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2005-12-19 第163回国会 参議院 決算委員会 閉会後第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十七年十二月十九日(月曜日)    午前十時二分開会     ─────────────    委員異動  十一月十七日     辞任         補欠選任      中原  爽君     山本 順三君      鈴木  寛君     佐藤 雄平君      松下 新平君     和田ひろ子君      水岡 俊一君     加藤 敏幸君  十一月十八日     辞任         補欠選任      岡崎トミ子君     神本美恵子君      魚住裕一郎君     遠山 清彦君  十一月二十二日     辞任         補欠選任      遠山 清彦君     高野 博師君  十二月八日     辞任         補欠選任         西銘順志郎君     伊達 忠一君      野村 哲郎君     秋元  司君      森元 恒雄君     小泉 顕雄君      山内 俊夫君     山下 英利君  十二月十六日     辞任         補欠選任         神本美恵子君     島田智哉子君      谷  博之君     富岡由紀夫君      簗瀬  進君     水岡 俊一君      高野 博師君     浮島とも子君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         中島 眞人君     理 事                 国井 正幸君                 小池 正勝君                 武見 敬三君                 直嶋 正行君                 松井 孝治君                 山下 栄一君     委 員                 秋元  司君                 荒井 正吾君                 小泉 顕雄君                 坂本由紀子君                 伊達 忠一君                 中村 博彦君                 西島 英利君                 山下 英利君                 山本 順三君                 尾立 源幸君                 加藤 敏幸君                 佐藤 雄平君                 島田智哉子君                 富岡由紀夫君                 那谷屋正義君                 藤末 健三君                 水岡 俊一君                 和田ひろ子君                 浮島とも子君                 西田 実仁君                 小林美恵子君                 又市 征治君    委員以外の議員        議員       大門実紀史君    事務局側        常任委員会専門        員        和田  征君     ─────────────   本日の会議に付した案件国家財政経理及び国有財産管理に関する調  査  (参議院政府開発援助調査に関する件)     ─────────────
  2. 中島眞人

    委員長中島眞人君) ただいまから決算委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  本日までに、中原爽君鈴木寛君、松下新平君、岡崎トミ子君、魚住裕一郎君、西銘順志郎君、野村哲郎君、森元恒雄君、山内俊夫君、谷博之君及び簗瀬進君が委員辞任され、補欠として山本順三君、加藤敏幸君、佐藤雄平君、和田ひろ子君、伊達忠一君、秋元司君、小泉顕雄君、山下英利君、浮島とも子君、富岡由紀夫君及び島田智哉子君が選任されました。     ─────────────
  3. 中島眞人

    委員長中島眞人君) 国家財政経理及び国有財産管理に関する調査のうち、参議院政府開発援助調査に関する件を議題といたします。  この際、お諮りいたします。  本日の委員会に、委員外議員大門実紀史君の出席を求め、参議院政府開発援助調査について意見を聴取したいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 中島眞人

    委員長中島眞人君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  この際、参議院ODA調査海外派遣議員団皆さん一言お礼のごあいさつを申し上げます。  本日は、帰国後間もなく、また議院運営委員会理事会への正式の報告書提出前にもかかわらず、当委員会に御出席をいただき、誠にありがとうございました。  海外派遣議員団皆さんから各地における政府開発援助の現状を伺わせていただき、今後の決算審査に生かしていきたいと存じますので、よろしくお願い申し上げます。  本日の議事の進め方でございますが、各班の団長から順に十分程度ずつ御報告いただきました後、委員から質疑をさせていただきますので、議員団皆さんには現地実情等について御答弁いただきたいと存じます。  なお、海外派遣議員団からの報告、各委員からの質疑及びこれに対する答弁のいずれも着席のままで結構でございます。  それでは、まず、第一班から報告をお願いいたします。第一班団長伊達忠一君。
  5. 伊達忠一

    伊達忠一君 それでは報告をさせていただきます。座ったままお許しをいただきたいと思います。  ODA調査第一班の西銘順志郎議員藤井基之議員尾立源幸議員、藤末健三議員浮島とも子議員及び私、団長を務めさせていただきました伊達忠一の六名で、去る十一月二十日から二十九日までの十日間、我が国ODA実情調査のため、エジプト及びタンザニアに行ってまいりました。エジプト中東地域において、タンザニアアフリカ地域において、我が国ODAの最大の供与実績のある国であります。今回の調査は、無償資金協力及び技術協力案件中心に、我が国ODA効果的かつ効率的に実施され、所期の目的を達成し成果を上げているかどうか、また、我が国ODAであることが相手国国民に十分に理解され感謝されているかどうかという観点から調査をいたしました。  それでは、視察先における調査を通じて気付いた事項を中心報告をさせていただきます。  エジプトでは、まずカイロ市近郊の建設機械訓練センター視察しました。訓練センターでは、エジプト人に対する研修のほか、アフリカ中東第三国から招いた研修員に対するいわゆる南南協力も行っています。我が国が供与した機材は大切に使用されていますが、相当古くなっている機材も見受けられました。訓練センターは、エジプト建設関係者の間では日本センターという名称で知られており、その修了証明書は大変高い信頼が寄せられているとのことでございます。一方、南南協力に関しては、第三国研修員に対し、我が国技術協力に基づく研修であることが十分に理解される必要があると感じました。  次に、我々は、アレキサンドリア市を訪問し、地域環境監視センター視察しました。環境監視センター活動により住民の環境問題に対する意識が向上するとともに、環境破壊要因となる企業活動の規制を図るなどの成果を上げているとのことでございます。我が国が供与した機材には我が国ODAマークが表示されておりましたが、機材にほこりがかぶっていたり、常時使用されている形跡が余り見受けられないなど、有効に活用されているかどうかは若干疑わしい印象を受けました。また、環境監視センターの収集分析したデータが、エジプト環境政策にどのように反映されているか調査し、ODA効果を最後まで見定めていく必要があると考えられます。派遣議員からは、エジプトの環境庁に対して我が国から政策アドバイザー派遣したらどうかとの指摘もなされました。  次に、我々は、ギザ市ピラミッド南部地区上水道整備計画視察し、我が国ODAマークが表示された配水塔を訪れました。地域住民上水道日本協力により布設されたことを十分に理解し、我が国感謝しており、ギザ市には日本通りと名付けられた通りもあるとのことです。調査団からは、人口の増加に伴い今後とも飲料水の需要の増大が見込まれること、いわゆる貧困層中心に低料金で給水していることなどを背景に、長期の水道政策を確立することが必要ではないかとの意見が述べられました。また、漏水に対する対策の改善や水質基準向上などについて指摘がなされました。  次に、タンザニアを訪問し、まず、キリマンジャロ農業技術者訓練センターを訪れ、かんがい稲作技術研修状況視察しました。訓練センターでは、タンザニア農業普及員中核農家に対する研修を通じて稲作技術普及に努めており、また、ケニアなど近隣諸国研修員を招いた南南協力も実施しているとのことであります。訓練センターでは、一九九四年から一九九九年まで実施されたフェーズⅠの協力を踏まえ、二〇〇一年から二〇〇六年までフェーズⅡの協力が実施されております。調査団から、今後における我が国協力継続について質問したところ、タンザニア側からは、日本協力継続については直接触れることなく、タンザニア専門家も育ってきており、タンザニア政府や自治体などからの支援があれば訓練センター継続は可能である旨の回答がありました。若干釈然としない印象を受けたことを申し添えておきます。また、訓練センター研修を受けた中核農家を核として稲作普及が図られ、我が国技術協力成果が上がっているか見届ける必要があると感じました。  続いて、我々は、防虫剤を練り込んだ蚊帳オリセットネットを生産しているAトゥーZ社視察しました。我が国住友化学技術に基づき開発されたオリセットネットは、マラリアなどの感染症の予防に優れた効果を発揮し、世界保健機関などから推奨されております。  調査団は、貧困層にもオリセットネットが行き渡るにはどうすべきであるか意見交換を行い、ちなみに、この蚊帳一つが六ドルぐらいするということでございます。また、AトゥーZ社のようなアフリカ企業による雇用創出の大切さ、ODAによる協力投資雇用創出につなげるにはどうすべきかなどについて意見交換を行いました。  次に、我々は、ダルエスサラーム市において、我が国無償資金協力により建設されたボマ小学校視察しました。  教室には日本の国旗と地図が掲げられ、保護者地域住民我が国ODAによる小学校建設に伴い児童就学率向上していることについて感謝しているとの説明がありました。小学校施設には、我が国ODAマークは表示されていませんでした。  一方、児童が数人で一冊の教材を使用している状況などを実際に見ました。これは、三人で一冊の教材を使っておりました。教育行政について、タンザニア政府の更なる努力を求める必要があるのではないかと感じました。  我々は、我が国NGOである開発途上国農民自立を援ける会、これはまだ正式には長い名称なんだそうでございますが、この担当の松尾さんから聞いてこれでいいんじゃないですかという名称にさせていただきました。これは、ICBO関係者から説明を受け意見交換を行い、ICBOは、アフリカ気候風土に根差した農業を通じて農民自立を促すため、独自の農法による農民支援を行っているとのことであります。  我々は、案件視察のほか、在外公館JICA等関係者から説明を受け、意見交換を行い、JICA派遣専門家青年海外協力隊員との意見交換を行いました。  調査概要については報告書にまとめますが、次の諸点について申し述べたいと存じます。  第一に、エジプトでは四割以上の人々が一日二ドル以下で生活をしているとも言われていることから、我が国ODA国民の福祉の向上のために今後とも有効に活用される必要があると認められます。一方、多数の軍隊、警察が配備されている状況軍関係の豪華な施設も見受けられました。そこで、ODA大綱を踏まえ、軍事支出を増大させている途上国に対して、軍事費を適正化し開発予算を増やすなど、ODAに係る協議などに際しては内政干渉にわたらない範囲で相手国に促すべきではないかと思われます。  第二に、タンザニアはいわゆる最貧国でありますが、政府国民がこれまでの経験を生かし更なる自助努力に励むことに対し、我が国ODAを活用すべきではないかと考えられます。在タンザニア日本大使館では、現金を被援助国政府一般会計に直接投入するという一般財政支援貧困削減戦略としてアフリカに対する援助の主流を占めつつある旨の説明がありました。一般財政支援に対する我が国の対応については、様々な観点から十分に検討する必要があると考えられます。また、一般財政支援のような援助を実施する場合には、政策についてアドバイスする人材相手国政府に送り込む必要があり、この面における我が国人材養成が急務であると思われます。  第三に、技術協力の柱の一つである南南協力を充実させていく重要性は認められますが、第三国からの研修員に対して、南南協力のベースは日本ODAであるという我が国の姿をどのように見せていくか、より一層の工夫、努力が必要であると思われます。  以上、気付いた点を申し上げ、ODA第一班の報告とさせていただきます。よろしくお願いをいたします。
  6. 中島眞人

    委員長中島眞人君) ありがとうございました。  次に、第二班にお願いいたします。第二班団長小泉顕雄君。
  7. 小泉顕雄

    小泉顕雄君 私どもODA調査第二班は、参議院改革の一環として、決算重視の立場からODA経費の効率的な運用に資するため、去る十一月三十日から十二月八日までの九日間の日程で、ベトナム社会主義共和国及びカンボジア王国派遣をされました。  派遣議員は、椎名一保議員関口昌一議員加藤敏幸議員津田弥太郎議員西田実仁議員渕上貞雄議員、そして私、小泉顕雄の七名でございます。  以下、両国での調査概要を申し述べます。  まず、ベトナムについてでございますが、初めに、ベトナムにおける経済開発を担っております計画投資省のシン副大臣との意見交換に臨みました。冒頭、副大臣より、日本国家財政が厳しい中、ベトナムに対して多額のODA予算を確保していただいていることに深く感謝を申し上げたいとの御発言をいただきました。  ベトナムにおける今年のGDP成長率は八・四%を見込むなど、同国の持続的な経済成長により、貧困層は過去十年間で半減をしているとのことであります。これには、日本からのODA、特にインフラ整備に関する支援がとても有効に機能したとのことでありました。しかしながら、同国における社会資本はまだまだ不十分であるとのことから、我が国には今後もインフラ面での支援を特にお願いしたい旨が述べられました。数あるドナーの中でも大規模プロジェクト支援できる国は少ないため、そうした意味からもインフラ整備に関する日本の貢献及びそれに対するベトナム国民感謝の念は極めて大であるとのことでありました。  ベトナム政府インフラ整備を強調するのは、ベトナム自立して貧富の差の解消などを自ら推し進めていくためには外国からの投資を呼び込むことが必要であり、そのためには社会資本整備が不可欠であるからとのことであります。  これに対しまして、調査団からは、インフラ整備重要性は認識するものの、今後重点を置くべき分野はそれにとどまらず、将来を担う若者たちを育てるという観点から教育分野についての支援が重要となるのではないか、また、鳥インフルエンザを始めとする国境のない感染症対策等は、ベトナム一国にとどまらず日本を始め世界じゅうに重大な影響を及ぼすことから、保健医療面も極めて大切なのではないかなどの意見が交わされました。  翌日からは、ODAで実施されました幾つかの案件について視察をいたしました。  まず、医療に関してでありますが、北部ハノイ拠点病院であるバックマイ病院南部ホーチミン拠点病院であるチョーライ病院視察をいたしました。両病院とも日本からの無償援助によって当時最新の機材を導入をしたものの、その後更新費用を工面することができないようで、特にチョーライ病院におきましては一九七〇年代に供与した機材が現役で稼働しておりました。これら機材が故障をしたときに、比較的新しい機械であってもベトナム交換部品を入手するには相当な時間が掛かること、ましてや古い機械では、もはや部品を手に入れるのが難しいことなどが問題点として示されました。今後、日本からの支援プログラムが終了した後のメンテナンスをどうするのかと、こういう点も考えて援助をしていく必要があると感じたところであります。  インフラ面では、ハノイ中心部に架かるタインチ橋建設工事ホーチミン市の下水処理施設整備等の計四件の円借款事業視察をいたしました。いずれの現場も、国際入札ではありながらも結果的に日本建設業者が携わっており、日本人ベトナム人一緒工事をすることを通じて、円借款対象となった施設が完成されるだけでなく、同時に日本技術を彼らに伝えていく様子も見て取ることができました。  また、ベトナム国家経済政策そのものへの包括的な支援である石川プロジェクトにつきましてもタイ計画投資省顧問からお話を伺いました。ベトナム共産主義体制下でありますけれども、ドイモイ政策の下、経済開放を進め、市場経済体制に移行しつつあります。この移行に際してベトナム経済政策をどうするべきか、また制度をどのように改善していくかなどについて、石川一橋大学名誉教授中心とする学識者グループベトナム計画投資省とともに研究をし、提言を行ったのがJICA技術協力である石川プロジェクトでありました。そして、このプロジェクトによる提言は、実際に一九九六年に始まる第六次国家開発五か年計画等に反映されたとのことであります。提言どおり国家政策を運営した結果、アジア通貨危機の際の影響もそれほど大きくなく、現在のベトナム成長につながっているとのことでありました。  このように、ベトナムにおける我が国経済協力は総じてうまくいっていると思われます。これについて現地大使館等からは、いわゆる四つのJ、すなわち日本国大使館JICA、JBIC、ジェトロの連携がうまくいっており、案件形成等における現地タスクフォースの世界的なモデルとなるほどうまく機能しているからであるとの説明がありました。これまで、円借款無償資金協力技術協力などODA各種ツールは別々の機関が担っており、かつ各機関とも東京の方ばかりを向いて仕事をしていて、実際の現地への支援という点から見ると必ずしも整合性が取れていないといった批判が聞かれるところがありましたけれども、ベトナムでの現地化成功事例は、今後の我が国援助在り方を考えていく上での重要なヒントになるのではないかと考えました。  このほか、ベトナム音楽院ではベトナム伝統音楽を守るための文化無償協力を、またホーチミンの第四区六月一日学校では貧困地域における教育支援をそれぞれ視察をしたほか、現地で活躍する青年海外協力隊員等意見交換するなどいたしましたが、詳細は報告書に譲りたいと存じます。  次に、カンボジアについてでございますが、ここでは産婦人科の拠点病院である母子保健センター視察したほか、カンボジアの特徴的な案件である地雷除去活動遺跡修復事業についても視察をいたしました。  カンボジアでは、度重なる紛争のため、いまだに数百万個に及ぶ地雷不発弾が眠っていると言われております。そして、これによる犠牲者は毎年八百人にも上るそうであります。こうした地雷不発弾は人体への脅威となるばかりか、土地の利用にも大きな障害となっており、カンボジアの発展を妨げる要因ともなっています。そこで、我が国では、人道上及び平和の構築という観点から、地雷等除去に対して精力的に支援を行っているとのことでありました。援助は大部分がカンボジア政府機関である地雷対策センター、CMACに対するものでありますが、地雷除去活動のため独自に活動をしている日本NGOJMASにも毎年数千万円の資金を提供をいたしております。  調査団は、JMASが実際に不発弾処理する様子視察をいたしました。爆破処理地点より一キロほど離れたところからの見学となりましたが、そこまでとどろいてくる大きな爆発音に戦争の恐ろしさを感じた次第です。処理後に爆破現場のすぐそばまで行ってみますと、多くの子供たちが駆け寄ってきます。爆破の際に飛び散った金属片を集めて売り、家計を助けているとのことでありました。カンボジアでの地雷等被害の第一位は、こうした不発弾に含まれている金属を勝手に回収しようとして爆破させてしまうことによるものだと聞き、地雷除去活動を直接支援することも大切ではありますけれども、カンボジア貧困そのものを根本的に解決するような援助重要性も認識をいたしました。  遺跡修復事業は、アンコール遺跡視察をいたしました。遺跡修復は、日本のみならず、旧宗主国のフランスを始め、中国、インド、ドイツといった国々がそれぞれのエリアを担当するという形式で行われております。我が国では、JSA日本国政府アンコール遺跡救済チーム等現地活動を行っているとのことでありました。JSA活動資金は主にユネスコに設置をされました文化遺産保存日本信託基金から受けており、日本政府ユネスコに対して拠出するという形式を取っております。  遺跡修復方法はそれぞれの国によって考え方が異なるようでありますが、日本としては、中国チームがやっているようなコンクリートによる簡便な修復は避け、崩れた破片を丹念に拾い集めて再生し、できるだけオリジナルに忠実に修復すること、そしてカンボジア人技術を継承して将来的にはカンボジア人が自らの手で遺跡修復できるようにすることを目指しているとのことであります。  ところで、援助のスキームとして、我が国はいったん国際機関資金を拠出し、事業そのもの当該国際機関が担っていることから、日本がどの程度実際の事業に関与し得るのか、また関与すべきかという点が一般には問題になってくると思われます。本件の場合、幸いなことに、現場活動しているのは日本人をリーダーとするチームであることなどもありまして、遺跡修復方法についても日本考え方を反映をできておりました。このように、国際機関への拠出という援助形態であっても、資金を出す以上は実際の現場レベルでの事業在り方についてまで我が国としても注視をしていく必要性があるのではないかと感じました。  カンボジアにおきましては、案件視察に加えて、キエット・チョン経済財政大臣との意見交換にも臨みました。大臣は、インフラ整備病院教育等に対する支援にとどまらず、地雷除去といった住民の基本的な安全にかかわっている点、今もカンボジア国民から崇拝の対象となっているアンコールワット等精神面文化面にかかわっている点についてまで日本が幅広く支援をしていることをとりわけ高く評価をしておりました。そして、こうした目に見える援助にとどまらず、ODAを通じて日本人カンボジア人一緒仕事をすることにより、日本人仕事の仕方、特に職業倫理に対する考え方を学べる点も、人材不足が著しいカンボジアにとっては大きな援助であるとのことでありました。  以上が両国視察概要でございます。帰国後間もないため、現時点では第二班としての所見を集約するには至っておらず、詳細は今後の報告書に譲りたいと思いますが、今回、両国視察いたしまして援助在り方の違いを大きく感じました。ベトナムは、端的に申しますと援助慣れをしている様子が見受けられました。日本に求める援助中心は大規模インフラ整備であり、今後積極的に外国からの投資を受け入れて自立的に経済発展していこうという姿勢が見られたのに対しまして、カンボジアはまだまだこれからといった様相であります。インフラ整備もさることながら、地雷除去など生活基盤を確立するための支援を必要とし、また、ポル・ポト政権時代に多くの人が殺されたと言われることもあって人材不足が顕著とみえ、教育など人材育成のための支援を求める声も強くありました。  このように、隣り合う二国でも大きく援助ニーズが異なります。経済協力、国際支援は、相手国の歴史的実情を踏まえながら現状を冷静に分析し、効率的、効果的な運用が必要であると痛感をしたところであります。少なくとも、一律的な濃淡のない援助は考えなければならないと感じました。  最後になりますが、今回の視察に際し、御協力をいただいたベトナム及びカンボジア両国、各視察先の方々、さらには在外公館JICA、JBIC、その他多くの関係者各位に対しまして心から御礼を申し上げまして、第二班の報告を終わらせていただきたいと思います。  ありがとうございました。
  8. 中島眞人

    委員長中島眞人君) ありがとうございました。  次に、第三班にお願いいたします。第三班団長山下英利君。
  9. 山下英利

    山下英利君 それでは、ODA調査団第三班からの御報告をさせていただきます。  ODA調査第三班は、去る十二月四日から十二日までの九日間、我が国ODA実情調査のためにインドに派遣をされました。派遣議員は、福島啓史郎議員、田村耕太郎議員、大久保勉議員富岡由紀夫議員大門実紀史議員そして私の、団長を務めさせていただきました山下英利の六名でございます。  まず、インドにつきましては、インドの国そのものがインダス文明に始まる長い歴史と伝統を持つ国であるということ、そしてその国民性が独立闘争の歴史の中ではぐくまれた高いプライドとともに、アジアのほかの諸国と異なりまして、日本に対する負の歴史的な遺産が少ないということから、非常に親日的であるというところに特徴があると感じました。現在、約十一億人の国民を抱える世界最大の民主主義国家であります。そしてまた、近年の経済成長率は六から八%と大変高く、経済の好調さが注目されている国でもございます。そして、現地へ行きまして改めて感じましたことは、反面、インフラ整備が大変遅れているということ、そして経済成長の中で貧富の格差拡大が一段と顕在化してきていると、そういうところでございます。  我が国は、インドとは一九五二年の国交樹立以来、良好な関係を維持してきておりまして、本年四月には日印のパートナーシップの強化で合意をいたしました。十二月には、ASEAN、日中韓、インドなど十六か国が参加する東アジア・サミットが開催をされまして、今後は、インドを含むアジア地域における我が国の果たす役割、中でも経済協力の外交、経済面での役割が一段と大きくクローズアップされると思われます。  こうした中におきまして、今回の調査は、インドに対する我が国ODAの三本の柱と言われるインフラの整備、貧困の対策、環境・農村対策中心我が国ODA予算が有効に使われているかどうか、今後の我が国ODA在り方をどう考えていくべきか等の観点から調査をいたしました。  次に、視察先における調査概要を申し上げます。  インドでは、デリーのほかコルカタ、これは旧カルカッタでございます。そしてチェンナイ、これは旧マドラスという名前でございました、の三都市及び周辺地域調査を行いました。  まず、デリーでは、インド政府の官房長官に当たる首相府のチャバン大臣ODAの窓口となる大蔵省等から意見の交換をするほか、スラム地域小学校、国立小児病院、デリーメトロ、デリーの地下鉄でございますが、等を視察いたしました。  意見交換の中では、インド政府側から、道路、港湾等のインフラの整備保健、教育など諸施策の中で、重要かつ必要だが採算の合わないものがあって国の予算で対応し切れないものが多い。中でも、インフラの整備が将来の経済成長につながると認識していることから、日本からの資金を活用するほか、インド政府の予算も使い整備を進めていく。そして、現在、四月の日印両首脳間で合意された貨物鉄道新線建設計画の動きが進みつつあり、日本からインドへの直接投資を増加させる大きな役割も期待されているなどの意見が述べられました。  視察先のスラム地域小学校では、学校校舎の建設、机、いすの購入に草の根無償資金が使われ、子供たちに初等教育はもとより、ミシンを使った裁縫技術の習熟など、職業能力開発に大きな役目を果たしている、そういったことも実際現地へ行って見てまいりましたし、現地から説明を受けました。  また、国立小児病院では、資金が病棟の拡充、エックス線装置の購入などに充てられまして、乳幼児死亡率の改善に一定の効果を上げているということでございます。ただし、人件費の不足から、医師、看護師が定員割れの状態にある等の問題も指摘がされたところであります。  次に、コルカタでは、バッタチャルジー西ベンガル州首相等との意見交換や、国立コレラ・腸管感染症研究所、地下鉄、立体交差を中心とした都市交通施設等の視察を行いました。  州政府からは、橋梁建設など更なるインフラ整備必要性とともに、経済成長が進み、貧富の差が拡大する中で、貧困対策が一段と重要性を増している旨の意見が述べられました。  視察先の国立コレラ・腸管感染症研究所では、技術協力によるコレラ等の下痢症診断の専門家の養成や無償資金による研究センター建設が行われております。日本人医師の協力によって、インド人の下痢症専門家の養成が進み、インドで死亡疾患第一位の下痢症による死亡率低下にもつながっているとの説明を受けました。  なお、現在、東南アジアで拡大している鳥インフルエンザは、いずれインドへの波及が懸念され、同研究所を日本との連携によりまして南アジア地域鳥インフルエンザ研究の拠点にもしていきたいと、そのような考えが述べられました。  コルカタの地下鉄建設は、一九七二年に当時のソ連の支援を受けて進められておりましたが、その一部の建設が大変難航をいたしたために、我が国が八〇年代前半から円借款を供与して、ようやく九六年に完成をしたものであります。現在、平日一日当たり平均で三十万人の乗客に利用され、市民の足として定着をし、視察時もかなり多くの人が地下鉄を利用しておりました。  しかしながら、当初ソ連が見込んだ乗客数が大変過大なために、利用客は見込み数を大きく下回っております。しかしながら、日本円借款をてこに完成にこぎ着けることができた案件であって、かえってインド側から高い評価を受けているということでございます。  都市交通整備は、円借款によりコルカタ市内に四か所の立体交差等を建設するものでありまして、かつて通行するのに二十五分掛かっていた道路の所要時間が三分間に短縮されるということなど、交通渋滞の改善に一定の寄与をしているという説明を受けました。  そして次に、チェンナイでは、植林事業、聴覚障害児の診断・早期教育センター視察をいたしました。  タミルナド州などでは、過度の森林伐採によって森林の劣化が進み、荒廃林の再生が最優先の課題となっております。円借款を活用して、地域住民プロジェクトに直接参加する形で植林事業を行い、地域住民の生活水準の向上を図っております。  具体的には、樹木を植えて林産物で収入を得たり、土壌の改善を通じて農業生産の向上を図ったり、樹木を食い尽くすヤギに代えて乳牛を導入する小口資金の貸付けなどの取組を行っているということでございます。植林から樹木の成長、さらに、農家所得の向上地域環境の改善には長期の年月を要するものであり、事業に対する今後のフォローをきめ細かく行って、その結果を厳しくチェックしていくことが必要と考えられます。  また、インドで活動する日本人NGO関係者との意見交換を行いました。NGO関係者からは、草の根無償資金協力を受けた場合、現行制度では人件費等に充てることができない、そういった中で非常に厳しい部分があるというコメントがありまして、しかし、人材やノウハウ、現場でのネットワークの構築といったソフトの部分こそNGOの長所であり、支援額の増額とともに、実績や能力などでNGOの格付を行い、それに応じて支援範囲を変えていくなど柔軟な対応をしてほしいと、これを求める意見が述べられました。また、技術協力については、地道な努力現地の人々とNGOとの関係を育成し、現地の人々が自立できるようにするためには、現在三年間という実施期間の延長が必要であるという旨の意見が述べられました。  そのほか、調査団在外公館、国際協力銀行(JBIC)、国際協力機構(JICA)の関係者から説明を聴取し、質疑を行いましたが、調査の詳細につきましては今後の報告書に譲らせていただきたいと思います。  最後に、今回インドを視察いたしまして、総括的な所見を申し上げさせていただきます。  第一に、インドは援助国を日本、米国、イギリスなどの先進G8等に限定しております。そして、語学力などの問題から、欧米諸国に対しては技術協力などの人的援助を求める一方で、日本に対してはインフラ整備中心とした円借款を求め、資金とともに我が国の先端技術の導入を図ろうとする傾向が強いとのことでございました。  現在、インドに対するODAの九割以上が円借款となっておりますが、顔の見える援助ということでは、インフラ整備等の物的な援助だけでなく、人的協力を含めたソフト面を重視した援助が欠かせないものと考えられます。その意味で、今後NGO等を活用した援助の充実にも留意していく必要があると思われます。  第二に、インド政府側は拡大する貧富の格差の問題に対して、経済成長によって中間層の生活水準を引き上げることで対応しようといたしております。しかし、広大な国土において、人口の七割が農村に住み、農村住民イコール貧困の構図が作られている現状では、この状況を見ますと、都市と農村の格差など、インド全体の格差の問題に適切に対応できるかどうか、この考え方に対しては甚だ疑問を感じたところであります。都市部のインフラへの援助だけでなくて農村の貧困問題に対応するためにも、草の根無償資金協力は、金額こそ少ないものでありますが、顔の見える援助として有効なものであるとの認識を強くいたしました。  第三に、こうした草の根無償について実効性を高めていくためには、実施案件の評価をきちんと行って、その結果を予算執行に反映させることが不可欠であります。今回のNGOとの意見交換の中で、NGOの実績、能力に応じた資金の使途拡大や実施期間の弾力化等を求める声が強いことが分かりました。今後は、NGOからの意見を吸い上げつつ、実施案件について事前チェックと事後のフォローアップの体制を整備することや、草の根無償案件に関して、地域個別の案件としてのみならず、インド全体として案件について検討する場を設けその評価を今後の援助に生かすなど、更に効率的かつ有効な支援の実施が必要と考えられます。  第四に、JICAプロジェクトなど、計画段階ではインド政府意見を聞いて計画作りが行われるものの、実施後のODAについて評価し、インド政府との間でフィードバックする場がないということでありました。今後、ODAについて、受け手であるインド政府と供給側である在外公館JICA、JBICとの間で協議の場を設けるなど、事前事後にわたり多面的にODAを評価することがその効率化には欠かせないと考えられました。  以上、気付いた点を申し上げまして、ODA第三班の派遣報告とさせていただきます。ありがとうございました。
  10. 中島眞人

    委員長中島眞人君) ありがとうございました。  以上で海外派遣議員団からの報告の聴取は終わりました。  これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言願います。
  11. 山本順三

    山本順三君 自民党の山本でございます。  三班に分かれて皆さん方、大変な御苦労をされながら視察をされたと思いますけれども、大変御苦労さまでございました。参議院の決算重視という観点からいきますと、このODAというのも中心課題の一つであろうと思います。そういった意味で、先ほどの活動報告、興味深く聞かせていただきました。十五分間ということでありますから、もう余り細かい質問できないと思いますので、最初に一班、二班、三班、それぞれに質問させていただいて、その答弁聞かせていただいて、もし時間の余裕、多分ないと思うんですけれども、あれば、またもうあと一、二問追加で質問させていただきたいと思います。  実は、私も十一月に、秋元議員一緒だったんですけれども、AU議連ということでアフリカ南部五か国回ってまいりました。非常に貴重な体験をさせていただきましたけれども、そういったことを踏まえて、比較対照しながら、それぞれ一班、二班、三班、質問をさせていただければ有り難いと思っております。  まず一班でありますけれども、私が興味を抱きましたのは、エジプト・ギザのピラミッド南部地区上水道整備計画についてでございます。  といいますのも、実は私どもタンザニア・ザンジバルを訪れました。そのザンジバルで水問題、水プロジェクトが大きな問題になっておりましたけれども、何が問題かといいますと、いわゆる日本側は、水道料金が今現在無料というような状況の中で、水プロジェクト、給水サービスをする前に政府が責任を持って料金の徴収システムを構築する、立法化する、それをやってからでないと、もし給水サービスが展開できたとしても将来的にそのメンテナンスに費用が当然掛かるわけでありますけれども、それができないという状況に陥るんではないだろうかと。ところがザンジバル側は、大統領がおっしゃっておりましたけれども、いやいやそうじゃないんだと。まずは、料金が無料ということにずっと慣れてきている住民にとって、給水サービスが実際に稼働し始めてその有り難さを感じてから料金の徴収という問題を提案していかなければ難しいんだと。その辺りで堂々巡りがございました。  ただ、あちらこちら行ってみまして、やはり機械なんかもそうなんですけれども、せっかく供与したにもかかわらず、先ほどの報告にもありましたけれども、一部故障してその修理技術がない、あるいはまた部品がないということで、まだまだ新しい状態のままのものが残ってしまうということはもう皆さん方も見てこられたと思うんですけれども、そんな流れの中で、そのギザ、この給水、上水道整備がされておるようでございますけれども、そのメンテナンスがどういうふうに行われておるのか、あるいはまた、これ貧困層中心に低料金で給水というような報告ございましたけれども、それだけで対応できるのかどうか、その辺りのことを若干お知らせいただければ有り難い、このように思っております。  それから第二班の皆さん方、大変これも内容の濃い御報告いただきましたけれども、その中で、カンボジア地雷のことについてお伺いをさせていただきたいと思います。  実は私ども、アンゴラに行きました。御案内のとおり、アンゴラも内戦が終わったばかりでありまして、地雷除去というのが国の大きな大きな問題になっておりまして、実際、ルワンダ辺り車で走りましても地雷の被害に遭われた方々が多数見受けられる、これは本当に大変だなということをつくづくと感じてまいりました。  その中で二点問題点がございましたけれども、一点は、地雷除去のための援助の手法として、実はイギリスのNGO中心的にその役割を果たしておって、そのNGOに対して資金協力ODAでの資金協力をする、そのことは大変すばらしいことではありますけれども、なかなか日本の顔が見えてこないというようなそういう状況がございました。どういうふうなカンボジアでは状況になっているのかなということをお伺いしたいのが一点。  それからもう一点は、そのイギリスのNGOだけではなくて、やはりアンゴラ自身が地雷除去というものに取り組んで、国立地雷除去院という、INADと呼んでおりましたけれども、そういうところで地雷除去の対応をしておる、そこへ日本機材等々を供与していくというシステムになっておりましたけれども、いかんせんまだそのINADの実績、経験が乏しいということもございまして、機械の扱い等々も含めて、あるいは修理等々も含めて、その管理能力に若干の疑義があるな、不安があるなというような印象を得ました。  したがって、そこをしかとしないと日本援助もなかなか難しいということでありましたけれども、カンボジアでは地雷対策センター、CMACですか、政府機関地雷除去のために独自に活動しておるということでございましたけれども、これがどういう活動になっているのかということ、そして、最初の質問にかかわるんですけれども、日本NGOJMASがやっているということでございますけれども、どんな活動をやっておるのか、その点もお示しいただければと思います。  それから最後に三点目、三班の皆さん方にお伺いいたします。  実はこれ、インド、言わば貧富の格差が非常に大きいというような先ほどの総括的な御報告がありました。アフリカでも同じように貧富の格差が激しい。特にナミビア辺りですね、一部の白人がもう優良の農地大部分所有しておると。そして、GNPもナミビアは非常に高いところなんですけれども、白人のGNPが八千五百ドルに対して他の黒人の皆さん方含めて四百ドルぐらいしかないというようにすさまじい格差がある。その格差を是正するために土地の再配分計画というものを立てて、ある意味では土地を買収して貧しい農民に分配して、再分配していくとか、そういう土地政策を取っておりまして、なかなかそれがスムーズにいかないという状況が見れましたけれども、これはやっぱりアパルトヘイトの影響というものがかなりまだまだ出ているんだろうなというような、そんな感じを持ちましたけれども、はてさて、インドのカースト制度はなくなったとはいえ、いろんなそういう問題がベースにあっての貧富の格差が出ているんじゃないだろうかなというふうに推測をするんですけれども、どういう状況だったのかお示しをいただければ有り難い。  以上三点、三班に質問を申し上げます。
  12. 尾立源幸

    尾立源幸君 二点質問がございましたのでお答えをさせていただきます。簡潔に申し上げます。  一点、メンテナンスのことでございますが、私どもが視察をしたところでは、浄水の施設また配水ポンプ等々、そういう供給側の方はそれなりにしっかりとメンテナンスされているように感じました。しかしながら、実際に水が家庭までどの程度届いているかと、漏水や盗水や不明水があるということなんですけれども、この辺りは当局者もまだ十分把握し切れていないというような印象を持ちました。  それともう一点は、料金体系等のことでございますけれども、実は、基本的には料金を徴収しておるということでございますが、やはり貧困層に対しては低料金でやっているという説明がございました。しかしながら、コストと収入を比べますと、コストの半分以下しか収入として、料金として徴収できていないという現実がございまして、水を供給すればするほどこの事業が、水道事業が赤字になってしまうという構造的な問題を抱えております。そういった意味で、今後私ども、まだポンプをもう一台くれとか、こういうような要請があったんですけれども、水道料金体系や、また水道財政というものをしっかり確立できるような、そういった政策面のアドバイスもできるような援助も必要ではないかと、このように感じた次第でございます。  それで、もう一点だけ、今回の視察で少し残念だったのは、エンドユーザーの声が聞けなかったということでございます。いわゆる水道水の供給者側のお話ばかりでございまして、実際に裨益されている一般住民の方の、国民の方の声が聞けなかったのが残念でございまして、その点は今後我々としても改善をしていかなきゃいけないと。これはどのプロジェクトにも言えることだと思います。  以上でございます。
  13. 小泉顕雄

    小泉顕雄君 御質問いただきましてありがとうございます。  カンボジアにおきます地雷並びに不発弾処理ということが要するにこれからのカンボジアを考える上で非常に大切なことであるわけでありますけれども、地雷処理についてCMACという組織があります。で、不発弾処理の方についてこのJMASというNGO活動をしているわけでありますけれども、CMACの方のまず活動でありますが、ここでは単に地雷除去をするというだけの任務じゃなしに、例えば教育啓蒙活動をやっていくとか、あるいは除去技術の指導であるとか、かなり総合的な地雷対策というものをやっておるわけでありまして、ここに日本人専門家技術協力という形で入ってかなり指導的な役割を果たしておるわけであります。そういう意味では、ある意味では顔の見える仕事になっているのではないのかなという印象を持ちました。非常に広範囲にわたって地雷がこううずめられているわけであります。まだまだ達成除去率というのは非常に低いわけでありますけれども、かなり彼らはやはり援助をしていただいているということを意識をして、外部評価であるとかといったものを非常に丁寧にやっていて、透明性を確保するということについては非常に意を払っているということがありました。  私、そういう監査の中で、じゃどういう点を指摘されたのか、二、三その厳しい意見があれば紹介してほしいということをお願いをしたんですけれども、幸いそういう厳しい御意見はいただきませんでしたという話がありましたので、そういう意味では効率よくうまく運用されているのではないのかなというふうに思いました。  それから、一方では不発弾の問題があるわけですけれども、これにつきまして今言いましたJMASというところが中心になってやっていただいておりまして、大体、自衛隊のOBの方々が専門家としてあちらの方においでいただいて、何班かの班を編成をして非常に規律の取れたきびきびした活動をしながら不発弾処理しているということを実際に私どもも目の当たりにしたわけでありますが、そういうOBの、自衛隊OBの方々の、どういうんですか、様子を拝見をして、今先生が懸念される顔の見えているということについては大変私どもは満足をいたしました。  いずれの事業についても、まあそう十分だとまでは言い切れないのかもしれませんけれども、日本の顔というものが見える仕事をしていただいているというふうに思いました。
  14. 山下英利

    山下英利君 ただいま御質問いただきましたその人種差別、人種というか差別の問題でございますけれども、山本委員が御質問にお出しになられましたアパルトヘイト、いわゆる白人至上主義とインドのカースト制度というのは根本が違う部分があるというふうに思っております。  現実、インドの場合にももうカースト制度はないというのが公になっておりますけれども、これはもう長い歴史の中で培われたものでありますから、それが隠然と残っているというところは聞いてきたところではありますけれども、それと同時に、インドの場合、多民族あるいは宗教といったものによってそれぞれの分野といいますか、対立ではないんですが分かれてしまうというようなところは現地人の通訳さんからも私もお聞きをいたしました。  その中ですごく分かりやすい話だったなと思うのは、インドの場合には九割の方はお見合い結婚だという話を聞きました。それともう一つは、これは日系企業関係者の方とも意見交換をしたんですけれども、その際に出てきた話は、やはり従来カーストで言われている階層を逆転したような登用をするとインド人の雇用者の間でうまく仕事が回らないというふうなことはあると。ただ、一番大事なことといいますか根本的なところは、インドはインド人によって培われている国だという、民主主義というものが根付いた国だというふうに感じたところであります。これは、旧イギリスの植民地時代のいい部分の考え方がそのまま残っていると。  そして、インド人もかつては、非常に財力のある人、あるいは低い階層でも非常に優秀な人は、親類縁者がお金を出し合って、家の希望の光という形で資金を提供してそしてイギリスへ留学するというふうなことが行われていたと。最近では、それがイギリス留学ではなくてアメリカの留学に変わってきていると。日本の留学というのがどうなんでしょうかというふうなことも我々自身として考えなければいけない問題かなというふうに思ったぐらいであります。  したがって、階層的な問題というのは、それなりに解決をしなければいけないというところは表立って政策に反映するということではないと考えております。
  15. 山本順三

    山本順三君 ありがとうございました。
  16. 中島眞人

    委員長中島眞人君) この際申し上げますが、時間が遅れておりますので、ひとつ簡潔に質問と御答弁をお願い申し上げます。
  17. 松井孝治

    ○松井孝治君 民主党の松井孝治でございます。  三班の方々それぞれ、調査、本当にお疲れさまでございました。大変私も御報告を聞いていて勉強になりました。  私は大きく分けて二つの御質問をしたいと思うんですが、一つ目は、この援助、それぞれの各調査団の見られた日本援助体制に対する問題点、それからもう一つは、これは去年から今年にかけて計六班のODA調査が行われているわけですが、これを今後どういうふうに生かしていくのかということについて、二つ大きく分けて御質問をしたいわけでありますが。  まず第一は、これは第三班の団長さんがよろしいのか、我が会派からは富岡議員が参加されていますから富岡議員がよろしいのか分かりませんが、第三班は今回最後に行かれているわけですね。その中で印象的だったのは、NGOの代表の方々に御意見を聞かれている。それから、御報告の中にも評価サイクルの必要性について御報告がございました。これがよく言われる日本援助の問題であって、しばしば、政府関係者と会うと評価をされているとか、援助に関係して、どちらかというとその援助を実施しておられる方々の評判はそれなりにいいんだけれども、実際の現地現場の方々、あるいは現地一般国民の方々から目に見えてないと。あるいは、出しっ放しで、各班の議論の中にもありましたけれども、出しっ放しでその後のフォローアップがなされていない、あるいはフォローアップを考えないような供与の仕方をしているというお話がございましたが、第三班の方から、今私が申し上げた問題点をもう少し具体的な評価、特に現地での、あるいは現場援助に携わっている方々、あるいはそれを受けておられる方々の評価の点において我々が教訓とすべき点がありましたら、まず御答弁いただきたいと思います。
  18. 富岡由紀夫

    富岡由紀夫君 第三班の富岡由紀夫でございます。  まず、ただいまの質問にお答えいたします。  やはり今回の調査は、出しっ放し、やりっ放しじゃいけないというその観点で、新たなODAをどうやってやっていくかという観点で今回調査したわけでございまして、今の点が一番、御指摘いただいた事後フォローというか評価の点が一番重要な点だというふうに私どもも認知しております。  たまたまインドへ行った案件なんですけれども、私どもかなり数、スケジュールを、忙しいスケジュールの中でできるだけ多くのところを濃密に行こうということで回ったんですが、それぞれのところで、日本に対していつ援助を受けたか、どういう技術協力を受けたのか、それぞれのところにかなり大きく、それぞれの施設に、何というんですか、表示していただいたり、本当ににわかづくりでたまたま私たちが行くからつくったというんじゃなくて、昔からそういう日本援助を受けたと、日本協力によってこの施設は成り立っているというようなところがしっかりと表示されていたのが私は印象的でございました。そして、実際にその援助を受けて利用するユーザー、現地国民皆さんの評価もかなりいいんじゃないかということを体感いたしました。  すべてを見れたわけじゃない、一部でございますけれども、その一部の中で見る限り、かなり日本に対して、援助に対して感謝しているというところは感じたところでございます。具体的に申し上げる時間がございませんので、全体的な印象としてはそのような状況でございました。  これから、さっきNGOの評価がありましたけれども、NGOの方々がやっぱり一番現地の人たちに直接接しておりますので、やはりそうした現場の声を一番重要視していくということが何よりも必要ではないかというふうに思っております。現場を重視して、その声をしっかりとこれからのODAに反映させられるように、こういった調査は非常に私は有効ではないかというふうに思っております。  一つずつ御説明する時間ないんで、全体的な印象から言うと、インドについては非常に現地の人にも評価されているというふうに感じました。  以上でございます。
  19. 松井孝治

    ○松井孝治君 ありがとうございました。  第二班の方にもお伺いしたいんですが、第二班の場合は、ベトナムカンボジアという二国は援助在り方においては大分違いますね。御報告の中にも、ベトナムは、従来型と言ったら語弊がありますけれども、社会インフラ、経済社会インフラを日本の経済力をもって援助をすると、それが比較的うまくいっているという御報告がございました。カンボジアはどちらかというと、インフラづくりというよりもいわゆる経済社会インフラ、例えばいろんな交通基盤とかあるいはダムとか、そういう経済的ないわゆるインフラよりは、御報告の中でも地雷の問題などに力点が置かれた御報告であったと思いますし、そこにカンボジアの場合は特徴があったのかなと、JMASの問題あるいは遺跡の復興事業、そういう要素があるのかなと思いましたが。  行かれて、実際日本援助が、いわゆる開発インフラ、それから人道的なあるいは文化的なものの支援、そして、もう少し制度・政策設計、これは欧米が割と得意としているような分野だと思うんですが、そこのバランス、これは国によって当然ニーズは違うと思うんですが、実際現地に行かれて今後の日本援助のバランスを、そういう制度設計、政策的なコンサルテーション、それからいわゆる経済的な従来のインフラづくり、そしてもう少し人道的な、あるいは復興的な文化支援的なもの、これは現地のニーズに基づいたもの、例えばこの三つのバランスを見て、今後、日本援助戦略というのはどこら辺に重点を置くべきか、その二国の比較も含めて、当然国によって違うと思うんですが、そこら辺についてもし何か御意見がありましたらお答えいただきたいと思います。
  20. 加藤敏幸

    加藤敏幸君 御質問いただきまして、大変ありがとうございます。  松井委員の御質問の中にも松井委員のお考えがあったわけでございますけれども、正にそのことが私ども視察をした団員のある思いでありました。それは、言葉を換えれば国別に、それぞれの国のやっぱり実情というふうなものを我が国がいかに把握をするか、そこが出発点であるというふうに思います。  ベトナムは、御存じのように政治体制は非常に言わば一党が支配的な状況にあり、ある意味では非常に継続性のある政権であるということから、この国は石川プロジェクトという形で自らの国の経済発展のプランを他国の学者にゆだねた、そしてそのことをまた取り入れたという大変、逆に言えば主体性の強いODAに対する姿勢を持っておると。こういうふうなことから、言わばベトナム自身が考える発展計画とそのこととの整合性をいかに取っていくか、と同時に、それが我が国にとっての言わば国民の血税を投下するという意味での国益とどう合致するかと、そういうふうな視点から考える必要があるのではないか。  一方、カンボジアは、まだまだ国民の中に心的外傷といいますか、国民同士が殺し合いをしたと、そういうふうな非常に厳しいトラウマが残っているという状況の中から一体これから国をどう建てていくのかと、そういうふうな状況にあると。  このそれぞれの国の状況の現状を我が国としてまずあるがままに受け入れることの中から、本当にその国が目指すべき方向について我が国が一体どういうふうな援助ができるのか、そしてそれが我が国の国益とどう合致するのかといった総合的な判断を国ごとに行うことが大事であり、その国ごとに行うということが、ベトナムでいくと、四Jがいわゆる大使館を含めてうまく機能しているという声につながって、結果として一定の成果が現れているんではないかと。そういうような意味で、評価サイクルをいかにするかというのは、逆に言えば、最初の計画にどれだけ魂を込めて精度の高い計画を作っていくのかということを我が国が全体として取り組む必要があると思います。  二つ目に、視察効果性についてということは少し触れられたと思います。私は、一言で言って、やはり国民の高い関心がすばらしいODAを執行させるんだと、そして、国民の関心は我々国会が担うべきである。つまり、国会が視察を行うことによって現地におけるODAの執行がすなわちモラルとモラールを維持することができるのではないかと。そういうような意味で、私は行くこと自体にも大きな意義があり、それは国民の声を代表して現地視察の、現地ODA関係者に対する激励も含めて、私は日本ODA在り方一つの形ではないかと、このように感じました。
  21. 松井孝治

    ○松井孝治君 ありがとうございます。  第一班にも、今まで第三班、第二班のそれぞれの班の御答弁も聞かれての感想も伺いたいわけですが、日本援助の戦略性、あるいは、今、評価サイクルという言葉も出ました。それから、今日恐らく委員皆さん方も印象を持っておられると思いますが、例えば今回、調査団現地政府関係者大臣や、あるいはJICA、ジェトロ、JBIC、そういった方々と密接に意見交換されているところと、もう一つNGO意見を聞いておられるところと、それから、第一班なんかはむしろ政府関係者とは、あえてだと思うんですが、意見を交換をされずに、むしろ現場調査に行かれたのかなという印象を持っておりますけれども、二点に分けて、今後の日本援助の戦略性あるいは評価システム、そういったことも含めた御意見と、それから、これも国によって違いますから一概に言えないと思いますが、恐らく今後この調査をどうするかということにもかかわりますので、例えば現地に行って、今第二班の方からはやっぱり現地援助関係者と会ってあげることもモラルとモラールを上げていくためにも必要じゃないかという話もあったわけですが、調査在り方自体も含めて、もし何か御意見があったらいただきたいと思います。
  22. 藤末健三

    ○藤末健三君 どうも御質問ありがとうございます。  体制とかにつきましては、やはり一番感じましたのは、個々のプロジェクトが申請ベースでやっていますのでもうばらばらです。給水があると思えば環境問題があるし、オペラハウスを造ったり、これはエジプトですけれども、やったり、あと、蚊帳を作ったり、マラリア対策をしたと思うと次はエイズ対策、次は農業対策ということで非常にばらばらな感じがありまして、もうちょっと全体的なタックスペイヤー、日本の納税者に対して説明できるもの、そして相手国の方々に日本が何をしているかということを明確に伝えられるような戦略が必要じゃないかというのが強い思いでございます。実際、タンザニアで話をしていますと、イギリスはエイズ撲滅というものに集中しています。戦略とやっぱり選択というものがなされているんではないかと、そこは一つ感じました。  また、ODA調査につきましては、我々、やはり政府関係者じゃなく、現場に行って、例えばタンザニア小学校に伺ったんですけれども、浮島先生なんか踊り出すぐらいにもう歓迎を受けまして、子供たちが踊ってくれたわけですよ。浮島先生も合わせて踊るというぐらい大歓迎でございまして、非常に現場の声を聞けたという、浮島先生の本当に御活躍があったんですが、非常に交流ができたんではないかということは思いました。  ただ一つあるのは、我々やはり政治家として行きますので、相手国とのやはり政策的な調整も必要ではないかと。例えば、うちの団長からもお話ありましたが、エジプトでしたら軍事の予算の適正化、そしてまたタンザニア政府であれば教育にもっと力を入れるようにということが必要となってくると思います。  ただ、我々も定期的しか行けませんので、一つ一番大きく思いましたのは、大使が本当に役人のOBでいいかどうかというのを思いました。役所のOBがやるというよりも、やはり私は政治家のOBか何かがきちんと大使で行き、そして相手国の政治家と協議をし、内政干渉にならない範囲で政策をきちんと議論していくということの必要性を感じた次第でございます。  以上でございます。
  23. 松井孝治

    ○松井孝治君 ありがとうございました。  もうあと私、一分半ぐらいしかありませんので、今後これ、今日三班のお話を聞くだけでも、やっぱり行かれた国の事情によって感想が微妙に違ってくると思うんですね。共通した当然評価システムが必要だとか、あるいは我が国としての戦略性が必要だというのは共通だと思いますが。  ですから、是非、これむしろ委員長に申し上げることかもしれませんが、去年のまた例えば中国であるとか東南アジアとか中南米というのもまたそれぞれの事情が、東南アジアというか、去年はインドネシア中心だったと思いますが、またそれぞれに援助の歴史が違うわけでありますね。当然のことながら、我が国は要請主義というのを基本にしてきたわけですから違って当然なんですが、違って当然ですが、こういう各班、合計六班が行かれているわけですが、その班の代表者同士でも結構ですが、今後の我が国援助在り方、あるいはもっと具体的に言えば参議院のODA調査在り方ということを是非相互に意見交換をし、これ非常に大事な問題ですし、決算委員会としても重視すべき課題ですが、参議院全体として重視すべき議論だと思いますので、是非六班の方々が、場合によっては特別委員会なり今後設置されるのであればそこも含めて意見交換をしていただけるような場をつくっていただきたい、そのことを私、委員長に申し上げて、私の質問を終わらせていただきたいと思います。  ありがとうございます。
  24. 中島眞人

    委員長中島眞人君) ただいまの件につきましては、その取扱いについて後刻理事会において協議をいたします。
  25. 山下栄一

    山下栄一君 そうしたら、私の方からそれぞれの班の皆さんに御質問したいと思います。    〔委員長退席、理事国井正幸君着席〕  今回、三班とも、ODA現地において実際どのような効果が上がっているのかと、支援効果が上がっておるのか、また現地の人々に喜ばれておるのかという観点から調査されたという御報告でございました。  それで私は、特に連携の問題なんですけれども、これベトナムの方でもお話ございましたように、様々な支援機関政府機関もそうですし、企業NGOまた大使館と、連携がともすれば縦になって横の連携がなかなかできておらないという実情があるのではないかという、そういうことを予想されたわけですけれども、ベトナムの場合は非常に現地のタスクフォース方式が世界的モデルと言われるぐらい成功しているという御報告がございました。ただそれは、政府機関同士の連携はうまくいっていても、例えば民間活用、NGOまた現地に定着している企業との連携はどうなっておるのかということを二班の方にお伺いしたいというふうに思います。  それと、一班の皆さんには、タンザニアは特に農業国家で、農業支援日本は積極的にやっていると。特に、農業技術センターですか、訓練センターですかね、これも非常に長期にわたって資金供与もやられているわけですけど、特に技術協力の面でこのNGOの活用がどうなっているのかなと。特に、先ほどおっしゃったICBONGO現地農業支援の理念と日本ODAの理念がちょっと食い違いがあるんではないかなというようなことをちょっと感じておりまして、ICBOなんかの活用などをもっとすべきではないかというふうな観点から、連携が、特にタンザニア農業支援、かんがい農法が果たして現地にふさわしいのかというようなことも含めまして、この民間のICBO等の意見なんかも取り入れた支援在り方も必要ではないかというようなことを感じました。  三班の方には、一班の方はそういうことでちょっとお考えをお聞きしたいと思うんですけれども、三班の場合も、特にインドの場合は非常に円借款中心であるということをたしか書いてあったと思いますけれども、ここもNGOに対する支援在り方、活用のもう少し拡大の在り方、特にソフト面重視の援助をもっと考えていくべきではないかということを先ほど御報告ございましたので、なべて政府とこういう民間のノウハウ、現地への思いの強いNGOやまた企業の活用の仕方について、それぞれお伺いしたいというふうに思います。  二班、一班、三班の順番で、済みません。    〔理事国井正幸君退席、委員長着席〕
  26. 西田実仁

    西田実仁君 御質問をいただきましてありがとうございます。  今、山下委員からの御質問は、特にベトナムの場合の例を引かれまして、案件形成等現地化がうまくいっているようだけれども、実際、政府機関のみならず民間NGOも含めてその連携はどうなのかという御指摘であったと思います。  確かに、ODA現地化を進めていく意味では、政府機関のところに民間並びにそのNGOの様々な現地で実際に仕事をされている方々の御意見が、きちっとJBICなり、あるいはジェトロ、あるいは日本大使館、JICA等に吸い上げた上で、その上でその政府機関の連携を取っていくということが、もう既になされてはいますけれども、更にそれは深化させる必要があるというふうには思っております。私はこの四つのJということにつきまして大変に興味を持ちましたんですが、まあ連携を取るということは大事だし、またそれがうまくいっているというお話でした。  ただ、リーダーシップをどこが取るのかというような質問については、大使館が取っているということでお答えがあったわけでありますが、これが世界にこの日本ODAを広めていく一つのモデルケースになるというお話もありましたけれども、じゃ実際に、たまたまその現地の、例えば今回でいえばベトナムの大使館、JBIC、JICA、ジェトロというところがたまたま人間関係が良くて、まあ簡単に言えば仲良くて連携を取れたにすぎないのかもしれないという質問もさしていただいたわけであります。実際にそうしたこの案件形成等における現地化が、四つのJなり三つのJでも何でもいいんですが、きちっと連携を取ってやっていく制度的な担保、あるいは人事の配置も含めてきちっとなされているのかというと、まだまだそこはなされていないという、そういうお答えもございましたので、今後ODA在り方を考えるときには、そこは一番大事な、現地化ということに関して言えば大事なことではないかというふうに感想を持ちました。  以上でございます。
  27. 藤末健三

    ○藤末健三君 まず一つ目に、NGOにつきましては、具体的に我々はNGOの方々そして海外青年協力隊の方々とお会いしてきて思いましたのは、やはりもう少しNGOを増していく必要があるんではないかということをやっぱり痛切に感じました。それとともに、やはり本省、日本の何というか関与が非常に強くて、何か動くときに本省にやはり連絡をしなきゃいけないということをちょっと聞いていまして、やはりもっと地域に分権して、地域がきちんと意思決定をできるような仕組みをつくっていくということを感じております。  そしてまた、御指摘がありましたODAキリマンジャロ農業技術者訓練センターICBO、これはNGOでございますが、との関係でございますが、ODAのこの訓練センターは、日本型の水を引いてやるかんがい農業をやっています。一方、NGOは、かんがいしなくてもそのまま米を、種をまいてそのまま稲を作るという技術を伝播していまして、やはり両方とも、実際にその農業をやっている農家の方のお話をお聞きしたんですけれども、両方とも重要であると。それぞれの土地によってやはり違いがございますんで、両方やはりバランスよく進めていくことが必要ではないかということを感じております。  以上でございます。
  28. 山下英利

    山下英利君 山下委員の御質問の中で、インドが円借款中心という御質問がございました。社会インフラの整備、これに対してインド政府が大変力を入れて、そしてそれに対する資金要請というのは、先ほども御報告の中で申し上げましたけれども、強いわけであります。  したがいまして、そこでは非常に金額的には大変張ってきます。張ってくると同時に、やはり日本とインド政府との間での、政府間では非常に顔が見えるというか、日本の貢献度というものに対する評価というのは出てくると。じゃ、実際、国民に対して実際日本の顔が見えるところはどこかという点につきましては、今回我々が視察した中で、やはり草の根の無償資金援助というものが、本当に金額は小さいけれども実際一般のインドの国民皆さんには見える資金援助ではないかというふうなことも議論をいたしました。したがって、このバランスをうまく考えていくということが大事だと思っております。  最後になりますけれども、この円借款、これを日本が出しているということに対しては、一番最初に御報告を申し上げましたが、やはりインド政府日本に対してはインフラ整備中心とした円借款を求めていると、そして、それに伴い我が国の先端技術の導入を図ろうとする傾向が強いというところでございます。  それをカバーするためには、やはり語学力の問題であるとか、やはりインドとのコミュニケーションをもっと深めていく、そういった体制の整備というのがこれは必要になってくると思いますし、先ほどの草の根の無償援助につきましては、やはりインド全体としてこれをどういうふうに有効にそれぞれの地域特性を考えて使っていくかと。件数は大変多くなっても金額的には多くならない無償の資金援助をどういうふうにうまく使うかというのも一つ大きなポイントではなかろうかなと思っております。
  29. 山下栄一

    山下栄一君 次に、三班とも、学校の施設建設、それから教材にかかわる支援等、要するに教育支援のお話がベトナムにおいてもタンザニアにおいてもインドにおいてもそれぞれ御報告があったと思うんですけれども、特に大学等ではなくて、小学校、中学校のような非常に人格形成の寄与にかかわるような支援を行う場合に、建物を造る、これも大事だと思いますし、教材、先ほど特にタンザニアの場合なんかは教科書がなかなか行き渡ってないというようなお話がございましたけれども、教科書は何ていうかちょっと難しいとは思いますけれども、この教材、教具の支援ということが大変大事だと思うんですけれども。  特に人の支援をする場合、技術協力という形でJICA等がスポーツ等においてはそういう支援があると思うんですけれども、これは別に学校教育に限らず、医療の医師とか看護師さんの派遣もそうかも分かりませんが、それぞれの国の文化にかかわる形で人材育成にやる場合、非常によくわきまえて丁寧にやらないと文化摩擦みたいなものにかかわってこないのかなということをちょっと感じたんですけれども、特に基礎教育に様々な支援をする場合に、建物、教材まではいいけれども、人の支援をする場合には、ちょっとこういろいろ丁寧に打合せしながら、準備をしながらやらないと非常に微妙な問題かなということを感じたんですけれども、そういう面で何かお感じになったことございましたら御意見をお伺いしたいなと、どの班でも結構ですけれども。
  30. 伊達忠一

    伊達忠一君 私ども先ほども報告をさせていただいたんですが、確かに向こうの場合は、そのことによって日本援助で学校だとかトイレですとかそういう設備をしていただいたことについて、教育の就学率が高くなったということなんですが、一つは、私ども先ほど報告さしていただいたように、警察が増えるというのは私は決して反対するわけじゃない、治安がいいということにもつながるわけですが、やっぱり軍隊が、どんどんどんどん軍事費が上がっていく、そしてまた軍事施設もすばらしいものを造っていくというようなことをしていながら、やはり一方では三人、四人で本を一冊を使っているということ自体、やっぱりもう少し国も一緒になってやっていかなかったらならぬと。そして、それがもう少し改善されてから、私どもはやっぱり指導者といいますか、今先生がおっしゃったような教育をする指導者というものを送るという、まだまだそこまでちょっと行っていないのかなという実は感じがいたしました。  そんなことから、私どもも、中学校も是非お願いをしたいということも言われましたが、そういう国も自助努力をしていくことが必要ですよということを私どもは申し上げたのと、大変先ほど、踊りなんかも披露してくれて浮島先生も一緒になって踊るぐらい感激はしたんですけど、ODAマークであるとか国旗であるとか、そういう日本地図というのは本当に毎日感謝して教室に付けてあるのかなと思うとちょっと疑問というか、来るからということで泡食ってこうしたというのが、あの機械訓練センターなんかも、今まで日本の国旗なんて揚げていなかったんじゃないのかと言ったら、いやそうかもしれませんというような、来るから泡食って揚げたというような、まだそこに対するモラル、意識というものが、そういう面もやっぱり私どもはもう少し政府、責任者とやっぱり話ししていかなきゃならぬということを感じました。  以上です。
  31. 西田実仁

    西田実仁君 我々は、ベトナムホーチミンで、第四区六月一日学校というところで草の根無償資金協力をしているところを訪問させていただきました。  ここは、約千名の孤児が生活をしておりまして、一九九〇年にできたということでありますが、基本的には校舎の改築、雨漏りも大変にひどいというような話もありまして、そうしたハード面での修復にこのお金が使われている。また、教材、職業訓練も行っているのでそうした機材の供与もしているということでありました。  実際に、教室を随分と、どの教室も拝見をさせていただきまして、学校が設立した九〇年からずっと先生をやっておられる男性の方もいらっしゃいました。そういう意味では、この大変生活が苦しい子供たちに愛情を込めて教育をされているということは大変に強く感じました。  ソフト面で日本のこのODAが、現地の人たちと話し合って、教育方法とかあるいは教育の内容そのものに踏み込んでという支援では今のところはないし、まだそういう段階に行く前の問題の方が非常に大きくて、そこに草の根無償資金を出しているというふうに思いました。
  32. 山下栄一

    山下栄一君 もう時間ですので。  もちろん、この教育支援の場合は、やっぱり条件整備の面での様々な支援は必要だと思いますけれども、余りこの中身に入っていくと内政干渉とか文化摩擦に、生じていくので、その辺はよくわきまえながらやっていく必要があるのではないのかなということを感じましたので、ちょっと質問させていただきました。  以上で結構です。
  33. 小林美恵子

    小林美恵子君 日本共産党の小林美恵子でございます。  調査に行かれた皆さん、本当に御苦労さまでございました。  私は、今日は有償資金協力無償資金協力について質問させていただきたいと思いますので、第一班の皆さんには大変申し訳ございませんけれども、二班、三班にかかわってインドとベトナム中心に質問をさせていただきたいと思います。  皆さんももう御存じのように、ODAについて二〇〇〇年の国連ミレニアムでは世界の貧困削減を宣言しているかと思います。今もなお貧困層十億人、途上国で暮らす四十六億人のうち栄養不良人口八億人、読み書きできない人は八億五千万人以上、予防可能な原因で亡くなる五歳未満児が一千百万人、学校に通えない子供は三億二千五百万人とも言われています。そういう点からしますと、私はODAといいますのは、やっぱり貧困削減というのが重要かなというふうに感じるところがあるんでございますけれども。  そこで質問させていただきたいと思いますけれども、例えばベトナムでいきますと、有償資金協力が二〇〇三年度で七百九十三億円で、無償で五十六億円。インドの場合でいきますと、二〇〇四年度で有償が千三百四十四億円、無償が二十九億円になっています。この点につきまして、まずそのバランスですね、先ほど三班の団長さんもバランスということをおっしゃいましたけれども、三班の団長さんにこのバランスについて、調査に行かれた中でお持ちの感想がございましたら教えていただきたいと思います。
  34. 山下英利

    山下英利君 このバランスというのは、有償、無償が金額が同じだというバランスの意味ではございません。無償資金援助、例えば今回申し上げた草の根については一件当たりの金額が少ないです。少ないですけれども、顔の見える外交ということで効果があると。そしたら、これは件数としてしっかりと管理できる体制をつくっていけば効果があると。結果的には、金額的にはそれほど大きくならないと。  しかし、インドの政府が言っている貧困対策というものは、とにかく経済成長に軸足を置いていると、そのための支援をしてくれというインドの基本的な政策にのっとった有償による社会インフラの整備というものは、これは必要であるというふうに認識をいたします。  ですから、バランスというのは、あくまでも金額的なものではなくて、やはりその全体的なインドの国民貧困層を解決に導くためのODA在り方というところで考えなければいけないというふうな意味でございます。
  35. 小林美恵子

    小林美恵子君 では、いずれにしても貧困層対策という点で結び付いていくということかというふうに思います。ありがとうございます。  それで、有償資金協力であれ、無償資金協力であれ、どちらにしましても日本国民皆さんの大切な税金を使っているわけですので、それが本当に有効に使われているかどうかということが検証されるということが必要だなというふうに私は思います。  そこで、幾つかお聞きしたいんですけれども、特に有償資金の場合でいきますと、ベトナムでは例えば道路とか橋梁の整備が随分行われていると聞きましたけれども、以前は何か日本などの援助の割合が八割で自国が二割を出して、ただその自国の二割の予算が付けられなくてなかなか計画的に工事が進められない。やっと工事進められても、配水管が工事途上に見付かって、またストップしてしまうという状態があったというふうに聞いておりましたけれども、今回調査行かれた案件の中でそういうものがあったのかどうか。また、そういうことを私は是正をしていくことが本当に有償資金が有効に使われていく一つのポイントにもなるかなと思うんですけれども、その点で、行かれて何かお気付きの点がありましたら教えていただけますか。これは二班の団長さん、お願いします。
  36. 小泉顕雄

    小泉顕雄君 どうもありがとうございます。  まず、有償、無償のお話がありましたが、やはりそれぞれの国の実情に応じて、いずれにしてもODAが成功するかどうかというのは両国の国益にいかに絡むのかということになるわけでありまして、それぞれ無償になじむ事業もありましょうし、有償になじむ事業もあるのかなというふうに考えました。  効率のお話でありますけれども、これは、ベトナムで水環境改善ということで下水道事業を今積極的に取り組んでいるわけですけれども、これは感染症などの、ベトナムで今死亡率が一番高いのは感染症の死亡率が非常に高いという話を聞いたわけですけれども、感染症をやっぱり撲滅をしていくために要するに安心な水を確保するということは非常に大事なわけですけれども、今のそのベトナムの水の状況というものをこの目で見て、本当にもう大変な状況であるということを思いました。  したがって、これから取り組もうとしている事業というものの緊急性ということを痛感をしたわけですけれども、ただ、やはりその事業を進めるに当たって、なかなか地価が高騰をして用地の確保に困難を来すとか、あるいは当初予想された予算に対してベトナム側で確保できた予算が非常に少なかったとか、いろいろな問題が事業の中で出てきて、どうしても遅れていったというお話を聞きました。それは、それぞれに事情のあることなんでしょうけれども、やはりその辺のところはかなり真剣に精査をして、やっぱり効率ということを考え、また透明性ということを考えながら、両国の連携の中で事業を推進していくことが非常に大切だなというふうに思いました。  これはベトナムではないんですけれども、カンボジアで幾つかの案件を見たわけですが、そこでまた大臣ともお話をしたわけでありますけれども、やはり支援を受けている側として、やはり国内における汚職の防止であるとか、あるいは情報の公開であるとか透明性の確保であるとかということについては非常に意を配っているというお話もありましたので、ベトナムにおいてもそういう意を払っていただいていると思いますけれども、なかなかやはり発展途上国の抱えている問題の複雑さから思うとおりの効率を上げることはできないということは、もうこれは現実問題としてあるのかなという印象を持ちました。
  37. 小林美恵子

    小林美恵子君 効率については今後精査が必要だというふうなお話ですよね。  その件に係りまして三班の団長さんにもお聞きしたいんですけれども、インドも随分そういう地下鉄でありますとかそういう道路等でありますとか、そういう整備されていると思いますけれども、特にインドのデリーの地下鉄というのは千六百億円余り援助がなされているというふうにお聞きしましたけれども、その辺は有効的に使われているというふうに、調査行かれていかがでしょうか。
  38. 山下英利

    山下英利君 まだ全部が開通しているような状況ではございませんけれども、やはり今大都市が抱える大変大きな問題は、交通事情が大変悪いということであります。ですから、それを大都市交通の円滑化を進めるということは今のインドにとって地域経済、これを伸ばすという意味で大変有効だと思っております。  したがって、やはりインフラを整備するには非常に金額掛かりますから、それに対して日本が今援助をしているというその意義を大いに感じてまいりました。
  39. 小林美恵子

    小林美恵子君 現地の方にとって有効なものでありましたらそれはいいと思うんですけれども、いずれにしても効率良く進められているかという点では、先ほど二班の団長さんがおっしゃったように精査をしていくということは私もとても大切なことだというふうに思います。  それで、次は無償資金協力についてお聞きしたいと思いますけれども、例えばベトナムでいきますと、病院にも行かれているかと思いますけれども、機材とか大変、七〇年代のものを使われていたとかいうお話をお聞きしまして、またスタッフも、中央的な病院の方はそうですけれども、地方の方の育成も本当に大事だというお話も聞きましたけれども、こういう医療の面といいますか教育の面での充実というのは大変重要かなと思うんですけれども、その点で無償資金の今後の在り方といいますか、その点で何か調査行かれてお気付きの点ございますか。
  40. 加藤敏幸

    加藤敏幸君 これは、有償、無償のバランス論といいますか、それぞれ性格が違う、役割が違うという意味でしっかりとらえる必要があると思いますけれども、特に無償資金ベトナムでは医療器具が非常に古い時代に無償で提供されておったと。それを十五年、CTスキャナーなど使っておるわけであります。もう部品が部分によっては壊れていくと。しかし、それはもう日本国内のメーカーではストックがありませんから、そのことを一体どうやればいいのかという新たな問題を生んでくる。特にメンテナンス費用だとかランニングコスト、それからそれを操作する人々のレベルをいかに教育、発展させていくかという、そういう持続性というものをとらえた、あるいは継続性ということを視点に置いた援助ということをこれから考えていく必要がある。  したがって、機械を入れた、良かったでしょう、すばらしいでしょうという段階から、それを大いに活用するための持続性について、我々はどういうふうな支援をこれから考えていけるのか。それは単にお金だけじゃなくて、私はいろんな方面からこれから議論する必要があると感じました。
  41. 小林美恵子

    小林美恵子君 先ほど持続性というお話もされて、単にお金の面だけではないという点もありましたけれども、実は私も昨年ODA調査のスタートとしまして、ブラジル、メキシコに行かせていただきました。それで、その援助が本当に現地の方々にとってどうなのかという点で現地関係者の方々にお聞きする機会がなくて残念だったんですけれども、今回の調査皆さんNGO皆さんに随分御意見をお聞きしているところがすばらしいなと思うんですけれども、その点で、今日最後に第三班の大門議員に質問をいたします。  インドで、特に無償資金問題でNGOの方々と意見交換されたと思いますけれども、その点で重要だと感じられた点、一点質問ですね。二点目は、調査された中で日本でも生かすことが本当に重要だなと思われた点について御発言いただけますでしょうか。
  42. 大門実紀史

    委員以外の議員大門実紀史君) わざわざ御指名いただきましてありがとうございます。  すべては団長報告の中に書いてあるんですけれども、NGOとの関係で端的に申し上げますと、いろんな意見聞きましたけれども、要するに今のODAは、無償といえど形に残るものに援助する、建物だとか施設だとか機材ですね。これだけでは、例えば特にNGO活動というのはそれだけでは賄い切れない。特に人の育成が非常に重要になってくるわけですね。そういう点で、もう少し柔軟に支援をしてくれないかという要望がかなり出ました。かといって、NGOそのものの人件費にODAを出すということは難しいという点があると思います。  そういう点で、具体的に私なんか聞いて思ったのは、例えば農業技術支援だったら技術者育成プログラムとか、学校なら先生の育成プログラムとか訓練プログラム、こういうものをきちっと中身を含めて出していただいて、そういうプログラムに対して援助ということならば、物件以外、箱物以外にも援助する可能性が出てくるんではないかと思うし、そういうふうに条件を柔軟にやっていくことが重要だと思います。  もう一つ日本にとってという意味でいきますと、特に印象だったのがカルカッタ、コルカタの国立コレラ・下痢感染症研究所なんですけれども、普通、コレラの研究が日本にとって何の関係があるんだというふうに日本国民は思うかも分かりませんが、この研究所は日本の研究者もかかわっておりまして、大変レベルの高い、感染症については非常にレベルの高い研究所でございます。  今、文科省が鳥インフルエンザ対策で海外拠点をつくるということで、中国ベトナム、タイですかね、に設け始めておりますが、例えばこのインドのコレラ・下痢感染症研究所は、特にインドは鳥肉文化ですから、鳥インフルエンザ問題というのは非常にすぐでも研究できるところです。こういうところをその拠点に加えていく、文科省のプログラム、スキームで加えていくということが、ODA日本の今の焦眉の課題になっている鳥インフルエンザ対策にもすぐにもリンクして役立つと、こういうことがあると思います。これは、単に縦割りで外務省と文科省で考えているとそういう発想が出てこないんですけれども、そういう──その文科省と外務省の縦割りでそれぞれ考えるとそういう発想出てこないんですが、そういうふうにとらえていくと、日本にも生かせる、役に立つODAになるというふうに思います。  以上でございます。
  43. 中島眞人

    委員長中島眞人君) 質疑時間は終わりました。
  44. 小林美恵子

    小林美恵子君 はい、ありがとうございました。
  45. 又市征治

    ○又市征治君 社民党の又市です。  三班とも大変どうも御苦労さまでございました。時間の関係でどうしても絞らざるを得ないと、こう思うので、主要には第二班のベトナムカンボジアのグループの皆さんにお伺いをしたいと、こう思います。  前置きとして、私は以前に当委員会ODA審議の中でも触れてきたんですが、日本ODAは、有償、つまり円借款日本のメーカーの品物を買わせるという形が非常に多かった。そのため、相手国は返済に苦しんだり、またアフターケアがないために、使い方の指導が足りなかったり部品や修理ができずに高価な機械設備が宝の持ち腐れになったりしてしまった、こういうケースが多々報告されてまいりました。今日の報告でもそんなことが一つございますね、病院のケース。  また、目的を大きく貧困対策インフラ整備とに区分をした場合に、日本の前者、すなわち保健衛生、教育、水の供給といった部門への援助は伸び悩んで、後者、すなわち道路であるとか橋梁であるとか、あるいは空港、港湾といった部門ばかりが大きく伸びてきた、こういうケースがあります。これは現地住民のためというよりも、日本国内で公共事業が頭打ちになった、そのために、形を変えた日本の業界のための救済事業ではないのかという批判が、これは私が言い出したんじゃなくて、当委員会に招いた参考人の発言や論文の中でも指摘されてきたことなんですね。私は、昨年視察をした中にも、バンコク第二空港であるとかあるいは高速道路といった必要性に疑問のある例がやはりありました。その点、多分皆さん方も幾つか見られてあったんではないかと、こう思うんですが。  そういう観点から見ますと、今回行かれたエジプトベトナム、あるいはインドに対しても、金額で圧倒的なのはやっぱり有償協力ですね。これは全部、ちょっと調べてみますと、エジプトでは有償が七一%、ベトナムでは有償が八五%、インドでは九六%が有償援助と、こんな格好になっているわけでありまして、これはさっきから出ているバランスの問題、いろいろとあるんだと思うんですが、おまけに有償の中身がいわゆる開発型の土木事業、これが非常に多いと。そこで、ベトナムの例ですけれども、過去五年累計で今申し上げたように八五%が有償だと。その内容も、例えばタインチ橋に三年で二百七十三億、国道五号線に三年で二百九億、サイゴン東西ハイウエーに四年で四百九億などとなっておりますね。  こうした金額で著しいアンバランスをどのように考えるかということですけれども、先方の政府の要望ということももちろんあると思いますけれども、本当に国民のニーズに合っているのかどうか、これらの事業が合っていたのかどうか。これは向こうの国民皆さんとお話しする機会がそんなのあったのかどうかということも分かりませんけれども、それぞれ、この後の質問もお三方おいででありますからどなたからでも結構ですが、こうした問題について調査団として見聞しておみえになっての感想をまずお伺いしたいと思います。
  46. 西田実仁

    西田実仁君 御質問ありがとうございます。  大変重要な御指摘で、我々、ベトナムにおきまして今幾つか例を挙げられましたインフラ整備をつぶさにその現場を見させていただいたわけであります。  実際に、私、これは個人の感想だと思いますが、ベトナムには実は議員になる前に、十年前に行って、二度目だったんですけれども、道の整備又は交通の渋滞度合いとかかなり激しく、ひどい状態によりなっているなということは正直言って感じました。それを、そうした交通渋滞あるいは交通事故も大変に多いという、病院視察行かせていただいたときもそういう話がございまして、そうした交通渋滞や事故等をなくしていくための、様々な橋にしてもあるいは東西ハイウエーにしても、それは多分役に立つんだろうというのは容易に感じました。  ただ、御指摘いただいたように、実際に利用する国民の方々とお話しする機会というのは正直言ってやっぱりありませんので、それを受け止める側がどうなのか、あるいは交通渋滞をなくすためにバスを導入しているということもあるようですけれども、なかなかその利用もうまくいっていないというような実態もあるようでありました。  さらに加えて、今後のメンテナンスと考えていくと、私は重要だと思ったのは、やはりベトナムでも例えば道路台帳とかあるいは橋梁台帳とか、メンテナンスをするのに不可欠な基本的なデータそのものがまず整備されていないということでありまして、そこにも日本のノウハウがこれから生かされていくというお話、お聞きしました。この部分、お金というよりもノウハウであり、また、目に実際に見えないけれども大変大事な、私はメンテナンスにとっての基本的な、そういう意味では文字どおりインフラの整備だというふうにも思いまして、そういったところへも力を入れていく必要があると思って帰ってまいりました。
  47. 加藤敏幸

    加藤敏幸君 御質問で、少し感想を申し上げますと、同じように近い、委員に近い私も思いで行ったんですけれども、一つそうでなかったことは、例えばベトナム日本大使の方から、今や貸してあげる有償ではなくて借りていただけるという視点も必要だと。そういうような意味で、返済という、そこも考えるならば、ベトナムという国が非常に借りていただけるという国としての資格に今適合しているという、そういう視点も必要だということ。  それから、例えばホーチミン市の高速道路、東西ハイウエーについては、これはキャナル、運河のその周辺には、横にはずっとスラム街があったわけですけれども、それの移転を前提にして、その上に高速道路を建設すると。じゃ、移転した人はどうなったんだと。で、唯一国民の声ということでいえば、その移転先の高層マンション、アパートのところにまで私たち行ってそこの住民の声を聞いたんですけれども、まず、広さは大体同じだけれども、清潔感と快適性ということにおいては非常にすばらしく満足をしておるという、もうこれはそのおうちまで行って声を聞きました。  したがって、インフラ整備といわゆる貧困対策というふうなことが完全な二分法的に現地で分けられるんじゃなくって、それが密接に関与しているという、そういう側面も私はあったということを感想として申し上げたいと思います。
  48. 又市征治

    ○又市征治君 そこで、ベトナムの場合、もう一つの視点、戦災復興、つまりアメリカのベトナム侵略あるいは破壊行為に対する償いを日本が代行している傾向があるんではないのかという疑念が私はあります。というのは、この配付資料では過去五年間の国別の五位までにアメリカの援助が載っていないわけですね。もしそうだとすれば、本来はアメリカが行うべき戦災復興の肩代わりを日本がトップでやっているんじゃないのか。そうすると、これはやっぱりODAとしての問題があるんではないかということがありますし、政府はむしろアメリカに対してきちっとこういう点は注文を付けていくということが求められるんだろうと思うんですね。  この点について、まあこんなことを議論なさったかどうかということはあるんですが、何かベトナム政府関係筋と、人民委員会ともお会いになったようですけれども、こういった問題、あるいは団の中でも何か御議論があったのかどうか、その点ちょっとお伺いしたいと思います。
  49. 小泉顕雄

    小泉顕雄君 特にアメリカとのかかわりということについてのお話はありませんでした。そういう情報を聞いたこともありません。
  50. 又市征治

    ○又市征治君 これらの点については、来国会からODA特別委員会を参議院には設置をするということが各会派合意になりましたから、今申し上げた問題などというものについてもこれは論議になっていかなきゃならぬ課題、こういうことなんだろうと思います。  そういう観点も含めて次に移りますけれども、どちらも貧困・衛生対策であって、性質の似た上水道あるいは下水道の建設が、これは第一班とも関係あるんですが、エジプトでは無償なのに対してベトナムでは有償になっている。これは一体なぜなのか。土木工事を伴うこうしたプロジェクトは金額がかさむわけですけれども、さきに述べた二つの私区分をいたしましたけれども、はっきりと公衆衛生対策、つまり貧困解消部門であると位置付けるならば、基本的にはこれは無償で行うべきではないかという、こういう考え方も成り立つと思うんですね。少なくとも日本から持ち込む機材であるとか、あるいは技術支援については無償にすることが比較的容易ではないか、こんなふうに私は思います。  といいますのは、現在、今イラクに対して巨額の水道建設や道路など、これを日本は全部草の根無償援助という扱いで行っているわけですね。本来の草の根無償というのは一件一千万円以下のNGO支援をするものなのに、その枠を超えた一件数千万円の、それも形式だけが分割されているわけですが、つなぎ合わせると一件数億円単位の水道や道路のプロジェクトが草の根無償の枠で行われているという、こういう現実があるわけです。これとの比較をどうするか、こういう問題があるわけです。  イラクに対しては、水道どころか道路も無償であります。エジプトに対しては、水道は無償だけれども、ベトナムに対しては、これは今申し上げたように下水道も有償だ。この違いについて、一、二か国だけ訪ねて視察されてきた委員各位に基準を伺うのは無理かもしれませんけれども、この点について、何らか事前に勉強なさっていったり、あるいは御感想でも結構なんですが、一班、二班の関係でもし御意見ございましたらお聞かせいただきたいと思います。
  51. 加藤敏幸

    加藤敏幸君 委員もおっしゃられましたように、一国、二国の視察の中で今御提起された課題についての所見を申し述べるということには私は至らないというのが事実だと思います。ただ、言われましたように、私は、国別にその国の実情を十分勘案する中での総合的なODA支援ということはあるべきだし、その中において有償、無償の比率の問題、あるいは個々の事業についての議論が起こると、こういうふうに思っています。  ただ、世界を見たときに、ODA支援国のそれぞれの国間のバランスの問題でありますとか手法の問題等については、私は正に言われたとおり、特別委員会ができればその場で、私は国の支援政策の言わば考え方、大綱なり年度ごとの考え方との関係において十分議論すべきテーマであると、そのことは同様に思います。
  52. 尾立源幸

    尾立源幸君 私どもエジプトの方を見てきたわけでございますが、こちらは御承知のとおり大変厳しい生活環境ということで、水が人の生命にとって命ということで、恐らくそういった面から無償で行われたのではないかと思いますが、一方、二班の下水道の方は環境整備というようなこともあるのではないかなと思いますが。  ただ、私は非常に気になりますのはこのプロジェクト在り方でございまして、ちょっと余聞になりますが、個別プロジェクトそれぞれは本当に成功している例多かったわけでございますが、じゃ全体としてはどうかというと、これから申し上げたいんですけれども、一般財政への支援という形で、面でこの援助在り方を考えていかなきゃいけないと。そのときに問題になるのが、実は一般財政、今、日本援助することができないような仕組みになっております。なぜかというと、会計検査院法の規定だと聞いておりますが、領収書がもらえないから一般財政として相手国へ提供できないと。こんなことも今後検討していかなきゃいけないかなというふうに思っております。
  53. 又市征治

    ○又市征治君 今回、いずれの視察国にも共通していることなんでしょうけれども、技術協力であるとかあるいは無償援助はいずれも金額的には非常に小さくて、また日本の小さなNGOの手によって行われている場合が多いわけですね。そしてまた、これら資金的には零細なプロジェクトの方がより現地社会の住民に深く浸透していて、貧困や保健衛生あるいは教育の改善に役立っているように思います。こんな点は更に伸ばしていかなきゃいかぬのだろう、これは、去年も私もこれは指摘を申し上げたところでございますが、そんな点、引き続きODA特別委員会などの中でしっかりと参議院として論議をしながら充実したものになっていくように、あるいはまた幾つか問題があるならば、これは正しながらしっかりやっていくべきなんだろうと、こんなように思います。これはもう私の感想でございます。  改めて調査団皆さんに御苦労さまを申し上げて、私の質問を終わりたいと思います。ありがとうございました。
  54. 中島眞人

    委員長中島眞人君) 他に御発言もなければ、これをもちまして海外派遣議員団に対する質疑を終了いたします。  海外派遣議員団皆さん一言お礼のごあいさつを申し上げます。  このたびは、各地における政府開発援助の現状について大変貴重な御報告、御意見をいただき、誠にありがとうございました。委員会を代表いたしまして厚く御礼を申し上げます。  本日の調査はこの程度にとどめ、これにて散会いたします。    正午散会