○阿部
議員 社会
民主党・市民連合の阿部知子です。
冒頭、
国民が最も求める二十一世紀の
社会保障ということに関しまして、
各党の各分野のエキス
パートも含め、政党としての責任ある
立場を論じ合うこの
合同会議が本日ここに開かれましたことを、私は、政党としても、そして
国民の
観点からも、前向きに検討し、進めていくことを
決意して、
皆さんにお伝え申し上げたいと思います。
と申しますのも、例えばこれまでの
年金論議、あるいは
医療や
介護の論議におきましても、主に厚生労働委員会という場で行われまして、
財源問題をめぐって、あるいは税制との関係がどうであるかなどなど、結局、一番
根幹のところはあいまいにされたままに、その場その場での
国民への
負担の増大のみが結果的に求められてきたように私は思います。例えば、ちょうど今、この同じ時間、厚生労働委員会には
介護保険の問題がかかっておりますが、果たして、現在、御高齢な女性
たちで三万円か四万円の
年金しかない方にホテルコストを五万円、八万円と取っていくような形が
現実に可能であるのかどうか。考えてみれば、
国民から見ればすぐわかることが、しかし政策として、あるいは法案として通過してしまいます。
その意味からも、二十一世紀は、私
ども日本というのは未曾有の、他の諸国にも例を見ない
少子高齢化を走ります。しかし、幸せな国である、その中に生きる一人一人にどう暮らしていただきたいか、どうあってほしいかということを政党としてメッセージする、いわばグランドデザインを論じ合える骨太な場であってほしいと思います。
ちなみに、二〇〇一年度のOECD諸国の統計を見ますと、
国民総生産に対する
社会保障給付は、
我が国はアメリカに次いで、すなわち下から二番目の低い
給付でございます。この
社会保障給付は、
年金、
医療、
介護等々を、あるいはその他の
福祉政策をひっくるめた
給付費でございますが、この日本の
現状が、先ほど来一部の先生方がおっしゃるような、決して十分な、私
ども国民が暮らす、その安心をメッセージできていないということは、私は
認識を共通にしていただきたいし、今回の論議のある意味での進め方が、単に
国民の
負担の
あり方、特に
年金の
財源だけの論議に終わるのであれば、私は極めて不十分だと思います。
もちろん、
国民が受けているいわば
社会保障給付と同時に、
国民負担率という問題も当然ながらございます。しかし、この
負担率をとりましても、日本は財政赤字を抱えているという、そこが潜在的な
国民負担になっておりますことから、もう四四・数%の
国民負担率ともなっております。そこで安易にさらに
国民に
負担を求めていくというような案が出ましたら、実は、
給付は少なく、
負担は果てしなく
国民に求められる像ができてまいります。この点を私は懸念いたしますので、ぜひとも骨太の論議の中の
社会保障全般にわたる論議を一点お願いしたいと思います。
そして、とりわけこの
合同会議が期待されますところの
年金問題については、これは各
議員から御指摘もありましたが、実は、昨年の
国会であれだけの審議時間を要し、果ては
強行採決までいたしまして百年安心と言われた
年金は、あすから不安、今も不安、そして
国民年金や
厚生年金の
空洞化は今も現在進行形でどんどん進んでおるという中で行われる論議だと私は思います。
振り返れば、
国民年金問題、
社会保障問題は、一九六一年、
国民皆
年金という形で発足し、それに次ぐ大きな
制度設計の
改革は一九八六年のことでございました。この中におられる経験深い
議員の方にはその中をくぐり抜けてこられた方もおありと思います。このときの
制度設計の最大の論議は、一九八〇年代、高齢社会が来ることは見えておりました。その高齢社会を前に、
国民の基礎的
年金部分をどのようにして充実させていくか、ある意味では画期的に、そこで第一段階の
一元化が展望されました。
基礎年金部分の
一元化とはそのようなことを指すと思います。
そして、それから二十年を経て、私
どもが二〇〇五年、この現段階できちんと直視しなければならない
現実は何かというと、私は二つあると思います。
少子高齢化は当然、申しましたように、八〇年代からもう展望されておりました。加えて、
現状で何が最も変化しているか。先ほど
岡田民主党代表が御指摘なさいましたように、働き方が変わっておるということでございます。終身雇用という長年の日本の風習が、いわばある意味では崩れ、多様化し、そして逆に、
転職も当たり前のことになりました。加えて申しませば、よく
国民年金の
加入者は
自営業者という言葉で語られますが、
自営業者が
国民年金の四分の一であるのみならず、実は
自営業者の中にも、SOHOのような小さなオフィスを自宅でつくり起業するという方もふえております。
私
どもは、今、働き方が変わった
時代、そしてこの
時代をどのように多様な選択肢のある働き方、しかし、選択肢があってもそれに伴う
社会保障、
セーフティーネットがなければ、人はサーカスをやることはできません。働き方が変わった、その変わった働き方を
前提に、国は、あるいは
企業は、あるいは個人は、どのような責任を果たし、どのような
給付を受けていくのかということをきっちり論じたいと思います。
二点目は、一九八六年の
改革にもかかわらず、
国民の基礎的
年金部分であるはずの
国民年金の
現状が、先ほど来御指摘されたように、極めて
空洞化が著しくなった。
給付のみならず、
保険料の納付を見ましても、未納率という形で言われますとちょっとごまかされますが、実際に満額納めている方は五〇%に満たない。逆に言えば、二千二百四十万人のうち一千万人は将来の無
年金予備軍であります。
このことを私
どもは真剣に受けとめ、そしてそれが、単に個々人が入らないということではなくて、入れない収入しかない、あるいはこの間の
年金論議を見ていてとても
信頼できない等々、あるいは、生活保護受給者が百万世帯を超え、その過半が
高齢者世帯である、これでは、生活保護なのか
国民年金なのか、何が違うのかよくわからない状態になってしまっているという二つの
現状は、私
ども、強く
認識してしかるべきだと思います。
では、そういう
認識に立ったときに、とりわけ、我が党も小なりといえど政党の
一つですので、どのような
制度設計を考えておるかということで、私
どもの見解を述べさせていただきたいと思います。
私
どもは、まず、働き方が変わった、多様な働き方を可能とする、働き方が選べるためにも、やはり
年金は、
国民年金と言われる
部分も含めて
一元化をすべきであると思っております。これができない限り、
転職もままならないという状態が私は起こると思います。
現状に起こっておると思います。
制度設計がややこしい、そしてたんびに手続も面倒である。のみならず、長期に加入しないと
給付が受けられないという
年金体制は、もう私
どもの
ライフスタイルには合わないということでございます。
そして、この
一元化という中で、いわゆる基礎的な
年金、私
どもは暮らし保障
年金と申します。この間の
年金論議では、
所得保障、現役
時代の五〇%の
所得保障というような言い方をされましたが、私
どもの考えは、むしろ、
基本的な暮らしを保障する
年金額は、だれにも公平にこの国で暮らしていただく限り
給付を保障する、国が
国民の一人一人に
約束する仕組みでございます。そのための額を私
どもは八万円と設定いたしました。これは、いわゆる生活保護受給世帯、東京都の区部を例にとりました場合に、算定の
基本根拠になる額が八万八百二十円でございましたので、ここにそろえるという形で、基礎的暮らし保障
年金が八万円、そしてそれにプラス
所得比例の二階建て
部分を考えております。
そして、であれば、当然、
財源はどうなるのだという
お話も指摘を受けると思います。
私
どもはここにミックス
税方式というものを提案しております。もちろん、大幅な歳出の
見直しは一般会計、特別会計を通じて必要でございますし、二点目は、今、
所得格差拡大
時代でございます。年収二百万円以下の若者がふえ、一方で、一千万、二千万、三千万、どんどんどんどん金持ちもふえております。この格差拡大社会ということも、私
どもが九割中流と言っていた社会の構造が大きく変わったわけですから、きちんと、応能
負担の
所得税の体系をもう一度私
どもは検討し直す必要があると思っております。また、空前の利益を上げておると言われる諸
企業についての法人税の
見直しも当然必要と思われます。
そして、私
どもが何よりも強調したいのですが、現在、
消費税論議などのある中で、やはり
企業というものはそこに働く一人一人を本当に大事にする、これは
我が国が人を大事にする国であってほしいということと兼ね合わせた場合に、現在でも、基礎的な
年金を保障するために
企業は一部を
負担しております。私
どもは、今後、この
企業が
負担する
部分は、
企業に対する
社会保障税という表現をあえて使わせていただきますが、
企業がお使いになっている総賃金、人を雇いお払いになっている総賃金に掛けていただきたい。ただし、料率を過剰に上げることは
企業の活力を失いますので、
現状、労使で一四%の
負担のうち七%でございますから、
企業負担の
社会保障税の七%というところは固定し、掛けていただいた分の半分は基礎的な暮らし保障
年金の
財源に入れていただきたいということでございます。
そして、二階の
所得比例に関しましては、おのおの
所得に応じて七%を掛けてまいります。これについては、
自営業者も変わることではございません。ここでいわゆる
勤労者と
自営業者が不平等ではないかというような発想が起こるとすれば、それはすなわち、だれでもいつでも自分はSOHOのような
事業主になるかもしれないというこの社会の
あり方をきっちりと説明すれば、私はここの不平等感はとれていくものと思います。そして、そのために、公正公平な
納税者番号制度を導入したいと思います。
あわせて、さきの
国会で最も論ぜられるべきことで抜けてしまったことは、私
どもが今手にしております百四十七兆円に及ぶ
年金積立金の運用問題でございます。
国会への報告義務もない独立行政法人で、これからさらに四百兆、五百兆と積み上がっていくようなお金をハンドルすることのリスク、この間さまざまな株の問題も挙げられております。私は、改めてこの
会議で、
年金積立金の運用の
あり方、
皆さんのお知恵を寄せて検討していただければと思います。
以上、よろしくお願い申し上げます。