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高木(義)
委員 外交は難しい、相手があることだ、こういうことだけでは片づけられないのがまた政治としての厳しいことだろうと私は思っております。
今
国民が率直に危惧をしておるのは、確かに二〇〇三年一月の小泉
総理、プーチン大統領、いわゆる日ロ行動計画、このことについて進展させていくことは私たちの願いでもありますし、それは国益にかなうことでありまして、東アジアの石油パイプライン等々、その進展が見られるということ、あるいは天然ガスの件についても私は今後さらに推し進めていただきたい課題だとは思っております。おりますが、こういうことは進展するけれ
ども、北方領土の話はむしろ置いていかれるのではないか、これが
国民の率直な懸念ではないか、私はこのように思っております。
進展しないというよりは、むしろ後戻りをしておるのじゃないか。プーチン大統領は、ことし九月二十七日のテレビ発言で、四島はロシアの主権下にある、このことは国際法によって確立されている、こういう発言もされておるようでございます。これは大事なことですから読みますけれ
ども、私
どもは、一九九三年十月十三日、いわゆる東京宣言、「択捉島、国後島、色丹島及び歯舞群島の帰属に関する問題について真剣な
交渉を行った。双方は、この問題を歴史的・法的事実に立脚し、両国の間で合意の上作成された諸文書及び法と正義の
原則を基礎として解決することにより平和条約を早期に締結するよう
交渉を継続し、もって両国間の
関係を完全に正常化すべきことに合意する。」これがその主な
部分でございますが、この東京宣言に立ち戻って、これからも今以上に強い取り組みをしなければならぬと私は思っております。
そこで、これも新聞報道によりますと、ブッシュ大統領が五月七日、ラトビアのリガ市内で行った演説、これの要旨を申し上げてまいりますと、第二次世界大戦後のソ連における中東欧支配を歴史、世界史上、不法
行為の最たるものの
一つと指摘し、こうした戦後処理を容認した一九四五年のヤルタ協定を誤りと言明した。このことによって、当然、北方領土を不法に占拠したという事例がこれにかかわっておることを、米大統領がヤルタ会談を誤りと認めたことは北方領土の返還について大きな影響を及ぼす
可能性がある、こういう報道がございました。
したがって、先ほど私が申し上げました、国際法によって確立されたというプーチン大統領のこの指摘の中に、この国際法というのはまさにヤルタ協定も含んでおるのではないかと私は思うんですけれ
ども、むしろブッシュ大統領がそういう認識であるならば、イギリスやそういった国々の
方々とも十分に話をしながら、国際世論をも喚起をする。そして、本当の
意味で、島の返る日平和の日というのが北方領土返還運動の大きな心の礎ですよ。したがって、今後どうするかというのが大事になってくる話でありますので、そういう視点からやはり力強い北方領土返還の外交
交渉をされるべきだと私は思っておりますけれ
ども、その辺についての
外務大臣の御所見をいただきたい。