○荒井
委員 拉致問題を
解決するのには、
日朝の二国間だけでは大変難しいというのははっきりしたわけですね。私は、今度の三
分野で並行
協議をやるというのは、これは大丈夫かな、そういう懸念をちょっと持ちます。
というのは、
拉致問題が最大の
懸案であって、ここを
解決しない限りそれ以降は絶対進まないよと言う方がはるかに強かったわけで、しかも今までそれを言い続けてきたわけですけれ
ども、今度は三
分野並行だというと、これは
拉致問題は少しレベルが下がったのかねというメッセージを私は伝えているような気がして仕方がないんですよ。
これは
外務省の一つの戦略ですので、外交の一元化ということもありますから、そこについては私は深くこの場で
議論をしようとは思いませんけれ
ども、そういう懸念があるということ、誤ったメッセージを伝えているかもしれないですよということを申し上げておきます。
ところで、
北朝鮮が六カ国
協議に応じてくる、あるいは二国間の
協議にもある程度応じてくる、そういうきっかけといいますか、そういう状況というのは、私は、やはり
北朝鮮を含むマルチのいろいろな
圧力が働いた。特に、国連での人権
委員会やあるいは国連総会で
北朝鮮の人権問題について各国からかなり批判が出てきた、これは私は物すごく大きなことだったんではないか。
こういうふうに、
北朝鮮外交、
北朝鮮との交渉をやる場合には、二国間だけじゃなくて、多国間をどうやって巻き込んでいくのか。本当は、多分、中国とロシア、韓国なんだと思うんです。この三カ国にさまざまな形で
拉致問題の
解決のために
協力してもらうというのが絶対必要だと思うんですけれ
ども、今どうも韓国や中国との関係は非常によくないですから、そういう
議論はなかなかできないのかもしれませんけれ
ども、これはやはり多国間、多国を巻き込んでいく、国連の場や、あるいは今度の日米交渉や、あるいは日韓交渉などでも、それを必ず向こう側に
協力をしてもらうように要請をし続けるということが絶対必要だというふうに思うんです。
最近、
拉致問題については、
拉致された被害国が、マレーシアだとかあるいはタイだとか、多国に及んでいるということも新聞などで入っているわけですから、そういう国も巻き込んで、この
拉致問題をどういうふうに多国で支援をしていくというか、
圧力をかけていくのかという戦略を組むべきだと思うんです。
ところで、
外務大臣、高木徹さんという方の書いた「戦争広告代理店」という、これはベストセラーになった本なんですけれ
ども、「
情報操作とボスニア紛争」という副タイトルがついています。このボスニア戦争をボスニアという国に有利なように導くのにどのぐらい広告、広報が大事だったか、そのためにどういう手法を用いたのかということを克明に書いてある本なんですね。
私は、特に国連外交なりあるいは多国間の
拉致問題に関して
圧力を強めようとしたならば、この本を絶対読んで、そしてこの本の
意味しているところ、国際世論をどういうふうにつくり上げていくのかということをもっと強固に
日本の外交戦略としてやるべきだと思うんですけれ
ども、いかがでしょうか。