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2005-10-27 第163回国会 衆議院 日本国憲法に関する調査特別委員会 第5号
公式Web版
会議録情報
0
平成十七年十月二十七日(木曜日) 午前九時
開議
出席委員
委員長
中山
太郎
君
理事
愛知 和男君
理事
近藤
基彦君
理事
福田 康夫君
理事
三原 朝彦君
理事
保岡
興治
君
理事
枝野 幸男君
理事
古川 元久君
理事
赤松 正雄君 井上 喜一君 伊藤
公介
君 石破 茂君 大村 秀章君 加藤 勝信君 河野
太郎
君 佐藤 錬君 柴山 昌彦君
鈴木
淳司
君 高市 早苗君
渡海紀三朗
君 中谷 元君 野田 毅君 葉梨 康弘君 早川 忠孝君 林 潤君
平井たく
や君
藤田
幹雄
君 二田 孝治君 船田 元君 松野 博一君
宮下
一郎
君 森山 眞弓君 山崎 拓君 吉田六
左エ門
君 岩國 哲人君 小川 淳也君 逢坂 誠二君
岡本
充功
君
北神
圭朗
君
佐々木隆博
君
仙谷
由人君 園田 康博君
田中眞紀子
君 平岡 秀夫君
三谷
光男
君 太田 昭宏君 高木 陽介君 福島 豊君 笠井 亮君
辻元
清美君 滝 実君 …………………………………
参考人
(
成蹊大学法学部講師
)
福井
康佐
君
衆議院憲法調査特別委員会
及び
憲法調査会事務局長
内田 正文君
—————————————
委員
の異動 十月二十七日
辞任
補欠選任
坂本
剛二君
宮下
一郎
君
渡辺
博道
君
藤田
幹雄
君
北神
圭朗
君
佐々木隆博
君
鈴木
克昌
君
岡本
充功
君 同日
辞任
補欠選任
藤田
幹雄
君
渡辺
博道
君
宮下
一郎
君
鈴木
淳司
君
岡本
充功
君
鈴木
克昌
君
佐々木隆博
君
三谷
光男
君 同日
辞任
補欠選任
鈴木
淳司
君
坂本
剛二君
三谷
光男
君
北神
圭朗
君
—————————————
十月二十五日
憲法改正国民投票
法案反対に関する請願(
赤嶺政賢君紹介
)(第一五七号) は本
委員会
に付託された。
—————————————
本日の
会議
に付した
案件
日本国憲法改正国民投票制度
及び
日本国憲法
に関する件 ————◇—————
中山太郎
1
○
中山
委員長
これより
会議
を開きます。
日本国憲法改正国民投票制度
及び
日本国憲法
に関する件について
調査
を進めます。 本日は、
本件調査
のため、
参考人
として
成蹊大学法学部講師福井康佐
君に御
出席
をいただいております。 この際、
参考人
に一言ごあいさつを申し上げます。 本日は、御多用中にもかかわらず御
出席
をいただきまして、まことにありがとうございます。
参考人
のお立場から忌憚のない御
意見
をお述べいただき、
調査
の
参考
にいたしたいと存じます。 本日の議事の順序について申し上げます。 まず、
福井参考人
から四十分以内で御
意見
をお述べいただき、その後、
委員
からの質疑に対しお答え願いたいと存じます。 なお、発言する際はその都度
委員長
の許可を得ることとなっております。また、
参考人
は
委員
に対し質疑することはできないことになっておりますので、あらかじめ御
承知
おき願いたいと存じます。 御発言は着席のままでお願いいたします。 それでは、
福井参考人
、お願いいたします。
福井康佐
2
○
福井参考人
本日は、お招きくださいまして、まことにありがとうございました。
福井康佐
と申します。 私は、
国民投票
及び直接
民主制
の諸
制度
を
研究
している者でございます。本日は、
憲法改正国民投票
につきまして、
国民投票
という視点から、その
制度
の
運用
の
あり方
、
問題等
をお話しさせていただきます。よろしくお願い申し上げます。 本日お話しさせていただきます
内容
は、お手元の
レジュメ
にございますように、次の二点でございます。
一つ目
は、
日本
の
憲法改正国民投票
の
性質
と
運用
の
指針
でございます。ここでは、
憲法改正国民投票
を、世界じゅうの、特に私が
研究対象
としておりますところの
アメリカ
、
西ヨーロッパ
の
国民投票
を分析する枠組みの中に位置づけて分析したいと存じます。そして、その中で
運用
上の
指針
を申し上げる予定でございます。
二つ目
としましては、諸
外国
の
国民投票
の
運用実態
に照らしまして、
憲法改正国民投票
の
運用
上の
問題点
とその
解決策
を示していきたいと思います。 それでは、
最初
に、
憲法改正国民投票
と
運用
の
指針
のうち、1の
国民投票
の
分類
を簡単に御説明したいと思います。
国民投票
は、大きく
二つ
に
分類
することができます。
一つ
は、
発議
なしで行われます
義務的レファレンダム
というものでございます。ここで私が申しました義務的といいますのは、
特定
の問題の決定に当たっては必ず
国民
の
承認
を受けなければならないという
意味
でございます。例えば、
スイス
では、NATOのような
集団的安全保障機構
、あるいは
EU
のような超国家的な
国家機関
への加盟に当たっては、
国民投票
が必要的に
実施
されることになっております。また、
日本
の
憲法
九十五条、
一つ
の
地方特別法
の
承認
についての
住民投票
も、これも
義務的レファレンダム
の一種と位置づけることができると思われます。 ただいま
発議
なしで行われる
義務的レファレンダム
について申し上げましたが、もう
一つ
の大きなカテゴリーとしては、
発議
によって行われるいわゆる
任意的レファレンダム
というものがございます。これは、
三つ
に分けることができます。
一つ
は、
国民
が
発議
するもの。
二つ目
は、
大統領
が
発議
するもの。これは
フランス
型でございます。
三つ目
は、
議会
が
発議
する
タイプ
でございます。以上のような
三つ
に大きく分けることができます。 もう少し詳しく説明申し上げますと、1の
国民
が
発議
する
タイプ
の
国民投票
でございますが、さらに
三つ
に細かく分けることができます。
住民
が立法を行います、
法律
、
憲法
を
起草
し
制定
いたします
アメリカ
型、あるいは
議会
が立法いたしましたものを
成立
直後に
国民投票
にかけまして
国民
が拒否する
スイス
型、
三つ目
としましては、既存の
法体系
にある
法律
の廃止を求める
イタリア
型がございます。 先ほども申しましたように、二番目は
フランス
型でございまして、三番目としましては、
議会
が
発議
する
タイプ
の
国民投票
でございます。 これも
幾つ
かに分けられるのでございますが、簡単に申しますと、その中でも、
議会
の特別多数が
発議
する場合。例えば、
日本
も含めまして、三分の二でありますとか、
デンマーク
の
国民投票
の中には、
EU
などに加盟する場合には六分の五、そういう
発議要件
がございます。それから、
通常
の
単純多数決
を
発議要件
とするもの。そしてもう
一つ
、
議会
の三分の一というような、
議会
の
少数派
が
発議
する
国民投票
がございます。 以上の
三つ
でございます。 続きまして、このような
分類
から見てみますと、
日本
の
憲法改正国民投票
は、
発議権
が
議会
多数派にある、特に特別多数にある、三分の二でございますから、
議会
多数派が主導する、私はこれを
議会
多数
派主導型国民投票
と申し上げておりますが、それに該当するということができます。 これを、
国民
の
意見
を
反映
する
民意反映
という点から見ますと、この
プロセス
は三
段階
に分かれております。 一番目の
プロセス
としましては、
憲法改正
を
論点
として、あるいは公約として各
政党
が問う形の
国政選挙
を
実施
します。もちろん、これに対しましては、
両院
の
選挙
を指すのか片方を指すのかという
議論
がございますが、とりあえず、
憲法改正
を
論点
とした
国政選挙
を行うこと。二番目の
プロセス
としましては、
国会
の
議論
による、
合意形成
による
発議
という形でございます。三番目といたしましては、ここで
国民投票
が行われます。 ここで、
最初
の
プロセス
の、
国民
に
憲法改正
を問う形の
国政選挙
の
プロセス
が欠けておりますと、仮に二番目の
プロセス
で
国会
で
合意
が形成されたとしても、諸
外国
の
運用
を見ますと、三番目の
国民投票
のレベルで否決されてしまうことが少なからずございます。例えば
デンマーク
とか北欧といった例では、
議会
でなされた
合意
が
国民投票
で否決されてしまうということがございます。つまり、
政党
、
政治家
あるいは
労働組合
、財界といった上部の
政治階層
だけでなされた
合意
が
国民
に結局最終的には支持されなかった、実はそういう
事態
も発生し得るわけでございます。 また、
発議要件
の、
衆議院
、参議院の
両院
の三分の二という
要件
は、逆に言いますと、実質的には、三分の一の残りの
議員
に
拒否権
を与えているということを
意味
します。恐らく、予想されますところ、実際の
国民投票
の
発議
は、場合分けとしたのでございますが、Aの、
両院
の三分の二を超える大きな
与党
の
誕生
あるいは
与党連合
の
誕生
か、Bの、与野党の、もしくは
政党
の枠を超えた
合意
が形成された場合に
発議
がなされるのではないかと私は予想しております。 御
承知
のとおり、現状はAに近いのでございますが、Aではございません。したがって、Bの場合のとおり、全
国会
的な
コンセンサス形成
が求められるのではないかと思われます。 また、御
承知
のとおり、
憲法
というのは
最高法規
でございますから、特段の
国会
における討論と慎重な御
議論
が求められるのではないかと思われる次第でございます。 三番目に、今このように、
日本
の
憲法改正国民投票
につきまして、
性質
を申し上げてきたわけでございますが、それでは、このような
憲法改正国民投票
の
運用
上の
指針
について申し上げたいと思います。これは、私が考えるという点でございますが。 仮に、近い将来、
憲法改正
が行われると考えますと、
選挙
による
民意
の
反映
という
プロセス
が私は欠けているのではないかと考えます。そうすると、
改正案づくり
には、できる限り
国民
の
意見
を
反映
する機会をつくり、そして、
国民投票実施
に当たっては、慎重な
手続
の
制定
と
運用
が望ましいのではないかと思われます。 ここで、私の
国民投票
の
運用
の
あり方
についての考え方を申し上げたいと思います。
国民投票
を
実施
するに当たっては、諸
外国
の
運用
を十分に観察し、できる限り
国民投票
の
乱用
、
問題点
を減らす方向で
制度形成
を、そして
運用
をしていくべきではないかと思われます。つまり、
乱用
の
抑制
、
問題点
の
抑制
というのがポイントであると思われます。 そこで、
国民投票
の
乱用
あるいは
問題点
とは何かということが焦点になるのでございますが、私は、きょうの
レジュメ
には書いてございませんが、
国民投票
の
問題点
というのを四点
指摘
させていただきたいと思います。 まず第一点は、
国民投票
の結果が
国民
の多数の
意思
をあらわさないこと、これが
問題点
その一でございます。
国民投票
の結果が
国民
の多数
意思
をあらわしていないこと。これは欧米の学者が、フォールスマジョリティー、不真正な多数である、そういう言い方をしております。具体的に申し上げますと、
投票率
が低いために
少数
の
国民
によって重要な事項が決定してしまう。これは本当の
国民
の
意思
をあらわしていないのではないかという批判でございます。 二番目の
問題点
としましては、特に
アメリカ
の
住民投票等
で
指摘
されていることでございますが、
国民投票
、
住民投票
が社会の中の
少数者
、いわゆる
マイノリティー
の
人権
が侵害されるきっかけになっている、そういう
指摘
がございます。確かに
アメリカ
では、
住民投票
が
黒人等
、あるいはゲイと言われる
同性愛者
の
方々
の
マイノリティー
に対する差別の手段となっていることが
指摘
されております。 ここで問題なのは、
アメリカ
の
運用
を見ておりますと、特に
法律
の形で立法化されまして差別されたのでございますと、
裁判所
がいわゆる最後のとりでになりまして
違憲審査権
を行使して
憲法違反
にする、そういうことは可能なのでございますが、なかなか想定しにくいことではございますが、仮に
憲法
に、
マイノリティー
の
方々
の
人権
を実質的に侵害するような形になって、それが
規定
されますと、
憲法
ではそれはなかなか救済することが難しい。
最高法規
になってしまうと
裁判所
による救済がなかなか難しいということがございます。これが
指摘
されております。 三番目の
問題点
としましては、
民意
が正確に
反映
されない。こちらの
委員会
でも随分御
議論
されているということでございますが、
改正案
や
投票案件
が
一括
で
投票
に付されるために、個々の
争点
についての
民意
が細かく
反映
されない、そういうような
指摘
がされております。これについては後ほど詳しく説明申し上げたいと思います。 四番目の
問題点
として、
国民投票
の
投票
結果が、提案する側の
政治家
、特に
総理大臣
あるいは
大統領
といった
政治家
の
人気
と非常に直結してしまう、そういうことが
指摘
されております。 つまり、
ヨーロッパ
の
運用
を見ておりますと、
人気
のある
政治家
、首相、
総理大臣
が
国民投票
を
実施
しますと、非常に
賛成率
が高くなって通りやすくなってしまう。これを
リーダーシップ効果
と申し上げております。ちょうど逆の場合もあるんですが、
長期政権
になるような場合、あるいはさほど
人気
のない
政治家
が中心となって
国民投票
を
実施
する場合は否決されやすい。これは
ブーメラン効果
と呼んでおるのでございますが、逆のパターンもあるわけでございます。 つまり、
一つ
の
問題点
として、
国民投票
が
信任投票
あるいは
不信任投票
になってしまう、そういう
事態
が
指摘
されているのでございます。 以上のように、
国民投票
の
問題点
を
指摘
してまいったわけでございますが、このような
問題点
を
抑制
するような
制度設計
が我が国の
憲法改正国民投票
を
実施
する場合にも望ましいのではないかと私は考えます。 そのためには、
国民投票
の
通常
言われますところの
四つ
の
段階
。これは、このような形で
四つ
の
段階
になるのでございますが、一番目としては、
改正案
の
起草
の
段階
。二番目の
段階
としましては、
発議
の
段階
。つまり、
議会
における
合意形成
、
発議
の
段階
。三番目としましては、
選挙運動
の
段階
。四番目としては、
投票
及び
成立要件
の問題。
起草
、
発議
、
選挙運動
、
投票
、
成立要件
といった
四つ
の
段階
におきまして
乱用
を
抑制
するような装置を置くべきではないかと思われます。 これは、私は
国民投票
の
乱用
を
抑制
する
フィルター
と呼んでおりまして、
日本
においてもこの
フィルター
をできる限り、先ほど来申し上げました
四つ
の
段階
に、
四つ
の
プロセス
につけるべきではないかと私は考えております。 続きまして、二番目の
憲法改正国民投票
における
実施
上の諸問題について御説明申し上げます。 まず、1の
改正案
の
起草
における
問題点
というところでございますが、ここでの
一つ
の
目標
は、先ほど申し上げましたように、
民意
をいかに正確に
反映
させるかという
目標
がございます。 まず、
内容
上の
問題点
でございますが、こちらの
委員会
の方でも御
議論
されておりますように、
一つ
は、大幅な
改正
及び
一括投票
という
問題点
がございます。その前には
全面改正
の
議論
がございますが、既に
議論
されていらっしゃるようですので省略させていただきまして、
全面改正
ではないけれども、
憲法
を大幅に
改正
する場合が想定されます。第三章の
人権
の
規定
全体を修正、削除、増補することによりまして
一つ
の
改正案
とする場合、あるいは、
統治機構
で新しい
制度
を導入する場合、
憲法裁判所
でありますとかあるいは
総理大臣
の
公選制
とか、そういうような新しい
制度
を導入する場合が想定されると思われます。 前者の
人権規定
の場合は、
人権
は御
承知
のとおり
一つ
一つ
違いますから、できる限り個別に
投票案件
、
改正案件
とすべきだと思われますが、後者の
統治機構
については、むしろ
一括
して
投票
すべきではないかということでございます。
性質
によって、
案件
の
性質
も変えていくべきではないかと思われます。 続きまして、
シングルサブジェクトルール
という
ルール
が、
幾つ
かの国で、これは
国民投票
上の
ルール
、
準則
として導入されております。そこにも書いておりますように、
一つ
の
投票案件
、
改正案件
には、
一つ
の
内容
を盛り込むべし、そういう
準則
でございます。
アメリカ等
多くの国でこの遵守が求められてございます。
シングルサブジェクトルール
の
趣旨
は、まず
三つ
あるのでございますが、第一の
趣旨
は、無
関係
な
争点
を組み合わせて
一つ
の
投票案件
、
改正案件
にすることの防止でございます。第一の
趣旨
につきましては、例えば、
人権規定
と
統治機構
の
改正案
を
二つ
組み合わせて
国民投票
にするようなことはしてはならないということでございます。 第二の
趣旨
としましては、
議員
間あるいは
政党
間の
なれ合い投票
、これは
政治学
上
ログローリング
と言われておりますが、それを防止することでございます。これは例えば、Aという
政党
の主張する
論点P
とBという
政党
が主張する
論点Q
を、
議会
で話し合いがついて、本来は別々にすべきところを、お互いの
支持者
が
投票
するであろうということで、P足すQということで
二つ
の
論点
を
一つ
の
改正案
にしてしまう、そういうことはやめた方がいいのではないか、そういう
ルール
でございます。 第三は、
憲法改正
に当たっては、急激で大幅な変化を
抑制
する、そういう
ルール
でございます。例えば、これは大幅な
改正
に近いことでございますが、
改正案件X
、Y、Z、Wと
四つ
を組み合わせて
一つ
の
改正案件
にしてしまいますと、これは大幅な
改正
ということになってしまいます。そうしますと、
憲法保障
という観点からしますと、このような
事態
はできる限り避けた方がいいのではないかということでございます。 また、この
シングルサブジェクトルール
は、もう
一つ
の
意味
としましては、
投票案件
、
改正案件
をできる限り明瞭で、わかりやすいものにすべきではないか、そういう
投票案件
の作成を求めているわけでございます。 諸
外国
の例について触れてみますと、
アメリカ
の州にございますし、また
アイルランド憲法
は、
国民投票
に付される
憲法改正案
にはほかの
改正案
を含んではならないと
規定
されております。同じく
スイス
では、
連邦議会
が、
投票案件
は、形式の
統一性
、それから
テーマ
の
統一性
、形と
テーマ
の
統一性
を
ルール
化しております。また
イタリア
では、
裁判所
が判例上、同じような
原則
を
ルール
化しております。 このように、
シングルサブジェクトルール
とほぼ同一の
規定
が
幾つ
かの国で置かれているということでございます。 本日、
参考資料
として提出申し上げました
イギリス
の
選挙委員会
の、これは
国民投票等選挙
を管理する
委員会
でございますが、ここにおきまして、
シングルサブジェクトルール
に近い、
レファレンダム
の
明瞭性
についての
ガイドライン
というものを発行しております。 ちょっと読ませていただきます。
レファレンダム
の
明瞭性
についての
ガイドライン
。
イギリス
の
選挙委員会
は、以下の十項目にわたる
ガイドライン
を示して、
国民投票
において、
投票者
が
投票
する問題の
文言
が、明瞭で、
理解
しやすく、
賛否両論
に対して中立的であるように求めております。明瞭で、
理解
しやすく、
賛否両論
に対して中立的である、このような
三つ
の
原則
と十の
ルール
をつくっているわけでございます。 すべて御紹介できないんですが、例えば、一番目の、
投票案件
は
投票者
の即答を促すものでなければならない、
投票案件
は明瞭でなければならず、
投票者
の解釈の余地を残してはならないとか、三番目の、
投票案件
の
文言
は
投票者
を故意に
特定
の結果へと導くものであってはならないとか、あるいは四番目の、
投票者
に予断を抱かせてはならない、
賛否両論
に配慮した
バランス
のとれたものでなければならないというような
ガイドライン
は、
日本
の
国民投票
の質問の仕方を考えるに当たっては非常に
参考
になるのではないかと思われます。 またもとに戻りまして、私としましては、
日本
の
国民投票法制定
に当たりましても、このような
シングルサブジェクトルール
を
国民投票法
に明記すべきではないかと思われます。
一つ
は、
憲法
にない限りはできないのではないかという御
議論
もあるかと思われますが、
憲法
になくとも、
法律条項
として
規定
するのは、明確な、そして正確な
民意
の
反映
、ひいては
国民主権
という
原則
に資するものではないかと私は考えます。 以上、大幅な
改正
及び
一括投票
、それから
シングルサブジェクトルール
ということを御説明申し上げたんですが、この問題は、実は、
投票案件
、
改正案件
の数と
国民
の対応という問題に
関係
がございます。 今申し上げた
二つ
の
原則
から申し上げますと、できる限り細かく
投票案件
を作成すべきではないかということになります。これは、正確な
民意反映
という点では大変望ましいことでございますが、しかし、諸
外国
の
国民投票
、
住民投票
の
運用
を見ますと、
投票案件
、
改正案件
が一定数を超えますと、特に二けたを超えてしまいますと、逆に、
国民
の
情報収集
が難しくなりまして、
理解
が困難となりまして、
投票率
の低下あるいは
棄権
の増加、
棄権率
が増加する、そういう
可能性
が
指摘
されております。つまり、
自分
に興味のあるもの、
自分
に
利害関係
のあるものについては真剣に考えて
投票
し、あとはよくわからないのでノーとする、そういうことが、特に
アメリカ
の
住民投票
などにおいては詳しい
研究
が提出されております。 したがって、この問題は非常に
バランス
が難しいということになります。細かくすると
民意反映
という点はよろしいのでございますが、多くしてしまうと逆に十分な
反映
がしにくくなる、そういうジレンマが発生するわけでございます。
一つ
の
解決策
としましては、
イギリス
の最近の
国民投票
では、
国民投票
の
投票案件
あるいは
改正案件
に
最初
に
説明文
がつくのでございますが、
国民投票
、
住民投票
におきまして、
住民
の
理解
を助けるために
最初
に
説明文
を多少つけるという
方法
もあるかと思います。例えば、
憲法裁判所
を設置するということでございましたら、
通常
の
裁判所
と
憲法裁判所
はどこが違うという点を三行ほど細かく説明申し上げた上で
賛否
を問う、そういう形もあり得るのではないかと思われます。 続きまして、
国民投票
におきまして申し上げました
一括投票禁止
、
シングルサブジェクトルール
に違反した場合はどうしたらいいか、そういう
手続
上の問題がございます。 これは、
一つ
は
事前
に
審査
する場合、もう
一つ
は事後に
審査
する場合という
二つ
の場合がございます。それぞれ説明申し上げたいと思います。 まず、
事前
に
審査
する場合でございますが、この
方法
としては、
裁判所
で
審査
する場合がございます。これは
アメリカ
あるいは
イタリア等
で行っている
方法
でございますが、もし仮に
日本
でこのような
シングルサブジェクトルール等
に対する
審査
を
事前
にしますと、恐らく
投票
前にすることになります。そうすると、
投票
前でございますと
投票者
の具体的な権利がまだ侵害されてございませんので、これはいわゆる現行の
選挙訴訟
のような
客観訴訟
あるいは
民衆訴訟
の形をとることになるのではないかと思われます。 ただし、このような
訴訟
は、
アメリカ
の
運用例
を見ますと、かなり高い確率で
事前
に
訴訟
が提起されまして、
アメリカ
では、
シングルサブジェクトルール
に対する
訴訟
が
国民投票
、
住民投票実施
を遅延させる原因の
一つ
となっております。そういう
問題点
が
指摘
されております。また、
裁判所
にこれはいろいろな
意味
で過剰な
負担
が、多くの
負担
がかかることも
指摘
されております。 簡単に申し上げますと、
シングルサブジェクトルール
と申しますのはなかなか
判断
が難しゅうございます。例えば、かつて沖縄で行われました
住民投票
が、
投票
の
案件
としまして、
米軍基地
の
縮小
と
日米地位協定
の
見直し
を両方問うものでございました。これは
シングルサブジェクトルール
という点からしますと、
米軍基地
の
縮小
と
日米地位協定
の
見直し
と申しますのは、ちょっと
関係
するような、微妙に違うようなものでございまして、この
判断
というのは大変微妙で、政治的なものを含まざるを得ないのではないかということは
指摘
されると思います。例えば、
憲法改正
におきましても、自衛軍の明記と
国民
の協力義務というものを
一つ
の
案件
にしますと、これが果たして
シングルサブジェクトルール
上、反しているのか、それとも反していないかという
判断
は、大変微妙なものになるのではないかということは考えられます。 続きまして、
裁判所
以外の第三者が
審査
する場合がございます。これは、先ほど申し上げました
イギリス
の
選挙委員会
が
審査
する形でございます。これは、第三者機関に対して諮問し、それを答申するという形でございます。
議会
はそれを尊重してという形でございます。
イギリス
では、実際に二〇〇三年の北部イングランドの
議会
設置の
国民投票
、
住民投票
に対して、
イギリス
の
選挙委員会
の答申に応じて修正しております。そういう第三者機関による修正という形もあるのかと思われます。 続きまして、事後の
審査
ということでございますが、
シングルサブジェクトルール
及びその他の
手続
的な瑕疵、
問題点
を
国民投票
が終わってしまってから
審査
するというのは、いろいろな
意味
で困難でございます。
最高法規
に
国民
の
意見
が
反映
されてしまい、例えば七割以上の
投票率
で八割の賛成、つまり五六%以上の
国民
が賛成したということでございますと、
シングルサブジェクトルール
に違反したとか
手続
的な瑕疵があったということを
指摘
するのは、事後では大変困難であるかと思われます。 現に、
アメリカ
でも、
成立
してしまったイニシアチブに対して、
シングルサブジェクトルール
違反の
審査
というのは、あるいは事後的な救済というのは大変少のうございます。また、
フランス
でも、御
承知
のとおり、ドゴール
大統領
が
実施
しました一九六二年の
国民投票
は、
大統領
直接公選を問題としたのでございますが、これは実は
手続
的に問題であったのでございますが、圧倒的な多数で可決してしまった後に
憲法
院に持ち込まれましたところ、実質的に
憲法
院は
審査
していない、そういう
事態
がございました。 ですから、事後的な
審査
は非常に難しいのではないかというふうに御
指摘
できるかと思われます。私の
意見
としましては、このような
投票案件
、
改正案件
に対する
審査
は、
議会
外の第三者機関による、
裁判所
以外の第三者機関による諮問という形が望ましいのではないかというふうに考えます。 あと
幾つ
かの問題を御
指摘
させていただきたいと思います。 続きまして、
投票
日の設定という点でございますが、
投票案件
、
改正案件
の周知徹底と
国民
の情報獲得のためには、
発議
から
投票
まで、ある程度長い期間が必要かと思われます、
情報収集
という点では。ただし、一般に、
投票
までの期間が長くなりますと反対票が多くなる、そういう傾向が
指摘
されております。これは後で申し上げますが、長いキャンペーンをする間に
国民
の間に不安が醸成されまして、次第に現状維持的傾向が出てきて、それで否決に導かれていく、そういうデータもございます。 三番目と申しまして、
選挙運動
期間における情報の流通という点を御
指摘
させていただきます。 一般に、
国民投票
、
住民投票
におきましては、
投票者
はどちらかといいますと改革よりも現状維持志向の
投票
行動をとると
指摘
されております。
アメリカ
におきましては、大量のテレビコマーシャル、ラジオのコマーシャル等で、
投票案件
、
改正案件
に対するネガティブキャンペーンと申しまして、反対、ノーであるというキャンペーンを大量に行っております。そのために、
投票者
の不安があおられて否決に持ち込まれる、そういうような
選挙
戦術が有効であると報告されております。この点、
アメリカ
では、お金のある方が
住民投票
に勝ってしまうことが非常に問題ではないかということを
指摘
されています。少なくとも、
住民投票
を否決するという点においては、資金力のある方が勝ってしまう、有効であるということが
指摘
されております。 これに対しましては、政府発行の
国民投票
、
住民投票
に対するパンフレットを利用しますとか、あるいはお金は一体だれが出しているんだ、そういうことを
指摘
することが
国民
のあるいは
住民
の
投票
のかぎになることが
指摘
されておりますので、
国民投票
の場合においてもそういう情報公開が
一つ
の
方法
になるのではないかと思われます。 そして、
幾つ
かの
問題点
としましては、
国民投票
を現在
制定
されない
事態
について簡単に申し上げますと、果たしてこのような
国民投票法
を
制定
されていないという現状が異常な
事態
なのかどうかという点が御
議論
されているかと思われます。 実は、世界じゅうの
国民投票
をちょっと調べてみますと、
国民投票
を
憲法
に
規定
されてあっても、
憲法
制定
後、しばらくその執行法が
制定
されていない国も
幾つ
かございます。例えば、アイルランドという国はしばらく
実施
されてもおらず、
イタリア
におかれましても二十年以上
国民投票法
が
制定
されておりませんでした。 また、実は、
国民投票
が
制度
化されておりましても、ほとんど事実上機能していない
国民投票
もたくさんございます。これはなぜ機能しないかと申しますと、
日本
の
国民投票
もその一種なのかもしれませんが、
発議要件
のハードルが高過ぎまして、これが原因となって機能していない場合、同じ理由なんですが、
政党
の配置状況、与野党の対立状況がこれを許さないというような
国民投票
がございます。そのため、
制度
化されておりましてもほとんど
実施
されていない
国民投票
が少なからずございます。 ただし、
国民投票法
を
制定
されてしまいますと、実際には
国民投票
の
運用
がふえていくということはございます。例えば
イタリア
は、
国民投票
を
制定
しましてから少しずつふえていきまして、現在
イタリア
は、世界的に見ますと
国民投票
がむしろ多い国と
分類
することができるかと思います。 最後になりますが、結びといたしまして、私の
意見
としましては、
日本国憲法
は硬性
憲法
であるということ、その硬性
憲法
であるということの
趣旨
は、
憲法
の改革を、急速な改革ではなく、いわゆるゆっくりとした、漸進主義的な改革を求めているのではないかと思われます。したがって、その精神を
手続
法の
制定
あるいは
運用
においても
反映
させるべきではないかと存じます。 続きまして、先ほど来申し上げましたように、
議会
主導型の
国民投票
でございますから、十分な
国会
内での
コンセンサス形成
を図り、時間をかけた十分な
議論
をなされるべきではないかと思われます。 三番目と申しましては、先ほどフォールスマジョリティー、不真正な多数決ということを申しましたように、まず
議論
を高めて、
国民
の間にその
議論
を喚起した上で、そして
国民
の参加を促す
制度
づくり、あるいは
議論
の持っていき方を図るべきではないかというふうに考えております。 そして、最後になりますが、私がちょっと危惧しますのは、まず
日本
は
国民投票
の経験が有史以来一度もないという点を
指摘
したいと思います。
乱用
を
抑制
するために、
国民投票
を一度も体験したことがございませんので、諸
外国
の
運用例
を
参考
にした上で、慎重な
運用
が求められるのではないかと思われます。 どうもありがとうございました。以上で終わらせていただきます。(拍手)
中山太郎
3
○
中山
委員長
以上で
参考人
の御
意見
の開陳は終わりました。
—————————————
中山太郎
4
○
中山
委員長
これより
参考人
に対する質疑を行います。 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。加藤勝信君。
加藤勝信
5
○加藤(勝)
委員
おはようございます。自由民主党の加藤勝信でございます。 きょうは、
福井参考人
には、諸
外国
についていろいろ御
研究
されている、そういうことをベースにお話を聞かせていただきまして、ありがとうございます。 まず
最初
に、現在この
委員会
では、含めて
国民投票法
といっても、
憲法改正
に関する
国民投票法
ということでいろいろ
議論
をさせていただいているわけでありますけれども、この
議論
をずっとこれまでさせていただきながら、これは私の所感でありますけれども、やはり
議論
の背景には
憲法改正
そのものに対する
意見
が色濃く出ているのではないかな、そんな思いをしながらこれまで聞かせていただきました。また、今のお話あるいは
事前
にいただいた
参考人
のお書きになられたものを読ませていただくと、
国会
には、自制的な
発議
、提案と重要
案件
についての真剣な討論は当面期待できないと、なかなか手厳しい御
指摘
もいただいているわけでありますし、また、確かに
国民投票
の経験が欠けている、これは事実でありますけれども、こういった御認識もあります。 こういう中で、まさに
憲法
第九十六条そのものに
改正
規定
がありながら、
憲法改正
の
国民投票
制度
が整備をされていない。私はそのこと自体が、あるいはまたこの
委員会
の多数の
意見
においても、いわば
国民
のそうした
改正
するという権限、これを制限してしまっている。中には
国会
の立法不作為ではないかなどという御
意見
もあるわけでありますけれども。他方で、そういう
議論
も基本的に
憲法改正
そのものと並行して
議論
すべきだ。確かにこういう御
意見
もあるのは事実でありますが、
参考人
御自身として、現状、この
憲法改正国民投票
制度
といいますか
投票
法律
というものを早期に
成立
すべきかどうか、その点に対する御
意見
をまずお聞かせいただきたいと思います。
福井康佐
6
○
福井参考人
申し上げます。 私としましては、
国民投票
と申しますのは、基本的には、最終的に
国民
がするものでございますから、代理人としての
国会
が御
議論
いただいているということですので、それが必要かどうかは
国民
が決める、あるいは
議会
が決めるということでございますので、私自身としては特に
意見
がございません。
加藤勝信
7
○加藤(勝)
委員
それと、
最初
に申し上げました、
国民投票
といっても、まさにここで
議論
する
憲法改正
に関する
国民投票
と、いわゆるいろいろなイシューといいましょうか事項を取り上げてくる
国民投票
と、私は差異がある、扱いが異なってしかるべきではないか、こういうふうに認識をしているんでありますけれども、諸
外国
において、今のずっと一連のお話を聞いていく中で、
国民投票法
制度
という一般的な
制度
と、それから特に
憲法改正
に係る
国民投票
という分とが、具体的にどういうふうに整理されているのか。基本的にはほぼ同じような
制度
の中にのっとって行われているのか、それとも全く別なものとして、ある部分は重複する部分があったとしても、基本的には別のものとして
運用
されているのか、その辺ちょっと教えていただければと思うんです。
福井康佐
8
○
福井参考人
多くの国々におきまして、
憲法改正
手続
の中に
国民投票
というシステムがございます。それと、多くの場合は別個の形で
国民投票
、むしろ
国民
の
意思
を
反映
する
制度
という形で
制度
化されていると認識しております。
加藤勝信
9
○加藤(勝)
委員
ということになりますと、
憲法改正
に対する
国民投票
制度
と、それからさまざまな
案件
に対して直接
国民
の
意思
を聞く
意味
での
国民投票
制度
というのが別に存在しているというふうな認識でよろしいんでしょうか。
福井康佐
10
○
福井参考人
そういうことでございますし、また、例えば
スイス
などは
国民
の側から立法をこういう形でしてほしいという形で
憲法改正
のイニシアチブというのがございますので、そういう形で、
法律
の
制定
あるいは
憲法改正
を願う
国民
の
意思
が発現される
制度
として
国民投票
、
レファレンダム
という
制度
があると認識しております。
加藤勝信
11
○加藤(勝)
委員
そういうことを含めて、これから
憲法改正
あるいはそれに向けての
国民投票
、初めての経験だということもありますから、相当イマジネーションを豊かにしながらいろいろなケースを考えてやっていかなければいけない。 そういう
意味
で、きょうのお話の中に
乱用
という話が出てきたわけでありますが、まだ一回もやっていないからすぐ
乱用
の話になるのかなという、若干そういうものも持ちながら、しかし、そういう
乱用
ということも当然想定しながら
制度
はつくっていかなければならないな、そんな思いをさせていただいたわけであります。 そういう中で、
国民投票
の方式というんでしょうか、
一括
か個別かという
議論
がなされたわけであります。いただいた御執筆の
内容
には、
憲法
の解釈論としては、
改正
規定
は
投票案件
や
一括投票
の問題について一義的な解答を有していない。要するに、
憲法
解釈上こうでなければいけないというわけではないという御認識の中で、しかし、今も御説明があった中で、個別方式が望ましい、こういう御
意見
だったというふうに私はお聞きしたんです。 ただ、今の
憲法
そのもの、ベースになる現行
憲法
そのものを考えたときに、この
憲法
は、もちろんこの間、
憲法
制定
以来すっかり
国民
に定着しているということはそのとおりだと私は認識をしておりますけれども、一方で、いわゆる押しつけ
憲法
論等々の
議論
があるわけでありまして、必ずしもその正統性というものに対して
国民
すべからく、そうだ、こう言い切る状況なのかな、こういう思いもするわけであります。いわんや、
憲法
総体においてはそうでありますし、さらには、各条文について言えばなおさらそういう思いがするわけであります。 そういうことをベースにした中で、
改正
する条文だけ、
改正
する部分だけが個々、個別方式という印象で、私が見ても、個々の例えば条文立てあるいは権利ごとということになりますと、ベースについて今申し上げたような
国民
の認識に対して、
改正
部分だけ非常に厳しいある
意味
では条件が付されているんじゃないかな。そういう
意味
で、
国民
の認識というんでしょうか、あるいはそのレベルによってちょっと
バランス
が欠けてしまっていくんじゃないか。 要するに、
改正
部分だけ個別に、個々に
国民
の
意思
を問うていくというと、
改正
部分は確かに
国民
の
意思
がはっきりあらわれている、しかしベースのところがまだそこまで至っていない、ややアン
バランス
なものを感じるわけでありまして、
最初
のスタート
段階
において、ここの中でのいろいろな
委員
からもお話がありましたけれども、現行のものも含めて一回確認をしてみる、こういう作業も必要ではないか、こういう
意見
も出されたわけでありますけれども、今の現行
憲法
をベースにした
改正
ということを考えたときでも、やはり個別であることが不可欠だ、こういうふうにお考えでしょうか。
福井康佐
12
○
福井参考人
御質問の
趣旨
でございますが、
国会
等である条文を
改正
すべきだということが仮に盛り上がったということであれば、私の認識では、
特定
の権利に対するほかの
人権
よりも強い意識があらわれているという点でございますので、その意識がむしろその部分だけ特段強いということであって、周りの
人権
に対する認識が低いということを
意味
しないのではないかと私は考えます。
加藤勝信
13
○加藤(勝)
委員
次に行かせていただきたいと思うんです。 そうすると次に、
国民投票
が個別方式であるということになれば、当然
国会
での
発議
に係る採決というんでしょうか
議論
も個別に行っていかないと、
国会
では
一括
で
議論
されて
国民投票
は個別ということになると、これまた話が複雑になる。当然
発議
の
内容
に合わせた形で
一つ
、ユニットというんでしょうかね、個別に
国会
でも
議論
をしていく、あるいはコンセンサスをつくっていく、こういうことになるんだろうというふうに思うんです、仮に個別方式ということになると。 ただ、なかなか一党が今回のお話がありましたように三分の二、これを
選挙
によって克服するということは、私は余り想定できない。また、そうではなくて、むしろ
幾つ
かの多数の党がコンセンサスをつくっていく、このことが
憲法
の安定性という
意味
からも必要ではないかというふうに思うわけであります。そうすると、コンセンサスづくりの中身が、ある事項についてコンセンサスをつくっていくということももちろんありましょうけれども、それぞれ各
政党
、党によって関心事項がかなり違う場合がある。そうすると、この事項については絶対通したい、この事項についてはこれだったら許容できる、こういう部分の組み合わせによってコンセンサスがつくられていくということが、私はむしろ一般的じゃないかなという思いはするわけであります。 それに対する先ほどのお話の中で、
議員
間の
なれ合い投票
、
ログローリング
のお話がちょっと出てきたものですから、その辺のコンセンサスづくりと、ここでおっしゃるなれ合いというこの
バランス
というものをどう考えていけばいいのかなという思いがするわけでありますし、また、余り個別個別ということになると、非常に、より
憲法改正
というもの自体のハードルがどんどんどんどん高くなってしまう、こういうことにもつながるんじゃないかと思いますが、その辺、どのようにお考えでしょうか。
福井康佐
14
○
福井参考人
ログローリング
とコンセンサスというのは表と裏、
国民
から見るとそう見えるのではないかというような気がしますが、北欧の
国民投票
の
運用
を見ておりますと、例えば、
一つ
の問題、原子力発電所の
賛否
を問うことに対して
国会
のコンセンサスとして選択肢を
三つ
つくろう、そういうような形で
国民投票
をするような例もございますので、問い方を細かくするというのも
一つ
の方策ではないかと考えます。ただし、
三つ
すると
意見
がばらばらになり過ぎてうまくいかないということもまた報告されております。
加藤勝信
15
○加藤(勝)
委員
憲法改正
のときに、AがいいかBがいいかCがいいか、そういう
発議
の仕方というのはどうなのかなという思いもするのでありますけれども。 そうすると、ちょっと今度は具体的な話として、個別方式といった場合に、その個別というものの
判断
基準というのは非常にまた難しくなってくるのではないかな。あるいは先ほどお話がありました
全面改正
のときにどうするか。あるいはいわゆる前文を
改正
したときに、当然、前文を
改正
すると、前文との
関係
からいえば、すべての条文が関連するといえば関連するという
可能性
が出てくるわけでありますけれども、そういうケースも含めてどのように考えていくのかなと。 いただいた論説の中で、たしか
スイス
の事例ということで、「
最初
に
全面改正
の有無を問う
国民投票
が
実施
され、」云々、こういう記述があったのでありますけれども、その
スイス
の事例、しかも、
全面改正
の有無を問うというのも非常に漠たる
国民投票
のような気がしますけれども、具体的にどういう
プロセス
を踏んでいっているのか、ちょっとその辺を御
承知
であれば教えていただければと思うのであります。
福井康佐
16
○
福井参考人
具体的な案を
国会
で
コンセンサス形成
としてやってきた上で、一応、比較的、抽象的な一歩手前ぐらいの案をつくって、こういう形で
改正
していく、例えば、大きな形であれば首相制をやめて
大統領
にするとか、そういう形で全体を問うた上で、また
議会
で審議して、さらにもう一度
国民投票
を問う、そういう形と認識しております。
加藤勝信
17
○加藤(勝)
委員
それから、先ほど
事前
審査
の話が少し出ておりまして、
イギリス
の事例が出ていたんですが、こちらで、
最初
の
国民投票
の類型では、
イギリス
の場合はいわゆる
議会
発議
型である、こういう
分類
であったと思いますけれども、これは、要するに
議会
で
発議
された中身についてまた別途第三者の
審査
機関がチェックをする、こういう形で
国民投票
が行われているんですか。
福井康佐
18
○
福井参考人
イギリス
の場合は、助言型の
国民投票
でございまして、最終
判断
はあくまでも
国会
がするという形になっております。その中で、
一つ
一つ
の
国民投票
については
国民投票法
案というのを
一つ
一つ
つくってまいります。そのときに、その法案の中に
投票案件
というのが具体的に書かれるわけでございます。そのでき上がった
改正案
について諮問して回答をいただく、そういう形でのシステムをとっております。
加藤勝信
19
○加藤(勝)
委員
そうすると、その法案について
国会
が議決する前に、そういう方向でいいかというか、いわば
日本
でいえば法制局みたいな、そんなイメージと考えてよろしいんですか。
福井康佐
20
○
福井参考人
でき上がった法案に対して諮問をし、それに応じて事後にまた
改正案
をつくるという形と認識しております。
加藤勝信
21
○加藤(勝)
委員
今いろいろなお話を聞かせていただいたのでありますけれども、結果的に、やはりいろいろ考えると、
憲法改正
そのものの中身によって、
発議
の形態あるいは
国会
での
議論
、これも随分いろいろなパターンがあり得るんだろうなというふうに思いますし、この
改正
も、
最初
の場合と二回目、三回目、四回目、そういうふうになってくれば、またその
段階
でも状況は変わってくるんじゃないか。 そういうことを考えると、少なくともどういう
投票
方式にするかということ自体も、今お話がありましたように、
国民投票
をするときの、ある
意味
では
発議
の中に入れるのかどうか、ちょっとその辺はあれですけれども、その中に合わせて決めていけば、私はそれが一番現実的な対応ではないかなと。 逆に、今回、
国民投票法
制度
を決めるとしても、そこには個別か云々ということを
規定
せずに、むしろ一回一回の中で書き込んでいくといいますか、むしろ
発議
の形式そのものによって問うていくということが現実的な対応ではないかというふうに思うのでありますけれども、
最初
に
国民投票
制度
を決めるときに個別か
一括
かというところまで決める必要があるかないか、その辺、どのようにお考えでしょうか。
福井康佐
22
○
福井参考人
私が申し上げた筋としましては、必ずしも個別にこだわっているということではなくて、どのような形にすると混乱なく正確な
民意
が
反映
できるかということだと思われます。そうしますと、
一括
して、常に個別であるとかあるいはまとめてであるとかという
議論
よりも、今おっしゃられましたように、その都度するというのも
一つ
の
方法
ではないか。正確な
民意
をどのように図るかという点ではそれも
一つ
の
方法
ではないかと思われます。
加藤勝信
23
○加藤(勝)
委員
それとあと、いざ
投票
をするときに、最終的にはもちろん
国民
の
判断
にゆだねるということがこのポイントにあるわけでありますから、
国民
に的確な
判断
をしていただかなければならない。 その中で、いただいたメモの中にもありますけれども、例えば
アメリカ
の実例においては、資金量に応じて、特に否決という
投票
結果に対して大変大きく左右されるというような検証結果といいますか事例も
指摘
をされているわけでありますけれども、こうした
国民投票
運動に対する規制、例えば特に今言った資金面とかを含めて、どういうふうに考えていったらいいんだろうか。あるいは、テレビ報道を初めとしたマスコミに対する規制も、これはほかの国の事例を見ても、かなり規制をしているところ、していないところ、テレビは規制があるけれども新聞はそうでもないところとか、それぞれいろいろあるようであります。 要するに、ある
意味
では
国民
が冷静に
判断
できる状況をつくる、こういう
意味
から見たときに、特にマスコミ、報道といったものに対する規制というか対応というものがどうあるべきなのか。その辺、ほかの国の事例、あるいはほかの国のうまくいかなかった事例、うまくいっている事例を含めて、何か示唆していただければと思うんです。
福井康佐
24
○
福井参考人
結果において
国民
が否定的な結果を導くことになるとしましても、いろいろな形で報道がなされているということは、それは表現の自由というか情報の流通が盛んになされているということでございますので、私は、
アメリカ
の判例で主流でありますように、できる限り情報の流通については制限をしない。最終的に否決の方向に行く
可能性
が高いというのも、これも
一つ
の
憲法保障
であり、
国民
の
判断
の形態なのかなというふうに考えます。
加藤勝信
25
○加藤(勝)
委員
もう
一つ
は、
通常
の政治的な
意思
の発現と
国民投票
運動というのは、特に、例えば
憲法改正
とかいうことになると、区分けをするのは非常に難しいという気もするわけでありまして、そういう
意味
で、私自身も別にマスコミに対する規制を強化しろとかと言うつもりはないわけでありますけれども、ただ、非常にショートなメッセージがどんどんどんどん広告的な形で打たれていくと、やはり、マインドコントロールというんでありましょうか、
一つ
の方向へ方向へと流されていく、それが資金を持ったある種の団体によって誘導されていく、そのことの危険性というのもどこかで認識をしておかなければならないんじゃないかな、そういうふうな思いから御質問させていただいたんです。そうすると、やはり情報の提供というか、あるいは
意見
の発信を
抑制
するというよりも、いい情報がより提供される、こういう状況をつくっていくことが一番大事なことだろうというふうに思うのであります。 そうした場合に、
日本
の
憲法
の場合には、
国会
が
発議
し提案するという形になるわけでありますが、提案者としての
国会
として、どういう形で
国民
に情報を提供していく、
国会
で、ある
意味
では、この法案に対して、賛成
意見
がこういうのがありました、反対
意見
がこういうのがありましたという形で
バランス
をとって、非常にニュートラルな形でいくのか、あるいは、当然
発議
をしているわけでありますから、こういうことでいいんだよということを中心に説明をしていくのか、その辺、
国会
というのはどういう機能を、どういう役割を果たしていくのかな。その後ろには、それぞれ
発議
の
成立
に向けて動いた
政党
というのが当然あるわけだと思いますから、もちろん
政党
はそれぞれの立場の中で発言をしていくわけでありましょうけれども、それとは別に、
国会
という機関として、どういう形で情報提供していくというものが望ましいのか、あるいはほかの国において、
発議
をしているものが
国会
であるとするならば、
国会
がどういう形でそういう情報提供を行っているのか、その辺を教えていただけたらと思うのであります。
福井康佐
26
○
福井参考人
国会
が三分の二で
発議
するということは、
国会
の大多数の
意思
である、そうすると、
国会
が中心にもし進めるのであれば、賛成
意見
が中心になる、そういう方向も
一つ
考えられると思うのですが、例えば
アメリカ
の例あるいは
スイス
の例などを見ますと、
賛否両論
のパンフレットを発行し、それでなるべく
国民
の間に最低限の情報を流通するような形にする、そういう方向もあるかと思われます。
加藤勝信
27
○加藤(勝)
委員
いずれにしても、十分な情報が提供されて、そして、ある
意味
では非常にクールな、冷静な形で
判断
をしてもらうという形で
国民投票
を
実施
していくということになると思うんです。 ちょっと話が前後するのでありますけれども、ここでの
議論
も、基本的に
憲法改正
の
国民投票
の時期と国政
投票
の時期とはなるべくダブらない方がいい、その方がクールな
議論
ができるというような認識が一般的に強いんじゃないかと私は思っているのでありますけれども、それとは別に、先ほど、予想される経緯の中では、先に
国政選挙
ありきというような想定のされ方もしていたのであります。私は、もちろん
国政選挙
の
争点
の
一つ
としては当然
憲法
のことを
議論
すべきだとは思いますけれども、そのことと、
憲法改正
そのものが、余りそういう
国政選挙
における大きな
争点
というような形でしていくような環境ではなくて、むしろ、
改正
に向けてを考えれば、いろいろコンセンサスを得ていくということからいっても、なるべく冷静な
判断
ができる状況が望ましいのではないかというふうに思うのであります。
国政選挙
と
国民投票
の
関係
、この辺はどういうふうにお考えなのか教えていただければと思うんです。
福井康佐
28
○
福井参考人
国民投票
と総
選挙
、
選挙
、
国政選挙
を同時にやることも少なからずあるわけでございますが、その場合、どうも解散権限のある
総理大臣
の責任が直結する場合が多くございまして、そうすると、最近の傾向としては、できる限りそれを避けたい、
論点
は
国民投票
でしますという形で行われることが多くございます。
加藤勝信
29
○加藤(勝)
委員
ありがとうございました。
中山太郎
30
○
中山
委員長
次に、逢坂誠二君。
逢坂誠二
31
○逢坂
委員
民主党の逢坂誠二と申します。 きょうはお世話になります。
福井参考人
、よろしくお願いいたします。 私は、昭和四十年代に小学生、中学生の時期を過ごした年齢なんですが、そのころ学校では、
日本
の
憲法
、随分いい
憲法
だなというようなことで教えられたという記憶がございます。しかし、それから三十年余りの時間が経過しまして、今こうやって
憲法改正
の
議論
が行われているというのは、随分時代が変化したんだな、
憲法
の
規定
と社会の実態というのは随分乖離してきたんだなということで、この問題、
憲法
の
内容
も社会の
あり方
も含めて、がっちりと
議論
する時期に来ているなという認識を持っているわけです。 そこで、まず、一般的な直接民主主義ということについてお聞きをしたいんですけれども、先生、直接民主主義の
研究
をされているということで、
日本
の中において、
国民
の皆さんにこの直接
民主制
というものについてどのような
理解
がされているかというあたりで、何か先生の御認識ございますでしょうか。
福井康佐
32
○
福井参考人
直接
民主制
については私、
幾つ
か
研究
しているのでございますが、なかなかイメージがとらえにくい部分があると思うんですね。 一番身近なのは最高裁の
国民
審査
だと思われるのですが、これは
アメリカ
の
制度
をある種直輸入したわけなんですが、その真の
制度
の
意味
が誤解されているうらみがございまして、私はそれについて大変残念だなというふうに考えております。
逢坂誠二
33
○逢坂
委員
真の
制度
の
意味
が誤解されているということですけれども、それは具体的にはどのようなことでしょうか。
福井康佐
34
○
福井参考人
もともと
日本
での
議論
では、そもそもだれも今まで罷免していないのはおかしいんだ、そういう
議論
なんですが、実際、
アメリカ
でこれと同じ
制度
は、リテンションイレクションという、継続
審査
というのがあるのでございますが、この罷免率は実は〇・二%ぐらいしかないんでして、それは、非常に不行跡と申しますか、素行に問題のある人だけを罷免するということで、向こうは任命制と
選挙
のちょうど中間の形でこのリテンションイレクションというのをつくっているものですから、よほどとんでもない人以外は基本的には継続させる、そういう形でつくっているということが、何か余り認識されていないのではないかなというふうに考えております。
逢坂誠二
35
○逢坂
委員
はい、わかりました。ありがとうございます。 それでは、次でありますけれども、私の地元は北海道のニセコというところなんですが、地元の皆さんにいろいろ話を聞く、私が積極的に聞くわけではなくて、有権者の方から
憲法
について言われる
意見
は、九条を
改正
しないでねという声が非常に強く寄せられるのが、私の、例えば周辺部の実態であります。 ただし、これは、この
憲法
の問題について私は個人的にも公式にも余り見解を発表していないにもかかわらず、そういう声だけが大きく寄せられている。しかし、片や永田町、
国会
周辺ではこの
憲法改正
について非常に多くの
議論
が沸き起こっているわけです。
国民投票法
制度
についてでも結構なんですけれども、この永田町周辺での
議論
と
国民
一般の認識というものの温度差みたいなものについて、どのようにお考えでしょうか。
福井康佐
36
○
福井参考人
私が
国民
一般かどうかというのはちょっと自信がないのでございますが、問い方の問題として、
憲法
を
改正
した方がいいですか、そういうような抽象的なアンケートをされますと、恐らく多くの人は、した方がいいんじゃないかということだと思うのでございます。例えば、税金、低い方がいいかと聞くと、そうだという形でございまして、長い間やっていればどこかまずいところがあるからやめましょうというレベルなのであって、アンケートの結果ということをそのままストレートに、ではみんな
憲法
を
改正
したがっているかどうかということに直結しないのではないかというふうに私は認識しております。
逢坂誠二
37
○逢坂
委員
数年前のことになりますけれども、四国徳島の吉野川の可動堰について
住民投票
が行われました。あの結果について、ちょっとどなただったか忘れましたけれども、国の閣僚だったかと思いますが、あれは民主主義の誤作動だというような発言があったかというふうに思います。すなわち、
投票
結果が
民意
を
反映
していないというような認識だったのかなというふうに思うわけですね。 きょうの
福井参考人
の話の中にも、いろいろな
国民投票
の
問題点
というものが
指摘
をされたわけですが、先ほどはシングルサブジェクトに関していろいろ
事前
審査
、事後の
審査
という話がございましたけれども、もし仮に、
国民投票
をやった場合にその誤作動のようなことが起こった、終わってみた結果は実は
国民
の総意とは違ったのではないかというようなことがあった場合に、救済措置みたいな、どんな手当てができるのかということについては御
意見
をお持ちでしょうか。
福井康佐
38
○
福井参考人
先ほどの
マイノリティー
の権利侵害というところで申し上げたんですが、まさに
憲法
は
最高法規
になってしまいますので、だれかの権利を結果的には侵害するとか不利益になるとかというような条項ができた場合は、現実にはそれを救済する
方法
はないと考えます。 ただし、
スイス
では
外国
人の排斥に対する
国民投票
がよく行われるのですが、ほとんど否決されております。ですから、最終的には、
国民
の賢慮と申しますか賢さが
反映
されるのではないかと考えます。
逢坂誠二
39
○逢坂
委員
きょうのお話の中では出なかったかと思うんですが、
投票
結果に正当性を持たせるために、
投票率
の
議論
、あるいは、
投票
できる人の対象者のどの程度がその結果に賛成したか反対したかということがよく
議論
になるわけですが、この点について何か御
意見
ございますでしょうか。
福井康佐
40
○
福井参考人
例えば、
イギリス
におきましては、
イギリス
は助言型
国民投票
でございますが、四〇%
ルール
というのを付しております。
国民投票
は何回かしたことがあるんですが、有権者の四〇%が賛成しない限りはそれは
承認
されたとはみなさない、そういう
規定
があるのでございます。
日本
においても、この点については
憲法
は沈黙しておりますので、考え方としては、先ほど来申し上げておりますフォールスマジョリティーというのを回避するためであるならばむしろ可能であろう、そういう考え方が
一つ
できると思います。もう
一つ
の考え方としては、明文がない以上、また、ただでさえ硬性化している
憲法
をこれ以上するということは、漸進主義的
憲法改正
といってもこれはやり過ぎではないかと一方の
議論
があると思われます。 私は、この問題についてはちょっと今考えている最中でございまして、ちょっと確答できないと思われます。
逢坂誠二
41
○逢坂
委員
次に、きょうも話題が
参考人
の方から出ませんでしたが、
投票
できる人の範囲ですね。これは、要するに
選挙
人名簿と同一にすべきか、あるいは
縮小
すべきか、あるいは年齢を下げるべきかという
議論
があるわけですが、この点についてはどのようにお考えでしょうか。
福井康佐
42
○
福井参考人
憲法改正
というのは、文字どおり、国の
最高法規
を
改正
し
国民
の
意見
を
反映
するということでございますから、そうしますと、できる限りの人を参加させた方がよいと。そういう考え方からしますと、できる限り下げた方がいいのではないかという考え方もできますが、もしそういう考え方をとりますと、そのコロラリーとしまして、普通の
選挙
も十八歳まで下げた方がいいのではないかと。 私、個人的な
意見
としては、むしろ両方十八まで下げた方がいいのではないかというふうに考えます。
逢坂誠二
43
○逢坂
委員
この点に関連しまして、私のところに若い方たちからメールなどで
意見
が寄せられる中で、十八歳まで下げるということについては割と賛成の声が多く寄せられているんですが、その際に、
日本
の今の現実を見ると、十八歳にしてしまうと、例えば進学率の問題で高校生が結構多いわけですね。ただし、
誕生
日が来ている来ないによって高校生の中で
投票
できるできないがあるから、学齢にしたらどうかという
意見
があるんですが、このあたりについてどう考えますか。
福井康佐
44
○
福井参考人
どこで線を切っても恐らく不公平という話は必ず出てくると思いますので、私は、十八という年齢の方が妥当ではないか、ある
意味
、説得力があるのではないかと考えます。
逢坂誠二
45
○逢坂
委員
それでは、次の
論点
に行きたいと思います。 先ほど、
シングルサブジェクトルール
についていろいろ説明をしていただきました。その中でも特に、十項目を超えるようになると
投票率
が下がるというような話もございまして、数多くの
論点
を盛り込むと、やはり
制度設計
上もなかなか難しいのかなという印象を持ったわけですが、これまでの
国会
での
議論
、例えばこの
委員会
の以前の
憲法
調査
会などの
議論
を見ますと、
憲法改正
の
論点
について、非常に幅広で多数の項目について
議論
がされているわけですね。 こうした現実を思うと、
シングルサブジェクトルール
の観点からいうと、実際に今の
日本
で
憲法改正
の
国民投票
というのは本当にできるのかという気がしてくるわけですが、そのあたりはいかがでしょうか。
福井康佐
46
○
福井参考人
多くの国において、
憲法改正
を行う場合、特に
国民投票
の場合を想定しますと、基本的には手直しをするという形でございまして、ただし、
全面改正
の場合は、もちろんどの国におきましても一大イベントということで随分時間をかけて、場合によっては十年とか二十年をかけて否決されたり賛成されたりという形でしております。 ですから、
日本
での
議論
というのは、現状において、細かい方を
改正
しようとするのか、それとも全面的に
改正
しようというふうに
議論
しているのかというのが私はちょっとわかりかねますので、それについては
国会
にお任せするしかないかなというふうに考えます。
逢坂誠二
47
○逢坂
委員
わかりました。 それで、
福井参考人
から結びの方で、
国民
の
議論
を喚起する必要があるんだという話がございました。私も全くそのとおりだというふうに思いますけれども、具体的に、直接民主主義の手法で
議論
を喚起するというのはどんな手法があるというふうにお考えでしょうか。あるいは、諸
外国
の例なども含めて御紹介いただければと思います。
福井康佐
48
○
福井参考人
むしろ逆の、喚起されない例から説明された方がいいかと思うんですが、
国民投票
の例の中には、恐らく二〇%とか三〇%しか参加しない例があるわけで、それは、たった
一つ
の
案件
についてもなんですが、多くの場合は、例えば
大統領
が提案する形であろうと、それから首相が提案する形であろうとそうなんでございますが、余り盛り上がらない例を取り上げて、あるいは
自分
の政治的地位を高めるために行うとか、そういう意図でやって結局盛り上がらなかったという例は
幾つ
かございます。 今の御質問なんでございますが、盛り上がるべきだというちょうど反対に、むしろ盛り上がったものを取り上げるべきだ、そういうことではないのかというふうに考えます。
逢坂誠二
49
○逢坂
委員
ということは、喚起をあえてさせるというよりも、盛り上がった事項を
国民投票
に付すというようなイメージでしょうか。そういうことでよろしいんでしょうか。
福井康佐
50
○
福井参考人
それと同時に、例えば
憲法裁判所
というような話を先ほども申し上げたと思うんですが、一般の
国民
にとっては、
通常
裁判所
と
憲法裁判所
というのはどこが違うのかというようなことを言ってもなかなか説明がつかない、そういう場合は恐らく余り盛り上がらないのではないかと。つまり、私はちょっと説明不足だったんですが、下から上がってくる部分と上から十分説明する部分というこの両方を考えていくべきではないかという
意味
でございます。
逢坂誠二
51
○逢坂
委員
了解いたしました。 それでは、これで時間的に最後になろうかと思うんですけれども、今、
憲法改正
の
議論
がされ、
国民投票法
制度
についてもここでいろいろと
議論
をしているわけですが、特にこの
国民投票法
制度
についての
日本
での
議論
の熟度、簡単に言うのはなかなか難しいことかもしれませんけれども、
福井参考人
が御
研究
されている中で、今の
日本
のこの
議論
の熟度はどの程度だというふうに大ざっぱにお考えでしょうか。この時点で、随分
議論
が高いとか、あるいは低いとか、まだまだ解決すべき課題が多いとか、そのあたりの御認識をお知らせください。
福井康佐
52
○
福井参考人
改正
の盛り上がりは結構あるのではないかと思われますが、三分の二というハードルのためにはかなりの
合意
がなされなければならない。そのための
合意
に至るほど、例えば
国民
の
合意
と、それから
国会
の
合意
と両段必要なところでございますが、まだそこまでは至っていないのかなというような認識でございます。
逢坂誠二
53
○逢坂
委員
国民投票法
制度
に対する
議論
はいかがでしょう。
福井康佐
54
○
福井参考人
国民投票
制度
に対する
議論
は、先ほど申し上げました、程度に合わせた形で、それほどは盛り上がっていないのかなというような認識を持っております。
逢坂誠二
55
○逢坂
委員
どうもありがとうございます。
中山太郎
56
○
中山
委員長
次に、赤松正雄君。
赤松正雄
57
○赤松(正)
委員
公明党の赤松正雄でございます。
福井参考人
、きょうは大変にありがとうございます。すぐ隣から質問をさせていただきます。 まず第一点目は、助言型
国民投票
の位置づけということでございます。
福井
先生が書かれたこの「
憲法改正国民投票
における
運用
上の諸問題」を読ませていただいたんですが、「通説は、助言型
国民投票
は、
憲法
上
実施
可能である」、こういうふうなお話から始まりまして
幾つ
かのことが書いてあるんですが、まず、助言型
国民投票
の今の位置づけというものについて簡単にお話を願いたいと思います。 〔
委員長
退席、保岡
委員長
代理着席〕
福井康佐
58
○
福井参考人
助言型といいますのは、
国民
が助言する、あるいは
国会
が重要事項を決定するに当たって助言を求めるという形でございまして、先ほど来申し上げております
憲法改正
とは違いまして非常に柔軟なものである。つまり、例えば五十一対四十九であるというような場合でありますとか、あるいは実質的には
国民
の二割しか賛成していなかったような場合は、これは助言として採用しないとか、そういうような柔軟な対応ができる形ではないかと認識しております。
赤松正雄
59
○赤松(正)
委員
私は、助言型
国民投票
としてのいわゆる今の
憲法改正
を
日本
国はやるのかどうか。要するに、大ざっぱな、
憲法改正
に向けての言ってみれば号砲のような、スタートにおける位置、そういうものとして助言型
国民投票
というのは非常に大事なことだな、こう思っておるんです。 先ほどお話しの中で、
憲法改正
の
国民投票
の特徴というところでお話をされた三
段階
、まず第一
段階
に
憲法改正
を
争点
とした
選挙
、そして
国会
の
合意
による
発議
、そして
国民投票
、この三
段階
の
民意反映
が予定される、こうおっしゃっておりましたが、私は、
憲法改正
を
争点
とした
選挙
というよりも、この助言型
国民投票
というものが一番
最初
に来るべきじゃないのかと。
選挙
よりもむしろそれの方が、今もおっしゃったような形で、大枠の方向性というものをとる上においてもより明確なような気がするんですが、その辺はどうでしょうか。
福井康佐
60
○
福井参考人
重要な事項を決定するに当たっては、
最初
に
国民
に抽象的な形で聞いて、それを
国会
で具体化して、また
国民投票
をする。これに近い形は
スイス
でやっておりまして、
最初
の
国民投票
、これは先行
投票
と呼んでおるんでございますが、それも
一つ
の
民意
を吸収するすぐれた
方法
の
一つ
ではないかと思われます。ただし、この論文にも書いておりますが、三分の二のハードルを突破するための
一つ
の手段として用いられる、そういうような側面もあるかと思われます。
赤松正雄
61
○赤松(正)
委員
ありがとうございました。 次に、先ほどの
憲法改正国民投票
の
運用
の
指針
のお話の中で、
改正案
作成に当たっては
国民
の
意見
を
反映
する機会をつくって云々、こうあるんですが、この
国民
の
意見
を
反映
するというのはなかなか、大事なことであるし、かつ具体的にどうするのかなということを考えたときに、非常に私も悩んでいるんです。 例えば、公聴会というのが
憲法
調査
会を五年やってくる流れの中でも行われてきましたけれども、そういう形をイメージしておられるのか、あるいは、私なんかは、この
憲法改正
手続
のための
国民投票法
ができた後は、今度は、
国会
の中で何をどう変えるか変えないかという
議論
を一方でするとともに、同時に、
国会
が諮問するような機関としての学者とか
憲法
にまつわる見識を持った
方々
、一般民間の代表の
方々
のようなものの
憲法
起草
の
国民
委員会
みたいなものをつくって、そこでの
意見
をフィードバックさせながらというようなことを考えているんですが、
福井参考人
が考えておられる
国民
の
意見
を
反映
する機会というのは、どういうイメージで思っておられるんでしょうか。
福井康佐
62
○
福井参考人
私のイメージとしましては、比較的
アメリカ
のイニシアチブというものをややイメージしておるところがございまして、
起草
あるいはタイトルをつけたりとかそういうようなレベルから、比較的早い
段階
から
議会
に
利害関係
人あるいは反対する人たち、そういう者を参加させ、さまざまな
意見
を
反映
しながらだんだん
論点
を煮詰めていく、
問題点
を絞っていくという形がよろしいのではないかというふうに考えております。 そういうイニシアチブ型の、
議会
主導で
国民
の
意見
を
反映
させるという
方法
が望ましいと思っているのでございますが、ただし、それは、小規模な地域では可能かと思われますが、大規模な、このような大きな社会になったときに果たしてどのような形で機能できるかという点については、今後
研究
してまいりたいと考えております。
赤松正雄
63
○赤松(正)
委員
ありがとうございました。 それから、「
日本
の有権者は有史以来、
国民投票
の経験が全くないことを考慮すれば、
実施
に当たっては、」ということで、
福井参考人
の論文の中で
三つ
の提起をしておられる点が非常に私には印象深く読めたんです。とりわけ
一つ目
の「一回の
投票案件
がせいぜい五個以下、できれば初回は一ないし二個が望ましいと思われる。」これは際立って私どもが主張している加憲にぴったりの御
指摘
だなと思うんですけれども。
二つ目
は「
発議
・提案から実際の
投票
までの期間は、半年程度を置いて、
議論
の熟成と
民意
のクールダウンを図ることが望ましい」。
三つ目
が「
国民
の経験不足をカバーする
意味
では、四〇パーセント
ルール
を付加する」。さっき御質問に答えておられましたけれども。 つまり、
発議
の形態としては一回目は一ないし二個が望ましい、
二つ目
は大体
発議
から
投票
までを半年、
三つ目
が四〇%
ルール
。この
三つ
についても、最後、時間がありませんので、まとめてお答え願いたいと思います。 一個目については、全く私も同感というか、先ほど申し上げましたように同じ立場でございます。さっき、二けたになるとなかなか難しいという
外国
の例を引いてお話をされていましたけれども、
日本
が初めてこの
憲法改正
に関する
国民投票
をやる場合は、一回目はあとう限り少ない方がいい、そんなふうに思います。その点についてさらにコメントしていただくことがあればお願いしたいということと、
二つ目
は、具体的に、
国民投票
をする場合に、六十日から九十日とか、あるいは三十日から六十日か、こういうふうな期間設定についての
意見
が今分かれているところがありますが、それについてはどう考えられるのかということと、あと、四〇%
ルール
は、ちょっと低くないのかなという気もしたりするんですが、例えば五〇%
ルール
なんというのはどういうふうな考え方で思われているのか。 以上、
三つ
についてお願いをいたします。
福井康佐
64
○
福井参考人
申し上げます。 多くの
国民投票
というのは、大抵
一つ
のことについて
改正
するというパターンが、ほとんどがそうなんでございまして、五つ、六つ、七つ、八つという形で
国民投票
をしているのは、先進国ではまさに数えるほどしかないわけでございまして、そういう
意味
でも、特に
イタリア
なんか見ておりますと、だんだん
投票率
が低下してまいっているわけですから、そういうことを考えますと、初回においては一、二が妥当ではないかと。もっともこれが、諮って決めるわけでもございませんので、私の
意見
としてはその程度ではないかというふうに考えております。 それから、運動期間ということでございますが、
イギリス
におきましては、毎回、
国民投票
施行法を細かくつくっておりまして、その際にも運動期間を自在に変えているという部分がございますので、重要
案件
に応じて多少変えたり短くする、そういうフレキシビリティーというのが必要なのかなと思われます。 最後の四〇%
ルール
でございますが、私は、この問題、先ほど申しましたように、ちょっと今悩んでいるところなんでございますけれども、明文がないままにする国というのは現状においてございませんものですから、少し無理があるのかなという感じにちょっと傾きつつあります。ただ、いきなり一番
最初
にやる
国民投票
が、最近の知事
選挙
なんかのように、三割でその八割の賛成とかというのも何やらぐあいが悪いかなというような感じもしております。 以上でございます。
赤松正雄
65
○赤松(正)
委員
ありがとうございました。
保岡興治
66
○保岡
委員長
代理 次に、笠井亮君。
笠井亮
67
○笠井
委員
日本
共産党の笠井亮です。 本日は、貴重な御
意見
をありがとうございました。 特に、
福井参考人
が正確な
民意
の
反映
ということを一番重視されているというのを私は大事な点として受けとめました。 そして、
国民投票
の
問題点
ということで四点挙げられましたけれども、なるほどというふうに思いながら拝聴したところです。 また、
国民投票
制度
の問題で、これが
制定
されていないことが必ずしも異常な
事態
ではないという点も注目させていただきました。
乱用
を
抑制
するために慎重な
運用
と時間をかけた
議論
、
国民
の
意思
でということを
指摘
されたことを興味深く伺ったところであります。 そこで、私、
民意
の
反映
ということとの関連で
幾つ
か伺っていきたいと思うんです。
参考人
が、
日本
の
憲法改正
の場合に、
議会
多数派主導型
レファレンダム
ということで、三
段階
ということで提起されました。第一
段階
を
憲法改正
を
争点
とした
選挙
というふうにされているわけですけれども、それはなぜなのかといいますか、
憲法
が定める基本
原則
等のどういう要請に基づいているとお考えなのか、伺いたいと思うんですが、いかがでしょうか。
福井康佐
68
○
福井参考人
選挙
が具体的にどういう
争点
によって決定されているかといいますのは、むしろ、それは
政治学
であり、それは解釈の問題の次元でございますから、たとえ私がこのように仮に書いたとしても、それは、そうかどうかというのはなかなか難しい問題だと思うわけでございます。 例えば、ある党が勝ったことは、すべての政策にすべて
国民
が納得しているかというと、そういうわけでは恐らくないわけでございまして、ただし、その逆で、
憲法改正
という話がまるっきり話題にのらないにもかかわらず、いきなり不意打ちの形で急に大きな
論点
が取りざたされて
憲法
を
改正
するような
事態
はいかがなものか、そういうような
意味
で申し上げたのでございます。
笠井亮
69
○笠井
委員
私もその点が大事かなと思っているんです。 さらにちょっと伺いたいんですが、
憲法改正
を
争点
とした
選挙
に
民意
の
反映
が求められるというのは、当然、
国会
の議席の上でも
民意
が
反映
した議席になるべきだということで
理解
してよろしいんでしょうか。
福井康佐
70
○
福井参考人
私が先ほど申し上げました理屈から見ますと、ある
政党
が勝ったということは、その
政党
の政策が全部一〇〇%支持されたということを
国民
は必ずしも認識しているわけではない。そうすると、
憲法改正
に大変好意的な
政党
が大勝ちしたということイコール
憲法改正
というふうに
国民
の多くが直結してそう思っているかどうかというのは疑問を感じるところでございます。
笠井亮
71
○笠井
委員
まさにその点だと私は思うんです。 もう少し具体的に伺いたいんですが、例えばさきの総
選挙
でいきますと、郵政民営化の是非を問う
国民投票
ということで小泉総理が言われて
選挙
がやられた。結果は、
与党
が小
選挙
区で四九%で比例代表でも五一%の得票率ということで、いわばフィフティー・フィフティーという状況だったわけです。
国民
の圧倒的多数が郵政民営化という問題でも支持したわけではない。ところが、議席の上では
与党
が三分の二ということで、衆参でわずか一週間程度で
成立
をするということになったというのが事実だと思うんです。 まさに、
憲法改正
を
争点
とした
選挙
において
民意
の
反映
ということを言われたわけでありますけれども、
国会
が
発議
する改憲案にも
民意
が
反映
されるべきだということになるとすれば、現行の
選挙
制度
や、それから先ほど
人気
投票
ということのお話もありましたけれども、いわば今度、劇場型
選挙
というようなことが言われましたけれども、そういうことによってきちっと担保されるのかどうかということについてはどういうふうにお考えでしょうか。
福井康佐
72
○
福井参考人
間接
民主制
と直接
民主制
という
関係
を、ちょっと大上段の話なんですが、とらえてみますと、私の考えます直接
民主制
といいますのは、
議会
選挙
で十分に
反映
されない
国民
の
意見
を直接
民主制
という形で担保というか補完する
方法
はないのかというのが私の実は
テーマ
でございまして、もちろん、その前の
段階
としていかに代議士制
民主制
で正確な
民意
の
反映
をするかという
方法
があるかと思われます。 今申し上げたその部分については、私は
研究
者としては
研究
の対象範囲外ですのでちょっと何とも申し上げられませんが、ただ私は、
憲法改正国民投票
も含めて、直接
民主制
で何らかの形で補完していくべきではないかとは考えております。
笠井亮
73
○笠井
委員
参考人
は、
憲法改正国民投票
の
運用
指針
というところで、現状は
選挙
による
民意反映
が欠けている、こういうふうに
指摘
されているんですけれども、これはどういう
意味
で言われているのか、少しお話しいただければと思うんですが、どうでしょうか。
福井康佐
74
○
福井参考人
ちょっと実はこれは書き過ぎなんじゃないかと今思ったんですが、先ほど来申し上げましたように、要するに、このたびの
選挙
においては、あるいはその前の参議院
選挙
においても、
憲法改正
という話が、
国民
が
投票
するに際して、少なくとも割と上位に置いて意識する
争点
だと考えていないのではないか、そういう書き方をすべきだったんではないかと思いますので、訂正させていただきます。
笠井亮
75
○笠井
委員
そうしますと、こういうことで考えたらいいんでしょうか。
憲法
制定
後の
選挙
で改憲を公約あるいはマニフェストの
一つ
に掲げるようになったのは
日本
ではここ四、五年のことだと思うんですね。しかし、改憲よりも
国民
の方は、むしろ、
選挙
になりますと、年金とか景気とか雇用とか、こういう問題での他の
争点
を
選挙
で重視して、改憲が主要な
争点
になったことは一度もなかったというふうに思うんです。 例えば、今度の総
選挙
においても、新聞の世論
調査
なんかでも、総
選挙
後の内閣への期待として、年金、医療などの社会保障政策が四割、景気対策二割、財政再建やはり二割近くということで、
憲法改正
が一・九%という
調査
もありました。 つまり、当面の
国民
の期待が改憲でないという世論状況のもとで、たとえ、改憲も掲げた
選挙
もやって、そういう勢力が
国会
の三分の二を占めるということになっても、いわゆる特別多数を占めるということになっても、果たして改憲の
段階
を先に進めることができるかどうかという点でいうと、
参考人
はそうは必ずしもならないんじゃないかというふうにお考えなのか、そういうことで
理解
していいんでしょうか。
福井康佐
76
○
福井参考人
諸
外国
の
運用実態
を見ますと、必ずしも
選挙
では絶対に上位にならないような
争点
が
国民投票
で問われていることはございます。例えば
イギリス
におきまして、スコットランドとウェールズの権限移譲という問題が
国民投票
を二度にわたって二十年間の間にしているわけでございますが、これは、
イギリス
国民
にとってはそれほど大きな
論点
ではございません。総
選挙
において掲げた、勝った
政党
と実際に
国民投票
の結果がそごの出ていることもございます。 ですから、このように、ある
政党
が勝ったということと、それからその政策が違うということは、
国民投票
ということで実際にほとんど検証されていることが多いことでございまして、これは、何といいますか、一種の補完じゃないかと思うわけでございます。 ここで
一つ
の
問題点
としましては、上からアジェンダ、議題が降ってくるのであって下から吸い上げる方向ではない、そこに
一つ
の
問題点
があるんじゃないかなというふうに考えます。
笠井亮
77
○笠井
委員
ありがとうございました。
保岡興治
78
○保岡
委員長
代理 次に、
辻元
清美君。
辻元清美
79
○
辻元
委員
社民党の
辻元
清美です。 きょうはどうもありがとうございました。 きょうのお話は非常に興味深く伺いまして、特に、主権者の立場に立って、先ほどから話が出ております
民意
の
反映
をどのような形で
国民投票
制度
の中に
反映
するのがいいのかということを、多分、
研究
だけではなくいろいろな
住民投票
などの現場の活動にも携わってこられて、その中からの御
意見
だったので、非常に厚みを持った御
意見
だったなというふうに考えました。 特に、
問題点
から、その
問題点
を克服するためにどうすればいいのか、そして、その
問題点
を突き詰めて考えていくことによってそこからよりよい
制度
やよりよい仕組みを提起していこうというような御発想というのは、非常に
参考
になったと思います。 そこで、
四つ
、問題の
抑制
という観点から、そして
乱用
を
抑制
する
フィルター
というような御発言もありましたけれども、その部分について、もう少し詳しくまたは深く説明していただきたいところを質問させていただきたいと思います。 まず、不真正な多数という御発言がありまして、先ほどから
投票率
の問題は出ております。もう
一つ
、過半数の定義についてどのようにお考えなのかということをお聞きしたいと思います。
福井康佐
80
○
福井参考人
憲法
における過半数の定義ということだと解釈いたしますが、
国民投票
の諸
外国
の
運用
という観点から見ますと、現実には、例えば
憲法改正
であるとかあるいは
アメリカ
のイニシアチブとかというのは、
投票率
にかかわらず実際に効力を持つことになってしまいます。それは非常に
問題点
になっているわけなんですが、逆に、
一つ
の考え方としては、
棄権
してしまうのも、それも
一つ
の表現の仕方かなというような評価もあるのかなとは思います。 私は、それは必ずしもそうだとは思いませんが、例えば
イタリア
の
運用
などは五〇%
ルール
をつけておりますので、どちらかというと政府が逆に五〇%を切るように切るようにというような動かし方をしている部分もございます。例えば祝日に
国民投票
をやったりとかバカンスの近くにやったりとかということをしていますので、そういうこともあるのかなというふうに考えます。
辻元清美
81
○
辻元
委員
ありがとうございます。 次に
二つ目
に、
マイノリティー
の
人権
侵害について、裁判との
関係
などで御発言があったんですけれども、具体的にどういうことが問題になった、そのような事例があれば御紹介ください。
福井康佐
82
○
福井参考人
アメリカ
の州の例なんでございますが、これは有名な判決に、コロラド州で、
同性愛者
の方たちの基本的な社会保障でありますとかそういう権原を実質的に否定してしまうような
住民投票
が
成立
したことがございました。もちろんそれについては、いろいろ
議論
があったんですが、最終的には
アメリカ
最高裁において、これはもう幾ら何でも
憲法違反
であるという形でなったわけでございます。
住民投票
が、結局、
住民
の総意であるということで最終的に差別してしまうという例が、例えば黒人に対する差別であるとかという例も
幾つ
か見られております。
辻元清美
83
○
辻元
委員
そしてもう一点、問題の
抑制
というところで、先ほどからも出ておりますけれども、提案する側の
人気
と直結するというような御
指摘
がありました。これを回避するという御
指摘
なんですけれども、回避する
方法
というのはあるんですかね。具体的にそういう仕組みを
国民投票
の中に組み入れているというような事例はあるんでしょうか。
福井康佐
84
○
福井参考人
シングルサブジェクトルール
が
一つ
の回避する
方法
にはなっているわけです。例えば
フランス
の場合は、ドゴール
大統領
が行った
国民投票
は、多くはこの観点からすると非常に問題のある
国民投票
だったわけで、彼が
幾つ
かの
論点
を組み合わせて
人気
を背景に
国民投票
で勝ってしまうという例がありますので、これが
一つ
のまさに
フィルター
になるのではないかなと思います。 逆に、諸
外国
の
運用
を見ますと、
人気
のある
政治家
が
国民投票
を行っても、実は失敗してしまう例も多々ございます。ですから、むしろ、ある
意味
では非常にギャンブル化している部分がございまして、実際に為政者、
総理大臣
として行う場合は、ある種のかけになって、そこまでしてできるかどうかというのは随分大胆な行動なのではないかというふうに考えております。
辻元清美
85
○
辻元
委員
もう
一つ
後半の部分で、情報の流通というところで、大量のテレビコマーシャルで
投票案件
に影響が出てくるというような御発言の中で、情報公開が大事だ、例えばだれがお金を出しているのかとか、
幾つ
かの観点で、きちっと情報公開していくことが大切だというようなお話があったんですけれども、これは諸
外国
の事例で、例えばNPOとか、そういう市民の側というか
国民
の側が積極的に情報公開をするというような事例で御紹介をされたのか、それとも、コマーシャルするときには必ず情報公開、だれがスポンサーでということをきちっと提示しなければいけないというような、そういう
方法
がとられているのか、その辺を少し詳しくお聞かせください。
福井康佐
86
○
福井参考人
私は
アメリカ
の
住民投票
が専門ですのでこの例で説明させていただきますと、
住民投票
が例えば十件や二十件になったり、いろいろな、非常に文章、
文言
が長いものですから、そうすると、どれをイエスでノーかというのがわからなくなります。そのときの
投票
のかぎとして
幾つ
か用いるわけですが、例えば
政党
が支持しているとか
自分
の好きな候補者が書いてあるとか、あるいはボランティアグループが支持する、反対するというようなかぎもございますが、比較的有力な
投票
のかぎとしましては、だれがどの程度お金を出しているかというようなのが有効なのでございます。 例えば、洗剤についての環境保護のイニシアチブでございますと、それに反対する陣営は実は大企業連合が大量のお金を出してネガティブキャンペーンを出しているとかということがわかると、実はそういうのが影響するわけでございまして、特に企業が提案するという
タイプ
、環境保護に対して逆行するようなイニシアチブに対しては、だれがどんな金を出しているかということが
住民
にとっては非常に有効な
投票
のかぎとなっているというデータが示されております。
辻元清美
87
○
辻元
委員
それは、結局、市民サイドの自発的な情報公開というか、告発といったらおかしいですけれども、
調査
し、そういう活動が
アメリカ
などではとられていたということですか。
福井康佐
88
○
福井参考人
これは、基本的には州というか政府の側でそういう
法律
をつくって情報公開をしていくと。 ただ、問題なのは、これはなるべく
事前
にした方がいいわけなんですが、お金の収支というのは御
承知
のように大抵事後に出てくるわけなので、最近の試みとしては途中に、中間報告であるとかそういう形を州の
選挙
管理
委員会
のホームページに載せるとか、そういう形で、
投票
のかぎとして使おう、そういう動きが出ていると思われます。
辻元清美
89
○
辻元
委員
それは公的な機関が行っているという確認でよろしいですか。
福井康佐
90
○
福井参考人
そのように御
理解
していただきたいと思います。
辻元清美
91
○
辻元
委員
それは非常に
参考
になりました。 最後にもう一点だけ、
ルール
侵害に対する是正
方法
のメカニズムをあらかじめ組み込んでおくというのがいいんじゃないかというようなことを後半に御
指摘
いただいたかと思います。 私もこれは、幾らここで盛り上がってと言ったら変ですけれども、つくっても、やはりどうしても、変えたいと思う人が多数を占めた場合に引っ張られる
可能性
があるわけですよ。そうなってくると、先ほどの、ちらっと最後の方に第三者機関の諮問ということを考えてはどうかという御発言があったと思うんですが、最後に、この点についてもう少し詳しくお聞きしたいと思います。
保岡興治
92
○保岡
委員長
代理 質問時間が終了しておりますので、お答えを簡潔にお願いします。
福井康佐
93
○
福井参考人
できる限り
政党
色を排した有識者による第三者機関が望ましいのではないかと考えます。
辻元清美
94
○
辻元
委員
ありがとうございました。
保岡興治
95
○保岡
委員長
代理 次に、滝実君。
滝実
96
○滝
委員
国民
新党・
日本
・無所属の会の滝実でございます。 きょうは、あらかじめ拝見しましたペーパー等ではなかなか
理解
しにくいところを、直接伺いまして、
福井参考人
の考え方が相当程度、ペーパーでは得られない
理解
をさせていただいたように思いますので、そういうことを踏まえて、さらに疑問なところをお教えいただきたいと思います。 まず第一に、
アメリカ
じゃなくて
イギリス
の例で恐縮なんでございますけれども、
イギリス
は、
国民投票
の都度というか、具体的に
一つ
一つ
の事例に先だって、
法律
で
国民投票
の中身あるいは
手続
、そういうものをお決めになっていく、こういうふうに
理解
をしているわけでございますけれども、その際に、四〇%
ルール
というのをきょう初めてお伺いしたわけでございます。先生の論文でも四〇%
ルール
ということを強調されておりますけれども、
イギリス
でその四〇%
ルール
を現実におやりになっているということを考えますと、
日本
の場合には、全く現実的には
理解
できない数字なんですよね。仮に
日本
の場合に四〇%
ルール
でやりますと、
憲法
は過半数でございますから、そうすると、要するに少なくても八割の
投票率
がないと
日本
の場合には四〇%
ルール
をクリアできない。 そういうことを考えますと、どうなんでしょうか、
国民投票
の場合は
国政選挙
とはまた違った
投票率
が期待できる、そういうような状況があるのか。例えば
イギリス
の場合には、
国政選挙
と比べて
国民投票
の場合には盛り上がりということを前提にして、
通常
からそういうものが一般的に期待できるような情勢なのかどうか、その辺のところを教えていただきたいと思うんです。
福井康佐
97
○
福井参考人
イギリス
の
国民投票
につきましては、最近、一応、今までは余りにもばらばらにし過ぎたということで、
一括
して
国民投票
あるいは
選挙
その他を扱う
法律
ができまして、とりあえず一般法はできております。ただし、その上で個別の
法律
をつくって毎回行うという形にしております。 それで、今のお話でございますが、私は
アメリカ
と
ヨーロッパ
の
国民投票
を
研究
しているわけでございますが、一般に、
国民投票
は総
選挙
に比べて数%低いという数字が出ております、
投票
結果におきましては。
滝実
98
○滝
委員
そういう中で、
イギリス
の場合には四〇%
ルール
というのがあるというのは大変な、
日本
の場合であったら考えられないようなハンディになるということで、
福井参考人
は大変疑問というか悩んでいるということをおっしゃっているんだろうと思うんでございますけれども、むしろ、
イギリス
の場合に、盛り上がりをしていくということの中で、一体全体、どういう状況の中で
国民投票
にすべきだという
テーマ
が選ばれ、そしてどういう格好で
議会
で
起草
されていくのか、その辺のところを少し御説明いただければありがたいと思います。
福井康佐
99
○
福井参考人
現在のブレア首相になりましてからまた多く
国民投票
を
実施
しているわけなんでございますが、ブレア首相は
最初
のうち、
幾つ
かの形で
国民投票
を
実施
しているうちは、結構盛り上がるというか、結構
投票率
も高く、
賛成率
も高かったのでございます。 例えば、スコットランド、ウェールズの権限移譲でありますとか、あるいは北アイルランド、アイルランドの和平交渉の
承認
という形の
投票案件
については高かったのでございますが、その後、例えばロンドン市庁の創設とか、そういうようなことになりますと二〇%、三〇%台の
国民投票
になっておりまして、考えようによっては、首相の
人気
の陰りと同時に
投票率
も下がってきたのかなと。あるいは、最近の北イングランドの
議会
の設置の
国民投票
については、これは否決されておりまして、今後予定されるところの
EU
の通貨統合についてはしばらく延期しよう、そういう話になっているわけでございます。
滝実
100
○滝
委員
引き続き、
イギリス
の場合についてお尋ねしたいと思います。
イギリス
の
国政選挙
は、基本的には、まず候補者が市役所へ行って、
選挙
人名簿のコピーを買ってくる、それに基づいて戸別訪問をするのが基本ですよね。そういうところから見ると、
国民投票
の場合にはそれとは違った運動ということになるんだろうと思うんでございますけれども、だれが運動の主体になっていくのか、その辺のところはどうなんでしょうか。
福井康佐
101
○
福井参考人
先ほど申し上げました、最近、
国民投票
を
一括
する
手続
法ができたわけでございますが、その
法律
の中には、一応団体を届けることになっておりまして、それぞれの賛成の団体、反対の団体を一応届け出をして、その下にいわゆる傘下団体、そういう形で登録する形にしております。それで、それぞれが収支報告をする、そういう形と
理解
しております。
滝実
102
○滝
委員
大変ありがとうございました。
日本
の場合にも、そういうような
イギリス
とか何かの具体的なものをぜひ踏まえた上で、
国民投票法
、あるいはこの
憲法改正
についての物事を考えていく必要があるだろう、こういうような立場から、もう少しお尋ねしたいと思うんです。
イギリス
の場合の
国民投票
の、まず運動期間と申しますか、
議会
が
発議
してから実際の
投票
まで、個別の
法律
でもって決めるということでございますけれども、大体どんな期間を置いているのか、その辺のところもお教えをいただきたいと思うんです。
福井康佐
103
○
福井参考人
今正確にはちょっと思い出せない部分もあるんでございますが、たしか最低が七週間から、最大半年程度だというふうに
理解
をしております。かつて行われた
EU
の
国民投票
は半年ほど期間があったというふうに
理解
しております。
滝実
104
○滝
委員
ありがとうございます。
日本
の場合には、いろいろ案で、
国民投票
の運動期間の案が出されておりますけれども、大体拝見しますと三十日から九十日ぐらい、こういうようなことでございますから、
イギリス
の場合はややそれよりも長いように思うんですけれども、今
日本
で
議論
されているよりは長いということで考えられているんでしょうかね。
福井康佐
105
○
福井参考人
これについても個別の法規で決めておりますので、長い場合もあれば短い場合もあるというふうに御
理解
いただきたいと思います。
滝実
106
○滝
委員
それからもう
一つ
、
イギリス
の場合にはやはり海外に在留している人たちにも
投票
権を与えていると思うんでございますけれども、そういうようなことはどういう格好でおやりになっているのか、御
承知
であればちょっと教えていただきたいと思います。
福井康佐
107
○
福井参考人
申しわけございません。ちょっとその点は存じておりません。失礼しました。
滝実
108
○滝
委員
大変細かい話で恐縮でございます。 以上、時間が参りましたので、これで終わりたいと思います。大変ありがとうございました。
保岡興治
109
○保岡
委員長
代理 これにて
参考人
に対する質疑は終了いたしました。 この際、一言ごあいさつを申し上げます。
福井参考人
におかれましては、貴重な御
意見
をお述べいただき、ありがとうございました。
委員会
を代表して、心から御礼を申し上げます。(拍手)
—————————————
保岡興治
110
○保岡
委員長
代理 次に、今
国会
における
調査
の締めくくりとして、各会派を代表して一名ずつ大会派順に十分以内で発言していただきます。 発言時間の経過については、終了時間一分前にブザーを、また終了時にもブザーを鳴らしてお知らせいたします。 それでは、まず、愛知和男君。
愛知和男
111
○愛知
委員
自民党の愛知和男でございます。 このたび、五年ぶりに
国会
に帰ってまいったわけでございますが、この
憲法
特別
委員会
の
委員
として審議に参加をすることができるということに、大変大きな感慨を感じております。 と申しますのも、この前身であります
調査
会を
国会
に設置するとき、これは
国会
で、公式の場で
憲法
を取り上げる場というのが従来なかったわけで、大変歴史的なことだったんですが、そのことに
中山
委員長
と御一緒に努力をさせていただいたという経緯がございまして、そんなこともございますので、大変感慨無量な思いがいたします。その後、
中山
委員長
が大変なすばらしいリーダーシップを発揮されまして、今日こうして
憲法
の
議論
がだんだん進んでいるということに、大変うれしく思いますと同時に、
中山
委員長
のリーダーシップに改めて敬意を表したいと思う次第でございます。 ところで、基本的に
憲法
の
議論
というのは、党派性というものを超えた
議論
というのが大変大事なのではないか。つまり、
憲法
をめぐって
政党
間での激しい対立というようなことは、やはり
憲法
の性格からいいまして好ましくないのではないか、こういうふうに思うのでございます。 この
委員会
の運営、今
国会
では新しく
委員会
という形で新しい
委員会
が始まりましたけれども、その運営に当たりまして、自由討議という時間があります。この自由討議の各
委員
の御発言を聞いておりますと、党派の枠にとらわれないで大変自由な発言をしておられる、こういうことでございまして、これは非常にいいことだと思うのでございます。それぞれ
政治家
が、お一人お一人の国家観なり、あるいは政治信条というものに基づいて
憲法
の
議論
をするということは大変大事なことでございまして、このことは、ぜひ今後ともそういう取り組み方、進め方がなされるべきだ、また我々
委員
一人一人も、党派ということの枠を超えた立場でこの
委員会
の審議に参加することが大変大事だということを痛感いたしております。 私は、かねてから、
日本
の国は一応民主主義の国だということになっております。確かに
制度
上は民主主義になっておりますけれども、果たしてこの民主主義というものが
国民
の間に本当に根づいているかというと、まだまだそうではないんじゃないかと思えてなりません。例えば、各種の
選挙
で
投票率
が非常に低いというのもそのあらわれではないかと思うのであります。 私も、前のこの二十数年にわたる
国会
議員
としての活動を振り返ってみますと、その活動の相当な部分が役人に対する陳情だったということを思うのでございまして、じくじたる思いがするのでございますが、
日本
の社会というのは、民主主義とはいうものの、官僚
制度
、官僚が支配をした国家体制だと言ってもいいんじゃないか。これを脱してどうやって早く本当の民主主義にするかというのが、国の抱えた大きな、最大の課題の
一つ
じゃなかろうかと思えてなりません。 どうしてこんな官僚支配が依然として続いているか。私は、今の
憲法
にその大きな原因の
一つ
があるんじゃないかと。具体的には、例えば、今の
憲法
の八十六条でございますが、これは予算のことに関して
規定
した条項ですけれども、国家予算の提案権というのを内閣だけに認めている。そうなりますと、予算を伴う
法律
を例えば
議員
立法でつくりましても、その予算を内閣が出す予算案の中に盛り込んでもらいませんと、その
法律
は予算が伴わない、こういうことになりまして、絵にかいたもちになってしまう。 こういうようなことがあるがために、どうしても、
国会
議員
の役割も、役人に対して陳情といいますか、時には圧力をかけたり、いろいろなことをやるんですけれども、いずれにしても、最終的な決定権は役人が持っている、こういうことがありますので、なかなか
日本
の民主主義が成熟していかないんじゃないか、こんなふうに思えてならないわけでありまして、いずれ、
憲法
の中身の
議論
になったときに、この点をぜひ
指摘
していきたいと思っているわけでございますが、それはそれとして、
日本
の民主主義を成熟させるという大きな
目標
に向かって、この
国民投票法
というのは大変大きな第一歩になる、こういうことで、非常に重要な意義を持つものである、このように認識をいたしております。 この
国民投票
の中身につきましては、いろいろと
論点
が出てまいりまして、まだ
議論
が収れんするような形にはなっておりませんけれども、
日本
の民主主義というものを一歩というか大きく進めるという
意味
で、これは大変大事な
法律
なんだという認識をみんなで持ちまして、一日も早くこの
国民投票法
を
成立
させるという方向に向かって努力をすべきではなかろうかと思います。 この
法律
は、いわゆる内閣提出の
法律
ではなくて、
議員
立法という形で提案をされ、
法律
とするというのが最も
国民投票法
にふさわしい
プロセス
ではなかろうかと思います。その際、
委員長
提案にするのか共同提案にするのかというような、多少技術的な面はあろうかと思いますが、私は、
委員長
提案でございますと、
委員長
のもとで提案されたものがこの場で
議論
されるということがありませんで、そのまま、可決をされればすぐ参議院に行ってしまいますから、共同提案という形でこの
国民投票法
の中身が提案をされ、その中身の
議論
をして、そして可決をされて参議院に送るという
プロセス
が一番この
法律
の中身にふさわしい形ではなかろうか、こんなことを感じております。 ところで、少し先走った話になるかもしれませんけれども、
憲法
の
改正
を
国会
が
発議
をして
国民投票
に付された
段階
で初めて
国民
を巻き込むというのは、これは遅いというか、そうではなくて、
国会
としての案をつくる
段階
で、なるべく早い
段階
で少しでも多くの
国民
を巻き込んでいくという発想が非常に大事なのではなかろうか。したがって、
国民投票
ということになったときに初めて
国民
に中身が知らされるというのではなくて、三分の二の議決で
国会
の案ができるわけですが、そのなるべく早い
段階
で
国民
を巻き込んでいくという
方法
を、それぞれの立場で、いろいろな形でそういう
方法
を考えることが大事なのではなかろうか、このように思います。 いよいよ今
国会
はこれで終わるわけですが、また
通常
国会
で本格的な
議論
に入るわけでございますけれども、ぜひ一日も早く
国民投票法
が
成立
をして、
日本
の民主主義というものが成熟するための大きな第一歩になるように願っておりますと同時に、私も、微力ながらその中で頑張っていきたい、このように思っております。 以上で私のコメントにいたします。ありがとうございました。 〔保岡
委員長
代理退席、
委員長
着席〕
中山太郎
112
○
中山
委員長
次に、
仙谷
由人君。
仙谷由人
113
○
仙谷
委員
民主党の
仙谷
由人でございます。 今
国会
におきます
憲法
調査
特別
委員会
での
国民投票法
制についての皆さん方の審議、
議論
、大いに意義があったというふうに評価をしたいと思います。この
議論
を多角的な観点から保障し、展開をされた
中山
太郎
委員長
のリーダーシップと、
理事
、
委員
各位の御努力に敬意を表したいと思います。
委員
各位の
議論
を拝聴し、これに若干関与したところから私の見解を申し上げますと、
憲法
九十六条、
憲法改正
のための
国民投票
なるものは、考えてみますと、単なる
改正
手続
法であるにとどまらない、国の形に対する
国民
の主権行使にほかならないものである。換言すれば、
憲法改正
なるものを決定する主体、その主体はあくまでも
国民
であって、私ども代議制の担い手たる
国会
議員
は
発議
をなすにとどまるものであることが再確認されたと考えます。 今、愛知
委員
の方から、
国民
を巻き込むという御
意見
、御発言がございました。しかし、もう少し考えてみますと、
憲法改正案
の原案の発案というものについて、
国民
の発案権をどう位置づけるのかという問題があるのではないかと考えております。しかし、その発案の
要件
や
方法
についてはまだ何も検討もされてはおりませんし、主権者たる
国民
の提案権に係る問題でありますだけに、何よりもこの点を明確にする必要があるのではないだろうかと考えるところでございます。 また、衆参各院の
議員
の
改正
原案に係る発案権についても、一体いかなる条件が求められるのか。例えば、その議案の提出は、
通常
の法案提出の場合と同様のもので果たしてよいのかどうなのか。つまり、今愛知
委員
の方から、
通常
の法案と同じように、あるいは
通常
の場合のように
衆議院
先議で参議院に送るというふうなお話があったわけでありますけれども、そのようなやり方で果たしていいのだろうかということも考えなくてはならないと思います。 そしてまた、この
委員会
でも立法不作為論というのが唱えられました。私は立法不作為論、それなりの妥当性がないわけではないと思いますけれども、
国民
に対して、いわば運動論として、
国会
議員
に立法を行うようにけしかけるという政治的な
意味
があるといたしましても、これを
国会
議員
が声高に叫ぶことにどのような
意味
があるのか。つまり、
国民
からすれば、なぜ
国会
は今までこの問題について懈怠をしていたのかとの反問をするでありましょう。このことに
国会
議員
が十二分の回答をすることができないで、ただ怠けていただけだというような話になってはならないのではないかと思います。つまり、この立法不作為論は、政治的な
意味
合いのもとにおいても、天につばするたぐいの行為になってしまうのではないかと思います。 私どもは今、
日本国憲法
公布から十一月三日でちょうど五十九年になります、施行から五十八年半という時点に差しかかっているわけであります。つまり還暦を迎える。中国では華甲という言い方もあるようでありますが、つまり、新たに一から始まるということが
意味
されるかもわかりません。そういう時点で、国の形、その法形式としての憲
法体系
を改めて深く考えるべきときを迎えております。 近代主権国家、その中で私どもは生活をしておるわけでありますけれども、グローバリゼーションと情報化の波にこの近代主権国家が洗われているわけでありまして、今や国家は小さ過ぎる。他面、人々は、生活とみずからの尊厳、つまり
人権
がよりよく守られ、もっと自由で自立した生を生きるために、生活により近いところでのガバナンス、統治が求められているわけでございまして、この点からいいますと、今や国家は大き過ぎるのであります。 まさに、こういう言い方をすると批判を受けるかもわかりませんが、それを覚悟で申し上げますと、今、たかが国家、されど国家と。つまり、そういう新しい主権国家の主権のありようを
国民
が
国民
の政治的な
意思
を集約して決めていくべきときを迎えていると私は考えております。 現時点で、
国民投票法
制を、そして
憲法改正
手続
としての
国民投票法
制を
議論
し、これを
法律
で定めていくということは、私どもの
国民主権
の深化、それと民主主義の民主化への不断の努力であるとの意義づけをすべきだというふうに考えております。その政治的な
意思
の集約の
方法
が
国民投票
であり、成文
憲法
の持つ一定期間の拘束力や継続性の要請というものは、
国民投票
を行う主体は新しい
憲法
条項あるいは
憲法
によって拘束を受け得る
可能性
がある人々、つまり、でき得る限り若い世代に開かれたものでなければならないというふうに考えているものでございます。 したがいまして、この
委員会
の
議論
を踏まえて、私は、
国民投票
権者は最低限十八歳に達した者に、あるいは
投票
時点で
日本
の施政権の外に居住している
日本
国民
に対してもその
投票
権が与えられるべきである、この認識をこの
委員会
で共有できたのではないかと考えているところでございます。 さらに、
国民投票
における運動は、代議制のもとでの
議員
を選ぶこととは決定的に異なるということでございます。したがいまして、その運動は、
原則
として自由であることが要請をされます。つまり、
国民投票
の
手続
関係
者や事務
関係
者の運動は例外的に制限される部分があっても、その余は最小限の規制で十分でありまして、さらにマスコミの報道の自由は特に保障をされなければならないと考えております。 さらに加えて、
憲法改正
にかかわる
方法
上の問題として、次のような
論点
が残されていると考えております。 本日の
福井参考人
の御
意見
でも
指摘
されました
シングルサブジェクトルール
、これを導入するかどうかは極めて重要な視点であると思います。加えて、
憲法
条項のうち、例えば、簡易な文面の追加や手直しに係るものと重大な
統治機構
の
改正
に係るものとを区分する必要があるのではないか。前者については、
国会
の
特定
多数、例えば五分の三というふうなことも考えられますけれども、これによる
改正
を可能にし、後者に、後者というのは
統治機構
の
改正
等々ということでございましょうけれども、
国民投票
を
要件
とするなどの工夫が必要だと考えております。 これと
関係
いたしまして、
フランス
やスペインのケースのように、
憲法
に準ずる重大な
法律
、すなわち
憲法
附属法に係る特別多数決
制度
の検討も行う必要があると思います。例えば、二院制の基本
原則
の変更に及ぶ議院規則の
改正
や、国と地方の
関係
に関する重大な変更に及ぶものについては特別多数決を義務づけるということも検討をすべきだと思っております。 この間の
議論
から、私たちは、国政における重要な問題に関しては、
国会
がその旨議決した場合に、
憲法改正国民投票
とは別途に、そういう
テーマ
について
国民投票
に付することができる法制をあわせてつくることが望ましいとの認識に到達いたしております。例えば、今マスコミ紙上をにぎわせている女性天皇、皇室典範の
改正
、こういう課題については、
憲法改正
そのものではないわけでありますけれども、象徴天皇制が
国民
の総意に基づき支持を得ていることの確認のためにも、
国民投票
に付すべき
テーマ
であると考えているところでございます。 以上であります。
中山太郎
114
○
中山
委員長
次に、赤松正雄君。
赤松正雄
115
○赤松(正)
委員
公明党の赤松正雄でございます。 基本的な、私の私見も踏まえての公明党の物の考え方は、前回というか、一番
最初
の六日の日に述べたとおりでございますが、その後、十三日、二十日、きょう二十七日と、三回の
参考人
の皆さんとのやりとりを踏まえました上で、若干の補足といいますか、つけ加える点について申し上げたいと思います。 その前に、今、愛知
理事
とまた
仙谷
委員
の方から、この
憲法
調査
会、そして
憲法
特別
委員会
に至る流れの中で、
中山
委員長
のリーダーシップに対する敬意の表明がございました。私も本当にそのとおりであると思う次第でございますが、ただ一点、惜しむらくというか、これは
中山
委員長
に対することではございませんけれども、私も五年、ほぼ大半ここに籍を置かせていただいて思いますことは、さっき
国民
を巻き込むという話がありましたけれども、若干ちょっと、我々レベルとまた
国民
全般の皆さんの
憲法
に対する思いというものは少し違うかなという感じがいたします。 そこで、この間の総務
委員会
で、NHKの十三、十四、十五、三年の決算を
議論
する場で私、申し上げたんですけれども、今、テレビと政治というものは、結構、特に民放における
政治家
のかかわりというか取り上げ方という部分で、いい点もあるんですけれども、かなり誤解を呼ぶような、そういう取り上げ方が多いのではないかという感じもいたしますので、NHKはもう少し、余り各
政党
との距離を意識し過ぎて、無味乾燥というのは言い過ぎかもしれませんが、政治に関する話、おもしろくも何ともない番組が多過ぎるのではないかということを申し上げて、予算
委員会
等のテレビ放映もいいけれども、ぜひ
憲法
特別
委員会
のテレビ放映をするべきだという提案をいたしました。 それは、さっき愛知
理事
がおっしゃったんですが、私も、過去のこの
調査
会におけるおもしろさというか、
通常
の
国会
の
委員会
が政府に対して一方的に与野党の
議員
が質問をするという形ではなくて、いろいろな人がいろいろな角度から自由に発言をする、時には
政党
間の交錯したやりとりがある、こういうことを一般のお茶の間に見せるということは非常に大事なことじゃないか。 そうすると、残念ながら若干空席がありますが、そういう空席もなくなって、我こそこの
憲法
委員会
で発言したいという人が入れかわり立ちかわり出てきて、いろいろな発言が、私なんかは何か不本意にも何回も発言していますけれども、我が党でもいろいろな人が出てきて発言をするというふうな形に流れていくのではないのか。 ぜひ、
委員長
におかれましては、そういう角度の提案といいますか、そういうものも考えていただきたいと思う次第でございます。 それから、きょう
参考人
とのやりとりの中でも申し上げたんですが、私は、この
憲法改正
にまつわる
手続
法の問題も
議論
するという流れの中で、第一回目に申し上げましたように、しっかりとお互いに
議論
をし合ってこの
ルール
をまずつくるということがあって、その後に来るべきものは、先ほどのお話では
憲法
を
争点
にした総
選挙
というお話がありましたが、私は、いわゆる助言型
国民投票
というか、一番
最初
に、
ルール
は
ルール
としてつくった後、果たして、
憲法改正
というものをするということについて
国民
の皆さんに、助言型
国民投票
的スタイルで
改正
していいのか悪いのか、どうなんだ、こういうことをまず号砲一発で、スタートラインで、そういう行為に挑むということについての是非を問うという場面がないといけないのではないか。 そういうことをしないで、五年間の
憲法
調査
会の
議論
は、必ずしもそれは
改正
に至っていないという立場を持っておられる
政党
の皆さんもいらっしゃるし、
国民
的にも、そういう
改正
に向けて
国会
が何かの
議論
をするというのをオーケーした覚えはないよ、こういうふうなことを言う向きもあるかもしれない。そういう
意味
では、
一つ
のやり方、提案としては、いわゆる拘束力を強く持つという
意味
じゃなくて、助言型の
国民投票
としての全体の
国民
の皆さんの気分をつかむという
意味
で、
国民投票
がまず
最初
に来る必要があるんじゃないか。 その際に、できれば全面的な
改正
なのか、あるいは部分、私どもたびたび申し上げております加憲という格好で、現行の
日本国憲法
というものの大筋を認めた上で順次それに加えていくという形をとるのか、あるいは今のままで一切手を加えない、むしろやるべきことはほかにある、こういう格好でやるのか、その辺の言ってみれば粗ごなしの作業を、先ほど申し上げた助言型
国民投票
的スタイルでもってやる必要があるのではないか。それを受けて
国会
での
議論
という形になるというのが望ましいのかなという気がいたしております。 先般、三
段階
論を申し上げました。一
段階
が、
憲法
調査
会。二
段階
が、どこをどう変えるか、また変えないのかという
議論
を
国会
の、私は
憲法改正
のための
調査
会、そういう名称がふさわしいと思っておりますけれども、そういう場を設けて
議論
をする。そして三
段階
目に、具体的に
発議
の形に入っていく。こういう格好なんですが、その場合の二
段階
における一番
最初
に、先ほど申し上げたようなそういう
国民
に直接問いかけるという部分が来るべきではないのか。 もしそれがない場合はどうするかな。例えば考えられるのは、衆参
両院
で
国会
における本
会議
議決というふうな格好で、
国会
議員
が
憲法
に向けての、
改正
をするというのではなくて
改正
をするかしないか、そういう作業に取り組む、そういう議決というか決議というか、そういうものが代替物として必要になってくるのではないのかな、そんなふうな感じがいたしております。 二点目に、
国民
の
意見
をどう
反映
するか、
国民
の
意見
を聞くやり方、そういう点でございます。 先ほど
参考人
の方にも質問をいたしましたけれども、具体的にどこをどうするかということを
議論
する場合に、もちろん先ほど申し上げましたように、そういう場面では、いわゆるテレビ等を通じての、
国民
の皆さんのお茶の間に直接いろいろな物の考え方が提示されるというのは非常に大事なことだと思いますけれども、同時に、そういう場だけではなくて、どう
国民
の
意見
を集約するかというか、そういうものをどうつかまえていくかという部分の工夫が必要ではないか。 その点では、
一つ
は、先ほども申し上げましたけれども、私の申し上げます
憲法改正
のための
調査
会というものの附属機関として、いわゆる学者、評論家等を踏まえた識者のそういう協議の場、そういう
憲法改正
に向けての
議論
をする場というものも同時に並行的に設置して
議論
する場面が必要ではないか、そんなふうに思います。 中身的には、現行
憲法
の解釈、そして、現行
憲法
を施行している状況と現実との乖離ということがよく言われますけれども、そういう
議論
をぜひともじっくりやる方がいい。これは、そういう
議論
をしっかりすることによって整理をして、現行
憲法
をもし変える必要があるんだったら、どこをなぜ変えなければならないのかという整理をしっかりとする必要がある。そういう
意味
で、先ほど申し上げました
国民
の代表としての学者、文化人のそういう協議する場というものも同時に並行的にやりながら、私たちもそういう
議論
を一方でしっかりする、こういうことが必要ではないかと思います。 時間が来て恐縮ですが、あと具体的な部分では、
発議
の仕方については、先ほど申し上げましたように、
一つ
二つ
の
テーマ
で
最初
スタートするということが非常に適切であるということを改めて痛感をいたしました。 年齢につきましては私、前回冒頭で、選択が分かれるものという位置づけで挙げておきましたけれども、この四回の
議論
を聞いておりまして、私も、十八歳、そしてできれば高校卒業という、年齢ではなくて、高等学校卒業という格好で区切るというのが望ましい、そんなふうな感じを持つに至った次第でございます。 以上、ありがとうございました。
中山太郎
116
○
中山
委員長
次に、笠井亮君。
笠井亮
117
○笠井
委員
日本
共産党の笠井亮です。締めくくりに当たっての発言を行います。 私は、本特別
委員会
で、今日の
国民投票
制度
の整備の問題が九条改憲と一体のものであるというふうに述べてきましたけれども、まさに
委員会
の審議とともに進んでいる現実の政治そのものがそうした方向で動いているということを痛感いたしております。 自民党は、あすにも結党五十年で発表する新
憲法
草案をまとめるとのことであります。その
内容
は、自衛軍の保持を明記して、海外での武力行使を可能とする九条の改憲を中心としたものとされています。本
委員会
でも自民党
委員
から九条の理念は守ると繰り返し発言がありましたが、一切の戦力と交戦権を禁じた二項を変えることは、九条そのものの理念を壊す重大な改憲案と言わなければなりません。民主党も
憲法
提言を出すとされています。こうした改憲案づくりと並行して、一体となって進められてきたのが本
委員会
の審議であります。 この間の自由討議の中でも、
国民投票
制度
の整備が具体的な改憲と一体であることを裏づける発言がありました。
国民投票
制度
の
投票
方式を個別にするか
一括
にするかという
議論
の中で、今回のこの全面
憲法改正
という我々の立場からすれば、
一括
で
国民
の
賛否
を問うという
方法
がいいのではないかという
意見
や、少なくとも今後予定をされているであろう
憲法改正
の
国民投票
に当たっては、
全面改正
的な、あるいは
一括投票
的な
国民投票
手続
を志向する方が妥当ではないか、こういう
意見
が出されました。これらが具体的な改憲案を念頭に置いたものであることは明らかだと思います。
国民投票
制度
は、改憲とはかかわりなく整備すべきだという主張はもはや成り立たないと私は思います。今や
国民投票
制度
の整備は、紛れもなく、九条を中心とした改憲の実現に向けた、いわば条件づくりとして現実の政治が動いているのであります。こうした動きは、二十一世紀の世界が目指す平和の流れに逆行すると言わなければなりません。 今、
憲法
九条、この問題、いろいろ
議論
がありましたけれども、やはり
日本
に対する世界からの信頼の源というだけでなくて、やはり国連憲章に基づく平和の国際秩序、世界秩序をつくっていく上での重要な
指針
の
一つ
として評価されてきております。 国連のアナン事務総長の呼びかけにこたえて、ことし七月にニューヨークの国連本部で開かれた武力紛争防止のためのグローバルパートナーシップの国際
会議
で、平和を築く人々、武力紛争予防のための世界行動提言が採択されましたけれども、この中でも、
日本
の
憲法
の戦争放棄と戦力不保持の条項がアジア太平洋地域全体の集団安全保障の土台となってきたと明記されました。国際的にも評価が高まっている
憲法
九条を、投げ捨てるのではなく、
日本
とアジア、世界の平和のために生かすことこそ私たちの役割ではないでしょうか。 なお、九条にかかわる本
委員会
での
議論
をめぐって、
幾つ
か
意見
を述べておきます。
一つ
は、自衛隊を認めないという立場なら、なぜその旨の九条の書きかえを提案しないのかと不思議で仕方がないという
議論
についてであります。そもそも、
憲法
九条は一切の戦力の保持を禁止しており、今や世界で有数の軍隊となっている自衛隊は明らかに
憲法違反
の存在であります。自衛隊の解消という課題は、九条の
趣旨
に立って、政治と
国民
の運動によって実現をしていくということが何よりも
憲法
の立場だと考えます。自衛隊を合憲の所与のものとしてその否定を条文に書くというのは、それこそ不思議な話になってしまうと思います。 もう
一つ
は、自衛隊の行動に規制を加えるための九条改憲という
議論
でありますけれども、問題は、そのような九条改憲によって現実に自衛隊の行動に規制がかかるかといえば、何の保証もないというのが著名な
憲法
学者の
指摘
でもあります。歴代自民党政権は、一切の戦力を認めていない九条のもとで、日米安保条約を結び、自衛隊をつくって、戦場であるイラクにまで派兵を強行してきました。その政治の現実を見るならば、自衛隊の行動を規制する条文を加えたからといって、
憲法
をないがしろにする政府のもとで現実に自衛隊を規制できるかというと極めて疑問であります。問題は、
憲法
にあるのではなくて、
憲法
を守らない政治にあるのであって、その政治を変えることこそ
国民
にとって必要な課題だと考えます。 最後に、今
国民投票
制度
を整備すべしとして挙げられた理由が、私は、この審議の中でいずれも説得力のないものであったということを
二つ
の点で述べたいと思います。
一つ
は、改憲のための
国民投票
制度
が未整備であることを立法不作為とする
議論
が成り立たないということが本
委員会
でも明らかにされたと思います。
参考人
からも、立法の不作為状態にあるから
国民投票法
を整備しなければならないというロジックに対して、不作為ということで法整備ということが
裁判所
等の目から出てくるわけではないという形で、
憲法
調査
会での発言の
趣旨
が改めて紹介されました。
国民
多数は九条を初めとする改憲を望んでおらず、
国民
の
憲法改正
権は侵害されておりません。したがって、立法不作為は成り立たないことは明らかであります。
国会
が抽象的
違憲審査権
の立場で、こういう発言もありましたけれども、
国会
は立法府であり、
日本国憲法
のどこを読んでも
違憲審査権
などは付与されておりません。それでも不作為状態という話にはならないという
参考人
の
意見
は当然であります。 なお、政治的
意味
で、こういう御主張もありましたけれども、これは結局、今進めようとしている改憲のための
国民投票
制度
の整備の理屈づけに、不作為という言葉を、それこそ政治的に使っておられるというふうに言わざるを得ません。 もう
一つ
は、改憲のための
国民投票
制度
の整備は
国民主権
の具体化などというふうに言われた
議論
であります。 本日の
参考人
質疑では、正確な
民意
の
反映
ということが強調されました。さきの総
選挙
では、小泉総理が、郵政民営化の是非を問う
国民投票
だ、いわばそういうものだとして行いましたけれども、
与党
は小
選挙
区で四九%、比例代表でも五一%の得票率で、
国民
の圧倒的多数が郵政民営化を支持するという結果を出したわけではありません。ところが、議席の上では
与党
が三分の二を超える議席を得ることとなって、
国民
の
民意
と
国会
の議席との大きな乖離を生み出したわけであります。 そもそも、小
選挙
区制は改憲の
発議
を容易にすることもその目的の
一つ
として導入されたものであります。
民意
をゆがめる小
選挙
区制によって多数を得て、
民意
を
反映
しないあるいは
民意
に反する改憲案を
国会
が
発議
することは、
国民主権
の立場からも許されるものではありません。まして、本
委員会
の
議論
の中で出された、
国民
の運動やメディアの報道に対して厳罰をもって厳しく規制すべきだという主張は、およそ
国民主権
と相入れないと言わなければなりません。現実には
国民主権
を
抑制
するような政治を進めながら、九条を中心として
憲法
を変えようという勢力から出されている
国民主権
の具体化などというのは、
国民投票
制度
整備の理由にはなり得ません。 今必要なことは、九条改憲のための
国民投票
制度
ではなく、
日本国憲法
に基づいて
国民主権
を全面的に発揮して、
憲法
の平和的、民主的諸
原則
を
日本
の政治、経済、社会の隅々に生かしていくという立場から、現実の政治を改めることであります。 このことを重ねて強調して、締めくくりの発言といたします。ありがとうございました。
中山太郎
118
○
中山
委員長
次に、
辻元
清美君。
辻元清美
119
○
辻元
委員
社会民主党の
辻元
清美です。 本日は、締めくくりの発言ということで、私は、
憲法
とその
発議
や
国民投票
の
ルール
を決める立法府、私たちとの
関係
などについて
意見
を述べたいと思っております。
憲法
を変える
手続
法である
国民投票法
は、国の基本法にかかわる大変重要な
手続
を決めるものですから、ほかの法案よりはるかに慎重で、あらゆる方面から十分な
議論
が必要であるということは皆さん御主張なさったというふうに
理解
しております。特に、きょうの
参考人
の御
意見
の中で、
日本国憲法
というのは硬性
憲法
であること、
議会
主導型であること、
国民投票
の経験がないことから慎重な
運用
が求められるというような御発言もありましたけれども、これは、今の持っている
憲法
の特徴として、共通の認識があるのではないかというふうに思います。 さて、そういう中で皆が、ああ、この
方法
やったら公平やな、中立やな、そういう
方法
で選んだんだから結果についても皆で責任が持てるなということが果たしてどういうことで担保されるのか。その点について、私は最後に、先ほどから
議論
にもなっておりました
投票率
や過半数という定義が非常に重要になるのではないかと思いますので、締めくくりにも
指摘
をさせていただきたいと思います。 これは、例えば、この間の神奈川県の補欠
選挙
の
投票率
は三二・七四%でした。仮にこれが
国民投票
であったとするならば、その過半数で
改正案
が可決されるということになりますので、約六人に一人ということでの可決になってしまいます。これは、例えば現
憲法
が選ばれたとした場合、
改正
が必要だと思っている人からは、ちょっと少ないんと違うん、それで正当性があるのだろうかという疑義が呈される
可能性
もあるし、それから、
改正案
が可決された場合にもその正当性について疑義が出る、
意見
が出るという
可能性
も否定できないわけです。 私は、この
投票率
ということを考えますと、やはり皆が納得できるというところで高いハードルを設けても、それをクリアしたからこそ、皆で決めたじゃないかと、どちらが選ばれても納得できる
一つ
の大きな課題になるのではないかというふうに考えております。そういう
意味
では、一定の
投票率
の
規定
を必要としているのではないか、ここは重要なポイントであると思います。きょうは四〇とか五〇という
意見
も出ておりましたけれども、検討に値する点だというように思うんです。 過半数についても、
参考人
の中では、有権者すべての過半数がいいのではないかというぐらいのハードルをかけた方がいいんじゃないか、それは後の納得性の問題と直結してくるというような御
意見
も出ておりまして、私は、これは検討に値するというように思います。 というのは、何回も
憲法
とは一体何かと考えた際に、
国民
が、主権者が政府をコントロールしていくということであり、多数による専制を防止するための
最高法規
というような側面もあります。ですから、これを変更するのであれば、どのような立場の人から見ても
国民
の
意思
が明確にあらわれたということが納得できるというようなハードルをしっかり私たちで
議論
していくべきだと思います。 これは、どちらが選ばれても、それに賛成しなかった者から、その選ばれた
憲法
に対して疑義が出る。例えば
議会
で考えてみましても、反対した
政党
や
議員
が多数をとって政権交代が起こる場合だってあるわけです。かつ、反対した
議員
が大臣になる場合もあるわけです。そのときに、
自分
たちが反対したからまた変えてしまおうとか、あんなに
投票率
が低かったのでこの
憲法
についての正当性が問われるんじゃないかというようなことが政治の場で
議論
されるようになっては、混乱が混乱を招いてしまうということになりかねないと思いますので、この
投票率
や過半数ということはしっかりと
議論
されるべき問題だということを強調しておきたいというように思うんです。 さて、そういう中で、それでは、選ばれた
憲法
について、私たちまたは現
憲法
についての私たちの立場というものの中に、国務大臣や
国会
議員
には
憲法
尊重擁護の義務が今の
憲法
でも課せられていて、これはどのような
憲法
であっても変わることはない点ではないかと思います。 そういうことになりますと、これは将来の
憲法
についてだけではなくて、
憲法
の
議論
をする際に、もしも
委員
の皆さんや
議員
、
議論
する側が
自分
の気に入らないところがあったとしても現
憲法
を尊重し擁護するという立場でないと、もっとすばらしい
憲法
をつくるんだと意気込んでみたところで、
憲法
というものと真摯につき合っていないということになるのではないかと思います。たとえ新しい
憲法
ができたとしても、現
憲法
に対してお粗末に扱っているということであるならば、新しい
憲法
ができたからそれを守るんだということを言う資格がなくなってしまうというぐらい厳密に現
憲法
に対しての厳格な
運用
ということと私たちは向き合わなきゃいけないと思うんです。 さて、そういう中で、私は、この
委員会
で、現
憲法
による
規定
を無視というかちょっとないがしろにしているんじゃないかという発言も出たということが非常に残念な点でした。それは、例えば、ある
委員
の方が自衛隊などのことを言及されたときに、自衛隊の代表者や特に自衛官にも本会に
出席
してもらって、部隊の
運用
や必要な装備について
意見
を聞いてやる必要があるんじゃないかというような発言も飛び出しました。 私は、現
憲法
のもとで
日本
はシビリアンコントロールの国ということが徹底されて、これは
日本
のいい点ではないかというように思っております。そのような
憲法
のもとで、そしてその
憲法
にまつわることを
議論
しようという本
委員会
での発言で制服組を呼ぼうというような
議論
まで飛び出すということは、私たちが今まさしくどうすればいいかという
憲法
をないがしろにしてしまう、それはどういう立場であっても同じではないかというように私は思いました。 さて、そういう中で、もう一点。先日、
委員
の中からも
指摘
がありました、小泉総理の靖国参拝についても、これは賛成、反対についてここで
議論
や
意見
を申し上げるのではなく、
憲法
との
関係
で一言
意見
を申し上げたいと思います。
幾つ
かの
裁判所
で違憲判決が出た。これは、
裁判所
の
判断
も
国民
の
判断
も分かれているところです。そうなりますと、どんな
憲法
であっても
憲法
擁護尊重の義務があるという立場で
憲法
を変えよう、または
憲法
の
内容
を
議論
しようという者は、やはり、この擁護尊重の義務をきちんと認識した行動が必要だと思うんです。特に一国の
総理大臣
となりますと、それは重要な
意味
を持ってくると思います。 先日の党首討論の中でも、一
国民
の思想、信条の自由ということを総理が主張されたことは、非常にこれも残念でした。やはり、政教分離ということが問題にされていたわけです。私は、新しい
憲法
をつくった方がいいんじゃないか、またはその
方法
、
ルール
をきちんと
議論
しようという人であればあるほど、一国の
総理大臣
が疑義を呈されるという行為に対しては厳しく、そういう人であればあるほど、警告を発していくというぐらいの厳しさを持って
憲法
と私たちが向き合うということが大事ではないかというように思っております。 ですから、最後になりますけれども、どのような
憲法
を選択するかを決める
手続
法では、一国の
憲法
としてしっかりとした正当性が持てるだけの支持を得るための
規定
の設定ということが重要になると考えますし、その上で選ばれた
憲法
を尊重し擁護する責務が現在もそれから将来も公的な立場の者にあるということを踏まえて、
国民投票法
を含む
憲法
をめぐる
議論
がなされなければならないということを最後に強調して、締めくくりの発言とさせていただきます。 ありがとうございました。
中山太郎
120
○
中山
委員長
次に、滝実君。
滝実
121
○滝
委員
国民
新党・
日本
・無所属の会の滝実でございます。
国民投票
制度
の問題につきましては、当
委員会
設立の
最初
からその都度
意見
を申し上げてまいりましたけれども、総括して少しばかりお話をさせていただきたいと思っております。 先ほど来、各
委員
の皆さん方から
国民投票
をめぐるいろいろな御
意見
がございました。私は、その中でやはり一番重視しなければいけないのは、
国民投票
制度
、これは、
国民主権
をどうやって実現するか、国の基本をどういう格好で
国民
が参加する、主体性を持って
意思
決定をするか、そういうことを取り決める
法律
、そういう
意味
では大変重大な法案だろうというふうに思います。 そういう
意味
で、
仙谷
委員
がお述べになりました、
通常
の法案の
手続
でいいのかどうかということについても、改めてそういう角度から、これは特別な
法律
だという
意味
で、
衆議院
、参議院を通じての
意思
交流、そしてまた、その中での
国民
のおおよその
意見
をどういう格好でこの
手続
法についても入れ込んでいくかということも改めて考えてみなければいけない問題だろうというふうに思っております。 そういう
意味
で、改めて、この
国民投票
制度
の持つ重要性、そういうものを
国会
における審議を通じて
国民
に
理解
をしてもらう、そういうことが一番大事だと思っておりますし、そしてまた、この法案が直接
憲法
九条の問題につながるものでもない、それは
憲法
の
改正案
の中身の問題と不即不離の
関係
にあるのかもしれませんけれども、これは別の問題だということも
国民
の皆さん方に
理解
をしていただく、そういう必要があるんだろうと思います。 そういう
意味
で、本日の
参考人
からもお述べいただきましたように、
憲法
で要求されております
改正
に要する過半数の数字とは別の角度からも改めて
議論
をしていただくということも
一つ
の
方法
だろうと思います。 ただし、きょうの
福井参考人
がお述べになったように、
憲法
で要求されている
承認
の基準としての過半数のほかに、例えば四〇%条項を入れるとかいうことになりますと、それはなかなか
賛否両論
ある
意見
だろうとは思いますけれども、そういうようなことを踏まえて、この
手続
法をどうやって
規定
していくかということを常々考えなければいけない、そういう問題だろうと思います。 そういう
意味
で、
福井参考人
がおっしゃったように、
憲法改正
をする際には、やはり
国民
からの
理解
、それから
国民
からの盛り上がり、そういうものがなければ、これがたとえ
改正
ということになっても、なかなか
国民
の大方の信任が得られない、そういう問題を後に残すことになるだろうと思いますので、ぜひとも、この
国民投票法
においては、どうやったら
国民
の
民意
が
反映
されるか、そのための
手続
としての運動はどうあるべきかということを、もう少し具体的に各国の例を
参考
にしながら十分に
議論
していく、そういうような方向づけがこの
委員会
を通じても出てきたように思いますし、次の
委員会
に継続していく、そういうようなきっかけになっているんではなかろうかな、そういうふうに思いますので、その辺のところを改めて私は強調すべきだろうと思っております。 そして、その際に、やはり
問題点
として意識しなければならない点は
幾つ
かございます。例えば、年齢の問題あるいは発問方式の問題、運動期間の問題、そういうような重要な問題が
幾つ
かございますから、そういう問題についても、具体的ないい悪いの検討をすべきだろうと思っております。 例えば、この
委員会
でも出されましたように、
国民投票
だけは十八歳まで年齢を引き下げるということが具体的な提案としてなされているわけでございますけれども、そういう問題が本当に可能なのかどうか、そして、その場合には
国政選挙
の方はどうするのかとか、そういった問題まで掘り下げた
議論
をしていきませんと、なかなか
国民投票
の
運用
の問題に今度はネックになってくる、こういうことだろうと思います。今までの考え方からすれば、
国民投票
の
運用
は
国政選挙
にそのまま乗っかっていくということでイメージがあるわけでございますけれども、それとは別の
制度
あるいは仕組みを考えるとなると、全く違ったことを具体的に詰めていく必要がある、そういう問題がございます。 そういう
意味
で、例えば運動期間の問題も、今まで出されているいろいろな試案の中では、運動期間は三十日から九十日ぐらい、こういうようなことがおおよその検討として
議論
されてきているように思いますけれども、それにつきましても、発問方式あるいは年齢の問題から
国政選挙
とは違ったとり方をするならば、単純に三十日から九十日ということだけで設定できない問題が実務上の問題として出てくると思いますので、そういった点についても具体的に詰めていく、こういうことがどうしても必要だろうというふうに思っております。 そういう
意味
では、この特別
委員会
ができ上がってからこれまでの
議論
というものは、それなりに大変真摯な
議論
がこの中で展開されたわけでございますから、それに基づいてさらに掘り下げた
議論
、そして私どもは、もう少し
国民
に
国民投票
そのものを
理解
してもらうだけのアピールというものを
国会
としてやっていく、そういうような機会をできるだけおつくりいただきますように希望を申し上げまして、
意見
とさせていただきたいと存じます。 ありがとうございました。
中山太郎
122
○
中山
委員長
これにて各会派一名ずつの発言は終わりました。
—————————————
中山太郎
123
○
中山
委員長
この際、一言申し上げます。 去る九月二十一日、特別
国会
が召集され、翌二十二日、本
委員会
は、
日本国憲法改正国民投票制度
に係る議案の
審査
等及び
日本国憲法
の広範かつ総合的な
調査
を行うための組織として設置されました。同日、
委員長
及び
理事
の互選をし、その後、本日を含め四回にわたって
憲法改正国民投票
制度
を中心として
調査
を行ってまいりました。 ここで、
理事
会の申し合わせに基づきまして、
委員長
として、この
国会
で
日本国憲法改正国民投票制度
に関してどのような
議論
が行われてきたのか等について、一言申し上げたいと思います。
最初
に、
国民投票
における
投票
権者の範囲について申し上げますと、年齢
要件
や、受刑中の者や
選挙
犯罪によって公民権停止中の者の取り扱いについて
議論
が行われました。 年齢
要件
については、
国民投票
権の年齢
要件
を十八歳以上とすることの是非及び
選挙
権の年齢
要件
と
国民投票
権のそれを同じにすべきかどうか等が
議論
され、また、受刑中の者等についても
国民投票
権者に含めるかどうかが
議論
されました。 いずれについても両論が述べられたわけでございますが、年齢
要件
、受刑中の者等の扱いに関し、
国民投票
権者の範囲を
選挙
権の場合よりも広いものとすべきであるとする
意見
は、
国民投票
は国の形を決めるものであるから、できる限り多くの
国民
にこれを付与すべきであるという考え方を基礎とするものでございます。 いずれにいたしましても、
制度
の根幹にかかわるものでございますから、さらに
議論
を深める必要があるものと存じます。
投票
権の
要件
に関連して、海外在住の
日本
国民
に対しても
国民投票
権の行使が保障されるべきことは、
委員
の間に御異論はないものと存じます。 去る九月十四日、在外邦人
選挙
権
訴訟
について、最高
裁判所
は、
憲法
は、
国民主権
の原理に基づき、両議院の
議員
の
選挙
において
投票
をすることによって国の政治に参加することができる権利を
国民
に対して固有の権利として保障し、その
趣旨
を確たるものとするため、
国民
に対して
投票
をする機会を平等に保障している。このことからすれば、
国民
の
選挙
権またはその行使を制限することは
原則
として許されず、
国民
の
選挙
権またはその行使を制限するためには、そのような制限をすることがやむを得ないと認められる事由がなければならないとする
趣旨
の判決を出しました。 この判決の
趣旨
からすれば、
選挙
権以上に主権者
国民
にとって重要な
意味
を持つ
国民投票
権の行使を制限することは
原則
として許されないことは、言うに及ばないところでございましょう。 在外
投票
に関しては、この
趣旨
にのっとって、在外
投票
人名簿への登録
手続
の簡素化や、郵便
投票
などの
投票
方法
の多様化、効率化、あるいは現地への情報の提供の
あり方
等、全般についてなお
議論
する余地があるものと存じます。 次に、
国民
に
賛否
を問う
方法
として、
改正
条項を
一括
して
改正
全体について
賛否
を問うのか、各条項あるいは各項目ごとに
賛否
を問うのかという問題についてでございます。 この点については、関連性のない複数の
改正
事項が
一括
して
投票
に付されると
賛否
の
判断
が困難であるから個別に
判断
することができるようにすべきであるが、ただ、論理的に不可分一体の
改正
事項については例外的にそれを単位として
賛否
を問うべきであるというのが、
議論
のおおむねの方向と言えるのではないでしょうか。 なお、
全面改正
の場合は、この例外的に
一括投票
によるべきケースになるという御
意見
もございました。 残る問題は、複数の
改正
事項がある場合に、それらに関連性があるのか、それとも不可分一体であるのかをどのように適切に決定するかということではないでしょうか。 次に、
発議
後の周知期間についてであります。 十分な期間を確保することが必要という点では異論のないところでありましょう。この点、
参考人
から、さまざまな
意見
が淘汰されていく過程を持つためにも、周知期間を十分にとるべきであるという
意見
が述べられました。また、
委員
からも、
憲法
の
あり方
について
国民
的な
議論
を尽くすべく、この期間を相当長期なものとすべきであるとする御
意見
もございました。 このような観点を含め、今後、周知期間の具体的な定め方についての検討が必要と存じます。
改正案
の周知、広報活動についてでありますが、衆参
両院
議長名で
改正案
の案文及びその要約や解説を付した公報を出すという案も述べられたところでございますが、
参考人
質疑を契機として重要な
論点
が浮かび上がってまいりました。 すなわち、
参考人
から、公金を用いて行う政府の広報活動は、
改正案
の
賛否
に関して、例えば両論併記のパンフレットの発行といった中立的な
特定
の活動に限定されるべきであるとの見解が開陳されたところ、このような見解に賛成する
意見
が複数の
委員
から述べられたところであります。 この点、政府の中立性を定めている諸
外国
におきましても、それを担保する具体的な
方法
につきましてはさまざまな試行錯誤を続けているということでございますので、諸
外国
の
制度
につき、さらに
調査
を深めていく必要を感じた次第であります。 次に、
国民投票
運動の規制に関する
議論
でございますが、特に、運動の主体の問題として
外国
人の
投票
運動に対する規制の是非が、運動の中身の問題として買収やマスコミの虚偽報道の禁止について
議論
が行われました。
外国
人について、
投票
権が認められないことは
国民主権
の原理からして当然のこととして、その運動まで規制すべきかどうかについては、特にその組織的な活動について一定の制限が必要であるとする
意見
も述べられましたが、規制に反対の
意見
もございました。 運動の中身について、
国民投票
の公正の確保を重視して、虚偽報道や買収など必要最小限度の規制を要するとする
意見
と、他方、
国民投票
に係る運動と一般の政治活動との区別は困難である、規制を設けることによって
憲法
議論
を萎縮させるべきでない、あるいは虚偽の言論は言論の自由市場における淘汰にゆだねるべきであるなどとする
意見
とがございました。
国民投票
運動に対する規制の是非の問題については、個別の行為類型ごとに、
国民投票
の特徴を踏まえた上で、
国民投票
の公正と運動の自由という
二つ
の価値を調和させるべく
議論
を深めていく必要があると感じた次第であります。 次に、
憲法
九十六条が
要件
とする
国民投票
における過半数
要件
の
意味
についてでありますが、
委員
の御
意見
としては、一、白票、無効票を含めた
投票者
総数の過半数とするもの、二、有効
投票
総数の過半数とするものが述べられました。これは、
投票
の記載
方法
をどのようにするかといった
論点
につながる問題でございますが、さらに
議論
を要する問題であります。なお、
参考人
からの御
意見
として、有権者総数の過半数という
意見
もあったことを申し添えておきます。 次に、
国民投票
と
国政選挙
とを同時に
実施
することの是非という点については、同時に
実施
することも差し支えないとする
委員
はおられず、この点について述べられた
委員
の
意見
は、別個に
実施
すべきであるとするものであり、主要与野党間での
合意
が期待される
憲法改正
の
国民投票
と
政党
間で政権を争う
国政選挙
とでは性格が異なるということを理由としておりました。この問題は、既に決着済みと言えるほどに共通の認識が形成されているものと存じます。 最後に、
国民投票
による
承認
の効力の発生時期と
国民投票
の無効
訴訟
との
関係
に関する
論点
がございました。
承認
の効力の発生時期について、無効
訴訟
が終結、確定して、
投票
の結果が最終的に確定したときとする考え方と、
投票
の結果、賛成
投票
が過半数に達すれば、
国民
の
意思
が明確に示されたものであるから、直ちに公布、施行すべきという考え方とが述べられました。また、より精緻な
議論
として、基本的には直ちに公布、施行すべきという後者の考え方に立ちながら、
国民投票
の
手続
にきずがあるとする原告の主張に疎明がされた場合に
承認
の効力の発生を一時停止するという構想についても
議論
が行われました。 これらの点については、何をもって
国民投票
の無効原因とするかについての
議論
も踏まえ、なお検討を要する問題でございますが、いずれにしても、
国民投票
で示された
民意
を迅速に実現することの必要性と
改正
憲法
の安定性という
二つ
の要請を踏まえて
制度設計
をする必要があるものと存じます。 終わりに、
国民投票
制度
の意義について触れたいと存じます。 前回、十月二十日の
委員会
において、
意見
が違っても
議論
をし、
国民
が国づくりへの参加意識を持つこと、それが
国民
の統合に大変に寄与するものであるとする
参考人
や
委員
の発言がございました。まさにそのとおりであります。
国民投票
は、
憲法
制定
権力の担い手である
国民
みずからが
憲法
論議に直接かつ終局的に参加する
制度
であります。この
制度
を整備することは、
日本国憲法
の基本原理である
国民主権
原理を具体化するということであり、つまりは
憲法
制定
、
改正
に対する
国民
の主権を、
国民
を代表する
国会
が回復する作業というべきものであります。 以上をもちまして、私の発言といたします。(拍手) 次回は、来る十一月一日火曜日
委員会
を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。 午後零時八分散会