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参考人(
生田正治君) お答えします。
経営の
立場で
経営の内側へ入りますと、その
事業体が与えられている
経営環境の中で将来およそどういうふうになっていくかというのは大体分かるものなんです。入ってみまして一年もしてみましたら、今の
公社法の枠内では
大変制約が多くて、まだ
改善の余地があるから、この四年、五年、六年ぐらいいいんですけれども、その先は大変難しいなというふうに感じました。それが
経営骨格試算で示されているわけで、年々収益も利益も減るというもので示されていると。
そこで、私は、それ、やはり
国民の
生活インフラとして大変重要な
郵政事業ですから、やはりそれが健全に持続されて、どこかのお助けを得ないで自立的に
生活インフラとしての使命を果たしていくためには
事業そのものが健全でないといけないと、こういう
考え方で二つの方法があるんで、
一つは大幅な
公社法の改正をしていただいて
経営の
自由度をいただくか、あるいは良い
民営化をしていただくか、どちらかという選択になるんだろうということを申し上げたわけでございまして、そういう御
認識にもし立っていただけるとすれば、改革というものは遅いよりも早い方が効果も大きいし確実にできると、そういった
意味で早い方がいいんではないかということを申し上げた次第であります。
それから、今の
郵便局ネットワークの関連で一言、今お話を承っておりまして感じたことは、
経営者といったら何か常に利益優先だけで、何でもばさばさ整理してしまうというふうに思われがちなんですが、そういう
経営者がいないとはいいませんけれども、本当は
経営はそんなシンプルなものじゃないわけでございまして、
経営者というものは、ステークホルダー、関係する人、株主とか従業員、顧客は無論のこと、
地域社会も物すごく重んずるわけであります。
もしそういったものに十分な配慮をしないで
経営をすると、その
経営者は格が落ちるわけで、会社の格も落ちるということで、市場でも評価されない。したがって、優れた
経営者というのは、それほど優れなくても、必ず
地域社会に配慮をしていくというわけでありまして、
郵政事業の場合は顧客というのは全
国民の皆様方が私は顧客だと思います。それから株主、これは
政府を通じて全
国民の方たちが株主だと思います。だから、そういったものに対して十分な配慮をするというのは、
経営者というのは当然であります。
あと二、三点だけ、ちょっと時間をいただいて言わしていただきますと、
過疎地も含めて、たとえ逆ざやの局を含んでいましても、日本じゅうにまたがる
郵便局の
ネットワークというものは、これは実は
郵政事業が持っております掛け替えのない貴重なブランドバリューです、ほかにないんですから。これはもう
郵政事業しか持っていない大変貴重なブランドバリューと
考えますので、
経営者というものは、そういうブランドバリューが傷付いて、あそこはほかのところと一緒やないかと言われないように、多分個性化のためにも大事にするだろうと思います。
それから、ビジネスモデルの自由化をしていただきましたら、ワンストップコンビニエンスオフィスの機能が高まると思います。ストアじゃありません、オフィスです。これは、
地方自治体の
業務の代行
業務を増やすとか
地域社会のお仕事をするとか、スペースが空いていれば小さな小売業を一緒にやるとか、いろんなことをやって
地域社会の皆様方に喜んでいただくとともに、同時にこれは収入源にもなるわけです。したがいまして、今非常に採算の悪い
郵便局も多少はそういうことで収入を補うことができる。
さらに、そういうことで、
経営者というものは、多分、私ならそう思うんですけれども、多分他の
経営者も
郵便局ネットワークというものを、何となく
議論を聞いていると、負の
資産、非常に困ったものだという前提で御
議論になっているように思うんですが、そうではなくて、日本列島にまたがる潜在的な有望な、有効な営業
資産と、こういう観点で
経営者というものは
考えるであろうと、こういうふうに思いますし、現に私は今そう
考えているわけであります。
それでも私は、
経営者が悩んではいけないと、ジレンマに陥っちゃいけないと思ったので、公的に
郵便局設置基準を作っていただいて、それで、公的な基準によってそういうものを担保しておく必要があると思ってお願いしたのは、今、省令その他でやっていただけるということで歯止めも掛かると。それから、ここでの
政府の御
答弁やら、更には
総務省や
民営化委員会の監視という制度の裏打ちがあれば私は必要なところの
郵便局は
維持されると、こういうふうに思うわけであります。
最後に一言だけ。
郵政事業は、伝統的に全国の
郵便局ネットワークを通じまして全国のお客様の
利便性に役立って、大変大きな信頼をいただいております。そしてまた、職員としては、その信頼におこたえすることを誇りと思っているんで、これはもう遺伝子みたいなもので脈々と流れておりまして、そうやって働くことに喜びを感じております。
無論、市町村合併とか、
地域社会、随分
社会が進化していっていますから、そういったものに合わせてのある程度の
郵便局の調整とか生産性の向上とか、これは
民営化しようがしまいが、
公社であろうと当然やることだと思いますが、そういうことは当然あるわけでありますが、総じて言えば、
地域社会の
皆さんが
生活インフラとして必要とされるならば
郵便局はきちんと
維持されると私は確信しておりますし、その思いは次にきちんと引き継いでいきたいと、かように思っております。