○西田実仁君
公明党の西田実仁でございます。
私は、自由
民主党並びに
公明党を代表して、ただいま
議題となりました
サミット報告につきまして、
総理ほか
関係大臣に
質問をさせていただきます。
まず、
サミット開催中のイギリスを襲った地下鉄、バスの連続爆破
テロの
犠牲者に対して心から哀悼の意を表するとともに、被害に遭われた
方々、御
家族に心からお見舞い申し上げます。
日本国内でも、こうした無差別
テロ、とりわけ
公共交通機関をねらった
テロ行為に対する不安が広がっております。もちろん、不用意に不安心理をあおることは厳に慎まねばなりませんが、万が一への備えはこれまで以上に求められております。
公共交通機関における爆破
テロについて、いわゆる死角をなくすなど、その対策の総
点検を改めてする必要があるのではないでしょうか。
また、輸送機関側がどんなに対策を立てても、それだけでは
テロを防ぐには限界があるのも事実でございます。今や、都市生活者すべてが安全について注意すべき時代に入ったとの指摘もございます。都市生活者には具体的にどのような注意が必要なのでしょうか。危機管理の
責任者である
小泉総理にお伺いいたします。
では、今回の
首脳外交における
成果と今後の課題についてお聞きいたします。
サミットは、主要国のみならず、
世界全体の調和と発展を目指すために
設置されました。しかし、今回の
サミットでも、主要国間、あるいは主要国と新興五か国との間で利害の相克が鮮明化しております。その結果、具体策の取りまとめが従来以上に困難な場面も少なくありませんでした。
サミットの政策調整機能を回復していくためには、現在の主要八か国、G8では限界があるのではないでしょうか。特に、今回の
サミットに参加した
中国、
インドなど新興五か国は
世界経済の上に大きな影響を持つようになっております。これらを踏まえて、今回の
サミットの
成果並びに今後の
サミットの在り方について、
首脳外交の
当事者である
総理はどのように考えておられますでしょうか。
次に、地球温暖化対策についてお聞きいたします。
地球の温暖化対策では、
アメリカが改めて
京都議定書に
反対の姿勢を鮮明にしました。
中国や
インドという高
成長新興国が同議定書に参加していないことがその理由です。
アメリカの言うように、代替エネルギーや省エネ技術の
開発などにより
経済成長と地球環境の調和を図ることは確かに可能であります。
しかしながら、それは中長期的な対策にほかなりません。これまで石油危機に見舞われるたびに同じような対策が喧伝され、主要国ではある程度の省エネは進んできております。しかし、地球環境の
改善にまでは結び付いておりません。
二〇〇六年の
サミット議長国である
ロシアは、イギリス・ブレア首相の意向を受けて、次回
サミットでも引き続き地球温暖化対策を重点
議題とすることを表明いたしました。
今後、先進国間はもちろん、先進国と新興国、例えばエネルギー需要の大きな
中国や
インドなどとの間で、
気候変動、
クリーンエネルギーと持続可能な
開発に関する
対話を積み重ね、二〇〇八年の
日本における
サミットで温暖化対策の総括がなされることとなりました。
日本は、さきの
京都議定書に続いて、この地球温暖化対策でも取りまとめ役を担おうとしております。
今回の
サミットの結論は、こうした今後の地球温暖化対策にどの程度効果があると考えているでしょうか。交渉
当事者である
総理にお伺いいたします。
地球環境の
重要性が強調される一方、石油などエネルギー資源をめぐる
各国・地域間の対立はますます激しくなっております。
東シベリアの石油パイプラインをめぐる日中間の導入競争、尖閣諸島における
日本も含めたアジア
各国の占有権主張、
中国石油会社による
アメリカ石油会社の買収など、枚挙にいとまがございません。
こうした資源紛争が
各国間の協調を崩壊させない方策は考えられますでしょうか。
総理にお聞きいたします。
続いて、原油価格と
世界経済についてお伺いいたします。
第一に、原油価格と財政政策の在り方について財務
大臣にお聞きいたします。
これまで、
日本経済が変調を来す背後には、必ずと言っていいほど二つの要因がございました。原油高と増税であります。第一次、二次石油危機における原油高はもちろん、湾岸戦争を契機とした増税論議や一九九七年の消費税引上げなどは
日本経済に変調をもたらしました。目下の
経済情勢は、原油価格の高騰という変調要因を抱えると同時に、
中国などの新興国の大量生産の影響もあって、デフレ基調から脱し切れておりません。
ゼロ金利、大量の国債残高により
経済政策は身動きが取れなくなっております。こうしたときに、
日本経済の変調要因の一つである増税、いわゆるサラリーマン増税を前提にすることの重大性がどれだけ
認識されているのか、大いに疑問でございます。
サミットコミュニケでは、確かに
日本も財政再建の
必要性を指摘されております。しかし、財政を再建しさえすれば
日本経済の立ち直りが果たして確保されるのでしょうか。昨今の税収増が景気の立ち直りによる法人税や所得税の自然増収にあることを考えると、九七年の消費税の引上げに似た
経済の変調が起こるのではないかと懸念されます。
谷垣
大臣は、かつて
参議院の財政金融
委員会の質疑で、増税一本で財政再建を考えているわけではないと
答弁されておられます。力強い回復が
国内のみならず
世界的に期待され続けてきた
日本経済の今後の財政政策の在り方について、谷垣財務
大臣にお聞きいたします。
第二に、原油価格の高騰と為替レートについてお聞きいたします。
現在、原油価格の高騰を背景に、外国為替市場では石油に弱い円が売られております。従来の石油危機においては、一般的に円がドルに対して上昇しておりました。省エネと公害防止、省力化と海外進出などによって、石油危機及び既に進行しておりました少子高齢
経済の影響を受容できる体質をつくり上げてきたからであります。
ところが、今回は全く逆に円が売られております。これは、二十世紀の
日本経済を悩ませてきた石油問題を
解決したとの
認識が、実は時期尚早であったということになるのではないでしょうか。
少子高齢化
経済においては、省エネ、省力化という資源小消費型
経済によって高付加価値化を図ることが最も重要となります。もし仮に、
日本が石油に弱い円に体質が劣化してしまったとなれば、ゆゆしき事態でございます。財務
大臣の
認識をお伺いいたします。
第三に、今回の
サミットにおける人民元の
改革論議についてお聞きいたします。
財務
大臣は、さきの財務相会合において、人民元について
中国に果断な
対応を求めるとしておりましたが、今回の
サミットでは、人民元の調整問題についてはほとんど進展が見られませんでした。これは、将来に通貨危機の火種を残すことになったのではないでしょうか。財務
大臣の御
認識をお伺いいたします。
模倣品や著作権侵害などから
知的財産権を保護することは、
日本にとって高付加価値社会を生み出し、維持していくために重要不可欠なことでございます。今回の
サミットでは、知的財産海賊・模倣
行為の削減という特別声明が採択されました。これは
日本外交の
成果と素直に評価すべきと思われますが、
知的財産権の保護対策はどの程度今回の
サミットで前進したと言えるのでしょうか。
総理にお伺いいたします。
次に、
北朝鮮問題についてお伺いいたします。
北朝鮮問題では、
核開発阻止については辛うじて足並みがそろったものの、
日本の
拉致被害者問題では一部の主要国においてやや後ろ向きの姿勢が目立ち、極めて遺憾なことでございます。
総理は、
サミットの席上、
日本は
北朝鮮の核問題と
拉致問題との包括的な
解決を求め、その
解決がない以上、
日本は
北朝鮮と国交正常化はしないと宣言しておられます。このメッセージはどの程度主要国に届いたと思いますか。併せて、今月下旬にも再開される六か国
協議に臨むに当たっての
総理の決意をお伺いいたします。
最後に、今回の
サミットにおいて大きなテーマとされた
アフリカ支援について、外務
大臣にお伺いいたします。
アフリカ支援においては、今後三
年間に
アフリカ開発援助を倍増するという発表済みの計画の上に、今後五
年間で更に百億ドルの援助額を増額することを
会議の土壇場において
総理が表明しました。その結果、ブレア首相が
アフリカ支援の倍増計画をまとめることができました。
援助額増額分の百億ドルはどのように使われるのでしょうか。貧困の削減という今回の
サミットの目的との
関係はどのようになるのでしょうか。外務
大臣に方針をお伺いいたします。
今回の
サミットを前に、
日本や
ドイツの対
アフリカ支援における積極姿勢が目立ちました。それはあたかも
国連改革をめぐる票争いと錯覚しかねない
状況でもありました。昨今の
世界情勢から
日本が
アフリカ支援に協力することは当然ですが、
世界平和に貢献するためには、隣国のアジア
諸国との友好・信頼
関係の確立が優先するのではないでしょうか。それとも、
アフリカ支援にはやや消極的な
アメリカの肩代わりとして、グローバルな
安全保障を見据えた日米協力として
アフリカ支援に積極的に取り組むということでしょうか。外務
大臣にお伺いいたします。
今回の
サミットは、卑劣な
テロ行為にも屈することなく
会議が続行されました。
テロがいかに
人々を恐怖と無力感に陥れようとも、私たちは希望を捨てるわけにはまいりません。今回、
サミットに参加したナイジェリアのことわざに、希望こそ
世界の柱であるとあります。今回の
サミットが
テロに打ちかつ希望の原点となるよう強く念願し、私の
質問を終えます。
ありがとうございました。(
拍手)
〔
内閣総理大臣小泉純一郎君
登壇、
拍手〕