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内閣総理大臣(
小泉純一郎君) 四月から五月にかけて三週間連続して行ったり来たりしてきたわけでありますが、まず
インドネシアにおける
アジア・
アフリカ首脳会議、これはいわゆる
バンドン会議五十周年
記念式典を兼ねた
首脳会議でございましたし、
日本は今までの戦後六十年の戦争の反省を踏まえた
実績と今後の
方針というものを述べるのにいい機会だなと思って
出席いたしました。
アジアの一員として今後
日本は
アジアの各国と
協力しながら
アフリカ問題にも真剣に取り組むと。そして
日本独自の
努力はもちろんでありますが、戦後多くの
国々から
日本も
支援と援助を受けてきて今日まで発展してきたと。このような発展を見たけれ
ども、
経済大国となりましたけれ
ども軍事大国にはならないんだというかねがねの
方針を
表明し、そして
日本の持てる力、
国際社会の一員としての責任を果たすと。で、同時に、
アジアの
国々から
日本の
支援に対して高い
評価をいただいておりますが、この
アジアの
支援の、有効に機能してきた、これを
アフリカにも、今度は
日本一国のみならず
アジア諸国と
協力して、
アフリカの発展のためにも
協力していく必要があるということを述べるいい機会だと思って
インドネシアを訪問いたしました。
その間、スマトラ
地震、
津波の
被害、
現地を視察して、これもまた
日本のみならず
国際社会が一致
協力して、この
被災者の
支援あるいは今後の
復興支援にしていかなきゃならないという
状況を目の当たりに見てきたわけであります。
同時に、その後、
インド、パキスタン、ルクセンブルク、オランダと四か国を訪問したわけですが、これは
日本とEUの定期協議が毎年行われておりまして、今回ルクセンブルクがEUの議長国であります。そこで、
日本とEU
首脳定期協議がありましたので、ルクセンブルグという小さな国でありますが、人口四十万人程度の国で面積は神奈川県程度というんでありますが、EUの議長国であります。
日本の
総理大臣として初めてルクセンブルグを訪問したわけでありますが、小さな国でありますが
国民一人当たりの所得は
世界一であります。豊かな国であります。そのルクセンブルクで
日本とEU定期
首脳会議が行われまして、欧州の
委員長のバローゾ
委員長とルクセンブルクのユンカー首相との定期協議に臨んだわけであります。
オランダというのは隣国でありますから、このオランダ
政府はイラクに部隊を
派遣して
日本の自衛隊の人道
復興支援活動に
協力してくれたと、その
協力してくれたことに対する謝意を伝えたいと、自ら私は謝意を伝えたいと思いましてオランダに立ち寄り、女王陛下そして首相との会談に臨んだわけであります。
インド、パキスタンは、これは前から私は熱心な招請を受けておりました。是非とも
インドを訪問してくれ、パキスタンを訪問してくれと、極めて親日的な国であります。そういう関係もありまして、特に
インドとパキスタンは紛争が絶え間ない隣国であります。また、パキスタンは
インドの
常任理事国入りに反対しておりますが、
日本にとっては、
インドと
協力しながらこの
国連改革に臨もうと、
常任理事国入り双方
支援しようという国であります。
インドとパキスタンの関係というのは余り良くありませんが、
日本にとっては両国とも良好な関係を築いておりますので、
インドとパキスタン、この際、長年訪問の招請を受けておりますので、この
友好関係を大事にしたいと。ASEANと日中韓の協議は毎年行われておりますが、
インド、パキスタンというのはASEANには入っておりませんし、そういう関係もあって、この際
インド、パキスタン、その訪問、招請にこたえて訪問していくのがいいのではないかということで訪問したわけであります。
また、その後、ロシアのモスクワで行われました戦後六十年、これは、ロシアは
戦勝国、第二次
世界大戦の
戦勝国でありますが、
戦勝国の式典ではないと。
国連の決議によって、この戦後六十年、
戦勝国も
敗戦国も、追悼と和解の式典にしようということで
世界多くの
国々の
首脳が参加すると。
日本はロシアとの間に領土問題を抱えて、この平和条約がまだ締結されてない、難しい問題残っておりますが、これは、ロシアと戦って過去一時期良好な関係を維持していないと、現在もいろいろな問題が残っているということで
出席すべきでないという意見も承知しておりましたけれ
ども、これは別に戦勝の
記念式典ではないし、多くの国が二度と戦争を起こしてはいけないと、戦争、紛争によって平和というのは築けない、
経済の発展も築けないと、やはり和解が大事だという式典であるということで、私は、今後のロシアとの関係も考え、平和条約の問題も考えますと、
日本国の
首脳として追悼と和解の式典に参加した方が、今後の国際関係の中での協調体制と日ロ関係の
友好関係を考えると、欠席するよりも
出席すべきではないかなと思って
出席したわけでございます。