○馬淵澄夫君 石破議員の御質問にお答えをいたします。
石破議員は、質問の
最後で、建設的かつ有意義な議論をと御発言になりました。しかし、御質問は、一部の
言葉じりだけを抜き出し、都合のよい解釈をして批判を加えているとしか思えません。建設的で有意義な議論とはほど遠いものであり、本当に残念であります。民主党が変節したかのような御批判、あいまいで先送りしているとの御指摘は当たらず、
国民に大きな誤解を与えるものであり、まことに心外であります。(
拍手)
具体的に申し上げます。
民主党は、当面は
公社のままで
改革を進めていくが、将来の
事業内容や組織形態についてはあらゆる選択肢を否定しないと申し上げてきました。職員の身分についても、
事業、組織の変革に応じて見直すと申し上げてまいりました。一方で、
政府案の
株式会社化は、
民営化の名に値しない、民の顔をした官の特殊
会社をつくる
株式会社化だと指摘してまいりました。この点において、今回の
法律案はこれまでの我々の主張の延長上にあり、御批判は全くの見当外れであります。民主党は、これまでの政策を覆したのではなく、これまでの政策により磨きをかけ進化させたのであり、いささかのぶれもないことをはっきりと申し上げたいと
思います。
その上で、我々は、総
選挙で示された民意を真摯に受けとめ、今回、こうして
政府案に対する民主党の
考え方を
法律案として国会に
提出し、真に
国民のためとなる建設的な議論に臨もうとしています。
我々は
改革競争を訴えます。どちらが真の
改革者であるか、これを明らかにしようではありませんか。我々は、
改革のスピードを一段とアップし、常に
改革の先頭を走り続ける決意であります。(
拍手)
そこでまず、新
会社の
経営見通しについてお答えをします。
我々の
法律案では、
定額貯金の廃止や
預入限度額の引き下げにより、
郵便貯金の
資金量を大幅に縮小することとしています。具体的には、二〇一六年度の
貯金量は百兆円程度になるものと見込んでいます。実際、
預入限度額が五百万円だった一九八九年当時の
貯金量は百三十兆円だったことからも、百兆円という想定は妥当なものと考えています。
この結果、
郵便貯金会社の収益は
政府案に比べれば当然ながら落ちますが、
郵政民営化準備室による、
政府による骨格
経営試算と同様の前提条件の
もとで行った我々の試算では、二〇一六年度において、郵政
公社で三百億円、
郵便貯金会社で九百億円、合計一千二百億円程度の経常利益を見込んでおります。
その先の収支についても、
郵便事業がいつまでも一本調子で落ち続けるとは考えられず、さらなる
経営合理化や国際物流など、
民業圧迫とならない
範囲での新規
業務を行えば、
経営は十分に成り立つと考えます。さらに、二〇一二年九月までに
郵政保険会社の
株式をすべて売却することから、この売却益も入ります。したがって、公的
資金の投入を前提とすることなく、独立採算での
経営は十分に成り立つと考えます。
政府案は、新
会社にさまざまな新規
事業を行わせ、収益を上げさせようとしていますが、これはまさに
民業圧迫であります。新
会社は税金を納めるのだから財政にも寄与するなどと胸を張っておられますが、マクロで見れば、新
会社が新規
事業をやればやるほど
民間部門の仕事が奪われ、税収も減るんです。わかりやすく言えば、
郵便局が地方でコンビニをやれば、近隣の商店は疲弊し、地域
経済は衰退、全体の税収も減るのであります。
民間が行うべきことと官が行うべきことをはっきりさせる、これが我々の
理念であります。
次に、
郵便局のネットワークと二十六万人の雇用、これを維持できるのかというお尋ねでありました。
ただいまお答えしたように、郵政
公社及び
郵便貯金会社は、いずれも公的
資金の投入を前提とすることなく独立採算で
経営が成り立つと見込まれ、
郵便局のネットワークは十分に維持可能であります。雇用についても、我々の試算では、
政府の骨格
経営試算と同様の前提条件を置けば、
政府案並みの人員削減で対応可能だと考えます。
さらに、我々の
法律案は
公社形態のままで、
発展性は制約される、こういう御指摘がありました。
私は、このような御質問にこそ、我々の
法律案と
政府案の基本
理念の違いがあらわれていると考えます。すなわち、繰り返しになりますが、
民間が行うべきことと官が行うべきことをはっきりさせるべきであり、民の顔をした官である特殊
会社にさまざまな新規
業務をやらせようというのは、
民業圧迫にほかならないということです。官は官が行うべきことに専念し、出しゃばって
民業圧迫をすべきではないんです。
また、
郵政保険会社を分割することは
経営上のリスクが高まる危険性があるとの御指摘ですが、これも全く逆です。金融の世界では、規模が大きくなるほど、ガバナンスのリスクや金利変動のリスクなど
経営上のリスクが高まっていきます。例えて言えば、太古の時代、巨大になり過ぎた恐竜が、環境の急激な
変化に適応できずに滅んだようなものであります。巨大な特殊
会社、こんなものをつくり出し
市場をゆがめる
政府案よりも、分割した上でスピーディーに
民営化を図る我々の
法律案の方がより
市場親和性が高いという、さまざまなマスコミ、新聞論説の評価もいただいております。
郵政保険会社の
株式を五年間で売却する、このことが金融、
経済の実態にそぐわない絵そらごとであるとの御指摘については、何を根拠に言われるのか全く理解できません。金融の世界では、非常なスピードで技術革新が進んでいます。MアンドAに対する
関心が高まっていることも御案内のとおりであります。
同様に、郵政
公社などに
財投債を保有させないことが金融、
経済の実態にそぐわない絵そらごととの、あわせての御指摘についても、見当違いの御指摘だと言わざるを得ません。
そもそも、
小泉総理が
特殊法人の抜本
改革に着手し、安易な
財投債発行を許さないのであれば、このような
規定を設ける必要はないんです。しかし、現実には、
小泉総理は四年間で百二十兆円もの
財投債を
発行し、
特殊法人等を温存しています。この背景には、郵貯、簡保が
財投債の引き受けマシーンと化しているという事実があるんです。
財投債の引き受けを理由に我々の案を非難する前に、まず、徹底した
特殊法人や
独立行政法人の
改革を行い、安易な
財投債発行を行わないで済むようにすることが求められているのではないんでしょうか。(
拍手)
金融の世界では、同一の
発行体が
発行する債券であっても、格付が異なることは十分にあり得ます。例えば、担保つきと無担保では回収リスクに差があります。担保つき債券よりも無担保債券の格付が低いといったことがあります。
国債と
財投債は、国が
発行体であるということは同じですが、国債が将来の税収を償還財源とするのに対し、
財投債は
特殊法人などからの収益を償還財源とすべきものです。したがって、赤字を垂れ流して放置されてしまっている
特殊法人が多いことを考えると、
財投債の方が明らかに回収リスクは高いと考えます。
我々の考えは、国債と
財投債のリスクの違いを明らかにして、財政規律を働かせることにより、抜本的な
特殊法人改革を進めようというものであり、まさに金融、
経済の実態を踏まえた
改革であります。
最後に、我々の
法律案と
政府案は大きくスタンスが異なっているという御指摘はそのとおりだと考えます。民の顔をした官の特殊
会社をつくり、
民業圧迫を推し進める
政府案と、
民間が行うべきことと官が行うべきことをはっきりさせる、
民間経済を
活性化させる我々の
法律案のどちらが本当に真の
改革の名に値するのか、今後の論戦で明らかにしていきたいと
思います。
ぜひとも、
国民にとって建設的かつ有意義な御議論をお願い申し上げます。
ありがとうございます。(
拍手)
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