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2005-03-11 第162回国会 参議院 予算委員会 第10号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十七年三月十一日(金曜日)    午前十一時四分開会     ─────────────    委員の異動  三月十日     辞任         補欠選任      小林  温君     松村 龍二君      鈴木  寛君     主濱  了君      白  眞勲君     喜納 昌吉君      紙  智子君     吉川 春子君      福島みずほ君     大田 昌秀君  三月十一日     辞任         補欠選任      大塚 耕平君     富岡由紀夫君      前川 清成君     広田  一君      風間  昶君     山下 栄一君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         中曽根弘文君     理 事                 阿部 正俊君                 椎名 一保君                 野上浩太郎君                 舛添 要一君                 若林 正俊君                 池口 修次君                 小川 勝也君                 福山 哲郎君                 荒木 清寛君     委 員                 秋元  司君                 浅野 勝人君                 泉  信也君                 市川 一朗君                 岩永 浩美君                 大仁田 厚君                 大野つや子君                 岡田  広君                 世耕 弘成君                 関口 昌一君                 田村耕太郎君                 中島 啓雄君                 長谷川憲正君                 松村 龍二君                 山崎  力君                 山谷えり子君                 犬塚 直史君                 小川 敏夫君                 大塚 耕平君                 喜納 昌吉君                 小林 正夫君                 主濱  了君                 辻  泰弘君                 富岡由紀夫君                 平野 達男君                 広田  一君                 前川 清成君                 前田 武志君                 松下 新平君                 水岡 俊一君                 山本 孝史君                 風間  昶君                 福本 潤一君                 山下 栄一君                 山本 香苗君                 大門実紀史君                 吉川 春子君                 大田 昌秀君    国務大臣        総務大臣     麻生 太郎君        法務大臣        国務大臣        (内閣特命担        当大臣(青少年        育成及び少子化        対策))     南野知惠子君        外務大臣     町村 信孝君        財務大臣     谷垣 禎一君        厚生労働大臣   尾辻 秀久君        農林水産大臣   島村 宜伸君        環境大臣        国務大臣        (内閣特命担        当大臣沖縄及        び北方対策))  小池百合子君        国務大臣        (防衛庁長官)  大野 功統君        国務大臣        (内閣特命担        当大臣経済財        政政策))    竹中 平蔵君        国務大臣        (内閣特命担        当大臣科学技        術政策食品安        全))      棚橋 泰文君    副大臣        内閣府副大臣   西川 公也君        防衛庁長官   今津  寛君        法務副大臣    滝   実君        外務大臣    谷川 秀善君        財務大臣    上田  勇君        文部科学大臣  塩谷  立君        農林水産大臣  常田 享詳君        経済産業大臣  保坂 三蔵君        環境大臣    高野 博師君    大臣政務官        内閣大臣政務        官        木村  勉君        内閣大臣政務        官        西銘順志郎君        法務大臣政務官  富田 茂之君        財務大臣政務官  段本 幸男君        農林水産大臣政        務官       加治屋義人君    事務局側        常任委員会専門        員        村松  帝君    政府参考人        内閣食品安全        委員会事務局長  齊藤  登君        防衛施設庁長官  山中 昭栄君        総務省自治行政        局選挙部長    久保 信保君        総務省情報通信        政策局長     堀江 正弘君        総務省郵政行政        局長       清水 英雄君        消防庁長官    林  省吾君        法務省矯正局長  横田 尤孝君        法務省保護局長  麻生 光洋君        法務省人権擁護        局長       小西 秀宣君        外務大臣官房審        議官       齋木 昭隆君        外務省北米局長  河相 周夫君        厚生労働省医薬        食品局食品安全        部長       外口  崇君        厚生労働省保険        局長       水田 邦雄君        厚生労働省年金        局長       渡辺 芳樹君        農林水産大臣官        房長       小林 芳雄君        環境省自然環境        局長       小野寺 浩君    参考人        日本郵政公社総        裁        生田 正治君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○参考人出席要求に関する件 ○平成十七年度一般会計予算内閣提出衆議院  送付) ○平成十七年度特別会計予算内閣提出衆議院  送付) ○平成十七年度政府関係機関予算内閣提出、衆  議院送付)     ─────────────
  2. 中曽根弘文

    委員長中曽根弘文君) ただいまから予算委員会を開会いたします。  参考人出席要求に関する件についてお諮りをいたします。  平成十七年度総予算案審査のため、本日の委員会日本郵政公社総裁生田正治君を参考人として出席を求めたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 中曽根弘文

    委員長中曽根弘文君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  4. 中曽根弘文

    委員長中曽根弘文君) 平成十七年度総予算三案に関する理事会決定事項について御報告いたします。  本日は、一般質疑を百分行うこととし、各会派への割当て時間は、自由民主党三十分、民主党・新緑風会五十分、公明党十一分、日本共産党六分、社会民主党・護憲連合三分とすること、質疑順位につきましてはお手元の質疑通告表のとおりでございます。     ─────────────
  5. 中曽根弘文

    委員長中曽根弘文君) 平成十七年度一般会計予算平成十七年度特別会計予算平成十七年度政府関係機関予算、以上三案を一括して議題とし、質疑を行います。岡田広君。
  6. 岡田広

    岡田広君 自由民主党岡田広です。  予算委員会は初めての質問であります。質問項目通告多過ぎ、ちょっとたくさんしてしまいましたんで、簡潔に質問をさせていただきます。分かりやすい、簡潔で分かりやすい答弁お願いをしたいと思います。  公職選挙法についてお尋ねをします。  供託金地方選挙供託金でありますが、この供託金について、額をまずお知らせをいただき、説明お願いします。
  7. 久保信保

    政府参考人久保信保君) 地方選挙供託金につきましては、公職選挙法第九十二条第一項におきまして、都道府県知事選挙は三百万円、都道府県議会議員選挙は六十万円、指定都市市長選挙は二百四十万円、指定都市議会議員選挙は五十万円、指定都市以外の市長選挙は百万円、指定都市以外の市議会議員選挙は三十万円、町村長選挙は五十万円と定められております。    〔委員長退席理事若林正俊着席〕  なお、町村議会議員選挙につきましては供託金制度は設けられておりません。
  8. 岡田広

    岡田広君 町村会議員選挙供託金が設けられていない理由は何でしょうか。
  9. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) これは、昭和三十七年に町村長選挙供託金制度が設けられた際におきまして、この町村議会議員選挙についてもこれは候補者が乱立するなどの状況ではなかったということから供託金制度が設けられず、現在に至っているところだと聞いております。  平成十五年度に行われました統一地方選挙における町村議会選挙競争率は一・一倍でありますんで、必ずしも候補者が乱立する状況じゃないというように思われますので、この供託金制度につきましては、今申し上げた状況でありますので、設けるかどうかにつきましてということが御質問でございましたら、今そのような状況にあるということを御承知おきいただければと存じます。    〔理事若林正俊退席委員長着席
  10. 岡田広

    岡田広君 町村会議員選挙供託金ゼロであります。このゼロということにおいていろんな弊害が現実に起きております。無競争も一つの民意の表れだと思いますが、これは供託金を出さなくても書類さえ書けば立候補する制度ということになると思うんですが、私は、市会議員が三十万で町村会議員がゼロというのはどこに、市会議員のステータス、町村会議員違うのか。正に今合併が進んでいます。町や村が少なくなってきていますけれども、一番近い住民自治は町や村だと思っています。  そういう中で、これを見直すという考え方ないのかどうか、具体例なかなか話すと時間掛かりますので、是非お願いします。
  11. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) これは正直、岡田先生、これは各選挙に直接かかわることでもありますので、これは町村議会議員についても供託金を取るか取らないかにつきましては、これはちょっと各党でやっていただかぬと、私ども総務省で取れとか取るなとかいう話の種類の話とは少し違うのではないかと存じます。
  12. 岡田広

    岡田広君 分かりました。供託金については、是非、私も党の方で選挙制度調査会で提案をしていますので、また御検討お願いしたいと思います。  二つ目でありますが、選挙権。  住民投票合併に伴って住民投票が行われておりますが、それぞれ市町村の条例で決められて投票が行われています。十八歳からやるところ、もっと低いところもあったと思いますが、調査はしておりませんけれども選挙権につきましても世界の例を見ましても十八歳とかということが出ていますんで、これは選挙権を引き下げるということについてのお尋ねをしたいと思います。
  13. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) 住民投票で十八歳等々の例があったことは承知いたしておりますが、この選挙年齢の問題というのは、これ、民法上の成人年齢とか刑事罰、いわゆる刑事法での取扱いなど、これは、法律体系全般にわたってのところの関係もこれは配慮しないといかぬというところだと存じます。  いずれにいたしましても、これは選挙基本にかかわる問題ではありますが、他国でも十八歳のところは、フランス等々ありますけれども、そういったところでも、これは成人年齢刑事法年齢と、あちらはもう十八歳ということになっているという現状でもありますので、これ全般にわたって、との関係を深めた上で各党会派で十分に御議論をいただかにゃいかぬところだと存じます。
  14. 岡田広

    岡田広君 それでは、選挙法についてもう一点お尋ねしたいと思います。  被選挙権の問題でありますが、これについても合併が進んでいます。そして地方分権というのが進んでいる中で、IT社会であります。この市町村長の例えば居住要件というのがある、選挙に出るための住居要件というのがあると思いますが、これ説明していただけますか。
  15. 久保信保

    政府参考人久保信保君) 地方選挙におけます被選挙権につきましては、公職選挙法の第十条第一項に定めがございまして、市町村長都道府県知事につきましては住所要件は必要とされておりません。また、議会議員につきましては、当該選挙選挙権を有するということになっておりますので、当該地方公共団体に三か月以上住所を有するということが要件とされております。
  16. 岡田広

    岡田広君 市町村長もそうですか。
  17. 久保信保

    政府参考人久保信保君) 市町村長は、知事と同様、住所要件は必要とされておりません。
  18. 岡田広

    岡田広君 この住居要件が必要とされていないと。地方市町村議会選挙は三か月居住をしているというそういういわゆる選挙権があるということなんですけれども、そのほかの選挙につきましてはその住居要件が決められていないということで、これもまたいろんな弊害が出ているわけでありますけれども、これもまた具体例一つ挙げると時間掛かりますけれども、この点については見直す考え方はないのかどうか、お尋ねしたいと思います。
  19. 久保信保

    政府参考人久保信保君) 地方公共団体知事あるいはその市町村長につきまして住所要件が求められていないということは、これまで広く人材を求めるという観点に立って制度がつくられているということでございまして、私ども、この点につきましては広くこれまでも国民の間にそうした考え方は定着しているというふうに考えております。
  20. 岡田広

    岡田広君 済みません。ちょっと質疑時間、できませんので、これはこの辺で終わりたいと思います。  次に、水質保全計画についてお尋ねをいたします。  一九八四年に湖沼法が制定をされまして、全国で十の湖沼が指定されて、水質保全対策を進めてきていましたけれども、なかなか水質浄化が進んでいません。昨年八月の総務省政策評価でも、期待される効果が認められないということでありますけれども中央環境審議会答申を見ますと、なぜ汚れるのか、汚濁するのか、そういう解明をするという、そして原因が分からないとなかなかこれをきれいにすることはできないということでやっているわけですが、なかなか調査が進みません。  最終結果がいつ出るのか、あるいは、これは汚濁原因がはっきりすればいろんな施策が講じられるのではないかと思うんですが、大臣のお考えをお願いしたいと思います。
  21. 小池百合子

    国務大臣小池百合子君) 御指摘のとおり、湖沼水質保全のために効果的な対策を取る、そのために汚濁メカニズム解明が不可欠であるということが中央環境審議会の方で御指摘をいただいているところでございます。  また、実際に湖沼汚濁メカニズムというのは、その地域であったり、それから水の流入方法であるとか、もう様々な要因が複雑に相互作用しているということから、定量的に十分解明されていないのが現状でございまして、そのために、この今御審議いただいております平成十七年度予算案において湖沼水質保全計画策定支援調査などを計上させていただいております。  こういった調査を通じて湖沼汚濁メカニズムを定量的に解明いたしまして、同時に、汚濁負荷削減対策、そして自然浄化機能活用方策などの検証を行いまして、より効果的な施策を実施してまいりたいと考えております。
  22. 岡田広

    岡田広君 現行の湖沼水質保全計画は、計画期間五年ということで定められています。策定に当たりましては、それぞれの湖沼水質保全計画の持つ特性あるいは課題を踏まえて、実態に適したものとなるように計画期間、これを柔軟にする、あるいは計画の内容について柔軟にするという考え方もあるんではないかと思いますが、それについてもお尋ねします。
  23. 小池百合子

    国務大臣小池百合子君) 正におっしゃるとおりでございます。一律五年という形にいたしておりましたが、今国会、また別途法案を提出させていただくことになっております。これは湖沼法改正法案でございますけれども、御指摘のような、硬直的に五年、五年というのではなくて、計画期間の制限をなくします。そして、計画策定主体であります都道府県知事湖沼の面積であるとか周辺地域人口などのそれぞれの湖沼実態に応じた計画期間を柔軟に設定できるということといたしたいと思っております。  現状においても都道府県知事湖沼ごと実態を踏まえまして策定する仕組みとなっておりますけれども、いずれにいたしましても、湖沼ごと先生、水戸で、霞ケ浦などの問題もまた別の湖沼とまた違う様相を呈しているかと思っております。  いずれにいたしましても、大きな目的といたしまして水質湖沼水質を保全する、そういった目的に対してより効果的な施策が進められるように工夫をしてまいりたいと考えております。
  24. 岡田広

    岡田広君 是非湖沼法改正法案を早く通して、今年度から各県で、湖沼関連都道府県計画策定が始まるんだろうと思いますので、是非よろしくお願いをしたいと思っています。  そして、もう一点お尋ねします。  都道府県調査研究への支援を充実をしてもらいたい、それとさらに、国と共同で研究できる体制の整備を図ってもらいたいということでありますが、これについても大臣答弁お願いします。
  25. 小池百合子

    国務大臣小池百合子君) 各湖沼についての知見を有しております都道府県との連携というのは正に不可欠でございます。湖沼の大きさであったり、どういう利用の方法が取られているのか、周辺地域人口がどうなのか、産業農業、そういった自然的また社会的な条件がそれぞれ違っているわけでございますので、一番身近なところでのそれぞれの自治体、都道府県との連携が不可欠となってくるわけでございます。  これまでにも、都道府県や附属の試験研究機関連携を取りまして、汚濁負荷量実態調査、そしてまた湖沼水質の直接浄化技術についての検討も進めてまいりましたが、先ほども申し上げたように、今回のこの予算案湖沼流入負荷削減対策推進費、そしてまた湖沼水質保全計画策定支援調査を計上させていただいておりますけれども農地や市街地などから流れ出ます汚濁負荷量の正確な把握、そして湖沼内での汚濁負荷発生メカニズム解明などにつきましては都道府県と一層の連携を図る、これが大目的を守るための方策であると考えております。
  26. 岡田広

    岡田広君 それでは、正にこの水質保全、もう長い間掛けてやって、今度第五次計画策定されるわけでありますけれども、国と県とそして地方公共団体あるいは企業、事業者、個人の責任も、役割分担明確にしましてこの水質保全に当たってもらいたいと思っております。  次に、食料・農業農村基本計画、一昨日答申が出ました。品目横断的な経営安定対策、いわゆる日本型直接支払を二〇〇七年度に創設するということが重要な柱なんだろうと思っています。  対象となる担い手に一定の要件を満たす集落営農組織も位置付けました。いろんなこれ議論がありましたけれども、具体的な仕組み対象要件は更に議論をして秋までに結論を得るということでありますけれども担い手範囲が私は最重要課題だと考えています。これについては地域の実情を十分勘案するということになっていますけれども審議会八木会長も、地域で十分に話し合ってほしいと記者会見で述べています。  そういう中で、この計画を受け取った大臣の所感と、今後この担い手について範囲をどういうふうに広げて、どういうところまで持っていくのかということについてお尋ねをしたいと思います。
  27. 島村宜伸

    国務大臣島村宜伸君) 御質問にお答えいたします。  農村社会では多数の小規模農家が定住し、生産活動を通じて農地農業用水の管理に携わっている実態にありますが、新たな経営安定対策対象となる担い手経営主体としての実態を有し、将来的に効率的かつ安定的な農業経営に発展することが見込まれる集落営農も含むこととしておりまして、小規模農家もこの集落営農に参加することにより担い手の一員となる道を開くこととしているところであります。  いずれにいたしましても、品目横断的政策対象となる経営具体的要件につきましては、十九年産からの導入に向け、地域実態を十分踏まえながら検討していくこととしております。  いろいろ危惧する向きもないではないのですが、先般この答申をいただいた際にも、言わば学者あるいは生産者そして消費者食品団体その他いろいろな代表者、各団体代表者がもう実に活発な議論を展開されて、それで非常にいい結果を得たという印象を強く持ちまして、非常に有り難いと思った次第であります。
  28. 岡田広

    岡田広君 これは農家も減少しています。農業人口も減少をしている。しかし、自給率は四五%という目標を立ててこれから計画を進めていくということになるんだと思うんですけれども、正にこの資料で出されました、これ説明、時間ありませんからしませんけれども、こういう要望が大多数であるということを踏まえまして、小規模農家も切り捨てないようなこの対応をしていただきたいと考えているところであります。  さらに、牛肉輸入問題につきまして、昨日の新聞に、小泉ブッシュ会談電話会談というのが載りました。早期解決に向けて努力ということで終わったということでありますが、正にこれを受けて総理からは指示はあったのかどうか分かりませんけれども、これを受けて農林水産大臣考え方お尋ねしたいと思います。
  29. 島村宜伸

    国務大臣島村宜伸君) 御高承のとおり、九日夜、言わば日米首脳による電話会談が行われまして、BSEに関しても以下のようなやり取りがあったと承知しております。  ブッシュ大統領よりは、米国牛肉の対日輸出早期再開重要性につき説明があり、問題解決のために小泉総理に御尽力願いたい旨の発言があった。また一方で、総理はこれに答えて、自分も牛肉貿易を早く再開したい気持ちはあるが、いつ再開できるとは言えないと、これは食品安全委員会にゆだねているものですから。ただし、この問題が日米関係を害することがないよう努力したいと、こう述べたところであります。  私どもは、この問題に取り組んでいる立場からすれば、米議会筋もかなり過激な言わば日本の誠実さを疑るような発言もいろいろ耳にしないではないわけでありますが、改めてまた両首脳信頼関係の深さというものを言わば如実に感じたというのが率直な印象であります。  なお、米国牛肉の輸入の再開問題については、既にその大枠について日米両国政府で認識の一致が見られているところでありまして、この枠組みの下で、あくまで科学に基づきまして、我が国の消費者の食の安全、安心の確保を前提に必要な手続を着実に進めていくことが重要であると、そう考えております。  なお、総理から、まあこれは私に、多としているんですけれども、ああしろこうしろという指図めいたことはありません。総理の御意思を十分こちらは承知をいたしているつもりでございますから、その御意思に沿って最善を尽くしたいと、こう思っております。
  30. 岡田広

    岡田広君 ありがとうございました。  それでは、食品安全委員会お尋ねをしたいと思います。  今日も集中審議が行われるということでありますけれども、三週間に一回審議が、これは相当、もう少し期間を短縮できるんではないかという意見もあります。  しかし、この今回のブッシュ・小泉電話会談を受けて、また食品安全委員会でどういうふうに考えているのか。そして、私はこれは大変重要な問題でありますから、科学的見地に基づいて毅然とした態度で臨む。いろんな雑音が入っていると思いますが、そういうのは一切関係ないんだろうと私は思っています。牛肉に対する消費者の不安を招かない、これが最も大事なことであろうと思いますけれども食品安全委員会のこの会談を踏まえての考え方がありましたら御答弁お願いしたいと思います。
  31. 齊藤登

    政府参考人(齊藤登君) 御説明いたします。  現在、食品安全委員会のプリオン専門調査会、ただいま御指摘がありましたように、本日も国内のBSE対策の見直しにつきまして議論をしておるところでございます。  この対策の見直しにつきましては、中立公正な立場から科学的な議論ということで、これまでも精力的に行ってきておるところでありまして、今後ともこの中立公正な立場から科学的な議論というものが円滑に行われるように、私ども事務局としては十分努めてまいりたいと、このように考えております。
  32. 岡田広

    岡田広君 是非、安心、安全を最優先して議論をしていただきたいと思っております。  次に、郵政改革について竹中大臣お尋ねをしたいと思います。  資料を出させていただきました。私は、長谷川憲正委員が関連で郵政に絞って質問をいたしますので、私はこの資料に基づきまして。  政府広報をやりました。この政府広報についてもいろんな議論がありますけれども、これはもう聞きません。この中で、政府広報をやりまして、この資料をごらんになっていただくと分かると思いますが、賛成、反対、分からない分からないという回答が増えたと、ここは大変重要な数字ではないかなという気がします。  政府広報を六億ですか、この前の予算委員会で数字が出ていましたが、そういう予算を使って政府広報をやったんだけれども、なかなか成果が上がっていないんじゃないか、そういうふうに思っていますが、まず竹中大臣、この前、片山幹事長がここで質問を、総理質問をしまして、郵政改革については急がば回れでいいんですねということを聞きましたけれども、それで結構ですということでありましたが、竹中大臣もこの考え方でいいんでしょうか、まずそれをお尋ねしたいと思います。
  33. 竹中平蔵

    国務大臣(竹中平蔵君) 郵政の改革、これだけ国民生活に密着した、かつ大きな改革でございますから、国民の皆さんに御納得をいただく、国民的な議論をしていただくということは当然極めて重要なことだと思っております。  御指摘のように、総理、先般この委員会で「急がば回れでよく協議を重ねて成立させたいと思っております。」と、御答弁しておられますが、私ももちろんその方針でございます。今、与党との調整等々を含めまして、十分に協議を行いたいと思いまして、真摯にその努力を重ねているところでございます。これはもうしっかりとやらせていただきたいと思います。
  34. 岡田広

    岡田広君 この調査結果の最大は、今国会での成立にこだわらず議論を尽くすべきだという、民営化を進める必要はないというのもありますけれども、これが半数以上を占めているということであります。この点についてどう考えているのか、お尋ねします。
  35. 竹中平蔵

    国務大臣(竹中平蔵君) それぞれの今御指摘のは三月七日の共同通信の結果だと思いますが、国民の一つの理解としてしっかりと受け止めをさせていただきたいと思います。  同時に、関心を持つようになった方々の割合が増えているといった報告もございますし、また共同通信におきましても、民営化には賛成であるという方が五三%ということで、その意味では徐々にではありますけれども、この問題に対する国民の理解が広がっているというふうにも考えております。また、同じ三月七日の通信、これによりましても、重要かどうかというその優先順位につきましても四位ということで、今までよりは少し高まってきているというふうに認識をしております。  国民の御意見を踏まえながらしっかりと対応していくつもりでおります。
  36. 岡田広

    岡田広君 これはいろいろな議論があります。三百五十兆もの資金の運用管理どうするのか、あるいは株式を売却をして約七割近くを国債償還に充てるとか、基金を作るとか、いろんな議論がありますけれども、新聞報道で見ますと、閣内不統一という、そういう記事も活字に躍っているところであります。  そういう中で、正に私は、せいては事をし損じるということになってはいけないわけでありますから、慎重に議論をして、民営化の流れはなかなか私も止められないと思います。どういう民営化がいいと、制度設計やいろんな問題に対してどんどんどんどん後から後から出てきますけれども、ちょっとこれ、しゃべっていると時間たってしまいますから、是非これ慎重に制度設計、分かりやすく国民にも説明をして進めていただきたいということを要望したいと思っています。  もう一点だけお尋ねをいたします。  この政府広報でありますが、政府広報につきましては、これも党の総務部会が申入れをして、文書回答をまだいただいておりませんけれども、これ法案提案、法案が提出される前に政府広報、これはこの前の予算委員会答弁がありましたからこの点については申し上げませんけれども、私は、最大、やはり今国が求められているのは、情報の公開性、透明性を高めるという、それが最も大事なんだろうと思っています。郵政公社の改革の経営基本方針も、公開性高める、透明性というのがありますけれども、正に社保庁の問題もそうであります。  随意契約でなされたということは、政府に最も近い政府広報室がこれを随契でやったということはどういうことなのか。これは党の部会で準備室委員長質問をしましたら、緊急性ということでした。私は、重要な問題だから、これは正に急がば回れっていう、こう答弁していることと全く違うんじゃないかと思いますが、この随契についての考え方お尋ねしたいと思います。
  37. 竹中平蔵

    国務大臣(竹中平蔵君) これは政府広報室の契約でございまして、郵政民営化準備室、直接担当しているわけではございませんので、広報室の見解でございますけれども、いろんなアイデアを出していただいた。そのいろんなアイデアを出していただいて、やはり優れたアイデアに基づいてしっかりとできるだけ説明責任を果たせという声が強い中で、そのような判断を広報室としてされたというふうに認識をしております。  先生指摘の、基本的にしっかりと時間を掛けてやれというようなこと、情報の開示をしっかりやれということ、この点は私もしっかりと賜って、しかるべく対応したいと思っております。
  38. 岡田広

    岡田広君 是非、やっぱり情報の公開性、透明性、特にこれ郵政改革、大変重要なことでありますので、そこも、そういう基本的なところからそういうことをやっていると国民からますます不信、政治不信が高まってくると思いますんで、そこをしっかりお願いをしたいと思っています。  次に、三位一体、地方交付税についてお尋ねしてまいりますが、さきの本会議でこれについては質問が出ました。政府が一月に閣議決定した「改革と展望」によりますと、二〇〇九年度の地方交付税を、これ十四兆七千億という試算を出しているということであります。正に、交付税改革につきましては、十六年度一二%、前年度比、前年度減であります。これ、地方の方から言わせると、だまし討ちという言葉でとらえている。十七年度は息をついたという、そして十八年度までは大丈夫だということでありますが、それから先どうなるのかと、やっぱり地方自治体、心配していることでありますから、先ほど中期財政計画の話もありましたけれども、それも踏まえて、これは総務大臣から御答弁お願いをしたいと思います。
  39. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) 三位一体改革というものを今進めている間に関しましては、これは国と地方との信頼関係というものをきっちり確立させておかないとなかなか話が進みませんので、これ、全体像というものが見えてこないといかぬということなんだと思っております。  したがいまして、一応、平成十八年度までということで、一般財源の確保を十七年、十八年と確保してまいる所存でありますが、十九年度以降につきましては、財務省が言っておられる例のプライマリーバランスとの関係もありますんで、国の歳出の見直しと併せて、これはこちらも歳出の削減というのをやっていかにゃいかぬということになるんだと思いますが、昨年の十一月の十四日に私の方から地方交付税改革を中心に財政諮問会議地方財政計画制度というのを出させていただいて、その中で、地方財政の予見可能性というのを上げない限りは、これは地方の首長としてはなかなか、前向きに取り組むというためにはこれはどうしても必要なんですと。そのためには、マクロ経済運営とのこれは整合性の確保がないとどうにもなりませんので、そういった意味で地方、マクロ経済の運営と国、地方でトータルで財政の政策との整合性の議論というのをしていかなきゃならぬということで、そのための条件整備をしていく必要があるということで、いろんな意味で十九年度以降は、例えば法定率、国税五税の法定率の再セットをするとか、そういったようなことをいろいろやっていかなければならぬということを申し上げて、計画を提出させていただいたというのがその経緯でありまして、先ほど本会議でどなたかの御質問、山口先生だったかの御質問にその後とらえたのはその資料の一端であります。
  40. 岡田広

    岡田広君 地方交付税については十八年度も三位一体改革の全体像を踏まえて必要枠は確保するとされているわけでありますけれども、その後、やっぱり地方は心配なわけです。十九年度以降どうなるのか。正に歳入歳出一体改革議論が本格をしてくるわけであります。  財政、大変心配ですけれども財務大臣、これについて考え方がありましたらお願いします。
  41. 谷垣禎一

    国務大臣(谷垣禎一君) 地方の財政的な自立を実現していくために、これは地方だけじゃありません、国もそうですが、受益と負担の関係というのが明確に意識されて、それを住民のチェックを通じて歳出とそれを賄う財源についてきちっといつもやっていくというのが国、地方を問わず私は望ましいことだと考えているわけです。  そういう観点からしますと、歳入歳出の差額を補てんしていくという地方交付税のいわゆる財源保障機能というのは、よほど自戒しませんと、歳出拡大に対する負担感というのを希薄化してしまう面があるんじゃないか、自律的な歳出抑制の阻害要因となってくる面があるのではないかと。そういう観点から、基本方針の二〇〇三では財源保障機能についてはその全般を見直して「改革と展望」の期間中に縮小していくとされておりますが、私はこれを踏まえた対応が必要だと思っております。  十七年度の地方交付税につきましては、地方歳出総額を一・三兆円実質で縮減していただいて一般会計における交付税も抑制した、こういうことで国、地方の財政収支を健全化しましたけれども、同時に、地方の一般財源を確保して出口ベースでの地方交付税、前年度同額にするというような形で、地方の安定的な財政運営にも配慮したものとなったわけですが、今後、引き続きその地財計画の歳出については透明化、適正化を徹底してやっていく、そういうことを通じて総額を抑制していくことが必要じゃないかと。それから、地方行革への取組等による歳出削減や課税自主権の発揮による歳入確保といった自助努力がまた、自助努力をしていただくことが必要ではないかと、こんなふうに考えております。
  42. 岡田広

    岡田広君 是非、この地方交付税制度の持つ財政保障機能、そして財政調整機能というのは大変重要でありますので、この地方交付税制度を堅持をする、地方が財政で心配をしないような、そういう対応をお願いをしたいと思っているところであります。  これちょっと時間なくてそのほか質問できませんので、また次の機会に譲りたいと思います。  次に、NHKについてお尋ねをしたいと思います。  NHK、さきの予算委員会でも質問に出ましたけれども、三月末で不払が五十万件近くになるということでありますけれども、正にこの一連の不祥事を受けましてNHKの信頼が失われたということだろうと思っています。国会でも衆参で集中審議が行われるということでありますけれども、NHKは当然受信料で成り立っているわけであります。正に公金意識というのをしっかりと徹底をする、そして、報道にも公平公正であるべきと、この公共放送の持つ役割を、使命をしっかりと認識して倫理観を自覚してもらいたいと考えているわけでありますけれども総務大臣考え方お尋ねしたいと思います。
  43. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) 御指摘のとおりだと存じます。  NHKにおいては、今視聴者の信頼回復に向けた抜本的改革ということで、平成十七年度の予算におきましても各種の処置を盛り込んでおりますが、職員の倫理意識の向上と公金意識の徹底についても、これは最重点事項の一つとして掲げております。  私としては、これ、NHKにはこれらの取組を含め、平成十七年度の予算案に織り込んだ各種の推進、処置の推進にとどまらず、あらゆる取組にやっぱり組織を挙げて全力でやっているという姿勢が極めて大事なんだと思いますので、そういった職員一人一人の姿勢の中からやっぱり視聴者への早期の信頼回復と、国民からの信頼回復というものに努めてもらいたいと思っております。
  44. 岡田広

    岡田広君 NHKの保養、平成十七年度の予算に盛り込まれているかどうか分かりませんけれども、NHKが保有している保養所があります。そういう施設の処分の見込みとか在り方について、総務省考え方がありましたら御答弁お願いします。
  45. 堀江正弘

    政府参考人(堀江正弘君) 御説明申し上げます。  御指摘の保養所は、NHKの健保組合が保有しているものでございますけれども平成十二年度においては十六か所全国にございました。順次減らしてまいりまして、現在十か所になっているわけですけれども平成十七年度において更に二か所、それから十八年度において一か所の保養所を廃止する予定になっております。そうしますと、十六か所あったものが七か所になるということでございますが、更にその後も引き続き見直しをやっていくという具合になっております。  総務省といたしましては、こうしたNHKの健保組合が保有する施設につきましても、各施設の利用状況やあるいは採算性や、またこの種の公的組織が保有しております同種の施設についての様々な議論があるわけでございますけれども、そういった議論ども踏まえまして、またさらに、昨今のNHKをめぐります厳しい状況を十分認識していただいて、その必要性、在り方の見直しをしっかりやっていただきたいと、こういう具合に考えております。
  46. 岡田広

    岡田広君 NHKは、四十歳平均給与、四十歳で一千百万という数字が出ていますけれども、そういう中で保養所を、今答弁がありましたけれども、例えば京都にある保養所、一泊で三千円とか四千円で泊まれると。もう一千百万もらっている人はもっと、もう民でできることは民ですから、そういう考え方に沿って、これは是非早期にこういう問題を解決をしていただきたいというふうに考えています。姿勢を示すということが正に大事だろうと思っています。  時間があと一分になりました。これに関連して、公共宿泊施設についてお尋ねをしたいと思います。  平成十二年五月の閣議決定で、五年以内に廃止、民営化その他の合理化をするということが明記をされました。旧労働省とか旧厚生省関係の施設はこれに沿って対応をしています。しかし、すべてがそれで対応しているわけではありません。かんぽの宿だとか休暇村とか、共済組合の福祉施設等あります。なかなか閣議決定の趣旨が理解をされていないということが言えるのではないかと思っています。  今年はこの五年以内に廃止、民営化その他の合理化という、その最終年度に当たるわけであります。正に一例を挙げますと、環境省所管の休暇村、十五年度は九施設、約三十一億円、十六年度、九施設で約三百十億円という予算を掛けて施設整備をしています。これは正に逆行しているんだ、閣議決定何なんだと、こういうことについて、これは財務省もそうであります。市ケ谷とか麻布に要人接待のための施設があります。これ大変、もう時間ありませんから細かく申し上げませんけれども、こういうこと必要なのかどうか、これはJBICというところが財務省の関係は所有しているところでありますが、こういう一連の問題、この公共宿泊施設についての閣議決定を踏まえてどういう考えか、この点についてお尋ねをして質問を終わりたいと思います。
  47. 谷垣禎一

    国務大臣(谷垣禎一君) 特殊法人等の研修施設とか保養所の施設については、委員がおっしゃいましたように、特殊法人等整理合理化計画と、平成十三年閣議決定をしていただいております。その前に平成十二年にも閣議決定があるわけですね。  それで、こういった施設は業務上の必要性や職員の福利厚生を目的として保有しているものですけれども、累次の閣議決定に沿って今まで取り組んでまいりまして、今後ともこういうこと、まあ国家公務員の共済組合で申しますと、五十八施設、平成十二年の閣議決定の前にありましたのが、現在四十八にするというところまで来ているわけでございますが、今後とも、無駄を省くというようなことはきちっとやっていかなければならないと思っております。
  48. 岡田広

    岡田広君 環境省。
  49. 小野寺浩

    政府参考人(小野寺浩君) 閣議決定では、公益法人に係るものは対象となっておりません。しかしながら、休暇村につきましても、閣議決定の趣旨を踏まえまして、十二年の七月に休暇村富士というのが新設されておりますが、それ以降は新設を行っておりません。
  50. 岡田広

    岡田広君 時間来ましたので、質問を終わりたいと思います。ありがとうございました。
  51. 中曽根弘文

    委員長中曽根弘文君) 関連質疑を許します。長谷川憲正君。
  52. 長谷川憲正

    長谷川憲正君 自由民主党長谷川憲正でございます。  岡田広委員質疑に関連をいたしまして、私は郵政民営化問題に絞って質問をさせていただきたいと思っております。お昼を挟んでの質問でございますので、よろしくお願いを申し上げたいと存じます。  最初に、日本郵政公社の生田総裁においでをいただいておりますので、総裁にお尋ねを申し上げたいと思います。  間もなく、この公社、発足をしまして二年を迎えるわけでございます。四年間の中期経営計画の言わば折り返し点を迎えようとしているわけでございますけれども、大変大きな成果を上げられているというふうに伺っております。正直申し上げまして、地方を回りましても、郵便局の職員なんかに会いますと非常に顔色がいいんですね。みんな元気が出てきたなというふうに思っているわけでございまして、大事なときにいい総裁に御就任をいただいているなというのが実感でございます。  公社の経営現状、成果についてお聞かせをいただければ有り難いと思います。
  53. 中曽根弘文

    委員長中曽根弘文君) こちらへ。
  54. 生田正治

    参考人生田正治君) 日本郵政公社の生田でございます。  まず、経営の一端についてお話し申し上げたいと思いますが、経営のやり方といたしまして、経営ビジョンというものをまず出しました。その「真っ向サービス」で集約されるんですけれども、全国のお客様という表現を取っておりますけれども、全国の国民の皆様方に少しでも良いサービスをと、それから二番目に、三事業及び、各々及び、まとめて、公社まとめて健全な経営基盤をつくると、それから三番目に、働く職員に将来展望と働きがいを、こういうのを作りまして、それを今追求している真っ最中であるということをまず申し上げたいと思います。  公社、一期四年、これを二つに割りまして、フェーズⅠ、フェーズⅡということで経営いたしております。もちろん、政府に御承認いただきました、私が入る前にできた中期経営計画というのがありますから、それを尊重しながらやるわけでありますけれども、それを尊重しながらフェーズⅠ、フェーズⅡ、二つに割りまして、ただいまちょうどフェーズⅠ、平成十五、十六年度の結果が大体六月に出ると思いますが、もう肌触りは分かっていると、こういう段階を迎えております。  民間的経営手法でやれという御指示でございましたのでそのようにさせていただいているわけでありますが、例えば委員会制とか執行役員制とか、職員にとっては非常に戸惑いがあったと思いますが、非常によく理解してくれまして一生懸命汗をかいてくれております。組合にも私は感謝しております。非常によく理解してくれまして一緒に改革に取り組んでくれておると、こういう現状であります。  結果といたしまして、平成十五年度は、金銭の信託運用益を除きますと、平成十五年は一兆一千四百億ぐらいと。この三月期も多分一兆を多少超える利益を確保できるんじゃないかなと。したがって、アクションプランは達成し得たと、一期目はし得たと、こう考えております。  これは、中期経営計画よりも多少高めの目標を掲げております。その中の二、三の例を申しますと、例えば郵便、長年の赤字構造だったんですが、ほんの二百億強ぐらいですけれども、黒字をやっと出し得たと。ただし、構造改革はこれからということがあります。  それから、先生方の御理解によりまして、郵貯の方も投信が売れるようになるということで、今年の十月から約六百の郵便局を手始めに開始しようと今一生懸命努力している、準備に努力しているところであります。  簡保の方も、二倍、五倍型の定期付終身保険を御承認いただきまして、激やせに歯止めが掛かりつつあると、まだ完全に掛かっていないんですが、掛かりつつあると。  それから、生産性向上のJPS、ジャパン・ポスト・システムというのも、大体、モデル局の第一号になった越谷では、事業庁のときの実績対比三〇%近い生産性向上になっておりまして、今、約千のモデル局、平均で一〇%ぐらいの改善になってきております。  職員の方は、二十八万一千人で受け取ったんですが、約二万人、組合と十分話し合い、納得ずくの上でありますが、約二万人下方調整なりまして、二十六万強というところでこの三月を迎えると、こういうことでございます。  将来展望でありますが、いよいよ最後の、一期の最後の二年、こうなるわけでございますが、もちろん中期経営計画を尊重しながらやるわけでありますが、アクションプラン、フェーズⅡというのを今一生懸命書いておりまして、大体でき上がっております。もう一週間、二週間のうちにファイナルになって公表するということになるわけでありますが、大体郵貯の方が資金量が減少してきている、これは計画どおりですから慌てる必要はないんです。平成十五年に六兆減った。この十六年も十兆がらみ減ると思います。計画どおり減っているわけなので健全なスリム化と私は言っておりますが、そういったことと、利ざやの幅が減ってきております。  そういったことで、郵貯の方が後半は年間、二、三千億下振れするわけでありますけれども、それ以外の郵便、簡保につきましては、大体フェーズⅠ、平成十五、十六年度に準じた利益を出し得るだろうと。  さらに、公社全体を強くするために、今、企業会計基準、これを官庁会計から民間企業会計に変えるのを推進の本部をつくりまして徹底すると。それから、非常に後れております情報システム関係を何とか整備するということで、これも本部をつくりまして、私自身が本部長をやりまして、今、一生懸命努力していると。  ということに加えて、さっき郵便局の愛想が良くなったと言っていただきましたが、CSを更に深めると、コンプライアンスを深めると、こういった重要事項がメジロ押しということでございます。  最後に、二年の実戦の経営経験からこの今後の二年について申し上げますと、あるいは多少その先にも及ぶかも分かりませんが、各事業ともに各々将来的に安定的な経営体にしていくというためには、市場の進化、市場はいつも動いております、市場の変化に見合ったビジネスモデルの近代化、これが本当は必要だろうと思います。整備が必要であると思います。ただし、現在は非常に厳しい規制によって制約されておりますので、これがなかなかできないという現状にあります。  それでも、やはり経営をお預かりしているんで、少しでも改善に向かわさなきゃいけないと思って、健全化を図らなきゃいけないと、こういう観点で法的規制の枠組みの内側で、なおかつ社会規範も十分わきまえながら、常識的な範囲で新しいことをしようというのを時々やっております。  例えば、ローソンさんに取次ぎを、ゆうパックの取次ぎをしていただいたとか、先ほど触れました生命保険の一部改定とかありますが、ちょっとでも新しいことをやりますと、ほぼ条件反射的に民業圧迫という声が起こりまして、でも本当は私はどれもこれも、ほとんどの内容は競争排除ということの別称だと私は考えているわけでありますが、民業圧迫という声がほとんど条件反射で上がってきて、これが一般受けするような社会的風潮があるんで、経営を預かる私としては非常に法的枠組みを超えた難しさがあるというのが現在のところ悩みであると。  ただし、そういったいろんな問題も何とか克服しながら、与えられた条件の中で最善の経営に努力をしていきたいと思っております。  以上です。
  55. 長谷川憲正

    長谷川憲正君 生田総裁、大変ありがとうございました。元気の出るお話を伺いました。  この総裁のお話を伺いまして、麻生総務大臣お尋ねを申し上げたいと思いますが、私、この大事なときに本当にいい大臣総務大臣にお座りをいただいているなと、大変力強く思っているわけでございますけれども、今のお話を伺っての監督大臣としての評価をお伺いしたいと思います。
  56. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) 評価ですか。少なくとも会社経営やった人が組合員四十万、実質、全逓含めて二十八万、ゆうメイト十一万、三十九万の会社の社長っちゃ、しんどいですな。私も一万人ぐらいまでしかやったことありませんから、ちょっと正直四十万弱という全国ネットの組織の長で、その組合員もかなり激しいという評判の高かったところと交渉をやって、少なくともこれまで円満にやってこられるという、まず労務管理の才能だけでもすごく高く評価できるところだと思います。どうもこの民営化の話になると労務の話をされる方が全くおられませんけれども、ここはすごく大事なところだと私は思っているんですが、そういった意味では、まずそこが私としては評価の最も高いところ、私も組合員の方とは何回となく一緒に接触をしたことがありますけれども、いずれも新総裁の評価が高いというところが、私としてみると評価の一番高いところはそこであります。  それから、この二年間の間に少なくとも中期目標というものを、経営者の目で見ますと、これは数字の上では前倒しで達成しておられる。郵便事業につきましても赤が黒になったり、いろんな形で取り組まれておりますんで、そういった点はもちろん評価の高いところです。  そして、ゆうパックやら何やら、いろいろ新しい分野にも進出しておられるように、いわゆる大きな型を、大きなものを、例えばスキーだゴルフだ、そういったものを送れるようにしてみるとか、いろいろなものとか、国際便なんかの便が速くなったり、いろんな新しい分野に関しての取組もしておられるというところも、限られた、限定された競争条件の中でいろいろ新しい分野をやり、かつコストを下げるという努力をしておられる点も評価の高いところだと思っております。  一番難しいのは、やっぱり郵便事業というのは、今、御存じのように、いわゆるiモードとかEメールとかその他いろいろな技術の進歩のおかげでどんどん郵便事業が減っていく。また、今簡保の話をしても、いろんな形でも、いろんなものが先行き、郵便事業等々は先細りのする可能性の高い中にあって、事業を継続し、かつ黒字を出していくというのは、極めて難しい仕事に取り組まねばならぬというところでもありますので、こういった点につきましては、私ども、今後どこまでこれが可能なのかという点は、これは純粋に経営的には興味のあるところではあるんですけれども、いずれにいたしましても、ここまで、二年間弱すんなりここまで来たのはひとえに生田総裁の力によるところが大きかったと思って、評価は極めて高いと申し上げます。
  57. 長谷川憲正

    長谷川憲正君 十二時になりますので、残りは午後に譲りたいと思います。
  58. 中曽根弘文

    委員長中曽根弘文君) 残余の質疑は午後に譲ることといたします。  午後一時に再開することとし、休憩をいたします。    午前十一時五十九分休憩      ─────・─────    午後一時開会
  59. 中曽根弘文

    委員長中曽根弘文君) ただいまから予算委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、平成十七年度総予算三案を一括して議題とし、質疑を行います。長谷川憲正君。
  60. 長谷川憲正

    長谷川憲正君 午前中に引き続きまして、郵政民営化問題について質問させていただきたいと思います。  午前中、公社の総裁のお話と総務大臣の評価をお聞きをしたところでございますが、この中期経営計画というのは公社法が要求するものでございます。二十四条に規定がございます。大臣の認可を受けまして、期間終了後にはその報告を大臣に提出をして、大臣の評価を受けると、こういうことになっておりますもんですから、私、評価という言葉を使わせていただきました。  この仕組みの意図するものはどういうものであるのか、これは役所の方にお伺いしたいと思います。
  61. 清水英雄

    政府参考人(清水英雄君) 先生指摘の中期経営計画でございますけれども、これ、公社が四年を一期として中期経営目標と計画を定めまして、総務大臣の認可を受けます。当然ながら、その認可した中期経営目標と計画は、これは国会に報告される形になっております。これは郵政公社法が独立採算制の下でなるべくその自律的な、かつ弾力的な経営を可能にするようにと、それからまた一方で、予算ですとか定員の問題、定員令、組織令、そういうようなところ、全体のその事前管理方式から、むしろ中期的なその目標管理で、それに実施した後の事後評価、それへの展開ということで、公社法制定のときの基本的枠組みとしてつくられたものになってございます。  無論こういう趣旨から、それぞれの計画は公社で自ら策定しまして総務大臣の認可を受けて、で、総務大臣の方はその達成状況について報告書を基にまた事後的に業績評価を行う、こういう経緯でつくられたものでございます。
  62. 長谷川憲正

    長谷川憲正君 従来の郵政省とそれから郵政事業庁を経て今公社になっておりますが、この新しい公社との違いは何か。一番の違いがこの中期経営計画にあると私は思うわけであります。国有ではありますけれども、できるだけ民間的な手法を導入して自由濶達に経営をやらせよう、そのために自律的に目標を定めて、四年間という期間を定めて、そして計画を立ててやってもらおうと、こういうことでございまして、基本的に言いますと、この四年間の間は政府としては温かく見守っていくというのが本来あるべき姿ではないかと思うわけでありますが、担当の竹中大臣にお伺いをしたいと思います。
  63. 竹中平蔵

    国務大臣(竹中平蔵君) 長谷川委員の御趣旨は、まずこの中期経営計画を見守るべきではないのかと、そういう御趣旨であるというふうに承知をしております。これまでの経緯を踏まえてそのような見解があるということは承知をしておりますし、一つの見識であるというふうに私も考えております。  同時に、現在の郵政事業を取り巻く環境はやはり先ほどからいろいろ御議論がありましたように大変厳しい。IT革命によってEメールが増えて、郵便の取扱量が減っている。金融は、大変な技術革新の中で、先ほど総裁から利ざやの縮小等々のお話もござましたけれども、やはり金融も厳しい。物流等々を見ますと、国際物流が非常にダイナミックな動きをしている。そうした劇的な変化の中で、私、生田総裁、本当に大変な御尽力をいただいているというふうに思っております。  そうした観点、観点から申しますと、生田総裁も、市場の変化に見合ったビジネスモデルの進化が必要であるという表現を使われました。中期経営計画を見ても、将来の経営環境がやっぱり厳しくなるということは否定し難いんだと思います。そうしたことから考えますと、やはり今、生田総裁が着手しておられるその改革を更に実りあるものにするために実は民営化というのが急がれるのではないのかというのが私どもの見解でございます。さらには、準備期間、移行期間に相当の年数が掛かるということも踏まえましてそのような判断をしているところでございます。
  64. 長谷川憲正

    長谷川憲正君 次に、ちょっと世界の状況をお聞きしたいと思うんです。これは政府で結構でございますので、世界の郵政事業の経営形態がどうなっているのかお教え願いたいと思います。世界には百九十か国ほどの国が万国郵便連合に参加をしていると思いますが、状況はいかがでしょうか。
  65. 清水英雄

    政府参考人(清水英雄君) 現在、万国郵便連合には百九十国が加盟しておりますけれども、二〇〇二年の時点でUPUの事務局が取りまとめた統計がございます。  この中の全部が実はその詳細明確になっておりませんで、データ不備のところがございまして経営形態判然としていないものがございますが、そのうちはっきりした九十三か国に分けて考えますと、ガバメントデパートメント等々書いてある国営、これが米国、中国、大韓民国等々で十八か国ございます。それから、パブリックコーポレーションと書かれているいわゆる公社、この形態のものがフランス、スイス、日本等で約三十七か国、それからカンパニーと書かれております株式会社、これが英国、ドイツ、イタリア等約三十八か国になっております。
  66. 長谷川憲正

    長谷川憲正君 それでは、そのカンパニーと言われているもの、株式という、株式会社という形になっているのかと思いますけれども日本が今、政府がやろうとしているような市場で株を公開するという意味での本物の民営化ですね、それをやっている国というのは幾つありましょうか。
  67. 清水英雄

    政府参考人(清水英雄君) 本物のというちょっとその定義はあれでございますけれども、郵便事業体が株式会社化されておりまして、主要国において証券市場に株式を上場しておりますのはドイツとオランダの二か国だというふうに承知しております。  ドイツの場合には連邦政府及び復興金融公庫というところがございまして、これがドイツ・ポストの約五六%の株式を保有しております。ということは当然残りの部分がまた出ておりまして、ドイツ・ポストにつきましては、例えば二〇〇六年末までには政府保有株式を放出すると。また、そのドイツ・ポストが持っているポストバンクのところについては上場後も過半数を保持するというような報道がございますので、これらが証券市場には出ているのだと思います。  また、オランダにつきまして、もう一か国ございますが、これは、政府がTPGの約一九%の株式、それからこれはヨーロッパ独自のものでございますが、その中で黄金株というような形で、経営上の重要事項についてはその最終的な承認を与えるか否かの権限を持っている株一株、これを国が持っているというような状況でございまして、ほかの国では多くの国がその政府が全株を保有しているというふうな状況になっていると承知しております。
  68. 長谷川憲正

    長谷川憲正君 そうなんですよね。世の中ではよく、例えばニュージーランドも民営化しているとかイギリスも民営化しているとかという言葉を使うんですけれども、これは株式会社の格好になっているということでありまして、株自身は政府が一〇〇%持っているわけです。  それは、自由濶達に経営をさせるためにいろんな縛りは取ってやろうと。しかし、国の大事な事業だから国はコントロールするんだというのが世界の常識でありまして、私が前おりましたフィンランドでも同じような形になっております。ですから、ニュージーランド・ポストの総裁なんかに聞きまして、あなたのところ何で民営化したんですかと言うと、我が国は民営化しておりませんと、国民は民営化を望んでおりません、そういう返事が返ってくるわけですね。ドイツでも、これドイツは非常に今壮大な実験をやっている最中でありますが、それでもまだ五六%の株を国が持っておる。オランダに至っては国のコントロールのための黄金株を持っていると。これがまあ常識なわけでありまして、世界、民営化というのは世界の流れでも何でもないと。  そういう中で、持ち株会社の下で一杯会社をつくって、一部は三分の二まで売り、あるいは貯金の会社、保険の会社は全株売り払ってしまうというのは、これはもうどなたかがおっしゃいましたけれども世界の非常識と、こういうふうに言わざるを得ないのではないかというふうに思うわけでございます。  何でも民間でやる国アメリカの経営形態論議があったように聞いておりますが、これも政府にお聞きをいたしたいと思います。
  69. 清水英雄

    政府参考人(清水英雄君) アメリカでは、二〇〇二年の十二月でしたですか、米国はUSPSという米国郵便庁がございますが、その米国郵便庁が郵便物が非常に減少いたしましたのと経営がちょっと赤字になりまして、その背景の中で効率的な運営を確保して国民負担を小さくしようじゃないかということから米国大統領がUSPSに関する委員会を設置いたしました。  二〇〇七年七月の時点で、委員会が、USPSの将来ビジョンに関する提言並びに郵便事業の活力を確保するための必要な法制、それからまた経営上の改革に関する勧告を取りまとめて大統領に報告したところでございます。  その報告書では、単一の民間事業がユニバーサルサービスを提供することはまず不可能であり、むしろUSPSを公的な機関として維持し、将来性、効率性と将来への適応性を向上させる方が好ましい戦略ではないかというようにアメリカの方ではこの報告書が書かれたというふうに承知しております。
  70. 長谷川憲正

    長谷川憲正君 何でも民間でやろうというアメリカでさえ郵政事業というのはそういうような結論が出ているわけでありまして、日本が何も急いで民営化を今やらなければならないというのは甚だ理解に苦しむところでございます。  麻生大臣にお伺いをしたいんですが、麻生大臣、ドイツの郵政事業の民営化につきまして、御自身で実際視察に行かれたというふうに伺っております。何か向こうの民営化担当の大臣、当時のですね、などにもお会いになったというふうにお伺いをしているわけでございますが、御自身の目でごらんになった御感想を承らせていただきたいと思います。
  71. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) 昨年の五月三日、四日、ドイツに視察に行かせていただきました。  経済・労働大臣とかドイチェ・ポストの役員とか、今言われました民営化をしたときのドイツ政府の大臣、今野党になっていますが、ベーチェという人なんですが、この人たちに会って話を聞かせていただきましたが、ドイツの場合は日本と違って赤字であったのを民営化したことによって黒字になったというところがドイツの一番成功と言われているところなんだと存じますが、どういう結果になったのかというのが私どもちょっと興味があるところでしたので、調べて、教えてくれと言って、自分の良かったと思うところと失敗したと思うところと、この二つだけ教えてもらえればいいんで、成功したところはみんなほかの、あなたの後大臣になった人たちがみんなしゃべるから、自分でこれは失敗だったと思っているところだけ教えてもらうと助かると言って教えてもらったのは基本的には三つだったと思いますが、郵便局の数が二万九千から一万二千六百八十三まで下がった、一九八九年から二〇〇二年までの間だそうです。ポストの数が同じく十四万四千六百九十七から十万というところまで一九九二年から二〇〇三年までの間に下がった。  これらはいずれも、後でこれ以上止めちゃ、利便が悪くなるということで、これはそれ以上減らしちゃいかぬという法律を作らにゃいけなくなったという話と、もう一個は、現在のドイチェ・ポストと、いわゆる貯金サービスを行っておりますいわゆるポストバンクというものを切り離して別会社にしたんですが、うまくいかず、九年後の九九年にドイチェ・ポストはポストバンクの株式を全株取得して子会社にしたということで、元は一緒だったものが、もうかる会社をもうかっていない会社が買収したことによって、上下関係は従来横であったものが、分離して買収したものだからこういう関係になって、もうかっているやつが下に来た。形としてはそうなったというのがこれが自分の反省という話をしておられたのが私にとっては印象的だったんですが、いずれにいたしましても、こういったような話というのはいろいろほかの国が実験をしておられますんで、そういったところで失敗したところは私ども、それは同じような轍は踏まないように学習しなくちゃならぬところだと思います。  同時に、私どもとしては、ドイツと違うのは、郵便貯金というものの規模がドイツとは全く違うぐらい大きなものになっておりますんで、そういったものも十分に考慮をしなくちゃいかぬところだと思いますが、やっぱり官と民との間に公、公という、パブリックセクターというものがあるんだと思いますが、この公という観点からいきますと、このネットワークという、郵便配達いたしますこのネットワークというものは、これこそ巨大な、見えない、まあ見える財産としてもっと評価されてしかるべき、もっとこれを活用してしかるべきなんだと私ども思っておりますんで、民営化になったときにおいてはこの点をうまくどうやって生かすかだなと思って、安易に郵便、郵便局を減らして住民の反対をあおるのは余り意味がないなと、その当時思ったというのが感想であります。
  72. 長谷川憲正

    長谷川憲正君 どうもありがとうございます。  お話を伺えば伺うほど、今何か直ちにこのドイツで成功とはとても言えないようなモデルを日本でやらなければいけない理由というのが分からなくなるわけであります。  先ほど公社の総裁が、時代の変化に合わせてそのモデルも変えていくんだと、それが必要なんだということをおっしゃいました。それはもう全くそのとおりであります。  しかし、より機能的な体をつくると。例えば、長谷川憲正のような虚弱な体ではこれからの時代を戦い抜けないので大仁田厚のようにしたいと。これは分かるわけであります。しかし、機能的な体にするからといって、更に大仁田厚の手を切り、足を切り、ロボコップにするというようなのが今回の案のように思えてしようがないのであります。機能的な体をするために手術は要らないというのが私の見解でございます。  やっぱり、正しい、物事を変えるためには、これは非常に国民生活に与える影響が大きいわけですから、正しい理由と正しい手法と、この二つが必要でありますし、そのためには国会できちんと議論をして、多くの人たちの納得の上に物事を進めていくということが何よりも大事だと思うわけでございます。  そういう意味で、今までの政府の説明というのは国民に理解をされていない。これは説明の量が悪い、少ないからということではなくて、中身がやっぱり説得性がないからだと私は思うわけでありまして、改めて竹中大臣に、この日本独自の世界でも全く例がないようなそういう民営化をやる必要性がどこにあるのか、国民によく分かるように御説明いただきたいと思います。
  73. 竹中平蔵

    国務大臣(竹中平蔵君) 大仁田先生のような強い体にしなければいけない、全く同感でございます。そのために本当にどうしたらよいかということを考えた私たちの一つの結論、重要な結論がやはり郵政の民営化であるということなんでございます。  それは、大仁田先生は、これはやはり思い切り競争して鍛えて、まあ企業でいうならばマーケットの中で競争して、その中で勝ち抜いて、そして大きく強くなっていくと、そういうことを大仁田先生はなさってきたことだと思いますし、企業につきましても、やはり自由度を持っていただいて、そして自由度を発揮する中で健全な競争をしていただいて、そして強くなっていっていただく、それに私は尽きるのだと思います。  そうした観点から、さっき株式会社化、コーポレータイゼーションの話がございましたが、幾つかの国でそういうことが積極的に行われているというふうに私は認識をしております。恐らく、長谷川先生の御指摘は、日本には日本にふさわしいやり方があると。そうした点も含まれていると思います。私は全くそのとおりだと思います。  アメリカの例等々、私たちも勉強させていただきました。アメリカは国営でございます。しかし、アメリカは一九六六年に既に金融部門を切り離して、金融が全くない、郵便事業だけやっているというところでございますから、それはアメリカにふさわしい選択がある。  しかし、日本は三百五十兆円という金融、その銀行、郵貯を持っている世界最大の金融機関であると。これが正に日本の特徴であって、それにふさわしいやはり競争力の強化があるんだと思います。それがもう取りも直さず、民間でできることは民間で、市場経済社会の根本原理を活用して、そして二十七万人の雇用をしっかりと維持しながら市場の中で強くなっていっていただく、それが私は民営化であるというふうに考えております。  民営化のメリットということでありますからあえて繰り返させていただきますけれども、やはり今三百五十兆円の資産、これは国のお金でありますから、この委員会でも御指摘いただきましたが、リスクマネーになれない。これは、やはりリスクを取っていただいて民間に流れるようにしていくということは経済の活性化にこれはつながるんだと思います。  さらには、小さな政府を目指すというその基本、これはもう小泉改革の基本方針でございますけれども、それを目指していっていただかなければいけない。そして、二万四千の拠点を更に有効に活用していただいて、今は郵貯と簡保と郵便という三つの事業しかできないわけでございますけれども、ドイツは民営化されて二十幾つの事業ができるようになった、窓口でですね、そういうふうな形で国民の利便性を高めていく。これはいずれも極めて重要な目標、目的であるというふうに思っております。
  74. 長谷川憲正

    長谷川憲正君 大臣はいつもそうおっしゃるわけであります。  また、政府の方でお配りになっている、これは「だから、いま民営化」という、どこにでも今配られている政府の広報のものでございますけれども、この中にも今おっしゃったようなこと書いてあります。また、総理のサイン入りで中にはこういうお手紙も入っておりまして、四点に中身がまとめられているわけでありますけれども、何か民営化すると、貯金、保険の三百五十兆円の資金が官でなくて民間で有効に活用されるようになると、こう書いてあるわけでありますが、私の理解によりますと、この財投改革で、郵貯が旧大蔵省の資金運用部を通じて特殊法人等に回っていた、その関係というのは既に変えられているんではないかというふうに思うわけでございますが、谷垣財務大臣にちょっとお聞きをさせていただきたいと思います。
  75. 谷垣禎一

    国務大臣(谷垣禎一君) 郵貯、簡保の三百五十兆の金を民に、官から民に流していくためには、入口ばかり議論しないで出口の財投改革がちゃんとできているのかどうかが大事だと、こういうお尋ねだと思うんですね。  委員お尋ねのように、平成十三年に、今までの郵貯マネーの全額預託義務、それまではそういう形で財投に預託をしていただいておりましたけれども、それを切り離すという改革をやったところでございます。預託義務を廃止して、いわゆる財投債や財投機関債というものを発行して、マーケットの規律の下で財投機関には真に必要なマネーを調達していこうということと、それと併せまして、財投機関は政策コスト分析の導入であるとか、あるいは貸出先の特殊法人などに民間準拠の財務諸表を作って、その辺りで民業補完性や償還確実性にもきちっと吟味をしながらやっていこうという体制を取って、今着々とそれを進めているところでございます。  確かに、郵貯等による財投債の直接引受けというのは、今までたくさん国債を引き受け、財投はいただいていたわけですので、経過措置というものはやっぱり必要でございますから、財投債の直接引受けというのをお願いをしているわけでありますが、これも預託金の払戻しが基本的に終了する平成十九年度末をもって整理が大体こう付いていくという形ができております。  こういうことをいたしまして、平成十年度の財投計画の規模というのは、これはピーク時の約四割、ピーク時は四十・五兆ございましたけれども、現在は十七・二兆でございます。それから特殊法人向けというのは、ピーク時は三十一・七兆ございましたけれども、三分の一の十一・三兆という形になっておりまして、出口の方の改革も、過渡期の措置というものは必要でございますからやっておりますけれども、着々と進めているということでございます。
  76. 長谷川憲正

    長谷川憲正君 どうもありがとうございます。  今、お聞きをしておりますと、要するに、官から民へ金の流れを変えるというんですけれども仕組みとしてはもうそうなっているわけでありまして、あとは運用の問題だと。運用の問題を経営形態を変えることによってでなければ変えられないというのはおかしな理屈でございまして、私は、もし官から民へもっとお金を流すことが仮に必要ならばですよ、私は決してそう思いませんが、それは政府の中でお話をなさればそういう改革は当然できるだろう。民営化の理由にはならないと思うわけでございます。  それから、新サービスが郵便局でできるようになるというわけでございますけれども、国民がそんなことを本当に望んでいるんでしょうか。やっぱり生活の安心と安全のためのよりどころ、年金を取りに行ったり、身近なお金をちょっと預けたり、子供のところに送金をしたり、そういう便利な場所として郵便局というものを国民は期待しているのであって、ここで何かコンビニ業務をやることを期待したり、何か住宅のリフォームをやるとか、私は、何かずれているのではないかというふうに思うわけでございます。  これは、さらに民営化の理由の中に、公務員でなくなることがいいことだと、国家公務員全体の三割がこれで減るというんですけれども、郵政の職員というのは国家公務員という肩書はいただいていますけれども、税金は一銭ももらってないわけですよね。公社になったからじゃありません、郵政省の時代から一貫して国のお金は全然もらわずに、自分たちの事業で稼いだお金ですべてを運用しているんですね。こんな便利なものを何かどういう利点があって公務員から外さなきゃいけないとおっしゃるんでしょうか。竹中大臣にお伺いいたします。
  77. 竹中平蔵

    国務大臣(竹中平蔵君) 今、二点御指摘があったと思います。  一つは、窓口会社が、我々はこれはいろんなことができるという一つの例として、物品販売業等々を試算で示させていただいているわけでございますけれども、それが本当に国民が望んでいるのかというような御指摘であったと思います。  言うまでもなく、これは委員指摘のように、郵便の窓口というのは、これはもう郵便の問題、かつその非常に身近な国民に密着した金融の話、金融の送金等々、そういうことも含めて極めて大きな社会的な機能を果たしているというふうに承知をしております。だから、そこがもう基本であり、重要であるというのは、これはもう私たちの当然の認識でございます。  しかし、同時に、今現実問題として、特定局の窓口の業務に関しては三分の二とか七割が金融の業務を今しているわけでございますから、これはやはりいろんな可能性を考えていただくと、自由度を持っていろんな可能性を考えていただくと。地域の中で重要な役割を果たして、店舗網を維持するためにも、そういった可能性を経営体として考えていただく、そのための自由度を持っていただくというのは、私はこれは必要なのだというふうに思っております。  もう一つの点の公務員の問題でございます。  御指摘のように、これは、公社は独立採算制を取っております。かつ、今まで職員の給与に税金が使われたことはないと、これは事実でございます。しかし、一方で、公社が独立採算制を前提としたとしましても、これは国家公務員である限り経営の自由度に一定の歯止めが掛かるということは、これは避けられないと思います。例えば、経営努力が待遇に反映されていくためにも、やはり効率化へのインセンティブが働きにくいと、そういうような面もあろうかと思っております。  そうした点も含めて、公務員でなければできないのかと。そうした点、私は民間の活力を持っていただくという観点から、全体としてこの民営化を評価すべきであるというふうに思っております。
  78. 長谷川憲正

    長谷川憲正君 公務員では制約があると、それではインセンティブが働かないというんですけれども、そんなことないんですよ。みんな公のために奉仕するということを誇りに思って仕事をしているんですよ。それで、税金を一銭も使っていないんですから、そういうものを安易に壊すようなことがあってはいけない。  私は民の活力は大事だと思います。しかしながら、日本がこれから少子高齢化、そして地方がどんどん過疎化していく中で、特に地方の住民にとっては安心、安全の材料というのは必要なんですよ。小学校がなくなり、農協も合併してどんどんなくなり、駐在所もなくなり、地域の中で郵便局だけが頑張っているというところは日本にたくさんあるんですね。そういうものが本当に維持できるような設計をしなければ、安易に民営化でこんなに良くなりますというようなことを言われても、それはだれも付いてこないということだと思うんです。  いろんな事業をやりまして、何かバラ色だという試算が民営化準備室の方から出ております。もう時間がございませんので今日はその中身は詳しくやりませんけれども、今日の日経新聞でもこんなバラ色のことを言っていいのかという社説が出ております。結論は私とは違うんですけれども、やっぱり国民にうそをついちゃいけない。しっかりと、ベストプラクティスばっかりを言わないで、例えばこれ、日本通運を上回るような成績を上げたり、ローソンのような成績を上げたり、大和証券のような成績を上げるという案ですから、そんなことできるわけがないわけでありまして、やはり慎重に設計をしていただく必要があると私は思うわけでございます。  その上で、国民がきちんと分かって、そうかと、郵政事業はこういうふうな形に変わっていくんだな、自分たちの地元の郵便局というのは維持するのは非常に難しいな、それでも国家のためにこれが必要だと皆さんがおっしゃるんであれば民営化したらいいんだと思うんです。そうでなければ、やっぱり議論を尽くして、じっくりと考えていくということが大事なんでありまして、何もそんなに急いでやらなければいけない、今国会でどうしても成立をさせなければいけない緊急的な理由は何かあるんでしょうか。大臣お願いします。
  79. 竹中平蔵

    国務大臣(竹中平蔵君) 先ほどの試算等々で国民にうそをついてはいけないという御指摘がございました。これはもううそをついているわけではもちろんありませんで、これはバラ色だけではなくて、実は少し条件が変われば公社の経営は大変厳しいものになるということを私たちは同時に示しております。  そうなると、これはやはり、これだけ大きな組織がやはり大変大きな問題になる。先ほど、冒頭で中期経営計画においても先行きは厳しいということを申し上げましたけれども、我々が示した試算でも、今金融部門非常に大きいですけれども、その利ざや、長短スプレッドが今少し高いわけですけれども、過去の平均並みになるだけで、それだけで十年ぐらいで全部の利益が消えてしまう可能性がある、そういう試算も同時に示させていただいているわけでございます。  その意味では、金融、IT、そして国際物流、取り巻く環境が非常に厳しい中で、これはやはり、今、生田総裁の下で公社はその民的手法を取り入れて、非常に良い方向が出ているわけですから、それを是非加速してやっていただきたい。そうすることによって、経済の環境が激変する中で、まさしく委員がおっしゃるように社会的な機能をしっかり果たしてもらわなきゃいけないわけですから、その組織がサステーナブルで、更に繁栄していくように、私たちはその準備期間、移行期間の長さも含めて考えると、やはりここは急いで民営化をしたい。しかし、これは国民の納得が必要でありますから、議論はしっかりとさせていただくつもりでおります。
  80. 長谷川憲正

    長谷川憲正君 議論をしっかりしていただけるということでありますので、そのように是非お願いを申し上げたいと思います。  もう一つ質問をさしていただきます。  貯金、保険につきまして、完全に今は民営化をするという政府の案になっておりますけれども、これが非常に波紋を呼んでしまいまして、今アメリカが買いたい買いたいといって大運動を展開しているわけですね。政府も民間も、あっちでもこっちでも、とりわけ簡易保険を買いたいということで動いているわけでありますが、先ほど御紹介したように、各国とも郵政事業は大事なものだから国がしっかりとグリップするという形になっているわけです。少なくも過半数は、私は一〇〇%、もしですよ、私、民営化反対ですけれども、株式会社という形を取るなら一〇〇%持つべきだと思いますが、少なくとも過半数は国が持つべきではないんですか。それでなければ外資規制を置くべきだと思いますが、竹中大臣、どうお考えでしょうか。
  81. 竹中平蔵

    国務大臣(竹中平蔵君) まず、郵政に関しては、これは社会的な機能になっていただくということ、ユニバーサルサービスの義務も持っていただくということでございますから、まあその持ち株会社に対してでございますけれども、一定以上政府が常にやはり持つような、最低限の、例えば定款を変えるとか、そういった特別事項に対しては反対できるような、そういった意味での政府の一種の力というのは持つようにしなければいけないというふうに思っております。  問題は、銀行と保険等々だと思います。銀行、保険については、しかしこれ正に、特にほかの業等々に比べてリスクの遮断が求められる業種であって、さらにこれは経営の自由度をもう何よりも持っていただかないといけない問題ですから、そこに政府が介入といいますか、政府が実態として株を持ち続けていることによって、一方で民業圧迫等々の懸念が出るということはこれは避けなければいけないということだと思っております。そうした観点から、銀行と保険については民有民営を前提に考えようではないかというのが基本方針の考え方でございます。  これは外資の問題等々、これは非常に幅広く議論するべき問題だと思います。今、商法改正等々、そうしたことも含めて議論がなされていると思いますので、これはこれでやはりそうした法的な枠組みの中で、全体としての枠組みの中でしっかりと対応されるべき問題であると考えております。
  82. 長谷川憲正

    長谷川憲正君 それはやっぱり基本の設計で、銀行だとか民間の生保会社と同じようなものをつくろうとするからあちこちに矛盾が出てきて手当てをしなければならなくなるんですよ。  今問題がないというのは、公社の説明そして総務大臣のお話で分かっているわけですから、もっと時間を掛けて本当に国民が安心のできるような案をつくっていただきたいと思うわけでありまして、そうでなければ、無理やり今のような案で国会に提出をされましても、私たち国民の代表ですから、これはもう断固としてこれは反対をしなければならないというふうに思っているわけでございます。  じっくりと一から考え直していただくように強くお願いを申し上げて、質問を終わりたいと思います。
  83. 中曽根弘文

    委員長中曽根弘文君) 以上で岡田広君の質疑は終了いたしました。(拍手)     ─────────────
  84. 中曽根弘文

    委員長中曽根弘文君) 次に、松下新平君の質疑を行います。松下新平君。
  85. 松下新平

    ○松下新平君 民主党・新緑風会の松下新平です。どうぞよろしくお願いいたします。  まず、町村外務大臣にお伺いいたします。  一昨日、ブッシュ大統領から小泉総理大臣に電話での電話会談がございました。その内容を教えてください。
  86. 町村信孝

    国務大臣町村信孝君) 九日の夜、日米電話首脳会談行われたということでございます。その際に、北朝鮮の問題、あるいはいろいろな問題が議論された中に、牛肉貿易再開問題についてもやり取りがあったと聞いております。
  87. 松下新平

    ○松下新平君 北朝鮮問題、そして新聞報道では中東和平などのことについても言及されたようですが、やはりBSE問題、今話題のですね、米国からの輸入再開のことが話されております。  そこで、関係される三閣僚の皆さんにお伺いいたします。  この会談を受けて、小泉総理から直接又は間接、このことについて指示あるいは説明があったでしょうか。まず尾辻厚生労働大臣お願いします。
  88. 尾辻秀久

    国務大臣(尾辻秀久君) 指示は一切ございません。その後の指示は一切ないということでございます。したがいまして、かねてこの問題については科学的知見に基づいてきっちり対処するようにという御指示を受けておりますから、その指示どおりだというふうに考えております。今もその指示が、指示どおりであるというふうに理解をいたしております。
  89. 松下新平

    ○松下新平君 続きまして、島村農林水産大臣、先ほど、直接小泉総理からはああしろこうしろということは言われてないということでしたけれども、間接的に、あるいは御自身がそれを受けて何か行動されたことはないんでしょうか。お願いします。
  90. 島村宜伸

    国務大臣島村宜伸君) 尾辻さんと同じ御答弁になりますけれども、今回の会談を踏まえての具体的に指示は全くございません。  ただ、委員も御承知かと思いますが、総理からは、この問題に取り組む前の段階から、あくまで科学的知見に基づいて食の安全、安心を第一義に是非着実にこの話を進めてほしいと。それ以来何もありませんが、むしろ、何もないことをむしろ責任の重大さに置き換えて我々は取り組ましていただいております。
  91. 松下新平

    ○松下新平君 続きまして、棚橋科学技術、食品安全担当大臣にお伺いします。  本日、午前中に食品安全委員会が開催されたそうであります。その内容も併せて、そして同じく小泉総理から具体的な、そして間接、そして直接も含めて、指示若しくは説明があったかどうかもお願いいたします。
  92. 棚橋泰文

    国務大臣(棚橋泰文君) お答えをいたします。  まず総理からの会談後の指示でございますが、ございません。また、尾辻大臣島村大臣がおっしゃったように、前々から総理科学的知見に基づいて食の安全に万全を尽くすというふうに御発言なさっておりますが、私どももそのように認識をしております。  それから本日、食品安全委員会の下に置きますプリオン専門調査会が開催されまして、大変精力的な議論が行われたと聞いております。これは御承知のように、特に、先生の多分御質問の趣旨は、現在、いわゆる全頭検査をその二十か月齢以下、二十一か月齢未満の牛に関しては対象外とすべきかどうかというリスク管理機関からの諮問に関しての議論だと思いますが、この点については大変精力的に議論が行われ、また次回も議論が行われることになったというふうに聞いております。
  93. 松下新平

    ○松下新平君 それぞれ三閣僚の皆さんは今の段階では直接小泉総理からの指示はないということで確認させていただきます。  先ほどその電話会談の内容を町村大臣答弁求めたんですけれども、ちょっと簡単に説明をしていただいたんですが、まあ皆さんも、新聞報道でも出ておりますので、ここでは全部は申し上げませんけれども、大事なとこだけ申し上げます。  ブッシュ大統領小泉総理に対して、総理として尽力してほしいと要請され、これに対して小泉総理は、牛肉貿易を早く再開したい気持ちだが、いつ再開できるとは言えない、ただしこの問題が日米関係を害することがないよう努力したいと述べられたんですよね。大臣、そうですよね。  それでは、町村外務大臣に再びお伺いしますけれども小泉総理が努力したいと、この言葉の意味、そして総理がどう努力をされるおつもりなのか、外務大臣の立場からお答えください。
  94. 町村信孝

    国務大臣町村信孝君) 今委員が要約をして言われたような会談があったと私も理解をいたしております。  問題の早期解決重要性につき両首脳の意見が一致した上で、総理の方から、この問題が日米関係を害することのないよう努力をしたいということでございますから、こうした総理の意向を踏まえて、今後とも政府一体となって対処をしていくことが重要であると考えております。
  95. 松下新平

    ○松下新平君 今、政府一体となって取り組みたいということでしたけれども、先ほど三閣僚の皆さんは、まだ一切何の指示も連絡もないという現実があります。  さらに、今日の朝日新聞では、大統領が今回の電話をしたことはかなり異例なことだと。そして、いつ輸入を再開するかと期限も迫ったと報道されておりますし、具体的にブッシュ大統領は、小泉首相の立場も分かるが、私の立場も理解してほしい、私は国内の圧力を受けていると、こう報道されておりますし、逆に総理の方は、これは毎日新聞ですけれども、遅らせているわけではない、精一杯やるべきことはやっている、誤解しないでくれと話したとも書いてあります。また、毎日新聞によりますと、政府は近く関係閣僚会議を開きたいということを述べられているんだと思うんですけれども、報道されておりますが、この真意を確認したいと思います。
  96. 町村信孝

    国務大臣町村信孝君) 両首脳のやり取りの一言一句を私が紹介をする立場にはございません。したがって、今、その報道された逐一の内容について私がそうであるとかないとか申し上げることは差し控えたいと存じます。
  97. 松下新平

    ○松下新平君 まあ、本当は総理がお見えになって直接お伺いしたいんですけれども、それがかないません。で、官房長官も、それは外務省の管轄だからと、外務大臣が答えるということでしたので期待したんですが、なかなか思うような答えがいただけません。  本日、記者会見をそれぞれされていらっしゃると思います。このBSE対策に絡む国内安全基準の見直しを諮問している食品安全委員会について、外務大臣はどのように述べられたんでしょうか。午前中の記者会見の内容です。
  98. 町村信孝

    国務大臣町村信孝君) 済みません。今日の記者会見は何か一杯案件があったもんですから、私、かなり長時間、今日閣議決定をした法案の内容等を含めて記者会見でいろいろ申し上げましたから、この食品安全委員会について、今日閣議で議論になりましたかという御質問がたしか記者団からあって、議論にはなっておりませんというたしかやり取りをした記憶がございます。
  99. 松下新平

    ○松下新平君 私、昼のテレビでちょっと拝見したんですけれども、下に活字が、テロップが出まして、どうもその委員会では、諮問して早くその結論を、その答申を出すようにということをはっきりおっしゃっていらっしゃいました。  そして、このこと、同じことを島村農林水産大臣にもお聞きしたいんですけれども大臣はどのように記者会見されているでしょうか。
  100. 島村宜伸

    国務大臣島村宜伸君) 正確にはその記録を見て御答弁するべきなんですけれども、今突然ですから私の記憶の及ぶ範囲で申し上げますけれども、私は、十月十五日に言わば諮問をいたしまして以来、我々は我々なりに今まで誠意を持って取り組んできた結果でありますから、あとは専門家の皆さんの御判断、これ非常に大事なことでありますから、これを待って対応するということで、まあ言わば、常に対応できる準備をして待ち構えているわけでございます。  それから約五か月が経過いたしておりますから、私がそれについてどうこう言うとまた誤解を受けますので、それは申しませんでしたけれども、やはり、私は強硬にアメリカ側にも反省を求めたりいろいろやってきまして、それをちゃんとアメリカ側も受け入れて、非常に紳士的に終始していますし、どこからも圧力めいたものはありません。となれば、圧力がないから私たちはほっといていいものではなくて、やっぱりお互いの友好関係、お互いの信頼関係というのは、お互いが納得できる、それは結果でなくてですよ、いろんな検討の結果その他については、日本の常識だけでこれを考えていたらまずいと思っております。  例えば、善処します、検討しますというのは日本人が海外で非常に批判を受ける言葉ですよね。やっぱり、そういうことではなくて、我々はあくまで本当にやっているんだということが向こうに理解されることも必要なんだろうと思っていますが、そういう点については、先方極めて紳士的ですし、私の言ったことをちゃんと受け入れてくれているわけですから、それに対しては、私の気持ちも記者の方よくお分かりだと思うので、別に多くのことは申しませんでした。
  101. 松下新平

    ○松下新平君 私も、テレビのテロップでは中立公正という言葉を発せられたと思うんですけれども、ニュース速報をいただきましたら、早急に結論が導かれれば有り難いと述べられたと最新の情報ではなっております。  最後に、食品安全担当の棚橋大臣なんですけれども大臣の所轄される食品安全委員会の、食品安全委員会のほかの閣僚の方が、もっと早くすべきだとかいろいろ言われているんですけれども、それに対して大臣はきっぱりその記者会見の中でどのように答えられたんでしょうか。
  102. 棚橋泰文

    国務大臣(棚橋泰文君) お答えをいたします。  他の閣僚の先生方の御発言については私、詳細を承知しておりませんので、コメントする立場にございませんが、本日の閣議後の記者会見におきまして、済みません、ちょっと記録がないんで細かいことまで正確ではございませんが、要旨を申し上げるならば、私が申し上げましたのは、食品安全委員会、それから先ほど先生がお触れになったプリオン専門調査会、大変実質的で精力的な議論を中立公正な立場から重ねていると思っています。科学的知見に基づいて、この諮問に対して大変しっかりと議論をしていただいているというふうに理解しております、というふうに申し上げたと思っております。
  103. 松下新平

    ○松下新平君 ありがとうございました。  それぞれ御答弁いただきましたけれども是非科学的知見に基づいて、中立公正な立場から、その判断を待ちたいと思っております。  町村外務大臣にこの電話会談についてお伺いしたいんですけれども、このような電話会談ですね、これは小泉総理が就任されてからどのような頻度で行われているんでしょうか。そして、それがどのような意味合いを持つものなのでしょうか。
  104. 町村信孝

    国務大臣町村信孝君) 正確に統計を取っているわけじゃございませんが、かなり数多くの電話会談が行われております。それぞれの首相が、首脳が必要に思ったとき、テーマが当然あって、いろいろな話をされております。もう十数回に及んでいると、こう聞いております。
  105. 松下新平

    ○松下新平君 十数回ということは、この一年間には三、四回という頻度だと思います。  前回の電話が二月三日という報道がありました。今までの、年間に三回から四回ですと、一か月少しでまた電話があったわけですから、相当ブッシュ大統領はもうせっぱ詰まった状況だと予測されます。これは輸入再開の強い働き掛けだったということも容易に想像できます。  そのほかにも裏付けがございます。二月十九日の町村外務大臣とライス国務長官との会談でも、BSE問題が議題となって発表されております。来週、三月十八日は来日の予定もあります。このときも議題になると報道されております。さらに最近、アメリカ上院議会から加藤駐米大使に書簡が届いたとの報道がなされております。  町村大臣は、当然これをごらんになって、総理小泉総理に報告されていると思うんですけれども、いかがでしょうか。
  106. 町村信孝

    国務大臣町村信孝君) 日米間にはいろいろな議論すべき、また解決しなければならない課題がいろいろございます。それは時々刻々変わっていくわけでございます。日米、米軍、在日米軍の再編成の問題もございます。あるいはこの牛肉米国牛肉の輸入の再開問題も、今、日米間ではやはり大きなテーマになっております。それは率直に言って事実でございます。  だからこそ、先般、二月十九日の日米外相会談でもこのことが話題になっておりますし、また今委員指摘米国議員から加藤大使への書簡あるいは米国議会における決議案の提出などなど、やはり彼らもこの問題、実はもっと早く解決するのかと思っていたけれども、随分予想外に時間が掛かるなあというような思いが、それは率直に言ってアメリカ側にあることは事実だろうと思います。  そういうことを踏まえながら、私どももこの問題、適正な方法でやはり解決をしていかなければいけないということでございまして、このことが、先ほど総理発言にもあったように、今極めて良好な関係にあります日米関係に大きな阻害要因になってはならないであろうと、そのための様々な努力が必要であるということを総理が申し上げた、総理ブッシュ大統領に言われた、正にそれはそのとおりだろうと私どももそう思って、今後ともいろいろな外交努力をしていきたいと考えているわけであります。
  107. 松下新平

    ○松下新平君 上院議員の二十名の方から書簡が送付されております。お話しになったとおりですけれども、書簡ですので公表できないところもあるかもしれませんが、その書簡を送られた議員のホームページにはその内容が載っております。かなり強固な姿勢で輸入再開を望むということが書かれているんだろうと思います。また、お触れになりました三月三日の下院議会、対日制裁に言及する決議案、これも英文ですけれども発表されております。これも強い口調で、そして強い意思で決議案が作成されたと理解しております。さらに、アメリカからの報道では、ブッシュ大統領の強力なロビー団体と言われる畜産団体、この一年間の、一年間少しですけれども、損失は日本円で二千億円を超えるという発言もなされていらっしゃいます。  ところで、二月十七日の衆議院予算委員会において、出席された食品安全委員会の寺田委員長はこう述べられています。科学者の議論を大事に進めている、ぼつぼつ答申に向けて意見がまとまるのではないか、意見を完全に集約できなかった場合には少数意見を付記するという形になるのではないかと感じていると。そして、プリオン専門委員会は、二月二十四日には答申案作成に向けた最終的なたたき台を提示する予定と報道されておりましたけれども、その後の島村農林水産大臣の非常識発言、また町村外務大臣食品安全委員会の審議速度ペースいかがなものか発言、これで二月に出されるはずの答申が遅れているとも言われております。  今回の一連のアメリカ側の行動は、その事情が理解できないアメリカ自身がしびれを切らしたものとの見方が一般的ではないでしょうか。もちろんお互い政治家ですし、国同士の交渉でもあるわけですから、様々なことがあるでしょう。しかし、私がこだわるのは、命にかかわることだからです。将来の子供の命が懸かっているのです。  私は地方議会から国会に参りましてまず感じたのは、国会における政治判断が人の命に直接かかわるということです。イラクへの自衛隊派遣決断でも結果として貴重な人材を亡くしておりますし、薬害エイズ問題は情報も十分開示されないままに多くの人命を失いました。最近ではC型肝炎問題も発生しております。お金や物はある程度取り返しが付きますが、命にかかわること、それができないのです。日本政府も過去に幾つかの過ちを犯しております。その教訓が生かされていないことを言っているのです。  私の郷土、九州の宮崎では、五年前に、BSE発生の一年前に口蹄疫が発生いたしました。九十二年ぶりの発生でしたので、それは大騒ぎでした。九十二年ぶりですから、だれも防疫体制をどのようにしていいか知らなかったわけです。結果的には、時間は相当掛かったんですが、生産者、行政、団体が一丸となってこの難局を乗り切ることができました。しかし、ある大規模畜産農家は、当時、日本の畜産を守るためには宮崎の畜産をすべて焼却しても構わないと、そこまで覚悟を決めたんです。  そして、一年後BSEが発生しました。皆さん、連日テレビで足下がふらつくイギリスの乳牛の映像が次々と映像されたことを覚えていらっしゃるでしょう。風評被害もあり、牛肉離れは予想をはるかに超えました。その影響で、今も約千校の小中学校の給食で牛肉が一切使われていないそうです。また、若い獣医が責任を感じ、あやめることもありました。  そこで、当時、失われた信頼を獲得すべく導入されたのが日本スタンダードの世界一厳しい危険部位の除去と全頭検査でした。島村農林水産大臣も当時賛同したと答弁されていらっしゃいますが、これも、やっとの思いで安心、安全をかち取ることができたのです。  アメリカで研究している友人から聞きました。BSEの病原体、異常プリオンを発見し、一九九七年にノーベル生理学・医学賞を受賞したスタンリー・プルシナー教授が米議会に対して牛の全頭検査に消極的な米政府の政策を批判し、日本の安全策を強く支持する発言をしていますし、ほかの世界の権威者からも日本の検査体制は非常に高く評価され、アメリカもそうすべきだとテレビで訴えられているそうです。  先日は、日本で初めて変異型クロイツフェルト・ヤコブ病での死亡も確認されました。国内感染も完全に否定されてはおりません。この分野はまだまだ解明されていないものがたくさんあるわけです。日本の子供たちの健康までアメリカに売り渡そうとしているんだぞと、アメリカで研究している友人は言います。アメリカが悪いとは言いません。真実を国民に伝えないといけないのではないでしょうか。実際にBSEを研究している在米の日本人研究者は、少なくとも日本に帰ってからは牛肉は食べないだろうと言っています。もちろん子供にも食べさせないと。  衆参予算委員会でも再三取り上げてまいりましたBSE、牛肉輸入再開について政府は、建前では一貫して食品安全委員会に諮問し、科学的知見からと発言されています。私は、もちろんこれを守ってほしいのです。しかし、一連の政府の行動を見ると、有形無形の圧力を委員会に与えているのではないかと危惧するのです。委員会の皆さんも、この新聞報道や世論、それに多く心が揺さぶられているのではないでしょうか。  農林水産大臣へ再度お伺いします。  所管される畜産生産農家、あるいは、今農政は消費者重視で力を入れていらっしゃいますが、その皆さんの声を、農林水産大臣、所轄大臣としてどのように表現をされていられるんでしょうか。
  108. 島村宜伸

    国務大臣島村宜伸君) 国内外を問わず、私どもはあくまで消費者の安全、安心、これは生産者にとっても非常に関係の深いことでありますから、私たちはその姿勢を一貫して貫いておるわけでございます。
  109. 松下新平

    ○松下新平君 生産者の皆さん、そして消費者の皆さん、通常は利害が対立する、対立する場合が多いんですけれども、このことに関しては全頭検査をすべきだということが大方の意見だろうと思います。そのことも十分踏まえて、担当大臣として、中立公正も大事ですけれども、その皆さんの意見を十分踏まえて行動していただきたいと思います。  BSEに関しては最後の質問になりますけれども、今回の協議は二国間、アメリカからオファーがあって二国間の協議がずっと進められておりますけれども、申し上げましたように命にかかわり合うことですから、これは世界共通のルール、これを日本が主導して作るというのも大事ではないかと思います。  そこで、厚生労働大臣農林水産大臣に所見をお伺いしたいと思います。まず厚生労働大臣
  110. 尾辻秀久

    国務大臣(尾辻秀久君) 今お尋ねは、世界共通の何かルールを作るべきだというふうにお尋ねなんでしょうか。それとも、我々がどういうふうに対応すべきかというお尋ねでございましょうか。  まず、我々がどういうふうに対応すべきかということでお答えを申し上げますと、いつも申し上げておりますけれども、私どもは、立場はまず基本的に国民の食の安全を守るという立場でありますから、先ほどもお答え申し上げましたように、科学的知見に基づいてそれを実行するということでございます。  もし外国からの輸入ということを考えるということになりますと、当然その私どもがやってる安全基準、これと同等の安全が確認されなければ外国からの輸入はしないと、これがまた私ども考え方であります。で、私どもがどうするかというお尋ねであれば、この答えになります。
  111. 島村宜伸

    国務大臣島村宜伸君) 世界の共通ルールということでございますが、牛肉防疫に係る動物検疫措置に関しては、現在、国際獣疫事務局、いわゆるOIEですね、が作成する国際基準が存在しております。しかしながら、BSEは科学的に未解明な部分が多いし、また次々と新たな知見が加わるなど流動的な要素も多いことから、多くの国は予防的により慎重な検疫措置を取っており、OIE基準が各国に採用されている状況にはないわけであります。  以上のような現状を踏まえまして、国際基準より厳しい措置を取っている我が国としては、輸入牛肉の安全性を確保する上で我が国と同等の措置を輸出国にも対して求めているところでありまして、また、OIEにおける国際基準については、我が国の立場をできるだけ反映させるよう積極的に議論に参加しているというところであります。
  112. 松下新平

    ○松下新平君 この問題は、今後とも引き続き農林水産委員会等で議論を深めてまいりたいと思います。  さて、次の質問に移ります。  総務大臣、お待たせいたしました。私は、九州の宮崎の選出で、地方の行政、議会に携わってまいりました。今、地方は本当に疲弊しております。農山漁村、商店街、中小企業、そんな中でも、今回、地域で厳しい条件の下に活動する消防団にスポットを当てて議論をしてみたいと思います。国の予算規模から見ると小さいことかもしれませんが、あえて今の地方実態の様々の問題点をはらんでいる消防団についてお伺いいたします。  閣僚や委員の皆さんも、正月の消防初め式、夏の操法大会では参加された方もいらっしゃると思います。昨年は相次ぐ台風の襲来によって災害が多発した年でした。ふだんは余り目立ちませんが、被災地で活躍する消防団の姿もクローズアップされました。  そこで、消防団活動にお詳しい、そして理解の深いと言われている麻生総務大臣にその認識をお聞かせいただきたいと思います。
  113. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) 消防団に関する考え方を言うんですか。
  114. 松下新平

    ○松下新平君 はい。
  115. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) 全国三千、今、市町村で二千五百、消防団の数は約三千五百、今、総団員数で九十二万人ぐらいいるところだと思いますが、基本的に、消防団というものはボランティアなんていう片仮名が普及する前から基本的には奉仕という前提に立って成り立ってきた数少ない団体だと、私ども基本的にそういう認識をしております。  したがいまして、各地域に、まだ少子化なんということが進む前は、普通、村の若い人、町の若い人は青年団に入り、その後は消防団に入り、大体それが大人になっていく過程としてしきたりみたいにして通っていった、村の、町の、部落の、その地域の一つのしつけにもなり、基本として長い間支えられてきた伝統なんだと思いますが、私どものおりますところも基本的にはそういった意識がきっちり残っているところなんだと思いますが、そういった意味では、消防団というものの存在というものは、いろんな意味で、防災というだけじゃなくて、いろんな意味で、町のコミュニティーというものの意味においても非常に大きな価値があると思っております、大前提として。  加えて、昨年、国民保護法という法律が通っておりますので、この法律が通ったおかげをもちまして、いろんな意味で、消防団の持っております活躍する場は更に広がったと思っております。その意識が日本海沿岸の選挙区の方の方が、宮崎県、豊後水道よりあっちの方が意識としては高いと思いますけれども、結構深刻です、あちらの方が。  何となくいざというときのことをいろいろ恐らく考えられる感性というものがおありなんだと思いますので、そういった意味では、私どもから見ていろんな感性というものがきちんと磨かれているんだと思いますけれども、今いわゆる退避ということに関しましても、いわゆる日本語のうまい工作員ではないという保証は、ふだんから顔見知りの消防団員の退避、誘導というのは最も安心感を与えるところだと思いますので、そういう面の指導につきましても併せて期待が寄せられているようになってきておりますし、いろんな意味で、地域においては青年が減ってきた分に代わって、今度は伊予松山ではこの四月一日から正式に郵便局員が消防団に編入するという職能別の消防団というのを初めて編成をさせていただいておりますけれども。  いろんな形で消防団の機能というものを有効的に使って、地域の防災、安全、そういったものに更に向上させていく意味におきまして、消防団というものはおっしゃるように余りふだん目に掛けられてないところですけれども、最も大事にすべき組織だと思っております。
  116. 松下新平

    ○松下新平君 全国で九十二万人ということでしたけれども、ちなみに農協青年部といって農協の指導者ですね、大臣、は全国で八万人、それの十倍以上ですね。青年会議所は四万三千人ですから、出身の、その二十倍以上の団員がいるということです。  それでは、我が国の消防団の現状と、これは他国に類するものがあるか分かりませんけれども、諸外国の状況についてお伺いいたします。
  117. 林省吾

    政府参考人(林省吾君) お答えを申し上げます。  我が国の消防団の現状でございますが、先ほど大臣の方からお答えがございましたように、十六年四月現在で約三千五百団、総員約九十二万人を抱える状況になってございます。制度的には消防組織法に基づきます市町村の消防機関の一つでありまして、常備消防の所管の下で活動しておりますが、その構成員であります消防団員の身分は市町村の非常勤の特別職ということになっております。  それから、諸外国の状況でありますが、なかなか、地方制度あるいは消防制度が異なりますので正確な把握ができておりませんが、一、二、お答えをさせていただきます。  アメリカにおきましても義勇消防隊は大変大きな組織となっておりまして、大都市では常備がございますが、市町村を中心に約八十四万人の隊員がいるというふうに聞いております。また、ドイツにおきましては、人口五万人以下の都市では原則非常勤の義勇消防隊が組織されているようでありまして、その数は約百二十万人に上っていると、こういうふうに聞いているところであります。
  118. 松下新平

    ○松下新平君 全国それぞれの地域でも違いますし、また同じ都道府県でも都市部と中山間地では違うわけです。通常は、都市部に常備消防団が、消防本部と消防署があって、中山間地はそれが行き届かない。それを消防団がフォローしているという現実があります。実は、私も地元の消防団に属しております。火災の出動、夜警、捜索、地域の祭り、その職務は多岐にわたっております。  消防団はボランティアの原点と言われる言い方もあるんですけれども、消防団の歴史についてお伺いいたします。
  119. 林省吾

    政府参考人(林省吾君) 消防団の歴史についてのお尋ねでございましたが、遠くさかのぼりますと江戸時代にさかのぼるわけでありますが、町火消しという制度から始まりまして、明治になりまして消防組という形で、特に明治二十七年の消防組織規則におきましては全国的に制度の統一が図られまして、知事が職権をもって設置すべきものというような歴史をたどっております。しかし、昭和になりまして警防団という時代を経、戦後、昭和二十二年になりまして、消防団令の公布によりまして全国の市町村に消防団が組織されることとなっております。さらに、同年、消防が警察から分離独立いたしまして、市町村長と消防長に指揮監督権が与えられるという現在の制度の原型ができております。その後、二十六年の消防組織法の改正によりまして消防機関は義務設置とされる中で、常備又は消防団としての現在の制度が整ってきているものであります。
  120. 松下新平

    ○松下新平君 次に、消防機材の充実についてお伺いいたします。  中山間地では携帯もつながらない、そして無線も何か性能のいいのじゃないと連絡ができないという現状があります。二次災害の心配もあるんですけれども、機材の充実についてお伺いいたします。
  121. 林省吾

    政府参考人(林省吾君) 消防団におきます資機材の充実についてでありますが、申し上げるまでもありませんで、地域防災体制の中核的存在でございますので、その資機材の充実は大変重要な問題だと考えております。  ただ、近年、国民保護法の制定もございまして、消防団が要望をしておられます資機材の内容も多少変化をしてきております。従前は、可搬式ポンプあるいはエンジンカッターなどの救助用資機材あるいは救急用資機材に対する要請が中心でありましたが、近年は、携帯用の無線機あるいは衛星携帯電話などの災害情報伝達機器であるとか、あるいは拡声機、緊急伝達システムなどの避難用の資機材に対する御要望が多くなっております。  このような資機材の整備は大変重要だと考えておりますので、私どももその整備を更に強化するよう努めてまいりたいと考えております。
  122. 松下新平

    ○松下新平君 ありがとうございます。  続きまして、処遇の充実についてお伺いいたします。  その地域によってばらつきはあると思うんですけれども地域によっては制服も自分で購入するという実態もございます。全国的な状況はどうなっているのでしょうか。
  123. 林省吾

    政府参考人(林省吾君) お答え申し上げます。  消防団の皆様は、それぞれの地域で生業をお持ちになりながらボランティアとして貢献していただいているわけでありまして、私ども、その労苦に報いるためにもできるだけ処遇の改善をしたいというふうに考えておりますことをまず申し上げておきたいと思います。  ただ、なかなか十分とはいかないわけでありますが、徐々に処遇の充実を図ってまいっておりまして、もちろん団員報酬、出動手当等の財政上の問題もございますけれども、団拠点などの勤務環境あるいは福利厚生の改善にも努めながら、働きやすい環境づくりを指導して、皆さんが参加していただきやすいような消防団の雰囲気づくりに努めてまいりたいと考えております。
  124. 松下新平

    ○松下新平君 お金の問題ではないんですけれども、その意義から、所得税の免税あるいは年金創設の要望もございますので、また御検討お願いいたします。  さらに、この消防団の最大の課題である団員確保について、そのお取組、よろしくお願いいたします。
  125. 林省吾

    政府参考人(林省吾君) お答えを申し上げます。  団員、地域防災体制の中核として、私ども大変重要な仕事をしていただいていると考えておりますが、しかし、残念ながら最近社会環境の変化等から、その団員が減少傾向にございます。しかし、昨年の災害にかんがみましても、やはり地域の防災力を高めていくためには消防団員の確保は第一に優先すべき重要な課題だと考えておりまして、私ども市町村長さん方に対しまして団員の確保を強く働き掛けているところでございます。  特に、従前のような基本的な、基礎的な消防団員に加えまして周辺部分で活躍していただく消防団員も必要であるとの考え方から、昨年来、先ほど大臣もお触れになりましたけれども、特定の活動のみに参加される機能別の団員であるとか、あるいは機能別の分団制度、こういうものも考えたらどうかとか、また休団制度というようなものも導入いたしまして活動しやすい制度にしたいとかということを考えながら、特に例えば郵便局の職員の方、農協の職員の方、市町村の職員の方、こういう方については優先して参加していただくような働き掛けをいたしているところでございます。そのような成果かも分かりませんけれども、私どもとしては、この低下傾向にできれば歯止めを掛けたいと、このような意気込みでお願いをいたしているところでございます。
  126. 松下新平

    ○松下新平君 女性消防団員についてはいかがでしょうか。
  127. 林省吾

    政府参考人(林省吾君) このような働き掛けの中で、おかげさまで女性消防団員につきましては増加傾向が出てございます。御参考までに申し上げますと、平成十六年十月で、採用団につきましても四十七団増えて千三十九団となっておりますし、団員数も六百九十三人増えまして一万三千五百十六人と、こういうふうに女性消防団員の数は着実に増加をいたしているところでありまして、消防団の任務等を考え、特にその地域密着性に着目をいたしますと、このような女性消防団員の増加には大きな期待を寄せているものでございます。
  128. 松下新平

    ○松下新平君 それでは、市町村合併において消防団員の維持とかが心配されておりますけれども、それはどうなっているでしょうか。
  129. 林省吾

    政府参考人(林省吾君) 市町村合併が進む中で、消防団の在り方につきましてもそれぞれの地域で御議論いただいているようであります。  ただ、私どもといたしましては、地域における防災体制の中核である消防団につきましては、合併のいかんにかかわらず、その規模あるいは体制を引き続き維持し、あるいは増強していただきたいと、こう考えております。  したがいまして、平成十五年の十月でありますけれども地方公共団体あてに通知を差し上げまして、地域の消防防災力を確保する上で必要な団員数を継続又は増加していただきたいという旨、また合併後の団員の処遇につきましても現場で活動する団員の士気の確保に配慮していただきたい、このような旨をまとめましたお願いをいたしているところであります。
  130. 松下新平

    ○松下新平君 それぞれ個別に聞いてまいりましたけれども、ますますこれから消防団の役割というのは重要になってくると思います。  麻生大臣、いいですか。いろいろ細かく聞いてまいりましたけれども、今後の消防団の充実強化に向けた麻生大臣の決意をよろしくお願いいたします。
  131. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) 御存じのように、昨年はいわゆる大災害というのがすごく相次いだのは御存じのとおりでして、特に、ふだん台風は大体本島上陸、約、平均で三つ、多い年で六つ、昨年は十上陸をするなどという、まあ異常気象といや異常気象だったんですが、それに伴いまして大水害等々が起きておりますけれども、いわゆる緊急消防法というのをつくっておいていただいたおかげさまをもって、いわゆる消防庁長官名によって各県所属の消防団が統制されて、ざっと一か所に移動させられるということが非常に迅速性をもってやらせていただけることができるようになりました、おかげで。  極めて救出が安易かつうまくいったというのは、私は非常に大きな役割というものを果たしましたし、例の子供の救出含め、いろいろ消防団というものの価値がいろんな形でクローズアップされたんだと思いますが、あの消防をやっている裏に支えているのが消防団というところでして、消防団に入っておられたらお分かりだと思いますが、消防団がやっている部分というのは、派手なところもあるかもしれませんけれども、実は地味なところで一番支えているというところが一番大きく、ここが余り評価をしていただけないところなんだと思うんですが、少なくとも火事になったり災害になった後の後片付けというのは基本的に消防団なんですよね。そういった意味では私どもは、こういった意味につきましては非常にもっと評価をされるというものがないと、何となく銭金だけの話だとは思わぬのです、私自身は。  そういった意味では、今いろんな形でサラリーマン化が進んでおりますから、その意味では、自営業よりサラリーマンという人の絶対量が多くなってくると、そういう時間に合わせて、その人たちが動ける範囲で、やりたくてもやれないというところが出てきますんで、そういった人たちに合わせて機能別にするとか、いろんな形で、公務員含めまして、消防団に参加しやすい形を組織的につくってやるというのはとても大事だと思って、先ほど松山市の例を引きましたけれども、ああいった形でもスタートをさせていただいておりますが、女性含めて、いろんな意味でこういったもので充実確保をしていかにゃいかぬとかと思っておりますが、先ほど女性消防団員の話も出ましたけれども、火消しの話が漫画になったりテレビになったりしたのもかなり大きく、大きな誘導原因になったことはもう間違いないと思うんですね。  そういった意味では、私どもはこういった意味で、財政措置やら何やら含めまして、いろんな意味で地域活動というものをした人たちに対して表彰する、みんなの前で褒める、首長さんが堂々とその手の話をするということによって自分たちの価値をというようなところまで、きめ細かな配慮が必要なんだと思いますんで、私ども、消防団というのは自分たちが考えているより町に大いに期待されているんだということの自覚をしてもらうようにするため、してもらわにゃいかぬところだと思っていますんで、国会議員になったからといって簡単に消防団を辞めぬで、国会議員は辞めても消防団は辞めないようによろしくお願いします。
  132. 松下新平

    ○松下新平君 なかなかの、現場にはすぐ向かえない事情があります。いろいろありがとうございました。  先日、この予算委員会にJICAの緒方貞子理事長が来られました。静かな語り口からも、日本の国際貢献の必要性をしっかりと述べられました。アフリカでは感染症などで一日六千名の子供たちの命が失われている実態の話がありました。見えざる津波と表現もされました。  私も昨年夏に、参議院ODA調査、視察に行かせていただきました。訪れたタイでは日本の警察組織の国際協力がなされていました。私は、伝統ある日本の消防団システムこそこれからの国際貢献に活躍の場があると思っております。機材などは海外で活用されているそうですが、ソフトの面でも貢献できるのではないかと思うのです。様々な障害があり、答弁にあったような消防団の課題もあるのは承知しておりますが、ボランティア精神の原点に立ち返り、世界に貢献する消防団活動が現実のものとなることを願うものです。  以上で私の質問は終わります。次は、同じ九州の喜納昌吉議員です。どうもありがとうございました。
  133. 中曽根弘文

    委員長中曽根弘文君) 以上で松下新平君の質疑は終了いたしました。(拍手)     ─────────────
  134. 中曽根弘文

    委員長中曽根弘文君) 次に、喜納昌吉君の質疑を行います。喜納昌吉君。
  135. 喜納昌吉

    喜納昌吉君 民主党・新緑風会の喜納昌吉です。  予算案について細かい点まで質問したいところですが、時間が足りませんので、日本と沖縄県の将来にかかわる重要政策について質問したいと思います。  歴史は未来のふるさとです。歴史を味方にしないと我が国に未来はないでしょう。小泉首相と一問一答したいと考え、薩摩藩と琉球の関係までさかのぼって歴史認識をただそうと用意しましたが、首相は出られないようで、次の機会にしたいと思います。よろしくお願いします。  防衛庁長官に、今沖縄にとって最大の関心事は、自衛隊も絡む在日米軍の再編、すなわちトランスフォーメーションです。在日米軍専用施設面積の七五%が沖縄に置かれているのは差別政策ではないかというのが沖縄県民の大方の不満でした。戦後六十年間、幾ら訴えても取り合ってくれなかったのに、今度のトランスフォーメーションによって米軍基地の対応が大きく揺れ出しました。やっと日本政府が本腰を入れて基地問題に取り組んできたと県民は期待しております。ところが、政府内での基地再編の全体的構想は明らかにされていません。  質問します。再編についての日米間の協定はどこまで進んでいるんでしょうか。日本政府の全国的基地廃止の計画はどこまで詰められているのか、大野防衛庁長官にお答えお願いします。
  136. 大野功統

    国務大臣大野功統君) 沖縄の米軍施設・区域は米軍施設、全国の米軍施設の七五%を占めている、大変大きな負担を沖縄の皆様は背負っておられるわけでございます。九六年にSACO最終合意をいたしました。このSACO最終合意を達成した年でも七〇%ということでございます。  なお、負担というのは数字で表れる面積とかそういうものだけではありません。やっぱり騒音とか不安とか、こういう数字に表せないようなものも我々は負担というふうに考えております。  今回の米軍の再編成でございますけれども喜納先生よく御存じのとおり、我々はまず安全保障環境を踏まえた上で、共通の戦略目標を先ほど二月十九日の2プラス2で合意をいたしました。今後は、言わば日米両方の役割分担とか、それから力とか、あるいは基地の共通、共同使用とか、こういう問題を踏まえてそれぞれの問題を解決していきたい、こういうことで来週の前半にはワシントンで審議官級の協議を行ってお互いの役割、任務分担等を考え、そして同時に、なるべく早い時期に地域、区域・施設等の問題を解決していきたい、言わば三段構えの解決策を考えているわけでございます。  それぞれの基地の問題について我々は説明責任を持っておりますから、一定の方向性が出ればその段階で地元の皆様にも御協議、意見調整をしていかなきゃいけないし、それからそういう方向性も出させていただかなきゃいけませんけれども、まだまだその段階に至っておりません。そのことはどうぞお許しをいただきたいと思います。  そういうことで、我々は常にアメリカ側と協議する場合には沖縄を始めとする日本の負担を軽減するんだ、それからもう一つは、在日米軍の抑止力を維持するんだ、こういうことを言い続けて協議に真剣に臨んでおるところでございます。
  137. 喜納昌吉

    喜納昌吉君 最近の新聞で、キャンプ・キンザーが返されるとか、それから辺野古が造れないだろうとか、いろんな形で変化があるんですね。大体そのことは我々の中では情報で知っていましたから、さほど驚きはないんですけれどもね。長官、普天間基地は返還されるでしょうか。よろしくお願いします。
  138. 大野功統

    国務大臣大野功統君) たしか一九九六年だったと思いますけれども、申し訳ございません、はっきりした数字を申し上げられないのは、ちょっと事前に御質問がなかったものですから、事前通告なかったものですから、間違っていれば後で議事録で訂正させていただきますけれども、橋本・モンデールによりまして、会談によりまして普天間の返還が合意されております。その後、いろんな協議を経て、最終的に普天間を返還して、そしてその代替施設として、沖縄の知事さんあるいは名護市の市長さんの御了解もいただきながら、この辺野古という選択が決まったわけでございます。  そういう意味で、普天間は返すということは方向ではっきりしている。しかし、その代替施設ができない限りこの問題はすぐというわけにはいけない、こういう状態が今の普天間の飛行場の問題でございます。
  139. 中曽根弘文

    委員長中曽根弘文君) ちょっと待ってください。  喜納昌吉君、どうぞ。
  140. 喜納昌吉

    喜納昌吉君 失礼しました。  いつも、今2プラス2では透明性なんかもよくうたわれているんですけれども、沖縄が地位協定のことを考えたときに、いつも増補版であるとか、信用できないものがあるからね、不透明性がたくさんあり過ぎて困るんですけれどもね。  今、最近の情報では、キャンプ・キンザーは返して辺野古には造らない、キャンプ・シュワブ、キャンプ・ハンセンは自衛隊に肩代わりして、普天間は閉鎖そして残すという、そして那覇飛行場は平行滑走路を造る、そして、なるべくならば米軍、米側としては下地空港が欲しいんだという、飛び交っていますけれども長官、この辺の情報はどう思います。
  141. 大野功統

    国務大臣大野功統君) いろいろ情報が報道によって飛び交っていることは私も承知いたしておりますけれども、政府間の協議はこれからでございます。そういう意味で、どういうふうに思うかと言われても、私は回答に苦しむわけでございます。
  142. 喜納昌吉

    喜納昌吉君 すぐ呼んでいいですか。
  143. 中曽根弘文

    委員長中曽根弘文君) どうぞ。
  144. 喜納昌吉

    喜納昌吉君 委員長という言葉を出さぬといかぬですか。
  145. 中曽根弘文

    委員長中曽根弘文君) どうぞ質問してください。
  146. 喜納昌吉

    喜納昌吉君 それじゃ、去る九日のニュース映像で、大野防衛庁長官の座間への米軍司令部の移転はお断りするかもしれないという発言を聞きました。いかなる理由でそう発言されたか分かりませんが、もし事実なら大変すばらしい決断だと思います。  昨年八月十三日、私も在籍したことのある宜野湾市の沖縄国際大学に米軍ヘリコプターが墜落したことを思い出してください。事故後の米軍の対応の本質は日本の主権にかかわる問題でした。私は、事を荒立てることが必ず、必ずしも真実を探求することだと思っていませんが、今回の事故を座間に当てはめてみてください。  現在、中国の弾道ミサイルが百基以上、日本、沖縄、台湾へ配備されつつあるといいます。また、北朝鮮も核保有を宣言しました。座間に米軍司令部があるということは、仮に朝鮮半島や中台関係に異変が起きたとき、中国と北朝鮮のミサイルがそこに向けられることを意味する、になると思います。普天間基地も、市街地の真ん中にあるからこそ危険がより大きかったのです。米軍司令部が首都圏にあるということは、関東地方がターゲットになり、未曾有の被害が及ぶと推察できます。また、他国の軍隊が首都圏にあるということは日本の主権にもかかわります。  大野防衛庁長官、有事が発生したときに、あなたはアメリカのボタンに理性を与えることができますか、それともできませんか。あなたがこのような事実を知って今回、座間移転をお断りすると発言したならば、その心こそが日本の国益に今求められる財産になるでしょう。  質問します。大野防衛庁長官、座間への陸軍、米陸軍司令部の移転を断れますか。真に対等で望ましい日米同盟安保を打ち立てるためにも勇気あるお答えをお願いします。よろしくお願いします。
  147. 大野功統

    国務大臣大野功統君) 座間への米軍の司令部の移転ということは報道でうわさということでそういうことが出ているわけでございまして、いまだ確固たることは申し上げるわけには、申し上げることはできません。  で、私が申し上げましたのは、米軍の司令部が日本へ来て、その司令、どういう形で司令という仕事をやるのか。それと極東の範囲がどう整合性が保てるか。もし整合性が保たれなければお断りするということになろうかと、こういうような意味で申し上げているわけでございます。  したがいまして、これから先この司令部機能がどのようになっていくか、これによって判断をしていく、このように思っております。
  148. 中曽根弘文

    委員長中曽根弘文君) ちょっと速記止めてください。    〔速記中止〕
  149. 中曽根弘文

    委員長中曽根弘文君) どうぞ速記を起こしてください。
  150. 喜納昌吉

    喜納昌吉君 整合性という話があったんですけれども、その辺が非常に困ったような感じがしましてね。  私は、今日、今朝の新聞を見ると、小泉首相は無理だろうと、辺野古の基地は、無理だろうということは大体推察できるんですね。なぜかといいますと、大体アメリカのこの今後の、このまあ何というかな、その極東に対する戦略というのは、私の計算でいくと、北京オリンピック、それから上海万博、このバブルが崩壊したときに中台戦争の有事が起こるんではないかというものを想定しているように感じるんですね。だから、辺野古というものはそれまでに間に合わないから、緊急に使える島じゃないかということがうかがえるんですね。  そういう観点から見ても、私はやはり首都圏に司令部を置くことは反対と思いますけれども長官、よろしくお願いします。
  151. 大野功統

    国務大臣大野功統君) すべてこれから協議でどういう問題が出てくるのか、これを十分検討しなければならない、このように思っております。
  152. 喜納昌吉

    喜納昌吉君 勇気を持ってアメリカに挑んでほしいですね。よろしくお願いします。  防衛庁は、以前の北朝鮮敵視論に続けて、今は中台間の緊張を問題にし、米軍再編に便乗して戦力強化を図ろうとしているかに見受けられます。防衛庁は、次期中期防、二〇〇五年から二〇〇九年の予算要求額を二十五兆五千億円とはじき、現中期防、二〇〇一年から二〇〇五年の予算額が二十五兆円余りですから、二〇〇〇年以降十年間で五十兆を超える巨額の資金を軍備に注ぎ込もうとしているわけです。  日本は、米軍主導のミサイル防衛システム参加を決めています。ところが、これは、一九八〇年代にレーガン米政権が発案しながら結局はお蔵入りした計画です。米軍は現在宇宙兵器としてレーザー兵器を開発している時代です。カナダは賢明にもMD参加を拒否しましたが、日本は命中するか否か効果の定かでないMDを買わされようとしているかに見受けられます。  質問します。  MD計画は防衛上無意味だと判断されたら直ちに予算執行を打ち切る決断をしなければなりませんが、その覚悟はありますか。
  153. 中曽根弘文

  154. 大野功統

    国務大臣大野功統君) 大野功統と申します。  BMDのシステムが有効かどうか、こういう問題かと存じます。  BMDというのは、喜納先生御存じのとおり、今回導入を図ろうとしているのは二重層でございます。例えば近隣諸国から、近隣国から、BMD、ミサイルが撃ち出される。初めのうちは百キロ程度ですが、これはブースト段階であり、大気へ、そのミサイルがブーストから出ますと、大体、大体というか、はっきりとこのミサイルは日本の領域にやってくると、これが確認されるわけでございます。したがいまして、それをどのようにしてミッドコース、大気圏内で撃ち落とすか、これは今、アメリカでも実験いたしておりますけれども、七回やって六回成功していると、こういう実験データでございます。それから、それがイージス艦のシステムですね。  それから、その後、ターミナルコースへやってきますと、高度十数キロのところで今度は迎撃して撃ち落とす、これがPAC3、パトリオットPAC3、陸上部隊が持っているわけでございますが、この方もかなりの確率で撃ち落とせると、こういうことでございます。  したがって、極めて有効でございます、有効でないものを導入するなんてことはあり得ませんので。我々は、官房長官談話のように高度の、高度の確率を持ったシステムである、そしてこれが国民の皆様に安心と安全を届けられる唯一で、本当に専守防衛的で、防衛的な、そしてまたほかに代替手段のない、こういうものである、このように確信しております。  ちなみに、某新聞社の世論調査によりますと、このミサイル防衛についてはイエスとお答えになったのが六七%、こういうふうに記憶いたしております。
  155. 喜納昌吉

    喜納昌吉君 敵国にミサイルを撃ち落とす、敵国からミサイルが来るならばそれは必然的にそういうものは必要だろうと思いますけれども、しかし私は、このMDよりももっと敵国にミサイルを落とせるものがあると思っています。それは外交だと思っています。是非大野防衛庁長官、はやらず焦らず、もっと日本の外交というものを力を付けて外務大臣に期待をしてください。よろしくお願いします。
  156. 中曽根弘文

    委員長中曽根弘文君) 質問ですか。
  157. 喜納昌吉

    喜納昌吉君 ああ、ごめんなさい。もうちょい、ああ、そうそう。失礼しました。そのまま行かせてください。  宇宙議員連盟に参加したとき、私が気になったことを述べます。アメリカと日本、ヨーロッパによる宇宙共同開発事業が始まるという話がありました。そこで、中国が参加しますかとの問いに、武器輸出三原則に抵触するから参加しないという答えでした。また、日本はステーションにも物を運ぶだけの役割をする技術参加だけと聞きました。  東西冷戦のとき、鉄のカーテンと呼ばれる時代がありましたが、そして今、シーレーン構想、新ガイドライン、トランスフォーメーションとつながる日米同盟の共通の戦略目標とは、宇宙平和利用の名の下に行われる宇宙戦略構想であり、平和の名をかりたアメリカの全球化の野心であるようにも思われるものがあるんですね。  そこで質問します。  そのことは日本がアメリカの軍産複合体に組み込まれる危険をはらんでいると思いますが、長官の見解をお答えください。
  158. 大野功統

    国務大臣大野功統君) 質問の趣旨をちょっと私理解しかねますんで、もう一度、済みませんが、お願いいたします。
  159. 喜納昌吉

    喜納昌吉君 御質問、はい。  何というんですかね、高度日本の技術が私はやはり、宇宙攻撃でもいいですが、あらゆる技術が僕はやはり地球を破壊するような技術に使われていくことが非常に懸念にしているんですね。日本は大和の国と言われています、和の国、平和をつくる役割を持っている私は民族と思っていますから、是非日本からこの技術の、戦争の方に使われない方向に使ってほしいという気持ちがあるんですね。だから、私は、そのアメリカの軍産複合体に対して物を言うぐらいの日米同盟というものを結んでほしいなというところを質問しているんです。よろしくお願いします。
  160. 大野功統

    国務大臣大野功統君) 私も、この技術が戦争とか脅威とかそういうものの種になってはいけない、このことはもう信念として持っております。ただし、国を守る、国民の生命、財産を守るということになりますと、やはり防衛という問題は真剣に考えていかなきゃいけない。  しかしながら、今回の新しい防衛大綱におきまして、喜納先生十分御存じのとおり、一つは厳しい経済財政事情の中でめり張り付けた多機能、弾力的、実効性のある装備をつくっていこう、こういう問題が一つと、それから先生正に御指摘なさいましたように、日本が国際的な世界の安全保障環境を良くしていく、改善していく、そのために頑張ろうじゃないか、こういうことが一つ大きな問題点になっているわけでございます。  その一つの例として私はいつも申し上げておりますけれども、イラク・サマワに出ております、派遣されております自衛隊の諸君、本当に厳しい環境の中でございますけれども、やっている仕事、やっている仕事、活動は地元のサマワの人々に本当に共感を持って迎え入れられておる。正に、これが共感を呼び起こして、そしてイラクと日本との永遠の友好のきずなになっていくんじゃないか。サマワの前の暫定市評議会の議長でございますが、自衛隊というのは東アジアから平和と安全を持ってきてくれる平和のハトである、こういうふうにも言っておるわけでございます。  そのようなソフトパワーとでも申しましょうか、これが非常に大事な時代になってきた。あるいは、インドネシアの津波災害の救援に参りました。このことは現地で本当に評価されている。こういう仕事が、自衛隊の仕事が本当に世界の平和のため、復興のために大事になってきているなと。  しかしながら、一方においては、やっぱり、もし攻められたら座して死を待つのか、こういう問題があります。私は、そういう面はきちっとする、そしてまた平和環境を良くしていく、安全保障環境を良くしていく、これがこれから大事な問題だな、という意味では、防衛と外交との境目がだんだんだんだんなくなってきているんじゃないか、こういう印象を持っております。
  161. 喜納昌吉

    喜納昌吉君 僕はとっても、大野防衛庁長官の話聞くと、やはり日本人というのはいい日本人だなと思うんですね、どっかでね。  やはり同盟というものを我々はよく注意しなくちゃいけないと思うんですね。なぜかといいますと、かつてはイラクとアメリカは同盟だったんですね。そして、イラクとイランは戦争をして、その後、湾岸戦争が起きて今日の状態があるんですね。だから、私はアメリカが嫌いという意味ではないですよ。私はアメリカから自分の哲学や思想や自分の生き方を学んでいますから、とってもアメリカ愛しているんです。だから言うんです、アメリカに対してね。  一つ、同盟ということを考えたときに、何というんですかね、もう一つ、何というんですかね、まあ、それはすばらしいね、このね。私は、人道支援のことも分かりますよ、自衛隊さんのね。自衛隊さんが本当に人一人も殺さず、人一人も死なないで帰ってくることを私は願っています。この辺をよく注意しておいてください。お願いします。  もう一つ、日本民族の精神のトラウマは、あっ、これ失礼します、これは外務大臣に。いいですか、そのままで。そのままでいいですか。  日本民族の精神のトラウマは、一八五三年に浦賀に来航したペリーの砲艦外交による文明開化のショックによって始まりました。幾多の戦争を積み重ねた末、第二次世界大戦で敗北し、GHQと米国務省の双頭体制によって占領政策が行われました。このペリー・トラウマとマッカーサー・トラウマの呪縛から解放されない限り、日本の真の独立は果たせないと私は考えています。  私は、一九九八年に、黒船ならぬ白船を沖縄、日本から米国に派遣し、平和開花を実現させようと試みました。この発想は、二十一世紀に向けて真正な平和友好関係を日米両国民間に築くという理想から生まれました。白船計画は、黒船の呪縛を解き、軍事に対しては非軍事の立場を鮮明に打ち出すことでした。私がかねがね呼び掛けてきたすべての武器を楽器にという思想は、白船に象徴される逆転の発想に立ち、非軍事の生き方を強調するものです。その原点は、日本国憲法の前文を理念とし、九条を核としたものです。  さて、今回の日米2プラス2の合意報告を読みました。台湾海峡問題の平和的解決など、アジア太平洋地域の戦略目標や世界における戦略目標を日米の共通の戦略目標として定めてしまったわけですが、今後、日米同盟が際限なく世界各地に進出していくのか、懸念と警戒心を抱かずにはいられません。  防衛庁長官若しくは外務大臣質問します。まあ、外務大臣がいいんじゃないでしょうかな。一体どんな歯止めがあるのか、お答えください。  予備質問、あっ、ごめんなさいね。ちょっと失礼しました。失礼、失礼、失礼、たまにで上がってしまって。失礼します。
  162. 町村信孝

    国務大臣町村信孝君) 際限なく日米同盟というものが、特に軍事的な意味で世界に拡散をしていくのではないか、そのことが大変心配であるという御指摘かと受け止めました。  二月十九日に日米間で合意をいたしました共通戦略目標、これはいろいろな議論のプロセスを経ながら、同じ共通認識に至るものをあそこに書いたわけでございます。  その中には、確かにこのアジアあるいはアジア太平洋地域にかかわる問題もありますし、世界の例えばテロの問題でありますとか、あるいは核の拡散の問題でありますとか、そうした安全保障環境の大きな変化にかかわるそうした世界共通の問題がありました。これらについてすべて日米で全部一緒にやるということではございません。まずそれぞれの国がそれぞれのやれる範囲日本日本としてやれることがあるだろうし、アメリカは多分日本よりもより大きな世界的な役割を果たす部分があるだろうと思います。  それから、日米安保という形で、安保条約に基づいて、特にこの極東の平和と安全を維持するための様々な活動がこれは共同であるだろうと。  それから、もうちょっと幅広く考えて、例えばアフガニスタンでありますとかあるいはイラクといったような問題については、これは法案を別途作って、そしてこれはもちろん日米ということがベースにはありますけれども、それぞれアフガンのテロ対策でありイラクの人道復興支援と。そこにはやはり広い意味の日米の同盟という関係があって、ある意味ではそういうことが展開できているという部分があろうと思います。  したがって、あそこの共通戦略目標に書いてあるすべてのことについて、日米同盟で全部、軍事的行動を含めて全部一緒にやりますということをあの文書が意味しているのではないというふうに御理解を賜ればと思います。
  163. 喜納昌吉

    喜納昌吉君 まあ、お言葉から少し安心しました。それでは断れると。アイデンティティーを含んでいるということですよね。これはしっかり成長させてください。  質問します。  将来、中台戦、紛争が起き、在日米軍が介入する場合、日米地位協定、日米地位協定上の事前協定が必要か否か、外務大臣、お聞かせください。
  164. 町村信孝

    国務大臣町村信孝君) これは、台湾海峡をめぐる問題についての対話を通じた平和的な解決を図ろうということは、地域の平和と安定の観点からも両国の関心事であるということが先般の2プラス2でも確認をされ、実はずっと前からこのことは共通の確認事項でございます。  したがって、私ども、日米ともにこの平和的解決を目指しているということでございます以上、中台間で武力紛争が起き、そして在日米軍が行動を起こすという事態を想定して、今ここで仮定の御質問にお答えすることは差し控えるのが適当であろうと考えております。
  165. 喜納昌吉

    喜納昌吉君 差し控えるという言葉があったんですが、この辺は非常に御苦労なさっていることを私は分かりますけれども、しかし、この辺にこそ日米同盟の真骨頂がありますから、もっと力を、勇気と力を出してください。  もう一つ、質問を変えます。  日米同盟をバランスシートに例えたら、パートナーシップとしてのバランスは取れていますか、外務大臣
  166. 町村信孝

    国務大臣町村信孝君) 日米関係、今、2プラス2という形でかなり安全保障に特化した議論になっております。しかし、日米の関係というのは、この安全保障問題だけではないのは委員よく御承知のとおりでございまして、幅広い経済的なつながりもあります、人的な交流、文化的な交流、非常にいろいろな重層的な関係が成り立っておりますので、ある部分をとらえてこれでバランスが取れているかいないかという関係にはなかなかないんだろうと私は考えております。  そして、私は、日米関係の今後を考えたときにとても大切になってくるのは、もちろん基礎として日米同盟がしっかりしているということは私は今後ともに重要であると思いますのは、やはりそこは日米両国が同じ価値観を有し、同じ言わば経済体制を持ちという部分がやはり日米の基礎になっているということであろうかと思いますので、やっぱりその基礎になる部分というのは大切にしながら、やはりあとはそれぞれの国でそれぞれまたやる役割もあるし、一緒にやることもあるということであろうと思いまして、なかなかちょっと委員のとても高度な御質問に私も今うまくお答えをする能力がないことで申し訳なく思いますが、どちらか一方が重いとか軽いとかいう関係ではない、やはりそれぞれの分野で日米がバランスが取れたような形がいいのであろうなと、こう思っております。
  167. 喜納昌吉

    喜納昌吉君 大変な、分かるような分からぬようなお答えだったんですけれども。  やっぱりそれは、バランスというのは、基礎というのはバランスに基づきますから、是非この辺お忘れなく。  沖縄復帰当時、佐藤首相は核抜き本土並みを約束しましたが、佐藤首相の密使として渡米し交渉に当たった若泉敬氏は、一九九四年五月に出版した「他策ナカリシヲ信ゼムト欲ス」で、日本側は米軍による緊急時の再核、核再持込みの密約をのまざるを得なくなり、返還時の核兵器撤去合意の裏で日米両首脳が再持込みの秘密合意議事録を取り交わしていたことを暴露しました。2プラス2では、地域の共通の戦略目標で中国の軍事分野での透明性向上とうたっていますが、中国に透明性を要求するならばあらゆる国にも平等に透明性を要求するのが真の外交だと思います。中台危機の米軍再編が進む中、密約のあった再、核再持込みが行われたのか。あるいは、緊急時には核が持ち込まれるか。米軍基地の透明性もチェックすることが必要であると思います。  質問します。町村外務大臣は、中国にも要求するようにアメリカにも透明性向上を要求することができますか。また、嘉手納基地などの在日米軍基地にIAEAなどの核査察を要請するなどの行動を取れますか。よろしくお願いします。
  168. 町村信孝

    国務大臣町村信孝君) 核兵器の日本への持込みといったようないわゆる非核三原則問題については、これは従前からお答えをしているとおりに、事前協議がない以上そういうことはないということでございましょう。  中国の透明性の問題が、今委員お触れになりました。確かに、つい先日も国防白書というものを中国は発表をしているところでありますけれども、その中身を見ると、主要な装備でありますとかあるいはどういう兵力があるかとかいうようなことについて具体に触れておりません。別途、ミリタリーバランス等によって我々は一定の推測ができるわけでありますけれども、自ら主要装備品の保有状況でありますとかあるいは防衛整備の方向でありますとかあるいは調達の計画などについて、一切触れるところがございません。  それと比べますと、例えば日本はもうあらかたのことがもう極めて透明でございまして、こんなに透明でいいのかと一瞬思ってしまうほど極めて透明度が高い我が国自衛隊の現状だと思いますが、米国につきましても国防報告というものを毎年出しておりまして、ここの中ではかなりのことが載せられております。主要装備品の保有数も、すべてかどうか分かりませんが、かなり出されておりますし、陸海空それぞれのホームページでも公表をされている等々、その透明度においてはやはり私は相当の差があるのではないか。  そういう意味で、中国にもまたアメリカにも、それは必要なことであれば透明度を要求していくというのは、それは当然のことであろうと考えております。
  169. 喜納昌吉

    喜納昌吉君 透明度はもう我が国の方があるということを言っていますけれども、透明度が行き過ぎても透明人間になって見えなくなってしまいますから。  是非、IAEAを、査察しますか、これは答えてください。
  170. 町村信孝

    国務大臣町村信孝君) IAEAに関しては、例えば日本はもうここ三十年この方、もう完璧なる、ありとあらゆる応答といいましょうか、照会に対する回答をやっている。そのことが、日本が、中には日本も核兵器を作るのではあるまいかといったような、そういう大胆な議論をされる方もいらっしゃいますが、事IAEAに関して、あるいは国際社会に対して、日本はそういう意味で誠に透明なる対応を、透明なる対応というか、きちんとした対応をしているという意味で、私はそういう意味で日本はIAEAとの関係でいえば誠に優等生。そこが私は非常に日本という国に対する信頼感を生んでいる一つの大きな要素なのではなかろうかと、こう考えております。
  171. 喜納昌吉

    喜納昌吉君 基地内ということですね、今ね。だから、私は、透明人間になると見えなくなるから、透明透明と言ってもね、これジョーク言っているんですけれどもね。ひとつこの辺を明確に答えてください。
  172. 町村信孝

    国務大臣町村信孝君) 米軍基地とIAEAの関係いかんと、こういう御質問でございますが、IAEAについては、今言われたような軍備の関係についてIAEAが例えば米軍に対して査察をする権利があるかというと、私の理解がもしかしたら間違っているかもしれませんが、それは多分ないんだろうと思います。あくまでもIAEAは核の平和利用という観点からの所要の査察等々が行われるということであります。  ただ、そこで、要するに申告もないまま核開発をやっているのではないかとか、あるいはそもそも核は不拡散ということになっております。ただ、中には、実際脱退したかどうかは別にして、NPTから北朝鮮はもう既に脱退してしまっていると自ら称している国もあったりするので、そこは様々でございますけれども、今委員が言われた沖縄の米軍基地におけるIAEAの査察という話というのは、私はいまだかつてそういう問題がIAEAで話題になった、議題になったこともなかろうと、こう思いますし、それは多分IAEAとしてできることではない、権限外の話ではなかろうかと、こう理解をしております。
  173. 喜納昌吉

    喜納昌吉君 世界、我々は、世界に民主主義を広げるということ、それから平等というものを、理念としては日米同盟があると思うんですけれども、やはりどっちに対してもこの平等な政策が行われるような我々は世界を打ち立てなくちゃいけないと思っているんですね。この質問、そこで終わります。  日米の同盟関係は堅固と見られていますが、政策対話の範囲が狭い上、中国経済の急速な台頭によって日米連帯に圧力が掛かっており、同盟関係強化のエネルギー問題についてなどの二国間対話を実施し、より広い範囲で相互理解を深める必要があると指摘されています。  エネルギーに関しては、中東問題において将来的に生じる国益の違いこそが、日米間のエネルギー対話を更に深めるべき根本的理由であると言われています。  エネルギー自給率六六%のアメリカに対して、四%にとどまる日本は、エネルギー安全保障に対する観点が全く異なると言えるでしょう。東シナ海における中国における資源開発で日本側が主張する排他的経済水域及び大陸棚にまたがっているおそれがある問題も含めて、更に広範な日米のエネルギー対話を復活させる重要性は極めて明白だと思います。  外務大臣質問します。日米のエネルギー安全保障についてのお考えをお聞かせください。
  174. 町村信孝

    国務大臣町村信孝君) 日米でこのエネルギーの問題をどのように考えているのかというお問い合わせかと思います。  まず、日本としては、必要な輸入先、供給源を確保すると。でき得べくんば、できるだけ自主開発でやっていきたいという気持ちもあってやってまいりました。正直言って、そう大きな成果が上がっているというわけではございません。  しかし、どうしてもこの中東に一極集中型になっておりますので、できるだけこれを多様化していくという意味から、昨今でございますと、例えばロシアの資源開発に協力をしていくといったようなことも、サハリンの石油あるいは天然ガスの開発といったようなことも含めて鋭意取り組んでいるところでございます。  また、安全保障、新、エネルギーの安全保障という場合に、やっぱりそれの供給面で、失礼しました、その需要面での取組というものも重要だろうと思います。  今、中国のことにお触れになりましたが、今やもう大エネルギー消費国でございまして、大変な勢いでエネルギー消費が増えてきております。十二億の民でございますと、一人一リットル余計に使うだけで十二億リットル余計に石油が掛かってしまうというようなことでございましょうから、これは大変なことでございまして、いかにこのエネルギーの伸びを抑制をする努力を、これは日中共同で、あるいは省エネルギーといったようなことも含めてやらなければいけないんだろうと思います。  アメリカとの関係でいいますと、大分そこは日本と違いがそれはおのずとあるわけであります。彼らはやっぱり自らのエネルギー企業の大変な強さというものもありますし、自前の資源もまた持っていると、自前で開発した石油等々もある。他方、原発の方はスリーマイルアイランドの失敗以来ほとんどやっていないわけでございますが、日本は原発でやっている、エネルギー構造も違うというような違いがあると思いますが、いずれにしても、これはIEAの、国際エネルギー機関等の場でそうした諸外国とも協調してしっかり取り組む必要があるんだろうと思います。  なお、東シナ海における日中間の境界画定の現状がどうなっておりますかというお問い合わせでございました。  この日中間で、東シナ海の排他的経済水域につきましては、これまで両国間で境界は画定をしていないのが現在の姿でございますけれども日本としては、公平な解決を達成するためには中間線で東シナ海における海洋の境界を画定すべきという一貫した主張をしているところでございます。  また、この文脈では、日本の固有の領土であります尖閣諸島につきましては、これは我が国の領海基線の一部を構成して排他的経済水域を有しているということも、これも既に何度も申し上げているところであります。  現在、この問題について両国で話合いを行おうということで、昨年の十月に東シナ海に関する日中協議、第一回目の会合がありまして、そこで日本側の主張を明確にいたしました。ただ、依然として大きなまだ隔たりがあるということでございますので、本年のできるだけ早い機会に第二回目のこの協議を開いて、東シナ海の境界を画定すべく努力をしてまいりたいと考えているところでございます。
  175. 喜納昌吉

    喜納昌吉君 まあエネルギー問題は非常に重要な問題と思いますので、是非米国とも深い対応をやってほしいと思います。  それから、まあ中国との関係になるんですけれども、国連海洋法の条文を見ると、二百海里の権利よりも大陸棚の権利の方が優先すると書かれており、国際司法裁判所の中で争った場合、東シナ海における日中の境界線の問題は中国が有利になると言われていますが、大臣、これに対する見解をお答えください。
  176. 町村信孝

    国務大臣町村信孝君) この点については、先ほど申し上げましたように、日中間で意見の隔たりがあることは事実でございます。私どもは私どもの主張に十二分の根拠があると、こう考えて、したがいまして大変強く主張をしているところでございます。  そういう観点から、中国が日中間の中間線付近で今行っております資源開発があるわけでございまして、その設定された鉱区あるいは地下の構造というものが日中中間線の日本側水域にはみ出しているおそれがあるということで、私どもとしては日本の権益というものが侵害されるおそれがあるということを先般先方に伝えておりますし、もっとしっかりとした情報提供をするように求めると同時に、日本側もこれは経済産業省がイニシアチブを取って物理探査を実施をしているという状況にあるわけでございます。  いずれにいたしましても、この問題については、先ほど申し上げたように、両国で引き続き話合いをして問題を解決していきたいと、かように考えております。
  177. 喜納昌吉

    喜納昌吉君 中国との問題はいいんですけれども、これ、国際法上との対応をどうしていくんですか、国際法上のこの問題は、解決は。それを聞きたいんです。
  178. 町村信孝

    国務大臣町村信孝君) 国際司法裁判所でこの問題を取り上げるには、やはりその両国が国際司法裁判所にゆだねるという合意がないと、これは一般論でございますよ、一般論としては、両国が司法裁判所の判断にゆだねるということで合意したときに初めて司法裁判所が動くというメカニズムになっておりますので、一方的に日本がこれを持っていっても、例えば相手の国、中国であれどこであれ、じゃ司法裁判所に行きましょうということで合意がないと、これ司法裁判所そのものが活用できないというか、その場として使うことができないという問題がそもそもあるんだということを御理解賜りたいと思います。
  179. 喜納昌吉

    喜納昌吉君 私が言っていることは、事実として、国際法にそういうのが明記されていることはもう過去の問題ですからね。それを今からああだこうだ、話がちょっとずれるんですけれども、これは今までの国際協調という路線と日米同盟というものは、アメリカだけに一極集中主義にし過ぎているというこの体質がこの場面でも表れているんではないかと僕は懸念しているんですよ、これ。どう思います。  分からなかったですか。
  180. 町村信孝

    国務大臣町村信孝君) ちょっと恐縮です、もう一度、(発言する者あり)ああ、今のあの……。  この大陸棚に関するお問い合わせでありますれば、日中間は一つの大陸棚を挟んでいるということでございまして、沖縄トラフと呼んでおりますけれども、この海底の地質的、地形的特徴において大陸棚の外縁に相当するものではないというのが日本側の主張であります。  また、国際判例において、相対する国、例えば中国の領海基線間の距離が四百海里未満である場合には、大陸棚の権限というものは領海基線間の距離に依拠し、地質的、地形的な要素は権限には関係がないという、こういう判断が示されております。国連海洋法条約上、日中間にはこのような相対国間の距離が四百海里未満の水域において境界を画定するに当たって海底地形に法的な意味はないと、大陸棚というのは意味がないんだと、こういう私どもは立場で、中国側はそれとは違う立場を取っているということでございます。
  181. 喜納昌吉

    喜納昌吉君 是非、私は中国の味方でもないですから、頑張ってくださいよ、本当に。尖閣列島は、私個人から言えば私どものものだと思っているんですけれども、沖縄の。この辺はジョークで聞いておいてください。  次は、財務大臣に聞きたいと思います。  日本の財政問題はこの一言に尽きます。いいですか、そのままで。一言に尽きます。勤勉な日本人が稼いだ富を不謹慎な日本人が使っているところにあります。(発言する者あり)言い過ぎですか。それを勤勉な日本人に戻せば、財政も健康を取り戻すことができるでしょう。  さて、日本は世界で一番の債権国だと言われています。アメリカは世界で一番の債務国だと言われています。この不思議な関係の同盟国が、2プラス2では、世界における共通の戦略目標で、国際社会における基本的人権、民主主義、法の支配といった基本的な価値を推進する、世界的な平和、安定及び繁栄を推進するために国際平和協力活動や開発支援における日米の、日米のパートナーシップを更に強化する等々をうたっています。  さて、日本の今の財政赤字は七百三十七兆円に上り、国民一人当たり五百八十万円の借金になると言われています。それは日増しに増え、歯止めなく増え続けていると言われています。何と、一秒間に百八万円、一分間に六千四百六十万円、一時間に三十八億七千六百万円、一日に九百三十億二千四百万円、とてつもない天文学的数字が日本の国家財政を襲ってきています。このまま行くと、日本国家の破綻は間違いないでしょう。  さて、日本は、アメリカの財務省証券一つ取っても約七十兆円持っています。もろもろの債権を合わせると三百兆から四百兆円にも上ると言われています。  財務大臣質問します。日本は、世界的な平和、安定及び繁栄を推進するために真のパートナーシップを強化しなければなりません。国が破綻すれば強化どころではありません。そのためには、財務省証券の債権を返してもらい、国家財政の補てんをすることができますか。よろしくお願いします。
  182. 谷垣禎一

    国務大臣(谷垣禎一君) 日本の財政が非常に悪いと。一方、議員の御質問は、日本の外貨準備、外貨準備とはおっしゃらなかったですけれども日本の外貨準備、特に日本の外貨準備はアメリカの国債を大量に持っていると。それをもう一回日本に持ってくれば財政再建に大いに資するのではないかと、こういうことを今お問い掛けなんだろうと思います。  ただ、この日本がなぜ、今世界でも最も外貨準備の多い国でございます。それで、その外貨準備多くなっているのはなぜかと、こういうことを申し上げますと、やはりこれは為替介入をずっと逐次続けてきたということで多くの外貨を持っている、そして、それが主にアメリカのドルを買うという形の介入でございましたからこういうふうに積み上がってきたわけですね。それでこれは、返してくれといいますか、外貨準備というのは、やっぱり今後の為替介入等々の資金であったり、持ち続けていることに私は意味があるんだと思うんですね。  これはもちろん、この今日本が持っている為替、外貨準備をどういう、何というんでしょうか、資産構成にしていくのかというのはいろいろ議論があるところだと思います。それで、それはまたそれでいろいろ御議論があり、我々も、これはまた、我が国はずうたいが、この外貨準備のずうたいがでかいですから、何か言った場合の海外のマーケットに与える影響も非常にございますから極めて慎重でなければならないと思いますが、すぐに返してくれというような性格のものではないんではないかと思っております。
  183. 喜納昌吉

    喜納昌吉君 すぐに返してくれと言っているんではないんですけれどもね。為替だけの問題ではなくして、やはり国債とかその辺で考えてほしいんですね、国債ね。  このような対米債権を対米外交カードとして使う意思はありますか。過去にカードとして使ったことがありますか。
  184. 町村信孝

    国務大臣町村信孝君) 大変ユニークな、また貴重な角度からの御指摘かと思われます。  今までこのたぐいの発言をした方が、私が記憶ではお一方いらっしゃったかもしれませんが、私は、このアメリカに対して持っている債権を外交政策の追求の手段であるというふうに位置付けるのはいささか無理があるのではないのかなと、こう思っております。
  185. 喜納昌吉

    喜納昌吉君 無理な部分をうまく無理でない方向に持っていければ外交の手腕も発揮できると思いますので、よろしくお願いしますね。  それから、沖縄、まあこれはちょっと、これは国土交通になるんですけれどもね、沖縄総合事務局の体制下の沖振法では、長い間のアメリカの信託統治のハンディを克服することはできませんでした。沖縄の人々の自由度を奪ってきた高額の沖縄路線の航空運賃をアメリカとハワイのモデルに倣い三分の一に引き下げ、観光産業を促進することによってあらゆる分野に影響をもたらし、経済的自立が成し遂げられると思います。  質問します。  三位一体は地域の自由度をうたっていますが、国土交通大臣、この提案についていかがお考えでしょうか。──いない。ああそうかそうか。いなかった。知らなかった。失礼しました。(発言する者あり)法務大臣に。いや、失礼しました、それじゃ。
  186. 中曽根弘文

    委員長中曽根弘文君) もう一度質問してください。
  187. 喜納昌吉

    喜納昌吉君 これは次に回します。
  188. 中曽根弘文

    委員長中曽根弘文君) 質疑を続けてください。(発言する者あり)
  189. 喜納昌吉

    喜納昌吉君 ああそうですか。法務大臣、それじゃ。
  190. 中曽根弘文

    委員長中曽根弘文君) 質問をもう一度やり直してください。
  191. 喜納昌吉

    喜納昌吉君 失礼しました。まだ初めてなので少しは上がっていて失敗もします。よろしくお願いします。  次は、法務大臣質問します。  与党は人権擁護法案からメディア規制を削除しようとしません。メディア規制を凍結するからということを理由にしていますが、これはメディアに対する法の監視が続くことを意味します。つまり、必要ならば凍結を解除できるぞという圧力がメディアに掛かるからです。  昨年、反戦ビラをまいた男性が逮捕され、長時間勾留され、取調べを受け、起訴されるという不可解な事件がありました。幸いなことに無罪とはなりましたが、ビラをまいただけでこのような強圧手段を講じるとは、当局による言論封殺にほかなりません。まるで戦前の暗黒時代の再来のようです。NHKに対する与党議員の圧力が問題になったのも記憶に新しく、この問題は現在も進行中です。  自由なプレスのない独裁国家よりも自由なプレスのある腐敗国家の方がいいとは以前からよく言われることですが、今の政府・与党のやり方は、腐敗や不祥事を暴こうとするメディアを敵視し、自由な報道をつぶそうとしているものととらえることができます。国際社会も日本の言論制限の動きを注視しています。国連安保理常任理事国を目指すためにも、しっかりした決断が必要です。言論の本質とは、憲法問題ではありません。それは知性の熟度に掛かります。  世界に責任を持つ国家として姿勢を問われていますので、質問します。お答えをお願いします。  法務大臣、メディア規制法、メディア規制法案を凍結させたまま盛り込んだ法律の制定が言論の自由の見地からふさわしいと考えますか。
  192. 南野知惠子

    国務大臣南野知惠子君) 御質問にお答えしたいと思います。  報道機関による人権侵害につきましては、人権擁護推進審議会が、犯罪被害者等に対するプライバシー侵害や過剰な取材等について、犯罪被害者等から、自らの人権を守る、また自ら守っていくことが困難な状況にあることに照らして、積極的な救済を図るべきである旨を答申するとともに、同審議会設置の根拠となりました人権擁護施策推進法案に対する衆参両院の附帯決議において、同答申を最大限に尊重し、法的措置を含め必要な措置を講ずることが求められております。  しかしながら、審議会答申後、報道機関が自主的な審査制度を設けるなど、ある程度積極的な取組を実施しているところ、与党人権問題等に関する懇話会におきまして報道関係条項を凍結するとの決定が出されておりますので、法務省といたしましては、この懇話会の決定を尊重する方向で人権擁護法案検討を行っているところであります。
  193. 喜納昌吉

    喜納昌吉君 時間がないので追及はしませんけれども、ただ、一つ質問を準備してありますので聞きます。更に質問します。  検察は、ビラをまいた人を激しく取り締まりながら、一億円献金隠し事件に関与した疑いが濃厚な大物政治家を起訴せずに済ましています。これは何でですか、法務大臣。このような法の下の不平等をなぜ見過ごしているんですか。これを聞きたいんです。
  194. 南野知惠子

    国務大臣南野知惠子君) お答え申し上げます。  検察当局におきましては、法と証拠に基づいて、問題点があるならばそれを取り上げていくということで承知いたしております。
  195. 喜納昌吉

    喜納昌吉君 どうもありがとうございました。
  196. 中曽根弘文

    委員長中曽根弘文君) 関連質疑を許します。池口修次君。
  197. 池口修次

    ○池口修次君 民主党・新緑風会の池口でございます。本日は年金改革について、尾辻大臣を中心にちょっとお答えいただきたいというふうに思います。  年金の制度の在り方について、三月九日に自民党と公明党の幹事長の名で民主党の川端幹事長に協議を開始するための予備的協議をやりたいという申出がありまして、現在は予備的協議の最中だというふうに思っております。民主党としては、各党が、この今の年金の現状を認識して何を議論をするのかということと、どこで議論をすべきかということが合意できれば、多分協議に入っていくんだろうというふうに認識をしております。ただ、私は、この前に確認しなきゃいけないのは、昨年行われた年金制度の改定がどういうものであったのかということの認識を共有することが必要であるというふうに思っております。昨日も議論がされました。  そこでお伺いしますが、厚生労働省として、昨年行われた年金改革というのは、抜本改革であったのか、どういう改革であったのかというのをお教え願いたいというふうに思います。
  198. 尾辻秀久

    国務大臣(尾辻秀久君) 昨年の通常国会で成立をいたしました年金改正法でございますけれども、これはしばしば申し上げておりますように四つの柱がございまして、一つは上限を固定した上での保険料率の引上げ、二つ目が国庫負担の引上げ、三つ目が、保険料水準の範囲内で給付水準を自動的に調整し、給付水準の伸びを抑制する仕組みの導入、これが昨日も話題になりましたマクロ経済スライドと呼んでおるものでございます。それから四番目が積立金の活用。申し上げましたように、この四つの柱を組み合わせて給付と負担の均衡を図るというふうにしたところでございます。これは、私どもは大きな意義を持つ改革であったと考えております。  ただ、今後、産業構造、雇用構造の動向に十分対応できるのか、また年金の一元化を目指すべきではないかという議論があることもよく承知をいたしております。ですから議論が始まろうとしているんだというふうに認識をいたしておるところでございます。
  199. 池口修次

    ○池口修次君 そうしますと、いろいろ四つの柱で大きな意義を持つということですが、これ、抜本改革であるとかいう議論もありましたし、百年安心の改革であるという話もありましたが、これについては大臣としてはどう思いますか。
  200. 尾辻秀久

    国務大臣(尾辻秀久君) まあ今から議論が始まろうというときでありますから、私どもが今そうしたことで特にこういう表現をしようという思いはないということを今の答弁で申し上げたつもりでございます。そういう意味で申し上げているところを御理解いただければ有り難いと存じます。
  201. 池口修次

    ○池口修次君 私は、この点は非常に重要な問題だと思うんです。これから抜本改革の話合いをしようとしているときに何が抜本改革というのが分かんないと、本当に国民の安心を与える改革ができるかどうかというのは、それぞれが違う抜本改革だと思っていると話合いが成りません。ですから、この点をもう一回確認したいと思います。
  202. 尾辻秀久

    国務大臣(尾辻秀久君) これはまあ私のむしろ私見だと思ってお聞きをいただきたいと思いますけれども、その何が抜本改革かというところから議論が始まればいいんじゃないかなというふうに思います。  私どもは、私なりの議論議論をして改革をしたつもりですけれども、ですから、それをまた私どもが改めて今これがもう絶対未来永劫変わらない抜本改革だなどと言うつもりも全くありませんから、それなりの意義を持った改革はしたつもりでありますけれども、今後また議論を始めるに当たって、抜本改革をやると言うんならば、何が抜本か、こういう議論をしようという議論があれば一番いいのかなと。  これはもう最初にお断り申し上げましたように、かなり私見でありますけれども、そう考えております。
  203. 池口修次

    ○池口修次君 それでは、皆さんのところに資料をお渡しをしております。これは、厚生労働省のホームページから引きました社会保障審議会年金部会の平成十四年の十二月十三日の議事録でございます。  これは厚生労働省の方で結構ですので、この社会保障審議会年金部会というのが何のための議論をする部会かということと、この資料、お渡し資料は何を言わんとしているのかということを説明していただきたいというふうに思います。
  204. 渡辺芳樹

    政府参考人(渡辺芳樹君) 今お尋ねの社会保障審議会年金部会は課題ごとに設定される部会でございまして、アドホックに設定されて、平成十六年の年金改革という、その在り方につきまして御議論をいただいた、その関係の資料ということでございます。
  205. 池口修次

    ○池口修次君 部会の意味は分かりましたが、これはそのときに厚生労働省が示した資料ですが、これは何を意味しているのかというのを聞きたい。
  206. 渡辺芳樹

    政府参考人(渡辺芳樹君) 恐れ入ります。  その資料の配付を受けておりませんので、いただけませんでしょうか。──今先生お示しのこの資料でございますが、これは平成十四年の十二月に年金、十六年年金改革の検討に向けて、厚生労働省として議論のたたき台として、「方向性と論点」という名前で公表をさせていただいたものでございます。  もちろん、この審議会の部会における議論のたたき台ということでもございますが、広く国民の各界各層の御議論をいただくためのものとして公表したものでございます。
  207. 池口修次

    ○池口修次君 それでは、なぜか知りませんが、この中に「平成十六年の改革の方向」ということで、どこまで議論した中でこれが示されたか分かりませんが、これが書かれておりますが、ここを是非ちょっと読んでいただいて、厚生労働省としてはこの時点でこういうふうに考えていたのかどうかという見解をお聞きしたいというふうに思います。
  208. 渡辺芳樹

    政府参考人(渡辺芳樹君) 先ほどの御答弁と若干重なりますが、この「方向性と論点」、今資料としてお示しの部分はその概要を示したページの写しということでございますが、本文は分厚いものでございます。その序文に次のように書かれております。平成十六年の年金改革に向けて、改革の骨格に関し、今後の議論のたたき台として取りまとめたものであるという位置付けを明らかにしておるものでございます。
  209. 池口修次

    ○池口修次君 この二ページ目の最後のところに、「平成十六年の改革の方向」というのが書かれているんですよ。これをどう、どういった責任でこの時点で出されたのかというのを、まず中身を読んでいただいて、なぜこの時点でこの改革の方向が示されたのかという理由をお聞きしたいと思う。
  210. 渡辺芳樹

    政府参考人(渡辺芳樹君) 年金制度を所管し、十六年の年金改革に関し、各界各層の御議論をいただく上で、一定の検討、分析を行った後に、厚生労働省として議論の方向として、たたき台の意味合いでこれを記述させていただいたものでございます。  その後、審議会において更に引き続き御検討をいただき、審議会として、九月に出していただきました。
  211. 池口修次

    ○池口修次君 中身読んでよと言っているんです。
  212. 渡辺芳樹

    政府参考人(渡辺芳樹君) はい。読み上げます。  「社会保険方式に基づく現行の制度体系を基本として改革を進めていく。」、「安定した財源を確保して国庫負担割合の二分の一への引上げ、国民年金保険料の多段階免除導入の検討、徹底した保険料収納対策に取り組む。」、「制度改革により、長期的に安定した制度とする措置を講じた上で、さらに、社会保険方式による所得比例構造の一本の年金制度の導入等を含め、長期的な制度体系の在り方について議論」、以上でございます。
  213. 池口修次

    ○池口修次君 まず一つは、何でここまで踏み込んで厚生労働省がこの時点でこの方向性を書かなきゃいけないのかというのが一つの疑問です。  それと、もう一つここで確認しておきたいのは、現行制度基本として改革を進めていくと。それで、三つ目のものは、さらに、制度の、一本の年金制度の導入等を含め、長期的な制度体系の在り方について議論をしていくと。これ、二段階になっているんですよね。ですから、これは、一つは現行の制度体系を通じて改革をするんだけれども制度改正もしなきゃいけませんよというふうに書かれているんです。  それでは、この部会の報告は最終的にどうなったのかというのをお聞きしたいというふうに思います。
  214. 渡辺芳樹

    政府参考人(渡辺芳樹君) ただいま先生、この部会という御表現でございましたけれども、この「方向性と論点」は、厚生労働省としてたたき台として示したものであり、それも一つの材料として、審議会の部会での御議論がその後も続いてまいりました。そして、平成十五年九月十二日に年金部会としての意見書を取りまとめいただいております。  その概要につきまして、全体像は少々たくさんになりますが、今、「方向性と論点」の先ほど読み上げさせていただいた部分に関連する結論部分を少し申し上げ、引用させていただきたいと思います。  報酬比例年金プラス補足的給付の方式、基礎年金の税方式については、それぞれの利点を主張する意見があったものの、問題点の指摘も多く、また、失礼しました、「またその導入に向けては様々な制約があり、少なくとも、現行制度に替わるものとして平成十六年改正」……
  215. 中曽根弘文

    委員長中曽根弘文君) 渡辺局長、ちょっと待ってください。ちょっと待ってください。
  216. 渡辺芳樹

    政府参考人(渡辺芳樹君) はい。
  217. 池口修次

    ○池口修次君 私の言い方がまずかったかもしれませんが、これ全部読まれると相当時間が掛かりますから。  この意見書の最初に、これまでの検討の結果を以下のとおり取りまとめたところであり、政府においては、これまでの審議の経過を十分に参酌しつつ、改正案の立案に当たられたい。で、「はじめに」と書いてあるんです。「はじめに」の一、二、白丸五点目、「本部会では、」というところがありますので、ここをちょっと読んでいただきたいと思います。ここが肝だと思います。
  218. 渡辺芳樹

    政府参考人(渡辺芳樹君) 恐れ入ります。ちょうど該当部分、今手元にございませんで、先ほど読み上げましたところがちょうど該当部分に対応する結論部分でございますので、引き続き読み上げさせていただいてよろしゅうございましょうか。
  219. 池口修次

    ○池口修次君 じゃ、私言います。  本部会では、改革に向けての検討の中で、将来の年金制度のあるべき姿、制度体系の基本的見直しについての議論を積み重ねてきた。中略しますが、次の改正での制度体系の在り方の基本的な変更については、本部会においては、意見の一致を見るに至らなかった。今後とも議論の積み重ねが必要であるが、その答えが見いだされるまで何の改革も行わないとすることでは、することはできないと。これが結論なんです。  ですから、これを基に出された法案というのは抜本改革ではないんです。いかがですか。
  220. 渡辺芳樹

    政府参考人(渡辺芳樹君) 重ねて申し上げます。  十六年改革の在り方ということの御審議を審議会でいただき、十六年改革という観点で、十六年改革という中で実現を目指すべき選択肢という意味では、現行制度を基軸にして改革案をまとめるべきというような意見が主流であったと理解をしております。  また、御質問にありますような公的年金の制度体系を、つまり現行制度体系にこだわらず、公的年金の制度体系をどう選択していくかは、社会経済の調和、世代間、世代内、職業間、男女間等のバランスの観点、実務面での実現可能性、現行制度からの移行に係る問題などについて総合的に検討を行うべきものであり、今後も議論を進めていくべきものであると、このような結論であると承知しております。
  221. 池口修次

    ○池口修次君 ですから、これは大臣にお聞きしたいんですが、この中身でいいますと、国会の中でも相当議論が割れました。だけど、これは元々法案を出す前の部会でも結論が出てないんです。その中身を出された。それも十四年連続の保険の引上げ。それまでは五年ごとに見直していたものです。それを十四年の、出して、ある人は抜本改革と言い、ある人は百年安心の改革、言ったこと自体がこれは最大の誤りであったというふうに思いますが、大臣、どうですか。
  222. 尾辻秀久

    国務大臣(尾辻秀久君) これはもう表現の問題だと私は思います。百年安心と言った方の多分お気持ちは、私が言ったわけじゃありませんけれども、言った方がおられるとすれば、そのお気持ちというのは、いつも申し上げておりますように、有限均衡方式で九十五年の収支のバランスを取って今回の改正をいたしましたから、九十五年の収支のバランスを取ったつもりですというのをそういうふうに表現されたのかなというふうに私は思いますということを例えば思うわけでございます。  それぞれ、ですから改革をした、そして、私は率直に申し上げているんですけれども、大きな改革であったと思っているんです。マクロ経済スライドを導入しましたし。しかし、それをもって、とても完全無欠なものだなどと言うつもりも全くありませんし、その証拠にっていうのも変かもしれませんけれども、パートタイマーの皆さんの年金どうするんですかというのは今後の見直しですとはっきり附則にも書いているわけですから、まだやるべきことは一杯ありますということをちゃんと法律にも書いていますので、今後の課題残していますと言っておりますし、まあそういう内容であるということを改めて申し上げて、あとはそれぞれの表現の仕方があったのではないかなと思いますということを申し上げております。
  223. 池口修次

    ○池口修次君 重ねて言いますが、部会の結論は、議論の積み重ねが必要であるが、ただ時間的にやらなきゃいけないことがあるんで、それをやらなければ政府としての責任が果たせていないということで、そこ、最小限のところをやりなさいというのが部会の結論なんですよ。それを何で十四年連続の引上げ、これをやったのかというのが最大の問題だというふうに思っているんですが、この点についていかがですか。
  224. 尾辻秀久

    国務大臣(尾辻秀久君) とにかく差し当たってすぐ改革をやれと言われたその最大のものは、年金財政が破綻をしそうになっている。ここに細かな数字は持っていませんけれども、それぞれ厚生年金、国民年金、もうあと何年しかもたないというような計算をそのときに私どもしておりました。したがって、もう財政が破綻するということで、とにかくその破綻をさしちゃいけないから、まず破綻しないように改正をしろと言われたんだというふうに理解をいたしております。で、その破綻をしない改正を私どもはしたつもりであります。  そうなりますと、当然その負担と給付のバランスがありますから、どうしても御負担いただく方の数字もお示しをしなきゃいけない。ただ、そこで考えましたのは、これまで五年に一回ずつ変えてきたのを、それでは五年に一回ですからどうしてもそのときの額が大きくなります。五年分のたまっている額と、まあたまっているという表現がいいかどうか分かりませんが、五年に一回しかやりませんから、どうしてもそれなりの額になる。  そこで、ずっとこう、こういうふうに毎年毎年上げさしていただきますと言った方が上げる幅も小さくなるんじゃないか、それからまた皆さんの方にも、五年後の数字というのは出ていないわけですから、五年後に改めて決めるというだけですから、将来まで数字をお示しした方がよく分かっていただけるんじゃないかな、こうなるんだなという、少なくとも分かっていただけるだろうなと思って将来の数字までお示しをしたと、こういうことでございます。
  225. 池口修次

    ○池口修次君 大臣はその方が安心だということですが、国民は抜本的に何も解決されないで十四年上がるということを受け止めて、これでは抜本改革でないというように受け止めたんです。いかがですか。
  226. 尾辻秀久

    国務大臣(尾辻秀久君) 余りここで私ども考え方を主張するのもいかがかとは思いますが、お尋ねでありますからお答えはいたしますけれども、給付とバランスをちゃんと示さなきゃいけないというふうに私どもは思ったわけでございまして、そして国民の皆さんに給付はこうなるんですということをお示しをした。  それは私どもの責任で、将来ここまでは給付してくださいと申し上げたのは責任を持って、まあ責任を持つといいますか、その立場からお願いをしたつもりでおりまして、それで安心していただくかどうかは分かりませんが、まあ将来こうなるんだなということだけは明確に理解していただいて、その後どういう御判断いただくかというのは、また国民の皆さんの御判断であるというふうに考えております。
  227. 池口修次

    ○池口修次君 もう一回資料を見ていただきたいんですが、これ厚生労働省が作った資料です。各方面の議論という中に、基礎年金を税方式とする体系もこの一つの議論の項目として挙げられています。当然これを、基礎年金を税方式とすれば、掛金を何%にするかというのは関係をしてきます。  ですから、何でこのような議論が残っていながら、十四年後の保険料まで上げなきゃいけなかったのかということは私は理解できませんが、なぜでしょうか。
  228. 渡辺芳樹

    政府参考人(渡辺芳樹君) 幾つかの点のお答えを申し上げたいと思います。  審議会におきましては、御指摘のように税方式の話、スウェーデン方式的な方式の話も様々に御議論があり、それの利点や問題点も議論されました。そして、一致した意見にならなかったものも併記しております。  現在の審議会の位置付けは、先生御承知のとおり、様々な御意見を政策提案責任者である大臣の方にお示しするということであり、審議会で確実に方向付けをしなければならないというものではないという中で各論併記をしていただいたところでございます。  一昨年ですか、その後十一月に、十五年十一月に厚生労働省案というものを世に公表いたしましたが、それが審議会での議論や何かをすべて踏まえた厚生労働省としての社会への御提案であったというふうに御理解賜りたいという点が一点でございます。  それから、なぜ十四年連続の引上げかという点につきまして、先ほど大臣からも、従来は五年に一度大きく引き上げるということかなという財政計算書を別途法案とは別に世の中に出さしていただいておりました。法律上はどうなっていたかというと、給付水準は法定されておりましたが、それに必要な保険料は、簡略に言えば、将来ちゃんと法律を作りますという一行が書いてあっただけでございました。そのような負担の見通しのない制度というもので経済の成長に依拠しながら暫定的に進められてきたというのがこれまでの年金制度の歴史でございます。  今回は、その保険料の将来における上限というものを国権の最高機関たる国会において議決をしていただいて、それに基づいてそれに沿うように給付を調整する。それにたどり着くまでの引上げ方は、かつては財政計算書その他では五年に一度、二%、三%という大きな引上げをするという、計算をすれば足りますねということだけ御説明してきたんでございますが、現下の経済情勢の下でそのような大きな引上げを五年目ですからお願いしますというのは、本当に立法府、行政府を通じた責任ある対応ではないという観点から、小刻みに御負担に無理のないように上げてくる、こういうような方策を取ったところでございます。
  229. 池口修次

    ○池口修次君 私が言っているのは、制度を、導入を含めた長期的な議論をしなきゃいけませんねというのを認めているんです。で、その制度の中に基礎年金を税方式とする体系も入っているんです。ですから、将来は基礎年金部分は税方式になるかもしれぬというのを想定をしなきゃいけない。  それなのに、何で早く十四年の引上げを先行して決めたんですかということを聞いているんです。
  230. 尾辻秀久

    国務大臣(尾辻秀久君) ですから、税方式にするか社会保険方式にするかというのは、もう年金の議論を始めるとまず真っ先にある議論でありますから、当然その議論があるというのはもうどこまで行ってもあるんだと思います。それはもう前提であります。  ただ、責任を持って年金を支給、給付させていただく立場からは、こうなったらまあこうなるかもしれませんというのは言えませんから、今社会保険方式で組み立てている以上、社会保険方式でまずお示しをしたと、こういうふうに御理解をいただければと存じます。
  231. 中曽根弘文

    委員長中曽根弘文君) 池口君、時間でございます。
  232. 池口修次

    ○池口修次君 特に質問をするつもりじゃないんですが、今の答弁は、基本的な制度が変わればその決めたものは元に戻りますよという答弁だというふうに理解をいたします。  で、何でこの四十二、この報告書、何でこの、税方式には結構踏み込んでないんですね。なぜかということについて、昨日、泉委員の方からも言いましたが、これはやはり私は、総理が在任中は消費税を上げないと言ったことが、これ足かせになっているというふうに私は思っております。これは結論は総理の在任中に出さざるを得ないんです。だから、協議はしてもいいと言われても、上げないということになると、この総理の在任中に結論を出さないものについては、これ役所は議論できないんです。ということの中で、この方式というのは、税については非常に後ろ向きな議論しかできなかったということを言わしていただきまして、私の質問は終わらせていただきます。  ありがとうございました。
  233. 中曽根弘文

    委員長中曽根弘文君) 以上で喜納昌吉君の質疑は終了いたしました。(拍手)     ─────────────
  234. 中曽根弘文

    委員長中曽根弘文君) 次に、山下栄一君の質疑を行います。山下栄一君。
  235. 山下栄一

    山下栄一君 私は、今日は子供の心の問題につきまして、厚生労働省、法務省そして文部科学省中心に質問をさしていただきたいと思っております。  心に問題、悩みを抱える、そういう子供たちが増えやすい、そういう社会環境になってきているという認識をしております。特に、パソコンや携帯電話、またテレビゲームという機械を持つ子供がどんどん増え、そしてそういうものを利用する時間が子供は非常に増えておるわけでございまして、直接的な人の触れ合い、そしてまた触れ合うためのコミュニケーションの能力が低下してきておる中で、必然的に心が非常に豊かにならないという、そういう傾向があるということを私は申し上げておるわけでございますけれども、特に発達障害と言われます自閉症、アスペルガー症候群、また注意欠陥多動性障害、学習障害など、こういう問題は非常に難しい、対応が難しい問題で、今家庭、地域、学校、また社会全体がこのことで苦しんでいるというふうに思います。  そういう状況の中で、昨年、発達障害支援法が党派を超えた取組で成立したわけですけれども、やっとまあ取組が始まったという状況にあろうというふうに思うわけでございます。  厚労省にお聞きいたします。大臣にお聞きしたいと思いますけれども、こういう問題を扱う専門家、この専門的知識を持った人材の育成ということが法律にも書いておるわけですけれども、そういう専門家は、特に国家資格で言うとどういう方がふさわしいのかということをまずお聞きしたいと思います。大臣
  236. 尾辻秀久

    国務大臣(尾辻秀久君) 今、分かる範囲でお答えいたします。  医師、臨床心理士等でございます。
  237. 山下栄一

    山下栄一君 今大臣もおっしゃいましたように、そういう、例えば発達障害等がそうでございますけれども、これは本人に問題があるわけではございませんし、ゆがんだ家庭環境で育ったから心がねじれたとか、そういう問題ではなくて、高次脳機能障害等、そういう子育て、子育ての方法に問題があったからそういう悩みを抱えているのではなくて、そういう高次脳機能障害等の問題が影響を与えているわけでございまして、そういう観点からの専門家と言われる人というのは精神科医とか、今おっしゃったような心理学の関係で言うと臨床心理士等が思い付くわけですけれども、ほかにどういう方がいらっしゃるかとなると、まだまだ体制ができておらない。そういう意味で、この専門的知識を持った人材の育成ということが法律にうたわれているのではないかというふうに私は思うわけでございます。  そういう意味でいうと、本当にこれは悩みを抱えている家庭、地域、学校があるわけで、特に児童生徒におきましては、二〇〇二年の文科省調査によりますと、百人のうち六人、クラスでいうと一クラスに二、三人そういう、軽度の発達障害を含めますと、方がいらっしゃるという状況にあると。早期発見すればするほど手を打てるのに、早期発見できるような専門家の育成もできておらないという、そういう状況があるわけでございます。  そこで、法務省にお聞きしたいと思います。  このような発達障害等の問題を抱えた少年、子供が例えば犯罪を犯してしまった場合、その可能性は極めて高くなっておるわけですけれども、この対応は、専門家が非常におらないだけに、例えば矯正施設においても少年院等、そしてまた更生保護施設におきましても法務省所管の施設におきましても、そういう犯罪を起こしてしまった子供を受け入れたけれども、だけれどもそういう体制が整っておらないという状況にあるのではないかというふうに思うわけです。  これ、非常に深刻な問題だというふうに思っておりまして、ただ、法務省もいろいろ手を打っておられるとお聞きしております。特に、京都宇治の少年院では専門家をも含めましてチームをつくってそういう事例をどんどん積み上げて、知見を積み上げていって、それが非常に大きな反響を呼び、この取組を見学する学校教員を始め大変な数の方々が参考にしながら学校教育にも生かしておるという、そういう事例を一つの財産として法務省が積み上げておられるわけですから、たまたまその医療、この宇治の少年院、初等少年院における取組であるというふうに思うわけです。  というふうに考えましたときに、法務省におかれましても、矯正施設、また更生保護施設、そういう処遇施設ですね、そういうことの中で、一つの少年院だけじゃなくて、個別の取組ではなくて、法務省挙げてこういう専門家の養成、そして知見の積み上げ、そのための調査研究体制づくりを早急にやるべきだと、予算も組んでやるべきではないかと、このように考えるわけですけれども法務大臣の御所見をお聞きしておきたいと思います。
  238. 南野知惠子

    国務大臣南野知惠子君) お答え申し上げます。  宇治少年院の実情を御視察いただき、目に留めていただき、いい形だとおっしゃっていただけたことは我々にとって大変うれしいことでございますし、またそういう形をどんどん広めていかなければならないということでございます。  御指摘のとおり、発達上の課題を有している少年の処遇に当たりましては専門的知見が有用であり、既に一部の少年院、今先生がおっしゃった少年院でございますが、部外有識者の協力もいただきながら、軽度発達障害に関する視点を導入した教育内容や方法を開発し、実施しているところでございます。  特に、年少少年に対する教育内容や方法につきましては、このような視点を踏まえました調査研究をより一層重ね、その結果を少年院の矯正教育に具体的に反映させてまいりたいと考えているところでございます。  また、社会内処遇におきましても、このような少年に対する処遇の実践を積み重ねることにより、体系的な処遇方策について検討してまいりたいと思っております。どうぞよろしくお願いしたいと思っております。
  239. 山下栄一

    山下栄一君 観点が違いますけれども、例えば性犯罪者の再犯率が高いということで、この矯正施設におきましても教育の観点、処遇プログラム等の調査研究、事例集、事例集だけじゃなくてそういう専門家を集めた処遇プログラム等の作成等も緊急の課題になっておるわけですけれども、私申し上げましたこの発達障害を持っていらっしゃるもし犯罪者が出た場合、そういう可能性は極めて高い状況にあると思いますけれども、それへの対応のためのやっぱり調査研究、そしてどのような処遇をしていくのかということを、知見を積み重ねながら専門家の知恵を総結集して、そして法務省としても是非とも予算措置も含めた体制づくりをやっていただきたいというふうに思っております。  今度、厚労省の児童自立支援施設ですけれども、今も今国会でも少年法の改正が大きな今注目を集めているわけですけれども、触法少年等はこの児童自立支援施設で教育を中心に受けるわけですけれども、こういうところでも例えば発達障害等のお子さんがいらっしゃった場合、預けられた場合、家裁の判断でそうなった場合に、そういう体制もまだまだ弱いというか、できておらない。国立の武蔵野学院等でも取組が始まったというふうに聞いておりますけれども、各県にも児童自立支援施設があるわけで、その中心センターが国立の武蔵野学院等であると思うわけですけれども、そういう拠点を中心にして、この触法少年に対する対応におきましても、こういう児童自立支援施設における取組もきちっとできる体制づくりを考えていただきたいと、このように思うわけですけれども、厚労大臣お願いします。
  240. 尾辻秀久

    国務大臣(尾辻秀久君) まず申し上げますけれども、私も発達障害の子供たちが集まっている場に行ってみたこともございます。一緒に五目並べをして遊んできたんですが、まあそのこと自体は楽しくやらしていただきました。  そのときに、いろんな話を聞かせていただきました、御両親方も来ておられたんで。その方々が言っておられたのは、やっぱり学校が理解してくれないと大変だと、発達障害の子供だというのを分かってくれて対応してくれればいいんだけれども、ちょっと変わった子だという扱いされると、非常にもう、それはもう悪い方に悪い方に行ってしまうというような話を伺って、そうだろうなと思いまして、したがって、先生の今日言っておられることはまさしくそのとおりだと思いながらお聞きしていましたということをまず申し上げたわけであります。  そうした子供たちが間違って何か起こした場合の今お話なんでありますけれども、児童自立支援施設において、入ってしまうわけですが、その児童自立支援施設におきましては子供一人一人の状況に応じたケアを行っておりまして、今お話しの発達障害など精神医学的なケアを必要とする子供に対しましては、施設に配置されております精神科医が必要に応じて心理療法等の治療をまず行っております。それから、日々の生活指導を行う職員も、精神科医の指示の下で、子供の状況に配慮した適切なケアに努めております。それからさらに、より高度の専門的な治療が必要な場合には、外部の医療機関や専門家からの協力を得ながら適切な治療が行われるように努めておるところでございます。  まあ、こうしたことをやっておりますということを今申し上げましたけれども、今後ともそうした子供たちが抱える様々な問題に適切に対応できるようにケアの質の向上に努めてまいりたいと考えております。
  241. 山下栄一

    山下栄一君 文科省にお聞きいたしますけれども、学校教育現場におきましてもこういう子供たちに対する対応が始まっているというふうに聞いておりますし、予算措置もきちっとされつつあるわけですけれども、私はこういうお子さんへの専門的な対応をこの障害者教育の観点からもしっかり行うべきだと。特に国立、独法の国立特殊教育総合研究所では、特別支援教育の観点からこのような学習障害等の子供に対する様々な研究が行われているというふうに聞いておりまして、その取組についてちょっとお聞きしたいと思います。
  242. 塩谷立

    ○副大臣(塩谷立君) お答えを申し上げます。  今、山下委員おっしゃたように、LD、ADHD、あるいは自閉症等の発達障害への対応については、大変な重要な課題として認識しているところでございます。このため、我が国の障害児教育のナショナルセンターである独立行政法人国立特殊教育総合研究所においては、従来より発達障害に関する専門的な調査研究や教員等の研修等を行っているところでございます。  具体的には、発達障害に関する主な研究として、一つは、小中学校に在籍するLD、ADHD、今、先ほどお話がございましたように、六%の児童生徒が現在いるということでございますが、この生徒への指導方法に関する研究、そして二つ目は、知的障害養護学校における自閉症の幼児、児童生徒への指導内容、指導法に関する研究、三つ目として、発達障害児一人一人に応じた教育的支援のための計画策定に関する研究、そして四つ目に、脳機能障害の解明と脳機能に障害ある子供への教育に関する研究などを実施しているところでございます。また、発達障害の児童生徒への対応に指導的役割を果たす教員等を対象としたリーダー養成研修等を実施しております。  同時に、文部科学省としては、発達障害支援法においても、国における発達障害に関する調査研究や研修の実施が規定されることを踏まえて、今後とも厚生労働省と一層連携を密にしながら、独立行政法人国立特殊教育総合研究所における発達障害に関する専門的な調査研究や研修等を推進してまいりたいと思っているところでございます。  以上です。
  243. 山下栄一

    山下栄一君 ちょっと厚労大臣にまとめの御答弁お願いしたいんですけど、この発達障害にかかわる支援法の仕組みでは、厚労省と文科省の連携はあるんですけれども、私は法務省もそこにきちっと入るべきだというふうに考えております。  と申しますのも、子育て支援の問題、これは若いお母さんがこのような子供、お子さんが生まれた場合、早期発見できないような状況になっていると。一歳児健診その他でも分からない、なかなか、後になればなるほど対応が難しくなるという。子育て支援にかかわる問題であると同時に、治安の問題、学校安全も含めたそういう問題にかかわる問題でも私はあるというふうに理解しておりまして、この問題は省庁を超えた取組が必要であるというふうに考えるわけです。  先ほど申しました武蔵野学院、そして特殊教育総合研究所もそうですけれども、そのほかにも、一応厚労省所管の成育センター等々あるわけですけれども、私は是非厚労大臣に、このような取組を省庁を超えて連携を取りながら、このようなお子さんに対する子育て支援、そして治安の観点からも含めた、早急な専門家の育成、調査研究ということからも含めたナショナルセンター的なそういう対応、体制づくり、建物ということじゃございませんけれども、そういう体制づくりを是非とも厚労大臣中心に他省庁に働き掛けていただきながらつくっていただきたいと、このことを是非お願いしたいと思うわけですけれども
  244. 尾辻秀久

    国務大臣(尾辻秀久君) 先ほど申し上げました、この発達障害の子供たちの集まりに参りましていろんな話伺ったときも一番強調されたのがやっぱり早期発見でありまして、そして早期発見すれば早めに、普通の社会人として生活できるんだけどなという話を伺って、そうだろうなというふうに思った次第でございます。そのときも、学校との関係だとかいろんなところとの関係、いろいろ言われまして、関係機関の一層の連携協力が必要であるというのは痛感をいたしたところでございます。  したがいまして、今後とも、関係省庁の垣根を越えてノウハウの共有、向上を図るなど連携に努めてまいります。
  245. 山下栄一

    山下栄一君 ありがとうございました。  最後の質問ですけれども、カネミ油症被害者支援対策につきまして厚労大臣にお聞きしたいと思います。  私、この問題、何年か前から取り組んでおりまして、特に平成十三年、平成十三年の十二月には、この三十数年前に起こった事件が、食品公害、食品被害事件が実はダイオキシンの被害でもあったということ、人的被害でもあったということをお認めいただきまして、そして診断基準も、カネミ油症の研究班見直していただいたわけでございますが。  ただ、この農水省中心の仮払金問題。これは裁判に係る問題で、これいったん仮払いされたけれどもまた返さないかぬ状況になりまして、これで非常に苦しんでおられると同時に、様々な病気を抱えて、ダイオキシン、PCBその他の症状、それがその研究すら余り進んでおらない。旧来の研究班の体制で私はこれはやるのは限界があるというふうに思っております。一万人を超える未認定患者も含めたその患者に対する、方々の支援を、ちょっとこれはもう政治決断で是非ともやっていただきたいというふうに思っております。  細々と研究班で一億円少々のお金でやっていること自身が非常に大きな問題であると思いますし、環境省における、この有機砒素化合物、よく原因分からないけれども健康被害を受けた住民に対する調査協力金の支給も行われておりますし、また厚労省所管では薬品、薬における副作用被害、これはもう制度ができる以前の患者も救済しようということを昨年政治決断していただいたわけでございますので、こういう観点からも、三十数年前の事件が最近やっとダイオキシン被害であるということも分かってきたという、そして、これは世界じゅうのダイオキシンで苦しんでおられる、人的被害、健康被害に対する対策が非常に不十分な状況の中でこの調査研究すること自身、研究に協力すること自身が大変なデータの収集にもなるわけですので、人類的貢献にもなると思いますので、是非とも厚労省におきまして、この患者への調査協力金という形で支援をしていただくことを、御検討是非ともしていただきたいと強くお願いしたいと思います。
  246. 尾辻秀久

    国務大臣(尾辻秀久君) お話しのように、この問題は裁判上のことは決着をいたしております。  ただ、患者さんの中に大変苦しんでいらっしゃる方が依然としておられる。そこで、厚生労働省として何をやってきたかといいますと、昭和四十三年の事件発生から現在まで、研究班が行う無料の検診や相談、診断基準の見直しなど補助を行ってきておるところでございます。  しかし、今先生のような御指摘もありますので、今後も研究班の先生とも相談しながら治療方法の研究など積極的に取り組んでまいります。
  247. 山下栄一

    山下栄一君 どうもありがとうございました。
  248. 中曽根弘文

    委員長中曽根弘文君) 以上で山下栄一君の質疑は終了いたしました。(拍手)     ─────────────
  249. 中曽根弘文

    委員長中曽根弘文君) 次に、吉川春子君の質疑を行います。吉川春子君。
  250. 吉川春子

    吉川春子君 日本共産党吉川春子です。  まず、郵政民営化問題で竹中大臣にお伺いいたします。  政府は当初、国営だと肥大化するから民営化という、民営化すると言っていました。今度は突然、民営化の根拠として、郵政公社のままだとじり貧になると言い出しています。国民は、なぜ民営化する必要があるのか理解できません。民営化すれば新規業務の拡大で六千億円もうかるという試算を二月二十四日出しました。この試算についても、バラ色だとかいろいろな批判があります。  そこで、政府が示している試算について伺います。この試算は郵政民営化準備室が昨年十一月に行った骨格経営試算がベースになっていると思いますが、そのとおりですね。
  251. 竹中平蔵

    国務大臣(竹中平蔵君) そのとおりでございます。
  252. 吉川春子

    吉川春子君 竹中大臣、この骨格試算では新しい民営化会社が新規事業を行わないということを前提にしています。新しい民営化会社が新規事業を行わないという前提だとすると、郵政公社と変わらないということですね。
  253. 竹中平蔵

    国務大臣(竹中平蔵君) 骨格経営試算の意味は、基本的に経営の判断等々そうした判断を除去した形で、正に骨組みだけで推移した場合どのようになるかということを前提にしたものでございます。委員おっしゃるように、新しいことはやらない、その意味ではそのとおりでございます。公社のままでもできることというのはそれはございますから、その意味ではそういった点は加味しなければいけないということだと思います。
  254. 吉川春子

    吉川春子君 そうしますと、その骨格経営試算と郵政公社、骨格経営試算で郵政公社と民営化会社では何が違ってくるんでしょうか。
  255. 竹中平蔵

    国務大臣(竹中平蔵君) 基本的に公社でございますから業務の内容というのは法的に限定列挙される、ないしはそれなりの抑制的な制約を受けるということになろうかと思います。それに対して今回のその試算に関しましては、シミュレーションに関しましては、民間と同じ、民間準拠でいろんなことをやったと仮定した場合にはどのようになるかということを仮定的に計算をしております。
  256. 吉川春子

    吉川春子君 国営の恩典であるところの租税公課、法人税、預金保険料、生命保険負担金等を支払わなくてもいいと、こういうことですね。
  257. 竹中平蔵

    国務大臣(竹中平蔵君) その前に一点、先ほど言い忘れましたですけれども、今回の試算では骨格経営試算に加えまして、新たにいろんな新規の業務を行わないと仮定して、さらにその上で、今利ざやが長短スプレッド一・三%ということで長期の平均一%より今高い状況にあるわけですが、それが長期平均の一%にもし今低下した場合、そう仮定したらどうなるかという一種の利ざや縮小ケースについても示しております。  委員お尋ねの、様々な税金、保険、保険料、預金保険料等々、そういうお尋ねだったと思いますが、それにつきましては、もちろん公社ではそれは支払わない、民営化された後はそれは支払うということを前提に試算をしております。
  258. 吉川春子

    吉川春子君 郵政公社を民営化しますと、新たなコストが発生しますね。租税公課には四分社化するために窓口会社に預貯金会社等が払う手数料に消費税が課税されるということになりますね。  そこで伺いますけれども、二〇一六年度に例えばこれらの手数料に掛かる消費税を含むその租税公課は幾らになるんでしょうか。
  259. 竹中平蔵

    国務大臣(竹中平蔵君) お尋ねの件は、この試算において、窓口会社ですね、窓口会社に支払う、郵便貯金会社が窓口会社に支払う手数料に掛かる消費税、二〇一六年度で約三百億円でございます。
  260. 吉川春子

    吉川春子君 ちょっと数字違いません、正確にお願いします、そちらの試算ですから。
  261. 竹中平蔵

    国務大臣(竹中平蔵君) 失礼いたしました。  ちょっと、御質問の趣旨が手数料に掛かる消費税かということで消費税の額をお答えしたんでございますけれども、その租税公課合計ということでございますれば、租税公課の合計は、それはもう各会社を合わせてということでよろしゅうございますか、四千四百五十八億円ということだと思います。
  262. 吉川春子

    吉川春子君 ちょっと今度、額が多過ぎませんかね。そんなに払うんですか。じゃ、もう民営化したら利益なくなるんじゃない。  じゃ、続けて伺いますが、預金保険料、生命保険負担金について、郵貯、簡保会社が払うそれぞれ預金保険料と生命保険負担金は幾らになるでしょうか。そちらの試算で答えてください。
  263. 竹中平蔵

    国務大臣(竹中平蔵君) 骨格経営試算におきます二〇一六年度の預金保険料、約一千百億円でございます。生命保険保護機構負担金は約百億円でございます。
  264. 吉川春子

    吉川春子君 資料をお配りしてありますが、まず赤い棒グラフの方をごらんいただきたいと思います。(資料提示)  郵政公社のままなら今の答弁のようなコストは掛からないわけで、その場合の郵政公社の利益が幾らになるかを計算したのがこの赤いグラフの左端の郵政公社です。新規事業十割達成、まああり得ないと思いますが、五割達成、新規事業なし等の民営会社の利益をここに表示してあります。それに基づく私たちの試算では、郵政公社の税引き前の利益は七千二十八億で、新規業務五割達成の民営化会社と同程度の利益が上がることになります。  では、民営化会社の納税額について伺いますが、新規業務十割達成の場合は利益一億円、五割の場合は利益七千億円、新規業務なら、なしということですが、それぞれの場合の法人税額をお知らせいただきたいと思います。
  265. 竹中平蔵

    国務大臣(竹中平蔵君) 今度は法人税額のみということでございますね。二〇一六年度それぞれ、新規事業十割達成の場合四千百億円でございます。五割達成の場合二千九百億円でございます。新規事業なしの場合千七百億円でございます。
  266. 吉川春子

    吉川春子君 ということですね。  総務大臣、お伺いしますが、郵政公社の国庫納付金制度について御説明いただきたいと思います。
  267. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) これ御存じなんだという前提でしゃべらせていただきますけれども、これは文でしゃべりますと物すごく分かりにくくできておりますので。  国庫納付金制度というのは、御存じのように郵政公社法の三十七条というので決められているんですが、ここのルール、ルールというか、四年間区切りでやっているところが一年区切りと、まず第一に違うところです。四年間である程度の利益が出ていて、それを四年間のあれを中期計画と呼んでいるんですが、その中にある一定の額を決めて、これは認めますと。これ以上出た分、これ以上を超えた分につきましては、その五〇%、五割を納付するということになりますんで、通常の会社で実効税率三八%とかいう額に比べりゃ五割ということになるんですが、ただ、その場合はこの四年間というのが難しいところでして、これ、もうかったときもあれば損したときもあればいろいろ出ますんで、ならして四年間でトータル幾ら、マイナスだった場合は払わなくていい、プラスだった場合はそのプラスの分の出た分についての五〇%と。  物すごく込み入っているやつをやたらめたらと易しくしゃべってやろうと思っていますんで、かなりはしょった言い方なんですが、これ法律案はぎちぎちっと書いてあるんですが、図式でいうと、そういう半分という図式になっております。
  268. 吉川春子

    吉川春子君 分かりました。  それで、青いグラフ、棒グラフの方をごらんいただきたいと思うんですけれども、これは政府が試算ベースにしている骨格経営試算を基に郵政公社の利益額、今大臣説明の国庫納付額の額を試算してみました。  郵政公社が払う国庫納付金は二〇一六年分で三千五百十四億円、これは今大臣おっしゃった、七千二十八億円の二分の一です、となります。政府試算の新規等が十割、七割達成をとても無理で、私は五割達成も難しいと思うんですが、新たに五割達成という数字も出てきました。新規業務等五割達成の民営化会社の法人税は二千八百億円です。政府の試算でも、民営化の会社より郵政公社のままの方が利益が確実に上がり、民営会社の法人税よりも国庫納付金が多くなるんですね。  時間がないのでこのグラフで見ていただきたいんですけれども、郵政公社の方が五割達成の会社よりも納付税が多くなる、納付額が多くなるということです。ユニバーサル義務があり、身近な郵便貯金もなくならないわけです、公社だと。これでどうして民営化するのか、全く説明が付かないわけですが、私は、民営化の撤回を求めたいというふうに思います。  続けて、ちょっと時間の関係で先を急ぎますが、総務大臣、健全で安全な日常生活を営むためには金融機関に口座を持つことが必要不可欠な条件の一つになっています。金融サービスのユニバーサルサービスがきちんと担保されるべきだと思います。日常生活に不可欠になっている金融サービスを国民に提供することは国の義務ではないかと思いますが、その点について大臣の御答弁を伺いまして、質問を終わらせていただきたいと思います。
  269. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) 今御質問のあった中で、やっぱり個人の小口の、小口の金融というか、小口の出し入れ等々は、これは今、一億二千万ひとしくということで、御存じのように、これは郵便貯金法というのは昭和二十二年にできまして、あまねく公平に利用させるということが書いてありまして、今回の郵政公社法、平成十四年でも、郵便局はあまねく全国に設置しなければならないと公社法で決められていることによりまして、基本的には簡易保険含めまして郵便のサービスができるようにしているんだと思いますが。  やっぱり過疎地に限らず、そうですね、郊外におきましても、急にドーナツ化現象起きたようなところでは、高齢者の方々では、都心部でも郵便局等々は、余り数字が変わって、設置場所は変わってないと思いますが、金融関係のところはかなりの数が減っている地域がありますんで、その地域からは金融、恩給とか年金とかいうのは出し入れ等々が高齢者の方にとってはかなり不便になるという、高齢化の部分も過疎地とはまた別の問題として私どもは考えておかねばならぬと思いますので、今回の民営化の案の中にも、やっぱり利便性を供するというところは極めて大事なところだと思っております。
  270. 吉川春子

    吉川春子君 時間が来ましたので、終わります。
  271. 中曽根弘文

    委員長中曽根弘文君) 以上で吉川春子君の質疑は終了いたしました。(拍手)     ─────────────
  272. 中曽根弘文

    委員長中曽根弘文君) 次に、大田昌秀君の質疑を行います。大田昌秀君。
  273. 大田昌秀

    大田昌秀君 社民党・護憲連合大田でございます。  最後でございますので、お疲れでしょうが、よろしくお願いいたします。  まず、沖縄担当大臣にお伺いします。  今国会に沖縄科学技術大学院大学、仮称でございますが、の基盤整備機構の設置に係る法案が提案され、二〇〇五年度予算案にその整備法人運営費等の経費、五十一億四千万円が計上されています。  そこで、改めてお伺いしますが、沖縄に科学技術専門の新大学院大学を設立する目的について御説明ください。なぜかと申しますと、どうもこれは基地を引き受けさせるための取引だとか、いろんな恐らく政府が考えていないような声も出ておりますので、伺いたいと思います。  また、独立行政法人化する構想のようですが、旧来の国立大学を独立行政法人化したのと同様の性格の大学院になるのでしょうか。  さらに、建設費の総額、年間の維持運営費について教えてください。
  274. 小池百合子

    国務大臣小池百合子君) 沖縄科学技術大学院大学でございますけれども、設立コストについては、これまでも委員よく御承知のことだと思います。沖縄におきまして、世界最高水準の研究教育の展開を通じて、沖縄における科学技術の発展に寄与するとともに、自立型経済の構築、そして持続的な発展に貢献するということを目的としているものでございます。  そしてまた、その性格については今のお答えと重なる部分がございますので繰り返しませんけれども、建設費その他につきましては、この機構で現在、機構というのはこれから御審議いただく法案の名称による機構でございますけれども、主任の研究者を五十名程度まで拡大いたしまして、その時点を目途として大学を設置することを目指して活動を行います。ということは、建設費、運営費について幾ら幾らということは、最終的な試算は困難でございますけれども、今目標としているのは、建物もさることながら、ここは研究することで、研究の人が一番重要であるということで、主任の方五十名を目指すというのが今一番具体的な私どもの目標でございます。
  275. 大田昌秀

    大田昌秀君 この大学院大学ができると大変期待が持てるわけでございますが、この現在の計画のとおり、計画を見ますと、学長を始めボード・オブ・ガバナーズ、これは運営委員会ですか、の大半が外国人で占めているわけなんですが、このような、国内にこのような類似の大学院若しくは大学がありますか。あるとすれば、どういう法的な根拠に基づいていますか。
  276. 小池百合子

    国務大臣小池百合子君) これは内閣府に設置をされるということで、これまでの様々な機関とはまずそこでもって意を異にしているということでございます。  ボード・オブ・ガバナーズ、確かに外国人のノーベル賞受賞者の方々、入っていただいて、大変熱心に取り組んでいただいておりますけれども、我が国からは科学技会議の黒川先生を始めとしてすばらしい先生方にもお入りいただいて、こちらでも大変御熱心に取り組んでいただいているところでございます。  よって、また、世界最高水準を目指すということでございますので、さあどこかと類似しているかというと、むしろ類似しないからこそいいのではないかと、このように思っているところでございます。
  277. 大田昌秀

    大田昌秀君 外務大臣にお伺いいたします。  外務大臣は機会あるごとに、沖縄と基地を抱える地域住民の負担を軽減する、負担の軽減に努めるとおっしゃっておりますが、先日ワシントンで開かれた日米安全保障協議委員会、いわゆる2プラス2で、在日米軍基地の削減問題を具体的にどのように提案なされたでしょうか。
  278. 町村信孝

    国務大臣町村信孝君) 2プラス2におきまして幾つかの基本的な考え方があるわけでございますが、あの共同声明の中にも載っておりますけれども、抑止力を維持しつつ沖縄を始めとする地域の負担軽減を実現をさしていくというまず共通認識に日米間で到達をしたところでございます。  今後、それを受けて、より個別の施設・区域の具体的なものにつきましては今後議論を深めていきたいと。そして、一定の案が出たところで、またよく皆さん方、地元の方々とも御相談をしながら最終合意に至ればいいと、こう思っております。
  279. 大田昌秀

    大田昌秀君 財務大臣にお伺いいたします。  これは財務大臣が担当かどうかよく知りませんけれども、お金を担当する大臣で、あえてお伺いしますけれども、政府は沖縄本島北部の方に普天間の代替施設を設けるということで、北部地域の振興策と称して、年間百億円、十年間にわたって一千億円の金を支出するということを決められたわけですね。  ところが、今その移設先については随分問題が起こっておりまして、昨日、沖縄県知事が訪米いたしまして、在沖海兵隊の県外移転ということなどを要請するために行ったわけですが、仮に北の方に、北部の方に移転先が造れなくても約束どおり一千億の北部振興費は出すおつもりですか。
  280. 谷垣禎一

    国務大臣(谷垣禎一君) 突然のお尋ねですので、よく考え詰めたことではないんですが、私どもはまず今進んでいることを前提に予算を組んでおりますので、それがなくなったときどうするかと、どういうふうに執行するのかというところまではまだ十分に答えを持っておりません。
  281. 中曽根弘文

    委員長中曽根弘文君) 大田君、時間が参りました。
  282. 大田昌秀

    大田昌秀君 終わります。
  283. 中曽根弘文

    委員長中曽根弘文君) 以上で大田昌秀君の質疑は終了いたしました。  次回は来る十四日午前十時から開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後四時三十二分散会