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石破委員 自由
民主党の
石破であります。
世界で一番暑い国はどこでしょうというと、それは赤道直下のマーシャル諸島でもなくてアフリカでもなくて、実は
イラクが
世界で一番暑い国であります。一九二一年だったと思いますが、五十八・九度という記録を持っておって、それは
イラクで
自衛隊が
活動している
サマワの近くのバスラという町であります。多分日陰の百葉箱ではかってその温度ですから、外へ出れば、体感温度というのは六十五度とかもっとすごい温度になるのかもしれない。自衛官たちはTシャツ、ジーパンでやっているわけじゃなくて、何十キロもあるような防弾チョッキ、あるいはいろいろな装備を持って、その中で
活動している。それがどんなに大変なことであるかということに我々は思いをいたさなければいけないと思っています。
先般、
委員長の
もとに
視察に行ってまいりました。九州で、空自そして
陸自、あるいはインド洋に出ておる海自、帰ってきた
人たちからいろいろなお話を聞きました。もし機会があればもう一度行くことについてどう思うかというふうに尋ねた
委員がありました。やらせでも何でもなくて、もし機会があればもう一度行きたい、本当に自分たちが人々の役に立っている、国益を実現している、とてもやりがいのあることだということを例外なくすべての隊員が言っておったことが非常に印象的であります。
そういう中で
活動している自衛官諸官あるいは内局の諸君、
外務省の皆さん方、支えている
防衛庁、
外務省を中心とする
政府の皆さん方に心から敬意を表したいと存じます。
もうすぐ十二月二十四日が来ます。私は、十二月二十四日というのはもちろんクリスマスイブなんですが、二年前のちょうど十二月二十四日、
イラク特措法に基づく一番最初の
派遣命令は
航空自衛隊の
輸送機
部隊に対して出しました。十二月二十四日に小牧基地において編成完結式を行いました。
小泉総理も
川口外務大臣も
安倍幹事長も冬柴幹事長も臨席をされ、私ももちろん参りました。そこでこういうお話をしたことを覚えています。
何のために
イラクに行くのか、何のためにクウェートに行くのか、それは一に国益の
確保であるというお話をいたしました。何だかんだきれいごとを言いましても、我々
日本の国がこれだけの水準の経済を維持している、これだけの
国民の福祉を実現しているのは、中東
地域から安定的に石油が入ってくる、これが最も肝要なことであって、
我が国は、中東
地域に依存度が九割、このような選択をしております。あの
イラクを含む中東
地域の安定は
我が国にとって死活的な問題である。
第二に、
国連決議がある。
国連の主要な加盟国として、
イラクの戦後の
復興に加盟国はいかなる手段であれ力を尽くしましょう、そういう
決議があって、
日本の国は、つらいこと、苦しいこと、危険なことはやらない、そういうことはほかの国にやってもらいましょう、そんなことで、これから先、
日本が国際的にきちんとした地位が
確保できるか、それはそうではないであろう。
三点目は、
イラクの人々が一番待ち望んでいるのは間違いなく
日本の
支援なんです。ほかの国のどこでもない。欧州でもなければ、あるいは
アメリカでもない、
国連でもない。どこに一番来てほしいか。それは、
日本の世論
調査じゃない、イギリスの世論
調査で何回かやってみたけれども、一番来てほしいのは
日本人である。五十八・何度という物すごい暑い中にあって、水が出ないというのがどういうことなのか。病院に行ってもお医者さんに診てもらえないというのがどういうことなのか。額賀
長官がおっしゃったように、子供たちが学校に行きたくても学校が壊れているというのは一体どういうことなのか。それができる、それは
日本に求めたいという
イラクの人々の気持ちにこたえなきゃいかぬ。
四番目は、何も日米
安全保障条約に基づいて出しているわけではないけれども、唯一の同盟国である、
我が国にとってたった一つの同盟国である
アメリカ合衆国が一番困難な時期にあるときに、
日本が、何もしません、金だけ出します、危険なところには行きません、そんなことで日米同盟の信頼性が
確保できるとは私は全く思わない。日米同盟は紙によって成り立っているのではなくて、本当に危険なことでも
日本はやりますよ、もちろんそれは法律の制約があることではありますが、それによって日米同盟の信頼性が増す。
この四つが目的であって、それができる組織は
日本にほかに何があるか。先ほど来NGOのお話がいろいろ出ているけれども、あの時点においてもそして今においても、それがなし得るのは、
陸上自衛隊、
航空自衛隊、
自衛隊をおいてほかにないのだということを申し上げてまいりました。
私は、いろいろな
判断は国益ということによって考えられなければいけないと思っています。国益をどのようにとらえるか。もう一つは、軍、
我が国でいうならば実力組織、これを動かすことは軽々にあってはならないことである。国内においてもそうだし、国外においてもそうだし、軍事組織、実力組織、いわゆる軍というものを出すときは慎重の上にも慎重でなければならない。それは、国益が何を目指しているか、そして、災害復旧でもそうですけれども、緊急性があって公共性があって、
自衛隊でなければなし得ないという非代替性があって、それが
確保されたときに初めて出すのだ、その検証はきちんとしていかねばならないと申し上げました。
後で壮行会になって、御家族や
派遣される隊員たちと話をする機会があった。十二月二十四日、二年前のお話であります。そのときに、ある若い
航空自衛隊の隊員、自衛官が、
長官、おれ、二十何年生きてきたけれども、きょうが一番うれしいクリスマスイブだった、なぜ自分たちでなければならないのか、自分たちが何のためにクウェートに、
イラクに赴くのか、それを総理から、
外務大臣から、あるいは
防衛庁長官から聞いて、本当に二十何年の人生で一番うれしいクリスマスイブだったと言ってくれたことを私は今も思い返しておるのであります。
外務大臣にお尋ねをしたいのですが、この
イラク派遣によって
我が国が目指すべき国益とはどのようなものだとお考えでありましょうか。
そしてまた、私は、今回の
政府の一年延長ということを高く
評価するものであります。そして、今の時期において、いつ撤退するんだという、どういう条件が整えば撤退するかといえば、それは話は簡単で、法律の目的が成就されれば撤退する、あるいは戦闘
地域になれば撤退する、そしてまた、自衛官に、
自衛隊に与えられた
権限あるいは装備、能力、それを超えるような、
防衛庁長官の安全配慮義務が満たされないようになれば撤退する。法律に基づいて、
当たり前のことであります。今の時期にいつ撤退するか云々というのを議論するのは相当に時期尚早であろうと思っておりますが、
外務大臣のお考えを承りたいと存じます。