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2005-10-20 第163回国会 参議院 外交防衛委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十七年十月二十日(木曜日)    午前十時開会     ─────────────    委員異動  十月十三日     辞任         補欠選任      谷合 正明君     澤  雄二君      井上 哲士君     緒方 靖夫君  十月十四日     辞任         補欠選任      那谷屋正義君     犬塚 直史君  十月十七日     辞任         補欠選任      犬塚 直史君     富岡由紀夫君  十月十八日     辞任         補欠選任      富岡由紀夫君     犬塚 直史君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         林  芳正君     理 事                 浅野 勝人君                 三浦 一水君                 山本 一太君                 榛葉賀津也君                 柳田  稔君     委 員                 愛知 治郎君                 岡田 直樹君                 谷川 秀善君                 福島啓史郎君                 山谷えり子君                 浅尾慶一郎君                 犬塚 直史君                 今泉  昭君                 佐藤 道夫君                 白  眞勲君                 荒木 清寛君                 澤  雄二君                 緒方 靖夫君                 大田 昌秀君    国務大臣        外務大臣     町村 信孝君        国務大臣        (内閣官房長官) 細田 博之君        国務大臣        (防衛庁長官)  大野 功統君    副大臣        防衛庁長官   今津  寛君        外務大臣    谷川 秀善君        財務副大臣   田野瀬良太郎君    大臣政務官        防衛庁長官政務        官        愛知 治郎君        外務大臣政務官  福島啓史郎君    事務局側        常任委員会専門        員        泊  秀行君    政府参考人        内閣官房内閣審        議官       山浦 耕志君        内閣官房内閣審        議官       井上 源三君        防衛庁防衛参事        官        小島 康壽君        防衛庁防衛局長  大古 和雄君        防衛庁運用局長  山崎信之郎君        外務大臣官房審        議官       遠藤 善久君        外務大臣官房参        事官       梅田 邦夫君        外務省総合外交        政策局軍縮不拡        散・科学部長   中根  猛君        外務省北米局長  河相 周夫君        外務省中東アフ        リカ局長     吉川 元偉君        外務省経済局長  石川  薫君        外務省経済協力        局長       佐藤 重和君        外務省国際法局        長        小松 一郎君        外務省国際情報        統括官      中村  滋君        国土交通省航空        局管制保安部長  北村 隆志君    参考人        独立行政法人国        際協力機構理事  小島 誠二君        財団法人日本国        際協力システム        理事長      佐々木高久君        立教大学大学院        教授       伊勢崎賢治君        防衛大学校国際        関係学科助教授  宮坂 直史君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○政府参考人出席要求に関する件 ○参考人出席要求に関する件 ○平成十三年九月十一日のアメリカ合衆国におい  て発生したテロリストによる攻撃等に対応して  行われる国際連合憲章目的達成のための諸外  国の活動に対して我が国が実施する措置及び関  連する国際連合決議等に基づく人道的措置に関  する特別措置法の一部を改正する法律案内閣  提出、衆議院送付)     ─────────────
  2. 林芳正

    委員長林芳正君) ただいまから外交防衛委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  昨日までに、井上哲士君、谷合正明君及び那谷屋正義君が委員辞任され、その補欠として緒方靖夫君、澤雄二君及び犬塚直史君がそれぞれ選任されました。     ─────────────
  3. 林芳正

    委員長林芳正君) 政府参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  平成十三年九月十一日のアメリカ合衆国において発生したテロリストによる攻撃等に対応して行われる国際連合憲章目的達成のための諸外国活動に対して我が国が実施する措置及び関連する国際連合決議等に基づく人道的措置に関する特別措置法の一部を改正する法律案審査のため、本日の委員会に、理事会協議のとおり、政府参考人として内閣官房内閣審議官井上源三君外十四名の出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 林芳正

    委員長林芳正君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  5. 林芳正

    委員長林芳正君) 参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  平成十三年九月十一日のアメリカ合衆国において発生したテロリストによる攻撃等に対応して行われる国際連合憲章目的達成のための諸外国活動に対して我が国が実施する措置及び関連する国際連合決議等に基づく人道的措置に関する特別措置法の一部を改正する法律案審査のため、本日の委員会独立行政法人国際協力機構理事小島誠二君及び財団法人日本国際協力システム理事長佐々木高久君を参考人として出席を求めることに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  6. 林芳正

    委員長林芳正君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  7. 林芳正

    委員長林芳正君) 平成十三年九月十一日のアメリカ合衆国において発生したテロリストによる攻撃等に対応して行われる国際連合憲章目的達成のための諸外国活動に対して我が国が実施する措置及び関連する国際連合決議等に基づく人道的措置に関する特別措置法の一部を改正する法律案議題といたします。  まず、政府から趣旨説明を聴取いたします。細田内閣官房長官
  8. 細田博之

    国務大臣細田博之君) ただいま議題となりました平成十三年九月十一日のアメリカ合衆国において発生したテロリストによる攻撃等に対応して行われる国際連合憲章目的達成のための諸外国活動に対して我が国が実施する措置及び関連する国際連合決議等に基づく人道的措置に関する特別措置法の一部を改正する法律案について、その提案理由及びその内容を御説明いたします。  この法律案は、平成十三年九月十一日にアメリカ合衆国において発生したテロリストによる攻撃がもたらした脅威が依然として存在していることを踏まえ、我が国として、国際的なテロリズムの防止及び根絶のための国際社会取組に引き続き積極的かつ主体的に寄与するものとし、もって我が国を含む国際社会の平和及び安全の確保に資することを目的として提出するものであります。  以上がこの法律案提案理由であります。  この法律案内容は、現行法有効期限を更に一年間延長し、施行の日から五年間とするものであります。  以上がこの法律案提案理由及びその内容でございます。  何とぞ、慎重御審議の上、速やかに御賛同あらんことをお願いいたします。
  9. 林芳正

    委員長林芳正君) 以上で趣旨説明の聴取は終わりました。  これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言願います。
  10. 澤雄二

    澤雄二君 おはようございます。公明党の澤雄二でございます。  最初に、小泉総理靖国神社参拝に関連してお伺いをいたします。  町村外務大臣は、この週末、中国訪問を予定されておりましたが、中国側拒否声明によって中止となってしまいました。極めて残念であるというふうに思いますが、この外務大臣訪中は、東シナ海ガス田開発に関する協議が主な内容だったというふうに聞いております。  実は私、先月の末に中国へ参りまして、ある中国の要人と話をしてまいりました。その方は、日中の外交問題についてはほとんど熟知をされている、また知っておられる方で、そういう立場の方でございますが、そのときに、この東シナ海油田開発についての話も出ました。その席でその方は、このガス田共同開発というのは、元々はトウ小平主席共同開発をやろうと日本側に提案されたものであるので、この油田共同開発については元々中国側は異論はないんだというふうにおっしゃっておりました。  また、もう一つの大きなハードルだと思われている境界線の問題でありますが、この境界線についても、この油田開発については棚上げにしてもいいと考えているというふうにおっしゃっておりましたので、この共同開発をやろうかと。それからもう一つは、そのために大きなネックになると思われている境界線の問題について、中国側考えの大変いい印象を受けましたので、もしこの週末、外務大臣訪中が実現をしていて外務大臣中国側を説得されたら、この油田開発についてはもしかしたら大きな前進があったかもしれないと思うと、ますます残念なところでございますけれども。  この東シナ海ガス油田開発というのは、資源開発にとって、我が国にとっても大変重要な問題でありますので、今後とも外務省としては中国側に粘り強く会談を呼び掛けられ、ガス田開発交渉を進められると思いますが、外務大臣の御所見をお伺いいたします。
  11. 町村信孝

    国務大臣町村信孝君) 委員指摘のように、十八日の午後、中国政府の方で受け入れる雰囲気にはないと、こういう趣旨の話があったようであります。  言うまでもなく、日中関係我が国にとって最も重要な二国間関係一つでございますから、そういう意味で、従来からも小泉首相はもとよりでございますけれども、この大切な二国間関係未来志向型でより発展させていきたいと、こういう基本的な考え方があるわけでございます。  私も今回伺って、この東シナ海だけではございませんが、今年の春から先方とこちらの方から持ち掛けまして、お互いにいろいろな分野での共同作業をやろうではないかと。仮称でありますけれども、日中共同作業計画というものを作ろうということでその詰めをずっとやってきて、それなりに詰まってきたものですから、その中にはこの東シナ海の話も含まれますけれども、様々なレベルでの文化交流学術交流、学生の交流等々、もちろん経済面も含まれます。そうした網羅的な共同作業計画をある程度まとめた上で、それを日中首脳会談につなげていきたいと、そんな思いがあり、そのことを話し合ういいチャンスであるなと、こう思っておりました。  しかし、現下状況でそれが、会談ができなかったのは残念な思いもしておりますが、一つの流れというものもあるでしょうし、時間というものもあるんだろうと、こう思っておりますが、引き続き先方とは首脳レベル会談を含めこういう、問題がもしあれば、あるときほど話合いが必要であるという基本的な私どもそういう考えでございますから、それは日中であれ日韓であれ日ロであれ日米であれ、どこでも同じだろうと思います。問題があるから話合いをしないということでは、これは国と国との関係が成り立たないと、こう思いますから、そういう意味で日中とも引き続き対話の努力をしていきたいと、こう思っております。  特に、今お尋ねのそのガス油田の話であります。境界線棚上げにしてよい、共同開発でいこうと、これが中国の方針であると、そこまで明示的な話はまだ彼らからは来ておりません。ただ、これも原理原則論みたいなことを言えば、お互いに、これは日中首脳間でも対立の海ではなくて協調の海にということを言ってきているわけでございますから、その精神にのっとってそれをどう具体化するか。具体論の話になると正直言って全く現状かみ合っていないわけでございますが、しかし、さはさりながら、かみ合わないところからスタートしてかみ合わせていくのがこれまた外交であろうかと、こう思っておりますので、引き続き双方の利益になるような形で解、答えを見いだしていきたいと、かように考えております。
  12. 澤雄二

    澤雄二君 こういうときほど対話、会話が必要だと言われた外務大臣のお言葉、全くそのとおりだと思います。いずれにしましても、東シナ海のこのガス油田開発につきましては日本にとっても非常に重要な問題でございますので、今答弁いただいたように粘り強く交渉を続けていただきたいというふうにお願いを申し上げます。  もう一つ靖国神社参拝に関連してでございますが、今度防衛庁長官にお伺いしますが、防衛庁でも様々なレベル中国若しくは人民解放軍との定期的な交流というのが行われているというふうに思います。現在、制服組も含めてどのような交流が定期的に行われているか教えてくださいますか。
  13. 大野功統

    国務大臣大野功統君) 中国という国は、北東アジアにおきまして大きな影響力を持っている国でございます。したがいまして、アジア太平洋地域の平和と安定という観点からは是非とも日中間防衛交流、このことを推進していかなきゃいけない、このことはもう澤先生指摘のとおり大変重要な問題だと思っております。  具体的に申しますと、例えば、二〇〇三年九月には前防衛庁長官石破先生中国を訪問しておりますし、また、昨年でございますけれども、日中次官級協議も行っております。同じく昨年、航空幕僚長訪中をしております。このようなハイレベル交流以外にも若手交流をどんどんどんどん進めておるわけでございますが、日中の佐官級レベル交流、このことは二〇〇一年から毎年定期的にやっておりますし、また中国人留学生の受入れ、あるいは研究や教育分野における交流というのを実施いたしております。  このようにあらゆる層の交流を進めていく、このことは私はやっぱりこの地域の平和と安全の礎である、このように思っております。私自身も昨年は、十月だったと思いますが、熊光楷中国参謀長会談いたしましたし、中国若手の皆様と長官室で小一時間ばかりいろんな意見交換させていただいた。やはり、相手がどのように考えているのか、こちらがどのように言っていくのか、お互い相互理解、これが私は一番大事なことだと思って、これからもそういうつもりで頑張っていきたいと思っています。
  14. 澤雄二

    澤雄二君 今御答弁いただきました定期交流について、そこに靖国神社参拝について何か影響って今出ていますか。
  15. 大野功統

    国務大臣大野功統君) 私は、影響が出る出ないというよりも、先ほども町村外務大臣がお述べになっていらっしゃいましたけれども、こういうときこそ一生懸命に防衛交流に励んでいかなきゃいけないんじゃないか。そういう意味で、小泉総理自身日本として日中友好日韓友好アジア重視は変わりませんということをおっしゃっていますし、私自身中国との間で防衛面での対話及び交流を今後とも積極的に是非とも進めていきたい、このように思っているところでございます。  例えば、今年の十一月十八日、十九日には自衛隊音楽まつりがあります。この音楽まつり中国軍楽団が来ることになっておりますが、是非ともこれを実現させていただいて、音楽、要するに自衛隊中国の軍隊の奏で出すハーモニー、こういうものからこの地域の安定と平和が響いてくる、このことを大いに期待しているところでございます。
  16. 澤雄二

    澤雄二君 様々なレベル人民解放軍それから自衛隊制服組含めて交流があるということはよく分かりましたので、今防衛庁長官も言われました、先ほど町村外務大臣も言われましたけど、こういうときほど対話交流が必要だということでございますので、ハイレベルが難しくなったとしても、そういう以外のレベルでの交流というのはできるだけ続けていただきたい。先ほど言われた軍楽隊ですか、それの来日も是非期待をしたいというふうに思います。  それでは、テロ特措法延長についてお伺いいたします。  最初防衛庁長官にお伺いしますが、もし今このOEFMIO海上阻止行動日本がやめたとしたら、運用面で一体どんな影響があるんでしょうか。
  17. 大野功統

    国務大臣大野功統君) これは、日本活動というのは大変国際的に評価されておることは先生御存じのとおりであります。  まず、日本給油活動をすることによりまして各国の艦船の寄港回数が減ってくる。港に寄って油を補給してもらってまた活動する、こういう寄港回数が減ってくることがありますから、これはOEFMIO活動効率性、これをぐんと高めていっている、このように私は思っております。  また、洋上で給油活動をするというのは、本当に、等距離で数時間にわたって並行して走行しながら給油するわけですから、非常に高い技術が要求されますけれども、この技術、高い技術を持っているのが自衛隊日本自衛隊でございます。こういう問題もあろうかと思います。  それから、意外なことですけれども、補給艦を持っている国というのは、たくさん持っている国というのは意外に少ないんですね。そういう意味で、日本、ただいま五隻持っておりますけれども、日本補給艦の数、これも考慮に入れていかなきゃいけないんじゃないか。  そういう意味で、特に申し上げたいのは、例えばイスラム教国家であるパキスタンですね。パキスタンというのは、やはり日本活動することによって大いに活動パキスタン自体活動している、こういう点も見逃すわけにはいかないのではないか。  こういう観点からしまして、もし仮に日本海上自衛艦補給活動がストップしてしまいますと、一つ計算ですけれども、一つ計算ですけれども、各国の艦艇が活動できる時間は約三〇%、三割減少するんじゃないか、こういう見方が国際的にあるわけでございまして、そういう意味で、テロ撲滅国際協力の中で日本は非常な意味のある活動をしている、このように私は思っております。
  18. 澤雄二

    澤雄二君 次に、外務大臣にお伺いしますけれども、今防衛庁長官が言われましたように、日本海上阻止行動というのは各国からも高い評価を受けています。現在、このOEFMIOには七か国、日本を含めて参加、それからOEFにはアフガニスタン内外で部隊や将校を派遣している国は四十五か国、こういう状況の中で日本がもし抜けたとしたら、外交的な影響はどんなことが考えられますか。
  19. 町村信孝

    国務大臣町村信孝君) 現下、このテロ対策というのは、九・一一以降時間はたちましたが、またいろいろな形で、例えば七月のロンドンの事件であるとかあるいはバリ島の事件であるとか、依然として大きな規模でのテロ活動が行われております。  そんなこともあるものですから、例えば七月のグレンイーグルズ・サミットでもテロ脅威の削減というのが大きなテーマでございましたし、またこれは私、小泉総理に代わって出席いたしましたけれども、九月の安保理首脳会合というのがございまして、そこの二つのテーマのうちの一つがこのテロ対策ということで、各国首脳がそれを取り上げるということでありまして、国際社会の中でテロ対策というのが非常に大きなウエートを占めている、関心を呼んでいる事項でございます。  そういう状況の中で、日本だけがこの海上阻止活動から撤退をするということになりますと、これはもう目に見える形で日本がその役割を放棄するということになってまいるわけでありまして、これはとても日本が責任ある国際社会一員として活動をしているということにはみなされなくなると、私はそう考えるわけでありまして、したがって、今後とも責任ある、信頼される国際社会一員としての日本はこの活動参加をしていく。今回一年延長ということでございますが、それは大変国際社会の中で重要な決断であるし、重要な活動の継続であると、このように私は考えております。
  20. 澤雄二

    澤雄二君 両大臣から御答弁いただきましたけれども、要するに、この日本海上自衛隊行動というのは、やめるにしても、それは相当な理由各国を説得できるだけの理由が必要なんだというふうに私は理解をしていますけれども。  次にお伺いするのは、先日の衆議院テロ特でもさんざん質問をされておりまして、いろんな方が同じ質問をされていましたが、もう一度質問をさせていただきます。  それは、今度のテロ特措法の法案は二年延長ではなくて一年延長にしたというこのテーマでございます。  防衛庁長官にお伺いいたしますけれども、この理由について官房長官は、さき衆議院テロ特で、アフガンにおけるテロ掃討作戦等々の進捗状況、同国の内外の情勢、国際社会によるテロとの戦いへの取組進捗我が国として果たすべき役割など、種々の要素を総合的に勘案して我が国として主体的に判断する必要があると、このように御答弁をされております。問題なのは、ここで官房長官が言われた主体的に判断をするというその判断内容だと思います。衆議院テロ特のやり取りを速記録で見ておりますと、この判断内容というのは、一年後にやめるんですか、また更に続行するんですかというようなことが焦点になっていたような気がいたします。  それで、私はちょっと違う視点で質問をしたいというふうに思うんですが、これ仮に一年後に撤退するかしないかという議論ならば、別に二年を一年にしなくてもいいわけですね、今まで議論されているように。基本計画は半年ごとですからいつでもやめることはできますし、それから法律の附則の中に期限以前にやめてとっとと撤退することは可能だよというふうに書いてあるわけですから、もし撤退することが主な理由だとしたら、一年にする理由というのは余り説得力がないかなという気がします。  そこで質問なんですけれども、もう少し前向きに考えて、一年後に今のテロ特措法で対応できない事態、つまり、もしかしたら新しい法律を作って対応しなければいけないというような事態が起きるかもしれない。官房長官さきに言われたいろんなことを総合的に検討した場合ですよ。そのことに備えるためには、二年ではなくて期限を一年にした方が日本は機敏に行動できるんじゃないかと、そういうふうに考えた方が分かりやすいし、前向きだというふうに私は理解をしています。  で、伺いますが、アフガニスタンは、今政治プロセスの進展とともに、治安回復を今やっているISAF、それからPRT、これ確実に活動が広がってきています。今後一年間の間に治安回復が想像以上に進展すれば、国際社会がもっともっとアフガン復興に関与していくフェーズに変わっていく可能性があります。そうすると、日本役割に対する期待内容も変わる可能性があると思います。  そこで、一年後に、先ほど官房長官が答弁された我が国が主体的に判断する内容に、自衛隊による人道復興支援活動というのもその検討の視野の中に入れられているんでしょうか、防衛庁長官にお伺いします。
  21. 大野功統

    国務大臣大野功統君) 大変洞察力の鋭い御質問でございます。  基本的に言いますと、アメリカのラムズフェルド国防長官が言っておられますように、テロとの戦いというのは、やはり冷戦のような息の長い、そして忍耐力の要る活動である、そういう中でやっていくのに二年の期限を今度は一年にする。この一年にする、長い戦いであるのに一年にする、これはやはりいろんな意味があるわけでございます。  一つは、今私は二つばかり申し上げたいと思うんですが、一つはやはり情勢の変化に対応していかなきゃいけない、こういう問題があります。それは、政治プロセスの進展の問題であり治安の情勢の問題であり、そしてニーズがどう変わっていくかというような問題、こういう問題があろうかと思います。  それに対応してもう一つ申し上げたいのは、やはりこのテロ特措法というのは、テロ特措法に基づいてインド洋で活動している海上自衛隊活動というものは、イラク・サマワで活動している陸上自衛隊活動に比べてややライトが当たらない、なかなか国民の目に見えてこない、こういう面もあると思います。だから、もっともっとこの日本がやっていることを国会で、この委員会で、あるいは国民の皆様に知ってもらって議論してもらいたい、こういう意味もあると思います。  しかしながら、今正に先生がおっしゃったように、テロとの戦いというのは軍事面だけの問題ではない。軍事面だけの問題じゃなくて、やっぱり貧困や飢餓が、人民を解放してそしてテロを終息させる、こういう意味もあろうかと思うわけでございます。また、学校や病院の建設をしていけば、やはりそこで民生が安定して、そしてテロを追放することになるかもしれない。あるいはその他の、為替の問題、為替制限の問題とか、いろんな手だてがあると思うんですね。その中で、日本は言わば各国艦船に対して給油する、水を供給するという活動をしているわけでありますが、そういうことも含めて、やっぱり広い意味テロ対策日本が主体的に参加していく、これは本当に重要な、必要なことであると思います。  このテロ対策というのはもう少し幅広い視野からも考えて、議論して考えてみたらどうか、こういう言わば余韻を残した私は一年だと思っております。
  22. 澤雄二

    澤雄二君 ありがとうございます。  それで、少し具体的にお伺いしますけれども、その一年間の間に状況の変化で何ができるかということなんですが。  先ほどもちょっと言いましたけれども、首都カブール周辺、最初はそういうことで、最近はその地域がどんどん拡大しているようですけれども、治安維持に当たっているISAF、国連治安支援部隊の活動があります。また、地方都市での治安維持や復興活動をしているPRT、地方復興チーム、この二つの活動、そのそれぞれの後方支援ということは一年後の検討対象に入るでしょうか。
  23. 大野功統

    国務大臣大野功統君) ISAF、PRT、これはともに、治安活動とそれから治安、人道支援と両方やっているという活動でございます。  そこで、パキスタンとの国境地帯におけるテロ掃討作戦のほか、ISAF、PRTなど国内の治安活動、治安維持のための活動が行われていることは御指摘のとおりでございますけれども、またその両活動が、ISAF、PRT活動パキスタンアフガニスタンの、アフガニスタンの安定と復興に大いに役立っていることも、これも高く評価されるものでありますが、日本にとってどうなんだろうか。これは法制上の問題が一つあります。  我が国の現在のテロ対策特措法の枠組みでは、ISAFやPRTに対する後方支援は、言ってみれば、九月十一日、九・一一テロによってもたらされている脅威の除去等という法律目的との関係上そもそも困難である、こういう解釈が成り立つわけでございまして、やはり現状ではそのようなことはしない、こういうことだろうと思います。  一年後にテロ対策特措法をどうするかにつきましては、テロとの戦い状況あるいは国際社会取組日本として果たすべき役割等を総合してその辺は考えていこうということでありますが、一般論として言いますと、やっぱり治安を含めた活動をやるということは、武力行使あるいは武力行使と一体となるという憲法上の論議が大きくありますので本当に慎重に考えなきゃいけない、そういう問題があろうかと思いますが、いずれにしても、そういうことを検討する際、先ほども申し上げましたように様々なニーズ、切り口から検討をしていく、そしてまた日本が主体性を持ってやっていく、このことが必要だと私は思っております。
  24. 澤雄二

    澤雄二君 アフガニスタン復興支援というのは、アフガンは御承知のようにもちろんイスラム国でございますので、ここの復興に成功したと、これに対して日本の果たす役割がすごく良かったという高い評価を国際的に得るということは、イスラム圏の復興でございますので、イラクを始めとした周辺の諸国に大変な影響を与えると思いますので、よく慎重にいろんなことを考えて検討をしていただきたいというふうに思います。  間もなく時間がやってまいりますので予定していた質問を少し飛ばさせていただいて、官房長官お見えでございますので官房長官質問をさせていただきますけれども、去年の十二月に、テロ対策について、これを未然に防ぐための対策として十六項目、政府はお決めになりました。現在実施されているものもあるかと思いますし、立法化の準備をされているものもあると思いますけれども、現在の進行状況について教えていただけますか。
  25. 細田博之

    国務大臣細田博之君) 今議員おっしゃいますように、テロ対策で最も重要なことは、これの未然防止であります。昨年十二月に官房長官を本部長とする、そして副本部長、国家公安委員会委員長村田大臣、そして各副長官、副大臣をメンバーとする国際組織犯罪等・国際テロ対策推進本部におきまして、諸外国の対応も参考にしながら我が国における対応を行動計画として策定したところでございます。  既に、スカイマーシャル、一般の民間航空機が飛んでいるときにハイジャック等の可能性もあるということで、それらを制圧するための任務の法執行官を警乗させるというスカイマーシャル制度を導入しており、旅館業者による外国人宿泊客の本人確認の強化等実施しているところでございます。  本年度におきましても、航空会社等による乗客の旅券、パスポート確認の義務化、あるいは東南アジア等への文書鑑識指導者の派遣とか爆発物等を輸入禁制品にすることによる輸入管理の強化、核物質防護対策の強化等、今年度に措置するものもございます。それから、十八年度までに措置を講ずるとされて決めております七項目ほどあるわけでございますが、指紋採取とか入国規制とか、それぞれ非常に難しい問題もありますが、これらをしっかりと行うことがテロの未然防止に貢献するものと考えて対策を進めておるところでございます。  また、個別の交通機関ごとにも、なかなか難しい交通機関等もあるわけですが、テレビカメラを導入して、常時警戒を怠りなくするなどの警備強化も行っているところでございます。  この御指摘の点が非常に大事なことであることを十分認識しながら対応しておるわけでございます。
  26. 澤雄二

    澤雄二君 今御説明ありましたように、スカイマーシャルですか、我々が乗っている飛行機に知らない間にそういう警察官が乗っていて守っていてくれるなんていうことを伺って安心をするわけでございますが、それにしても、七月のロンドンの地下鉄の爆破事件のときには、東京は大丈夫なの、日本は大丈夫なの、新幹線は安心なのという不安が日本じゅうを覆ったわけでございます。  今、官房長官が言われましたように、テロというのは未然に防ぐことが一番肝要でございますので、そこで最後に伺いますが、幸いにしてまだ我が国テロ攻撃受けていません。これからも必ず未然に防ぎますよという御決意を披瀝して聞かせていただければと思います。
  27. 細田博之

    国務大臣細田博之君) 議員おっしゃるとおりでございます。あらゆる可能性があるわけです。地下鉄サリン事件というような前例もありまして、本当に大変な経験をしたわけでございますが、あらゆる経験を加味しながら、しかもこれは海外でも多様なテロ事件が起こっておりますので、こういった情報を分析しながら各国とも共同して体制を整備しなければならない面もございます。テロリストというもののリストを国際的にもフォローすると。そういう人物が外国で逮捕されて、日本に入ったことがあるというような情報等もあるわけでございますが、これからもこのテロの未然防止に関する行動計画を中心にしながら、しかし情勢の変化に対応して柔軟かつ厳密にテロ対策を更に進めてまいりたいと考えております。
  28. 澤雄二

    澤雄二君 どうもありがとうございます。じゃ、よろしくどうぞお願いを申し上げます。  以上で私の質問を終わらせていただきます。
  29. 山本一太

    ○山本一太君 今、同僚の澤委員の方からテロ特措法延長問題については質疑があって、両大臣あるいは官房長官のお答えから、このテロ特措法一年間延長の必要性は十二分に私も理解をいたしましたので、特にこの件については余り詳しく質問するつもりはございません。一年延長に私は賛成です。  先ほど防衛庁長官の方からもありましたが、この自衛隊の、海上自衛隊補給活動は非常に大きな評価を得ていると、しかもテロ対策として非常に成果を上げているということで、そういう話でもありますし、また、本年の七月か八月だったと思いますが、自衛隊の練習艦隊がフランスに行ったときにフランス政府から燃料の補給を受けるというような話があって、これは恐らくインド洋で燃料補給を受けていることの返礼という形だったというふうに記憶をしていますが、非常にこれは国際的にも日本補給活動が評価をされているというシンボリックなエピソードではないかと思っています。  たしか、先月までにこの任務に携わっている自衛官の方々の数が九千人を超えたというふうに伺っていますけれども、かなり厳しい勤務状況の中で、正に日本の国益のためにこの任務を遂行している自衛隊員の方々に、政治家の一人として、国民の一人として敬意とそれから感謝の意を表したいと思っております。  官房長官、お忙しいようですから、どうぞ御退席ください。特に質問ありません。はい、大丈夫です。どうぞもう御退席ください。  それでは、町村大臣に幾つか御質問をさせていただきたいと思っています。  これも同僚の澤委員の方から先ほどありましたが、日中関係についてなんですけれども、先般、小泉総理靖国神社参拝をされました。参拝の形式についてはかなり私的参拝の色彩を強めるとか、いろいろと中韓を含めたアジア諸国に配慮をした形になったわけですが、当然のことながら、中国からも韓国からも反発が出ております。これについて大臣は、今年、例えば四月の中国における大規模な反日デモが起こったときと比べたら、あるいはまた前回の参拝の際に比べると、中国側のトーンも、もちろん批判はしていますけれどもある程度抑えたものになっているような気もいたしますし、韓国側の反応もやや異なっているような気がいたします。これはまあ、もう少し推移を見なければ分からないんですが、そこら辺の反応については、大臣はどう御分析をされているか、お伺いできればと思います。
  30. 町村信孝

    国務大臣町村信孝君) なかなかこの単純な比較というのは難しい面もあるのかなと思います。一回目、例えば三回目、五回目、数が増えることの量的効果と質的な効果と、効果という言い方は変ですけれども、影響と言った方がいいのかもしれません。それぞれあるから単純に違いは述べるのは難しいのかなと思いますが、しかし、今までのところ、とあえて申し上げますが、今までのところ、両国における反応というのは、メディアの報道の仕方あるいは人々の反応の仕方、デモ等でございますが、かなり抑制的な印象を現時点では私自身も持っているところであります。
  31. 山本一太

    ○山本一太君 靖国参拝について、余りこの件について細かく大臣質問通告をしていませんので、できる範囲で今お答えいただければと思うんですが、一つ私が疑問に思っているのは、この靖国参拝の問題というのは、大臣御存じのとおり、一九七八年にA級戦犯との合祀が行われて、その翌年の一九七九年に朝日新聞がこれを報道して日中で問題になったという性質のものだというふうにとらえております。  その後、八六年に中曽根元総理が公式参拝するまで歴代の総理は靖国参拝をして、これは私的参拝という形ではありますけれども、三木元総理も鈴木善幸元総理も靖国に私的参拝をしていると。  私の感覚からいくと、小泉総理は、これまでの委員会の答弁もそうですし、選挙中の様々なテレビ出演における総理のいろんな意見等々からも、これは私的参拝であって、正に小泉純一郎という個人の真情で参拝をしていると。しかも、総理は、あの戦争については、御存じのとおり、ジャカルタでのバンドン会議でも表明したとおり、これは過去の日本の誤った政策によって行われた戦争だと、非戦の誓いでいくんだということもはっきりさせているということになると、今回の総理の参拝というのは、一九八〇年代の初めに基本的には戻ったという形も考えられるんです。──ちょっと静かにしてください。そういう形も考えられるんですが、なぜ中国側がこれでなかなか収められないのかということについて、いわゆる世論のようなものが出てきたからなのか、あるいは少しこの問題がこじれたからなのか、この件については大臣はどういうふうにお考えになっておられますか。
  32. 町村信孝

    国務大臣町村信孝君) 時間とともに世の中も変わりますし、国際関係も変わりますし、それぞれの国の中の情勢も変わりますし、単純にそのころと比較して、八〇年代前半ですか、と比較して今がどうだということは、学者の分析としてはなかなか面白いテーマかなとは思いますけれども、外務大臣の立場で今それを明確に申し上げる、しかも中国の意図なり方針なりというものがもしあるとして、それがどう変わっていったかということを私が今類推で申し上げることは多分適切ではないんだろうなと、こう思います。
  33. 山本一太

    ○山本一太君 それでは、日中関係についての少し基本に戻って、町村大臣の基本的な認識といいますか戦略といいますか、そういうことを伺いたいと思うんですが、日中関係については日本外交はどういうアプローチをするべきなのかということについて大臣の基本的なお考えを改めてお聞きできればと思います。
  34. 町村信孝

    国務大臣町村信孝君) 大変重要な基本的な、基礎基本に関するお尋ねかなと思います。  現状は、それこそ先ほどお話に出たトウ小平さんの時代等々と比較しても、人の往来が四百万人を超える、貿易額も日米貿易を超える世界一の日中間貿易になってきた、様々な経済交流、人的交流が飛躍的に深まってきているということがまず現状は言えるんだろうと、こう思っております。  そういう中での日中関係、まして中国が急速に今発展しつつある国といったことを考えたときに、また地理的に隣国であるといったようなことも考えたときに、最も重要な二国間関係一つであるというふうに考えるわけでありまして、その考え方は、それは私個人の考えというよりは、むしろ胡錦濤、小泉、あるいは歴代の総理、先方の国家首脳との間で共有された認識であるというふうに考えております。  そういう重要な二国間関係でございますから、それを大切にし、維持発展をさせていくということは、我々政治家として、あるいは外務大臣として極めて重要な仕事であろうし、そのために最大限の努力をしていかなければいけないと、こう考えております。  ただ、さはさりながら、折に触れていろいろな個別の問題が起きてまいります。国と国の関係ですから、すべての問題で意見が一致するということは望むべくもないことだろうと思います。最も太い関係である日米間においても、折に触れていろいろな問題が起きてきたことは委員御承知のとおりでございます。それでも日米関係というものは崩れることがなく、揺らぐことなくしっかりとした日米友好関係を築きながら個々の問題をそれぞれ処理できてきたと思います。  そういう意味で、現在のこの靖国の問題について、確かに考え方が違う部分もあるわけでございますが、それがあるからといって日中間の様々な交流、様々な関係がそれによって瓦解をするほど私は今や日中関係脆弱なものだとも思いませんし、また瓦解させるようなことがあってはいけないし、そういう意味でこれからも更に引き続き双方が努力をして、相互理解、相互信頼の下にお互いの協力を拡大をし、より安定的な、より友好的な日中関係を築いていくことが大切だと、このように考えております。
  35. 山本一太

    ○山本一太君 町村大臣がこれまで外務大臣として中国と接してこられて、例えば教科書問題、歴史認識の問題、あるいは東シナ海の問題、大臣は極めて戦略的な視点で日中関係をとらえているように私は考えております。  やはり、どうも自民党の中には、日中関係について言うと、いつも思うんですけれども、三つほど学派がありまして、いわゆる親中派と強硬派と戦略派というのがあります。親中派は、どっちかというと毎年のように中国に行って、結構向こうでおいしいお酒を飲んで乾杯して帰ってくると。日中友好万歳と言って、大体部会に出てくると中国は刺激しない方がいいと言う方々であって、難しい問題は基本的に水面下でやればいいと言う方々は、時として外交当局の情報を向こうに流したりする、極めて戦略的な外交から遠い方々だと思っています。さらには、強硬派と言われる方々もおられまして、こういう方々の主張はどっちかというと、中国はモンスターだと、民主主義でない異質なモンスターにODAをやるのはけしからぬ、あしたからすぐやめろと、むしろ中国は分裂させた方が日本のためだと、こういうかなり強硬な意見もありまして、これも私は余り正しくないアプローチだと思っています。  やはり町村外務大臣は戦略派ではないかと。つまり、日中関係というのは、これはもうウイン・ウインの状態をつくるしかない、中国とは共存していくしかないと、こういう現実に立って、幻想を持たずに、言うべきところは言い、言わば国益が違うことを認め合って、ぶつけ合って解決をしていくということが最も適切なアプローチであると思いますし、これがやはりいわゆる町村外交であると思いますが、そこら辺についてはいかがでしょうか。
  36. 町村信孝

    国務大臣町村信孝君) いろいろな分類の仕方があるものだなと、こう思いますので、私があえて自らを戦略派だと自己分類をするつもりもございませんが。  いずれにしても、大切なことは、一方的に己の主張を言い合うだけ、あるいは一方的に先方の主張に従うだけというのでは本当の意味の友好関係は成り立たないんだろうと、私はそう思います。先ほど申し上げたように、それは中国のみならず、韓国であれアメリカであれ、やっぱりそれぞれ主張すべき点が、日本日本であるわけですし、先方先方の主張がある。したがって、我が方が言うべきことは言い、また先方の主張にも率直に耳を傾ける。それで意見が合う場合もあるし合わない場合もある。合わない場合はどうやってそこにできる限り一致点を見いだしていくのか。直ちにできない場合は時間が解決するということもあるだろうと思います。  いずれにしても、私は、小泉総理中国とけんかばっかりするみたいな言い方もされますけれども、私は、例えば昨年のチリでの胡錦濤主席との会談、あるいはこの四月のインドネシアでの会談、あるいは昨年の十二月でしたか、ラオスにおける温家宝首相との会談、非常に率直な議論をしておられたなと。細かいやり取りは公にされておりませんけれども、かなり見ようによっては激しい言葉でのやり取りがあり、しかし私は、そのことは、だからといって日中関係が崩壊するわけではないわけで、お互いの首相、首脳がそれぞれどういうことを考えているのか、なぜ小泉総理自らが靖国に参拝をするのかということをやはり率直に先方に伝え、先方のまた意見も聞くというところはお互いの出発点として大切なことなんだと、こう思っております。  ですから、戦略派かどうであるかは別にして、基本的にはやっぱりお互いの主張はし、相手の言うことも聞き、そこから何かを、建設的な答えを見いだしていくという努力をすることが、それぞれの国との関係をより良くする私は基本ではないだろうかと、そう考えているわけであります。
  37. 山本一太

    ○山本一太君 町村大臣は戦略派だと思います。  中国に対する戦略的なアプローチの中で非常に最近注目されているのが、資源外交といいますか、エネルギー問題だと思います。御存じのとおり、中国は急激な経済成長にエネルギーの供給が追い付かないということで、ここ最近はもうなりふり構わず資源の確保に走っていると。アメリカの某高官はこれを資源ナショナリズムと呼んでおります。  御存じのとおり、中国たしか海洋石油だったと思いますが、ユノカルを買収しようとして、六月か七月にアメリカの議会の反対で断念をしたり、そういう事件は非常に象徴的だと思うんですけれども、現在の状況ですと、どちらかというと中国が、例えば石油でも天然ガスでもそうなんですが、世界市場を考え行動しているというよりは、むしろ自国のエネルギー需要を満たすためになりふり構わずばくばく資源を食べている、供給源を囲い込んでいる、こういう状況があると思うんですけれども、外務省として、この中国のエネルギー戦略、なかなか八〇年代、九〇年代から実はかなり長期的なビジョンを持って行われているように私には映るんですけれども、これをどういうふうにとらえているのか、中国のエネルギー戦略というのは一体いかなるものなのか、それについて伺えればと思います。
  38. 梅田邦夫

    政府参考人(梅田邦夫君) お答えいたします。  最近の中国のエネルギー戦略に関しましては、二〇〇一年の三月に全国人民代表会議において策定されております第十次五か年計画の中にその方針が示されていると思います。中を少し御紹介させていただきますと、その時点で既に中国は、石油等の国内生産が既に経済社会の発展にこたえ切れないと、需給のギャップが日増しに突出してきていると。そのために、国内的には石油の節約に努め、石油や天然ガスの探査、開発のテンポを進め、国内外の資源を進んで利用する、活用する等の方針を示しております。  この方針を実現するために、例えば省エネ対策を通じまして、これは国内対策でございますが、エネルギー消費型経済を改善する努力をしておりますし、またエネルギー供給源の多様化、これは委員御承知のように、今石炭を非常に使用しておりますので、石油、天然ガス等、原子力も含めて多様化する努力、それからあと国内外への資源開発への投資等、積極的に進めていると承知しております。
  39. 山本一太

    ○山本一太君 今お話があったとおり、中国の資源政策といいますか、資源構造といいますか、石炭がかなり重要な地位を占めているということで、九三年から二〇〇三年の資料をざっと見ていたんですけれども、ずっと七〇%以上は石炭でエネルギーを賄ってきたということがはっきり分かるんですけれども、この石炭について言うと、まあ実は、御存じのとおり中国では石炭、クリーンコール技術ですかね、石炭を燃やしたときのいろんな環境問題に対処する方法が余りない。しかも、石炭の生産回収率というんでしょうか、何千もの炭鉱が全国にあるんですけれども、ほとんどちっちゃくて、事故も多くて、非常に中国側はここら辺を苦心をしていると。しかも、このままほっておくと、この石炭の問題というのは、中国ばかりでなくて恐らく日本にも影響があるような環境問題になるかもしれない。  こういう観点に立って、今ある意味でいうと曲がり角に来ている中国に対する日本のODA、こういうものをやはり中国に対するエネルギーの分野での支援にどんどんどんどん切り替えていくと。これによって、ある意味でいうと中国に対する外交のレベレッジというか、をきちっとつくっていくと、そういう考え方が外交当局にあるかどうか、お聞かせいただきたいと思います。
  40. 佐藤重和

    政府参考人佐藤重和君) ただいま御指摘がございました中国のエネルギー問題、そしてそれに伴って生ずる環境の問題ということは正に我が国にとってもかかわりの深い非常に大きな問題ということで、御承知のとおり、私ども、中国に対するODAの方針という基本的な方針を持っておりますが、その中でもそうした環境対策ということを最重点分野一つということに据えておりまして、実際にこれまで対中国に対する円借款事業あるいは技術協力事業といったODAの事業を通じまして、環境保護センターであるとか、あるいはそれを通ずるネットワークをつくるということ、そうしたことで大気汚染対策といったようなことを行っております。  また、例えば、今お話がありましたような石炭の問題、石炭をたいて生ずる環境汚染ということで、これについていろいろな形での技術協力あるいは資金協力を行っておりますが、例えば、今行っておる円借款の事業の中では、内蒙古で石炭をたいて非常に大気汚染が大きいということで、これを天然ガスに転換をするということで、そうした供給施設の建設に対する協力と、こういったようなことも、これは円借款でございますが、ODAを通じて行ってきているということでございます。
  41. 山本一太

    ○山本一太君 私、この間ある電力会社の偉い方と御飯食べて中国の話をしたんですけれども、今のペースで中国が石炭を使っていくと、特に昨年の石炭の需要の伸びの四割ぐらいは全部中国が使っていると、このまま石炭を使っていくと、例えば重慶みたいなところは環境問題がひどくなって人が住めなくなるんじゃないかと、こういう話がありました。  中国が今やろうとしているのは、代替エネルギーといいますか、石炭に代わるやはりエネルギー供給源を見付けるということで、原子力に非常に注目をしていると。今中国は、たしかロシアとフランスともう一か国ぐらいの国々から技術協力を受けて原子力発電所の建設をしていると。しかし、これを全土に広げていきたいんだけれどもお金がない。やはり外資を利用してこの原子力への転換を図っていかなければいけないということがあるんですが、特にやはり中国側期待というか、本当は欲しがっているのは日本とアメリカの技術だという話もその方から伺ったんですけれども。  そこら辺について、いわゆる、まあいろいろ微妙な問題かもしれませんが、中国の原子力開発についての技術協力みたいな話が今政府の中であるのかどうか、原子力を通じた協力みたいなものをやはり対中関係の中で戦略的に使っていこうというそういうマインドがあるのかどうか、これを最後の質問にしたいと思います。
  42. 中根猛

    政府参考人(中根猛君) お答え申し上げます。  原子力分野につきましては、先生御指摘のとおり、今中国は、電力需要の増加、それから環境問題への対応の一環ということで、原子力発電を拡大する計画を進めているということでございますけれども、日本としましては、こうした原子力発電所の特に安全という観点、これに資するべく、原子力施設の安全規制等についての情報交換であるとか原子力発電所における安全管理研修といった分野での協力をこれまでも経産省とか文科省が中心になって進めてきております。それが今の現状でございます。
  43. 山本一太

    ○山本一太君 終わります。
  44. 林芳正

    委員長林芳正君) 午前の質疑はこの程度にとどめ、午後一時まで休憩いたします。    午前十時五十七分休憩      ─────・─────    午後一時開会
  45. 林芳正

    委員長林芳正君) ただいまから外交防衛委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、平成十三年九月十一日のアメリカ合衆国において発生したテロリストによる攻撃等に対応して行われる国際連合憲章目的達成のための諸外国活動に対して我が国が実施する措置及び関連する国際連合決議等に基づく人道的措置に関する特別措置法の一部を改正する法律案議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  46. 浅尾慶一郎

    浅尾慶一郎君 民主党・新緑風会の浅尾慶一郎です。  午前中も少し話題になりましたけれども、靖国神社参拝関係を冒頭に伺わさせていただきたいというふうに思いますけれども、まず、町村外務大臣に伺いますが、午前中も御答弁いただいておりますが、この総理の靖国参拝の持つ日中関係への影響について、もう一度お話しいただけますでしょうか。
  47. 町村信孝

    国務大臣町村信孝君) 日中関係の重要性、先ほどるる申し上げたところでございますけれども、大変重要な二国間関係でありまして、今後ともより友好的な関係を維持発展をしていかなければいけないというふうに考えております。  ただ、日中間でいろいろな面ですべての問題について同じ意見というわけにはまいりません。これは、日中であれどこの国であれ、いろいろなテーマがあり、その都度意見が一致したりあるいは意見が異なったりする、その一つ一つがあるからといって全体の大きな関係というものを損ねてはならないと、こう思っているわけであります。  したがって、総理の靖国参拝中国あるいは韓国政府から厳しい反応が今出ているわけでございますが、この点につきましては、総理も累次記者団等にもお話をしておられるようでありますけれども、長い目で見て決してこのことが日中間の大きな妨げにならないであろうというふうには考えておりますが、短期的には多少の困難が発生をしているというのは事実であろうかなと、こう思っております。
  48. 浅尾慶一郎

    浅尾慶一郎君 靖国参拝の問題は、その他の日中関係にある問題と、当事者以外から見ても、若干違った目で見られているという印象を私は持っております。そのことが、是非は後ほど伺っていきたいと思いますが。  というのは、例えばヨーロッパの人、あるいはヨーロッパの人を読者と、対象とする新聞の記者なんかに聞いても、東シナ海の海洋資源の話とかあるいは尖閣諸島、場合によっては安保理の常任理事国入りといったようなことについては、日中の間にある様々な意見の中で日本の方に分があると思う、しかしながら靖国の問題については違うんではないかというような話を実はよく聞きます。  それはなぜかというと、ここから先がまず御質問に入っていくわけでありますが、靖国神社には御案内のとおりA級戦犯が合祀をされておりますが、政府の立場としては東京裁判は受け入れると、その判決を受け入れるということではなくて、東京裁判そのものを受け入れるという立場でよろしいんでしょうか。
  49. 町村信孝

    国務大臣町村信孝君) 日本は、国と国との関係において、サンフランシスコ平和条約第十一条によりまして、この極東国際軍事裁判所の裁判を受諾をしております。
  50. 浅尾慶一郎

    浅尾慶一郎君 我が国の中において、その議論について、当事者である中国、韓国ということではなくて、欧米の人と話をしても、それはそれで一つの理屈だねということは言われるんですが、東京裁判というふうに略称で申し上げさせていただきたいと思いますが、の構成する罪、罪は、いわゆるその前の国際法で確立している罪ではない、したがってそれに基づいて裁くのは公平ではないと。そういうことからそもそも靖国神社に合祀されたという経緯があるわけでありまして、私は、その理屈は理屈として、ある理屈があるんだと思いますが、ただその理屈が日本国内の中での独り善がりになっている。つまり、外国にその説明をしていないということなんだと思いますが、政府の立場からすると、そういう理屈は通らない、つまり東京裁判は受け入れる、したがって、これは宗教法人がやることでありますけれども、靖国神社へのA級戦犯の合祀も、それは宗教法人に干渉することはできないんでしょうけれども、必ずしも賛成ではないという立場というふうに理解してよろしいですか。
  51. 町村信孝

    国務大臣町村信孝君) あの東京裁判そのものの在り方、やり方等についていろいろ議論があることは私どももよく承知をいたしております。事後の言わば決めた規則で、考え方でそれ以前に起きたことを裁いていいのか。特に、平和に対する罪あるいは人道に対する罪という、それまでの戦争裁判にはなかった新しい概念を導入してこれを裁くということの是非というのは、確かにいろいろ議論があるということは私どもも承知をしております。  しかし、そのことと、私ども先ほど申し上げたようなサンフランシスコ平和条約でこの裁判そのものを受諾しておるわけでありますから、国と国との関係でこの裁判が不法であったとか不当であったということを異議を申し述べる立場にはないと、これが政府考え方であります。
  52. 浅尾慶一郎

    浅尾慶一郎君 私、なぜこういうことを伺っているかといいますと、靖国神社参拝をし、そこにA級戦犯が合祀をされていても、そもそもその裁判が法的根拠を欠くものであるから構わないのだというのも一つ考え方だということを先ほど申し上げました。その考え方で通すのであれば、その考え方を諸外国説明するのが一番分かりやすいやり方だというふうに思っていますが、そういう考え方には、それは考え方であるけれどもそういう考え方を外国説明はしないと。  東京裁判は受け入れているんだというふうに今お答えをいただいたわけでありますが、そうだとすると、あとは、A級戦犯が合祀されていても、これは、特に日中、日韓かもしれませんが、ほかの国も含めて、死生観の違いだということの説明をしないとなかなか理解をしてもらえないんではないかなと思いますが、具体的に外務省としてこの問題について、外国、これはどこの国とは限りませんが、死生観が違うと、日本の国民は分かっても外国の人が分からないことも当然あるんだと思いますが、そういう説明をした事例というのはありますか。
  53. 町村信孝

    国務大臣町村信孝君) すべての事例を私も知っているわけではございませんから、もしかしたら間違っているかもしれませんけれども、死生観云々という、あるいは宗教観とかそういう形で政府あるいは外務省が公式に発言をしたことは私は多分ないと思います。  そして、小泉総理もそのことは特に触れておられないわけでありまして、一私人としてどういう思い参拝をしたかということについて述べておられる。その理由は、今、長いから申し上げませんけれども、三つの理由で、不戦の誓い、感謝の気持ち、哀悼の気持ちという三つの思いを述べておられるわけでありまして、直接的に欧米の国、他の国とは死生観が違うということで、その参拝の正当性といいましょうか意義といいましょうか、それを総理が説明をしておられるのではないんだと私は理解をしております。
  54. 浅尾慶一郎

    浅尾慶一郎君 私の問題意識は、説明しているかどうかと今聞いたわけでありますが、そもそもいろんな国の論拠が、靖国神社についていいますと、それがいいかどうかというのは先ほど申し上げましたが、A級戦犯が合祀されていると、そこに対して参拝をするということについて、私は二つしか解決策はないんだというふうに思います。ほかにあるとするならば、またお答えいただきたいと思いますが。  一つは、冒頭申し上げました東京裁判というものがそもそも元々存在しなかった罪、罪によって構成されているからそれにはとらわれないんだという考え方。そしてもう一つは、それはそれとして受け入れるけれども、亡くなった限りにおいては後は、罪はそこで償ったんだからそういう考え方に立たないんだ、だからA級戦犯の方も合祀されているけれども、多くの無辜の軍人が亡くなったことに対して不戦の誓いでやっているんだと。いずれかの立場に立たないといけないんですが、どうも伺っていると、何となくその説明をしていないんではないかなというような気がしますが、これは説明をしないと、冒頭申し上げましたように、当事者であります中国や韓国以外の国々からも理解をしてもらえない問題なんではないかなというふうに思いますが、外務省として、対外的になるほどなと思えるような説明を今後考える用意があるかどうか伺いたいと思います。
  55. 町村信孝

    国務大臣町村信孝君) 今回の参拝直後であったかどうか記憶が定かでありませんが、その前のときに、国会の質疑かどうか、だったと思いますが、自分、自分はって小泉総理はですね、A級戦犯のみを対象にするとか、のみを対象としないとかいうことはあえて言いませんと。特定のそこに祭られている人を指してお参りするとかしないということではなくて、亡くなった方全体について言っているのであって、その中にA級戦犯が含まれているとか含まれていないということは申し上げませんと。たしかそういう答弁を、お答えを総理はしておられたような気がいたします。でありますから、強いて言うならば、死生観の方に分類をされるのかもしれません。ただ、そこは率直に言って余りはっきりとしない部分でもあります。  ただ、私どもとしては、いずれにしても総理がなぜ、どういう考えに基づいて、どういう資格でお参りをされたかということについては、例えば先ほどヨーロッパの新聞という話もありましたが、最近の何かニューヨーク・タイムズの社説も相当厳しい言葉での表現があったという報道も見ましたので、それについては相当な誤解とか、軍国主義を賛美する云々というステレオタイプのそういう批判もあるようでございますから、そういうことではないんだと、なぜ総理自身がお参りをしたかということについてはきちんと総理の発言を、多少敷衍をしながら外務省ホームページなり各国大使館等のホームページでそこは広報するように今準備をして、できるだけ早いうちにこれを載せようと、こう思っております。
  56. 浅尾慶一郎

    浅尾慶一郎君 極めて靖国神社参拝の問題については、日本の国内においても、そして中国、韓国においても感情的にとらわれている部分もあると思いますが、だからこそ論理的に説明できる形を取っておかないと関係日本中国、韓国以外の国から見ても少し日本にとって分が悪いことになるんではないかなというふうに思いますんで、是非、だれが見ても、感情的にではなくて論理的にああそういうことなんだと思えるような説明外務省としてしていただきますように要望いたしまして、次の質問に入りたいと思いますが。  この法案はいわゆるテロ特措法と言われているものでありますので、少しテロ全般について認識を伺っていきたいと思いますが、そもそもテロの定義、この法案で定義されておりますのは九月十一日のいわゆる攻撃ということでありますが、テロの定義と、それに関連していわゆる、いわゆるというか拉致の被害者はテロの被害者なのかどうか、そのことについて伺いたいと思います。その二点ですね。
  57. 細田博之

    国務大臣細田博之君) テロの定義はいろいろあると思いますが、自らの信条等によって特に無関係の他人、あるいはその信条から見て敵対すると信ずる他人の生命を奪ったり傷害行為に及ぶということがテロであろうと思いますが、サリン事件はどうかとかいろんな例がございますので、その定義はそのときそのときによって若干意味合いが変わってくる場合もあると思います。  北朝鮮による拉致は、先方の様々な事情等も伝わってくる中では、日本人の特定の人あるいは不特定の人を対象にこれを誘拐して、しかも多数の人を誘拐して、それを自国のためにいろいろ働かせたり様々な役割をさせるために行っておるということでございます。これは誘拐であると同時に、これが組織的にも行われていると解釈されますので、やはり大きな意味ではテロ行為であると、こう考えております。
  58. 浅尾慶一郎

    浅尾慶一郎君 これがテロ行為であるということになりますと、国連の決議の中で、テロ組織並びにテロ支援国家への送金は止めないといけないという、止めるという決議がありますが、もちろん国内法もようやく整備をされました。しかし、国内法の発動については日本国内だけでやっても効果がないという意見も出ているわけでありますが、国連決議もあるわけでありますから、止めようと思えば、日本単独ではなくて国際的に止めるということも可能だというふうに理解しますが、まずそういう理解で正しいかどうか、御答弁いただきたいと思います。
  59. 細田博之

    国務大臣細田博之君) 国際的な問題はあるいは外務大臣から御答弁されると思いますが、我が政府は、諸外国がどういうふうに言っているかは別として、これに対して何らかの制裁的措置を加えることが国際的に共同しなければ効果が小さくなるからやらないと、こういう立場は取っておりません。  また、我が国における法律においても、これはテロということを言っているわけではありませんが、そのような効果に着目して効果がないことはやらないというような立場はないと思いますので、そういう要件はないと思いますので、そういうことではございません。必要があると、政策的にも必要であるという場合には発動し得ることであると思っております。
  60. 浅尾慶一郎

    浅尾慶一郎君 今官房長官、その前にテロであるという御答弁をいただいたわけでありまして、私の質問は、政府がそういう立場に立っているか立っていないかは別として、幾つかの報道の中において、いわゆる送金停止を日本単独でやっても効果がないということが報道されたことがあります、政府が公式に発表したかどうかは別として。それは、私は別に日本単独でもあるメッセージにはなると思っていますが、しかし先ほど申し上げましたように国連決議があるわけですから、単独ではなくて、テロであれば諸外国と協調して止めることができるんではないかと。ですから、そういう理解で正しいか正しくないかということをまず伺ったわけであります。
  61. 町村信孝

    国務大臣町村信孝君) 今、日本は制裁をするかしないかという議論は前々からこれはあるわけであります。対話と圧力という言い方をしております。今正に対話がまた再開をされようかという時点でもございますから、今直ちに私どもは拉致に関連して制裁をするという考えは取っていないわけでございます。
  62. 浅尾慶一郎

    浅尾慶一郎君 私の質問はそういうことじゃなくて、送金停止をする法律はできましたと。それを日本単独ではなくて、国連決議もあるんで、日本が送金停止をするときにはテロであるという認識もあるわけだから、諸外国にも協調を国連決議に基づいて申入れをすることができますねと、そのことを確認してくださいということであります。
  63. 町村信孝

    国務大臣町村信孝君) 今、これは重大な人権侵害だということで人権委員会等で議論になり、決議なりが出、それが安保理に上がるかどうかというようなところがあるわけでありますが、今直ちにこれが北朝鮮のテロ活動といいましょうかね、これをもって直ちに制裁を発動するという話にはなっていないと僕は理解をしております。
  64. 浅尾慶一郎

    浅尾慶一郎君 いや、私の質問をもう一回申し上げますが、今それを、送金を止めろとか止めるなとかそういうことを申し上げているわけではなくて、法律の、あるいは国連決議の枠組みの中で、日本が送金停止を発動したときには、かたがたそのテロ支援国家ないしはテロ支援組織に対しての送金は止めてもいいという、止めるべきだという国連の決議がありますから、日本が止めることを決めた暁にはそのことを諸外国に対しても求めることができますねと。できるかできないかということを聞いています。
  65. 町村信孝

    国務大臣町村信孝君) このテロに関する安保理決議一三七三というのがあるわけでございますけれども、これは米国の同時多発テロ直後の九月二十八日、二〇〇一年九月二十八日に採択をされたものでありまして、テロ一般でやっているわけじゃなくて、これは米国の同時多発テロに関して、じゃどういう対応を取るかということを加盟国に求めていると。テロリズムの、あるいはテロ行為の定義というのはここにはなくて、この二〇〇一年九月十一日の行為についてはこれはもうテロだと、こう定義付けているわけであると思います。  したがって、この一三七三に基づいて直ちにこの北朝鮮に対して送金停止を含むもろもろの制裁ですか、これを今すぐとるという状況には国際的にもないと私は理解をしております。
  66. 浅尾慶一郎

    浅尾慶一郎君 もう一度事務局からも資料を出していただきたいと思いますが、その一三七三に限らず、テロリスト、特にいわゆるアルカイダに限らずテロリスト及びテロ支援国家に対する送金は停止ができる国連決議が、ちょっと安保理決議の番号は私の方で申し上げられませんが、あるわけでありまして、そのことはかつて我が国におけるいわゆる送金停止法案が成立する以前にも外交防衛委員会において質問をさしていただいて、そのことの確認は取れていることだと思います。もし事務局の方でその資料があれば、出していただければと思います。
  67. 林芳正

    委員長林芳正君) ただいまの件につきましては、後刻理事会で協議をいたします。
  68. 浅尾慶一郎

    浅尾慶一郎君 私の理解、もう一度申し上げておきますが、必ずしもその安保理決議はいわゆる九月十一日のテロリストのみを対象にした送金停止ではないということだと思います。テロリスト一般を対象にしない限りは、横の連携もいろいろあるわけでありますから、そのものだけを対象にしても余り意味のない決議だということだと思いますので、そのことを申し上げておきたいと思います。  次に、その拉致の問題についてもう一点だけ確認をさしていただきたいんですが、テロだということでありますが、同時に日本国内の人を連れ去ったということでありますから、当然主権侵害だということでよろしいですね。
  69. 細田博之

    国務大臣細田博之君) 当然主権侵害であると思います。
  70. 浅尾慶一郎

    浅尾慶一郎君 主権侵害であるということになると、主権侵害の場合は国際法上の原則で原状回復というものが原則にあるということでありますが、外務省として原状回復ということを求めたことはありますか。
  71. 町村信孝

    国務大臣町村信孝君) 正に拉致に関する日朝間の協議話合い交渉というのはそういう観点に立って行われていると私は理解をしております。
  72. 浅尾慶一郎

    浅尾慶一郎君 端的にお答えいただきたいんですが、原状回復ということだとすると、当初言われていた、いったん日本に旅行で帰ってきて戻すというような約束があったとすれば、それは重大な原状回復違反を日本政府として認めるということになるんですが、常に原状回復を求めているということですか。
  73. 町村信孝

    国務大臣町村信孝君) ちょっと御質問意味がよく分からない、旅行から帰ってきて云々というのは、ちょっとどういう意味なんでしょうか。
  74. 浅尾慶一郎

    浅尾慶一郎君 五名帰国をされました拉致被害者は、当初は、いったん日本に帰るけれどもまた北朝鮮に戻すというふうに言われておりましたし、そのことを外務省としても了承していたということが報道をされております。そのことは、もしそういうことを了承したとすれば、主権侵害に対する国際法の一般的な解釈と懸け離れたことを外務省として認めたということになるわけでありますが、その点について伺っているわけであります。
  75. 町村信孝

    国務大臣町村信孝君) 今委員が言われたような事実はございません。一度戻ってまた先方に戻すといったような事実は、そんな約束をしたという事実は全くありません。
  76. 浅尾慶一郎

    浅尾慶一郎君 報道に基づいて私は質問をさせていただいておりますので、その報道に対して、もし全くの虚偽の報道であるとするならばしかるべき対応を取るべきだと思いますが、取った形跡はないんではないかなということだけ申し上げたいと思います。
  77. 町村信孝

    国務大臣町村信孝君) 一々の報道にもう一々反論しておりましたら、もう日々出る報道に、全部の新聞社にもうこれは物を言わなきゃなりません。そんなことまで手間暇掛かってやれませんし、それは委員もいろんなお立場で、いろんな報道があり、時として議員の中でもそれは名誉毀損等々でそれは裁判を起こされる方もあるでしょうけれども、少なくともその一々の報道についてこれは事実であるとかないとか、そういう対応を、絶対取らないとも言いませんけれども、まあそこまでは一々やりませんね。
  78. 浅尾慶一郎

    浅尾慶一郎君 今の大臣の発言は大変遺憾であります。なぜならば、主権侵害というのは大変重い罪でありまして、それをある種認めることに対して、一々くだらない報道だから批判しないというのは大変遺憾な発言だということだけは申し上げておきたいと思います。首を振っておられますので、まあ見解の相違だということだと思いますが、しかし今申し上げましたように、主権侵害についてそういうような報道があっても一々そんなことは関係ないというふうに言われるということは、ある程度そういうことがあったんではないかというふうに少なくとも国民は思うということだけは申し上げておきたいと思います。
  79. 町村信孝

    国務大臣町村信孝君) 委員がどう思おうとそれは勝手でありますし、国民がどう思おうとそれは勝手でありますけれども、私はその報道の一つ一つについて、それこそ一つ一つコメントをする、それは重い軽いはあるということはあるんでしょうけれども、だから反論しなかったからそれを事実上認めたことになるというのは、それは余りにも常識から懸け離れたコメントだと私は思います。
  80. 浅尾慶一郎

    浅尾慶一郎君 報道だけではなくて、北朝鮮そのものが日本政府が約束を破ったと言っているわけでありまして、そのことに対してもう全く一々関係ないということであれば、冒頭申し上げましたように、主権侵害という重い犯罪に対して、ある種そのことを、まあそんなことはどうでもいいというふうに取っているというふうに受け止められますということだけは申し上げたいと思います。
  81. 町村信孝

    国務大臣町村信孝君) どうぞ、北朝鮮政府のおっしゃることを信じたい方は信じていただいても結構でしょう。日本政府の言うことを信じていただきたいと私は思います。
  82. 浅尾慶一郎

    浅尾慶一郎君 いや別に私は北朝鮮がそう言っていると言っているだけで、それを信じる信じないということではないんです。ただ、申し上げたいのは、主権侵害というのは大変重いことでありますから、そういうことについてしっかりと主張をしてほしいと。で、主張をして、それに反するようなことをもし報道ないし相手側が言うんなら、厳重に抗議をすべきだということを申し上げているわけであります。  今日はテロ特措法について、財務省からもお越しでございますんで、テロ特措法の予算の関係についても伺っていきたいと思いますが、このテロ特措法は、成立から現在、予算について言いますと予備費の支出になっておりますが、まず、これはなぜ予備費での支出になっているか、このことについて伺いたいと思います。
  83. 田野瀬良太郎

    ○副大臣田野瀬良太郎君) それじゃ、財務副大臣の田野瀬でございますが、私からお答えをさしていただきたいと思います。  現在、財政法は、「予見し難い予算の不足に充てるため、内閣は、予備費として相当と認める金額を、歳入歳出予算に計上することができる。」と、こんなふうに規定をしております。また、予備費を使用する場合の手続等についても定めておるところでございます。  テロ対策特措法に基づいて実施する協力支援活動等に必要となる経費については、これらの規定に基づいて予備費の使用等で対応してまいりました。  以上でございます。
  84. 浅尾慶一郎

    浅尾慶一郎君 今お答えいただきましたが、予見し難い費用に対して支出するということでよろしいわけですよね。
  85. 田野瀬良太郎

    ○副大臣田野瀬良太郎君) はい。
  86. 浅尾慶一郎

    浅尾慶一郎君 テロ特措法自衛隊活動は、基本的には基本計画に基づく実施要領に基づいて活動しているということだと思いますが、そういう、失礼しました、実施要項に基づいて活動しているということでありますが、そういう理解でよろしいでしょうか。
  87. 大野功統

    国務大臣大野功統君) そのとおりでございます。
  88. 浅尾慶一郎

    浅尾慶一郎君 基本計画につきましては半年ごとに変わっておりますが、実施要項は変わっておりませんですね。
  89. 大野功統

    国務大臣大野功統君) 基本計画、実施要項ともに半年ごとに変更を前提として計画しております。
  90. 浅尾慶一郎

    浅尾慶一郎君 ちょっと確認でありますが、国会承認は基本計画に基づいた、実施要項に基づいて行われるということでよろしいわけですね、自衛隊のは。
  91. 大野功統

    国務大臣大野功統君) やや複雑な回答になりますけど、基本計画そのものが国会承認の対象になっているわけではありません。基本計画の中に書いてあります三つの活動が国会承認の対象になっている、こういうことでございます。
  92. 浅尾慶一郎

    浅尾慶一郎君 なぜこういう質問をさしていただいたかといいますと、先ほど田野瀬副大臣が、基本計画、まあ要するに予見し難い費用に充てるので予備費で使っていると。で、基本計画は半年ごとに変わっているということでありますが、そのメーンの活動でありますところは、実施要項に従って国会承認に基づいて出た自衛隊活動によって行われているということだとすると、メーンの部分については予見ができるんではないかという趣旨で伺っているわけでありますが、そういう理解でよろしいですか。基本計画で、半年ごとに変わる基本計画はこの間ほとんどそのメーンのところは変わっていない、だからこそ国会承認を事後であっても求めていないという理解ですが、そういう理解でよろしゅうございますか。
  93. 大野功統

    国務大臣大野功統君) 恐らく、基本計画で規定されていること、あるいは実施要項で書いてあること、半年ごとに見直すことになっておりますけど、そのまま継続するということは予見されることであると思います。そこは浅尾委員おっしゃるとおりであると思います。  しかし、半年ごとに変わる可能性があるわけですから、やはり予算というのはその半年の変わり目まで付けておくと、こういう考え方で、当然のことながら既定経費じゃなくて予備費から出ていくと、私はこういうふうに理解しております。
  94. 浅尾慶一郎

    浅尾慶一郎君 基本計画は半年ごとに変わっていると。しかし、今るる申し上げましたけれども、大きな活動としては変わっていないから、自後の国会承認は一回しか、当初のときしか求めていないというのが今までの経緯であります。  しかしながら、一方で予算の方は予備費でやるということになると、かなり国会の関与という観点からいうと問題があるんではないかなと。つまり、国会が関与する基本計画あるいは派遣承認のところは一回だけして、あとは国会は関与しないと、しかしながら予算の方は、予見し難いことなんで、これも予備費でもって本予算では関与してないと。  ですから、どちらかに統一すべきだというふうに思いますが、その点についてはどのようにお考えでしょうか。
  95. 大野功統

    国務大臣大野功統君) 大枠につきましては、先ほど御説明申し上げましたとおり、同じ方向性で進むわけでございます。  ただし、例えば艦船の数で申し上げますと、艦船の数を、例えば最近までは補給艦一隻、護衛艦二隻と、こういう構成でやっておりました。それを基本計画見直しのときに、一隻一隻態勢、補給艦一隻、護衛艦一隻という態勢に直す、こういうことはあるわけでございます。  そういうことをもって、大まかに本予算でやるということがいいのであろうか。つまり、まだまだ分からない要素はあります。方向性はありますけど、付いておりますけども、まだまだ詳細にわたって分からないことも出てくるわけでございます。そのときにどういうふうに解釈したらいいのか。  これ、財政法上きちっと明快にやっていくためには、私は今のところは予備費で賄うのがしかるべき措置だと思っておりますけど、なお財務省においてもし検討すべきところがあれば十分相談してもいいと思いますが、私はやっぱり今の体制で十分だと思っております。
  96. 浅尾慶一郎

    浅尾慶一郎君 防衛庁長官の御発言は、まあそういう考え方であるとするならば、それはそれで分かりますが、だとすれば、むしろ派遣の、この法の第五条並びに第十条で規定しております、特に第五条ですね、国会の承認といったことについて、予見できてないことに対応して活動しているということにつながるわけでありますから、そのたびごとに国会の承認を求めていくべきではないかなというふうに思うわけであります。そうでなくてやるということであれば、本予算の方に入れていくべきなんではないかなというふうに思いますが、それでどちらかに統一をされないんですかという趣旨質問をしたわけであります。
  97. 大野功統

    国務大臣大野功統君) 問題は、財政処理の問題から今先生は御質問になっていらっしゃるわけであります。  財政処理に関しましては後ほど財務副大臣から御答弁あろうかと思いますけれども、財政処理に関して言いますと、やっぱり国会コントロール、大変大事な問題であります。したがいまして、予備費を使用した場合におきましては事後に国会の承諾を得なきゃならない、これ当然のことでありましょう。そういう手続はきちっと踏んでいる。そして一方において、言わば国会承認というのは、先ほど申し上げましたように、三つの活動を実施することの可否について承諾を求めているということになっておりまして、それも二十日以内に承諾を求めている。したがいまして、私はやっぱり国会のコントロール、いわゆるシビリアンコントロールという面から見まして、私は十分今の体制、システムで尽くされている、このように信じております。
  98. 浅尾慶一郎

    浅尾慶一郎君 これは財政のところのあれで予備費のことは規定されているんだと思いますが、財政法の二十四条に、「予見し難い予算の不足に充てるため、内閣は、予備費として相当と認める金額を、歳入歳出予算に計上することができる。」と書いてあるわけでありますが、この間のインド洋での活動が本当に予見し難いものなのか、それともある程度予見できるものなのかということでいうと、私は予見できるものなんではないかなというふうに思うんですが、いや、それがそうではないというお答えになるんだと思います。  そうではないというお答えになるとすれば、一年を通してそれほど活動がこの間凸凹であったのかどうか、そこの具体的な、これはちょっと質問通告していませんからもしお答えできるんであればお答えしたいと思いますが、それほどその活動が予見できないんだと言えるような客観的な根拠を是非示していただきたいと思います。
  99. 大野功統

    国務大臣大野功統君) まず、予見できるかできないか、予見の定義をきちっとしておかないとこの議論進まないと思います。  私、再三申し上げておりますとおり、予見できるということは、活動について予見はできるわけでありますけれども、それに応じてどの程度のお金が必要なのか、これは私は財政法上きちっとこの予算を計上できない状態にあるのではないか。その辺は財務副大臣の方から追加的に御説明あるかもしれませんけれども、そういう意味で、私はまず予見できるかできないかという議論をきちっとしておかないと余り意味のない議論になると思いますが、私の申し上げたいのは次の、次の質問で浅尾委員から、じゃ予見できないほどの活動をしているのかと、こういうことであります。  これは、それは月々によって油の補給量というのは随分変わっております。一番少ないときは千キロリッターぐらいしかありませんし、多いときには四万キロリッターぐらいあります。だけど、年々ならしてみますと、六か月ごとに取るとか、そういうふうにならしてみますとやっぱりずっと引き続き需要はあるわけです。もちろん、傾向的に見ますと、最初から比べて最近は、六か月単位で取りますと八分の一ぐらいに供給量は減っている。しかしながら、供給回数ということで見ますと、この供給回数は恒常的にほとんど変わっていない、こういう状態であります。  したがいまして、私は、この補給回数はもう恒常的に進んでおりますからニーズはある、ニーズはある。しかし、毎月毎月の統計取りますと相当変わっているということを申し上げたい。しかし、ニーズはあって恒常的に十回程度の、月十回程度の供給をしていると、こういうことは申し上げたいと思います。
  100. 浅尾慶一郎

    浅尾慶一郎君 田野瀬副大臣の方から、もし今の点で。
  101. 田野瀬良太郎

    ○副大臣田野瀬良太郎君) 私ども財務省としての基本的なスタンスは、あくまでも年度当初予算の編成時において基本計画延長について内閣として意思決定がなされたかどうかということ、それと、防衛庁からも基本計画延長を前提とした要求はなかったということから判断しておるところでございます。  ちょっと付け加えさしていただくんですけれども、先ほど国会のコントロールがそれじゃなくなるんではないかという御質問ございましたが、いずれにいたしましても、予備費の使用については事後においてでも国会の承諾を得なければならないと、こういうことになっておることを付け加えさしていただいておきたいと思います。
  102. 浅尾慶一郎

    浅尾慶一郎君 それでは、時間の関係で次の質問に移りたいと思いますが、このテロ特措法との関係で様々、自衛隊の基地のある県においてもいろいろと、最近ではそれほど緊張は高まっておりませんが、九月の十一日の直後などは基地周辺でも大変緊張が高まっていたということが私のおります神奈川県でもそういう事態、緊張というのは検問があって渋滞になったりということも含めてでありますけれども、そういうことがよくあったわけでありますが、そういう中で、米軍の再編の問題に関しまして余り地域の人々には、一朝事がありますといろいろと渋滞や検問があったりして大変ないわゆる迷惑が掛かるんですが、しかし一方で、その情報提供がなかなか国からもいただけてないというような状況が在日米軍の再編に関してはあるわけであります。  そういう中で、いろんなルートの外交がこれから必要になってくるというふうに思いますが、まず第一に、是非御要請をし、お答えをいただきたいんですが、沖縄あるいは神奈川といった多く基地を抱える県に対しては、お答えは十分な説明をするということでありますが、その県の当局の人間が見ても納得できるような説明、情報提供をしていただきたいというふうに思いますが、その点について簡潔にお願いしたいと思います。
  103. 大野功統

    国務大臣大野功統君) 私どもは、陸上自衛隊の基地であろうと米軍の基地であろうと、基地のある町の地元の皆様の御理解、御協力なしにはこれは成り立たない、このように思っております。でありますから、やはり地元の皆様に十分説明責任を果たして、そして御理解、御協力をちょうだいしたい、当然のことでございます。  しかしながら、今我々はアメリカ側と交渉中のことでございます。交渉中でありますから、なかなかこの基地がこうなる、この基地がああなる、こういうことを単発的に申し上げますと玉突き状態になってもう混乱してしまう、こういうことから情報提供を少し控えておりまして、そのことは大変地元の皆様にフラストレーションを起こしてしまっているのではないか、私はそのようにおそれておるものでございます。  この米軍との協議が方向性が見えましたら、必ず早い段階で地元の皆様に説明責任を果たしたいなと、このように思っておりますので、御理解くださいますようよろしくお願いします。  もちろん、この基地問題考える場合には地元の、もちろん一方において米軍と日本自衛隊との間の協力関係によって日本の平和と安全についての抑止力を維持していく、これは当然のことでありますけれども、この部分の議論も今やっておるわけですが、もう一つ、基地問題につきましては地元の負担の軽減、負担といった場合、やっぱり基地の大きさとか騒音とか不安とか環境とかいろんな側面があるわけでございますけど、あらゆる問題点を総合して考えております。  いつの日か地元の皆様にもきちっと説明責任を果たさしていただきたい、このことを約束さしていただきたいと思います。
  104. 浅尾慶一郎

    浅尾慶一郎君 時間が参りましたので質問を終えたいと思いますが、是非地元から見ても納得ができるような説明をなるたけ早い時期にしていただきますようにお願いいたしまして、質問を終わります。
  105. 白眞勲

    ○白眞勲君 官房長官にまずお聞きしたいと思うんですけれども、民主党・新緑風会の白眞勲でございます。  テロ特措法、この法律の期間延長理由につきまして、今回二年から一年になったということについて、九月二十一日の記者会見では簡単に、特にないと、一年が適当であるということだというふうにお話しされています。理由が別に特になければ一年じゃなくて二年でもいいんじゃないかなというふうにも思えるわけでして、このまま何で、現行の二年の法律で今回も国会に諮ればよかったというふうに思うんですけれども、この辺の御見解についてまずお聞きしたいと思います。
  106. 細田博之

    国務大臣細田博之君) はや四年の歳月がたったわけでございますが、昨日のことのように米国同時多発テロ、記憶によみがえるわけでございますが、これは非常に多数の三千人を超える方々がニューヨーク、ワシントン等でお亡くなりになったと。衝撃を全世界に与え、かつ犯行の主体がはっきりしておる、これは国際的にも認知をされているわけでございますが、そして、日本の国民も二十四人の方がお亡くなりになると。もうまるで全く無警告に突然テロ行為によってお亡くなりになる、これは各国とも同じ思いで、このようなテロを二度と起こしてはいけない。その犯罪の根拠であるアフガニスタン、そしてテロの主体の一派をここで二度とそのようなテロ行為を起こさないようにしなければならないという固い決意で諸外国と共同して取り組んできたわけでございまして、我が国としては、このテロ特措法趣旨で、洋上の給油あるいは追加的に給水等によって、海の面での武器の交易とか、あるいは麻薬による資金稼ぎとか、あるいは不穏な動きがあった場合の通報等も含めて活動しておるわけでございますが、時期、期間もだんだんたってまいったことも事実でございます。  質問を聞いていますと、衆議院辺りでの議論では、もう何か日本人がこれだけ殺されたということも忘れてしまったような議論もちょっとあったんでございますが、これはまだやはりテロに対する憎しみというものは持ちながら対応していかなきゃならない、これは片方でございます。  そして、ただ、この活動は、いつも国会においても、延長のたびにも議論されておりましたが、なぜガソリンスタンドのようなことをやっているのかと、あるいはいつまでやるのかということはいつも問題になってきました。意思決定は半年ごとの基本計画で決めるとはいえ、法律をお願いして国会での御判断をいただくときに、どうしようかという多くの議論があったわけでございますが、テロとの戦いにつきまして、いろいろな意味での進展も見られるということ、あるいはアフガンテロの温床としないとの観点から、治安維持活動あるいは政治的なアフガンの再構築等々、ある程度の進展も見られるということから、二年ごとという大ぐくりの延長ではなく、一年にして、かつ半年ごとの基本計画でも十分見ていこうと、これを日本政府の今後の姿勢としようということを決めたわけでございます。  したがって、これはなかなかいわく言い難いのでございますが、様々な現状に対する認識を集約したものが一年であるということを申し上げたいと思います。
  107. 白眞勲

    ○白眞勲君 非常に長く、非常に得々と御説明いただいたのは、御説明いただいたというのは分かったんですが、何を言っているかよく分からないというのが私の実情でございまして、これは私もこの件について、二年が何で一年になったのかというのを、今までの議事録等を一生懸命ひっくり返して見たんですけれども、さっぱり分からない。  そういう中で、先ほど大野防衛庁長官がすかっとすることをおっしゃっていただいたんです。それは、本当の理由はここなのかなと思ったのは、海上自衛隊のインド洋での給油活動が国民の目に見えてこない、だから一年にしようじゃないか、一年にしてこうやって国会で論議をしていただければ、民主党が反対するか賛成するかということでまたマスコミもやってくれるし、もしここでこれが、法律が例えば否決されたりしたら、また郵政民営化と同じようにまたいろいろな議論が出てまた小泉総理は解散をするかもしれませんけれども、そういうことでやっていくということが何となく分かって、こういうことですよね、防衛庁長官。先ほどそうおっしゃいましたよね。
  108. 大野功統

    国務大臣大野功統君) もし長くしゃべることをお許しいただければ、それだけではないんでありますけれども。  一つ、背景はやっぱり長くて忍耐強い戦いである、テロとの戦いである。二つ、しかしながら情勢が変化している。情勢が変化しているとすれば、やはり情勢の変化に応じて考えなきゃいけないじゃないか。そして、一番大事なことは、やっぱり今、白先生自身が御指摘いただいた国民の皆さんの目でよく見えるようにして御議論いただいて、海上自衛隊が一生懸命テロとの戦いで頑張っているんだと、こういうことも議論して、議論の対象にしていただきたい。  結局、更にもう一つだけ申し上げますと、情勢が変化するわけですから、その中でテロとの戦いというのは軍事面のみだけではありません。官房長官がおっしゃったように、給水とか給油だけでもないかもしれない。そして、そういう意味じゃ、日本としてやはり民生を安定させる必要がある。民生を安定させれば、やっぱりテロが終息する可能性だってあるんじゃないかと。こういう様々な思いを込めて、一年、私はそのように思っております。
  109. 白眞勲

    ○白眞勲君 正に今防衛庁長官がおっしゃったことが、いわゆるマスコミに注目される部分があるんでということは、私はすかっとする議論だと思うんですね。先ほど官房長官がおっしゃった、正にお認めになったように、そもそも国会決議でいつでも派遣終了の意思表示というのは行えるわけですよ。なおかつ法の改正も提出可能。また、半年ごとの基本計画の変更のたびに国会ではきちんと質疑も行われているわけですよね。  ですから、そういった観点からすると、例えば官房長官は、一年後に立法府において我が国活動の必要性や内容について改めて判断を行うことが適当だと判断したと御答弁されているわけなんですけれども、これって立法府側が政府に対して、政府が立法府側に対して、二年じゃなくて一年にしてもらうのも適当だと判断したというのは、立法府にしてみれば余計なお世話だみたいな話なんですね。  そういう部分がやっぱりありまして納得いかないななんというふうに思っていたら、正に今おっしゃった、防衛庁長官がおっしゃったように、マスコミに注目してもらって自衛隊活動理解してもらうためだと。非常にこれは私は理解に、理解しやすい部分があると。  例えば、日本において、この前私もテレビを見ていましたら、いわゆるテレビのワイドショー番組でコメンテーターが、イラク・テロ特措法となっているんですよ。イラクもテロもみんな一緒になって特措法になっちゃうんですね。そういう観点からまたコメンテーターの方もしゃべっている。そういう中では、自衛隊の方々が連日暑い中、一生懸命やっているその活動というものが本当に理解していられるんだろうかという部分での、防衛庁の皆さん、そして私たちもそうかもしれません、ジレンマというものを感じている部分があると思うんですね。  そういうことでいいますと、実際、マスコミ、日本のマスコミでどういうことをこれからもっと伝えるように配慮した方がいいというふうに長官はお考えでいらっしゃいますか。
  110. 大野功統

    国務大臣大野功統君) 私は、テロとの戦いというのは、テロというのはいつどこで発生するか分からない、いわゆるノンステートアクターと言われているように、国境なき、国境を越えた行為でございます。それに対しては国際協力が絶対必要なんだと。その中で役割分担をやって、日本としてできることを自衛隊が、海上自衛隊がやっているんだ。それも、大変この厳しい環境の中で日本の、日本としてできることをやって、テロとの戦いに頑張っているんだと。こういう、頑張って、そして世界を安定させる、平和にする、こういう戦いを続けている、こういうところをひとつ御理解いただきたいなと思っています。
  111. 白眞勲

    ○白眞勲君 日本の人たちに御理解をいただくのと同時に、今国際協力という観点からすれば、当然世界じゅうの人たちからやはり御判断をいただくというか知ってもらいたいというふうな部分は私たちもあるわけなんですね。  そういう中で、日本の支援活動に対する評価や感謝の言葉を先日やはり部会で受けたんですけれども、一昨年ですか、我が党の衆議院テロ特での中川正春委員質問で、実際この方、アフガニスタンに行ってカルザイ大統領と会ったら、御本人が海上自衛隊活動について御存じなかったということだったようで、その後、日本外務省の方がカルザイ大統領のところに行って感謝状を取ってきたらしいという話をしているわけなんですね。  これは、知っているか知らないか、これはどうであれいいんですけれども、実際、それではちょっと聞きたいんですけれども、どの程度の給油を、給油を受けている国がどの程度一般の国民に知られているのか、現地マスコミの報道ぶりについて御説明願いたいんですけれども。
  112. 吉川元偉

    政府参考人(吉川元偉君) 現地でどういう報道があるかについてのお尋ねがございました。  アフガニスタンにおきましては、例えば、昨十九日付けの現地の英語の新聞アウトルック、アフガニスタン唯一の日刊の英語の新聞ですが、このアウトルックには、十八日に衆議院テロ特措法延長が可決されたということを小泉総理の写真入りで掲載しておりまして、この問題に関するアフガニスタン国内における関心の高さということがうかがわれるということが言えると思います。  アメリカにおきましては、ワシントン・ポストが十月十八日付けのネット版におきまして今回の衆議院延長法案の可決を報じております。  十八日の決定については、探しましたところ、今のアフガニスタンとアメリカのケースを御報告できます。
  113. 白眞勲

    ○白眞勲君 イギリスとかフランスとかパキスタンはどうなんでしょうか。
  114. 吉川元偉

    政府参考人(吉川元偉君) 今お尋ねの国々につきまして、今のところ報道は見当たりません。
  115. 白眞勲

    ○白眞勲君 アフガニスタンもそうなんですけれども、アフガニスタンの人は皆さんが英語をしゃべれるとは私は思えないんですね。  その辺のやはり広報活動というのをきちっとしていくということが私は必要だと思うんですね。もちろん、責任ある政治家の方が首脳同士の会談のときにありがとうというふうに言っていただくのはそれはいいかもしれませんけど、一番重要なのはやっぱり国民レベルでの理解であるというふうに私は思うわけなんです。  そういう中で、この法律について、以前私がこの〇五年四月二十八日に防衛庁長官に答弁を求めたんですけども、ちょっと読みますね。  対テロ作戦で余った燃料がイラク作戦用に使用されることがあり得るのではないかという私の質問に対しまして、大野防衛庁長官がこう答えているんですね。例えば、空っぽのアメリカの艦船がインド洋へやってきた、その艦船はどっかで別の仕事をやっていたかもしれない、そういう場合にどう考えるか、こういう場合も出てきていますよね、それを別の活動に使った分を穴埋めしてあげると考えるのか、新たなテロ特措法に基づくインド洋でのテロ対策に使われる油を補給したと考えるか、それは御議論いただかないとというふうにおっしゃっているわけなんですけれども、これは結局、防衛庁長官自身がまだまだ議論の余地ありということをお認めになっているということですから、やっぱりこれ、まだ法律自体きちっとしていないということじゃないんでしょうかね。
  116. 大野功統

    国務大臣大野功統君) そういうケースがあるという一例で申し上げたわけでございます。  しかしながら、基本的に申し上げますと、給油をする相手国との間で交換公文をきちっと取り結んでおります。この交換公文の中では、九・一一のようなテロを追放するために使うんだ、こういう目的を書いてありますし、それから、給油するに際しましては、やはりタンパ、バーレーン等にあります調整所、コアリションビレッジと言っておりますけど、コアリションビレッジでこの船に給油するんですよという確認をしている。  そういうことでありますから、我々は、そういう信頼関係テロを追放するという信頼関係に基づいてやっている、こういうことでございます。私は、その信頼関係が破られることはない、このように思っております。
  117. 白眞勲

    ○白眞勲君 実は、長官がその後にこうおっしゃっているんですね。余りこう厳格に、油に糸目はないというようなこともありますしという、この油に糸目はないって、私初めて聞いた言葉なんですけれども、この辺はひとつ御議論していただきたいと思いますと、またもう一度ここで強調をされているわけなんですね。  ということは、やはり議論の余地まだまだありありということを私は長官自身がお認めになっているんではないんだろうか、そういうふうにも思うわけでして、その後、こう言っているんですね。それを余りにも厳格にそういう考え方をやりますと、これは実際、本当にそういう細かな議論になって本来のテロ特措法趣旨が生かせなくなるんじゃないか、私はそのことを恐れるわけでございますと、こうおっしゃっているわけでして、これってつまり、細かな議論をし過ぎるとテロ特措法の法体系が壊れちゃうということをおっしゃっているんじゃないのか、そういうふうに思うわけでして、ちょっと言い方悪いけど、これっていい加減だよねという話になっちゃうんじゃないかなと。細かなことを議論し過ぎるとその趣旨が生かせなくなりますということは、ちょっと私としては理解できないんですけども。  つまり、こういった大ざっぱな議論というものをしていかないといけなくて、余り細かな議論をしちゃ駄目ですよということを言っているんじゃないでしょうか。
  118. 大野功統

    国務大臣大野功統君) 私が例として申し上げたことは、十分皆様に考えていただきたい。つまり、日本が給油する、何の目的のために給油しているんだ、その給油する油が何のために使われているんだ、その目的にきちっと使われていることを交換公文、あるいは実際の調整、そして確認、こういうことでやっているわけでございます。  御指摘のようにいろんな、そのときの質問は恐らく私の記憶ではいろんなケースをお持ち出しいただいて、こういう場合はどうなんだ、こういうような質問があった上でそういうことを申し上げているのだと思いますけど、我々は、いずれにしても日本が給油した油というのはテロ特措法に基づいてきちっとそういうテロ追放のための活動に使われている、このように思っており、その行動自体が正に各国との信頼関係各国との交換公文、各国との確認行為、こういうことで担保されている、このように思っております。
  119. 白眞勲

    ○白眞勲君 このテロのいわゆる定義というものも、やはりまたポイントになってくる部分はやはり今の長官の部分からも私はうかがい知れるんではないんだろうかというふうに言うわけでございまして、先ほどの答弁でも、テロというのはいろんな定義があって、そのときそのときによって違ってくるということを官房長官がおっしゃっていますけれども、じゃ、こういった中、数量的に、数量的にどのような基準で今後判断していくのかということは言えるんでしょうか。もし言えるんだったらお示しいただきたい、そういうふうに思います。
  120. 大野功統

    国務大臣大野功統君) 数量的にどういう判断というのはどういう、もう少し詳細、詳細か正確におっしゃっていただきますと有り難いんでございます。
  121. 白眞勲

    ○白眞勲君 じゃ、こういうふうに言いましょう。  つまり、テロ特措法を例えば、じゃ、例えば自衛隊が今回行かなくなったと、これで給油活動をやめたというふうにした場合にテロは増えるのかどうなのか。もし増えるんだったら、数量的にどれぐらい増えるのかということは予想できるんでしょうか。お答えいただきたいと思います。
  122. 大野功統

    国務大臣大野功統君) 海上阻止行為、MIOというのは言わば抑止力効果ということを大いに期待しているわけでございます。もちろん、抑止的効果のほかに具体的効果として、例えばこれまで麻薬を六千トン、六千トンですか、六千キロ、失礼しました、六千キロ押収したとか、銃砲を何百丁したとか、こういう問題はあります。具体的成果もあります。  だけど、やはりこの活動MIO活動というのは抑止力でございますから、この抑止力を図るというのは大変難しい問題であり、その抑止力を発揮するために、では一体日本の油を幾ら使っているのか、こういう問題でありますけど、これは日本が使ったお金はきちっと出ます。しかし、それに見合う効果をどういうふうに判定するか、これは大変難しい問題かと思います。  しかしながら、度々御説明しておりますとおり、もし日本活動がなくなれば、各国給油されている方の艦船は度々油を補給するために港へ寄らなきゃいけない。このMIO活動効率性に多大な障害が出てくる、効率性が下がってくるという問題があります。  そういうことで、もし日本活動がないとすれば、恐らく今のMIO活動は三〇%削減されるだろう、こういう予測は今なされているわけでございます。
  123. 白眞勲

    ○白眞勲君 この国際貢献、私は一種の無償資金協力みたいな部分、ガソリンを、燃料を無料で提供しているという部分があるわけなんですけれども、過去にこういった例というものはあったんでしょうか。御答弁いただきたいと思います。
  124. 細田博之

    国務大臣細田博之君) やっぱりこのアフガンについては、先ほど来申し上げておりますように、単純に経済協力をするとか、油をこちらの好意によって提供するとか、それだけではないわけですよね。  そもそも、あれだけのテロが行われ、当時は法改正が行われておりませんからですよ、国外犯、明らかに日本に対する殺人罪を犯し、そしてそれを殺人の共同正犯か教唆犯か知りませんけれども、本拠があって、日本人二十四名を殺害した。それで、もちろんお隣の韓国でもほかの欧米でもみんなそうですよ、それだけの共同しての大殺人事件、殺りく事件を起こした。そしてその正犯がはっきりしておる、共同犯、犯行をした組織もはっきりしている中で、国際的にこれを断固せん滅するか、あるいは二度とテロを起こさないための活動を起こそうと思ってやっているわけですから、その中で日本国民が全体としてどう考えるのか。もう三、四年たったんだから、まあこの辺で水に流して、もうやんなくていいんじゃないかと考えるのか。あるいは、やっぱり油や水なんだからそれは別の形にすると考えるのか。あるいは、代替的なほかの国がやれるんだから、まあどうぞやってくださいといって引っ込むのか。そういう判断をするときに、今、現時点では、やはりこのテロ、憎むべきテロが温床が全く完全になくなったような状況にないという現状から見れば、我が国としてもしっかりとこの程度のこともしなきゃいけないという意思を、我が国として具体的な意思をほかに余り明らかにしておりませんので、もちろんいろんな協力や何か、本国政府を立て直すためにやってはおりますが、私はそういうことも是非忘れないでいただきたいと、こういう意思を一つ表明しておるんだということも是非考えいただきたいと思います。
  125. 大野功統

    国務大臣大野功統君) 白委員質問に直接的、具体的にお答えしたいと思います。  それは、燃料の供給、無償供与という点に絞れば、これまでに外国の軍隊の艦船に対する燃料の無償での提供は、今回のテロ対策特措法に基づく協力支援活動を除き、行ったことはありません。  この活動というのは、今、細田官房長官おっしゃったとおりでありまして、正に相手側からのニーズがあって、そして日本としてテロとの戦いで何ができるか、こういう観点からやっているわけでございます。そのことは十分御理解いただきたいと思います。
  126. 白眞勲

    ○白眞勲君 私も、テロに、この撲滅と言った方がいいのかもしれませんけれども、そういった問題についてそれは皆様と同じ考え方であると。ただ、そのプロセスについては少々考え方が違うのかなというふうに私自身思っているわけでして、特にこの法律については、先ほど長官がおっしゃったようにまだまだ議論する余地があるというふうに考えている部分があるならば、この法律自体の問題についても、いろいろとやはり大きく議論をしていかなければならないんじゃないのかという観点から御質問をしているわけでございますけれども。  時間があれですので、次に、さきのスマトラ沖大地震及びインド洋津波被害に対する二国間無償資金協力に関して御質問を申し上げます。  まず、本質問に入る前に、今回の地震、今回の地震って、まあ去年の十二月の地震・津波被害に、インドネシア、スリランカ、モルディブに対して行った二国間無償資金協力として支払われた二百四十六億円についてお聞きしたいんですけれども、このうち支払済みの合計金額は幾らになりますか。
  127. 佐藤重和

    政府参考人佐藤重和君) お答えを申し上げます。  この三国に対してこれまで実際に資金の支出を完了した額の合計は約二十二億九千九百万円でございまして、インドネシアについて約六億五千五百万円、スリランカについて約十五億九千八百万円、モルディブについて約四千六百万円、これが既に支出が完全に完了をした金額でございます。そのほかの相当の額について、契約を行って支出額が確定をした金額というものが約六十六億四百万円ございます。
  128. 白眞勲

    ○白眞勲君 これは緊急、前回も私このときの質問でやったんですが、緊急という中で、そのとき町村外務大臣は足の長い緊急だというようなこともおっしゃったんですけれども、二百四十六億円のまだ二十二億円しか払っていないというのは、このもう十月、十一月に入るときに、もう約一年たつ中で余りにもちょっと長いのかなという感じが非常にしております。  そういう中で、前回、外交防衛委員会の私の質問の中の御答弁でインドネシア政府という言葉が度々出ていますけれども、このインドネシア政府のどこの部署と話をしてインドネシアのプロジェクトを決めていたんでしょうか。
  129. 佐藤重和

    政府参考人佐藤重和君) これにつきましては、インドネシア政府の中でこのアチェの災害に対して統一的に対応する機関ということで、インドネシアの内部でもいろいろ調整がございましたが、当初はBAPPENASという国家開発省、ここが基本的に窓口になっておりますが、その後、今年の、済みません、四月、五月だったと思いますが、アチェ復興庁という、言わばこのアチェの復興を担当する組織というものをつくっておりまして、そうしたBAPPENASあるいはアチェ復興庁といったところが私どもと直接話をするインドネシア側の機関ということになっております。
  130. 白眞勲

    ○白眞勲君 本来なら、災害地の緊急救助計画担当の緊急支援センター、これはBAKORNASというところがあるんだそうですけれども、と話さなければならなかったんではないんだろうかと。というのは、世界食糧計画、WFPもこのBAKORNASとコンタクトをしてくれと当時言っているわけですね。ほかの国々もそういうコンタクトはこのBAKORNASと取っているようなんですけれども、なぜ日本政府はBAPPENASとしていたのか私には分からない。  そういう中で、当然、医薬品のニーズがあるなんという話は緊急支援センターのBAKORNASとかにあったわけですね、この食料とか何かについては。BAPPENASと話をしたら、これは医薬品や食料などの物資ではなくて、いわゆる道路工事などのたぐいというのが出てくるのは当初から予想されていたんではないんだろうか。  大臣も、この前、答弁で、どうしてこんなに時間掛かるのかというようなことをお話しされていますけれども、当然、違う機関と話ししているわけだから、緊急のことをやっていない部署と話をしているんだから、これは当然なんじゃないでしょうか。
  131. 佐藤重和

    政府参考人佐藤重和君) これ、このアチェの復興支援につきまして、インドネシア政府側と当然私どもは協議をしてその支援内容を決めていくわけでございますが、これはインドネシア政府の中が、私どもがここの機関と話させてくれということではもちろんございませんで、インドネシア政府側で、これを担当するのは私どもですということで、先ほどのBAPPENASあるいはアチェの復興庁、BAPEL、こういった組織が対応をしてきているということでございます。  ちなみに申しますと、BAKORNASというのは基本的にいわゆる人道支援といったところを担当しているということでございまして、今回の私どもの支援に対して、インドネシア側の、今回の支援の中からインドネシア側としてこういうことをやりたいということについて、先日も御説明申し上げましたが、もちろんいろいろな緊急の医薬品といったものもございますけれども、施設の復旧といったようなものについて是非この資金を使って日本からやってほしいというニーズがあったということがあるということを申し上げたいと思います。
  132. 白眞勲

    ○白眞勲君 今おっしゃいますと、BAPPENASが手を挙げたからBAPPENASとやったんだというような言い方なんですけれども、何でこちらからBAKORNASとやりたいということを言わなかったんでしょうか。
  133. 佐藤重和

    政府参考人佐藤重和君) これ、BAPPENASがというよりも、これ、インドネシア政府部内の調整と、インドネシア政府部内でBAPPENASが自分がやりたいという、インドネシア政府部内で調整をした結果としてこうした機関が私どもの言わば協議相手ということになったということでございまして、当初、先ほど申し上げたBAKORNASというのは緊急の人道対応ということでございますので、当初の段階ではBAKORNASとも私ども協議をいたしております。その後の過程の中で中心になってきたのがBAPPENAS、それから、この春以降、四、五月以降、このアチェ復興庁というものができまして、そうしたところが加わってきたということでございます。
  134. 白眞勲

    ○白眞勲君 被災地では一刻も早い緊急物資の到着に対して首を長くして当時待っていたんではないかという中で、私はBAKORNASとやはり継続してやっていくということが必要だったんじゃないかなと思うんですけれども。  ちょっと国際協力システムさん、JICSさんにお聞きしたいというふうに思いますが、BAPPENASと調達代理契約結んでいらっしゃいますよね。当然、現地調査しましたよね。いつどのような規模で行われたのか、御答弁願いたいと思います。
  135. 佐々木高久

    参考人佐々木高久君) 医薬品とか医療器具の調達の手続につきまして、日を追ってちょっと御説明いたしますと……
  136. 白眞勲

    ○白眞勲君 手短にお願いします。
  137. 佐々木高久

    参考人佐々木高久君) はい。インドネシアの保健省から品目リストが出されてきたわけでございますが、初めに二月ごろから作業を開始いたしまして、インドネシアの中でいろいろ予算の配分とかほかの援助機関、援助国からの医薬品との関係のリストとの調整等がございまして、四月にインドネシア政府内で一応数量と品目は確定したわけですが、その後、再度インドネシア政府の中でいろいろ協議いたしまして、当初の四月のが五月に変更になったということで、インドネシア政府側から当方に確定しました品目と数量が通報がありましたのが五月下旬でございます。五月下旬から始まりまして、我が方JICSが納入先、そういうことにつきまして入札と、その準備をしたり入札をしたということで、七月に契約を終わったということでございます。
  138. 白眞勲

    ○白眞勲君 私が聞いているのは、現地調査をいつしたのかということです。
  139. 佐々木高久

    参考人佐々木高久君) 現地調査につきましては、インドネシアの保健省の方で、失礼いたしました、まず、地震が発生しました直後、年明けに当方から、JICSから職員を三名現地に派遣いたしまして調達代理契約をインドネシア側と結びまして、それで一月下旬には現地に連絡事務所を設けまして、JICSの職員を送り込みまして現地調査を行ったということでございます。
  140. 白眞勲

    ○白眞勲君 この三名の方は現地に入ったんですね、当然。それと、連絡事務所は現地にあるんですね、今も。
  141. 佐々木高久

    参考人佐々木高久君) はい。今はインドネシア、ジャカルタに現時点で十三名おりまして、そのうち二名はアチェの事務所、これは九月から開設しておりますけれども、そちらで進捗状況を把握するということで現地に二名常駐しております。
  142. 白眞勲

    ○白眞勲君 最初に入った三名はアチェまで行ったんでしょうか。
  143. 佐々木高久

    参考人佐々木高久君) 最初の三名につきましては、アチェまでは入りませんでした。
  144. 白眞勲

    ○白眞勲君 これ、アチェに入らないでどうやって分かるんですか。現地には入らないでどうやってそれをやられたんでしょうか。なぜそれをインドネシア政府に全部任せていたんでしょうか。なぜそこに入らなかったんでしょうか。その辺の判断についてはどういうことでしょうか。
  145. 佐々木高久

    参考人佐々木高久君) インドネシア政府協議をしてインドネシア政府のニーズを確認したということでございまして、この時点ではJICSの職員はまだアチェまでは入っておりません。
  146. 白眞勲

    ○白眞勲君 これ、日本国民の大切な税金であるわけでして、それをJICSさんがおやりになっているんだったらば、当然現地の調査を実地に見ていくということが私は必要だったんじゃないのかなというふうに思うわけなんですね。  それで、最終的に医薬品などで五億円が出ていて、それが契約をしたのは七月七日にしたということなんですけれども、お支払いになったのはいつですか。
  147. 佐々木高久

    参考人佐々木高久君) 七月に契約をいたしまして、調達用品につきましては八月から九月にかけてアチェ州及びニアス島の医療施設に搬入されまして、今納品中でございます。
  148. 白眞勲

    ○白眞勲君 コンサルト料、コンサルタント料というのは、コンサルタント会社というのがあったら払っているんですか、調査に対して。
  149. 佐々木高久

    参考人佐々木高久君) 支払いしております。
  150. 白眞勲

    ○白眞勲君 幾らですか。
  151. 佐々木高久

    参考人佐々木高久君) 後ほど調べましてお答えいたします。
  152. 白眞勲

    ○白眞勲君 JICSの手数料が三億一千百万円だというふうに言う報道がありますけれども、この数字というのは何でしょうか。
  153. 佐々木高久

    参考人佐々木高久君) JICSの手数料といいますのは、JICSの管理経費及びその各契約ごとに約二%ですか、の手数料をもらうということでなっておりまして、現在までにその金額、三億幾らという数字が報道されておりますが、それはまだ入手しておりません。管理費とかなんとかいうことで二千数百万円入っておりますが、その後の契約につきましては、個々の契約が成立した後に手数料を支払っていただくということになっておりまして、まだ入金といいますか、そういう段階には至っておりません。
  154. 白眞勲

    ○白眞勲君 私の前回の質問で家具を買っていると、放送局用の家具を買っているということがありましたけれども、十一社に対して入札案内のようなものもファクスした等のことですけれども、その業者名、連絡先を御提出願いたいと思いますので、よろしくお願い申し上げます。
  155. 佐々木高久

    参考人佐々木高久君) 承知しました。後刻、御連絡いたします。
  156. 白眞勲

    ○白眞勲君 続きまして、国際協力機構、JICAさんに御質問を申し上げます。  まず、この前のパキスタン北東部で十月八日に発生した地震で楢原覚さんとお子さんの輝ちゃんですか、がお亡くなりになったということに対しまして、本当に心からお見舞い、そして御冥福を申し上げます。  そこでちょっと聞きたいのは、この津波の方ですけれども、津波の被害について、これは大分調査、この被害、JICAさんも調査されているということが質問の主意書から明らかになっているんですけれども、何で調査しているのに資金は払われてないんですか。
  157. 小島誠二

    参考人小島誠二君) 私ども、技術協力の一環としまして開発調査というスキームがございます。今回のスマトラ沖地震に対しましても、緊急開発調査ということで、これは日本で登録をされておりますコンサルタント会社を使うことが多いわけでございますけれども、ここのコンサルタント会社に委託をいたしまして、この地震につきましては二件開発調査をお願いいたしました。
  158. 白眞勲

    ○白眞勲君 当然、そのコンサルタント会社に委託をするということは費用が発生するわけですよね。その費用というのはどこから捻出するんでしょうか。普通はこういう契約がある場合には、当然契約はできているはずだと思いますけれども、当然そこに経費が支払われてしかるべきなのに、今度、経費受け取ってないですね。それはどういうことなんでしょうか。
  159. 小島誠二

    参考人小島誠二君) これは先ほど申し上げましたように、開発調査というスキームで行っております。これは政府から交付金として私どもいただいております予算の一部を使って実施したものでございます。
  160. 白眞勲

    ○白眞勲君 外務省の方にお聞きしたいんですけれども、前回私の質問において西岸道路の道路補修工事をアメリカと分担してやっているという御答弁、佐藤局長さんからあったと思うんですけれども、具体的にはこれアチェ―ムラボ間の道路はアメリカがやっていて、日本はほかの場所をやっているということはないでしょうか。
  161. 佐藤重和

    政府参考人佐藤重和君) アチェの道路の修復につきましては、正にそのアチェの西岸道路ということでございまして、ほかの道路についてはやってないと記憶しております。
  162. 白眞勲

    ○白眞勲君 アチェ―ムラボ間の道路以外の場所の西岸道路ということなんでしょうかということを聞いているんですけれども、私は。
  163. 佐藤重和

    政府参考人佐藤重和君) 全く同じ道路ということではございませんが、その正にアチェ―ムラボ間以外のところの西岸道路ということでございます。
  164. 白眞勲

    ○白眞勲君 つまり、アチェ―ムラボ間の道路はアメリカですから、そこはやってないということですね。
  165. 佐藤重和

    政府参考人佐藤重和君) 失礼いたしました。  私どもで、日本側でやっておりますのはムラボ―チャラン間、ムラボとチャランの間でございます。
  166. 白眞勲

    ○白眞勲君 そうすると、アチェとムラボ間でJICAさんは調査されていますね。
  167. 小島誠二

    参考人小島誠二君) 先ほど申し上げました二件のうちの一件が北スマトラ西岸道路復旧支援プロジェクトでございます。これは全長二百五十キロ、先ほど来御説明がございましたアチェ―ムラボ間でございますが、これ全体につきまして資料を収集するとか情報を収集するとか、あるいは先方実施機関への助言、こういうことをするとともに、その東側でございますが、チャラン―ムラボ間につきましては、その復旧のための計画、設計、そういうことを先ほど来申し上げております緊急開発調査のスキームで行いまして、その結果を既にインドネシア政府に提出をしたところでございます。
  168. 白眞勲

    ○白眞勲君 何かお聞きすると非常に何かよく分からない部分が、私としてはよくあるわけなんですね。  今、JICSさんもそうなんですけれども、例えば放送局用の家具を買っていて、家具は買うけれども機械買ってないと。機械は数か月後に買ったりしているわけですね。普通、私が電気屋さん行って買うときには、普通テレビ買ってから下の置き台を買うわけでして、下の置き台を買ってからしばらくしてからテレビ買うみたいな感じになっていて、非常に不可解なわけですね。で、私はこれ一度、もうちょっとこれきちっとやっていかなきゃいけないんじゃないのかなというふうに思っているんですね。  というのは、もうよく御存じのように、パキスタンの今回の地震、こういうことで多くの皆様がお亡くなりになっていると。昨日のユニセフの発表ですと、パキスタンでもう何か寒さと飢えと病気で支援を待つ子供は十二万人にも上って、そのうちの、二、三週間の方が、一万人ぐらいがもしかしたら死に至る可能性があるという報道も出ているわけなんですね。そういう中で、医薬品を買ってこれ提供したのが七か月後にやっているわけですね、七月ぐらいでしょう、契約したのが。こういったことというのは、やはり政府としてももう少しこの支援の在り方というものをきちっと研究する必要性があるんではないんだろうかというふうに思っているんですね。  私ども民主党も、いち早く現地に調査団、今回も派遣しております。やはり自衛隊とかあるいは救助隊、そういうトータルな連携が取れる、そういう万全な備えと準備というものをこれから私はしてもらいたいというふうに思っておりますし、官房長官も今日いらっしゃっているんでですね、どうでしょうか、この際、例えば省庁間で研究グループというのを立ち上げて、それで今回の、このスマトラ沖地震、そして今回のパキスタン地震を踏まえた形で、やはり今後ももしかしたらどこかで発生するかもしらない、世界どこかでの災害について機敏に対処できるような、やはりそういうシステムというものを研究していただきたいなということを私は思っているわけなんですね。  それと同時に、当委員会でも、今回のこの津波災害についても特別委員会のようなものをつくって研究もしていただきたいと。  それを御提案すると同時に、官房長官、もしありましたら一言お願いしたいと思います。
  169. 細田博之

    国務大臣細田博之君) 本日も、民主党の現地調査団で出られました若林議員、藤田前議員始め前原代表、リーダーに、お越しになりまして、そういう御趣旨の、迅速なパキスタン等における地震災害への対応についてのお申入れがありました。総理あての申入れでございました。様々な御要請いただきましたが、私どもも人道的見地、そしてこれだけの大地震や大津波等大きな災害を受けた地域に対しては、そういった被災事案が非常に多い日本としてノウハウもございますし、できる限りの協力を行ってまいりたいと思います。  今回のパキスタン等においても、防衛庁がまた更にヘリコプターを三機追加して合計六機、六機派遣をするとか、さらに、テント等の寒さをしのぐための協力が必要であるという現地事情も承りましたので、そういった態勢を全力で取って、支援態勢を国際的にも協力をして進めてまいりたいと思います。
  170. 白眞勲

    ○白眞勲君 委員長、特別委員会の設置について。
  171. 林芳正

    委員長林芳正君) ただいまの件につきましては、後ほど理事会で協議をいたします。
  172. 緒方靖夫

    緒方靖夫君 初めに、小泉総理の靖国参拝について町村大臣に伺っておきたいと思います。  参拝後、中国政府町村大臣の訪問を拒否する考えを表明し、韓国側も潘基文外交通商部長官の来日に難色を示すなど、既に近隣諸国の関係影響を及ぼしております。これは、起こるべくして起こったと言える事態だと思うんですね。  大臣は、いろんなレベル話合いを続けることが大事とか、それに向けて努力していくのが日本の責任だと繰り返されておりますけれども、大臣のお考えになる今後の対応、そしてまた事態打開の展望についてお伺いいたします。
  173. 町村信孝

    国務大臣町村信孝君) 総理が参拝をされたのは月曜日、今日は木曜日ですか、まあ物事が起きて余りすぐに、その後さあどうするどうするというわけにもなかなかこれは現実問題まいりません。一定の時間というものが必要なのかなと思いつつ、漫然と時を過ごすべきでないことは当然の御指摘だろうと、こう思っております。しかるべきタイミングで、先方ともまたいろんなレベルで、もう現に事務レベルでは毎日話合いが行われてきておりまして、一切の没交渉状態にあるというわけではもとよりないわけでございます。  今後、しかるべきレベルの人間が話合いをしながら、またできるだけトップレベルの会合も開けるような工夫、算段をしていきたいと、こう思っております。
  174. 緒方靖夫

    緒方靖夫君 首脳レベルでも、また大臣レベルでも話合い、今はできないと。役人レベルでやるのは当たり前ですよね。私は、どういうふうに事態を打開するかということについては大臣自身にお考えがないと今の答弁で受け取りました。  小泉総理は、今回の参拝について、大臣訪中日程などすべてを総合的に考えた上で決断したと述べられているわけですね。総合的に考えた上での決断だったと言うならば当然のこと、この事態も予想したはずです。にもかかわらず、やはり私は、今大臣がおっしゃられたように、どうやって今後関係をつくっていく等々について、時間が解決するというわけではないと言いながら、しかし当面やるべき打つ手がない、すべがない、これが今の状況だと思います。私はこれでは余りにも無責任ではないかと考えるわけですが。
  175. 町村信孝

    国務大臣町村信孝君) 何にも手がないという趣旨のことを申し上げたつもりはございません。  今後、いろいろな国際会議もまたあります。また、バイの会談もあり得ると思います。そのためのいろいろなこれから手を打っていくわけでございまして、それを今この時点ですべて申し上げるわけにはいかないという趣旨を申し上げたのであって、もうお手上げでありますというふうにもし委員が取られたとしたら、それはちょっと違うことであるということだけは申し上げたいと思います。
  176. 緒方靖夫

    緒方靖夫君 大臣、そうおっしゃるけれども、当面やはりどう打開するかということについてここで明らかにすることはないということで、そのことを私はとらえて打つ手がないと言っているわけです。
  177. 町村信孝

    国務大臣町村信孝君) 例えば十一月の中旬にAPEC外相レベル会談、会議、あるいはAPEC首脳会議というものが釜山で開かれる、韓国で開かれるわけでございます。それなどは具体的に一つのチャンスとして、マルチばかりでなくてその場でのバイの会談というものも当然想定し得るものとして頭の中には置いております。
  178. 緒方靖夫

    緒方靖夫君 まあその程度のことだということです。  つまり私は、総理がやはり八月十五日の談話、国際会議の場で侵略と植民地支配の反省と謝罪を繰り返し述べられた、この点は大事だと思うんですよ。しかし、今回の靖国参拝によってこの言葉を裏切ることになった。このことに対して、やはりアジアだけではなくてアメリカもヨーロッパも、やはり日本外交は、そして日本に対する信頼はと、そういう問い掛けをしているということを指摘しておきたいと思うんです。  次に、細田官房長官にお伺いしたいと思うんですけれども、この参拝問題は、北朝鮮の核問題をめぐる六か国協議など、ほかの懸案にも影響を及ぼすことが懸念されていると思います。さきの六か国協議では、共同声明で原則的な非常に大事な確認を行って、そして重要な段階に入っていると思うんですね。今後予想される非常に大きな困難を乗り越えて目的を達成するためには、何よりも日中韓の連携、もちろんアメリカ含めてですけれども、またそれぞれのバイの関係、これが非常に大事だと思います。  とすると、韓国の主席代表である宋旻淳氏が今回述べているわけですけれども、今回の靖国参拝が六か国協議の雰囲気の醸成に良い影響を及ぼさない、そうはっきり述べているわけです。控え目だと思いますけれどもそう述べている。今回の靖国参拝が六か国協議にとってマイナスにあるということは、マイナスになるということはやはり否定できないんだろうと思いますが、その点についての御見解をお伺いいたします。
  179. 細田博之

    国務大臣細田博之君) 日本と北朝鮮の問題は、私はまたほかの国と違う様々な問題があると思います。  それは、過去の問題について一切まだけじめが付いておりませんね。それぞれ、そのためにお互いに様々な話合いをしようということで、日朝平壌宣言まで来たところで、それの障害となる様々な、核、拉致、その他の問題、ミサイルとか、そういう問題を話し合おうということに来ており、かつ六か国協議では大きな枠組みの中でいろいろな歩み寄りも見られたと、そういうことですから、できるだけ早く日朝の会談を始める機運もございますので、その中でまた様々な議論をお互いに出し合えばいい、そういうことではなかろうかと思っております。
  180. 緒方靖夫

    緒方靖夫君 六か国協議参加する五か国が北朝鮮に対して核を放棄せよと一致して迫っている、そういう構図ですよね。その結束を維持するということは非常に大事だと思うんですよね。  今回の事態というのは、そこの重要な部分、中、韓、日本ももちろんですけれども、そこにやはり足並みの乱れを余計なことでつくるということになる。その点でマイナスではないかということを私は大臣に問うているんですけれども、その点についてどうお考えか、認識をはっきりとお聞かせいただきたいと思います。
  181. 細田博之

    国務大臣細田博之君) 緒方議員はそのようにお感じになるのかもしれませんけれども、やはり北朝鮮の核問題というのはアジア全体の平和に大きな影を投げ掛けており、中国にしても韓国にしても、北の、又は朝鮮半島の核の保有ということは決して実現してはならないと。したがって、開発中のものについては完全に廃棄をするとか検証をしようじゃないか、エネルギー問題は別として。  そういう正に平和への挑戦自体への行為が始まっているわけですから、核兵器に向けての開発という、どこまでできているかということはいろんな意見がありますけれども、北朝鮮自体はもう核の兵器化は完了したと言っているわけですから、これは平和に対する明確な具体的な脅威でありますから、それを除去すること、これは、今おっしゃっている靖国の問題というようなことがいろんな意味でマイナスではないかということと比べると、もう圧倒的に大きい現実の平和に対する脅威でございますので、私は、これから日朝間の具体的な話合いをしっかりと進めていくことは何の妨げにもならないと。まして、過去の問題も含めて議論するわけですから、私はならないと思っております。
  182. 緒方靖夫

    緒方靖夫君 六か国協議の中で大事な構成国の一つである韓国の主席代表がこういう発言をしているということは、やはりしっかりと政府として受け止めていただきたいと思います。  また同時にアメリカ政府も、彼らのアジア政策にとっては、良好な日中関係、そして良好な同盟関係である日韓がともにいい関係を持つということが彼らの国益だということをはっきりと述べているわけですよね。そこにも波及する問題なんですよ。  同時に、私ははっきり言って、こういう単なる日本とそれぞれのバイの関係だけではなくてマルチの関係から見て、しかも今大臣が強調されたように非常に大きな重要性を持つ六か国協議の中で、やはりこういうパートナーのある国がマイナスというそういう示唆をするような、そういう事態を生むということは重大だと思うんですね。  その点で私は、自らの個人的信念、真情、そのことを理由にされるとしても、日本外交という国益の上にそういう問題を置くということはまた同時に非常に大きな問題ではないか、そう思います。そのことをはっきりと申し上げたいと思うんですね。  同時に、やはり靖国問題というのは、やはり靖国神社が、そもそもさきの戦争は正義の戦争であったということ、それからまた東京裁判を否定し、そしてまた同時に戦犯の名誉回復を行うということを訴えているわけですから、そこに日本国総理大臣が行くということは、やはり戦後の国際秩序に対して一体日本はどう考えているのかという、そういう問題にもなるわけですよ。  ですから私は、その点で今回の事態について、バイの問題もそうだ、そしてまた六か国協議についても非常に重大だと、そう思います。その点でやはりきちっとした対応を、私は中止すべきだと思いますけれども、官房長官の御見解を伺っておきたいと思います。
  183. 細田博之

    国務大臣細田博之君) 総理、小泉総理は、度々あらゆるところで発言しておられるように、そのような気持ちで参拝しているのではないと。しかも、内閣総理大臣の職務として参拝しているのではないということを明言しておられますので、そのようなことではないと私も承知しております。
  184. 緒方靖夫

    緒方靖夫君 やはり今これから時間の経過とともにもっと明らかになると思いますけれども、やはり日本外交が今問われている、そう思います。  ニューヨーク・タイムズの無意味な挑戦と題するその記事については先ほど話題になりました。イギリスのフィナンシャル・タイムズは、予期されたように非難と憤激の連鎖を引き起こした、靖国参拝がアジアの和解と協力を妨げかねないと、そういう厳しい論調を出しているわけですよね。私は、そういう点から、やはり日本外交にとっても、アジアとの共同というそういう点にとっても、やはり参拝は中止しかないということを申し上げておきたいと思います。  さて、あと残された時間で法案についてお尋ねしますけれども、まず、前回の延長から二年たって、自衛隊が支援する海上阻止行動状況や支援のニーズ、これは全く変化はないんでしょうか。
  185. 大野功統

    国務大臣大野功統君) 変化はございません。
  186. 緒方靖夫

    緒方靖夫君 支援先である米軍の方は状況の変化を説明しているんですね。  米中央軍、海軍のデービッド・ニコルス司令官、第五艦隊の司令官も兼任されている方ですけれども、この方が先月二十二日に次のように語っております。麻薬や人の移動に関する限り、一年前には度々大きな麻薬船を発見していたが、最近は洋上で大した発見もしていないし、外国人戦闘員もさして発見していない、こう述べているんですね。  この一年間の間にもこういう大きな変化がある。しかも米軍の責任者がそう述べている。とすれば、支援の前提である他国の活動意味も変わってくるのではありませんか。
  187. 大野功統

    国務大臣大野功統君) 海上自衛隊の行っております活動というものは、言わば海上におけるテロあるいは物品の移動を阻止するという言わば抑止的効果という点で考えていただきたいと思います。もちろん具体的な効果もあります。しかしながら、抑止的効果ということを考えた場合にどのようにこの問題をとらえていくのか。  そして、もう一つはやはり外国からのニーズが依然としてある。そして日本ができる、テロとの戦いでこのMIOでできる、日本ができる活動である、こういう点を考えていただきたいと思います。言わば治安活動とかそういう活動ではなくて、日本ができる活動、ニーズがある、そしてもし日本が退場すれば、恐らくその海上阻止活動というのは現在の三〇%ダウンになるだろう、海上阻止活動の効率が非常に下がるだろうと、こういう点を御勘案いただきたいと思います。
  188. 緒方靖夫

    緒方靖夫君 抑止は抽象的な話ですし、またその具体的な要請、それについても米軍の責任者がこう述べているという現状です。これが、やはり私はニーズについて言ってもやはり非常に大きく減少しているという、そのことを指摘しておきたいと思います。  最後に官房長官にお伺いいたします。  海上阻止作戦の支援のために期限付で自衛隊を派遣しておいて、その作戦がどういう状況になったら撤退するのかと、そういう明確な方針が示されるべきだと思うんですね。それがないのは当然おかしなことです。その点での長官の御所見をお伺いいたします。
  189. 細田博之

    国務大臣細田博之君) 今後、今のアフガニスタンにおけるテロリスト掃討作戦などがどういうふうに進捗していくのか、そしてまた国際社会におけるテロとの戦いへの取組等がどうなっていくのか、そして我が国としてどのような活動をすべきかという総合判断をこれからしまして、私どもとしては、いろいろな思いを込めて一年、また、かつ今後の様子をよく見守りながらという気持ちを込めて法案をお願いしておるということを申し上げたいと思います。
  190. 緒方靖夫

    緒方靖夫君 時間になりましたので、あとは継続いたします。  ありがとうございました。
  191. 大田昌秀

    ○大田昌秀君 官房長官にお願いいたします。  去る九月二十二日付けの毎日新聞は、アフガニスタンのカルザイ大統領がアフガンではこれ以上の外国軍の活動は必要ないと述べ、米国の軍事行動の縮小を求めたと報じています。    〔委員長退席、理事浅野勝人君着席〕  アフガニスタンの現状についての官房長官の御認識をお聞かせください。
  192. 町村信孝

    国務大臣町村信孝君) 今の報道につきましては、ちょっと手元に資料ございませんが、私の記憶が正しければ、そういう発言と同時に、依然として米軍との協調関係が大切であるというような発言等々もございます。また、後日、他のメディアとの会見の中では大分違うことも言っているようでございますから、私自身、それはもちろん掃討作戦が進めばいろいろな戦術上の変化というのは出てくるんだろうと思います。  テロが起きた、九・一一が起きた直後はかなりテロリストたちがある一定の場所に集中していたと、空爆したと、散っていったと。そうすると、空爆というのは必ずしも有効な手段ではないかもしれない、他にもっとほかに有効な手段があるかもしれないという意味での戦術的な対応というのは変化をしていくということは、これはあるんだろうとは思います。ただ、テロリストそのものが一定のテロ対策で成果を上げていることは事実だろうと思いますが、まだ十分弱くなったということは必ずしも言えないのかもしれない。したがって、引き続きテロ対策、特にアフガン地域で必要であるということは変わっていないのだと私どもはそう思っております。
  193. 大田昌秀

    ○大田昌秀君 いま一つ官房長官にお願いいたします。  アフガニスタン現地において長年にわたって医療支援を始め農業用水を確保するため井戸掘り等に取り組んでおられるペシャワール会代表の中村哲医師は、アフガニスタンで一番深刻なのは干ばつであり、国民の九割近くが農民と遊牧民なのでかんがい用水の確保が一番重要であると強調なさっておられます。アフガンにとってはこのように農業支援が大切ではないかと思うのですが、我が国の今後のアフガン支援のありようについて、官房長官のお考えをお聞かせください。
  194. 細田博之

    国務大臣細田博之君) アフガニスタンが様々な支援を必要としているということは十分伝わっては来るわけでございます。麻薬を頼って、またほかの産業というものがなかなか育たない、農業国家でありますから、いろんな努力をしなきゃならないときに手を差し伸べて復興支援をしたいことはやまやまでございますが、先般もあれは危険地域ではありますが、日本人がちょっと入ると殺されてしまうような危険性を有するところでもあるし、現在入っている人たちは非常に勇気ある方々が現地との友好関係の下にいろんな活動をしていることは心から敬意を表するわけでございますが、政府として安定した状態を更に実現してもらって協力を進めると、こういうことが本旨であろうと思っております。  外務大臣からあれば。
  195. 町村信孝

    国務大臣町村信孝君) ちょっと補足をいたします。  今、復興分野については、日本としてはインフラの整備ですね、道路等の、それから保健衛生の分野あるいは教育、こうした分野を中心にやってきているわけでありますが、農業部門のインフラといえば当然かんがい設備というのも入ってくるわけでございます。  特に、委員御承知のとおり、この麻薬というか、ケシの栽培というのが大変多いと。これを他の作物にできるだけ替えていきたいわけでありますけれども、なかなか麻薬ほどもうかる、ケシの花ほど何かもうかるものがないとかですね、いろんな事情もあるわけでありまして、そういう意味で、農業の生産性を高めるというのは、迂遠なようでもある意味では麻薬対策にもつながるというようなことから、この面での今後、アフガン復興支援を考える際に一つの重要なポイントであろうと、こう思っておりますし、そういう意味で、農業・農村開発は重要な分野として今後取り組まなければいけないと、こう思っております。
  196. 大田昌秀

    ○大田昌秀君 防衛庁長官にお伺いいたします。  防衛庁が作成したインド洋上での海上自衛隊による給油実績の一覧表によると、今年に入って一月当たりの給油回数は一けた、しかも給油量は二千キロリットル、あるいは一千キロリットルに落ち込んでおります。給油量の推移を見れば、今年九月の一千キロリットルは最高時の二〇〇二年三月の四万キロリットルの四十分の一に激減しています。したがって、海上自衛隊の艦船二隻をインド洋へ派遣して給油支援活動を続ける必要性はまだあるのでしょうか。
  197. 大野功統

    国務大臣大野功統君) まず、給油の実績から見ると先生おっしゃるとおりでございます。一番多い月、一番少ない月を取れば確かに四十分の一であります。しかし、もう少し傾向的にとらえますと、当初の六か月そして最近の六か月という取り方をしますと給油量は約八分の一、四十分の一じゃなくて八分の一ぐらいに減っております。そのことは事実でございます。その原因としては、やはり補給艦に給油するということでなくて、むしろ小型船舶に、護衛艦に給油するということが増えてきたと、このことが一つあろうと思います。    〔理事浅野勝人君退席、委員長着席〕  そしてもう一つ是非とも御理解いただきたいのは、給油回数という目で見ますと、当初の六か月と今の六か月、現在の六か月を取りまして、まあ九割程度、少し減っていますがほとんど変わらないと言っていいと思います。そのことは、やはり給油に対するニーズがある。そのニーズはどういうところから出てくるかといいますと、やはりもし日本からの給油がなければ港へ帰って、港へ寄港して油の補給を受けなきゃいけない。そうすると、活動は大変非効率になってくるし、一種の計算によると活動状況は三〇%減になるだろうと、このように言われておるわけでございます。  給油量が減ったということをもって表面的に直ちに必要性がなくなった、ニーズがなくなったというふうには断定できない、このことを御理解いただきたいと思います。
  198. 大田昌秀

    ○大田昌秀君 いま一つ関連して、イラク・サマワに駐留する陸上自衛隊の主任務となっていた給水支援活動は、たしか今年二月に終了したと思いますが、その陸自の部隊がまだサマワに残る必然性といいますか必要性といいますか、それはどういったことでしょうか。
  199. 大野功統

    国務大臣大野功統君) まず、陸上自衛隊がサマワで活動しておりますが、このことは、例えば公共事業、道路とか学校の修復、そしてまた医療活動においてサマワの人々に大変大きな貢献をしているわけでございます。現地の世論調査によりますと、現地の方々はもう八割以上ですね、八割ぐらい自衛隊の皆さんにサマワへ残ってほしい、こういうやはりニーズがあるわけでございます。  そういう意味で、このニーズはあるし、そしてまたもう一つ忘れてはならないことは、自衛隊のそのような人道復興支援活動というものは、正にサマワと日本との間の心の懸け橋といいましょうか、いわゆるソフトパワー、言わば魅力を持って相手を説得するような、相手と心のつながりを持つような、そういうソフトパワーとなっているということを御理解いただきたいと思います。
  200. 大田昌秀

    ○大田昌秀君 国土交通省、おいででしょうか。お願いします。  十月十八日付けの朝日新聞は、去る十七日の午前、外部からの違法電波が原因で羽田空港への着陸機が滑走路までの距離を測る装置に異常が発生したと報じています。同様の異常は今月と昨年の十月にも起きておりまして、国土交通省は在日米軍横須賀基地の艦船から発信された可能性が高いと見ているとあります。  国土交通省として、本件についてどんな調査などを行っているのか、簡潔に御説明ください。
  201. 北村隆志

    政府参考人(北村隆志君) 今御指摘のように、今週の十七日の午前七時半に、羽田空港に進入中の航空機から、距離情報の提供装置の表示が異常ではないかという通報が当方にございました。直ちに当方で地上施設なり機上装置について確認しましたが、異常が認められませんでしたので、外部からの電波干渉ではないかということで総務省に対し調査を依頼し、また我々の方では計器の着陸装置の運用を停止いたしました。十一時四十六分に電波干渉の発生がないということが確認できましたので、計器着陸装置の運用は再開いたしました。その間に、結果としまして出発便で百四十五便、到着便で百五十便、計二百九十五便、最大で一時間三十一分の遅延が発生しましたし、四便については欠航となりました。  干渉電波につきましては、総務省からの情報によりますと、横須賀方面から到来したけれども発生源は特定できていないということでございます。我々このように多くの航空機の運航に影響が発生したことは誠に遺憾だと思っておりまして、総務省と緊密に連携をして電波障害の原因につきまして調査し、このような干渉が生じないような再発防止を図ってまいりたいと考えております。  さらに、原因究明を待たずに、我々、航空保安無線施設の電波と類似の電波を使用します機関に対して、我々が使用しております無線施設のリストなどを提示して干渉が生じないように周知を行いますとともに、関係者間で十分な連絡調整を行いまして、このような事態が生じないように対応してまいりたいと考えております。  以上でございます。
  202. 大田昌秀

    ○大田昌秀君 防衛庁長官にお伺いします。  新聞報道で、嘉手納以南の米軍基地を北の方に移すと、ノーザンプランなんてよく言われているわけなんですが、これは事実でございますか。
  203. 大野功統

    国務大臣大野功統君) 私どもは、沖縄を中心とする基地の、米軍基地の負担の軽減、一方において抑止力の維持という問題と同時に負担の軽減、真剣に取り組んでおります。  いろいろな問題についてあらゆる側面から検討しておりますけれども、誠に申し訳ございませんが、具体的な話をさせていただける段階に来ていない。そういう話ができる段階に参りましたら必ず私ども説明責任を果たさせていただきたい、このように思っておりますので、よろしくお願いいたします。
  204. 大田昌秀

    ○大田昌秀君 沖縄の新聞の世論調査によりますと、八二%が辺野古への移設に反対しております。それで果たしてノーザンプランというのが実現するかどうかは分かりませんけれども、仮にという話で恐縮ですが、仮に南の南部地域に、本島南部地域にある米軍基地を北に移す場合、その費用はどこが負担するんでしょうか。外務大臣、お答えいただけますか。
  205. 町村信孝

    国務大臣町村信孝君) まだ具体のことで話が煮詰まっているわけではございませんが、日米地位協定二十四条というものがあり、これで原則として米軍の施設・区域に係る、要するに基地に係ることについては日本が例外的に負担しますよということになり、さらに、それ以外の面で光熱費とか労務費等についてはまた特別協定を結んで日本側が負担できるようにするというふうになっているわけでございまして、今御指摘のような基地の移転等々についてどういうことになるのかということについて、まだ、今防衛庁長官が申し上げたとおり、いろんなアイデアについては検討しておりますけれども、確定的に申し上げる段階には至っていないということでありますが、まあしかし、内容によっては日本側が一定程度の負担をするということは当然あるのかなとは思いますが、まだちょっと具体のことについてそこまで話が至っているわけではございません。
  206. 大田昌秀

    ○大田昌秀君 地位協定の二十四条では、日本側が負担する、ほかの面では負担しますけれども、移設についてはそうじゃないと思いますが、私の理解が足りないとおわびしますけれども、その辺をまた次の機会にお伺いしたいと思います。  いま一つ外務大臣にお伺いしたいのは、前回の本委員会で、私の方がオスプレー、MV22オスプレーを普天間の移設先として予定される基地に配備する報道がなされているけど事実ですかと確かめたところ、外務大臣は、米側、アメリカ側に照会したけれども、沖縄への配備についてはまだ何ら具体的な計画はないという趣旨の御答弁でしたが、この……
  207. 林芳正

    委員長林芳正君) 大田君、時間が過ぎておりますので、おまとめください。
  208. 大田昌秀

    ○大田昌秀君 はい。  前防衛庁長官が十四日の自民党日米安保・基地再編合同調査会の会合の後の記者会見で、オスプレーの配備を前提に普天間の移設先を検討しているということを明らかにしたというふうに報じられておりますが、これは政府内で統一が取れてないわけでしょうか。これで終わりますけれども。
  209. 町村信孝

  210. 大田昌秀

    ○大田昌秀君 石破さんがですね。
  211. 町村信孝

    国務大臣町村信孝君) がとおっしゃいましたか。  まあ、前防衛庁長官は今や政府の方ではないので、政府部内の統一がと言われても何ともお答えのしようがありませんが、いずれにいたしましても、私ども先般委員にお答えをしたとおりでありまして、アイデアはいろいろあるかとは思いますけれども、現時点で少なくとも具体的に決まっていることはないという回答を米側から得ているところであります。
  212. 大田昌秀

    ○大田昌秀君 終わります。
  213. 林芳正

    委員長林芳正君) 本日の政府に対する質疑はこの程度にとどめます。  速記を止めてください。    〔速記中止〕
  214. 林芳正

    委員長林芳正君) 速記を起こしてください。     ─────────────
  215. 林芳正

    委員長林芳正君) 参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  平成十三年九月十一日のアメリカ合衆国において発生したテロリストによる攻撃等に対応して行われる国際連合憲章目的達成のための諸外国活動に対して我が国が実施する措置及び関連する国際連合決議等に基づく人道的措置に関する特別措置法の一部を改正する法律案審査のため、本日の委員会立教大学大学院教授伊勢崎賢治君及び防衛大学校国際関係学科助教授宮坂直史君を参考人として出席を求め、その意見を聴取することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  216. 林芳正

    委員長林芳正君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  217. 林芳正

    委員長林芳正君) 平成十三年九月十一日のアメリカ合衆国において発生したテロリストによる攻撃等に対応して行われる国際連合憲章目的達成のための諸外国活動に対して我が国が実施する措置及び関連する国際連合決議等に基づく人道的措置に関する特別措置法の一部を改正する法律案議題といたします。  この際、参考人の方々に対し、本委員会を代表して一言ごあいさつを申し上げます。  本日は、御多用中のところ本委員会に御出席いただき、誠にありがとうございました。  皆様から忌憚のない御意見をいただき、今後の調査の参考にしたいと存じますので、よろしくお願いいたします。  議事の進め方について申し上げます。  まず、参考人からお一人二十分程度で順次御意見をお述べいただき、その後、午後五時までをめどに質疑を行いますので、御協力をお願いいたします。  また、御発言の際は、その都度委員長の許可を得ることになっておりますので、御承知おきください。  なお、御発言は着席のままで結構でございます。  それでは、まず伊勢崎参考人に御意見をお述べいただきます。伊勢崎参考人
  218. 伊勢崎賢治

    参考人伊勢崎賢治君) ありがとうございます。  立教大学の伊勢崎でございます。今日は御招待いただきまして誠にありがとうございました。  私の今日の発表は、アフガンにおけるDDRという、武装解除、動員解除という、日本政府が責任を持って取ることになりましたアフガン復興の一メニューについてお話を申し上げます。(資料映写)  これがアフガンの地図でございます。  もちろん、南東部においては、話題になっております対アルカイダ、タリバンの掃討作戦がいまだに続いておりまして、アフガン復興の特徴というのは、そのほかの国連が主導を取る復興とは違いまして、いわゆる戦争プロセスと平和プロセスが同時進行していることに一つの特徴があると思われるわけであります。  DDRの説明です。  これも多分皆様御承知と思いますけれども、最初のDはディスアーマメント、これは武装解除、つまり武器を取ることでございます。次のDは動員解除、ディモビライゼーションでございまして、つまり武器を取っただけでは、またその組織があれば再動員してしまうということで、武器を持つ理由がなくするために軍事組織を解体するというこれを、いわゆる政治的なものになるんですけれども、これがディモビライゼーションのプロセスということになります。最後のリインテグレーションというのは、これほとんどが開発プログラムです。いわゆる職業訓練であるとか、そういうことですね。つまり手に職を付けてあげる、いわゆる経済的な理由が再び銃を取るような理由にならないように、そういう状況をつくってあげるということであります。  DDR、日本がなぜDDRを担当するようになったか、その流れについてちょっと説明したいと思います。  さかのぼりますけれども、二〇〇二年の四月、その三か月前に、あの有名な東京の第一回アフガン復興会議が開かれました。その数か月後ですね、G8の治安会議、アフガンの治安会議において、ここにあります治安部門の四分野についての責任国が決まりました。このときはDDRというのはまだだれがやるか分かりませんでした。その年の五月に川口大臣アフガンを訪問いたしまして、そのときに国連その他の機関との協議によって、いわゆるレジスター・フォー・ピース、復員省構想というのが持ち上がりまして、これが日本がDDRをやるきっかけとなったと聞いております。  このとき、DDRというものに対して果たして日本政府が正しい理解があったかどうかというのはかなり疑問でありまして、これははっきり申し上げますけれども、多分、最初のDというのはこれは武装解除ですから、これは完全な軍事オペレーションであります。ここに対する認識が十分であったとは、今正直申し上げますけれども、あったとは言えません。  これがそのときに決定した、その後に決定した治安分野五部門、DDRを入れた五部門の相関図であります。  DDRというのは、右に書いてありますように国軍、新国軍をつくる、これはアメリカの責任でありますけれども、その相対方向には警察、これはドイツの責任でありますけれども、いわゆる武装解除をしないとこういったイニシアチブが全然意味を持たないわけであります。つまり、軍が乱立している状態でありますから、当時のアフガニスタンはですね。  これは、カルザイ暫定大統領が当時出した一番最初の大統領令で、いわゆる新国軍をつくるという意思表明をいたしました。この大統領令によって、それ以外の旧軍はすべて違法であるというふうな一応法的な枠組みがつくられたわけであります。日本が責任を取ることになったDDRというのは、この枠組みの中で行われることになっております。  二〇〇三年の二月、アフガンの平和の定着復興会議、これが実質上DDRのキックオフ会議になりました。ここで、私がその二週間前に現地に入ったわけでありますけれども、DDRのお絵かきをして、そこで、この場でお絵かきを発表いたしまして、各国からプレッジ、お金をプレッジしていただくということになりました。そのときに日本がプレッジしたお金は三十五ミリオンドルでございます。  このときにカルザイ暫定大統領にして世界に宣言させたものは、実はこれ日本政府のロビーイングのたまものでございまして、以下の三点をカルザイさんは世界に対して宣言いたしました。  一つは、十万人。これもなぜ十万人かというのは非常に微妙なところなんですけれども、この現場で旧国軍の軍閥と国際社会が合意した数なんですけれども、一応十万人分のお金を出すということで、十万人をターゲットとした武装解除、つまり旧軍兵士ですね、これは群雄割拠していた軍閥たちの総称をAMFと、アフガン・ミリタリーフォースというんですけれども。  二番目は、なぜDDRを行うか。これは、いわゆる軍組織がアフガンに乱立していた、それを一掃して整理して、アメリカがつくっている新しい国軍が唯一の国軍になるようにいわゆる軍事組織の総清算を行うという、このためにやっているんだということであります。  三番目。なぜDDRが、DDRの政治的なデッドライン、いつまでやればいいのか。総選挙までであります。つまり、軍閥というのは、これは完全武装した政治家であります。すべての軍閥に政治的な意志があります。でありますから、彼らが武装したままで選挙に突入したら、これはまた内戦の繰り返しになりますので、やはり紛争後、最初の選挙までに武装解除を、動員解除を完了するという、これを高らかに宣言したわけであります。これのロビーをしたのも、これも日本政府でございます。  DDRが始まります。その前に我々は一つの難題にぶつかりました。御存じのように、アフガン復興というのは、これはすべてアフガン人のオーナーシップから、デーワンから、いわゆるボン合意の後から、国連が暫定統治をするまでもなく、アフガン人によって組閣をし、それで復興が動き出しました。DDRそのものも、やはりだれが武装解除をやるのか。これは国連のPKFがやるのか、それともアメリカ軍がやるのか、日本自衛隊を送るのか、そういう選択肢は取らなかったわけであります。すべてをアフガン人にやらせるということであります。じゃ、アフガン人のだれか。これは暫定政権の国防省であります。  じゃ、果たして国防省は中立に見られるのか。ところが、そうではなかったわけであります。当時は国防省、一つの国防省全体が一つの大きな軍閥、最大軍閥によって牛耳られていると。このまま武装解除を進めれば、軍閥が軍閥を武装解除する、これ刀狩りになってしまうわけであります。武装解除というのは、これは合意の下にやるのが基本でありますから、我々の一つの難題というのは、いかにしてこの国防省、当時の国防省を中立化するかということでありました。で、アメリカと一緒になって国防省改革、つまり国防省の総人事、いわゆる首脳部の人事を総入替えをしました。これに六か月掛かりました。このおかげで武装解除の開始が遅れました。約半年遅れました。二〇〇三年の十月にDDRを開始いたします。  これが軍閥の、旗が立っているところが軍閥の所在地でありまして、約九ないし十の大きな軍閥で構成されるのが当時のいわゆる戦力図でありました。  DDRを説明いたします。  DDRの最初のプロセスというのは、軍閥たちの門をたたき、一体幾ら武器を持っているのか、戦車は何台か、どういった部隊構造を持っているのか、兵力は何人いるか、それをすべて調査いたします。だれが調査するか。これを国防省の役人が、国防省の士官がやらなきゃいけません。まずそこから始まります。彼らの移動費、手当は別ですけれども、手当はイギリスから出ましたけれども、彼らの移動費若しくは移動に使う車両、これはすべて日本の援助で当時賄っております。  このように一つ一つ武器を査定いたしまして、これは戦車ですけれども、使えるか使えないか。これももう一つアフガンのDDRで顕著な点なんですけれども、アフガンのDDRというのは、回収された武器は破棄しません。これは再利用いたします。だれが再利用するか。新国軍が再利用いたします。すべては新国軍のために武器を回収するという位置付けであります。でありますから、使える武器しか回収いたしません。  これは精査です。一人一人の兵士を精査いたします、村の長老たちによって。これが回収ユニットですけれども、これも日本のお金を使って作りました。これが移動ユニットとなって、コンピューターを積んでいるわけでありますけれども、こんなふうに一人一人の兵士を登録しながら武器を回収すると。登録する一人の兵士に対してカラシニコフを一丁ずつ取るわけであります。  これも日本のお金でやります。各地にリインテグレーションセンターと言われる復員所、復員事務所を置きまして、ここでオリエンテーション、第二の人生をどうするかというオリエンテーション、若しくはいわゆる短期就業へのあっせんなどを行います。これも日本のお金です。  これはそのうちの一つ、地雷除去員の訓練。つまり、自分たちが埋めた地雷を自分たちで除去するという、これも日本のお金でやっております。そのうちの何人かはミリタリーアカデミー、これはアメリカがつくっているものですけれども、その中に吸収されて、選抜の後で、新国軍へとリクルートメントされていきます。  これが軍事監視団であります。当時、ブラヒミさんと僕の間で一つの決定がありました。この国連UNAMAというのは国連PKOではございませんで、PKFがございません。そうすると、いわゆる国連PKOがオペレーションの中ではいつも定番である軍事監視員、これ非武装の多国籍から集められた士官なんでありますけれども、彼らの存在がありません。  しかし、武装解除というのは、中立な軍事監視なしでやるのはこれは考えられない。アフガンの場合はこれを一体だれがやるか、そこでもめたわけであります。ブラヒミさんがこれも日本がやってほしいということなので、ブラヒミさんに所属する軍事アドバイザーですか、それを四人僕が使ってもよろしいということで、そして共同声明として、国連と日本で共同声明として各国に呼び掛けて駐在武官を募ってチームをつくって各地に配置する。これがいわゆるIOG、インターナショナル・オブザーバーズ・グループと申しまして、いわゆるサッカーでいうレフェリーに当たるわけであります。相撲の行司に当たるわけであります。日本からは、この右端の、当時の駐在武官だった安藤一等陸佐が非武装で参加していただきました。  武装解除が進みました。一応我々が目指したのは政治的な動員解除でございます。つまり、この部隊はもうないということを国防省若しくは暫定政権が宣言して、給料も出ないと。ここなんです。つまり、カラシニコフというのは幾ら集めてもこの国には幾らでもあります。一番大切なのは中重火器、これは大砲、いわゆる部隊を象徴する大砲若しくは戦車、スカッドミサイルのたぐいを完全に無力化いたしまして、まあ一応カラシニコフを一人一丁集めますけれども、政治的にこれは宣言いたします、ここにもう部隊はないと。そこを我々は目指したわけであります。いわゆるウエポンフリーソサエティーをギャランティーしたことは一度もありません。これは僕らが、日本政府がギャランティーしたのは部隊を政治的に解体する、ここの点であります。  しかし問題があります。この写真のように、この白い服を着ているこれは軍閥中の軍閥でありまして、それも、彼の子飼いの兵士というのは、旧軍に属する兵士と、あと彼の私兵を持っております。そっちの方が多いんですね。その私兵が部分的にいわゆるコアリションオペレーション、連合軍の掃討作戦に使われております、アメリカから給料を払われて。これがまだ並立しているわけでございます。ここが一番この和平プロセスと、武装解除というのはこれは和平プロセスでございますから、それと戦争を一方でやっていると。でも、同じ国でやっているわけでありますね。こういうところで接点、摩擦が出てくるわけであります。  この問題は今でもありまして、やはり今、これから軍閥というのは政治的な、いわゆる軍人としての地位はもう失いましたけれども、だからといって彼らが無力化したことではない。私兵がおりますし、私兵は多分最精鋭のカラシニコフの小銃のたぐいをまだ保持して、多分麻薬なんかを利用しましてまだ勢力を誇っているのが、これが現状であります。  これが、一応今回武装解除の目玉でありましたヘビー・ウエポン・キャントンメント、つまり重火器を無力化するということであります。ここに我々の焦点があったわけであります。これは部隊の象徴でございますから、これを一応九割、ほとんど九五%以上、今年の七月に一応武装解除、動員解除の政治的な完了が宣言されたわけでありますけれども、ほとんど九五%以上の中重火器が無力化されました。それは成功いたしました。  現在なんですけれども、依然アフガニスタンは不安定な状態、これは皆さん御想像が付くと思うんですけれども。  ANAというのは、これは新国軍であります、アメリカがつくっている。彼らが本当は、プラスもちろん警察なんですけれども、国の治安を守らなきゃいけない。そうすると、いわゆる外国から送られた駐留している多国籍軍、いわゆるコアリション、いわゆる連合軍なんかはやっぱりその任を解かれるわけでありますけれども、やはりアメリカのエグジットストラテジーとしては、国軍をいかに早く迅速に創設するか、これに懸かっているわけであります。  これもやはり、現在のところ、最終的には七万人規模の、これはいわゆる歩兵部隊を中心とした新国軍を目指しておりますけれども、それもデッドラインは、フェーズ3といいますと二〇〇七年ですね。今のところはどのくらい進んだかといったら、二万人弱、それがANAの規模であります。それも地方展開はなかなかできない、まだそういう状況であります。地方展開は部分的にあります。この楕円であるところが地方展開拠点をつくっている、今のところであります。一大隊ぐらいしか、一つ地域に一大隊、これは六百人ぐらいですけれども、そのぐらいの規模の治安部隊しか送れない状態であります。  PRTという新しい概念がアフガンでずっと志向されております。PRTというのは、これはそこに書いてありますように、いわゆるCIMIC、軍民協力の新しい形態でございまして、いわゆる民間の、例えば日本であればJICAの職員みたいのような復興の専門家ですね。そのチームと完全武装した歩兵部隊、これはでかい部隊じゃありません、中隊ぐらいの規模であります、百人弱の規模であります。それを一緒のチームにして治安措置のない地方に送って、ボディーガードになりながら復興事業を行うというこの形態であります。これをPRTといいます。  現在、このPRTがコアリションにとっては、連合軍にとっては、いわゆるエグジットストラテジー、こっちの方が全然金掛かりませんから、軍事的には。これを展開することが彼らにとってのエグジットストラテジーであり、なおかつISAFをずっと今コマンドしておりますNATOにとっては、いわゆるNATOの治安部隊をカブールから拡大せよという国際的なプレッシャーがありましたので、それができなかったので、このPRTというものがその拡大、いわゆるISAFの拡大の一つの解決策であるというふうになって、現在のところ、NATOコマンドといわゆるコアリションコマンド、つまり連合軍のコマンドのPRTが今全国二十か所に展開しております、二十一か所です、済みません。この星印が付いているところが今PRTが展開している場所であります。  最後に、先ほど申しました武装解除の行司を務めましたインターナショナル・オブザーバーズ・グループ、通称IOGは、試験的なDDRが終わった後、日本政府の資金を得まして、約一億五千万円なんですけれども、日本のNGOにその本部機能を移管されました。  そのNGOはどういうものかと申しますと、JMASと呼ばれる退役自衛官の方々が組織している日本では有名なNGOなんですけれども、一応武器に精通しているということで彼らに本部機能を移管しまして、各国から、特にドイツは三人の退役軍人を外交官パスポートを付けて供出していただきまして、そのほかフランス、あとカンボジアの元兵士たち、将校たちもこれに参加して、いわゆる民間で行う軍事監視の先駆を日本がいたしました。これは信頼醸成措置であります。武装解除という非常にセンシティブな政治オペレーションの行司、信頼醸成を日本政府がNGOの力をかりてやったわけであります。  写真のこの戦車の前に写っている真ん中の女性、今井千尋さんと申しまして、女性で民間で、ほかの要員はすべて元軍人なんですけれども、彼女は若いまだ三十五歳の女性でして、軍事経験はありません。だけれども国際経験がありますので、民間の人間として初めて武装解除を、もちろん女性としても初めてですけれどもやっておりまして、現在は総理府のPKO局で働いております。これも繰り返しますが、日本がやった非常に面白いイニシアチブをこのDDRの中でやりました。  以上でございます。ありがとうございました。御清聴ありがとうございました。
  219. 林芳正

    委員長林芳正君) ありがとうございました。  それでは、次に宮坂参考人にお願いいたします。宮坂参考人
  220. 宮坂直史

    参考人(宮坂直史君) 防衛大学校の宮坂と申します。  このたびこの席に呼ばれまして、大変こちらの方こそ勉強させていただきます。どうぞよろしくお願いいたします。  私の方は、今事務局の方から一枚のレジュメをお手元に配付させていただいたと思いますが、おおよそその順番に沿って申し上げたいと思っております。  まず最初一つだけお断りをしておきたいんですが、私、防衛大学校というところで、それは防衛庁の機関ですが、今回ここでお話しすること、私の意見を申し述べさせていただきますが、それは私の所属する機関とは一切関係はございませんし、また野党、与党を問わず特定の政党の意見を代弁するものでももちろんありませんし、だれかの指図を受けてこう言えと言われたわけでももちろんございませんし、そう言われたとしても、私は国際テロの問題を長年やってきましたので、私なりの意見をここで言わせていただきますので、そこだけよろしくお願い申し上げます。  まず、大きく二つここで私見を述べさせていただきますが、一つテロ特措法とその改正についての私見ということで、レジュメの一番のところでございます。  このなぜテロ特措法というものができたのかということに関しては、もうここで繰り返すまでもないと思うんですけれども、基本的に私は、この法律、法案を改正して引き続きこのオペレーションに我が国関係していくことには基本的には賛成の立場を取っております。それは、幾つか理由はあるんですけれども、今回、ちょっとこのレジュメ、お手元のレジュメには書いていませんが、こういう問題はひとつちょっと長期的な視点でお考えをいただければいいのかなと思っています。  長期的な安全保障問題、海上を、海の上を大量破壊兵器やその関連物質、あるいは国際犯罪、テロ絡みの関連物質、その他不審なものが海上を移動していると。そういうものに対して国際的にそれを阻止したり捜索をしたりしていくというのは恐らく長期的な観点で、一年とか二年ではなくて、十年、二十年、それ以上の長期的な観点で見ると一つの大きなトレンドになっているであろうと思っております。  今回のテロ特措法は、もちろん今の自衛隊が海上阻止を直接担うということではなくて、それをやっているほかの国の後方支援という、黒子と言ってはあれですが、そのような役割であることも承知の事実だと思いますけれども、そういうことを長期にわたって機会があるんであるならば続けるということは、単にアフガニスタンの和平、そしてテロとの戦いという限定された目的を超える意味とその経験があるんだと私は思っております。  幸いにして、今回、テロ特措法テロ対策特別措置法と実は変な名前が付いていますが、本当はテロ事件対応特別措置法であるわけですが、そういう非常に限定的な法律の下に始めたこのオペレーションであっても、この四年間を見ていると随分情勢が変わってきて、先ほど申し上げたように、海上での阻止活動というのがどうもアフガン絡みではなくて、アルカイダ絡みではなくて、国際的な安全保障上極めて重要になっていると。  一つ例を申し上げますと、日本参加していますPSI、拡散安全保障イニシアチブ、これは大量破壊兵器絡みの阻止、海上だけではありません、空のこともやっておりますけれども、こういう国際的な取組。もう一つは、シージャック防止条約というのが、これは国際テロ関連条約でございますが、この改正ということも実現しそうな感じになっております。これは正に海上でのテロ行為を防止するための国際的な取組と。  こういう大きな、アフガニスタンのみにとどまらず、大きな安全保障問題という流れで考えていくと、今回ほかの国々と一緒に引き続き洋上でのオペレーションを続けていくということ、それは経験を積んでいくということであって、非常にいいことだと私は考えております。もっとも、それがコストが非常に掛かってしまうとか、あるいは実際に脅威に直面して攻撃を受けているということであるならば話は別ですけれども、そうでなければ続けるべきだし、自衛隊がそのような形で国際的な経験を積むことは将来的にはプラスになっていくと。元々軍隊は閉鎖的な集団です。そして一国単位で考えるものです。そういう考えではこれからの安全保障問題は対応できないわけです。ですから、そのような観点テロ特措法とその改正には賛成、基本的に賛成という立場を取らせていただきます。  ただし、テロ対策全体ということ、こちらの方に実は私の大きな関心がありまして、国際テロ対策全体という観点から見ると、テロ特措法というのはほんの一部にすぎないというふうに思っております。実際、例えば私が本を書いたり論文をいろいろ書いたり意見を発表したりするとき、日本の国際テロ対策ってどういうことですか、何ですかといろいろ書くわけですが、テロ特措法ですか、そのことはほとんど書きません。それは、何というんでしょうか、主役ではないわけですね、国際テロ対策上は。  それで、今回残った時間で国際テロ対策というのはどういうものであって、どういうことを目指さなければいけないのかということを述べさせていただきます。それは、レジュメの二番目に書いたものです。  テロ対策には四つの局面があります。  一つは、もちろんテロを事前に予防をしなければいけないということであります。しかし、どんなに防護措置をとっても、どんなに予防措置をとっても、恐らく一〇〇%テロを予防することは不可能であると。  したがって、大きな事件が万が一起きた場合には、被害管理と言って、現場で関係機関が連携をして、できるだけその被害を縮小化していくと、その被害を少なくしていく、そういうような措置をとらなければいけない。これを被害管理と申します。  しばらくしたら、被害管理も落ち着いてしばらくしたら、それを実行した人たちですね、あるいはそれが組織的な活動であれば、その組織を追及していかなければならないと。海外に逃げたんであるならば、その犯罪人引渡しだとか、あるいは日本の警察が行っていろいろな捜査をするとか、現地の法執行機関と協力するとか、いろいろなことをやらなければいけない。  そしてさらに、一段落ついたら、ここがすごく重要な点だと思うんですけれども、なぜテロが起こってしまったのかの失敗の教訓というものをやらなければいけないと。これは一つの省庁がただ自己評価をして終わりというのではなくて、国会なりなんなりが第三者機関をつくって、どうしてこんなテロが例えば日本に対して行われてしまったのか、制度的にどういうところに問題があったのかということを見直して、勧告を打ち出していかなければいけないというふうに考えております。これはアメリカでもイギリスでも主要な民主主義国家はやっているわけですが、残念ながら日本はやっていないと。  日本考え方というのは、これは政治家がとか官僚がとか国民がという、悪いというわけではないんで、全体的な問題があると思うんですが、テロが起こったと、テロ事件が起こって、例えばそれが人質事件だったとすると、人質が解放されて事件は解決と、そういう考えで今まで長年来ていたわけであります。無事に人質が解放されても、それを実行したテロリストだとか、背後に組織があってそれを活動している、そういう人たちが世界でどこかで活動していても知らないと。国民的なレベルで言えば、そんなもの、人質が解放されればそれでもうおしまいというような態度で、忘却ですね、それで事件はおしまいというその繰り返しだったわけであります、一九七〇年代以降ですね。  こういうのが次から次へと日本テロを引き寄せて、招き寄せていた一つの大きな原因でもあると。きちんと、何で事件が起きてしまったのかを検証しないといけないと、その欠陥を改めなければいけないということが非常に重要だと思います。それが次の段階の予防ということにつながっていくんだと思います。この①から④、レジュメの、これをバランスよく取り組むことによって初めてテロ対策というのは完結していくのではないかと思います。  今、ようやく日本は変わりつつありまして、①の予防については、昨年の十二月十日に政府テロの未然防止の行動計画ということを発表して、十六項目に及びますけれども、出入国管理を始めとしていろいろなことを自ら締切り、締切りじゃ、締切りは論文です、期限を決めて実行するということを打ち出していると。  こんなことは今までなかったことで、今までは大きな事件があってわっと対応する。正に九・一一もそうですね、九・一一もテロ特措法もそうだったわけですが、何か事件があって初めてわっと行動をすると。そうではなくて、事件がなくてもテロリストテロ組織というのは毎日毎日活動しているわけであって、そういう彼らが事件を起こす前に未然に防止するためには広くいろんな措置をとらなければいけないと。それをようやく去年まとめて、今実行の最中にあるというのは大変大きく評価できることだと思います。  また、二番目の被害管理ということも、今これは中央政府機関だけではなくて自治体を含めて、自治体レベルで、私も先週東京の杉並区で、これは大きくニュースでいろいろなところで取り上げていただいたんですが、杉並区で生物テロが起きた場合、まずその現地でどのような対応をしなければならないのか、できるのか。マニュアルはあるんですが、マニュアルなんというのは本当に事件が起こったときに機能するかどうかは分からないと。その検証を自治体レベルで今取り組んで、シミュレーション、丸一日掛かりで区長さん以下多くの職員が参加して図上演習をやったと。で、多くの問題点が分かったということが各自治体で今行われています。これも非常に新しい現象で、数年前までは考えられなかったことですが、こういう点で今徐々に日本は変わりつつあると。ただ、③と④はまだまだこれからやっていかなければいけないことが多いのではないかというふうに思っています。  そして、こういう四つの局面と同時に、恒常的な取組として、今、伊勢崎先生の方からアフガニスタンのDDRの紹介があったと思いますけれども、対外的な支援とか協力、社会改革を進めていく。これはもう官民一体になって取り組んでいかなければなりませんし、また同時に国内の問題として、テロ対策は警察だけがやるものでもありませんと、法務省だけがやるものではないと。ましてや中央省庁だけがやるものではなくて、先ほど申し上げたように自治体も取り組むものだし、民間企業も、今、例えば飛行機やあるいは鉄道、テーマパークを抱えているそういう会社は取り組んでおりますけれども、民間企業もやらなければいけないと。メディアの報道にもいろいろな問題があるし、そちらも意識して報道していかなければならないと。政府だけがやるものではないと。警察や消防だけがテロ対策やっていればいいというものではないと。その相互の関係をどういうふうに築いていくのかということが常に意識して取り組まなければいけないし、また一部では取り組んできているところであります。  そして、レジュメのその下の方ですが、何のためにテロ対策をやるのかという目標がどうもよく見えてきていないというのが私の考えであります。  日本は何のためにテロ対策をやらなければいけないのかと。一つは、もちろんテロ脅威を削減をして、まあ根絶とまで本当は言いたいんですけれどもそれはなかなか難しいところで、脅威を削減をして未然に事件を防止して、でも万が一事件が起きてしまったら迅速に対応して被害を削減していく。それはもちろん大きな一つの目標ですが、もう一つの目標は、日本が実際にテロに襲われようと、攻撃されようとされまいと、テロ対策というのは国際的な基準で細かいことがたくさん決まっておりますと。日本はそれに深くかかわってきているわけで、国際基準でテロ対策をやらないと日本にいろいろな穴ができてしまうと。  テロリストと言われている人たちは、別に日本攻撃する気がなくても、日本の中で様々な謀議だとか資金、リクルート、いろいろなことをやられて、外国外国攻撃するために日本一つの踏み台にされてしまうと。そういうことを許してしまったら国際的な信用がなくなると。むしろ、その国際的信用を維持するということはとても重要なテロ対策一つの目標になるんだと私は思っています。  最後に、ここで、今既に申し上げましたように、何か事件が起こって慌てふためいてわっとやるのではなくて、やはり国際テロというのは恒常的な問題でありますから、テロ対策基本法、名前は、名称はいろいろな名称があると思うんですが、恒久的な法律といいましょうか、基本法といいますか、そういうものを是非検討すべき時期に来ているのではないかと思います。ここには、テロリズムの定義とか指定制度とか、主要な国がみんな取り入れているようなそういう仕組みをこの基本法に盛り込んでいくべきだと思っております。  そして、最後に、テロ脅威というのは過剰評価しても過小評価してもよくないと。過剰評価というのは、ロンドンでテロが起こりました、マドリッドで大きなテロが起こった、そうしたら東京でも起こるんじゃないかと。なぜそんな簡単なことが言えるのか。ロンドンでの状況と東京での状況は全然違うものである。決して過剰評価してはいけないし、テロ脅威を、しかし同時に過小評価してもよくない。ペルー事件のように、九六年から九七年にありましたが、だれが、ペルーのMRTAという弱小テロ組織があれだけの事件を突然起こすとだれが予想できたのでしょうかと。テロリストというのはイスラム過激派だけではありませんと、いろいろな種類が国際的に活動していると、それは予期せぬ形で起こるというのが今までの歴史であったわけです。  ですから、決して過小評価してはいけないし、同時に、繰り返しますが、過大評価して明日にでも東京でテロが起こると、そんなふうに考える必要は毛頭はないと。だから、脅威の度合いですね、今どれくらいの脅威の度合いなのかということをはっきりと国民に分からせるような形で脅威の度合いというのを知らせるということがとても重要なことになっていくと思います。  以上で終わらせていただきます。
  221. 林芳正

    委員長林芳正君) ありがとうございました。  以上で参考人の方々からの意見の聴取は終わりました。  これより参考人に対する質疑を行います。  本日は、理事会の合意により、あらかじめ質疑者を定めず、自由に質疑を行うことといたします。多くの委員が発言の機会を得られますよう、委員の一回の質疑時間は二分以内とし、答弁を含めてもおおむね五分以内となるようお願いいたします。  なお、質疑及び答弁とも御発言は着席のままで結構でございます。  それでは、質疑のある方は挙手をお願いいたします。
  222. 山谷えり子

    山谷えり子君 自由民主党、山谷えり子でございます。  両先生、ありがとうございました。  私、一昨年アフガンに参りまして、カルザイ大統領とお会いしました。また、DDRプログラム各国の皆様ともお会いいたしました。ドイツの方でしたか、もしそのプログラムで亡くなられるようなことがあったらドイツでは大騒ぎになりますかと聞きましたら、いや、危険性と貢献を十分に国民に説明しているから大丈夫だというふうに言い切られたのが大変印象的でございました。  伊勢崎先生は、軍事オペレーション、DDRプログラムの正しい理解日本にあったのか疑問だと、また安藤陸佐が非武装で参加されたということをおっしゃられました。それはどういう意味なのか。私、現地に参りまして、平和貢献プログラムでさえ武器使用基準が日本の場合国際スタンダードにないこと、また自爆テロに対抗できる法的基盤がないままに送り出しているという、非常にある意味で残酷な状況日本は送り出してしまっていたんだということを思いました。その辺についてちょっと御解説をいただきたいと思います。  また、宮坂先生には、テロ対策について、恒久法、課題、おっしゃいましたが、アメリカは九・一一の後にすぐに愛国法が制定されました。非常に短期間で、そしてまた随分大きな法律でございました。あれを私、見ましたときに、日本の場合は、テロの定義もできない、憲法九条も何か非常におかしな解釈がまかり通っている部分もある、また国家機密法もない、情報収集体制も不十分、このような中でそのような有効なテロ対策基本法というようなのができるのだろうかというのが率直な疑問だったんですけれども、テロ対策基本法、どのぐらいの枠組みで日本で今現実できるのかをお教えいただければと思います。
  223. 伊勢崎賢治

    参考人伊勢崎賢治君) ありがとうございます。  まず、軍事監視の話なんですけれども、これは普通、通常、国連がやる場合でも、国連PKFはもちろん中立な抑止力として武力の中立な抑止力として現場を確保するために配備されるんですけれども、例えば武装解除であるとか敵対勢力の信頼醸成を行うと、そういう作業というのは非武装の中立な監視団がやるというのが一つの通例になっております。  これは非武装であるからこそできる仕事で、もちろんそういう話合いができるための信頼醸成、いわゆる武力的な信頼醸成をつくるのは中立な抑止力としての武力なんですけれども、実際的な話合いを取り持つのは、これは非武装の人間がやると。通常の国連のオペレーションですと、軍事、これは各国からの将官レベルの軍人、これ非武装ですね、プラス私が、元国連なんですけれども、私のような政務官、民間の人間が、民間というか、いわゆる制服組ではない人間がチームとなってこの信頼醸成を行うということなんですね。  アフガンに関してはこの中立な武力というのが存在しなかったんですね。そもそも武装解除をやるというのがかなり綱渡り的なベンチャー、アドベンチャーだったんですね。なかったというのは、もちろんISAFと呼ばれるカブールだけの治安部隊はありましたけれども、外に行きますとなかったわけであります。強いてあると言えば、いわゆる掃討作戦をやっている、戦争をやっているアメリカ連合軍がいるだけで、あれは戦争目的でやっていますから、我々の和平に対する中立な武力を提供するというマンデートはないわけであります、法的にはですね。でも、一応外国の武力としてあるわけでありますね。  その極めてないない尽くしの環境の中で今回のアフガンのDDRが始まったということを一つ強調させていただきたいと思います。これ非常に、本当にタイトロープ的なゲームでございました。  ありがとうございます。
  224. 宮坂直史

    参考人(宮坂直史君) ありがとうございます。  テロ対策基本法なんですが、できると思いますし、思います、日本的な、日本版的な。それはやる気の問題でございまして、いろいろな困難があるというのは承知でございまして、特に、どの省庁がかかわっていくのか、だれが法案を書いていくのかということでとても、その駆け引きみたいのがあるということは聞いていますが。  私、考えるに、日本なりの国際テロ対策基本法というのは、まずテロ対策の原則というのをはっきり明示すると、法案の中に。それがはっきりしていないのが日本でございまして、例えば警察庁や外務省には公言している、例えば警察にはテロの未然防止三原則だとか、外務省にも国際テロと戦うパンフレットの中にテロ対策の三原則だったか四原則だったか書かれているんですが、それを一つの省庁の問題ではなくて国の国家全体の問題として日本は、例えば簡単な原則でいいと思うんですが、テロを許さないとか入国させないとか、もうだれでも分かるような、小学生でも分かるような非核三原則みたいなものですね、そういうような原則を作って法律に盛り込むと。  そしてさらに、当然その法案というのはテロ対策目的、目標というのを書かなきゃいけないし、またテロの定義というのも、難しそうで実はそんなに難しくないものであって、幾らでも私が書きたいぐらいでございますが、そういうテロの定義を書く。テロ組織とは何なのかということを書いて、日本にとって過去に脅威を与えたような、人質事件を起こしたようなテロ組織、実は一杯あるんですが、あるいは日本人を死傷させた、そういう組織を指定する、法律で。指定をして、そのメンバーの入国を規制する、禁止すると。日本に入っていれば、犯罪を犯してなくても出国、強制退去させてしまうと、そういうような出入国管理に関係するような条項を含むと。  その他いろいろできると思いまして、是非、こういうものが一本あると、ただ単にお題目だけで、日本は、我が国は主体的、積極的にテロと戦うんだというのは私には何かお題目のように聞こえてならなくて、もっと世界に向かって、G8の一国でありますから世界に、今や日本テロ対策のキャパシティービルディングといってほかの国を支援しているぐらいの国ですから、そういう国がテロの定義もないというのはおかしな話であって、是非、作れるし、やる気があれば作れるし、やらなければいけないのではないかなと思っております。  ありがとうございます。
  225. 犬塚直史

    犬塚直史君 伊勢崎先生に何点かお尋ねしたいと思います。今日はありがとうございました。一万何千キロ離れたこの最後方の会議室でいろいろ現場のことを話すのはいかに難しいかということを今実感しております。  まずお伺いしたいのは、DDRのステップワンの軍備調査を始めるときなんですけれども、まず、そもそもアメリカの軍隊は戦争がマンデートであると、そういうところに行って調査の受入れをするという合意を取り付けるというのは何か非常に難しいことだなと思うんですが、その辺は、どういうふうにしてこの合意を取り付けたかというのがまず一点でございます。  そして次が、信頼醸成のかなめになるのが中立な停戦軍事監視団の存在であり、その要員は武器の知識を持った軍人で構成され、非武装が鉄則と、こう書いてあるんですけれども、ちょっと考えると、これ非武装が鉄則だとすると、殉職の可能性というのを一体どうやって抑止するんですか。これが第二点目であります。  第三点目は、ちょっとダブるかもしれないんですが、重火器を持っている九つの軍閥が割拠しているというお話だったんですが、これはアフガンの歴史上常にそういう状態であったとはとても思えないんですが、冷戦のソ連のことがある、あるいは九・一一の後の武力行使がある。一体どういう経緯でこういうふうな事態になってしまったのか。  そして最後にもう一つだけ、今、日本がこの四年間で約百億円、このDDRに対して拠出をしてほぼ使い終わったと思うんですが、結局、現場でこの金をどういうふうに使っていくんだということは、NGOの方やっているんですか。  この四点お願いします。
  226. 伊勢崎賢治

    参考人伊勢崎賢治君) ありがとうございます。順番にお答えします。  武力の調査なんですけれども、やはり御想像のとおり非常に難しいオペレーションでありました。なぜかと申しますと、信頼醸成ができてない、特にDDRの初期の段階というのはまだそのプロセス自体に信頼感がありませんので、武器の調査のために中央から送られた国防省の人間を受け入れるのを拒否ですね、これはすごかったんでございます。  さっき申しましたように、こちらには武力がありませんので、何が唯一の頼りかと申しますと、カルザイ大統領のやる気だったんです。それだけです。つまり、当時からカルザイさんはカブールの市長だと言われていました。つまり、地方に覇権が及んでなかったんですね、やはりね。とにかく、そういうカルザイさんを奮い立たせて国防省令若しくは大統領令、命令させるわけです。その命令を基に彼らが行くと。もしそこでいろいろな問題が、拒否反応が起きていろんな小競り合いが起きたら我々が出ていくということなんですね。当初は、これはIOGと言われる国際監視団が積極的にやっていたことなわけであります。僕も行きました、僕が一応ヘッドだったので。これは本当に非常にセンシティブなオペレーションで、最初でここでこじれるとすべてのプロセスがパアになると。今回は何とかうまくいったということなんですね、本当にね。  二番目ですか、コンフィデンスビルディングのかなめである中立な武装監視の話なんですけれども、危ない仕事でございます、これは。私がこのアフガンの前の国連のPKOとして武装解除の最高責任者をやっていたシエラレオネのケースでは殉職者出ております、これはですね。国連PKFの兵士とともに殉職者が出ております、はい。それと、人質に取られる、拘束される、ありました。大変シリアスなことなんですね。本当に、殉職というのは本当に起きてしまいまして、やはりこれはもう笑われるかもしれませんけれども、手だてとしては本当に危機管理、これは国連に入りますと一応情報、とにかく情報をもう諜報活動に近いことをやって、本当に今ここの地域に出ていくことが危ないのか危なくないのか、それを厳密に計画するということです。これしかあり得ません。それでも事故は起こります。  やはり、僕は武装解除の現場を踏んでいきましたけれども、銃を装てんしている連中が向かい合っているわけであります、目の前で。目の前で撃ち合いが起こる可能性もありますし、実際に起こるわけでありますね。こういうときに我々はどうするかというと、どうしようもないわけです。だからこそ、国連のPKOの場合ですと、周りにいわゆるPKFを配備して、いわゆる中立な武力によって信頼醸成感を生み出すんですけれども、アフガンの場合はそれがなかったわけでありますね。そういう意味で、非常に微妙な本当にオペレーションだったわけであります。  やはりこれ、考えなきゃいけないのは、殉職した場合にちゃんと補償の問題を少なくとも考えていただくということでありますね。国連の場合は補償システムがありますけれども、日本の場合は特に、僕は、民間の場合ですと日本の傷害保険というのはこれ、戦争特約ありませんから、全部免責されてしまいます、これ。テロで死ぬとか紛争で死ぬとかって全部免責になってしまいますから。日本は社会システムとして戦争に対してリスクを負うという、それがないわけですね。だから、その辺の社会システムをやはり同時に築いていかないと、そのリスクを考える、いわゆる補償するということですね。それを考えていかないと、やはり日本はオールジャパンとして、やはりこういう復興の問題であるとか紛争の仲裁であるとか、そういうものになかなか日本人を送りにくいという状況がございます。  三番目、重火器がなぜあるのか。これみんなほとんどソ連が置いていったものでございます。スカッドミサイルなんかあるわけです、核弾頭積めますよね。あんなもので軍閥同士けんかするわけないじゃないですか。スカッドミサイル撃ち合ってどうしますか。重火器で多分、軍閥同士の争いで使う重火器というのは多分戦車か大砲ぐらいなものですよ。スカッドミサイルは使いません。使う人ももういません。でもあるわけです。これすべてソ連が置いていったものです。  強調したいのは、これは統計は取っておりませんけれども、私たちが回収した武器の半分はメード・イン・チャイナでございます、はい。もちろん、例えばロシア製の、旧ロシア製のカラシニコフはカラシニコフですけれども、御存じのようにカラシニコフというのはパテント製になっておりまして、メード・イン・チャイナであるか、メード・イン・エジプトであり、メード・イン、何といいますかパキスタン製もあります。私たちが回収した武器の四割はメード・イン・チャイナでございます。これは漢字で書いてありますからすぐ分かります。  百億円の拠出でありますけれども、DDの方の拠出はもうほとんどというか、もう完了しております。やはりDDRのプログラムで一番お金を食うのはその最後のRの部分、これは開発援助プログラムでございまして、これほとんど日本のお金でございます、今回のDDRのプログラムは。一応国連の信託基金に入れてありますので、国連のやはり内規に従っていわゆる請負業者を探さなきゃいけないですね。これ、個々のプロジェクトをやるのは、これ通常、国際NGOの仕事であります。現地のNGOもやりますけれどもね。残念ながら日本のNGOがこれ、インプリメンテーション・パートナー、通称IPと呼ばれるんですけれども、この国連のお金を使って、日本のお金が原資なんですよ、このDDRは。だけれども、その日本の血税であるお金を使って日本のNGOが本当は働いてほしいんですけれども、残念ながらIPになるには審査がありまして、国連のですね。その審査に通るNGOが非常に少なくて、厳密に申しますと一つしかありません。ほとんどのお金は国際NGO、ほかの国籍のNGOによって使われております、はい。  以上でございます。ありがとうございました。
  227. 荒木清寛

    ○荒木清寛君 まず、伊勢崎参考人にお尋ねいたします。  アフガンのDDRを日本が主導してやってきたということがよく分かりましたし、また大変参考人に御苦労いただいたことに感謝申し上げます。  そこで、今回のDDRについて、我が国の人的な関与といいますか、貢献はこれで十分であったのか、あるいはもっとやることがあったのか、教えていただきたいと思います。  次に、宮坂参考人に、日本テロ対策につきまして、③のテロ実行犯・背後組織の追及についてもまだまだであるという御説明でした。ただ、日本の各種の捜査機関の能力というのは相当高いと思いますし、また九・一一以後、テロ関係の条約にも加盟してきているわけですね。そういう中で、具体的にどういう点が不十分なのか、御説明いただければと思います。  以上です。
  228. 伊勢崎賢治

    参考人伊勢崎賢治君) 今回のDDRにおける日本人の人的貢献についてお答え申し上げます。  いろいろな側面がございまして、まず私の派遣から、大体が僕、本当に私しかいなかったのというくらい突然来たわけですね。私はその前に、さっき申し上げましたように、国連で一応シエラレオネというアフリカの小さな国でDDRを一つ成功しておりますので、その功績が一応外務省に知れ渡っておりましたので今回のお話があったわけでございます。日本が主導するといっても、果たして日本のチームが作れるのかどうかということ、それが問題だったわけでありますね。  当時、外務省が僕に言ってくれたのは、大使館の中にDDR班を作って、僕が班長になってその下に日本人を付けると、外交官を付けると。もしよかったら、私が知っているスタッフで、国連の元スタッフで日本人がいたらそれを臨時雇用して、一応外交官にしてそこも付けるということで、一人、若い女性でありますけれども、瀬谷ルミ子という当時二十六歳の、僕と一緒に国連でシエラレオネで働いた人を二等書記官にしていただいて、二十六歳で二等書記官ですから非常に良かったわけですけれども、臨時雇いということで二年間やっていただきました。その間プロパー、外務省のプロパーである参事官レベルの人間が二人、あと二等書記官レベルで二人、計五人でやっていたわけでありますけれども、そういった意味で、やはり今回のDDRを通じて人は育って、経験者は一応育っておりまして、この国際監視団、日本がお金を出してつくった国際監視団の人材も含めまして、今、日本は人材がないとは言えない状態だと思います。人材の発展というのはこれマルチプル効果ですから、これからどんどん、一度経験した民間の人材若しくは一度経験した外交官をまた同じような立場で同じようなケースで使い続けていくこと、これで人的効果の広がりというのは倍増いたします。これがいわゆる人材を育成する一つのキーなわけです。絶対これを途絶えさせてはいけないということでありますね。  もう一つ自衛隊のことについて申し上げます。  本当は非武装のいわゆる将官ですね、一等陸佐ぐらい、つまり旧日本軍の言い方で言いますと大佐以上の人間を、武官一人しかいなかったんですが、それ以上出してほしいということは外務省中東二課を通じていろんな働き掛けをしました。でも、残念ながら、当時はイラクで国民の関心若しくは政局の関心がすべて奪われておりまして、このアフガンという国連の決議、つまり大義のあるいわゆる紛争の環境で自衛官の派遣が、武官以上の自衛官を派遣、現役自衛官ですね、派遣ができなかった、それも非武装で使うということでできなかったのは非常に残念でございます。ほかの国は日本以上に我々の期待にこたえていただきまして。  とにかく再度申し上げたいのは、アフガンのこのDDRというのは、人的貢献も含めまして、自衛官の使い方も含めまして、いわゆる武装解除という極めて軍事的なものに非軍事的に我々はかかわり、つまり政治力とお金だけでかかわって見事に成功したという例なわけですね。ここを一つ強調したいと僕は思います。  ありがとうございました。
  229. 宮坂直史

    参考人(宮坂直史君) ありがとうございます。  テロ対策の中で四つの局面があって、そのうちの三番目ですね、テロを起こした実行犯あるいはその組織に対してやっぱり追及していかなきゃいけないというところで、やや足りないんではないかというふうに申し上げました。  実は変わりつつあります。例えば、二〇〇四年、去年の四月に改正警察法、警察法が改正されまして、海外で日本人が、邦人が例えば人質事件に巻き込まれたとかテロの被害に遭ったというときには、警察が国際テロリズム緊急展開班というのを現地に派遣する、そして情報収集や現地の捜査機関と協力して行うということ、そういう体制を法律上取って、実際にイラクで何件か邦人を巻き込む事件がありましたが、その国際テロリズム緊急展開班というのが派遣されておりますので、事件が起こった後、その起こした連中を追及するということもやりつつ、もちろんやっておりますが。  ただ、私一番問題にしたいのは、そういう努力というのが余り国民には知られていないということなんですね。例えば、もう、ちょっと時間がたってしまうと、海外でテロが起こされてそこで邦人が犠牲になったとしても、ちょっと時間がたつと、一体あのテロをやったのはどこのだれだったかなというふうにすぐ忘れてしまうわけで、そこはやはり政府の広報の問題を含めて、広報という言い方が適切かどうか分かりませんが、まだこういう組織を我々は追っ掛けているんだというようなことを常に国民に知らせるというような努力がもっともっと必要なのではないかなと思うわけです。  ちょっと一例だけ申し上げますと、九九年にウズベキスタン・イスラム運動というテロ組織がJICAから派遣されていた四人の邦人を人質に取りました。毎日、連日のように日本の新聞でも書かれていたんです。でも、今だれに聞いて、ウズベキスタン・イスラム運動って一体なんですかと。もう忘れてしまうわけですね、人質が解放されてしまうと。そうではまずいと。被害に遭うのは国民。国民に対してもっともっと警戒というか知識といいますか、そういうものを毎日、いや毎日というか、日ごろから与えていくのがそういう情報を持っている政府の役目だと思っておりまして、その部分でまだ足りなさというのを私は感じているところでございます。
  230. 緒方靖夫

    緒方靖夫君 日本共産党の緒方靖夫です。  どうも大変有益なお話をありがとうございました。  まず、伊勢崎先生にお伺いしたいんですけれども、大変御苦労の多いお仕事だと思うんですけれども、アフガニスタンという国柄ですね、私も行ったことがあるんですけれども、一つは、歴史的に国を統一したことがない、いつも部族割拠している、そういう国柄である。それからまた、元々銃社会である、みんなライフルを持っている、そしてソ連が置いていった武器も今ある。それからまた武勇を重んじる、それから誇り高い民族だと。そういういろんな条件があると思うんですね。  DDRをほかの、例えば先生が経験されたシエラレオネとか、あるいはほかの国と比べて、比較して、アフガニスタンの特徴ですね、とりわけRの部分の特徴は何かという、その点についてお伺いしたい。それが第一点です。  それから、宮坂先生にお伺いしたいんですけれども、テロとの戦いというのは正に総合的に国民的な戦いだと。そのとおりだと思うんですよね。  それで私、思うんですが、テロと戦うときに軍事力だけでやるという形ですね、例えばイラクで米軍がテロリストの掃討作戦をやると。その中には相当数の市民を巻き込んでしまうという、そういうことがあって、別に米軍に対して憎しみを持っていない、むしろ米軍の到着を拍手した、そういう人たちが反米になってしまうという、そういうことも今実際あるわけですよね。  私、それと非常に対照的だと思うのはパキスタンの経験なんですね。パキスタンに行って、また同時に、そこで政府からいろいろ経験を聞くと、テロリストに対する対応を非常に慎重にやっているわけですよね。当然、慎重ですよね。だって、自分たちがそれを広げたら標的になってしまうわけですから、非常に慎重にやっている。ですから、あらゆることをやるわけですね。資金を断つことからマドラサで過激な思想を広げないこと、それからまた、軍事力を使うことは当然あるわけですよね。しかし軍事力の性格も、軍隊を使うときも警察の実力部隊のそういう範囲にするとか、かなりきめ細かい形でやってテロテロリストを抑え込むという、そういうことを進めていると思うんですね。  ですから、その場合、私は先生にお伺いしたいのは、テロと立ち向かうときに軍事力で行うということがどういう意味を持つのか。結局、私は、それを拡散するという、果てしなく広げてしまうということになってしまうと。そうすると、パキスタン政府が苦労して結構やっているこのやり方というのはやはり非常に大事な方向を示しているかなと、そんな感じもするんですけれども、その点での先生の御所見を伺いたい。  以上です。
  231. 伊勢崎賢治

    参考人伊勢崎賢治君) ありがとうございます。  アフガンの特徴なんですけれども、これも私のプレゼンの中で申し上げましたように、武装解除プログラムというのは、これはウエポンフリーソサエティー、つまり銃のない社会をつくることを目的としておりません。してないんですね。そういう社会はないわけですから、地球上にこれはもうしようがない。若しくは、場所によっては狩猟で生計を立てている貧しい人たちもいますので、そういう問題も加味しなきゃいけないということで、通常、武装解除のプログラムでは、英語で言いますとウオーウエポン、つまり戦争兵器とドメスティックウエポン、これは一般兵器、ショットガンとか小銃のたぐいですね、あれを区別いたします。  通常、このポストコンフリクトであるとか紛争の中で我々が扱うのは戦争兵器、その戦争兵器の定義も場所によって違います。カラシニコフはアフガンではこれはドメスティックウエポンですね。ところが、アフリカに行けばこれは立派なウオーウエポンなわけでございます。最初からアフガンにおいてはこのカラシニコフを相手にしてはらちが明かない。多分、一般兵士以上の数があって、今でも流入していると、安いカラシニコフが、特にパキスタンからですね。これはしようがないと。  でもしかし、我々の回収、恩恵を上げますでしょう。これが更なる武器の流入の呼び水にならないように、それは非常に苦労いたしました。それはやはり質のいい、ちゃんと撃てる武器しか回収しないということです。これに尽きます。  Rなんですけれども、ここで強調したいのは、復員事業というのはバラ色の人生を約束するものではない、それぞれの兵士に対してですね。それをやってしまったら、これはやはり契約不履行になってしまいます。そんなことできるわけがないんです。やはりどんなに開発援助が頑張っても、こんな世界最貧国の状態でですよ、何万人の人間を同時にバラ色の人生にするというのは不可能でございまして、これ人間の業を超えておりまして、やはり職業訓練までなんですね。そこからどう生きるかは自分たちの力でやらなきゃいけないと。  もう一つやはりRで危険性があるのは、余りこれをやり過ぎると社会の、いわゆる何というんですか、モラルハザードといいましょうか、社会規範の崩壊を起こしてしまう。なぜかというと、アフガンでは普通、通常のDDRですと、ほとんど動員解除された人間というのは戦争犯罪人なんです、戦争犯罪人なんです。その戦争犯罪人に対して恩恵を上げるのはどういうことかと。でも、戦争を止めるには恩恵を上げなきゃいけないと。でも、それをずるずるべったりやりますと、じゃ戦争を起こせばいいんじゃないの、許されて恩恵までもらえるの、そういうものを見ている子供たち、次の世代がまた紛争を起こします。そこを気を付けなきゃならないわけですね。  ちなみに、アフガンにおいては戦争犯罪を語ることは今のところタブーでございます、御存じのように。なぜかというと、ボン合意後、カルザイ暫定政権というのが、本当だったら戦争犯罪に問われるいわゆる軍閥同士の非常なパワーバランスを保ちながら組閣しましたよね。それがいまだに続いているわけですね。今、戦争犯罪のことを、人権問題をやってしまうと、多分タリバン以上の人権侵害を今の閣僚がやっている可能性がある。だから、国際社会としては、暗黙の了解ですけれども、人権問題はちょっと安定するまでは抑えるというのが、NGOもわきまえていますね、人権をぎゃあぎゃあ言うNGOもそれはわきまえている、これが現在のシチュエーションです。
  232. 宮坂直史

    参考人(宮坂直史君) ありがとうございます。  テロとの戦いにおける軍事力の役割あるいは限界ということを申し述べたいんですが、テロとの戦いも、先生おっしゃっていただいたように総合的な戦いであって、軍事力の役割というのは極めて限られたものであるというのは間違いないところなんです。  どういう役割があるかというと、例えば人質事件、立てこもりとか、そういうときに特殊部隊、これは軍隊の特殊部隊の場合と警察の特殊部隊とありますが、そういう特殊部隊が突入してそういう特定の事件を解決するというような役割とか、あるいは、冒頭にちょっと申し上げたように、海上での違法な物資の流れを遮断するような役割とか、そういうものがございます。あと、特殊作戦部隊といって、必ずしも火砲を発するそういう軍隊ではなくて、現地に入り込んで住民の考え方をこちらの味方に付けるような、そういうちょっと特殊な任務を帯びた役割とかありますが。  一番問題なのは、先生も御指摘の例えば空爆をするようなものであって、これ評価するのは非常に難しくて、例えば一九八六年にアメリカがリビアを空爆しましたが、それでリビアがすぐに国際テロをあきらめた、ギブアップ、支援をやめたかというと、決してそんなことはなくて、その後も大きな事件を起こしておりますし、一九九八年にアメリカはアフガニスタンを空爆しました、あのアルカイダをですね。これは一九九八年の八月ですが、そのときもアルカイダのオサマ・ビンラディンを標的にしたわけですが逃してしまって、かえって彼らはめらめら燃えて、反米の精神をめらめら燃やしたわけでございますし、何よりも空爆が長期化すると、一般市民を犠牲にして、それがむしろテロリストというか過激な人の方に心情的な味方になってしまうということもございます。  ですから、そういうことをすべて考えますと、軍事力の役割というのはある決められた一定のシチュエーション、状況の中ではそれなりの役割はあると思いますが、やはりすべての局面において行使は慎重にしないと逆効果になってしまうというところは一般的に言えるのは確かでございます。
  233. 緒方靖夫

    緒方靖夫君 ありがとうございました。
  234. 大田昌秀

    ○大田昌秀君 伊勢崎先生に簡単な質問を二点だけお願いいたします。  一つは、先生は昨年の六月のサピオに日本外交についての論文を寄稿なさっておりますが、その中で、紛争地域の現場から日本外交を見ると、政府交渉能力や国際援助のやり方の問題が目に付くとおっしゃっておりますが、どういう問題点にお気付きになったでしょうか、それが一点です。  それから二番目には、去る五月十三日付けの東京新聞で、日本には軍事組織を海外に送る資質がないという趣旨のことをおっしゃっていますが、それはどういうことでしょうか。  それから、宮坂参考人に簡単に一点だけお願いいたします。  先生はテロというのをどういうふうに定義なさるか、お聞かせください。
  235. 伊勢崎賢治

    参考人伊勢崎賢治君) 大変センシティブな質問をいただきまして、多分襟を正してお答えしなきゃならないんですけれども、その前に一つ分かっていただきたいのは、今回のDDRというのは大変大きなテーマで、日本はチャレンジして、それを成功いたしました。これは、さっきも言いましたように、軍事的なものに非軍事的にかかわって、それが見事に成功したわけであります。これは外務省、正確に申しますと中東二課、若しくは現場の当時の駒野大使、その後引き継がれた奥田大使の大変な努力があってこれができたわけでございまして。  でもしかし、よくやったんですけれども、やはり今振り返ってみますと、これをもう一回やるときに、果たして僕はまた引き受けるか、若しくは日本ができるかということになりますと、やはりこのアフガンのDDRがいわゆる負の教訓ではなくて正の教訓にしなければならないと。それはまだなっていないような気がするんですね。  まず第一、はっきり言えるのは、余り知られていないということなんです、こういうこれだけのことをやったのにですね。それがまず一つありまして、その前提の上でその交渉能力の話なんですけれども。  例えば、今僕のプレゼンでありました東京のアフガン定着復興会議、このときにプレッジセッションをやったわけですね、お金を、各国がお金を積んで。日本がそのとき三十五ミリオンドル、約四十億円ですが、当時のお金で出しましたよね。アメリカも十億円、イギリスもまた十億円、ほかの国も幾らかやったわけです。もちろん日本最初にプレッジして最初にそれを国連に上げ、日本はいつも正直ですから一番先にお金を出すわけでございます。  例えば、アメリカなんか二年掛かりました、十億円出すのに、プレッジしながらですよ。お金出す、出さないをうまく使いながら、でも政治力で介入してくるわけです、DDRプロセスの中に。もちろんアメリカと手を握らなければ全然できないオペレーションですけれども、アメリカは本当に口だけを出すと、そのお金を出さないで。最後になって出すわけですよ、それも小出しに出すわけです。このテクニックは非常に嫌らしいですけれども、日本政府ももう少し学んだ方がいいかもしれません、こういうものは。たった十億円のお金でも、出し方によっては物すごい影響が生む出し方があるわけであります。こういう交渉力を僕は言っているわけでございます。  もちろん日本の例の単年度制、単年度予算制ですね、それを超えた枠組みでやはりこういうものを論じないとこういったものはできない、今言ったようなことはできないと思うんですけれどもね。交渉力においては基本的にそういうことであります。東京新聞に私が書いた軍事組織を送る資質がまだないということなんですけれども、その交渉能力も含めてですよね。  やはり私は国連PKOが長かったもので、国連PKOの中の軍事部門はPKFといいますけれども、PKFでも失敗するわけです。失敗するというのは、抑止力として中立な武力として入っているんだけれども、ちょっとしたことが引き金になってその武装勢力の政治に一翼を担ってしまうと、そして一般市民を殺してしまうとか、そういう失敗を犯します。  PKFというのはPKOオペレーションですから、これは現場で文民統治が利いているわけであります。つまり、御存じのように、国連のPKOオペレーションというのはニューヨークのPKO局が管轄しております。すべてのPKOミッションにおいては国連事務総長、つまりコフィー・アナンさんが一人の文民の代表を任命いたします。これが一番トップなわけであります。この下に多国籍軍のPKFの司令官がこの下に付くわけであります。つまり、政治的な状況判断できる文民が兵力の最高司令官を指揮するという、それもニューヨークからするのではありません、現場でするんです。PKOオペレーションの特徴というのはここなんです。現場に文民統治があるということなんです。それでも失敗する。  もっと失敗するのは、御存じのように有志連合軍の多国籍軍であります。これは平和強制措置として、イラクであるとか、ほかのケースでも例えばソマリアのアメリカの出兵であるとか、正にこれに当たると思うんですけれども、軍がいわゆる、もちろんワシントンと連絡は取るんですけれども、基本的に現場においては軍の指揮官がすべてを指揮するということでありますね。文民統治がはっきり言って実質は利いていない状態であります。  そういうふうなことを考えますと、今までの日本自衛隊の出し方というのは、現場での文民統治の問題というのが僕の知る限りは政局で問題になったことありません。多分答弁としていつもあるのは、東京にいる防衛庁長官が文民統治していると。それは多分建前でしょう、多分。僕が言っているのは、実質的な文民統治であります。これをやる経験、やった経験もないし、多分これをまずやらなきゃいけない。それに一番いいのはやはり国連PKOで訓練を積むことです。国連PKOに出したときには、国連PKO、つまり国連に指揮権をゆだねるということをちゃんと政局で理解して、与野党含めてすべてがそれを理解することです。  御存じのように、東ティモール、自衛隊を出しました。あのときの、多分僕が覚えている限り、政局のやり方というのは、いわゆる指揮権はまだ防衛庁防衛庁にあると。これは国連のPKOの中では常識通りません。国連に供出するということは、これはいわゆる安全保障理事会で任命された最高司令官、PKFのですね、その指揮下に入るということなんです、これは。つまり指揮権の放棄、いわゆる委譲なわけです。これが国連PKOに派兵するということなんです。これは日本で多分真っ正面に議論されていないと思うんですね、当時も。それを始めなければいけません、今。絶対文民統治のことを真っ正面にとらえない限り、僕はとても軍事組織を送る素質が備わっていると僕は思えません。それであります。  ありがとうございます。
  236. 宮坂直史

    参考人(宮坂直史君) 話はがらっと変わりまして、テロリズムの定義なんですが、ややちょっと長いんですけれども、私の、自分の「日本テロを防げるか」という新書がございまして、そこから自分で自分のものを引用させていただきます。テロリズムとは、政治的、宗教的、イデオロギー的、あるいは社会的な目的を有した非国家主体と、ここがちょっと重要なんです、非国家主体がその集団外に存在する身体、財産、施設、国家統治の基本組織、公共輸送機関、公衆衛生、電子システム、その他重要インフラの中から一つあるいは複数を標的にして計画的に危害を加えたり、暴力の脅しを掛け強要することというような定義を考えております。  差し出がましいかもしれませんけれども、ここで私の考えテロリストとかテロ集団というのは、国家でない非国家組織の方に限定して言っています。国家テロという言葉があるのは重々承知しておりますが、そこまで広げてしまうと、国連とか今国際的に様々な対策を取っていますけれども、そことちょっと合致しなくなってだんだん話が拡散してしまって収拾付かなくなりますので、非国家主体ということに限定して、私は自分の定義を今の申し上げたようにつくっております。
  237. 大田昌秀

    ○大田昌秀君 ありがとうございました。
  238. 岡田直樹

    ○岡田直樹君 自由民主党の岡田直樹と申します。  本日は、お二方には大変参考になるお話、ありがとうございました。  テロ対策というのは軍隊だけでもできないし、また、さりとて民間だけでも難しい、国際社会の総力を結集して取り組む長い困難な戦いである、こうした思いを新たにするわけでありますけれども。  先ほどの質疑と若干重複しますけれども、軍隊一般ではなくて、日本自衛隊が果たすべき役割、今非常に限定的な役割しか果たしていないと思うんですが、更に果たすべき役割についてお伺いをしたいと思います。  先日私はこの委員会で、テロ特措法やイラク特措法のように言わば場当たり的に応急処置的に特措法を作って、そしてその期限延長していくよりは、むしろ自衛隊の海外派遣に関する一般的なというか恒久的なルール、一般法、恒久法というものを定めるべきではないか、こういう質問をしたこともございます。  お二人の参考人にこうした考え方についての御意見、また宮坂参考人には、テロ対策基本法というお話もいただきましたけれども、どういうふうに位置付けをしていけばいいか、そこに至るまでの課題と申しますか、そうした点についてもお伺いをしたいと思います。
  239. 伊勢崎賢治

    参考人伊勢崎賢治君) これも大変難しい質問で、まず自衛隊は、僕は自衛隊は現場で扱ったことないわけです。ほかの国の国籍の軍隊とは一緒に働いたり、まあ暫定統治をやった東ティモールでは僕のいわゆる、これは皆さん驚くかもしれませんけれども、文民である僕の指揮下にあったこともありまして、PKFがですね、そういう意味で、日本以外の軍の経験はあるんですけれども。  そういうことから、今、自衛隊の今まで報道されている海外での行いを見ますと、自衛隊というのは非常に、いわゆる品行方正さでいいますと世界最良の軍事組織だと僕は思っております。つまり悪さしないんですね、本当に。大方の海外の部隊が行きますと、必ず変なこと起こします、現場で。それは婦女子に対するセクハラであったり、泥酔して事故を起こしたり、武器を間違った使用をしてしまったり、いろんな問題起こすわけです。自衛隊、それはないわけであります。そういう意味でいうと非常に品行方正な、海外駐留のマナーとしては非常に優秀な部隊だと僕は思っているわけでありますね。  で、これをどう使うかの話なんですけれども、さっきの話にもあるんですけれども、やはり我々が真摯に受け止めなきゃいけないのは、平和目的に軍事組織を出す、これの一番失敗の一つ、失敗のケースというのは、平和、その平和が侵されて紛争が起こるわけでありますけれども、その紛争で一番被害を被っている一般市民、女性、子供を含めて一般市民ですね、それを過って殺す可能性があるわけであります、これは。現代の紛争において、特に局地的な紛争においては、ゲリラ兵と一般市民を区別するのはこれ非常に難しいです。これは非常に高度な政治判断が必要です、現場で。  そこで、武器の使用基準とか、そういうものを即座に判断して対応しなきゃならないことであります。これは非常に難しいオペレーションであります。多分これの初歩、つまり初歩的な訓練、さっきも申し上げましたように、やはり国連PKO活動から僕はやるのが一番いい、いいと。それが普通のやり方なわけでありますね。今まで国連のPKOへの日本の供出の仕方ですけれども、まずはやはり歩兵部隊。PKO、現状の、現行の憲法下で、PKO法で既にPKFの本体業務の凍結解除が行われているにもかかわらず、PKFの本体業務で出ていませんでしょう、まだ自衛隊は。なぜ送らないのかということです。これは憲法と全く関係ないところで、いわゆる現の憲法下でできるわけですから。それも大部隊を送るのではなくて、小隊、中隊で結構ですよ。ほかの国、全部そうしています。中隊でほかの国の大隊の中に入って一つの指揮下に置くとか、そういう訓練をしなきゃいけないと僕は思うんですね。じゃないと、いきなり行って文民統治、つまり武力を、現場で政治判断、政治分析ができる国としてのシステムが育っていないところでやると確実に殺します、一般市民をですね。自衛官も死にますですね。  もちろん、国連PKO下でも軍事法廷があります。自衛隊にありますか、軍事法廷が。ありません。こういうことを真っ正面に整備をしないで送るというのは、これは自殺行為です、本当に。軍法会議はないんです、この国は。日本の軍人が日本の外で犯罪を犯した場合、現地の警察に捕まえさせますか。この間イラクでイギリス兵が捕まって、それを奪還するために戦車が突入したでしょう。ああいうことをやりますか、日本できますか、できませんでしょう。できないし、軍法会議もないと。じゃ、日本の刑法では裁けません、これ。つまり、真っ正面に議論してほしいということなんです、派兵という現実をですね。そこに尽きます。
  240. 宮坂直史

    参考人(宮坂直史君) ありがとうございます。  テロ対策における軍事力ということで、そうですね、先生の御質問には直接答えられないかもしれないんですが、海外でオペレーションというか経験を積んでいくことは、今や今後の国際安全保障環境を考えると当然のことであると思っているんですが、もう一つ、先生の御質問に入っていなかったことで重要な進展が今ありまして、それは国内での、軍事力とは言えませんが、自衛隊ですね、国内での自衛隊活動の場というのは、実は余りこう表面には出ていませんけれども、飛躍的に今広がりつつあって、例えばテロ対策一つの局面で被害管理というのがございます。  もし、大規模な事件、事故、テロを含めて、があったときにどういうことを自衛隊としてやらなければいけないのか。こういう取組で、警察、自衛隊、緊急医療のお医者さん、消防、そして自治体の五者の間で、例えば大阪の北千里の方だとか、まあ全国には広がっていませんが、そういうテロ対処だとか災害対処で非常にその意識を持った地域では、自衛隊を含めて恒常的に平時、平時というか平素からそういう五者の間での研究会というのが進んでいて、正にその付き合いが深まっていると。  そういうような国内でのテロ対策を含めた動き、しかも自己完結していなくて、ほかのいろいろな機関と日ごろから付き合いをして理解を深めていくという動きが広まっています。これも同時に重要な進展だと思いまして、海外でのオペレーションと同時に、国内でもいろいろなそういう対処のための平素からの研究というのが現場で進められているのが実態であって、それはいいことだと私は思っております。  以上です。
  241. 白眞勲

    ○白眞勲君 民主党・新緑風会の白眞勲と申します。  お二人の非常に示唆に富む話、本当に学習いたしましたという感じなんですけれども、まず伊勢崎参考人にお聞きしたいんですけれども、DDRの中で、今バラ色の、Rの部分でバラ色の人生みたいなことを言うと良くないというようなことをおっしゃったわけですけれども、逆にいわゆる武装解除、あるいはもう一つのDの動員解除ですか、をさせるときに、もし私が鉄砲とか何かを持っているとするならば、ある程度バラ色の人生が予定されていないと、逆に何かそういうものを放す気になれない部分が何かあるような感じもするわけなんですね。その辺をどういうふうにバランスを取ってやっていくかというのが課題でもあるかとは思うんですけれども、何かそれについてのいい御見解みたいなものがあったら教えていただきたいというのが一つと。  それともう一つは、やっぱり日本日本独自のやはりこれからの国際貢献のやり方というものが私はあるんではないんだろうかというふうにも思っているわけなんですね。それがDDRならばそうかもしれないし、DDRの中でどの辺に重心を移した方がいいよということもあるならば、それについても伊勢崎参考人から御意見をお伺いしたいというふうに思っております。  それと、宮坂参考人にお聞きしたいんですけれども、テロの定義というものを今お話もいただきました。非国家主体じゃないと、なかなかそのテロの定義が広がっていくという部分で、先ほど実は外交防衛委員会で私どもの民主党・新緑風会の方からも、その北朝鮮の拉致をテロとするかどうかという、そういう質問の中で、政府の方の答弁としては大きな意味テロじゃないかというふうに、大きな意味テロだという官房長官からのお話があったわけなんですね。  いろいろなテロといういわゆる定義がそういう中にある中で、本当に無差別に何の理由もなく起こすのが果たしてテロなのかどうか。やはり何らかの政治的な理由あるいは何らかの宗教的な理由、その他の理由で、まずいわゆる大義名分を、彼らなりのですよ、彼らなりの大義名分をつくって起こす場合もあるかもしれない、その理由付けとしてですよね。そういった場合に、その一方の方に、その逆のやられた方に対してやっていった場合に今度テロテロを呼ぶみたいな、恨みが恨みを呼んでまたいわゆるテロ合戦みたいな形になっていったときに、逆に日本がそこに足をどっちかに重心を踏み込むことによるリスクというものはどういうふうに考えていったらいいんだろうかということについてお聞きしたいと思います。
  242. 伊勢崎賢治

    参考人伊勢崎賢治君) ありがとうございます。  今、DDR、DDRって国連も一つのパッケージとして、紛争解決のですね、これ非常に定着しつつあるわけであります。国連のPKOというのは、今世界で今同時進行しているのが、幾つか今言えませんけれども、かなりあって、そこでやはり紛争直後の紛争解決のマンデートを持って展開しているミッションに限っては、必ずこれDDR部というのがあるんですね、コミッティーが。そのぐらい定着しているものなんですね。  一つ危険性がございまして、つまり印象を与えてしまうわけです。つまり、平和を金で買えると。そのRの部分で釣れると。これは間違いでございます。絶対間違いでございます。金では解決できません。普通のDDRですと、そういうことをしません。一番後に取っておくわけです。見せません、まず最初から。普通のDDRで重要なのは政治的若しくは社会的恩恵です。経済的恩恵の前にそっちで交渉するわけです。  その政治的恩恵、社会的恩恵というのは、まず一つは恩赦です。戦争犯罪の恩赦、つまり武器を置いてももう裁かないよということです。これ、人を殺していても裁かないよという恩赦の部分ですね。これは御存じのように南アフリカのあの真実と和解委員会一つのブームを作りまして、和解ということでね。その流れもあって今恩赦を与えるというのは、一つのこれは社会的な通例になっております。まず、それが一つと。  もう一つはやはり政治的な参政権です。やはり武装グループが蜂起した背景というのは、やっぱり政治的なインタレストがあったわけでございます。だから、それを武力ではなくて、武力を置いたら一応一野党として総選挙に出馬させてあげるよとか、便宜供与をしてあげるよとか、そういう要は政治参政権ですね。それがもう一つでございます。  この両方がないのがアフガンの武装解除だったわけであります。でも、幸いアフガンというのは、アフリカの民兵組織と比べて、旧軍といえどもかなりちゃんとした軍なんです、指揮命令系統ですね。やっぱり上官の言うことをちゃんと聞くという文化がまだ残っているような連中を僕らは相手にしましたので、上官さえ手玉に取ればいいわけであります。つまり、部隊解体すればおまえをそこの県知事にしてあげるとか、ここの局長、どっかの局長にしてあげるとか、大統領の顧問にしてあげるとか、それで一つ一つこうやっていくわけでありますね。いわゆる政治的な恩恵ですね。これがいわゆるDDRの本当のいわゆる進める動員力となるものでございます。  Rというのは、やはり何というんでしょう、付加的なものなんですね。強調したいのは、お金で例えば十年、二十年戦ってきた人間を戦争を止めさすということは、これは不可能でございます。そのお金を、利権を得るために彼らは戦ってきたわけでありますからね、力で。だから、無理であります。このちっぽけなRぐらいの利権で戦争を止めることは不可能であります。  将来の日本の独自の国際貢献、果たしてDDR的なことをやるかどうかということですよね。  これは多分、僕はやれると思うんですけれども、さっきも申しましたように、やはり我が日本政府外交力が、ODAを武器にしたお金と政治力で外交力を発揮していくということ。それと、やはり現場での、もし我々の武装組織を外に出すことがオプションにあるんならば、ちゃんとした文民統治能力を身に付けること。これはやはり情報収集とその分析能力にこれすべてが懸かってくると思うんですけれども、まあそこですね。  で、それをしない限り、やはり日本というのは、あともう一つ、済みません、これも私のプレゼンの中で言いましたけれども、DDRのDというのは軍事オペレーションです。これに日本はODAを使ったわけであります。ODAのお金です。一応国連に拠出していますけれども、これはODAのお金であります。  これ厳密に言いますと、ODA大綱にかなり触れる部分があるわけで、御存じのように日本のODA大綱には明確にこれうたっているんですね、軍事的目的には使っちゃいけないと。つまり、アフガンのDDRというのは、武器を回収して、破棄しません。再利用するためです。新国軍をつくるために血税を我々は投入したわけであります。これ軍事オペレーションです、これ。新しい軍をつくるために貢献したわけであります。でも、それが唯一の、アフガンで秩序をもたらす唯一の方法であるわけです。それが平和の方法だったわけでございます。でありますから、やはりODA大綱を含めてかなりな法整備が必要ではないかと僕は思うんですね。  御存じのように、ODA大綱の中では軍事的なオペレーションをサポートしちゃいけないと書いてありながら、DDRということが載っているんですね、重点項目として。これは、やはりODA大綱を作った時点で、創案した方がDDRを分かっていなかったとしか思えない。で、その勘違いでアフガンのDDRが始まってしまったというのがこれ正直なところで、やはりODA大綱とする法整備を少し変えないと、多分実質的な平和貢献は僕はできないと思います、日本は。
  243. 宮坂直史

    参考人(宮坂直史君) ありがとうございます。  御質問は、テロテロに対抗する暴力が悪循環していって、そういうところに足を踏み入れて、例えば日本が足を踏み入れてしまうともちろんそこにリスクがあるという、そういう問題をどういうふうに考えればよいかというような御質問だったと思いますが。  個人的には、私個人的にはテロ対策こそが安全保障政策の中で、あるいは日本の政策の中で非常に優先順位が与えられてしかるべきだと思っているんですが、片や、現実を考えると、日本というのはテロ対策だけで動いている国ではなくて、テロ対策と同じように、普通の通常の外交政策がございますし、もうちょっと広い防衛、安全保障政策がありますし、国内では治安対策というのがありますし、そういうテロを防ぐこと、テロに巻き込まれないことだけを最優先して日本というのは動いてないし、まあどこの国もそうだと思うんですね。  で、その該当する国が特に日本にとって特別な何か利益があるというような国であるならば、そこでたとえ巻き込まれるようなリスクがあっても、日本にとって特別な利益があるんであるならばそういう国に対しては関与をしていくというのが一つ判断になるのではないかなと思う。  いずれにせよ、そのバランスを取りながら、そういう判断というのは進めていかなきゃいけないんじゃないかなというふうに思っております。
  244. 澤雄二

    澤雄二君 それでは、時間ですので簡単に。  伊勢崎参考人には、今朝、午前中の質疑とも関連をしますけれども、DDRの次に、非合法というんですか、イリーガルの軍閥の武装解除、また何ていいますか、その人たちがどういう職業に就くかというふうなそういう次のステップの活動が待っていると。  実際にそのイリーガルの組織というのはどういうものかというのを実は私よく分かっていないんでございますが、そういうところとか、これ今の話を伺うと、DDRでも相当センシティブなのでとても無理かなとは思うんですが、その次のステップの活動だとか、それからPRTですね。それの復興支援の部分、後方支援みたいなところ、そういうところに新たに日本自衛隊も含めて活動する可能性というのはあるのかどうかというお考えを知りたいということです。  それから、宮坂参考人には、今後の課題の中でテロ脅威の査定というのが書いてございました。  実は私は、フジテレビの報道にいるときに「報道二〇〇一」という番組を作って、そのときに実は世界の紛争の危機レベルというコーナーを作って、あのジェーン年鑑で有名なジェーンというところのポール・ビーバー氏に世界じゅうの紛争の危機レベルを毎週分析をしてもらったということがあって、結局これ企画倒れで半年ぐらいで終わっちゃうんですが。でも、それは、そのジェーンという組織とポール・ビーバーという人物がいたからそういうことができたんだと僕は思っているんですが。  この課題にあるテロ脅威の査定、こんなことが一体日本の国内の力でできるのかなという、その辺のことをちょっと伺いたいなというふうに思っています。  以上です。
  245. 伊勢崎賢治

    参考人伊勢崎賢治君) ありがとうございます。  その非合法軍閥の問題ですね。これは今DIAGというプログラムでもって、これは日本政府も継続的にお金を出してやっておると思うんですけれども、ここで注意しなきゃいけないのは、非合法ですよね、非合法です、合法じゃないということであります。  今までの武装解除というのはこれは軍閥、軍のものであります。これ非合法ですから、これ法と秩序のこれは問題なわけです。つまり、管轄は軍から警察に移るべきものです、これ、今。今までは非常事態ですから軍が法と秩序を担っていたわけですね、それは非常事態ですから。通常の事態であれば、法と秩序というのはこれ警察若しくは司法で秩序を保つ、それがやはり人間の社会のあるべき姿なわけでありますね。  今、これから、今現在、軍閥の政治的な武装解除、武装動員解除が終わった今現在、まだアフガニスタンはやはり軍がすべてをコントロールしなきゃならない非常事態、非常非常事態にあるのかそうでないのか、これはしっかり見極める必要があると思います。それによって日本の貢献の仕方も、果たして自衛隊を送るのか、それとも警察の協力ということにするのか、そこで違ってくると思いますよね。  僕は今、アフガンでこれだけ働きまして、今、これからは少し無理をしてでも法と秩序、つまり司法と警察力によってこの非合法の人たちを取り締まる。国際協力の在り方としても、警察力と司法力の強化というところで焦点を置かなければ、これは別に軍的なものをネグレクト、つまり無視していいということはないですよ。でも、いわゆる考え方のスイッチですね、しなきゃならないと僕は思っております。
  246. 宮坂直史

    参考人(宮坂直史君) テロ脅威の査定の問題で御質問いただきましたけれども、もちろん現状ではなかなかできないので、できないというか、不足する部分があるので今後の課題ということになると思うんですけれども、テロ脅威の査定というのは特定のテロリストテロ組織の意図と能力をどういうふうに見ていくかということでございます。  もう一つは、今最も我々が心配しているのは、NBCテロといいまして、大量破壊兵器絡みのテロが起こったときにどういうような対応ができるのかということでございます。  これは、もちろん今の体制でも分析、情報収集というのはやっていると思うんですが、問題は、それが有意な情報があっても一か所に集まっていかないということと、それがなかなか本当に判断を下す人のところまで上がっていかないと。上がっていかないというのは上が悪いわけでございまして、上の人がそういうことを日ごろから注目していれば、そういう情報というのは自然と上がっていくと思うんですけれども、現状でも努力はしていると思うんですが問題があるということで。  そして最後に、なぜこの脅威の査定が重要かと申し上げますと、すべては国民のためで、役所がテロ脅威が迫っているとか、あるといって通達を出すわけですね。例えば、国交省とか厚生労働省だとか関係の事業所だとか現場に通達を出して警戒を高めてくださいと言うわけですけれども、テロ脅威が迫っているといって、どのくらいの脅威なのかと。それは一体どこまで、いつまでテロ対策を強めていかなければいけないのかという当然そういう疑問というのはわいてきて、テロ脅威はずうっと続くわけでもないし、ずうっとハイレベルのわけでもない。せめて、四段階か三段階か分かりませんけれども、外国でやっているような色分けぐらいはして国民に、今このぐらいのレベルなんですよと、しばらくしたら、このぐらいなんです、そういうレベルが分かるぐらいのものは、大ざっぱでありますけれども、国民に示すということが最低限必要になってくるのではないかなと思っております。
  247. 澤雄二

    澤雄二君 ありがとうございました。
  248. 林芳正

    委員長林芳正君) 予定の時刻が参りましたので、参考人に対する質疑はこの程度にとどめます。  この際、一言御礼を申し上げます。  参考人の両名の方には、長時間にわたり大変有益な御意見をお述べいただきまして誠にありがとうございました。委員会を代表し、厚く御礼を申し上げます。(拍手)  本日はこれにて散会いたします。    午後五時散会