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渡辺(具)
委員 私もそう思います。
図面を見ればわかるはずだと思っておられたから、わかっている
人たちかもしれないなというふうなことは思われたかもしれません。
この
悪事が、なぜこれだけたくさんの
悪事がばれないで進んだかということは、一つは、私は、暗黙の了解というか、ああ、これは都合がいいことだからこのままやろうと。何もそれをほじくってあからさまにすることはないわけですよ、それは得なんだから。それで、
悪意の
連鎖の中で行われたというふうに思うんです。
それを私は調べてみると、あなたは大体七十一件、きょう現在で七十一件の
偽造があるんですけれども、この工事は、七十一件のうち半分近くを
木村建設とヒューザー、あるいはシノケンが受注しているんですよね。その他の
物件は、元
請会社があるんですが、私が元
請会社に一々電話をして尋ねたところ、教えてくれないところもあったけれども、教えてくれたところは、一件を除いてほとんど
木村建設が受注しているんです。だから、元請はほかの
会社になっているけれども、ほとんど
木村建設が受注しているわけなんですね。だから、私は悪のいわゆる輪の中でやられたというふうに思うんです。
なぜ悪の輪の中だけでやろうとしたかというと、
姉歯さんがつくったトリックは極めてシンプルだから、見る人が見ればわかるから、私はその
悪意の輪の中で行われた、知っているやつらだけでやらないとばれると思ったと思うんです。
そこで、大変大切なことでありますので、今度の
偽造がどんな
偽造だったか、どこをどう
偽造したかということを
お話ししたいと思います。ちょっとパネル。
私の説明を聞きながら、後で御
意見を伺いますので教えていただきたいんですが、これは
設計書の一部なんですね。これは百十ページぐらいの
設計書なんですけれども、まず、二十二ページに、外力、
設計外力を与えるところがありますね。これは水平、この力は一・二五倍になっているんですが、これは御承知のとおり、
国土交通省の施行令では一・〇なんだけれども、東京都のたしか行政指導で一・二五になっているんです。
国民の
皆様にも
偽造のからくりをぜひわかっていただきたいから私は言うんですけれども、柱なら柱に対して重力加速度の一・二五倍を掛けるわけです。そのときに、どんな部材にどんな力が働くかということを、三十八ページに、電算機で
計算した結果が出ているんです。
例えば、Aの三番目の柱には千三百七十五、これはキロニュートンなんですけれども、千三百七十キロニュートンの力が軸力としてかかる。これはテンションですね、Tというのはテンションですね、テンションがかかる。これは、括弧は剪断力ですけれども、八百四十九キロニュートンの剪断力がかかるということなんです。ところが、これを入れてずっと
計算するとエラーが出るわけです。こんな大きな力に耐えられない。
そこで、九十八ページに、この外力を入れるときに操作をしている。つまり、このA3の柱にはこの千三百七十五を入れなきゃいけないところを七百五十七しか入れていない。つまり、この七百五十七というのは、ここにかえると六割分ぐらいしかない。だから外力を落としているんです。どの柱も、一つだけじゃないんです、ここが肝心なんですけれども、どの柱もこうやって
偽造、違う値を入れ込んでいるんです。
だから、この
偽造を発見しようと思えば簡単なんですよね。
計算機も何も要りませんよね。手は後ろに回していて、この
計算書をずっと眺めていくだけでわかるからくりなんです。極めて単純といえば単純。私は、この
偽造は大胆不敵な
偽造だなというふうに思いましたが、そういうことなんです。
ところが、一般の
方々の反論は、この
計算書なんてコンピューターがやっているんだから正しいと思うから見やしなかった、本当は見なきゃいけないんだけれども、見やしなかった、だからなかなか気がつきにくかったとおっしゃるわけです。でも、これには
図面がついているんです。その
図面を見れば一発でわかるような
図面なんです。
図面があるんですが、その
図面を説明しますと、これです。この
計算書にはこういう
図面がついていますね。これは何かというと、同じ柱の断面図を一階から十一階まで書いてあるんです。どの柱についても、その断面図が書いてあるんです。
で、これがなぜわからなかったか。断面図を見たら
鉄筋の量が少ないからわかるじゃないかとだれかが言ったときに、いや、たった一つでは比べるものがありませんから、正しいものと正しくないものが二つあったらすぐわかるけれども、一枚だけではなかなかわかりませんと言う人がいたので、私は、そのことに対する反論としてもこれを持ってきたんですけれども。
同じ、ここが大事なことですけれども、一枚の紙、いいですか、一枚の紙に一階の断面図と十一階の断面図が載っているんです。これじゃわかりにくいので、これを私がつくらせた。今の
図面の中から引っ張り出したら、一階の断面図がこれです。五階も参考までにしてある。それで、十一階の断面図なんですね。これを見たら、本当はもう、少しでも経験のある人なら、学生でもわかりますよ、一発でわからなきゃいけない。
そこはどこかというと、まず、柱の大きさが同じなんですね、これ。八十五ミリなんです。それで、
地震荷重というのは横からかかりますから、一番下に大きな力がかかりますね。だから、一番下の柱が大きくなきゃいけない。しかも、コンクリートというのは引っ張りに対応できないので、
地震に対しては
鉄筋でもつんですけれども、
鉄筋の量が全然変わっていないんです。これは十二本なんです。ここも十二本なんです。
ところが、これを普通、通常の
設計でやったものがこっちなんです。これだけ違うんです。これだけ違うはずなんです。一枚の
図面を見たら、これは通常でやると、これが十二本だったら、一階は十八本要るんです。それぐらい違うんだから、私は、この
偽造は見る人が見たらすぐわかる。見る人が見たらすぐわかるから、内々、暗黙の了解のついている中でこの
悪事をやらなければばれちゃうぞと思ったと思うんです。
今まで私が話したこの
偽造のからくりあるいは私の説明したことについて、思うことあるいは反論、ありましたら言ってください。