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2005-10-18 第163回国会 参議院 環境委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十七年十月十八日(火曜日)    午前十時開会     ─────────────    委員の異動  十月十二日     辞任         補欠選任      草川 昭三君     鰐淵 洋子君  十月十三日     辞任         補欠選任      鰐淵 洋子君     草川 昭三君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         福山 哲郎君     理 事                 大野つや子君                 真鍋 賢二君                 岡崎トミ子君                 加藤 修一君     委 員                 阿部 正俊君                 狩野  安君                 関口 昌一君                 中川 雅治君                 西田 吉宏君                 足立 信也君                 大石 正光君                 小林  元君                 広野ただし君                 草川 昭三君                 高野 博師君                 市田 忠義君                 荒井 広幸君                 田村 秀昭君    国務大臣        環境大臣     小池百合子君    副大臣        環境大臣    高野 博師君    大臣政務官        環境大臣政務官  竹下  亘君    事務局側        常任委員会専門        員        渋川 文隆君    政府参考人        外務大臣官房国        際社会協力部長  神余 隆博君        文部科学大臣官        房審議官     藤田 明博君        厚生労働大臣官        房審議官     岡島 敦子君        厚生労働省健康        局長       中島 正治君        厚生労働省労働        基準局安全衛生        部長       小野  晃君        厚生労働省労働        基準局労災補償        部長       森山  寛君        農林水産大臣官        房審議官     皆川 芳嗣君        経済産業省製造        産業局次長    塚本  修君        資源エネルギー        庁資源燃料部        長        近藤 賢二君        中小企業庁事業        環境部長     鈴木 正徳君        国土交通大臣官        房審議官     和泉 洋人君        環境大臣官房審        議官       寺田 達志君        環境大臣官房廃        棄物・リサイク        ル対策部長    由田 秀人君        環境省総合環境        政策局長     田村 義雄君        環境省地球環境        局長       小林  光君        環境省水大気        環境局長     竹本 和彦君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○政府参考人出席要求に関する件 ○環境及び公害問題に関する調査  (アスベスト問題に対する環境省等取組に関  する件)  (京都議定書目標達成に向けた施策と来年度  予算に関する件)  (バイオエタノール燃料の普及に関する件)     ─────────────
  2. 福山哲郎

    委員長福山哲郎君) ただいまから環境委員会を開会いたします。  この際、竹下環境大臣政務官から発言を求められておりますので、これを許します。竹下環境大臣政務官
  3. 竹下亘

    大臣政務官竹下亘君) おはようございます。  環境大臣政務官を拝命をいたしました竹下亘でございます。  まだ就任間もないわけでございますが、環境問題の重要さを日々痛感いたしておりますし、責任の重さを痛感いたしております。高野大臣共小池大臣を懸命に補佐をしながら、皆さんとともにこの国の環境問題、世界の環境問題に取り組んでいきたいと、こう思っておる次第でございます。  福山委員長を始め委員各位の御理解、御指導、御鞭撻を心からお願いを申し上げます。  ありがとうございました。(拍手)     ─────────────
  4. 福山哲郎

    委員長福山哲郎君) 政府参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  環境及び公害問題に関する調査のため、本日の委員会に、理事会協議のとおり、外務大臣官房国際社会協力部長神余隆博君外十五名を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 福山哲郎

    委員長福山哲郎君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  6. 福山哲郎

    委員長福山哲郎君) 環境及び公害問題に関する調査を議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  7. 中川雅治

    中川雅治君 自由民主党の中川雅治でございます。現在、大きな社会問題となっているアスベストの問題についてお尋ねをしていきたいと思います。  このアスベスト被害につきましては、政府内でも閣僚会合などで議論がされていると聞いておりますが、被害者救済被害拡大防止、そして国民の不安の解消といったようなことにつきまして、政府全体として全力で取り組むべき喫緊の課題であると考えております。  本年八月に出されましたアスベスト問題に関する環境省の過去の対応についてという環境省検証結果報告にもありますように、アスベスト問題につきましては、完全な科学的確実性がなくても深刻な被害をもたらすおそれがある場合には対策を遅らせてはならないという考え方、つまり予防的アプローチということでございますけれども、この予防的アプローチという考え方が当時の環境庁においても、ましてや政府部内全体において、あるいは社会全体においても浸透していなかったということが原因一つとして指摘されているわけでございます。  この予防的アプローチという考え方は近年の環境行政においては大きく取り入れられておりまして、これから環境行政を進めていくに当たっての大きな考え方だろうと思うわけですけれども、当時の状況でこの予防的アプローチという考え方が、まあ環境庁の中には全くなかったということは決してないわけでございますけれども、やはり調整の過程でなかなか政府全体にそうした考え方が広がっていかなかったということ、これはやはり大きな、今から振り返れば反省すべきことであろうと思います。  また、当時の環境庁の任務は、汚染物質工場外に出ることを防止する、つまりエンド・オブ・パイプ対策なんだという、そういう認識が自他ともに強かったと環境省自身検証結果の中で指摘しているわけであります。環境汚染につながる物質であれば、工場内で使用されているものであれ製品に含有しているものであれ積極的に対応すべきところ、関係各省との情報の共有や働き掛け、協同作業が十分でなかったと環境省自ら反省をしているわけであります。  しかしながら、アスベスト原因と思われる健康被害に苦しんでいる方が多くいらっしゃる今の現実を踏まえますと、政府はもっと早くアスベスト規制使用排出規制を導入するべきではなかったかと、今から振り返れば、もう本当にこれは反省をしなければならないというふうに思うわけであります。  アスベストによる中皮腫肺がん潜伏期間は三十年ないし四十年と言われておりますので、現在発症しておられる患者さんは、恐らく昭和四十年代前半以前、まだ十分にアスベスト発がん性が世界的に認められておらない、また我が国においてもまだ特段の対策が講じられていなかったころにアスベストに暴露された方だというふうに考えられるわけであります。  その後、順次規制がなされてきたわけでありますので、政府の過去の対策の効果というものを現時点においては十分に検証できないかもしれません。しかし、例えば、我が国アスベスト排出規制は欧州と比べて数年後れて導入されたことは事実であります。政府部内の調整がうまくいかなかったというようなことを言いましても、やはり当時の旧環境庁の力不足というものも当然指摘されなければならないと思います。  ですから、今から振り返れば、旧環境庁はもっと早く排出規制をすべきではなかったかというふうに悔やまれるわけであります。反省しなければならないというふうに私は思うわけでございますが、現時点に立って、振り返って、この点について大臣のお考えをお聞かせいただきたいと思います。
  8. 小池百合子

    国務大臣小池百合子君) 今回、このアスベストの問題について、まず関係閣僚会合、つまり縦割りを排除してそしてそれぞれの壁を取り外した上で対策を練らなければスピード感あるもの、そして中身のあるものにならないのではないかということで、関係閣僚会合を早速立ち上げたところでございます。  と同時に、私は環境省内のこれまでこのアスベスト問題に対して、規制流れと、それから何をしてきたのかということを年表のような形で、またそれは国会答弁なども含めて何が行われてきたのかという形で検証を進めたところでございます。ちなみに、当時の局長はだれ、当時の事務次官はだれ、当時の大臣はだれということも時系列で全部挙げさせていただいたところでございます。そして、そういった中で、しっかりと検証をするということは何をしなければならないかがまた逆に浮かび上がってくるということで、しっかり検証もさせていただきました。  そして、今お話がありましたのは、旧環境庁、もっと早く排出規制をすべきではなかったかということでございますけれども、旧環境庁大気汚染防止法を改正して工場そして事業場からのアスベスト排出規制を始めたのは一九八九年、平成元年からでございます。その当時の前後を見ますと、ILOそしてWHOの各専門家会合がそれぞれ一九七二年に石綿発がん性を指摘しているということも事実としてございます。  そこで、その七二年ですけれども、環境庁はこの七二年以降、健康影響に関しましての情報収集であるとかモニタリングによります実態把握を進めまして、それぞれの時点でその当時の科学的な知見を使って対応してきたということも検証で出てきております。  その中身ですけれども、平成元年排出規制の導入以前にも、まず専門家によります検討会で当時の我が国環境濃度レベル状況などについての評価、検討を実施している、それから地方公共団体などに対して排出抑制配慮を文書で要請した、それから排出抑制マニュアルを作成して配付をしてきたといったようなことが検証の中から出てまいったといいますか、これまでの対応流れでございまして、それぞれの対応を怠っていたものではないと、このようには申し上げたいと思います。  しかしながら、現在の国民の不安の声に、こういったこれまでの流れの中から何を酌み取って何をしていかなければならないのか。私は三つのSということを申し上げております。まず、スピード感を持って対応していかなければならない。何よりも中皮腫というその病気の問題点は非常にその後の寿命が短いということでございまして、なかなか治りにくいということもございます。そういったことも含めて、また不安感をできるだけ早く取り除くということで、スピード感を持って当たっていく。また、後ほども御質問ございましょうが、救済についてはできるだけすき間のない形で行っていくということで、シームレスにやっていく。そして、今漠然とした不安を持っておられる方々大変多うございますので、できるだけ安心が早くできるようにということで、セキュアードというか、そういう、それら三つのSを心にしながら、また、かつての様々な流れの中からの検証も踏まえながら取り組んでまいりたいと、このように思っております。
  9. 中川雅治

    中川雅治君 ありがとうございました。  私も、環境省に身を置いた者といたしまして、これからこのアスベストの問題につきましては国政の場でしっかりと取り組んでいきたいと思っております。  被害者救済についてでございますけれども、アスベスト原因で中皮腫などの治癒の困難な疾病に現在苦しんでいらっしゃる被害者方々の中には、労災対象とならない工場周辺住民あるいは救済されるべき被害者がいろんな形で、いろんな形態で多数存在しているわけであります。また、労災補償を受けられずに死亡された方あるいはその御家族もいらっしゃるわけでございます。  そこで、アスベストによる健康被害救済の在り方について、大臣も今、さっきのお答えで触れられましたけれども、基本的な救済についての考え方をお聞かせいただきたいと思います。
  10. 小池百合子

    国務大臣小池百合子君) 再び繰り返しになるかもしれませんが、先ほど申し上げましたように、スピード感を持って、そしてすき間なく、シームレスでいくということ、それから安心感を早く持っていただけるような、そういった三つのSの形で進めていきたい。  アスベスト問題、今御指摘ありましたように、周辺住民皆さん労災補償を受けられずに死亡した方など、これまでの法律では救済できない被害者方々がいらっしゃる。そのために新法で臨んでいこうということでございます。  御承知のように、新しい法律、それも各種の、各分野の規制なども絡んだ法律というのは大変時間が普通ですと要するところではございますが、先ほど来申し上げておりますスピード感を持って当たっていくということで、今必死にこの作業を進めているところでございます。  また、法案検討作業と同時に、被害拡大防止をしていかなければならない。そして、国民の皆様の御不安に対しての対応をしていかなければならない。ここでも縦割りというような弊害が起こらないように、できるだけ風通しを良く、連携を取ってまいりたいと考えております。
  11. 中川雅治

    中川雅治君 この救済制度につきましては、今大臣おっしゃいましたように、スピード感を持って対応していかなければならないということで、是非、正にスピード感を持ってこれから検討をお願いしたいと思います。  現在の救済制度検討進捗状況あるいは今後のスケジュールなどにつきまして、もう少し具体的に今の時点で御答弁いただければお願いしたいと思います。
  12. 小池百合子

    国務大臣小池百合子君) この新法でございますが、先月、九月二十九日に関係閣僚会合が開かれましたが、その場におきまして石綿による健康被害救済に関する基本的枠組みを取りまとめたところでございます。その中身は、三本柱がございまして、まず被害実態把握をする、二番目が被害者の認定に係る医学的な検討をする、三番目は費用負担給付に係る制度設計をするということを柱といたしましてこの基本的な枠組みづくりを進めているところでございます。  関係府省と連携を取りながら検討を深めているところでございますが、先ほどの新法、スピーディーにということを申し上げました。早急に結論を得た上で、次期通常国会のできるだけ早い時期に法案を提出したいと、このように考えております。
  13. 中川雅治

    中川雅治君 救済制度におきましては、被害者にどのような給付を行うかが制度設計上重要な論点となってくると思います。中皮腫肺がんなどの治癒の難しい疾病にかかられた被害者を確実に救済していくためには給付をできるだけ充実すべきだというふうに考えるわけでございますけれども、環境省はどのように考えておられるんでしょうか。
  14. 寺田達志

    政府参考人寺田達志君) 現在検討しております新たな法制度におきますところの給付金の内容といたしましては、アスベストによる健康被害者やその遺族のうち、労災補償を受けずに死亡した方やその家族あるいは周辺住民等、既存の制度対象とならない方々対象といたしまして、医療費自己負担分療養手当遺族一時金及び葬祭料給付するということで検討を進めております。  また、給付金の額につきましてでございますけれども、これにつきましては、他の救済制度とのバランスに配慮しつつ検討を進めているというところでございまして、次期通常国会でのできるだけ早期の提出に向けて早急に固めてまいりたいと考えております。
  15. 中川雅治

    中川雅治君 しっかり検討を進めていただきたいと思います。  次に、今後のアスベスト対策につきまして、政務官にお伺いしたいと思います。  アスベストは既に建材の原材料としては利用されていないわけでありまして、わずかに残されている原子力発電所プラント部品といった特殊な用途での利用も近年中には全廃すると、こういう方向で今関係省庁検討を進めていると聞いております。したがって、今後は、アスベスト製品を製造する工場事業所周辺での対策以上に、建築物解体時の飛散防止対策、あるいは廃棄物として発生する廃アスベスト処理というものが、これが非常に大きな問題になってくると考えられます。  まず、建築物解体につきましては、今後、アスベストが大量に輸入された建材に使用されていた、そういう時代に建てられた建物がこれからどんどん老朽化していくわけであります。解体そして建て替えの時期を迎えるということでありますから、これを適切に行わせる必要がありますが、このような点も踏まえて、今後のアスベスト飛散防止対策について、政務官のお考えをお聞かせいただきたいと思います。
  16. 竹下亘

    大臣政務官竹下亘君) アスベストを使用いたしました建物解体がこれから増えていくという事態にありますので、今後、その解体作業における飛散防止をどう徹底していくかということが非常に重要になるというまず基本認識を持って取り組まなければならないと思っております。  そして、今、現行法でいいますと、大気汚染防止法で、延べ床面積五百平方メートル以上かつ石綿の吹き付け面積が五十平方メートル以上の建物解体作業を行うに当たりましては自治体への届出を義務付けておるところでありますし、解体作業に伴うアスベスト飛散というものを防止するために、例えば作業場を密閉するとか、もちろん水をまくとか、あるいはほかの場所とは隔離するといったような様々な作業基準を定めておるところでございます。これには罰則も付いております。  が、しかし、一方で、不安を解消するということが非常に大きな要素でありますので、この大気汚染防止法規制規模要件を撤廃しようという方向で今作業を急いでおるところでございます。できますれば来年二月までに関係政省令を改正をしようということで今動いておるところでございます。  また、今月より、解体現場周辺を含めまして、全国の百四十地域の三百六十地点で緊急の環境濃度モニタリングを行う予定でございます。もう既に取り掛かっているところもありますが、少し遅れているところもあります。まだこれから積極的に取り組んでまいります。  これらの取組によりまして、アスベストに対する国民の不安の解消に向けて積極的に対応していかなければならない、また対応してまいりたいと、このように考えておるところでございます。
  17. 中川雅治

    中川雅治君 続いて政務官お尋ねをしたいと思います。  建築物解体されますと今度はアスベストを含む廃棄物が大量に発生することになりまして、その量は年間百万トン以上に上るとも言われております。これが飛散しないよう安全な形で処理されませんと、この解体を抑えましても後の段階で汚染を起こすことになります。また、建築物のほかにも、かつて作られた電気製品のたぐいにアスベストを含むものが五百種類以上あることが分かったということであります。こうした製品廃棄物となった際にどうやって安全に処理するかということも問題になるわけでございます。  この廃棄物処理の問題で難しいのは、安全な処理を徹底することが不可欠なわけですけれども、一方で、単に規制強化だけを推し進めますと処理業者処理施設アスベスト廃棄物の引取りを避けるようになり、行き場を失ってかえって不法投棄につながるおそれもあるというふうに思います。したがいまして、この問題大変難しいわけでございまして、国民の安全が最も重要であるということは当然でございますが、こうした両面を見ながら安全かつ円滑な処理を確保する必要があるわけでございますが、これをどのように進めていかれるのでしょうか。
  18. 竹下亘

    大臣政務官竹下亘君) アスベスト廃棄物という点は、大きく分けて三つ種類があると。一つは、いわゆる天井などに吹き付けられたアスベスト、これは特別管理産業廃棄物指定を受けておるものでございます。そして、通常産業廃棄物でありますスレートなどに入っておりますアスベストを含んだ建材、これが第二分類といいますか、二つ目分類。それから三つ目は、先ほども中川委員御指摘になりました、多くの製品の中に、特に家庭用品の中にも入っておりますアスベストと。この三つ分類がありますので、それぞれ適正に処理考える必要があると、一律の処理では難しい問題であると考えております。  まず、吹き付けのアスベストにつきましては、廃棄物処理法に基づき特別管理産業廃棄物指定をいたしまして、通常廃棄物よりも厳しい処理基準による処理がこれまでも行われておりますが、具体的には、例えば飛散しないように処理をする、あるいは溶融、溶かして飛ばないようにする、あるいは二重こん包した上で処分を求めてこれまでも来ておるところでございます。これは処理基準に適合しない場合には改善命令を出せるということですので、命令に従わない場合はこれも罰則が適用されるという状況になっております。  また、アスベストを含んだ建材につきましては、今年の三月に技術指針をまとめまして、できるだけ破砕しない、飛び散らないようにすること、それから飛散防止を徹底した上で運搬や埋立処分をすることなどを求めているところでございます。  また、これが一番厄介でございますが、アスベストを含む家庭用品につきまして、九月十三日に市町村に対して通知を出しました。そこでは、当面の対策として、ほかのごみと区別して排出してもらって、その上で破損しないように回収をすること、二つ目、できるだけ破砕せず散水やあるいは速やかな覆土によりまして最終処分をしていくこと、三つ目、保管する場合はほかの廃棄物と区別、区分することを要請したところでございます。  これらの対応に加えまして、大量に発生するアスベスト廃棄物を安全かつ円滑に処理するための処理技術の開発をこれからも進めていかなければならない。先ほど中川委員おっしゃいましたように、余り処分なりやり方を厳しい厳しいだけに集中をいたしますとむしろ不法に回るという可能性がないわけではありませんので、埋立ても含めまして、これまでの方法も含めまして、様々な処理方法をきっちり確保してまいりたいと、このように考えておるところでございます。  さらに、安全な処理システムの確保ということに対しましては、昨年改革をして創設をいたしました循環型社会形成推進交付金、この活用も含めて検討してまいりたいと、このように考えておるところでございます。  以上です。
  19. 中川雅治

    中川雅治君 ありがとうございました。  ここまでは環境省の行っている対策についての方針を伺ってまいりましたけれども、アスベスト問題の対応につきましては、環境省のみならず政府全体として対策を進めていくことが必要だと考えます。  まず、住宅に含まれているアスベストへの対策につきまして国土交通省に伺いたいと思います。  かつて建設されたマンションの建材アスベストが含まれており、その撤去費用管理組合皆さんが苦慮しているといったケースを報道で目にしたわけでありますけれども、こういった民間の住宅に含まれているアスベストの除去も深刻な問題になってくると思います。このような問題にいかに取り組んでいくのか、国土交通省考えをお聞かせいただきたいと思います。
  20. 和泉洋人

    政府参考人(和泉洋人君) お答え申し上げます。  御指摘のとおり、民間のマンション等における有害なアスベスト建材除去、これは重要な課題と認識しております。したがって、民間の住宅に含まれているアスベストの除去等に対する支援策につきましては、地方公共団体連携しまして、今年度新たに創設しました地域住宅交付金、こういった交付金制度がございますので、この交付金を活用しまして支援してまいりたいと考えております。  加えて、アスベストの除去につきましては住宅金融公庫のリフォーム融資により融資を受けることも可能でございますので、こういった交付金あるいはこういった融資、こういった制度につきまして広く周知をしてまいりたいと考えております。  なお、国土交通省では、本年九月に社会資本整備審議会建築分科会にアスベスト対策部会を設置し、消費者等からの相談体制の整備やアスベストの除去等に対する支援策や技術開発の推進等につきまして十月中に取りまとめることとしております。この結果を踏まえまして、環境省始め関係各省と十分連携しまして、国土交通省といたしましても更に積極的にアスベスト対策に取り組んでまいる所存でございます。
  21. 中川雅治

    中川雅治君 このアスベストの除去という問題につきましては、やはりそれぞれの、例えばマンションの所有者、それからマンションに今住んでいる方、そういったその個々人の不安、そしてまた、それを除去していくためにまたいろんな費用も掛かっていくということで、本当に政府全体としてきめ細かな対策を取っていかなければならないと思います。  民間の住宅だけではありません。昔に建てられた工場事業所の中にも建材や設備にアスベストが含まれているものも多いと思います。特に中小企業におきましては、資金面の理由からなかなか対応が取れないということが懸念されるわけであります。かえって資金面の問題から先送りしてしまうというようなこともあろうかと思います。  こういった中小企業の工場事業場に含まれているアスベストの除去についてどのように取り組んでいくのか、経済産業省の考え方をお聞かせいただきたいと思います。
  22. 鈴木正徳

    政府参考人(鈴木正徳君) ただいまの委員から御指摘ございました中小企業者の方々アスベストの除去などにつきましては、現在、政府系三金融機関、また信用保証協会におけます一般枠の貸付けと、それから保証制度の利用が可能でございまして、現段階でもきめ細かく御相談に応じているところでございます。  さらに、私ども、融資条件をより有利にする必要があるというふうに考えておりまして、アスベストの除去等の対策を行う中小企業者の方々対象といたしまして、中小企業金融公庫及び国民生活金融公庫の特別貸付制度の創設、これにつきまして、現在、関係省庁連携を取りつつ検討をしているところでございまして、引き続き努力してまいりたいと考えております。
  23. 中川雅治

    中川雅治君 制度をつくる、そしてこういったPRをやりますということは、役所ではどこでもそういった対応を取るわけですけれども、実際にそれぞれの施策に魂が入っていないといいますか、きちんとそのフォローをして、やはり政策としてそれが生かされるような、そういう正に実効ある対策を取っていただきたいというふうに思います。  このアスベストの問題、これはこれからも非常に大きな問題になってくると思います。政府も今一生懸命対応をしているということは十分に理解をしております。これからもこの問題、この委員会の場等におきましても取り上げて、国政の場でもきちんと対応していかなければならないというふうに思っております。  以上でアスベストの問題につきまして質問を終わらしていただきたいと思います。アスベストの問題だけで来られた方は、どうぞお帰りいただいて結構です。  次は、地球温暖化問題について入っていきたいと思います。  本年も、我が国で台風が人命を含む大きな被害を出しました。さらに、米国で巨大ハリケーンのカトリーナあるいはリタによる甚大な被害が出るなど、近年、世界各国で異常気象が頻繁に発生しているわけであります。米国の巨大ハリケーンは石油産業や農業などに非常に大きな被害をもたらしておりまして、多額の保険金の支払が発生するものと思われます。米国の経済成長率を引き下げるほどの甚大な影響があると言われているわけであります。今後、地球温暖化が進みますと、このような巨大ハリケーンなどの異常気象が世界各地で起こってくるというふうに予測されておりまして、そのことによる世界経済への影響も大きなものになると考えられます。これら深刻な被害を未然に防止するためにも、地球温暖化問題に全力で取り組む必要があるというふうに思います。  また、今年七月にイギリスのグレンイーグルズで開催されましたG8サミットでは、この地球温暖化問題が一つの主要課題として取り上げられました。さらに、今年のサミットには、G8諸国だけでなくて、中国やインド、ブラジルなどの大量排出国も議論に参加しました。これは、地球温暖化問題が国際社会の中で一致して取り組むべき重要な問題であるということを明らかにしたものだと考えております。  まず、大臣お尋ねをいたしますが、本年四月に京都議定書目標達成計画が閣議決定されました。この計画は、京都議定書の六%削減約束を達成するための国の計画として重要な計画でありますが、単に計画を定めるだけでなくって、やはり必要な対策、施策を実際にしっかりと行っていくことが重要であります。したがって、必要な予算はきちんと確保して、そして政府全体として実行していかなければならないわけでありますので、平成十八年度予算には、これは今予算要求されて、これから予算編成作業が本格化していくわけでありますけれども、この京都議定書の六%削減約束の達成に向けて、この来年度の予算というものは一つ大きな重要な試金石になるというふうに私は思います。  環境省として、脱温暖化社会の構築に向けた施策を来年度予算に向けてどう組み立てていこうとしているのか、基本方針といいますか、決意といいますか、その辺のところを大臣にお伺いしたいと思います。
  24. 小池百合子

    国務大臣小池百合子君) 今年、環境を取り巻く話題といいますと、今御指摘ありましたように、台風、ハリケーンなどございました。そしてまた日本ではクールビズなどもあったかもしれませんが、世界全体で見て環境の最大のトピックスは、何といっても今年の二月の京都議定書の発効であったかと思います。それを受けてその目標達成計画を、政府として取り組んでまとめたのが先ほど御指摘のありましたその目標達成計画でございます。京都議定書六%削減約束の達成に向けてどのように行っていくのか、地球温暖化対策の推進、環境技術の開発、国際競争力の強化、経済・地域社会の発展、雇用の拡大ということ、これらの項目を環境と経済の好循環を目指していくということの流れの中で達成をしていこうというものでございます。  具体的に、平成十八年度の概算要求で、この環境と経済の好循環を目指し、かつ京都議定書の約束達成に向けた施策を具体化するためということで、主なところ三つ挙げたいと思います。まず、再生可能なエネルギーを地域ぐるみで導入していただくソーラー大作戦と銘打ちまして四十三億円、京都メカニズムの本格活用に対しまして四十二億円、温暖化対策技術の実用化に向けた技術開発に二十七億円などを要求しているところでございます。中川委員におかれましても、また是非とも後押しのほどよろしくお願い申し上げたいと存じます。  いずれにいたしましても、この京都議定書、二〇〇八年から第一約束期間が始まるわけでございまして、その助走期間でございます来年度も極めて重要な時期、そしてまたアスベスト問題などの、先ほどの御質問にもありました予防的アプローチというならば、これこそ最大の予防的アプローチではないかと、このように思っているところでございますので、しっかり進めてまいりたいと思います。
  25. 中川雅治

    中川雅治君 私も、環境省OBとして応援をしていきたいと思います。  今大臣も、今年はクールビズの取組について大変大きな意義があったというお話がありましたけれども、クールビズの取組というのは、今年の施策としては大変時宜を得た画期的なものだったと思います。小池大臣の主導で非常に全国的に広がりまして、マスコミでも大きく取り上げられ、企業や国民皆さんもある意味ではよく協力していただいたと、よく取り組んでいただいたというふうに思います。  やはりこれだけこう環境省が主導してクールビズが広まったわけでありますので、やはりこのクールビズによってどの程度の温室効果ガスの削減の効果が上がったのかきちんと検証をして、それを国民の皆様に報告する、そういうことが大切だと思います。これが、これからウオームビズというのもあるそうで、秘書官なんか早くもウオームビズのようですけれども、クールビズのまずここで一区切り付けて、国民皆さんにこうした取組によってこういう効果が上がったんだと、ですからまた引き続いて、あるいは更にこういう取組をしていただきたいという、そういうことを言うべきだと思うんですね。この辺について、局長、お願いします。
  26. 小林光

    政府参考人小林光君) クールビズの効果をしっかり検証するようにという御指摘でございます。  まだ、私ども、クールビズの実施期間中でございますちょうど一番暑い八月にアンケート調査をしておりまして、御指摘のとおり、そのクールビズを知っていらっしゃる方、これは一般の方々に聞いたところでございますけれども、約九五%の方がその言葉自体は知っていると。また、企業を対象にした調査でございますけれども、そういった涼しい格好、働きやすい格好を実施しているというふうにお答えになった企業がその時点で六割、そしてさらに、例年よりも冷房温度を、ここが眼目でございますけれども、冷房温度を高くしているといいますか、冷房の程度を低くしている、そういった企業が四〇%ということの成果になってございます。  このクールビズの期間は六月から九月までの四か月間ということでございまして、私ども、現在その成果を集計中でございますが、既に民間では八月までの成果について試算をしてくださった団体等がございます。それを引用させていただきますと、これは電気事業連合会の調査でございますが、二億一千万キロワットの節電になったということでございまして、これはCO2に換算いたしますと大体十四万トンぐらいの削減量に今最大当たるのではないかと。それはどういうことかといいますと、業務部門で削減をしなければいけないと私ども考えております削減量が三千百万トン、ビルなんかで削っていただこうと、こう思っているわけでございますけれども、その〇・四五%、まあ〇・五%ぐらい、こういったオーダーにこのクールビズだけでなっているという一応試算になってございます。  そういう意味で、一人一人の行動が地球環境の改善に向けて手ごたえのある成果を生むという点で実績を残せたのかなというふうに思っておりまして、委員御指摘のとおり、そういった成果をこれから四か月分まとめまして訴えて、そしてまた来年もというふうに考えていきたいと思います。  それから、ウオームビズについても同じでございまして、これの方が暖房期間で更に削り代が多い、エネルギーの投資が多いものでございますから、これについても今御指摘のようなラインで頑張ってまいりたいというふうに思っております。
  27. 中川雅治

    中川雅治君 しっかり検証結果が出たところでまた報告をしていただきたいと思います。  副大臣お尋ねをしたいと思います。  来年度予算に関しましては、先進国と途上国が協力して温室効果ガスの排出削減を行う仕組みであります京都メカニズムについても我が国がクレジットを取得するため新たに環境省と経済産業省が合計八十八億円の予算を要求したと聞いております。京都メカニズムは、六%削減約束達成の手段の一つとして、また我が国の優れた環境技術を活用した途上国の支援策として非常に重要なものであるというふうに考えております。また、欧州諸国などでは早期に必要量を取得すべく既にクレジット取得のための仕組みを導入していると聞いているわけであります。  そこで、我が国として今後どのようにクレジットの取得を進めていくのかについて、お考えをお聞かせいただきたいと思います。
  28. 高野博師

    ○副大臣高野博師君) 京都メカニズムの重要性については委員は十分御承知かと思いますが、京都メカニズムの中でも特にCDMにつきましては、これは京都議定書の温室効果ガス削減約束を達成するため重要であるばかりでなくて、委員が御指摘のように、途上国に技術を移転をし、そしてその技術でもって途上国が持続可能な発展ができるようにという意味で大変重要なメカニズムだと思っております。  我が国が基準年で六%の削減目標のうちの、これは国内的にも最大限の努力をしてまいりますが、一・六%分、これは年間二千万トンに当たる温室効果ガスの削減でありますが、これが不足するという点で京都メカニズムを活用することが必要だというふうに思っておりまして、このクレジットにつきましては、ほかの国で実施した温室効果ガスの削減の部分についてこれを取得をして自国の削減分とするということでありますが、御指摘のオランダ、イタリア、スペイン等におきましては、例えばオランダにおきましては五年間で約一億トンのCO2を取得すると、現段階で既に八千百万トンを確保しているということでありますが、オランダ、スペイン、イタリアとも世界銀行へのクレジット調達の委託をしております。  そこで、我が国といたしましては、来年度の予算で御指摘のとおり八十八億円、環境省分としては四十二億円の予算を要求をしておりますが、この予算によってクレジットの取得をするための具体的な仕組みの在り方については今後早急にこれを具体化をしてまいりたいということでございます。
  29. 中川雅治

    中川雅治君 ありがとうございました。  最後に、大臣にお伺いしたいと思います。  十一月にはカナダ・モントリオールで気候変動枠組条約と京都議定書の締約国会議が開催されます。特に京都議定書につきましては、我が国の都市の名前が付いた議定書の第一回の締約国会合という記念すべき会議でありまして、我が国としてリーダーシップを発揮していく必要があると思います。  二〇一三年以降の国際的な地球温暖化対策の枠組みの問題もあろうかと思いますが、こうした問題も含めて、この重要な会議に向けて我が国政府としての対応方針について教えていただきたいと思います。
  30. 小池百合子

    国務大臣小池百合子君) 十一月末からモントリオールで開催されますCOP11の重要性については今御指摘のあったとおりでございます。何よりも京都議定書発効後初めての締約国による会合ということで、極めて重要な会議と位置付けたいと存じます。  また、この会議の対処方針、どのように臨むのかという御質問は、多分初めての御質問をちょうだいしたと思っております。  先月、この本会議を、十一月の会議をいかに成功に導くかということを念頭にいたしまして、議長国はカナダでございますが、このカナダのディオン環境大臣も大変今熱心に議長国としてしっかりやろうという取組をされておられまして、カナダの主催で、非公式な意見交換としてCOP11とCOP・MOP1閣僚準備会合というのがオタワで開催をされました。私もこの会合の方に参加させていただきまして、またすぐ日本に帰らなければならないという、いつもそういうパターンが多いんですが、そんなこともございまして、各国参加者の先陣を切って日本としての態度表明ということをさせていただきました。  そこで申し上げたのは、まず、京都議定書の実施のために必要な遵守手続などに係る決定を行うべきであるということを申し上げたこと、それから、二〇一三年以降、つまり第二約束期間でございますけれども、その二〇一三年以降、すべての国が参加する実効ある枠組みの構築が必要だということを強調させていただきました。その後、参加国約四十か国いらしていたんですけれども、様々な意見が表明されました。意見の基本的な対立が見られる論点も多く残されたんですけれども、それらを集約して論ずべきテーマを二点にまとめるということになりますと、京都議定書の実施と現行の各種制度の改善に関すること、それから二〇一三年以降の次期枠組みの在り方に関すること、この二つのテーマが大きなテーマであるということが見解の一致を見た点でございます。  今後、この閣僚準備会合の結果を踏まえまして更に調整が進められるということになりますけれども、我が国としても、COP11、そしてこのCOP・MOP1の成功に向けまして、今申し上げた二つの大きなテーマを中心に引き続き積極的な貢献をしてまいりたいと考えているところでございます。
  31. 中川雅治

    中川雅治君 ありがとうございました。  以上で終わります。
  32. 足立信也

    ○足立信也君 民主党・新緑風会の足立信也でございます。  ちょっと人がそろうまであれなんですけれども、環境委員会としては、私、特別国会からの新参者ですが、早速理事の方々の御配慮によって質問の機会を与えられました。特にアスベスト問題についてやってくれということでしたが、その前に、小池大臣一つだけお聞きしたいんですけれども。  クールビズ、私は前職からネクタイをする機会というのはほとんどなかったもので非常に助かったんですが、どう感じても、国会内において二十八度という設定よりもはるかに低い室温であることはまず間違いないという感触を持っておりまして、これは服装をどうするかということよりも、まず二十八度にして、そしてそれに過ごしやすいような服装を取るということが大原則だったと思うんですね。  うちの党の中の議員では、参議院の室温をずっとチェックしている方もおられまして、どう見ても二十八度よりは低い温度になっていると。この点が、クールビズは私は歓迎いたしましたが、まずその先に地球温暖化のために室温を二十八度にするんだということがあったと思います。  この点は大臣としてはどのように今夏についてお考えですか。
  33. 小池百合子

    国務大臣小池百合子君) 今年初めて導入されましたこのクールビズ、皆様方の多大なる御協力によって大きく前進したことだと思います。初年度とすれば大変、意識改革も含めて効果があったというふうに感じております。数値的にはまた、九月の数字が入りましたら全体の結果としてまた御報告したいと思います。  私も、院について、例えば自分自身が委員会をやっていて、全然、そもそも私、寒がりなんですけれども、クールビズにした上で、なおかつそのまま室温が寒いというのは、そもそもクールビズの目的が違うんじゃないかと。その辺のところはむしろ院の方でしっかりやっていただかなければならないと思っております。実際聞いてみました。そうすると、部屋ごとの室温調節が利かないんですよね。ですから、私は、クールビズというのは、皆様方のネクタイをどうこうということもそうですけれども、ライフスタイルから建物の在り方から全部をひっくるめてクールビズで考えていただかなければならないんじゃないかと。  それは、かつてインテリジェントビルという言葉がはやったことがございました。ビルの建物情報通信にふさわしいということで、付加価値を付けてインテリジェントビルと言っていたんですけれども、これからはエコインテリジェントビルという、そういうことも考えていくことが必要なんじゃないかなというふうに思うんですね。  その上で、いつも目標とする数値は京都議定書目標達成計画の数値を正に考えていただければいいわけでございまして、私は、別にファッションとかそういうことよりは、クールビズというのは正に、夏は二十八度、そして冬は二十度にしていただくことによって、それにふさわしい服装をしていただければいいということで、それが最大の目的でございます。  是非とも院の方でも、院の建物の在り方なども是非クールビズ対応、ウオームビズ対応になっているかどうかお調べをいただければ私としても有り難く思います。
  34. 足立信也

    ○足立信也君 それでは、アスベスト問題について質問させていただきます。  政府対応方針としましては、被害拡大防止、それから国民の不安への対応、過去の被害への対応、過去の政府対応検証と、こういう四項目が挙げられました。  私は、今日の質問時間は、前半を過去の政府対応検証、後半を対応策という形でいきたいと思います。  私は、一九八二年、昭和五十七年に、呼吸器外科としてその当時は働いておりました。それ以前から、肺がんあるいは呼吸器を扱う人間としては当然のこととして、中皮腫を見付けたらアスベストの暴露歴を調べなさいと。これは、学生のときの教育から当たり前のことだったんですね。その後、国家試験問題にも出されておりますし。ということは、日本の医学生はほとんどこれは教育上受けていることであって、昨年それから今年にかけてこのように問題が大きくなったときに、私も元同僚に聞きました。お互いの認識は、もうアスベストは日本で使われてないんじゃなかったのということでした。そして、彼は肺がんの専門で、肺癌学会としてこの現状を、日本でアスベスト、全石綿を使用禁止にするような提言はしたのかと私が聞きましたところ、今まで提言としては一度もやっていないんだと、非常に反省をしておりました。私自身もやはり当然中皮腫の患者も診ましたし、自分としてもこれ反省はあるんですね。  ということを踏まえながら、私は、まず過去の検証ということで、研究と行政という観点からちょっと見てみたいと思います。  その例として、例えば水俣病。一九五六年、昭和三十一年ですね、熊本大学の研究者がまず湾内の魚介類の大量摂取による中毒症状だと研究結果を発表した。翌年、厚生省としては、食品衛生法には抵触しない、だから規制の必要はないと。その二年後、一九五九年、昭和三十四年ですね、厚生省食品衛生調査会水俣食中毒特別部会が有機水銀中毒である旨の答申をした。ところが、その翌日、企業の公害とするのは早計であると、当時の池田通産大臣、翌年総理大臣になられた方ですが、という発言があって、何と公害病に認定されたのはそれから九年後、研究者が発表してから十二年後という経過があるんです。  やはりその研究のある意義ということの中に、これを国民生活に生かしていかなきゃいけないということは当然必要なわけで、今回のことがこの点について本当に十分だったのかということを改めて見てみたいと、そのように思っております。  私は、このアスベスト問題は大きく四つのターニングポイントがあったんじゃないかと考えております。  一つは、先ほども大臣から言われました一九七二年、IARC、インターナショナル・エージェンシー・フォー・リサーチ・オン・キャンサーの、石綿が中皮腫を引き起こすんだと。がん原性の問題ですね。これが七二年。それから八六年、ILOの石綿条約で青石綿の使用とそれから石綿の吹き付けを原則禁止すると。そして一九九五年、日本で労働安全衛生法によって青、茶石綿を輸入、製造、使用の禁止と。それから約十年後、一昨年と昨年にかけて、まず一昨年は、白石綿の輸入は合法として認め、石綿製材の在庫類の利用、使用は認める。これが一昨年。昨年は、白石綿種類製品の輸入、製造、使用を原則禁止する、しかしアスベストを含むシール材、含有率一%以下の製品はいまだに使用されている。つまり、大体十年ごとに大きなターニングポイントがあると思っております。  そこで、まず、一九七二年のがん原性の指摘からILOの石綿条約、ここまでをちょっと振り返りたいと思います。  一九八〇年から八五年までの研究は、人体内でのアスベストの検出方法アスベスト暴露量との関係に主眼が置かれておりました。そして、八四年の研究で、作業環境や一般生活環境における石綿の測定法の確立が今後の重要な研究課題だと。そして、八五年のその時点では、白石綿のみ検出された中皮腫が既に報告されている、これは明らかに環境暴露だと、そのように言われております。  そのころの世界の動き見ますと、一九七〇年代はいわゆるアスベストの管理使用ですね。吹き付けを禁止するという形の使用の仕方の管理。ところが、八〇年代前半になってこれが全面使用禁止、全面禁止という形で使用禁止に変わっていったわけです。  ここで環境省関係するのは大気濃度調査なんですけれども、これは、大気濃度調査は一九七七年から七八年にかけては石綿含有製品製造工場において測定している。それから八一年から八二年にかけては全国規模のモニタリング。八三年に同一地点で道路の供用を開始する前と後の比較をしている。そして八四年、五十九年に取りまとめ。この取りまとめでは、作業環境濃度は以前に比べて著しく低下した、一般環境濃度ははるかに低い、作業環境よりもはるかに低いであろう、だから一般国民にとってリスクは非常に小さい、しかし、耐用年数を過ぎると解体、廃棄で環境中に放出されるので長期的に環境モニタリングを継続する必要があると、そのように取りまとめております。そして、一九八五年から一年置きに大気濃度調査が行われる。  その途中で、一九八九年、先ほどありましたように大気汚染防止法の改正もありましたが、この大気濃度調査が一九九五年に終了になっています。この終了の理由、あるいは理由といいますか結論といいますか、なぜ終了されたのかということをまずお聞きしたいと思います。
  35. 高野博師

    ○副大臣高野博師君) 平成元年に導入されました敷地境界内基準値はリットル当たり十本ということになっておりますが、御指摘の旧環境庁では、平成七年まで、これは昭和六十年、六十二年、それから平成元年、三年、五年と、そして七年まで継続的に大気環境中のアスベスト濃度の測定を行ってまいりました。  そこで、アスベスト製品製造事業所周辺事業所散在地域においては、平成元年ではリットル当たり〇・三五本、それから平成三年では〇・四九本、平成五年度では〇・三三本、それから平成七年度では〇・二九本と、これは一般の環境でも同じような、同じ程度ぐらいの数値でありまして、したがいまして、かなり極めて低いレベルで推移していたということもありまして、更に調査を継続する必要性というのは低いという判断をして終了したものであります。
  36. 足立信也

    ○足立信也君 先ほど、五十九年、一九八四年の取りまとめで、今後解体、廃棄で環境中に放出されるので長期的に必要であると、モニタリングが、というまとめでした。アスベストを使用した建物解体されるというのは一九九五年以降に増えるという認識が当然あっていいと思うんですね。  そしてまた、その年に阪神・淡路大震災で多くの建物が倒壊しました。そして、基準値よりもはるかに超えるアスベスト飛散が観測されていると。そのデータを説明していただけますか。
  37. 竹本和彦

    政府参考人(竹本和彦君) 環境省におきましては、平成七年、先生御指摘のとおり、阪神・淡路大震災で損壊いたしました建築物解体、撤去等に伴いまして、アスベスト飛散による影響調査をしておるところでございます。  先生御指摘のとおり、解体中の中学校におきましてリットル当たり四千三百本、解体中のホテルにおきまして九十四本という高濃度が観測されたところでございます。しかしながら、これらの数値はいずれも解体中の建物の中での測定をしたものでございまして、一般環境におきましてこのような高濃度が検出されたということは承知をしていないところでございます。  なお、これら解体工事現場、建物の外におきましてもアスベスト濃度測定をしておりまして、先ほど申し上げた中学校につきましては一リットル当たり四・五本、ホテルにつきましては一リットル当たり二・三本ということで、いずれも問題のない値であったというように私ども承知しているところでございます。
  38. 足立信也

    ○足立信也君 その後の、今、中では基準の四百三十倍の値であったという説明がございました。そして、敷地境界についてはありませんでした。一般環境という表現されました。敷地境界のこの近くで、私が持っているデータでは十倍以上のアスベストが検出されたということが出ております。  その後の経年的なフォローアップというのは必要性があったんじゃないかと思いますし、そして基準値以上の値が出ているのに同じ年にやめてしまうということの整合性がまた見られない。  そしてまた、追加して言わせていただくと、中越地震のときは、じゃ、倒壊した家屋の近く、あるいは敷地の境界辺りの環境で測定はしたんでしょうか。
  39. 竹本和彦

    政府参考人(竹本和彦君) まず、阪神大震災の後の測定のフォローアップでございますが、数次にわたりまして私ども測定をしたところでございます。その結果をその年の十二月に取りまとめをしたところでございます。いずれにしても、先ほど申し上げたような調査結果でございました。  中越地震の場合については、測定は行っていないということでございます。
  40. 足立信也

    ○足立信也君 中越地震は測定していないと、その後、阪神・淡路大震災の後は経年的にフォローはしたということでございますが、これは天災という中で行われたことであって、その後、ビルの解体等に関しては全国各地でかなり行われているというのはあるわけですね。  そこで、同じ年に中止あるいは終了してしまったということはいかにも残念という気がしますし、そこでちょっと環境省の方にお聞きしたいんですけれども、この大気濃度調査というのは、当然、青や茶や白のそういった個別の石綿を測定できるわけでもなく、また簡便に測定しないとは思いますけれども、石綿の総数を基準に照らし合わせて測定していると思うんですけれども、環境省としては石綿のファイバーの総数が大事と思われますか、それとも、青や茶や白や、そういった種類が大事なんだと、そういうふうに考えられますか。
  41. 竹本和彦

    政府参考人(竹本和彦君) 私どもの大気環境の保全という観点で、先ほど副大臣の方からも申し上げましたが、敷地境界濃度というものを決めておるわけでございますが、その設定に当たりましては、昭和六十一年に公表されましたWHOの環境保健クライテリアというものを参照しておるところでございまして、これは世界の都市部の大気中における石綿濃度、一リットル当たり一本から十本にわたっていると。そういう知見の中では特に石綿種類を区別したものではございませんでした。  そういうことで、環境省においては、石綿種類によらずに、工場事業場に対して規制を導入をしたということでございます。
  42. 足立信也

    ○足立信也君 種類といいますか、よりも、総数が大事だということだと思います。  続きまして、一九八六年のILO条約のところから九五年の青石綿の使用禁止と石綿の吹き付け禁止までの十年間について質問いたします。  世界の流れとしては、先ほど言いましたように、全石綿の禁止という方向流れておりました。ところが、日本では、一九八七年と八八年に世界の動きに反するような研究結果が出ています。八七年、厚生労働省の科学研究で、建築物中のアスベスト汚染濃度は大気中のそれとほぼ同程度、浮遊しなければ問題はないと。その結果取られた施策といいますか方策といいますか、封じ込め、囲い込みを推奨された。つまり、管理使用にまた戻ってしまう、日本では管理使用を引き続き行うと、使用の仕方の管理を行うという形になったわけです。世界では使用禁止の方向に行っていた。で、一九八八年、翌年ですが、これも厚生労働省科学研究で、我が国では胸膜中皮腫の増加傾向はないという結果が出ております。  ここで対応の仕方が二通りに分かれます。その八七年というのは皆様御存じのように学校パニックで、公立学校の調査をしたわけですけれども、その後、補助制度を創設して、アスベストの除去に対しては補助という形で手挙げ方式にした。ところが、八七年に建設省は、各省庁の庁舎や公務員宿舎など国有の建物を設置する際は石綿を不使用とする方針を決めたと。建設省としてはもう石綿は使わないんだということをもう既に八七年に、学校パニックの年に決めているわけですね。学校に対しては補助制度を行ったと。  その翌年、やはりこれは文部科学省の科研費の補助金なんですけれども、建築業従事者には過去の石綿暴露による胸膜肥厚が認められる、今後、悪性腫瘍を含めた健康障害増加の可能性が高く、暴露防止、健康障害早期発見対策の強化と疫学的調査が極めて重要であるというのが一九八九年に出されております。そしてまた、その翌年には、動物実験、発がん実験で白石綿の方が茶石綿よりも発がん率が高かったという報告がやはり厚生労働省の科学研究から出されております。  私が何を言いたいかというと、対応の違いと青と白がどう違うのかということをちょっと立証しようと思っているんです。  先ほど、建設省では全石綿の使用を禁止したと言いましたが、同じころ、九〇年、一九九〇年から九四年まで、防衛庁ではすべての建築物について吹き付けアスベストの使用状況調査して除去しております、全部。学校は補助制度です。そういう異なった対応がどうもその時期に行われていると。  ちょうどそのころ、一九九二年に旧社会党から石綿規制に関する議員立法が出されましたけれども、当時の石綿協会の反対の理論としては、今後は作業従事者の健康障害は起こり得ないと確信できます、一般環境においては石綿による健康問題は発生しておりませんというふうに反対の立場から理由を述べております。  そして、翌年、一九九五年、やはりこれも科学研究費で、造船作業に伴う職業性のアスベスト暴露により、じん肺、肺がん、中皮腫による過剰死亡が既に生じている、中皮腫に関しては一般の五十八・八倍というデータが出ています。そこで、労働安全衛生法で決められたことは、青石綿、茶石綿を輸入、製造、使用の禁止をするということだったわけです。  当然、各国はその後も全石綿の禁止が続きます。九六年フランス、九九年EU、イギリス等々、一杯続いております。しかし、日本は、二〇〇三年、一昨年の十月の労働安全衛生法の施行令の改正で、白石綿の輸入は合法、先ほど言いました、石綿製材の在庫類の利用、使用は認めるというふうな改正がされたわけです。  先ほど来言っておりますように、どうもこの研究内容で私が調べた範囲では、青石綿あるいは茶石綿に比べて白石綿はどうも存続させて残そうという方針がはっきりしているわけですけれども、その根拠がどこにあるのかということが疑問に思われてなりません。  そこで、まず、科学研究費の補助金の方から、その青と茶と白の違い、そのことの根拠を示していただければと思います。
  43. 藤田明博

    政府参考人(藤田明博君) 文部科学省におきましては、大学の運営費でございますとか科学研究費補助金などによりまして、大学などにおける研究を推進する中でアスベストに関します基礎的な研究も支援を行ってきているところでございます。  例えば、文部科学省の科学研究費補助金によります研究におきましては、先ほど委員御紹介ございました造船業や建築業など特定の労働環境における石綿じん肺の実態やその労働者の健康への影響に関する研究でございますとか、アスベストの毒性や発がんのメカニズムなど中皮腫発生の要因分析を行うための基礎的な研究などが進められてきているところでございます。これらの研究の科学的成果につきましては、学会や学術雑誌における論文発表などを通じ広く公表され、学会内での評価を経て学術的知見として蓄積されてきているところでございます。  それで、青、茶、白のアスベストについてでございますけれども、これまでの文部科学省が支援をしております科学研究費補助金によりまして行われてきた研究につきましては、アスベスト粉じんの暴露や健康被害などを調査する疫学的な研究が中心でございまして、青、白、茶色といったアスベスト種類、種別に着目をした研究については必ずしも多く行われてきていないというところであると承知をしているところでございます。
  44. 足立信也

    ○足立信也君 生体材料ですね、人体の材料、これは電子顕微鏡で見れば青、茶、白の区別はこれできます。ただ、普通の光学顕微鏡ではとてもできませんし、そこまでは必要ないというふうに考えているんだと思います。結論としては、青、茶、白を区別した研究結果はないわけですね。  そこで、厚生労働省、先ほどの労働安全衛生法のことなんですが、なぜ青、茶に対して白は、まあ安全だという判断でしょう、規制を加えていない。この改正の判断の根拠は何でしょうか。
  45. 小野晃

    政府参考人(小野晃君) お答えをいたします。  厚生労働省におきましては、先ほど先生も御指摘になりましたように、昭和四十七年、WHOのがん研究機関の評価で青石綿による中皮腫の発生のリスクというものが茶石綿、白石綿よりも大きいという評価がなされたところでございます。このため、当時、昭和五十年、特定化学物質等障害予防規則におきまして、これは石綿だけではなく石綿を含む化学物質について事業者の責務として代替物の使用等について努めなければならないということを規定をいたしました。  それから昭和五十一年、石綿粉じんによる健康障害予防対策の推進についてという通達を、これは都道府県労働基準局長に対しまして発出をして、その中で、石綿は可能な限り有害性の少ない他の物質に代替させること、特に青石綿については他の石綿に比較して有害性が高いことから、その製品を含め優先的に代替措置をとるよう指導するということにしたところでございます。  その後、さらに平成元年、一九八九年でございますけれども、青石綿それから茶石綿の使用禁止をWHOの方から勧告が出されました。そういうことを受けまして、青石綿及び茶石綿平成七年、優先的に規制をしたというところでございます。  なお、白石綿につきましては、昭和六十二年に同じくWHOが主要な石綿代替品について発がん性可能性があるというふうに指摘をしておったわけでございます。そういうこともありまして厳格な管理の下で使用ということを認めてきたわけでございますけれども、平成十三年にWHOが改めて主要な石綿代替品に対する発がん性の評価というものを変更したということがありましたので、我が国でも平成十五年にそれを踏まえて政令を改正をして平成十六年から製造等を原則禁止をしたと、こういう根拠に基づいてそれぞれの時点対策を打ってきたと、そういうことでございます。
  46. 足立信也

    ○足立信也君 ちょっと繰り返しになるかもしれません。  その七二年のIARCの、これは石綿発がん性があるということは言っているわけですね。ですから、白色も発がん性物質だとこれ言っているわけです。その点と、日本の研究のことを先ほどから述べましたけれども、八七年に白石綿のみが検出された中皮腫がある、これは明らかに環境暴露だという報告もあり、九〇年には発がん実験で白の方が茶よりも発がん率が高いというデータも出ている。二〇〇〇年には、先ほども言いました白石綿の推定過剰死亡数、これは肺がんでは一般の三倍、中皮腫では三・六倍、白石綿ですね。二〇〇四年、昨年の東京で行われた国際アスベスト会議では、中皮の組織に浸透するのは白の方が圧倒的に多いという報告もされています。  これは時代がかなり長きにわたっていっていますから、先ほど二〇〇一年に発がん性の再評価ということで変わったとおっしゃいましたけれども、それ以前からかなり多くの研究でやっぱり白も危険だということはずっと言われ続けてきているんですね。これがなぜ白だけがそのまま残されてしまったのかと、どうもやっぱりつくづく残念なんですね。  これからのことを、二〇〇四年以降の話をしますけれども、やっぱりここで気になるのは、二〇〇四年、昨年ですね、白石綿種類製品の輸入、製造、使用を原則禁止、しかしアスベストを含むシール材、含有率一%以下の製品は使用されたまま、アスベスト含有部品十九製品が製造されていると、電動自転車とか電気温水器とか。  この後気になるのは、やっぱりどうしても、白も、白色も危険性がある、高いんだって分かっていながら、二〇〇八年の全面禁止までに駆け込み的に使用されること、これがやっぱり一番怖いわけですね。これまで日本がやってきたのは、規制を少しずつ加えることによって使用実態がなくなったら禁止という法案を作る、そういうパターンで来たわけですけれども、まず禁止をして使用を思い切ってもうなくしてしまう、ダイナミックに。こういうやり方をしないと、まあ例を挙げて申し訳ないですけれども、やはり私の立場としては薬害エイズの反省がどうしても頭の中に残るんですね。期間を設けてそれ以降は禁止するというふうになった場合にやっぱり駆け込み的に使用してしまう。しかも、今残されている建造物にはまだ青も茶もあるでしょう。白色に関しては危険性が低いというわけではないわけですよ、やっぱり高いんですよ。この駆け込み的な使用を何としても防いでいただきたい、そのためには全面禁止をいち早く行うしかないと私は思っております。  なぜなら、その死亡者の予測です。資料がお手元にあるかと思います。これは一九九九年、トサバイネンという人の論文を日本のタカハシさんという人が引用して、それを二〇〇四年に森永さんが日本語に書いたものですね。ちょっと見方を説明します。  横軸が石綿の消費量、一年で人口分のキログラムで表しているわけですね。これ、日本は、上の表だけからまず説明しますね。縦軸が中皮腫で、これ罹患率、死亡率、人口百万対を出しているわけです。これは、中皮腫の場合は残念ながら罹患率がそのまま死亡率に直結するように、治癒率が非常に低いですから、ほとんど同じだと。それから、日本においては石綿消費量というのは輸入量とほとんど匹敵すると、こう出しているわけですね。一九九九年に、日本の石綿消費量に比べて死亡率は非常に低いんだと、日本の年齢調整死亡率は一・五、ヨーロッパの十分の一あるいは十五分の一だというふうに言われております。しかし、これは潜伏期をちょっと誤って計算してしまったということなんですね。  上の表から下の表に、これ私、色で書き加えたものなんですね。例えば左の緑、〇・六八キログラム・パー人口当たりの一年でという、〇・六八というのは一九六五年の石綿の輸入量です。右に移って、三・一、一九七四というのは一九七四年度の輸入量です。ここに日本は該当するわけですね。この黒い直線上の、日本が相当している中皮腫の死亡率に関しては、この時点では一・〇なんですね。そこで、イギリスやイタリア、フランス、アメリカ、ドイツというふうな数値を出して、これで相関直線を引いたところがこの直線上の値なんですね。  ところが、二〇〇三年の死亡率というのは人口百万当たり六・八です。これブルーの線で横に引いております。これが、潜伏期が四十年だとすると、これが一九六五年当時の、正確に言うと三十八年だとすると、一九六五年当時の消費量あるいは輸入量に相当するわけですね。というと、ここ、星印が書いてある、本当は一・〇ではなくて、この点なんですね、六・八。それをプロットし直して直線を引き直すと茶色の線、これが相関直線になるわけです。  ということで、一九七四年、これが最大の輸入量で三十五万トンのときですね。これから四十年、潜伏期三十八年と計算すると、二〇一二年にこの赤い線で直線の交差する点ですね、百万人当たり二十人が死亡する。つまり、二千六百人、あと七年後に二千六百人、それが一九七四年のデータを基に作ったところです。この状態が八九年近くまで十五年ぐらい続くわけですね。二千六百というのは私の計算上の値になるんですけれども、それぐらい増えていくんだということです。  ですから、駆け込み的な使用を今できる判断としてまずやめさせていただきたいということで、これからは今後の対応策について質問させていただきます。  先ほど労災に該当する方あるいは該当しない方の補償のお話が出ました。今までは中皮腫の死亡者は平成十五年度までで六千六十人、そのうち労災認定者数は二百八十四名。これを平成十五年度だけに絞りますと、八百七十八名が死亡して、そのうち八十三名が労災認定を受けていると。一割弱と、非常に少ないわけですね。  中皮腫原因の八割は、先ほどもありましたように、アスベストだろうと言われておる中で、労災認定が一割弱ということはどうも納得しかねる数値なわけですけれども、じゃその間の労災認定の申請をした方というのはどれぐらいの人数の方がいらっしゃるんでしょうか。
  47. 森山寛

    政府参考人(森山寛君) お答え申し上げます。  中皮腫につきましては、平成十四年度以降の申請件数を把握しておりまして、十四年度が六十一件、平成十五年度七十七件、平成十六年度百四十九件でございまして、合計二百八十七件でございます。なお、申請から決定までに年度をまたぐものございますので件数はずれますけれども、この三年間に業務上外の認定を行った二百七十五件のうち業務上と認定をいたしました件数は二百六十九件でございまして、その割合は九八%となっているところでございます。
  48. 足立信也

    ○足立信也君 ごめんなさい、九八%、それは認定者、申請分の。
  49. 森山寛

    政府参考人(森山寛君) 先ほどの申請件数と申請から決定まで年度をまたぎますので件数はずれますけれども、先ほど申し上げました三年間のうち、業務上外の認定を行った件数が二百七十五件でございまして、そのうち業務上と認定したものが二百六十九件、逆に業務外と認定しましたのが六件でございまして、業務上の認定がそうした件数のうち九八%であるということでございます。
  50. 足立信也

    ○足立信也君 分かりました。  ということは、申請をしたらということは、申請するからには相当な確実な根拠を持ってやられているわけでしょうから、九八%が認定されるということは、申請へのハードルが非常に高い、あるいは周知の段階で、まあ知らない方が多い、当然労働者はそうでしょう。また、事業所も知ってか知らずか、あるいは申請をどこかで拒否しておるのか、非常に申請者数が少な過ぎる。単純に考えても、ほとんど一割程度ですね、亡くなった方から考えると。  申請者がそもそもがそれだけ少ないということは、これは、この労災認定システムの周知の仕方ももちろんあるでしょうし、病気そのものと、それから中皮腫肺がんアスベストの因果関係の説明がどうもやっぱり行き届いていなかったというのは明らかなような気がいたします。それで、今のは労災関係で、この点につきましては、当然これから申請者は明らかに増えていく、これをやっぱり何としても真摯に対応するしかないんだなと、その点はつくづく感じます。  次は、その職業とは直接かかわっていない方についてなんですが、これは一九七二年に公衆衛生局長が「一般住民の検診についてはわれわれのほうで考慮する必要がある、」と、そういうふうに答弁されております。一九七二年ですから、ちょうど石綿発がん性が国際的に認められたときです。それから三十三年、いまだにやられていない。特にアスベストに着眼したと申しますか、はやられていない状況にある。  で、今後、一般住民検診、これはやられるおつもりがあるのかどうかですね。やられるというのは、今でもやっていますよと言われるとしようがないわけで、検診という、やっぱり石綿関連疾患に絞った検診ですね、そういう意味での検診をやられる予定があるのかと、その点をまずお聞きしたい。  それに併せて、一九七六年、特定化学物質等障害予防規則、この改正に際して、石綿関連労働者の家族あるいは住民、付近の住民被害例があるんだということがもう分かっているわけです。そして、地方に対して通達でそのような、つまり関連労働者以外の住民家族にそういう方がいらっしゃれば報告しなさいという通達があって、実際その報告が出ております。そういった住民家族の方、その後の救済はどうなったんでしょう。  その二点についてお伺いいたします。
  51. 中島正治

    政府参考人(中島正治君) ただいまの御質問のうちの前者の方につきまして、私の方からお答えをさせていただきたいと思います。  一九七二年当時の国会審議におきまして、当時の厚生省公衆衛生局長が、石綿取扱工場等におけるがんの定期検診等が実施されているのかという質問に対しまして、石綿取扱工場等が地域社会に粉じんをまき散らしたという状態はかなり改善されていると思うが、もし仮にそのような事態があれば、一般住民対策として健康管理の観点から当時の厚生省において考慮する必要があるといった趣旨の答弁を行っているところでございます。  これにつきましては、その後、今般、石綿に係る健康被害について関係企業から公表がなされるまでの間に、現に国内の石綿取扱工場等の周辺住民健康被害が発生し、住民検診の実施を考慮する必要が生じているものと認識すべき状況になかったというふうに認識しております。  今般、石綿取扱工場等に起因するとされる健康被害につきまして、労働災害問題、また環境問題として大きく取り上げられ、石綿取扱工場周辺住民の健康相談や検診の実施を求める声が出ているところでございます。この点につきましては、政府全体として取り組むべきとの認識の下、専門的かつ最新の知見を基に検討が進められているところでございます。  以上でございます。
  52. 小野晃

    政府参考人(小野晃君) お答えをさせていただきます。  当時の労働省では、先ほどもお話に出ましたけれども、昭和五十年、特定化学物質等障害予防規則を改正をして、石綿等の吹き付け作業の原則禁止、湿潤化等の、石綿の発生、発散防止等の規制の強化をいたしたところであります。  いわゆる工場等から地域に石綿が発散することによります二次被害というものを防止する措置としては、既に昭和四十六年にはこの特定化学物質等障害予防規則の中におきまして、局所排気装置、工場の中に設置いたします局所排気装置に外部に出ないように除じん装置を設けるように規制を既にいたしております。  それから、今先生御指摘の、昭和五十一年、家族、地域住民への石綿被害が発生した海外における事例を踏まえまして、石綿汚染した作業衣の家庭等への持ち出し防止をしっかり指導するということなどの措置を当時の労働省としては講じてきたところでございます。  先生の御指摘ありました個別ケース、通達を出して、それが実態において労働基準監督署、それから労働基準局、本省と、こういう報告をしてもらうということで、一部の例によりましてそういう報告が上がってきたということがございます。これは労働基準監督署レベルでは、関係の自治体、保健所等と連携をしまして実態把握をして、当然関係の自治体にも連絡をする、情報提供をするということをやってまいりました。  ただ、本省の段階で関係の省庁にそれを連絡したかどうかという点については、実は今回の検証の過程の中でも、いろいろ当時の文書、それから関係者等にも聞いてみましたけれども、そこは明確に確認はできなかったという面が確かにあります。  これまでも関係省庁間でいろいろな連絡会議等での情報交換を行ってまいりましたけれども、今の事例も含めましてより連携を密にしていく必要があったという点は否めませんので、今後ともよく関係省庁間の連携を今まで以上に密にしながらこの対策にしっかり取り組んでいきたいと、こういうふうに思っております。
  53. 足立信也

    ○足立信也君 前半部分の住民家族にそういう疾患が生じなかったと、必要が生じなかったというのは極めて心外で、まあその責任の一端は医師側にもあるかもしれません。喫煙とアスベストが重複した場合には肺がんの発生率が非常に高まるということで、医師の場合はどうしても喫煙と結び付けてしまうというのがあって、医療情報の聴取の段階でかなり問題があったというふうに私は反省するんですが、今まで必要が生じなかったというところは少しも反省がないなという気がします。  後半部分は、やっぱりこれはもう、今回の問題でもういろんな各方面から言われております関係省庁の間の縦割り行政の弊害だと、これは正にそのことが現れているんだと思います。聞くところによりますと、やっぱり環境省が主体となって今回のアスベスト問題、あるいは新法をやっていかれるということですので、是非そのリーダーシップを発揮していただきたいと、そのように重ねてお願い申し上げます。  すべての患者さんを救済するんだと先ほど大臣から御発言がございました。アメリカの場合、アスベスト救済基金は総額十四兆円と言われております。日本の石綿の使用量は大体アメリカの三分の一、これを考えると相当額が考えられるわけですけれども、アメリカの場合、その基金のといいますか、負担はアスベスト製造業者と保険会社ということになっております。アメリカの場合は民間保険ですからそれはそれなんでしょうが、日本は公的保険です。となった場合に、日本の国庫負担については、患者救済に対する国庫負担についてはどのようにお考えなんでしょうか、お願いいたします。
  54. 小池百合子

    国務大臣小池百合子君) アスベスト問題については既存の法律救済できない被害者方々救済するということで、先ほども労災のお話などございましたけれども、それだけではカバーできない例が多々あるということから、関係閣僚会合を開いた際に、基本的な考え方石綿による健康被害救済に関する基本的な枠組みということを取りまとめさせていただきました。それをベースにして御質問の給付金の財源についてもまとめつつあるところでございますけれども、その基本的枠組みで、石綿による健康被害関係する事業者に費用負担を求めるということと、救済のための基金の創設、その場合の公費負担の在り方について検討すると、このようにしているところでございます。  では、どういう形にするのかということでございますけれども、縦割りはいかぬという御指摘、そのとおりだと思います。そこで、関係府省の緊密な協力の下に、ただいま新法検討作業を進めているところでございます。  今、アメリカの例をおっしゃいました。社会的な背景なども違う、そしてまたフランスなどでもいろんなやり方がございます。そういった点などもにらみながらでございますけれども、費用負担の在り方についてもしっかりとスピード感を持って検討を進めまして、そして次期通常国会のできるだけ早い時期にその法案を提出してまいりたいと考えているところでございます。  公費負担の在り方についてはただいま検討中ということでございます。
  55. 足立信也

    ○足立信也君 はい。じゃ、速やかな検討をよろしくお願いします。  先ほどからもう会話の中でお分かりだと思いますが、もう企業が排出したアスベスト住民健康被害の因果関係を立証することというのはほとんど不可能なんですね。私のところには自分の自宅の住宅メーカーからどの部分にアスベスト含有製品が使われておりますという情報も来ておりますし、戸建て住宅のアスベストの使用状況については、それぞれ民家、その所有している住宅の状況は全部話行っています。  また、これから起こる解体、あるいはごみの焼却、運搬、それから清掃、これは沖縄の基地で清掃に携わっていた方が中皮腫になったと、清掃業者もそうですね。それから天井、これはもう吹き付けロックウールを始めとする、今は使われてないかもしれませんけれども、天井、一階と二階のすき間アスベスト含有製品が使われている。そこに入って仕事をする配管工事の人、配線工事の人、特に熱に関係するボイラー関係の人、これは区切りを付けるとどこにも付けられないぐらいすべての方が暴露している可能性はあるわけですね。  ですから、先ほどありましたように、一般住民検診、特に検診、検査の検の方ですね、石綿関連疾患に絞った検診というのをやっぱり是非やるべきだなと思いますし、日本のこの非常に低い検診受診率というのを今逆に言うと検診率を高めるあるいは一つのきっかけになるかもしれないと私は思っています。  確実に今、現時点でチェックできるのはヘリカルCT、高速度のヘリカルCTだと思います。これなんですが、そこで胸膜プラークを見付ける、その後フォローするのが一番の手だと思いますけれども、私の立場としては、是非そういうことを含んだ住民検診をやっていただきたいと、そのように思います。  そのことで欠かせないのは、やはり石綿関連疾患の登録制度ですね。特に中皮腫肺がんの早期発見のためには、関連疾患、先ほど言いました石綿肺やあるいは胸膜プラークの時点で登録しておかないと早期発見は不可能なわけです。この登録制度。  そしてまた、石綿関連疾患に罹患した場合は、その診療録ですね、過去の、これはもうレントゲン写真、検体、標本を含んで、その、潜伏期四十年だとすると半永久的な保存がどうしても必要。そういう制度を設ける予定があるかどうかということをちょっとお聞きしたいと思います。
  56. 小野晃

    政府参考人(小野晃君) 登録制度のまず件についてお答えをしたいと思います。  先生も御承知と思いますが、現在、がん登録の制度がございますけれども、これについては、がん全体の動向に関する実態把握を目的としているということ、それから、がんが発生した時点から登録、集計が行われるまでに通常年単位の時間差が生じて、今回御提案の趣旨の健康管理、早期発見を目的とした利用にはなかなかなじまないということで、御指摘の登録制度については、現在進められているがん登録とは別に、その実効性、実施の可能性等について検討する必要があるというふうに考えております。  なお、特に中皮腫につきましては、まずその実態をよく把握する必要があるということで、中皮腫で亡くなられた方あるいは療養中の方について、その職歴あるいは初期症状、検査所見等に関する調査研究を開始をいたしたところであります。こういった研究の中で中皮腫把握の在り方について検討していきたいというふうに思っております。
  57. 岡島敦子

    政府参考人(岡島敦子君) 診療録の保存の部分につきましてお答え申し上げます。  診療録の保存期間につきましては、医師法の規定によりまして五年間と定められていますけれども、継続的な治療など医学的に必要と判断される場合には、五年間の保存期間を超えても各医療機関において適切に保存されているものと考えております。  ただ、先生の御質問につきまして言いますと、石綿関連疾患につきましては、例えば潜伏期間が長いということに着目しまして半永久的な保存義務を課すということにつきましてのお考えだと思いますけれども、こうした場合には可能性のある患者を大変広く対象とすることになりますし、また結果的にすべての患者の診療録を半永久的に保管、保存するということになりますと、個人情報としての厳格な取扱いが必要な情報の保存につきまして困難な問題が生じてくるということも考えられますので、この点につきましては慎重な検討が必要ではないかというふうに考えております。
  58. 足立信也

    ○足立信也君 がん登録制度のことが出ましたけれども、この制度の一番の問題、現場での苦労している点は、人の配置がないということですね。この点も含めて検討していただければと思います。  時間がなくなりましたので、環境省、まあ環境委員会としては最後の質問になるかもしれませんが、概算要求でですね、来年度の、大気濃度調査に四千八百万、解体現場からのアスベスト飛散防止対策として解体飛散予防の徹底に二千二百万、飛散抑制対策の研究開発として二億円というふうに計上されております。このもう少し具体的な内容と、それから、その結果、排出基準、環境基準、まあ一般環境基準ですね、そういうことを設けるというところまで含んだ具体的な内容がありましたら、よろしくお願いします。
  59. 竹本和彦

    政府参考人(竹本和彦君) 来年度の予算要求につきまして、先ほど先生の方から御指摘のあった三つの観点から予算要求をしておるところでございます。  具体的には、アスベスト飛散防止全般の観点から申し上げますと、地方公共団体におきます測定技術者の育成事業としまして四十名程度のトレーニング対象考えておりますし、またモニタリング箇所につきましても四十五地域、延べ百二十地点をモニタリングをしたいと考えております。また、石綿飛散防止マニュアルの作成についても予算を充当してまいりたい。また、廃棄物処理技術につきましても、アスベスト廃棄物飛散性に応じた最適な処理方策を確立するという予算を要求してございます。  また、技術開発の観点からは、大気中のアスベストの濃度を迅速に測定分析する技術などを含めまして研究開発するための予算を要求しているところでございます。  もう一点の、今後この解体作業に係る排出基準の策定の方向性ということでございましたが、現在、先生御案内のとおり作業基準というものを設けておりますが、濃度基準の義務付けは行っていないところでございます。現在、専門家による検討会を設けまして、解体等の作業に対する規制の見直し、とりわけ、これはすそ切りというのを今設けておりますが、これを撤廃をし、幅広くこの対象にするという方向で御検討いただいておりますが、この検討の中で、測定の在り方についてもこの検討会で御議論をいただきたいというように考えておるところでございます。
  60. 足立信也

    ○足立信也君 時間なくなりましたので、廃棄法あるいは処理法、あるいは中皮腫の早期診断、治療法の開発、こういった点に関する質問は次回に回したいと思います。  最後に、大臣、日中韓の環境会議で出掛けられる予定と聞いておりますが、今……
  61. 福山哲郎

    委員長福山哲郎君) もう時間になっております。
  62. 足立信也

    ○足立信也君 はい。一番危険な国を御存じかということ、アスベストの問題で。  そこで、会議に臨む大臣の抱負、あるいは臨むお気持ちをお聞かせ願いたいと思います。これで終わります。
  63. 小池百合子

    国務大臣小池百合子君) 今週末、国会のお許しを得て、この三か国環境大臣会合へ臨みたいと考えております。それぞれ、気候変動とか循環経済、そしてまた黄砂の問題など多岐にわたって日中韓の環境大臣が意見交換、情報交換をする貴重な場でもございます。条約に入っているのは我が国だけでございますけれども、お互いそういったそれぞれの国民の安全、そして安心を守るための情報などは積極的に情報交換してまいりたいと、このように考えておるところでございます。
  64. 足立信也

    ○足立信也君 どうもありがとうございました。
  65. 加藤修一

    ○加藤修一君 公明党の加藤修一でございます。  アスベスト問題について質問をさせていただきたいと思います。  まず最初に、アスベスト除去対策等におきます国の支援措置について、ほかの委員からもお話がありましたが、特に中小企業への支援措置ということで、ある県におきましては民間建築物の一千平米以上の調査が終了し、現在二百平米から千平米の建築物調査が進められていると聞いております。しかし、二百平米以下の民間建築物の全容把握は、掌握は非常に困難で、ある県議会などでは除去に必要な資金の無利子融資、そういったものを創設して提案し、民間アスベスト対策の促進を図っていると。  また、大阪府におきましても、無担保で最高二千万とか、担保付きで四千万まで、最長十年間の、資金に余裕のない中小企業を支援すると、こういう形で従業員や近隣住民への被害拡大を抑えるための方策を考えているわけでありますけれども、改めて中小企業にこの辺についての今後の展開、施策の展開についてお聞きしたいと思います。お願いします。
  66. 鈴木正徳

    政府参考人(鈴木正徳君) ただいまの委員御指摘のこのアスベスト飛散防止、また除去等のための中小企業対策でございますけれども、現在、政府系三金融機関及び信用保証協会におきまして一般枠の貸付け、また保証制度の利用が可能でございまして、今、現段階ではきめ細かく御相談に応じているところでございます。  私ども、今委員から御指摘ございました金利また機関名、こういった融資条件についてより優遇する必要があるというふうに考えておりまして、私ども、現在でございますけれども、アスベストの除去等の対策を行う中小企業の方々対象といたしまして、中小企業金融公庫及び国民生活金融公庫の特別貸付制度の創設を関係省庁と今連携を取りつつ検討しているところでございます。できる限り中小企業の方々がこのアスベストの除去等の対策を講じやすいような融資条件を何とかつくってまいりたいというふうに考えているところでございます。
  67. 加藤修一

    ○加藤修一君 スピーディーに、効果的に対策を推し進めていただきたいと思います。  これは中小企業に限らないわけでありますけれども、また一般の住宅の関係についても言える話でありますけれども、首都圏直下型地震などがあった場合については、かつての阪神・淡路大震災のときにもこのアスベストが空気中に相当数拡散しているのではなかろうかと、そういうふうに言われたこともございます。そういった意味では、リスクを最小化することをやはり最大限努力していくということが極めて重要であります。  そういった意味では一般住宅の除去についてもいち早く対応を進めていく必要があるというふうに考えているわけでありますけれども、耐震化あるいはバリアフリー化ということも極めて重要な視点でありますけれども、このアスベスト関係についてもやはり積極的に対応していくことが必要ではないか。そういった意味では、国土交通省としてはどのようにこういった面についての対応考えておりますか。
  68. 和泉洋人

    政府参考人(和泉洋人君) 先生御指摘のとおりでございまして、一般の住宅に含まれておりますアスベストの除去につきましても非常に重要な課題でございます。これにつきましては、今年度新たに創設しました地域住宅交付金、こういった制度を使いまして、公共団体と連携してその除去等について国としても支援してまいりたいと考えております。  加えて、アスベスト除去につきましては、そういった支援以外に住宅金融公庫のリフォーム融資等も使うことが可能でございますんで、こういった部分につきまして広く公共団体、関係者に向けて周知を徹底して、その活用を促してまいりたいと、こう考えております。
  69. 加藤修一

    ○加藤修一君 十分な対応をよろしくお願いしたいと思います。  それで、一般の方々は、アスベストが含まれているのか、アスベストそのものがどういうものであるかと目視して分かるというのはなかなか厳しい場合も多いわけでありますけれども、今回批准いたしました石綿の使用における安全に関する条約、その中には、義務条項としてライセンス制度があることが必要であると。そういった意味では、アスベスト除去の現場における監督としては、環境省の方では特別管理産業廃棄物管理責任者制度、こういったものがあるわけでありますが、しかし、それとまた別の視点で、一般の方は建築物アスベスト建材が先ほど言いましたように使用されていてもなかなか判別が付かないと、そういったことがあるわけでありますから、そういったものにチェックができる人、判別ができる人、そういった対応を十分やっていくことが非常に私は大切ではないかなと、そのように考えておりまして、こういった面について、その窓口体制、そういった整備を更に強化拡充していかなければいけないというふうに考えておりますけれども、国土交通省といたしましては、こういった面については今後どういうふうに展開を考えておりますか。
  70. 和泉洋人

    政府参考人(和泉洋人君) 重要な御指摘だと思っております。  私どもとしましては、本年九月に社会資本整備審議会の建築分科会にアスベスト対策部会を設置しまして、消費者等からの相談体制の整備について検討を行っているところでございます。  具体的には、建物の所有者等から問い合わせがあった場合に適切に対応できるよう、アスベスト建材の使用状況についての調査方法を含む既存建築物アスベスト粉じん飛散防止処理技術指針、あるいは相談内容別の回答マニュアル、こういったことを内容としますアスベスト相談マニュアルを作成し、全国の公共団体、各地域にございますいわゆる建築住宅センター等の消費者の窓口、あるいは建築士関係の団体等の関係機関に配付することとしております。  また、今御指摘の相談に対応する職員や建築士等に対しまして、アスベスト建材調査方法や除去方法等に関する講習会あるいは研修会も実施することを考えております。  今後、関係する関係者始め関係機関と十分連携を取らしていただきまして、国民の相談への体制強化に努めてまいりたいと考えております。
  71. 加藤修一

    ○加藤修一君 厚生労働省にお聞きしたいわけですけれども、含まれているかどうかの、そのいわゆる分析の関係、あるいはそれにかかわる分析の能力を持つ人の養成等々を含めて、この辺については省の立場としてはどういうふうに考えておりますか。
  72. 小野晃

    政府参考人(小野晃君) お答えさしていただきます。  厚生労働省といたしましては、今先生御指摘の試験機関がやはり精度良く建材中の石綿含有率の分析が行えるように、現在社団法人の日本作業環境測定協会という社団法人がございますが、ここに委託をいたしまして、全国を八ブロックに分けまして試験機関に対する講習会を開催をいたしているところでございます。引き続き、こうした取組によりまして、分析調査の適正な実施が行われるように努力していきたいと思っております。
  73. 加藤修一

    ○加藤修一君 是非しっかりお願いしたいと思います。  それから、この無害化処理関係がございます。もちろんこれは溶融化して、あるいは固化するようなそういった処理をしまして無害化処理をやるという話も聞いておりますが、最終処分場に管理型の形で、その中になるべく飛散しないように処理を行うという方法もありますが、やはり私は最終的には無害化処理が非常に望ましいんではないかなと考えておりますけれども、ここについては環境省はどのように考えておりますか。  また、経済産業省、これは例えばフロンとこのアスベストを化学反応させて新しい物質を作り出して、それを新素材とかあるいは建築用材にしていくというそういう新しい技術も開発されてきつつあると、そんなふうにも聞いているわけでありますけれども、この辺を含めましてよろしくお願いしたいと思います。
  74. 由田秀人

    政府参考人由田秀人君) アスベスト廃棄物のうち、吹き付けアスベストにつきましては、廃棄物処理法に基づきまして特別管理産業廃棄物として溶融や二重こん包をした上での処分を求めております。また、アスベスト含有建材につきましては、本年三月に技術指針をまとめまして、できるだけ破砕しないなど、飛散防止を徹底して運搬や埋立処分することなどを求めております。  アスベストを含む家庭用品につきましては、去る九月十三日に市町村に対しまして通知を出しておりまして、そこでは、当面の対応として、他のごみと区別して排出していただきまして、破損しないように回収をすること、できるだけ破砕せずに、散水や速やかな覆土により最終処分をすることなどを要請したところであります。  さらに、これらのアスベスト廃棄物の安全かつ円滑な処理をするための溶融を含めます処理技術の開発につきましては、これを進めまして、様々な処理方法を確保してまいりたいというふうに考えております。  また、安全な処理システムの確保につきましては、昨年、改革、創設をさせていただきました循環型社会形成交付金の活用も含めまして検討をさせていただきたいというふうに考えております。
  75. 塚本修

    政府参考人(塚本修君) 先生御質問のアスベストの無害化に関する技術開発でございますけれども、この技術開発につきましては、今環境省の方からも御答弁ありましたように、廃棄物に係る技術開発の一環として環境省を中心に取り組んでいただいているというふうに理解しております。  経済産業省といたしましては、アスベストの全面禁止に向けたその代替化の促進ということに鋭意取り組んでいるわけですけれども、先生今お話のありましたフロン等でのアスベストの無害化技術につきましては、これは提案公募制度であります地域新生コンソーシアムの研究開発事業で、十六年度、十七年度事業の採択として現在実施をしておるというところでございます。  具体的に、平成十六年度の公募におきまして、群馬県の産業支援機構から提案がございましたフロン分解物利用の超省エネ型のアスベスト溶融装置の開発と、こういうテーマで採択をしているところですけれども、これはアスベストをフロンの分解物と混合することによりまして、通常であれば千五百度Cぐらいの温度にならないとアスベスト溶けないわけですけれども、六百度C近傍で融解するということで、そういう技術開発でございます。  そういうことで、現在、鋭意研究開発やられているわけでございまして、当省といたしましては、この研究開発の成果、大変期待しているわけでございますけれども、成果を踏まえまして、関係省庁等とも連携を取りつつ、この技術開発に取り組んでまいりたいと、かように思っております。
  76. 加藤修一

    ○加藤修一君 今の話というのは、地域を元気にさせる、活性化するという観点からの公募に対するコンソーシアム事業だと、そういう理解をしているわけなんですけれども、私は、アスベスト対策として二次被害が生じないようにしなければいけないと。そういった意味では無害化処理が極めて重要で、長期的、戦略的に私は対応していくことが大事じゃないかなと、そう思っているわけなんですね。  そういったことから考えますと、私は、経済産業省は環境技術の面においても相当の力を持っているわけですから、是非これはアスベストのこういった面における長期的、戦略的な対応を次年度の、新年度の予算措置の中でも十分考慮して是非取り組んでいただきたいと、こういうふうに申し上げている趣旨なんですけれども、どうでしょうか。
  77. 塚本修

    政府参考人(塚本修君) 先生御指摘のように、提案公募型ということでございますので、研究開発内容の優秀性やその事業化の可能性等を審査をして採択をしているということでございますけれども、今、無害化技術につきましてはこういう大変可能性のある技術開発が行われているということで、先生御提案の無害化についての更に幅広い研究開発については、環境省の無害化技術開発の動き等も踏まえて、当省としても適切に対応してまいりたいと思っております。
  78. 加藤修一

    ○加藤修一君 是非積極的によろしくお願いをしたいと思います。  次に、アスベスト条約の関係でありますけれども、条約のこの存在意義と義務について、また、八九年発効以来十六年間、日本は批准をしてこなかったわけでありますけれども、その具体的な理由について開示をお願いしたいと思います。
  79. 神余隆博

    政府参考人神余隆博君) お答え申し上げます。  この条約は、職場におきます石綿への暴露から労働者の健康を保護することを目的としたILOの条約でございます。この条約を締結することは、締約国が労働者の石綿への暴露防止対策を積極的に推進して、石綿の使用における安全を図るという見地から有意義であるというふうに考えております。  この条約の締結に伴う義務でございますけれども、まず第一に、石綿の代替化を促進すること、そして第二に、クロシドライト、青石綿及びその繊維を含有する製品の使用を禁止すること、そして第三番目に、石綿の吹き付け作業を禁止すること、第四番目に、労働者の石綿への暴露限界又は作業環境を評価するための基準を定めること、そして第五に、石綿に暴露されている労働者等が職業性疾病を診断するために必要な健康診断を受けることを確保することなどでございます。  御質問の、この十六年間批准しなかった理由でございますけれども、我が国はかねてより条約が求めております規制のかなりの部分は国内法令により実施をしてまいりましたけれども、なお条約の規定とは完全に整合していないところがございました。近年、関係法令の改正等が行われました結果、条約上の義務を完全に果たすことが可能となりましたので、その批准につきまして、さきの通常国会におきまして御承認をいただいたところでございます。去る八月十一日にはILO事務局に批准の登録をしております。  以上でございます。
  80. 加藤修一

    ○加藤修一君 ILOですから労働環境だけの話になっておりますけれども、今日の冒頭に大臣の方からはシームレスと、すき間なくやっていかなければいけないという話がありまして、そういった意味では、条約それ自体はまだまだ詰めていかなければいけない、そういう部分があるなという感想を持ちました。  それで、現在、これ批准している国の数ですね、それから、アジアの、太平洋諸国での批准状況というのはどういう状況でしょうか。あるいはさらに、このアスベストがどのぐらい使用されているか、その使用状況ですね、国別に。どんなまた対策というのが行われているか、かいつまんで、いろいろな国がたくさんありますから、かいつまんでよろしくお願いしたいと思います。
  81. 神余隆博

    政府参考人神余隆博君) お答え申し上げます。  まず、条約の批准状況でございますけれども、本年十月現在で、日本を含めまして、日本が入った結果、二十八か国がこの条約を締結しております。  次に、アジア太平洋地域においてはどうかということでございますけれども、これは我が国による批准が初めてでございまして、ほかにこの条約を批准している国はないというふうに把握をしております。  アジア各国における石綿の生産状況、使用状況等でございますけれども、残念ながらちょっと今具体的なデータを持ち合わせておりません。したがって、的確にお答えする状況にはございませんことをちょっと御了承願いたいと思います。
  82. 加藤修一

    ○加藤修一君 現在、我が国で起こっているこのアスベスト問題の状況というのは極めて深刻だということでございます。そういった意味では、アジア太平洋でどの程度使われているか、将来は日本と同じような状況が発生するということを十分考えなければいけないと思います。  それで、ILO加盟国のうち、百七十七か国のうち、わずか二十八か国しか批准されてないと。それで、世界最大のアスベスト生産国であるロシア、これは二〇〇三年に八十七万トンを生産して、そのうち六〇%を国内で利用しているという話でありますし、中国は三十六万トンを生産していると。これは私、今日この資料を入手できたものですから省庁と打合せはできなかったわけでありますけれども、あるいはさらに、アジア諸国が世界最大の輸入国である、世界需要の約四五%を占めていると。この論文の中身を確認しなければなりませんが、多くの先進国がアスベストの危険に気付き、禁止措置を採択している中で、アスベストメーカーは数百万ドルを投じてメディアキャンペーンを開始し、発展途上国でのアスベスト利用を促進しようとしていると、こんなふうにも書いてあるわけなんですね。  ですから、これは非常に、もしこれが本当のことであるとするならば、大変な話だと思うんですね。  一生懸命、日本はもうもちろん全面禁止ということでなっていくわけでありますけれども、一方、アジア太平洋の諸国、あるいはアフリカも当然含まれてくるわけでありますけれども、市場の拡大を目指してメーカー等が活動を展開しているという話でありますので、このインドネシア、タイ、フィリピン、ベトナム、インド、韓国、中国など多くのアジア諸国では、短期的、中期的にアスベスト利用が大幅に増加すると予想されていると。中東及びアフリカの消費が世界需要の二〇%を占めていると、こんなふうにも書いてございまして、そういったことを考えてまいりますと、将来的には我が国が陥っているような状況に陥る可能性が十分考えられると。  ですから、今からやはりこういった面については手を打たなければいけないと、そういうふうに思うわけでございまして、そういったことでは私はアジア太平洋アスベスト被害未然防止対策イニシアチブと、小池大臣が三Rイニシアチブということをおっしゃったように、別の角度からこういうイニシアチブを日本が率先してやる、そういう考え方があってしかるべきではないかと、こんなふうに考えているわけでありますけれども、外務省に聞くのが適切なのか、ちょっとこの辺は分かりませんが、よろしくお願いしたいと思います。
  83. 神余隆博

    政府参考人神余隆博君) ただいまのイニシアチブ、大変参考になるイニシアチブかと存じます。  アジアにおきましても、ILOの観点からいっても、まずこの条約に早く入り批准をするということが環境面においても実効的なその対策が取られることにつながると思いますので、望ましいと思います。その面での努力はしてまいりたいと思います。  他方、その域内、アジア域内で様々な政策、環境を含みますいろんな政策に関する対話がございます。そういったところにおきましても、外交の努力の一環として、このアスベストの問題の重要性について国際的な認識が深まりますように外交的な努力を強化していきたいというふうに思っております。
  84. 加藤修一

    ○加藤修一君 具体的に目に見えるような形でやっていただきたいと思うんですね。ですから、例えば関係省庁連携してやっていくことが当然望ましいわけでありますから、そういうイニシアチブをやっていくための検討会とか、そういう視点は非常に私は大事だと思っておりますが、これは質問通告しておりませんでしたが、この点についてはどうでしょうか。
  85. 福山哲郎

    委員長福山哲郎君) どちらへ。
  86. 加藤修一

    ○加藤修一君 外務省に。
  87. 神余隆博

    政府参考人神余隆博君) 関係省庁とも相談しながら、今御指摘のありました点を踏まえて相談をしてまいりたいというふうに思っております。
  88. 加藤修一

    ○加藤修一君 よろしくお願いしたいと思います。  それでは次に、予防原則の関係、予防的取組方法関係でございますが、先日、GEAという組織が会合を行いました。地球環境行動という世界的にも極めて大きいNGO、国連のNGOの組織でございますが、グローバル五〇〇というものもいただいた、極めて環境に対して懸命にやっているNGOでありますけれども、十四日が初日でありましたが、小池環境大臣はその中で、地球のいわゆる気候変動、国連の気候変動枠組条約、その紹介をされながら、原則の一つであります予防原則との関係性もあいさつの中でありました。非常にそういった意味では、この気候変動枠組条約は従来の条約にない、いわゆる予防原則を積極的に取り入れたものであるという理解を私はしているわけでありますけれども、一般的に我が国では予防的取組方法というふうに言っているわけなんですけれども、環境省の所管しております環境基本法の中でもこの面については記述を明確にしております。  大臣のこの点に関します認識についてお伺いしたいと思います。
  89. 小池百合子

    国務大臣小池百合子君) 委員環境大臣の任期の間に、大変この予防的措置についてということで御活躍いただきました。特に、環境ホルモンなどについて積極的にお取り組みいただきました。  原因となる行為とその結果もたらされます環境影響との間の因果関係の解明を始めといたしまして、科学的な不確実性の問題というのは常に存在をしているわけでございますが、その中で予防という考え方は極めて重要な認識であると私自身強く思っております。  この考え方環境基本計画で予防的方策として位置付けているわけで、長期間にわたる極めて深刻な影響あるいは不可逆的な影響をもたらすおそれが指摘されている問題については、完全な科学的証拠が欠如していることを対策を延期する理由とはせずに、科学的知見の充実に努めながら、必要に応じ予防的な方策を講じると、このようにこの環境基本計画に定めてあるところでございます。  こういった予防的方策という考え方、個々の対策、施策の中でも徐々に具体化されつつありますし、例えば化学物質対策などその一つであります。  今後ともこの更なる具体化に努力をしていかなければならないというふうに思っておりますし、アスベスト問題も含め、そして地球温暖化対策を含め、政府全体として環境保全施策の方向を定めるこの環境基本計画などでその考え方を整理して、また取りまとめていかなければならないと、このような認識を持っております。
  90. 加藤修一

    ○加藤修一君 それで、予防的取組方法、その関係でありますけれども、予防原則、政策と運用ということで、これは二〇〇二年でありますけれども、イギリスで、運用の方法を含めて一般的な原則ということ、あるいはガイドライン、そういったものを発表してございます。時間の関係上がありますんで割愛いたしますけれども、さらにカナダにおいても、改正カナダ環境保護法に基づきまして、その中で政府はどういうふうに言っているかといいますと、常に十分な科学的確実性に基づいて政策決定を行うことはほとんど不可能であると、また、ゼロリスクを保証することもできないが、科学的不確実性の存在下で政策決定を行わなければならない必要性が増してきたと。そういったことから予防原則を適用するための基本原則を作成しているわけなんですね。  ですから、私は何回かこれは取り上げてきているわけなんですけれども、やはり予防的な取組方法、これを社会の中の一つの仕組みとしてつくっていかなければいけない。その場合には、やはり導入していく場合、どういう場合に発動するか、そういったことも極めて重要なわけでございます。  環境省は、環境政策における予防的方策・予防原則のあり方に関する研究会報告書ということで、平成十六年十月にこういう形でまとめているわけなんですね。まとめるのに相当エネルギーが掛かったことは分かりますが、さらにこれを基にして、今回第三次の環境基本計画を慎重に審議しているというふうに聞いているわけでありますので、是非私は、予防的取組方法の導入、社会に導入するに当たって、あるいは発動するに当たっての一般的な原則というふうにきっちりと作り上げていくべきだと、こんなふうに考えておりますけれども、この辺については環境省はどのようにお考えでしょうか。
  91. 田村義雄

    政府参考人田村義雄君) お答え申し上げます。  ただいま加藤委員お触れになりました研究会報告、これは正に加藤委員の御指導を踏まえまして、諸外国や国際機関あるいは我が国における環境政策に係ります予防の考え方について、基本的な情報をもうすべてと言っていいほど収集いたしまして、今後の課題についても整理を行った上で昨年十月に取りまとめたものでございます。  もうその報告書の中には、それらの報告とともに、現行の環境基本計画に基づいて様々な分野で予防的方策、取組を推進していかなきゃならないと、また第三次環境基本計画の策定作業においてこれまでの状況を踏まえて予防の考え方を充実強化していくこと等が触れられておりますし、またこの報告をできるだけ活用したいと思っております。ホームページにも、今全文ダウンロードできるようにしておりますし、今、環境基本計画、第三次の環境基本計画の策定作業を正にやっておるところでございます。七月には中間取りまとめも行っております。総論的なものを中間取りまとめいたしましたが、この中におきましても予防的方策の重要性ということについてはるる触れております。  今、正に各論に入っているところでございますけれども、それぞれの分野におきましても予防的取組の重要性ということについても議論をし、またこれらの成果をきちっと、お触れになりました検討会報告も含めまして、第三次環境基本計画の中に書き込んでいきたい、記述していきたいと、そのように考えております。
  92. 加藤修一

    ○加藤修一君 よろしくお願いいたします。
  93. 市田忠義

    ○市田忠義君 アスベスト問題に関連して質問をいたします。  尼崎市に武澤眞治さんという方がおられます。この方は四十八歳なんですが、昨年八月、胸に激しい痛みを感じて県立塚口病院で検査をしました。しかし、そのときは結論が出ないで、今年五月、兵庫医大を紹介されて、診断の結果、悪性胸膜中皮腫ということでした。しかし、そのときには既に手術ができない状態で、抗がん剤治療をしますが脳に転移をして、つい先日、九月二十日に亡くなりました。  この武澤眞治さんという方は、十二歳から二十四歳までクボタの東隣にある団地に十二年間住んでおられました。また、一九七五年以降にクボタでアルバイトを二か月された。勤務は建材等のこん包、工場内の運搬、整理業務。武澤さんという方は大変まじめ一徹で、中央市場でウナギ職人の修業をしていて、将来自分の店を持とうと何十年も頑張ってこられた方だそうであります。しかし、その夢かなわず若くして亡くなったわけですけれども、もっと早く胸部CTの精密検査など有効な早期検診、早期治療が受診者負担のない国の制度として実施されておればと私考えるんですが、大臣、いかがでしょうか。
  94. 小池百合子

    国務大臣小池百合子君) いろいろと今、そういった患者さん、そして被害者方々のケースが挙がってきているところでございます。  アスベストによります周辺住民への健康被害実態、まず情報収集を行うということで、七月十二日の時点で、都道府県などに対しまして保健所などで健康相談事例の情報収集と報告ということをお願いしました。ちなみに、尼崎の保健所の所長さんにも私どもの検討委員会専門家会合の方にもメンバーにもなっていただいて、よく連携を取っているつもりでございます。  この結果、特に健康相談件数の多い尼崎市、そして尼崎市を含みます兵庫県については、関係自治体と協力して中皮腫で死亡された方々調査を実施することといたしておりますし、また尼崎市、それから被害者の方が多い佐賀県の鳥栖市などでも実施されております住民対象といたしました検診についても情報をただいま収集をしているところでございます。何人患者さんがいらっしゃるのか、どの地域に住んでおられるのか、その方々のそれぞれの職歴、経歴などでございますけれども、いずれにいたしましても、厚生労働省も調査をしておられますが、その厚生労働省の情報も共有をしていこうということでございます。そして、その上で、専門家の科学的な助言を得ながら分析を進めまして、健康被害実態把握を早急に行ってまいりたいと思っております。
  95. 市田忠義

    ○市田忠義君 質問時間がちょっと短いので、できるだけ答弁、端的に、簡潔に、御協力よろしくお願いします。  この武澤さんの場合、八月の下旬にお母さんがクボタを訪ねて、息子の命があるうちに認知してくれと、もう間に合わないと、そういう話をしたらクボタ側は、前みたいに出せない、出したら企業の責任を認めることになると、金一封ぐらいでしょうと、そう言われたそうであります。お母さんは、お金の問題ではないのにと、更に悔しさが増したと。  私は、やっぱりこういう場合、誠意を見せて、健康被害を出した企業がその責任を認めて、まず何よりもアスベスト被害者に誠実に謝罪すると、もちろんお金とかその他必要だと思うんですけれども、まず何よりも誠実に謝罪するというのが一番の誠意だと思うんですが、大臣、いかがでしょう。
  96. 小池百合子

    国務大臣小池百合子君) 国、そして企業、それぞれ今対応され、企業としてはそれぞれの考え方対応されておられます。また、国の責任についても、これまでの情報収集であるとかモニタリングなど、その各時点において当時の科学的な知見に応じて対応してきたところでございます。  今お話ございましたように、また中皮腫の患者さんの、大変不幸にも、その後治療方法がまだ見付かっていないこと、そして平均余命が大変短いことなどを考えますと、できるだけ早急に救済方法を国そして企業ともにどのような形ができていくのか。正に、先ほどからお答えいたしておりますけれども、スピーディーに、そしてすき間のない形で救済できる方法ということを一刻も早くまとめてまいりたい、そして来年、通常国会早い時期に新法としてお出しをしていきたい、このように思っているところでございます。
  97. 市田忠義

    ○市田忠義君 クボタの誠意のなさを大臣としてどう考えるかと聞いたんですが、お答えにはならなかったわけですけれども。  尼崎の被害というのは大変深刻で、奈良県立医大の車谷教授の調査によると、クボタ周辺住民の中皮腫による死亡率は、全国平均と比べますと、同工場の半径五百メートル以内で九・五倍、五百メートルから一キロメートル以内で四・七倍、異常に高いと、そう報告されていますし、尼崎市自身の死亡個票を基にした調査でも、十万人に三・六人が中皮腫で死亡していたと、これは全国平均の五倍に当たります。それで、こういう調査結果というのは工場と中皮腫との因果関係を私示しているものだと思うんですが、大臣、いかがでしょうか。
  98. 小池百合子

    国務大臣小池百合子君) クボタの場合でございますが、これまでどれほど労災関係の方が出てきたか、それぞれの工場とそして実際の被害者の数字、全国各地で出てきております。  私、尼崎に若干土地カンがあるので申し上げますと、特にクボタが多いというのは、町の真ん中にあるということですね。あと、その他の工場については、例えば田んぼのど真ん中にあるとかというようなところで、人口密集地に工場があったということがその被害者を大きくしてきたのではないか。これは、私は、科学的な背景とかではなくて、いろんな統計を見ておりますと、私はそのことが大きな原因だったのかなというふうに感じているところでございますので、どうかというふうにお聞きになるならば、今そのように、私、個人的な見解でございますけれども、申し上げたいと思います。
  99. 市田忠義

    ○市田忠義君 クボタは八月十七日に尼崎の市長に対して、当社は過去に石綿を使用し、従業員の多くに石綿疾病を発症させた企業として地域住民方々に対する社会的責任を果たす、こういう文書を出しているんです。しかし、問題は、周辺住民健康被害を与えているという加害企業としての責任が示されていないというところに私問題があると思うんですが、大臣は、九月十六日の閣議後の記者会見で、企業責任あるいはその負担を求める業種について記者から問われて、このようにおっしゃっているんです。  公健法同様、原因者の責任を問うというところが一番のベースとしてあると。分かりやすいのはニチアスやクボタなどです、これらのもう既にかかわっていることが明白であるところは、そこに加わっていただかないとほかが入れなくなってしまいますと。クボタに責任がある、因果関係明白だということを、明白にはおっしゃっていないけれども言外に、これ、どう取ってもそうだと思うんですけれども。  同時に、私、企業の原因者としての責任を問うというなら、国自らの行政の責任も明確にして救済に当たるというのが基本だと思うんですが、その国の責任についての考え方はいかがでしょう。
  100. 小池百合子

    国務大臣小池百合子君) 今、記者会見での私の言葉を出されたかと思います。企業の責任については原則としていわゆるPPP、汚染物質の排出者が環境汚染に対する責任を有するということでありますけれども、一方で、石綿による健康被害というのは、潜伏期間が非常に長いということ、それから暴露に係る原因者の特定なかなか難しいというような特殊性があるということも踏まえてその記者会見で申し上げさせていただいた。また、公健法ではないという点については、企業そのものがこの長い期間に倒産をしてしまうとかそういったことなどがあって、なかなかそこまでたどっていくのが難しいというようなことから、今回国がかかわってその救済策を作っていこうという設計をしているところでございます。  また、国の責任についても、旧環境庁に関して申し上げるならば、昭和四十七年以降、健康影響に関します情報収集モニタリングによります実態把握を進めまして、その各時点においてその当時の科学的な知見に応じた対応を行ってきたということが検証の中からも浮かび上がってきているわけでございます。  また、その平成元年排出規制の導入以前におきましても、それぞれの時点に応じて必要な対応を取ってきたと、このように考えているところでございまして、当時の環境庁について言うならば、こういった対応を行ってきたということを確認させていただきたいと思っております。
  101. 市田忠義

    ○市田忠義君 今、昭和四十七年以降ということを云々されましたけれども、実は昨年九月に東京地裁でアスベスト問題についての判決がありました。これは関西保温工業という会社のアスベストについての安全配慮義務違反についての不法行為責任を認めたという、そういう判決であります。私、その判決を読んでみましたが、こういう部分があります。少なくとも一九六五年、昭和四十年ですね、昭和四十年ごろまでには人の生命、健康に重大な影響を及ぼすことについて予見可能性があったと、にもかかわらず安全配慮義務を怠ったので不法行為責任を問うと、そういう判決でありました。言わば、その当時からアスベストの危険性というのははっきりしていたわけですね。  さらに、去年、二つの最高裁の判決が出ました。一つは筑豊じん肺訴訟判決、もう一つは水俣病の関西訴訟判決です。その二つの判決に共通しているのは、国の不作為が認定されたと。じん肺を引き起こすことを知りながら保安規制制限行使してこなかった。水俣病の原因がチッソの排水と分かっていたのに排水規制権限を行使しなかったと。  私は、アスベストの場合も、危険性が明らかになっていたのに製造、使用の全面的な規制が長期にわたって放置されてきたと。例えば禁止の時期ですけれども、毒性の最も強い青石綿の禁止は一九九五年であります。吹き付け作業の禁止は一九七五年に原則禁止になったけれども、アスベスト含有量五%未満は除外された、あるいは様々な特例規定があって除外されるものもあったと。一九九五年、一%以上の吹き付け作業を禁止したけれども、いまだに一%未満は法的には禁止をされていないと。私は、国の不作為という行政責任、明らかだと思うんです。企業の責任と同時に国の責任を明確にしない限り、私は被害者救済という場合でも中身のあるものにならないと。  そこで最後に、もう時間がありませんから、政府が公表した救済策の内容を見ますと、健康被害者に対する補償というんではなくて、単なる見舞金程度にとどまっている。更にこれから検討されるんでしょうけれども、クボタの在職中の労災補償は一人三千二百万円支給されていますが、中皮腫周辺住民ですね、これは一人当たり二百万円の見舞金で済まされていると。家族周辺住民には何の落ち度も責任もないのにアスベスト被害家族を失い今も苦しんでいると。これからも発症に不安を抱いておる被害者がたくさんおられるわけで、私はこういう被害者の立場に立った救済方法が必要だと思うんです。  ですから、加害企業と国が責任を自覚して、家族周辺住民に対しても労災補償と同じ水準で補償する、そういう制度にすべきだと。そのためには、企業と同時に国の責任を明確にしない限り、まともな補償、災害補償対策は出てこないというふうに思うんですが、最後に大臣から御答弁を求めます。
  102. 小池百合子

    国務大臣小池百合子君) 昭和四十七年以降のお話は先ほどさせていただきました。当時の科学的知見に応じて対応を行ってきたということを申し上げました。  しかし、平成元年排出規制の導入以前でございますけれども、専門家によります検討会において、当時の我が国環境濃度レベル状況などについて評価検討を実施し、また地方公共団体などに対して排出抑制配慮を文書で要請をいたしました。また、排出抑制マニュアルを作成して配付するといった必要な対応を取ってきた当時の環境庁流れでございまして、不作為があったではないかという御質問でございますが、あったとは言えないと考えているところでございます。  今、スピード感を持って、またシームレス対応策を考え救済考えていかなければならないということで進めているところでございますけれども、救済の在り方、中身のあるものにせよというお励ましだと受け取らせていただきました。  そこで、その中身として、対象者でございますけれども、石綿原因とする中皮腫肺がん患者のうち労災補償対象とならない方々でございます。医学的所見に基づいて認定を行い、認定された方々とその御遺族救済対象とするということで検討を進めさしていただいて、中皮腫方々についてはほぼカバーできるのではないかと考えております。  給付金の内容として、他の救済制度とのバランスにも配慮しなければなりませんが、医療費自己負担分であるとか療養手当遺族一時金、それから御遺族に対しての葬祭料給付ということも検討をいたしておりまして、額についてはこの後、財源などの大きなテーマもございまして、その在り方、事業者に費用負担を求めるということと、それから公費の負担の在り方、現在検討中でございます。  本来、新法というのは大変時間が掛かる作業ではございますけれども、ここはスピーディーに対応を、骨格を早く決め、そしてその中身をしっかりと詰めてまいりたいと、このように考えているところでございます。  いずれにいたしましても、すき間がなくスピード感を持って、そして安心できる制度を作ってまいりたいと、このように考えております。
  103. 市田忠義

    ○市田忠義君 時間来たので終わります。
  104. 荒井広幸

    ○荒井広幸君 荒井でございます。  生活する生きとし生けるものと言ったらいいんでしょうか、人間もそうですけれども、自然もまた生きているわけで、そうした人やそうした生きとし生けるすべてのものに未来を約束すると、そういう循環型の社会をつくるということは非常に大切なことだというふうに当然思うわけです。  そこで、今環境省で取り組んでいる一つの、地産地消の取組一つでもありますけれども、沖縄の宮古島で、あそこでサトウキビが取れます。そのサトウキビの糖みつを使ってバイオエタノールを作る、これをガソリンに三%、E3と、こう言っているようでございますけれども、混ぜながら走ると、いわゆる様々な面で地球温暖化問題を解決できますと同時に、農家の皆様方、なかなか内外価格差がある分野です、この砂糖というのは。  私は三年、農林部会でサトウキビの小委員長をやっておりまして、内外価格差が非常にあるものですから、実は国内の砂糖を使うお店屋さん、加工業の方々は安いのを入れたいんですが、そうなりますともう地域が壊滅します。そうすると、沖縄また鹿児島というのは安全保障上も非常に重要な地政学上の位置もありますし、食べていく方々が非常に、このサトウキビが主産業であります。食べていくのにも困る。最後は村がなくなってしまう、島がだれもいなくなってしまうと、こういうことになりますので、その内外価格差の分、安く入れた分上乗せをしながら、それをいわゆる生産者の手取りや、島で一つずつ砂糖を作らないと劣化してしまいますので、あの白い砂糖になるのは、いわゆる本土といいますか、本州に持ってきて作るんですが、島々でそれを一次加工しないといい品質の砂糖ができないと、こういうような限界もあるんですが、こういったことを見てきまして、いよいよ環境省でこの十月七日にその生産基地の竣工式、でき上がりとお祝いと兼ねて実証実験を始めていると、こういったことを聞いているわけでございます。  それらを今日はメーンに聞いていきたいわけですが、そのほかに、どういうバイオエタノールとガソリン、混合した実証実験をやっているのか。サトウキビの例を挙げましたが、どんな原料を使っているのか。そして併せて、石油とどう、比較して、比較優位という言葉をよく使うようでございますけれども、問題点と長所を簡単に御説明ください。
  105. 小林光

    政府参考人小林光君) E3、バイオエタノールをガソリンに混ぜた燃料のことでございます。今、委員御指摘の宮古島の開所式も私行ってまいりましたが、大変現地では、今委員御指摘のとおり、地元の方々が頑張っていろんな取組をされております。宮古島の話はもちろんといたしまして、御質問の第一点は、各地でどんな取組が行われているか、どんな原料を使っているかと、こういうことでございます。  環境省関係で申し上げますと、北海道の十勝地域、それから大阪府、それから今御指摘の宮古島、そして伊江島でそれぞれバイオマスを活用したエタノールの製造、それからE3、ガソリンに混ぜまして公用車に例えば使っていただくという事業を進めてございます。各省連携で進めているものもたくさんございます。  そのほか、農水省でも山形県で、そして岡山県では経産省がということでやっておりますが、こういった事業の原料という点でございます。  原料について申し上げますと、今申し上げました経済産業省関係の岡山県では、製材の廃材からエタノールを製造している。そして、沖縄県宮古島及び伊江島におきましては、これは、現状はまだ残念ながら外から来たエタノールでございますけれども、来年初めごろからは地元で生産されたサトウキビの砂糖を搾った後の廃糖みつからエタノールの製造を開始すると、こういう予定になってございます。  そのほか、将来的な話でございますが、先ほど名を挙げた大阪府では建設廃材、十勝では小麦、そして新庄ではソルガム、コウリャンですね、そういった国内のバイオマス資源を活用してエタノールを製造するという計画構想になってございます。  それから、長所ですが、当然京都議定書上、こういったバイオマスを使うのは二酸化炭素を増やさないという意味で、CO2フリーの計算になるというところが最大の長所でございます。短所といたしましては、実はその国内のバイオマス資源等々限られておりますから、今委員御指摘の費用の問題、そして供給量の問題といったところがこれからの課題かなというふうに承知をしてございます。
  106. 荒井広幸

    ○荒井広幸君 そうしますと、ちょっと通産省にお尋ねします。  我が国のガソリンの消費量はどれぐらいでございますか。そして、仮に、ガソリンに三%混ぜるのでE3、エタノールのEなんでしょう、このスリー、三%混ぜる、アメリカではもう一〇%、ブラジルも一〇%で可能で、走れると、実際に走っているんですが、そういったことで、三%バイオエタノールガソリン、混合ガソリンを用いると、どの程度ガソリンの消費量、先ほどは環境悪化のCO2の話でしたが、消費量はどの程度減りますか。  そしてまた、関連して、時間がありませんから、そもそも石油というのは燃料に使う、特にこの輸送用のものについては石油が非常に有効だったんですけれども、いろいろな転換の仕方が出てきて、いろいろな優位点が失われてきていますけれども、私はやっぱり、限られた石油というものはいわゆる石油化学原料として、ほかのもの、例えばプラスチックとかそれから薬とか、そういうものにこそ使ってこそ希少価値があるんだろうと、こういうふうに思うんですけれども、この二点について、どの程度ガソリンの消費量が減るのか、そして石油はできるだけ燃料に使うのではなくて石油化学原料に使って、もっと応用していった方がいいんじゃないかと、基本的な考えですが、その点、聞かせてください。
  107. 近藤賢二

    政府参考人(近藤賢二君) お答えを申し上げます。  まず、ガソリンの年間の消費量でございますけれども、過去五年のデータを取りますと約六千万キロリッターでございます。このうちの三%をエタノールに置き換えるということになりますと、単純計算では百八十万キロリッターでございますけれども、エタノールは熱量がガソリンに比べまして低いわけでございまして、これを換算をいたしますと、百十二万キロリッターのガソリン消費量が減少すると、こういうふうにお考えをいただいたらと思います。  それから二点目の、石油を非常に有効に使っていけということはもう誠におっしゃるとおりでございまして、私どもも石油を、貴重な資源でございますので、有効利用を図るということを重要な政策課題として考えております。省エネや代エネということもいろいろと進めて石油依存度を下げてきたわけでございまして、例えばこれまでの三十年の間にエネルギー分野における石油の依存度は八割から五割まで引き下げたわけでございます。三十年前の第一次オイルショックのころには八割でございました。今は五割でございます。それを二〇三〇年には四割まで引き下げたいと、こんなふうに今計画をして、政策を進めておるところでございます。  もう一つ具体的な例を申し上げますと、発電の部門、これが同じく第一次オイルショックのころは八割が石油だったわけでございますけれども、今では一割まで下がりました。これは何といっても原子力、天然ガス、こういったものへの切替えで石油を無駄に使わないように、石油しか使えないものにしか石油を使わないという考え方でございます。  一方で、輸送の部門でございますけれども、使用される燃料のエネルギー密度が高いということ、それから取扱いの容易性、安定供給性、供給の安定性、経済性といったことでなかなか、ガソリン、軽油に代わる燃料の利用はなかなか困難な分野でございます。  ただ、いずれにしましても、今おっしゃったとおり石油資源の一層の有効活用を図るということで、石油代替エネルギーが可能な部分についてはそういったことも進めますし、技術開発もしっかりやっていきたいと、このように考えておるところでございます。
  108. 荒井広幸

    ○荒井広幸君 じゃ、農林省にお尋ねしますけれども、いわゆる鹿児島と沖縄でサトウキビ、糖みつが出るわけですね。糖みつというのは砂糖を作る過程で出る。普通は畑に還元して若干肥料的に使っているものですから、普通全然使わなかったものなんです。そのものがどれぐらい取れるんですか。そして、それによってバイオエタノールにした場合、どれぐらいエネルギー化できるんですか。農林省、その点お願いします。
  109. 皆川芳嗣

    政府参考人(皆川芳嗣君) お答え申し上げます。  平成十六年度の我が国の生産されましたサトウキビからの糖みつの量でございますが、約四万トンぐらいでございます。これをエタノールの原料といたしますと、これは業界からの聞き取りでございますけれども、約一万キロリットルのエタノールの製造が可能というふうなことで試算されているというふうに聞いております。  例えば、これを沖縄県でE3ガソリン、三%混合ガソリンとして使用するとした場合、このエタノール量で大体沖縄県内での使用ガソリンの約半分のガソリンをこの三%混合ガソリンに代替することが可能の量というふうに承知しております。
  110. 荒井広幸

    ○荒井広幸君 こうしたことが非常にうまくまいりますとかなり温暖化にも、そしてまた農家の二次的なものにもなると。そして、これは毎年取れますから、当然のことですけれども、こう循環していくわけなんですが。  そこで、環境省お尋ねをいたしますが、今回の実験の中でどれぐらいのコストなのかということはもう大体目に見えているんですか。実は、ブラジルというのは圧倒的に安いんです。ブラジルはトウモロコシで取りますが、四十円ぐらいなんです。輸入して四十円ですから。ガソリン百三十円ですから。そうなりますと、今度はコストの問題、当然出てくる話なんです。ということは、実証実験の中で実はコストというものを考えていかなくちゃならないわけです。この点についてはどのように実験で検討しているのかどうか。そしてまた、そうした経済性の分析も十分行うことが必要だと、このように思いますが、併せてお尋ねをいたします。
  111. 小林光

    政府参考人小林光君) エタノールの経済性と、こういうことでございます。  実はまだ、製造の実験、これからということでございまして、製造設備も本邦初演というようなものもございます。そういう意味で、なかなか経済性をあらかじめ正直申し上げまして検討はしてございません。この実験の中でその検討をしていきたいというふうに考えてございます。  なお、これはもう委員の方が御承知のことかと思いますが、いろんな推計例は論文としてはございます。リッター当たり例えば八十円とか百円とか、そういったことでございますので、そういう意味でいいますと、税抜きのガソリン価格よりも現状では高いといった推定値が多いのではないかというふう承知をしてございます。
  112. 荒井広幸

    ○荒井広幸君 そうしますと、実はいいものがあるのに、当面の経済性でコストが掛かるものですから利用できないと、こういうことになるのかどうか。あるいはガソリンの値段は上がっていても、ガソリンの使っている量というのは減らないんですね、不思議に。結局、車頼みというようなことなのかなというような気もいたしますけれども、これは税制にも非常に両方の意味で重い意味を持つんですけれども。  大臣にお願いでございますけれども、是非経済性のものも併せて充実していただきたいのと同時に、通産省の方は技術そして税、補助金、特にNEDOなどを使いましてこうしたバイオエタノールの実験など、あるいはいろんな効率を上げるための構造改革の投資、これらをやっているんですが、どんどんこれを進めていただきたいと、この二つをお願いしたいというふうに思っております。  そこで、委員の皆様もいらっしゃるので、また大臣とも考え方を少し、私初めての委員会なので、私の所感を申し上げたりして、大臣にまた御意見をいただきたいと思っているんですが。結局、経済合理性でどんどん市場経済原理が進んでいきました。その中でこぼれる者、あるいは勝ち組、負け組、いろんな意味で言われてきている、私はそこに非常に異議を唱えている。市場は暴走をするものである、失敗をするものであると、こういう観点でありますので、一例を取れば、郵政というのはそうした市場の暴走に安全装置として、金融や物流や、そして生活全般、福祉の安全装置として機能していたのではないかということを実証してきたわけなんです。  ここで、ずうっと見ますと、生産の効率が非常に経済の指標でいましたけれども、環境効率ということを恐らく大臣がいろいろ言っていらっしゃると思うんですね。環境効率ということで、生産する上においても環境負荷を高めないことによる企業価値というものが実は非常に問われてきている時代であると。これはグローバリズムの一方の反省でそうしたことになっております。  特にCSR、あるいはいろんな言い方がありますけれども、SRI、企業の社会的責任、CSRと言いますけれども。企業は実はどんどんと課題をしょっているんだと、時代とともに社会をしょうんだと。今の村上ファンドなどに見られるようなものと随分違うんです。今のテレビというのは、非常にその意味では、マスコミというのは視野が狭いと思いますね。いわゆるいろんな表現の仕方をいたしますけれども、ステークホルダーという言い方をしますね。株主にも投資家にも顧客にも従業員にも、ウイン・ウイン・ウインになるようにするんだというんですね。ところが、地域社会にどう貢献しているかというようなことをどう評価するかということはどこにも出てこない、今度の買収劇を含めても。  それから、自然環境に対してはどういう生産工程やサービスを提供する中で負荷を小さくするか、そういう環境に対する配慮というものが全然出てこないんですね。これが今の日本の現状であり、世界の現状なんです。もっとそういったところに配慮することがなければ、私は、人間が生きとし生き、そして草花も自然もすべてがともに生きていくという環境はできない、このように強く思うんです。  それで、マルチステークホルダーエコノミーという概念がすごくあるんです。これは実は非常に郵政のお金の使い方に非常に似ているんです。これはどういうことを私、言うかと。SRIということなんです。これは社会的責任投資ということで、日本では今ほとんどはやっていませんけれども、株主が投資信託を買うんですね。自分の一万円、一万円、一万円、委員皆さん皆さんが出します。その一万円をこのお金によってどうやって投資するかというときに、これは分散投資をするわけです。そのときに収益性だけで買っていたのが今までです。リターンを求めたのが今まででした。  ところが、アメリカでは、今三百兆とも言われるぐらいの規模になってきているんです。どういうものかと。そこだけ抜き出すことはできないんですが、全体で、信託の中の。やっていることが人権を擁護している。やっていることが、自然環境に非常に配慮したことをその生産プロセスでもやっているし、製品もあるいはサービスもやっている。そういうものがすごく今評価されて、それを入れないと分散投資の投資信託が成り立たないという現状になっているんです。  実は、これを国が代替して財投という機関でこれを社会還元をしておったんです。ただ、その特殊法人が無理、むら、無駄、様々な問題を引き起こしたから、私は見直しはうんといいと思いますが、そういうところの議論なしにすべて悪だという考え方というのは非常に難しいんです。  郵便局にお金を預けたということ、簡易保険に入ったということは、今アメリカで流行されているいわゆるリスク、これをポートフォリオを掛けて低くするんですが、社会的な責任を、そして環境保全を、そして人権擁護を含めて様々な分野でそういうものを達成していこうという概念を国が代わってやっていたということなんです。こういう概念が後おくれなんですが、アメリカはSRIという概念で、社会的責任投資という形で今証券が広がってきているんです。これは私、大臣、非常に、総理とお考えを共有されるかもしれませんが、私は是非お考えいただきたいのは、実は日本の財投という考え方の民間置き換え版なんです。こういうことを私は申し上げたいんです。  一周おくれであるということは、全く一部分をとらえている。ある一部分、ある全体をとらえて、あるところをとらえた場合には、実は日本のそうしたお金の中身というのは、自分の預けたお金、入った保険が自分にローリスク・ローリターンで将来のために、健康のために使われると同時に、そのお金はSRI、社会的責任投資として、国が、いわゆる信託投資会社、そういったところでなくて国が社会還元ということを考え環境、人権、様々な分野で、いわゆる公共という言葉になじんでしまうんですが、回しておったということなんです。  ですから、そこを改善していく、もっと高い理想を求めてやっていくということはいいんですが、それらを全否定してしまうということは、このアメリカのリターンだけ求める中であったならば、そうしたところに対する投資を求める信託投資、投資信託という分野は育たない、これがアメリカの経済学の一つの答えなんです。こういったことを考えると、はるかにこの環境というものはそういったものになじむんですね。実はすべての胴元みたいなものです、役所で言うと、環境が。  言葉を少し選ばさしていただきましたけれども、「環境」の「環」というのは円であり、終わりのないもの、そして「境」というのは仏教の言葉からきているというふうに聞かされましたけれども、これは五感、体で感じるものと心で感じるものの対象をいう。そういうすべてのシームレスなものを取りまとめていくのが環境ですから、それぞれの分野のもの、それぞれの様々なものがあるものを助け合いというくくりで環境はすべてをまとめていくものじゃないか。助け合いという言葉をあえて私は使わさしていただきたいというふうに思います。  こんな観点から、是非とも大臣には御意見を、その点にはお尋ねをいたしませんけれども、このバイオエタノールの普及ということについて、実はすべてのものに対する助け合いという概念を大臣始め環境省がやっておられる。そういうところに、あの小さな島で台風に耐え、そして自然環境の中でサトウキビが一番適している、しかし収入はない、内外価格差というものに常に言われる。そういった中で、温暖化対策を併せて、人々そしてその島がずっと循環的に生きていけるわけです。  こういったことで、是非価格的な問題をクリアしながら、そして同時に、いわゆるE3ということではなくて、一〇%までこれを高めていくような施策が必要だと思います。どうぞ、大臣の御決意といいますかお考えを、バイオエタノールの普及についてお尋ねをさしていただいて、私の質問といたします。
  113. 小池百合子

    国務大臣小池百合子君) 荒井委員の御高説をしかと拝聴させていただきました。正に環境というのが中心となって世の中を引っ張っていくということ、もっと頑張れという意味で受け取らせていただいた次第でございます。  ちなみに、このバイオエタノールに関連して、そして沖縄のサトウキビの役割について、冒頭にお述べになったこと、私はもう全く同感でございます。沖縄という島の中でどうやって沖縄の人たちが元気に暮らしていけるのか。やりがい、生きがい、それがサトウキビという作物を毎年植えていくことによって、それが元気の源でもあり、また経済の基盤にもなるということで、それをまたE3の実験の材料にしていこうということでございます。沖縄も担当いたしておりますので、その意味では、サトウキビがただお砂糖に代わるというだけでなく、広く環境にも貢献をするという、そちらのウイン・ウインの方向で進めてまいりたいと考えているところでございます。  ちなみに、最近のシカゴ市場などで粗糖の値段が高騰してきているということを言われております。これは原油高に合わせて連れ高になっている。つまり、サトウキビが原料であると、エネルギーに代わるものであるということで連れ高になっているというのが正にE3のポイントを表しているのではないかと思っております。環境と経済の統合を進めてまいりたいと思いますので、どうぞよろしく御協力のほどお願い申し上げます。
  114. 福山哲郎

    委員長福山哲郎君) 本日の調査はこの程度にとどめ、これにて散会いたします。    午後一時散会