべて含めて検討をしますと、結論を得るということを言っておるわけでございます。  そうした中で、障害者自立を目指してとにかく前に進んでいかなきゃならない。先ほども御指摘いただきましたけれども、諸外国と、例と比べて、日本の障害者の保健福祉施策がどうなんだろうという御意見もございまして、私どもも、とにかく外国との比較はどうであれ、障害者施策が後れを取ってきたということは認めておるところでありまして、これを何とかこの際にまた少しでも前に進めなきゃいかぬということを考えております。  そして、そうした中で、いろんなことを申し上げておりますけれども、前に進めるに当たって、本当に障害者皆さんに無理なといいますか、負担できないような御負担をお願いするということは、これは言ってはならないことだと私どもも思っておりますから、そうした中での減免措置、今話題にもなりましたけれども、いろんなことを考えておるということでございます。
  262. 紙智子

    紙智子君 今、国際的に見ても日本が後れてきたということを認めて、もっと前進しなきゃいけないと、それはそうだと思いますよ。  で、私はやっぱりこの審議を通じて、今までも出されてきたけれども、だれかが負担しなきゃいけないというお話をされるわけですけれども、それはそうだと思いますよ。だから、今まで応能負担でやってきたんだと思うんですよ。で、すべての人を何も負担ゼロにしろというふうに言っているわけじゃないんですよ。まともな所得保障がないままに、負担能力のない人にまで一律の無理な負担を押し付けないようにしなきゃいけないと、押し付けてはいけないと、やっぱり所得に応じてできる範囲でみんなが負担すると。だったら何で応能負担じゃ駄目なのかということなんですよ。どうですか。
  263. 中村秀一

    政府参考人中村秀一君) 再三お答え申し上げておりますように、一割負担原則になっておりますけれども所得に応じまして上限が付いておりますし、施設に入所されている方の場合には更に資産、収入に応じて個別の減免をするということになっております。  それで、今、先ほど例に出ましたその知的障害の方の場合も年金、無理のない負担の例でございますが、公聴会に出られた方の今の例で申し上げますと、見直し前がもし障害年金二級であれば三万九千八百円であるところが四万一千円ということでありますので、一割負担定率でありますと八万一千円でありますけれども、四万一千円の上限が付いているということで、上限が付いているということをお答えしているわけでございます。資産や所得に応じて上限が付いており、従来の負担が三万九千八百円の方が四万一千円であったということであり、そういった意味で、私ども無理のない負担だというのは、そういう意味だということを申し上げているわけです。
  264. 紙智子

    紙智子君 もう時間がもったいないので、聞いていないのに立ち上がって答えないでいただきたいと思います。  大臣の言う無理のない負担の実態というのは結局障害者に最低生活を押し付けるものだと、日常生活社会生活を営む最低限の支援を受けることは障害者皆さんにとってはようやっと普通の生活に近づける手段なわけですよね。マイナスからゼロにやっぱり回復していくと、平等を回復する手段なわけですよ。それを利益だといってサービスを多く必要とする重度の人ほど重い負担が強いられるということでは到底これは福祉とは言えないと。ですから、私は応益負担は撤回すべきだということを申し上げたいと思います。  ちょっと時間がもう過ぎましたので次のところに移りますけれども、共同作業所の問題についてお聞きします。  この負担増の問題に加えて批判の的になっているのは、制度の根幹にかかわる事項を政省令事項としていることなんですね。肝心な問題が当事者に明らかにされないまま強行されようとしていると。その一つが、新体系に移行する際の具体的要件の問題です。  現在、障害者の働く場、社会参加の場になっている共同作業所は、この新たな事業体系に移行することになるわけですけれども、その最低定員や工賃など具体的な基準がいまだに明らかにされていないと。だから、作業関係者は、どういう条件を整えれば国が責任を持つ義務的経費対象事業に移行できるのか分からないと言っているんですよ。小規模通所授産施設、それから小規模作業所の移行が想定される就労継続支援事業の要件はどうなるのか。社会保障審議会の障害者部会で二十人が基本となるという発言があったことから不安の声が上がっているんですね。もし最低定員が二十人ということになったら、無認可の小規模作業所はもちろん、定員が十人から十九人のこの小規模通所授産施設すらも最初から締め出されちゃうと。そうならないようにすべきだと思いますけれども、いかがでしょうか。
  265. 中村秀一

    政府参考人中村秀一君) お答え申し上げます。  就労移行支援就労継続支援というような事業を設けようとしておりまして、新体系のサービスと申し上げておりますが、この基盤整備を図っていく必要があると思います。  で、どういうその基盤整備を考えているかということですが、今委員から御指摘がございましたように小規模作業所、これは法定外の施設でございますが、この施設が移行されて新しい事業としてこの障害者自立支援法の事業となる可能性がございます。  二つ目は、既存の法定施設がそのまま乗り移るということも考えられると思いますし、それから新規の事業者が、全く今まで事業をやっておられない方が参入されると、こういう選択肢が考えられるというふうに思っております。  今、日中サービス利用されている施設が、約二十七万人が日中サービスで法定施設を利用されております。小規模作業所が、八万四千人の方が小規模作業所におられるというふうに考えております。  今後、地域で障害福祉計画を作っていただきますが、その地域の障害福祉計画の中でこの就労移行支援就労継続支援にニーズが満たされるように計画的な整備を進めていくということで、この三つのパターンが、それぞれ地域によって違うとは思いますが、移行していただく、あるいは参入していただく、あるいは法定外施設から法定内施設に移っていただくと、この三つのパターンを考えております。  具体的な基準については、新しい機能を実現するために職業指導や……
  266. 紙智子

    紙智子君 短めにお願いします。
  267. 中村秀一

    政府参考人中村秀一君) はい、分かりました。  職員の配置基準、それからサービス管理者、責任者を置くというような基準設定を考えておりまして、このたび十六年十月で全国的なサービスの実施状況も出てまいりましたので、それらの統計も踏まえ、今委員から御指摘のありました、どのような事業基準を作るかという作業に移ってまいりたいと思っております。
  268. 紙智子

    紙智子君 義務的経費対象となる新事業の基準がどうなるかというのは、作業所のこれからの運営に大変大きな影響があるんですよね。だから、白紙委任できないというふうに言っているわけですよ。法的審議には不可欠の要素だし、これ明示されなければ議論のしようがないことなんです、本来。当事者に具体的な説明しないで、とにかく法案だけは通してもらって後から決めようなんというのはやっぱり駄目なんですよ。  で、地域活動支援センターの問題でもあるんですけれども、たとえ小規模作業所が基準を満たしても、希望すればすべてが就労継続支援事業のこの義務的経費対象になる事業に移行できるわけじゃないわけですよね。問題は、この小規模作業所の多くが移行することになる地域活動支援センターというのは、裁量的経費による事業運営になるということですね。で、厚生労働省は市町村が地域に応じて柔軟に運営できるというふうに言うんですけれども、個々の地域活動支援センターにどれだけの助成がされるかというのは結局自治体の裁量に任されると。  で、作業所の活動が維持できる助成を国の責任で確保できる保障があるのかどうかというのは、これ非常に不安を持っているわけです、当然だと思うんですけれども予算不足ということになれば、自治体がその裁量で補助金を削るということもこれ可能になるということなんじゃないですか。
  269. 中村秀一

    政府参考人中村秀一君) 地域活動支援センターでございますけれども、これはそこの提供するサービスが、その一定水準の確保が求められますその就労継続支援個別給付事業とはまた別の事業として、地域の中で多様な活動をしていただくために造る事業でございます。  今委員から御指摘がございましたように、地域生活支援事業の中で位置付けられ、しかもこの事業につきましては七十七条の一項の四号で必ず市町村が実施しなければならない事業というふうにされておりますので、私どもとしてはコミュニケーション支援や移動支援と並んで非常に大事なもう必須事業と位置付けておりますので、それの活動に支障がないよう予算の確保に最大限努力してまいりたいと思っております。
  270. 紙智子

    紙智子君 予算の確保に最大限の努力というのは、それはいいと思うんですけれども、ただやっぱりそれぞれのところでちゃんとやってもらいたいということなんですけれども。実際上、財政難の自治体は柔軟に助成を増やすというよりも、削るということの不安というのはぬぐえないわけですよ、今厳しいから。現に、私のいる札幌市というのは、三年後には九人以下の作業所の補助金を廃止することを決めているんですね。だから、作業所の関係者の人は北海道も札幌市も単独の補助金はなくしたいんじゃないかと、助成が維持される保証はないんだというふうに訴えているわけです。財政難の自治体に対する不安はやっぱり強いわけですよ。  同じ障害者の日中の活動を支える不可欠な社会的な資源なのに、何で区別してこれは裁量的経費ってなるのか。私は、地域活動支援センターも義務的経費対象とすべきだと思いますけれども、いかがですか。
  271. 中村秀一

    政府参考人中村秀一君) お答えを申し上げます。  今九人以下の小規模施設が単独事業が廃止されるというような動きがあるということでございますが、正に今回の生活支援事業の中の必須事業としたということは、その市の単独事業という位置付けではなく、国の自立支援法の中の法定事業の中の市町村の必須事業とさせていただきましたので、そういった意味では、今、市の単独事業の、その市町村の財政状況により廃止とか縮小のお話がありましたけれども、そういったものの中の防波堤になるものというふうに私どもは考えておりまして、是非ここのところは財源を確保してやってまいりたいと思います。  なお、今の小規模授産施設につきましては、先ほど来申し上げておりますように、要件満たしましたら就労移行支援事業、就労継続支援事業の移行も可能というふうに考えておりますので、選択肢いろいろあるということでございますので、私どももできるだけ早くそういう選択肢で選んでいただけるように事業内容も明確にしてまいりたいと思っております。
  272. 紙智子

    紙智子君 答えになってないんですけれども、ちょっとその後があるので、これはちょっとまた引き続きやりたいと思いますけれども、もう一つのちょっと重大な問題があるのでお聞きします。作業所が地域活動支援センターに移行した場合の利用者負担の問題です。  地域活動支援センターの利用者負担は地方自治体の裁量となるわけですよね。負担を求めないことも可能だけれども、一割負担を求めることも、またそれ以上の利用料を徴収することも可能になるわけです。その際、介護的な給付、訓練給付による利用料上限が設定されるんですけれども、地域活動支援センターの利用料についてはその上限額の算定の対象となるんでしょうか。
  273. 中村秀一

    政府参考人中村秀一君) お答えを申し上げます。  地域活動支援センターの基準というのは、地域の実情に応じた柔軟な事業展開を可能とする方向で検討しており、利用料の設定をも含め自治体が柔軟な対応をできるようにしたいと考えております。  先ほど来申し上げておりますように、個別給付でありませんので、要するに上限の設定とか、そういうことは個別の給付の中で定率負担に対して様々な上限を設定するというようなお話ですが、正にここのところは市町村事業の中で、健診とかそういったところもそうですが、実費を勘案しながら市町村が利用料を設定しているというようなことでございますので、そういった意味での市町村事業の中で市町村が設定する利用料になりますので、言わば個別給付に対します、市町村がそれのアナロジーで設定していただくことも自由だとは思いますが、我々は余りそういうことを想定しているわけではないということでございます。
  274. 紙智子

    紙智子君 結局は、だから市町村がやることで、国からは別にどうもしないという話なわけですよね。  地域活動支援センターの利用者負担上限額の別枠で利用料を払わなきゃならないわけですよ。個別減免もないと。ですから、ヘルパーなど個別給付利用料を払った上で作業所の利用料を払わなきゃいけなくなると。地方自治体が国と同様にこの一割負担食費負担を決めた場合、これ支払わなきゃいけないと。その額は厚生労働省の資料でも通所施設利用料で一万四千九百円、食費六百五十円掛ける二十日で一万四千三百円で、二万九千二百円にもなるんですね。だから、移動支援とか日常生活用具を利用すると、その利用料も全部別途掛かるということになるんですよ。だからといって、障害者皆さん施設を選べる状況にはないわけです。作業所への通所をあきらめなきゃならないことになりかねないと。きめ細かい負担軽減というんですけれども、こういう事態を本当に回避できるのかということも問われているんですね。  障害者皆さんは、やっぱり自分の通っている作業所が地域活動支援センターに移行してしまったらそれだけで負担が更に跳ね上がるということになるわけで、こんな不公平な話ないんですよ。福祉サービスの自己抑制や受給抑制を行わない限り、現行基礎年金などの所得保障では生活そのものが成り立たないと、自立した生活を困難にしちゃうと、こういう事態でもありますから、是非これは義務的経費とすることを求めておきたいと思います。  ちょっと時間が迫ったので、もう一つどうしてもやりたいのがありますので、自立支援医療の問題についてお聞きします。  障害者の公費医療負担制度を改悪をして応益負担食費利用料負担を求めることについては様々な患者や家族の団体、医師から受診抑制、医療中断をもたらしかねないと、命にかかわる問題だということで強い批判が出されています。更生医療について、特に全国約二十五万人おられる透析患者の負担増の問題についてお聞きします。  資料を、もう一つ下の方の表、一覧表を見てほしいんですけれども、現在この透析患者の場合に非課税世帯ならば医療費は無料なわけですね。しかし、法案が通りますと、非課税世帯でも二千五百円ないしは五千円の負担をしなきゃいけないと。所得税の課税世帯、一番税額が低い段階D1ですね、ここでは現在千七百二十円の負担が今度一万円になると。五・八倍になるわけですよ。しかも、入院の場合はもっと大変なんですけれども、入院時の食費負担は非常に重いわけです。  透析の患者さんというのは急激に症状が変化すると。風邪から肺炎になりやすいとか、状態が不安定なわけですよね。そして、調子が悪いときは早期に入院して治療することが大事なわけですけれども、しかし資料のように大幅に負担がかぶってくるということになると入院をためらう状況になるんじゃないかと。これでは病状を悪化させることにつながるんじゃないでしょうか。この点どうですか。
  275. 中谷比呂樹

    政府参考人中谷比呂樹君) 更生医療を含む公費負担医療制度につきましては、毎年の利用者が増加しておりまして、その費用が増加する、急増する中で、制度の安定性、継続性を確保するために費用を皆で支え合うということをお願いしたいと思っているところでございます。その中でも、所得の低い方や継続的に相当額の医療負担が発生する方など医療費が家計に与える影響が大きい方につきましては、所得に応じた負担上限額を設定いたしまして、きめ細かく配慮することとしておるところでございます。  すなわち、原則は医療保険の負担上限額まで一割の負担でございますけれども、その所得の低い方には低い上限額を設定をし、それから所得の低い方以外につきましても継続的に相当額の医療費負担が発生する方、これを重度、継続といたしまして、月当たりの負担額に別途上限を設定をしておるところでございまして、今お示しいただきましたようなことになっておるわけでございます。  当面は更生、育成医療につきましては、腎機能障害、小腸機能障害、免疫機能障害、それから精神通院医療につきましては統合失調症、躁うつ病、狭義でございますけれども難治性てんかんなどを考え、今専門家が検討中でございます。  さらに、これに加えまして、疾病などにかかわらず、高額な医療費負担が継続することから対象となる方もおられますので、こういう方も重度かつ継続の中に含めております。  こういうことで、食事につきましては皆様御負担をいただくということで、このコラムで言いますと右側の「入院」のところになっておりますけれども、御指摘のとおり月当たりの負担上限も設けておりますので、おおむね無理のない負担範囲ではなかろうかと思っている次第でございます。
  276. 紙智子

    紙智子君 おおむね無理のない負担だと思っていると言うんですけれども、それは余りにも患者さんの実態を知らないと思いますよ。  私は、北海道の腎臓病の患者さんの連絡協議会からお話を伺ったんですけれども負担増の影響というのは本当に深刻なんです。腎臓病の場合、負担上限は一万円で抑えられるけれども、患者の負担はこれだけじゃ済まないんですね。なぜならば、長期の透析で合併症を発症している患者さんも多いわけです。  道腎協の調査では、月一万円以上の医療費を払っている人が二二%以上ですよ。その上、地方なんかは通院の交通費が多額になります。二割以上が月一万円以上なんですね。高齢化に伴って合併症、視力障害とか、それから歩行障害とか、公共交通機関を使えない、歩いていって自分でバスに乗ったりできない人も多いわけですよ。そうすると、どうしてもタクシー使うと。だから、交通費が二万円以上になる人も六・一%いるというふうに言っているんですね。これから雪降ってきますけれども、雪の降る季節はもっとかさむわけです。  透析の患者さんは、週三回、四時間透析のために就労を、やっぱりまとまった時間で働けないというのもありますから就労できずに、低所得者も多いわけです。半数が非課税世帯なんですね。障害のために不可欠な数万円の出費というのは、既にもう患者や家族生活を圧迫しているわけですよ。新たな負担増でこの上掛かるということになりますと、必要な医療もためらう患者が出ることは避けられないんです。  透析の患者さんの方からは、かつてそうであったように、金の切れ目が命の切れ目に逆戻りするんじゃないかということで、本当に強い抗議の声が上がっているんですよ。大臣、それなのに大丈夫だというふうにおっしゃるんですか。
  277. 尾辻秀久

    国務大臣尾辻秀久君) 今、非課税ということでおっしゃいますと、まあ非課税の皆さんに対するまた医療費の減免措置も講じておるわけでございますから、決して非課税の皆さんが一万円になるというわけではございません。私どもとしては、とにかく無理のない御負担をいただこうということでお願いをしておるところでございます。  先ほどの御質問に対して私がお答え申し上げようと思っておりましたことは、建前としてどうなんだというふうに聞かれますと、私どもはやはり定率負担でお願いしますというふうに申し上げるわけでございますけれども、午前中もお答えいたしましたように、私どもは限りなく応能負担に近づけたというふうに考えております。そうしたやり方の中で、私どもが今回の仕組み考えておりますことだけは申し上げておきたいと存じます。
  278. 紙智子

    紙智子君 限りなく応能負担に近づけたというんだったら、別に変えなくてもいいんじゃないかなと思うわけですけれども。  この腎臓の方たちは、生きている限り透析の治療は続けなきゃいけないわけです。この過酷な負担が続くことになるわけですね。これ以上の負担に耐えられないと、家族にはやっぱりこれ以上迷惑掛けられないというふうに患者さんの方が言っているわけです。こういう声をきちんと受け止めていただきたいと思うんですね。  しかも、今、自立支援法審議のさなかにも別途新たなこの負担増の計画が明らかになって、患者さんの不安が更に増しているんですよ。先日の新聞で、医療保険制度を見直して、この透析患者の長期高額療養費を一万から二万に引き上げるということが報道されました。そうなったら、この透析の患者さんの負担上限が一気に倍に引き上がってしまうことになるんですね。  しかも、大変だからこそ、今まで自治体が独自に更生医療に上乗せをして、この障害者皆さん負担を軽減をしてきたわけです。そういう自治体が独自の医療費の助成制度を今各地で廃止したり見直したりしているわけです。北海道は昨年十月までこの障害者の医療費は初診料だけであとは掛からなかったんですけれども、しかし、他府県に先駆けて一割負担導入しちゃったんですね。そのために更生医療がもう最後のとりでだということで悲鳴を上げているわけです。  厚生労働省は、必要な医療は確保しつつ、費用をみんなで支え合うと言うんですけれども障害のやっぱり重度化、命の危険をもたらしかねないような、こういう負担増は撤回すべきだと思います。これについて一言を。
  279. 尾辻秀久

    国務大臣尾辻秀久君) まず、今お話しの冒頭でおっしゃったことについて一言だけ言わせてください。  それは、限りなく応能負担に近づけたのなら何も変えることないじゃないかというお話でございましたが、私ども義務的経費にしなきゃいけない、国がきっちり義務的な金として出すべきだというこの仕組みにする、そのために私どもとしてはやはり定率負担ということを、先ほど来申し上げておりますように建前としては言わざるを得なくて言っておりますけれども、ただ実質は限りなく応能負担にしたということを申し上げておるわけでございまして、義務的経費にするためにこのことが必要であるということを改めて申し上げたいと思います。  それから、今一万円から二万円ということでございますが、これ今、私どもがそういうふうに考えておるわけではないということだけは申し上げたいと思いますし、そのことを検討、行っておるということではないということを明確に申し上げたいと思いますし、とにかく、いずれにしたって、すべてこれは医療費の改革の中での話でありますけれども能力に応じてというところはここでも当然言われるわけでございますから、無理な御負担をお願いするということは医療費の改革の中でもまた申し上げるつもりはないことも明確にさせておいていただきたいと存じます。
  280. 紙智子

    紙智子君 じゃ、時間になったということなので、最後に一言だけ言わせてもらいますけれども。  いろいろ議論してきていますけれども、やっぱり応益負担の撤回というのは、障害者家族、関係者の皆さんの共通した声なんですね。やっぱり、本当にそれに対してきちっとお答えになっていらっしゃらないというふうに思いますよ。本当に障害者自立支援法に対して多くの皆さんは白紙委任しているつもりもないし、しかもこの前の選挙のときにアンケートをやったら、与党の皆さんの中にもこのまま通すということでは駄目で、抜本修正が必要だということが、そう答えた人が三割いたんですよ。それなのにもかかわらず、選挙が終わってから全く修正なしにまた同じものを出してくると。これ自体も本当にひどい話だというふうに思います。撤回を求めて私の質問を終わります。
  281. 福島みずほ

    福島みずほ君 社民党の福島みずほです。  先日の地方公聴会でも定率負担、あるいはたくさんの懸念が表明をされました。障害のある人やその家族の不安は全く解消されていないというふうに考えます。  発達障害者へのサービスについてお聞きをいたします。  廃案になりましたが、衆議院厚生労働委員会附帯決議七月十三日付けで記されている内容に次のようなものがあります。「障害者などの福祉に関する他の法律の施行状況を踏まえ、発達障害・難病などを含め、サービスを必要とするすべての障害者が適切に利用できる普遍的な仕組みにするよう検討を行うこと。」というふうになっております。  特に、サービス範囲、体制、実施スケジュールなどが明らかにされるべきではないでしょうか。
  282. 中村秀一

    政府参考人中村秀一君) お答えを申し上げます。  今の附帯決議にもございますし、障害者自立支援法案の検討規定にもございますが、この法律の施行後三年を目途として、障害者等の範囲を含め検討を行って所要の措置を講ずることとされております。  今回の自立支援法は、知的障害、身体障害、精神障害の三障害を一元化するということでございますので、その三障害以外の部分につきましては対象にならない部分があるということになりますので、それらも含め検討をしてまいりたいと思います。  また、発達障害につきましては、精神障害に含まれる、概念的に含まれるということで、障害者自立支援法案対象となり得るサービスがございますので、早期療育の観点から、児童のデイサービスが御利用にできる、なるとか、そういったことはあり得るものと考えております。  しかし、教育や就労の局面におけるサービスが必要である部分でございますとか、発達障害定義のすべて対象になるわけではございませんので、そういった部分については、今後、発達障害者のニーズを発達障害者支援センター等を通じて把握しながら、今年度から実施いたします発達障害者支援体制整備事業の結果も踏まえまして、発達障害者にふさわしい福祉サービス在り方を検討してまいりたいと考えております。
  283. 福島みずほ

    福島みずほ君 検討していきたいということですが、私は根本的に障害者自立支援法案、まず定率応益負担であることが問題であること、それから今の答弁に端的に明らかなように、検討していきたい、検討していきたい、モデル事業を実施しており、これからサービスメニューを考える、これから検討する、そういう答弁であれば、私たちは一体どうなるのか全く予測ができません。発達障害、難病などを含めどういうふうに仕組みをつくるのか、そのことをきちっとこの委員会で明らかにすべきです。本日においても、これから検討していきたいという答弁では当事者も私たちも納得することができません。  腎不全の患者さんは長期にわたり高い医療費の負担を強いられております。自治体の単独事業としての重度障害者医療費助成制度も、自治体の財政状況により将来の支援が先細りになり、不安が拡大をしています。就労状況も、病気のために不安定な収入になりがちです。この点については他の委員からも質問がありました。最後のよりどころである更生医療制度が今回なくなれば負担は確実に増大をします。そこで、治療費の減免を受けられる範囲を拡大する、治療の一部である食事代などの負担をもっと軽減するなどの対応が必要ではないですか。
  284. 中谷比呂樹

    政府参考人中谷比呂樹君) 今回の見直しにおきまして更生医療がなくなるわけではありません。更生医療を含む障害にかかわる公費負担医療制度につきまして、対象者の増加などによって費用が急増する中で、制度の安定性、持続可能性を確保するため費用をみんなで分かち合う、こういう制度へ見直して医療費と所得に応じた御負担をお願いしようとするものでございます。  こうした中で、原則医療保険の負担上限額まで一割の御負担をお願いするということでございますが、所得の低い方には低い上限額を既に設定しておりますし、そうした中で人工透析の患者の皆様方のような継続的に相当額の医療費負担が発生する方を重度かつ継続というようなカテゴリーにいたしまして、低所得以外の方につきましても一層の負担上限額を低く設定をする措置を講ずるようにしたところでございます。  このような改革を通じまして、更生医療を含む公費負担医療制度の安定化を図り、将来に向かって持続できるような仕組みとするものでございます。
  285. 福島みずほ

    福島みずほ君 みんなで負担というのであれば、障害を持つ、あるいは腎不全の患者さんたちの中での、その中での負担を、どうパイを分けるかという話ではなくて、みんなの負担ということであれば税金も含め国民全体で負担すべきではないですか。
  286. 中谷比呂樹

    政府参考人中谷比呂樹君) この制度、そもそもでございますけれども原則一割の御負担をお願いするということは、逆に言えば九割の御負担を税金といたしまして国民の皆様からいただくということでございます。
  287. 福島みずほ

    福島みずほ君 それは明確なる負担増ではないですか。
  288. 中谷比呂樹

    政府参考人中谷比呂樹君) このような御負担をお願いするに当たりましては、低所得者の方々に十分な配慮をして無理のない御負担をお願いしたいという御答弁をさせていただいております。
  289. 福島みずほ

    福島みずほ君 そうではなくて、一般的に定率負担であればみんなにとって負担増になるわけです。そこのところが厚生労働省がさっぱり理解をしないということが根本的な問題だと思います。  更生医療は存続する、それでよろしいんですね。
  290. 中谷比呂樹

    政府参考人中谷比呂樹君) はい。自立支援医療といたしまして、その中に更生医療、育成医療、精神障害の方の通院医療が含まれます。
  291. 福島みずほ

    福島みずほ君 一歩踏み込んで更なる負担軽減をしてもらいたい。その部分についてはどうですか。  もう一度質問を繰り返します。せめて治療の一部である食事代などの負担を軽減する、そのことを厚生労働省は前向きに検討していただけないでしょうか。
  292. 中村秀一

    政府参考人中村秀一君) 先ほども部長から御説明いたしましたように、腎不全の医療費というのは一月四十万円掛かるわけですね。その四十万円の医療費を、一割というと四万円ですけれども、そういうことではなく、医療保険の方でも一万円の御負担にとどめ、それを更に自立支援医療の中で工夫して、ゼロ、二・五万、五千、一万と、こういうところで抑えているわけで、言わば四十万に比べますと一万円でも二・五%負担であるということなわけであります。  食事につきましては、人工透析につきましては時間が短くなっており、医療保険でも通院の場合の食事については給付対象になっていないと、こういうことでございますので、御理解願いたいと思います。
  293. 福島みずほ

    福島みずほ君 その二万五千円というお金をなかなか払えないという人たちがいるからこそ問題にしているのです。  今日は食い下がって、やはりもう少し前向きにやってもらいたい。治療費の減免を受けられる範囲を拡大する、治療の一部である食事代などの負担をもっと軽減する、これを厚生労働省はやるべきじゃないですか。治療を中断する人がいて命の危険が生じたら、厚生労働省はどう責任取られるんですか。一歩踏み込んでやってください。
  294. 中村秀一

    政府参考人中村秀一君) 言い間違えたようなのであれですが、一割負担の方の部分についてはそのように上限が付いている。それから、食事につきましては、医療保険でも給付対象外になっておりますので、そういった意味でこのような措置を、通院の場合については食費の御負担もお願いをする、そういう形になっているということでございます。
  295. 福島みずほ

    福島みずほ君 私の、社民党の考え方は、定率負担そのものがおかしい、それからこういう形の改正はおかしいというふうには思っていますが、せめてもう一歩踏み込んで、やはりこの点については対応を考えてもらいたい。  なぜこう言うかというと、やっぱり命に関することでお金がないために治療を中断する、あるいは私も腎不全、透析の患者さんたちの知り合いはいますが、食費だって、食べ物だって、これは治療の一環であるというふうに考えます。また、治療費の減免を受けられる範囲をやはり拡大すべきだと。それは踏み込んでくださいませんか。
  296. 中村秀一

    政府参考人中村秀一君) 腎不全の治療食、治療的な食事につきましては診療報酬の方で手当てがされております。私が申し上げていますのは、四十万円の総医療費に対しまして目一杯でも一万円の御負担というのは、負担率としては、一〇%、一〇%と言われていますけれども、四十分の一であるということを御説明しているわけでありますし、食事につきましては、言わば透析の治療とは別途取っていただくという、一般的な食事はそういう整理でございますので、その整理に従わせていただきたいと思っております。
  297. 福島みずほ

    福島みずほ君 腎不全の患者さんは、長期にわたり高い医療費の負担が強いられている、それからやはり就労がなかなかうまくいかない、仕事を休んで行かなくちゃいけない、自治体の単独事業としての助成制度も将来は支援が先細りになると。その中で厚生労働省が今回負担増をやることについて患者さんたち負担が広がっているわけです、不安感が。それについて厚生労働省は端的にもう少しこたえるべきじゃないですか。患者さんの負担を軽くすることが厚生労働省の一つやるべきことではないですか。  なぜこう言うかというと、実際、医療の中断が起きるだろう、行けない人が出るだろうということを一番懸念するからです。どうですか。
  298. 中村秀一

    政府参考人中村秀一君) 申し上げておりますように、医療にしろ福祉サービスにしろ、来年度のこの更生医療も含めます公費負担医療、自立支援医療予算は一〇%以上の増加をお願いしているということで、新たに医療をお受けになる方もおられますし、そういった方々に対して医療サービスも提供していかなければならないということで、これから入ってこられる人工透析の方のことも考えなければなりませんし、そういう医療費を御負担していただいている方々、特に更生医療につきましては医療保険の保険料のほかに税で賄っているわけですから、そういった税を負担している方々との配慮も我々欠かせないというふうに思っておりまして、正に、申し上げていますとおり、無理のない範囲での御負担は、支え合いという観点からお願いをしたいと考えております。
  299. 福島みずほ

    福島みずほ君 今まで数値が出ていますが、やはりそれが無理であるということが実態としてあるので言っているからです。厚生労働省のこの委員会での一貫した説明は、財政難の折、抑える必要があると、継続的にやるために勘弁願いたいという、そういう説明では、しかしやはり命に関することなので納得することはできません。  次に、作業所に通えていた人が通えなくなる可能性が高い、作業所に通う障害者収入経費のバランスが定率負担制度導入によって経費超過となってしまうのではないか。これについてどうですか。
  300. 中村秀一

    政府参考人中村秀一君) お答えを申し上げます。  作業所に通う障害者の方、グループホームから通われる場合、また通所サービスを使われる場合、いろいろあろうかと思いますが、御説明申し上げていますとおり、定率負担ではありますが、月額上限があるということ。グループホームからお通いになる方につきましては障害基礎年金二級に該当します六万六千円までは定率負担は無料であるということ、それから自宅からお通いになる場合につきましては六万六千円の年金の方については七千五百円という上限にしているというようなことでございまして、そういった意味で無理のない御負担が可能になると、こういうふうに考えております。
  301. 福島みずほ

    福島みずほ君 作業所自体が成り立っていかなくなるのではないか。その点についてはいかがですか。
  302. 中村秀一

    政府参考人中村秀一君) ちょっとその作業所自体が成り立っていかなくなるという意味の趣旨がちょっと分かりかねますが、いずれにしても今ある作業所の形態は五年間は続くわけでございまして、そういった中で、委員がどうしてその作業所が成り立っていかなくなるか、御心配されている理由がちょっと分かりかねますので、もしよろしければ教えていただければ御答弁させていただきたいと存じます。
  303. 福島みずほ

    福島みずほ君 厚生労働省は作業所自体の収益を目指していらっしゃいますか。
  304. 中村秀一

    政府参考人中村秀一君) 私ども、ちょっと御質問の趣旨が分かりかねますが、ちょっと申し訳ないんですが、私どもは、今あるいろんな作業所、授産施設とか様々な施設がございますが、一つは、法定外の作業所につきましては、紙委員にもお答え申し上げましたとおり、新しくつくられますサービス体系の中で、基準に合致していただき、また障害福祉計画に合致する場合には、そこの施設に移行するという道は開かれていると。また、今のままがよろしければ、移行するとつぶれてしまうと、こういうお考えであれば移行することを強制するわけではございませんので、今も法定外施設であっておやりになっているわけですから法定外施設のままとどまるということも可能だと考えておりますので、そういった意味では現状の道もあると。法定外施設でのお話であればそのように考えているということでございます。
  305. 福島みずほ

    福島みずほ君 作業所に通う費用定率負担を頼むということになるので支出が増えます。ですから、作業所で、これはしかも労働と位置付けられていないので、そうしますと、来た人が働いても働いても働いても、逆に言うと定率負担なので通えば通うほど、働けば働くほど損をするという状況になるわけです。そうすると、作業所にじゃだれが行くのか、作業所を維持する人がどうなるのか、その点について懸念をするわけです。作業所は従来どおり続けて結構ですよと言われるけれども、作業所に通えば通うほどお金が掛かる。だれが作業所に通うんですか。
  306. 中村秀一

    政府参考人中村秀一君) 作業所に通われる理由はたくさんあると思います。一つは、もちろん働いて工賃を得られること。二つ目は、そこに行って友人と会えたり、自分たちが言わば社会参加する場所であるということ。三つ目は、そこで自分の技能を向上させて一般就労につながるとか、さらに質の高い作業なり、例えばある方にとっては創作活動であるかもしれませんけれども、そういったところにつながるといういろんな動機があると思います。  そういった中で、その作業所の運営に係る費用があり、その運営については、お世話をする職員又は訓練の指導をする職員の経費もありますので、その経費につきまして負担費用を言わば御利用していただく費用として負担をしていただかなければならない。他方で、作業をし、工賃収入があれば工賃収入としてその方に入るということになるわけで、理想としては、やはり工賃収入が高くあって、利用料を超えて、工賃収入から払えるというのが望ましい姿であると思いますし、そこを目指すべきだと思いますが、例えば工賃収入のない方でもサービスを利用した場合には年金の中からサービスの御利用を負担をしていただくわけでありますので、工賃収入はそれにオンされた中からまたサービスの利用をしていただくということになると思います。  私が申し上げたいのは、いろんな動機、いろんな気持ちで作業所に通っておられると思いますので、この、何といいますか、利用料負担が上がるから来なくなるというのはかなり、そういう方もおられるかもしれませんけれども、それが一般的かなあと思っておりますので、御答弁させていただきました。
  307. 福島みずほ

    福島みずほ君 答弁は簡潔で結構です。  もし作業所がそのように重要なものであればあるほど、障害のある人たちが作業所へ通う権利を保障すべきではないですか。定率負担にすれば通えなくなりますよ。それは通えなくなりますよ。それだけ作業所が重要だというのであれば、なぜ通うことに定率負担お金を取るんですか。厚生労働省は障害のある人たちを本当に応援しようと思っているのか。これだったら、お金が掛かるから行くのをやめようと思い、せっかくみんながつくってきた作業所そのものが成り立っていかない、そのことが起きるわけです。この国に障害のある人は生まれてはいけないのか、生きてはいけないのか、作業所に通ってはいけないのか。実際、お金がなければ通っていけなくなります。  結局、順番が逆。さっき工賃が高ければいいとおっしゃいました。工賃が安いんですよ。安い工賃の、あるにもかかわらず、お金を取ろうとするから、無理なわけです。就労支援が先にあって、それから就労支援がきちっとされていて、それから定率負担なら一万歩譲ってまだ理解ができます。工賃が安いのにお金を取るからみんなが怒っている。私も怒っています。順序が全く逆ではないかというふうに思います。  次に、サービスの地域格差解消の名の下にサービスレベルが下がることについては前回も質問しましたが、大阪での地方公聴会でも意見が出ました。大阪地方公聴会の中で古田公述人の方から詳しく意見が出されました。例えば、大阪市では移動介護は月五十一時間まで。利用者が多く、平成十六年度実績で年二十八億程度になると考えられ、その約半分の十三、十四億が国負担となる模様。来年度予算の概算要求では移動介護や相談支援事業、地域活動支援センターなどが含まれる地域生活支援事業は半年で二千億、年四百億で、大阪市の全国との人口比で換算すると年八億であると。移動介護だけでも赤字になる。枚方市でもガイドヘルプは年六億だが、人口比換算で地域生活支援事業の総額は二・六億しかない。移動介護、移動支援個別給付に入れて義務的経費化しなければ到底維持できない。  こういう問題、明らかに大阪の場合、これ下がるんじゃないですか。いかがですか。
  308. 中村秀一

    政府参考人中村秀一君) 前回も御指摘がございましたけれども、これまでも大臣からもお答えさせていただいておりますけれども、今般の障害者施策の見直しというのは障害者福祉サービスの量の拡大を図るものでございまして、先ほどお答え申し上げておりますように、来年度予算でも在宅サービスは三二・六%増を要求しておりますので、全体としてサービス水準が底上げされるものと考えております。  例えば、現段階で高い水準の地方自治体でも精神障害者などを中心に今後なお利用者数は伸びていくものではないかと考えておりますので、そういった意味で、大阪の例が出ましたけれども、個々人のサービスの量がどうなるかについてなどその施行時点の個々人の状況や地域の状況によるため一概には申し上げられませんけれども、一般的には現在サービスを受けられている方々生活に大きな変化が生じることがないように適切に配慮してまいりたいと思いますし、こういった考え方からすれば、今委員が御心配されているように、高い水準のところを引き下げて低い水準のところに回すと、そういうアプローチではなくて、低いところの方の底上げを可能な限り図っていくという立場で進めてまいりたいと考えております。
  309. 福島みずほ

    福島みずほ君 私は抽象的なことなど一切聞いておりません。実際、地域生活支援事業で、この費用の換算で移動介護だけでも赤字になる。例えばガイドヘルプ、枚方市でガイドヘルプは年六億、人口比換算で地域生活支援事業の総額は二・六億であると。明確に足りないわけですね。  局長、一切障害者人たちサービスは下がらない、それをお約束してくださいますね。そういう答弁だという再度確認させてください。  で、この足りない分はどうするんですか。
  310. 中村秀一

    政府参考人中村秀一君) 今委員が御指摘になった計算の仕方ということがございますが、私どもは、今要求しておりますのは、委員からお話がありましたように半年間二千億じゃなくて、半年間二百億、年間四百億の規模で今十八年度においては生活支援事業を要求させていただいております。  生活支援事業の中身はいろんな事業が入っておりますし、項目としてもございます。また、全国の実施状況の問題もありますので、個々に枚方市にどの事業でどれくらい配分できるかということについては今お答えはできませんけれども、コミュニケーション支援事業、移動支援事業、それから地域活動センターの事業、様々ございますので、そういった事業の全国的な状況を考えて配分をさせていただきたいと思っております。
  311. 福島みずほ

    福島みずほ君 障害者人たちが不安を持っている、あるいは私たち会議員が不安を持っているのは、今あるサービスのレベルが下がるのではないかということです。それに全く端的に答えられないじゃないですか。全体を見てこれから配分するということであれば、どうなるか分からない。
  312. 中村秀一

    政府参考人中村秀一君) お答えしたつもりですけれども、もう一度お答え申し上げますが、基本的な在り方としては、地域格差がありますけれども、基本的な認識としてはまだまだ全国的にサービスが足りないという認識でございますので、その際、足りないところの底上げを図るということでやってまいりたいと思っております。  その際、今レベルが全国的に低い中で、進んでいるところを引き下げて低いところに回すというアプローチは取らないと申し上げております。逆に言えば、まず配分に当たっても、現在の実績も考慮し、また今サービスを受けている人たちにとりまして支障が生じないようなことを配慮しながらやってまいりたいということでございますので、この答弁を是非御理解いただきたいと思います。
  313. 福島みずほ

    福島みずほ君 低いところは上に上げる、そして今ある水準を下げないと局長答弁されましたので、もし将来下がることがあればまた問題とさせていただきます。下がることはないと、全国的に下がる障害者の人はいないという理解でよろしいんですね。それは、ここでその確認をしましたので、下がる人はいない。でも、下がる人はこの制度設計だといると思いますが、下がる人はいないということで、今後も追及させていただきます。  ところで、衆議院の厚生労働委員会附帯決議で出されたものに、市町村の審査会のことについて「障害者委員に加えることが望ましいことを市町村に周知すること。」というふうになっております。不服がある場合は自ら意見を述べる機会が与えられることといった点について、どのような対応をするのでしょうか。本来なら、障害者自身がどのような権利を有しているのか、どのような制度を利用できるかを丁寧にアドバイスする体制などが必要だと考えますが、この法律でどう担保されているのでしょうか。
  314. 西博義

    ○副大臣(西博義君) 今回のこの法律において市町村の審査会を設けるわけでございますが、この審査会につきましてはそれぞれの先生方の専門的な見地から客観的な判定を行っていただく、又は市町村が作りました支給決定案が合理的なのか、公平なのかということについての意見を述べていただくというようなことが大きな仕事でございまして、その委員については障害者の保健福祉に関する専門的な知見を有して中立公平な立場であるということが求められるわけでございます。したがいまして、この委員につきましては、単に障害者家族であるというだけの理由だけでは残念ながら適切ではございませんが、障害保健福祉の有識者であって中立かつ公平な立場で審査が行える者であれば、市町村の判断によって障害者家族委員になっていただくということもあるわけでございます。  また、市町村が支給決定を行うに際しては、障害者家族から直接生活状況、それからサービス利用の意向を聴くことによりまして障害者家族意見が反映できるように今回配慮させていただいているところでございます。
  315. 福島みずほ

    福島みずほ君 衆議院の附帯決議は、障害者家族ではなくて、四項に、これは廃案になったものの附帯決議ですが、「障害者委員に加えることが望ましいことを市町村に周知すること。」と明言しています。だとすれば、今回法案提出するに当たってこのことをきちっと法案に望ましいと入れるべきじゃないですか。入れてくださいよ。障害者委員に加えることが望ましい。いかがですか。
  316. 中村秀一

    政府参考人中村秀一君) 私ども今回提出させていただきました法案は、前回、今附帯決議のお話がございましたけれども、衆議院で修正いただいた内容について、目的規定なり附則の規定なり、そこを対応させていただいたということでございます。附帯決議につきましては、法案は廃案になりましたけれども、衆議院の附帯決議については重く受け止めて対応させていただきたいと思います。  で、そういう委員に入れることも含め、障害者の方のサービス利用に当たっては、もうサービスを申請する前の相談から支給決定、サービス利用まで具体的に市町村の方で相談支援体制を取りたいと思っておりますし、また必要になる方についてはサービス利用の計画作成について個別給付がなされる仕組みになっております。
  317. 福島みずほ

    福島みずほ君 それでは、四項の附帯決議は、障害者家族ではなく、はっきり障害者委員に加えることが望ましいことを市町村に周知する、厚生労働省は障害者審査会の委員になることが望ましいと考え、そのことを徹底する。再度確認させてください。それでよろしいですね。
  318. 中村秀一

    政府参考人中村秀一君) 附帯決議については、法案成立いたしました際に様々な附帯決議が付いております。今の点も含めましてきちんと対応してまいりたいと思います。
  319. 福島みずほ

    福島みずほ君 市町村の審査会に障害者自身が委員に入れるかどうかは極めて大きいです。厚生労働省は、くどくて済みませんが、審査会の委員障害者当事者が入るよう本当にきちっきちっと入るようきちっと指導する。それでよろしいですね。
  320. 中村秀一

    政府参考人中村秀一君) その審査会の委員としての要件はございますので、中立かつ公正な立場で審査が行える方であれば、当然それは望ましいと考えております。
  321. 福島みずほ

    福島みずほ君 二十四時間、三百六十五日介護を必要としている障害者人たちの不安が地方公聴会でも出ました。少しでも現状のサービスが下がれば命の危機に直結してしまうという点があります。この重度障害者への十分な予算措置を確保されているんでしょうか。
  322. 中村秀一

    政府参考人中村秀一君) お答えを申し上げます。  新制度では十分な予算措置というお話でございましたけれども、正にここは自立支援給付、福祉サービスの内容になるわけでございまして、重度訪問介護重度障害者等包括支援というカテゴリーがございます。そのカテゴリーも含めまして自立支援給付になっておりますので、そこの自立支援給付につきましては、再三申し上げておりますように、国の義務負担になっておりますので予算の確保を図らなければなりませんし、十八年度伸びるようでありましたら、十九年度は更にその伸びたものについて間に合うように予算の確保を図っていかなきゃならないというのがこれからの国の役割になると認識しております。
  323. 福島みずほ

    福島みずほ君 厳しい財政状況の中で、パート職員など非正規雇用者に依存しながら運営されている福祉施設は、今後どのようにしてサービスの維持を図るのでしょうか。施設運営のための経済基盤が安定しなければ、職員、スタッフの雇用の確保が困難であり、最終的には福祉サービスの低下により障害者にしわ寄せがやってきます。施設運営への最低保障をする制度は考えられているのでしょうか。
  324. 中村秀一

    政府参考人中村秀一君) お答えを申し上げます。  従来、施設につきましては措置制度で運営されてまいりまして支援制度に移行して動いてきたと、こういう経過がございます。今、施設在宅費用の割合を見ますと、少なくとも福祉サービスにつきましては七五%が施設系のサービスになっているという状況でございまして、そういった意味ではかなり施設費用が割かれているという点があります。  ただ、施設体系が三障害、かなり複雑になっておりますとともに、現在のニーズやそれから自立支援就労移行、そういった観点から見ると今の体系で良いのかどうかという問題点も指摘されておりますので、五年の経過期間のうちに新しい事業体系に移るということを考えてまいりたいと思っております。
  325. 福島みずほ

    福島みずほ君 答弁が、やはり将来の設計にまつというものが非常に多い、そのために答弁を聞いて、なるほどそうか、安心したというふうに全くならないということになります。  政省令についてですが、今日もそうですが、将来検討する、これから検討する、これから制度設計を待つ、予算をちゃんと取ります、これで私たちは、なるほど分かった、安心したというふうに本当になりません。政省令について、障害者人たちの不安の多くは、自分たち生活がどのようになるかが不明な点にあります。運用レベルのプロセスを早急に明らかにすべき。  政省令で何個今検討していて、何個明らかにできて、いつまでに何個明らかにするか、教えてください。
  326. 中村秀一

    政府参考人中村秀一君) お答えをさせていただきますが、その前にちょっと言い漏らしましたので申し上げたいと思いますが、施設施設というお話がありましたけれども、これまでの障害者行政はやや施設偏重であったということがありまして、それが問題点の一つでありまして、これからの方向としては、できるだけ地域で暮らせるように、普通の暮らしができるようにノーマライゼーションを図っていくということ。それから、自立につながるように、いろいろなレベルのいろいろな形態の自立があると思いますが、一般就労に行かれる方、またそういうことにはつながらなくても、その人たちが尊厳を持って生きていけるような環境をつくっていくということが目標であろうかというふうに思います。  これからの作業として大きな作業が幾つかございまして、一つは障害程度区分を作るということでございますが、ここの部分につきましてはモデル事業の結果も出まして、審議会の方にも報告し、なお詰めていこうということになっておりますので、この点につきましては十八年四月までに決める必要があるというのが一つの固まりでございます。  二つ目の固まりは、ケアマネジメント関係でございまして、これも十八年四月を目指して作業をしてまいりたいと思っております。  三つ目は新体系への移行でございますが、これは十八年十月から動き出しますけれども、十八年四月に旧体系と申しますか、現行施設などの報酬についても決めてまいりたいと思いますので、その際、今やっておられる施設の方が新しい事業はどういうことかというイメージがわきませんとできませんので、この辺も、十八年四月に新事業の報酬なり基準も明確になるように作業をしてまいりたいというふうに考えております。  あと、市町村の福祉計画がございますが、その福祉計画につきましては十八年十月というのを念頭に置いて作業を進めているところでございます。
  327. 福島みずほ

    福島みずほ君 十八年三月、四月に明らかになるんであれば、障害者自立支援法案はそういうきちっとした制度設計が明らかになってから出せばいいじゃないですか。政省令が分からないからこそ、私たちは不安で、だれも納得しないわけです。  政省令は、この障害者自立支援法案に関していえば何個作られるんでしょうか。
  328. 中村秀一

    政府参考人中村秀一君) 政省令につきましては約二百でございます。
  329. 福島みずほ

    福島みずほ君 その二百個のうち、今明らかになっているのは何個ですか。
  330. 中村秀一

    政府参考人中村秀一君) 今は何個というよりは、今私が申し上げましたようにパーツ、パーツがございますので、それぞれ例えば新しい事業体系を判断する上にはサービスの内容が、実施状況が分からなければならないと。それは前国会でも議論になりましたけれども、そこにつきましては、十月五日の社会保障審議障害者部会の方にサービスの実施状況も明らかにさせていただいたということで、着実に作業は進んでおりますので、政省令というものにつきましては、お出しするときに一挙に二百なり、その施行時期にもよりますけれども、そういう点でございますが、実質については前国会に比べまして、例えば障害程度区分につきましてもモデル事業の結果も明らかになり、九五%の方が二次判定まで含めれば該当するということで、かなりその点についての御懸念は払拭されたんではないかと思っておりますが、そのようにかなり作業が進んできており、前国会に比べて御判断いただく材料も確実に増えてきていると思っておりますので、何分御審議のほどをよろしくお願いしたいと考えております。
  331. 福島みずほ

    福島みずほ君 みんなが不安に思うのは、一体どうなるかが分からないからです。二百個政省令があるということであれば、それを明らかにし、こういう制度設計でやるということをお示しされた上で法案を出し直せばいいじゃないですか。でないと、私たちは国会の中で、さっきから検討します、検討します、十八年四月にこういうことをやります。なぜ今大急ぎでやらなければいけないのかさっぱり分かりません。  二百個の政省令の概略も私たち会議員は分からない、制度設計が分からない、将来へ白紙委任をする法案に私たちは賛成することはできません。できる限り明らかにして法案を出すべきだということを強く求めます。  ところで、生活保護との整合性についてお聞きします。  障害者年金水準生活保護よりも低いという問題点があります。憲法二十五条に反するのではないか。前国会あるいは今国会で局長は、生活保護という選択もあるというふうに答弁をしました。しかし、資力調査が嫌なので自立を目指して頑張っている障害者にとって、減免があったとしても生活保護レベルより下がるという問題があります。障害者生活実態を十分に調査して決めているんでしょうか。  また、衆議院の厚生労働委員会附帯決議に記されている障害者所得の確保について、障害者年金を含めてどのように検討されているのでしょうか。
  332. 渡邉芳樹

    政府参考人(渡邉芳樹君) 現行障害基礎年金生活保護の水準、そして憲法二十五条のお尋ねがございました。  国民年金法はその第一条で日本国憲法第二十五条第二項を引用しておりますけれども、この第二十五条第二項は種々の政策を有機的に実施することによって実現するというものでございまして、必ずしも障害基礎年金生活保護水準を上回ることを義務付けているものではないというふうに考えております。保険料を拠出し合う中で全国民に共通した給付として支給する年金、とりわけ老齢年金を中核とした拠出制の公的年金の中にこうした障害年金というものも位置付けられておるわけでございますが、それぞれ老齢年金との対比で同額又は二割五分増しということで設計しておりますものの、これは障害を有する場合に納付要件を満たしていれば満額が給付できる、こういうものでございますから、生活保護の補足性の原理による最低生活水準の保障という機能と単純には比べられないものと考えております。
  333. 福島みずほ

    福島みずほ君 生活保護という選択もあるという答弁についてですが、生活保護が資力テストがあるために受けたくないと。ですから、定率負担になって減免があったとしてもなかなか──じゃ質問を言い換えます。減免を受けるためには、生活保護とは違いますが資力調査があると。減免を受けるために負担がある、こういう指摘についていかがですか。
  334. 中村秀一

    政府参考人中村秀一君) 生活保護は、ミーンズテストと申し上げまして、もう厳格な資産調査をし、例えば貯金については半月程度の貯金しか認められないとか、そういう制度でございます。言わば生活保護はもうゴールキーパーでございまして、最後の策というふうになっております。そういう制度でございます。  今度の自立支援法の減免というのはそうではなくて、そういうミーンズテストではなくて、減免の対象になる方々の資力、言わば預貯金とフローの収入を見させていただくというもので、生活保護のそういった資産調査、例えば家があるかどうかとか、そういうものとは全く異なるということを御理解いただきたいと思います。
  335. 福島みずほ

    福島みずほ君 ミーンズテストとは違っても定率負担、減免。減免を受けるにやはり調査を受ける、これが負担だという障害者の声もあり、それは十分理解できる。やっぱり制度の立て方が問題だというふうに思います。  それから、先ほど局長は、施設ではなく地域で生きていけることこそ重要だと言いました。地域で生きるためには、移動するのに定率負担お金が掛かれば地域の中ですら生きられなくなるのがこの自立支援法案だということを強く申し上げたいと思います。  最後にお願いです。政省令について、二百個ぐらいあるというふうにおっしゃいました。どこの部分のどういう点がどう明らかになっているか、その二百個が、どの部分のどの部分のどの部分に関して政省令を作る予定なのか、それについて私たち厚生労働委員会に明らかにしてください。お願いします。
  336. 岸宏一

    委員長岸宏一君) 後刻理事会で協議いたします。
  337. 福島みずほ

    福島みずほ君 はい、ありがとうございます。
  338. 岸宏一

    委員長岸宏一君) 質問時間が過ぎましたので、よろしいですね。
  339. 福島みずほ

    福島みずほ君 はい。
  340. 岸宏一

    委員長岸宏一君) 本日の質疑はこの程度とし、これにて散会いたします。    午後五時四分散会      ─────・─────    〔参照〕    大阪地方公聴会速記録  期日 平成十七年十月七日(金曜日)  場所 大阪市 新大阪ワシントンホテルプラザ    派遣委員     団長 委員長      岸  宏一君        理 事      武見 敬三君        理 事      谷  博之君        理 事      円 より子君        理 事      遠山 清彦君                 清水嘉与子君                 西島 英利君                 水落 敏栄君                 朝日 俊弘君                 小池  晃君                 福島みずほ君    公述人        大阪府医師会理        事        中尾 正俊君        障害者自立と        完全参加を目指        す大阪連絡会議        事務局長     古田 朋也君        社会福祉法人プ        ロップ・ステー        ション理事長   竹中 ナミ君        大阪知的障害者        育成会吹田支部        事務局長     播本 裕子君        大阪精神障害者        連絡会事務局長  塚本 正治君     ─────────────    〔午後一時開会〕
  341. 岸宏一

    ○団長(岸宏一君) ただいまから参議院厚生労働委員会大阪地方公聴会を開会いたします。  私は、本日の会議を主宰いたします厚生労働委員長岸宏一でございます。よろしくお願いいたします。  まず、私ども委員を紹介いたします。  自由民主党所属の武見敬三理事でございます。  民主党・新緑風会所属の円より子理事でございます。  同じく、民主党・新緑風会所属の谷博之理事でございます。  公明党所属の遠山清彦理事でございます。  自由民主党所属の清水嘉与子委員でございます。  同じく、自由民主党所属の西島英利委員でございます。  同じく、自由民主党所属の水落敏栄委員でございます。  民主党・新緑風会所属の朝日俊弘委員でございます。  日本共産党所属の小池晃委員でございます。  社会民主党・護憲連合所属の福島みずほ委員でございます。  以上の十一名でございます。よろしくお願いいたします。  参議院厚生労働委員会におきましては、目下、障害者自立支援法案について審査を行っておりますが、本日は本案について関心の深い関係各界の皆様から貴重な御意見を承るため、当地において地方公聴会を開会することにいたした次第であります。何とぞ特段の御協力をお願いいたします。  次に、公述人方々を御紹介申し上げます。  大阪医師会理事中尾正俊公述人でございます。  障害者自立完全参加を目指す大阪連絡会議事務局長の古田朋也公述人でございます。  社会福祉法人プロップ・ステーション理事長竹中ナミ公述人でございます。  大阪知的障害者育成会吹田支部事務局長播本裕子公述人でございます。  大阪精神障害者連絡会事務局長塚本正治公述人でございます。  以上、五名の方々でございます。  この際、公述人方々に一言ごあいさつを申し上げます。  皆様には、御多忙中のところ御出席をいただき、誠にありがとうございます。本案につきまして皆様方から忌憚のない御意見を拝聴し、今後の委員会審査の参考にしたいと存じます。よろしくお願いを申し上げます。  次に、議事の進め方について申し上げます。  まず、公述人方々からお一人十分以内で順次御意見をお述べいただき、その後、委員質疑お答えいただきたいと存じます。  なお、御発言は着席のままで結構でございます。  それでは、これより公述人方々から順次御意見をお述べ願います。  まず、中尾公述人にお願いいたします。中尾公述人
  342. 中尾正俊

    公述人中尾正俊君) 大阪府医師会の中尾でございます。  時間の関係もございますので、早速始めさせていただきたいと思います。  本年十月五日、政府・与党は今国会に今後の社会保障の在り方にかかわる重要法案として障害者自立支援法を上程されています。従来の障害分野別の縦割りの障害者福祉法を横断的な障害者福祉サービスにする一元的立法です。  支援制度は二〇〇三年四月にスタートし、基盤整備の後れなど改善すべき課題も多く残されていますが、自己決定の尊重、選択の自由といった制度理念の下、何よりも障害重度化、重複化、高齢化等によって深刻な介護実態にあった多くの障害児、障害者、その家族が、新制度導入を機に積極的にサービスを希望され、活用を広げたことは評価すべき点と言えます。しかし、支援制度には、障害程度区分に基づく利用契約制に転換した面と、その反面、税方式で応能負担による費用負担や行政的窓口を市町村が行うなど措置的な面と精神障害者が含まれていないことなど、二面性を持っております。そして、二〇〇二年十二月に閣議決定された新しい障害者計画を踏まえ、あるべき障害福祉サービス在り方を模索するのであれば、三障害を一括する障害者自立支援法を想定せざるを得ないと考えます。  そして、厚生労働省は二〇〇四年十月に、今後の障害保健福祉施策について、改革のグランドデザインを提案しました。提案している障害者施策の改革のポイントは、これまで身体障害、知的障害、精神障害の三障害においてばらばらに提供されてきた福祉サービスを一元化し、実施主体も市町村に一元化していく、障害者がもっと働ける社会にと、福祉的就労から一般就労への支援を行う、三、地域で限られた社会資源を活用できるよう規制緩和を行う、四、公平なサービス利用のための手続や基準の透明化、明確化を進める、五、増大する福祉サービス等の費用をみんなで負担し支え合う仕組みを強化する五点を挙げております。  さらに、グランドデザインは、一、障害保健福祉の総合化であり、できるだけ身近な市町村でサービスを受けられる体制を目指す、二、自立支援型システムへの転換、三、制度の持続可能性の確保という三つに考え方をまとめることができます。  以上の考え方により、政府・与党は、様々な縦割りの障害者立法を相互に関連させて、可能な限りの一本化を図った障害者自立支援法案提出することになったと考えます。この新しい法律、障害者自立支援法には、精神保健福祉法に基づく福祉サービスや医療給付も当然のことながら入ってきております。  次に、障害者自立支援法案における見直しとして、次の三点に絞って意見を述べます。  第一点として、給付体系の見直しがあります。支援制度問題点として、市町村の財政格差に伴う地域格差が措置の時代より非常に拡大している点です。また、障害者サービスは、従来、居宅サービス施設サービスの二つに整理されていましたが、総合的な自立支援システムの構築のとおり、介護給付と、訓練等給付自立支援医療、補助具と、地域生活支援事業の三つに再編され、サービス給付体系が大きく変わることになります。  自立支援医療費では精神障害者に対する精神通院公費があり、その対象は、精神保健法第三十二条の適正な医療の普及という制度である趣旨を踏まえれば、疾患名ではなく状態像で指定すべきと考えます。精神通院公費の財源確保においてなされるべきことは、平成十四年の在り方検討会の提言にある対象者や医療費請求の適正化に行政が積極的に取り組むべきだと考えます。  第二点として、手続の見直しがあります。障害者自身がサービスを選択でき、障害程度区分に基づき支援限度額の範囲で最大限利用する人と、権利性を十分主張できなかった知的障害者支援制度に含まれていない精神障害者との障害格差が著しく増大した点です。介護給付、訓練等給付の利用手続も従来と比べて大きく変わり、相談支援事業、ケアマネジメントが新たに制度化されます。障害者制度利用を進めるために情報提供や助言等が積極的に行われることを期待します。  しかし、市町村における相談支援にかかわる基盤整備が大きく後れており、現状のままでは十分に機能するのか懸念されます。また、障害程度区分とそれに基づく支給決定は、心身の状況や生活環境等を踏まえつつ、介護給付、訓練等給付はそれぞれの調査項目に基づきチェックされます。介護給付については、コンピューター処理による一次判定、さらに医師意見書等を市町村審査会に送付して二次判定を行い決定されることになっています。二〇〇四年に障害程度区分認定試行事業が行われました。調査結果から、コンピューターによる一次判定は精神障害者介護度を実際よりかなり低く判定することが判明しております。医師意見書や審査員の委員構成により二次判定の結果が大きく左右されている点より、障害程度の統一的判断基準を示す障害程度区分判定モデル事業には多くの問題点があり、早急な再検討が必要と考えております。  第三点として、負担の見直しがあります。  支援制度問題点として財源不足があり、財政的には裁量的経費であることから制約もありました。そこで、費用負担を一割負担という定率で、ただし低所得者への配慮は不可欠です、障害者自立支援法案では都道府県のみならず実施責任のある市町村が障害福祉計画を法定義務的に定め、それによって義務的経費化する必要が生じました。厚生労働省は従来補助事業であった居宅サービスを義務負担化するという国の財政責任を明確化しており、その点は大変評価できます。しかし、広く国民に理解され制度を安定的に運営するために、施設利用者に対しては一割の応益負担以外に食費や医療費等が全額自己負担となり、個室利用料などいわゆるホテルコストも具体化されようとしています。  障害者が利用されるサービスは益ではないのです。障害を持たれた方にサービス量所得に着目した負担と表現を変えてきておられ、低所得者への配慮と言われておりますが、障害者負担がかつてなく大幅に増加することを危惧しております。従来、前年度の所得に応じた応能負担制度によって多くの障害者が無料あるいは低料金でサービスを利用できていたことを考えると、所得保障など解決すべき点を放置して強行されれば障害が重い人ほど負担が重くなります。その結果、負担ができない障害者サービス利用を断念するといった問題も心配され、親、家族負担を増やし、障害者自立への道を大きく阻むことになりかねないかと懸念しております。  障害者への自立支援は、社会参加社会経験の拡大、家庭支援や子育て支援、知的障害などへのコミュニケーション支援、適正な医療の普及など、障害者の特性と実態に基づく総合的な社会的支援の視点が重要と考えます。  以上です。
  343. 岸宏一

    ○団長(岸宏一君) ありがとうございました。  次に、古田公述人にお願いいたします。古田公述人
  344. 古田朋也

    公述人古田朋也君) 障大連の古田と申します。今日は貴重なお時間いただきまして、ありがとうございます。  時間が限られておりますので、私どもが強く懸念している課題についてざっと御説明させていただきます。お手持ちの資料に沿ってまいります。  まず、障害程度区分判定についてですが、判定等試行事業、大阪では大阪市と枚方市で実施しております。三枚目、四枚目がその概要、結果概要なんですけれども、この障害程度区分判定は身体機能、問題行動ばかりが並べられた判定項目になっておりまして、特に知的、精神の障害にはそぐわないという結果がこの結果を見ても明らかになっている。知的、精神のほとんどすべてのケースで一次判定から二次判定に移るときに一ランクから三ランクも大幅に判定がアップしております。また、精神の、非該当になってしまった人が三割になっています。これは、全国調査でも変更率は五〇%、精神の非該当は三〇%という結果が出ております。  これを見ても分かりますように、知的、精神ではほとんど判定のやり直しになってしまうということになります。一次判定の判定項目が全然実態に合っていない、ニーズに合っていないということを物語っております。このまま判定事業をやっていけば、知的、精神の判定はすべてやり直し、とても審査会では賄い切れないというような結果になるかと思います。三障害それぞれに合った判定項目を是非とも作っていただきたいというふうに思います。  それから、地域生活自立生活を知らない人が調査員や審査委員になれば判定が低く出てしまったり、全然調査結果にも特記事項にも書かれないというような、そういうふうな結果になるということが今回の試行事業でも明らかになっております。是非とも障害当事者や地域生活支援センターが必ずその判定の過程に関与できるようにしていただきたいというのが二点目です。  続いて、ホームヘルプですが、大阪では自立生活をしている全身性障害者、ALSの人など、長時間介護利用者が大変多くおられます。障害程度区分ごとに標準額を設けると言われておりますが、その額が幾らになるのかということが私ども障害者にとっては死活問題になります。  現在の国基準、全身性障害で月百二十五時間以上の介護は今保障されていますけれども、それが、標準額を上回るところはもう自治体で負担と言われれば大変なことになります。自治体で負担するといっても、何億、何十億ものお金が自治体に押し付けられてくるという事態になりますし、また、今では区分によって余った予算をほかの足りない区分に回せるという区分間流用ができているんですが、それもどうなるのか分からないというような状態になっております。  そういうふうに、標準額の問題が非常に大きな問題となりますんで、今、先進自治体大阪などの先進自治体現行の実績時間数を基に標準額を設定していただきたい。  それから、各自治体で今後延びる時間数も含めて実績額を義務的経費化していただきたい。特に地方などでは、標準額が定められてしまえば、それが上限になってしまうというおそれが強くあります。その点もよろしくお願いしたいと思います。  また、移動介護ですけれども大阪は国で制度化されるよりも前に知的障害者のガイドヘルプが制度化されてきました。そのために利用者が大変多くおられます。大阪市では、移動介護、月五十一時間までです。そんなに多く使っているわけではございません。利用者が多く、平成十六年度の実績では、恐らくガイドヘルプの予算、二十八億だろうと言われております。そのうち約半分の十三、四億が国の負担となる模様です。  ただ、一方で、来年度の概算要求で、地域生活支援事業、移動支援ですとか相談支援事業とか含めた地域生活支援事業は、来年度の概算要求、半年で二百億、年間で四百億にしかすぎません。これを大阪市と全国の人口換算で見てみますと、大阪市に入ってくる分は地域生活支援事業総額でも八億ぐらいになるんじゃないかというおそれがあります。それでは、移動介護だけでも十三、四億掛かっているわけですから、それだけでも赤字になってしまう。あとの部分を補てんしろと言われても到底無理な状態になります。  移動介護や移動支援すべてをやはり個別給付に入れて、義務的経費化を是非お願いしたいというふうに思います。  また、今年四月からスタートした行動援護では利用がほとんどない模様です。単価を上げたために、かなり狭く、問題行動に着目したひどい項目で、国会でも質問していただきましたけれども、そういう判定基準をまず見直していただきたいのと、まあ差別的な内容を含んでおりますので、それを見直していただきたい。  それから、重度訪問介護のような、長時間利用ができるような制度に是非していただきたいというのが私ども知的障害者の団体からの声でもあります。その点も是非お願いします。  それから、移動介護以外の地域生活支援事業各施策についても後退しないように予算確保をお願いしたいという点です。  それから、グループホームですが、今現在、重度、中軽度者が混じって生活する地域生活の場、居宅扱いですが、これが今後も生活も、生活水準仕組みが維持できるのかという問題があります。グループでは生活しておりますが、一人一人の生活を個別に対応してつくっている。それが何か集団生活の枠に押し込まれそうになっております。大阪では四人入居のグループホーム、七〇%を超えております。ただ、入居者何人対職員一人という予算とも絡んだ額は明らかにされておりません。知的のグループホームでは一対一対応が必要な人もおられ、最重度者には一対一の職員やヘルパーの配置が必要です。また、現行三、四人に一人の職員が配置できるような報酬額にしていただきたいと思います。精神のグループホームは今、年三百万でしかありません。これ以上下がってしまえば維持できなくなります。  また、日払い制ということも言われていまして、日によって何人おるかカウントして補助額を決める。そうしたら、入院中は、入所施設はカウントしてくれるけれどもグループホームではカウントされないように言われています。そうしたら、そこから補助額は下がります。入院もうしてくれるなというふうな話になるかもしれません。  また、ホームヘルプやガイドヘルプが使い続けられるのか。ホームヘルプは、グループホームでは使い続けられたとしても報酬の枠内でという話もあります。ホームヘルプを削減されると生活していけません。グループホーム報酬とは別に併給するようにしていただきたい。  それから、三障害統合と言われていますけれども、精神、知的だけしかグループホーム、ケアホームございません。身体障害者は認められていない。身体障害者グループホームを選べない状況になっております。その点も改善をお願いします。  それから、日中活動の場ですけれども自立訓練、就労支援等、訓練だけに限定しないでいただきたい。  それから、原則二十人以上と言われているみたいですけれども、そうなると、ほとんど場は移れません。おおむね一年の訓練で追い出すようなことも言われています。その辺も考慮をいただきたい。  それから、地域活動支援センターについても、今の小規模通所授産を少なくとも下回ることがないようにという点です。  それから、費用負担については、一万五千円、二万四千六百円というような上限、これが上限だと言われながら、これらは介護給付と訓練等給付負担上限でしかなく、医療費、補装具地域生活支援事業は別負担やというふうに言われています。一体、総額で幾らまで負担しなければならないのかということが強く懸念されております。  また、生活保護利用者負担ゼロですが、年金工賃程度、それ以下の年金工賃程度の人からお金を取るのは明らかに矛盾しております。少なくとも生活保護以下の所得の人からは費用負担をしないでいただきたいと強くお願いします。  また、政省令も現在できてきているみたいですけれども、これが全然隠されていて明らかにされておりません。即時公表して、それを障害者に教えていただきたい。それを基に徹底して国会で審議いただきたいというふうに思います。  また、最後になりましたが、現行サービス大阪では頑張ってきましたけれども、これが少なくとも引き下がらないように、地域生活支援事業も含めて引き下がらないように、それからサービスがまだまだ後れている自治体がちゃんと伸ばせるようにしっかりとした制度をつくっていただきたいというふうに思います。  どうもありがとうございました。
  345. 岸宏一

    ○団長(岸宏一君) ありがとうございました。  次に、竹中公述人にお願いいたします。竹中公述人
  346. 竹中ナミ

    公述人竹中ナミ君) プロップ・ステーションの竹中と申します。よろしくお願いいたします。  私は、今回の法案の細かい内容ではなくって、働くという視点からのお話を、考え方について今日はお話をさせていただきたいと思っています。  私たちプロップ・ステーションは、大変障害の重く介護が必要な人たちも仲間として集まって、コンピューターのようなITですね、科学技術を使って自分の力を社会に発揮していこうということで十五年前に設立いたしました。おかげさまでこの十五年間、大変IT技術の発達等により、またそういったITの企業等々の御支援も受けながら、多くの障害を持つ方々がお仕事ができる状況を生み出してまいりました。  そして、昨年の、前回の廃案に、この自立支援法は廃案になりましたけれども、実は大変重要な法案がこの間の国会で成立をいたしました。それは、私たちが働くということを視点に置いて活動を進めてきた一つの大きな望みでありました障害者雇用法の抜本改正です。  今までの雇用法の場合は、企業にあるパーセンテージ雇われるということに主眼が置かれていました。もちろん、これによって働ける障害を持つ方々が増えてきたことは事実ですけれども介護が必要であるとか毎日通えないとか、あるいは、そうですね、短時間あるいは季節ごとにしか、体調のいいときしか働けないというような方々にとってはこの法律も働くことを後押しするものではありませんでした。  しかし、私たちの長年の活動、あるいは私たちと同じような活動を続けてこられた多くの障害者皆さんたちの頑張りと努力でいろんな働き方ができるんだということが国にも認めていただきました。私たちは、昨年、この間の国会に雇用法の改正が提出されるまで六年間にわたり国といろいろな研究会を設けて、在宅ででも働ける、介護を受けながらでも働けるということを議論し、そして衆参両院ですべての政党の皆さんの御賛同を得て実はこの多様な働き方、新しいいろんな働き方も創出していこうという雇用法が成立したんです。  ただ、残念なことに、この法律の成立に関してはほとんどどのマスコミも取り上げてくださることなく、今この自立法案に対して、しかも反対という、負担が増えるというこの一点だけに絞って多数のマスコミの方が報道されていることは大変残念に思ってなりません。  私がその働くということになぜ注目してきたかと申しますと、私、娘が三十二歳になりますけれども、重症心身障害ということで、視覚も聴覚も言語も身体も、そして精神も全く赤ん坊の状態です。三十二歳の現在も、まだ私のことをほとんど母親というふうには認識をしておりません。世の中から見ると、彼女のプラスのところは何もないように見えますけれども、私にとっては非常にいとおしくって、必ず生き抜いてほしい、私が先に死ぬことがあっても社会から守られてほしい娘です。  そのような娘のような人たちが、この世界一のスピードで進む高齢化の日本において、決して子供だけではなく、お年寄りの中にも増えてきます。そうしたときに、私は、娘を通じて出会ったたくさんの障害を持つ方々の中にある可能性と、そしていろんな力というものに着目をしました。欠点のところやできないところやマイナスのところに着目をするのではなくって、その人の可能性を全部世の中に引き出して、そしてそれを収入という形で、働くという形でつなげていくような活動をしたいなと思ったわけです。  そして、一人でもたくさんの障害を持つ方々が持たない人と一緒になって私の娘のような存在も守っていただきたいなと思ったのが、実はこのプロップ・ステーションの活動の大きなきっかけでした。私は、やはり親として彼女を残して安心して死にたいと思っております。そして同時に、彼女を通じて出会ったたくさんの障害を持つ方々が、その人たち一人一人の能力部分あるいは可能性部分に着目されることがない、そして着目することの少ない法律ばかりしかない中に生きてこられたということは大変残念です。  ですので、私は、是非この雇用法の改正というものをもう一度皆さんがよく考えていただきたいと思います。そして、この改正によって負担を何するものぞと、負担があっても当たり前じゃないかと、私たち負担のできる人たちなんだと言えるような、そんなたくさんの働く場を得られるように、そして働ける人たちが生まれてくるように是非していただきたいというふうに思っています。  今日こうやってお集まりのたくさんの障害をお持ちの皆さん方も、ここまでいらっしゃり、そしてサポーターの方と御一緒に発言をまとめられ、そして御意見を堂々と述べておられます。そして、こういった皆さん方の活動にもITというのは非常に大きな役割を果たして、連絡をし打合せをしておられます。そういった方々障害者としてだけの位置付けではなくって、本当に社会の中で堂々と構成員の一人として、働ける人として誇りを持って、サクセスもつかんでいけるような、そういった法案に雇用法の改正とこの自立支援法の両方の成立によって近づけて、持っていっていただきたいなと切に願うものです。  おかげさまで、私の娘は今国立の療養所、重症棟でお世話になっております。ただし、私も離婚をしまして、娘が病院にお世話になる前はもうほとんど生活が困難なような状況で、娘の年金に、恥ずかしい話ですが、食べさせていただいていたような時期もありました。ですけれども、おかげさまで少しずつ私もこの活動の中で収入を得られるようになり、そして今、無料であった施設が彼女の食費が要るというような状態になりました。ですけれども、私は、これは当たり前のことだと思っています。私が育てていたときも彼女に食べさせていたわけです。  そういう意味で、彼女が今社会的に守られて食べさせていただいているということに対して、私が対価を払うということは当然だと思っております。豊かな生活ではありませんけれども、やはりみんなが少しずつ支え合ってこの社会を構築していかない限り、若い人が減り、そして高齢者が増える、あるいは介護の必要な人が増える、この日本というのは決して維持できないんだと。維持できなくなったときに最初にやはり切り捨てられていくのは自分の娘のような状態ではないかと思ったときに、私は本当に一人一人の能力が世の中に引き出せる、そんな日本であっていただきたいと思います。  今日は関西でこのような公聴会開いていただいたこと、大変感謝いたします。  ありがとうございます。
  347. 岸宏一

    ○団長(岸宏一君) ありがとうございました。  次に、播本公述人にお願いいたします。播本公述人
  348. 播本裕子

    公述人播本裕子君) 私は、大阪知的障害者育成会吹田支部、播本と申します。  私は、息子が、重度の知的障害と自閉性障害を併せ持つ二十三歳の息子を持つ母親として今日は発言させていただきたいと思います。  特に、自立支援法ということですから、私の息子にとっての自立がどういうものであるか、また一番、いろいろ私は感じてはいるんですけれども、限られた時間ですので、この応益負担についての問題点についてお話しさせていただきたいと思います。  私は、実は重度の知的障害って分かったときに、息子が自立できるというそういう感覚を持ってませんでした、恥ずかしいことですけれども。ですけれども、息子が高校生ぐらいになったときに、彼は本当に重度ですから、片言、片言までもいきません、片言までもいかない体と、それからその片言の言葉とで、お母ちゃんから離れたいんだということを私に伝えてくれました。  それはどういうことかというと、彼は、こういう場でお話しするのはどういうか、どうかとは思いますけれども、例えばトイレに行った後に私に始末をしてもらわなければならない。だけれども、私に始末をしてもらうには近くに寄ってほしいんだけれども、だけどお母ちゃん近くに寄らないで、うっとうしいということがあるんですね。そういう矛盾を抱えた生活ですから、とりわけ知的に遅れている彼が頭の中で整理することは非常に難しいことです。彼はどう言ったかというと、私におしりを突き出しながら、ママナイナイ、ママナイナイって言いました。本当に悲しかったです。私は、ママナイナイなんて言われると思わずに、彼一辺倒の生活をしてきました。だけれども、彼からそういう、ママナイナイって言われました。  そして、彼はそのうちに、自分はお母ちゃんがうっとうしいから、施設施設といってもそのころはショートステイのことですけれども、ショートステイに僕を行かしてくれという意味のことを言いました。それはどういうこと、どういう言い方をするかというと、ママナイナイ、ジョ、パド、ブブって言うんですね。この言葉は皆さんからお聞きになったらお分かりにならないと思いますけれども、これは彼が必死になって、常照園という施設に僕はパジャマを持っていきたい、パジャマを持っていきたいということは、もう帰りたくないんやって、お母ちゃんから離れたいんやという意味なんです。そして、その上で、だからおれは長いことずっと行きたいからブブを運転してくれって、そこがちょっと知的に遅れている悲しいところなんですけれども、そういう言い方で私に、お母ちゃんから離れたいんや、おれも独り立ちしたいんや、お兄ちゃんと同じように独り立ちしたいんやという意味の要求を出してくれました。  私は、じゃ、彼にとって自立ってどういうことかと考えましたけれども、彼の自立って本当は、じゃ親から、親から離れて暮らすって、今の現実の中では知的障害者入所更生施設グループホームが当たるんですが、何しろ、先ほどから申し上げていますとおりに、おしりもふいてやらなければいけないような子供です。二十四時間何を、急にこういうところを走り回るような子供です。そういう子供をグループホームで、今の制度の中では預かっていただけない子供です。ですから、それは入所更生施設という方向を選びました。  で、私自身も、もうそういう多動の息子ですから、その当時はもっと、今、こんなに太っていませんでした。がりがりにやせていました。夜も寝れませんでした。夜は私は、息子を育てている中でパジャマというものを着たことがありませんでした。私にはパジャマというものがありませんでした。いつ起きなければいけないか分からない、そういう中で、いつ追い掛けても大丈夫なように普通の服を着て、それからドアのかぎをポケットの中に忍ばせて、それで寝ているような毎日ですから、ですから、体の方ももうやっぱり随分弱っていました。  で、そういうことで、私は入所施設に幸いにして入れることができたんですけれども、その中で私は予想しなかったほどの彼の成長を見せてもらいました。で、彼はそういうできなかったこと、きっときっと随分苦労したと思います。トイレなんか何とか始末できるようになりました。  それから、今まで自分で選ぶことができなかったいろいろな場面で、どうしたらいいか、どっちにするかというような生活の場面、本当に基本的な基本的な、じゃ、今水飲む、お茶飲むというので、お茶欲しいとか水飲むという、その程度のことかもしれませんが、そういうことすら選べなかった彼が選べるようになりました。  それから、彼は病気をたくさん持っています。例えばぜんそく発作が起きる。で、ぜんそく発作が起きたとき、私がいつも、それは夜、こちらが先に気が付いて病院へ連れていったり入院させたり、そういうことをしていました。てんかん発作も起きています。てんかん発作は急に起きてしようがないものだと思っていました。ところが、彼は入所して親から離れて自立した生活をする中で、自分で発作が起きそうになったら起きて事務所のドアをノックして知らせられるようになったんですね。これは彼にとっての大きな自立だと思います。自分の体の主人公になれる、それから自己決定ができる、これが大きな私たち重度の知的障害を持つ子供たちにとっての、若者たちにとっての自立ではないかと思います。  そして一方で、非常に今の制度の中では入所施設の中できちんと労働を保障するということは大変な、並大抵な努力ではなかったので、ないと思うのですが、私の息子の行っている施設では非常な努力をしてくれまして、いろんな作業をきめ細かく用意してくれています。四年間たちましたけれども、彼は最初は本当に軽作業でした。半日労働でした。で、その中に入ることも大変でした。でも、今年からはどんな仕事をしているかといいますと、のこぎりを持ってまきを作るような、廃材のくぎを抜くような、そんなことまでできるようになりました。普通の方から聞いたらこれは大したことじゃないかもしれませんが、こういう、例えばテーブルの上を跳んで回るような、そういう障害を持つ子供がそういうふうにできるようになるということは大きな自立だと思いますし、そのことが、彼はどうなったかといいますと、おれは大人なんだっていう非常にプライドが高く持てるようになりました。  私はいつまでたっても親ですから、親から離れて暮らすことに何かかわいそうに思って、時々、たけちゃん頑張ったねみたいなことを言うんですが、そうすると彼はどうするかというと、大人やからそういうことはするなということで、ぱっとはねます。そこまで私は自立できたんだと思っています。私は、こうした中でこういう姿になれたのは適切な介護があってからこそ実現できたことだと思っています。  こうした中で、私は応益負担になるということは非常に悲しく思っています。私の息子の作業工賃は一か月千円ぐらいです。千円足らずだと思います、昨年の年収が一万円ぐらいでしたから。それと、あと一か月八万二千七百五十八円の基礎年金だけです。その中から、いろいろ計算しましたら、厚労省の出していらっしゃるモデルケースで計算してみますと、おおよそ八万三千円ぐらいの負担になります。これでは何のためにうちの息子が頑張って自立しようとしているのか分からない制度ではないでしょうか。  それと同時に、一級年金もらっていたら高くなる、それから障害が重ければ重いほど高くなる、施設の場合は一緒ですけれども、高くなるという、こういう基本的な、こういう制度は本当に納得がいきません。一級年金はなぜ一級年金なのか。障害ゆえの費用が掛かるから一級年金だと思います。この利用負担をしなければいけないから一級年金ではないと思います。  それから、重度の、障害が重ければ重いほどお金をたくさん、利用料をたくさん出さなければならない。これはまだ、親は必死になって仮に頑張ったとしても、本当に私が死んだ後、それが兄弟に掛かっていったりするのではないかとか、そういう不安を非常に抱えています。私は、子供に対して、何か、障害を持った上にこの罰金のような利用料はちょっと許せないなと思っています。私は、払えなければ親や兄弟がこうした自立生活を進めている息子を引き取らなければいけない状況になるのではないかと思うと、非常に心配で心配で不安な思いで一杯です。これは、むしろ自立支援法とは言えず、自立できない法案と言わざるを得ないと思います。どうぞ自立できるような法律を決めていただきたいと思います。  以上です。
  349. 岸宏一

    ○団長(岸宏一君) ありがとうございました。  次に、塚本公述人にお願いいたします。塚本公述人
  350. 塚本正治

    公述人塚本正治君) 大阪精神障害者連絡会事務局長の私、塚本正治の方から意見を述べます。  かつて明治時代、精神科医の呉修三は、我が国の精神障害者を取り巻く状況をこう語りました。病にかかった不幸とこの国に生まれた不幸が存在すると。私は障害当事者として、私たち精神障害者の現在、過去、未来に思いをはせながら、障害者自立支援法案に対する反対の意見表明を以下行っていきたいと思います。  一つ目は、自立支援医療についてです。  そもそも、精神保健福祉法の中に第三十二条として位置付いている通院公費負担制度を何ゆえ廃止し、障害者自立支援法案の中に自立支援医療として抽出する必要があるのか、大きな疑念があります。  元々、通院公費負担制度は退院患者の地域における管理制度として出発したものですが、現在のありようは、全国二百五十八万人と言われる精神障害者の通院を保障するものとして機能していると言っても過言ではないでしょう。言わば、精神保健福祉法の中の根本的な制度です。通院医療公費負担の適正化のあり方に関する検討会の中間報告の中でも、通院公費負担制度の意義について確認されています。なのに、なぜ。精神保健福祉法の根本的な制度の一つに国は手を付けるのですから、少なくとも国は、どのくらいの所得精神障害者がどの程度この制度を利用しているのか、そして、それが一割負担、三割負担になれば精神障害者の通院にどの程度影響を与えるのかということを具体的に明らかにする義務があると思います。  誤ったデータはもう御免です。私たちはありのままを知りたいし、しかし、もし国がそのようなものを持ち合わせていないとするならば、国自らが通院保障の制度の破壊に手を染めたと言っても過言ではないでしょう。  自立支援医療へと制度移行すると、制度利用には所得制限が設けられます。また、対象となる病名も制限されます。煩雑な役所手続も導入され、利用する医療機関も制限される見通しです。所得と言う限りは、当事者個人の所得と言えるものとすべきです。生計を一にするという概念では、家族の扶養義務が結果として残ることになります。  そして、自立支援医療対象が病名によるものというのはどのようなデータに基づいているのか、明らかにしてほしいのです。この病名というのは、統合失調症、狭義の意味の躁うつ病、難治性てんかんと今は言われています。はっきり言って、所轄の役所が計画化したものとは思えない素人の作文です。通院を保障する制度ならば、病名ではなく本人の状態に基づいて安定的に通院を保障しなければ、地域生活の破綻につながる場合に適用できる制度にするのが政策的な妥当性というものではないでしょうか。  また、減免制度も用意されているようですが、一か月の上限二千五百円と五千円の二つのパターンがありますが、これも何のデータに基づいているのでしょうか。二千五百円や五千円を払うことが苦しい精神障害者を救済する制度はないのでしょうか。  私たちが一番危惧することは、医療現場で自己負担の増を告げるのは現場のソーシャルワーカーたちであり、突然自己負担の増を告げられた精神障害者の戸惑いや不信感は現場のソーシャルワーカーたちに向けられるということ、そして医療現場に混乱が生じ、それを引き金に医療中断が起こり、体調を崩し入院を余儀なくされたり、最悪、自殺へ向かっていくことが起きるのではないかということです。この危惧に対する納得のいく説明をする義務を国は負っていると思います。  二つ目に、障害程度区分認定についてです。  この間、全国で障害程度区分判定のモデル事業が行われました。私は大阪市、枚方市のモデル事業の結果を知りましたが、国の打ち出してきた障害程度区分判定という手法のずさんさを実感しました。基本調査と呼ばれる第一次判定で、精神障害者十人中四人が非該当という結果が出ています。十人とも、現在精神福祉サービスを利用している当事者であるにもかかわらずです。市町村審査会と呼ばれる第二次判定での要介護度の変更も八割を超えています。この結果をどう見るということですが、何より第一次判定と第二次判定の大きな格差こそ、精神障害者への障害程度区分判定の問題が存在すると思います。  私たち精神障害者は、いわゆる体調の波、状態の波というものがあります。つまり、日々の生活の中で状態の移り変わりがあり、その状態ごとの生活障害があるということ、ある日できたことが次の日はできなかったり、その逆もあります。こんなことは精神保健の取組のイロハのイですが、ADL判定基準では精神障害程度の判定は困難であるか、できないのです。しかし、国の基本調査ではADL判定が基準となっており、障害ごとのサービスから三障害統合サービス体系という障害者自立支援法案のキャッチフレーズのメッキがもうはがれ落ちているだろうと私には見えています。  何よりも、基本調査の全回答項目について、できる、できない、又は見守り、一部介助、全介助という既存の回答項目を、できないときが時々ある、できないときが頻繁にあるということを設定した上で、それぞれの状態のときに、見守り支援が必要、一部相談支援が必要、かなりの相談支援が必要と即刻改定すべきです。また、精神障害者障害特性に十分配慮した設問項目、睡眠、薬の副作用、体調の移り変わり、病や障害の受容、状況への対応、時間の過ごし方、外出等社会参加、現在と将来への希望、退院への意欲等を盛り込んでいく必要があります。  もう一次判定のコンピューターソフトを改定する時間がないという問題ではないのです。障害程度区分判定について十分な議論なしに三障害統合サービス体系をつくることなどできるはずもありませんし、ここを先送りして自立支援法案が国会で成立し実施されるならば、精神障害者は三障害統合サービス体系のキャッチフレーズのだしにされただけという感は否めません。  三つ目に、私たちが行った千人アンケートから見えることを述べます。  本日資料として配付させていただきました千人アンケートの現時点の集計から二つ述べさせていただきます。  本アンケートについては、八月八日より当会が開始したもので、対象は任意でない精神障害者本人で、複数回答ありという形態のものです。九月二十日現在の二百八十九名分の集計です。  ないと困る個別支援という項目では、一番多いのは、安心して暮らせるお金が一番多いのです。これは所得保障をどう施策化し具体的に進めていくのか、切実な国への求めです。無年金の者に対する充実した救済施策、障害年金充実、そして障害者雇用の抜本的改革が必要だろうと思います。何より障害者雇用の、障害者就労を妨げている欠格条項を即時撤廃すべきです。そして、精神障害者障害者雇用の対象に入れることはもとより、障害特性に配慮し、週二、三日から、一日二、三時間から働きに出れる雇用形態を創出するために国は経済界に対し強く介入すべきです。なぜなら、所得保障なき定率負担というのは、現代という皮をかぶった棄民政策だからです。  二つに、ないと困る個別支援の集計では、ホームヘルプ、ガイドヘルプ、作業所や地域生活支援センターの相談支援機能の充実と、そこに当事者活動やピアヘルパー、ピアサポーターを具体的に位置付けていくことが求められています。ピアヘルパーやピアサポーターは、精神障害者本人にとって、自分の病の体験を生かしつつ退院促進や地域生活支援という側面で、就労するという大きな可能性を持ったものです。  最後になりますが、公営住宅法における精神障害者の単身入居を認めないという欠格条項の即時廃止、精神病棟のケアホームへのくら替え禁止、グループホーム施策の充実住宅施策充実を強く国に求めるものです。安定して住める家なくして安定して豊かな地域生活など存在しません。私たちのことを私たち抜きには決めないでください。そして、病にかかったという不幸とこの国に生まれたという不幸をもうこれ以上味わわせないでください。  以上です。
  351. 岸宏一

    ○団長(岸宏一君) ありがとうございました。  以上で公述人方々の御意見の陳述は終わりました。  それでは、これより公述人に対する質疑を行います。  なお、委員質疑時間が限られておりますので、公述人方々には御答弁を簡潔にお願いいたします。また、御発言は、挙手の上、私の指名を待ってからお願いをいたします。  なお、質疑者は、答弁をお願いする公述人を指定の上、質疑をされるようお願いいたします。  それでは、質疑のある方は順次御発言願います。
  352. 西島英利

    西島英利君 本日は、それぞれの立場で貴重な御意見をいただきまして、お聞かせいただきましてありがとうございました。  幾つか質問をさせていただきたいと思うんですが、まず第一に、それぞれの立場で御意見いただきたいと思うんですけれども、それは自己負担金の問題でございます。これ、一番大きい問題として、私のところにも様々な諸団体から御意見をいただいております。  それで、今回、今までは世帯の所得という形でそれぞれの低所得者対策等々が行われてきたわけですが、今回のこの改正の議論の中で個人の所得、まあ配偶者がおられたら配偶者の所得も含めてということになりましたけれども、同じ屋根の下にいても個人の所得と、障害者個人の所得という形になったわけでございますが、これに対しての評価をそれぞれ簡単にお教えいただきたいと思うんですけれども、まず中尾公述人からお願いいたします。
  353. 中尾正俊

    公述人中尾正俊君) 中尾でございます。  自己負担に関しましては、やはり世帯よりも障害を持たれた個人の方の所得に応じて自己負担を決定していくということが大切ではないかというふうに考えます。
  354. 西島英利

    西島英利君 評価はしていただけるということですね。  じゃ、古田公述人お願いします。
  355. 古田朋也

    公述人古田朋也君) 今、同居していても、保険とか被扶養者でなければという条件で別世帯ということでカウントできるということですけれども、まず費用負担の問題は、随分前からやっぱり応能負担でずっと来たわけなんですね。それがなぜ応益負担になるのか。これは、高齢者の今までの資産の蓄積とかとは全然違う、小さいころからずっと障害を持ってきて、年金だけしか持っていないという人がまず応益負担に当たるのかどうかということをやっぱり一から議論すべきやったと思います。  それで、もし、今からなかなか修正ができないとか言われますけれども、ここに私の方で書きましたように、まず上限と言われているけれども、それだけじゃなくて、何かこう、これは別料金、こっちは別料金ですよという、何かぼったくりみたいな話になってきているように思うんです。介護給付と訓練等給付だけが上限で、あとは別料金ですよという話はおかしいだろうというふうに思いますし、また、あと生保利用者以下の所得の人からはもう徴収すべきでないというのをまず明らかにしていただいて、それから、世帯についても障害者本人のみにもう限定する。その被扶養者になっているかどうかも含めて、やはりそれも被扶養者から外れたら何万も負担がやっぱり上がってしまうような例もあるわけですよね。だから、それも含めて、もう障害者本人所得に基づくというような観点でお願いしたいというふうに思っております。  今までも、なぜ障害者本人に合わせてきたのかということは、施設費用徴収の時代から、もう二十歳以上の人から、親から金取るなというような議論がありましたし、社会参加を進めるためにガイドヘルプとかはお金を取ってはいけないみたいな話で制度化がされてきた経過がありますが、そうした経過を全然今回は無視して進めようとするのはやっぱりおかしいなというふうに思っています。そやから、更に踏み込んだ議論をお願いしたいというのが私どもの立場です。
  356. 西島英利

    西島英利君 竹中公述人お願いします。
  357. 竹中ナミ

    公述人竹中ナミ君) 私は評価する立場です。そして、先ほども申しましたように、その負担が恐るるに足らずというような状況を自分たち自身でつくっていかねばならないと思います。私自身、重症心身の娘の扶養者ですけれども、やはり彼女がおることによって私自身もいわゆるタックスペイヤーになるような働き方ができない時間が大変長くありました。そういう意味で、決して本人だけではなく、そういった家族の働き方についてもこれから考えていきたいなというふうに思います。
  358. 播本裕子

    公述人播本裕子君) 私は、やっぱり本人からというのはそれは当たり前のことだと思いますけれども、もっと言えば、知的障害者の場合は特に年金をもらう前に結婚するということはないわけですから、結婚してから配偶者も含めて費用徴収の対象にすると言われると、非常にこう、もう結婚なんてできないというような状況になると思いますので、もっと言えば配偶者も外すべきだと思います。  じゃ、今のままでいいのかといいますと、先ほどから皆さんも、先ほどの方もおっしゃったように、私はやっぱり応益負担ではいけないと思っています、応能負担でなければ。そういう意味では、ただ取るか、外したか、本人だけにしたかどうかという問題ではないと思っています。  以上です。
  359. 塚本正治

    公述人塚本正治君) 先生の質問にどれだけお答えできるか分かりませんが、二点あります。  一点目は、我々精神障害者の仲間は全国で二百五十八万人くらいいると言われておりますけれども、我々の仲間に生活保護で暮らしておる仲間も少なからずおります。また同時に、生活保護以下の生活をしておる仲間もいます。その仲間のことを考えるときに、まずそこから自己負担ということについてどう考えるのかという御議論が国会でどのようになされておるのかというところについて私は疑念を感じておるところが一点です。  それともう一点は、何よりも一番大きな落ち度というのは、国は急ぎ過ぎているんではないのかなと思います。といいますのも、自己負担というふうなものを、実際に応益負担導入するのならば、全国の障害者がどれぐらいの所得を持っているのかという実態調査をちゃんと行って、ここに応益負担を課したらどのような影響があるのかということをきっちりとシミュレーションをされた上で、それを基礎として議論していかないとこの話というのは根本的に抜け落ちていくものではないのかなと思います。  以上です。
  360. 西島英利

    西島英利君 中尾公述人にお伺いいたしますけれども、先ほど通院公費の問題のところで、疾患に限るわけではなくて状態像として対象にしたらどうかというお話でございましたが、何かもし具体的なそのことがございましたら教えていただけますか。
  361. 中尾正俊

    公述人中尾正俊君) 質問に答えさせていただきます。  状態像といいますのは、先ほど塚本公述人の方からもございましたけれども、統合失調症及び狭義の躁うつ病、それから難治性のてんかんと、そういう病名ではなくその患者さんの状態で見るべきものだというふうに考えます。  具体的に、例えば現時点におきましては、うつ病の方々なんかはお薬をお飲みになっていい状態になられている。いい状態になられているということで疾患名から外れる。そうすると、先ほどからお話がありますように、やはり状態が少しずつ悪くなっていく可能性があるというふうに考えます。  そういうことで、状態像として精神の通院公費の対象を決めていただきたいというふうに願っております。
  362. 西島英利

    西島英利君 状態像といいますのは、いろんな状態があると思うんですね。例えば、俗に、私、この言葉使いたくないんですけれども、問題行動と言われる状態像もありますし、それとも例えば生活にどれだけの障害があるのかという状態像もあると思うんですが、もう少し何かそういう具体的なものがございましたら、お教えいただきたいと思います。
  363. 中尾正俊

    公述人中尾正俊君) 問題行動に関しましても、やはり社会的に非常に問題になり、その結果、社会生活を営む上で非常に困難な状態になるということがありますので、それも状態像の一つでございます。  それから、生活に関しましても、なかなか生活が十分に自分自立できないような状況にあるということも状態像として確かに必要なことだと思いますので、そういう点も含めて、より精神障害の患者さんの状態をトータルに見て対象として決めていただきたいというふうに考えます。
  364. 西島英利

    西島英利君 ありがとうございます。  古田公述人にお伺いいたしますけれども、今、福祉サービスの量の上限、要するにこれをどこまで認めるのかという議論が昨日の実は国会でもあったわけでございますけれども、全国的に今回の調査を見ますと地域格差が物すごくひどいんですね。その中で大阪、滋賀というのが突出して量が多いわけですけれども、何かこれについて御示唆ございましたらお教えいただきたいと思います。
  365. 古田朋也

    公述人古田朋也君) ただいま質問いただきました、おとついの社会保障審議障害者部会でも資料が出されております。それによりますと、今、大阪では利用者数、人数ですね、人数はトップになっております、全国で。それから、一人当たりの利用額、これは全国で二番目になっております。  掛け合わせるとかなりというふうに見られるかと思いますが、ただ大阪は歴史的に障害者の運動の歴史が古うございまして、全身性障害者とかが地域で自立生活している人が多いです。ですから、支援費に入る前も千人ぐらいの重度障害者が市独自のサービスとかを受けてきたわけです。そういう歴史もあって、支援費になって利用者数は一定のレベルにあるというふうな状態です。ただ、これで社保審の資料で見てますと、施設サービスは逆に大阪は全国でも非常に低いレベルなんです、入所施設サービスは。ですから、地域の方にお金を回して入所施設にはお金を出してこなかった、それは今国が目指している脱施設の方向を先取りしているんじゃないかというふうにとらえております。  逆に、秋田県は地域サービス非常に低いですが、入所施設サービスは断トツに多いというような結果がこれを見て明らかになると思いますし、また費用額で言われるんでしたら、地域サービスの、ホームヘルプとかの地域サービスだけを示すんじゃなくて、入所施設でもお金を各都道府県どれだけ使っているのかというのを示して、総額でどうなのかというような議論をしていかないと、何かちょっと地域サービス大阪はぜいたくで使っているんじゃないかというふうに見られるのが非常に怖うございます。  その点で、大阪は行政も含めて、障害者運動も行政も含めてよく頑張ってきた、障害者が地域で当たり前の生活をするためにお互い頑張ってきたわけです。それは評価されこそすれ責められるものではないというふうに断言できると思います。  以上です。
  366. 西島英利

    西島英利君 竹中公述人にお伺いいたします。  就労の問題でございますね。やはりどのような障害をお持ちの方でも、働くということは実は大きな生きがいにつながるだろうというふうに思うんです。ただ、国会の中での議論でも出てくるわけでございますが、働いたそれの工賃の問題、それと生活の問題等々がございますね。この工賃というのはなかなかその結果によってある程度判定をされる部分があるだろうというふうに思うんですけれども、それと同時に年金という部分もございまして、これの組合せによって生活をするという考え方が政府にあるわけでございますけれども、この工賃の評価について少し御見解をお聞かせいただければと思いますが。
  367. 竹中ナミ

    公述人竹中ナミ君) 工賃という言葉を余り私たちは使いません。やはり給与であったり収入であったり就労対価であったり、あるいはその人のスキルに対する正当な評価の金額ということですね。  例えば、私どもの非常に優秀なスタッフの一人に大変大てんかんの発作のある、精神障害の手帳を持った者が、青年がおります。彼は何度も職を転々として、ただ、たった一回大発作で泡を吹いて倒れると翌日はもう首なんですね。障害があることを隠して雇われると何かあったとき余計に責められるというようなことを繰り返して、とうとうもう職に本当にもう自分は就けないんだというような絶望の状況の中でプロップに来ました。  今言いましたように、彼はコンピューターを駆使して、非常に真剣に勉強されましたけれども、駆使して、優秀なスタッフです。じゃ、彼の発作はなくなったかというと、そんなことはありません。倒れるし、泡吹いて倒れるし、もちろん大発作あります。で、お休みされることもあります。通院されることもあります。ですけれども、私たちが彼に着目をするのは、私たちのスタッフとしての彼の力量であり、人柄であり、できる能力部分です。ですから、できないところを評価するのではなく、その人の可能性部分に着目して、その人のできる仕事を生み出していくというのが私たちの仕事なんですね。  絵の好きな大変難病の女性は全身障害で、真夏と真冬はほとんど入院しておられます。コンピューターに向かって好きな絵がかけるのは春と秋という季節だけなんですけれども、彼女がかかれる絵は非常にアート的な高さがあります。価値の高いものです。ですから、私たちは彼女の絵をグラフィックスとしてではなくアートとして売り込みます。きっちり売り込みます。グラフィックスとして求められる人ではなくアーティストとして求められる人に対しては、アーティストとしての対価が彼女に払われるように必死の努力をいたします。そういう努力をすることこそが、工賃ではなくて、その人の賃金や働く本当の対価につながっていくというふうに思うんですね。  障害を持った方の仕事だから低くて当たり前と、先ほど隣の方は月に千円というお話をされましたけれども、あれだけ全国のお金を合わせるとたくさんの作業所に対して補助金が出ている中でなぜ千円なのかということを、私は本当に怒りに震えそうな気がします。仕組みを変えないといけないと思います。
  368. 西島英利

    西島英利君 ありがとうございました。
  369. 朝日俊弘

    朝日俊弘君 民主党・新緑風会の朝日でございます。  今日は、各公述人皆さん、恐らく急なお願いだったと思いますけれども、御協力をいただきましてありがとうございます。  限られた時間ですので、すべての方に御質問できないかもしれませんが、ちょっと大阪にこだわって幾つか質問をしたいと思います。  今回、かなりきつい日程の中であえて大阪に来させていただいたのは、先ほどちょっと議論がありましたけれども、何かと数字を見ると大阪が先輩格というか、よく頑張っている。御説明があったように、行政の対応と運動の在り方がそれなりに頑張ってきた一つの到達点なんだろうと思うんですね。ですから、そこから何を学ぼうかということで、二点ほどまず古田公述人にお尋ねします。  一つは、お示しいただいたレジュメにもありますけれどもホームヘルプサービス、長時間介護の問題について大阪ではそれなりの歴史があると。一番最後のポツのところで、先進自治体現行の実績時間数を基に標準額を設定してこれからの必要額をはじき出せと、こういう御指摘があるので、ここのところをもう少し、ある意味で先輩格としてどんなふうなお考えなのかということを説明を追加していただければ有り難いというのが一つ。  それからもう一つは、移動介護、ガイドヘルプのサービスについても、このレジュメにもありますように、全国的にも先駆けて大阪で実践をしてきたと。そういう意味で、いろいろ国会でも審議の中で、この移動介護、ガイドヘルプのサービスが、一対一の個別給付、個別サービスから地域支援事業の方に移すということの問題点というか是非というのが議論されています。私は、直観的に言うと、個別給付サービスの側面と地域支援事業で組み立てた方がいい側面と両方あるのかなと思ったりしているんですが、この点について先輩格として御意見があれば。  この二点をちょっと御説明いただければと思います。
  370. 古田朋也

    公述人古田朋也君) まず、ホームヘルプの長時間のことですけれども大阪では利用者が歴史もあって大変多いということで、何千人とおられるということ、大阪市と大阪府を合わせてですけれども、ということなんですけれども、平均の利用時間数で見ますと、ホームヘルプの方は大阪府で四十時間ぐらい、月ですね、月四十時間ぐらいなわけなんですね。それで、中には百時間、二百時間という方がおられます。ただ、それほど数はそんなに多くない。  何か今、国会の方でもよく言われるのが、青天井になってしまうんじゃないか、何ぼでもお金をつぎ込まなければならなくなるんじゃないかというようなことが言われていますけれども、その辺は最重度障害者、最重度で一番介護が必要なのはALSの方だと思うんですけれども、二十四時間付きっきりで起きて呼吸器のこととかをやらなければいけない。その場合はもう三十分に一回ぐらい介護をしなければならないので付きっきり、起きたまんまの介護になります。その方は長時間の、二十四時間に近い形での介護が必要かと思いますが、それでも数はほとんど少ないというふうに伺っています。  その一方で、脳性麻痺者等の全身性障害の方の介護は、夜は介護者が眠れていたりというような現実があったりしまして、その辺は大阪市なんかではかなり工夫しておりまして、夜八時間寝ると、泊まると、支援費では一泊二万円ぐらいの額になってしまうんですけれども、その辺は八時間じゃなくて二、三時間相当、寝れてて起きる、起きて何時間に一回か介護をする時間だけでいいじゃないかというような形で工夫をしたり、また日中も作業所などの場を使ってそこは介護は付けないみたいな形で工夫をしておりまして、多い人でも三百時間か四百時間で大体介護を保障できるというようなことをもって人数を、より多くの全身性障害者がちゃんと地域で生きれるための保障をするというような形を、仕組みをつくってきました。これも行政と我々が案を出し合ってつくったわけですね。  人数が多い、お金がそんなにない、これ以上増やせない、だからどうするのか。地域で人として当たり前に生きられたらいいわけです。僕らも、何もぜいたくしてどんどんくれというようなふうには要求しておりません。その辺の工夫を一緒に考えるような機会を是非持っていただけたらというのが一つです。  それと、ガイドヘルプのようなところでも利用者が大変多いということですけれども、個別支援でほとんどのパターンで進められてきました。一対一で付くことによってそれぞれの行動を保障する。最重度の強度行動障害と言われる方もおられまして、一対一、軽度の人も含めて一対一の介護を保障するというのを基本にしてきました。中軽度の人はガイドヘルプが要らないように言われたりすることもありますけれども、知的の軽度の人でも、遠くへ行くのに、知らないところへ行くのに介護が必要というようなケースがございます。そういうふうなことも含めて、中軽度も含めて一対一で付けていただくというのがやはり基本かなと。  ただ、厚労省の方は、何か数人で一人だけ付けたらええんやないか、一対一なんかぜいたくやというふうに言われているかのようですけれども、基本はやっぱり一対一で社会参加を保障していく、行動範囲生活の幅を広げていくために一対一として、数人で一人付くというようなグループ外出についてはまた別の形で検討するべきやないかというふうに考えております。
  371. 朝日俊弘

    朝日俊弘君 ありがとうございました。  またそういうグループでの利用の仕方もあり得ると、しかしもう少し検討をしなければいけないと、こういう御意見だと思いました。ありがとうございました。  引き続き大阪にこだわりたいと思うんですけど、精神障害者通院医療費公費負担制度、先ほどからお二方から指摘をいただいたんですけど、実は昨日の委員会にも私、この問題取り上げまして、今回、三十二条をなぜあの自立支援法の中に持っていってしまうのかと。しかも、五%負担から一〇%負担に上げるということは通院を阻害しはしないかということで質問をしました。  そのときに、例えば大阪は府として五%分も単独で補助をしている。したがって、実際患者さんにとってみれば通院は無料化されているというふうに資料として報告されているんですが、そうするとゼロから一〇に増えることになるのかなと。果たして今回こういう改正をしたら大阪府はどういう対応をするんだろうか、心配だなということで、大阪皆さんの御意見を持って帰って、またちゃんと審議しましょうという約束をしてきましたので、この点については、塚本公述人と、できましたら中尾公述人からも御意見がいただければ有り難いと思います。
  372. 塚本正治

    公述人塚本正治君) 先生の御質問の中で、厚生労働省の方のお答えで、大阪府の方は国民健康保険の対象の方はその分負担しておって、五%負担がないから無料ですよという多分説明だったと思うんですけれども、それをいい意味で説明していただけるのか、悪い意味で説明していただけるのかというのは、また別問題だと思っておりますし、これは別に大阪だけにこだわった制度ではなく、多分ほかの都道府県でもあるところはあると思います。  実際に私自身も大阪市の生野区というところに住んでおりまして、地域の神経科のクリニックに掛かっております。そこで実際にじかに先生やソーシャルワーカーの方とも、これ先生、一割負担に上がるということをクリニックの中で話できてんのんって聞きます。できてない。そこのクリニックは幸いにもというか、デイケアは持ってはらない、診療だけなんですけれども、あとは往診をしてはるんですけれども、じゃ、これ一割負担になったらどうするんですかと。実際にソーシャルワーカーの方に何でやねんという質問が当たり前に出てくるでしょうって。  その辺は、例えば大阪の診療所協会の方で何か議論されているんですかとか、そういう話を聞くんですけれども、いや、まだできてない状況で、こういう状況で何の経過措置もないままに一割負担になるということは、もう本当に現場が混乱してしまうと。それによって、実際これまで何とか拾えていた患者さん自身も拾え切れなくなって、そこで医療中断が起きること等でも危惧するというふうに述べられておるところがあって、私もとても危惧しておるところなので、なぜ一割負担なのかというところについて強く思いますし、実際にこれまでの、平たく言いますと、厚生労働省の方が各クリニックや医療現場で説明してくださればいいんですよ、こういう制度になったので一割負担ですと。説明していただけません。説明されるのは現場の方だと。そこで現場に矛盾が行くと。そこをとても危惧しておるというところです。  以上です。
  373. 中尾正俊

    公述人中尾正俊君) 市町村国保になりますので、大阪府ではなく大阪市国保の部分で五%の分を市の方がしているということでございます。だから、市町村によってはそういう制度を持っていないところもあります。その部分がまず一つありますのと、それから大阪市の場合、国保ですけれども、ゼロ割の方が一割になるということに関して、患者さんに対する説明等に関しては、まだ今はどういうふうな方向に持っていくのかというのはまだ決定していませんし、大阪精神科診療所協会の方のお考えもまだ聞いておりませんので、ちょっとはっきり分かりません。  ただ、我々といたしましては、低所得者に対する方の負担増に関しては、社会保障の面から見ましても合わない部分でございますので、その部分も含めてきっちりと見ていきたいというふうに思います。
  374. 朝日俊弘

    朝日俊弘君 ありがとうございました。
  375. 古田朋也

    公述人古田朋也君) ちょっと。
  376. 朝日俊弘

    朝日俊弘君 彼が、できれば、時間があれば。
  377. 岸宏一

    ○団長(岸宏一君) ああそうですか。時間が余りないので、ちょっと、じゃ簡単に一言。
  378. 古田朋也

    公述人古田朋也君) ちょっと言いそびれたんですけれども、先ほど、ALSの人とか脳性麻痺者の人とか幾つかパターンがあるかと思うんです、ホームヘルプについて。だから、それをちょっとパターンに分けて検討するような場を是非設けていただいて、現実とか報酬単価とかを併せて議論でき、検討できるような場を設置いただけたらというふうに思います。
  379. 朝日俊弘

    朝日俊弘君 ありがとうございました。
  380. 遠山清彦

    遠山清彦君 公明党の遠山清彦でございます。  今日は、各公述人皆さん、本当にありがとうございました。  私も短い時間でございますので、簡潔にお答えをいただきたいと思いますが、まず竹中公述人にお伺いをしたいんですけれどもお話の中で、障害者もしっかり働いて、その社会のいろんな仕組みを支える側に付くことが大事だというお話がございました。また、竹中さん御自身がこのプロップ・ステーションというところでITを使って、コンピューターを使って障害者の雇用に役立つような技術訓練の提供等をされているということを資料等も読みまして理解をしておるところでございますが、一方で、恐らく竹中さんの御経験で、せっかく障害者の側に働きたいという意欲があり、また一定の技術力をITとかコンピューターで付けても、やはりこの働く場が、在宅で仕事をするにしても、何らかの仕事を受注しなきゃいけないわけでして、私も個人的にはまだまだ、これは政府の側の問題もございますけれども、民間企業の皆さんももうちょっと積極的に障害者に対する雇用の場の確保とか創出について頑張んなきゃいけないと思っておりますが。  ちょっと、御自身の御経験も踏まえて、今後どういうことをしていけばもっとこの障害者の雇用の場が拡大していくのか、お聞かせ願いたいと思います。
  381. 竹中ナミ

    公述人竹中ナミ君) 御質問ありがとうございます。  先ほども言いましたように、日本で障害を持つ方々が働くことを支援する法律というのは、障害者の法定雇用率の義務化しか今までありませんでした。これは昭和三十四年にできた制度なんですが、これがその抜本改正を今回初めてされたということなんですね。その大きなポイントは、短時間であれ働く場所がどこであれ、その人が働ける仕事の内容を企業がアウトソーシングをしたときに、雇用率を達成したのと同じようにみなす、あるいはそのための費用負担を軽減するといったような、そういった制度がまず盛り込まれました。これによって、例えばプロップ・ステーションには、今までプロップのような障害を持つ方々にお仕事を出したことのない幾つかの大手の企業からもうすぐさまお問い合わせが来ております。そして、実際に厚労省の方に詳しいこともお問い合わせにもなり、また私たちとも今、どんなふうにそのアウトソーシングの仕事を進めていくかというようなことを今お話合いをしているところです。  そのお仕事の内容も、決してITには限りません。初めはそのITというのが最もしやすいお仕事であったことは確かなんですけれども、今やアート系、先ほども言いましたようにアート系のお仕事であるとか、あるいは文章を書かれることであったりデザインをされることであったり様々な、ホームページ作りなどというのも非常に大きな仕事になっていますけれども、いろんな企業が、もうITを使わずしてやっているお仕事もたくさんあるわけですね。  例えば、絵をかくことが得意な知的なハンディの方がいらっしゃったときに、その方の絵を企業が、今までだったらチャリティーで買い上げたりしたかも分かりませんけれども、これからはお仕事で買い上げるというようなこともあるでしょう。あるいは、我が社の何周年の記念に何百人分のかわいらしいポーチに入ったクッキーが欲しいよというような注文もこれから出てくるかも分かりません。  そういった意味で、様々な働き方をその会社に応じてアウトソーシングできるんだというこの感覚が今回の雇用法の改正の中に入ったということは私は非常に大きな朗報だと思っています。そして、働くという目的になったときに、人は非常にスキルを磨くための努力をします。ですから、私たちはそのスキルアップの場もプロップとして頑張っていきたいし、それもこれから広めていきたいなというふうに思っています。
  382. 遠山清彦

    遠山清彦君 ありがとうございます。  続きまして、古田公述人にちょっとお伺いをしたいと思います。  私、大阪市が取り組んできたこの障害福祉サービスというのは、先ほど、サービス量が多いとかお金が掛かっているということでぜいたくしているんじゃないかということに反論されていましたけれども、私は決してそんなこと全く思っていなくて、逆に言うと、今回の自立支援法案というのは正に大阪市のような精神的取組をやっている自治体の取組を全国に広げるための法案だというふうに思っておるんです。  というのは、どうしてかと言いますと、今回の法案で初めて全国の市町村に障害者福祉計画を作ることが義務付けられるわけでありまして、今まで余り、語弊あるかもしれませんけれども、やる気のなかった市町村も、これによって義務付けられるわけですからやらなきゃいけなくなってくるわけですね。その計画を作るときに客観的な基準として障害者程度区分の導入なんかが図られるということだと私は理解しているんですが。  そこで、先ほど来問題になっている、ただ、私も一番懸念しているのは、重度障害者に対する長時間の在宅サービスとかそういうものが削られるんではないかというところが私も個人的に懸念に最大に思っているところなんですが、ただ、その点について、ここから質問なんですけれども、今、厚生労働省の方は重度障害者に対する包括支援サービスというものを新規で、新設をするわけですね。これは恐らく古田さん御存じだと思いますが、この重度障害者自身が相談できる事業者と相談してケアプランを作って、それを市町村に持ち込んで、そしてそのサービス事業者からサービスを受けたら市町村が包括報酬として支払うというシステムなんです。これは、地域によってはこういうことができる事業者がいない地域は使えないわけで、そこを私も昨日、問題視して厚労省に質問しているんですけれども、逆に、大阪市は多分、これ非常にうまく使える現状にあるんじゃないかと思うんですが、そうすれば、それほど、今よりもサービスが落ちるということにならないんではないかと思うんですが、その点いかがでしょう。
  383. 古田朋也

    公述人古田朋也君) まず、大阪市の基準こそを全国に広めていただくという有り難いお言葉いただきまして、それをしていただけるんやったら僕らも反対とか言わないんです。  ただ、今、障害程度区分ごとで標準額を設けると言われていますよね、ホームヘルプ。それが幾らになるかというのが全然示されていないということなんです。そうしたら、その標準額というのは、大阪市の基準を基に、実績を基に決めていただける、それで、まだ地方の方で伸びていないところもそこまで、大阪市ぐらいまで伸ばせるんだというようなことをきっちりお約束いただけるんでしたら大分僕らの意見も変わってくるかと思います。ただ、それが全然示されていないというのがまず一点問題にしておるところです。これが標準額、全国の平均値とか持ってこられましたら、もう大阪は何億、何十億の負担になって壊滅的な状況になります。そこを一番まず懸念しているわけです。  それと、障害福祉計画を全市町村でということについてはいいことなんですが、今、大阪府の状況を見ても、大阪府は数値目標を今まで示しました。それの達成のために各市町村はこんだけずつやってくださいよと。なみはや市というモデル、十万人都市の想定で、各市町村は、何万人やからこんだけの数値目標をそれぞれ定めなさいよというふうに大阪府は進めてまいりました。それでも各市町村の目標数値の達成はなかなか難しかった。大阪府がどんだけ、そんだけモデルの枠を示しても達成には結び付いていないという現実があります。それが今度は市町村任せになりやしないか。  市町村の計画の積み上げが府、都道府県の計画であり、また国の計画の数値になるというふうに言われています。今までは、国の数値目標、府の数値目標があって市町村を引っ張ってきたのが、逆転してしまえば市町村のやりたい放題になるんじゃないかという懸念があります。特に、各自治体で障害者福祉にお金を回したろうというような自治体どんだけありますかということなんです。ほとんど、障害者運動や行政の障害福祉課も頑張ってようやくここまで達しているのに、市町村任せあるいは一般財源化されてしまえば、これは火を見るよりも障害者福祉はもっと削られてしまうというのは明らかです。その点についても御考慮いただきたい。  それから、包括払いについても、これも総額幾らになるか示してください、早く。これが幾らになるかによって死活問題なわけです。介護やケアホームやいろんなサービスを複合的に使える、ただ、それが総額もう五十万とか六十万、七十万ぐらいやったら、特に重度で医療の必要もあるALSの人とかが想定されていますよね、これ。それがそんなに低いサービスになったら、これもう死活問題になります。その点も明らかにしていただいた上で国会審議をしていただきたい。  ただ、政省令は全然明らかにされませんよね。今、新しい障害福祉サービスを考える会という非公式の検討会が裏であります。マル秘の資料が出回ります。これでやっているのに、全然、そこでどんな議論がされていて、どういうふうな議論になっているのか、全然明らかにしてくれないじゃないですか。その議論の過程から明らかにしていただいて検討しなければ、具体的なところは全然分からずに法案だけがいいというような形で進んでいくのは僕は問題だと思います。  以上です。
  384. 遠山清彦

    遠山清彦君 ありがとうございます。  私も幾つかの今の古田公述人の御懸念については共有するものでございますが、ただ一方で、先ほどから標準額という表現が出てまいりますけれども、私が理解するところでは、現状では国の制度としては障害者程度区分がないわけでありますから、現実にはですね、だから、自治体の中でいろいろとお決めになっている標準額というのはあるのかもしれませんが、全国統一の基準、国庫負担基準というのはまだ決まっていなくて、それはなぜかといえば、客観的な障害程度区分を一度も導入したことがないわけですね。これから導入するわけでありますから、その際に地方自治体でやっているものというのは当然に私は参考にしていくんだというふうに思います。区分が現状ないわけですから、区分間流用という言葉も、現実にはこれ導入された後にどのように運用していくかということだと私は理解をしております。  ちょっと最後質問にもう時間的になるんですが、中尾公述人にちょっとお伺いしたいんですけれども、この障害者程度区分について、知的と身体と精神と、三つの障害種別を統一してその区分を作るということを厚生労働省言っておりまして、これに対してやっぱり批判が同様にあるわけでございますが、この点について公述人のお立場で、これは現実的に可能なのかどうか、その点についてお伺いしたいと思います。
  385. 中尾正俊

    公述人中尾正俊君) やはり、今現在の調査項目であれば非常に、なかなか精神障害及び知的障害の方に関しては難しいというのが率直な意見でございます。  身体障害に関しましては、五年の介護保険によるノウハウ等が十分入っておりますので、ある程度了解はできるのでありますが、生活面とかも含めた部分で精神障害の方、知的障害の方が一次判定でできるような調査項目かというと、まだまだ問題があるのではないかというふうに考えます。
  386. 遠山清彦

    遠山清彦君 以上です。
  387. 小池晃

    小池晃君 日本共産党の小池晃です。  本当に今日はお話をお聞きして、立場の違い超えて法案問題点が浮き彫りになるようなお話をお伺いできたかなというふうに思っております。本当にありがとうございます。  時間の関係でちょっとお聞きするのは限られるかもしれませんが、質問させていただきます。  播本公述人にお伺いしたいと思うんですが、法案審議に先立って私は予算委員会でこの問題を取り上げて、テレビでも中継されました。小泉首相は、播本公述人自立できない法案なんだとおっしゃいましたが、小泉首相は自立するための対策なんだと言っています。そして、その後の法案審議でも、小泉首相も尾辻大臣も、無理のない範囲負担をお願いしている、決して無理な負担ではない、きめ細かな配慮をしているんだ、こんなことを繰り返しているんですが、現状で示されている中身が果たして無理のない負担だというふうにお考えかどうか、お聞かせ願いたいと思います。
  388. 播本裕子

    公述人播本裕子君) 私は、実は小泉首相の答弁をお聞きして非常に悲しかったです。  それはどういうことか。私だけじゃなくて私の周りの母親たちは大体そう言っています。それはどういうことかというと、先ほどから私は私の息子についての自立はどういうものかということを申し上げましたけれども、やる気のある人とおっしゃいましたか、頑張る人と言いましたか、そういう人には障害を持っていても支援しますよという言い方されたと思うんですね。これは、特に知的の障害を持つ人たちにとってはやる気を出すことまでの支援が必要なんです。そういう支援なくして重度の知的障害はやる気は起きないんですね。やる気も介護が必要なんです。そういう意味では、私の息子はこれは排除されるなと思いまして、とても悲しい思いをしました。  それから、尾辻厚生大臣はきめ細かな配慮のあるとおっしゃいますけれども、何かきめ細か過ぎて御自身がもう理解できていなかった部分があったりとか、そんな自分理解できないものを国民に、しかも困難を持った国民に押し付けるものではないと思います。特に、いろいろの配慮をしているということをおっしゃっていましたけれども、それはもう、例えば減免制度であっても市町村民税非課税以下ということですから、市町村民税非課税じゃなくても大変な、もうぎりぎりの人って一杯、もう特に障害者センターの調査では非常に所得低いですからね、これは全然当てはまらないと思います。  非常に、少なくても二万五千円は残してあげますよということでしたけれども、二万五千円残してもらっても私の息子ではもう全く足りません。で、この二万五千円すら二〇〇九年度になったら二万一千円になりそうということであれば、私はこれはきめ細やかな配慮ではないと思っております。
  389. 小池晃

    小池晃君 ありがとうございました。  今ちょっとお話もありました障害者センターの調査というのも、今日、資料を配付していただいております。御自身の経験からも、本当に特に経済的な問題でそういう生活でなければ分からないような様々な困難があろうかと思うんですが、調査結果と併せてちょっと御説明願いたいんですが。
  390. 播本裕子

    公述人播本裕子君) 例えば、私は子供を見ているときに、施設に入れていない子供もそうですけれども、特に車を使う仕事をしているわけではありませんでした。ですけれども、一か月のガソリン代が二万円から三万円。これは、ずうっと家にいることができないんです。それと同時に、また例えば車で出掛けていっても、やっぱり電車にも乗りたいってなるんですね。そうすると、駐禁除外車になっていますけれども、でも長時間になるかも分からない、そうしたら駐禁除外車には当たらないんですね。そうすると、駐車料金が要る、例えば駐車料金が一回入れて三千円ぐらいとか。  それから、もう通院なんかでいったら、確かに医療費はただです。医療費はただなんですけれども、非常にいろんなこだわりがありまして、初めて行ったときにここはタクシーに乗ったということであれば、もうずうっとそこはタクシーに乗らなければいけない、道すがら自分の好きなロゴの入ったお店があればそこで買物をしなければいけないとか、そういう非常に普通では考えられない費用が掛かります。  特に私の息子の場合は、入院も何回かしましたけれども、入院のときには必ず個室料が要ります。みんなと一緒では駄目なんです。で、二十四時間付いていなければいけない、この費用も掛かります。それから、例えば水に非常にこだわりを持っているような時期が非常に長かったんですけれども、このときは水道料金が三万円、このぐらいが当たり前でした。時には六万円というときもありまして、マンションの管理人さんが心配して来られたこともあります。それから、衣服とか靴とか、そういうことでも普通の人より早く破れるんですね。なくしますし、そういう非常に普通では考えられない費用が掛かります。  そして、あそこの調査の中で明らかになったことなんですけれども、ほとんど十万円未満です。四分の三以上が十万円未満の収入で、特に五万円未満の就労で得た収入というのは五二・二%もあります。特に、生計中心者の二割にも当たる人が二百万円以下ですから、非常に大変な生活を送っていると思います。  それから、ほとんどの障害者が、介護者って、主たる介護者というのは母親で、家族が七八・八%というふうに出ていますし、このことは、この調査は特に知的障害を中心として調査していますけれども、知的障害者というのはヘルパーとか使っても、例えばうちの息子でいいますと、いつ困った動作をするか分からないんですね。何時から何時まで、じゃ入浴の時間だけヘルパーに来てもらいましょうということになっても、いきなり夜中にパニックを起こしたりとか、そういうことがありますから、基本的な介護は常に母親ということになるという、そういうことが明らかになりました。  もう時間がありませんので、このぐらいで。
  391. 小池晃

    小池晃君 この大阪障害者センターの調査、四千三百五十二世帯という非常に大規模なもので、厚労省がこういう調査まともにやっていませんから非常に大事な資料ではないかというふうに拝見して思ったんですが、障害者団体の中には、ある程度負担はやむを得ないんだというような声も若干お聞きをしております。そういう中で、所属しておられる団体の皆さんの御意見は一体どうなのか。  そして、あわせて、大阪ではこの間、いろんな団体の違いを超えて集会を開かれたり取組を進めてこられましたけれども、古田公述人も含めて、ちょっとその、どんな声が現場からは怒りの声が上がっているか、播本公述人と古田公述人にちょっとお伺いしたいというふうに思うんですが、いかがでしょうか。
  392. 播本裕子

    公述人播本裕子君) 私は全日本育成会の支部に所属しておりますが、残念ながら全日本育成会の方はかなり賛成の方向で動いていらっしゃるように、おるように思います。  ですけれども、私ども吹田支部では、会長以下全員と言っていいほど反対です。非常に大変なことだと思っています。同じ北摂地域でいいますと、高槻支部などは全日本育成会に対して抗議の行動も起こしております。ですから、これは本当に障害者の身近なところで生活をきちんと見ている人にとっては賛成できる中身ではないと思っております。  やはり私は、今年初めて、例えば古田さんとか塚本さんとか、こういう皆さんといろんなところでお会いすることが多くなりました。これは、今までは立場が違う障害者団体で一緒に行動したことはございませんけれども、四月十四日には三千八百人、それから七月三十日は、会場が狭いからもうみんな来ないでくれ、来ないでくれと言ったのに二千百人もの人が集まるような集会が実施されました。この集会を実施したことで、その後もいろんな連携を取りながら障害者団体が行動しておりますので、これはむしろ大きなきっかけになったのではないかなと思っております。  以上です。
  393. 古田朋也

    公述人古田朋也君) 今、播本さんから言っていただいたように、大阪はいろんな障害者の横のつながりを持ってやっています。身体、知的、精神、それから難病、それからほかのいろんな障害の方、盲聾者とか、いろんなつながりを持ってやっておりまして、また事業者の立場とかも含めて、大阪府下十三団体でこの間三千八百名とかの集会を二回ほど行ってきたわけです。  その中でみんなから言われていることは、一つはまず応益負担の問題ですね。これはとても負担できないだろうと。なぜ年金だけで暮らしているのに二万四千六百円とかも取られなあかんねん、それやったら生活保護へ行った方がいいじゃないかというふうな話をやっぱり聞くわけですね。それともう一つが、サービスの利用抑制です。これは今日も出しておりますが、介護グループホームや作業所というふうな地域生活に欠かせない最低の基盤なんですけどね、最小の基盤なんですが、それらについても利用抑制が掛かってしまうというのは正に死活問題なんだというように中では話しております。  私ども大阪ではみんな苦労しておりまして、最初の作業所の補助金いうたら、百万、二百万だったんです。年額ですよ、年額それでやっていました。そやから、みんな給料ってほとんどもらえずに、正に地をはうような形で、何とか行く行くは良くなるやろうということで、十年、二十年、三十年とやってきたわけです。それで、ようやく社会保険にも入れるようになってきたかなというのがこの支援費で到達した段階なんです。それが維持できるんかと思ったら、正に利用抑制でもってまた突き落とされるというような事態になってしまう。今、保険に入っているのに、またやめなければならないのかみたいな議論にもなってくるわけですね。通所者から職員がお金を取らなあかんのんか、そんなもんできるわけないやないか、そういう声も出ております。  その辺のやっぱり実態を踏まえた議論を、僕はもう介護保険の活用とかの議論が、二、三年先であるならば、二、三年掛けて実態を基にした議論をしていただきたいというふうに切に願っております。  以上です。
  394. 小池晃

    小池晃君 障害程度区分判定の問題について古田公述人と塚本公述人からお話がありまして、これ、政府は必要なサービスは続けるんだと言っている以上、もしこれで今までサービス受けていた必要な人が除外されるとすると、これ法案の根幹にかかわる重大問題ではないかというふうに思っているんですが。  それぞれの公述人の方にお聞きしたいんですが、何がこの問題なのか。この身体機能プラス問題行動という考え方自体では、もはやこれやれないと。根本的にやっぱり見直すべき性格なのか。その辺についてどうお考えか、お聞かせを願えればと思います。
  395. 岸宏一

    ○団長(岸宏一君) 皆さんからですか。
  396. 小池晃

    小池晃君 いや、では塚本公述人
  397. 塚本正治

    公述人塚本正治君) 障害程度区分判定の問題なんですけれども、いずれにしても、これがサービス導入の入口になるわけですから、ここで共通のスタートが図れないと三障害統合というのはうそになってしまうわけです。だから、我々はこだわっておるんですけれども。  実際、できる、できないという判定ですね。例えば、体を洗うということについて、できるのか、一部介助が必要なのか、できない、全介助が必要なのかとかいうような判定項目では、我々精神障害者生活障害はやっぱり拾い切れないだろうな。それは状態のいいときには体を洗えます。けども、状態の悪いときにはおふろに入るのもできません。  で、そういう、我々当事者の仲間が実際にその基本調査で、あなたおふろ入れますと聞かれたら、ほとんどの方が、この前シミュレーションしたんですけれども、入れますと答えるんですよ。ということは、この人はできるというふうになっていくわけですね。  やっぱり今の根本的な考え方自身を、やっぱりできない頻度がどれだけあるのかというところで見る、その上でどういう支援が必要なのかというところでもう一回作り直していくというふうにしないと、はっきり言って、これは精神障害者に対する、これまでも精神障害者制度は他の障害者制度と比べても後れていると言われてきましたけれども、だしにされた制度だなというふうに思う次第です。  以上です。
  398. 小池晃

    小池晃君 じゃ、一言お願いします。
  399. 古田朋也

    公述人古田朋也君) 行動援護のときにも問題になったんですが、何か判定基準表が、物を盗むことがありますか、人に抱き付くことがありますかという大変失礼な、当事者を何か犯罪者扱いするような項目が並んでいて、共産党の方からも指摘いただいたんですけれども、その表現がちょっと緩んで、問題行動みたいな形で、物を持って帰りはることがありますかみたいな項目になっているんですけれども、基本的なところはやっぱり何か問題行動を起こす人、知的、精神はみたいな、そういうふうにとらえられていくこと自身がやっぱり当事者にとっては非常につらいことなんです。  その辺をやっぱり、当事者がどんな支援、どんな環境を望んでおられるのかというところを明らかにするような判定項目を是非作っていただかないといけないし、また、これ非該当三割出ています。今、サービス使っている人も非該当で出たりもするんです。それぐらい、今の一次判定項目は実態、ニーズに合っていない。  このまま突入してしまえば、現場では大混乱起こります。全部やり直しですよ。これ何万件、とても審査会で処理できるような数ではないということを十分踏まえていただいて、やはり時間を掛けて議論いただきたいというふうに思います。
  400. 小池晃

    小池晃君 ありがとうございました。
  401. 福島みずほ

    福島みずほ君 社民党の福島みずほです。  今日は貴重な御意見を聞かせていただきまして、本当にありがとうございます。  まず、塚本公述人にお聞きをいたします。  先ほどからも出ておりますが、精神保健福祉法三十二条、通院公費負担制度の廃止の問題です。  一割負担となると中途で医療をやめる人ができるのではないかという御指摘がありました。先ほど、ないと困る個別支援、アンケートで一番望んでいるのが安心して暮らせるお金だということがあります。具体的に周りやいろんなところで、やっぱりこれ一割負担定率負担ということは物すごいことだと思うんですが、制度が大転換しますから、それについてのみんなの意見や気持ち、あるいは払えるのかということについてもう少し話してください。
  402. 塚本正治

    公述人塚本正治君) ないと困る個別支援というのは、当会の始めました、私たちはどんな支援を求めている千人アンケートという、今回資料で配らさしていただいた中に入っておる一つなんですけれども、この中でやっぱり一番トップがお金なんですよね。安心して、別にぜいたくして暮らせるお金じゃないわけで、安心して暮らせるお金、やっぱりここで、みんな、このデータの中でも、実際には仕事やアルバイトに就いている人というのはやっぱり少ないわけで、実際、やっぱり年金また無年金生活保護という暮らしの中でやっている仲間も多いんだろうなと思うんですけれども。  私は、まず定率負担というのであるならば、どうして所得保障ということが具体策として出てこないのかというのが不思議で仕方がないんですね。これが附帯事項に入ったということではなくて、これを具体的に明らかにすることなくしてどうして定率負担が出てくるのか、やっぱり前後が逆さまじゃないのか、そこの議論を深めていただきたいと思っておるのと、もう一つは、一割負担になって医療から途切れていくというときに、まあ実際、お金の問題で途切れていくということと同時に、精神科の医療は、特にですけれども、私は医師ではなくて患者の方ですけれども、医療現場との信頼関係で成り立つ、初めて成り立つ医療なわけです。そこで、これまでやっていたことと違うことが起きたときに、結局、この一割負担の問題につきましても、じゃ当事者も交えてそういう話もしましょうよという形の論議で始まったわけではありませんので、多くの当事者は知りません。ですから、結果だけを伝えられるというふうになります。そうなったときに、やはり現場で信頼関係が大きく揺らぐ、それが僕はやっぱり治療関係にも大きく影響するだろうし、医療中断が起きていく大きな影響にもなるのではないかというふうにとても危惧しておるところです。
  403. 福島みずほ

    福島みずほ君 ありがとうございます。  定率負担ということに社民党も一番問題だと思い、税金でやるべきではないか、昨日も委員会答弁局長が買手主体と言いました。お金がある人はいいだろう、ない人はどうなる、勝ち組でない障害者はどうなるというふうに本当に思います。  古田公述人にお聞きをします。今日、大阪でやる意味というのも私もあると思います。支援費の格差が八倍ぐらい全国であると。で、なぜ障害者皆さんが不安を持つかといえば、今あるサービスですら下がってしまうんではないかという不安が払拭されてない、その不安の解消が全くできてないということに尽きるだろうというふうに思います。  それで、昨日の大臣答弁も、サービスが下がるとは言わないが、適切なサービスが下がることはないということなんですね。つまり、じゃ下がると言えば問題だけれども、下がらない、絶対に下がらないとも言えないわけですね。低い水準が上がること、これは望ましい、しかし今あるものが下がる可能性も、適切かどうかという判断のあいまいさの中であり得るわけですね。  その点について、いかがでしょうか。
  404. 古田朋也

    公述人古田朋也君) 何が適切で何が適切でないかという基準についてどう考えておられるのかと思いますね。  まずは、今使っているサービスは、今一対一のサービスとかいろいろ使っておりますけれども、どれも必要なサービスばかりです。介護グループホーム、作業所、どれも必要なサービスで、ようやくここまで伸ばしてきたんです。もう作業所の制度なんか、発足当初なんか年七十万でしかなかったのが、今ようやくここまで来たわけですね。それから、グループホーム制度なんかも、今大阪では身体障害者グループホーム制度化してやってきました。ただ、これ十数年たちますけれども、ずっと年間三百万の補助金でしかなかったんです。それがようやく去年から五百万になりましたけれども。  ですから、増えるところはもう、今つくったところは数か所にしかすぎないんです。これも、国が制度化必要や言うんやったらつくったるけれども、国が制度化せえへんのを何で大阪でやらなあかんねん言うて、財政には抑えられるわけですね。  そういうふうにサービスのばらつきがまだまだ三障害においてもある。精神のグループホームはまだ年三百万で低いとか、そういうばらつきがあってサービスを伸ばせない。これは更に伸ばして一元化するということがなされない限り、いろんなサービスを地域に普及させる基盤をつくっていくことはできないというふうに思っております。これを引き下がらせないで更に伸ばしていっていただきたいというふうに強く思うわけです。
  405. 福島みずほ

    福島みずほ君 ありがとうございます。  播本公述人にお聞きをいたします。  定率負担というのは、特に子供、障害のある子供、障害のある子供を育てている親にとってとても大変ではないかというふうに私は思います。つまり、障害のある子供は生まれてくる可能性はもちろんあるわけです。一割負担せよと言われる、さっき播本公述人がおっしゃいましたが、機能訓練をしていかないと子供は成長しない。社会参加がないと成長しない。だけれども、一割負担せよと言われれば、やはりちゅうちょしてしまう、利用制限が起きる。極端な場合は、先ほどもありますが、座敷牢のような生活を実質的には強いられるんではないか。この点はいかがでしょうか。
  406. 播本裕子

    公述人播本裕子君) 全くおっしゃるとおりだと思います。とりわけ、私たちが危惧しておりますのは低年齢の人たちの場合なんですけれども、私もそうでした。最初は知的障害というのは、親は障害ということを認めたくないんですね。認めたくない人に対して、でもおたくのお子さんはちゃんとこういう訓練をしないと大変ですよということを認めさせるのがまず最初、こういう親子にかかわる方の仕事だと思うんですが、納得してない人に契約して更に一割負担しなさいと言ったら、それはもう利用しなくなります。ということは、障害がますます重度化なるという、そういう私たち懸念を持っています。  そしてまた、私たちの、先ほどちょっと言い忘れましたけれども、調査の中で特に明らかになったんですが、所得が低いほど制度を知らないんですね。そういう人たち制度を知らない人たちに、きちんと理解もできてない人たちにきちっと一割負担して、じゃ、こういうことした方がいいですよと言っても、それはなかなか利用には結び付かない。もうていよく言ったら、そういう人たちを切捨てにしてしまうような法律ではないかというふうに私たちは心配しております。
  407. 福島みずほ

    福島みずほ君 今日は、障害程度区分の問題に関して、中尾公述人からも塚本公述人からも古田公述人からもありました。  古田公述人にお聞きをいたします。障害程度区分は確かにとても難しいだろうと。この判定に例えば当事者の声をもっと入れる、あるいはよく分かっている人を入れる、この制度についてのアドバイスはありますでしょうか。
  408. 古田朋也

    公述人古田朋也君) 障害程度区分の判定過程ですかね。そこにはやはり、今回も障害程度区分判定試行事業で言われていたことなんですけれども障害者の地域生活の様子ですとか、自立生活をどのように送っておられるのかということを知らない人が判定に当たれば機械的に判定されてしまう。  障害程度で何ができる、できない。例えば、何メーターか歩けることができますかという項目があったりします。それも何分も掛かって歩けるのとすたすた歩けるのとでは全然意味が違いますし、その辺で日常生活をどうそしたら支えていったらいいのかというような方法も違うわけなんですね。だから、それを機械的に判定してしまえばできるということで丸がされてしまいます、何分も掛かって歩く人がですね。そこら辺はやっぱり障害者の日常の生活実態、それをどういうふうに支援を受けて生活をなさっておられるのかというところを明らかに分かっている、把握しておられる人が委員とか、審査会の委員もそうですし、調査員にならないといけない。調査員にならないとそういう問題意識すら上がってこない、特記事項になって上がってこない、判定しようがないというようなことも今回の試行事業で言われていたことです。その辺をちゃんとやっぱり判定項目の、さっきのことですけれども、ニーズに基づいた見直し。それから、調査員にも分かっている人を入れる、自立生活とか地域生活が。それから、審査委員もそういう人を入れるということでもってフォローしていかなければ、到底実態に合わないような非該当などの判定が出てしまうだろうというふうに考えております。
  409. 福島みずほ

    福島みずほ君 ありがとうございます。  この自立支援法案に関しては、当事者、親、周りの人たち、それからグループホームや作業所をやっている人たちからも、自分たちはやっていけないんじゃないかという声などがとても寄せられています。  古田公述人にお聞きをします。グループホームのことについてさっき若干話をしていただきましたが、個人ではなく共同体が強化されるんではないかとさっきおっしゃいました。グループホームや作業所の経営、維持などについての懸念問題点を教えてください。
  410. 古田朋也

    公述人古田朋也君) グループホームは、今、重度、中軽度の人が四人から七人で生活するのがグループホームなんですけれども、四人入居のところが大阪では知的で八〇%超えている、精神でももう六〇%を超えているというような、大体四人ぐらいの小規模で住むような形になっているわけですが、これが四人で一人の職員が付けれているわけなんですが、それが職員が一人で見れる人数をこれから出すと言われていまして、中軽度やったら六人、七人見ろと言われる可能性があるんです。そうしたら、今は一人で四人見ていて三百万もらえているものが、六人、七人で一人分やと言われたら額が下がってしまうんです。六分の四で二百万に落ちてしまうという可能性があるというのが一点目の指摘なんです。  それで、一対一の重度の方で支援が必要な人にはホームヘルパーを是非とも付けていただきたい、中軽度者にもガイドヘルプ、ホームヘルプを付けていただきたいというふうに言うておりますが、これも厚労省との協議では、これからはグループホームの報酬の枠の中でホームヘルプのお金を使いなさい、その枠の中で派遣の費用を捻出しなさいみたいなことが言われてきておりまして、そうなるともうほとんど今のホームヘルプを使うことはできなくなる、事業所の都合で左右されてストップされるというような、そういう問題も起こってきます。これは併給していただきたいということ。  それから、身体のグループホームは、先ほども言いましたように新しい類型ありません。ケアホーム、グループホーム、国の制度化もされていませんから行き先がないんです、移行先がないんです、新しい類型の、今自治体でやられている分について。それから、大阪では重度身障者が住む福祉ホームというのがあります。今度の類型ではどうなっているか。身障者の福祉ホームはありますけれども、軽度者が対象と言われてます。そうしたら、重度身障者が住む福祉ホームはどこの類型にも行けなくなるということにもなります。身障者だけグループホームを選べない、新しい類型に移行できないというのは、これは権利侵害の問題とも言えるものだと思います。  今いろんな意見が出ているから、まあお金が、これから高齢者もなだれ込んできはるかもしれぬから、身障者のグループホームは認めたくないみたいに思ってはるんかもしれませんけれども、これから入所施設はもうストップする、そうしたら地域で生活できる場を多様に用意しなければ、これも生活破綻に、来す問題だというふうに考えております。
  411. 福島みずほ

    福島みずほ君 ありがとうございます。  塚本公述人にお聞きをいたします。障害程度区分というのは果たして精神いわゆる障害のある方たちに可能なのかどうか、これは可能なのかという問題と、それから、もうほとんど残り時間はないんですが、言いたいことがあれば最後に一言言ってください。
  412. 塚本正治

    公述人塚本正治君) 障害程度区分判定の問題につきまして、何よりも実際にその病を体験し、そのトンネルからくぐり抜けてきた当事者の意見をきっちり交えて、何が基礎なのかというところをきっちりと出しながら、私は、やっぱり精神障害者の場合、発言重なりますが、状態の波、症状の波というところについてどう拾い切れるのかということがとても重要なことだと思っておりますので、そこが位置付くようなものを作るには、やっぱり本当に当事者も入れ、また専門家の方も入れた入念な議論がなされない限り、結局は精神障害者は取り残されていくのではないかと非常に危惧しております。  それと、言いたいことと言われましたので、この自立支援法案の附帯事項にも七万二千人の退院促進ということが書いてあります。実際、全国で退院促進のモデル事業は行われておりますが、この大阪府下においても行われております。年間、この大阪府下で出てこれる人が今の予算の取組の中では四十人いるかいないかなんです、一年で。七万二千人、十年間で七万二千人、どこからこの数が出るんですか。実際にその数を達成しようとするならば、病院側の努力と同時に、地域で暮らしていける生活資源を、まず住まい、そして生活をしていける資源、そして就労していける場所をきっちりと作っていかないと、もうこれはやっていけないわけですけれども、これが余りにも惨々たる状況の中でその言葉だけが出されておるというのがとても私危惧しておって、いつの間にかこの退院促進という言葉や政策はなくなってしまうのではないかなというふうに危惧しておるので、この退院促進ということについて強く訴えておきたいと思います。
  413. 福島みずほ

    福島みずほ君 どうもありがとうございました。
  414. 岸宏一

    ○団長(岸宏一君) 以上で公述人に対する質疑は終了いたしました。  この際、公述人方々に一言お礼を申し上げます。  皆様には、長時間にわたり、有益な御意見をお述べいただきまして、誠にありがとうございました。  拝聴いたしました御意見は本委員会審査に十分反映してまいりたいと存じます。委員会を代表いたしまして厚くお礼申し上げます。ありがとうございました。(拍手)  以上をもちまして参議院厚生労働委員会大阪地方公聴会を閉会いたします。    〔午後三時七分閉会〕