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2005-10-13 第163回国会 参議院 外交防衛委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十七年十月十三日(木曜日)    午前十時開会     ─────────────    委員異動  十月十二日     辞任         補欠選任      澤  雄二君     谷合 正明君      緒方 靖夫君     井上 哲士君  十月十三日     辞任         補欠選任      犬塚 直史君     那谷屋正義君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         林  芳正君     理 事                 浅野 勝人君                 三浦 一水君                 山本 一太君                 榛葉賀津也君                 柳田  稔君     委 員                 愛知 治郎君                 岡田 直樹君                 櫻井  新君                 福島啓史郎君                 山谷えり子君                 浅尾慶一郎君                 犬塚 直史君                 今泉  昭君                 佐藤 道夫君                 那谷屋正義君                 白  眞勲君                 荒木 清寛君                 谷合 正明君                 井上 哲士君                 大田 昌秀君    国務大臣        外務大臣     町村 信孝君        国務大臣        (防衛庁長官)  大野 功統君    副大臣        内閣府副大臣   西川 公也君        防衛庁長官   今津  寛君        外務大臣    逢沢 一郎君    大臣政務官        防衛庁長官政務        官        愛知 治郎君        外務大臣政務官  福島啓史郎君    事務局側        常任委員会専門        員        泊  秀行君    政府参考人        内閣官房内閣審        議官       楠  壽晴君        内閣官房内閣審        議官       伊東 敏朗君        内閣大臣官房        遺棄化学兵器処        理担当室長    高松  明君        防衛庁長官官房        長        西川 徹矢君        防衛庁防衛局長  大古 和雄君        防衛庁運用局長  山崎信之郎君        防衛庁人事教育        局長       飯原 一樹君        防衛施設庁施設        部長       戸田 量弘君        防衛施設庁業務        部長       長岡 憲宗君        総務省郵政行政        局長       鈴木 康雄君        外務大臣官房審        議官       遠藤 善久君        外務大臣官房審        議官       長嶺 安政君        外務大臣官房参        事官       梅田 邦夫君        外務大臣官房広        報文化交流部長  岡田 眞樹君        外務大臣官房国        際社会協力部長  神余 隆博君        外務省中東アフ        リカ局長     吉川 元偉君        外務省経済協力        局長       佐藤 重和君        外務省国際情報        統括官      中村  滋君        資源エネルギー        庁資源燃料部        長        近藤 賢二君        海上保安庁警備        救難監      坂本 茂宏君    参考人        日本郵政公社理        事        斎尾 親徳君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○政府参考人出席要求に関する件 ○参考人出席要求に関する件 ○万国郵便連合憲章の第七追加議定書万国郵便  連合一般規則及び万国郵便条約締結について  承認を求めるの件(内閣提出) ○郵便送金業務に関する約定締結について承認  を求めるの件(内閣提出)     ─────────────
  2. 林芳正

    委員長林芳正君) ただいまから外交防衛委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  昨十二日、澤雄二君及び緒方靖夫君が委員辞任され、その補欠として谷合正明君及び井上哲士君がそれぞれ選任されました。     ─────────────
  3. 林芳正

  4. 林芳正

    委員長林芳正君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  5. 林芳正

    委員長林芳正君) 参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  現在、本委員会に付託されている条約審査のため、本日の委員会日本郵政公社理事斎尾親徳君を参考人として出席を求め、その意見を聴取することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  6. 林芳正

    委員長林芳正君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  7. 林芳正

    委員長林芳正君) 万国郵便連合憲章の第七追加議定書万国郵便連合一般規則及び万国郵便条約締結について承認を求めるの件及び郵便送金業務に関する約定締結について承認を求めるの件の両件を一括して議題といたします。  両件の趣旨説明は既に聴取いたしておりますので、これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言願います。
  8. 山谷えり子

    山谷えり子君 自由民主党、山谷えり子でございます。  万国郵便連合憲章の第七追加議定書万国郵便連合一般規則及び万国郵便条約目的と意義をお答えください。
  9. 町村信孝

    国務大臣町村信孝君) 委員御承知のとおり、日本は明治十年、一八七七年に万国郵便連合に加盟して以来、その活動に積極的に参加しているとともに、この連合での合意に従って国際郵便業務を実施してきているわけでございます。また、郵便為替についても、これに関連する約定に基づき、継続的に業務を実施してきております。  今回、提出をしております改正案につきましては、これは日本を始めとする連合加盟国にとって、連合の下で国際郵便業務を実施するための法的枠組みを定める大変重要な国際約束であると、こう考えております。また、郵便送金業務に関する約定につきましても、郵便振替業務を含むすべての国際的な郵便送金業務について規定をする国際約束であり、これらの文書は二〇〇六年一月一日に効力を生ずるということになっております。  したがいまして、日本がこれらの文書締結することは、連合加盟国として活動する上で、また日本国際郵便業務及び国際郵便送金業務の適切な実施のために極めて重要であると考えて今回御審議をお願いをしているところでございます。
  10. 山谷えり子

    山谷えり子君 我が国万国郵便連合の中でいかなる貢献を行っておりますでしょうか。
  11. 町村信孝

    国務大臣町村信孝君) この万国郵便連合は、郵便業務の効果的な運営によって国際的な通信連絡を増進し、文化社会経済分野における国際協力貢献することを目的としている国際機関でございます。日本は、この分野先進国として従来から連合のいろいろな会議に積極的な提言を行い、このUPUの活動貢献をしております。  理事会委員会等における議長職の遂行であるとか、事務局への職員派遣技術協力のための専門家派遣分担金最高分担単位の負担、特別活動への任意拠出等々でございまして、大変積極的な貢献日本としてはやっているところでございます。
  12. 山谷えり子

    山谷えり子君 いろいろ振り返りまして、町村外務大臣におかれましては、主体的外交国際世論を味方に付けて、本当に主権とは何かというようなことを考えさせる外交を展開してくださいました。また、大野防衛庁長官におかれましては、ミサイル防衛システム、そしてまた安全保障の面での進展ということで大変なお働きをいただきまして、深い敬意を感じております。  さて、アメリカイギリス中国ロシア、イスラエルなどは情報収集能力の高い国だと言われております。イラク、中東、テロリストの動向など情報収集重要性が増すばかりでございますが、情報収集機能強化費分析機能強化費は今年五・八億円でしたが、十八年度概算要求で七・七億円と上げる。また、来年度より、情報を担当する専門官を育てていくということでございますが、大臣は「保守の論理」という御本の中で、正しい姿を取り戻せば日本は必ずよみがえりますという、御本の中で情報収集秘密を守る体制の重要性を述べておられますけれども対外情報機能強化についていかがお考えでございましょうか。
  13. 町村信孝

    国務大臣町村信孝君) 著書にお触れをいただいて大変恐縮でございます。  やっぱり国家が成り立つ上での幾つかの重要な要素があると思いますが、その一つが私はこの特に対外的なインテリジェンス対外情報機能ではないのかなと、こう認識をしております。  そういう面で、率直に言って、戦後、非常にこの面は軽視をされ、あるいは無視をされてきた分野だろうと思いますが、ようやっといろいろなテロ事件等々で国会の内外においてこうした関心が高まっているというのは、私はあるべき姿にだんだん近づいていく基本ができつつあるのかなと、こんな認識をしております。  そんなこともあるものですから、実は外務大臣の私的な懇談会ではございますけれども対外情報機能強化に関する懇談会というのを春先立ち上げまして、九月にこの報告書をまとめていただきました。これに基づきまして、今後、対外情報収集分析機能の抜本的な強化ということに努力をしていきたいと思いますし、また、その懇談会の中でも秘密保全に関する法体系整備ということがうたわれておりまして、この面についても、日本はかねてより、俗な言葉で言えばスパイ天国だとまで言われているわけでございますので、いろいろな方面にかかわる問題がありますのでそう簡単に法の整備ができるとも思えませんけれども、しっかりとした勉強、準備はしておく必要があるんだろうなと、こう思っているところであります。
  14. 山谷えり子

    山谷えり子君 国家機密法スパイ活動防止法、一度政治の場で議論されたことがありますけれども、しかしながらうまくいかなかったり、今回のいろいろな世界情勢考えますと、やはりそれを政治日程にのせるべき時期に来ているのではないかという感じを持っております。  国連常任理事国、P5には、国家機密法スパイ活動防止法というのはどのようになっていますでしょうか。
  15. 町村信孝

    国務大臣町村信孝君) 済みません、正確に認識をしているわけではございませんが、例えば私はこの問題だけで、かつて自民党の役員をやっておりましたときイギリスに参りまして、イギリスは北アイルランドがあるものですからテロ対策先進国と言われている国でありますが、包括的なテロ対策法というものが相当しっかりでき上がってきております。また、それに伴って、元々あそこはインテリジェンス活動が非常に、百年以上の歴史を持っておりますから、それに伴ってするところの様々な法的な整備というものも相当きっちりしているという。それと比べると日本はせいぜい国家公務員法違反ぐらいのものしかありませんし、自衛隊については更に刑法が強化をされている部分がありますが、それについても非常に諸外国と比べるとまだ法整備が不十分だなという印象は私持っております。  今、具体にきちんと対比したものを手元にございませんので、申し訳ございません。
  16. 山谷えり子

    山谷えり子君 アメリカとかフランスとかロシアなどでは最高刑が死刑、ドイツなどでも無期懲役でございます。こうした法律がきちんと整備されていないこと、あるいは国際スタンダードから見るとかなりまだ後れているというようなことから、日本安全保障常任理事国入り障害になるというふうにはお考えになられませんでしょうか。
  17. 町村信孝

    国務大臣町村信孝君) 直ちに障害になるということではなかろうかとは思います。  ただ、お互い機微にわたる情報をやっぱり交換をするときに、先方から日本に対してこの情報を渡してそれがどこかから漏れてしまうのではないかという懸念を当然持つわけでありまして、そういう意味で、やっぱりこれは日本情報を渡すのはやめようという判断に至ることもあるやに聞いております。その辺を考えたときに、例えばテロ対策という最も秘密でなければならない情報日本に伝わってこないということになれば、それは日本の国益を非常に害することになりますので、そういう観点からもしっかりとした法整備をしなければいけないだろうと、こう思っております。
  18. 山谷えり子

    山谷えり子君 常任理事国になりますと軍事参謀委員会に入ることになりまして、そういう面からも今、町村大臣がおっしゃられたような視点からの検討が大事だというふうに思いますので、是非研究会での御研究もお進めいただきたいというふうに思います。  四月十八日、町村外務大臣唐家セン国務委員との会談で、また五月七日、日中外相会談の席で李肇星外務大臣と、北京抗日記念館南京虐殺館などで事実でない写真説明などがあるというようなことをおっしゃいまして、真の日中友好のために互いに事実を理解し合っていくということが大事で、結果として反日をあおるような事実でない展示というものを外していただきたいと、これは本当に町村外務大臣が初めてこの正式の場で言ってくださったことでございます。そしてまた、リニューアルオープンした北京抗日記念館人形の一部が外されたり展示方法がかなり前進が見られたと、まだまだもちろんこちらから見ればもうちょっと、もっとうんとというところはあるわけでございますが、しかし一定程度前進が見られたということは大臣のお力が大きかったというふうに思います。  新しいリニューアルオープンした抗日記念館外務省の方見られていると思うんですが、どのようになって、感想をお持ちでございましょうか。
  19. 梅田邦夫

    政府参考人梅田邦夫君) お答えさせていただきます。  委員指摘のとおり、外務大臣の方から唐家セン国務委員、それから外務長官に対しまして問題提起をさせていただきました。  七月の七日に人民抗日戦争記念館がリニューアル、改装して再開したわけでございますが、私も八月に視察に行ってまいりました。  具体的に変更点を少し御説明いたしますと、まず全体の構成につきまして、以前は日中友好関係であるとか日中戦争の流れを展示した後に最後日本軍暴行館展示するということで、非常に印象の悪い、後味の悪い感情を残す展示になっておりましたが、改装後は日中友好部分最後に来るように編成をしております。そこは一つ大きな改善点ではないかなと思います。  それから二点目でございますが、旧日本軍の行為につきまして、先ほど先生から御指摘がありましたように、いわゆる南京虐殺や七三一部隊に関する残酷なろう人形というものを展示しておりましたけれども、これは廃止しております。ある程度抑制的な姿勢を示しているのではないかなと思います。  それから、最後部分展示でございますが、これは戦後の日本関係について展示をしておりまして、例えば日本政府歴史認識、これは村山総理談話を詳しく紹介をしたりとか、それから今年四月の小泉総理胡錦濤国家主席の握手している写真を新たに展示するなど、中国の方も日中関係を発展させていくことを重視しているんだというようなことを強調する内容になっております。  いずれにしましても、改装後の展示物につきましては、引き続き事実関係であるとか歴史に対する理解について様々な議論が、特に我々から見ていますとあるものもあると思われますけれども中国側もそれなりの配慮はしたのではないかというふうに考えております。  以上でございます。
  20. 山谷えり子

    山谷えり子君 南京虐殺館もこれからリニューアルオープンされるということでございますので、引き続きの対話と御努力というのをお願いしたいというふうに思います。  ゼーリック・アメリカ国務長官は、中国瀋陽にある九・一八歴史博物館を訪ね、中国の対日史観についてかなりのギャップを認識と語られまして、日米中三か国の歴史家による協議を提言いたしました。私はこの提言は大変いいというふうに思っているんですけれども外務省はこのゼーリック国務長官とどういう意見のやり取りなさいましたか。
  21. 梅田邦夫

    政府参考人梅田邦夫君) ゼーリック長官が九月の二十一日にワシントンにおけるスピーチの中で、日米中の三国の歴史家対話を開始することで歴史認識に関する誤解を幾らか和らげることを開始することができるのではないかというふうに我々も承知しております。その後、我々の方も米側に、この発言の趣旨であるとか、どういうふうに米側としてこれを実現していきたいのかというようなことを内々打診しておりますけれども、現時点では米側として具体的な考えを持っているわけではないようでございます。  いずれにしましても、その歴史認識を含めまして、重要な問題についての我々の考え方につきましては、両国間だけではなくて、関係する両国間だけではなくて、欧米も含めた各国政府だとかメディアなどに我々も引き続き積極的に働き掛けていきたいと思いますし、それから米側のこのような考え方につきましては、更に米側考え方を聴取した上で、どういうことが可能であるのかどうか検討をさせていただきたいと思います。
  22. 山谷えり子

    山谷えり子君 すばらしい提言であると、国会でも問題になったということを更に言っていただきまして、この種を育てていただきたいというふうに思います。  続きまして、資料を配付しておりますけれども、ちょっとごらんいただきたいというふうに思います。歴史問題資料一、歴史問題QアンドA外務省ホームページへの掲載についてというものでございます。日付が八月十二日になっておりまして、広く国民にこれらの問題に対する我が国政府立場について知っていただくための参考用として作成したものである、翻訳が終了次第、英語版ホームページにも掲載予定広報文化交流部総合計画課というふうになっておりますけれども、この問題の設定を見ますと、Q1からQ10までありまして、さき戦争に対して日本政府はどのような歴史認識を持っていますかというのに始まり、ドイツに比べて日本は過去の問題への取組が不十分なのではないですかという設問で終わっております。中国、韓国の抗議文書への御説明といった感じもするわけでございますが、これに対して恐らく賛否両論いろいろ外務省に来ていると思うんですけれども、どのようなものがありますでしょうか。
  23. 岡田眞樹

    政府参考人岡田眞樹君) お答えいたします。  委員指摘のとおり、この歴史問題QアンドAにつきましては、これは、ホームページ掲載されて以降、当省に対して様々な意見が寄せられております。賛成する意見もございますし、批判されている方もございます。  さき大戦をめぐる問題については様々な御意見もあろうかと思いますけれども、私どもとしては、こうした議論が契機となってこれらの問題に関する政府立場についての国民理解が促進されれば幸いと考えております。
  24. 山谷えり子

    山谷えり子君 ある立場、間違っていないといえばいませんけれども、あえて誤解を招くような書きぶりではないかという指摘もまたあるわけでございまして、資料二でございますが、Q6、靖国神社総理が参拝することは過去の植民地支配と侵略を正当化しようとするものではないですかというような設問になっております。この答えで、前提として、靖国神社がどんなところかという説明が必要なのではないかと思います。神社が平和を求める人々とともに慰霊のためにあること、二百四十六万余柱が鎮まっておられまして、また、日本の鎮魂の文化はこうであるといったことの説明もなしに、わび証文のような、そして文化に対する深い理解視点というものがない回答というのは誤解を増幅させるだけであるというような意見もあるわけでございます。  資料三の方を見ていただきたいんですが、Q5、いわゆる従軍慰安婦問題に対して日本政府はどのように考えていますかと書かれておりまして、答えとして、日本政府としてはいわゆる従軍慰安婦問題が多数の女性の名誉と尊厳を傷つけた問題であると認識していますと書かれておりまして、こういろいろ続いているわけでございますけれども、当時、従軍慰安婦という言葉はなかったわけでございます。  そしてまた、内閣官房長官、時の談話を発表された長官あるいは副長官も、慰安婦強制連行があったか否かについて文書、書類を調べたけれども存在しなかったと、それからまたヒアリングについては、官房長官は、裏付けを取るべきであったが状況として取れなかった、ヒアリングだけでの認定については甘んじて非難を受けると、平成九年、日本の前途と歴史教育考え若手議員の会で発言しております。  また、平成九年三月十二日の参議院予算委員会では、小山孝雄議員の質問に答えられまして、内閣総理大臣官房外政審議室長平林博政府委員が、「政府の発見しました資料の中からは軍ないし官憲による強制連行の記述、そういうものはございませんでした。」、そして、証言裏付けは、個々の証言裏付ける調査は行っていないというふうに答えているわけでございますけれども、こうした事実も外務省ホームページに書くべきではないかというふうに思いますが、その辺はいかがでございましょうか。
  25. 岡田眞樹

    政府参考人岡田眞樹君) 委員指摘のとおり、さき大戦をめぐる様々な問題については国内外から様々な意見が表明されておりまして、特に今回の歴史問題QアンドAを作成するに当たりましては、私ども考えましたことは、こういういろいろな意見の中には政府歴史認識や戦後処理の事実関係における基本的な問題についての誤った認識に基づくものが散見されますので、そういった状況を踏まえて、こういった問題についての政府のまず基本的な立場とか戦後処理の事実関係などについて国民理解を促すことを目的としまして、これまで様々な機会に示された政府立場や事実関係を簡潔にまとめさしていただいたものだということで、文章的にも量はそんなに大きくないものになっております。
  26. 山谷えり子

    山谷えり子君 事実を大切に、誤解が広がらないように対処していくことが大切だというふうに思います。事実は、国が、軍が、官憲強制連行したという資料が見付かっていない、なかったということではないでしょうか。
  27. 岡田眞樹

    政府参考人岡田眞樹君) 委員指摘国会答弁その他については、正に事実そのようになってございます。  取りあえず、私たちが今作っております資料は非常に簡潔なものですので、これから先我々の対応については、委員指摘の点も踏まえましていろいろ考えさしていただきたいと思います。
  28. 山谷えり子

    山谷えり子君 アメリカでも、保守派の間でさえ、いわゆる従軍慰安婦強制連行説が広がっております。コンフォートウーマン、セックススレーブ、日本は性奴隷制度をしいていたというようなことが、認識が広がっております。そのようなことはありませんでした。また、二十万人慰安婦虐殺された、このようなこともないわけですけれども、そのような本も出回っております。そして、アメリカ国会議員、国際関係の要職に就いている国会議員の間ででもそういう考えを持たれる方が出ております。  このような傾向を外務省はどうキャッチしておられますでしょうか。
  29. 梅田邦夫

    政府参考人梅田邦夫君) お答えいたします。  従軍慰安婦の問題につきましては十年ほど前に相当問題になりまして、今先生から御指摘のあった本はアイリス・チャン氏が作られた「レイプ・オブ・ナンキン」という本だと思いますが、その本に書かれている数字につきましては全く根拠のないものだと思っております。  それから、慰安婦関係の団体のアメリカにおける動きにつきましては、大使館を始め各総領事館、いろいろ引き続き情報を収集しておる事実はございます。同時に、事実認識につきまして誤った考えを持っておられる方、ないしはいろんなセミナー等が開かれることもございますけれども、そういうところにも外務省員、館員が出掛けまして日本側の説明をきちっとするように努めております。
  30. 山谷えり子

    山谷えり子君 十年前ではなくて、今、現在進行形で更に広がっているということを御認識いただきたいというふうに思っております。  また、アイリス・チャンの「レイプ・オブ・ナンキン」のときに、外務省の方は一生懸命御説明なさっていらしたという姿も私は存じておりますけれども、しかしあのときも、アイリス・チャンが書いたあの本の事実ではない、全く事実でないことを一つ一つ丁寧に説明すべきであって、あのとき外務省は反省していますと、尊厳を傷付けましたと、それだけしか言わなかったんですね。そうすると、反省しているコメントを発表すればするほどアイリス・チャンが書いたことが、そしてまた最近書かれた二十万人虐殺説が真実として独り歩きしてしまうんですよ。こんなひどいことをやったから、だから反省しているんだと。そうではありません。国は、軍は、官憲強制連行していません。これが事実です。この一点、そしてそれを骨格にした丁寧な御説明、事実に基づいた説明で国益を損なわないようにしていただきたいと思います。  国連総会第三委員会、人権に関する委員会で、北朝鮮の人権問題、拉致問題が取り上げられようとしております。反論権を北朝鮮は行使して、強制連行慰安婦問題を言ってくる可能性がございます。といいますのは、二年前に国連で北朝鮮の拉致問題を日本が訴えましたときに、北朝鮮は反論権を行使しまして、何を言っているんだ日本は、八百四十万人強制連行したではないかというふうに北朝鮮は言いました。そのとき日本は更に反論すべきでした。八百四十万という数字もでたらめであるし、そしてまた強制連行という事実はないと、国民徴用令がしかれたけれども強制連行はしていないと事実を反論すべきでしたが、日本は反論せずにそのままになってしまいました。したがいまして、国連の場では日本人が八百四十万人強制連行した、英語で訳すと拉致と変わらないようなニュアンスで国連の場で多くの国際的な様々な代表、また関係者に認識が定着してしまったわけですね。  私はあのとき非常に慌てまして、一週間後、衆議院の外交防衛委員会で八百四十万人強制連行していないのに何で、それはあったんですかと聞きましたところ、いや、昭和三十四年、外務省が調べたところ強制連行はしていないというお答えだったんですね。でしたら、なぜあの国連の場ですぐに反論権を行使しなかったのか。今回、もしもまた二年前と同じことになってしまったら、北朝鮮は強制連行従軍慰安婦、セックススレーブ、二十万人虐殺説言ってくるかもしれません。すぐに反論をして事実に基づく日本立場というものを説明していただきたいというふうに思います。  今回、国連大使は北岡伸一さん、日本近代史の専門家でございます。日本が反論権が行使できるようにきちんと準備し、フォローの体制を整えてさしあげてほしいというふうに思っております。  全体といたしまして、この歴史QアンドA、日本文化、大きな歴史の流れを踏まえた説明になっていないように思います。さき戦争といいますけれども、東京裁判史観に乗ってのもの、開国、日清、日露戦争からの歴史の大潮流、ワシントン軍縮会議、日英同盟の破棄、人種平等への日本のスタンス、欧米列強諸国とコミンテルンの力の間で翻弄されてきた日本、そうした複眼的な視点で、そしてまたもう少し大きな視野から膨らみを持った歴史QアンドAというものが、というような答えがやっぱり必要とされるのであって、これでは誤解をますます広がらせるようなQアンドAのホームページになっているというふうに思いますが、これ英訳するということでございますけれども、いつ英訳するんですか。完了はいつですか。
  31. 岡田眞樹

    政府参考人岡田眞樹君) 委員指摘の英訳の話でございますけれども、私どもとしてはやはり、例えば村山総理あるいは小泉総理戦争責任について述べられたこと、そういうような事実についてはやはりきちんと外国の方も分かっていただかなきゃいけない部分があると思いまして、やはり英訳することは外国の国民理解を促すためにも有益な資料考えておりますので、早急に今やっているところで、近々英語に直してホームページに載せることを考えております。
  32. 山谷えり子

    山谷えり子君 広報文化交流部長は先ほど、やはりもう少し書きぶりがあるのではないかというような御答弁もなさいましたので、是非もう一度検討し直して、英訳はその後にしていただきたいというふうに思いますが、町村外務大臣、今のこういうやり取り等々を聞いてちょっとどのようにお感じになっていらっしゃいますでしょうか。
  33. 町村信孝

    国務大臣町村信孝君) 今、山谷委員から大変貴重な御指摘もいただきました。  なかなか、役所の文章でございますから、これ学者のある見方ですよと、こう分かりやすく書くと、それはそれで一つの読み物といいましょうか、見解としていいのかもしれませんが、なかなか、例えばいろいろな両説あるような場合にどちらか一方を書くというわけにもいかないとか、まあ役所の制約はあると思います。  ただ、委員指摘のような、事実でなかったようなことをあたかもあったような印象を与えるとか、あるいは既に国会等でそういったきちんと答弁もあったようなことでありますとか、あるいはその今の極めて過大な妄想的な数字もあるということであれば、その辺も、かかる事実はなかったといったようなことも含めてもう少しよく検証して、その上で必要なものは英訳をするというようなことにしたいと、こう思いますので、これはきちっと、貴重な御意見を山谷委員からもいただいたし、また国民の皆さん方からもいろんな御意見がいただいていると思いますので、その辺をよく検証しながら、より良いものにまたこれも作り上げていく努力ということは引き続きやっていきたいと、こう考えております。
  34. 山谷えり子

    山谷えり子君 更により良いものになると考えておりますので、英訳はそれまでちょっと待っていただきたいというふうに思っております。町村外務大臣、どうぞよろしくお願いします。  国家名誉回復担当大臣というのがこの国には要るんじゃないかなというぐらい、もうちょっと大所高所から国家名誉回復のために、それはすなわち主権につながるわけでございますし、また北朝鮮の拉致問題解決にもつながっていくわけでございますので、是非、そのような担当大臣、あるいは担当部署というものも外務省に、総合計画課の中に、政策室の中におつくりになってもいいのかもしれませんし、そのような視点を大切にしていただきたいというふうに思います。  続きまして、中国の春暁、日本名白樺からの採掘はいつから開始するのでしょうか。
  35. 近藤賢二

    政府参考人近藤賢二君) お答えを申し上げます。  中国によります白樺、中国名春暁でございます、の油ガス田、それから中国名天外天の、日本名は樫と申します、樫のガス田の海洋構築物の作業状況につきましては、今年の八月の九日に白樺油ガス田の採掘作業に着手した可能性があるという情報を得ておるところでございますが、いまだに採掘作業を進めるためのやぐらの完成は認められておりません。  それから、九月の十九日でございますが、樫ガス田の海洋構築物の上でフレア、炎でございますけれども、確認をされております。これは、フレアが見えたということは天然ガスないし石油の産出が開始されている可能性が高いということを示しているというように考えておるわけでございます。  また、パイプラインの敷設状況でございますけれども中国本土の浙江省寧波と樫のガス田を結ぶガスのパイプライン、それから平湖の油ガス田と樫ガス田を結ぶ石油パイプラインにつきましては、既に完成している可能性が高いと認識をしておるところでございます。  また、十月の七日でございますけれども、樫のガス田の海洋構築物付近におきまして中国のパイプライン敷設船がパイプラインの敷設作業を開始したというところを確認をしたところでございまして、樫油ガス田とを結ぶ約二十キロほどのパイプライン敷設のための作業が行われている可能性があると考えておるわけでございます。  それから、今御質問の中の白樺の油ガス田の生産の見通しでございますけれども、今年の八月の末に、八月の三十日でございますが、開発を行っております中国海洋石油公司、CNOOCでございますが、の幹部が、春暁の油ガス田は九月中に生産を開始し、十月には生産した天然ガスの供給を開始することが可能であるという発言をしたところでございます。  ただ、この春暁という、CNOOC幹部が発言をした春暁という言葉が、樫のガス田を含む春暁鉱区、いわゆる春暁鉱区全体の開発計画なのか、あるいは春暁構造単独の見通しについて述べたものなのかは明らかではございません。  いずれにしましても、こういうような状況でございまして、中国側の開発作業が着々と進んでいるということは事実だと、このように認識をしておるところでございます。
  36. 山谷えり子

    山谷えり子君 九月には、ミサイル巡洋艦、フリゲート艦など、中国軍艦船五隻が中間線付近、中国側海域で活動したということでございますが、日本が試掘するとき、万一に備えてどのような警備方法を考えておられますか。民間企業は安全が確保されないと試掘できないと思います。
  37. 近藤賢二

    政府参考人近藤賢二君) 今御質問のその試掘の状況、試掘に向けてでございますけれども、試掘を実施するか否かということにつきましては、まずは鉱業権者でございます帝国石油が判断をするわけでございます。  試掘権の設定の許可を行いました際に、試掘を実施しようとする場合には前もって政府とよく相談するように帝国石油に求めたところでございます。現時点で帝国石油から試掘の実施に関する具体的計画は聞いておりません。ただ、そういう状況ではございますけれども、仮に帝国石油が試掘を実施しようということになります場合には、その時点での諸情勢を踏まえながら、外務省防衛庁、海上保安庁等々、関係省庁とも連絡を密に取りながら適切に対応したいと考えておるところでございます。
  38. 山谷えり子

    山谷えり子君 中国は、国土防衛とともに海洋権益の擁護というのを法律に明記しております。国防法、一九九七年三月、国防法二十六条で、中華人民共和国の領土、内水、領海、領空は神聖にして侵すべからざるものである、国家は、辺境防衛、海防と防空の建設を強化し、防衛と管理の有効な措置をとり、領土、内水、領海、領空の安全を防衛し、国家の海洋権益を擁護するという法律がございますが、我が国には海洋権益を守るための法律がありません。自衛隊法を改正すべきだと考えますが、いかがでございましょうか。
  39. 大野功統

    国務大臣大野功統君) 例えば、東シナ海の試掘につきまして安全を確保していく、大変重要なことでありまして、このことを考える場合に、私はやっぱり、今政府側から答弁がありましたように、関係各省、経済産業省それから海上保安庁、外務省防衛庁、この関係各省が連携を取っていく、特に情報を共有する、情報を収集していく、そして不測の事態に絶対に備えておく、この体制をつくり上げていくことが必要でございます。  自衛隊としましては、例えば平素から東シナ海を含む海域におきましてP3C哨戒機を派遣しておりまして、十分な警戒監視活動を続けておりますし、例えば護衛艦を警戒監視活動に協力させる、これも法律的には可能でございます。したがいまして、この冒頭申し上げましたような、この各省間の連携、これが一番問題として我々十分認識していかなきゃいけないところだと思います。  一般論として申し上げれば、まず海上における人命、財産の保護、治安の維持というのは、一義的には山谷先生御存じのとおり海上保安庁でございます。海上保安庁だけでは対処困難な場合には海上警備行動を自衛隊が行う、こういう体制でございます。したがいまして、法的に言いますと、自衛隊の艦艇を派遣し得る枠組みは存在するわけでございます。  しかしながら、実際に、法律の問題じゃなくて実際にどういう行動を取っていくのか、これは政府全体として十分に考えていかなきゃいけない。私は、そういう意味で協力体制をしっかり打ち立てていくことが一番大事なことじゃないか。繰り返しになりますが、いずれにしても、結論として関係各省が協力して情報収集、共有の問題、そしてこういう場合にはこういうふうに対処していくんだと、このようなことをふだんから十分に検討していくことが大事だと思っています。
  40. 山谷えり子

    山谷えり子君 大野長官、本当にたくさんのお働きを長官としてなさってこられているわけでございますが、しかし防衛庁を省にした方が更に安全保障の面できちんとしたお仕事ができるのではないかと思います。自民党、公明党は、省昇格について積極的、すべきだと考えている。そしてまた、新しい民主党も、安全保障の面では現実的な政策を取るということで、十分に議論に乗っていただけるのではないかと思います。  省昇格への思いをお聞かせいただきたいと思います。
  41. 大野功統

    国務大臣大野功統君) 大変なお励ましのお言葉、有り難く拝聴させていただきました。  今の現状をお訴えしますと、まず、私一年間を振り返ってみまして困ったなと思いましたことは、昨年でございますけれども我が国領域に中国の原子力潜水艦が入ってまいりました。これに対しまして海上警備行動を取るのに、やはり防衛庁だけの判断ではない、警察活動であるのに防衛庁だけの判断ではいけない、こういうことで時間が掛かる、これは直さなきゃいけないな、実務的には直しましたけれども、そういう問題がありました。  それから、もう一つ申し上げたいのは、やはり閣議請議、これ、法律、人事、予算、すべてございますけれども、閣議請議ですね、これを独自にできない、こういう問題があるわけでございます。  そして、何よりも、やはり外国に対しまして、日本という国はやっぱり平和を本当に重んじて、庁といいますと何となく代理店とか、エージェンシーですから、英語に直しますと、エージェントですから、代理店になったり、あるいは何となく実務をやっているような機関になってしまいますので、やはり平和に対して本当に思いを込めて、それを確立していくんだ、こういうメッセージをもっともっと省にして出していく、それが今、国際環境が変わってきた中で、日本としてやるべき問題じゃないのかなと。政策的課題も多様にございます。それから、国際安全保障環境も、テロとかあるいはゲリラ、ミサイル防衛、いろんな問題が出てまいります。そういう中で、やはり私は、今申し上げましたような観点から早く省に昇格させていただけないかなと。  しかし、これはやっぱり国民皆様の御議論の上に成り立つわけでございます。防衛とか自衛という、自衛隊というのは国民皆様の信頼の上に成り立っているわけですから、やはり我々の思いは思いとして、どうぞ皆さん、国会でも国民の皆様にもこの点を御議論いただいて、そして私は、防衛省昇格が早く国民理解の上に成り立つように、我々も努力させていただきますけれども、どうぞ御議論を十分いただきたいなと、こんな思いでございます。
  42. 山谷えり子

    山谷えり子君 私は、アフガンやゴラン高原や、また五十度の砂あらしの吹く戦争直後のイラクや、また輻射熱の甲板の上は五十度、六十度というような補給艦「とわだ」、そして護衛艦「はるな」にも乗ってインド洋海上補給活動を体験してまいりました。そしてまた、今回、テロ対策特別措置法の改正ということでございますが、自爆テロにきちんと対抗できる法的処置などが、武器使用等々ですね、やっぱり国際スタンダードでまだないんですね。私は、いつも亡くなられた奥克彦さんと一緒にバグダッドを歩いたときの写真を手帳に挟んで持っているんですけれども、本当に、国際協調、平和貢献をするために、日本がスタンダードではないということがいかに不便と活動しにくさをもたらしているかということをもう少し皆さんに説明していただきたいなというふうに考えております。  町村外務大臣は、本当に国際世論を味方に付けて様々な外交を展開していく、そして主権、国益と国益、それぞれの国の事情を率直に話し合うのが外交だと、仲よくするだけの社交、その場しのぎではないということをきちんと展開なさったすばらしい外務大臣でいらっしゃいますし、また国連改革も、今までは言うことを聞いていたわけですが、新しいルールを日本側から提案して、時代に合った国連にしようじゃないかというようなお働きをなさった。また、真の日中友好のために冷静でかつ友好的な思いを伝え続けられたということをすばらしいことと私は思っておりますけれども、これからやり続けたいこと、まだやり残していること、ありましたらお聞かせいただきたいと思います。
  43. 町村信孝

    国務大臣町村信孝君) 外交というのはどこかで区切りができるということはなかなかないんだろうなと、こう思います。常に前任の方からの引継ぎであり、またどこかの時点でまた後任の方に引き継ぐということであろうと思っております。実際、約一年ちょっとたちましたが、これは十分できたということは非常に少ないという思いを持ちながら、しかし一生懸命これからもやらなきゃならないことはたくさんあると、こう思っております。  今委員がお触れになった国連改革、大失敗であるという評価も一方にはございますけれども、私どもは、もちろんそういった冷静な受け止めをしなきゃならない部分と同時に、やっぱりそうはいっても、今委員がお話をいただいたように、言わば戦後できた新しい、一九四五年にできた国際秩序を平和な外交という手段で変えようという難しい仕事に言わば初めてチャレンジをしているということであって、その一年目は必ずしもいい成果を上げたとは言わないけれども、大きなモーメンタムを生むことができたという意味での意味はあったと、こう思います。  したがって、引き続きこれも努力をしていかなければいけないなどなど、やるべき課題、日中間、日韓、日ロ、北朝鮮の問題、あるいは拉致の問題等、解決しなきゃならない、取り組まなきゃならない問題が本当に数多くあるなという思いが強くしておりまして、引き続き最大限の努力をしてまいりたいと思っております。
  44. 山谷えり子

    山谷えり子君 引き続き、本当にお働きをお願いしたいと思います。  最後に、遺棄化学兵器、この席でも私、以前質問いたしましたけれども、これは経済援助ではないから明細書も含めてきちんと計画、いろんな行動を、やり取りすべきだということを指摘させていただきまして、町村外務大臣もそのとおりだというふうに御答弁くださいました。  現在、十一日から十五日まで内閣府の江利川事務次官が中国に行っていらっしゃると思いますけれども、どのようなことをなさっていらっしゃるんでしょうか。
  45. 高松明

    政府参考人高松明君) お答え申し上げます。  現在、委員指摘のとおり、江利川内閣府事務次官が十一日から十五日までの日程で中華人民共和国、北京及び吉林省のハルバ嶺の両地を訪問しております。訪問の目的は、遺棄化学兵器処理事業に関しまして中国側と協議を行い、事業促進を図り、併せて事業の中核となりますハルバ嶺の現地を視察することでございます。  御承知のとおり、ハルバ嶺におきましては大規模な遺棄化学兵器の処理関連施設を建設する、そのために日中間でいろいろな建設方法及び施設運営体制等につきまして安全面、環境面に配慮してこれを行うというために協議、調整を行ってきております。今回、次官の訪中に際しましても、遺棄化学兵器処理事業の促進を図るために、こういった問題につきまして中国側の要人と協議する予定でございます。
  46. 林芳正

    委員長林芳正君) 時間でございます。
  47. 山谷えり子

    山谷えり子君 しっかりした協議をお願いしたいと思います。  ありがとうございました。
  48. 白眞勲

    ○白眞勲君 民主党・新緑風会の白眞勲でございます。  まず、万国郵便条約の内容に関しましてちょっと御質問させていただきたいと思うんですけれども、この条約第七条三項の点字郵便物についてお聞きいたします。  最終議定書を見ますと、この最終議定書の第三条で、日本ドイツアメリカとともに点字郵便物に適用している特別業務に関する料金を徴収することができるというふうに書いているわけでして、これは世界ほとんどの国々がこの条約、批准しているわけですが、この九か国だけこの点字郵便物については例外規定が入っているということで、これ、どういう意味なんでしょうか。
  49. 鈴木康雄

    政府参考人鈴木康雄君) お答え申し上げます。  我が国万国郵便条約の今の御指摘の点に留保を付しておりますが、それは、速達あるいは書留といった特殊取扱いに係る郵便料金につきましては、特殊取扱いの基本的なサービスに付加される特別の扱いだということから、役務の提供に必要な費用を償うことを勘案して設定してきたものでございます。  このため、点字郵便物につきましても普通取扱いである郵便物の引受け、運送、配達は無料で提供いたしておりますが、特殊取扱いに係る料金は徴収することといたしまして、結果としまして、これまで我が国は点字郵便物の郵便料金免除の規定に対して留保を付してまいりました。  以上でございます。
  50. 白眞勲

    ○白眞勲君 以前から、この点字郵便物については速達や書留などは料金をもらっていなかったんでしょうか。
  51. 鈴木康雄

    政府参考人鈴木康雄君) お答えをいたします。  速達や書留については以前から料金をいただいております。通常の郵便物についてのみ、通常の取扱いについてのみ無料といたしております。  以上でございます。
  52. 白眞勲

    ○白眞勲君 これ、例外規定いろいろ何か並んでわあっと書いてあるんですけれども、例えばこの第六項のところには「イラン・イスラム共和国の郵政庁は、イスラム教の原理に反する物品を包有する通常郵便物を引き受けない。」というふうにも書いてありまして、これなんか宗教的な理由なんでそうなんだろうなというふうにも理解ができるわけなんですけれども、今、町村外務大臣からも最初のお話でもありましたように、積極的な郵便関連に関する条約等については貢献をしてきたというふうに胸を張って言えるということだったんであるならば、こういうこの点字郵便物みたいないわゆる視覚障害者に対して何となく日本て冷淡だよねという感じ印象を与えかねないような感じなんですけれども、どうでしょうかね、こういった例外規定で日本アメリカが入んない、ない方がベストだと思うんですけれどもね、外務大臣、どうお考えでしょうか。
  53. 町村信孝

    国務大臣町村信孝君) 通常の点字郵便物は無料であるということであって、それ以外の今速達等ですか、書留もこれは特殊な取扱いだからこれはどうしても付加的な役務が要るので一定の費用はいただくと、こういうことであって、これはもう根っこから全部点字郵便物有料だというんだったらこれは確かにいかにも国際的な流れとは違うなということなんだろうけれども、この部分についてはまあやむを得ないのかなという気もしますが、しかし、どれだけの部数があるのかちょっと私もよく知りません、事実関係をよく知りませんが、もし余り部数が多くないのならば速達、書留ぐらいは無料にしてもいいような個人的には気がいたしますが、余り個人の感想を言ってはいけないんでしょうから、ここは主管官庁である総務省の方でよくお考えをいただければと、こう思っております。
  54. 白眞勲

    ○白眞勲君 是非、個人の固まりが内閣でもあるわけですし、また是非そういう観点からも外務大臣とかほかの内閣の皆さんとよく相談していただきまして、この実情を把握した上で、こういう例外規定、なるべくないような方がより胸を張れる日本外交ができるんではないのかなというふうに思いますので、よろしくお願いしたいというふうに思います。  それと、現在、郵政民営化関連法案が当院で審議中でありますけれども、この条約等が批准されることに当たり、何か不都合な点とか今後新たに例外規定を設けなければならないような部分というのはあるんでしょうか。
  55. 伊東敏朗

    政府参考人伊東敏朗君) お答えいたします。  民営化に際しまして、郵便事業を引き続き行う郵便事業株式会社につきましては、現行の郵便法がそのまま適用されますので、現行郵便法につきましては万国郵便条約において様々な規定をそのまま適用するということになりますから、特に民営化に際して何かが支障になるということは考えておりません。
  56. 白眞勲

    ○白眞勲君 今もおっしゃいましたように、この民営化に際してという部分が私はポイントだと思うんですね。民間企業というのは、やはりただはないわけなんですよね。結局、民間企業になったら、やはりこれは収益の考え方からすればこういったものについても当然料金をいただくのが普通一般的な考え方であるというふうに思うんですけれども、その辺についてもう一度お話を聞きたいと思うんですけれども、いかがでしょうか。
  57. 伊東敏朗

    政府参考人伊東敏朗君) お答えいたします。  民営化につきましては、委員指摘のとおり、経営の自由度を与えて経営の判断によって業務を行っていただくということになるわけでございますが、この郵便事業会社につきましては郵便のユニバーサルサービス義務を負うという公共的な部分も併せて引き続き行うことになっておりますので、例えばその一つとして条約の履行を果たさなければいけないということもございます。  したがいまして、国内の例で申し上げれば、現在国内の盲人用の郵便物につきましても無料になっているわけでございますが、これも引き続き新たにできます郵便事業会社につきましては郵便法によりまして義務付けすることにしていますので、そういったことが民営化によりましても履行をできるように私どもとしては経営の自由度を与えることによって様々な制度設計をしておりまして、民営化されましても郵便事業会社が果たすべき義務というものは十分民営化会社として履行できるものと考えているところでございます。
  58. 白眞勲

    ○白眞勲君 その経営の自由度というところがポイントなんですね。経営の自由度をしてしまうと、逆にこういった問題について、こういった件について有料化になっていくと。だって、だれかが負担しているわけですから、その会社として。やはり負担とする部分の金額が発生するという部分、これは否めないわけですから、その辺については十分に皆さんでよく検討をしていただきたいというふうにお願い申し上げます。  内閣官房と郵政省の方、もういいです。ありがとうございました。  続きまして、北朝鮮の核開発関連についての第四回六者会合第二次会合に関連した御質問をさせていただきたいと思っております。  先般の会合において共同声明が発表された後も何か非常にぎくしゃくしている感じは私としては否めないわけなんですね。また、今度十一月にまたこの六者会合が開かれるということなんですけれども、何かずるずる感、ずるずるずるずる会合が長引いているという感じもしているわけなんですね。  私たちが一番やっぱり懸念しているのは、そういった観点の中で核開発がどんどん進んでいくんではないか、あるいはほかのやはりいろいろ軍事的な技術も開発されていくんではないかという懸念があるんですけれども防衛庁としまして今の北朝鮮の戦力と今後のこの核開発関連についての動向についてちょっとお聞きしたいんですけれども
  59. 大野功統

    国務大臣大野功統君) 私、まず北朝鮮という国を見た場合に、あれだけ深刻な経済問題に直面している、あれだけ深刻な食料不足に陥っている。にもかかわらず、なぜ、なぜ核の問題とか軍事力の問題とかもっともっと透明にしていかないんだろうか。もっともっと国際社会のもう照明の当たる舞台に出てきて、私のところはこうなっていますということを明らかにしていくべきだと思っております。そういう不透明な中での話ですが、やはり私はまず第一に申し上げたいのは、北朝鮮という国をやはり透明な国にしていく努力日本も、そして六者協議でも、国際的にもやっていかなきゃいけないな、その中で核問題等、あるいは拉致問題等を解決していかなきゃいけないなと、こんな思いでございます。  したがいまして、不透明な中で申し上げる実情でございますから、あるいは不正確な点もあるかもしれません。しかし、いろんな情報を総合して申し上げたいと思います。  第一に、総人口二千二百万人でありますのに約五%が軍人でございます。日本に直しますと恐らく、自衛隊は今二十五万人でありますけれども、六百万人ぐらいの自衛隊になると、こういう計算になってしまいます。総兵力は百十万人。地上兵力の三分の二はDMZ沿いに展開している。そういうことで、国家予算に占める防衛費の割合、軍事費の割合というのも一六%程度あるんじゃないか。しかし、これも実は不透明なものですから、もっともっとあるのではないかと、こういうふうに言われております。  ミサイル一つ取ってみましても、例えばノドンという、射程千三百キロですから日本の全域をほとんど射程内に収めている、収めることができるわけですけれども、相当程度配備が進んでいるんじゃないか。テポドン1も開発を進めているし、それからテポドン2も開発中である、こういうこと、情報でございます。  核兵器問題でございますけれども、必ずしも断定的なことは申し上げるわけにはいきません。しかしながら、全般的なことから申し上げますと、既に核兵器計画は相当程度進んでいる可能性が高い、このように国際的には見ておるところでございます。    〔委員長退席、理事浅野勝人君着席〕  北朝鮮のこうした軍事的な動きというのは、やはり朝鮮半島の緊張感を非常に高めているわけでございまして、我が国を含む東アジア全域の安全保障にとりまして私は重大な不安定要因になっている、このように申し上げたいと思います。
  60. 白眞勲

    ○白眞勲君 申し上げたいのは、この六者会合がこれだけずるずる長引いていっちゃった場合に北朝鮮どうなるんだろうかということを聞きたいんですけれども、ちょっとその辺について御答弁いただきたいと思います。
  61. 町村信孝

    国務大臣町村信孝君) 六か国協議、一回の中断を挟んで先般の一応合意というものができました。これは委員御承知のとおり、この共同声明は言わば出口といいましょうか、到達すべき目標を示したものでありまして、これはこれで大変意味があったと、こう思っております。  次回、十一月上旬ぐらいから始まると、こういうことでまだ具体化しておりませんが、そのころ始まるんだろうと思います。始めなきゃならないと思いますが、そこで具体的に、核兵器あるいは既存の核計画の放棄についてどういう手順でそれをやるのか、あるいはIAEAを含む信頼の置ける国際的な検証体制をどう構築するのか、ここの議論が一番重要でありますし、かつまた、ある意味では大変論議を呼ぶ難しい部分なんだろうと、こう思います。そういう意味で、次回の議論も相当激しいものになるのかなと、こう思っております。  私どもとしては、この議論を、例えば前回もいろいろな状況から事実上ずっと中断状態が続いておりまして、時間がたつということは北朝鮮にとって、その間にいろいろな核関連活動ができるという意味で時間は彼らにとって有利に働くという認識を持っておりますから、私どももただ漫然といたずらとこの会議を重ねていればいいという思いではありません。どこかの時期、時点で区切りを付けて一歩一歩確実に進んでいくということでなければならない、そういう六か国協議の場にしなければいけないと、こう考えているところでありまして、その点について、北朝鮮の意図は別にして、他の五か国はいずれも同じ思いでいるというふうに私は理解をしております。
  62. 白眞勲

    ○白眞勲君 今回の六者会合の終わった翌日に、北朝鮮が軽水炉は先なんだと。要するに、どっちが、要するに核の放棄が先なのか軽水炉の提供が先なのか、そういった問題が出てきているわけでして、このどっちか、先かという問題が今回も出てきているという部分があるかと思うんですけれども大臣は、これはもちろん核の放棄が先だという認識でよろしいんですよね。
  63. 町村信孝

    国務大臣町村信孝君) もう全くそのとおりでありまして、これはもう議論の余地がないと、こう考えております。そのことは最後の日の閉幕式のときに我が方、佐々江代表からもそのことは明確に発言をしておりますし、全く同じ趣旨の発言がアメリカからも韓国の代表からもそれぞれあったということでございまして、ただ、翌日、北朝鮮がまたそれを覆すようなことを言ったというのは、正にもう次回会合の言わば実質的な協議といいましょうかね、やり取りというものがもう始まったんだなということであって、さほどそういう意味で驚くには当たらない。  この適当な時期に軽水炉提供問題について議論を行うというのは、正にそうした核の廃棄等々がすべて行われた後、適当な時期に協議する可能性を示したものと、こういうことであります。
  64. 白眞勲

    ○白眞勲君 その今正に大臣がおっしゃった、その適当な時期にという文章が入ったがためにその部分が適当になっちゃった部分があるんじゃないのかなというふうにも思えなくはないんですけれども、今大臣がおっしゃいましたように、かなり厳しい議論というのがこの十一月の六者協議の再開では予想されると思うんですけれども大臣はそれに対してどのような臨むつもりで、相当厳しい形でやっていくつもりであるんでしょうかどうか、聞いていきたいと思います。
  65. 町村信孝

    国務大臣町村信孝君) これは、もとより核のない朝鮮半島という大きな命題に向かっての具体的な北朝鮮に対しての様々な措置を求めていくということでありますから、この点についてあいまいさを残すようなことがあってはならない。まあ現実に、こういう関係国の合意を得るために文章上は多少どちらの顔も立つような文章を作らざるを得ないというある種の外交技術といったようなものもあるんだろうと思いますが、次回からの話というのは、そういう技術の問題を乗り越えて具体的にどういう順序で検証していくのかという手順等々を先ほど申し上げたようなことでしっかりと決めなければならないわけですから、それだけに、前回以上に厳しい交渉になると思いますが、しっかりとした姿勢で臨んでいかなければならない、そのために関係国の連携も密にしながらしっかりと取り組んでいかなければいけない、このように考えます。
  66. 白眞勲

    ○白眞勲君 やはり、もう今も防衛庁長官からもお話もあったように、相当にやっぱり核開発も含めた形でのまあどんどんごねてどんどん進んでいっちゃうという部分がありますので、今回で、十一月で終わりにしたいという気持ちは大臣にもちろんあるかと思うんですけれども、その辺の御決意はいかがですか。
  67. 町村信孝

    国務大臣町村信孝君) 先ほど申し上げたように、一刻も早くこの問題に、解決をするための着実なステップを歩んでいかなきゃいけないという思いでございますから、次回会合、非常に重要な具体的なことを決める、そういう会議にしなければいけないと、こう思っております。
  68. 白眞勲

    ○白眞勲君 以前、韓国側の軽水炉の見返りとしての重大な提案ということで提案があったわけですけれども、その試算が韓国側の統一大臣の方からこの前発表になったんですが、一兆二千億円掛かると。これは、韓国側の負担分が一兆二千億円だという、これもう膨大な金額になるわけなんですね。特に、韓国の国家予算等を考えても相当なこれは韓国側の負担ということがニュースとして報じられたわけですけれども。やはり当然、この後、合意した後は、その軽水炉、それから今後の日程等において相当なこの五か国の金銭的な部分というのも出てくるような感じがするんですけれども日本はその分担をする場合の試算というのはしているんでしょうか。
  69. 浅野勝人

    ○理事(浅野勝人君) どなたですか。挙手をして。
  70. 梅田邦夫

    政府参考人梅田邦夫君) お答えいたします。  現時点ではそういう試算は何ら行っておりません。また、行える状況にないというのも実態でございます。
  71. 白眞勲

    ○白眞勲君 何でですか、何で実態がないんですか。
  72. 梅田邦夫

    政府参考人梅田邦夫君) お答えいたします。  具体的にどういう支援をするとかというところまでは話が行っておらないということでございます。
  73. 白眞勲

    ○白眞勲君 じゃ、何で韓国側はこういう試算を発表しているんですか。
  74. 梅田邦夫

    政府参考人梅田邦夫君) 韓国側は韓国側独自に、自分たちが行うであろう電力の支援でございますけれども、それについて発表されたというふうに承知しております。
  75. 白眞勲

    ○白眞勲君 その際に、韓国側は分担という形を取っているわけでして、ほかの国々も分担をしてくれているという前提の下にその試算を発表しているわけなんですね。ですから、その件について日本側は全く試算をしていないというと、これは全く韓国側が独自にやったということで理解してよろしいんですね。
  76. 町村信孝

    国務大臣町村信孝君) これは、韓国側が日本あるいはアメリカ等の関係国と相談をして出したものではございません。韓国が自らの責任において試算をし、そしてそれを公表したというものでございます。
  77. 白眞勲

    ○白眞勲君 で、ちょっとさきに戻るんですけれども、今回の会合において、六者会合において、日朝間の政府対話の再開について合意したということですけれども、その日程は決まりましたでしょうか。
  78. 町村信孝

    国務大臣町村信孝君) 日程はまだ決まっておりません。
  79. 白眞勲

    ○白眞勲君 何か北朝鮮側で再開に条件を付けたりしているんでしょうか。
  80. 町村信孝

    国務大臣町村信孝君) 今、正にいろいろなやり取りをやっている最中でございますので、ちょっとその詳細を申し上げるのは今の時点ではお許しをいただきたいと、こう思っております。
  81. 白眞勲

    ○白眞勲君 当然この会合においては拉致の問題についても話合いが行われるということは大臣もいろいろな席でお話しされているわけなんですけれども、横田めぐみさんのものとして北朝鮮側が出した遺骨が別人だったと日本側が断定したことについて、でっち上げだとか返せとまで北朝鮮側は主張しているわけですね。  これについて、私自身は非常にとんでもない話だというふうに思っているわけですし、まあ恐らく国民もみんな憤っているんではないかなというふうに思っているんですけれども大臣も同じお気持ちですよね。
  82. 町村信孝

    国務大臣町村信孝君) 本件はこの委員会においてもあるいは他の委員会においても様々な御議論をいただいていることでございまして、その折にも累次述べてまいりましたけれども、私ども日本の科学技術の水準、世界一だとこう思っておりまして、そういう意味でこの鑑定されたものというものについて一〇〇%自信を持っているわけでございます。  したがって、北朝鮮が鑑定結果についていろいろ言っておることは承知をしておりますが、日本政府はこれは私どもの主張は一〇〇%正しいし、また信頼すべきものであるということについて何らの疑問を持っておりません。したがって、北朝鮮の意見には全くこれは同意するとか、あるいは彼らの意見を耳をかすという以前の問題として、私どもの鑑定の結果というものは正しいものと、こう確信をしているところであります。
  83. 白眞勲

    ○白眞勲君 仮にもしこの会合が十月中に開かれなかった場合、今日ももう十三日でもあるわけでして、これから予定を決めてと、いまだにまだ日程は決まっていないとなりますと、例えばこれが十一月の六者会合とバッティングをする可能性も出てくるということもあるかとは思うんですけれども、そういった際にはその六者会合でもやはり取り上げるわけですよね。
  84. 町村信孝

    国務大臣町村信孝君) これは九月十九日の共同声明に至るまでの間、数回、日朝間での話合いが行われ、そしてその場の合意としてこの共同声明の中にも日朝間の国交回復、最終的なですね、あるいは米朝間の国交回復というようなことも触れているわけでございます。したがって、これは今や二国間だけの問題ではなくて、六か国すべて共通の認識で、この日朝間の平壌宣言に従って国交正常化をするための措置を取ると、諸懸案を解決しながらということになっておるわけであります。  したがって、当然私どもは無条件でこの日朝間の話合いが十月中に行われるものと、こう思っていたわけでございますが、現実そうなっていない実態は先ほどお話ししたとおりであります。十月中に行われるのが当然自然な姿だと、こう私も思っていたところ、全く腑に落ちないわけでございますが、現実十一月に入って六者協議が開かれるまでの間にもし開かれないということになればです、なれば、それはまた再びこの六者協議の場でどうしてこういうことなのかということは改めて話合いをしなければいけないと、こう思っております。
  85. 白眞勲

    ○白眞勲君 まあ開かれない、あるいは開かれたとしても、やはり北朝鮮ののらりくらりの対応であると、いわゆる我々からとってみると非常に誠意がない対応であるということが判断された場合には、やはり何らかの措置というものをとるそろそろ時期が来ているんではないんだろうかというふうに私は思うわけなんですけれども、細田官房長官が、以前、去年の日朝実務者協議、十一月の九日から十四日まででしたっけ、開かれてたときから比べもう一年ぐらいになるんですが、そのときの、昨年の暮れに、この日朝実務者協議に関する、横田めぐみさんのものとして北朝鮮側が出した遺骨が日本側の鑑定で別人だったということについて、北朝鮮側に対してですが、迅速かつ誠意ある対応をしない場合、日本政府として厳しい対応を取らざるを得ないとの方針を示しているわけですね。  この中の厳しい対応というのは、これ、万景峰号を止めるとか、そういったことも視野に置いているということで考えてよろしいですよね。
  86. 町村信孝

    国務大臣町村信孝君) 具体に何を、どういう措置をとるのかということにつきましては、特定に万景峰号云々ということを示唆をしたわけではないということであります。  そういう意味で、しかし、ちょっと私、今正確な法律の名前をちょっと失念をいたしましたが、あのような、油濁に関しての船の証明が要る等々の、そういう幾つかの措置は既にとってきたつもりであります。  ただ、より直截的な、いわゆる言われているところの制裁という形のものはまだ取っていないわけでございまして、これは、一つには六者協議の話が正に進行しようとしている、その前提条件づくりで今各国が努力をしている折でもあるということから、その点については、対話と圧力という基本的な考え方にのっとっていたわけでありますけれども、そのことを理由にまた六者協議が再開をされないということになってしまっては、彼らに言わば六者協議に応じないという絶好の口実を与えてしまうということも率直に言って考えまして、私どもとしては制裁という措置は今までのところとってこなかったわけであります。  しかし、今後につきましては、引き続きどういうタイミングで、どのような方法で圧力を掛けることがこの拉致問題の解決にとって最も望ましいかということを常に考えながら適切な対応を取っていきたいと、かように考えているところであります。
  87. 白眞勲

    ○白眞勲君 私が以前、万景峰92号に対する政府の対応等に関する質問をしたときに、この質問の答弁書に、この「「厳しい対応」とは、北朝鮮から納得のいく対応がない場合に、北朝鮮に対してそのような対応を促すために我が国としてとる対応を指す。この「厳しい対応」には、当然、特定船舶の入港の禁止に関する特別措置法に基づく入港禁止の実施も含まれ得るが、」という内容のことが書いてある。これは、恐らく万景峰号もその中に入るということだとは私は思うわけなんですね。  その迅速という、またこの言葉が気になるわけでして、細田官房長官は去年の暮れにこの言葉を、迅速に、迅速かつ誠意ある対応をしない場合は厳しい対応を取らざるを得ないと言っている。もう一年たっているにもかかわらず、いまだもってほとんど交渉らしい交渉は行われていないということが私は言えると思うので、やはりこの迅速という意味合いが、もうそろそろ迅速じゃないんじゃないのかなと。幾ら私たち我慢に我慢を重ねて、もう迅速とは言えないんではないか、そういうふうにも思うんですけれども大臣、どうでしょうか、お考えは。
  88. 町村信孝

    国務大臣町村信孝君) 常識的な日本語の語感としては委員のおっしゃることは誠によく分かります。迅速というのは何か月であるかという、別に具体的な期間を示したものではそれはないわけでございますが、明らかにそれは、迅速という言葉の意味するところからすれば明らかにそれは時間がたち過ぎているという御指摘であれば、それはそのとおりだと私も思っております。  ただ、現実にこういう形で六者会合が開かれ、その中でこの日朝間の協議が位置付けられ、まだ、今のところまだ決まっておりませんが、日朝間の話合いもまた再開されようかという状態でございますから、また去年の十二月とはまた違った次元の話になってきているというふうに思いますので、今後日朝間でしっかりとした協議を行って、この拉致問題の本当に迅速なる解決に全力を挙げていかなければいけないと、かように考えております。
  89. 白眞勲

    ○白眞勲君 是非そろそろ、この万景峰号一隻ぐらいは止めることも考えて、やはりそういった中から、やはり小泉総理が前々からおっしゃっている、今も大臣からもありましたように、対話と圧力ということがそれで始まるんではないんだろうかというふうに私も思いますし、また、小泉総理は、最近は郵政民営化、郵政民営化しか言わないけど、以前は拉致問題解決なくして国交正常化はあり得ないという言葉をいつもおっしゃっていました。最近言わなくなっちゃったのは、どうしてんだろうなというふうに私は思っているんですけれども、是非そういう観点から、そういうやはり、対話と圧力のやはり内容を責任ある政府のお立場の方から言いつつ、この問題の解決の決意というものをお示しいただきたいというふうに思っております。  そういう中で、ちょっとこれは質問の通告はしてませんけれども、昨日報道で、曽我ひとみさんの御主人のジェンキンスさんがほかの国々から拉致された人々の件についてお話しされまして、タイとかの女性なんかもいたというような証言があったわけなんですけれども、これについて、そういう国々との間で今連絡は取り合っているんでしょうか。
  90. 梅田邦夫

    政府参考人梅田邦夫君) お答えいたします。    〔理事浅野勝人君退席、委員長着席〕  ジェンキンスさんが言及されております方々の出身国に対しましては、外務省の方、外交ルートを通じて連絡をさせていただいております。
  91. 白眞勲

    ○白眞勲君 今後正式な要請といいますか、一緒にこの拉致問題の解決に尽くしていきましょうみたいなことが先方の国々から日本政府にあった場合に、大臣としてはどういうふうに対応される予定でしょうか。
  92. 町村信孝

    国務大臣町村信孝君) 恐縮ですが、私、そのジェンキンスさんのテレビはちょっと見ておりませんので詳細分かりませんが、もし委員のおっしゃるようなことであるならば、当然同じ立場に立つ国々として協調して北朝鮮に臨んでいくという姿勢を取ることは当然のことであろうと思います。
  93. 白眞勲

    ○白眞勲君 私ども民主党は北朝鮮人権侵害救済法案という法案を提出、前国会提出もしております。やはり世界的にも今非常に注目されつつある、されている問題でもあるということで、これは国際社会との連携の中で是非拉致問題の解決に全力を尽くしていただきたい、そういうふうに私からもお願いをしたいというふうに思っております。  続きまして、スマトラ沖の大地震及びインド洋津波被害に対する二国間無償資金協力に関する質問主意書を私、提出したんですけれども、それについてちょっと質問をさせていただきたいと思うんですけれども、インドネシア政府に対して行った無償資金協力の百四十六億円の金額について、この質問で私がいただいた答弁書によりますと、被害の状況等を勘案し、緊急に必要となる支援額としてこの百四十六億円は決定したものであるというふうに書いているんですけれども、私たち普通一般的に、私たち庶民の感覚からすると、この緊急というのは当面必要な緊急援助物資、例えば医療対策とか、そういう物資などが柱と理解しているんですけれども、それでよろしいんでしょうか。
  94. 佐藤重和

    政府参考人佐藤重和君) この百四十六億円の無償資金協力でございますが、正に先生お話がございましたように、被害の状況、深刻な被害の状況というものを受けまして、インドネシアでこうした災害の対策のために必要、緊急に必要な物資、あるいはいろいろなその施策を講ずるということのために必要な支援額ということで決定をいたしたものでございます。
  95. 白眞勲

    ○白眞勲君 ですから、私が申し上げているのは、その緊急というのは一体何ですかということなんです。どういったものを緊急というふうに言っているのかということを聞いているんです。
  96. 佐藤重和

    政府参考人佐藤重和君) これはもちろん緊急ということで、これは実際の支出につきましてはインドネシア政府側と、まあインドネシア政府側がこれをどういうふうに使いたいかということで、インドネシア政府側の意向を踏まえて決定をしていくということでございます。  当然、先ほど先生御指摘のございましたような当面すぐに必要となる医薬品とか物資の購入、こういったものは当然我々も想定をしていたわけでございますけれども、実際にインドネシア側との、インドネシア政府との話の過程の中では、実際の話としては、今、当面、私ども考えておりましたそうした物資の購入、これも一部ございますけれども、実際にはインドネシア政府側は希望をしてまいりましたのは、相当部分においてアチェの、まあこれも緊急といえば緊急でございますが、当面の復興でございますね、道路の復旧であるとかあるいは孤児院の復旧とか学校とか、そういった施設の復旧、こういったものについてこのお金を使いたいということで、そうした事業が現在のところ中心になっているということでございます。
  97. 白眞勲

    ○白眞勲君 今正に御答弁されたように、これ実際に一月十九日に百四十六億円をインドネシア政府に支払ったということですけれども、これだけ見ると、確かにああすごい、早くこれ支払ってくれたんだ、支払ったんだなという印象を得たんですけれども、実際、その六月三十日現在の残高が百四十五億五千万円、これ全然使ってないんですよ。九九・七%が使ってなくて、五千万円しか使ってないと。これ、結局、インドネシアの人たちに、例えばですけれども、十万円のお見舞金を差し上げますよと言っておきながら、実際に使っているのは三百円だったということですよね。ですから、これって一体、半年もたって五千万円しか使われてないというのはどういうことなんですか、これ緊急じゃないんじゃないですか。
  98. 佐藤重和

    政府参考人佐藤重和君) 先ほど私申し上げましたとおり、この使用、まあ使途でございますね、これについてはインドネシア側と、正にこの供与を決定して以降、直ちにインドネシア側と協議をして、こういった百四十六億円についてどういうものに使いたいかということを協議を進めてきたということでございます。  そういう意味では、私ども、恐らく、当面の緊急物資の購入といったことを相当想定をしていたわけでございますけれども、インドネシア側は恐らく、当時いろいろな各機関からの支援というものが入ってきたということもございまして、そういった緊急物資の購入についてはほかからの資金を利用、活用するということで、恐らくインドネシア側は、これは非常に大きなお金でございますので、当面のこのアチェの、まあそういう意味では緊急の復興でございますけれども、先ほど申し上げました道路の復旧とか学校の復旧、あるいは土地台帳の修復、あるいは医薬品の購入、保健所の再建、あるいは孤児院の再建、こういった事業にこれは使いたいということで、これはもうインドネシア側の意向を尊重してこういった形で進んでいるということでございます。  その過程で、こうした施設あるいは工事の事業につきましては、当然ながら調達、入札の手続等、もちろん案件を決めるまでの手続、あるいは調達、入札の手続ということ、それから業者を選定をして契約をして、それから施工に至るということで、実際にお金が出動されますのはその施工が相当部分進んでから、あるいは機材については機材のその供与が完了をいたしてからということになりますので、実際のそのお金の支出というのがまだ相当残っているということについては御指摘のとおりでございますが、実際に、じゃどういうことに使うかということについては、この百四十六億円について、ほぼ全額についてどういうことに使うかということは確定をいたしておるというのが現在の状況でございます。
  99. 白眞勲

    ○白眞勲君 支払口座という、これ日本にあるんですか。
  100. 佐藤重和

    政府参考人佐藤重和君) これは、インドネシア政府の口座が、日本の銀行にインドネシア政府が口座を開設をいたしているということでございます。
  101. 白眞勲

    ○白眞勲君 つまり、日本に本店がある銀行の日本の口座に入っているということですね。
  102. 佐藤重和

    政府参考人佐藤重和君) そのとおりでございます。
  103. 白眞勲

    ○白眞勲君 今おっしゃったように、ほぼ全額について使途が確定しているというふうに今おっしゃったわけなんですけれども、今皆様にお配り申し上げましたこの答弁書の資料一を見ていただくと、これ全部合わせても六億三千五百万かな、ぐらいのそういった、まあこのインドネシア・ルピーが一つありますので、ちょっと為替レートでちょっと変わっているんでしょうけれども、約六億三千五百万。そうすると、この百四十六億円の中のこれでも六億円じゃないですか。じゃ、残りはどういう状況なのか。それと同時に、その中で医薬品とか何かは含まれているんでしょうか。
  104. 佐藤重和

    政府参考人佐藤重和君) この資料につきましては、これは契約額、まあ契約が完了をいたしたものについて私ども順次公表をいたしているわけでございますが、この契約が完了をした額が六月三十日現在でこのような額ということでございます。現時点ではこれ以上かなり増えてきておりますが、これはあくまで契約が完了をいたした額ということで、そのほかの事業については、先ほど私申し上げましたが、大体そのプロジェクト、こういうことをやるということについてはインドネシア政府側と合意をしております。その上で、この業者の選定手続、これは通常は入札手続、一般競争入札ということで行いますが、それを公示をして、そして業者の選定を行って、そしてそうした業者と契約を行ってということで、その契約に至ったところでこの契約額というものが出てくるということでございまして、先ほど申し上げましたようないろいろな施設案件について、これからその業者の選定手続というものが行われるものがかなりまだ残っているということでございます。  それから、先ほどお話のございました医療関係、医薬品関係でございますが、これについてはこの六月三十日以降でございますが、既に契約を終了をいたしております。その後の、現在、私どもホームページの中で公開をいたしております。
  105. 白眞勲

    ○白眞勲君 その医薬品は幾らですか。
  106. 佐藤重和

    政府参考人佐藤重和君) 医薬品、医療器具の金額として、失礼いたしました、契約の概算額でございますが、全体で医薬品、医療器具で約五億円余り、五、六億円という数字でございます。
  107. 白眞勲

    ○白眞勲君 今のいろいろおっしゃっていくと、インドネシア側の要請によりということを何度も何度もお話をされているわけなんですけれども、JICAあるいはJICSがこの現地に調査へ行ったのはいつですか。
  108. 佐藤重和

    政府参考人佐藤重和君) これはこの支援、まああの津波の災害が発生をして早い段階でJICAが現地に行っていろいろな事情を調査をしておりますが、この案件を、まあ百四十六億円の無償資金協力ということを想定をしてこの支援を決定をしての調査ということでは、この支援を決定して速やかに調査を行っております。
  109. 白眞勲

    ○白眞勲君 そうしますと、そのときに五億円という数字は出てるわけですよね。
  110. 佐藤重和

    政府参考人佐藤重和君) 申し訳ございません。この医薬品そのものについて、申し上げたそのJICSなりの調査でどの時点でこの数字が出てきたかということについては、これはその額までその調査の時点で確定を必ずしもするということではなくて、どうしたニーズがあるか、どういう言わば機材、どういう物資、あるいはどういう施設について当面急いで支援のニーズがあるかということを調査をしたということでございまして、その時点で直ちに幾ら幾らという数字がその時点で出てくるということではございません。
  111. 白眞勲

    ○白眞勲君 じゃ、これいつ出たんですか、この五億円は。
  112. 佐藤重和

    政府参考人佐藤重和君) これ自体は、これは最終的に、具体的に例えば医薬品二百五十種類、医療器具約百十種類というようなことで具体的な品目を決定をいたしまして、その上で、最終的にはこれは業者との契約になるわけでございますが、業者との契約で確定をいたしましたのが、これは七月の、契約自体は七月の七日でございます。
  113. 白眞勲

    ○白眞勲君 医薬品って、これ町村外務大臣も早いうちにこの被害地域、御視察されているわけですよね。非常にこれ緊急物資ですよね、医薬品というのはね。それを何でこんなのんびりやられているんですか。
  114. 佐藤重和

    政府参考人佐藤重和君) その点につきましては、私どもも恐らく、先ほど冒頭申し上げましたけれども、この支援を決定をいたしまして、恐らくこれは、医薬品のニーズというのは間違いなくあるということで、これはインドネシア側からかなり早い段階でそうした要望が出てくるであろうということは私どもも想定をいたしておりました。ただ、現実の問題としては、これは、これも先ほどの先生のお話だとインドネシア側と協議とばかりおっしゃると言われるかもしれませんけれども、これは、インドネシア政府の中でのその調整の過程というものは恐らくいろいろ複雑なものがあったんだろうと思いますけれども、これは早い段階でこの医薬品についてこれだけ是非支援をしてほしいという形で先方からの要請が出てこなかったということで、その後、インドネシア政府内でいろいろな調整を経た上でこういった要請が出てきたというのが現実でございます。
  115. 白眞勲

    ○白眞勲君 資料の、お手元の資料の二の一、二の二を見ていただきたいと思うんですけれども、これが業者の募集の公告ですよね。これ、間違いないですね。
  116. 佐藤重和

    政府参考人佐藤重和君) 間違いございません。
  117. 白眞勲

    ○白眞勲君 これを見ますと、予想される製品カテゴリーとして、これ、インドネシア政府はということで、このサービスを調整するためにということで、もうここに衛生用品とか医薬品とか、これ書いてあるじゃないですか。これ二月一日ですよね。それでいて何でこんなに掛かるんですか。今、インドネシア政府から今要請がなかったからこういうことがなかったんだということを言っていらっしゃいますけれども、ここを見ると、これちゃんと書いてあるじゃないですか。ですから、これについてどうなんですか、これは。
  118. 佐藤重和

    政府参考人佐藤重和君) 正にここに書いてございますのは、支援を決定をいたしまして、その後、物資あるいはサービスの購入手続を進めるに当たりまして予想される必要な物資あるいはサービスということを、その時点で、支援を決定をいたしました時点で言わば想定、予想をしてこうしたカテゴリーを示し、関係の業者にこういった公示を行ったということでございまして、実際にこうした分野について具体的な割り振り、インドネシアの機関内で具体的な割り振りをするのにこれは恐らく時間が掛かったということであろうと思われます。
  119. 白眞勲

    ○白眞勲君 これは日本の、あれですよね、無償資金援助であり、もちろんそれはインドネシア政府が使ってくださいよということで出したにしても、今おっしゃった中に、例えば銀行の預金口座にしても、これはJICSさんだかがこれはサインをしなければ出せないわけですよね。そういうことがもう答弁書で出ているわけですね。  そういった面でいうと、相当にこれについて、やはり強力にこれを推し進めるべきものだったんじゃないんだろうかと。特に、半年も、医薬品、食料品がここに出ているにもかかわらず、半年以上ですね、この契約をしたのが七月ですよ。で、これ半年以上ほっぽり投げているということ自体が、私はこれは、ちょっと言っちゃ悪いけれども、少しのんびり、のんびりし過ぎているんではないかというふうに、のの後ににょろにょろを付けてもらいたいというぐらいの、のんびりしているんではないかというふうに思いまして。本当に、現地の人たちは今も大変な思いをされているわけですよ。ですから、そういった面で、これについてきちっとしたやはり対応というのをすべきではないんだろうかというふうに私は思うんですけれども大臣、ちょっとどうですか。
  120. 町村信孝

    国務大臣町村信孝君) この問題につきましては、私自身、先方外務大臣とも話をいたしました。どうしてこんなに時間掛かるんだねという話を実際いたしたこともあります。あれはたしかインドネシア大統領が日本に来られたときに先方外務大臣も一緒に来られまして、五月か六月だったかな、ちょっと済みませんが、問題提起をいたしました。また、日本の現地にいる大使に直接、私自身電話をしたりして、あるいは大使会議等で会ったり、あるいは実際に一月上旬インドネシアへ行った折なども、とにかくこれは早く実行しなければ何のための緊急無償か分からないという話もいたしました。  私の記憶が正しければ、たしかインドネシアでこの問題を担当する役所、政府機関ができたのが三月の下旬だったと思うんです。何でこんなに時間掛かるのと、そのこと自体ですら私もう大変不思議に思ったことでありました。大分ユドヨノ大統領自身も強力に引っ張っていって、それでもあの津波の、被災されてから、あれが十二月二十六日のことですから、そのしかるべき担当部署ができる、あるいは新しい役所の機構ができるのに二、三か月ぐらい掛かっているという、このこと自体の遅さといいましょうか、これは正直言って日本人の感覚からするととても信じられないわけでありますが、まあそういう国柄なのかなという思いもいたしました。  いずれにしても、今着々と進んでおりますし、供与額のほぼ全額の使途が確定をしたということにもなってきております。そして、まあしかし、これもどんどんどんどん支払えばいいかというと、やっぱりこれ、物事にはやっぱり手順があり、決められた手順をまたすっ飛ばすとそれはそれでまた大きな問題になりますから、どうしても契約手続、公募をする、入札をするという手順も掛かるわけでありまして、これらを全部飛ばしてぽんぽんと随契でどんどんやっていけばそれはいいのかもしれないが、それはそれでまた逆の問題が起きるかもしれないということで、率直に言って時間が随分掛かるなという思いが最初からしておりましたし、できるだけ早くやろうと言いながら今日まで時間が掛かっているのは残念な思いもいたしますが、まあしかし、あれだけ大きな被害があり、あれだけ被害が多岐にわたっているときに各般にわたってきちんとした対応をしていくには、ある意味ではやむを得ない面もあるのかなという気持ちもいたしております。
  121. 白眞勲

    ○白眞勲君 資料の三の一、三の二、三の三を見ていただきたいと思うんですけれども、これはジャカルタの日本大使館の広報文化部のシミズアヤコさんが出した文書ですね。
  122. 佐藤重和

    政府参考人佐藤重和君) そのとおりでございます。
  123. 白眞勲

    ○白眞勲君 この読者、新聞の読者が、まあ、このことについて非常に誠実にお答えをされていると、そのこと自体は私は評価すべき部分があると思うんですけれども、ただ、文書の内容を見ていると、これ緊急という言葉が、何かその人は持っているのかなと。何か無償資金援助のことを書いているんじゃないかな。十三のプロジェクトが何とかと、準備に携わってきましたとか、もうちょっとこの文書の中に緊急性があるんだよということを御理解いただくような、何か国会答弁みたいな文書を書いてきていて、まあしようがないのかもしれないけれども、もうちょっとそこに気持ちを込めて書くべきだったんじゃないのかなというふうに私は思っております。  それで、ちょっとまた資料一に戻るんですけれども、この八番のラジオ局向け事務所用家具と、一体何ですか、これ。
  124. 佐藤重和

    政府参考人佐藤重和君) これはアチェにおいて、今回の津波被害の中で一つ、いろいろな施設が破壊をされてしまったわけでございますが、その中でラジオ局、放送局が完全に破壊をされたということでございまして、そうしたアチェの市民にとって非常に、これも正に緊急に必要、復旧が必要な施設ということで、この放送局の復旧ということを今回のその緊急無償の中でやろうということでございます。その局の中の施設の事務用品ということでございます。
  125. 白眞勲

    ○白眞勲君 これは、業者の公告をファクスといって書いてあるんですけれども、ファクスでどうやって業者の公告の募集をするんですか。電話帳でも見て何かファクス、この人、家具屋さんの電話帳でも見て送ったんですか。どういう意味なんですか、このファクスによる業者募集って。
  126. 佐藤重和

    政府参考人佐藤重和君) これは正に、通常ですと、ほかの車両とか建設機械といったものについては一般競争入札ということで、日本、海外を含めて競争入札に出すということでございますが、これは家具ということでございまして、非常に規模も小さいということで、恐らくこれはインドネシア国内での調達を基本的に想定をしてということでございまして、恐らくそうした関係の業者に、この場合は恐らく家具業者ということになるんだろうと思いますが、そうした業者にファクスで案内を出したということであろうと思いますので、ちょっとその辺はほかの機材の調達とは公告媒体、方法が違っているということでございます。
  127. 白眞勲

    ○白眞勲君 このファクスによる業者募集、何枚ファクス出したんですか、それでは。
  128. 佐藤重和

    政府参考人佐藤重和君) 十一社に対してファクスを発出したということでございます。
  129. 白眞勲

    ○白眞勲君 インドネシアの家具屋さんて十一社しかないんですか。
  130. 佐藤重和

    政府参考人佐藤重和君) 私もインドネシアにおりましたけれども、大手の業者ということでは恐らくある程度限られてということで、主要な業者には網羅して出したものと思われます。
  131. 白眞勲

    ○白眞勲君 何か極めてよく分からないんですね。  これは、ほかはみんなホームページとか新聞を使ってやっていると、業者の募集でね。これ、関心を示した業者をまず募集するということは答弁書にも書かれたわけですね。これ、募集するには当然これを公に出すと、それに対してこの審査をするという手順をするのが普通なのに、何でこちらから最初から選んじゃうと。じゃ、選んじゃったその基準についてだって、これは逆に言うと不明朗になりかねないと思うんですけれども、その辺はいかがでしょうか。
  132. 佐藤重和

    政府参考人佐藤重和君) 一般的に、もちろんそうした点、透明性、公正性ということをきちっと確保をするというのがこうした調達については重要なポイントでございますし、これは常に留意をしているところでございます。  本件についても当然そうした点は十分に考慮をした上ということだということでございますが、本案件については、この件、この事務所用家具の部分につきましては、先ほど申し上げましたように、比較的その規模が小さい、国内で調達が可能なものということで、こういった小規模なものについてはこうした調達方法、公告の方法を取るということは、いろいろなこういった調達案件については一般的にも行われているところでございます。
  133. 白眞勲

    ○白眞勲君 もう一つ、またちょっとまたさきに戻っちゃってあれなんですけれども、シミズアヤコさんの出したこの文章の中のムラボーとチャラン間の道路の改善という言葉が、この途中、真ん中ぐらいに書いてあるんですけれども、米国が五月にムラボーとチャランを通ってバンダアチェまでの道路の再建を行う合意文書に調印したという報道もあるわけなんですね。ということは、これは同じところの道路を補修した形になるんでしょうか。それとも、もう一つ道路があるんでしょうか。
  134. 佐藤重和

    政府参考人佐藤重和君) この津波の被害で、アチェのその西海岸の道路というのが非常にこの被害、大きな被害を受けたということで、その復旧に当たるということでございますが、これは今お話がございましたように、一部分、その当該西岸道路の一部分については米国がこれを支援をするということで、言わばこの点、アチェのその支援については各ドナー間でいろいろ協議、調整を行っておりますけれども、この部分、西岸道路につきましては、一部分につきましてアメリカ側がここはアメリカがやろうということになり、一部分については日本側がやるということで、そうした、まあ言わば分担をした上で行っているものでございます。
  135. 白眞勲

    ○白眞勲君 最後でございますけれども、一般の国民は、この地震に際しての緊急支援というものは医薬品とか毛布とか食料とかに使われているものだと、ほとんどの国民はそういうふうに思っていた。思っていたわけなんですけれども、実際には建設用、建設用、建設用と、こう書いてあるわけですね。  これは、やはりちょっと、やはり違うんじゃないんだろうかと。もう少し、まあ今大臣も正におっしゃいましたので、今ちょうどパキスタンでの地震のやはり救援の部分もありますので、そういった観点から、是非なるべく困っている人に早く行き届くようなそういう施策ということを実行していただきたい、そういうふうに思っております。  大臣、もし何か一言ありましたらどうぞ。
  136. 町村信孝

    国務大臣町村信孝君) 確かに、緊急支援という形で緊急に物資を送ったりするということは、もうこのインドネシアに対しても、あるいはスリランカ等々に対してもやったわけであります。ただ、現実には、そうしたものがすぐ送れても、じゃ道路がどうなんだ、橋がどうなんだ、港がどうなんだという部分も大きく残っているのは事実でありますから、やっぱりそれも、まあ緊急というと一、二か月という感覚にどうしてもなるのかもしれませんが、他方、本格的な経済協力とかいう形になると、これはどういうんでしょうか、被害の有無とかかわりなく道路は整備したりなんとかというのがある。そのちょうどはざまにあるものが今回のこのプロジェクトとして取り上げられているものも相当あるんだなということがこれで分かるわけでありまして、したがって、すべて緊急だから、もう一、二か月のうちに全部それ使えという性格のものばかりでもないということは委員も御理解をいただけるんだろうと思います。  そういう意味で、多少足の長い緊急援助というようなニュアンスで今回の全体のものを御理解をいただければよろしいのではなかろうかと思います。
  137. 林芳正

    委員長林芳正君) 午前の質疑はこの程度にとどめ、午後一時まで休憩いたします。    午前十一時五十五分休憩      ─────・─────    午後一時一分開会
  138. 林芳正

    委員長林芳正君) ただいまから外交防衛委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、万国郵便連合憲章の第七追加議定書万国郵便連合一般規則及び万国郵便条約締結について承認を求めるの件及び郵便送金業務に関する約定締結について承認を求めるの件の両件を一括して議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  139. 榛葉賀津也

    榛葉賀津也君 民主党・新緑風会の榛葉賀津也でございます。午前に引き続きまして質問をさせていただきたいと思います。  我が党はこの郵便条約に賛成でございますので、私のこの時間は防衛庁並びに外務省に諸問題についてお伺いさせていただきたいというふうに思います。  まず、近日、最近、新聞をにぎわせております防衛庁の薬物汚染の問題でございますが、この質問に入る前に、私どもの民主党の元国会議員も薬物を使用して逮捕されたという事実がございました。大変恥ずかしい限りでございまして、私もこの質問をする際に、こういった質問を私自身ができる立場なのかどうかということも自責をいたしました。しかし、この問題はこの問題として防衛庁にしっかりと、より良い防衛庁になっていただくためにも事実関係をしっかりとお伺いをしたいということで質問をさせていただきたいと思います。  過去にも幾つかこういった事例があります。私のちょうだいした資料平成十二年度から十六年度の間でも合計十二名がこの薬物絡みで逮捕されているという事実がございまして、平均すると一年間でお二人ちょっとという数字になるわけでございますが、平成十四年等は少ない年でお一人、多いとき、平成十三年度では四名という方が逮捕され免職をされている、若しくは停職をされているということなんですけれども、今回は現在までに九名ですか、という方々が逮捕されたということで、非常に感染が広がっているという感想を持つわけでございます。  冒頭、防衛庁長官にお伺いしたいわけでございますが、防衛庁としてこの薬物の事案の発生理由またどんな背景でこういうことが起こってしまったのか、長官なりにどのような御認識をお持ちでしょうか。
  140. 今津寛

    ○副長官(今津寛君) 御答弁をさせていただく前に、おわびを申し上げなければいけないと思っております。今年の春からいろんな、殺人事件とか婦女暴行とか事件がございまして、我々それに対して対策の会議を開いてきましたけれども、今回は御案内のような不祥事がありまして、まず最初にしっかりとおわびをしなければいけないと思いまして、心からおわびを申し上げたいと思います。  そこで、御質問の件でありますが、本年七月以降これまでに海上自衛官七名、航空自衛官一名及び陸上自衛官一名の計九名が大麻取締法又は覚せい剤取締法等に違反をした容疑で逮捕されております。現在は六名が起訴をされておりまして、そのうち二名は公判中でございます。  私は、イラク等の非常に厳しい状況の中で自衛隊の隊員諸官が非常に頑張ってくれている、国民の信頼も厚い、それから各国からの評価も高い、そういう中でこういう事案が出て不祥事を起こしたということは、隊員の対する国民の皆さん方のお気持ちの信頼を損ねた、損ねる、こういうことにもなるわけでございまして、誠に遺憾だと思い、深く反省をしており、重く受け止めているところでございます。  この事案に対しましては、先生も御案内のとおり、ただいま捜査中でございますから、でき得る限りのことは申し上げたいと思いますが、しかし最新内部については申し上げることもできないという場合もあるということを御了承いただきたいと思います。
  141. 榛葉賀津也

    榛葉賀津也君 防衛庁長官に再度お伺いしますが、長官といたしまして、最高責任者といたしまして、この事案の発生した背景、どういった理由があってこれほどまで広がってしまったのかなという思いをお持ちでしょうか。
  142. 大野功統

    国務大臣大野功統君) 自衛隊というのは国民の皆様の信頼の上に成り立っているわけでございます。今回の事案によりまして国民の皆様のこうした信頼を裏切ってしまった、このことにつきまして、私は、やはり長官として深く反省しなきゃいけないし、事案を深刻に受け止めていかなきゃいけない、このように思っております。  で、背景でございます。この背景というのは、やはり集団生活をしているわけでありますから、その中でどういう面があったんだろうか、これからは、今捜査に入るわけでありますが、いろんなことが考えられるのではないか。そういう意味で、それはストレスという問題もあるかもしれない、それから仲間同士の問題もあるかもしれない、そういうことで、私自身は今回の事案を深く反省し、このようなことが絶対に起こっちゃいけない、こういう決意で今津副長官を長といたしまして特別なチームをつくりました。  昨日、既に第一回の会合を開いて検討させていただきましたけれども、詳細、副長官からお話しいただいてもいいんですが、やはり問題は、教育しなきゃ、もっともっと教育という面で力を入れていかなきゃいけないんじゃないかな、それから例えば服務指導をきちっとしていかなきゃいけないんじゃないかな、それからもう一つは、法律的にも慎重に考えなきゃいけないんですけれども、分かりやすい言葉で言えば抜き打ち検査などをどう考えていきゃいいんだろうか。抜き打ち検査の点は、これはもちろんプライバシーの問題と関連しますから大変微妙な問題であります。そういう意味も含めて、再発防止、絶対これをやっていかなきゃいけない、この自衛隊からこの麻薬事案というものを追放するために万全を期していきたい。  なお背景は、せっかくのお尋ねでございますが、今から調査させていただきたいと思っています。
  143. 榛葉賀津也

    榛葉賀津也君 今津副長官にお伺いしますが、昨日、第一回のこの薬物調査対策会議というんでしょうか、この会議が開かれたやにお伺いしておりますが、具体的にどんな話合いがされたんですか。
  144. 今津寛

    ○副長官(今津寛君) 今、大野長官の方からもお話がありましたけれども長官の方から私に御指示がありまして、私が責任者になって原因の究明、そして再発防止のための会議を薬物問題対策検討会議という名前にいたしまして、そこで早急に対処するように御指示がありました。昨日第一回目の会合をやらせていただきましたけれども出席者は、私を議長として、政務官、愛知政務官に副議長に、そして人事教育局長を始め担当の部長出席をしていただきました。  私から、なぜこのようなことが起こったのかということについての遺憾の意を申し上げさせていただいて、そして結論といたしましては、時間の関係で簡単に申し上げますけれども、それぞれの方面あるいは部隊に間髪入れず早急にこの薬物使用に関する服務指導を徹底をするということ、それから二つ目には、薬物使用に関する教育を各自衛隊の教育課程に必ず盛り込むこと、それから今長官からもお話がありましたが、尿の検査の導入につきましては、予告をしたとしましても、また抜き打ちにいたしましても、法律的な問題もありまして、これを早急に整理をしていくということ、それから事案が発覚した場合は、お互い隠さない、それからかばい合わない、直ちに速やかに真実を伝えるようにと、こういうことを昨日、一応第一回目として取りまとめさせていただきました。
  145. 榛葉賀津也

    榛葉賀津也君 その会議の構成でございますが、制服組というのは一体どれぐらいの割合で入っていらっしゃるんでしょうか。
  146. 今津寛

    ○副長官(今津寛君) 制服は、陸幕の人事部長、海幕の人事教育部長、空幕の人事教育部長、統幕第一幕僚室長です。
  147. 榛葉賀津也

    榛葉賀津也君 では、今後、現場の隊員若しくは現場で実際任務に当たっていらっしゃる曹士の方々からも意見を聴取していくということなんでしょうか。
  148. 今津寛

    ○副長官(今津寛君) 冒頭、私おわびしたときに申し上げましたけれども、春から一連の事件が起きておりまして、そのときには、人事関係施策等フォローアップ会議というものを開催した中で、今先生が御指摘ありました、現場の方々にもお越しいただいて、そして事情を聞いて対策を練ったということもやりました。ですから、今回も必要に応じてそういうことも検討させていただきたいと思っております。
  149. 榛葉賀津也

    榛葉賀津也君 八月の十一日に潜水艦「おやしお」の乗組員約八十名に対して薬物検査を実施したということでございます。その後、お二人が逮捕されまして、八月三十一日に今度は第二潜水隊群等所属の隊員約八百人に対して薬物検査を実施したということなんですが、これ呉の第一潜水隊群の方々の検査は行っているんでしょうか。
  150. 今津寛

    ○副長官(今津寛君) 呉の方はまだ実施をいたしておりません。
  151. 榛葉賀津也

    榛葉賀津也君 この逮捕された方々、横須賀基地所属の潜水艦の七隻中五隻に広がっておりまして、この方々は実は呉の潜水隊群とも交流があったということが明らかになっております。そういった、言葉が悪いですが、組織的というか、ある程度広がっていることを考えますと、性善説に立つことは大切かもしれませんが、やはり本当にうみを出し切るという意味では呉の検査も実施するべきではないかという声もあるわけでございますが、これについて副長官はどのようにお考えでしょうか。
  152. 今津寛

    ○副長官(今津寛君) 先生御案内のとおり、七月二十七日に海上幕僚監部に海幕副長を長とする薬物事案の特別調査チームを設置をして、その調査を実施をいたしているところでございます。なぜそれでは呉の方はまだしていないかということでありますが、呉の方は具体的に調査を実施をいたしておりますし、その中で疑わしいというようなことがないものですから、実施をいたしておりません。
  153. 榛葉賀津也

    榛葉賀津也君 海自でこれだけ連続して出ました。延べ八人ですか、が逮捕されたり事情を聞かれたわけですが、その後の実は九月二十九日に、今度は航空自衛隊の隊員がこの潜水艦とは全く違う案件で覚せい剤所持で逮捕されたということがありました。これはいわゆる単独での行動ということなんですが、私、実はこれも非常に重要な問題だと思っておりまして、これ、海でこれだけ事案が起こりまして、これは空、陸関係なく、恐らく相当の注意であるとか伝達が行われているはずでございます。規律を正しなさいという命令が現場まで下りているはずなんですね。にもかかわらず、その時期に今度は新しい事件が発生をして、覚せい剤で空自の方が逮捕されるという事実、これを考えますと、本当に意識の統制が取れているのか、命令系統がしっかりしているのかという疑問を抱かざるを得ないというのが率直な思いでございまして、これにつきまして、防衛庁はどのような規律の伝達をされているんでしょうか。
  154. 今津寛

    ○副長官(今津寛君) 長官の指示をいただいて対策会議を開き、そして原因を究明をするとともに再発が起きないように最大限の努力をすると、これを基本でございまして、しかし既に、海上自衛隊のことにつきましては先ほど御答弁をさせていただきましたけれども、陸上自衛隊あるいは航空自衛隊におきましても、個人の面接あるいは服務指導、さらには隊員の対する、部隊ごとあるいは所属、勤務ごとに、今完全にそういう面談調査をするべくやっておりますので、今のところそういうことを着実にしっかりやるということでございます。
  155. 榛葉賀津也

    榛葉賀津也君 それでは、現場までしっかり規律の注意がなされていたというふうに御認識ですか。
  156. 今津寛

    ○副長官(今津寛君) 平成十二年の事案以来、二度と起こしてはならないという前提でいろいろと服務指導をやってまいりましたけれども、現実にこういう事案が起きたわけですから、それが完全でなかったということは私たちも認めなければいけないし、反省をしなければいけないと思っております。どこかにやはり油断があったのではないかというふうに思っております。
  157. 榛葉賀津也

    榛葉賀津也君 海と空で出たわけでございますが、昨日の十一日には新たに陸の方でも覚せい剤で愛知県警に逮捕されていた自衛官がいたということが発表されました。実は八月二十三日の段階で逮捕されていたにもかかわらず、一昨日の報道ということなんですが、説明によりますと、捜査にかかわることで公表を控えてほしいという依頼があったということなんですが、この当人は九月十三日にもう免職をされているわけでございます。発表がこの十月十一日になったという理由は一体何なんでしょうか。
  158. 飯原一樹

    政府参考人(飯原一樹君) 事実的な関係でございますので、事務当局からお答えをさせていただきますが、事実的な日時的には今御指摘のとおりでございます。これはあくまで、逮捕自体は通常公表されるケースが多いんですが、この場合は捜査当局の方から公表しないように要請があったと。それから懲戒処分の方は、いろんなものがございますが、例えば本人に接見ができれば、本人が罪を公判廷で一〇〇%認めるという供述をして、もう事実に争いはないというようなことがあれば、これはまあ公判待たずに懲戒処分というケースもございます。そういうことでございますが、ただ、捜査の方は続行するということでございましたので、これは要請によりまして、昨日、公判があるまで対外公表しなかったというのが経緯でございます。
  159. 榛葉賀津也

    榛葉賀津也君 一連の陸海空それぞれの自衛隊での薬物問題ですが、こういった逮捕以前に、上司であるとか同僚、こういった者がこの兆しを発見することができなかったんでしょうか。
  160. 飯原一樹

    政府参考人(飯原一樹君) これもちょっと事実関係の御説明だけさせていただきますが、先ほど副長官からも申しましたように、平成十三年の事案で実は同僚、上司等が気が付いたんではないかという事案がございました。それを踏まえまして、私ども部内的にそういうことのないようにという趣旨を徹底してきたつもりでございます。ただ、少なくとも現状におきまして任意的な調査を海上自衛隊、陸上自衛隊、航空自衛隊やっておりますが、そういうような情報を現在のところ実は事前に知っていたという情報は把握しておりません。  ただ、昨日ですね、いや、おとといですか、公判で若干そういうやり取りがあったという報道はございましたけれども、私どももあれは海上自衛隊の方から人を複数出して、何といいますか簡単なざっとしたメモのようなもので報告を海上自衛隊の方の幹部が受けた、それを私ども聞きましたが、裁判長の問いに対して被告の方が、周りは知っているという答えをしたという事実はあったようでございますが、いずれにしましても、別途、海上自衛隊の方でそういう事実があったのか調査をすることは当然でございますし、また訴訟記録が明らかに、入手できた時点若しくは本人に接見ができた時点で、さらにその点詳細に確認をして、必要な調査を続行していきたいというふうに思っております。
  161. 榛葉賀津也

    榛葉賀津也君 この逮捕された陸士長は、駐屯地内などで約四百回くらい使用していたということも述べておりますし、また、海自で逮捕された自衛隊員も晩酌のように常習していたとかぎ括弧付きで書いていて、食欲が増したというふうなことも言っているわけでございますが、非常にこれは問題だなというふうに私は思わざるを得ません。それで、恐らく一緒に生活若しくは行動をともにしている上司や同僚が何らかのことで気が付いているはずなんですね。  で、これ先ほども面接調査で事実関係をそれぞれで確認したと言いますが、面接調査で素直に、いや実は私もやっていたんですと言う方はなかなか少ないんじゃないかなというふうに思っていまして、これやはり何らかの形できちっとした調査をする必要があるというふうに私自身思っております。  そこで、一番心配な点をお伺いしたいんですが、この方々が任務中に薬物の影響を受けていた可能性というのはあるんでしょうか、ないんでしょうか。
  162. 今津寛

    ○副長官(今津寛君) そのことも私たちの懸念の一つでございまして、しかし結論としてはそういう兆候は見当たったというような証言はないんです。そして、しかも詳しいことは捜査中だということで、我々もこの本人の口から直接聞くわけにはいかないものですから、事実関係が不明なままでここで今御答弁をさせていただいていると、こういうことでございます。
  163. 榛葉賀津也

    榛葉賀津也君 正に今調査中で、本当にこの薬物が任務に影響なかったかどうかというのは今の段階では到底分からないと思いますね。これからの捜査で明らかになるんでしょうが、逮捕者の中には魚雷が装備された潜水艦のレーダーやソナーの担当者もいたということで、やはりこの辺もきっちりけじめ付けませんと、やっぱり国防に赴いていたという、国防の観点から非常にこれは問題があるなというふうに言わざるを得ないというふうに思います。  それで、現在、入隊後尿検査をされているということでございまして、現在の規則ですと、自衛隊法施行規則を受けた防衛事務次官通達に基づいて、入隊時に本人の同意でこの尿検査をされるというようなことなんですが、入隊後の尿検査といった、まあ入隊後の検査ですね、入隊後のこういった薬物検査等を制度化していくというような議論は今後どのようになっていくんでしょうか。    〔委員長退席、理事浅野勝人君着席〕
  164. 今津寛

    ○副長官(今津寛君) 平成十三年の発生いたしました事例を受けて、防衛庁平成十四年の七月から自衛隊、自衛官等の入隊時等に薬物の使用検査を御案内のとおりしているわけでございます。  今後、じゃどうするのか。例えば、入隊後の隊員に対しての検査をどうするのかということなのですけれども、これは先ほども申し上げましたけれども、法律的に少し勉強して整理をしなければできないというふうに考えておりまして、そのことも先ほどの検討会議でこれから議論を推し進めていきたいと思っております。
  165. 榛葉賀津也

    榛葉賀津也君 海自の事件につきましては海上幕僚副長が特別調査チームの委員長というものを務めていらっしゃるというふうにお伺いしていまして、副委員長には人事教育部長、監理部長も入っているというふうにお伺いしていますが、今後の責任問題なんですが、やはりこれだけの事件が起こって、この背景認識と、組織としてこれだけの事件が起こったわけですから、今後の責任問題というのは、これどうなってくるんでしょうか。
  166. 大野功統

    国務大臣大野功統君) まず、当事者の問題でございます。既に起訴されている者は法律に従って厳正な処分があろうかと思います。  それから、加えて防衛庁といたしましても調査をいたしております。調査の結果、やはり防衛庁としても厳正な処分をしていかなきゃいけない、このことは当然のことだと思います。  さらに、次の問題としては、上司、今御指摘の上司の問題があろうかと思います。指導上の問題点についてはこれから十分に検討させていただきまして、問題点が明らかになった場合には、上司の指揮監督責任についても厳しく問う所存でございます。  さらに、一番大事なこと、それは、防衛庁長官としてやはりこういうことを絶対起こしてはいけない、私は長官としての責務は、やはりこういうことが起こらないようなシステムをつくっていく、二度と起こらないような制度をつくっていくということが一番大事なことだと、このように思っております。したがいまして、まず今津副長官に十分検討していただいて、その結果を踏まえて、どういうふうな教育、どういうふうな服務指導、どういうふうな措置をとったらいいのか、その制度をしっかり考えていきたい、このように思っております。
  167. 榛葉賀津也

    榛葉賀津也君 昨今、自衛隊は、イラクでの活動、それからインド洋上での大変過酷な状況での活動、ゴランハイツ等での海外でも活動され、また国内の災害やあの鳥インフルエンザのときでさえも防衛庁が御活躍をされて汗を流すということで、かつてない広い分野国民からの信頼が求められ、また事実、信頼も高まってきていると私自身感じております。  がゆえに、ほとんどの自衛官の皆さんはまじめに真剣にこの任務に取り組んでいらっしゃる。ただ、ほんのごくわずかなこういった方々の行動によって、その必死で現場で頑張っていらっしゃるほとんどの自衛官の信頼まで失墜されるということが私としても我慢のならないわけでございまして、だからこそ、この問題には厳しく、そして厳正に対処していただきたいという思いで一杯でございます。  学校のとき、日本は東のアジアの小さな島国だということを学ばせていただいて、調べますと、日本の面積というのはたかだか三十八万平方キロメートルだということでございます。世界百九十か国の中で上から五十九番目の国だということなんですが、ところが、これ海も入れまして、いわゆるEZも含めた、海の広さも含めた日本の広さというものは何と四百四十七万平方キロメートルで、世界第六位の超大国になるわけでございます。島国日本は正に海洋国家と言ってもいいわけでございまして、この海の守りを正に最前線で守っているのが海上自衛隊、この潜水艦だというふうに認識をしております。  是非この問題に厳正に対処してほしいと思うわけでございますが、この一連の問題、今、今津副長官を中心に調査をされているということですが、この調査報告書は、きちっと私、オープンにして提出していただきたいと、作成して提出していただきたいと思うんですが、その点についての決意をお伺いしたいと思います。
  168. 今津寛

    ○副長官(今津寛君) 今、榛葉議員の方から言っていただいたことは非常に有り難いことでありまして、厳しい叱咤ではありますけれども、同時に、私たちに対する大きな激励であるということで感謝を申し上げたいというふうに思います。  もちろん、できるだけ早く事実を解明して、再発防止策、国民の皆さん方にオープンにしていただくことに対しては最大限の努力をさせていただきたいと申し上げます。
  169. 榛葉賀津也

    榛葉賀津也君 報告書提出はお約束願えますでしょうか。
  170. 今津寛

    ○副長官(今津寛君) はい。当然だと思っております。
  171. 榛葉賀津也

    榛葉賀津也君 捜査には時間が掛かると思いますが、大体どれくらいでこの捜査を仕上げると、調査を仕上げるという御計画なんでしょうか。
  172. 今津寛

    ○副長官(今津寛君) 先ほど先生からも提案がありました、例えば現場の幹部の意見などを聞くということをするとすれば多少時間が掛かるかと思いますけれども、一週間後ぐらいに二回目の会合を開きたいと、そのように思っております。
  173. 榛葉賀津也

    榛葉賀津也君 ありがとうございました。  それでは、外務省にお伺いしたいと思います。  外務大臣にお伺いしますけれども日米戦略的開発協調についてお伺いをしたいと思います。これ、日本のODAをアメリカ外交の道具に使おうというような話でございまして、今年三月の報道で、ライス長官が来日をした際、日米戦略開発同盟構想というものを公表されまして、日本の巨額のODAを対米外交の目標実現に活用していく、そしてテロの温床を減らして、民主化や人権改善に熱心な国々に重点的に配分をしていこうという内容でありまして、私、正直、若干の違和感を感じたわけでございますが、そして今年の九月二十八日、途上国に対する戦略的な開発援助を実施するための次官級の日米戦略的開発協調第一回会合というのが開かれたというふうに報道をされました。一体これはどんな中身が議論をされたんでしょうか。
  174. 町村信孝

    国務大臣町村信孝君) この日米で開発問題について協調していこうではないかという話は、三月にライス国務長官日本を訪問されたとき提案がありました。その後、いろいろな議論両国間でやっておりましたけれども、九月十七日にニューヨークで日米外相会談を開いた折、正式にこの立ち上げに合意をしようということで共同発表し、九月二十八日にワシントンで、我が方薮中外務議官アメリカ側シャイナー国務次官との間で第一回会合を開くということになったものでございます。  発想が日本アメリカも、例えばヨーロッパの幾つかの代表的な国と違って、ヨーロッパの国々の多くは、援助、ODAというのは、かなり、やっぱりキリスト教的なといいましょうか、上げるもの、チャリティーみたいな感じで、したがって無償援助が当然だとか、こういうことになってくるわけであります。その点、日本アメリカはどちらも、もちろん援助も重要だけれども、それはやはりそれぞれの国の開発、成長、発展に役立つものであり、むしろそこに民間の力が、その援助を活用しながら定着し力を付けてくると、そこに成長の原動力もあるし、雇用を生む力も付いてくると。日本がちょうどずっとアジアに対して援助をしてきた、その発想とアメリカの開発援助の発想は非常に似ているものがあると。そんな共通点を持ちながらお互いに効率的な援助というものをともにやれる余地はないのかと。  もう一つのきっかけは、ちょうどインドネシアの例の津波、そしてその後の大災害というときに、日、米、豪、インドでしたか、この四か国でイニシアチブを取って一緒に進めようではないかと話をした、そんなことも一つのきっかけになっていたかなと、こう思っております。  じゃ、ワシントンでどんな話になったのかということでありますが、まだ一回目でございますから、そう具体の話に一遍に進んだわけではございませんけれども、開発援助をめぐる重要な課題、これはミレニアム開発目標の話でありますとか、あるいは東南アジアにおける投資環境の改善とか、あるいは若年層の雇用促進が地域の開発にとっていかに効果的であるか、こんなようなテーマを取りあえず第一回目ということで話し合ったようでございます。  さらに、今後援助の現場で両国がどんな協調が可能かについて議論していこうではないかというようなことで、あらかじめこのアジェンダをぱっぱっぱっぱっぱっと決めて、これをやっていこうというよりは、まずとにかくかなり、最初ですからいろいろ議論をフリーにしてみるところから始めようではないかというようなことで第一回会合は開かれたという報告を受けているところであります。
  175. 榛葉賀津也

    榛葉賀津也君 私がお伺いしたところによりますと、重点地域や分野を実務者協議で絞り込んでいくというような話もあったやに聞いているんですが、私が四月十四日の段階でこの問題を町村大臣にお伺いしたときに、答弁ではまだ中身は必ずしもはっきりしていないということだったんですが、この九月二十八日の会合では具体的な地域、こういったものは議論になったんでしょうか。
  176. 佐藤重和

    政府参考人佐藤重和君) お答えをいたします。  先ほど大臣の方からも御説明ございましたけれども、開発援助をめぐる重要な課題ということに加えて、東南アジア等における投資環境の問題であるとか、あるいは雇用促進の問題ということが話し合われたということでございまして、地域的にはアジアを中心に議論がされたということでございます。
  177. 榛葉賀津也

    榛葉賀津也君 無論、アメリカ我が国にとりまして最大の同盟国であり、これからも最大限の共同歩調を取っていく国だろうというふうに思います。日本安全保障外交考えた場合、アメリカ抜きでは語ることは無論できません。しかし、やはり日本アメリカは別々の国でございまして、この国際政治においての戦略というものは大分違ってくるものがあろうかと思います。  とりわけ、地域においての議論というものはそういったものが顕著になってくるんだろうなと思いますが、今日はせっかく吉川中東アフリカ局長も見えていらっしゃいますが、中東政策を考えた場合、この民主化というキーワードは一見同じであっても、アメリカ日本考える、若しくは日本アメリカ考え中東の民主化であるとか、そういったものというのは全く同じ認識ではないと思いますし、日本中東政策と当然米国の中東政策は変わってくるわけでございますが、このように日米戦略的開発協調という枠組みで日本のODAをアメリカの国際戦略に絡めていくという問題を中東で見た場合、これ本当に我が国の国益になると局長はお考えでしょうか。
  178. 吉川元偉

    政府参考人吉川元偉君) 突然のお尋ねですけれども、私は、アメリカ日本も求めているところに大きな共通点はあると思います。それは、世界のエネルギーの大宗を産出する中東地域、この中東地域を安定させること、これは世界の経済が潤滑、円滑に動いていくための非常に重要な要素だと思います。したがって、中東地域の安定のため、日米双方が知恵を出し合って協力していくということは、これは両方の共通の国益になっていると思います。  先生お尋ねのように、それをどういうふうにしてやるかということについては、我々の間に考え方がいろいろ違う点があると思います。例えば、日本はこれまでやってきました中東地域の援助というのは、職業訓練、人材養成を通じて、各国における仕事のできる人たちをどうやってつくっていこうか、これに中心点を置いてきたと思います。アメリカの場合は、より例えば軍事的な協力、各国の治安当局をどうやって強化するか、政治的な仕組みをどうやってつくるかというような考え方で進めてきたように思いますので、やり方は違いますが、先ほど申し上げたように、私は双方の求めている大きなねらいというのは同じではないかと思っております。
  179. 榛葉賀津也

    榛葉賀津也君 具体的な質問で恐縮ですが、そもそもこの会議には一体だれが出席をされるんでしょうか。北米局が中心になられるのか、経協局が中心となられるのか、どちらがイニシアチブを取ってこの会をリードされるんでしょうか。
  180. 佐藤重和

    政府参考人佐藤重和君) お答えいたします。  先ほど申し上げましたとおり、第一回の今回のワシントンにおける会合におきましては、日本側からは薮中経済担当の外務議官、それから先方からはシャイナー国務次官ということでございます。それに加えまして、私ども経済協力局等から関係者が出席をしております。省内では、経済協力局を中心にして事務的な準備を進めたところでございます。
  181. 榛葉賀津也

    榛葉賀津也君 ありがとうございました。  次の質問に入りたいと思います。  この対米外交アメリカとの関係とも密接に関係するんですが、次に国連の常任理事国入り問題について町村大臣にお伺いしたいと思うんですが、安保理入りの挫折というものについては、外務省関係者であるとか政府寄りの某新聞等からも、戦後の外交で最大の失敗だというような見出しも躍りました。迷宮入りであるとか致命的誤認の代償といった表現も並びました。総理大臣がどのようなお言葉を使われようとも、私はやはりこれは失敗だったなというふうに自分自身考えております。  私自身も、野党でありますが、これを最大限サポートさせていただいたつもりでございます。ここでしっかりこの失敗を私検証して、やっぱり戦略をもう一度練り直すということが極めて大事だと思うんですが、まずこの点について外務大臣の率直な御意見をお伺いしたいと思います。
  182. 町村信孝

    国務大臣町村信孝君) 政府寄りの某新聞というのはどこだか是非教えていただきたい、そういうすばらしい新聞があれば仲良くしたいものだなと、こう思いますが。  結論を言えば、それは、この一年で日本が憲章改正をしそして安保理の常任理事国という資格を手に入れられなかったという結果を見れば、もうそれは失敗であったという評価をされることはある意味では当然かなとも思います。  しかし、ちょうど一年前の国連総会で小泉総理が安保理改革、日本常任理事国入りを強調した折、じゃ国連全体の反応はどうであったかといえば、まあ誠に冷淡なといいましょうかね、そんなことが本当の議題になるのかというような雰囲気であったわけであります。  その後、ハイレベルのパネルからの報告書も十二月、十一月末に出され、今年の三月に入ってアナン事務総長の報告書も出され、かたがたG4というものを昨年の九月にスタートをさせ、その運動が、それは率直に言って日本がイニシアチブを取って進めてきたわけでありまして、その運動の中から、もしかしたらこれは実現をするかもしれないということについて、ある意味では危機感を持った幾つかの国が強い反対運動を展開をするに至った。これは正に、もし全く大した動きでもなければ、さしたる議題にも話題にもならず、反対運動も起こらず、ほとんど自然消滅したであろう、そういうテーマであったろうと思います。  しかし、私は、いろいろなそれは考え方はあったと思うけれども、一九四五年にできた国際社会の秩序というものを、戦争という手段によらないで、言わば平和的な話合い、外交によってこれを変えようという、かなり見ようによっては破天荒なことを日本が始めたわけであります。これが一年で、それは一遍に成就しなかったからもう失敗であったと言われるのは簡単かもしれませんが、私は、まずこの一年間の動きの中でこれだけ多くのまず国々が安保理改革、もちろんこの国連改革全体もそうでありますが、これが必要であったということを非常に多くの国々が認識をしたと。そして、何らかの改革をしなければいけないということを発言するようになってきた。これは一年前と比べて大きな違いだと思います。  アプローチ、考え方こそそれは違うかもしれませんが、強くG4決議に反対したアメリカでさえも、常任理事国の数は二つぐらい増えてもいいんじゃないかと、非常任と合わせて現在の十五が二十か二十一になってもいいのではなかろうかという具体的な提案を彼らはせざるを得ない状況に変わってきた。中国も、発展途上国を中心として常任理事国の数が増えることは当然だとまで言うようになってきた。一年前にそんなことはだれも言わなかったわけであります。  私はそういう意味で、安保理改革だけについて言うならば、それはそれで私は大きな世界的な流れをつくってきたということがまず言えるのであって、そういう意味でこの一年間の、私ども、私は第一ステージと呼んでおりますけれども、第一ステージの動きは十分意味のあるものであったと、こう思っております。  しかし、現実に、アフリカの全体の動きがまとまらなかったであるとか、もちろん幾つかの国の反対運動が非常に強くなったであるとか、いろいろな事情から三分の二というものを取るということには至らなかったわけでありますから、結局枠組み決議を採決するには至らなかったという意味で、改めて今回の国連総会が始まってから第二ステージに移ったと。その際に、もちろん今委員が言われたような反省を踏まえながら新しい取組をしなければいけない、それはそのとおりだろうと思っております。    〔理事浅野勝人君退席、委員長着席〕  一つには、やっぱり現在の常任理事国理解を得るという意味で、アメリカ中国との対話を深め、より共通点を多くするという努力をしなければいけないだろうというのが一点あると思います。  それから、特にアフリカの国々が一体今後どういうような形になっていくのかというのをもう少ししっかり見通さなければいけないなと。なかなか、アフリカが一定の方向付けをして、みんながまとまっていくということになるのかならないのか、現状を見るとなかなか難しいような感じがありますが、さりとて五十三か国という最大の票田でありますから、これらとのやっぱり連携もしていく。  それから、このG4との関係をどうしていくのかというのが一つの大きなテーマだろうと思います。現実に一年間同じかまの飯を食ってやってきたというある種の連帯意識というものが今あるわけでありますから、うまくいかなかったから、はい、さようならということも、なかなかそれはできないことであろうと思いますが、そこは、今それぞれの国が自分たちのこの一年の活動というものを振り返って、今後どうしたらいいかというのを冷静に今考えている時期であって、ぼつぼつG4でどうしようかという議論がようやっと国連をベースに今始まり掛けていると、そんな状態であります。  私どもも、例えばドイツもなかなか政権が決まらないといったようなこともあるものですから、余り今急ぎ得る状態にはないかなと思いますが、いずれにいたしましても、過去一年の動き、運動というものを反省すべきは率直に反省をしながら、これから新たに取組をし、十二月末までには国連総会に対して、どういう進捗を示したか、それをレポートしなさいということが各国の合意になったわけでございますので、それに向けてまた改めていろいろな運動を展開をしていかなければいけないと、こう思っております。  ちょっと長い答弁で、どうも済みませんでした。
  183. 榛葉賀津也

    榛葉賀津也君 御丁寧な答弁、ありがとうございました。  今の話ですと、大臣は、今後ともG4案でいくということなんですか、それとも単独で常任理事国入りも目指しながらという方向なんですか。
  184. 町村信孝

    国務大臣町村信孝君) 引き続きG4でやっていくかどうかということについては、まだ明確な方針を今の時点では決めておりません。相談相手のドイツの政権がなかなかできないということも一つにはあるわけでございまして、ただ単純に、前回というか、この一年やってきた枠組み決議でG4でどんどんとにかく支持国を増やしていくという方法に一定の限界を見いだしたことも事実でありますから、それと同じことをまた単純に繰り返すということはいささか芸のないことではないのかなと思いつつ、ただ、さっき言ったG4のお互いの信頼関係というものもやっぱりそれはそれで国と国との関係において重要にしていかなければいけないという気持ちがあるということを申し上げたわけであります。
  185. 榛葉賀津也

    榛葉賀津也君 日本はこの常任理事国入りのために莫大なコストとエネルギーを使ってきたというふうに思っております。七人の大使を任命して、食事会であるとか広報活動であるとかロジスティックであるとか、様々なことをやって常任理事国を目指してきたわけでございますが、数字の話で恐縮ですが、これ一体コストはどれぐらい掛かったんでしょうか。
  186. 遠藤善久

    政府参考人遠藤善久君) お答え申し上げます。  最初に、御質問に関しまして御理解をいただきたいと思います点は、先生御案内のとおり、一般的に外交活動は複数若しくは時として多くの目的を持って行われるものでございまして、その中で常任理事国入りのための外交活動を正確に特定するというのがなかなか困難であるということで、常任理事国入りの活動の具体的金額といったものを網羅的にお示しすることが困難である点、まず御理解いただければと思います。  その上で、個別に幾つかの例を申し上げますと、一つは、御案内のとおり、本年度、大使会議を五月に行いまして、ここで国連改革に関する問題、その他海外における日本企業支援、広報文化等を、この議論を行ったものですが、この会議出席する大使の帰国のための旅費等としては約一億八百万円掛かりました。  それから、先生御指摘の国連改革担当大使でございますが、これは、国連安保理改革につきまして各国の支持、協力をより多く集めるために各地域に対して一層きめ細かい対応を行っていく必要があるという観点から設置したものでございまして、現在は、御案内のとおり、七名が担当大使を務めております。これらの大使に関する費用ということでございますが、これ、出張旅費を除いて報酬等は支給しておりませんが、働き掛けのため、これまで延べ十七回の出張を行っておりまして、その旅費として要した費用は約二千六百万円でございました。
  187. 榛葉賀津也

    榛葉賀津也君 大臣にお伺いするんですが、恐らく日本は当初、中国は当然懸案の国であったと思うんですが、恐らく中国は、中国だけが反対という状況をつくればさすがの中国も実際には反対できないだろうというような読みがあったと思います。ところが現実は、表現は悪いですが、なりふり構わず中東やアフリカに援助をして日本バッシングをしてくると。デモもありました。様々な誤算があったと思うんですが、こういった中国の態度というのは、日本政府町村大臣とすると想定の範囲内だったんでしょうか。
  188. 町村信孝

    国務大臣町村信孝君) 中国の反対運動が想定の範囲であったかどうかという御質問でありますが、結局このG4の動きが非常に勢いを増してきた。言わばそれと比例をしてというか反比例をしてというんでしょうか、まあ比例をしてと言うべきなんでしょうね、いよいよもしかしたら本当にこれは実現してしまうかもしれないということを中国は非常にある意味では危惧したんだと思います。ですから、こちらの運動が高まれば高まるほど彼らの言わば反対運動も高まったという意味で、それはそこまで反対運動するかなと、それは率直に思う局面もあったことは事実であります。
  189. 榛葉賀津也

    榛葉賀津也君 アメリカですが、アメリカはこのG4案を支持しなかった、これは決定的な私たちの誤算だと思うんですが、このアメリカの態度というものは大臣は想像されていましたか。
  190. 町村信孝

    国務大臣町村信孝君) アメリカについては当初から、当然のことでありますけれども、様々なアプローチをし、話合いの場を持ってきたわけであります。ただ、現実に、去年の秋はずっと大統領選挙、その後、アメリカ国務省の中で国連担当の責任者がいつまでも決まらないという状態がずっと続いておりました。実際に任命されたのは四月に入ってからでしょうか。そして、国連大使も発令をされたのは八月、ボルトン大使ということで、アメリカ政府全体のある意味では国連に対する関心の低さの表れという部分もあるんだろうと思いますけれども、なかなか彼らの意見が私どもの方には伝わってこなかった。事実、彼らの政府内での議論が、いろんなアプローチをしてみたけれどもなかなか返ってこないという状態がずっと三月、四月ぐらいまで続いていたでしょうか。しかし、その間に、四月ぐらいまでこちらもG4の運動を中心に相当活動してまいりましたから、そこで相当ギャップができてしまったのは実際事実だろうと思います。  そして、連休、ゴールデンウイーク明けぐらいから彼らも議論を始めて、ちょっと待ってちょうだいねみたいな感じが出てきたのが五月に入ってからでありますから、そういう意味で誤算といいましょうか、何でもっと早く具体的な議論を米国の政府部内でやってくれなかったのかなと。これは私とライス長官の間でも何度も提起をしたけれども、なかなか反応が出てこなかったというのは、それは率直に言って事実であります。  ただ、そのアメリカもただ反対と言っているわけではなくて、日本常任理事国入りには賛成をすると、これはもう去年の段階からブッシュ大統領が小泉総理に言ってきて、言い続けてきていること。ただ、そのことと、それじゃ安保理改革をどうするのというのが結び付かなければ、本当に単なるリップサービスに終わってしまうわけでありますので、そこはどうなんですかということを議論を詰めていったわけです。  そうしたらば、彼らもようやっと八月ごろ、七月か八月ごろになってからでしょうか、安保理の数を増やすことには賛成をすると。常任理事国を一ないし二あるいは三かなと、まあ二か国でしょうかというような感じ、あるいは非常任理事国も若干増やして、全体が二十ないし二十一ぐらいで収まるような改革案であればアメリカとしても受け入れられると。同時に、アメリカは、安保理改革のみが先行する国連改革というのはとても米議会の理解を得られないから、むしろ事務局改革とかあるいは人権理事会とか、そちらの方をむしろ先行するぐらいで国連改革を議論してもらわないと、安保理のみが先行するのは全体のバランスを欠くのではないかということも後半になって言い始めた。  そんなようなことが日米間ではあったわけでありまして、これからまた日米間でより建設的な様々な議論というものを行っていって、より具体の形にしていく努力をしていきたいと考えております。中国に対してもまた同様であります。
  191. 榛葉賀津也

    榛葉賀津也君 今大臣がおっしゃった、ライスさんが日本はいいけれどもG4は駄目よというのは、私は、社会にはそれは社交辞令とやっぱりいうわけでございまして、日本がG4を抜けられればいいですよ、現実問題抜けれないんですから。  これはやはり、今の大臣の御答弁を聞いていると、日本とするとG4から外れても今後この国連常任理事国入りをあきらめずに交渉していくというふうに読めるんですけれども、そう解釈してよろしいんでしょうか。
  192. 町村信孝

    国務大臣町村信孝君) そこが、先ほど申し上げたように、まだ明確にどういう形で、今後G4の中で、あるいはアメリカとの中で、あるいはアフリカとの関係で、中国との関係でどういう姿形を取っていくかということを今の時点でまだ明確に決めているわけではございません。
  193. 榛葉賀津也

    榛葉賀津也君 日本の主張の中で、そもそも世界の地域からの代表を常任の枠に入れていくというような議論もあったと思うんですが、これ地域代表制を導入すると、今その地域にある紛争であるとか今後起こり得る戦争に有効に対処できると。この地域代表制が有効であるというのは、その証拠と言ったら変ですが、その根拠というのは一体どこにあるんでしょうか。
  194. 町村信孝

    国務大臣町村信孝君) これも、それはいろいろな考え方があろうかと思います。現実に、今、国連の開発の問題にしても、あるいはエイズその他の問題にしても、あるいは紛争の問題にしても、アフリカという問題が非常に大きなウエートを占めているわけであります。  しかし、アフリカの代表制というものを見たときに、安保理には常任理事国もちろんなしでありますから、そういう意味で私は、今アフリカの中でも随分、アフリカの問題はアフリカの中で何とか解決しようではないかというような動きというのがかつてないほど見られ始めております。十分有効であるかどうかは別にして、AUの中でお互いに責任する地域というか、この問題についてはあなたの国が中心でやってくださいねとか、大湖地域についてはどこどこだとかいうような動きも出てきておりますから、私は特にアフリカが自らの問題を自らの手で解決しようという努力をし始めているということは大変歓迎をすべき事態だと、全部できるかどうかは別にして歓迎すべきことだと。そういう意味で、安保理の中にアフリカの国が入っているということは、アフリカ問題の解決にとって私は意味のあることなんだろうと、こう思っております。  じゃ、しかし、それに反論もあります、確かに。アフリカの中で本当にその能力と資格を持っている国が現実にあるのかというような厳しい現実を指摘する声もあります。そういった声に今後どうアフリカ自身がこたえていくか、日本がどう考えていくかということは今後更に問われるテーマであろうし、こっちもしっかりと考え答えをつくっていかなければいけないと思います。
  195. 榛葉賀津也

    榛葉賀津也君 私、国連というのはやはり集団的安全保障体制の別名だと思っております。その観点から武力行使の基準であるとか様々な問題聞きたかったんですが、時間がなくなってしまって、準備をされて大変申し訳ありませんでした。また、成果文書の優先順位等についてもお伺いしたかったんですが、これもお伺いすることができませんでした。  最後に、一点だけ大臣にお伺いしたいと思います。  大臣にとって、この常任理事国の資格というものは一体何だとお考えでしょうか。それを聞いて、私の質問を終わります。
  196. 町村信孝

    国務大臣町村信孝君) 既にある五つの国のことについて言うのは差し控えますけれども、これから新たに追加されるかもしれない、私どもが願っている安保理常任理事国、当然いろいろな意味での負担が掛かってまいりましょう。いろんな意味で責任も果たしていかなければいけない。そういう意味で、それを常任理事国としての責任を果たすだけのやっぱり能力とまた意思がどれだけあるかということが、やや抽象的な物言いで恐縮ですが、その二点が決定的に重要なことなんだろうと、こう思っております。
  197. 榛葉賀津也

    榛葉賀津也君 ありがとうございました。終わります。
  198. 荒木清寛

    ○荒木清寛君 まず、上程されております条約案件についてお尋ねをいたします。  今、郵政民営化関連法案が審議をされておりますが、これが成立しますと民営化が具体化されるわけでございます。この場合、万国郵便連合に対する我が国の今後の対応は郵政民営化によりまして何らかの影響を受けるのか、郵政民営化後における万国郵便連合に対する基本的な日本の姿勢について御説明願います。
  199. 神余隆博

    政府参考人神余隆博君) お答え申し上げます。  現在、民間業者との競合、あるいは民営化などを含めまして郵便事業の主体、実施主体あるいは監督主体等々、加盟国におきまして大変多様化しております。また、電子メールの普及など通信手段の多様化、高度化が進んでいることなど、郵便を取り巻く環境は目まぐるしく変化している状況でございます。  万国郵便連合もこうした状況を踏まえて、今回ブカレストにおいて採択されました文書においても、加盟国が郵便事業の監督機関及び郵便事業主体の双方を国際事務局に通報するという規定を置いておりますほか、配達に携わる業務提供者あるいは労働者団体、利用者団体など国際郵便業務に利害関係を持ちます者から構成されます諮問委員会を設置して、様々な立場からの意見を取り入れていくということによりまして今後の万国郵便連合の運営に役立てていくということになっております。また、条約の期限につきましても五年から四年にしておりますが、こういったことも多様なニーズを酌み取っていこうという万国郵便連合努力の表れだろうと思います。  日本もこのような事態に対応いたしまして、既に諮問委員会、この万国郵便連合の諮問委員会の一員としてこの連合の運営に積極的に貢献してまいりたいというふうに考えております。
  200. 荒木清寛

    ○荒木清寛君 次に、我が国の国際郵便は、我が国からの差し出し数よりも到着数の方が多いいわゆる入超、入り超の状態が続いておりまして、現在の到着料率では海外からの到着郵便の国内配送に掛かる費用の全部を賄えない、いわゆる赤字という状況にあります。  今回の改正によりまして到着料の引上げが実施されますが、その改定の結果として各年における我が国の到着料の収支はどの程度になるのか。また、先ほどの話の続きですが、民営化後、その赤字分の負担というのは新会社が負うのか、それとも国が何らかの補てんをするのか。どうでしょうか。
  201. 鈴木康雄

    政府参考人鈴木康雄君) お答えを申し上げます。  平成十五年、二〇〇三年の我が国と諸外国の間で交換されます郵便物のデータに基づいて計算いたしますと、我が国の到着料収支の見込みは、到着の郵便物の方が差し出しの郵便物の二・七倍ございますので、平成十七年の六十二億円黒が平成二十一年には七十一億円の黒まで増加して、平成十七年と比較しますと九億円の増収となるものと見込まれます。しかしながら、改定された到着料におきましても、今先生御指摘のように、国内配達コストを完全に賄うには至っておりませんので、到着料収入とコストの比較でいえば、不足分を約九億円改善するということになります。  また、今御指摘ございましたその後の話でございますが、民営化後につきまして申し上げる前に、この平成十八年から四年間は今の到着料が決まっておりますが、その先には、一応一〇〇%をカバーする到着料にするということで今内部で、万国郵便連合内部で検討しておりますので、そういった収支については大幅に改善されるものと思われます。また、もし仮に到着料につきまして日本側の方でコストに足りない部分があるとしましても、それは我が国郵便事業全体でカバーしていくというものになります。  以上でございます。
  202. 荒木清寛

    ○荒木清寛君 次に、郵便送金業務約定は、国際的な郵便送金業務を円滑に行うために締約国に約定の完全な実施の確保を求めております。  今、国会審議をされております郵政民営化関連法案によりますと、郵便為替法及び郵便振替法は廃止をするということになっておりますけれども、国際郵便為替及び国際郵便振替につきましての旧規定はなおその効力を有するということになっております。  この点、平成十六年度の日本から外国への国際郵便為替また振替の取扱状況は、為替が約四十八万件、五百六十億円であります。振替につきましては、平成十二年度が三・一万件で七十三億円でしたが、これが十六年になりますと、十六年度におきましては九・七万件、四百九十二億円と取扱量が増大しておりまして、大変ニーズがあるということでございます。  そこで、我が国で民営化が実現されましたときに、国際的な郵便送金業務の取扱いにつきましては政府はどのように考えておりますか。すなわち、この約定の実施を確保するために新たな受皿が必要になるのか、あるいは約定から離脱をすることもあり得るのか、今後の方針について確認します。
  203. 神余隆博

    政府参考人神余隆博君) お答え申し上げます。  郵便送金業務に関する約定郵便為替及び郵便振替等の郵便送金業務に関する規則について定めておりまして、この約定の義務については現在、委員の御指摘にもありましたように、郵便為替法や郵便振替法等の下で、総務大臣の監督の下、日本郵政公社が履行することで担保をしております。  郵政民営化によりまして、これも御指摘がございましたけれども郵便為替法及び郵便振替法は廃止されますけれども、当面の間、これらの現行法の国際送金業務に関連する規定はなお効力を有するというふうにされております。総務大臣の監督の下で郵便貯金銀行といったものができますけれども、総務大臣の監督の下でこの銀行が郵政公社に代わって約定業務を履行することとなるというふうに理解をしております。したがいまして、今回の約定の有効期間は四年間というふうに見込まれておりますけれども、この約定で定められた義務を実施する観点からは特段の問題は生じないというふうに考えられます。  他方、完全に民営化した後は郵便貯金銀行は商法上の会社となって、約定の義務を一会社に負わせることにつきましてそれが良いかどうか、いろいろと検討していく必要もございます。したがいまして、この移行期間中、二〇〇七年から二〇一七年というふうに想定されておりますけれども、この移行期間中に約定の義務をどの主体にどのように負わせるべきか、関係省庁と検討する必要があるというふうに考えております。
  204. 荒木清寛

    ○荒木清寛君 それでは、条約案件はこれで終わりまして、次に外交案件、外交案件といいますか、東シナ海における中国のガス田開発についてお尋ねをいたします。  この問題につきましては、日中間で対立が続いているわけでございます。その対立の根本は、双方が主張しますいわゆる境界線についての主張が食い違っているということでありまして、地図を見ますと、どうしてこれほどの食い違いができるのかというふうに思います。  そこで、それぞれの国の境界線の主張の内容は分かっておるんですが、それぞれ両国はどのような国際法上の根拠を援用して主張をしているのか、あるいはそういうこととかかわりなく主張をしているのか、説明してください。
  205. 長嶺安政

    政府参考人長嶺安政君) お答えいたします。  ただいま荒木委員から御指摘のありました東シナ海の海洋境界画定でございますけれども、簡単に我が方の主張をまず述べさせていただきたいと思います。  我が方といたしましては、国連、これは海洋法条約の関連規定が根拠になりますので、この条約の関連規定、それから関連いたします国際判例、それから日中両国の領海基線間の距離、これらその他の要素を考慮いたしますと、日本中国との間のこの領海基線間の距離が四百海里未満の水域におきましては、ここにおける境界の画定に当たっては中間線を基に境界を画定すべきという立場を取っております。  中国側立場についても一言申し上げさせていただきます。  中国側立場でございますが、この東シナ海における海洋境界の画定についての立場は、この海域の特性といいますか、東シナ海の特性というものを踏まえるべきであると。これは、一方に大陸があり、他方に島があるというこの対比関係、あるいは大陸棚の自然延長ということを考慮に入れて行うべきであるという立場を取っておりまして、我が方が主張しております中間線による境界画定というのは認められないという立場を取っております。  中国側は具体的なその境界線を示すまでに至っておりませんけれども、大陸棚につきましては沖縄の西側にございます海盆、トラフ、沖縄トラフまで自然延長しているという主張をしておるところでございます。
  206. 荒木清寛

    ○荒木清寛君 十月一日の東シナ海等に関する日中協議におきましては、法律専門家による協議で双方の立場についての理解は深まった、このように説明を受けておりますが、どのように深まったんでしょうか。
  207. 梅田邦夫

    政府参考人梅田邦夫君) お答えさせていただきます。  法律専門家協議につきましては、そもそも局長レベルの本会議での議論を側面的に促進するという目的の下で集中的に議論を行いました。  我が方からは、今説明がございましたけれども、最近の判例ではまず中間線を引くことにより境界画定がなされていることなどを指摘しまして、日中間の境界は中間線を基に画定されるべきであるとの指摘を行いました。また、中国からは今説明ありましたように大陸棚の自然延長論に基づいて説明があった次第でございます。  双方の間では法的な側面につきましては今申し上げたように大きな隔たりがありますけれども、今回の協議におきまして双方の法的主張がどのようなものであるかということにつきまして互いに詳細に説明を行ったと、これは初めてでございます。そういった意味で、相手方の立場について理解が深まったということでございます。
  208. 荒木清寛

    ○荒木清寛君 先ほどもありましたように、我が国の境界線の主張の根拠は条約及び判例ということでございますが、昨日ちょっと教えていただいたところによりますと、リビア・マルタ大陸棚事件という国際司法裁判所におきます判決がありまして、それが我が国の主張を基本的に裏付けているというふうに思われます。  そこで、なかなか抜き差しならない対立になっているんですけれども、この境界線の画定を国際司法裁判所にゆだねることはできないんでしょうか。そういう提案を中国側にしてはいかがなんでしょうか。
  209. 長嶺安政

    政府参考人長嶺安政君) ただいまお尋ねのございましたこの問題の国際司法裁判所へ付託するかどうかという件でございますが、国連海洋法条約、これは海洋の境界画定等の問題ということになりますと、国連海洋法条約、先ほど申し上げました条約の適用のある問題でございます。  この条約の解釈又は適用に関する紛争につきましては、これは司法的解決についてこの条約の中に規定がございまして、若干複雑な仕組みとなっておりますので詳細な御説明は割愛させていただきますけれども、結論的に申し上げますと、日中間では双方の間で合意がある場合にのみ国際司法裁判所へ付託することができるということになりますので、一方的な付託ということはできないことになってございます。  東シナ海における中国による資源開発の問題につきましては、日中双方が事態の緊急性を認識しまして協議による解決を今目指しておるところでございます。現時点におきましては、政府として直ちに東シナ海をめぐる日中間の諸問題を国際司法裁判所に付託するということを中国に対して提起する考えはございませんが、一方で、今後の状況いかんによりましては、そのような裁判所、国際裁判所への付託という対応も選択肢の一つとして念頭に置くと、我が方としての対処を更に検討していくということも必要となる将来の状況というのもあり得るというふうには考えております。  いずれにいたしましても、中国による資源開発の問題につきましては次回協議が十月ということで今調整をすることになっておりますので、引き続きこの問題につきましては本件の解決に向けて協議をしていくということで考えております。
  210. 荒木清寛

    ○荒木清寛君 午前中の質疑にもありましたが、天外天、日本名樫の採掘施設で炎が上がりまして、九月十九日に炎が上がりまして、十月七日にはパイプラインが敷設をされたということでありますが、ここの採掘作業が進展した場合、日本側のガス資源が中国側に吸い取られるという、そういうおそれはないのでしょうか。
  211. 近藤賢二

    政府参考人近藤賢二君) お答えを申し上げます。  今御指摘のございました樫のガス田でございますけれども、私どもの方で東シナ海の中間線から日本側について三次元の物理探査をいたしました。その結果、中間線の日本側から中国側に向けて地質構造が高まっていくと、こういう構造になっているということが確認をされたわけでございます。したがいまして、樫のガス田の構造が中間線をまたがっているというように考えることが適切であるわけでございます。  中国側には樫のガス田につきまして情報提供を求めておるんですけれども、現時点までのところ、具体的な情報は提供されておりません。したがって、このガス田が中間線を構造的にはまたがって、外見的にはまたがっているように見えるんですが、本当にまたがっているかどうかについては確認がまだできておりません。  ただ、これはつながっている場合には、中間線の中国側のガス田で開発をいたしますと中間線の日本側の石油なり天然ガスの資源が影響を受けるおそれがあると、このように考えておるところでございます。
  212. 荒木清寛

    ○荒木清寛君 春暁、日本名白樺は日中中間線からわずか一キロという距離に位置するんですが、この採掘施設も、先ほどの説明で、もう完成が近づいているという気がいたします。ここでの採掘が行われた場合に、日本側の資源がまた中国側に吸い取られるということはありますか。
  213. 近藤賢二

    政府参考人近藤賢二君) 御指摘の春暁、日本名では白樺でございますが、白樺の油ガス田の構造は先ほどの天外天以上に連続をしていることが確認をされております。盛り上がりがより日本側に掛かっておるわけでございます。  そういう状況の中で、これはあくまでも一般論で申し上げますと、構造がつながっているように外見的には見えましても、例えば断層のようなものがあって遮断をされているという場合もないわけではございません。私ども、三次元の物理探査をしました結果、中間線に沿って構造を遮断する断層があることは確認をいたしましたが、これがどうも完全に遮断をしているということではない、完全には遮断をしていないのではないかと、私どもそう思っております。  中国側からは、これは断層があって切れているんだというお話もあったようでございますけれども、私どもはそこは確認できておりませんので、中間線の中国側の開発行為によって、この白樺につきましても日本側の石油、天然ガスの資源が影響を受ける可能性ということがあり得ると、このように考えておるところでございます。
  214. 荒木清寛

    ○荒木清寛君 そこで、日中中間線の日本側にはどの程度の石油が埋蔵されているんでしょうか。指摘によりますと、国内最大規模のガス田に、石油ガス田になる可能性が高いというふうにも言われておりますが、どうなんでしょうか。
  215. 近藤賢二

    政府参考人近藤賢二君) この東シナ海の中間線の日本側において、私ども三次元の物理探査を実施をいたしました。その結果、先ほど来御説明しておりますように、中間線をまたがっている、またがっていない石油、天然ガスを埋蔵している可能性のある構造も複数あることも確認しております。ただ、これは、実際に試掘をしてみないと、どのぐらいあるかということはなかなかはっきりとは分からないわけでございます。私どもは、したがって、現時点でどのぐらいの石油、天然ガスがあるかということを正確には把握をしておりません。  ただ、一方、これやや前のデータではございますが、平成六年に私ども審議会でございます石油審議会の開発部会技術専門委員会というところで推定の評価をいたしました。その評価によりますと、東シナ海の中間線の日本側、それから沖縄の周辺、この辺りを調べた結果の石油、天然ガスの資源量を石油換算で約五億キロリッター、ですからバーレルでいいますと三十二億バーレルほどでございましょうか、という規模になるのではないかという推計をしているものもございます。  ただ、繰り返しになりますが、現時点でここの賦存量が幾らかというのはまだ私どもとしては正確には把握をしておりません。
  216. 荒木清寛

    ○荒木清寛君 そこで外務省にお尋ねしますが、この春暁ガス田群、白樺や樫やそういうガス田群は、九〇年代中葉から中国によるボーリングが行われまして、今世紀に入るとともに開発が本格化したわけでございます。そうしたことを考えますと、もっと早い段階で日本側として対応又は抗議をするということをしておけば、このような深刻な対立にまでは至らなかったのではないでしょうか。
  217. 梅田邦夫

    政府参考人梅田邦夫君) お答えいたします。  例えば、春暁につきましては、一九九五年の十二月から九六年の二月にかけまして、現在の白樺、春暁ガス田付近におきまして、中国の石油採掘船が停泊をして試掘作業を行った可能性が高いと承知しております。当時、様々なレベルで中国側に対しまして日本側から、作業を停止し現場水域から退去するように申し入れた経緯がございます。計三か月ぐらいの間に八回ほど申入れをしております。  その後、二〇〇三年の八月になりまして、中国の石油開発企業二社が欧米の石油会社二社と共同開発の契約を行ったという情報が入ってきたものですから、本件については、その後、累次中国側に対して情報提供であるとか開発の作業の中止を求めてきておる次第でございます。
  218. 荒木清寛

    ○荒木清寛君 そこで、次回のこの日中協議というのはいつ開かれますか。その場合、日本側の提案に対します中国側からの何らかのそういう前向きな回答を期待できるような、そういう状況なんでしょうか。
  219. 梅田邦夫

    政府参考人梅田邦夫君) 先回の会合の終わりに、次回会合につきましては十月中のできるだけ早い時期に開催しようということで合意がございまして、現在、今中国側からの返答待ちの状況でございます。  いずれにしましても、中国側もこの問題につきましては真剣に検討して次回協議で中国側考え方を示したいとしておりますので、当然、我々楽観はできませんけれども中国側より建設的な回答があるものを期待しておる次第でございます。
  220. 荒木清寛

    ○荒木清寛君 最後大臣に、この問題につきましては、事柄が事柄だけに、日中両国それぞれにおきましてナショナリズムに火が付きまして、対立がもう更に抜き差しならないようなものになるというおそれもあるわけですね。そうならないためにやはり大臣としてもより一層知恵を出して解決できるように努力をすべきだと思いますが、いかがですか。
  221. 町村信孝

    国務大臣町村信孝君) 今委員指摘のとおりでありまして、この問題がナショナリズムがそれぞれ対立するそのホットスポットになってはいけないという意味から、これまでも小泉総理胡錦濤国家主席あるいは温家宝総理との間で、また、日本の私と先方外交部長との話で、対立の海ではなくて友好の海にしようと、そのために双方が努力をしようではないかという基本的な共通認識はあるつもりであります。そういうことに基づきまして、先般の日中協議でも共同開発という考え方を示したわけであります。  ただ残念ながら、共同開発という文言は同じでも中身が全然違うものですから、今のところは接点は全くないという姿になっておりますが、しかし、今それぞれ提案をし、今中国側日本側の提案を受け止めて真剣に検討して次回回答すると、こういう先ほど答弁をしたとおりでございますので、私は、本件の解決、共同開発の可能性を含めて、しっかりと協議をしていかなければいけないと思っております。  いずれにいたしましても、中国経済発展が進めば進むほど、エネルギーの需給、もう今や輸入国ということでありますから、彼らのそういうエネルギーに対するニーズの高まりというのは今後ますます強くなってくるわけでありまして、しかし、それはまた日本にとってもまた同様でございますから、双方が必要なエネルギーを確保する共通の努力というものをやることは双方にとって利益があるんだろうという考え方が十分成り立つ分野だと、こう思っております。  また、エネルギーを確保するということと裏返しですけれども、省エネというのは日本は大変進んでおりますので、省エネの技術協力をもっとやろうではないかとか、あるいは環境対策での日中間の協力を進めようではないかといった分野での協力というのは十分この海底の資源開発の裏腹としてあり得る話だと、こう思っておりますので、そうした様々な日中間の協力が可能ならしめるようにいろいろ努力、工夫をしていかなければいけないと、このように考えております。
  222. 荒木清寛

    ○荒木清寛君 終わります。
  223. 井上哲士

    井上哲士君 日本共産党の井上哲士です。  提案された条約約定は賛成でありますけれども、現在審議中の郵政民営化法案と密接な関係がありますので、その点について質問をいたします。  まず、外務大臣にお伺いしますけれども、国際化が進む下でこの国際的な送金業務は非常に広がっております。この国際郵便送金業務の持つ役割、その中でこの送金業務約定が持つ意義についてまずお伺いをいたします。
  224. 町村信孝

    国務大臣町村信孝君) 委員指摘のとおり、グローバル化が進んでいる世界経済の中、また、人の移動であるとか資本の移動が非常に活発になってきております。そういう中で、民間金融機関などを通じて多様な国際送金が行われているわけでございます。日本でも多くの国との間で比較的小口の送金を中心としてこの国際郵便送金が使われているという実態がございまして、先ほど総務省からの答弁もございましたように、過去五年間では取扱額が毎年増加をしているという状況にあるわけでございます。  そうした国際郵便送金業務を実施する際に適用される規則を決めたこの郵便送金業務に関する約定というものは、この国際郵便送金業務を秩序立てて確実に行うためにはその基礎として非常に重要な役割を果たしていると、かように認識をしているところであります。
  225. 井上哲士

    井上哲士君 この国際送金業務が大きな役割を果たしているということでありました。  では、それに対して、今の審議されている郵政民営化法案が将来にわたってそれをきちっと担保しているのかどうかと、これが問われると思います。外務大臣も眼鏡のベストドレッサー賞を受賞されたそうでありますけれども、本当にそうなのか、この法案がこの役割に果たしてちゃんと担保されているのか、めがね違いということがないようにお願いをしたいと思うんです。  郵政公社に来ていただいておりますけれども、まずこの国際郵便為替について、この業務約定は約百三十か国が加盟しておりますけれども郵便為替について、日本から外国への振出し、それから外国から日本への到着について、件数と金額について平成十二年と十六年でそれぞれ御報告をお願いします。
  226. 斎尾親徳

    参考人斎尾親徳君) まず、平成十六年度の取扱実績でございますけれども、為替につきましては、日本から外国への送金が四十七万七千件となっておりまして、金額にしますと約五百五十九億円となっております。それから、十二年度の実績でございますけれども、為替につきましては、件数にしまして七十七万件、金額にしまして五百二十七億円となっております。
  227. 井上哲士

    井上哲士君 非常に増大をしていっているわけですが、この為替の振出状況について振出先の国名とその件数、上位五か国ぐらいで最近の数をお示しいただきたいと思います。
  228. 斎尾親徳

    参考人斎尾親徳君) 平成十六年度の取扱実績で上位五か国は、件数では米国、中国ドイツ、英国、韓国、金額では米国、中国、英国、ドイツ、フランスの順になっております。件数で申し上げますと、米国が二十四万四千件、中国が四万件、ドイツが三万六千件、英国が三万四千件、韓国が二万八千件となっております。
  229. 井上哲士

    井上哲士君 同じように、国際郵便振替の方の利用状況でありますけれども、この振出しと到着の合計で平成十二年と平成十六年、いかがでしょうか。
  230. 斎尾親徳

    参考人斎尾親徳君) 平成十六年度の取扱実績で見てみますと、国際郵便振替でございますが、日本から外国への送金につきましては、件数にしまして九万七千件、金額で約四百九十二億円となっております。それから、外国から日本への送金につきまして、振替でございますけれども、約四千件、金額にしますと約十億円となっております。  そして、十二年度の実績でございますけれども日本から外国への送金でございますけれども、これが三万一千件、金額にしますと七十三億円、逆に外国から日本への送金でございますけれども、件数にしまして四千件、金額にしますと七億円となってございます。
  231. 井上哲士

    井上哲士君 振出しでいいますと、件数で三倍以上、金額では約七倍というふうに非常に膨れ上がっております。  先ほど、上位五か国を紹介いただきましたけれども、東南アジアについてはどういう状況になっているでしょうか。
  232. 斎尾親徳

    参考人斎尾親徳君) 平成十六年度の取扱実績で見ますと、アジア諸国あての送金で多いのは、件数では中国、韓国、タイ、フィリピン、台湾、ベトナム、香港、インドネシア、金額で見ますと、中国、韓国、タイ、ベトナム、香港、台湾、フィリピンとなっております。  なお、全体に占めるアジア地域あての送金の割合でございますけれども、件数では二五・四%、金額では二二・八%となってございます。
  233. 井上哲士

    井上哲士君 これらの送金目的というのはどうなっているでしょうか。
  234. 斎尾親徳

    参考人斎尾親徳君) 通販などによります物品購入代金の支払の割合が最も多くて三八・九%、次いで生活費が二八・三%、学費が一二・四%となっておりまして、これらの三つ合わせますと送金目的全体の約八割となっております。
  235. 井上哲士

    井上哲士君 国際化の中でこの郵便送金は非常に大きな役割を果たしておりますけれども、今挙げられた送金目的を見ましても、ますますこの役割は大きくなると思います。国際送金は銀行もやっておりますけれども、非常にこれに比べて郵便送金というのが優れた面があります。  振替用の請求書を今手に持っておりますけれども、送金の種類は、海外の受取人の住所あて、それから郵便振替口座あて、銀行口座あてと三種類の送金先が選択をできますが、銀行の送金というのは、これは海外の受取人は銀行口座しか指定をできないということになっておりまして、大変この郵便局の国際送金は柔軟なシステムになっております。  もう一つ大変優れているのは手数料の安さでありまして、非常に安くなっています。現行の手数料設定でどうなっているか、主なものを少し紹介をしていただけますか。
  236. 斎尾親徳

    参考人斎尾親徳君) まず、国際郵便為替につきましてでございますけれども、送金金額に応じまして料金が逓増する料金体系となっておりまして、例えば送金金額が十万円以下の場合には千円、そして五十万円を超えますと、五十万を超え百万以下の場合ですと二千五百円、以降、送金金額五十万円ごとに五百円の料金が加算されることになっております。  また、国際郵便振替につきましては、送金金額に関係なく一律の料金体系となっておりまして、通常振替は四百円、電信振替が千四百円となっております。
  237. 井上哲士

    井上哲士君 手元に資料も配付をいたしましたけれども、とりわけこの振替の場合は送金金額に関係なく一律四百円、大変安くなっているわけですが、一方、都市銀行の国際送金の手数料はどうなっているでしょうか。
  238. 斎尾親徳

    参考人斎尾親徳君) 民間金融機関のサービスは郵便局のサービスと必ずしも同一ではありませんので単純には比較はできないと思いますけれども、民間金融機関の外国送金の手数料は、これは公社で調査、把握している限りということで申し上げますと、例えば四千円から六千五百円程度になっていると聞いております。
  239. 井上哲士

    井上哲士君 私も都市銀行の本店に幾つか電話をして確認をしてみましたけれども、例えば、みずほ銀行の場合は送金金額にかかわりなく窓口の取扱いで一律に一件当たり五千五百円以上ということでありました。東京三菱銀行も、これ送金金額にかかわりなく窓口取扱いで一律に一件当たり五千円以上ということですから、郵便送金と比べますと随分割高になっているわけですね。  しかも、郵便送金の場合は簡易郵便局以外の局で取り扱っていますので、全国二万以上で、局で取り扱っていると。どんな地方からでも送ることができるわけでありまして、この郵便送金、国際郵便送金がなくなるということになりますと、高い手数料で、しかも地方の人はその手段がなくなると、こういう状況になってくるわけであります。  そこで、内閣府から副大臣来ていただいておりますけれども、この大変大きな役割を果たしている国際郵便送金がこの民営化、郵政民営化に当たってどういう取扱いになっていくんでしょうか。
  240. 西川公也

    ○副大臣西川公也君) 今回の法案では、郵政民営化法等の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律附則第九条及び第十三条において規定しておりますけれども、郵便貯金銀行が、民営化後当分の間、国際郵便振替・為替の業務を行うよう所要の経過規定を置いております。したがいまして、公社が現在行っております国際郵便為替・振替業務は民営化後当分の間、当該業務を承継する郵便貯金銀行が取り扱うと、こういうことにしております。     ─────────────
  241. 林芳正

    委員長林芳正君) この際、委員異動について御報告いたします。  本日、犬塚直史君が委員辞任され、その補欠として那谷屋正義君が選任されました。     ─────────────
  242. 井上哲士

    井上哲士君 完全民営化までの間は、この郵貯銀行がこれを承継をするという御答弁だったと思うんですが、その郵貯銀行が発足をする時点で、今、私、この郵便送金の優れた点として手数料が安い、取扱局が二万局ある、それから送金先も三種類あると、こういうことを申し上げましたけれども、こういうサービスが基本的に同じ水準で承継されると、こう確認してよろしいですか。
  243. 西川公也

    ○副大臣西川公也君) そのような考えでこの法案を、お尋ねのような趣旨で法案を策定しております。    〔委員長退席、理事浅野勝人君着席〕
  244. 井上哲士

    井上哲士君 発足時には現行水準のサービスが承継をされるということでありますが、しかし、先ほど言いましたように、都市銀行とこの郵貯銀、今の郵便局の送金手数料には相当大きな格差があるわけですね。そうすると、新しく発足した郵貯銀行が、発足時では現行サービスを引き継いでも、その後この手数料を引き上げたりするということがないと断言できますでしょうか。
  245. 西川公也

    ○副大臣西川公也君) 手数料の問題でありますけれども、これは経営者がどうなるかと、その人たちの経営判断の中で行われていくものだと思っておりますけれども、適切な料金水準となるよう配慮していくと、こういう考え方になるかと思います。
  246. 井上哲士

    井上哲士君 そうすると、先ほども申し上げましたように都市銀行などは五千円、高いところは六千五百円ということがございます。郵便の場合は半分、一番安い場合は四百円と非常に簡易なものがあると。銀行は実際、民間としてそういう費用が必要だということでやっておるわけでありますから、こういう民間銀行の高い方に合わされていくということになるんじゃないでしょうか。
  247. 西川公也

    ○副大臣西川公也君) ただいまも申し上げましたけれども、お客様に提供するサービスの内容、利用状況、経営状況、コスト等を踏まえた上で次の経営に当たる皆さんが適切に考えてくれると、こういうふうに私どもは受け止めております。
  248. 井上哲士

    井上哲士君 民間企業、銀行は、非常にこれはコスト掛かるんですね。ATMなどできないんです。大変複雑なこういうものを書かなくちゃいけない、だからコストが掛かるということで非常に高い利用料を設定をしているというのが今の現状なんです。今の御答弁でいいますと、結局、コスト等を勘案をして経営判断ということになりますと、大変安価な今の手数料が引き上がってくるということにしかならないということを私は指摘をしておきたいと思うんです。    〔理事浅野勝人君退席、委員長着席〕  その上で、完全民営化になったらどうなるのかということでありますけれども、完全民営化をされますと、この国際郵便送金をやる根拠規定がなくなるということになります。一方で、この約定に基づく義務というものはあるわけですね。ここの矛盾はどのように解決をされるんでしょうか。
  249. 西川公也

    ○副大臣西川公也君) 完全民営化後のお話を、お尋ねをいただきましたけれども、完全民営化後は当然一般商法会社である郵便貯金銀行と、こういうことになるわけでありまして、まあ義務付けというわけにはいかないと、こういうことになりますけれども、今までの経過措置がありまして、経過措置の規定がございますが、整備法附則第二条により、郵便貯金銀行の完全民営化以降は確かに御指摘のように今までの取決めを失効するわけでありますけれども、当分の間、私どもは、みなし免許を付与するときにそれを規定しておりますのでそれが継続されていくだろうと、こう考えておりまして、郵便局ネットワークを通じたこの種のサービスの提供の状況等を踏まえましてこれからも適切に対応してもらうようにやっていきたいなと、こう思っております。  完全民営化後におきましてこれらの要素を、本当に離れていくのかどうかと、こういうことを見通すことは極めて困難な状況にありますので、今回の法案では民営化後をどうするかと、これにつきましては特段の規定は定めておりません。郵便貯金銀行の完全民営化までの間の経過を見ながら今後の対応を決めていきたいと、こう考えています。
  250. 井上哲士

    井上哲士君 今、郵便為替法では例えば、郵便為替業務はこの法律の定めるところにより日本郵政公社が行うと、こうなっておりまして、この郵政公社を郵貯銀行と読み替えるということでありますけれども、完全民営化後はこの法律の規定がなくなるわけでありますから、何らかの法律的な手当てをしなければこれの業務の受皿ができないと思うんですが、そういうことでよろしいでしょうか。
  251. 西川公也

    ○副大臣西川公也君) 完全民営化した後は今申し上げましたように一般の商法の会社になりますから、政府としてこういう義務付けをやれと、こう規定するのは私どもは適当でないと、こう考えておりまして、完全民営化までの十年ということを想定をしておりますけれども、その期間に義務付けをしておりますので、それらが継承されていくだろうという考え方一つあります。  さらに、十年後に外国への送金がどういう手段でそれらが主流になるかというのは非常に分かりにくい、見通せないと、こういうことでありまして、この完全民営化までの十年間の間に何らかの検討をしながら、将来にわたっての送り方をどうするかと、こういうことも決めていきたいなと、こう考えています。
  252. 井上哲士

    井上哲士君 本当、驚くべき私答弁だと思うんですね。年間六十五万からの利用があるこの国際郵便送金について、完全民営化後は一体その受皿があるのかどうか、これが全く定められておりませんし、そして、十年後に、やはりこの業務は必要だと、私はもっともっと必要になると思うんですけれども、それをやろうと思ったら、根拠規定は何もなくなるわけですから、新たな法律の手当てをしなくちゃいけないんです。ところが、そのことは全くこの法案には書かれておりませんで、私、その点では大きな穴が空いた欠陥法案だと言いたいと思うんですね。  サービスが良くなる良くなると言いながら、この点でのサービスは下がるということはもう明らかでありますし、完全民営化後の手当てが全く法案にされてないという点では欠陥でもあり、看板違い、私は廃案しかないと思いますし、この問題は衆参議論をしてきて一度も議論になってこなかった問題なんです。それがまだまだこういう問題があると。何か明日にも採決というようなお話があるようでありますけれども、とてもそんな状況でないということも最後申し上げまして、質問を終わります。
  253. 大田昌秀

    ○大田昌秀君 社民党の大田でございます。よろしくお願いいたします。  議題となっています万国郵便連合憲章の第七追加議定書及び万国郵便条約等の締結については賛成ですが、二、三点、総務省にお伺いいたします。  同追加議定書等が合意された昨年九月のルーマニアのブカレストで開かれた第二十三回万国郵便会議において、差出国の郵政庁が配達国の郵政庁に支払う通常郵便物の配達費用、いわゆる到着料制度について従来の方式の変更が合意されたと報じられています。  この到着料制度の仕組みと、前回、一九九九年の北京の大会議以来、今回のブカレスト大会議でどのような点が改善されたのか、本制度の改善の経緯について簡潔に御説明をお願いいたします。
  254. 鈴木康雄

    政府参考人鈴木康雄君) お答え申し上げます。  到着料は、今先生御指摘のとおり、国際通常郵便物の差し出し側から名あて側、配達側に対して国内配達で掛かる費用を賄うものとして払われる補償金でございまして、これまでは各国ごとに通常郵便物の配達に掛かる費用に基づくことなく、配達した通常郵便物の物量、重量に応じて料金決済をしていたというものでございますが、このブカレストの大会議で作成された文書以降は、先進国間では国内配達費用を反映した補償費用、補償方式に移行するということでございます。  また、先進国間で設定される料金は段階的に引き上げるということになっておりまして、条約が発効いたします来年、二〇〇六年の国内郵便料金の六二%から順次引き上げてまいりまして、二〇〇九年、平成二十一年には六八%まで引き上げるということになっております。また、開発途上国間又は開発途上国と先進国間の郵便物に適用する料金につきましても、従来は重量に基づく決済だけでございましたが、今後は重量と郵便物の通数と両方を併せた計算をすることによりまして、結果的には八・八%の値上げということになります。  こうした決定によりまして、ブカレストの大会議では、概して加盟国の配達費用の実態を反映した到着料制度に向けた改善がなされたというふうに考えております。  以上でございます。
  255. 大田昌秀

    ○大田昌秀君 いま一つお伺いいたします。  国際郵便は、万国郵便条約に定められている取扱手続に基づいて各国の郵政庁の指定する交換局間で交換しているわけですが、国際郵便料金が国によって差があることを悪用して、郵送コストを節約するため一部の国が自国の領域外に交換局を設置して郵便物を引受け、国際郵便物として他の国に差し立てるケースがあって、国際的に問題となっていると報じられています。  この領域外交換局の問題点を簡潔に御説明いただいて、ブカレスト大会議を受けて今後どのような取扱いになるのか、教えてください。
  256. 鈴木康雄

    政府参考人鈴木康雄君) 今御指摘のございました領域外交換局と申しますのは、万国郵便連合加盟国の郵政庁が他の加盟国の領域において国際郵便物を取り扱う郵便局を設置するということでございまして、御指摘のとおり、一九九〇年代の後半から、一部の郵政庁が主にその経済的な効果をねらって自国の領域外に進出して活動拠点を設けて、本来はその国の郵政庁が引き受けるべき国際郵便物を取り扱う行為が見受けられるようになっておりました。  しかしながら、今回のブカレスト会議では、こうした領域外での活動万国郵便条約の枠から外れた商業的なものであるという決議が採択されまして、領域外交換局からの送付されるもの、郵便物につきましては配達の義務を負わないということになりました。この決議によりまして、加盟国の各郵政庁が領域外で国際郵便物を、まあ収奪的にといいましょうか、集荷してきて、条約に規定されるあて先国、名あて国の配達に掛かる費用として支払われる低い到着料を活用した外国への送達の道が断たれるということになったわけでございます。これは、先ほど御説明申し上げましたように、配達料、配達コストを完全にはまだ賄うに至っておりません。  先ほど六二%から六八%ということを申し上げましたが、まあそれを阻止するということでございます。また、今後、次回の大会議におきましては、それを更にコストに近づけるという約束がされておりますので、それまでの間もそういった収奪的な料金を利用することはできなくなったということでございます。  以上でございます。
  257. 大田昌秀

    ○大田昌秀君 米軍の再編問題について外務大臣にお願いいたします。  新聞報道については外務省防衛庁もなかなか正確ではないという趣旨の御発言がございますが、十月十三日付けの琉球新報によりますと、フィリピンのモロ・イスラム解放戦線の指導者は、米政府や在沖米軍の高官らから沖縄駐留の米海兵隊をフィリピン南部のミンダナオ地方へ移駐させることに協力するよう要請されたということを明らかにしたと報じられております。  この報道によりますと、二〇〇〇年末ごろから今年の六月ごろまでにマニラ駐在の米大使館高官やワシントンの米政府機関の職員らが数回にわたってMILF指導者と面談し、次のようなことを話し合ったそうです。  米側の方から三つ話し合われたようですが、その一番目に、在沖米軍の整理、縮小は最優先課題になっていると、二番目に、サンボアンガ市のフィリピン軍空軍基地における米比共同演習終了後もローテーション制度で在沖米兵らが対テロ訓練を名目にしてフィリピンに駐留したいと、それから、現在五百人ほどの規模の米兵がフィリピンに駐留しているようですが、これを全ミンダナオ島において数千人に拡大したいと、そういう要請が米軍からなされたということが報じられているんですが、これは全く事実無根でしょうか。外務大臣は何かお聞きになったことがございますか。
  258. 町村信孝

    国務大臣町村信孝君) 日米間ではそれはいろいろな話はしておりますが、アメリカとフィリピン政府との間でどういう話が行われているかということについて私どもは承知をしておりません。
  259. 大田昌秀

    ○大田昌秀君 いま一つ外務大臣にお伺いいたします。  普天間基地を抱えている宜野湾市の伊波市長は、去る七月、ワシントンDCやカリフォルニア州のオーシャンサイド市、そしてサンディエゴ市などを訪問し、沖縄の米軍基地負担の軽減について協力を要請しています。伊波市長の要請に対して、サンディエゴ市の上級政策補佐官は、可能なら普天間飛行場を受け入れたいと答えたと報じられております。  このように、在沖米軍の米国内への移転の可能性があると思われますが、米国との協議の中で在日米軍のアメリカへの移転ということは話し合われたでしょうか。  これは私が個人的に体験したことで、普天間の方はグアムやハワイが歓迎するということをはっきりと申しておりました。それは、ただし日本政府が正式に要請したら柔軟に対応するというお答えでございましたけれども、これまで沖縄県内でのたらい回しということで随分悪評を買っておりますが、どうして国外へ移転することは検討されないんですか。
  260. 町村信孝

    国務大臣町村信孝君) これまで累次申し上げておりますように、抑止力の維持と沖縄を始めとする地元の負担軽減と、これが二つの基本的な視点であるということは累次申し上げてきているところであります。したがいまして、負担軽減の中には、当然沖縄にいる米兵の数の減少と、削減ということも当然一つのテーマにはなってくるわけでございます。それがどこに行くのか分からない分、先ほど例えばフィリピンというお話がありましたが、そこまで私どももよく承知をしておりませんが、当然米軍の一部が米国の領土内に帰るというか移るというか、当然そういう、それはそういう可能性はあり得る話であるということでございますが、今最終的な詰めの段階に来ておりますので、その具体の話を今ちょっと申し上げる段階には申し訳ありませんがありませんが、できるだけ早い機会のうちにこれを中間的な報告書として取りまとめ、沖縄を始めとする皆様方によくお話をし、御理解を得る努力をしていきたいと、かように考えているところであります。
  261. 大田昌秀

    ○大田昌秀君 いま一つ外務大臣に、これ通告しておりませんが、基本的なことですからお許し願いたいと思います。  SACOの最終報告を改定しないままに、今問題になっておりますように、やれ海上にするとか陸上にするとかという、そういうことはできるわけですか。つまり、私は以前に、SACOとは一体何ですか、条約ですか、何ですかとお聞きしたことがあるんですが、SACOが閣僚会議において内容が大分変わりました。そしてまた、今SACOの最終報告とは関係のないような議論がなされているわけなんですが、SACOというのは、改定しないままに、勝手に日米政府がこうしたいということで決定できるわけですか。
  262. 町村信孝

    国務大臣町村信孝君) この点についても、この議論国会で累次御質問をいただいている中で、私どもの方からは、SACOそのものを対象にした議論はしておりません、ただ、この再編協議の中でSACOの決定にかかわりを持つものも当然出てくる可能性はあらかじめ排除しているわけではありませんと、こういう御返事をしてまいりました。  したがいまして、中間的に出された結論、そしてその後の検討を経て最終的に決まる決定の中身がSACOと違うものであれば、当然それは、SACOといってもいろんな内容が多岐にわたるわけでありますから、SACOの合意全部がなくなるということではございませんが、部分的にせよ、ちょっと言葉はあれですが、SACOの合意を一部改定をするというような手順は踏まなければいけないことになるのかなとは考えております。
  263. 大田昌秀

    ○大田昌秀君 防衛庁長官にお伺いいたします。  先日も、新聞報道の中身について、どうも実際と違うという趣旨の御発言もございましたけれども、読売新聞というのは日本で最大の、七百万の発行部数ですか、最大の発行部数を誇っている新聞でございますけれども、その読売新聞が十月九日付けで、日米政府が米軍再編協議で大筋一致した内容が明らかになったということを報じておりまして、実に具体的な中身を報じておるわけです。  その骨子は、第一に、沖縄のキャンプ・コートニーの米海兵隊第三遠征軍司令部をグアムに移転させ、隊員数千人を減らすと。第二に、米空軍嘉手納基地のF15戦闘機の訓練の一部を本土の宮崎県新田原、福岡県築城、北海道千歳の各航空自衛隊基地に分散移転させる。第三に、普天間飛行場の空中給油機十二機を鹿児島県の海上自衛隊鹿屋基地に移転させる。第四に、普天間の有事の際の大型滑走路機能を宮崎県新田原と福岡県築城の両基地に代替させるというふうになっております。  それから、自衛隊基地の米軍による共同使用の話も浮上していますが、これだけ具体的に中身が報じられるということは、どうやら政府のリークがあったのか、あるいはアメリカ側のリークがあったのかそれは知りませんけれども、ここまで踏み込んで報じるというのには、やはり新聞社が、七百万の部数を誇るだけに、ある程度自信を持って報じていると思いますが、この点、いかがなんでしょうか。
  264. 大野功統

    国務大臣大野功統君) まず、そのような読売新聞の報道があったことは私も存じております。自信を持って報じたかどうかは私のコメントするところではございませんけれども日米の協議というのは真剣に今行われている最中でございます。もう最終段階と私は思っています。この問題、できれば町村外務大臣とともに十月中には何とか中間報告の大筋を出していきたい、このように思っているところでございます。  その、どういう心でやっているのか、これは大臣町村大臣もお述べになりましたけれども、やはり負担の軽減と抑止力の維持、そしてそれを可能にしてきているのが言わば軍事面における科学技術の発展であり、そしてアメリカ軍と日本の土地との、基地との関係じゃなくて、自衛隊とアメリカとの関係、つまり共同対処とか情報の共有とか、あるいは災害、国際的な災害があった場合でも共同で対処していこうとか、こういう気持ちが一つあって、その上でやはり、そういうことに伴って軍事技術の発展によりまして機動力、展開力、そういうものも増えてきている。こういう問題も総合的に考えながら、抑止力の維持と負担の軽減を念頭に、二つの大きな柱として今懸命に頑張っているところでございます。  ということで、ここに今具体的に四つ、もう先生にわざわざ挙げていただいて恐縮でございますけれども、個々具体的な話につきましてはちょっと、まだまだコメントをさせていただく段階じゃございませんし、いずれ明らかにさせていただく、説明責任を果たさせていただくことをお約束しまして、本日は御勘弁をいただきたいと思います。
  265. 大田昌秀

    ○大田昌秀君 最後にあと一点だけお伺いしますが、せんだって、さき委員会で、私がなぜアメリカの海兵隊が沖縄に駐留するのかということをお伺いしましたところ、長官は、沖縄の地政学的な面が大きいだろうという趣旨のお話でございました。今長官は軍事技術の発達ということをおっしゃったわけなんですが、私が手に入れているアメリカの軍事評論家とかあるいは大学の研究者たちのその論文なんかを読みますと、決して沖縄の地政学的な面が在沖米軍の海兵隊の沖縄駐留の要因ではないということが書かれているんですね。つまり、今おっしゃった軍事技術的なものとか、それから従来の対称的な戦争じゃなくて非対称的なエマージェンシーに対応するために世界各地に置くんだというようなことで、何も沖縄に固定する必要はないという趣旨なんですが、その点について改めて確認させてください。
  266. 大野功統

    国務大臣大野功統君) 沖縄の地理的な位置についての問題点であります。  せんだって申し上げましたとおり、沖縄の地理的特性というのがあります。それはもちろん、歴史的な背景というものももちろんございますけれども、その上に立って沖縄の地理的特性というのを見てみますと、やはり東アジアの各地域に対してアメリカ本土やハワイ、グアム等からより距離的に近いわけでございますし、緊急な展開を必要とする場合に迅速な対応ができる、このことは念頭に置いておかなきゃいけないと思います。  それからもう一つは、沖縄という地理的な位置というのはこのアジア諸国に対して比較的均等な距離を保っている、このことも考えていかなきゃいけない。  そういう意味で、大変に沖縄に御負担をお掛けしているわけでありますが、先ほど申し上げましたような新しい日米同盟の変革。変革ということは、言わば、先ほど申し上げましたように、共同作業をする、あるいは軍事科学技術の発達によって情報力とか展開力あるいは機動力、そして爆発力、こういうものを考えまして、やはり何とかこの抑止力と負担の軽減を両立させていけないものか、こういう気持ちでやって、協議を続けているわけでございます。  今日はもたもたした答弁で申し訳ありませんけど、いずれ近いうちにはっきりとした説明責任を果たさせていただきたいと、このように思っています。
  267. 大田昌秀

    ○大田昌秀君 あと一点だけ短い質問でお願いします。  今歴史的とおっしゃったんですが、その歴史的ということはどういうことでしょうか。それともう一つは、関連して、仮想敵国が確定していればグアムとかハワイから来るのは遠過ぎるということになるわけですが、たしか防衛庁の防衛白書には仮想敵国は設定されてないと私は思うわけなんですが、だとすればちょっとおかしいと思うんですが、その歴史的な問題と今の点について最後にお伺いしたいと思います。
  268. 大野功統

    国務大臣大野功統君) 歴史的と申し上げましたのは、やはり第二次世界大戦の終わりに米軍が沖縄に上陸侵攻してきたことでございます。やはり沖縄を拠点に米軍が存在したということの意味は私は忘れてはいけない、このように思っております。そういう意味で、沖縄の皆様には本当に負担をお掛けいたしておりますけれども、その点については我々、度々申し上げておりますように、沖縄を中心として負担の軽減に努めてまいりたい、こういう気持ちで臨んでいるわけでございます。  それから、アジアの情勢について、防衛庁は脅威などないと言っているではないかと、仮想敵国などないと言っているではないかと、こういう御指摘でございますけれども、私は今朝も申し、先ほども申し上げたと思いますが、北朝鮮の存在というのは大きな大きな不安定要因でございます。そういう意味で、その他申し上げてもいいんですけれども、時間の関係もごさいましょうから。  まだまだそういう不安定要素があるという問題、それから新しい国際安全環境、安全保障環境の下で、島嶼防衛の問題、ゲリラ、テロに対してどうするのか、国際的な緊急援助をどうしてやるのか、こういう様々な課題が残っているわけでございます。  そういう意味で、国際緊急援助を素早くやっていくアメリカ海兵隊の役割、こういうことも私は念頭に置いておかなきゃいけないのではないか、このように思っています。
  269. 大田昌秀

    ○大田昌秀君 終わります。
  270. 林芳正

    委員長林芳正君) 他に御発言もないようですから、質疑は終局したものと認めます。  これより討論に入ります。──別に御意見もないようですから、これより直ちに採決に入ります。  まず、万国郵便連合憲章の第七追加議定書万国郵便連合一般規則及び万国郵便条約締結について承認を求めるの件の採決を行います。  本件を承認することに賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  271. 林芳正

    委員長林芳正君) 全会一致と認めます。よって、本件は全会一致をもって承認すべきものと決定いたしました。  次に、郵便送金業務に関する約定締結について承認を求めるの件の採決を行います。  本件を承認することに賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  272. 林芳正

    委員長林芳正君) 全会一致と認めます。よって、本件は全会一致をもって承認すべきものと決定いたしました。  なお、両件の審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  273. 林芳正

    委員長林芳正君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後三時十一分散会